JP5479331B2 - JANUSキナーゼ阻害剤(R)−3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−シクロペンチルプロパンニトリルの有効な代謝体 - Google Patents

JANUSキナーゼ阻害剤(R)−3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−シクロペンチルプロパンニトリルの有効な代謝体 Download PDF

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Description

本発明は、Janus キナーゼの活性を調節し、Janus キナーゼの活性に関連する疾患、例えば、免疫関連疾患、皮膚障害、骨髄増殖性障害、癌、およびその他の疾患の処置に有用な(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルの活性な代謝体を提供する。
タンパク質キナーゼ(PK)は、多様な重要な生物学的過程、例えば特に細胞増殖、生存および分化、器官形成および形態形成、血管新生、組織修復および再生を制御する酵素の一群である。タンパク質キナーゼは、タンパク質(即ち基質)のリン酸化の触媒を介してその生理機能を発揮し、それによって様々な生物学的状況において基質の細胞活性を調節する。正常な組織/器官における機能に加えて、多くのタンパク質キナーゼは、癌を含むヒト疾患の宿主においてより特化した役割も果たしている。タンパク質キナーゼのサブセット(発癌性タンパク質キナーゼとも称される)は、制御を失うと、腫瘍形成および増殖を引き起こし得、さらに腫瘍維持および進行に関与する(Blume-Jensen P et al、Nature 2001、411(6835):355-365)。これまで、発癌性タンパク質キナーゼは、癌介入および創薬のためのもっとも大きく、もっとも魅力的なタンパク質標的の群を表している。
Janus キナーゼ(JAK)ファミリーは増殖および免疫応答に関与する細胞の機能のサイトカイン-依存的制御において役割を果たしている。現在、4つの既知の哺乳類 JAK ファミリーメンバーが存在する: JAKl (Janus キナーゼ- 1としても知られる)、JAK2 (Janus キナーゼ-2としても知られる)、JAK3 (Janus キナーゼ、白血球; JAKL; L-JAKおよびJanus キナーゼ-3としても知られる)およびTYK2 (タンパク質-チロシンキナーゼ 2としても知られる)。JAK タンパク質はサイズが120〜140 kDaの範囲であり、7つの保存されたJAK ホモロジー (JH) ドメインを含む; それらの1つは機能的触媒キナーゼドメインであり、もう1つは制御機能を果たす可能性がある、および/または、STATのためのドッキング部位として作用する可能性がある偽キナーゼドメインである(Scott、Godshall et al. 2002、前掲)。
JAKキナーゼのレベルでシグナル伝達を遮断することは、ヒトの癌ついての処置の開発に有望である。また、JAK キナーゼの阻害は、皮膚免疫疾患、例えば乾癬および皮膚感作に罹患している患者において治療効果を示すと想定される。従って、Janus キナーゼまたは関連キナーゼの阻害剤が広く探索されており、いくつかの刊行物では、有効な化合物のクラスが報告されている。例えば、下記に示した(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルに関する特定のJAK阻害剤が、2006年12月12日提出の米国出願番号11/637,545に報告されている。
Figure 0005479331
即ち、Janus キナーゼ等のキナーゼを阻害する新規または改善された薬剤は、癌および他の疾患の処置のために、新規の、より有効な医薬製剤を開発することが求められている。本明細書に記載する代謝体、組成物および方法は、これらの必要性およびその他の目的に関して為される。
本発明の要約
本発明は、下記の群から選択される化合物またはその医薬上許容される塩を提供する:
3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-(3-ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-(2-ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;および
3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-(3-オキソシクロペンチル)プロパンニトリル。
本発明は、実質的に単離された形態にある1以上の上記化合物またはその医薬上許容される塩をさらに提供する。
本発明は、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩および少なくとも1つの医薬上許容される担体を含む組成物をさらに提供する。
本発明は、JAKと、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩とを接触させることを含む、JAKの活性を調節する方法をさらに提供する。
本発明は、治療上有効量の本発明の化合物またはその医薬上許容される塩を患者に投与することを含む、患者における疾患を処置する方法をさらに提供する。
本発明は、治療によりヒトまたは動物の身体の処置方法に使用するための本発明の化合物またはその医薬上許容される塩をさらに提供する。
本発明は、本明細書に記載した1以上の疾患の処置方法に使用するための本発明の化合物またはその医薬上許容される塩をさらに提供する。
本発明はさらに、本明細書に記載した1以上の疾患の処置方法に使用するための医薬品製造における、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩の使用をさらに提供する。
発明の詳細な説明
(詳細な説明)
本発明は、とりわけ、JAK 阻害剤(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルの活性な代謝体である化合物を提供する。これらの代謝体は、1以上のJAKの活性を調節し、そして例えば、JAK発現または活性と関連のある疾患の処置に有用である。本発明の代謝体を下記表1に示す。該構造には、全ての立体異性体が含まれることが意図される。
Figure 0005479331
本発明の代謝体を、JAK 阻害剤(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリル (化合物 1)の薬物動力学的および毒物動態学試験から収集したラットまたはイヌの尿サンプルから単離した。表2に示し、実施例Aに詳細に記述したとおり、該代謝体は有効かつ強力なJAK 阻害剤であり、化合物1と比較して、ヒトミクロソーム内で有意に高い遊離画分および有意に高い代謝安定性に関連する有利な特性をもつ。このデータから、本願代謝体は、化合物1が為すよりも、ヒトにおいてより長い所望の排除半減期を有し得ることが示唆される。
ある態様において、本発明の代謝体は、実質的に単離されている。「実質的に単離」とは、化合物が少なくとも部分的または実質的にそれが形成または検出された環境から分離されていることを意味する。部分的分離には、例えば、本発明の化合物に富む組成物が含まれうる。実質的分離とは、少なくとも 約 50重量%、少なくとも 約 60重量%、少なくとも 約 70重量%、少なくとも 約 80重量%、少なくとも 約 90重量%、少なくとも 約 95重量%、少なくとも 約 97重量%、または少なくとも 約 99重量%の本発明の代謝体を含む組成物を含み得る。
本発明はまた、本明細書に記載する化合物の医薬上許容される塩も含む。本明細書において用いる場合、「医薬上許容される塩」は、開示された化合物の誘導体であって、親化合物が存在する酸または塩基部分をその塩形態に変換することによって修飾されたものである。医薬上許容される塩の例としては、これらに限定されないが、塩基性残基、例えば、アミンの鉱酸または有機酸塩;酸性残基、例えば、カルボン酸のアルカリまたは有機塩;等が挙げられる。本発明の医薬上許容される塩には、例えば、非毒性無機または有機酸から形成される、親化合物の常套の非毒性塩が含まれる。本発明の医薬上許容される塩は、塩基性または酸性部分を有する親化合物から常套の化学的方法によって合成することが出来る。一般に、かかる塩はこれら化合物の遊離酸または塩基形態と、化学量論の、水または有機溶媒、あるいはそれらの混合物中の適当な塩基または酸とを反応させることによって製造できる; 一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルなどの非水性媒体が好ましい。好適な塩の例は、Remington’s Phermaceutical Sciences、17th ed.、Mack Publishing Company、Easton、Pa.、1985、p. 1418およびJournal of Phermaceutical Sciences、66、2 (1977)に記載されており、そのそれぞれは、その全体を引用により本明細書に含める。
本明細書において用いられる「医薬上許容される」という表現は、通常の医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、またはその他の問題または合併症がなく、適切な利益/危険比に見合う、ヒトおよび動物の組織と接触させて使用するのに好適である、化合物、物質、組成物および/または剤形をいう。
該代謝体は不斉であってもよい(例えば、1以上の立体中心を有する)。すべての立体異性体、例えば、エナンチオマーおよびジアステレオマーは特に断りのない限り含まれる。光学活性形態を光学活性出発物質から製造する方法は当該技術分野において知られており、例えば、ラセミ混合物の分割または立体選択的合成によって製造される。
本発明の化合物は、該代謝体に生じるすべての原子の同位体も含みうる。同位体には、同じ原子番号であるが、質量数が異なる原子が含まれる。例えば、水素の同位体にはトリチウムおよび重水素が含まれる。
本明細書において用いる場合、「化合物」という語は、示された構造のすべての立体異性体、幾何異性体、互変異性体および同位体を含む意味である。
合成
その塩を含む本発明の化合物は、公知の有機合成技術を用いて製造することができ、多数の可能な合成経路のいずれかにしたがって合成することが出来る。
本発明の化合物の製造反応は有機合成の当業者によって容易に選択できる好適な溶媒中で行うとよい。好適な溶媒とは、反応が行われる温度で、例えば溶媒の凍結温度から溶媒の沸点までの範囲であり得る温度で、出発物質 (反応物)、中間体または生成物と実質的に反応しないものであろう。所与の反応は1つの溶媒または2以上の溶媒混合物中で行うことが出来る。特定の反応工程に応じて、当業者は特定の反応工程に好適な溶媒を選択できる。
本発明の化合物の製造は、様々な化学基の保護および脱保護を伴いうる。保護および脱保護、そして適当な保護基の選択の必要は当業者に容易に決定されうる。保護基の化学は、例えば、T.W.Green and P.G.M.Wuts、Protective Group in Organic Chemistry、3rd. Ed.、Wiley & Sons、Inc, New York(1999)にみられ、その全体を引用により本明細書に含める。
反応は当該技術分野において公知のいずれの好適な方法によってもモニターできる。例えば、生成物形成は、分光学的手段、例えば、核磁気共鳴分光法 (例えば、1H または13C)、赤外分光法、分光光度法 (例えば、UV-可視光)、または質量分析によってモニターしてもよいし、クロマトグラフィー、例えば高速液体クロマトグラフィー (HPLC)または薄層クロマトグラフィーによってモニターしてもよい。
本発明の化合物は文献に公知の多数の製造経路にしたがって製造できる。本発明の化合物を製造する例示的な合成方法を以下のスキームに記載する。
スキーム1に示したとおり、シスアルコールIのジアステレオマー混合物の合成を、シクロペンテンカルボン酸1にて開始する。シクロペンテンカルボン酸1を、先に記載した方法にしたがって(Hodgson、David M.; Witherington、Jason; Moloney、Brian A.、Journal of the Chemical Society、Perkin Transactions 1: Organic and Bio-Organic Chemistry, 1994, 23, 3950)ブロモラクトン化し、対応するブロモラクトン2を得る。該ブロモラクトン2を、脱ハロゲン化剤、例えば(Me3Si)3SiHの使用により脱臭素化して3を得た。ラクトン3を、対応するヘミケタールに、還元剤、例えばDIBAL-Hの使用により還元した;形成したヘミケタールを、イリド3aを用いて直接処置し、クロトニトリル誘導体4を得た。次いで、ニトリル4を、塩基、例えばDBUの存在下でピラゾール5と反応させて、ジアステレオマー混合物として6を得た。これを、SEM基の除去後にアルコールIに変換した。この混合物(I)の個々の立体異性体を、キラルクロマトグラフィーにより分割し、エナンチオマー純粋なアルコール(4つの全立体異性体)を得た。

スキーム1
Figure 0005479331
スキーム2に示したとおり、トランスアルコールIIの合成を、アルコール6のジアステレオマー混合物にて開始する。アルコール6のジアステレオマー混合物を、Mitsunobu 条件下に安息香酸を用いて処理し、完全な変換にてトランス安息香酸エステル7の混合物を得た。安息香酸エステル7の混合物を、塩基、例えばLiOHを用いる処理により水素化して、トランスアルコール8の混合物を得た。次いで、アルコール8内のSEM基を除去し、トランスアルコールIIのジアステレオマー混合物を得て、これをキラルクロマトグラフィーにより分割し、個々の立体異性体(4つの全立体異性体)を得た。
スキーム2
Figure 0005479331
ケトンIIIの合成をスキーム3に記載した。シスアルコール6の混合物を、Swern条件下で酸化し、対応するケトン9の混合物を得た。ケトン9にあるSEM基を除去し、ケトンIIIの混合物を得て、これをキラルクロマトグラフィーにより分割し、個々の立体異性体(4つの全立体異性体)を得た。
スキーム3
Figure 0005479331
方法
本発明の化合物は、1以上のJanus キナーゼ(JAK)の活性を調節することができる。「調節する」という用語は、JAK ファミリーのキナーゼの1以上のメンバーの活性を上昇または低下させる能力を意味する。したがって、本発明の化合物はJAKと本明細書に記載する1以上の化合物または組成物とを接触させることによりJAKを調節する方法に利用できる。ある態様において、本発明の化合物は1以上の JAKの阻害剤として作用しうる。ある態様において、本発明の化合物は1以上の JAKの活性を刺激するよう作用しうる。さらなる態様において、本発明の化合物は、調節する量の本発明の化合物を投与することにより受容体の調節を必要とする個体においてJAKの活性を調節するのに用いることが出来る。
本発明の化合物が結合および/または調節するJAKにはJAK ファミリーのあらゆるメンバーが含まれる。ある態様において、JAKは、JAKl、JAK2、JAK3またはTYK2である。ある態様において、JAKはJAKlまたはJAK2である。ある態様において、JAKはJAK2である。ある態様において、JAK はJAK3である。
本発明の化合物は選択的であり得る。「選択的」とは、化合物が少なくとも1つのその他のJAKと比較してそれぞれより強い親和性または強度でJAKに結合または阻害することを意味する。ある態様において、本発明の化合物は、JAK3および/またはTYK2よりもJAKlまたはJAK2に選択的な阻害剤である。ある態様において、本発明の化合物はJAK2に選択的な阻害剤である(例えば、JAKl、JAK3 およびTYK2と比べて)。理論に拘束される意図はないが、JAK3の阻害剤は免疫抑制効果を導きうるため、JAK3よりもJAK2に選択的であって癌(例えば、多発性骨髄腫)の処置に有用な化合物は免疫抑制性副作用がより少ないというさらなる利点を提供できる。選択性は少なくとも約 5-倍、10-倍、少なくとも約 20-倍、少なくとも約 50-倍、少なくとも約 100-倍、少なくとも約 200-倍、少なくとも約 500-倍または少なくとも約 1000-倍であり得る。選択性は当該技術分野において常套の方法によって測定することができる。ある態様において、選択性は各酵素のKmにて試験することが出来る。ある態様において、本発明の化合物のJAK3に比べてJAK2への選択性は細胞内ATP濃度によって判定することが出来る。
本発明の別の側面は、治療上有効量または有効用量の本発明の化合物またはその医薬組成物を処置を必要とする個体 に投与することによる個体 (例えば、患者)におけるJAK- 関連疾患または障害の処置方法に関する。JAK- 関連疾患はJAKの発現または活性、例えば過剰発現および/または異常活性レベルに直接的または間接的に関連しているあらゆる疾患、障害または症状を含みうる。JAK-関連疾患はまたJAK 活性を調節することにより予防、寛解または治癒されうるあらゆる疾患、障害または症状も含みうる。
JAK-関連疾患の例としては、免疫系に関する疾患、例えば、臓器移植拒絶(例えば同種移植片拒絶および移植片対宿主病) が挙げられる。
JAK-関連疾患のさらなる例としては、自己免疫疾患、例えば、多発性硬化症、関節リウマチ、若年性関節炎、I型糖尿病、狼瘡、乾癬、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、重症筋無力症、免疫グロブリン腎症、自己免疫甲状腺障害等が挙げられる。ある態様において、自己免疫疾患は、自己免疫水疱性皮膚障害、例えば、尋常性天疱瘡 (PV)または水疱性類天疱瘡 (BP)である。
JAK-関連疾患のさらなる例としては、アレルギー症状、例えば、喘息、食品アレルギー、アトピー性皮膚炎および鼻炎が挙げられる。JAK- 関連疾患のさらなる例としては、ウイルス性疾患、例えば、エプスタイン・バーウイルス (EBV)、B型肝炎、C型肝炎、HIV、HTLV I、水痘帯状疱疹ウイルス (VZV)およびヒト パピローマウイルス (HPV)による疾患が挙げられる。
JAK-関連疾患または症状のさらなる例としては、皮膚障害、例えば乾癬(例えば、尋常性乾癬)、アトピー性皮膚炎、発疹、皮膚刺激、皮膚感作 (例えば、接触性皮膚炎 またはアレルギー性接触性皮膚炎) が挙げられる。例えば、医薬を含む特定の物質は、局所投与されると、皮膚感作を引き起こしうる。ある態様において、少なくとも1つの本発明のJAK 阻害剤と、望ましくない感作を引き起こす薬剤との共投与または逐次投与は、かかる望ましくない感作または皮膚炎の処置に有用であり得る。ある態様において、皮膚障害は、少なくとも1つの本発明のJAK 阻害剤の局所投与により処置される。
さらなる態様において、JAK-関連疾患は、固形腫瘍 (例えば、前立腺癌、腎臓癌、肝臓癌、膵臓癌、胃癌、乳癌、肺癌、頭頸部癌、甲状腺癌、神経膠芽腫、カポジ肉腫、キャッスルマン疾患、黒色腫等)、血液癌(例えば、リンパ腫、白血病、例えば 急性リンパ芽球性白血病、急性の骨髄性白血病(AML)または多発性骨髄腫)、および皮膚癌(例えば、皮膚 T-細胞リンパ腫 (CTCL)および皮膚 B-細胞リンパ腫)を特徴とするものを含む癌である。皮膚 T-細胞リンパ腫の例としては、セザリー症候群および菌状息肉腫が含まれる。
JAK-関連疾患にはさらに、突然変異体 JAK2、例えば、 偽-キナーゼドメインに少なくとも1つの突然変異を有するもの(例えば、JAK2V617F)の発現を特徴とするものも含まれる。
JAK-関連疾患はさらに、骨髄増殖性疾患(MPD)、例えば、真性多血症(PV)、本態性血小板血症 (ET)、骨髄線維症(myeloid metaplasia with myelofibrosis)(MMM)、慢性骨髄性白血病 (CML)、慢性骨髄単球性白血病 (CMML)、好酸球増加症候群 (HES)、全身性マスト細胞疾患 (SMCD)等を含みうる。
さらにJAK-関連疾患は炎症および炎症性疾患を含む。炎症性疾患の例としては、眼の炎症性疾患(例えば、虹彩炎、ブドウ膜炎、強膜炎、結膜炎、または関連疾患)、呼吸器の炎症性疾患(例えば、鼻および副鼻腔を含む上気道 、例えば、鼻炎または副鼻腔炎あるいは下気道、例えば、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患等)、炎症性筋疾患、例えば、心筋炎、およびその他の炎症性疾患が挙げられる。本発明の化合物により処置可能な他の炎症性疾患は、全身性炎症反応症候群(SIRS)および敗血症ショックを含み得る。
本明細書に記載する JAK 阻害剤はさらに、虚血再灌流障害または炎症性虚血事象に関連する疾患または症状、例えば脳卒中または心停止の処置にも用いることが出来る。本明細書に記載するJAK 阻害剤はさらに、食欲不振、悪液質または疲労、例えば、癌に起因または関連するものの処置にも用いることが出来る。本明細書に記載するJAK 阻害剤はさらに、再狭窄、硬化性皮膚炎(sclerodermitis)または線維症の処置にも用いることが出来る。本明細書に記載するJAK阻害剤は、低酸素と関連のある症状またはアストロサイト増殖症(astrogliosis)、例えば糖尿病性網膜症、癌、または神経変性などを処置するためにさらに使用される。例えば、Dudley、A.C. et al. Biochem. J. 2005、390(Pt 2):427-36 and Sriram、K. et al. J. Biol. Chem. 2004、279(19):19936-47. Epub 2004 Mar 2を参照されたい。
本明細書に記載する JAK 阻害剤は、痛風を処置するため、および例えば前立腺肥大症または良性前立腺過形成を理由とする増加した前立腺のサイズを処置するためにさらに使用され得る。
本明細書において用いる場合、「接触させる」という用語は、インビトロ系またはインビボ系において示された部分を互いに一緒にすることをいう。例えば、JAKと本発明の化合物とを「接触させる」ことには、個体または患者、例えばJAKを有するヒトへの本発明の化合物の投与、ならびに例えばJAKを含む細胞または精製調製物を含むサンプルへの本発明の化合物の導入が含まれる。
本明細書において用いる場合、「個体」または「患者」という用語は、互換的に用いられ、あらゆる動物をいい、例えば、哺乳類、好ましくはマウス、ラット、その他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマまたは霊長類が挙げられ、もっとも好ましくはヒトである。
本明細書において用いる場合、「治療上有効量」という用語は、研究者、獣医、医者またはその他の臨床家によって、組織、系、動物、個体またはヒトにおいて調べられる生物学的または医学的応答を誘起する活性化合物または医薬品の量をいう。
本明細書において用いる場合、用語「処置すること」または「処置」とは、下記1以上を含む:
(1)疾患の予防;例えば、疾患、症状または障害に罹患しやすいが、疾患の病理または症状を経験または示したことがない個体における疾患、症状または障害の予防;
(2)疾患の阻害;例えば、疾患、症状または障害の病理または症状を経験または示している個体における疾患、症状または障害の阻害;および、
(3) 疾患の寛解;例えば、疾患、症状または障害の病理または症状を経験または示している個体における疾患、症状または障害の寛解(即ち、病理および/または症状からの回復)、例えば、疾患の重症度の低下。
併用療法
1以上のさらなる医薬品、例えば、化学療法薬、抗炎症薬、ステロイド、免疫抑制剤ならびに Bcr-Abl、Flt-3、RAFおよびFAK キナーゼ 阻害剤、例えば、WO 2006/056399に記載のもの、またはその他の薬剤を、JAK-関連の疾患、障害または症状の処置のために本発明の化合物と組み合わせて用いることが出来る。1以上のさらなる医薬品は患者に同時に投与しても逐次的に投与してもよい。
化学療法薬の例としては、プロテオソーム阻害剤 (例えば、ボルテゾミブ)、サリドマイド、レナリミド、およびDNA-傷害薬、例えば メルファラン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、エトポシド、カルムスチン等が挙げられる。
ステロイドの例としては、コルチコステロイド、例えば、デキサメタゾンまたはプレドニゾンが挙げられる。
Bcr-Abl 阻害剤の例としては、米国特許第5,521,184号、WO 04/005281、EP2005/009967、EP2005/010408、および米国特許出願60/578,491に開示の化合物およびその医薬上許容される塩が挙げられる。
好適な Flt-3 阻害剤の例としては、WO 03/037347、WO 03/099771、およびWO 04/046120に開示の化合物およびその医薬上許容される塩が挙げられる。
好適な RAF 阻害剤の例としては、WO 00/09495およびWO 05/028444 に開示の化合物およびその医薬上許容される塩が挙げられる。
好適な FAK 阻害剤の例としては、WO 04/080980、WO 04/056786、WO 03/024967、WO 01/064655、WO 00/053595、および WO 01/014402に開示の化合物およびその医薬上許容される塩が挙げられる。
ある実施形態において、1以上の本発明の代謝体は、特にイマチニブまたは他のキナーゼ阻害剤に耐性のある患者を処置するために、イマチニブなどの1以上の他のキナーゼ阻害剤とを組合せて用いることができる。
ある態様において、1以上の本発明のJAK 阻害剤は、癌、例えば多発性骨髄腫の処置において化学療法薬と組み合わせて用いることができ、その毒性作用を悪化させることなく化学療法薬単独に対する応答と比較して処置応答を改善することが出来る。多発性骨髄腫の処置に用いられるさらなる医薬の例としては、例えば、これらに限定されないが、メルファラン、メルファラン+プレドニゾン [MP]、ドキソルビシン、デキサメタゾン、およびベルケイド (ボルテゾミブ) が挙げられる。多発性骨髄腫の処置に用いられるさらなる薬剤としては、Bcr-Abl、Flt-3、RAFおよびFAK キナーゼ 阻害剤が挙げられる。相加または相乗効果が本発明のJAK 阻害剤とさらなる医薬の組合せの望ましい結果である。さらに、デキサメタゾン等の多発性骨髄腫細胞の医薬に対する耐性は本発明のJAK 阻害剤による処置により逆転しうる。医薬は本発明の化合物と単一または連続用量形態にて組み合わせることが出来、あるいは医薬は別々の用量形態で同時または逐次に投与することが出来る。
ある態様において、コルチコステロイド、例えばデキサメタゾンは少なくとも1つの JAK 阻害剤と組み合わせて患者に投与され、ここでデキサメタゾンは連続的ではなく間欠的に投与される。
さらなる態様において、1以上の本発明のJAK 阻害剤とその他の治療薬の組合せは、骨髄移植または幹細胞移植の前、最中および/または後に患者に投与することが出来る。
医薬製剤および投薬形態
医薬として用いる場合、本発明の化合物を医薬組成物の形態で投与すればよい。かかる組成物は薬学分野に周知の方法で調製することが出来、局所的または全身的のいずれの処置が望ましいか、そして処置されるべき領域に応じて様々な経路で投与することが出来る。投与は、局所(例えば、経皮、上皮、経眼および経粘膜、例えば、鼻腔内、経膣および直腸送達)、肺 (例えば、散剤またはエアロゾルの吸入またはガス注入による、例えば 噴霧器による; 気管内または鼻腔内)、経口または非経口であってよい。非経口投与としては、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内または筋肉内注射または注入;または頭蓋内、例えば、くも膜下腔内または脳室内投与が挙げられる。非経口投与は、単回注射の形態であってもよく、あるいは、例えば、連続的注入ポンプによるものであってもよい。局所投与のための医薬組成物および剤形には、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、ドロップ、坐薬、スプレー、液体および散剤が含まれうる。常套の医薬用の担体、水性、粉末または油性基剤、増粘剤等が必要であることや望ましいこともあり得る。被覆されたコンドーム、グローブなども有用であり得る。
本発明は、1以上の医薬上許容される担体(賦形剤)と組み合わせて1以上の本発明の化合物を活性成分として含む医薬組成物も包含する。本発明の組成物の製造において、活性成分は 典型的には賦形剤と混合され、賦形剤により希釈され、または例えば、カプセル、小袋、紙、またはその他の容器のような形態にてかかる担体に封入される。賦形剤が希釈剤として作用する場合は、それは活性成分の媒体、担体または媒介物質として作用する、固体、半固体、または液体物質であってよい。したがって、組成物は、錠剤、丸剤、散剤、トローチ剤、小袋、サシェ、エリキシル剤、懸濁液、乳濁液、溶液、シロップ、エアロゾル(固体としてまたは液体媒体中)、例えば、10重量%までの活性化合物を含む軟膏、軟および硬ゼラチンカプセル、坐薬、滅菌注射可能溶液および滅菌充填散剤の形態であり得る。
剤形の調製において、活性化合物はその他の成分との混合の前に粉砕されて適当な粒径とされうる。活性化合物が実質的に不溶性である場合、それを粉砕して200 メッシュ未満の粒径とすればよい。活性化合物が実質的に水溶性の場合、粒径は粉砕によって調整され、例えば、約 40 メッシュの剤形において実質的に均一な分布が提供される。
本発明の化合物は、既知の粉砕方法、例えば湿式粉砕を用いて粉砕し、錠剤形成および他の剤形型に好適な粒子サイズを得ることができる。微細に分割された本発明の化合物の調製物(ナノ粒子)は、当業者には既知の方法、例えば国際特許出願番号WO 2002/000196により製造される。
好適な賦形剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、およびメチルセルロースが挙げられる。剤形はさらに以下を含んでいてもよい:滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、およびミネラルオイル; 湿潤剤; 乳化剤および懸濁剤; 保存料、例えば、安息香酸メチルおよびヒドロキシ安息香酸プロピル; 甘味料;および香味料。本発明の組成物は当該技術分野において知られた手順の使用により、患者への投与後に活性成分を迅速、持続または遅延放出するように製剤してもよい。
組成物は単位用量形態にて製剤してもよく、各用量は約 5〜約1000 mg (1 g)、より通常には約100〜約500 mgの活性成分を含む。「単位用量形態」という用語は、ヒト対象およびその他の哺乳類のための単一の用量として好適な物理的に離れた単位をいい、各単位は好適な医薬用賦形剤と組み合わせて、所望の治療効果を与えるよう計算されたあらかじめ決定された量の活性物質を含む。
活性化合物は広範な用量範囲で有効であり得、一般に医薬上有効量にて投与される。しかし、実際に投与する化合物の量は、通常医師によって、関連する状況、例えば処置すべき症状、選択した投与経路、実際に投与する化合物の種類、個体患者の年齢、体重および応答、患者の症状の重篤度等にしたがって決定されることを理解されたい。
固体組成物、例えば、錠剤の製造のために、活性主成分は医薬用賦形剤と混合されて、本発明の化合物の均一な混合物を含む固体予備処方組成物に形成される。かかる予備処方組成物が均一であるという場合、活性成分は典型的には、組成物を同等に有効な単位用量形態、例えば、錠剤、丸剤およびカプセルに容易にさらに分割できるように組成物中に均一に分散している。この固体予備処方は次いで、例えば、約0.1〜約1000mgの本発明の活性成分を含む上記タイプの単位用量形態へとさらに分割される。
本発明の錠剤または丸剤は被覆されていてもよいし、あるいは持効性作用の利点を与える剤形を提供するよう配合されてもよい。例えば、錠剤または丸剤は、内側用量および外側用量成分を含んでいてもよく、後者は前者の外被の形態を取る。これら2成分は腸溶性層により分離されていてもよく、かかる層は、胃での崩壊に耐え、内側成分がそのままの状態で十二指腸を通過することを可能にするか、あるいは放出を遅らせることを可能にする。様々な材料をかかる腸溶性層または被覆として使用でき、かかる材料としては、多数の高分子酸および高分子酸とセラック、セチルアルコール、およびセルロースアセテートなどの材料との混合物が挙げられる。
本発明の化合物および組成物が経口または注射による投与のために導入され得る液体形態としては、水溶液、好適に香味をつけたシロップ、水性または油性懸濁液、および香味をつけた、食用油、例えば、綿実油、ゴマ油、ココナッツ油、またはピーナッツ油との乳濁液およびエリキシル剤および類似の医薬用媒体が挙げられる。
吸入またはガス注入のための組成物としては、医薬上許容される水性または有機溶媒またはそれらの混合物中の溶液および懸濁液ならびに粉末が挙げられる。液体または固体組成物は上記のような好適な医薬上許容される賦形剤を含んでいてもよい。ある態様において、組成物は経口または経鼻呼吸経路により局所または全身作用のために投与される。組成物は不活性ガスの使用により噴霧されてもよい。噴霧される溶液は噴霧装置から直接的に吸ってもよいし、噴霧装置を顔用マスクのテントにつけてもよいし、間欠的陽圧呼吸機器によって吸ってもよい。溶液、懸濁液、または粉末組成物を、適当な方法で該製剤を送達する装置から経口または経鼻的に投与してもよい。
患者に投与する化合物または組成物の量は、投与されるもの、投与目的、例えば、予防または治療、患者の症状、投与方法等に依存して変動する。治療用途においては、組成物は疾患に既に罹患している患者に疾患およびその合併症の症状を治癒させるか少なくとも部分的に停止させるのに十分な量投与すればよい。有効用量は処置すべき疾患の症状、および例えば、疾患の重篤度、患者の年齢、体重および全体的な症状等の因子に依存してかかりつけ医師の判断により変動する。
患者に投与される組成物は上記の医薬組成物の形態であってよい。かかる組成物は、常套の滅菌技術によって滅菌してもよいし、無菌ろ過してもよい。水溶液はそのまま使用するように梱包されてもよいし、凍結乾燥されてもよく、該凍結乾燥調製物は無菌水性担体と投与前に混合される。化合物の調製物のpHは典型的には3〜11の間であり、より好ましくは5〜9であり、もっとも好ましくは7〜8である。特定の上記賦形剤、担体または安定剤の使用により、医薬塩が形成されるということが理解されるであろう。
本発明の化合物の治療用量は、例えば、処置が行われる特定の用途、化合物の投与方法、患者の健康状況および症状、および処方する医師の判断にしたがって変動しうる。医薬組成物における本発明の化合物の割合または濃度は、用量、化学的性質 (例えば、疎水性)、および投与経路のような多数の因子によって変動しうる。例えば、本発明の化合物は非経口投与のための化合物を約 0.1〜約 10% w/v含む生理的緩衝水溶液において提供されうる。典型的な用量範囲は約 1μg/kg〜約 1 g/kg体重/日である。ある態様において、用量範囲は約 0.01 mg/kg体重 /日〜約 100 mg/kg体重 /日である。用量はおそらく疾患または障害のタイプおよび進行の程度、特定の患者の全体的な健康状態、選択した化合物の相対的生物学的有効性、賦形剤の処方、およびその投与経路といった可変条件に依存するであろう。有効用量はインビトロまたは動物モデル試験系から得た用量応答曲線から外挿することができる。
本発明の組成物はさらに1以上のさらなる医薬品、例えば 化学療法薬、ステロイド、抗炎症化合物、または免疫抑制剤を含んでいてもよく、その例は上記の通りである。
標識化合物およびアッセイ方法
本発明の別の側面は標識(放射標識、蛍光標識等)された本発明の化合物に関し、それはイメージング技術のみならず、インビトロおよびインビボの両方のアッセイにも有用であり、かかるアッセイは、ヒトを含む組織サンプルにおけるJAKの局在決定および定量のため、および標識化合物の結合の阻害によるJAKリガンドの同定のために行われる。したがって、本発明は、かかる標識化合物を含むJAKアッセイも包含する。
本発明はさらに、同位体標識された本発明の化合物を含む。「同位体」または「放射」標識された化合物は、1以上の原子が、典型的には自然界に見られる(即ち天然の) 原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって交換または置換されている本発明の化合物である。本発明の化合物に組み込むことが出来る好適な放射性核種としては、これらに限定されないが、 2H (重水素でありDとも記載される)、3H(トリチウムでありTとも記載される)、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、18F、35S、36Cl、82Br、75Br、76Br、77Br、123I、124I、125Iおよび131Iが挙げられる。本発明の放射標識化合物に組み込まれる放射性核種は、放射標識化合物の特定の用途に依存する。例えば、インビトロメタロプロテアーゼ標識および競合アッセイのためには、3H、14C、82Br、125I 、131I、35Sを組み込んだ化合物が一般にもっとも有用であろう。放射性イメージング用途には、11C、18F、125I、123I、124I、131I、75Br、76Brまたは77Brが一般にもっとも有用であろう。
「放射標識」または「標識化合物」は少なくとも1つの放射性核種を組み込んだ化合物であるということが理解される。ある態様において、放射性核種は3H、14C、125I 、35Sおよび82Brからなる群から選択される。
本発明はさらに本発明の化合物に放射性同位体を導入する合成方法も含みうる。放射性同位体を有機化合物に組込むための合成方法は、当該技術分野において周知であり、当業者であれば本発明の化合物に適用できる方法を容易に認識するであろう。
本発明の標識化合物は化合物の同定/評価のためのスクリーニングアッセイにおいて利用することが出来る。例えば、標識された新規に合成または同定された化合物 (即ち、被験化合物)は、そのJAKと接触した際の濃度の変動を、標識の追跡によりモニターすることによってJAKへのその結合能力について評価することが出来る。例えば、(標識)被験化合物は、JAKに結合することが知られている別の化合物(即ち、標準化合物)の結合を低下させるその能力について評価することが出来る。したがって、JAKに対する結合について標準化合物と競合する被験化合物の能力は直接その結合親和性と相関する。逆に、別のスクリーニングアッセイにおいて、標準化合物を標識し、被験化合物は標識しない。したがって、標識標準化合物の濃度が標準化合物と被験化合物との間の競合の評価のためにモニターされ、こうして被験化合物の相対結合親和性が確認される。
キット
本発明はまた、例えば、JAK -関連疾患または障害、例えば癌の処置または予防に有用な医薬キットも包含し、かかるキットは、治療上有効量の本発明の化合物を含む医薬組成物を含んでいる1以上の容器を含む。かかるキットはさらに、所望により、1以上の様々な常套の医薬キット成分、例えば、1以上の医薬上許容される担体を含む容器、追加的な容器等を含んでいてもよく、これは当業者に明らかである。挿入されていてもラベルであってもよいが、投与される成分の量、投与のための説明および/または成分の混合のための説明を示す説明書もまた、キットに含めることが出来る。
本発明を特定の実施例によりさらに詳細に記載する。以下の実施例は例示の目的で記載されたものであり、決して本発明を限定する意図はない。当業者であれば本質的に同じ結果をもたらすよう変化または改変できる様々な必須でないパラメーターを容易に認識するであろう。
実施例
実施例1:
3-[(1S,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルおよび3-[(1R,3S)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル
Figure 0005479331
ステップ1. 6-ブロモ-2-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-オン
Figure 0005479331
ブロモトリメチルシラン(3.1 mL、0.023 mol)を、0℃で丸底フラスコ内のジメチルスルホキシド(1.6 mL、0.023 mol)のクロロホルム(38.0 mL)の溶液に滴加した。得られる混合物を、0℃で2時間攪拌した。反応混合物に、シクロペント-3-エン-1-カルボン酸(2.00 g、0.0178 mol)のクロロホルム(12 mL)の溶液を15分間かけて滴加し、該反応混合物を、0℃で10分間攪拌した。次いで、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(4.0 mL、0.023 mol)を添加し、得られる混合物を、0℃で攪拌した。10分間の後、混合物を加熱し、16時間還流した。該反応混合物を、クロロホルムで希釈し、水、塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、真空下で揮散させた。該残液を、溶出液として30% EtOAc/ヘキサンを用いてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、生成物を得た。1H NMR(400 MHz、CDCl3): δ4.88 (brs、1H)、4.34 (m、1H)、2.90 (m、1H)、2.66 (m、1H)、2.31 (m、1H)、1.93 (m、1H)、1.83 (m、1H).
ステップ2. 2-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-オン
Figure 0005479331
トリス(トリメチルシリル)シラン(4.7 mL、15 mmol)を、丸底フラスコ内で6-ブロモ-2-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-オン(1.96 g、10.3 mmol)および2,2'-アゾ-ビス-イソブチロニトリル(0.2 g、1 mmol)のトルエン(100 mL)の溶液に滴加し、得られる混合物を、80℃で5時間攪拌した。該反応混合物を、ロータリーエバポレーターにより濃縮し、該残液を酢酸エチルで希釈し、飽和 NH4Clで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空下で揮散させた。該残液を、100%ヘキサンを用いて、溶出液として25% EtOAc/ヘキサンから33% EtOAc/ヘキサンに勾配をつけて、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、該生成物を得た。
1H NMR(300 MHz、CDCl3): δ4.93 (m、1H)、2.91 (m、1H)、2.19 (m、1H)、1.60-1.99 (m、5H).
ステップ3. (2E)-および(2Z)-3-[(1S,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]アクリロニトリルならびに(2E)-および(2Z)-3-[(1R,3S)-3-ヒドロキシシクロペンチル]アクリロニトリル
Figure 0005479331
1.00 M ジイソブチルアルミニウム水素化物のトルエン溶液(8.0 mL)を、-78℃で丸底フラスコ内の2-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-オン(600 mg、5 mmol)の塩化メチレン(20 mL)の溶液に滴加した。得られる混合物を-78℃で45分間攪拌した。該反応混合物を、飽和Rochelle塩溶液で処理した。15分間の攪拌後、該反応混合物を、酢酸エチルで抽出し、併せた有機抽出物を、水、飽和NaClで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空で揮散させた。該粗製生成物を、さらなる精製をせずに次の反応に使用した。
丸底フラスコ内の粗製2-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-オール(400 mg、4 mmol)および(トリフェニルホスホラニリデン)アセトニトリル(1.2 g、3.8 mmol)のトルエン(12 mL)の溶液を80℃で2時間加熱した。次いで、該反応混合物を、40% EtOAc/ヘキサンを用いてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、ラセミ生成物を得た。
1H NMR(400 MHz、CDCl3): δ 6.78 (dd、1H)、5.30 (d、1H)、5.20 (m、1H)、2.67 (m、1H)、2.20 (m、1H)、1.40-1.90 (m、6H).
ステップ4. 3-[(1S,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-3-[4-(7-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル および 3-[(1R,3S)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-3-[4-(7-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル
Figure 0005479331
1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン(0.54 mL、3.6 mmol)を、丸底フラスコ内の(2E)-および(2Z)-3-[(1S,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]アクリロニトリルと(2E)-および(2Z)-3-[(1R,3S)-3-ヒドロキシシクロペンチル]アクリロニトリル (0.250 g、1.82 mmol)との混合物ならびに4-(1H-ピラゾール-4-イル)-7-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(0.57 g、1.8 mmol)のアセトニトリル(5 mL)溶液に添加した。得られる混合物を2日間25℃で攪拌したが、この時点でLCMS分析は〜80%の開始物質が消費されたことを示した。該反応混合物を、1:1 EtOAc/ヘキサンを用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製し、該生成物を得た。
1H NMR(400 MHz、CDCl3): δ 8.90 (d、1H)、8.39 (m、2H)、7.46 (m、1H)、6.86 (m 1H)、5.73 (s、2H)、4.52 (m、2H)、3.59 (m、2H)、3.2 (m、1H)、3.02 (m、1H)、2.78 (m、1H)、2.3 (m、1H)、1.30-1.90 (m、6H)、0.99 (m、2H)、0.08 (s、9H). LC/MS: 453 (M+H)+.
ステップ5. 3-[(1S,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルおよび3-[(1R,3S)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル
リチウムテトラフルオロホウ酸塩(0.176 g、1.88 mmol)を、バイアル内での3-[(1S,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-3-[4-(7-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルおよび3-[(1R,3S)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-3-[4-(7-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル (85.0 mg、0.188 mmol)のアセトニトリル(1.5 mL)と水(0.135 mL)の溶液に添加した。得られる混合物を85℃で26時間加熱した。反応混合物を25℃に冷却した後、エチレンジアミン(63 μL、0.94 mmol)を添加し、得られる混合物を、25℃で3時間攪拌した。該反応混合物を、分取LCにより精製し、トリフルオロ酢酸塩と該生成物を得た。これを、メタノールに溶解し、Amberlyst 26を添加した。得られる混合物を、10分間攪拌し、濾過し、濃縮した。該残液を、キラルクロマトグラフィーにより精製し、4つのメジャーピークと4つのマイナーピークを得た(Column: ChiralPak IA、 4.6 x 250mm、5 ミクロン粒子。移動相:ヘキサン中30% エタノール。流速:0.8 ml/分−分析用;カラム: ChiralPak IA、20 x 250mm、5 ミクロン粒子。移動相:ヘキサン中30%エタノール。流速:12 ml/分-分取用)
マイナーピークは、非常に移動しやすく、またメタノール中にあれば対応するアルコールへと分解するトリフルオロ酢酸エステルの結果であると考えられる。
メジャーピーク1[保持時間:18.56 分間]: 1H NMR(400 MHz、CD3OD): δ 8.66 (brs、1H)、8.64 (s、1H)、8.38 (s、1H)、7.51 (m、1H)、6.97 (m、1H)、4.57 (m、1H)、4.20 (m、1H)、3.16 (m、2H)、2.65 (m、1H)、1.64-2.00 (m、5H)、1.28 (m、1H). LC/MS: 323 (M+H)+
メジャーピーク2[保持時間: 25.88 分間]: 1H NMR(400 MHz、CD3OD): δ 8.66 (brs、1H)、8.64 (s、1H)、8.38 (s、1H)、7.50 (m、1H)、6.96 (m、1H)、4.60 (m、1H)、4.30 (m、1H)、3.18 (m、2H)、2.61 (m、1H)、2.23 (m、1H)、1.40-1.80 (m、5H). LC/MS: 323 (M+H)+.
メジャーピーク3[保持時間:39.84 分間]: 1H NMR(400 MHz、CD3OD): δ 8.66 (brs、1H)、8.64 (s、1H)、8.38 (s、1H)、7.50 (m、1H)、6.96 (m、1H)、4.60 (m、1H)、4.30 (m、1H)、3.18 (m、2H)、2.61 (m、1H)、2.23 (m、1H)、1.40-1.80 (m、5H). LC/MS: 323 (M+H)+.
メジャーピーク4[保持時間:51.48 分間]: 1H NMR(400 MHz、CD3OD): δ 8.66 (brs、1H)、8.64 (s、1H)、8.38 (s、1H)、7.51 (m、1H)、6.97 (m、1H)、4.57 (m、1H)、4.20 (m、1H)、3.16 (m、2H)、2.65 (m、1H)、1.64-2.00 (m、5H)、1.28 (m、1H). LC/MS: 323 (M+H)+.
実施例2:
3-[(1S,3S)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルトリフルオロ酢酸塩および3-[(1R,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルトリフルオロ酢酸塩
Figure 0005479331
ステップ1:(1S,3S)-3-{2-シアノ-1-[4-(7-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]エチル}シクロペンチル安息香酸塩および(1R,3R)-3-{2-シアノ-1-[4-(7-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]エチル}シクロペンチル安息香酸塩
ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.38 mL、1.9 mmol)を、丸底フラスコ内において0℃で3-[(1S,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-3-[4-(7-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルおよび3-[(1R,3S)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-3-[4-(7-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル(0.51 g、1.9 mmol)のテトラヒドロフラン(5.3 mL)溶液に添加した。得られる混合物を、10分間攪拌し、安息香酸(0.24g、1.9 mmol)を添加した。該反応混合物を2時間0℃で攪拌したが、この時点でTLC分析は出発物質が存在しないことを示した。該反応混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCO3、水、飽和NaClで洗浄し、乾燥して(MgSO4)、真空で揮散させた。該残液を、20% EtOAc/ヘキサンを用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーに供し、該生成物を得た。1H NMR(300 MHz、CDCl3): δ 8.91 (d、1H)、8.39 (m、2H)、8.08 (m、2H)、7.75 (m、1H)、7.61 (m、1H)、7.48 (m、2H)、7.46 (m、1H)、6.87 (m 1H)、5.74 (s、2H)、5.40-5.50 (m、1H)、4.40 (m、1H)、3.60 (m、2H)、3.25 (m、1H)、3.07 (m、1H)、2.27 (m、2H)、1.30-1.90 (m、6H)、0.99 (m、2H)、0.08 (s、9H). LC/MS: 557 (M+H)+.

反応混合物は、時間TLC分析が始まっている材料を示さなかった2時間、0の°Cでかき回されました。
ステップ2:3-[(1S,3S)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-3-[4-(7-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルおよび3-[(1R,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-3-[4-(7-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル
水酸化リチウム(22.7 mg、0.000948 mol)を、丸底フラスコ内で1,4-ジオキサン(10.0 mL、0.128 mol)、メタノール(4.0 mL、0.099 mol)、および水(4.0 mL、0.22 mol)の混合物に溶解した(1S,3S)-3-{2-シアノ-1-[4-(7-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]エチル}シクロペンチル安息香酸塩および(1R,3R)-3-{2-シアノ-1-[4-(7-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]エチル}シクロペンチル安息香酸塩(440 mg、0.00079 mol)の溶液に添加した。得られる混合物を、LCMS分析により出発物質がないことが示された20時間攪拌した。該反応混合物を、酢酸エチルにより抽出し、該有機抽出物を飽和NaHCO3、水、飽和NaClで洗浄し、乾燥し(MgSO4)、真空下で揮散させた。該残液を、さらなる精製をせずに次ぎの反応に使用した。LC/MS: 453 (M+H)+.
ステップ3:3-[(1S,3S)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル トリフルオロ酢酸塩 および 3-[(1R,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル トリフルオロ酢酸塩
3-[(1S,3S)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-3-[4-(7-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル および 3-[(1R,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-3-[4-(7-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルの混合物を、実施例1のステップ5に記載した同じ条件下で脱保護した。該混合物を、キラルLCを用いて分割し、さらにLCにより精製し、トリフルオロ酢酸塩としてアイソマーを得た。カラム:ChiralPak IA、4.6 x 250mm、5 ミクロン粒子。移動相:ヘキサン中30%エタノール。流速:0.8 ml/分-分析用;カラム:ChiralPak IA、20 x 250 mm、5 ミクロン粒子。移動相:ヘキサン中30%エタノール。流速:12 ml/分−分取用)。
ピーク(Pk)1[保持時間:16.98分間]: 1H (500 MHz、DMSO-d6): δ 8.11 (brs、1H)、8.07 (brs、1H)、7.70 (s、1H)、7.03 (d、1H)、6.46 (m、1H)、3.80 (m、1H)、3.43 (m、1H)、2.20 (m、2H)、2.08 (m、1H)、1.29 (m、1H)、1.20 (m、1H)、0.60-0.90 (m、4H). LC/MS: 323 (M+H)+.
ピーク2[保持時間:18.68分間]: 1H (500 MHz、CD3OD): δ 8.91 (s、1H)、8.087 (s、1H)、8.51 (s、1H)、7.84 (d、1H)、7.28 (m、1H)、4.60 (m、1H)、4.34 (m、1H)、3.20 (m、2H)、2.91 (m、1H)、1.92 (m、2H)、1.60 (m、3H)、1.35 (m、1H). LC/MS: 323 (M+H)+.
ピーク3およびピーク4は一緒に溶出された(23.13 分間)。
実施例3:
3-[(1S)-3-オキソシクロペンチル]-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル トリフルオロ酢酸塩および3-[(1R)-3-オキソシクロペンチル]-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル トリフルオロ酢酸塩
Figure 0005479331
ステップ1:3-[(1S)-3-オキソシクロペンチル]-3-[4-(7-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル および 3-[(1R)-3-オキソシクロペンチル]-3-[4-(7-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル ジメチルスルホキシド(0.340 mL、4.79 mmol)を、-78℃で丸底フラスコ内の塩化オキサリル(0.20 mL、2.4 mmol)の塩化メチレン(25 mL)溶液に添加した。得られる混合物を、-78℃で15分間攪拌し、3-[(1S,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-3-[4-(7-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルおよび3-[(1R,3S)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-3-[4-(7-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル (0.84 g、1.8 mmol)の塩化メチレン溶液(17 mL)を滴加した。得られる混合物を、-78℃で60分間攪拌し、トリエチルアミン (0.722 mL、5.18 mmol)を添加した。-78℃で60分間攪拌した後、該反応混合物を、0℃に昇温させ、1時間攪拌した。該反応混合物を、酢酸エチルで希釈し、水、飽和 NaClで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空下で揮散させた。該残液を、40% EtOAc/ヘキサンを用いるシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、該生成物を得た。1H NMR(300 MHz、CDCl3): δ 8.91 (m、1H)、8.40 (d、1H)、8.38 (s、1H)、7.47 (m、1H)、6.85 (t、1H)、5.74 (s、2H)、4.51 (m、1H)、3.60 (t、2H)、3.00-3.30 (m、3H)、1.50-2.70 (m、6H)、0.98 (t、2H)、0.00 (s、9H). LC/MS: 451 (M+H)+.
ステップ2:3-[(1S)-3-オキソシクロペンチル]-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル トリフルオロ酢酸塩 および 3-[(1R)-3-オキソシクロペンチル]-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルトリフルオロ酢酸塩
3-[(1S)-3-オキソシクロペンチル]-3-[4-(7-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル および 3-[(1R)-3-オキソシクロペンチル]-3-[4-(7-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルの混合物を、実施例1のステップ5と類似した条件下で脱保護して、2つのジアステレオマーケトンを得、これをキラルクロマトグラフィーにより分割し、LCにより精製して、トリフルオロ酢酸塩としてジアステレオマーおよびエナンチオマーを得た。カラム:ChiralPak IA、4.6 x 250mm、5 ミクロン粒子。移動相:ヘキサン中30%エタノール。流速:0.8 ml/分-分析用;カラム:ChiralPak IA、20 x 250 mm、5 ミクロン粒子。移動相:ヘキサン中30%エタノール。流速:12 ml/分−分取用).
ピーク(Pk)1 [保持時間:11.82 分間]
ピーク2[保持時間: 13.94 分間]: 1H (500 MHz、CDCl3):δ 10.07 (brs、1H)、8.79 (brs、1H)、8.27 (s、1H)、8.25 (s、1H)、7.32 (d、1H)、6.71 (m、1H)、4.40 (m、1H)、3.12 (m、1H)、2.97 (m、2H)、2.00-2.32 (m、5H)、1.61 (m、1H). LC/MS: 321 (M+H)+.
ピーク3 [保持時間:17.61 分間]: 1H (500 MHz、CDCl3):δ 10.70 (brs、1H)、8.83 (brs、1H)、8.34 (s、1H)、8.30 (s、1H)、7.35 (d、1H)、6.73 (m、1H)、4.37 (m、1H)、3.10 (m、1H)、2.90 (m、2H)、2.51 (m、1H)、 2.27 (m、1H)、2.15 (m、1H)、1.91 (m、1H)、1.84 (m、1H)、1.60 (m、1H). LC/MS: 321 (M+H)+.
ピーク4 [保持時間: 20.31 分間].
実施例A
Figure 0005479331
代謝体1、2、および3を、薬物動力学的と毒物動態試験との関連において化合物1の投与後にラットまたはイヌの尿から単離した。代謝体1、2、および3についての活性データを、遊離分画物に加えて内因性クリアランスデータと共に、親化合物である化合物1のデータと比較した。JAK 活性アッセイ、遊離画分アッセイおよび内因性クリアランスアッセイを下記に示した。代謝体1、2、および3に関するいくつかの個々の立体異性体についてのデータ点を得て、上記に示した数値範囲は、試験した全ての立体異性体についての最大値と最低値を反映している。表1において判るように、該代謝体は、化合物1のように、JAK1、JAK2、およびJAK3の強力な阻害剤であった。しかしながら、代謝体について得た遊離画分は、予想外に高く、化合物1に対するよりも低い望ましい内因性クリアランスであった。
インビトロ JAK キナーゼアッセイ
本明細書に記載する化合物をPark et al.、Analytical Biochemistry 1999、269、94-104に記載の以下のインビトロアッセイにしたがって、Jak 標的の阻害活性について試験した。N末端 Hisタグを備えたヒト Jakl (a.a. 837-1142)、Jak2 (a.a. 828-1132)およびJak3 (a.a. 781-1124) の触媒ドメインを昆虫細胞中でバキュロウイルスを用いて発現させて精製した。JAKl、JAK2またはJAK3の触媒活性をビオチン化ペプチドのリン酸化を測定することによりアッセイした。リン酸化されたペプチドをホモジニアス時間分解蛍光法 (HTRF)によって検出した。化合物のIC50を、100 mM NaCl、5 mM DTT、および0.1 mg/ml (0.01%) BSA を含む50 mM トリス (pH 7.8)バッファー中に酵素、ATPおよび500 nM ペプチドを含む反応中で各キナーゼについて測定した。反応中のATP濃度はJaklについては 90 μM、Jak2については30 μM、Jak3については3 μMであった。反応を室温で1時間行い、次いで20 μLのアッセイバッファー(Perkin Elmer、Boston、MA)中の45 mM EDTA、300 nM SA-APC、6 nM Eu-Py20を用いて停止させた。ユーロピウム標識抗体に対する結合を、40分間行い、HTRF シグナルを Fusion プレートリーダー (Perkin Elmer、Boston、MA)で測定した。上記いずれかのJak 標的について、IC50が10 μM以下である化合物を活性であるとみなした。
遊離画分アッセイ
試験化合物のタンパク質結合を、Harvard Apparatus (Holliston、MA)のDianorm 系を用いて平衡透析により決定した。該透析を、37℃2時間ヒト血清中で行った。代謝体を、3μMにてインキュベートし、化合物1を3および10 μMにてインキュベートした。透析後の血清中および緩衝液中の該化合物の濃度をLC/MS/MS分析により決定した。遊離画分は、緩衝液と血清の濃度の割合として規定した。
内因性クリアランス アッセイ
内因性クリアランスを、ヒトの男女混合した肝臓ミクロソーム(0.5 mg/mL タンパク質)中で1 mM NADPHの存在下において37℃で試験化合物(1 μM)のインキュベーションにより決定した。試験化合物の消失を、LC/MSにより0、5、10、20および30分間追跡した。化合物濃度の減少する傾きを用いて、文献で報告された標準的方法を用いてヒト内因性クリアランスを計算した。
本明細書に記載したものに加えて、本発明の様々な改変が上記記載から当業者に明らかであろう。かかる改変は添付の請求項の範囲内に含まれると意図される。すべての特許、特許出願および非特許文献を含む本出願において引用した各参考文献はいずれもその全体を引用により本明細書に含める。

Claims (25)

  1. 3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-(3-ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
    3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-(2-ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;および
    3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-(3-オキソシクロペンチル)プロパンニトリル、
    から選択される化合物、またはその医薬上許容される塩。
  2. 請求項1の化合物またはその医薬上許容される塩、および少なくとも1つの医薬上許容される担体を含む、医薬組成物。
  3. 経口投与に好適である、請求項2記載の医薬組成物。
  4. JAKの活性を調節するための、請求項1の化合物、またはその医薬上許容される塩を含む医薬組成物。
  5. 該調節が阻害である、請求項4記載の医薬組成物。
  6. JAK活性と関連した疾患を処置するための、治療上有効量の請求項1の化合物、またはその医薬上許容される塩を含む、医薬組成物。
  7. 該疾患が、同種移植片拒絶反応または移植対宿主疾患である、請求項6記載の医薬組成物。
  8. 疾患が自己免疫疾患である、請求項6記載の医薬組成物。
  9. 該疾患が皮膚障害である、請求項6記載の医薬組成物。
  10. 該疾患がウイルス性疾患である、請求項6記載の医薬組成物。
  11. 該疾患が癌である、請求項6記載の医薬組成物。
  12. 該癌が固体腫瘍である、請求項11記載の医薬組成物。
  13. 該癌が、前立腺癌、腎臓、肝臓癌、乳癌、肺癌、甲状腺癌、カポジ肉腫、キャッスルマン病または膵臓癌である、請求項12記載の医薬組成物。
  14. 該癌が皮膚癌である、請求項11記載の医薬組成物。
  15. 該疾患が変異体JAK2を特徴とする、請求項6記載の医薬組成物。
  16. 該疾患が骨髄増殖性障害である、請求項6記載の医薬組成物。
  17. 該疾患が炎症性疾患である、請求項6記載の医薬組成物。
  18. 該炎症性疾患が炎症性筋疾患である、請求項6記載の医薬組成物。
  19. 該疾患が虚血再灌流であるか、または虚血事象に関連がある、請求項6記載の医薬組成物。
  20. 該疾患が、癌に起因または関連する食欲不振または悪液質である、請求項6記載の医薬組成物。
  21. 該疾患が、癌に起因または関連する疲労である、請求項6記載の組成物。
  22. 癌、関節リウマチまたは癬を処置するための、治療上有効量の請求項1の化合物またはその医薬上許容される塩を含む、医薬組成物。
  23. 該癌が、前立腺癌、多発性骨髄腫、菌状息肉腫または血液癌である、請求項22記載の医薬組成物。
  24. 該血液癌が、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)または慢性骨髄単球性白血病(CMML)である、請求項23記載の医薬組成物。
  25. 骨髄線維症を伴う骨髄化生(MMM)、真性多血症(PV) または本態性血小板血症(ET)を処置するための、治療上有効量の請求項1の化合物またはその医薬上許容される塩を含む、医薬組成物。
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