JP2014141172A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 仮想動特性モデルを使ってモータ回転角速度を制御しつつ、ドライバーに路面反力を適切に感じさせるようにする。
【解決手段】 目標回転角速度演算部110は、操舵トルクThandから路面反力Treactを減算した調整後操作力Fを仮想モデルの運動方程式に代入して、目標回転角速度ω*を演算する。モータ制御部120は、回転角速度のフィードバック制御によりモータ20を駆動する。路面反力演算部130は、モータ電流iに基づいて推定路面反力Tmotorを演算し、この推定路面反力Tmotorに調整係数αを乗算した値を路面反力Treactとして目標回転角速度演算部110に出力する。
【選択図】 図2
【解決手段】 目標回転角速度演算部110は、操舵トルクThandから路面反力Treactを減算した調整後操作力Fを仮想モデルの運動方程式に代入して、目標回転角速度ω*を演算する。モータ制御部120は、回転角速度のフィードバック制御によりモータ20を駆動する。路面反力演算部130は、モータ電流iに基づいて推定路面反力Tmotorを演算し、この推定路面反力Tmotorに調整係数αを乗算した値を路面反力Treactとして目標回転角速度演算部110に出力する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、ドライバーの操舵操作に基づいてモータを駆動制御して操舵アシストトルクを発生する電動パワーステアリング装置に関する。
従来から、電動パワーステアリング装置は、ドライバーが操舵ハンドルに付与した操舵トルクをトルクセンサにより検出し、検出した操舵トルクに基づいてモータを駆動してドライバーの操舵操作をアシストする。こうしたモータの駆動制御は、マイコンを主要部として備えたアシストECUにより行われる。一般に、アシストECUは、操舵トルクが大きくなるほどアシスト比が増加する目標アシストトルクを設定し、この目標アシストトルクに対応する目標電流がモータに流れるように、目標電流と実電流との偏差に応じた電流フィードバック制御を実行する。
また、特許文献1に提案されているように、操舵トルクと車速と操舵角とに基づいて目標操舵角速度を演算し、目標操舵角速度と実際の操舵角速度との差がゼロとなるようにモータを駆動制御する電動パワーステアリング装置も知られている。
しかしながら、操舵トルクに基づいて目標アシストトルクを設定する従来装置では、路面反力がドライバーに伝達される度合がアシスト比Raによって一義的に決まってしまう。例えば、ドライバーに伝達される路面反力は、操作力に対して(1/(Ra+1))倍になる。このため、特にアシスト比Raが高い場合には、ドライバーに適切な路面反力を感じさせることができない。従って、路面情報を反力としてドライバーに良好に伝達することができない。また、操舵ハンドルの握りを緩めて舵角を中立位置に戻すとき、きちんと中立位置にまで戻らないこともある。また、特許文献1に提案されている電動パワーステアリングにおいては、操舵角速度のフィードバック制御により路面反力を打ち消してしまうため、同様な問題が生じる。
本発明の目的は、上記問題に対処するためになされたもので、ドライバーに路面反力を適切に感じさせるようにすることにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、ステアリング機構に設けられて操舵アシストトルクを発生するモータ(20)と、ドライバーの入力した操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段(17)と、操舵角あるいは操舵角速度を表す操舵角関連量を検出する操舵角関連量検出手段(18,124)と、路面からタイヤを介して前記ステアリング機構に入力される路面反力の情報を取得する路面反力取得手段(130,160)と、前記操舵トルクと前記路面反力とに基づいて、目標とする操舵角あるいは操舵角速度を表す目標操舵角関連量を演算する目標操舵角関連量演算手段(110,140)と、前記操舵角関連量検出手段により検出される操舵角関連量が、前記目標操舵角関連量に追従するように前記モータを駆動する操舵角関連量フィードバック制御手段(120,150)とを備えたことにある。
本発明においては、操舵トルク検出手段が、ドライバーの入力した操舵トルクを検出し、操舵角関連量検出手段が、操舵角あるいは操舵角速度を表す操舵角関連量を検出する。また、路面反力取得手段が、路面からタイヤを介してステアリング機構に入力される路面反力の情報を取得する。この路面反力は、センサにより検出されるものであってもよいし、演算により算出されるものであってもよい。また、路面反力は、直線方向の力として取り扱われるものであってもよいし、力のモーメント(トルク)として取り扱われるものであってもよい。また、操舵トルクについても、力の働く点における接線方向の力に換算されて取り扱われるものであってもよい。また、操舵角あるいは操舵角速度は、モータの回転角あるいは回転角速度と対応関係にあるため、操舵角関連量は、モータの回転角あるいは回転角速度を表すモータ角関連量として取り扱われるものであってもよい。
この操舵トルクと路面反力とに基づいて、目標操舵角関連量演算手段は、目標とする操舵角あるいは操舵角速度を表す目標操舵角関連量を演算する。操舵角関連量フィードバック制御手段は、操舵角関連量検出手段により検出される操舵角関連量が、目標操舵角関連量に追従するようにモータを駆動する。つまり、検出操舵角を目標操舵角に追従させる操舵角フィードバック制御、あるいは、検出操舵角速度を目標操舵角速度に追従させる操舵角速度フィードバック制御によりモータを駆動する。これにより、モータは、操舵アシストトルクを発生する。この場合、操舵角あるいは操舵角速度のフィードバック制御を行っているため、ステアリング機構の経年変化や製造バラツキによる操舵フィーリングの変化が防止される。
操舵角関連量のフィードバック制御では、路面反力を考慮していないと、上記フィードバック制御によって路面反力が打ち消されてしまい、路面情報を路面反力としてドライバーに伝達することができないが、本発明においては、操舵トルクと路面反力とに基づいて目標操舵角関連量を演算しているため、ドライバーに路面反力を適切に感じさせることができる。
本発明の他の特徴は、前記目標操舵角関連量演算手段(110,140)は、前記操舵トルクが大きいほど操舵角速度が大きくなり、前記路面反力が大きいほど操舵角速度が小さくなるように前記目標操舵角関連量を演算することにある。
本発明によれば、操舵トルクが大きいほど操舵角速度が大きくなるように目標操舵角関連量が演算されるため、操舵トルクが大きいほどモータが高速に回転する。これにより、ドライバーは、操舵ハンドルを速く軽く回動操作することができる。また、路面反力が大きいほど操舵角速度が小さくなるように目標操舵角関連量が演算されるため、路面反力が大きいほどモータの回転速度が小さくなる。これにより、ハンドル操作が重くなり、ドライバーは、路面反力を感じることができる。
尚、目標操舵角関連量として操舵角が演算される構成の場合においては、「操舵トルクが大きいほど操舵角速度が大きくなるように目標操舵角関連量を演算する」とは、操舵トルクが大きいほど単位時間当たりの変化量が大きくなる目標操舵角を演算することであり、「路面反力が大きいほど操舵角速度が小さくなるように目標操舵角関連量を演算する」とは、路面反力が大きいほど単位時間当たりの変化量が小さくなる目標操舵角を演算することである。このため、目標操舵角関連量として操舵角が演算される場合であっても操舵角速度が演算される場合であっても、同じようにモータの回転速度を制御することができる。
本発明の他の特徴は、前記目標操舵角関連量演算手段(110,140)は、ドライバーの操舵フィーリングを決める仮想の動特性を設定した仮想動特性モデルを記憶した仮想モデル記憶手段(113)と、前記路面反力が大きいほど操舵トルク検出手段により検出された操舵トルクを少なくするように調整した調整後操舵トルクを演算する調整後操舵トルク演算手段(111)とを備え、前記仮想動特性モデルと前記調整後操舵トルクとに基づいて、前記目標操舵角関連量を演算することにある。
本発明においては、仮想モデル記憶手段が、ドライバーの操舵フィーリングを決める仮想の動特性を設定した仮想動特性モデルを記憶している。この仮想動特性モデルは、理想の操舵フィーリングが得られる動特性(操舵ハンドル回りの動特性であり、例えば、慣性特性、粘性特性、摩擦特性で表される)を設定したものであり、実際のステアリングシステムの動特性とは全く無関係に設定したものでよい。従って、この仮想動特性モデルを使った運動方程式に操舵トルクを代入すれば、理想とされる操舵角あるいは操舵角速度を演算することができる。この場合、検出された操舵トルクをそのまま運動方程式に代入してしまうと、路面反力をドライバーに感じさせることができない。そこで、本発明では、調整後操舵トルク演算手段が、路面反力が大きいほど操舵トルク検出手段により検出された操舵トルクを少なくするように調整した調整後操舵トルクを演算する。そして、目標操舵角関連量演算手段が、仮想動特性モデルと調整後操舵トルクとに基づいて、目標操舵角関連量を演算する。
これにより、本発明によれば、ステアリング機構の経年変化や製造バラツキに影響されることなく、ドライバーが入力した操舵トルクに対して所望の操舵アシストが得られるとともに、路面反力をドライバーに感じさせることができる。従って、良好な操舵フィーリングが得られる。また、仮想動特性モデルのパラメータ(動特性)を調整するだけで操舵フィーリングを任意に変更することができるためチューニングが容易となる。
本発明の他の特徴は、前記路面反力取得手段(130)は、前記モータの電流値、あるいは、前記モータの出力トルクに基づいて路面反力の推定値である推定路面反力を演算することにある。
モータの出力トルクは、路面反力が大きいほど大きくなる。従って、モータの出力トルクから路面反力を推定することができる。また、モータの出力トルクは、モータに流れる電流に比例する。そこで、本発明においては、路面反力取得手段が、モータの電流値、あるいは、モータの出力トルクに基づいて路面反力の推定値である推定路面反力を演算する。
これにより、目標操舵角関連量演算手段は、操舵トルクと推定路面反力とに基づいて目標操舵角関連量を演算することができる。従って、本発明によれば、路面反力を検出するセンサ(例えば、ラックバーに働く軸力を検出するセンサなど)を設ける必要が無く、低コストにて実施することができる。
これにより、目標操舵角関連量演算手段は、操舵トルクと推定路面反力とに基づいて目標操舵角関連量を演算することができる。従って、本発明によれば、路面反力を検出するセンサ(例えば、ラックバーに働く軸力を検出するセンサなど)を設ける必要が無く、低コストにて実施することができる。
本発明の他の特徴は、前記路面反力取得手段(160)は、実際の電動パワーステアリング装置における実動特性を使って、路面反力の推定値である推定路面反力を演算することにある。
本発明においては、路面反力取得手段が、実際の電動パワーステアリング装置における実動特性を使って、路面反力の推定値である推定路面反力を演算する。つまり、予め設定された実際の機械的な動特性(慣性特性、粘性特性、摩擦特性など)を使った運動方程式に基づいて推定路面反力を演算する。従って、本発明によれば、路面反力を高精度に推定することができる。尚、推定路面反力の演算に当たっては、運動方程式に必要となるパラメータ(例えば、ステアリング機構へ入力される操舵トルク、操舵角速度等を表す情報)を取得するとよい。
本発明の他の特徴は、ドライバーに路面反力を感じさせる程度を設定した反力伝達調整値(α)に基づいて前記推定路面反力を調整する推定反力調整手段(132,162)を備え、前記目標操舵角関連量演算手段(110,140)は、前記調整した後の推定路面反力を使って前記目標操舵角関連量を演算することにある。
本発明においては、推定反力調整手段が、ドライバーに路面反力を感じさせる程度を設定した反力伝達調整値に基づいて推定路面反力を調整する。そして、目標操舵角関連量演算手段が、調整した後の推定路面反力と操舵トルクとに基づいて目標操舵角関連量を演算する。従って、本発明によれば、ドライバーに路面反力を感じさせる程度を任意に調整することができるため、よりきめ細かく操舵フィーリングを調整することができる。
本発明の他の特徴は、前記推定反力調整手段(132,162)は、前記操舵トルク検出手段により検出された操舵トルクが大きくなるにしたがって前記推定路面反力を小さくするように調整することにある。
本発明においては、推定反力調整手段が、操舵トルクが大きくなるにしたがって推定路面反力を小さくするように調整する。このため、操舵フィーリングが良好となる。また、操舵トルクが小さい場合は、操舵角も小さい状態となってセルフアライニングトルクが小さくなるが、本発明によれば、操舵トルクが小さい場合は大きい場合に比べて推定路面反力が大きくなるように調整されるため、操舵角を良好に中立位置に戻すことができる。
尚、上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
以下、本発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置について図面を用いて説明する。図1は、実施形態に係る車両の電動パワーステアリング装置の概略構成を表している。
この電動パワーステアリング装置は、操舵ハンドル11の操舵操作により転舵輪を転舵するステアリング機構10と、ステアリング機構10に組み付けられ操舵アシストトルクを発生するモータ20と、モータ20を駆動するモータ駆動回路30と、モータ駆動回路30を制御する電子制御装置100とを主要部として備えている。以下、電子制御装置100をアシストECU100と呼ぶ。
ステアリング機構10は、操舵ハンドル11の回転操作により左右前輪FWL,FWRを転舵するための機構で、操舵ハンドル11を上端に一体回転するように接続したステアリングシャフト12を備える。このステアリングシャフト12の下端には、ピニオンギヤ13が一体回転するように接続されている。ピニオンギヤ13は、ラックバー14に形成されたラック歯と噛み合って、ラックバー14とともにラックアンドピニオン機構を構成する。ラックバー14の両端には、タイロッド15L,15Rを介して左右前輪FWL,FWRのナックル(図示略)が操舵可能に接続されている。左右前輪FWL,FWRは、ステアリングシャフト12の軸線回りの回転に伴うラックバー14の軸線方向の変位に応じて左右に操舵される。
ラックバー14には、モータ20が組み付けられている。本実施形態で用いるモータ20は、3相ブラシレスモータである。モータ20の出力軸は、ボールねじ機構16を介してラックバー14に動力伝達可能に接続されていて、その回転により左右前輪FWL,FWRに転舵力を付与して操舵操作をアシストする。ボールねじ機構16は、減速機および回転−直線変換器として機能するもので、モータ20の回転を減速するとともに直線運動に変換してラックバー14に伝達する。
ステアリングシャフト12には、操舵トルクセンサ17が設けられる。操舵トルクセンサ17は、例えば、ステアリングシャフト12の中間部に介装されたトーションバー(図示略)の捩れ角度をレゾルバ等により検出し、この捩れ角に基づいてステアリングシャフト12に働いた操舵トルクThandを検出する。操舵トルクThandは、正負の値により操舵ハンドル11の操作方向が識別される。例えば、操舵ハンドル11の左方向への操舵時における操舵トルクThandを正の値で、操舵ハンドル11の右方向への操舵時における操舵トルクThandを負の値で示す。以下、操舵トルクThandの大きさについて述べる場合には、その絶対値を使うものとする。尚、本実施形態においては、トーションバーの捩れ角度をレゾルバにより検出するが、エンコーダ等の他の回転角センサにより検出することもできる。
モータ20には、回転角センサ18が設けられる。この回転角センサ18は、モータ20内に組み込まれ、モータ20のロータの回転角度位置に応じた検出信号を出力するもので、例えば、レゾルバにより構成される。回転角センサ18は、モータ20の回転角θを表す検出信号をアシストECU100に出力する。アシストECU100は、この回転角θからモータ20の電気角を算出し、この電気角に基づいてモータ20の電流位相を制御する。また、モータ20は、ステアリング機構10に組み付けされているため、モータ20の回転角θは、操舵角に対応するものとなり、回転角θを時間微分して算出される回転角速度dθ/dtは、操舵角速度に対応するものとなる。
モータ駆動回路30は、図示しないスイッチング素子により3相インバータ回路を構成したものであり、3相(U相、V相、W相)の電力供給ライン31を介してモータ20に接続されている。モータ駆動回路30は、アシストECU100から出力されるPWM制御信号に応じたデューティ比で各相のスイッチング素子がオン・オフ制御されて3相電流をモータ20に流す。これによりモータ20は、3相電流に応じた操舵アシストトルクをステアリング機構10に付与する。
モータ駆動回路30には、モータ20の各相に流れる電流を検出する電流センサ19が設けられている。電流センサ19は、モータ20の各相に流れる電流iを表す検出信号をアシストECU100に出力する。
アシストECU100は、CPU,ROM,RAM等からなるマイクロコンピュータを主要部として構成される。アシストECU100は、操舵トルクセンサ17、回転角センサ18、電流センサ19、および、車速を検出する車速センサ21を接続し、操舵トルクThand、回転角θ、電流i、車速Vxを表す検出信号を入力する。そして、入力した検出信号に基づいて、運転者の操舵操作に応じた最適な操舵アシストトルクが得られるようにモータ20に流す指令電流を演算し、その指令電流が流れるようにモータ駆動回路30の各スイッチング素子のデューティ比を制御する。
尚、アシストECU100は、モータ20に流す電流を制御する場合、モータ20の回転子に設けられた永久磁石の磁界が貫く方向(N極の向く方向)にd軸、d軸に直交する方向(d軸に対して電気角がπ/2だけ進んだ方向)にq軸を定めたd−q座標(2相回転座標)を用いた電流ベクトル制御を実施する。d−q座標における電流ベクトルのd軸成分をd軸電流と呼び、q軸成分をq軸電流と呼ぶ。q軸電流は、q軸方向に磁界が発生するように作用する。従って、q軸電流は、モータトルクを発生させる。一方、d軸電流は、d軸方向に磁界を発生させるため、モータトルクを発生できず、弱め界磁制御に使用される。アシストECU100は、最大のモータトルク効率を得るために、電流ベクトルがq軸上を移動するように電流位相を制御する(弱め界磁制御を実行しない場合)。アシストECU100は、こうした電流ベクトル制御を行うにあたって、回転角センサ18によって検出された回転角θからモータ20の電気角を算出し、この電気角に基づいてモータ20の電流位相を制御する。こうした電流ベクトル制御は、本実施形態の特徴ではないため、モータ20に流す電流を単にモータ電流iと称して説明する。本実施形態においては、後述するモータ指令電流i*は、モータトルクを発生させるq軸電流の目標値となる。d軸電流の目標値は、弱め界磁制御を実行しない場合には、ゼロとすればよい。
<アシストECUの第1実施形態>
次に、アシストECU100の機能について図2を用いて説明する。アシストECU100については、以下、複数の実施形態を説明する。図2は、第1実施形態に係るアシストECU100のマイクロコンピュータのプログラム制御により処理される機能を表す機能ブロック図である。アシストECU100は、目標回転角速度演算部110と、モータ制御部120と、路面反力演算部130とを備えている。各機能部は、所定の短い演算周期で当該処理を繰り返す。
次に、アシストECU100の機能について図2を用いて説明する。アシストECU100については、以下、複数の実施形態を説明する。図2は、第1実施形態に係るアシストECU100のマイクロコンピュータのプログラム制御により処理される機能を表す機能ブロック図である。アシストECU100は、目標回転角速度演算部110と、モータ制御部120と、路面反力演算部130とを備えている。各機能部は、所定の短い演算周期で当該処理を繰り返す。
目標回転角速度演算部110は、モータ20の目標回転角速度ω*を演算する機能部であり、算出した目標回転角速度ω*をモータ制御部120に出力する。モータ制御部120は、モータ20の実際の回転角速度ωが目標回転角速度ω*に追従するようにモータ20の通電を制御する機能部である。路面反力演算部130は、路面からタイヤを介してステアリング機構10に入力される力である路面反力を演算により推定し、その路面反力をドライバーに感じさせる程度を調整する機能部である。以下、各機能部について説明する。
目標回転角速度演算部110は、トルク減算部111と、目標加速度演算部112と、仮想モデル記憶部113と、時間積分部114とを備えている。トルク減算部111は、操舵トルクセンサ17により検出された操舵トルクThandと、路面反力演算部130により算出された路面反力Treactとを入力し、操舵トルクThandから路面反力Treactを減算した調整後トルク(Thand−Treact)を算出する。そして、調整後トルクを操舵ハンドル11の接線方向の力に換算し、換算された力を調整後操作力Fとして目標加速度演算部112に出力する。調整後トルクを調整後操作力Fに換算するには、調整後トルクを操舵ハンドル11の半径で除算すればよい。
この路面反力Treactは、後述するようにステアリングシャフト回りに働くトルクに換算された値である。従って、調整後トルクは、ドライバーが入力した操舵トルクから、路面反力に対応する反力トルクを減算した値となり、調整後操作力Fは、調整後トルクを操舵ハンドル11の接線方向の力に換算した値となる。この換算は、計算を容易にするためである。従って、直交単位系に換算せずに、そのままトルクを使った回転単位系を使って演算するようにしてもよい。
尚、この説明においては、操舵トルクThandを小さくする意味合いを示すために操舵トルクThandから路面反力Treactを減算しているが、路面反力Treactを符号(正負)によって方向を表せば、加算処理を行うことになる。何れであっても、路面反力Treactが操舵トルクThandに対して反対方向に働くように考えて、路面反力Treactによって操舵トルクThandが小さくなるように調整された調整後トルクを算出すればよい。
目標加速度演算部112は、次式(1)で表される運動方程式を使って、操舵ハンドル11の接線方向の目標加速度a*を計算する。
a*=(F―f−d・V0)/m ・・・(1)
ここで、f,d,mは、仮想モデル記憶部113に記憶されている値である。目標加速度演算部112は、仮想モデル記憶部113からf,d,mを読み取って式(1)に代入する。また、V0は、1演算周期前に演算された目標速度V*(後述する)である。
a*=(F―f−d・V0)/m ・・・(1)
ここで、f,d,mは、仮想モデル記憶部113に記憶されている値である。目標加速度演算部112は、仮想モデル記憶部113からf,d,mを読み取って式(1)に代入する。また、V0は、1演算周期前に演算された目標速度V*(後述する)である。
仮想モデル記憶部113は、ドライバーが操舵操作したときのハンドル回りの慣性力、粘性抵抗、摩擦抵抗を決める動特性である慣性m[kg]、粘性係数d[N/(m/s)]、摩擦抵抗f[N]を設定した仮想動特性モデルを記憶している。この仮想動特性モデルは、ドライバーにとって最も操舵フィーリングの良好となる理想的な慣性(慣性質量)m、粘性係数d、摩擦抵抗fを各種の実験に基づいて設定したものである。従って、慣性m、粘性係数d、摩擦抵抗fは、実際のステアリングシステムにおける機械的な値とは、無関係に設定されたものとなっている。
目標加速度a*は、この仮想動特性モデルで表される慣性m、粘性係数d、摩擦抵抗fを使って算出されるため、調整後操作力Fが操舵ハンドル11に入力された場合の、仮想動特性モデルにおける操舵ハンドル11の接線方向の加速度を表している。
目標加速度演算部112は、算出した目標加速度a*を時間積分部114に出力する。時間積分部114は、目標加速度a*を時間積分することにより目標速度V*を計算し、この目標速度V*をモータ20の回転角速度ω*に換算する。時間積分部114は、次式(2)を使って、目標速度V*を計算する。
V*=V0+a*・Δt ・・・(2)
ここで、Δtは、目標回転角速度演算部110の演算周期を表す。また、V0は、1演算周期前に算出された目標速度V*である。以下、V0を前回速度と呼ぶ。前回速度V0の初期値は、ゼロに設定されている。時間積分部114は、算出した目標速度V*を次回の演算時における前回速度V0として記憶する(V0←V*)。この記憶された前回速度V0は、目標加速度演算部112が上記式(1)を使って目標加速度a*を計算する場合においても使用される。
V*=V0+a*・Δt ・・・(2)
ここで、Δtは、目標回転角速度演算部110の演算周期を表す。また、V0は、1演算周期前に算出された目標速度V*である。以下、V0を前回速度と呼ぶ。前回速度V0の初期値は、ゼロに設定されている。時間積分部114は、算出した目標速度V*を次回の演算時における前回速度V0として記憶する(V0←V*)。この記憶された前回速度V0は、目標加速度演算部112が上記式(1)を使って目標加速度a*を計算する場合においても使用される。
上記式(2)は、仮想動特性モデルのパラメータを使って次式(3)のように表すことができる。
V*=V0+(F―f−d・V0)Δt/m ・・・(3)
この目標速度V*は、仮想動特性モデルにおける操舵ハンドル11の接線方向の速度となる。この場合、仮想動特性モデルで設定されている摩擦抵抗fが小さいほど速くなる目標速度V*が設定される。また、粘性係数dが小さいほど粘性抵抗(d・V0)が小さくなって速くなる目標速度V*が設定される。また、慣性質量mが小さいほど速くなる目標速度V*が設定される。従って、仮想動特性モデルのパラメータを調整することで、目標速度V*の特性を自在に変更することができる。
V*=V0+(F―f−d・V0)Δt/m ・・・(3)
この目標速度V*は、仮想動特性モデルにおける操舵ハンドル11の接線方向の速度となる。この場合、仮想動特性モデルで設定されている摩擦抵抗fが小さいほど速くなる目標速度V*が設定される。また、粘性係数dが小さいほど粘性抵抗(d・V0)が小さくなって速くなる目標速度V*が設定される。また、慣性質量mが小さいほど速くなる目標速度V*が設定される。従って、仮想動特性モデルのパラメータを調整することで、目標速度V*の特性を自在に変更することができる。
また、調整後操作力Fが大きいほど速くなる目標速度V*が設定される。この調整後操作力Fは、操舵トルクから路面反力を減算した力に相当するため、操舵トルクThandが大きくなるほど速くなる目標速度V*が設定され、路面反力Treactが大きくなるほど遅くなる目標速度V*が設定される。
時間積分部114は、算出した目標速度V*[m/s]をモータ20の目標回転角速度ω*[rad/s]に換算する。操舵ハンドル11とモータ20とは、ステアリング機構10を介して連結されているため、操舵ハンドル11の接線方向の速度が決まれば、モータ20の回転角速度も一義的に決まる。この場合、ハンドル半径、減速ギヤのギヤ比を使って、操舵ハンドル11の目標速度V*からモータ20の目標回転角速度ω*を計算することができる。目標回転角速度ω*は、その符号によって回転方向が特定される。時間積分部114は、算出した目標回転角速度ω*をモータ制御部120に出力する。
モータ制御部120は、回転角速度フィードバック制御部121と、電流フィードバック制御部122と、PWM信号発生部123と、実回転角速度演算部124とを備えている。回転角速度フィードバック制御部121は、目標回転角速度演算部110によって演算された目標回転角速度ω*と、実回転角速度演算部124によって演算された実回転角速度ωとを入力し、実回転角速度ωが目標回転角速度ω*に追従するように、つまり、実回転角速度ωと目標回転角速度ω*との偏差(ω−ω*)をゼロに近づけるように、回転角速度のフィードバック制御(例えば、PI制御あるいはPID制御)によってモータ指令トルクを演算し、そのモータ指令トルクをトルク定数で除算することによりモータ指令電流i*(モータ20に通電する目標電流値)を算出する。回転角速度フィードバック制御部121は、算出したモータ指令電流i*を電流フィードバック制御部122に出力する。
実回転角速度ωは、実回転角速度演算部124によって算出される。実回転角速度演算部124は、回転角センサ18により検出される回転角θを時間で微分する(例えば、単位時間当たりの回転角θの変化量を計算する)ことによってモータ20の実回転角速度ωを計算する。
電流フィードバック制御部122は、モータ指令電流i*と、電流センサ19により検出されたモータ実電流iとを入力し、モータ実電流iがモータ指令電流i*に追従するように、つまり、モータ実電流iとモータ指令電流i*との偏差(i−i*)をゼロに近づけるように、電流フィードバック制御(例えば、PI制御あるいはPID制御)によってモータ指令電圧v*を演算する。電流フィードバック制御部122は、算出したモータ指令電圧v*をPWM信号発生部123に出力する。尚、電流フィードバック制御部122は、回転角センサ18により検出される回転角θを電気角に変換し、この電気角に基づいて電流位相を制御する。
PWM信号発生部123は、モータ指令電圧v*に対応したPWM制御信号をモータ駆動回路30の各スイッチング素子に出力する。これによりモータ20にモータ指令電流i*が流れて、モータ20が目標回転角速度ω*で駆動される。
路面反力演算部130は、路面反力推定部131と路面反力調整部132とを備えている。路面反力推定部131は、電流センサ19により検出されるモータ実電流iを入力し、このモータ実電流iから算出されるモータ20の出力トルクをステアリングシャフト回りのトルクに換算した値を計算し、この計算値を推定路面反力Tmotorに設定する。モータ20の出力トルクは、ラックバー14を軸方向に移動させる軸力に変換されて車輪を転舵する。一方、路面反力は、モータ20によって付勢されるラックバー14の移動を妨げるように路面からタイヤを介してラックバーに作用する。従って、モータ20の出力トルクを路面反力としてみなす(推定する)ことができる。尚、路面反力の推定を精度良く行う例については、第3実施形態にて後述する。
この例では、モータ実電流iを使って推定路面反力Tmotorを計算しているが、モータ実電流iとモータ指令電流i*とは、電流フィードバック制御によってほとんど同じ値になるため、モータ実電流iに代えてモータ指令電流i*を使って、推定路面反力Tmotorを計算するようにしてもよい。また、モータ20の出力トルクは、モータ電流にトルク定数を乗算して計算できるものであるため、モータ電流を使って推定路面反力Tmotorを計算することは、モータ20の出力トルクを使って推定路面反力Tmotorを計算することと実質同一である。従って、モータ指令電流i*の計算過程でモータ指令トルクを算出している場合には、モータ指令トルクを使用して推定路面反力Tmotorを計算してもよい。
路面反力推定部131は、算出した推定路面反力Tmotorを路面反力調整部132に出力する。路面反力調整部132は、推定路面反力Tmotorに調整係数αを乗算して、最終的な路面反力Treact(=Tmotor×α)を算出する。この調整係数αは、ドライバーに路面反力を感じさせる程度を設定する反力伝達調整値であり、任意に設定することができる。本実施形態においては、路面反力調整部132は、図3に示す調整係数マップを記憶しており、この調整係数マップを参照して調整係数αを設定する。調整係数マップは、操舵トルクセンサ17によって検出された操舵トルクThandと調整係数αとを関係付けたデータであって、操舵トルクThandの大きさ(絶対値)が大きいほど調整係数αが減少する特性を有する。路面反力調整部132は、算出した路面反力Treactを上述したトルク減算部111に出力する。
目標回転角速度演算部110では、トルク減算部111によって操舵トルクThandから路面反力Treactを減算した調整後トルク(Thand−Treact)を使って、仮想動特性モデルにおける操舵速度(モータ20の目標回転角速度ω*)を演算する。この場合、路面反力Treactが大きいほど、減算トルク(Thand−Treact)が小さくなって調整後操作力Fが減少し、目標回転角速度ω*が減少する。これによりモータ20の回転速度が減少し、ハンドル操作が重くなる。この回転速度の減少によりハンドル操作が重くなる分が、ドライバーにとって路面反力として感じる部分となる。
以上説明した電動パワーステアリング装置によれば、ドライバーの操舵フィーリングを決める仮想動特性モデルを使って目標回転角速度ω*を演算し、実回転角速度ωが目標回転角速度ω*に追従するように、回転角速度のフィードバック制御を行う。このため、ステアリング機構10の機械的抵抗のバラツキを打ち消すことができ、ステアリング機構10の経年変化や製造バラツキに影響されることなく、ドライバーが入力した操舵トルクに対して所望の操舵アシストが得られる。つまり、あたかも仮想動特性モデルのステアリングシステムを操作しているかのような操舵フィーリングが得られる。また、仮想動特性モデルのパラメータを調整するだけで操舵フィーリングを任意に変更することができるためチューニングが容易となる。
この場合、検出された操舵トルクThandをそのまま運動方程式に代入してしまうと、路面反力をドライバーに感じさせることができないが、本実施形態では、路面反力を推定し、推定路面反力が大きいほど操舵トルクThandを少なくするように調整した調整後操舵トルクを使って、目標回転角速度ω*を演算するため、その分だけハンドル操作が重くなり、ドライバーに適度な路面反力を感じさせることができる。また、路面反力は、モータ電流i、モータ指令電流i*、モータ指令トルクの何れかを使って推定されるものであるため、路面反力を検出するセンサ(例えば、ラックバー14に働く軸力を検出するセンサなど)を設ける必要が無く、低コストにて実施することができる。また、調整係数αを任意に設定することができるため、ドライバーに路面反力を感じさせる程度を自由に設定することができる。これにより、よりきめ細かく操舵フィーリングを調整することができる。
また、本実施形態においては、調整係数αを使って操舵トルクが大きくなるにしたがって推定路面反力を小さくし、操舵トルクが小さくなるにしたがって推定路面反力を大きくするように調整している。このため、操舵フィーリングが良好となる。また、操舵トルクが小さい場合は、操舵角も小さい状態となってセルフアライニングトルクが小さくなり、操舵角が中立位置に戻りにくくなるが、操舵トルクが小さいほど調整係数αを大きくしているため、操舵ハンドル11を手の平で滑らせながら良好に中立位置に戻すことができる。
一方、従来の一般的な電動パワーステアリング装置では、操舵トルクと目標アシストトルクとの関係を設定するアシストマップを用いてモータ指令トルクを決めているため、ハンドルの切り始めの低操舵トルク域においては、アシストマップでのアシスト比が低く設定されていることから、モータ指令トルクが僅かとなる。このため、ステアリング機構10の機械抵抗(粘性、摩擦、慣性)のバラツキを打ち消すことができず、そのバラツキがハンドル切り始めの操舵フィーリングにおいて表れてしまう。従って、機械抵抗削減のために、精密な加工や高価な材料が必要となる。また、路面反力がドライバーに伝達される比率は、アシストマップのアシスト比によって決まってしまうため、路面反力の感じ方を調整することは難しい。これらの結果、操舵フィーリングを定量的に調整することが難しい。
これに対して、本実施形態の電動パワーステアリング装置によれば、こうした課題を簡単に解決することができる。
尚、上記実施形態において、さらに、車速Vxに応じて操舵アシストを可変する構成を採用することが好ましい。例えば、仮想モデル記憶部113に記憶される動特性パラメータを車速Vxによって異なる値に設定されるようにすればよい。この場合、仮想モデル記憶部113は、複数の代表的な車速毎に理想の動特性パラメータを設定した仮想動特性モデルを記憶している。そして、仮想モデル記憶部113は、車速センサ21により検出される車速Vxを読み込み、この車速Vxに対応する動特性パラメータを目標加速度演算部112に出力する。動特性パラメータとしては、上記実施形態で用いた慣性m、粘性係数d、摩擦抵抗fのうちの任意のものを車速Vxに応じて変更する(高速時は低速時に比べて動特性パラメータを大きくする)ようにすればよいが、特に、慣性m、摩擦抵抗fを車速によって切り替えることが好ましい。これにより、操舵フィーリングと走行安定性とを一層良好に両立させることができる。
また、路面反力調整部132に記憶されている調整係数αを車速Vxに応じて変更するようにしてもよい。この場合、路面反力調整部132は、複数の代表的な車速毎に設定した調整係数マップを記憶している。そして、路面反力調整部132は、車速センサ21により検出される車速Vxを読み込み、この車速Vxに対応する調整係数マップを選択して路面反力Treact(=Tmotor×α)を算出する。この調整係数マップは、高速時は低速時に比べて調整係数αが大きくなるように設定されているとよい。これにより、操舵フィーリングと走行安定性とを一層良好に両立させることができる。
<アシストECUの第2実施形態>
次に、第2実施形態に係るアシストECU100の機能について説明する。図4は、第2実施形態に係るアシストECU100のマイクロコンピュータのプログラム制御により処理される機能を表す機能ブロック図である。この第2実施形態のアシストECU100は、第1実施形態における目標回転角速度演算部110、モータ制御部120に代えて目標回転角演算部140、モータ制御部150を備えている。以下、第1実施形態と同じ構成については、図面に第1実施形態と共通の符号を付して説明を省略する。
次に、第2実施形態に係るアシストECU100の機能について説明する。図4は、第2実施形態に係るアシストECU100のマイクロコンピュータのプログラム制御により処理される機能を表す機能ブロック図である。この第2実施形態のアシストECU100は、第1実施形態における目標回転角速度演算部110、モータ制御部120に代えて目標回転角演算部140、モータ制御部150を備えている。以下、第1実施形態と同じ構成については、図面に第1実施形態と共通の符号を付して説明を省略する。
目標回転角演算部140は、モータ20の目標回転角θ*を演算する機能部であり、算出した目標回転角θ*をモータ制御部150に出力する。目標回転角演算部140は、第1実施形態と同じ構成であるトルク減算部111、目標加速度演算部112、仮想モデル記憶部113、時間積分部114に加えて、更に、第2時間積分部115を備えている。以下、時間積分部114を、第2時間積分部115と区別するために第1時間積分部114と呼ぶ。
第2時間積分部115は、第1時間積分部114により算出された目標回転角速度ω*を入力し、次式(4)を使って目標回転角θ*を計算する。
θ*=θ0+ω*・Δt ・・・(4)
ここで、θ0は、1演算周期前に演算された目標回転角θ*である。以下、θ0を前回角度と呼ぶ。前回角度θ0の初期値は、目標回転角演算部140が起動したときの回転角センサ18により検出された回転角θとする。
θ*=θ0+ω*・Δt ・・・(4)
ここで、θ0は、1演算周期前に演算された目標回転角θ*である。以下、θ0を前回角度と呼ぶ。前回角度θ0の初期値は、目標回転角演算部140が起動したときの回転角センサ18により検出された回転角θとする。
第2時間積分部115は、式(4)を使って目標回転角θ*を算出する都度、その目標回転角θ*を次回の演算時における前回角度θ0として記憶する(θ0←θ*)。式(4)の右辺第2項のω*・Δtは、1演算周期Δtの間にモータ20を回転させる角度Δθ[rad]を表している。従って、第2時間積分部115は、回転角θの初期値に、1演算周期Δtの間にモータ20を回転させる角度Δθを、所定の演算周期で加算していくことにより、モータ20の目標回転角θ*を演算する。この目標回転角θ*は、仮想動特性モデルにおける操舵ハンドル11の回転角度(回転位置)をモータ20の回転角度(回転位置)に換算したものとなる。第2時間積分部115は、算出した目標回転角θ*をモータ制御部150に出力する。
モータ制御部150は、第1実施形態のモータ制御部120において、回転角速度フィードバック制御部121に代えて回転角フィードバック制御部125を備え、実回転角速度演算部124を省略したものである。回転角フィードバック制御部125は、目標回転角演算部140によって演算された目標回転角θ*と、回転角センサ18によって検出されたモータ20の回転角θ(実回転角θと呼ぶ)とを入力し、実回転角θが目標回転角θ*に追従するように、つまり、実回転角θと目標回転角θ*との偏差(θ−θ*)をゼロに近づけるように、回転角のフィードバック制御(例えば、PI制御あるいはPID制御)によってモータ指令トルクを演算し、そのモータ指令トルクをトルク定数で除算することによりモータ指令電流i*(モータ20に通電する目標電流値)を算出する。回転角フィードバック制御部125は、算出したモータ指令電流i*を電流フィードバック制御部122に出力する。
以上説明した第2実施形態の電動パワーステアリング装置によれば、ドライバーの操舵フィーリングを決める仮想動特性モデルを使って目標回転角θ*を演算し、実回転角θが目標回転角θ*に追従するように、回転角のフィードバック制御を行う。これにより、操舵トルクThandが大きくなるほどモータ20の回転速度が速くなり、路面反力Treactが大きくなるほどモータ20の回転速度が遅くなる。従って、第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
<アシストECUの第3実施形態>
次に、第3実施形態に係るアシストECU100の機能について説明する。図5は、第3実施形態に係るアシストECU100のマイクロコンピュータのプログラム制御により処理される機能を表す機能ブロック図である。この例は、第1実施形態における路面反力演算部130に代えて路面反力演算部160を設けたものであるが、第2実施形態における路面反力演算部130に代えて適用することもできる。
次に、第3実施形態に係るアシストECU100の機能について説明する。図5は、第3実施形態に係るアシストECU100のマイクロコンピュータのプログラム制御により処理される機能を表す機能ブロック図である。この例は、第1実施形態における路面反力演算部130に代えて路面反力演算部160を設けたものであるが、第2実施形態における路面反力演算部130に代えて適用することもできる。
路面反力演算部160は、路面反力推定部161と路面反力調整部162と実機械抵抗記憶部163とを備えている。ステアリングシステムにおける運動方程式は、次式(5)のように表すことができる。
Thand+Tmotor−(f’+d’・ω)−Tin=m’・dω/dt ・・・(5)
ここで、各項は、ステアリングシャフト回りのトルクに換算した値であって、Thandはドライバーの入力した操舵トルク(操舵トルクセンサ17により検出された実測値)、Tmotorはモータ出力トルク、Tinは路面から入力された路面入力トルクである。また、f’、d’、m’は、実機械抵抗記憶部163に記憶されている値であって、ステアリングシステム(モータ20を含めたステアリング機構10)における実際の摩擦抵抗トルク、粘性係数、慣性(回転慣性)を表す。また、ωは、モータ20の回転角速度ω(実測値)をステアリングシャフト12の回転角速度に換算した値を表す。dω/dtは、ωの時間微分値であり角加速度を表す。
Thand+Tmotor−(f’+d’・ω)−Tin=m’・dω/dt ・・・(5)
ここで、各項は、ステアリングシャフト回りのトルクに換算した値であって、Thandはドライバーの入力した操舵トルク(操舵トルクセンサ17により検出された実測値)、Tmotorはモータ出力トルク、Tinは路面から入力された路面入力トルクである。また、f’、d’、m’は、実機械抵抗記憶部163に記憶されている値であって、ステアリングシステム(モータ20を含めたステアリング機構10)における実際の摩擦抵抗トルク、粘性係数、慣性(回転慣性)を表す。また、ωは、モータ20の回転角速度ω(実測値)をステアリングシャフト12の回転角速度に換算した値を表す。dω/dtは、ωの時間微分値であり角加速度を表す。
モータ出力トルクTmotorは、電流センサ19により検出されるモータ実電流iから算出されるモータ20の出力トルクをステアリングシャフト回りのトルクに換算することにより算出することができる。回転角速度ωは、実回転角速度演算部124によって算出された実回転角速度ωをステアリングシャフト回りの回転角速度に変換することにより算出することができる。
実機械抵抗記憶部163は、ステアリングシステムにおける実際の摩擦抵抗トルクf’、粘性係数d’、回転慣性m’を記憶している。尚、「実際の」という表現は、仮想モデルにおける「仮想」に対するものである。従って、値f’、d’、m’は、必ずしも真の値を表しているわけではなく、実機における設計値に相当するものである。
路面反力推定部161は、上記式(5)を使って路面入力トルクTinを算出する。この路面入力トルクTinは推定路面反力に相当するものであるので、以下、路面入力トルクTinを推定路面反力Tinと呼ぶ。
路面反力推定部161は、算出した推定路面反力Tinを路面反力調整部162に出力する。路面反力調整部162は、推定路面反力Tinに調整係数αを乗算して、最終的な路面反力Treact(=Tin×α)を算出する。この調整係数αについては、第1実施形態と同様とするが、任意に設定することができる。路面反力調整部162は、算出した路面反力Treactを上述したトルク減算部111に出力する。
以上説明した第3実施形態によれば、ステアリングシステムにおける実際の摩擦抵抗トルク、粘性係数、慣性(回転慣性)を使って推定路面反力Tinを計算するため、路面反力の推定精度が高くなる。このため、一層適切な路面情報をドライバーに伝達することができる。
以上、本実施形態の電動パワーステアリング装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態では、路面反力を演算により推定しているが、路面反力センサ(例えば、ラックバー14に働く軸力を検出するセンサ)を設けて路面反力を表す情報を取得するようにしてもよい。
また、本実施形態においては、回転角センサ18により検出されたモータ20の回転角θに基づいて操舵角あるいは操舵角速度を検出しているが、これに代えて、操舵角センサあるいは操舵角速度センサを設けて、そのセンサの検出信号により操舵角あるいは操舵角速度を検出するようにしてもよい。
また、本実施形態においては、モータ20の発生するトルクをラックバー14に付与するラックアシスト式の電動パワーステアリング装置について説明したが、モータの発生するトルクをステアリングシャフト12に付与するコラムアシスト式の電動パワーステアリング装置であってもよい。
また、本実施形態においては、仮想モデル記憶部113に記憶される動特性として、慣性特性、粘性特性、摩擦特性を用いているが、必ずしもこの3つに限るものではない。例えば、弾性特性を加えるようにしてもよい。また、任意の特性を除いてもよい。
10…ステアリング機構、11…操舵ハンドル、12…ステアリングシャフト、14…ラックバー、17…操舵トルクセンサ、18…回転角センサ、19…電流センサ、20…モータ、21…車速センサ、30…モータ駆動回路、100…アシストECU、110…目標回転角速度演算部、111…トルク減算部、112…目標加速度演算部、113…仮想モデル記憶部、114,115…時間積分部、120,150…モータ制御部、121…回転角速度フィードバック制御部、122…電流フィードバック制御部、123…PWM信号発生部、124…実回転角速度演算部、125…回転角フィードバック制御部、130,160…路面反力演算部、131,161…路面反力推定部、132,162…路面反力調整部、140…目標回転角演算部、163…実機械抵抗記憶部、d…粘性係数、f…摩擦抵抗、m…慣性、F…調整後操作力、Thand…操舵トルク、Tin…路面入力トルク、Tmotor…モータ出力トルク、Treact…路面反力、α…調整係数、θ…回転角、ω…回転角速度。
Claims (7)
- ステアリング機構に設けられて操舵アシストトルクを発生するモータと、
ドライバーの入力した操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
操舵角あるいは操舵角速度を表す操舵角関連量を検出する操舵角関連量検出手段と、
路面からタイヤを介して前記ステアリング機構に入力される路面反力の情報を取得する路面反力取得手段と、
前記操舵トルクと前記路面反力とに基づいて、目標とする操舵角あるいは操舵角速度を表す目標操舵角関連量を演算する目標操舵角関連量演算手段と、
前記操舵角関連量検出手段により検出される操舵角関連量が、前記目標操舵角関連量に追従するように前記モータを駆動する操舵角関連量フィードバック制御手段と
を備えた電動パワーステアリング装置。 - 前記目標操舵角関連量演算手段は、前記操舵トルクが大きいほど操舵角速度が大きくなり、前記路面反力が大きいほど操舵角速度が小さくなるように前記目標操舵角関連量を演算することを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記目標操舵角関連量演算手段は、
ドライバーの操舵フィーリングを決める仮想の動特性を設定した仮想動特性モデルを記憶した仮想モデル記憶手段と、
前記路面反力が大きいほど操舵トルク検出手段により検出された操舵トルクを少なくするように調整した調整後操舵トルクを演算する調整後操舵トルク演算手段とを備え、
前記仮想動特性モデルと前記調整後操舵トルクとに基づいて、前記目標操舵角関連量を演算することを特徴とする請求項2記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記路面反力取得手段は、前記モータの電流値、あるいは、前記モータの出力トルクに基づいて路面反力の推定値である推定路面反力を演算することを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか一項記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記路面反力取得手段は、実際の電動パワーステアリング装置における実動特性を使って、路面反力の推定値である推定路面反力を演算することを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか一項記載の電動パワーステアリング装置。
- ドライバーに路面反力を感じさせる程度を設定した反力伝達調整値に基づいて前記推定路面反力を調整する推定反力調整手段を備え、
前記目標操舵角関連量演算手段は、前記調整した後の推定路面反力を使って前記目標操舵角関連量を演算することを特徴とする請求項4または5記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記推定反力調整手段は、前記操舵トルク検出手段により検出された操舵トルクが大きくなるにしたがって前記推定路面反力を小さくするように調整することを特徴とする請求項6記載の電動パワーステアリング装置。
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