JP5344455B2 - ポリエステル組成物およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステル組成物およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5344455B2
JP5344455B2 JP2008050293A JP2008050293A JP5344455B2 JP 5344455 B2 JP5344455 B2 JP 5344455B2 JP 2008050293 A JP2008050293 A JP 2008050293A JP 2008050293 A JP2008050293 A JP 2008050293A JP 5344455 B2 JP5344455 B2 JP 5344455B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silica particles
silica
polyester composition
polyester
particle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008050293A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008248235A (ja
Inventor
修二 清水
勇二 小野
恭宏 新谷
俊雄 石寺
友行 岸野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Teijin Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd, Teijin Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP2008050293A priority Critical patent/JP5344455B2/ja
Publication of JP2008248235A publication Critical patent/JP2008248235A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5344455B2 publication Critical patent/JP5344455B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Silicon Compounds (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Description

本発明はポリエステル組成物およびその製造方法に関する。詳しくは、改質されたシリカ粒子が分散されたポリエステル組成物およびその製造方法に関する。
ポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレンナフタレートに代表される芳香族ポリエステルは、優れた物理的、化学的特性を有し、磁気テープ、電機絶縁材料、コンデンサー、写真フィルムや包装材等のフィルム用途に広く用いられている。
このようなポリエステルをフィルムに用いる場合、得られるフィルムに優れた巻き取り性を付与する目的で、不活性粒子が添加されている。このような不活性粒子の中でも、アルコキシド法や水ガラス法によって得られるシリカ粒子は、形状が真球状で粒度分布がシャープであることから、フィルム表面に突起を均一に形成しやすく、好適に用いられている。
近年、フィルムに求められる性能はますます高度になり、例えば、従来よりも高度な表面平坦性が要求されている。そのため、含有させる真球状シリカ粒子として平均粒子径のより小さなシリカ粒子を使用する必要性が高まっている。
しかしながら、シリカ粒子の粒子径が小さくなっていくと、シリカ粒子同士の凝集が発生し易く、フィルム成形時にフィッシュアイなどの欠点が頻発するという問題がある。そのため、ポリエステル組成物には、より平均粒子径の小さなシリカ粒子を、凝集を抑制しつつ均一に分散させることが望まれている。
このようなシリカ粒子などの不活性粒子の凝集抑制技術としては、例えば、不活性粒子をエチレングリコールスラリーとして加水分解可能な有機金属化合物をグリコール中で加水分解し、さらに縮合させた微粒子を添加する方法(特許文献1)、親水性官能基を有するケイ素含有有機物で表面処理したシリカ微粒子をベント式2軸混錬押出機にて熱可塑性樹脂と混錬する方法(特許文献2)、16メッシュ以上のJIS標準ふるいを通過するポリエステル粉末を無機粒子と同時に添加して混錬する方法(特許文献3)などが挙げられる。しかしながら、これらの技術でも凝集抑制は十分ではない。また、不活性粒子を別に処理する工程が必要であることから、単に不活性粒子を添加する工程に比べて生産効率が劣るという問題がある。また、特許文献4には、不活性粒子を添加してから重縮合反応を開始するまでの間に、温度が150〜260℃で圧力が0.05〜0.3MPaの高温加圧処理する方法が提案されているが、この方法でも不活性粒子の凝集抑制効果は十分ではなく、更なる改善が望まれている。
また、不活性粒子の凝集抑制とは関係なく、重合触媒としてチタン触媒を用い、シリカ粒子とカルボキシ基を含むホスホネート化合物を使用する方法が提案されている(特許文献5)。しかし、不活性粒子の凝集抑制効果として十分ではない。
また、アルコールが結合したシリカ粒子、さらに、前記シリカ粒子が分散媒体に分散されたシリカ粒子分散体について、知られている。
例えば、アルコールが結合したシリカ粒子の製造方法として、アルコキシシランを加水分解および縮合させるアルコキシド法が知られている。例えば、平均粒子径が0.05μm〜5μmの範囲、粒子径の標準偏差が1.0〜1.5の範囲、グリコールが0.003mmol/g〜5mmol/gの範囲で結合しているシリカ粒子、および前記シリカ粒子がグリコールに分散されたシリカ粒子分散体が開示されている(特許文献6)。また、前記シリカ粒子分散体の製造方法として、アルコキシシランを塩基性触媒の存在下で加水分解および縮合させた後、グリコールで溶媒置換して、加熱する方法が開示されている。また、シリカ粒子の製造方法として、四塩化ケイ素を燃焼する気相法等も知られている。
アルコキシシランを加水分解および縮合させる従来のアルコキシド法では、シロキサン結合率の高いシリカ粒子を得ることはできず、シラノール基が粒子表面に多く存在し、シラノール基に多くの水分子が吸着または結合しやすくなる。従って、アルコキシド法により得られたシリカ粒子を含むポリエステル組成物は、樹脂組成物中に水分が残留しやすくなり、その結果、粒子と樹脂界面に空隙が生じ、樹脂組成物の透明性が低下し、樹脂組成物の耐久性が不十分となる。
四塩化ケイ素を燃焼する気相法では、アルコールが結合したシリカ粒子を得ることはできない。気相法では、燃焼中に粒子どうしが固着して凝集することが避けられない。そのため、凝集抑制されたポリエステル組成物を得ることは困難である。特許文献6に開示されたシリカ粒子は、アルコキシド法で得られたシリカ粒子にアルコール(グリコール)が結合したものであるため、ポリエステルへの親和性が上がるものの、ポリエステル組成物における凝集抑制を十分に達成することは困難である。
特開平7−216068 特開平11−216722 特開2003−155351 特開2003−238671 特開2005−239940 特公平6−57317
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ポリエステルとの親和性および分散性に優れたシリカ粒子を含有し、熱安定性に優れるポリエステル組成物およびその製造方法を提供することにある。
不活性粒子として配合するシリカ粒子の凝集が抑制されたポリエステル組成物並びにその製造方法に関し鋭意検討した結果、ポリエステル組成物におけるシリカ粒子の分散性並びにシリカ粒子を含有するポリエステル組成物の熱安定性に対し、シロキサン結合率が強く関与しており、該シロキサン結合率を所定値以上とし、且つ、アルコールを所定量結合させたシリカ粒子を用いることにより、シリカ粒子の凝集が抑制され、且つ熱安定性に優れたポリエステル組成物が得られることを見出し、本発明に至った。
本発明の目的は、シリカ粒子の凝集が抑制されたポリエステル組成物を提供することにある。さらに、本発明の目的は、前記ポリエステル組成物の製造方法を提供することにある。
本発明のポリエステル組成物は、
ポリエステルを含み、アルコールが結合したシリカ粒子を0.01〜10質量%含有するポリエステル組成物であって、
該シリカ粒子のシロキサン結合率が68%以上であり、
該アルコールの結合量が該シリカ粒子1g当たり0.001mmol以上である。
シリカ粒子にアルコールが結合していることにより、ポリエステルとの親和性が向上し、分散性がさらに優れる。また、シリカ粒子のシロキサン結合率が68%以上となることにより、ポリエステルとの反応性が抑制され、ポリエステル組成物の製造工程におけるシリカ粒子の凝集が抑制されるとともに、フィルム等への成形加工時における加熱によるポリエステルの劣化が抑制され得る。従って、シリカ粒子の分散性に優れ、熱安定性、力学的特性に優れたポリエステル組成物、その加工形態であるフィルム等の成形材料が得られ得る。また、ポリエステル組成物におけるシリカ粒子の含有量を上記範囲とすることで、ポリエステル組成物における、シリカ粒子の添加効果、並びに、シリカ粒子の凝集抑制効果が十分に発揮され得る。
好ましい実施形態においては、上記アルコールが、1価アルコールおよび/またはグリコールを含む。
好ましい実施形態においては、上記1価アルコールの結合量が、上記シリカ粒子1g当たり0.001mmol〜1mmolである。
好ましい実施形態においては、上記グリコールの結合量が、上記シリカ粒子1g当たり0.001mmol〜3mmolである。
好ましい実施形態においては、上記シリカ粒子の平均粒子径が0.01μm以上である。
本発明のポリエステル組成物のシリカ粒子は、平均粒子径が0.01μm以上、1μm以下と微細であることが好ましい。
上記形態によれば、従来のシリカ粒子を用いた場合に比べて、組成物中でのシリカ粒子の凝集抑制効果や組成物の熱安定性の改良効果が顕著に発現し得るとともに、その結果として、力学的特性、耐熱性、透明性や無色性などの光学的特性などにおいて優れた繊維、フィルム等の材料を提供し得る。特に、ポリエステル組成物がフィルムの場合、表面平坦性に優れながら、その表面に微細な突起が形成されているために、滑り性、アンチブロッキング性に優れながら、耐磨耗性、耐スクラッチ性に優れ、また、引張り強度、可視光の透過性に優れたものとなり得る。
好ましい実施形態においては、上記ポリエステルが、エチレンテレフタレート単位またはエチレン−2,6−ナフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステルである。
本発明のポリエステル組成物において、ポリエステルがエチレンテレフタレート単位またはエチレンー2,6−ナフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステルであると、本発明の効果を顕著に発現し得る。
好ましい実施形態においては、上記ポリエステルの固有粘度が0.5〜1.0dl/gの範囲にある。
本発明のポリエステル組成物において、ポリエステルの固有粘度が0.5〜1.0dl/gの範囲にあると、フィルム等の成形材料への加工適性に優れ、力学的特性に優れた成形材料が得られ易い。
本発明のポリエステル組成物におけるシリカ粒子は、アルカリ金属元素およびハロゲン元素の含有量がそれぞれ5ppm以下であることが好ましい。
上記形態によれば、シリカ粒子を樹脂組成物に混ぜた場合、シリカ粒子の凝集や樹脂組成物の変色・着色が抑えられ得る。また、シリカ粒子中の不純物濃度を可能な限り低くして、シリカ純度を高めることで、不純物の存在を嫌う電子材料や半導体材料分野等の用途へポリエステル組成物を適用する範囲が広がり得る。
好ましい実施形態においては、上記シリカ粒子が、アルコキシシランを塩基性触媒および水の存在下で加水分解および縮合させてシリカ粒子初期縮合物を含有する分散体を得る工程と、該シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体の塩基性触媒濃度および/または水濃度を高めてシリカ粒子を得る工程とを有する製造方法により得られたものである。
本発明の別の局面によれば、ポリエステル組成物の製造方法が提供される。本発明のポリエステル組成物の製造方法は、
本発明のポリエステル組成物の製造方法であって、
シリカ粒子製造工程(S)と、該シリカ粒子製造工程で得られたシリカ粒子をポリエステルに分散させる工程(P)とからなり、
工程(S)が、下記工程(S1)および(S2)を必須とし、
工程(P)が、下記工程(P1)を必須とする。
工程(S1):アルコキシシランを塩基性触媒および水の存在下で加水分解および縮合させてシリカ粒子初期縮合物を含有する分散体を得る工程。
工程(S2):シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体の塩基性触媒濃度および/または水濃度を高めてシリカ粒子を得る工程。
工程(P1):シリカ粒子を、ポリエステル中に、得られるポリエステル組成物の質量を基準として0.01〜10質量%となるように分散させる工程。
好ましい実施形態においては、上記工程(S2)が、シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体の塩基性触媒濃度および/または水濃度を高める処理を施した後、アルコールの存在下で加熱する操作を含む。
本発明のポリエステル組成物の製造方法において、上記シリカ粒子を得る工程では、シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体の水濃度を高めて加熱する方法も好ましく、シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体の塩基性触媒濃度を高めた後、さらに水濃度を高めて加熱する方法も好ましい。シロキサン結合率が高く、アルコールが結合したシリカ粒子が得られやすいからである。
好ましい実施形態においては、上記工程(P1)において、ジカルボン酸成分とグリコール成分とを用いて、エステル化反応もしくはエステル交換反応および重縮合反応を経由してポリエステルを製造する反応系にシリカ粒子を添加する。分散性に優れるポリエステル組成物が得られ得るからである。
好ましい実施形態においては、上記シリカ粒子の添加が、エステル化反応もしくはエステル交換反応の反応系に、その温度が215℃に上昇するまでの間に行われる。シリカ粒子とポリエステルとの親和性が向上し、凝集抑制効果がさらに向上し得るからである。
好ましい実施形態においては、上記ポリエステルの固有粘度が0.5〜1.0dl/gの範囲にある。フィルムとしたときの強度や耐摩耗性に優れ得るからである。
本発明のポリエステル組成物に含有されるシリカ粒子は、シロキサン結合率が高く、アルコールが結合しているため、ポリエステルとの親和性および分散性が優れている。そのため、本発明のポリエステル組成物は、耐熱性、機械的強度等の様々な特性が向上したものとなる。
本発明のポリエステル組成物は、シリカ粒子への水分子の吸着量または結合量が低く抑えられるため、透明性が高く、着色が少ない等の光学特性に優れ、かつ耐久性に優れたものとなる。
本発明のポリエステル組成物に含有されるシリカ粒子は、シロキサン結合率が高く、かつ、アルコールが結合しているという複合要因により、十分な機械的強度を有するにも関わらず、表面硬度は高くなりすぎないため、たとえポリエステル組成物からシリカ粒子が脱落しても材料の損傷を引き起こしにくい。
〔シリカ粒子〕
まず、本発明におけるシリカ粒子について説明する。
本発明におけるシリカ粒子とは、アルコールが結合したシリカ粒子であって、シリカ粒子のシロキサン結合率が68%以上であり、アルコールの結合量がシリカ粒子1g当たり0.001mmol以上である。
本発明におけるシリカ粒子は、ケイ素原子が主に酸素原子との結合を介して三次元構造を構成してなるケイ素の含酸素化合物であることが好ましい。
本発明におけるシリカ粒子のシロキサン結合率は、68%以上であり、70%以上が好ましく、72%以上がより好ましい。本発明におけるシリカ粒子のシロキサン結合率は、90%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、76%以下がさらに好ましく、74%以下が最も好ましい。シロキサン結合率とは、シリカ粒子に含まれるケイ素原子のうち、Si−O−Siのように酸素原子との結合を介して三次元構造を形成しているケイ素原子の割合を意味する。シロキサン結合率が高いほど、水酸基やアルコキシ基等が結合しているケイ素元素がシリカ粒子に含まれる割合が少なくなる。
本発明におけるシリカ粒子のシロキサン結合率が68%以上であれば、シリカ粒子添加後のポリエステルとの反応性が低下し、ポリエステルの熱安定性を向上させることができる。一方、シロキサン結合率が68%より小さいと、シリカ粒子を添加したポリエステルの成形時に重合度の低下が発生するおそれがある。本発明におけるシリカ粒子のシロキサン結合率が90%以下であれば、シリカ粒子の表面硬度が過度に高くなるのが抑えられ、シリカ粒子がたとえ脱落しても、周囲の材料に損傷を与えにくくなる。
シリカ粒子のシロキサン結合率は、29Si−固体NMR測定により求められ、その算出方法は次の通りである。
シリカ粒子を、固体NMR装置(BRUKER社製、AVANCE400)により、ケミカルシフト(δ)−130ppm〜−80ppmの範囲で測定する。ケミカルシフト(δ)−130ppm〜−80ppmの範囲の全シグナルの面積を100%としたときの、ケミカルシフト(δ)−111.4ppmにピークを有するシグナルの面積の割合を、シロキサン結合率とする。
シリカ粒子が溶媒に分散した溶媒分散体(シリカ粒子溶媒分散体)である場合、シリカ粒子の29Si−固体NMR測定を行う場合は、前もってシリカ粒子を分離する。分離方法は次の通りである。
シリカ粒子分散体を遠心分離機により、遠心力10万G以上で1時間遠心分離して、沈殿物を取り出す。前記沈殿物を80℃にて10時間、50Torr(6.7kPa)の条件で真空乾燥して、29Si−固体NMR測定に供するシリカ粒子を得る。
ポリエステル組成物に含まれるシリカ粒子の29Si−固体NMR測定を行う場合は、シリカ粒子溶媒分散体の場合と同様に、前もってシリカ粒子を分離する必要があるが、分離方法は次の通りである。
ポリエステル組成物を、ポリエステルが溶解しシリカ粒子を溶解しない有機溶媒に添加混合してポリエステルを溶解させ、シリカ粒子が分散した分散体を得た後、得られた分散体について、シリカ粒子溶媒分散体と同様の遠心分離操作、乾燥操作を施すことにより、29Si−固体NMR測定に供するシリカ粒子を得ることができる。
本発明における、アルコールが結合したシリカ粒子の形態としては、例えば、アルコールがシリカ粒子に吸着している形態、アルコールとシリカ粒子が共有結合している形態が挙げられる。本発明においては、アルコールとシリカ粒子が共有結合している形態が好ましく、アルコールの水酸基が結合した炭素原子とシリカ粒子のケイ素原子とが酸素原子を介して結合している形態がより好ましい。
本発明におけるシリカ粒子は、アルコールが結合することにより、ポリエステルとの親和性が向上し、シロキサン結合率が68%以上であることの相乗効果により、該シリカ粒子を用いてポリエステル組成物を製造した場合、得られたポリエステル組成物は、耐熱性の向上、機械的強度の向上、熱膨張係数の低減、透明性の向上、光拡散特性の向上、アンチブロッキング性の向上、滑り性の向上等の様々な特性が改善されたポリエステル組成物となる。
本発明におけるシリカ粒子に結合しているアルコールは特に限定されるものではなく、1価アルコールでもよく、多価アルコールでもよい。また、本発明におけるシリカ粒子は、1種類のアルコールのみが結合していてもよく、複数種類のアルコールが結合していてもよい。
上記1価アルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、2−メチル−1−プロピルアルコール、2−メチル−2−プロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノリルアルコール等の脂肪族アルコール;ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等の芳香族アルコール;が挙げられる。これらの1価アルコールは、1種類のみがシリカ粒子に結合していてもよく、2種類以上がシリカ粒子に結合していてもよい。これらの中でも、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、2−メチル−1−プロピルアルコール、2−メチル−2−プロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール等の炭素数1〜4の脂肪族アルコールが好ましく、メチルアルコール、エチルアルコールが特に好ましい。
上記多価アルコールとしては、例えば、グリコール;グリセリン;グルコース、フルクトース、ガラクトース、マルトース、ラクトース等の糖;イノシトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール等の糖アルコール;が挙げられる。これらの多価アルコールは、1種類のみがシリカ粒子に結合していてもよく、2種類以上がシリカ粒子に結合していてもよい。これらの中でも、グリコールが好ましい。
上記グリコールとは、2個の水酸基が2個の異なる炭素原子に結合している炭素、酸素、水素からなる化合物を意味する。上記グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ピナコール等の脂肪族グリコール;ヒドロベンゾイン、ベンズピナコール等のアリール基を有するグリコール;シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール等の脂環式グリコール;が挙げられる。
上記グリコールは、シリカ粒子に求められる物性に応じて、使い分けることができる。例えば、グリコール結合量の多いシリカ粒子を得る場合には、脂肪族グリコールやアリール基を有するグリコールを用いることが好ましい。シリカ粒子と樹脂組成物との親和性を高める場合には、脂環式グリコールやアリール基を有するグリコールを用いることが好ましい。シリカ粒子の耐熱性を高める場合には、脂肪族グリコールや脂環式グリコールを用いることが好ましい。
上記グリコールのうち、ポリエステルへの分散性に優れることから、炭素数2〜8のグリコールがより好ましい。入手容易性や製造時の取り扱い容易性を考慮すると、エチレングリコールが特に好ましい。
上記のように、本発明におけるシリカ粒子はアルコールが結合していることが好ましいが、1価アルコールおよび/またはグリコールを含むアルコールが結合していることがさらに好ましい。本発明におけるシリカ粒子は、1価アルコールおよび/またはグリコールを含むアルコールが結合することで、ポリエステルとの親和性や分散性がより向上する。特に、1価アルコールおよびグリコールが共に結合していることが好ましい。
本発明におけるシリカ粒子が、1価アルコールを含むアルコールが結合したシリカ粒子である場合、1価アルコールの結合量は、シリカ粒子1g当たり0.001mmol以上が好ましく、0.002mmol以上がより好ましく、0.005mmol以上がさらに好ましい。また、1価アルコールの結合量は、シリカ粒子1g当たり1mmol以下が好ましく、0.1mmol以下がより好ましく、0.04mmol以下がさらに好ましく、0.02mmol以下が特に好ましい。1価アルコールの結合量がシリカ粒子1g当たり0.001mmol〜1mmolであれば、ポリエステルとの親和性や分散性が向上しやすくなる。
本発明におけるシリカ粒子が、グリコールを含むアルコールが結合したシリカ粒子である場合、グリコールの結合量は、シリカ粒子1g当たり0.001mmol以上が好ましく、0.003mmol以上がより好ましく、0.01mmol以上がさらに好ましく、0.1mmol以上が最も好ましい。また、グリコールの結合量は、シリカ粒子1g当たり3mmol以下が好ましく、1mmol以下がより好ましく、0.8mmol以下がさらに好ましく、0.5mmol以下がさらにより好ましく、0.2mmol以下が最も好ましい。グリコールの結合量がシリカ粒子1g当たり0.001mmol〜3mmolであれば、ポリエステルとの親和性や分散性が向上しやすくなる。
本発明で使用するシリカ粒子のアルコール結合量は、次の方法により測定することができる。
シリカ粒子約1gを精秤し、0.05N水酸化ナトリウム水溶液50mLに入れ、室温で10時間撹拌し、懸濁液を得る。この懸濁液を遠心分離機により、遠心力10万G以上で60分間遠心分離して、上澄み液を分取する。上澄み液をガスクロマトグラフにより分析し、アルコール含有量を求める。ガスクロマトグラフの検出器は水素炎イオン化検出器(FID)を用いる。ガスクロマトグラフ分析は、JIS K 0114に従う。なお、本発明におけるシリカ粒子が溶媒分散体(シリカ粒子溶媒分散体)である場合、該溶媒分散体に含まれるシリカ粒子のアルコール結合量を測定する場合、並びに、本発明のポリエステル組成物中に含まれるシリカ粒子のアルコール結合量を測定する場合は、前もってシリカ粒子を分離する。シリカ粒子溶媒分散体、本発明のポリエステル組成物からシリカ粒子を分離する方法は、上記記載の通りである。
本発明のポリエステル組成物における、特定のシリカ粒子を用いたことに基づく、シリカ粒子の分散性向上効果は、より平均粒子径の小さい粒子で顕著となる。換言すれば、平均粒子径が1μmのような大きな粒子では凝集自体が少なくなり易い。そのため、本発明では、シリカ粒子の平均粒子径は、1μm以下であることが好ましく、さらに0.5μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.3μm以下である。一方、シリカ粒子の平均粒子径の下限については、取扱性などの観点から0.01μm以上であることが好ましい。
本発明におけるシリカ粒子の粒子径の変動係数は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。変動係数が20%以下であれば、粒子径が揃ったシリカ粒子となり、透明性や光散乱性等の光学特性がミクロなレベルでより均質なポリエステル組成物が得られるようになる。また、ポリエステル組成物がフィルム等の薄膜状の場合は、その表面により均一な凹凸を付与することができるため、マクロレベルでの平坦性を確保しつつ、防眩性、つや消し性、アンチブロッキング性、滑り性が付与された薄膜材料が得られやすくなる。なお、シリカ粒子の粒子径の変動係数は、下記式により算出される。
変動係数(%)=粒子径の標準偏差/平均粒子径×100
本発明において、平均粒子径、変動係数、粒子径の標準偏差は、各々、一次粒子の平均粒子径、一次粒子の変動係数、一次粒子径の標準偏差を意味する。シリカ粒子の平均粒子径と粒子径の標準偏差は次の方法により算出される。
任意に採取したシリカ粒子の電子顕微鏡写真(95mm×70mm)を、5ヶ所場所を変え、撮影する。このとき、電子顕微鏡写真1枚の中の粒子が50個〜100個となるように測定倍率を設定する。例えば、平均粒子径1μmのシリカ粒子であれば、10000倍で撮影を行う。電子顕微鏡写真に写った全粒子の粒子径(一次粒子径)をノギスにより計測する。この計測値の算術平均を平均粒子径とし、この計測値の不偏分散の平方根を粒子径の標準偏差とする。
本発明におけるシリカ粒子は、1次粒子が粗大である粗大粒子や2次凝集粒子(これらを総称して粗大粒子ということがある)が少ないことが好ましく、存在しないことが特に好ましい。
また、本発明におけるシリカ粒子は、フィルムとしたときに比較的均一な突起高さの突起を形成しやすい球状の形状を有する粒子が好ましい。
具体的には、シリカ粒子の長径の平均値(D)を、シリカ粒子の短径の平均値(D)で割った粒径比(D/D)が1.0〜1.2の範囲にあることが好ましい。粒径比(D/D)が1.0に近いほど好ましく、特に好ましくは、粒径比(D/D)が1.0である真球状である、
上記シリカ粒子の粒径比は、走査型電子顕微鏡像におけるシリカ粒子の長径(D)、短径(D)を測定することにより求められる。通常、100個の粒子について、長径(D)、短径(D)を測定し、それぞれの平均値を求め、得られた平均長径を平均短径で割ることにより求めた粒径比が上記範囲であるシリカ粒子が好ましい。
本発明におけるシリカ粒子は、他の成分として、アルコール、アミン等の有機物;アルコキシ基、アシルオキシ基等の有機官能基;シランカップリング剤、アルミネート系カップリング剤、チタネート系カップリング等のカップリング剤;界面活性剤、有機高分子等の従来公知の分散剤;金属元素;カルコゲン元素;ハロゲン元素;等を含有してもよい。
本発明におけるシリカ粒子は、アルカリ金属元素およびハロゲン元素の含有量がそれぞれ5ppm以下であることが、より好ましい。
上記アルカリ金属元素としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウムが挙げられ、上記ハロゲン元素としては、例えば、フッ素、塩素が挙げられる。ナトリウム、カリウム、リチウムの各元素の含有量は、JIS K 0121の原子吸光分析により分析を行ったときの値がそれぞれ5ppm以下であることが好ましい。フッ素、塩素の含有量は、JIS K 0127のイオンクロマトグラフにより分析を行ったときの値が5ppm以下であることが好ましい。ナトリウム、カリウム、リチウム等の各アルカリ金属元素やフッ素、塩素等の各ハロゲン元素のそれぞれの含有量が5ppm以下であれば、シリカ粒子をポリエステルに混ぜた場合、シリカ粒子の凝集やポリエステル組成物の変色・着色が起こりにくくなる。ポリエステル組成物がフィルム等の薄膜状の場合は、電気的障害の発生も抑制しやすくなる。また、シリカ粒子中の不純物濃度を可能な限り低くして、シリカ純度を高めることで、本発明のポリエステル組成物を、不純物の存在を嫌う電子材料や半導体材料分野等の用途へ適用することが可能となる。
本発明におけるシリカ粒子は、強熱減量が12質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましい。
シリカ粒子の強熱減量とは、シリカ粒子を600℃で1時間加熱した際の質量減少割合を表し、シリカ粒子の有機物含有量の目安となるものである。
強熱減量は次のように測定される。80℃、50Torr(6.7kPa)の条件下で24時間真空乾燥させたシリカ粒子を蒸発皿(質量w1)にとる。シリカ粒子と蒸発皿を合わせた質量を計測し、この質量をw2とする。シリカ粒子を入れた蒸発皿を電気炉に入れ、600℃で1時間放置して加熱処理し、加熱処理後のシリカ粒子と蒸発皿を合わせた質量w3を計測する。そして、以下の式に基づき、シリカ粒子の強熱減量を求める。なお、本発明では、強熱減量測定用の試料を3個設け、一度に同じ条件でシリカ粒子の強熱減量の測定を行い、この平均値をシリカ粒子の強熱減量とした。
シリカ粒子の強熱減量(質量%)={1−(w3−w1)/(w2−w1)}×100
〔シリカ粒子溶媒分散体〕
次に、シリカ粒子の溶媒分散体(シリカ溶媒分散体)について説明する。本発明のポリエステル組成物の製造方法において、ポリエステルを製造する反応系に、シリカ粒子を溶媒分散体として添加することが、分散性に優れるポリエステル組成物を得るために好適である。
本発明におけるシリカ粒子溶媒分散体は、分散媒体である溶媒にシリカ粒子が単分散していることが好ましい。シリカ粒子が分散媒体に単分散していることで、シリカ粒子の分散性に優れたポリエステル組成物が得られ易い。
上記溶媒は特に限定されるものでないが、有機溶媒が好ましく、例えば、アルコール類、脂肪族および芳香族カルボン酸エステル類、ケトン類、エーテル類、エーテルエステル類、脂肪族および芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類等の有機系溶媒;鉱物油;植物油;ワックス;シリコーン油;等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよく、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。これらの溶媒のうち、本発明におけるシリカ粒子との親和性や溶媒への分散性、シリカ粒子分散体の製造容易性から、アルコール類が好ましく、1価アルコールおよび/またはグリコールがより好ましい。上述したポリエステルを製造する反応系の原料として使用される点から、シリカ粒子溶媒分散体の溶媒としては、グリコールがさらに好ましい。中でも、炭素数2〜8のグリコールが好ましく、エチレングリコールが特に好ましい。なお、溶媒として用いられるアルコール類は、シリカ粒子に結合しているアルコールと、同一であっても異なっていてもよい。
シリカ粒子溶媒分散体中のシリカ粒子含有量は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。シリカ粒子溶媒分散体中のシリカ粒子含有量は、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。シリカ粒子含有量が10質量%以上であれば、シリカ粒子同士による静電的反発によるブラウン運動が活発になること、または、シリカ粒子による増粘効果によると推定されるが、分散体の分散安定性が優れるものとなり、また、運搬も容易になる。シリカ粒子含有量が40質量%以下であれば、シリカ粒子が凝集を起こしにくくなり、シリカ粒子を溶媒やポリエステル等に安定して分散させやすくなる。ただし、ポリエステルを製造する反応系への添加に際して、後述するシリカ粒子含有量に調製することが好ましい。
シリカ粒子溶媒分散体のシリカ粒子含有量は、次のように測定される。蒸発皿(質量w11)にシリカ粒子溶媒分散体をとり、シリカ粒子溶媒分散体と蒸発皿を合わせた質量を計測し、この質量をw12とする。シリカ粒子溶媒分散体を入れた蒸発皿を乾燥器に入れ、80℃、50Torr(6.7kPa)の条件下で24時間真空乾燥し、乾燥後のシリカ粒子溶媒分散体(シリカ粒子)と蒸発皿を合わせた質量w13を計測する。そして、以下の式に基づき、シリカ粒子溶媒分散体のシリカ粒子含有量を求める。なお、本発明では、シリカ粒子含有量測定用の試料を3個設け、一度に同じ条件でシリカ粒子溶媒分散体のシリカ粒子含有量測定を行い、この平均値をシリカ粒子溶媒分散体のシリカ粒子含有量とした。
シリカ粒子溶媒分散体のシリカ粒子含有量(質量%)
=(w13−w11)/(w12−w11)×100
本発明におけるシリカ粒子溶媒分散体は、溶媒が有機溶媒の場合、水分含有量が0.3質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましい。シリカ粒子溶媒分散体を、ポリエステルを製造する反応系に添加する場合、ポリエステルの重縮合反応の進行を抑制し難い点で、水分含有量が0.3質量%以下であることが好ましい。水分含有量が、0.3質量%を超える場合、ポリエステルの高分子量化が抑制されるおそれがある。
シリカ粒子溶媒分散体の水分含有量は、JIS K 0068のカールフィッシャー滴定法(容量滴定法)に従い測定する。本発明では、水分含有量測定用の試料を3個設け、一度に同じ条件でシリカ粒子溶媒分散体の水分含有量測定を行い、この平均値をシリカ粒子溶媒分散体の水分含有量とする。
本発明におけるシリカ粒子溶媒分散体は、1次粒子が粗大である粗大粒子や2次凝集粒子からなる、粗大粒子が少ないことが好ましく、存在しないことが特に好ましい。
具体的には、レーザー散乱式粒度分布測定器(島津製作所製SALD2000)を用い、積算粒度分布から積算粒子数(体積換算)70%の粒子径をD70、同30%の粒子径D30とするとき、(D70/D30)が1.1〜2.0の範囲にあることが好ましく、1.2〜1.5の範囲にあることがより好ましい。
シリカ粒子溶媒分散体における平均粒子径(平均分散粒子径)は、シリカ粒子の1次粒子径に近いことが好ましい。
シリカ粒子溶媒分散体における平均分散粒子径は、例えば、レーザー散乱式粒度分布測定器(島津製作所製SALD2000)を用い、積算粒度分布から積算粒子数(体積換算)50%の粒子径(D50)を平均分散粒子径として採用できる。
〔ポリエステル組成物〕
本発明におけるシリカ粒子は、ポリエステル中に分散させることで、フィルムなどの成形材料に用いるポリエステル組成物とすることができる。
本発明におけるポリエステルは、芳香族ジカルボン酸成分とグリコール成分とからなり、フィルムなどへの製膜性を有する熱可塑性のものである。好ましくは、主たる繰り返し単位の85mol%以上が、エチレンテレフタレート単位またはエチレン−2,6−ナフタレート単位からなり、本発明の目的を損なわない範囲、例えば、芳香族ポリエステルの全繰り返し単位に対して15mol%以下の範囲で、他の第3成分を共重合した共重合体であってもよい。
より好ましくは、主たる繰り返し単位の90mol%以上が、エチレンテレフタレート単位またはエチレン−2,6−ナフタレート単位からなり、上記他の第3成分(共重合成分)が10mol%以下である。
第3成分(共重合成分)としては、テレフタル酸(主たる繰り返し単位がエチレン−2,6−ナフタレート単位の場合)、2,6−ナフタレンジカルボン酸(主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレート単位の場合)、2,7−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸などの芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸などの如き脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの如き脂環族ジカルボン酸;トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等のグリコール;が挙げられ、これらは単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
本発明のポリエステル組成物は、エチレンテレフタレート単位またはエチレン−2,6−ナフタレート単位とは異なる他の樹脂を、本発明の目的を損なわない範囲、例えば、ポリエステル組成物の質量を基準として、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下の範囲でブレンドしたものであってもよい。
本発明のポリエステル組成物は、繊維、フィルムおよび容器などに成形したときに十分な力学的特性を発現しつつ、溶融押出し工程を安定に進めるために,35℃オルソクロロフェノールで測定したポリエステルの固有粘度が0.5〜1.0dl/gの範囲にあることが好ましい。
本発明においてポリエステル組成物に含有させるシリカ粒子の量は、得られるポリエステル組成物の質量を基準として、0.01〜10.0質量%の範囲にする必要がある。シリカ粒子の含有量が0.01質量%より少ないと、フィルムなどに製膜するときのフィルム巻取り性を向上させる効果が乏しく、シリカ粒子を含有させる意義が損なわれるおそれがある。他方、シリカ粒子の含有量が10.0質量%を超えると、本発明の製造方法を採用しても、粒子同士の接触する頻度が高まり、凝集が起こり易くなるおそれがある。上記シリカ粒子の含有量は、好ましくは0.05〜2.0質量%、より好ましくは0.07〜1.0質量%、さらに好ましくは0.1〜0.4質量%である。
本発明のポリエステル組成物は、熱安定剤としてリン化合物を含有することが好ましい。リン化合物としては、シリカ粒子の分散性の点から、一般式(I)又は(II)で示すホスホネート化合物を含有することが好ましい。
Figure 0005344455
Figure 0005344455
一般式(I)で表されるホスホネート化合物のRおよびRは、それぞれ炭素数1以上4以下のアルキル基である。Xは−(CH)m−または−CH(Y)−であり、mは0以上4以下の整数、Yはフェニル基を表す。なお、式中のRとRは、それぞれが同一の基であっても異なる基であってもよい。これらの中でも特に好ましいホスホネート化合物として、例えば、トリメチルホスホノアセテート、メチルジエチルホスホノアセテート、トリエチルホスホノアセテート、トリエチルホスホノプロピオネート、トリエチルホスホノブチレート、アリールジメチルホスホノアセテート、アリールジエチルホスホノアセテートが挙げられる。上記したホスホネート化合物は、一種のみ用いてもよく、二種以上を併用してもよい。特に好ましく用いられるものとして、トリエチルホスホノアセテート、メチルジエチルホスホノアセテートが挙げられる。
一般式(II)で表されるホスホネート化合物のRおよびRは炭素数2以上のアルキレン基であって、直鎖状であっても分岐状であってもよい。具体的なアルキレン基としては、好ましくは素数2〜18、より好ましくは炭素数2〜8のアルキレン基であり、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソプロピレン基、t−ブチレン基,sec−ブチレン基等が挙げられる。また、シクロアルキレン基としては、好ましくは炭素数3〜18、より好ましくは炭素数3〜8のシクロアルキレン基であり、具体的にはシクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基等が挙げられる。なお、式中のRとRは、それぞれが同一の基であっても異なる基であってもよい。
一般式(II)において、mおよびnは整数であって互いに同一であっても異なっていてもよく,m+nの範囲は、好ましくは3〜10の範囲である。m+nが3未満であると、酸性が強くなりシリカ粒子の分散性を向上させる効果が乏しく、一方、m+nが10を超えると、ホスホネート化合物自体の熱安定性が劣るおそれがある。より好ましいm+nの範囲は4〜8であり、さらに好ましい範囲は4〜7である。
このようなホスホネート化合物を熱安定剤として使用することで、シリカ粒子の分散性がさらに向上する理由は定かではないが、以下のように考えられる。まず、一般的に、シリカ粒子などの不活性粒子を均一に分散させるには、より早い段階でポリエステルに添加するのが有利で、ポリエステルの製造工程におけるエステル化反応やエステル交換反応の段階で添加するのが好ましい。一方、通常エステル化反応やエステル交換反応終了後には得られるポリエステルの熱安定性を向上させるため、熱安定剤としてリン化合物が添加される。このリン化合物を添加するときに、シリカ粒子の凝集が発生し、それが一般式(I)または(II)で示されるホスホネート化合物によれば抑制されるためではないかと考えられる。
本発明において、ポリエステル組成物に含有させるリン化合物の量は、ポリエステル組成物に対して、リン元素の量として10〜180ppmとすることが好ましい。10ppm未満の場合は、ポリエステル組成物の熱安定性が乏しくなるおそれがあり、一方、180ppmを超えると、ホスホネート化合物自体の分解によるためか、熱安定性に乏しくなるおそれがある。上記リン化合物の量は、好ましくは12〜140ppm、より好ましくは15〜100ppm、さらに好ましくは20〜70ppmである。
本発明のポリエステル組成物は、エステル化反応またはエステル交換反応を、マンガン化合物、カルシウム化合物およびマグネシウム化合物のいずれかの存在下で行うと、シリカ粒子の凝集をさらに抑制でき、しかも凝集粒子の中でも特に長径が1μmを超えるような粗大粒子の発生を抑制できることから好ましい。本発明のポリエステル組成物に含有されるマンガン化合物、カルシウム化合物およびマグネシウム化合物の含有量は、ポリエステル組成物の質量を基準として、各金属元素の合計量として、好ましくは10ppm以上、より好ましくは20ppm以上、さらに好ましくは30ppm以上である。分散性を向上させつつ、エステル交換反応などの反応速度を十分に高めやすいからである。なお、マンガン化合物、カルシウム化合物およびマグネシウム化合物の含有量の上限は、これらの析出による析出異物を抑える観点から、200ppmであることが好ましい。
本発明のポリエステル組成物における、特定のシリカ粒子を使用する効果は、より平均粒子径の小さい粒子で顕著となる。換言すれば、平均粒子径が1μmのような大きな粒子では凝集自体が少なくなり易い。そのため、本発明では、シリカ粒子の平均粒子径は、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましく、0.3μm以下であることがさらに好ましい。一方、シリカ粒子の平均粒子径の下限については特に制限されないが、取扱性などの観点から、0.01μm以上であることが好ましい。
ところで、本発明のポリエステル組成物は、フィルムなどに製膜したときに、従来のシリカ粒子を含有するものに比べて、優れた平坦性を発現するために、後述の条件でフィルムに製膜したとき、2個以上のシリカ粒子が密接した状態にある凝集粒子の割合(以下、凝集粒子率と称することがある)が、シリカ粒子の1次粒子の個数を基準として、25%以下であることが好ましい。凝集粒子率が25%を超えると、従来の単純にシリカ粒子を含有させただけのポリエステル組成物に対して、十分な平坦性向上効果が発現されないおそれがある。凝集粒子率は、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下、特に好ましくは10%以下である。なお、このような凝集粒子率は、前述の特定のシリカ粒子と前述のリン化合物や触媒などの条件を採用することなどにより、上記の好ましい範囲に制御することができる。
また、同様な理由から、本発明のポリエステル組成物は、前述の凝集粒子の中でも長径が10μmを越えるような粗大凝集粒子の割合(以下、大凝集数と称することがある)が、シリカ粒子1mgあたり12個(12個/シリカ粒子1mg)以下であることが、フィルムなどに製膜したときに、従来のシリカ粒子を含有するものに比べて、優れた平坦性を発現しやすいことから好ましい。長径が10μmを越えるような粗大凝集粒子の割合がシリカ粒子1mgあたり12個を超えると、従来の単純にシリカ粒子を含有させただけのポリエステル組成物に対して、十分な平坦性向上効果が発現されても、欠点となるような突起が形成されやすくなる。長径が10μmを越えるような粗大凝集粒子の割合は、シリカ粒子1mgあたり、より好ましくは10個(10個/シリカ粒子1mg)以下であり、さらに好ましくは8個(8個/シリカ粒子1mg)以下である。なお、このような粗大凝集粒子の割合は、前述の特定のシリカ粒子とリン化合物や触媒などの条件を採用することや、製膜前のフィルターでの濾過による分離を行うことによって、上記の好ましい範囲に制御することができる。
〔ポリエステル組成物の製造方法〕
次に、本発明のポリエステル組成物の製造方法について説明する。
本発明のポリエステル組成物は、上述のシリカ粒子をポリエステルに分散させてポリエステル組成物とする工程を有する。好ましくは、後述するシリカ粒子の製造方法により得られてなるシリカ粒子をポリエステルに分散させてポリエステル組成物とする工程を有する。
シリカ粒子をポリエステルに分散させてポリエステル組成物とする工程に関し、さらに好適な形態を説明する。
ポリエステルにシリカ粒子を添加する方法としては、エステル交換法もしくは直接エステル化法を経由し、それらで得られた低重合体を重縮合反応させる溶融重合法でポリエステルを製造する際に、シリカ粒子を添加する方法が好ましい。
エステル交換反応触媒としては、上述したように、マンガン、マグネシウム、カルシウムなどの化合物を使用し、エステル交換反応開始時から存在するように添加することが好ましい。なお、エーテル化防止剤、また重縮合反応に用いる重縮合触媒、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、末端封鎖剤などは、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なものを好適に使用することができる。例えば、エーテル化防止剤としては、アミン化合物等を好適に使用し得る。また重縮合触媒としては、ゲルマニウム、アンチモン、スズ、チタン、アルミニウム等の化合物を好適に使用し得る。
本発明のポリエステル組成物の製造方法は、反応系の温度が215℃に上昇するまでの範囲にあるエステル化反応もしくはエステル交換反応で、前述のシリカ粒子を、ポリエステル組成物に対して、所定量となるように添加することが好ましい。エステル化反応もしくはエステル交換反応に、反応系の温度が215℃になるよりも前の段階でシリカ粒子を添加することにより、シリカ粒子とポリエステルとの親和性が向上し、凝集抑制効果がさらに向上する。なお、反応系に添加する温度の下限は、特に制限されないが、本発明の効果の点から、150℃以上が好ましい。一方、反応温度が215℃を超えると、添加したときにシリカ粒子の凝集が発生しやすくなるおそれがある。
また、シリカ粒子の添加方法としては、シリカ粒子の凝集を抑制しやすいことから、エチレングリコール分散体の形態で添加する方法が好ましい。エチレングリコール分散体中のシリカ粒子の濃度は特に限定されないが、凝集抑制の面からはできる限り濃度が低いことが好ましい。ただし、過度に濃度が低くなると、過剰にエチレングリコールを添加することになり、ポリエステル組成物中のジエチレングリコール量を増加させるという問題がある。以上のことから、添加する際、エチレングリコール分散体中のシリカ粒子の濃度は、1〜30質量%が好ましく、3〜25質量%がより好ましい。シリカ粒子の添加は、必要所定量を1回の添加で行ってもよいし、2回以上に分割して行ってもよい。
本発明のポリエステル組成物の製造方法では、シリカ粒子を添加してから重縮合反応を開始するまでの間に、主たる熱安定剤として、上記した一般式(I)または(II)で示されるホスホネート化合物を添加することが、従来から熱安定剤として使用されている正リン酸などに比べ、ポリマーの熱安定性を向上しつつ、シリカ粒子の凝集を抑制しやすいので好ましい。上記した一般式(I)または(II)で示されるホスホネート化合物の添加量は、前述の組成物の量となるように調整するのが好ましく、例えば、全酸成分のモル数を基準として、リン元素量で8〜150mmol%とするのが好ましく、10〜120mmol%とするのがより好ましく、12〜80mmol%とするのがさらに好ましい。
ところで、上記ホスホネート化合物の添加方法としては、よりシリカ粒子の凝集を抑制しやすいことから、エチレングリコール溶液の状態で添加するのが好ましい。エチレングリコール溶液中のホスホネート化合物の濃度は特に限定されないが、凝集抑制の点からはできる限り濃度が低い方が好ましい。ただし、過度に濃度が低くなると、過剰にエチレングリコールを添加することになり、ポリエステル組成物中のジエチレングリコール量を増加させるといった問題があり、0.5〜30質量%の範囲で添加するのが好ましく、1〜20質量%の範囲で添加するのがより好ましい。なお、添加は必要量を1回の添加で行ってもよいし、2回以上に分割して行ってもよい。
このようにして、シリカ粒子およびホスホネート化合物を添加した後、所望とする固有粘度になるまで重縮合反応を行い、さらに要すれば固相重合などを行うことにより、本発明のポリエステル組成物を製造することができる。なお、本発明のポリエステル組成物の固有粘度は、フィルムとしたときの強度や耐摩耗性などの観点から、0.5〜1.0dl/gの範囲が好ましく、0.55〜0.8dl/gの範囲がより好ましい。
上記の本発明のポリエステル組成物の製造方法を用いれば、シリカ粒子のポリエステル組成物中の分散性を向上でき、シリカ粒子の凝集が抑制され均一に分散されてなるポリエステル組成物を製造することができる。
本発明のポリエステル組成物の製造方法は、シリカ粒子製造工程(S)と、該シリカ粒子製造工程で得られたシリカ粒子をポリエステルに分散させる工程(P)とからなり、工程(S)が工程(S1)および(S2)を必須とし、工程(P)が工程(P1)を必須とする。
工程(P1)は、シリカ粒子を、ポリエステル中に、得られるポリエステル組成物の質量を基準として0.01〜10質量%となるように分散させる工程である。
次に、シリカ粒子製造工程(S)について説明する。
シリカ粒子製造工程(S)は、工程(S1)および(S2)を必須とする。
工程(S1):アルコキシシランを塩基性触媒および水の存在下で加水分解および縮合させてシリカ粒子初期縮合物を含有する分散体を得る工程。
工程(S2):シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体の塩基性触媒濃度および/または水濃度を高めてシリカ粒子を得る工程。
まず、工程(S1)、すなわち、アルコキシシランを塩基性触媒および水の存在下で加水分解および縮合させてシリカ粒子初期縮合物を含有する分散体を得る工程について説明する。
工程(S1)では、アルコキシシランが塩基性触媒(以下、「塩基性触媒A」と称する場合がある)および水を含む有機溶媒中で加水分解および縮合することによって、粒子を形成する。その結果、シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体が得られる。
上記アルコキシシランとしては、組成式RnSiX4-n(式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、不飽和脂肪酸残基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の有機基を表し、Xはアルコキシ基を表し、nは0〜3の整数を表し、RおよびXはそれぞれ同一あるいは異なっていてもよい)で表されるケイ素化合物およびその誘導体が、工業的に入手し易く安価であるため、好ましく用いられる。ただし、上記組成式中のnで表される整数が2または3であるケイ素化合物および/またはその誘導体を原料として用いた場合には、上記組成式中のnで表される整数が0または1であるケイ素化合物および/またはその誘導体を併用することが好ましい。
上記アルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらアルコキシシランは、単独で用いてもよく、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。上記アルコキシシランのうち、テトラメトキシシランがより好ましい。
アルコキシシラン、塩基性触媒A、水、有機溶媒の添加・混合方法は特に限定されるものではないが、例えば、塩基性触媒Aおよび水を含む有機溶媒にアルコキシシランを一括して添加し撹拌する方法、塩基性触媒Aおよび水を含む有機溶媒を撹拌しながらアルコキシシランを数回に分けて添加する方法、塩基性触媒Aおよび水を含む有機溶媒を撹拌しながらアルコキシシランを連続的に添加する方法等の種々の方法を採用することができる。また、アルコキシシランを有機溶媒に溶解させた溶液を予め調製し、前記溶液を塩基性触媒Aおよび水を含む有機溶媒に上記種々の方法を採用して添加することもできる。従って、アルコキシシラン、塩基性触媒A、水、有機溶媒を添加・混合する際の互いのタイミングは、適宜工夫される。
上記塩基性触媒Aとしては、アンモニア;加熱によりアンモニアを発生し得る尿素等のアンモニア発生剤;メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、n−ブチルアミン、ジメチルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン等の脂肪族アミン;シクロヘキシルアミン等の脂環式アミン;ベンジルアミン等の芳香族アミン(以下、脂肪族アミンと脂環式アミンと芳香族アミンとを総じて「アミン類」と称する);テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等の4級アンモニウムハイドロオキサイド;テトラメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;等が挙げられる。これらの中でも、粒子径が制御されたシリカ粒子初期縮合物が得られやすい点で、アンモニア、アミン類、アルカノールアミンが好ましい。また、沸点が低く、得られるシリカ粒子やシリカ粒子分散体への残存量を少なくしやすい点で、アンモニア、炭素数1〜4の脂肪族アミンが好ましい。さらに、アルコキシシランと水との加水分解反応を促進する効果が高く、得られるシリカ粒子やシリカ粒子分散体への残存量を少なくしやすい点で、アンモニアが特に好ましい。
有機溶媒は、アルコキシシランを溶解するとともに、塩基性触媒Aおよび水を溶解するか、もしくは、塩基性触媒Aおよび水が会合した状態で(ミセル状で)均一に分散することができる化合物であればよい。上記有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ペンチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;イソオクタン、シクロヘキサン等の(シクロ)パラフィン類;ジオキサン、ジエチルエーテル等の(環状)エーテル類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;等が挙げられる。これら有機溶媒は、単独で用いてもよく、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。上記有機溶媒のうち、アルコール類が特に好ましい。なお、塩基性触媒Aおよび水と相溶しない有機溶媒を用いることもできるが、この場合には、塩基性触媒Aおよび水を均一に分散させるために界面活性剤を添加してもよい。
有機溶媒に含まれるアルコキシシランの濃度は、0.05mol/L以上が好ましく、3.0mol/L以下が好ましい。
水の濃度は、0.1mol/L以上が好ましく、2mol/L以上がより好ましい。また、水の濃度は、50mol/L以下が好ましく、25mol/L以下がより好ましい。
塩基性触媒Aの濃度は、0mol/Lを超えることが好ましく、0.8mol/L以上がより好ましい。また、塩基性触媒Aの濃度は、10mol/L以下が好ましく、9.4mol/L以下がより好ましい。
アルコキシシランを加水分解および縮合する際の反応温度は、0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、20℃以上がさらに好ましい。また、上記反応温度は、100℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましく、50℃以下がさらに好ましい。反応温度が0℃以上であれば、加水分解および縮合反応が速やかに進行し、100℃以下であれば、加水分解および縮合反応の制御が容易になる。上記反応温度は、反応溶液の温度を意味する。
アルコキシシランを加水分解および縮合する際の反応時間は、30分以上が好ましく、1時間以上がより好ましく、2時間以上がさらに好ましい。また、上記反応時間は、100時間以下が好ましく、20時間以下がより好ましく、10時間以下がさらに好ましい。上記反応時間が30分以上であれば、加水分解および縮合反応が十分進行し、100時間以下であれば、加熱処理に要するエネルギーを低く抑えられ、生産性が向上する。
従って、加水分解および縮合時における最も好ましい反応条件は、有機溶媒に含まれるアルコキシシランの濃度が0.05mol/L〜3.0mol/Lの範囲内であり、水の濃度が2mol/L〜25mol/Lの範囲内であり、塩基性触媒Aの濃度が0.8mol/L〜9.4mol/Lの範囲内であり、かつ、反応温度が20℃〜50℃の範囲内であり、反応時間が2時間〜10時間の範囲内である。アルコキシシランを、塩基性触媒Aおよび水を含む有機溶媒中で加水分解および縮合することにより、球状で粒子径が揃ったシリカ粒子初期縮合物を含有する分散液が得やすくなる。
有機溶媒に含まれるアルコキシシランの濃度、塩基性触媒Aの濃度、水の濃度、反応温度は、シリカ粒子初期縮合物の粒子径等に影響を及ぼす場合があるため、所望する平均粒子径や粒度分布に応じて適宜調整されることが好ましい。
シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体は、フィルターに通すことで、粗大粒子を低減させることが可能である。例えば、シリカ粒子初期縮合物の平均粒子径よりも1μm以上孔径の大きいフィルターを使用することにより、反応中の液界面で生じた粗大凝集物等が除去される。上記フィルターは、適宜設定した空隙や空隙直径を持つメッシュであってもよい。
次に、工程(S2)、すなわち、シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体の塩基性触媒濃度および/または水濃度を高めてシリカ粒子を得る工程について説明する。
工程(S2)では、シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体の塩基性触媒濃度および/または水濃度を高めることにより、シリカ粒子初期縮合物が有するアルコキシ基の加水分解反応、およびシリカ粒子内での縮合反応が促進されると考えられる。その結果、得られるシリカ粒子は、シリカ粒子初期縮合物よりもシロキサン結合率が高くなる。
工程(S2)では、シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体の水濃度を高めて加熱する方法も好ましい。シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体の水濃度を高めてシリカ粒子を得る場合、室温ではシロキサン結合率を高める反応が速やかに進まない場合があるためである。そのような場合は、分散体の水濃度を高めるとともに、分散体を加熱することが好ましい。
工程(S2)では、シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体の塩基性触媒濃度を高めた後、さらに水濃度を高めて加熱する方法も好ましい。この方法では、シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体の塩基性触媒濃度を高めてシリカ粒子のシロキサン結合率を高める反応を一旦進めた上で、さらに水濃度を高めて加熱することで、シリカ粒子のシロキサン結合率をさらに高めやすくなる。
シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体を得る工程(S1)とシリカ粒子を得る工程(S2)は、いずれも、アルコキシ基の加水分解反応と縮合反応が関与するものである。シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体を得る工程(S1)では、縮合反応は主にアルコキシシランの分子間で起こると考えられ、縮合反応の進行はシリカ粒子の大きさを増大させることに主に寄与するものと考えられる。一方、シリカ粒子を得る工程(S2)では、縮合反応は、シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体を得る工程においてアルコキシシランが縮合して得られたポリシロキサンの分子内(シリカ粒子内)で主に起こると考えられ、縮合反応の進行はシリカ粒子のシロキサン結合率を高めることに主に寄与するものと考えられる。
工程(S2)において、塩基性触媒の濃度を高める方法は特に限定されるものではないが、例えば、シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体に塩基性触媒を添加する方法が好ましい。
工程(S2)で用いられる塩基性触媒(以下、「塩基性触媒B」と称する場合がある)としては、塩基性触媒Aで用いられる化合物が例示される。塩基性触媒Bは、塩基性触媒Aと同一であっても異なっていてもよい。塩基性触媒Bとしてより好ましいのは、アンモニアである。アンモニアであれば、シロキサン結合率を高めやすくなり、得られるシリカ粒子やシリカ粒子分散体への塩基性触媒の残存量を少なくしやすくなる。なお、工程(S2)における塩基性触媒濃度とは、塩基性触媒Aと塩基性触媒Bの合計の濃度を意味する。
工程(S2)は、シリカ粒子のシロキサン結合率を高めるところに特徴を有するが、シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体を得る工程で塩基性触媒Aと塩基性触媒Bの合計量の塩基性触媒が添加された場合は、粒子径の大きいシリカ粒子が生成しやすくなり、シリカ粒子のシロキサン結合率を高めることが難しくなるおそれがある。
塩基性触媒Bの添加量は、塩基性触媒Aの使用量に対して、0.1倍mol以上が好ましく、0.5倍mol以上がより好ましく、1倍mol以上がさらに好ましい。塩基性触媒Bの添加量は、塩基性触媒Aの使用量に対して、20倍mol以下が好ましく、15倍mol以下がより好ましく、10倍mol以下がさらに好ましい。塩基性触媒Bの添加量が、塩基性触媒Aの使用量に対して、0.1倍mol以上であればシロキサン結合率が十分高いシリカ粒子が得やすくなり、20倍mol以下であればシロキサン結合率の向上に寄与しない塩基性触媒Bの添加を減らすことができ、製造上経済的である。
塩基性触媒Bが液体の場合は、無希釈のままシリカ粒子初期縮合物を含有する分散体に添加されてもよいし、水および/または有機溶媒に希釈された溶液としてシリカ粒子初期縮合物を含有する分散体に添加されてもよい。塩基性触媒Bが固体の場合は、水および/または有機溶媒に溶解された溶液としてシリカ粒子初期縮合物を含有する分散体に添加されることが好ましい。
塩基性触媒Bが、水に希釈または溶解された溶液としてシリカ粒子初期縮合物を含有する分散体に添加される場合は、分散体の塩基性触媒濃度と水濃度を同時に高めることができる。
塩基性触媒Bが、有機溶媒に希釈または溶解された溶液としてシリカ粒子初期縮合物を含有する分散体に添加される場合、用いられる有機溶媒としては、シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体を得る工程(S1)で用いられる有機溶媒が例示される。これら有機溶媒は、単独で用いてもよく、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。これら有機溶媒のうち、アルコール類が特に好ましい。なお、水および塩基性触媒Bと相溶しない有機溶媒を用いることもできるが、この場合には、水および塩基性触媒Bを均一に分散させるために界面活性剤を添加してもよい。
塩基性触媒Bを、シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体に添加する方法は、例えば、一括に添加する方法、数回に分けて添加する方法、連続的に添加する方法等の種々の方法を採用することができる。また、上記方法に適宜撹拌操作を組み合わせることもできる。
シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体の塩基性触媒濃度および/または水濃度を高めてシリカ粒子を得る工程(S2)において、塩基性触媒濃度を高めた場合において該効果を発揮させるためには、反応温度は、5℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、15℃以上がさらに好ましい。また、上記反応温度は、60℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましく、40℃以下がさらに好ましい。反応温度が5℃以上であれば、シロキサン結合率を高める反応が速やかに進行しやすくなる。反応温度が60℃以下であれば、塩基性触媒Aおよび/または塩基性触媒Bとしてアンモニアを用いた場合に、アンモニアの揮発が起こりにくくなり、シロキサン結合率を高める反応が確実に進行しやすくなる。上記反応温度は、反応溶液の温度を意味する。
シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体の塩基性触媒濃度および/または水濃度を高めてシリカ粒子を得る工程(S2)において、反応時間は、3時間以上が好ましく、6時間以上がより好ましく、12時間以上がさらに好ましい。また、上記反応時間は、48時間以下が好ましく、36時間以下がより好ましく、24時間以下がさらに好ましい。上記反応時間が3時間以上であれば、シロキサン結合率を高める反応が十分進行し、48時間以下であれば、処理に要するエネルギーを低く抑えることができ、生産性が向上する。
シリカ粒子を得る工程(S2)において、水濃度を高める方法としては、分散体に水を添加する方法、分散体の溶媒の一部または全部を水に置換する方法等が挙げられる。水濃度を高める対象となる分散体としては、シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体、シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体の塩基性触媒濃度を高めたことにより得られるシロキサン結合率が高くなったシリカ粒子を含む分散体、シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体の塩基性触媒濃度および水濃度を高めたことにより得られるシロキサン結合率が高くなったシリカ粒子を含む分散体が挙げられる。
分散体の溶媒の一部または全部を水に置換する方法としては、例えば、沈降分離、浮上分離、遠心分離、ろ過等の方法により、分散体に含まれる固形分を分離または濃縮した後、水を加える方法を採用することができる。また、溶媒抽出、蒸留等の手段を用いて、分散体に含まれる有機溶媒の一部または全部を除去した後水を加える方法、分散体に水を加えた後有機溶媒の一部または全部を除去する方法、分散体に含まれる有機溶媒を除去しながら水を加える方法、水に分散体を加えながら分散体に含まれる有機溶媒を除去する方法等を採用してもよい。
分散体の水濃度を高めて加熱する場合、その具体的な方法としては、分散体の水濃度を高めた後に加熱する方法、分散体の水濃度を高めながら加熱する方法等が挙げられる。分散体の水濃度を高めて加熱する場合、分散体の水濃度を高める方法としては、蒸留により分散体の水濃度を高める方法が製造上効率的であり、より好ましい。例えば、分散体に水を加えた後蒸留により有機溶媒を除去する方法、蒸留により分散体に含まれる有機溶媒を除去しながら水を加える方法、加熱した水に分散体を加えながら加熱を継続することにより分散体に含まれる有機溶媒を除去する方法が挙げられる。このうち、加熱した水に分散体を加えながら加熱を継続することにより分散体に含まれる有機溶媒を除去する方法であれば、反応系内の温度の急激な低下を避けやすく、反応温度をスムーズに上げやすくなるため、特に好ましい。なお、蒸留により分散体の水濃度を高める場合、用いられる有機溶媒は水より低い沸点を有するものであることが必要となる。
分散体の水濃度を高めて加熱する場合、加熱温度は、90℃以上が好ましく、95℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましい。上記加熱温度は、300℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましく、150℃以下がさらに好ましい。上記加熱温度が90℃以上であれば、シロキサン結合率を高める反応が速やかに進行しやすくなり、蒸留の際の溶媒置換が速やかに進む。上記加熱温度が300℃以下であれば、上記反応の制御が容易になる。なお、上記加熱温度は、反応溶液の温度を意味する。
加熱は、常圧下、加圧下または減圧下のいずれで行ってもよい。加熱の際の温度が100℃以上となる場合は、加圧下で行うことが好ましい。
分散体の水濃度を高めて加熱する場合、加熱時間は、1時間以上が好ましく、3時間以上がより好ましく、5時間以上がさらに好ましい。また、上記加熱時間は、20時間以下が好ましく、15時間以下がより好ましく、10時間以下がさらに好ましい。上記反応時間が1時間以上であれば、シロキサン結合率を高める反応が十分進行し、20時間以下であれば、処理に要するエネルギーを低く抑えることができ、生産性が向上する。
加熱操作の有無、加熱温度や加熱時間の条件により、得られるシリカ粒子は、溶媒に分散された形態(分散体)、湿潤状態の固体(ケーキ状)、乾燥(低湿潤)状態の固体(粉体)の形態等となる。従って、シリカ粒子製造工程(S)における製造方法は、シリカ粒子溶媒分散体の製造方法とすることもできる。加熱温度が高くなるほど、あるいは加熱時間が長くなるほど、溶媒の蒸発量が増え、シリカ粒子は固体(粉体)の形態で得られやすくなる。
シリカ粒子が溶媒分散体の形態で得られた場合は、さらに固液分離工程を組み合わせることで、シリカ粒子を含有する分散体から固体状シリカ粒子を得ることができる。固液分離は、任意の適切な方法を用いることができ、沈降分離、浮上分離、遠心分離、ろ過等の方法を用いることができる。
固液分離工程の後段に乾燥工程を組み合わせて、固体(粉体)状シリカ粒子を製造してもよい。乾燥方法は、シリカ粒子から溶媒を除去できる方法であれば、特に限定されない。
前記方法により得られるシリカ粒子(分散体、ケーキ状、粉体等の形態は問わない)は、溶媒に配合されることで、シリカ粒子溶媒分散体とすることもできる。
上記工程(S2)は、好ましくは、シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体の塩基性触媒濃度および/または水濃度を高める処理を施した後、アルコールの存在下で加熱する操作を含む。シリカ粒子を得る工程(S2)で得られるシリカ粒子は、製造条件により分散体として得られたり、ケーキ状、粉体等の固体状で得られたりする。工程(S2)では、シリカ粒子を得る工程で得られたシリカ粒子を含有する分散体の溶媒の一部または全部をアルコールに置換した後、または置換しながら加熱処理を行っても良い。また、工程(S2)では、シリカ粒子を得る工程で得られた固形状のシリカ粒子を、アルコールの存在下で加熱処理を行っても良い。
シリカ粒子を含有する分散体の溶媒の一部または全部をアルコールに置換する方法は、シリカ粒子を得る工程(S2)において分散体の溶媒の一部または全部を水に置換する方法として挙げた方法が採用できる。これらの方法のうち、蒸留によりシリカ粒子を含有する分散体の溶媒をアルコールに置換する方法が製造上効率的であり、より好ましい。例えば、シリカ粒子を含有する分散体にアルコールを加えた後蒸留により水を除去する方法、蒸留によりシリカ粒子を含有する分散体に含まれる水を除去しながらアルコールを加える方法、加熱したアルコールにシリカ粒子を含有する分散体を加えながら加熱を継続することによりシリカ粒子を含有する分散体に含まれる水を除去する方法が挙げられる。このうち、蒸留によりシリカ粒子を含有する分散体に含まれる水を除去しながらアルコールを加える方法、加熱したアルコールにシリカ粒子を含有する分散体を加えながら加熱を継続することによりシリカ粒子を含有する分散体に含まれる水を除去する方法であれば、反応系内の温度の急激な低下を避けられ、反応温度をスムーズに上げやすくなるため、特に好ましい。なお、蒸留により分散体の溶媒の一部または全部をアルコールに置換する場合、用いられるアルコールは水より高い沸点を有するものであることが必要となる。
固形状のシリカ粒子をアルコールの存在下で加熱処理を行う場合の、固形状のシリカ粒子とアルコールとを共存させる方法としては、例えば、固形状のシリカ粒子とアルコールとを配合して分散体や湿潤状態の固体とする方法、固体状のシリカ粒子をガス状のアルコールと接触させる方法等が採用できる。
工程(S2)で用いることができるアルコールとしては、本発明のシリカ粒子に結合しているアルコールとして挙げた前述のアルコールを挙げることができる。工程(S2)で用いることができるアルコールは特に限定されるものではなく、1価アルコールでもよく、多価アルコールでもよい。また、1種類のアルコールのみが用いられてもよく、複数種類のアルコールが混合して用いられてもよい。これらのアルコールの中でも、工程(S2)で用いられるアルコールとしては、1価アルコールおよび/またはグリコールを含むアルコールであることが好ましい。ポリエステルを製造する反応系にシリカ粒子を添加する方法に適用する場合、ポリエステルの原料である点から、シリカ粒子溶媒分散体の溶媒としては、グリコールが特に好ましい。グリコールとしては炭素数2〜8のアルコールが好ましく、エチレングリコールを用いることがより好ましい。
加熱は、常圧下、加圧下または減圧下のいずれで行ってもよい。加熱温度は、用いられるアルコールの沸点近辺またはそれ以上に保持することが好ましいが、減圧下ではアルコールの沸点以下の温度で加熱してもよい。加熱の際の温度がアルコールの沸点以上となる場合は、加圧下で行うことが好ましい。加熱温度は、水の常圧沸点である100℃以上であることが好ましいが、さらに、アルコールの常圧における沸点をTb(℃)とした場合に、Tb−10℃以上であることが好ましく、Tb−5℃以上であることがより好ましく、Tb以上であることがさらに好ましい。加熱の際の温度がTb−10℃以上であれば、アルコールの結合量が多いシリカ粒子が得やすくなる。加熱時間は、0.5時間以上が好ましく、1時間以上がより好ましく、2時間以上がさらに好ましい。上記加熱時間が0.5時間以上であれば、アルコールとシリカ粒子との反応が十分進行する。
シリカ粒子を得る工程(S2)で得られたシリカ粒子の形態、アルコールの存在下で加熱する際の加熱温度や加熱時間の条件により、得られるシリカ粒子は、溶媒に分散された形態(分散体)、湿潤状態の固体(ケーキ状)、乾燥(低湿潤)状態の固体(粉体)の形態等となる。加熱温度が高くなるほど、あるいは加熱時間が長くなるほど、溶媒の蒸発量が増え、シリカ粒子は固体(粉体)の形態で得られやすくなる。
シリカ粒子が分散体の形態で得られた場合は、さらに固液分離工程を組み合わせることで、シリカ粒子を含有する分散体から固体状シリカ粒子を得ることができる。固液分離は、任意の適切な方法を用いることができ、沈降分離、浮上分離、遠心分離、ろ過等の方法を用いることができる。
固液分離工程の後段に乾燥工程を組み合わせて、固体(粉体)状シリカ粒子を製造してもよい。乾燥方法は、シリカ粒子から溶媒を除去できる方法であれば、特に限定されない。
また、上記方法により得られる固体状シリカ粒子(分散体、ケーキ状、粉体等の形態は問わない)は、任意の適切な溶媒に配合されることで、本発明におけるシリカ粒子溶媒分散体とすることもできる。
以下に、実施例を示すことにより本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。なお、各シリカ粒子およびシリカ粒子溶媒分散体の測定結果を表1に示す。
<シリカ粒子のシロキサン結合率の測定方法>
シリカ粒子を、固体NMR装置(BRUKER社製、AVANCE400)により、ケミカルシフト(δ)−130ppm〜−80ppmの範囲で測定した。ケミカルシフト(δ)−130ppm〜−80ppmの範囲の全シグナルの面積を100%としたときの、ケミカルシフト(δ)−111.4ppmにピークを有するシグナルの面積の割合を、シロキサン結合率とした。
なお、測定に供するシリカ粒子は以下のようにして調製した。すなわち、シリカ粒子のエチレングリコール分散体を遠心分離機により、遠心力10万G以上で60分間、遠心分離を行った。沈殿物を80℃、6.7kPaの減圧条件下で10時間、乾燥(真空乾燥)を行い、シリカ粒子を得た。
<シリカ粒子のアルコールの結合量の測定方法>
シリカ粒子約1gを精秤し、0.05N水酸化ナトリウム水溶液50mLに入れ、室温で10時間撹拌し、懸濁液を得た。前記懸濁液を遠心分離機により、遠心力10万G以上で60分間遠心分離して、上澄み液を分取した。前記上澄み液をガスクロマトグラフにより分析し、グリコール含有量を求めた。ガスクロマトグラフの検出器は水素炎イオン化検出器(FID)を用いた。ガスクロマトグラフ分析は、JIS K 0114に従った。
なお、測定に供するシリカ粒子は以下のようにして調製した。すなわち、シリカ粒子のエチレングリコール分散体を遠心分離機により、遠心力10万G以上で60分間、遠心分離を行った。沈殿物を80℃、6.7kPaの減圧条件下で10時間、乾燥(真空乾燥)を行い、シリカ粒子を得た。
<シリカ粒子の平均粒子径、粒子径の標準偏差、粒子径の変動係数の測定方法>
任意に採取したシリカ粒子の電子顕微鏡写真(95mm×70mm)を、5ヶ所場所を変え、撮影した。このとき、電子顕微鏡写真1枚の中の粒子が50個〜100個となるように測定倍率を設定した。例えば、平均粒子径1μmのシリカ粒子であれば、10000倍で撮影を行う。電子顕微鏡写真に写った全粒子の粒子径(一次粒子径)をノギスにより計測した。この計測値の算術平均を平均粒子径とし、この計測値の不偏分散の平方根を粒子径の標準偏差とした。粒子径の変動係数は、下記式により算出した。
変動係数(%)=粒子径の標準偏差/平均粒子径×100
<シリカ粒子の粒径比の測定方法>
走査型電子顕微鏡(日立製S−3100型)で100個のシリカ粒子について、長径(D)、短径(D)を測定し、それぞれの平均値を求め、得られた平均長径を平均短径で割った値を粒径比とした。
<シリカ粒子の強熱減量の測定方法>
80℃、50Torr(6.7kPa)の条件下で24時間真空乾燥させたシリカ粒子を蒸発皿(質量w1)にとった。シリカ粒子と蒸発皿を合わせた質量を計測し、この質量をw2とした。シリカ粒子を入れた蒸発皿を電気炉に入れ、600℃で1時間放置して加熱処理し、加熱処理後のシリカ粒子と蒸発皿を合わせた質量w3を計測した。そして、以下の式に基づき、シリカ粒子の強熱減量を求めた。なお、強熱減量の測定では、測定用の試料を3個設け、一度に同じ条件でシリカ粒子の強熱減量の測定を行い、この平均値をシリカ粒子の強熱減量とした。
シリカ粒子の強熱減量(質量%)={1−(w3−w1)/(w2−w1)}×100
<元素含有量の分析方法>
シリカ粒子に含まれるナトリウム、カリウム、リチウム、フッ素、塩素の各元素の含有量を測定した。ナトリウム、カリウム、リチウムの各元素の含有量は、JIS K 0121の原子吸光分析により分析を行った。フッ素、塩素の含有量は、JIS K 0127のイオンクロマトグラフにより分析を行った。
<シリカ粒子溶媒分散体のシリカ粒子含有量の測定方法>
蒸発皿(質量w11)にシリカ粒子溶媒分散体をとり、シリカ粒子溶媒分散体と蒸発皿を合わせた質量を計測し、この質量をw12とした。シリカ粒子溶媒分散体を入れた蒸発皿を乾燥器に入れ、80℃、50Torr(6.7kPa)の条件下で24時間真空乾燥し、乾燥後のシリカ粒子溶媒分散体と蒸発皿を合わせた質量w13を計測した。そして、以下の式に基づき、シリカ粒子溶媒分散体のシリカ粒子含有量を求めた。なお、シリカ粒子含有量の測定では、測定用の試料を3個設け、一度に同じ条件でシリカ粒子溶媒分散体のシリカ粒子含有量測定を行い、この平均値をシリカ粒子溶媒分散体のシリカ粒子含有量とした。
シリカ粒子溶媒分散体のシリカ粒子含有量(質量%)=(w13−w11)/(w12−w11)×100
<シリカ粒子溶媒分散体における平均分散粒子径、積算粒子数(体積換算)70%および30%の粒子径の測定方法>
レーザー散乱式粒度分布測定器(島津製作所製SALD2000)を用いて評価した。積算粒度分布から積算粒子数(体積換算)70%の粒子径(D70)、同30%の粒子径(D30)を求め、(D70/D30)を計算して評価した。
シリカ粒子溶媒分散体における、平均分散粒子径は、同様の測定において、積算粒子数(体積換算)50%の粒子径(D50)を平均分散粒子径とした。
<シリカ粒子溶媒分散体の水分含有量の測定方法>
JIS K 0068のカールフィッシャー滴定法(容量滴定法)に従い測定した。水分含有量の測定では、測定用の試料を3個設け、一度に同じ条件でシリカ粒子分散体の水分含有量測定を行い、この平均値をシリカ粒子分散体の水分含有量とした。
<ポリエステル組成物の固有粘度(IV)>
ポリマーサンプルを35℃の温度下で、オルソクロロフェノールに溶解して測定した。
<ポリエステル組成物中のリン、マンガン含有量>
ポリマーサンプルを加熱溶融して、円形ディスクを作成し、リガク製蛍光X線装置3270型を用いて測定し、ポリエステル組成物の質量を基準として、それぞれの元素量として定量を行った。
<ポリエステル組成物中のカルシウム、マグネシウム含有量>
ポリマーサンプルをオルソクロロフェノールに溶解した後、0.5規定塩酸で抽出操作を行った。この抽出液について偏光ゼーマン原子吸光光度計(日立製Z−2300型)で吸光度を測定し、ポリエステル組成物の質量を基準として、それぞれの元素量として定量を行った。
<ポリエステル組成物中シリカ粒子の凝集粒子率>
得られたポリエステル組成物をフィルムに製膜した後、得られたフィルムサンプルをエイコーエンジニアリング(株)製スパッターリング装置(1B−2型イオンコーター装置)を用いてフィルム表面に下記条件にてイオンエッチング処理を施す。条件は、シリンダージャー内に試料を設置し、約6.65Pa(5×10−2Torr)の真空状態まで真空度を高め、電圧0.45kV、電流3mAにて約15分間イオンエッチングを実施する。さらに同装置にてフィルム表面に金スパッターを施した。そして走査型電子顕微鏡(日立製S−2150)を用いて、測定倍率5千倍〜2万倍で2×10−3mmの範囲にある全一次粒子数および凝集粒子数をカウントし、下記式により凝集粒子率(%)を求めた。
凝集粒子率(%)=凝集粒子数/全一次粒子数 ×100
なお、ここで2個以上のシリカ粒子が集まっているものを凝集粒子とし、2個の一次粒子からなる場合、凝集粒子数は2個、3個の一次粒子からなる場合、凝集粒子数は3個としてカウントした。
<ポリエステル組成物中のシリカ粒子の大凝集数>
シリカ0.25gを含むポリエステル組成物サンプルをクロロホルム/ヘキサフロロイソプロパノールの混合液に溶解後、凝集粒子を壊さないように、直径25mm、孔径3μmのメンブレンフィルターにてろ過した。フィルターをエイコーエンジニアリング(株)製スパッターリング装置(IB−2型イオンコーター装置)を用いて金スパッターを施した後、走査型電子顕微鏡(日立製S−3500)を用いて、0.1mmにある長径10μm以上のシリカ粒子凝集粒子をカウントした。観察面積比より、シリカ1mg中の大凝集数として表す。
<フィルムサンプルの固有粘度>
フィルムサンプルを35℃の温度下で、オルソクロロフェノールに溶解して測定した。
[製造例1]シリカ粒子エチレングリコール分散体1の作製
撹拌装置、滴下装置および温度計を備えた容量30Lの反応器に、メチルアルコール16Lと、28質量%アンモニア水(塩基性触媒A)1.0kgとを仕込み、撹拌しながら液温を20±0.5℃に調節した。一方、滴下装置に、テトラメトキシシラン1.0kgをメチルアルコール2.0Lに溶解させた溶液を仕込んだ。反応器中の液温を20±0.5℃に保持しながら、滴下装置から前記溶液を1時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに12時間、液温を上記温度に保持しながら撹拌することにより、テトラメトキシシランの加水分解および縮合を行い、シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体を得た。
撹拌装置、滴下装置、温度計および留出ガス回収装置を備えた容量5Lの反応器に水を1.6kg仕込んだ。留出ガス回収装置は、反応器に接続した留出ガス凝縮器、留出ガス凝縮器に接続した留出液受け器からなっており、留出液受け器には減圧吸引口が備わっている。反応器に仕込まれた水を、常圧で撹拌しながら、反応器外部より120℃に保持された熱媒体により加熱した。一方、滴下装置に、前記シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体18.2kgを仕込んだ。反応器中の水が前記条件で加熱・撹拌されているところに、前記シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体を240分間かけて連続的に滴下した。滴下後、反応溶液の液温が100℃(常圧)になった時点から3時間、同温度で加熱を続け、シリカ粒子が水を主成分とする溶媒に分散してなる水性分散体1を得た。
滴下装置にエチレングリコール1.6kgを仕込んだ。
次に、熱媒体を180℃に保持したまま水性分散体を加熱しながら、滴下装置に仕込んだエチレングリコールを120分かけて水性分散体1に連続的に滴下した。滴下後、熱媒体の温度を180℃から徐々に230℃まで上げて、メチルアルコール、アンモニア、水、およびエチレングリコールの一部を含む液体を留出させ、さらに反応溶液の液温を195℃〜198℃で保持しながら1時間加熱した後、冷却することにより、シリカ粒子がエチレングリコールに分散含有されてなるシリカ粒子溶媒分散体1(シリカ粒子エチレングリコール分散体1)を得た。
また、得られたシリカ粒子溶媒分散体1を遠心分離機により、遠心力10万G以上で60分間遠心分離して、沈殿物を取り出した。上記沈殿物を80℃にて10時間、50Torr(6.7kPa)の条件で真空乾燥して、シリカ粒子1を得た。
シリカ粒子1のシロキサン結合率は70.2%、アルコールの結合量はメチルアルコールが0.009mmol/g、エチレングリコールが0.158mmol/g、平均粒子径は0.09μm、粒子径の変動係数は7.5%であった。アルカリ金属とハロゲン元素の各含有量はいずれも1ppm未満であった。シリカ粒子溶媒分散体1のシリカ粒子含有量は25.8質量%、強熱減量は7.6質量%、水分含有量は0.06質量%であった。
シリカ粒子溶媒分散体1並びにシリカ粒子1を評価した結果を表1に示す。
[製造例2]シリカ粒子エチレングリコール分散体2の作製
製造例1で用いた容量30Lの反応器に、メチルアルコール16Lと、28質量%アンモニア水(塩基性触媒A)1.5kgとを仕込み、撹拌しながら液温を20±0.5℃に調節した。一方、滴下装置に、テトラメトキシシラン1.0kgをメチルアルコール2.0Lに溶解させた溶液を仕込んだ。反応器中の液温を20±0.5℃に保持しながら、滴下装置から上記溶液を1時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに2時間、液温を上記温度に保持しながら撹拌することにより、テトラメトキシシランの加水分解および縮合を行い、シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体を得た。
上記シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体に、28質量%アンモニア水(塩基性触媒B)2.0kgを一括に添加し、反応器中の液温を20±0.5℃に保持しながら12時間撹拌し、得られた生成物18.2kgを、製造例1で用いた容量5Lの反応器に備ええられた滴下装置に仕込んだ。
当該滴下装置、撹拌装置、温度計および留出ガス回収装置を備えた製造例1で用いた容量5Lの反応器に水を1.6kg仕込み、常圧で撹拌しながら、反応器外部より120℃に保持された熱媒体により加熱した。反応器中の水が上記条件で加熱・撹拌されているところに、滴下装置から上記生成物を240分間かけて連続的に滴下した。滴下後、反応溶液の液温が100℃(常圧)になった時点から3時間、同温度で加熱を続け、水を溶媒主成分とするシリカ粒子の水性分散体2を得た。
滴下装置にエチレングリコール1.6kgを仕込んだ。次に、熱媒体を180℃に保持したまま水性分散体を加熱しながら、滴下装置に仕込んだエチレングリコールを120分かけて水性分散体に連続的に滴下した。滴下後、熱媒体の温度を180℃から徐々に230℃まで上げて、メチルアルコール、アンモニア、水、およびエチレングリコールの一部を含む液体を留出させ、さらに反応溶液の液温を195℃〜198℃で保持しながら1時間加熱して、シリカ粒子溶媒分散体2(シリカ粒子エチレングリコール分散体2)を得た。
シリカ粒子溶媒分散体2より、製造例1の場合と同様の条件で遠心分離および真空乾燥して、シリカ粒子2を得た。
シリカ粒子2のシロキサン結合率は72.1%、アルコールの結合量はメチルアルコールが0.009mmol/g、エチレングリコールが0.159mmol/g、平均粒子径は0.25μm、粒子径の変動係数は5.4%であった。アルカリ金属とハロゲン元素の各含有量はいずれも1ppm未満であった。シリカ粒子溶媒分散体2のシリカ粒子含有量は26.7質量%、強熱減量は7.2質量%、水分含有量は0.04質量%であった。
シリカ粒子溶媒分散体2並びにシリカ粒子2を評価した結果を表1に示す。
[製造例3]シリカ粒子エチレングリコール分散体3の作製
製造例1で用いた容量30Lの反応器に、エチルアルコール9.2Lと、28質量%アンモニア水(塩基性触媒A)2.8kg、水0.5kgとを仕込み、撹拌しながら液温を30±0.5℃に調節した。一方、滴下装置に、テトラエトキシシラン1.4kgを仕込んだ。反応器中の液温を30±0.5℃に保持しながら、滴下装置からテトラエトキシシランを1時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに2時間、液温を上記温度に保持しながら撹拌することにより、テトラエトキシシランの加水分解および縮合を行い、シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体を得た。
上記シリカ粒子初期縮合物に、28質量%アンモニア水(塩基性触媒B)2.8kgを一括に添加し、反応器中の液温を30±0.5℃に保持しながら12時間撹拌することにより、得られた生成物14.7kgを、製造例1で用いた容量5Lの反応器に備えられた滴下装置に仕込んだ。当該滴下装置、撹拌装置、温度計および留出ガス回収装置を備えた製造例1で用いた容量5Lの反応器に水を1.6kg仕込み、常圧で撹拌しながら、反応器外部より120℃に保持された熱媒体により加熱した。反応器中の水が上記条件で加熱・撹拌されているところに、滴下装置から上記生成物を240分間かけて連続的に滴下した。滴下後、反応溶液の液温が100℃(常圧)になった時点から3時間、同温度で加熱を続け、水を溶媒主成分とするシリカ粒子の水性分散体3を得た。
滴下装置にエチレングリコール1.6kgを仕込み、熱媒体を180℃に保持しながら、エチレングリコールを120分かけて上記シリカ粒子の水性分散体に連続的に滴下した。滴下後、熱媒体の温度を180℃から徐々に230℃まで上げて、エチルアルコール、アンモニア、水、およびエチレングリコールの一部を含む液体を留出させ、さらに反応溶液の液温を195℃〜198℃で保持しながら1時間加熱して、シリカ粒子溶媒分散体3(シリカ粒子エチレングリコール分散体3)を得た。
得られたシリカ粒子溶媒分散体3を、製造例1と同様の条件で遠心分離および真空乾燥して、シリカ粒子3を得た。
シリカ粒子3のシロキサン結合率は74.1%、アルコールの結合量はエチルアルコールが0.010mmol/g、エチレングリコールが0.176mmol/g、平均粒子径は1.04μm、粒子径の変動係数は3.2%であった。アルカリ金属とハロゲン元素の各含有量はいずれも1ppm未満であった。シリカ粒子溶媒分散体3のシリカ粒子含有量は28.4質量%、水分含有量は0.07質量%であった。
シリカ粒子溶媒分散体3並びにシリカ粒子3を評価した結果を表1に示す。
[比較製造例1]シリカ粒子エチレングリコール分散体c1の作製
撹拌装置、滴下装置および温度計を備えた容量30Lの反応器に、メチルアルコール16Lと、28質量%アンモニア水(塩基性触媒A)1.0kgとを仕込み、撹拌しながら液温を20±0.5℃に調節した。一方、滴下装置に、テトラメトキシシラン1.0kgをメチルアルコール2.0Lに溶解させた溶液を仕込んだ。反応器中の液温を20±0.5℃に保持しながら、滴下装置から上記溶液を1時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに12時間、液温を上記温度に保持しながら撹拌することにより、テトラメトキシシランの加水分解および縮合を行い、シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体を得た。
上記シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体18.2kgを製造例1で用いた容量5Lの反応器に備えられた滴下装置に仕込んだ。当該滴下装置、撹拌装置、温度計および留出ガス回収装置を備えた製造例1で用いた容量5Lの反応器にエチレングリコールを1.6kg仕込み、常圧で撹拌しながら、反応器外部より120℃に保持された熱媒体により加熱した。反応器中のエチレングリコールが上記条件で加熱・撹拌されているところに、上記シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体を240分間かけて連続的に滴下した。滴下後、熱媒体の温度を120℃から徐々に230℃まで上げて、メチルアルコール、アンモニア、水、およびエチレングリコールの一部を含む液体を留出させ、さらに反応溶液の液温を195℃〜198℃で保持しながら1時間加熱して、シリカ粒子溶媒分散体c1(シリカ粒子エチレングリコール分散体c1)を得た。得られたシリカ粒子溶媒分散体c1を、製造例1と同様の条件で遠心分離および真空乾燥して、シリカ粒子c1を得た。
シリカ粒子c1のシロキサン結合率は55.4%、アルコールの結合量はメチルアルコールが0.083mmol/g、エチレングリコールが2.767mmol/g、平均粒子径は0.25μm、粒子径の変動係数は5.4%であった。アルカリ金属とハロゲン元素の各含有量はいずれも1ppm未満であった。シリカ粒子溶媒分散体c1のシリカ粒子含有量は25.0質量%、強熱減量は13.1質量%、水分含有量は0.12質量%であった。
シリカ粒子溶媒分散体c1並びにシリカ粒子c1を評価した結果を表1に示す。
Figure 0005344455
実施例に先立ち、製造例1〜3、比較製造例1で得られた各シリカ粒子溶媒分散体にエチレングリコールを添加混合することにより、シリカ粒子濃度10質量%となるよう、濃度調製した。
[実施例1]
テレフタル酸ジメチルエステル(DMT)100モルとエチレングリコール(EG)200モル、酢酸マンガン四水和物0.03モルとを、エステル交換反応槽に仕込み、190℃まで昇温した。次いで、シリカ粒子濃度10質量%に調製したシリカ粒子エチレングリコール分散体1を、得られるポリエステルの質量を基準として、0.3質量%となるように添加した。その後、240℃に昇温しながらメタノールを除去しエステル交換反応を終了した。
その後、三酸化二アンチモン0.02モルとトリエチルホスホノアセテートの10質量%エチレングリコール溶液をリン量換算で0.04モルを添加した。得られた反応生成物を重合反応槽へと移行し、昇温しつつ重縮合反応槽内の圧力をゆっくりと減圧し、最終的に重縮合温度290℃、50Paの真空下で重縮合を行った。目標の攪拌動力となった時点でポリエステル組成物を取り出した。
このようにして得られたポリエステル組成物を160℃で4時間乾燥した後、280℃で溶融状態とし、回転しているキャスティングドラムに溶融状態のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を押出して,厚さ400μmの未延伸シート状物を得た。次いでこの未延伸シートを二軸延伸装置にて110℃で長手方向および幅方向にそれぞれ同時二軸延伸し、厚さが25μmのフィルムサンプルを作製した。
得られたポリエステル組成物並びにフィルムの特性を表2に示す。
[実施例2〜3]
シリカ粒子エチレングリコール分散体の種類、量、添加温度およびホスホネート化合物の種類、さらにエステル交換反応触媒の種類、量を表2に示すとおり変更した以外は実施例1と同様の操作を繰り返して、ポリエステル組成物並びにフィルムサンプルを作製した。
得られたポリエステル組成物並びにフィルムの特性を表2に示す。
[実施例4]
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル(NDCM)100モルとエチレングリコール(EG)200モル、酢酸マンガン四水和物0.03モルとをエステル交換反応槽に仕込み、190℃まで昇温した。次いでシリカ粒子濃度10質量%に調製したシリカ粒子エチレングリコール分散体1を、得られるポリエステルの質量を基準として、1.5質量%となるように添加した。その後、250℃に昇温しながらメタノールを除去しエステル交換反応を終了した。
その後、三酸化二アンチモン0.02モルとトリエチルホスホノアセテートの10質量%エチレングリコール溶液をリン量換算で0.05モルを添加した後、得られた反応生成物を重合反応槽へと移行し、昇温しつつ重縮合反応槽内の圧力をゆっくりと減圧し、最終的に重縮合温度300℃、50Paの真空下で重縮合を行った。目標の攪拌動力となった時点でポリエステル組成物を取り出した。
このようにして得られたポリエステル組成物を180℃で4時間乾燥した後、290℃で溶融状態とし、回転しているキャスティングドラムに溶融状態のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を押出して、厚さ350μmの未延伸シート状物を得た。次いでこの未延伸シートを二軸延伸装置にて150℃で長手方向および幅方向にそれぞれ同時二軸延伸し、厚さが25μmのフィルムサンプルを作製した。
得られたポリエステル組成物並びにフィルムの特性を表2に示す。
[実施例5〜6、比較例1]
シリカ粒子エチレングリコール分散体の種類、量、添加温度およびホスホネート化合物の種類、さらにエステル交換反応触媒の種類、量を表2に示すとおり変更した以外は実施例4と同様の操作を繰り返して、ポリエステル組成物並びにフィルムサンプルを作製した。
得られたポリエステル組成物並びにフィルムの特性を表2に示す。
Figure 0005344455
本発明のポリエステル組成物は、フィルムなどの成形材料として好適に使用できる。

Claims (18)

  1. ポリエステルを含み、アルコールが結合したシリカ粒子を0.01〜10質量%含有するポリエステル組成物であって、
    該シリカ粒子は、アルコキシシランを加水分解・縮合して形成され、
    該シリカ粒子は、アルカリ金属およびハロゲン元素の含有量がそれぞれ5ppm以下であり、
    該シリカ粒子のシロキサン結合率が68%以上であり、
    該アルコールの結合量が該シリカ粒子1g当たり0.001mmol以上である、
    ポリエステル組成物。
  2. 前記アルコールが、1価アルコールおよび/またはグリコールを含む、請求項1に記載のポリエステル組成物。
  3. 前記1価アルコールの結合量が、前記シリカ粒子1g当たり0.001mmol〜1mmolである、請求項2に記載のポリエステル組成物。
  4. 前記1価アルコールがメチルアルコールである、請求項2または3に記載のポリエステル組成物。
  5. 前記グリコールの結合量が、前記シリカ粒子1g当たり0.001mmol〜3mmolである、請求項2に記載のポリエステル組成物。
  6. 前記シリカ粒子の平均粒子径が0.01μm以上である、請求項1から5までのいずれかに記載のポリエステル組成物。
  7. 前記ポリエステルが、エチレンテレフタレート単位またはエチレン−2,6−ナフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステルである、請求項1から6までのいずれかに記載のポリエステル組成物。
  8. 前記ポリエステルの固有粘度が0.5〜1.0dl/gの範囲にある、請求項1から7までのいずれかに記載のポリエステル組成物。
  9. 前記シリカ粒子が、アルコキシシランを塩基性触媒および水の存在下で加水分解および縮合させてシリカ粒子初期縮合物を含有する分散体を得る工程と、該シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体に塩基性触媒を添加して塩基性触媒濃度を高めてシリカ粒子を得る工程および/または該シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体に水を添加して水濃度を高めてシリカ粒子を得る工程とを有する製造方法により得られたものである、請求項1から8までのいずれかに記載のポリエステル組成物。
  10. 前記シリカ粒子の粒子径の変動係数が20%以下である、請求項1から9までのいずれかに記載のポリエステル組成物。
  11. 前記シリカ粒子の長径の平均値(D )を前記シリカ粒子の短径の平均値(D )で割った粒径比(D /D )が1.0〜1.2の範囲にある、請求項1から10までのいずれかに記載のポリエステル組成物。
  12. 前記シリカ粒子の積算粒度分布から積算粒子数(体積換算)70%の粒子径をD 70 、同30%の粒子径D 30 とするとき、(D 70 /D 30 )が1.1〜2.0の範囲にある、請求項1から11までのいずれかに記載のポリエステル組成物。
  13. 請求項1から12までのいずれかに記載のポリエステル組成物の製造方法であって、
    シリカ粒子製造工程(S)と、該シリカ粒子製造工程で得られたシリカ粒子をポリエステルに分散させる工程(P)とからなり、
    工程(S)が、下記工程(S1)および(S2)を必須とし、
    工程(P)が、下記工程(P1)を必須とする、
    ポリエステル組成物の製造方法。
    工程(S1):アルコキシシランを塩基性触媒および水の存在下で加水分解および縮合させてシリカ粒子初期縮合物を含有する分散体を得る工程。
    工程(S2):シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体に塩基性触媒を添加して塩基性触媒濃度を高めてシリカ粒子を得る工程および/またはシリカ粒子初期縮合物を含有する分散体に水を添加して水濃度を高めてシリカ粒子を得る工程。
    工程(P1):シリカ粒子を、ポリエステル中に、得られるポリエステル組成物の質量を基準として0.01〜10質量%となるように分散させる工程。
  14. 前記工程(S2)が、シリカ粒子初期縮合物を含有する分散体の塩基性触媒濃度および/または水濃度を高める処理を施した後、アルコールの存在下で加熱する操作を含む、請求項13に記載のポリエステル組成物の製造方法。
  15. 前記アルコールの存在下で加熱する操作において、加熱温度が100℃以上、加熱時間が0.5時間以上である、請求項14に記載のポリエステル組成物の製造方法。
  16. 前記工程(P1)において、ジカルボン酸成分とグリコール成分とを用いて、エステル化反応もしくはエステル交換反応および重縮合反応を経由してポリエステルを製造する反応系にシリカ粒子を添加する、請求項13から15までのいずれかに記載のポリエステル組成物の製造方法。
  17. 前記シリカ粒子の添加が、エステル化反応もしくはエステル交換反応の反応系に、その温度が215℃に上昇するまでの間に行われる、請求項16に記載のポリエステル組成物の製造方法。
  18. 前記ポリエステルの固有粘度が0.5〜1.0dl/gの範囲にある、請求項13から17までのいずれかに記載のポリエステル組成物の製造方法。
JP2008050293A 2007-03-02 2008-02-29 ポリエステル組成物およびその製造方法 Active JP5344455B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008050293A JP5344455B2 (ja) 2007-03-02 2008-02-29 ポリエステル組成物およびその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007053190 2007-03-02
JP2007053190 2007-03-02
JP2008050293A JP5344455B2 (ja) 2007-03-02 2008-02-29 ポリエステル組成物およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008248235A JP2008248235A (ja) 2008-10-16
JP5344455B2 true JP5344455B2 (ja) 2013-11-20

Family

ID=39973127

Family Applications (3)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008050293A Active JP5344455B2 (ja) 2007-03-02 2008-02-29 ポリエステル組成物およびその製造方法
JP2008050292A Active JP5324109B2 (ja) 2007-03-02 2008-02-29 シリカ粒子溶媒分散体
JP2013148363A Active JP5518240B2 (ja) 2007-03-02 2013-07-17 アルコールが結合したシリカ粒子

Family Applications After (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008050292A Active JP5324109B2 (ja) 2007-03-02 2008-02-29 シリカ粒子溶媒分散体
JP2013148363A Active JP5518240B2 (ja) 2007-03-02 2013-07-17 アルコールが結合したシリカ粒子

Country Status (1)

Country Link
JP (3) JP5344455B2 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5344455B2 (ja) * 2007-03-02 2013-11-20 株式会社日本触媒 ポリエステル組成物およびその製造方法
KR101119466B1 (ko) 2010-01-08 2012-03-20 전남대학교산학협력단 유기실리카 미립자 및 이의 제조방법
KR101896959B1 (ko) * 2011-05-11 2018-09-10 엘지이노텍 주식회사 무기 입자 조성물, 이의 제조방법 및 이를 사용하여 광학 부재를 형성하는 방법
CN103922352A (zh) * 2014-03-30 2014-07-16 苏州奈微纳米科技有限公司 纳米二氧化硅分散体及其制备方法
KR20230162140A (ko) * 2015-07-31 2023-11-28 가부시키가이샤 후지미인코퍼레이티드 실리카 졸의 제조 방법
JP6654424B2 (ja) * 2015-12-21 2020-02-26 株式会社日本触媒 シリカ粒子及びシリカ粒子分散液
JP2018048042A (ja) * 2016-09-21 2018-03-29 Jsr株式会社 シリカ系粒子の製造方法、シリカ系粒子、および化学機械研磨用組成物
JP6875247B2 (ja) * 2017-10-11 2021-05-19 株式会社日本触媒 組成物
JP7003813B2 (ja) * 2018-04-02 2022-01-21 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 表面改質シリカ粒子の製造方法、及び表面改質シリカ粒子
JP7470508B2 (ja) * 2018-11-22 2024-04-18 株式会社日本触媒 シリカ粉体、シリカ粉体の製造方法、および焼成シリカ粉体の製造方法
JP7443857B2 (ja) 2020-03-18 2024-03-06 三菱ケミカル株式会社 シリカ粒子の製造方法、シリカゾルの製造方法、研磨方法、半導体ウェハの製造方法及び半導体デバイスの製造方法

Family Cites Families (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5647429A (en) * 1979-09-25 1981-04-30 Kuraray Co Ltd Preparation of silica-loaded polyester
JPS6131429A (ja) * 1984-07-25 1986-02-13 Toray Ind Inc ポリエステルの製造方法
JP2560685B2 (ja) * 1985-07-16 1996-12-04 東レ株式会社 ポリエステルの製造方法
JPH0657317B2 (ja) * 1986-09-12 1994-08-03 株式会社日本触媒 無機酸化物微粒子のグリコ−ル単分散体及びその製法
JPS63221158A (ja) * 1987-03-11 1988-09-14 Nippon Shokubai Kagaku Kogyo Co Ltd ポリエステル組成物
JPS63312345A (ja) * 1987-06-16 1988-12-20 Nippon Shokubai Kagaku Kogyo Co Ltd ポリエステル組成物
JPH0791052B2 (ja) * 1988-09-13 1995-10-04 信越化学工業株式会社 表面がアルコキシ化された多孔質シリカ粒子とその製造方法
JPH0798655B2 (ja) * 1988-09-13 1995-10-25 信越化学工業株式会社 表面修飾シリカの製造方法
JPH08860B2 (ja) * 1991-01-23 1996-01-10 株式会社日本触媒 ポリエステルフィルム
JP3744569B2 (ja) * 1995-08-22 2006-02-15 宇部日東化成株式会社 吸湿性シリカ粒子およびその製造方法
JP4605864B2 (ja) * 2000-07-25 2011-01-05 宇部日東化成株式会社 真球状シリカ粒子集合体の製造方法
JP2004083651A (ja) * 2002-08-23 2004-03-18 Toray Ind Inc 吸湿性ポリエステル組成物およびポリエステル繊維
US20060150860A1 (en) * 2003-02-18 2006-07-13 Toshio Nozaki Alkali-resistant cocoon-shaped colloidal silica particle and process for producing the same
JP4566645B2 (ja) * 2003-07-25 2010-10-20 扶桑化学工業株式会社 シリカゾル及びその製造方法
JP2006083015A (ja) * 2004-09-16 2006-03-30 Mitsubishi Chemicals Corp シリカ超微粒子分散液及びその製造方法、並びにそれを用いた樹脂成形体
JP4916768B2 (ja) * 2006-05-19 2012-04-18 水澤化学工業株式会社 高純度非晶質シリカ及びその製造方法
JP5344455B2 (ja) * 2007-03-02 2013-11-20 株式会社日本触媒 ポリエステル組成物およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5518240B2 (ja) 2014-06-11
JP2013212990A (ja) 2013-10-17
JP2008248235A (ja) 2008-10-16
JP2008247731A (ja) 2008-10-16
JP5324109B2 (ja) 2013-10-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5344455B2 (ja) ポリエステル組成物およびその製造方法
JP5662580B2 (ja) 樹脂−直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー
TWI503280B (zh) Silica particles and a method for producing the same, and a resin composition containing the silica particles
JP6524901B2 (ja) シリコーンゴム組成物及びその硬化物
KR20150100817A (ko) 규소 산화물 나노 입자와 실세스퀴옥산 중합체의 복합체 및 그의 제조 방법, 및 그 복합체를 사용하여 제조한 복합 재료
JP2007238930A (ja) 有機無機複合組成物とその製造方法、成形体および光学部品
WO2008016048A1 (en) Surface-coated aluminum oxide nanoparticle and resin composition thereof
JP2009091466A (ja) 球状コア/シェル型複合微粒子およびその製造方法
JP3236817B2 (ja) 有機−無機ハイブリッド高分子材料およびその製造方法
JP2006057081A (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法
JP6179015B2 (ja) 粉粒体及びその製造方法、並びに特性改質材
JPH11116681A (ja) ポリメチルシルセスキオキサン系微粒子及びこれを親水性媒体中に分散させた分散体
JP5961421B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法
JP3111492B2 (ja) ポリエステルフィルム
TWI472567B (zh) 樹脂母粒及其製造方法、以及由其所形成的膜層
JP2005307190A (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法ならびにそれから成る成形体
JP2021195275A (ja) 中空シリカ粒子の製造方法
JP5375617B2 (ja) 有機無機複合材料の製造方法
JP5069434B2 (ja) ポリエステル組成物およびその製造方法
JP7470508B2 (ja) シリカ粉体、シリカ粉体の製造方法、および焼成シリカ粉体の製造方法
JP2009067954A (ja) 樹脂組成物の製造方法
JP2004331460A (ja) 膨潤性合成フッ素雲母系鉱物及びこれを用いたガスバリア性積層体
JP5069435B2 (ja) ポリエステル組成物、フィルムおよびその製造方法
WO1993010043A1 (en) Fine spherical composite particle, production thereof, and polyester composition containing the same
JPH08860B2 (ja) ポリエステルフィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20090717

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20090717

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100602

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110920

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121031

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20121206

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20121211

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130125

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20130125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130319

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130516

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130717

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130807

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5344455

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250