JP4959212B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
すなわち、ハンドル戻し制御手段は、操舵トルクが閾値内にある略手放し状態では、ハンドル戻し電流をアシスト電流に加算して、モータの駆動により中立位置まで戻るようにハンドル戻し駆動を実行する。
そのため、特許文献1のように、操舵トルクが閾値内に入ったときにハンドル戻し駆動を実行するものであると、運転者が極めて小さい力で保舵しているとき、操舵トルクが閾値内に入ることがあり、するとハンドル戻し駆動が実行されるので、運転者はこれに抗して保舵しようとして力が加わり、操舵トルクが増加して閾値を超え、よってハンドル戻し駆動が停止される。
操舵トルク(T)および車速(v)に基づきアシストベース電流値(Ib)を算出する操舵アシスト制御手段(31)を備え、前記アシストベース電流値(Ib)に基づくアシスト目標電流(Io)に従ってアシストモータ(M)が駆動制御されて人力をアシストする電動パワーステアリング装置において、
舵角(θ)を検出する舵角検出手段(34)と、
前記舵角(θ)と前記車速(v)と前記操舵トルク(T)に基づいて操舵トルクが略手放し状態と判定することができる小さい閾値以下のときに前記アシストベース電流値(Ib)にハンドル戻し補正電流値(Is)を加算するハンドル戻し制御手段(S)と、
前記車速(v)と前記舵角(θ)に基づいて小舵角時に舵角中立方向への戻し反力を与える反力電流値(Ia)を演算する反力電流演算手段(50)および前記操舵トルク(T)に基づいて前記反力電流値(Ia)を規制するトルクレシオ(r)を演算するトルクレシオ演算手段(51)を備え、前記反力電流値(Ia)に前記トルクレシオ(r)を乗算した反力電流値(Ia・r)を前記アシストベース電流値(Ib)に加算する反力電流付加手段(A)とを備え、
前記反力電流演算手段(50)は、舵角が0から大きくなるに従い反力電流値が0から増加した後減少して0に至る特性を車速(v)毎に予め記憶する反力電流記憶手段(50a)を有し、同反力電流記憶手段(50a)に基づき前記車速(v)と前記舵角(θ)から反力電流値(Ia)を抽出演算し、
前記トルクレシオ演算手段(51)は、操舵トルク(T)が0のとき、トルクレシオ(r)は1.0を示し、操舵トルク(T)が0から左右ともに大きくなるに従いトルクレシオ(r)が減少し、緩減して滑らかに0に至る特性を記憶するトルクレシオ記憶手段(51a)を有し、同トルクレシオ記憶手段(51a)に基づき操舵トルク(T)からトルクレシオ(r)を抽出演算する電動パワーステアリング装置とした。
反力電流付加手段は、操舵トルクを入力して所定操舵トルク以上のときに前記反力電流値を規制するので、切込みや切戻し時には反力電流が影響しないようにすることができる。
本実施の形態に係る電動パワーステアリング装置1の全体の概略後面図を図1に示す。
ステアリングギアボックス4には、ステアリングホイール(図示せず)が一体に取り付けられたステアリング軸にジョイントを介して連結される入力軸5が軸受を介して回動自在に軸支されており、図2に示すように入力軸5はステアリングギアボックス4内でトーションバー6を介して相対的なねじり可能に操舵ピニオン軸7と連結されている。
したがってステアリングホイールの回動操作により入力軸5に伝達された操舵力は、トーションバー6を介して操舵ピニオン軸7を回動して操舵ピニオン軸7のはす歯7aとラック歯3aの噛合によりラック軸3を左右軸方向に摺動させる。
なお、アシストモータMには、その回転駆動軸の回転を直接検出するロータリエンコーダ、レゾルバなどの回転角センサ27が設けられている。
トーションバー6の捩れをコア21の軸方向の移動に変換し、コア21の移動をコイル22,23のインダクタンス変化に変えて操舵トルクTを検出している。
なお、トーションバー6の捩れを光学的に検出するトルクセンサでもよい。
操舵トルクセンサ20が検出した操舵トルクTと車速センサ25が検出した車速vに基づい
て操舵アシスト制御手段31がアシストベース電流Ibを演算し出力する。
例えば、操舵トルクTに対するアシストベース電流Ibの最適な関係を所定の車速毎に予め決めておき、同関係をもとに操舵トルクTと車速vからアシストベース電流Ibを演算する。
さらに、ステアリング系の慣性トルクやモータの慣性トルクを補償する演算も加えてアシストベース電流Ibを求めるようにしてもよい。
この回転角センサ27が検出するモータ回転数nに基づいて舵角θを検出する舵角演算手段34を備えている。
なお、舵角θを直接検出する舵角センサを設けてもよい。
舵角θに対する目標舵角速度を予め求め、舵角θに対する目標舵角速度ωmbの関係をマップとして予め目標舵角速度記憶手段35aに記憶しておき、目標舵角速度演算手段35がこの関係マップに基づき前記舵角演算手段34が演算した舵角θから目標舵角速度ωmbを抽出演算する。
そして、縦軸が目標舵角速度ωmbを示し、同縦軸において原点が目標舵角速度0であり、原点より上方が右回転方向(ハンドルを右に切る方向)で、原点より下方が左回転方向(ハンドルを左に切る方向)である。
該関係曲線は、第2象限と第4象限に原点対称に滑らかな曲線で形成されている。
左舵角は右舵角と原点対称であり、左舵角θが大きくなる程右操舵方向に目標舵角速度ωmbが大きくなる。
この車速乗算係数kvを演算する車速乗算係数演算手段36は、車速vに対する車速乗算係数kvの関係をマップとして記憶する車速乗算係数記憶手段36aを備え、前記車速センサ25の検出した車速vから同関係マップに基づき車速乗算係数kvを抽出演算する。
車速vに対して車速乗算係数kvは、原点から車速vが大きくなる程大きくなり、車速10km/hで車速乗算係数kvは1.0を示し、車速vが小さいうちは急激に大きくなり、その後大きくなる割合が徐々に小さくなっている。
車速乗算係数kvは、車速10km/h未満では1.0未満の値で目標舵角速度ωmbを抑制する方向に働き、車速10km/h以上では1.0以上の値で目標舵角速度ωmbを拡大する方向に働く。
この実舵角速度ωに対する前記最終目標舵角速度ωmの偏差Δω(=ωm−ω)を求め(図3の偏差演算手段41参照)、同偏差Δωを電流換算手段42が電流に換算してハンドル戻し補正電流値Isbが求められる。
この電流換算は、偏差Δωに所定の換算係数を乗算することで算出され、フィードバック制御される。
横軸の原点より正側(右側)が右操舵トルク、負側(左側)が左操舵トルクで、縦軸が操舵トルク乗算係数ktである。
したがって、−Tp<T<Tpの操舵トルク範囲では操舵トルク乗算係数kt=1.0で最終ハンドル戻し補正電流値IsはIsbのままで、T<−Tp、Tp<Tのときはkt=0で最終ハンドル戻し補正電流値Isは0となる。
なお、アシストベース電流Ibに先に最終ハンドル戻し補正電流値Isが加算され、後で反力電流値Iaが加算されるようにしてもよい。
この補正されたアシスト目標電流IoによってアシストモータMが駆動制御される。
車速v毎の舵角θに対する反力電流値Iaの関係マップを予め決めて反力電流記憶手段50aが記憶しており、反力電流演算手段50がこの反力電流記憶手段50aが記憶する関係マップに基づき前記舵角演算手段34が演算した舵角θと車速vから反力電流値Iaを抽出演算する。
横軸が舵角θを示し、同横軸において原点が舵角0の中立位置で、原点より右が右舵角、左が左舵角である。
そして、縦軸が反力電流値Iaを示し、同縦軸において原点が反力電流値0であり、原点より上方が右回転方向(ハンドルを右に切る方向)にトルクを発生させる電流値を示し、原点より下方が左回転方向(ハンドルを左に切る方向)にトルクを発生させる電流値を示す。
すなわち、反力電流値Iaは舵角0の中立位置に戻す方向にトルクを発生させる電流値であり、舵角が0から大きくなるに従い反力電流値Iaが0から増加した後減少して0に至る特性を示している。
反力電流値Iaが現れる舵角幅は相当程度狭い幅であり、小舵角で特に低車速旋回走行するときなどに、反力電流が出力されるものである。
なお、選択されていない車速vについての反力電流値は、その前後の選択されている車速の反力電流値から演算して求める。
その反力電流値Iaは低車速ほど大きい。
トルクレシオ演算手段51は、操舵トルクTに対するトルクレシオrの予め決められた関係をマップとして記憶するトルクレシオ記憶手段51aを備えている。
横軸の原点より正側(右側)が右操舵トルク、負側(左側)が左操舵トルクで、縦軸がトルクレシオrである。
操舵トルクTが0のとき、トルクレシオrは1.0を示し、操舵トルクTが0から左右ともに大きくなるに従いトルクレシオrが減少し、緩減して滑らかに0に至る。
したがって、トルクレシオrが0になる操舵トルクTの値は、明らかにハンドルの切込みまたは切戻しと判定できる程度に大きい値であって、前記図6に示す操舵トルクTに対する操舵トルク乗算係数ktの関係における操舵トルク乗算係数ktが0となるトルク閾値Tp(略手放し状態と判定できる最大操舵トルク)より相当程度大きい値である。
20…トルクセンサ、21…コア、22,23…コイル、25…車速センサ、26…モータ電流検出装置、27…回転角センサ、
30…操舵トルク制御装置、31…操舵アシスト制御手段、32…電流フィードバック制御手段、33…モータ駆動回路、34…舵角演算手段、
S…ハンドル戻し制御手段、35…目標舵角速度演算手段、35a…目標舵角速度記憶手段、36…車速乗算係数演算手段、36a…車速乗算係数記憶手段、37…乗算補正手段、40…舵角速度演算手段、41…偏差演算手段、42…電流換算手段、45…操舵トルク乗算係数演算手段、45a…操舵トルク乗算係数記憶手段、46…乗算手段、47…加算手段、
A…反力電流付加手段、50…反力電流演算手段、50a…反力電流記憶手段、51…トルクレシオ演算手段、51a…トルクレシオ記憶手段、52…乗算手段、53…加算手段。
Claims (2)
- 操舵トルク(T)および車速(v)に基づきアシストベース電流値(Ib)を算出する操舵アシスト制御手段(31)を備え、前記アシストベース電流値(Ib)に基づくアシスト目標電流(Io)に従ってアシストモータ(M)が駆動制御されて人力をアシストする電動パワーステアリング装置において、
舵角(θ)を検出する舵角検出手段(34)と、
前記舵角(θ)と前記車速(v)と前記操舵トルク(T)に基づいて操舵トルクが略手放し状態と判定することができる小さい閾値以下のときに前記アシストベース電流値(Ib)にハンドル戻し補正電流値(Is)を加算するハンドル戻し制御手段(S)と、
前記車速(v)と前記舵角(θ)に基づいて小舵角時に舵角中立方向への戻し反力を与える反力電流値(Ia)を演算する反力電流演算手段(50)および前記操舵トルク(T)に基づいて前記反力電流値(Ia)を規制するトルクレシオ(r)を演算するトルクレシオ演算手段(51)を備え、前記反力電流値(Ia)に前記トルクレシオ(r)を乗算した反力電流値(Ia・r)を前記アシストベース電流値(Ib)に加算する反力電流付加手段(A)とを備え、
前記反力電流演算手段(50)は、舵角が0から大きくなるに従い反力電流値が0から増加した後減少して0に至る特性を車速(v)毎に予め記憶する反力電流記憶手段(50a)を有し、同反力電流記憶手段(50a)に基づき前記車速(v)と前記舵角(θ)から反力電流値(Ia)を抽出演算し、
前記トルクレシオ演算手段(51)は、操舵トルク(T)が0のとき、トルクレシオ(r)は1.0を示し、操舵トルク(T)が0から左右ともに大きくなるに従いトルクレシオ(r)が減少し、緩減して滑らかに0に至る特性を記憶するトルクレシオ記憶手段(51a)を有し、同トルクレシオ記憶手段(51a)に基づき操舵トルク(T)からトルクレシオ(r)を抽出演算することを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記反力電流記憶手段(50a)の記憶する特性は、車速(v)が高い程前記反力電流値(Ia)が低いことを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
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