以下に本発明の一実施形態を示す。以下で説明される個別の実施形態は、本発明の上位概念、中位概念及び下位概念など種々の概念を理解するために役立つであろう。また、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。
<第1の実施形態>
<画像形成装置の構成>
以下では、図1乃至図13を参照して、第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置1000の概観を示す図である。
画像形成装置1000は、自動原稿搬送装置100、画像読取部200、画像形成部300、及び操作部10を備える。図1に示すように、画像読取部200は、画像形成部300の上に載置されている。さらに、画像読取部200上には、自動原稿搬送装置(DF)100が載置されている。また、本画像形成装置1000は、複数の制御部(CPU)を用いて分散制御を実現する。各CPUの構成については、図6を用いて後述する。
自動原稿搬送装置100は、原稿を自動的に原稿台ガラス上に搬送する。画像読取部200は、自動原稿搬送装置100から搬送された原稿を読み取って画像データを出力する。画像形成部300は、自動原稿搬送装置100から出力された画像データやネットワークを介して接続された外部装置から入力された画像データに従って記録材(記録紙)に画像を形成する。操作部10は、ユーザが各種操作を行うためのGUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)を有する。さらに、操作部10は、タッチパネル等の表示部を有し、ユーザに対して情報を提示することもできる。
<自動原稿搬送装置及び画像読取部の構成>
次に、図2を参照して、自動原稿搬送装置100及び画像読取部200について詳細に説明する。図2は、第1の実施形態に係る自動原稿搬送装置100及び画像読取部200の構成例を示す断面図である。
原稿トレイ130には、少なくとも1枚以上のシートで構成される原稿束Sが載置される。原稿束Sは、DF給紙ローラ101、分離ローラ102及び分離パッド121によって、1枚ずつ分離されて、自動原稿搬送装置100の内部に搬送される。また、原稿の搬送前には、原稿検知センサ114によって原稿トレイ130に原稿が載置されているか否かが判定される。
原稿が載置されていると判定された場合、DF給紙ローラ101は、原稿トレイ130に載置された原稿束Sの原稿面に落下し、回転する。これにより、原稿束の最上面の原稿が給紙される。DF給紙ローラ101によって給送された原稿は分離ローラ102と分離パッド121の作用によって1枚に分離される。この分離は周知のリタード分離技術によって実現されている。
その後、分離ローラ102と分離パッド121によって分離された原稿は、DF搬送ローラ対103により、DFレジストローラ104へ搬送され、当該DFレジストローラ104に突き当てられる。これにより、原稿はループ状に撓み、搬送における斜行が解消される。
DFレジストローラ104の下流側には、DFレジストローラ104を通過した原稿を画像読取部200の流し読みガラス201の方向へ搬送する給紙パスが配置されている。また、DFレジストローラ104の下流には、読取タイミングセンサ112が配置されている。読取タイミングセンサ112が原稿を読み取った後に所定の時間が経過すると、画像読取部200によって原稿の読み取りが開始される。
具体的には、給紙パスに送られた原稿は、大ローラ107及びDF給送ローラ105によりプラテン上に送られる。ここで、大ローラ107は、流し読みガラス201に接触する。大ローラ107により給送された原稿は、DF搬送ローラ106を通過し、ローラ116と移動ガラス118との間を移動して、DF排紙フラッパ120及びDF排紙ローラ108を介して原稿排紙トレイ131へ排出される。このとき、裏面画像読取部117によって原稿の裏面画像が読み取られる。排紙センサ113は、原稿が正しく排紙トレイに排紙されたか否かを検知するためのセンサである。
また、原稿トレイ130には、載置された原稿束の副走査方向にスライド可能なガイド規制板が設けられているとともに、このガイド規制板に連動して原稿幅を検出する原稿幅検知センサが設けられている。原稿幅検知センサとDFレジスト前センサ111との組み合わせにより、原稿トレイ130上に載置された原稿束の原稿サイズが判別可能となる。また、搬送パス内に設けられた原稿長検知センサにより、搬送中の原稿の先端検知から後端検知までの搬送距離から原稿長を検出することも可能であり、検知した原稿長と原稿幅検知センサとの組み合わせからも、原稿サイズが判別可能である。
画像読取部200は、原稿に記録された画像情報を光学的に読み取り、光電変換して画像データとして出力する。そのため、画像読取部200は、流し読みガラス201、プラテンガラス202、ランプ427及びミラー204を有するスキャナユニット209、ミラー205、206、レンズ207、CCD428を備える。また、白板210は、シェーディングによる白レベルの基準データを作成するための白板である。
<制御構成>
次に、図3を参照して、画像形成装置1000の制御構成について説明する。図3は、第1の実施形態に係る画像形成装置1000の各装置ごとの制御構成を示すブロック図である。
自動原稿搬送装置100は、CPU400、ROM401、RAM402、モータ403、センサ404、ランプ405、ソレノイド406、クラッチ407、CIS408及び画像処理部409を備える。CPU400は、中央演算処理装置であり、自動原稿搬送装置100の各ブロックを制御する。ROM401は、リードオンリーメモリであり、CPU400によって読み出され実行される制御用プログラムが格納されている。RAM402は、ランダムアクセスメモリであり、出力ポート及び入力ポートを備え、入力データや作業用データが格納されている。また、出力ポートには、各種搬送用のローラを駆動するモータ403、ソレノイド406、クラッチ407が接続されており、入力ポートには、各種センサ404がそれぞれ接続されている。
CPU400は、これにバスを介して接続されたROM401に格納された制御プログラムにしたがって紙搬送を制御する。CPU400は、画像読取部200のCPU421とライン451を介してシリアル通信を行い、画像読取部200との間で制御データの授受を行う。また、CPU400は、原稿画像データの先端の基準となる画先信号もライン451を通して画像読取部200に通知する。
また、図1の裏面画像読取部117は、ランプ405及びコンタクトイメージセンサ(CIS)408を有しており、読み取った画像は画像処理部409へ転送される。画像処理部409は、読み取った画像に画像処理を施し、ライン454を介して出力し、画像メモリ429に保持させる。
画像読取部200は、CPU421、ROM422、RAM423、紙間補正部424、画像処理部425、モータ426、LAMP427、CCD428及び画像メモリ429を備える。CPU421は、画像読取部200の各ブロックを統括的に制御する。CPU421には、制御プログラムを格納するROM422及びワークRAMであるRAM423が接続される。モータ426は、光学系駆動モータを駆動させるためのドライバ回路である。CCD428は、表面画像読取部であり、原稿の表面画像を読み取る。
紙間補正部424は、経時的な配光変動に対する読み取り光量補正や、ゴミ検知処理などの搬送される原稿間で行われる様々な紙間補正を行う。レンズ207によりCCD428上に結像された画像信号は、デジタル画像データに変換され、画像処理部425によって各種の画像処理が行われた後に画像メモリ429に書込まれる。
画像メモリ429に書込まれたデータは、順次コントローラIF453を通してコントローラ460へ送信される。さらに、原稿画像データの先端の基準となる画先信号については、CPU421でタイミングを取って、コントローラIF452を通してコントローラ460へ通知される。DFからの通信ラインで通知される画先信号についても同様に画像読取部200のCPU421でタイミングを取って、コントローラIF453を通してコントローラ460へ通知される。
コントローラ460は、CPU461、増幅回路462、補正回路463、画像メモリ464、外部I/F465、操作部I/F466、及びプリンタ制御I/F215を備える。操作部I/F466を介して接続されている操作部10は操作者による処理実行内容の入力や操作者に対する処理に関する情報及び警告等の通知を行うためのタッチパネル付き液晶により構成される。
CCD428及びCIS408からは、原稿画像を走査する過程で、読み取りの1ラインごとにアナログの画像信号が出力され、それぞれ画像処理部425、409を経由してコントローラ460へ送られてくる。それらの信号は増幅回路462により増幅された後、補正回路463へ送信される。補正回路463は、画像信号に対して補正処理を行い、画像メモリ464に書込む。以上の処理を原稿画像領域分行い、原稿の読み取り画像を形成する。
また外部I/F465は、画像情報やコード情報などを画像形成装置1000の外部の装置とやり取りするためのインタフェースであり、具体的には図5に示すようにファクシミリ装置501やLANインタフェース装置502などを接続することが可能である。図5は、第1の実施形態に係る画像形成装置1000に接続された外部装置を示す図である。なお、ファクシミリ装置501やLANインタフェース装置502との画像情報及びコード情報のやり取り手続き制御については、ファクシミリ装置501及びLANインタフェース装置502と、CPU461との相互通信により行われる。
上述したように本実施形態によれば、自動原稿搬送装置100の裏面画像読取部にCIS408を採用し、画像読取部200の表面画像読取部にCCD428を使用しているが、画像を読み取るセンサであればよい。
<画像形成部>
次に、図4を参照して、画像形成部300の詳細について説明する。図4は、第1の実施形態に係る画像形成部300の構成例を示す断面図である。なお、本実施形態の画像形成部300は電子写真方式を採用している。なお、図4の参照番号の末尾に示すアルファベットY、M、C、Kは、それぞれイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックのトナーに対応した各エンジンを示す。以下では、全てのトナーに対応するエンジンを示す場合は末尾のアルファベットY、M、C、Kを省略して参照番号を記載し、個別に示す場合は参照番号の末尾にアルファベットY、M、C、Kを付記して記載する。
像担持体としてフルカラー静電画像を形成するための感光ドラム(以下、単に「感光体」と称する。)225は、モータで矢印Aの方向に回転可能に設けられる。感光体225の周囲には、一次帯電装置221、露光装置218、現像装置223、転写装置220、クリーナ装置222、除電装置271が配置されている。
現像装置223Kはモノクロ現像のための現像装置であり、感光体225K上の潜像をKのトナーで現像する。また現像装置223Y、M、Cはフルカラー現像のための現像装置であり、現像装置223Y、M、Cは、感光体225Y、M、C上の潜像をそれぞれY、M、Cのトナーで現像する。感光体225上に現像された各色のトナー像は、転写装置220によって中間転写体である転写ベルト226に一括で多重転写されて、4色のトナー像が重ね合わされる。
転写ベルト226は、ローラ227、228、229に張架されている。ローラ227は、駆動源に結合されて転写ベルト226を駆動する駆動ローラとして機能し、ローラ228は転写ベルト226の張力を調節するテンションローラとして機能する。また、ローラ229は、2次転写装置231としての転写ローラのバックアップローラとして機能する。転写ローラ脱着ユニット250は、2次転写装置231を転写ベルト226に接着させるか、又は離脱させるための駆動ユニットである。2次転写装置231を通過した後の転写ベルト226の下部にはクリーナブレード232が設けられており、転写ベルト226上の残留トナーがブレードで掻き落とされる。
カセット240、241及び手差し給紙部253に格納された記録材(記録紙)は、レジストローラ255、給紙ローラ対235及び縦パスローラ対236、237によってニップ部、つまり2次転写装置231と転写ベルト226との当接部に給送される。なお、その際2次転写装置231は、転写ローラ脱着ユニット250によって転写ベルト226に当接されている。転写ベルト226上に形成されたトナー像は、このニップ部で記録材上に転写される。その後、トナー像が転写された記録材は、定着装置234でトナー像が熱定着されて装置外へ排出される。
カセット240、241及び手差し給紙部253は、それぞれ記録材の有無を検知するためのシートなし検知センサ243、244、245を備える。また、カセット240、241及び手差し給紙部253は、それぞれ記録材のピックアップ不良を検知するための給紙センサ247、248、249を備える。
ここで、画像形成部300による画像形成動作について説明する。画像形成が開始されると、カセット240、241及び手差し給紙部253に格納された記録材は、ピックアップローラ238、239、254により1枚毎に給紙ローラ対235に搬送される。記録材は、給紙ローラ対235によりレジストローラ255へと搬送されると、その直前のレジストセンサ256により記録材の通過が検知される。
レジストセンサ256により記録材の通過が検知された時点で、本実施形態では所定の時間が経過した後に一端搬送動作を中断する。その結果、記録材は停止しているレジストローラ255に突き当たり搬送が停止されるが、その際記録材の進行方向端部が搬送経路に対して垂直になるように搬送位置が固定され、記録材の搬送方向が搬送経路に対してずれた状態の斜行が補正される。以下では、この処理を位置補正と称する。位置補正は、以降の記録材に対する画像形成方向の傾きを最小化するために必要となる。位置補正後、レジストローラ255を起動させることにより、記録材は、2次転写装置231へ供給される。なお、レジストローラ255は、駆動源に結合され、クラッチによって駆動が伝えられることで回転駆動を行う。
次に、一次帯電装置221に電圧を印加して感光体225の表面を予定の帯電部電位で一様にマイナス帯電させる。続いて、帯電された感光体225上の画像部分が所定の露光部電位になるようにレーザスキャナ部からなる露光装置218で露光を行い潜像が形成される。露光装置218はプリンタ制御I/F215を介してコントローラ460より送られてくる画像データに基づいてレーザ光をオン、オフすることによって画像に対応した潜像を形成する。
また、現像装置223の現像ローラには各色毎に予め設定された現像バイアスが印加されており、上記潜像は、現像ローラの位置を通過する際にトナーで現像され、トナー像として可視化される。トナー像は、転写装置220により転写ベルト226に転写され、さらに2次転写装置231で、給紙部より搬送された記録材に転写された後、レジスト後搬送パス268を通過し、定着搬送ベルト230を介して、定着装置234へと搬送される。
定着装置234では、まずトナーの吸着力を補って画像乱れを防止するために、定着前帯電器251、252で帯電され、さらに定着ローラ233でトナー画像が熱定着される。その後、記録材は、排紙フラッパ257により排紙パス258側に搬送パスが切り替えられることにより、排紙ローラ270によってそのまま排紙トレー242に排紙される。
感光体225上に残留したトナーは、クリーナ装置222で除去、回収される。最後に、感光体225は、除電装置271で一様に0ボルト付近まで除電されて、次の画像形成サイクルに備える。
画像形成装置1000によるカラーの画像形成開始タイミングは、Y、M、C、Kの同時転写であるため転写ベルト226上の任意の位置に画像形成を行うことが可能である。しかし、感光体225Y、M、C上のトナー像を転写する位置のずれ分をタイミング的にシフトさせながら画像形成開始タイミングを決定する必要がある。
なお、画像形成部300においては、記録材を連続的にカセット240、241及び手差し給紙部253より給送させることが可能である。この場合、先行する記録材のシート長を考慮し、記録材が重なり合わないような最短の間隔でカセット240、241及び手差し給紙部253からの給紙を行う。上述したように、位置補正後に、レジストローラ255を起動させることにより、記録材は2次転写装置231へ供給されるが、2次転写装置231に到達すると、再びレジストローラ255が一時停止される。これは、後続の記録材に対して先行する記録材と同様に位置補正を行うためである。
次に、記録材の裏面に画像を形成する場合の動作について詳細に説明する。記録材の裏面に画像を形成する際には、まず記録材の表面への画像形成が先行して実行される。表面のみの画像形成であれば、定着装置234でトナー像が熱定着された後に、そのまま排紙トレー242に排紙される。一方、引き続き裏面の画像形成を行なう場合、センサ269で記録材が検知されると、排紙フラッパ257により裏面パス259側に搬送パスが切り替えられ、それに併せた反転ローラ260の回転駆動により記録材が両面反転パス261に搬送される。その後、記録材は、送り方向幅の分だけ両面反転パス261に搬送された後に反転ローラ260の逆回転駆動により進行方向が切り替えられ、表面に画像形成された画像面を下向きにして両面パス搬送ローラ262の駆動により両面パス263に搬送される。
続いて、記録材は、両面パス263を再給紙ローラ264に向かって搬送されると、その直前の再給紙センサ265により通過が検知される。再給紙センサ265により記録材の通過が検知されると、本実施形態では所定の時間が経過した後に一端搬送動作を中断する。その結果、記録材は、停止している再給紙ローラ264に突き当たり搬送が一時停止されるが、その際記録材の進行方向端部が搬送経路に対して垂直になるように位置が固定され、記録材の搬送方向が再給紙パス内の搬送経路に対してずれる斜行が補正される。以下では、この処理を再位置補正と称する。
再位置補正は、以降の記録材裏面に対する画像形成方向の傾きを最小化するために必要となる。再位置補正後、再給紙ローラ264を起動させることにより、記録材は、表裏が逆転した状態で再度給紙パス266上に搬送される。その後の画像形成動作については、上述した表面の画像形成動作と同じであるためここでは省略する。このように表裏両面に画像形成された記録材は、そのまま排紙フラッパ257より排紙パス258側に搬送パスが切り替えられることにより、排紙トレー242に排紙される。
なお、本画像形成部300においては、両面印刷時においても、記録材の連続給送が可能である。しかしながら、記録材への画像形成や形成されたトナー像の定着などを行うための装置は1系統しか有していないため、表面への印刷と裏面への印刷を同時に行うことはできない。したがって、両面印刷時においては、画像形成部300に対し、カセット240、241及び手差し給紙部253からの記録材と、裏面印刷のために反転させて画像形成部に再度給送された記録材とは交互に画像形成されることとなる。
本画像形成部300は、図4に示す各制御負荷を、後述する搬送モジュールA280、搬送モジュールB281、作像モジュール282、定着モジュール283という4つの制御ブロックに分けて各々が自律的に制御されている。さらに、これらの4つの制御ブロックを統括して画像形成装置として機能させるためのマスタモジュール284を有する。以下では、各モジュールの制御構成について図6を用いて説明する。
図6は、第1の実施形態に係るマスタCPU、サブマスタCPU及びスレーブCPUの関連を模式的に示す図である。本実施形態において、マスタモジュール284に備えられるマスタCPU(マスタ制御部/第1層制御部)1001は、プリンタ制御I/F215を介してコントローラ460より送られる指示及び画像データに基づいて画像形成装置1000の全体を制御する。また、画像形成を実行するための搬送モジュールA280、搬送モジュールB281、作像モジュール282、及び定着モジュール283は、各機能を制御するサブマスタCPU(サブマスタ制御部/第2層制御部)601、901、701、801を備える。サブマスタCPU601、901、701、801はマスタCPU1001により制御される。さらに、各機能モジュールは、さらに、各機能を実行するための制御負荷を動作させるためのスレーブCPU(スレーブ制御部/第3層制御部)602、603、604、605、902、903、702、703、704、705、706、802、803を備える。スレーブCPU602、603、604、605はサブマスタCPU601に、スレーブCPU902、903はサブマスタCPU901に、スレーブCPU702、703、704、705、706はサブマスタCPU701に、スレーブCPU802、803はサブマスタCPU801に制御される。
図6に示すように、マスタCPU1001と複数のサブマスタCPU601、701、801、901は共通のネットワーク型通信バス(第1信号線)1002によってバス接続される。サブマスタCPU601、701、801、901同士の間もネットワーク型通信バス(第1信号線)1002によってバス接続される。なお、マスタCPU1001と複数のサブマスタCPU601、701、801、901はリング接続されるものでもよい。サブマスタCPU601は、さらに、高速シリアル通信バス(第2信号線)612、613、614、615を介して、複数のスレーブCPU602、603、604、605のそれぞれと1対1接続(ピアツーピア接続)されている。同様に、サブマスタCPU701は、高速シリアル通信バス(第2信号線)711、712、713、714、715を介して、それぞれスレーブCPU702、703、704、705、706と接続される。サブマスタCPU801は、高速シリアル通信バス(第2信号線)808、809を介して、それぞれスレーブCPU802、803と接続される。サブマスタCPU901は、高速シリアル通信バス(第2信号線)909、910を介して、それぞれスレーブCPU902、903と接続される。ここで、高速シリアル通信バスは、短距離高速通信に用いられる。
本実施形態に係る画像形成装置1000において、タイミングに依存した応答性が必要とされる制御に関しては、各サブマスタCPUに統括された機能モジュール内で実現されるように機能分割されている。そのため、末端の制御負荷を駆動するための各スレーブCPUと各サブマスタCPUとの間の通信は、応答性のよい高速シリアル通信バスによって接続されている。つまり、上記第2信号線には、上記第1信号線よりもデータ転送のタイミング精度が高い信号線が用いられる。
一方、サブマスタCPU601、701、801、901とマスタCPU1001との間では、精密な制御タイミングを必要としない、画像形成動作の大まかな処理の流れを統括するようなやり取りだけが行われる。例えば、マスタCPU1001はサブマスタCPUに、画像形成前処理開始、給紙開始、画像形成後処理開始といった指示を出す。また、マスタCPU1001はサブマスタCPUに、コントローラ460から指示されたモード(例えばモノクロモードや両面画像形成モードなど)に基づいた指示を画像形成開始の前に出す。サブマスタCPU601、701、801、901のそれぞれの間でも、精密なタイミング制御を必要としないやり取りだけが行われる。すなわち、画像形成装置の制御を、相互に精密なタイミング制御を必要としない制御単位に分け、それぞれのサブマスタCPUがそれぞれの制御単位を精密なタイミングで制御する。これにより、本画像形成装置1000では、通信トラフィックを最小限に抑え、低速で安価なネットワーク型通信バス1002で接続することを可能としている。なお、マスタCPU、サブマスタCPU、及びスレーブCPUについては、実装される制御基板が必ずしも一律である必要はなく、装置実装上の事情に合わせて可変的に配置させることが可能である。
次に、図7を参照して、本実施形態における具体的なマスタCPU、サブマスタCPU、スレーブCPUの基板構成上の配置について説明する。図7は、第1の実施形態に係る画像形成装置1000の制御基板の一例を示す図である。
本実施形態によれば、図7に示すように、様々な制御基板の構成を採用することができる。例えば、サブマスタCPU601とスレーブCPU602、603、604、605とは、同一の基板上に実装されている。また、サブマスタCPU701及びスレーブCPU702、703、704、又は、サブマスタCPU801及びスレーブCPU802、803のように、サブマスタCPUと個々のスレーブCPUが独立の基板として実装されてもよい。また、スレーブCPU705、706のように一部のスレーブCPUが同一の基板上に実装されてもよい。また、サブマスタCPU901及びスレーブCPU902のように、サブマスタCPUとスレーブCPUの一部だけが同一基板上に配置されてもよい。
<各制御モジュールの構成>
次に、図8乃至図11を参照して、各制御モジュールに関する機能と構成について詳細に説明する。図8は、第1の実施形態に係る搬送モジュールA280の構成例を示す図である。
搬送モジュールA280は、カセット240、241及び手差し給紙部253に格納された記録材を停止したレジストローラ255のニップ部に突き当てるまでの給紙制御(給送機能)を司っている。搬送モジュールA280は、給紙制御を統括的に制御するサブマスタCPU601と、各制御負荷の駆動を行うスレーブCPU602、603、604、605とを含む。また、各スレーブCPUには、直接制御される制御負荷群が接続されている。
スレーブCPU602は、カセット240に関連したピックアップローラ238を駆動させるための駆動源モータ606、シートなし検知センサ243、及び給紙センサ247を制御負荷とし、給紙パス266に記録材を引き渡すまでの制御を行う。スレーブCPU603は、カセット241に関連したピックアップローラ239を駆動させるための駆動源モータ607、シートなし検センサ244、給紙センサ248を制御負荷とし、給紙パス266に記録材を引き渡すまでの制御を行う。スレーブCPU604は、手差し給紙部253に関連したピックアップローラ254を駆動させるための駆動源モータ608、シートなし検センサ245、給紙センサ249を制御負荷とし、給紙パス266に記録材を引き渡すまでの制御を行う。スレーブCPU605は、給紙ローラ対235、236、237を駆動させるための駆動源モータ609、610、611、レジストセンサ256を制御負荷とする。また、スレーブCPU605は、これらの制御負荷を制御して、カセット240、241、手差し給紙部253から引き渡された記録材をレジストローラ255のニップ部に突き当てるまで搬送し、一時停止させるまでの制御を行う。なお、本実施形態では、サブマスタCPU601とスレーブCPU602、603、604,605は各々独立の高速シリアル通信バス612、613、614、615により1対1で対向接続されている。
図9は、第1の実施形態に係る作像モジュール282の構成例を示す図である。作像モジュール282は、電子写真プロセスによって形成されたフルカラートナー像を転写ベルト226に転写させ、さらに搬送モジュールA280より引き渡された記録材に再転写させるまでの作像制御(画像形成機能)を司っている。作像モジュール282は、作像制御を統括的に制御するサブマスタCPU701と、各制御負荷を駆動するスレーブCPU702、703、704、705、706とを含む。また、各スレーブCPUには、直接制御される制御負荷群が接続されている。
スレーブCPU702は、露光装置218K、現像装置223K、一次帯電装置221K、転写装置220K、クリーナ装置222K、及び除電装置271Kを制御負荷とし、ブラック色のトナー像を転写ベルト226に転写させるまでの制御を行なう。スレーブCPU703は、露光装置218M、現像装置223M、一次帯電装置221M、転写装置220M、クリーナ装置222M、及び除電装置271Mを制御負荷とし、マゼンタ色のトナー像を転写ベルト226に転写させるまでの制御を行なう。スレーブCPU704は、露光装置218C、現像装置223C、一次帯電装置221C、転写装置220C、クリーナ装置222C、及び除電装置271Cを制御負荷とし、シアン色のトナー像を転写ベルト226に転写させるまでの制御を行なう。スレーブCPU705は、露光装置218Y、現像装置223Y、一次帯電装置221Y、転写装置220Y、クリーナ装置222Y、除電装置271Cを制御負荷とし、シアン色のトナー像を転写ベルト226に転写させるまでの制御を行う。
スレーブCPU706は、転写ベルト226を回転駆動させるローラ227のモータ708、2次転写装置231を駆動させる高圧信号出力器、転写ローラ脱着ユニット250及びレジストローラを駆動させる駆動源モータ709、710を制御負荷とする。また、スレーブCPU706は、これらの制御負荷を制御して、転写ベルト226上に多重転写された4色トナー像を2次転写装置231で記録材へ再転写させるまでの制御を行なう。なお、本実施形態では、サブマスタCPU701とスレーブCPU702、703、704,705、706は各々独立の高速シリアル通信バス711、712、713、714,715により1対1で対向接続されている。
図10は、第1の実施形態に係る定着モジュール283の構成例を示す図である。定着モジュール283は、作像モジュール282によりトナー像が転写された記録材を定着装置234に給送し、トナー像を記録材に熱定着させるまでの定着制御(定着機能)を司っている。定着モジュール283は、定着制御を統括的に制御するサブマスタCPU801と、各制御負荷を駆動するスレーブCPU802、803とを含む。また、各スレーブCPUには、直接制御される制御負荷群が接続されている。
スレーブCPU802は、定着搬送ベルト230を回転させるための駆動源モータ804、定着ローラ233を回転させるための駆動源モータ805を制御負荷とし、2次転写装置231から定着後の搬送パスに記録材を引き渡すまでの制御を行う。スレーブCPU803は、定着装置234における加熱ヒータ806、温度検知サーミスタ807、及び定着前帯電器251、252を制御負荷とする。スレーブCPU803は、これらの制御負荷を制御して、定着前帯電器251、252で定着ローラ233を帯電させ、温度検知サーミスタ807の検知結果をフィードバックさせながら、最適なヒータ加熱を行い定着装置234の定着温調制御を行う。なお、本実施形態では、サブマスタCPU801とスレーブCPU802、803は、各々独立の高速シリアル通信バス808、809により1対1で対向接続されている。
図11は、第1の実施形態に係る搬送モジュールB281の構成例を示す図である。搬送モジュールB281は、定着モジュール283により画像定着後の記録材を引き受け、画像形成部300の外部に排紙するまでの排紙制御(排出機能)、又は裏面印刷を行うために記録材の表裏を反転させて改めて搬送モジュールA280に引き渡すまでの裏面反転制御(反転機能)を司っている。搬送モジュールB281は、排紙制御及び裏面反転制御を統括的に制御するサブマスタCPU901と、各制御負荷を駆動するスレーブCPU902、903とを含む。また、各スレーブCPUには、直接制御される制御負荷群が接続されている。
スレーブCPU902は、排紙フラッパ257を切り替えるためのソレノイド904、排紙ローラ270を駆動させるための駆動源モータ905、反転ローラ260を駆動させるための駆動源モータ906、センサ269を制御負荷とする。スレーブCPU902は、これらの制御負荷を制御し、定着後の搬送パスから記録材を機外に排出するか、又は両面反転パス261に引き渡すまでの制御を行う。スレーブCPU903は、両面パス搬送ローラ262を駆動させるための駆動源モータ907、再給紙ローラ264を駆動させるための駆動源モータ908、再給紙センサ265を制御負荷とする。スレーブCPU903は、これらの制御負荷を制御し、反転パスより引き渡された記録材を再度給紙パス266に引き渡すまでの制御を行う。なお、本実施形態では、サブマスタCPU901とスレーブCPU902、903は、各々独立の高速シリアル通信バス909、910により1対1で対向接続されている。
本実施形態においては、上述した4つのサブモジュールの自律的な動作を組み合わせることによって記録材への画像形成制御を実現している。しかし、実際の画像形成動作は給紙段/用紙サイズの選択や、片面/両面印刷の指定、白黒印刷/カラー印刷の指定などの組み合わせに応じていくつかのパターンに分かれる。操作部10や、外部I/F465を介して操作者が予め設定を行うことにより、具体的な指示が入力されるが、その指示に基づいて操作者が所望する動作を実現する上では各モジュールを統合的に動作させるための全体制御が必要となる。本実施形態においては、マスタモジュール284におけるマスタCPU1001がサブマスタCPU601、701、801、901を統括的に制御する。ここで、マスタCPU1001による全体制御の大きな流れは、低速なネットワーク型通信バス1002を介したマスタCPU1001とサブマスタCPU601、701、801、901との間の通信によるコマンドのやり取りにより実現される。さらに、高速シリアル通信バスによるサブマスタCPU601、701、801、901とスレーブCPU602、603、604、605、702、703、704、705、706、802、803、902、903との間の対向通信によるコマンドのやり取りによって実現される。
<制御フロー>
次に、図12を参照して、本実施形態に係る画像形成装置1000の制御フローについて説明する。図12は、第1の実施形態に係る画像形成装置1000の制御フローを示すシーケンス図である。なお、図12に示すシーケンス図は、1枚の記録材に対して画像形成を行う場合を想定している。
まずステップS1201において、マスタCPU1001は、画像形成を開始する前に各サブマスタCPU601、701、801、901に対して画像形成前処理の開始を指示する。その後、ステップS1202、S1203、S1204、S1205において、各サブマスタCPU601、701、801、901は、画像形成を行うための前処理を実行する。具体的には、サブマスタCPU601では給紙前処理が実行され、サブマスタCPU701では作像前処理が実行され、サブマスタCPU801では定着前処理が実行され、サブマスタCPU901では搬送前処理が実行される。
次に、ステップS1206aにおいて、マスタCPU1001は、操作部10や、外部I/F465からの操作者の指示に応じて1枚目の記録材の給紙開始をサブマスタCPU601に指示する。
給紙開始の指示を受けると、ステップS1207aにおいて、サブマスタCPU601は、給紙処理を開始する。給紙処理においては、カセット240、241、手差し給紙部253のいずれかに載置された記録材をレジストローラ255の位置まで搬送し一時停止させる。その後、ステップS1208aにおいて、サブマスタCPU601は、一定時間が経過すると、サブマスタCPU701に対して作像開始を指示する。
作像開始の指示を受けたサブマスタCPU701は、ステップS1209aにおいて、停止させているレジストローラ255を回転させて記録材の搬送を開始するとともに、感光体225への作像処理と転写ベルト226及び記録材への転写処理を実行する。このように、レジストローラ255からの記録材の搬送処理と作像・転写処理を1つのサブマスタCPUが制御するようにすることで、精密なタイミング制御が要求される記録材と画像の位置合わせが可能となる。また、レジストローラ255までの記録材の給紙処理とレジストローラ255からの記録材の搬送処理を異なるサブマスタCPUにより制御しても、サブマスタCPU間の通信の遅延は、レジストローラ255での記録材の停止期間で吸収される。その後、ステップS1210aにおいて、サブマスタCPU701は、一定時間が経過し、画像形成された記録材が定着装置234に向かうことが確定すると、サブマスタCPU801に定着開始を指示する。
定着開始の指示を受けたサブマスタCPU801は、ステップS1211aにおいて、記録材の熱定着処理を実行する。定着モジュール283の駆動開始は精密なタイミングが要求されないため、作像・転写処理と熱定着処理を異なるサブマスタCPUにより制御しても、サブマスタCPU間の通信の遅延は問題ない。その後、ステップS1212aにおいて、サブマスタCPU801は、一定時間が経過し、定着された記録材が排紙ローラ270に向かうことが確定すると、サブマスタCPU901に排紙開始を指示する。
排紙開始の指示を受けたサブマスタCPU901は、ステップS1213aにおいて、記録材の排紙処理を実行する。搬送モジュールB281の駆動開始は精密なタイミングが要求されないため、熱定着処理と排紙処理を異なるサブマスタCPUにより制御しても、サブマスタCPU間の通信の遅延は問題ない。その後、ステップS1214aにおいて、サブマスタCPU901は、排紙を完了すると、マスタCPU1001にその旨を通知する。
排紙完了の通知を受けたマスタCPU1001は、ステップS1215において、各サブマスタCPU601、701、801、901に対して画像形成後処理の開始を指示する。その後、ステップS1216、S1217、S1218、S1219において、各サブマスタCPU601、701、801、901は、画像形成を終了するための後処理を実行する。具体的には、サブマスタCPU601では給紙後処理が実行され、サブマスタCPU701では作像後処理が実行され、サブマスタCPU801では定着後処理が実行され、サブマスタCPU901では搬送後処理が実行される。
上述したシーケンスにおいては、1枚の記録材に対する給紙から排紙までの一連の画像形成処理について説明した。一方、複数枚の記録材に対して、連続して画像形成を実行する場合には、例えば、図12のステップS1206b〜1214bに示すように、1枚目の記録材の画像形成開始から所定時間が経過した後に連続して画像形成を実行することができる。この場合、記録材の枚数に応じて、ステップS1206b〜1214bの処理が繰り返し実行されることとなる。
このとき、給紙開始を指示する間隔は、実際の記録材の給紙間隔よりも短いことが期待される。しかし、記録材の細かな給紙タイミングに関しては、サブマスタCPU601が統括する搬送モジュールAにおいて規定されるため、マスタCPU1001ではタイミングを厳密に保証する必然性はない。
同様に連続給紙される記録材に対する作像開始を指示する間隔についても、ある一定の作像間隔(即ち、生産性)を達成するためには作像開始指示が実際の記録材の作像間隔よりも短いことが期待される。しかし、記録材の細かな作像タイミングに関しては、サブマスタCPU701が統括する作像モジュールにおける作像制御の実行において規定されるため、サブマスタCPU601ではタイミングを厳密に保証する必然性はない。作像制御実行時のコマンドフローのやり取りについては後で詳細に説明する。
また、同様に上述した給紙及び作像開始以外のマスタCPU1001と、サブマスタCPU601、701、801、901との間のトリガコマンドのやりとりに関しても、処理開始を行う旨を大まかに伝えるためだけのものである。つまり、制御上の細かな処理手続きを規定するものではないため単位時間当りのコマンドの発行頻度はそれほど密ではなく、かつ夫々のコマンド送信タイミングを厳密に保証する必然性もない。
したがって、マスタCPU1001とサブマスタCPU601、701、801、901とを接続しているネットワーク型通信バス1002は、通信周期が10msec程度の比較的通信速度の低い安価な通信バスを適用することが可能である。このような通信バスには、例えば、長距離低速通信に用いられるLIN通信バス(Local Interconnect Network:ローカル・インタコネクト・ネットワーク通信バス)やI2C通信バス(Inter−Integrated Circuit:インタ・インテグレイテッド・サーキット通信バス)などがある。
また、信頼性を重視し、CAN通信バス(Control Area Network:コントロール・エリア・ネットワーク通信バス)などのネットワーク通信バスを用いることも可能である。しかし、この場合においても単位時間当たりの通信データ量は、比較的少なくすることができるため通信レートを低く設定することができ、通信の信頼性をより高めることが可能となる。特に本実施形態では、マスタCPU1001とサブマスタCPU601、701、801、901とが搭載された制御CPU基板は物理的に離れた位置に配置されており、そのため相互の通信ネットワークケーブルは非常に長くなる。通信ネットワークケーブルが長いほど、ネットワークの通信レートが高いほど、外来ノイズの影響を受けやすい。そのため外来ノイズへの耐性を考えても、ネットワークの通信レートを低く設定することは有用であると考えられる。
次に、図13を参照して、本実施形態におけるサブマスタCPUとスレーブCPUとの処理について説明する。図13は、第1の実施形態に係る作像モジュール282が作像開始の指示を受けた際の処理(1枚分)を示すシーケンス図である。ここでは、サブマスタCPUとスレーブCPUとの処理の一例として、作像モジュール282のサブマスタCPU701及びスレーブCPU702、703、704、705の処理について説明する。
まずステップS1301K、M、C、Yにおいて、サブマスタCPU701は、サブマスタCPU601から作像開始の指示を受けると、スレーブCPU702、703、704、705に対して現像ローラを回転駆動させるための指示を発行する。さらに、ステップS1302K、M、C、Yにおいて、サブマスタCPU701は、現像バイアスを画像形成時の所定の高圧値に設定する指示を発行する。現像バイアスの設定は、特にK、M、C、Yでのステーション間のタイミングに依存しないため、コマンドが受理されたと同時に4ステーション全てをONにする。また同時にスレーブCPU706に対して転写ローラ駆動を開始するためのトリガコマンド(1303)が発行される。
続いて、ステップ1304K、M、C、Y、1305K、M、C、Y、1306K、M、C、Y、1307K、M、C、Yにおいて、サブマスタCPU701は、各ステーション毎に画像形成に必要な一連の処理の指示を通知する。具体的には、サブマスタCPU701は、一次帯電ON、露光ON、一次転写ON、除電ONの処理を行なうためのトリガコマンドを各スレーブCPUに対して指示する。ここで、正確な画像形成を行なうためには、これらのトリガコマンドが、所定の周期で精度よく発生される必要がある。本実施形態においては、図13に示すように、一次帯電ONから露光ONの周期はTp−e、露光ONから一次転写ONの周期がTe−t1、一次転写ONから除電ONの周期がTt1−rに設定している。各周期Tは、画像品質や生産性を考慮して予め設定されている。
またスレーブCPU702、703、704、705に対しては、感光体225K、M、C、Yの配置上の位置ずれを考慮した遅延周期Tstずつコマンド発行タイミングをシフトさせる必要がある。このタイミングシフトを精度よく実現しないと各ステーション間の画像印字パターンのずれ(いわゆる色ずれ)の原因となる。
次に、サブマスタCPU701は、転写ベルト上に画像形成されたトナー像を記録材に2次転写させる。そのため、ステップS1308において、サブマスタCPU701は、スレーブCPU706に対して、2次転写開始時に記録材が2次転写装置231の位置に到達しているタイミングでレジストローラ255を駆動させるための駆動源モータ710を回転駆動させるレジオンコマンドを発行する。さらに、ステップS1309、S1310において、サブマスタCPU701は、スレーブCPU706に対して、2次転写装置231を転写ベルト226に当接させる二次転写脱着(着)コマンド及び2次転写開始コマンドを発行する。
ここで、転写ベルト226上の画像を記録材の所望の位置に正しく転写させるためには、二次転写開始コマンド及びレジオンコマンドを所定の周期で精度よく発行する必要がある。本実施形態においては、図13に示すように、除電ONから駆動源モータ710ONの周期をTr−reg、駆動源モータ710のONから二次転写ONの周期をTreg−t2と設定する。
上述したように、各サブマスタCPUと各スレーブCPUとの間の処理フローでは、マスタCPU1001と各サブマスタCPUとの間の処理フローと比較して、発行される指示コマンドがある単位時間以内にかなりの精度で密にやり取りされる必要がある。また、複数枚の記録材に連続して画像形成を行うためには、これらの一連の処理をある一定周期で繰り返し実行する必要があり、この時の処理周期に遅延やばらつきが発生すると、画像形成装置の生産性に影響を及ぼすこととなる。つまり、サブマスタCPUとスレーブCPUとの間の処理フローは、装置の性能を保証する上で重要な要因となりうる。
そこで、本実施形態では、サブマスタCPU701とスレーブCPU702〜706との通信を独立でかつ通信周期10μsec程度の性能を確保するため、高速シリアル通信バス711〜715が用いられる。すなわち、マスタCPU1001とサブマスタCPU601、701、801、901の間を所定の通信速度で接続した場合、サブマスタCPU701とスレーブCPU702〜706の間は、これよりも高い通信速度で接続される。さらに、高速シリアル通信バス711〜715は、サブマスタCPU701とスレーブCPU702〜706とを1対1で対向接続するように配線される。これにより、サブマスタCPU701とスレーブCPU702、703、704、705、706との間の通信遅延ロスを限りなくゼロに近づけることができ、コマンドのやり取りにおけるタイミングのばらつきを抑え、タイミング制御の精度を高めることができる。よって、本画像形成装置は、画像形成時の画像品質や連続印刷時の生産性を向上することができる。
このような高速のシリアル通信においては、マスタCPU1001とサブマスタCPU601、701、801、901との間に適用した場合、コストアップや通信レートが上がることによるノイズなどへの脆弱性に繋がる可能性がある。しかしながら、サブマスタCPU701とスレーブCPU702、703、704、705、706との間は、配置構成上において、比較的近いところに搭載される可能性が高い。したがって、サブマスタCPUとスレーブCPUとの間の通信バスを長くする必要がないため、高速通信を行うために必要となる導電性の高い高価なバスケーブルを引き回す距離を限りなく短くできる。また通信レートを高くした場合に懸念される高周波ノイズの発生範囲を局所的に絞り込むことが可能となるため、ノイズ対策などの費用も安価に抑えることができ、コストの増大を抑制することがきる。
また、サブマスタCPU701は、ある機能モジュールに関わる部分だけの制御を行うという位置づけであることから、支配下のスレーブCPU702、703、704、705、706の個数は限られ、高速なシリアル通信を対向で接続するという構成は十分な実現性を有している。
また、これまでは図13を用いてサブマスタCPU701とスレーブCPU702、703、704、705、706の構成に特化した説明を行なってきたが、それ以外のサブマスタCPU601、801、901とスレーブCPUとの間の通信においても同様の構成が適用できる。
<第2の実施形態>
次に、図14を参照して、第2の実施形態について説明する。図14は、第2の実施形態に係る搬送モジュールA280の構成例を示す図である。ここでは、第1の実施形態で説明した図8と同様の構成については同一の番号を付し説明を省略する。
第1の実施形態においては、給紙パス266が複数の記録材を同時に引き受けることが可能な構成にはなっていない。つまり、給紙パス266には、カセット240、241、手差し給紙部253のいずれかに格納された記録材が順次1枚ずつ引き渡されることとなる。したがって、本実施形態では、給送部であるカセット240、241、手差し給紙部253に関する制御を行うスレーブCPU602、603、604については、高速なシリアルバスを対向で接続する必要はない。スレーブCPU602、603、604は、1本のシリアルバス616によりサブマスタCPU601とカスケード接続する構成としてもよい。例えば、図14に示すように、サブマスタCPU601と、スレーブCPU602、603、604とを1対多接続(バス接続)するようにしてもよい。このような構成をとることで、サブマスタCPU601とスレーブCPU602、603、604との間の通信バス線をより少なくすることができ、さらなる束線の削減を実現できる。なお、サブマスタCPU601とスレーブCPU605はシリアルバス616とは独立なシリアルバス615によって接続されている。これは、スレーブCPU605がカセット240、241、手差し給紙部253のいずれかより給紙される記録材を所定のタイミングで引き受ける必要があるため、スレーブCPU602、603、604との間よりもより正確なタイミング制御を行う必要があるためである。