JP4780955B2 - 耐汚染性付与組成物、塗料組成物および該塗料組成物から得られる塗膜 - Google Patents
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Si−(OR)4・・・一般式(1)
(式中、Rは同じかまたは異なり炭素数1〜4のアルキル基である)、
(B)分子中に反応性官能基と親水性基を有する水溶性および/または水分散性硬化剤、(C)含硫黄有機錫化合物
(D)アセチレン基含有界面活性剤を含有する塗料の耐汚染性付与組成物(請求項1)。
以上のものである。
(オルガノシリケート)
本発明で使用可能なオルガノシリケート化合物(A)としては、加水分解性珪素基を含有する化合物であり、一般式(1)として現される化合物又はその部分分解縮合物である。
Si−(OR)4・・・一般式(1)
(式中Rは同じか又は異なり炭素数1〜4のアルキル基)
具体的化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン及びそれらの部分加水分解・縮合物が例示できる。中でもエチルシリケート40(コルコート(株)製)、エチルシリケート48(コルコート(株)製)、ESi45(多摩化学工業(株)製)が望ましい。上記化合物は1種単独でもよく、2種以上を併用しても良い。
(分子中に反応性官能基と親水性基を有する水溶性および/または水分散性硬化剤)
上記水溶性および/または水分散性硬化剤を配合することにより得られた塗膜の耐水性、耐候性および密着性を向上させることができる。
また、水溶性および/または水分散性硬化剤は、分子内に親水性基を有することにより得られる耐汚染性付与組成物が水性塗料中に均一に分散させることができる。
(ブロック)イソシアネート基を有するビニル系単量体としては、例えば、2−メタクイロイルオキシエチルイソシアネート、メタクリル酸−2−(O−[1´−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、m−イソプロペニル−α、αジメチルベンジルイソシアネートなどがあげられる。
ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート塩酸塩としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミンエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートおよびその塩酸塩があげられる。
本発明における(C)成分である含硫黄有機錫化合物としては、ジブチル錫チオグリコレート、ジブチル錫ビスイソノニル3−メルカプトプロピオネート、ジブチル錫ビスイソオクチルチオグリコレート、ジブチル錫ビス2−エチルヘキシルチオグリコレート、ジメチル錫ビスドデシルメルカプチド、ジブチル錫ビスドデシルメルカプチド、ジオクチル錫ビスドデシルメルカプチド、ジメチル錫ビス(オクチルチオグルコール酸エステル)塩などが挙げられる。
また、(R1)(R2)Sn(S−R3)(S−R4)で表される有機錫化合物が用いられる。
(式中R1、R2は同じかまたは異なり炭素数が1〜8の直鎖あるいは分岐したアルキル基、R3、R4は直鎖あるいは分岐した炭素数1〜20のアルキル基である)
(C)成分はオルガノシリケート100重量部に対し、0.05〜20重量部配合することができ、好ましくは0.05〜10重量部、更に好ましくは0.1〜10重量部である。配合量が0.05重量部未満では、耐汚染性付与の効果が低く、20重量部を超えると配合物の安定性が低下する。
(アセチレン基含有界面活性剤)
本発明における(D)成分であるアセチレン基含有界面活性剤は、アセチレン基を中央に持ち左右対象の構造をした非イオン性界面活性剤であり、具体的には、日進化学工業(株)製のサーフィノールシリーズやエンバイロジェムが挙げられる。なかでも、サーフィノール104や溶剤で希釈したサーフィノール104E、サーフィノール104H、サーフィノール104PAなどが光沢と好適に使用できる。
(有機溶剤)
配合可能な有機溶剤(E)としては、エステル類、エーテル類、ケトン類、炭化水素類、アルコール類などが挙げられる。これらの有機溶剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。耐汚染性付与組成物にこれらの有機溶剤を配合することにより、組成物の均一性を向上させる効果がある。また、耐汚染性付与組成物を水性塗料に添加した場合、その分散性を向上させることができる。
これらの有機溶剤は環境問題の観点から使用しない方が好ましいが、配合する場合の添加量は、オルガノシリケート100重量部に対し、5〜300重量部程度が好ましい。
なお、親水性基としてポリ(プロピレンオキサイド)基を有している水溶性および/または水分散性硬化剤を用いると、有機溶剤は削除あるいは低減できるので好ましい。
(脱水剤)
オルガノシリケートに脱水作用があるため、通常、汚染付与組成物中では脱水剤(F)は必ずしも必要とするものではないが、特に水との反応性が高いオルガノシリケートや水溶性および/または水分散製硬化剤を用いる場合には、脱水剤を配合することが好ましい。
(耐汚染性付与組成物の作製方法)
本発明の耐汚染性付与組成物の作製方法としては、上記(A)〜(D)成分、場合によっては(E)成分あるいは、(F)成分を用いて単純に混合・撹拌することで得る事が可能である。また、他の方法としては、物性に影響を与えない程度に加熱することでも対処可能である。100℃以上の高温にした場合や水分が混入した場合は、(A)成分の縮合反応の進行および/または(B)成分の自己架橋等が起り、耐汚染性付与組成物自体が増粘・ゲル化する可能性もある。また、ゲル化しないまでも水性塗料に添加し形成した塗膜の耐汚染性低下・光沢低下等の機能低下する場合があり、注意が必要である。
(合成樹脂のエマルジョン)
本発明に使用可能な合成樹脂のエマルジョンとしては、アクリル樹脂エマルジョン、ウレタン樹脂エマルジョン、ふっ素樹脂エマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョン、ポリエステル樹脂エマルジョン、アルキド樹脂エマルジョン、メラミン樹脂エマルジョンなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。また、これらは単独で使用しても2種以上を併用しても良い。これらの中でコスト、樹脂設計の自由度の高さなどからアクリル樹脂エマルジョンが有利である。
上記のように得られたアルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョンは、本発明のアルコキシシラン化合物の加水分解・縮合を促進する化合物(C)成分が混合された場合、架橋反応が進行し、耐水性・耐候性が良好な塗膜となる。
さらに、本発明の水溶性および/または水分散性硬化剤(B)の反応性官能基と反応しうる官能基を含有するビニル系単量体を共重合することより、得られた塗膜の耐候性、耐水性、付着性などが向上する。
カルボジイミド基を有する水溶性および/または水分散性硬化剤と反応しうる官能基としては、カルボキシル基、アミノ基、水酸基などがあげられる。
エポキシ基を有する水溶性および/または水分散性硬化剤と反応しうる官能基としては、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、グリシジル基などがあげられる。
オキサゾリン基を有する水溶性および/または水分散性硬化剤と反応しうる官能基としては、カルボキシル基等があげられる。
ヒドラジド基を有する水溶性および/または水分散性硬化剤と反応しうる官能基としては、カルボニル基等があげられる。
(耐汚染性付与組成物の水性塗料への添加)
本発明における耐汚染性付与組成物と水性塗料の混合方法としては、直接、水性塗料に耐汚染性付与組成物を添加すればよい。予め、合成樹脂のエマルジョンに耐汚染性付与組成物を添加し、塗料配合剤を配合し、水性塗料とすることも可能であるが、予め作製しておいた水性塗料に塗装直前に本発明の耐汚染性付与組成物を添加する方法が挙げられる。この方法では塗料を塗布した際の塗膜の物性変化が少なくて好ましい。この方法であれば、安定して優れた耐汚染性と高い光沢を有する塗膜を形成させることが可能である。また、上記両方の方法を併用することも可能である。即ち、合成樹脂のエマルジョンに耐汚染性付与組成物を添加した水性塗料に塗装前に更に耐汚染性付与組成物を添加する方法である。
撹拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた容器に表1〜2に示す成分を(E)、(B)、(D)、(C)、(F)、(A)、の順序で撹拌しながら、投入した。投入終了後、30分撹拌し、製造例1〜16の耐汚染性付与組成物を得た。得られた耐汚染性付与組成物を透明容器に入れ、目視にて分離・沈降がないかを確認し、分離・沈殿がないものを組成物の状態の評価で〇とした。
・エチルシリケート40:エチルシリケート部分加水分解縮合物(シリカ残量比率40%)
・エチルシリケート45:エチルシリケート部分加水分解縮合物(シリカ残量比率45%)
・エチルイソプロピルシリケート:同一分子中にエチル基75%、イソプロピル基25%を含有するシリケート(シリカ残量比率42%)
・タケネートWD−720(三井武田ケミカル(株)製):水分散型ポリイソシアネート
・カルボジライトV−04B(日清紡製):水溶性ポリカルボジイミド
・デナコールEX−171(ナガセケムテックス(株)製):ラウリルポリオキシエチレングリシジルエーテル
・デナコールEX−832(ナガセケムテックス(株)製):ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル
・エポライト200P(共栄社(株)製):トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル
・アディティブTI(住化バイエルウレタン(株)製):トシルイソシアネート
・SR−TPG:(阪本薬品工業(株)製)トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル
・デナコールEX−920(ナガセケムテックス(株)製):トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル
・サーフィノール104PA(日進化学工業(株)製 アセチレン基含有界面活性剤)
・エンバイロジェムAD01(日進化学工業(株)製 アセチレン基含有界面活性剤)
(アルコキシシリル基含有合成樹脂エマルジョンの合成例1)
撹拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた反応容器に、脱イオン水200重量部、Newcol−707SF(日本乳化剤(株)製:有効成分30%)0.16重量部、炭酸水素ナトリウム0.05重量部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ50℃に昇温した。昇温後、表3(E−1)のコア部に示すモノマーの混合物のうち12重量部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.14重量部、ロンガリット0.4重量部を添加し、30分間初期重合を行った。上記モノマー混合物の残り268重量部にアクアロンBC0515(第一工業製薬(株)製:有効成分15%)9.7重量部、アクアロンRN2025(第一工業製薬(株)製:有効成分20%)2.7重量部および脱イオン水66重量部を加え乳化したモノマー乳化液とt−ブチルハイドロパーオキサイド0.20重量部を145分かけて等速追加した。
(アルコキシシリル基含有合成樹脂エマルジョンの合成例2)
撹拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた反応容器に、脱イオン水200重量部、Newcol−707SF(日本乳化剤(株)製)1.0重量部、炭酸水素ナトリウム0.05重量部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ50℃に昇温した。昇温後、表3(E−2)のコア部に示すモノマーの混合物のうち20重量部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.14重量部、Bruggolite FF−6(Bruggemann Chemical製 還元剤) 0.5重量部を添加し、30分間初期重合を行った。
(水酸基含有合成樹脂エマルジョンの合成例)
モノマーに表3(E−3)を用いた以外は、製造例2と同様に重合を行った(E−3)。
(架橋型合成樹脂エマルジョンの合成例)
モノマーに表3(E−4)を用いた以外は、合成例2と同様に重合を行った。さらに、得られた合成樹脂エマルションにアジピン酸ジヒドラジド6.2部添加し、架橋型アクリルエマルジョンを得た(E−4)。
モノマーに表3(E−5)を用いた以外は、合成例2と同様に重合を行った(E−5)。
モノマーに表3(E−6)を用いた以外は、合成例2と同様に重合を行った(E−6)。
なお、スーパーフレックス410(第1工業製薬(株)製)ウレタン樹脂エマルジョン、
ボンコートEC−856(大日本インキ化学工業(株)製)アクリル樹脂エマルジョン、
ゼッフルSE−310(ダイキン工業(株)製)フッ素樹脂エマルジョンである。
・光沢
作製した水性塗料に本発明の耐汚染性付与組成物を添加し、6ミルのアプリケーターでガラス板に塗装し、7日間室温で養生した。養生後、入射角60°の光沢値を光沢計Multi−Gloss268(ミノルタ(株)製)で測定した。光沢値は、3回測定した値の平均値を算出した。
折り曲げ曝露板(アルミ板)にエスケー#1000プライマー(エスケー化研(株)製、エポキシ系下塗材)を塗装し、室温で1日養生後、各塗料をスプレー塗装した。この試験板の45度面および垂直面の汚れの状態を確認した。汚染性は、大阪府摂津市で北面向き屋外曝露を3カ月実施した曝露前後の明度差の絶対値(ΔL値)を色彩色差計(ミノルタ(株)製:CR300)で測定し、汚染性の尺度とした。ΔL値が小さい方が汚れが少ないことを示す。
○:ΔL値が3〜5
△:ΔL値が5〜8
×:ΔL値が8以上。
水接触角測定サンプル作製
アルミ平板上にエスケー#1000プライマーを塗装し、1日室温で養生後、各塗料をスプレー塗装し、14日間室温で養生した。
耐汚染性の指標となる塗膜の水接触角を接触角測定機(協和界面科学(株)製:CA−S150型)を用い測定した。評価は、上記作製サンプルを水に1日間浸漬後と屋外曝露評価後に実施した。
アレスゴムタイルシーラー(関西ペイント(株)製、塩ゴム系下塗材)したモルタル上にアレスゴムウォール(関西ペイント(株)製、アクリルゴム系防水材)を塗布し、1日養生し、各塗料をスプレー塗装した。この試験体を用いて、JIS A 6909に準じた湿潤冷熱繰り返し試験を行い、10サイクルおよび20サイクル後の塗膜の割れおよびふくれの有無を確認した。
アルミ平板上にエスケー#1000プライマーを塗装し、1日室温で養生後、各塗料をスプレー塗装し、室温で3日間養生後、塗膜のベタツキを評価した。
表6〜8に作製した水性塗料に耐汚染性付与剤(各重量部)を添加した場合の物性評価結果を示す。
Claims (9)
- (A)成分であるオルガノシリケートが下記一般式(1)で示される化合物またはその部分加水分解縮合物
Si−(OR)4・・・一般式(1)
(式中、Rは同じかまたは異なり炭素数1〜4のアルキル基である)、
(B)分子中に反応性官能基と親水性基を有する水溶性および/または水分散性硬化剤、(C)含硫黄有機錫化合物
(D)アセチレン基含有界面活性剤を含有し、
(B)成分の反応性官能基が(ブロック)イソシアネート基、エポキシ基、及びカルボジイミド基から選ばれる1種または2種以上である、
塗料の耐汚染性付与組成物。 - 有機溶剤(E)および脱水剤(F)を含有することを特徴とする請求項1に記載の耐汚染性付与組成物。
- (B)成分の親水性基の1部または全部がポリオキシプロピレン基を含有する請求項1又は2に記載の耐汚染性付与組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載された耐汚染性付与組成物とバインダ成分を含有する塗料組成物。
- 前記バインダーが合成樹脂のエマルジョンであることを特徴とする請求項4記載の塗料組成物。
- 前記合成樹脂のエマルジョンがアルコキシシリル基含有重合体のエマルジョンであることを特徴とする請求項5記載の塗料組成物。
- 前記合成樹脂のエマルジョンがポリオキシアルキレン基含有重合体のエマルションであることを特徴とする請求項5〜6いずれか1項に記載の塗料組成物。
- 前記水溶性および/または水分散性硬化剤(B)の使用量がオルガノシリケート化合物(A)100重量部に対して5〜300重量部であることを特徴とする請求項4〜7いずれか1項に記載の塗料組成物。
- 請求項4〜8のいずれか1項に記載の塗料組成物から得られる塗膜。
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