JP4161707B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動パワーステアリング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来の電動パワーステアリング装置は、図7に示すように、アシストモータ101の上流(ハンドル102側)に、操舵トルクを検出するためのトルクセンサ103を備え、制御部(ECU)104が、トルクセンサ103のトルク検出値に基づいて、モータ101に対する制御を行うものである。
図8に示すように、モータ101の制御においては、センサ103の検出値Tiを基に、トルク−電流マップ(アシストマップ)により、モータ101の目標電流Im *を定め、実際の電流Imが目標電流Im *に近づくように電流フィードバックによりモータ101に付与する電圧を制御するのが基本的な構成となっている。
【0003】
この基本制御を基に、アシスト応答を高めるため、あるいは逆にトルク変動に対して過敏とならないようにするため、種々の背反現象、要改善現象に対して様々な補償ロジックが用いられ、それなりに実用に供する程度にはなっている。
しかし、上記基本制御は、「操舵トルク」に関してオープン制御系であるため、以下の(1)〜(5)のような本質的な課題を有している。
【0004】
(1)トルクセンサ103からタイロッド105間の摩擦によるトルクに対してもアシストが付与され、常にアシストが作用し、中点が不明確となって、直進性が悪化(フラフラ)する。つまり、運転者側からトルクが与えられても、当該トルクが摩擦分よりも小さければ、当該トルクはタイヤ側に作用しないが、トルクセンサ103は当該トルクをも検出してしまうため、不要なアシスト力が発生して、直進性を悪化させる。
【0005】
(2)上記(1)の対策として、アシストマップの中立領域に不感帯を設けて、当該中立領域でアシスト力が発生しないようにすることが考えられるが、摩擦に応じた不感帯を適切に設定することが要求される。つまり、上記摩擦はギヤによるばらつきがあるため、不感帯の設定値が摩擦の総和よりも小さければ課題解決とはならないし、大きければ操舵開始時の応答遅れや操舵フィーリングの不連続感につながる。
(3)しかも、上記不感帯の設定が適切であっても、保舵時のふらつきは解消されないという重大な問題が残る。
(4)また、摩擦要素の多いコラム電動パワーステアリングの場合は、特に不感帯の設定が困難である。
(5)操舵過渡状態では、操舵トルクとセルフアライニングトルク(S.A.T.)との関係が一義的でなく、定常状態に至る(安定する)のに時間を要する(S.A.T.変動時も同様)。したがって、上記(3)の問題を助長する。
【0006】
本発明者は、「操舵トルク」に関してオープン制御系であることに起因する上記課題を解決するため、操舵トルクに関しトルクフィードバック系を構成することに着目した。ここで、理想的なトルクフィードバック系としては、タイヤ側に実際に働いているトルク(又は軸力)を検出し、その検出値が目標トルクに近づくように制御することになるが、モータ101よりも上流側(ハンドル102側)にトルクセンサ103が配置されているシステムにおいて、これを行おうとすると、タイヤに近い位置(モータ101よりも下流側)でトルク(又は軸力)を検出するセンサを別途設ける必要があり、コストアップを招く。
【0007】
また、検出した操舵トルクが目標トルクに追従するように制御するものとして、特許文献1記載のものがある。特許文献1には、従来技術として、操舵角、車速に応じて目標操舵トルクを設定し、操舵トルクと目標操舵トルク及びモータ電流によりアシスト電流指令値を決定してモータを制御する装置(以下、「先行技術1」という)が記載されている(特許文献1段落[0014]参照)。
また、特許文献1では、上記先行技術1は、路面反力の低下に対して安定したフィーリングの提供が可能であると指摘されている(特許文献1段落[0015]参照)。
【0008】
しかし、特許文献1では、上記先行技術1は、路面反力が変化しても目標操舵トルクは車速と操舵角に対して一義的に決まって制御されるため、例えば路面反力が低い凍結路を走行しても乾燥アスファルト路を走行している場合と同じような操舵フィーリングとなるなど、路面情報が運転者に伝わらない(伝わりにくい)ため、不自然な操舵フィーリングとなるという問題点も指摘されている(特許文献1段落[0016]〜[0018]参照)。
【0009】
そこで、特許文献1では、目標トルクに関し、モータ電流値に基づいてあるいはモータ電流値と操舵トルクに基づいて路面の反力を推定する手段を備えておき、入力した操舵角、車速、及び推定した路面の反力に基づいて目標トルクを設定する技術(以下、「先行技術2」という)が提案されている(特許文献1特許請求の範囲参照)。
【0010】
ところが、先行技術2では、「路面反力」の変化に影響されない操舵フィーリングを実現させるために目標操舵トルクを操舵角及び車速に基づいて決めるという先行技術1における基本原理を踏襲した上で、不自然な操舵フィーリングを避けるために目標操舵トルクを設定する際に「路面反力」を考慮するという手法を採用しているため、目標操舵トルクを設定するための構成が非常に複雑化している。
【0011】
本発明は、先行技術1及び先行技術2における基本原理(目標操舵トルクを操舵角及び車速に基づいて決める)を採用することなく、新たな技術的手段により、簡単な構成でトルクフィードバック系を構成しようとするものである。
すなわち、本発明の課題は、簡単な構成で、トルクフィードバック系を構成することにある。
【0012】
【特許文献1】
特開2002−160653号公報
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、操舵部材から操向車輪に至る操舵機構の途中に備わってアシストトルクを与えるモータと、当該モータよりも前記操舵部材側で操舵トルクを検出するトルクセンサと、生成された目標操舵トルクと前記トルクセンサの検出トルクとの偏差に基づいて前記モータを制御する手段と、を備えた電動パワーステアリング装置であり、生成された目標操舵トルクとトルクセンサの検出トルクとの偏差に基づいてモータを制御することで、操舵トルクに関するトルクフィードバック系が形成されている。
【0014】
さらに本発明では、前記目標操舵トルクを決定するために、出力側トルクを、前記検出トルク及び前記アシストトルクの和として算出する手段と、前記出力側トルクに対応する前記目標操舵トルクを予め規定した出力側トルク−目標操舵トルク関係情報に基づいて、前記出力側トルクから前記目標操舵トルクを求める手段と、を備えている。このように、出力側トルクを算出することで、センサ等で直接検出することなく、タイヤ側に与えられる軸力に対応するトルク(の近似値)を得ることができる。しかも、本発明では、出力側トルクに対応する目標操舵トルクが出力側トルク−目標操舵トルク関係情報によって予め規定されており、出力側トルクが算出されれば、簡単に目標操舵トルクを決定することができる。ここで、「出力側トルク−目標操舵トルク関係情報」は、両者の対応関係を一義的に規定したマップデータや、両者の対応関係を一義的に規定する関数式として、具体化できる。
【0015】
なお、前記先行技術2においても、目標操舵トルクを決定するための要素として、操舵トルク(本発明における検出トルク)とモータトルク(本発明におけるアシストトルク)を用いている(特許文献1段落[0038]〜[0041]参照)。
しかし、先行技術2では、前述のように、目標操舵トルクを操舵角及び車速に基づいて決めることを基本原理としており、これを採用しない本発明とは根本的に異なっている。先行技術2では、前記基本原理を踏襲した上で、路面反力(路面摩擦係数)を推定するために操舵トルク及びモータトルクを用いているため、目標操舵トルクの求め方が非常に複雑化している。
これに対し、本発明では、検出トルク及びアシストトルクに基づいて車輪側に作用する出力側トルクを算出しておき、当該出力側トルクから出力側トルク−目標操舵トルク関係情報によって目標操舵トルクを一義的に決定できるため、出力側トルクを算出できれば、簡単に目標操舵トルクを決定することができる。
【0016】
本発明の出力側トルクの求め方は、出力側トルクを前記検出トルク及びアシストトルクの和として算出することができる。すなわち、出力側トルクをTo、検出トルクをTi、モータアシストトルクをTaとすると、To=Ti+Taとして表される。
なお、モータのアシストトルクは、例えば、モータ電流とモータトルク定数とから求めることができ、この場合、モータ電流を検出すればアシストトルクを得ることができる。すなわち、モータ電流をIm、モータのトルク定数をKtとすると、Ta=Kt・Imとなる。したがって、To=Ti+Kt・Imである。
【0017】
また、検出トルク及びアシストトルクだけでは、速い切り返し操舵のような動的状態(系のダイナミクス(慣性又は粘性)の影響を受ける状態)が考慮されない。例えば、操舵部材(ハンドル)を切り込んでいく途中は、検出トルクには粘性分が加算されるため当該検出トルクは静的な値よりも大きくなり(検出トルクに粘性分のトルクが含まれている)、出力側トルクは検出トルクに基づいて算出されるため、出力側トルクも大きくなる。この結果、大きな出力側トルクによって目標操舵トルクが求められるため、目標操舵トルクが、想定している値よりも高く設定されてしまい、操舵部材から入力すべき操舵トルクが大きくなり操舵が重くなる。
また、切り返しの瞬間には、検出トルクに慣性分が加算されるため当該検出トルクは静的な値よりも大きくなり(検出トルクに慣性分のトルクが含まれている)、目標操舵トルクが、想定している値よりも高く設定されてしまい、操舵部材から入力すべき操舵トルクが大きくなり操舵が重くなる。
【0018】
そこで、出力側トルクは、検出トルク及びアシストトルクの和に、系の慣性及び/又は粘性による影響を考慮して、当該影響が除外されるように算出するのが好ましい。慣性による影響(慣性分のトルク)は、例えば、切り返しの瞬間に生じ、操舵系の慣性と操舵角加速度とから求めることができ、粘性による影響(粘性分のトルク)は、例えば、切り込んで行く途中に生じ、操舵系の粘性と操舵角速度とから求めることができる。
【0019】
前記出力側トルクを算出するためには、各種検出値(例えば、上記の検出トルク、モータ電流、操舵角加速度、操舵角速度等)が必要となるが、これらの検出値が経時的なオフセット・ゲイン変動等によって変動した場合、これらに基づいて算出される出力側トルクも変動し、ひいては目標操舵トルクも変動する。
そこで、算出された前記出力側トルクを、車両挙動状態に基づいて補正する手段を備え、補正された出力側トルクによって前記目標操舵トルクを求めることによって、出力側トルクの変動を補償した状態で目標操舵トルクを求めることができる。ここで、車両挙動状態としては、横加速度、ヨーレート、横すべり角等を用いることができる。
【0020】
出力側トルクを補正するには、例えば、希望特性としての「車両挙動状態に対する出力側トルクの比」を予め規定しておき、実際の「車両挙動状態に対する出力側トルクの比」と比較して、補正係数を求め、当該補正係数によって補正出力側トルクを求めることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、車両における電動パワーステアリング装置1の概略構成を示しており、この電動パワーステアリング装置1は、操舵部材(ハンドル)2から操向車輪3に至る操舵機構4を備えている。操舵機構4は、操舵部材2に連結された操舵軸5を備え、操舵軸5の回転は、ラックピニオン伝達機構6によって左右方向の直線運動に変換され、左右のタイロッド7を介して操向車輪3が転舵される。
【0022】
操舵軸5には、その軸方向中途位置に、操舵トルクと操舵角を検出するトルク・回転角センサ10が備えられており、操舵軸5は、センサ10よりも上流側(操舵部材2側)が入力軸5aとされ、センサ10よりも下流側が出力軸5bとされている。センサ10は、前記入力軸5aと出力軸5bとの間に介在したトーションバー(図示省略)の捩れによる入力軸5aと出力軸5bとの相対角度差に基づいて、操舵トルク(検出トルク)Tiを検出する。また、センサ10は操舵軸5の回転角を操舵角δとして検出することもできる。
センサ10の下流側である出力軸5bには、操舵補助力(アシストトルクTa)を与える電動モータ11が備わっており、操舵部材2からの入力にアシストトルクが加えられて操向車輪に軸力Fが与えられる。
【0023】
モータ11は、制御部(ECU)12によって制御される。図2に示すように、モータ11は、当該モータ11を流れる電流の検出値(モータ電流)Imが、目標電流値Im *に近づくように電流フィードバックによりモータ11に付与する電圧が制御されることによって、必要なモータアシストトルクTaを発生する。
電流フィードバックのための目標電流値Im *は、目標操舵トルクTi *と検出トルク(操舵トルク)Tiとの偏差を基に決定される。すなわち、制御部12ではトルクフィードバック系が構成されている。目標電流Im *は、例えば、Im *=Kp(Ti *−Ti)+Ki∫(Ti *−Ti)dtの式に基づいて決定できる。このようなトルクフィードバック系を構成することで、トルクに関してオープン制御であることに起因する課題を解消することができる。
【0024】
トルクフィードバックのための目標操舵トルクTi *は、操向車輪3側に作用する力(トルク)に基づいて決定される。具体的には、図3に示すように、操向車輪3に作用する軸力Fに相当する出力軸側トルク(単に「出力側トルク」という場合もある)Toに基づいて決定される。モータ11制御に出力側トルクToに基づくフィードバックを行ってモータ11を制御することで、適切な制御が行われる。
【0025】
制御部12は、出力側トルクToに対応する目標操舵トルクTi *を予め規定した「出力側トルク−目標操舵トルク関係情報」13を備えている。具体的には、出力側トルク値Toに対応する目標操舵トルク値Ti *が出力トルク値To毎に規定された「出力側トルクTo−目標操舵トルクTi *関係マップデータ」13である。出力側トルクToが決まれば、このマップデータ13によって、一義的に目標操舵トルクTi *が決まるようになっている。「出力側トルク−目標操舵トルク関係情報」として、マップデータ13のような形式をとることで、データ量が多くなるものの、出力側トルクToに対する目標操舵トルクTi *の関係が非線形である場合など、演算で求めると複雑な場合であっても容易に対応でき、目標操舵トルクTi *を適切に決定できる。
なお、目標操舵トルクTi *は、出力側トルクToの何%であるというように、両者が簡単な関係にある場合には、マップデータ13に代えて、当該関係を示す関数を「出力側トルク−目標操舵トルク関係情報」とすることができる。
【0026】
図4は、マップデータ13の一例を示しており、出力側トルクToが小さいときには、アシストトルクTaがほとんど発生しないようにし、出力側トルクToが所定値よりも大きくなったときに、所定のアシストトルクTaを発生するようにしたものである。図4では、実線で示す目標操舵トルクTi *に対する検出トルクTiの変動幅を点線で示している。実際の検出トルクTiは、操舵機構4の機械系摩擦による摩擦トルクTfによる変動が含まれたものとなっており、この検出トルクTiと目標操舵トルクTi *の偏差に基づいてモータ11制御が行われる。
【0027】
出力側トルクToは、操舵機構4における車輪3の近傍で軸力Fをセンサによって直接検出することによって求めることもできるが、本発明では、演算によって求めているため、そのようなセンサが不要である。具体的には、出力側トルクToは、図3に示すように、モータ11よりも上流側にあるトルクセンサ10で検出された検出トルクTiを利用し、さらにモータ電流Imを用いて求めることができる。すなわち、車輪3に作用する軸力に相当する出力側トルクToは、検出トルクTiとモータアシストトルクTaの和に等しい。そして、モータアシストトルクTaは、モータ電流Imとモータのトルク定数Ktとから、Ta=Kt・Imとして求めることができる。
【0028】
結局、出力側トルクToは、次の式(a)に基づいて求めることができる。
To=Ti+Ta=Ti+Kt・Im ……(a)
【0029】
以上のように、出力側トルクToを直接検出することなく、演算によって求め、当該出力側トルクToからマップ13に基づいて目標操舵トルクTi *を求めることで、トルクフィードバックによるモータ制御を行うことができる。
【0030】
図5は、出力側トルクToを求めるための他の例を示している。図3の例では、静的状態しか考慮されていないが、図5の例では、速い切り返しのような動的状態を考慮したものである。ここでは、系のダイナミクス(慣性、粘性)を考慮して、出力側トルクToを算出している。トーションバーよりも下流側の慣性(操舵系バネ下慣性)をJ、トーションバーよりも下流側の粘性(操舵系バネ下粘性)をCとし、さらに、操舵角速度をδ’、操舵角加速度をδ”とすると、慣性トルクはJδ”であり、粘性トルクはCδ’であるから、これらを考慮した出力側トルクは、次の式(b)に基づいて求めることができる。
To=Ti+Kt・Im+(Jδ”−Cδ’) ……(b)
なお、操舵角速度δ’及び操舵角加速度δ”は、操舵角δから演算によって求めることができる。
以上のようにして、出力側トルクToが求まれば、図3の例と同様に、目標操舵トルクTi *を決定することができる。ここでは、動的状態を考慮して出力側トルクToを決めているため、ハンドル2を切り込んでいく途中や切り返しの瞬間にも適切な操舵感が得られる。
【0031】
図6は、出力側トルクToを求めるための更なる他の例を示している。
出力側トルクToを求めるための基礎となるデータ(検出トルクTi、操舵角δ、モータ電流Im)などがオフセット・ゲイン変動等によって経時的に変化した場合、これを補正しなければ、適切に目標操舵トルクTi *を決定することができない。
【0032】
補正を行うための補正係数として、本例では、車両の定常旋回状態にあるときの車両挙動状態値を利用している。すなわち、制御部12は、車両挙動状態値としての横加速度Gyと、出力側トルクToの関係についての希望特性データ15を有している。以下では、希望特性を得るためのTo/Gyの値を(To */Gy *)として表す。
【0033】
出力側トルクToを求めるための基礎データが変化したときのTo/Gyの値を(To’/Gy’)とすると、補正係数γは次の式(c)に基づいて求めることができる。なお、To’は補正前の出力側トルクであり、Gy’は車両が定常旋回状態にあるときの検出された横加速度である。
γ=(To */Gy *)/(To’/Gy’) ……(c)
【0034】
したがって、補正された出力側トルクToは、次の式(d)に基づいて求めることができる。
To=γ・To’ ……(d)
よって、(To’/Gy’)が希望特性(To */Gy *)と一致しない場合であっても、車両の定常旋回時にあるときに、出力側トルクが適切に補正される。
【0035】
そして、補正出力側トルクToが求まると、図3の例と同様に、マップ13によって目標操舵トルクTi *が適切に求まる。
なお、図6では、補正係数γ演算機能を補正係数演算部16として示し、補正係数γに基づいて出力側トルクTo’を補正する機能を補正部17として示している。
また、(To’/Gy’)や(To */Gy *)は、出力側トルクと横加速度(車両挙動状態)との関係が規定されているものであればよく、具体的な値としては、(Gy’/To’)や(Gy */To *)であってもよい。さらに、車両挙動状態としては、横加速度に限らず、ヨーレート等であってもよい。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、電動パワーステアリング装置におけるトルクフィードバック系を簡単に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電動パワーステアリングの概略構成図である。
【図2】制御部における制御(目標操舵トルクTi *とトルクセンサの検出トルクTiとの偏差に基づくモータ制御)を示すブロック線図である。
【図3】目標操舵トルクの演算方式を示すブロック図である。
【図4】To−Ti *マップに相当するTo−Ti *関係図である。
【図5】目標操舵トルクの演算方式の他の例を示すブロック図である。
【図6】目標操舵トルクの演算方式のさらに他の例を示すブロック図である。
【図7】従来の電動パワーステアリング装置の概略構成図である。
【図8】従来の制御部における制御を示すブロック線図である。
【符号の説明】
1 電動パワーステアリング装置
2 操舵部材
3 操向車輪
4 操舵機構
10 トルク・回転角センサ(トルクセンサ)
11 電動モータ
13 To−Ti *マップ(出力側トルク−目標操舵トルク関係情報)
14 出力側トルク算出部(出力側トルクを算出する手段)
Ti 検出トルク(操舵トルク)
Ti * 目標操舵トルク
Ta モータアシストトルク
To 出力軸側トルク(出力側トルク)
Im モータ電流
Im * 目標電流
Claims (4)
- 操舵部材から操向車輪に至る操舵機構の途中に備わってアシストトルクを与えるモータと、
当該モータよりも前記操舵部材側で操舵トルクを検出するトルクセンサと、
生成された目標操舵トルクと前記トルクセンサの検出トルクとの偏差に基づいて前記モータを制御する手段と、
を備えて、操舵トルクに関するトルクフィードバック系が形成された電動パワーステアリング装置において、
前記目標操舵トルクを決定するために、出力側トルクを前記検出トルク及び前記アシストトルクの和として算出する手段と、
前記出力側トルクに対応する前記目標操舵トルクを予め規定した出力側トルク−目標操舵トルク関係情報に基づいて、前記出力側トルクから前記目標操舵トルクを求める手段と、を備えている
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記出力側トルクは、前記検出トルク及び前記アシストトルクの和に、系の慣性及び/又は粘性による影響を除外して算出されることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
- 算出された前記出力側トルクを、車両挙動状態に基づいて補正する手段を備え、補正された出力側トルクによって前記目標操舵トルクが求められることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記補正する手段は、予め規定した希望特性としての車両挙動状態に対する出力側トルクの比と、実際の車両挙動状態に対する出力側トルクの比とを比較して、補正係数を求め、当該補正係数によって前記出力側トルクを補正することを特徴とする請求項3に記載の電動パワーステアリング装置。
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