JP5403847B2 - 耐汚染性付与組成物、塗料組成物および該塗料組成物から得られる塗膜 - Google Patents
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Description
この方法により、形成した塗膜の親水性が向上し、油性の汚染物質の付着防止に効果があり、また、付着した汚染物質を降雨等の水滴で洗い流すことが可能である。しかしながら、上記方法を水性塗料に適用した場合、オルガノシリケートの水性塗料への混和性が悪く、表面光沢が低下するという問題があった。
これに対して、オルガノシリケートの水性塗料への混和性を改良する方法として、オルガノシリケートと乳化剤の混合物を添加する方法が開示されている(例えば特許文献2参照)。
本願は、オルガノシリケートの加水分解を防いで塗料の可使時間を保持し、耐汚染性が発現性が低下した塗料は使用できない、あるいは使用するのをためらう様な状態とすることを特徴としたものである。
・(A)成分であるオルガノシリケートが一般式(1)で示される化合物またはその部分加水分解縮合物
(B)分子中に反応性官能基と親水性基を有する水溶性および/または水分散性硬化剤、
(C)有機錫化合物、
(D)アミン化合物からなる耐汚染性付与組成物(請求項1)。
以上の構成によるものである。
本願は、オルガノシリケートの加水分解を防いで塗料の可使時間を保持し、耐汚染性が発現しないあるいは耐汚染性能が低くなった塗料は使用できない、あるいは使用するのをためらう様な状態とすることができる。
調合した塗料を翌日には使わないようにすればよいので、貯蔵安定性の期間の目安としては、24時間が目安として考えられる。なるべくなら20時間、あるいは15時間が好ましい。
(オルガノシリケート)
本発明で使用可能なオルガノシリケート化合物(A)としては、加水分解性珪素基を含有する化合物であり、下記一般式(1)として現される化合物又はその部分分解縮合物である。
具体的化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン及びそれらの部分加水分解・縮合物が例示できる。中でもメチルシリケート51、エチルシリケート45、エチルシリケート40、エチルシリケート48(以上、コルコート(株)製)、シリケート45、シリケート40(以上、多摩化学工業(株)製)が望ましい。上記化合物は1種単独でもよく、2種以上を併用しても良い。
上記水溶性および/または水分散性硬化剤の機能としては、分子中の反応性官能基が水性塗料中に配合されているバインダー成分および/またはその他の配合剤、さらには硬化剤自身で反応することにより、得られた塗膜の耐水性、耐候性および密着性を向上させることができる。
また、水溶性および/または水分散性硬化剤は、分子内に親水性基を有することにより得られる耐汚染性付与組成物が水性塗料中に均一に分散させることができる。
(ブロック)イソシアネート基を有するビニル系単量体としては、例えば、2−メタクイロイルオキシエチルイソシアネート、メタクリル酸−2−(O−[1´−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、m−イソプロペニル−α、αジメチルベンジルイソシアネートなどがあげられる。
α、β−エチレン性不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、フタル酸、シトラコン酸などがあげられる。
ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート塩酸塩としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミンエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートおよびその塩酸塩があげられる。
エポキシ基を有するビニル系単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、ダイセル化学工業(株)製のM−GMA、Cyclomer M−100、Cyclomer A−200、Cyclomer M−101、セロキサイド2000などがあげられる。
アルコキシシリル基を含有するビニル系単量体としては、具体例として、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロキシジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリ−n−プロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、β−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン等があげられる。
アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジオヒド ヒドラジド基を有する水溶性および/または水分散性硬化剤は、例えば、カルボヒドラジド、ラジド、アミノポリアクリルアミドなどがあげられる。 上記水溶性および/または水分散性硬化剤の使用量は、オルガノシリケート化合物(A)100重量部に対し、5〜300部、更には10〜150部が好ましい。
5重量部未満では、耐汚染性付与組成物が水性塗料中に均一に分散せず、形成した塗膜の光沢値が低下し、また、300重量部以上用いた場合、形成した塗膜の初期タック、硬度が低下する傾向がある。
本発明における(C)成分である有機錫化合物としては、ジオクチル錫ビス(2−エチルヘキシルマレ−ト)、ジオクチル錫オキサイドまたはジブチル錫オキサイドとシリケ−トとの縮合物、ジブチル錫ジオクトエ−ト、ジブチル錫ジラウレ−ト、ジブチル錫ジステアレ−ト、ジブチル錫ジアセチルアセトナ−ト、ジブチル錫ビス(エチルマレ−ト)、ジブチル錫ビス(ブチルマレ−ト)、ジブチル錫ビス(2−エチルヘキシルマレ−ト)、ジブチル錫ビス(オレイルマレ−ト)、スタナスオクトエ−ト、ステアリン酸錫、ジ−n−ブチル錫ラルレ−トオキサイドがある。また、分子内にS原子有する錫化合物としては、ジブチル錫ビスイソノニル−3―メルカプトプロピオネ−ト、ジオクチル錫ビスイソノニル−3−メルカプトプロピオネ−ト、オクチルブチル錫ビスイソノニル−3−メルカプトプロピオネ−ト、ジブチル錫ビスイソオクチルチオグルコレ−ト、ジオクチル錫ビスイソオクチルチオグルコレ−ト、オクチルブチル錫ビスイソオクチルチオグルコレ−トなどが挙げられる。
更に、水中での安定性およびポットライフ後の塗料を用いても接触角が低下するという点から、成分が下記一般式(2)で示される含硫黄有機錫化合物
本発明における(D)成分であるアミン化合物はアルカノールアミン化合物が好ましく、具体的にはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン等が挙げられる。
(D)成分はオルガノシリケート100重量部に対し、0.1〜20重量部配合することができ、好ましくは0.5〜20重量部、更に好ましくは1〜10重量部である。配合量が0.1重量部未満では翌日にゲル化させることが困難であり、20重量部を超えると塗膜の耐水性が低下する傾向がある。
配合可能な有機溶剤(E)としては、エステル類、エーテル類、ケトン類、炭化水素類、アルコール類などが挙げられる。これらの有機溶剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。耐汚染性付与組成物にこれらの有機溶剤を配合することにより、組成物の均一性を向上させる効果がある。また、耐汚染性付与組成物を水性塗料に添加した場合、その分散性を向上させることができる。
なお、親水性基としてポリ(プロピレンオキサイド)基を有している水溶性および/または水分散性硬化剤を用いると、有機溶剤は削除あるいは低減できるので好ましい。
オルガノシリケートに脱水作用があるため、通常、汚染付与組成物中では脱水剤(F)は必要としないが、特に水との反応性が高いオルガノシリケートや水溶性および/または水分散製硬化剤を用いる場合には、脱水剤を配合することが好ましい。
(耐汚染性付与組成物の作製方法)
本発明の耐汚染性付与組成物の作製方法としては、上記(A)〜(D)成分、場合によっては(E)成分および(F)を単純に混合・撹拌することで得る事が可能である。また、他の方法としては、物性に影響を与えない程度に加熱することでも対処可能である。100℃以上の高温にした場合や水分が混入した場合は、(A)成分の縮合反応の進行および/または(B)成分の自己架橋等が起り、耐汚染性付与組成物自体が増粘・ゲル化する可能性もある。また、ゲル化しないまでも水性塗料に添加し形成した塗膜の耐汚染性低下・光沢低下等の機能低下する場合があり、注意が必要である。
本発明に使用可能な合成樹脂のエマルジョンとしては、アクリル樹脂エマルジョン、ウレタン樹脂エマルジョン、ふっ素樹脂エマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョン、ポリエステル樹脂エマルジョン、アルキド樹脂エマルジョン、メラミン樹脂エマルジョンなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。また、これらは単独で使用しても2種以上を併用しても良い。これらの中でコスト、樹脂設計の自由度の高さなどからアクリル樹脂エマルジョンが有利である。
アクリル樹脂エマルジョンとしては、アクリル系単量体、及びアクリル系単量体と共重合可能な単量体とをラジカル共重合により得られるものが使用できる。
また、トリフルオロ(メタ)アクリレート、ペンタフルオロ(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、β−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレートなどのふっ素含有ビニル系単量体を使用することにより高度な撥水・撥油性を有するふっ素含有アクリル系樹脂エマルジョンも作製可能である。
上記のように得られたアルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョンは、本発明のアルコキシシラン化合物の加水分解・縮合を促進する化合物(C)成分が混合された場合、架橋反応が進行し、耐水性・耐候性が良好な塗膜となる。
さらに、本発明の水溶性および/または水分散性硬化剤(B)の反応性官能基と反応しうる官能基を含有するビニル系単量体を共重合することより、得られた塗膜の耐候性、耐水性、付着性などが向上する。
カルボジイミド基を有する水溶性および/または水分散性硬化剤と反応しうる官能基としは、カルボキシル基、アミノ基、水酸基などがあげられる。
アルコキシシリル基を有する水溶性および/または水分散性硬化剤と反応しうる官能基としは、アルコキシシリル基、水酸基などがあげられる。
オキサゾリン基を有する水溶性および/または水分散性硬化剤と反応しうる官能基としは、カルボキシル基等があげられる。
ヒドラジド基を有する水溶性および/または水分散性硬化剤と反応しうる官能基としは、カルボニル基等があげられる。
本発明における耐汚染性付与組成物と水性塗料の混合方法としては、直接、水性塗料に耐汚染性付与組成物を添加すればよい。予め、合成樹脂のエマルジョンに耐汚染性付与組成物を添加し、塗料配合剤を配合し、水性塗料とすることも可能であるが、予め作製しておいた水性塗料に塗装直前に本発明の耐汚染性付与組成物を添加する方法が挙げられる。この方法では塗料を塗布した際の塗膜の物性変化が少なくて好ましい。この方法であれば、安定して優れた耐汚染性と高い光沢を有する塗膜を形成させることが可能である。また、上記両方の方法を併用することも可能である。即ち、合成樹脂のエマルジョンに耐汚染性付与組成物を添加した水性塗料に塗装前に更に耐汚染性付与組成物を添加する方法である。
また、アルコキシシリル基含有樹脂をバインダー成分とする塗料に耐汚染性付与組成物を用いる場合には、水性塗料中の樹脂固形分100重量部に対し、耐汚染性付与組成物中の水溶性および/または水分散性硬化剤(B)を3〜20重量部になるように添加することが好ましい。
(耐汚染性付与組成物の製造方法:製造例1〜6)撹拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた容器に表1に示す成分を(E)、(B)、(C)、(F)、(A)、(D)の順序で撹拌しながら、投入した(用いない成分がある場合はその成分の投入をせず、次の成分を投入した)。
投入終了後、30分撹拌し、製造例1〜6の耐汚染性付与組成物を得た。得られた耐汚染性付与組成物を透明容器に入れ、目視にて分離・沈降がないかを確認し、分離・沈降がないものを○とした。
シリケート45: エチルシリケート部分加水分解縮合物(シリカ残量比率45%)(多摩化学工業(株)製)
エチルシリケート40: エチルシリケート部分加水分解縮合物(シリカ残量比率40%)(コルコート(株)製)
カルボジライトV−04B: 水溶性ポリカルボジイミド(日清紡積(株)製)
SR−TPG: ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(阪本薬品工業(株)製)
デナコールEX−920: トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製)
U−15: ジブチル錫ジオレイルマレート(日東化成(株)製)
アディティブTI: 単官能イソシアネート(住化バイエルウレタン(株)製)。
撹拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた反応容器に、脱イオン水200重量部、Newcol−707SF(日本乳化剤(株)製:有効成分30%)0.16重量部、炭酸水素ナトリウム0.05重量部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ50℃に昇温した。昇温後、表2(E−1)のコア部に示すモノマーの混合物のうち12重量部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.14重量部、ロンガリット0.4重量部を添加し、30分間初期重合を行った。上記モノマー混合物の残り268重量部にアクアロンBC0515(第一工業製薬(株)製:有効成分15%)9.7重量部、アクアロンRN2025(第一工業製薬(株)製:有効成分20%)2.7重量部および脱イオン水66重量部を加え乳化したモノマー乳化液とt−ブチルハイドロパーオキサイド0.20重量部を145分かけて等速追加した。
撹拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた反応容器に、脱イオン水200重量部、Newcol−707SF(日本乳化剤(株)製)1.0重量部、炭酸水素ナトリウム0.05重量部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ50℃に昇温した。昇温後、表2(E−2)のコア部に示すモノマーの混合物のうち20重量部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.14重量部、Bruggolite FF−6 0.5重量部を添加し、30分間初期重合を行った。上記モノマー混合物の残り180重量部にアデカリアソープSR−10(旭電化工業(株)製:有効成分100%)3重量部、アデカリアソープER−20(旭電化工業(株)製:有効成分75%)1.9重量部、および脱イオン水64重量部を加え乳化したモノマー乳化液とt−ブチルハイドロパーオキサイド0.14重量部、100分かけて等速追加した。
・塗膜作製
表4に示す配合にて作製した水性塗料に本発明の耐汚染性付与組成物を添加し(重量部)、添加後すぐ、3時間後、6時間後の塗料をそれぞれ6ミルのアプリケーターでガラス板に塗装し、7日間室温で養生した。表5に物性評価結果を示す。
・塗膜の水接触角の測定
耐汚染性の指標となる塗膜の水接触角を接触角測定機(協和界面科学(株)製:CA−S150型)を用い測定した。評価は、上記作製サンプルを水に7日間浸漬後に実施した。
・ポットライフ24時間後の塗料状態
上記塗料にアルミホイルを軽くかぶせ、室温にて24時間放置した。放置後の塗料の状態を目視にて観察した。
A:ゲル化している状態
B:増粘が激しく、流動性がほとんどない状態
C:変化がない、あるいはやや増粘した状態であるが、塗装が可能な状態
Claims (9)
- (A)成分であるオルガノシリケートが一般式(1)で示される化合物またはその部分加水分解縮合物100重量部
(式中、Rは同じかまたは異なり炭素数1〜4のアルキル基である)、
(B)分子中に反応性官能基と親水性基を有する水溶性および/または水分散性硬化剤、
(C)有機錫化合物0.1〜20重量部、
(D)アミン化合物0.5〜20重量部からなり、有機溶剤(E)及び/又は脱水剤(F)を含有してもよく、
前記反応性官能基は、(ブロック)イソシアネート基、エポキシ基、又は、カルボジイミド基であり、
前記親水性基は、ポリオキシアルキレン基、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、又は、スルホン酸(塩)基であり、
バインダ成分として合成樹脂のエマルジョンを含有する塗料に対する耐汚染性付与組成物。 - (C)成分が一般式(2)で示される含硫黄有機錫化合物
(式中、R1、R2は同じかまたは異なり炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐したアルキル基、R3、R4は同じかまたは異なり直鎖あるいは分岐した炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基から選ばれる炭化水素基である)であることを特徴とする請求項1に記載の耐汚染性付与組成物。 - (B)成分の親水性基の1部または全部がポリオキシプロピレン基を含有する請求項1又は2に記載の耐汚染性付与組成物。
- (D)成分がアルカノールアミン化合物であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の耐汚染性付与組成物。
- 請求項1〜4いずれか1項に記載された耐汚染性付与組成物と、バインダ成分として合成樹脂のエマルジョンを含有する塗料組成物。
- 前記合成樹脂のエマルジョンがアルコキシシリル基含有重合体のエマルジョンであることを特徴とする請求項5記載の塗料組成物。
- 前記合成樹脂のエマルジョンがポリオキシアルキレン基含有重合体のエマルションであることを特徴とする請求項5又は6に記載の塗料組成物。
- 前記水溶性および/または水分散性硬化剤(B)がオルガノシリケート化合物(A)100重量部に対して5〜300重量部であることを特徴とする請求項5〜7いずれか1項に記載の塗料組成物。
- 請求項5〜8いずれか1項に記載の塗料組成物から得られる塗膜。
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