JP5375617B2 - 有機無機複合材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機無機複合材料の製造方法に関する。
有機高分子中にナノサイズの無機微粒子を均一に分散させた有機無機複合材料(有機無機ハイブリッド材料、有機無機ナノコンポジット材料とも呼ばれる。)は、光学特性(透過率、屈折率、ヘイズ等。)、機械的特性等に優れることから最近注目されている。
無機微粒子は凝集しやすいため、有機無機複合材料を製造する際には、いかにして無機微粒子を凝集させずに有機高分子中に分散させるかが重要となる。
有機無機複合材料の製造方法としては、たとえば、下記の方法が提案されている。
(1)有機高分子を水に分散させた分散液と、無機微粒子を水に分散させた分散液とを混合する方法(特許文献1参照。)。
(2)末端に水酸基と反応し得る官能基を有する有機高分子を有機溶媒に溶解させた溶液と、末端に水酸基と反応し得る官能基を有する低分子の有機化合物で表面が修飾された無機微粒子を有機溶媒に分散させた分散液とを混合する方法(特許文献2参照。)。
(1)の方法では、得られた水性分散液をそのままコーティング液として使用できないため、水性分散液に含まれる有機無機複合材料を凝集させ、凝集物を分離、乾燥する必要がある。しかし、有機無機複合材料を凝集させる際に、無機微粒子が凝集しやすい問題がある。無機微粒子が凝集してしまうと、形成される塗膜の透明性が低下する。
(2)の方法では、得られた分散液をそのままコーティング液として使用できる。しかし、有機高分子中に無機微粒子を均一に分散させるためには、有機溶媒の量を多くする必要があり、得られるコーティング液の固形分濃度が低くなる。そのため、形成される塗膜が薄くなる、コーティング液を濃縮する場合には濃縮に時間がかかる、等の問題がある。一方、コーティング液の固形分濃度を高くするために、有機溶媒の量を少なくすると、無機微粒子が凝集しやすい。無機微粒子が凝集してしまうと、形成される塗膜の透明性が低下する。
特開2007−119769号公報 特開2007−204739号公報
本発明は、分散液として得た際の固形分濃度が高くても、有機高分子中への無機微粒子の分散性に優れた有機無機複合材料の製造方法および該有機無機複合材料を用いた物品を提供する。
本発明の有機無機複合材料の製造方法は、主鎖または側鎖の末端に極性の官能基を有する有機高分子と、無機微粒子とを含む有機無機複合材料の製造方法であって、下記の工程を有することを特徴とする。
(a)溶媒に前記有機高分子を溶解した溶液と、前記溶媒と相分離し得る分散媒に前記無機微粒子を分散させた分散液とを混合し、エマルジョンを得る工程。
(b)前記エマルジョンを、前記溶媒の相と前記分散媒の相とに相分離させる工程。
(c)前記溶媒の相を、前記有機無機複合材料の分散液として回収する工程。
前記有機高分子の濃度は、前記(a)工程における溶液(100質量%)中、1〜23質量%であることが好ましい。
前記無機微粒子の濃度は、前記(a)工程における分散液(100質量%)中、0.2〜50質量%であることが好ましい。
前記無機微粒子の平均一次粒子径は、2〜80nmであることが好ましい。
前記極性の官能基は、カルボキシル基、酸ハライド基、ヒドロキシ基、チオール基、ホルミル基、フェノール基およびシアノ基からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
前記無機微粒子は、金属酸化物の微粒子であることが好ましい。
前記金属酸化物は、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化スズ、二酸化マンガン、酸化ニッケルおよび酸化鉄からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
前記有機高分子は、含フッ素樹脂であることが好ましい。
前記無機微粒子の表面の一部は、炭化水素基によって修飾されていることが好ましい。
本発明の有機無機複合材料の製造方法によれば、分散液として得た際の固形分濃度が高くても、有機高分子中への無機微粒子の分散性に優れた有機無機複合材料を製造でき、該有機無機複合材料は光学特性、機械的特性に優れた材料として有用である。
<有機無機複合材料>
本発明の製造方法で得られる有機無機複合材料は、主鎖または側鎖の末端に極性の官能基を有する有機高分子と、無機微粒子とを含み、必要に応じて分散助剤を含むものである。
(有機高分子)
有機高分子は、主鎖または側鎖の末端に極性の官能基を有するものである。
主鎖または側鎖の末端に極性の官能基を有する有機高分子を用いることにより、下記の効果が得られる。
(i)該極性の官能基が無機微粒子の表面に直接結合または吸着することにより、マトリックスである有機高分子が同時に分散剤として機能して、有機高分子中にナノサイズの無機微粒子が均一に分散した有機無機複合材料が形成される。
(ii)有機高分子が分散剤として機能するため、分散助剤の使用量を低減できる。
極性の官能基とは、無機微粒子の表面に結合または吸着できる官能基である。
極性の官能基としては、カルボキシル基、酸ハライド基、アミノ基、含窒素ヘテロ環、ヒドロキシ基、チオール基、ホルミル基、フェノール基、シアノ基、シラノール基等が挙げられ、カルボキシル基、酸ハライド基、ヒドロキシ基、チオール基、ホルミル基、フェノール基およびシアノ基からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。中でも、極性の強さ、有機高分子の末端への導入のしやすさの点から、カルボキシル基、酸ハライド基、ヒドロキシル基、チオール基がより好ましく、無機微粒子が金属酸化物の微粒子の場合、親和性の高さの点から、カルボキシル基が特に好ましい。
また、極性の官能基としては、後述の分散助剤の官能基と同じ極性の官能基が好ましく、後述の分散助剤の官能基と同一の官能基がより好ましい。
極性の官能基は、有機高分子の主鎖の末端に存在することが好ましい。
極性の官能基の数は、有機高分子の1分子あたり、1つ以上、有機高分子の重合度の半分以下が好ましい。極性の官能基の数が重合度の半分以下であれば、有機高分子が界面活性剤として機能することがないため、後述の(b)工程における相分離を阻害することがない。
有機高分子としては、主鎖または側鎖の末端に極性の官能基を有する、含フッ素樹脂、ポリエーテル(ポリエチレングリコール等。)、ナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリウレタン、アラミド樹脂等が挙げられる。
有機高分子としては、溶媒として有機溶媒を用い、分散媒として水を用いる場合、有機高分子の溶液と無機微粒子の水分散液との親和性の違いを利用する本発明の製造方法に適している点から、疎水性の高い有機高分子が好ましい。疎水性の高い有機高分子としては、含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリプロピレングリコール、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
また、有機高分子としては、分散剤としての機能を期待できる点から、主鎖が剛直な有機高分子よりも、主鎖が柔軟な有機高分子が好ましい。主鎖が柔軟な有機高分子としては、含フッ素環状重合体(旭硝子社製、サイトップ(登録商標))、ポリプロピレングリコール、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
有機高分子としては、下記の点から、含フッ素樹脂が好ましい。
(i)疎水性が高いため、有機高分子の溶液と無機微粒子の水分散液との親和性の違いを利用する本発明の製造方法に適している。
(ii)含フッ素樹脂の溶媒として含フッ素有機溶媒を用いた場合、無機微粒子の分散媒として有機溶媒を用いることができる。
(iii)電気絶縁特性に優れる。
含フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体、含フッ素環状重合体等が挙げられ、樹脂単体の非晶質性が高く、有機無機複合材料にしたときの分散性にも優れる点から、フルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体、または含フッ素環状重合体が好ましい。
フルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体としては、テトラフルオロエチレン、およびクロロトリフルオロエチレンから選ばれるフルオロオレフィンに基づく繰り返し単位と、ビニルエーテル類に基づく繰り返し単位と、必要に応じて、フルオロオレフィンおよびビニルエーテル類を除く他のモノマー(好ましくは、ビニルエステル類、アリルエーテル類、アリルエステル類、イソプロペニルエーテル類またはイソプロペニルエステル類。)に基づく繰り返し単位とを有する共重合体が挙げられる。
ビニルエーテル類としては、アルキルビニルエーテル、フルオロアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、シクロアルキルビニルエーテル、ヒドロキシシクロアルキルビニルエーテル等の炭素数10以下のビニルエーテル類が好ましい。
ビニルエステル類としては、酢酸ビニル、ピバル酸ビニル等の炭素数10以下のビニルエステル類が好ましい。
アリルエーテル類としては、炭素数10以下のアルキルアリルエーテル、ヒドロキシアルキルアリルエーテル等が好ましい。
イソプロペニルエーテル類としては、炭素数10以下のアルキルイソプロペニルエーテル、ヒドロキシアルキルイソプロペニルエーテル等が好ましい。
アリルエステル類としては、酢酸アリル等が好ましい。
イソプロペニルエステル類としては、酢酸イソプロペニルエステル等が好ましい。
側鎖の末端にカルボキシル基を有するフルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体の市販品としては、ルミフロン(登録商標)(旭硝子社製)等が挙げられる。
含フッ素環状重合体とは、主鎖に含フッ素脂肪族環を有する含フッ素重合体であり、含フッ素脂肪族環を構成する炭素原子の1個以上が該含フッ素重合体の主鎖を構成する炭素原子であるものをいう。主鎖の炭素原子は、該含フッ素重合体を構成する単量体の重合性二重結合の2個の炭素原子に由来するか、または、2個の重合性二重結合を有する単量体を環化重合させて得た含フッ素重合体の場合は2個の重合性二重結合の4個の炭素原子に由来する。含フッ素脂肪族環を構成する原子としては、炭素原子以外に酸素原子、窒素原子等を含んでもよい。含フッ素脂肪族環としては、1〜2個の酸素原子を有する含フッ素脂肪族環が好ましい。含フッ素脂肪族環を構成する原子の数は4〜7個が好ましい。重合性二重結合としては、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい。
含フッ素環状重合体としては、環状単量体の単独重合体または共重合体、ジエン系単量体を環化重合させた単独重合体または共重合体等が挙げられる。
環状単量体とは、含フッ素脂肪族環を構成する炭素原子間に重合性二重結合を有する単量体、または、含フッ素脂肪族環を構成する炭素原子と含フッ素脂肪族環外の炭素原子との間に重合性二重結合を有する単量体である。
ジエン系単量体とは、2個の重合性二重結合を有する単量体である。
環状単量体としては、化合物(1)または化合物(2)が好ましい。
Figure 0005375617
ただし、化合物(1)中、X11、X12、R11およびR12は、それぞれ独立してフッ素原子、炭素数が1〜4のパーフルオロアルキル基または炭素数1〜4のパーフルオロアルコキシ基である。X11としては、フッ素原子が好ましい。X12としては、フッ素原子、トリフルオロメチル基、または炭素数1〜4のパーフルオロアルコキシ基が好ましい。
化合物(2)中、X21およびX22は、それぞれ独立してフッ素原子または炭素数1〜7のパーフルオロアルキル基である。X21およびX22としては、フッ素原子またはトリフルオロメチル基が好ましい。
化合物(1)の具体例としては、化合物(1−1)〜(1−3)が挙げられる。
Figure 0005375617
化合物(2)の具体例としては、化合物(2−1)、(2−2)が挙げられる。
Figure 0005375617
環状単量体と共重合させる単量体としては、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)等が挙げられる。
ジエン系単量体としては、化合物(3)が好ましい。
CF=CF−Q−CF=CF ・・・(3)。
ただし、Qは、エーテル性酸素原子を有していてもよい炭素数1〜3のパーフルオロアルキレン基である。エーテル性酸素原子を有するパーフルオロアルキレン基である場合、該パーフルオロアルキレン基におけるエーテル性酸素原子は、該基の一方の末端に存在していてもよく、該基の両末端に存在していてもよく、該基の炭素原子間に存在していてもよい。環化重合性の点から、エーテル性酸素原子は、該基の一方の末端に存在していることが好ましい。
化合物(3)の環化重合により、下式(3−1)〜(3−4)の繰り返し単位を有する重合体が得られる。
Figure 0005375617
ジエン系単量体の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
CF=CFOCFCF=CF
CF=CFOCF(CF)CF=CF
CF=CFOCFCFCF=CF
CF=CFOCFCF(CF)CF=CF
CF=CFOCF(CF)CFCF=CF
CF=CFOCFOCF=CF
CF=CFOC(CFOCF=CF
CF=CFCFCF=CF
CF=CFCFCFCF=CF等。
ジエン系単量体と共重合させる単量体としては、化合物(1)、化合物(2)、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)等が挙げられる。
主鎖の末端にカルボキシル基を有する含フッ素環状重合体の市販品としては、サイトップ(登録商標)CTL−Aタイプ(旭硝子社製)等が挙げられる。
有機高分子の長さは、2〜1000nm、重合度にして30〜1000が好ましく、長さが5〜500nm、重合度にして50〜700がより好ましい。有機高分子が短すぎると、無機微粒子同士が接近して、凝集しやすくなる。有機高分子が長すぎると、粘性の増大により、後述の(a)工程等における取扱いが困難になる。また、有機高分子の質量あたりの極性の官能基の数が少なくなり、無機微粒子と結合または吸着する点が少なくなって、有機高分子中への無機微粒子の分散性が低下する。
有機高分子の長さは、単量体分子の重合後の状態における分子モデルから試算した、重合方向の長さに、重合度を乗じて求める。
有機高分子の重合度は、有機高分子の重量平均分子量を、単量体分子の重合後の状態における分子量で除して求める。
また、有機高分子の重量平均分子量は、3000〜100万が好ましく、1万〜30万がより好ましい。
有機高分子の重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラムによる分析で求める。
(無機微粒子)
無機微粒子としては、金属酸化物の微粒子が好ましい。
金属酸化物としては、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化スズ、二酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化亜鉛、酸化鉄等が挙げられ、酸性の水分散液を用いる場合、耐酸性に優れる点から、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化スズ、二酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化鉄等が好ましい。
無機微粒子としては、アニオン性の官能基(カルボキシル基等。)が結合または吸着しやすい点から、酸性の水分散液中において表面が正に帯電する無機微粒子が好ましい。該無機微粒子としては、等電点が4以上の金属酸化物(酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化スズ等。)の微粒子が挙げられる。
たとえば、等電点が2の酸化ケイ素の微粒子は、後述の(a)、(b)工程にて、有機高分子の存在する溶媒の相に移相しにくいものの、等電点が4以上の金属酸化物の微粒子は、有機高分子の存在する溶媒の相に移相しやすい。
金属酸化物の微粒子は、表面が他の金属酸化物で被覆された微粒子であってもよい。該微粒子としては、酸化アルミニウム等で被覆された酸化ケイ素微粒子;耐酸性の高い金属酸化物(酸化アルミニウム、酸化ケイ素等。)で被覆された耐酸性の低い金属酸化物(酸化コバルト、酸化亜鉛等。)の微粒子等が挙げられる。酸化ケイ素微粒子は、酸化アルミニウム等で被覆することにより、後述の(a)、(b)工程にて、有機高分子の存在する溶媒の相に移相しやすくなる。
無機微粒子の表面の一部は、炭化水素基によって修飾されていてもよい。炭化水素基による修飾は、たとえば、炭化水素基を有するシランカップリング剤によって無機微粒子の表面を処理することによって行われる。
無機微粒子の平均一次粒子径は、2〜80nmが好ましい。無機微粒子の平均一次粒子径が2nm以上であれば、体積あたりの表面積が相対的に小さくなり、分散助剤の使用量を低減しても、有機高分子中への無機微粒子の分散性が良好となる。無機微粒子の平均一次粒子径が80nm以下であれば、光の散乱が起こりにくく、光学特性に優れた有機無機複合材料が得られる。よって、無機微粒子の平均一次粒子径は、分散助剤の使用量を低減する点および可視光の透過率を高くする点から、5〜50nmが好ましい。
無機微粒子の平均一次粒子径は、分散液の状態にて動的散乱法で測定される。
無機微粒子のなかには、分散液中にて一次粒子でなく、一部が二次凝集した状態で分散しているものもある。該無機微粒子の場合、無機微粒子の平均二次粒子径は、30〜120nmが好ましい。
無機微粒子の形状は、分散助剤の使用量を抑制するために比表面積を抑制する点から、球形に近い形状が好ましい。板状の無機微粒子の場合は、長径が15nm以上の微粒子が好ましい。
(分散助剤)
分散助剤は、下記の役割を担っている。
(i)有機高分子が無機微粒子に結合または吸着するのを補助する。
(ii)分散液中の無機微粒子を、分散液から追い出す、すなわち無機微粒子を有機高分子の存在する相へと速やかに移相させる。
(iii)無機微粒子の凝集を抑制する、すなわち機械的ストレスを緩和する。
よって、有機無機複合材料が形成されれば、分散助剤はもはや不要であり、抽出、分留等の方法によって除去しても構わない。
分散助剤としては、極性の官能基を有し、かつ有機高分子との親和性を有する有機化合物が挙げられる。
極性の官能基としては、上述の有機高分子と同様の官能基が挙げられ、カルボキシル基が特に好ましい。
また、極性の官能基としては、有機高分子の無機微粒子への結合または吸着を促進する点から、上述の有機高分子の官能基と同じ極性の官能基が好ましく、上述の有機高分子の官能基と同一の官能基がより好ましい。
極性の官能基の極性は、強いほど好ましく、具体的には、カルボキシル基の酸性度を指標とした場合、pKa=4.8以下が好ましく、4.6以下がさらに好ましく、4以下が特に好ましい。
有機化合物としては、極性の官能基を有する、脂肪族化合物、含フッ素脂肪族化合物、芳香族化合物、含フッ素芳香族化合物等が挙げられる。
脂肪族化合物において、官能基に結合するアルキル基としては、有機高分子との親和性の点から、炭素数が3以上のアルキル基が好ましく、炭素数が5以上のアルキル基がより好ましい。アルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。
分散助剤における、官能基の極性と、有機高分子との親和性とは、おおむね相反する。たとえば、プロピオン酸は、酢酸に比べ、有機高分子との親和性が高いが、極性は低い(pKaは高い)。
官能基の極性と、有機高分子との親和性とが両立された分散助剤としては、カルボキシル基に結合するアルキル基の、α位の炭素原子に結合する水素原子の1つ以上がハロゲンで置換された有機酸が挙げられる。該有機酸としては、パーフルオロ吉草酸、パーフルオロヘキサン酸、トリデカフルオロヘプタン酸、パーフルオロオクタン酸、パーフルオロノナン酸、2,2−トリフルオロメチルプロピオン酸等が挙げられ、トリデカフルオロヘプタン酸が好ましい。
また、官能基の極性と、有機高分子との親和性とが両立された分散助剤としては他に、カルボキシル基に結合するアルキル基の、α位の炭素原子の1つ以上が水素原子よりも大きい官能基で置換された有機酸が挙げられる。該有機酸としては、2−エチルヘキサン酸(オクチル酸)、アミノ基を保護基で保護されたアミノ酸等が好ましい。該アミノ酸としては、F−moc(9-Fluorenylmethoxy-carbonyl基で保護した)アミノ酸、N−アセチルアミノ酸などが挙げられる。また、該アミノ酸を合成して用いてもよい。該アミノ酸の側鎖の官能基などに疎水性化合物を結合させるなどして、該アミノ酸の疎水性(有機高分子との親和性)を高めるとさらに好ましい。
<有機無機複合材料の製造方法>
本発明の有機無機複合材料の製造方法は、下記の工程を有する方法である。
(a)溶媒に有機高分子を溶解した溶液(以下、有機高分子の溶液と記す。)と、溶媒と相分離し得る分散媒に無機微粒子を分散させた分散液(以下、無機微粒子の分散液と記す。)とを混合し、エマルジョンを得る工程。
(b)エマルジョンを、溶媒の相と分散媒の相とに相分離させる工程。
(c)溶媒の相を、有機無機複合材料の分散液として回収する工程。
(d)必要に応じて、有機無機複合材料の分散液から、酸根または塩基根を除去する工程。
(e)必要に応じて、有機無機複合材料の分散液から水分を除去する工程。
(f)必要に応じて、有機無機複合材料の分散液から溶媒を除去し、固形の有機無機複合材料を得る工程。
(a)工程:
溶媒としては、有機溶媒が挙げられる。
有機溶媒としては、分散媒が水の場合は、水に溶解しない、またはほとんど溶解しない有機溶媒、たとえば、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロヘキサン、1、1、1、2、3、4、4、5、5、5−デカフルオロ−3−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)ペンタン、トルエン、ベンゼン、スチレン、キシレン、ヘキサン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等が挙げられ、分散媒が有機溶媒の場合は、含フッ素有機溶媒が挙げられる。
含フッ素有機溶媒としては、パーフルオロ溶媒が好ましい。パーフルオロ溶媒としては、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロヘキサン、1、1、1、2、3、4、4、5、5、5−デカフルオロ−3−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)ペンタンとパーフルオロトリブチルアミンの混合液等が挙げられる。パーフルオロトリブチルアミンの市販品としては、サイトップCT−solv180(旭硝子社製)が挙げられる。1、1、1、2、3、4、4、5、5、5−デカフルオロ−3−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)ペンタンの市販品としては、サイトップCT−solv100E(旭硝子社製)が挙げられる。
溶媒の沸点は、68〜216℃が好ましい。含フッ素有機溶媒の沸点が100℃以上であれば、(d)工程における水分の除去を容易に行うことができる。
有機高分子の溶液の具体例としては、主鎖の末端にカルボキシル基を有する含フッ素環状重合体のパーフルオロトリブチルアミン溶液、側鎖の末端にカルボキシル基を有するフルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体のパーフルオロヘキサン溶液等が挙げられる。
有機高分子の濃度は、溶液(100質量%)中、1〜23質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましい。有機高分子の濃度が1質量%以上であれば、有機高分子中への無機微粒子の分散性が良好となる。有機高分子の濃度が23質量%以下であれば、得られる有機無機複合材料の分散液の粘性が抑えられ、有機無機複合材料がゲル化(固体化)しにくく、また、有機無機複合材料の分散液をスピンコート等に問題なく用いることができる。
有機高分子の量は、得られる有機無機複合材料の固形分(100体積%)中、有機高分子の体積分率が10〜99.8体積%となる量が好ましく、15〜99.8体積%となる量がより好ましい。有機高分子の体積分率が99.8体積%以下であれば、有機無機複合材料の機械的特性が充分に向上する。有機高分子の体積分率が10体積%以上であれば、有機無機複合材料の塗膜が脆くなりにくい。
溶媒と相分離し得る分散媒としては、水が好ましい。溶媒が含フッ素有機溶媒の場合は、分散媒として有機溶媒を用いてもよい。該有機溶媒としては、トルエン、ヘキサン、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、エタノール、メタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、キシレン、n−ブタノール、N,N−ジメチルアセトアミド、エチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
分散液は、有機高分子の極性の官能基がアニオン性の官能基(カルボキシル基等。)であり、かつ分散媒が水である場合、pHが7以下(酸性)の水分散液であることが好ましい。水分散液のpHが7を超えると、水分散液をアルカリ性にするために添加した化合物に由来するアンモニウムイオン、金属イオン等によって、アニオン性の官能基を有する有機高分子がゲル化する場合がある。また、有機高分子の無機微粒子への結合または吸着が起きにくい。水分散液のpHは、1〜7がより好ましく、無機微粒子(金属酸化物)の等電点より低いことがさらに好ましい。
無機微粒子の分散液の具体例としては、金属酸化物(酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化スズ、酸化鉄等。)微粒子の酸性水分散液、金属酸化物微粒子の有機溶媒(トルエン、イソプロパノール、テトラヒドロフラン等。)分散液等が挙げられる。
無機微粒子の濃度は、分散液(100質量%)中、0.2〜50質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましい。無機微粒子の濃度が0.2質量%以上であれば、より高濃度の有機無機複合材料を直接得ることができる。無機微粒子の濃度が0.2質量%未満では、分散助剤が無機微粒子に対して作用するべきところが、有機高分子の溶媒と分散媒とを乳化させることに対して主に作用してしまい、(b)工程における相分離を困難にしてしまう。無機微粒子の濃度が50質量%以下であれば、有機高分子の溶液と無機微粒子の分散液との混合時における機械的ストレスによる無機微粒子の凝集、有機無機複合材料のゲル化(固体化)が抑えられる。無機微粒子の濃度が50質量%を超えると、(a)工程における混合の操作の瞬間に、有機高分子または分散助剤が速やかに全ての無機微粒子に行き渡らないため、一部のみ被覆された無機微粒子が両親媒性となることで、(b)工程における相分離を困難にしてしまう。
無機微粒子の量は、得られる有機無機複合材料の光学特性および機械的特性の点から、有機無機複合材料の固形分(100体積%)中、無機微粒子の体積分率が0.02〜38体積%となる量が好ましく、0.02〜35体積%となる量がより好ましい。無機微粒子の体積分率が38体積%以下であれば、有機無機複合材料の分散液の粘性が抑えられ、また、有機無機複合材料の塗膜が脆くなりにくい。
有機無機複合材料の光学特性を大幅に向上させるのではなく、機械的特性を向上させる場合は、無機微粒子の体積分率は比較的少なくてよく、0.02〜15体積%で充分である。得られる有機無機複合材料の扱いやすさと、分散助剤の使用量のさらなる低減のためには、無機微粒子の体積分率は、10体積%未満がより好ましく、8体積%未満がさらに好ましい。無機微粒子の体積分率が0.02体積%以上であれば、有機無機複合材料の機械的特性が充分に向上する。
分散助剤は、有機高分子の溶液に添加することが好ましい。
分散助剤の量は、有機高分子の有する官能基の数と無機微粒子の表面積との関係で決まり、有機高分子の重量平均分子量が小さく1分子あたりの極性の官能基が多いほど、無機微粒子の直径が大きく体積あたりの表面積が小さいほど、分散助剤の使用量を低減できる。また、無機微粒子の表面の一部が、すでに炭化水素基によって修飾されている場合は、さらに分散助剤の使用量を低減できる。
有機高分子の溶液と無機微粒子の分散液とを混合し、エマルジョンを得る方法としては、有機高分子の溶液と無機微粒子の分散液とを容器に入れ、公知の撹拌機等で撹拌する方法が挙げられる。撹拌方法としては、遊星ミルを用いて撹拌する方法、または撹拌子もしくは撹拌翼によって穏やかに撹拌する方法が好ましい。激しく撹拌したり、空気相を巻き込むようにして撹拌したりすると、得られる有機無機複合材料の一部が、分散媒を含んだ乳化物になってしまう。
有機高分子の溶液と無機微粒子の分散液とを混合する際には、有機高分子の溶液の量(体積)を100体積部とした場合、無機微粒子の分散液は5〜300体積部であることが好ましく、10〜200体積部であることがより好ましい。有機高分子の溶液に対する無機微粒子の分散液の量が5体積部未満では、(b)工程の(ii)において分相した分散媒を除去するときの操作性と回収量が悪くなる。有機高分子の溶液に対する無機微粒子の分散液の量が300体積部を超えると、有機高分子の一部が、溶媒と分散媒との乳化に作用しはじめるし、また固形分濃度が高くても分散が可能であるとする本発明の意義が薄れる。
比較的低濃度の無機微粒子の分散液を用い、かつ得られる有機無機複合材料中の無機微粒子含量を高めたい場合は、(c)工程または(d)工程で得られた有機無機複合材料の分散液を有機高分子の溶液の代わりに用いて、再び(a)工程以降を繰り返してもかまわない。
得られる有機無機複合材料の一部が、分散媒を含んだ乳化物になってしまうのを低減するには、混合時に有機高分子の溶液と無機微粒子の分散液とを、室温〜溶媒および分散媒の沸点未満の間で加温してよく、得られる有機無機複合材料に対して0.1〜5質量%のアルコール類をあらかじめ有機高分子の溶液に添加してもよい。
(b)工程:
エマルジョンを、溶媒の相と分散媒の相とに相分離させる方法としては、下記の方法が挙げられる。
(i)遠心分離によってエマルジョンを溶媒の相と分散媒の相とに相分離させる方法。
(ii)エマルジョンを静置し、溶媒と分散媒との比重差によって溶媒の相と分散媒の相とに相分離させる方法。
(c)工程:
(a)、(b)工程において、分散液中の無機微粒子は、界面を経由して有機高分子の溶液に移相され、溶媒の相中にて、有機高分子の極性の官能基が無機微粒子の表面に直接結合または吸着することにより、マトリックスの有機高分子中にナノサイズの無機微粒子が均一に分散した有機無機複合材料が形成される。
よって、(c)工程において、溶媒の相を、有機無機複合材料の分散液として回収する。溶媒の相の回収は、公知の分液操作によって行われる。
(d)工程:
無機微粒子の分散媒が水である場合、有機無機複合材料の分散液には酸根または塩基根が混入している。これらが多量に混入した有機無機複合材料の分散液をそのまま成形または塗膜として用いると、乾燥時またはその後の熱により腐食するため、機械的特性が低下しやすく、また、着色しやすい。よって、必要に応じて、有機無機複合材料の分散液から酸根または塩基根を除去する。
酸根または塩基根の除去方法としては、水による洗浄方法が好ましい。中和による酸性または塩基性の緩和は、有機無機複合材料中に塩を生じるため用いるべきではない。
無機微粒子の分散媒が有機溶媒である場合、酸根または塩基根の影響は無視できる。よって、有機無機複合材料を、電気絶縁性等が要求される用途や、水分の揮発が困難な1μmを超える厚さに成形する用途に用いる場合、無機微粒子の分散媒としては、有機溶媒が好ましい。
有機無機複合材料が形成されれば、分散助剤はもはや不要であるため、(d)工程にて、同時に抽出するなどして除去しても構わない。
(e)工程:
無機微粒子の分散媒が水である場合、有機無機複合材料の分散液には水が混入している。水が混入した有機無機複合材料の分散液をそのままコーティング液として用いると、塗膜の乾燥時に水の蒸発により孔があくため、機械的特性が低下しやすく、また、屈折率が理論値からずれやすい。よって、必要に応じて、有機無機複合材料の分散液から水分を除去する。
水分の除去方法としては、下記の方法が挙げられる。
(i)有機無機複合材料の分散液を100℃以上、有機高分子の溶媒の沸点以下で加熱し、水を蒸発させる方法。
(ii)有機無機複合材料の分散液に脱水剤を加える方法。
無機微粒子の分散媒が有機溶媒である場合、(a)、(b)工程の環境に配慮すれば、水の混入を充分に抑えられる。有機無機複合材料を、電気絶縁性等が要求される用途に用いる場合、無機微粒子の分散媒としては、有機溶媒が好ましい。
有機無機複合材料が形成されれば、分散助剤はもはや不要であるため、(e)工程にて、抽出、分留等の方法によって除去しても構わない。
(f)工程:
有機無機複合材料の分散液は、そのままコーティング液として用いてもよい。また、必要に応じて、有機無機複合材料の分散液から溶媒を除去し、固形の有機無機複合材料を得た後、固形の有機無機複合材料を成形材料として用いてもよく、固形の有機無機複合材料を再度溶媒に溶解してコーティング液として用いてもよい。
以上説明した本発明の有機無機複合材料の製造方法にあっては、溶媒に有機高分子を溶解した溶液と、溶媒と相分離し得る分散媒に無機微粒子を分散させた分散液とを混合し、エマルジョンを得た後、該エマルジョンを、溶媒の相と分散媒の相とに相分離させ、溶媒の相を、有機無機複合材料の分散液として回収しているため、有機高分子中への無機微粒子の分散性を高めるために必要充分な量の溶媒(分散媒)を用いているにもかかわらず、得られる有機無機複合材料の分散液に含まれる溶媒の量を、従来の有機無機複合材料の分散液に比べ、約半分程度にすることができる、すなわち固形分濃度を、従来の有機無機複合材料の分散液に比べ、約2倍程度にすることができる。よって、得られる有機無機複合材料の分散液を濃縮することなくそのままコーティング液として用いることができ、しかも充分な厚さの塗膜を形成できる。
また、本発明の有機無機複合材料にあっては、有機高分子自体が分散剤として機能しているため、分散助剤の使用量を低減できる。
<物品>
本発明の物品としては、下記の物品が挙げられる。
(i)本発明の製造方法で得られた有機無機複合材料を成形してなる物品。
(ii)本発明の製造方法で得られた有機無機複合材料からなる塗膜を有する物品。
物品(i)としては、光学部材(レンズ、光導波路、ペリクル、光格子等。)、LED封止材等が挙げられる。
物品(i)の製造方法としては、固形の有機無機複合材料を公知の成形方法(押出成形法、射出成形法、型押し、充填等。)によって成形する方法が挙げられる。
成形方法としては、押出成形法、射出成形法等が挙げられる。
物品(ii)としては、光学部材(反射防止部材、反射部材、光学平滑化膜等。)、絶縁膜、帯電膜等が挙げられる。
物品(ii)の製造方法としては、有機無機複合材料の分散液からなるコーティング液を基材の表面に公知の塗布方法によって塗布し、塗膜を乾燥する方法が挙げられる。
基材の材料としては、石英、ガラス、プラスチック(ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート等。)、金属(銅等。)、金属蒸着基板、金属塗布基板等が挙げられる。
塗布方法としては、スピンコート法、スキージ法、ローラー法等が挙げられる。
塗膜の乾燥温度および乾燥時間は、コーティング液の溶媒の種類によって適宜決定すればよい。
本発明の物品は、前記有機無機複合材料を、厚さ1μmの合成石英基板上で塗膜としたときに、該塗膜の波長400〜700nmの光の透過率が90%以上であることが好ましい。
透過率は、JIS R3106に準拠した方法で、市販の分光計を用いて測定される。
本発明の物品は、前記有機無機複合材料を、厚さ1μmの合成石英基板上で塗膜としたときに、該塗膜のヘイズが0.8%以下であることが好ましい。
ヘイズは、JIS K7105、JIS K7136、JIS K7361−1、ISO14782、およびISO13468−1に規定される透明材料のくもり度合いを表す指標であり、全光透過率に占める拡散透過率の割合で表され、市販のヘイズメータにより測定される。
以上説明した本発明の物品にあっては、有機高分子中への無機微粒子の分散性に優れた本発明の有機無機複合材料を用いているため、透明である。
また、本発明の有機無機複合材料に含まれる分散助剤(第3成分)の量が低減されているため、塗膜の屈折率が理論値からずれにくい。
また、有機高分子中への無機微粒子の分散性に優れた本発明の有機無機複合材料を用いているため、機械的特性にも優れる。
また、LED封止材においては、透明性を維持したまま屈折率が上昇することにより、取出し効率の向上等が達成される。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
例1〜11、13〜15は実施例であり、例12は比較例である。
〔例1〜4〕
下式(p)の繰り返し単位を有し、主鎖の末端にカルボキシル基を有する含フッ素環状重合体(重合度:約540、重量平均分子量:約15万)の溶液(旭硝子社製、サイトップ(登録商標)CTL−Aタイプ。以下、CT−Aと記す。)の0.45g(重合体質量換算)を採取し、含フッ素有機溶媒(旭硝子社製、サイトップCT−solv180。以下、solv180と記す。)で希釈し、重合体の濃度が2.3質量%の溶液の20gを得た。この溶液に分散相助剤としてトリデカフルオロヘプタン酸(以下、C6RfAと記す。)を、それぞれ、表1に示す濃度になるように加えてさらに撹拌し、含フッ素環状重合体の溶液とした。
Figure 0005375617
酸化チタン微粒子の分散液(石原産業社製、STS−01、平均一次粒子径:5nm、比重:1.3、濃度:30質量%。以下、STS−01と記す。)を、表1に示す濃度になるように、水を加えて、酸化チタン微粒子の水分散液(pH:2〜3)をそれぞれ10mL得た。
表1に示す、それぞれの濃度についての酸化チタン微粒子の水分散液を含フッ素環状重合体の溶液の入っている容器に入れ、5分間撹拌し、エマルジョンを得た。
エマルジョンを400Gで5分間遠心分離し、含フッ素有機溶媒の相と水の相とに相分離させた。上相が水の相、下相が含フッ素有機溶媒の相であった。
水の相を除去した後、含フッ素有機溶媒の相を、下部に取出口およびフィルタ(孔径:0.4μm)を備えた容器に移した。含フッ素有機溶媒の相を、さらに400Gで5分間遠心分離した後、含フッ素有機溶媒の相の上面にある水の相を残すようにして、容器の下部の取出口から含フッ素有機溶媒の相を別の容器に取り出した。
含フッ素有機溶媒の相の入った容器を、120℃の換気つきオーブンに2時間入れ、過剰の水分を除去し、有機無機複合材料の分散液(コーティング液)を得た。
最初に仕込んだ固体成分(含フッ素環状重合体、C6RfAおよび酸化チタン微粒子)がすべて含フッ素有機溶媒の相に移相されたとして、有機無機複合材料の固形分(100体積%)中の酸化チタン微粒子の体積分率を、含フッ素環状重合体の比重を2.03、C6RfAの比重を1.792、酸化チタン微粒子の比重を3.9として下記式により計算した。結果を表1に示す。
体積分率(%)
= (酸化チタン微粒子の質量−水の相の乾燥質量)÷3.9÷総体積
但し、
総体積=含フッ素環状重合体の質量÷2.03
+ (酸化チタン微粒子の質量−水の相の乾燥質量)÷3.9
+ C6RfAの質量÷1.792
また、除去した水の相について乾燥質量を測定した。結果を表1に示す。
コーティング液を、スピンコータを用いて、厚さ1mmの合成石英基板の上に回転数1200rpmで展開し、100℃で1時間、さらに200℃で1時間焼成し、塗膜を有する物品を得た。
塗膜の厚さを、触針式表面形状測定器(Vecco社製、Dektak3030)を用いて測定した。結果を表1に示す。
物品のヘイズを、ヘイズメータ(スガ試験機社製、HGM−3K)を用いて測定した。結果を表1に示す。合成石英基板のヘイズは0.1%である。
例1〜4の物品について、波長200〜700nmの光の透過率を、分光計(日立製作所社製、U−4100)を用いて測定した。可視光(波長400〜700nm)における、例1〜4の物品の透過率を下記評価基準にて評価した結果を表2に示す。
○:透過率が90%以上。
×:透過率が90%未満。
Figure 0005375617
Figure 0005375617
水の相の乾燥質量から、例1〜4において、ほぼすべての酸化チタン微粒子が、水の相から含フッ素有機溶媒の相に移相していることが確認された。
また、ヘイズおよび透過率の結果から、酸化チタン微粒子が凝集することなく、含フッ素環状重合体のマトリックス中に均一に分散していることが確認された。
〔例5〜11〕
CT−Aの0.45g(重合体質量換算)を採取し、分散相助剤としてC6RfAを加え、solv180で希釈した後、10分間撹拌し、重合体の濃度が5.2質量%の含フッ素環状重合体の溶液の8.7gを得た。なお、C6RfAは、それぞれ、表3に示す濃度になるように調整した。
表3に示す種類、量の金属酸化物微粒子の分散液を採取し、分散液の分散媒と同じ分散媒を加えて5gとし、金属酸化物微粒子の分散液を得た。
金属酸化物微粒子の分散液を含フッ素環状重合体の溶液の入っている容器に入れ、5分間撹拌し、エマルジョンを得た。
エマルジョンを400Gで5分間遠心分離し、含フッ素有機溶媒の相と分散媒の相とに相分離させた。上相が分散媒の相、下相が含フッ素有機溶媒の相であった。
分散媒の相を採取し、150℃の換気つきオーブンで充分乾燥させた後、乾燥質量を測定し、残留質量とした。残留質量には、実際にはC6RfA、含フッ素環状重合体が含まれているが、C6RfAはその沸点の割にはオーブン中で揮発しやすいことと、含フッ素環状重合体が含フッ素有機溶媒の相から分散媒の相に移相するのもわずかであることから、実質的には残留質量が、分散媒の相から含フッ素有機溶媒の相に移相しなかった金属酸化物微粒子の質量と見なしてよい。残留質量を、仕込みの金属酸化物微粒子の質量で除して残留割合とした。残留割合を1から引いた値を移相割合とし、%に換算して表3に示す。
含フッ素有機溶媒の相の下の方を、ピペットを用いて注意深く取出し、有機無機複合材料の分散液(コーティング液)を得た。
コーティング液の500μLを、ガラス基板の上に滴下し、100℃で1時間、さらに200℃で1時間焼成し、塗膜を有する物品を得た。
塗膜の厚さを、触針式表面形状測定器(Vecco社製、Dektak3030)を用いて測定した。結果を表3に示す。
物品のヘイズを、ヘイズメータ(スガ試験機社製、HGM−3K)を用いて測定した。
結果を表3に示す。
表3中の平均一次粒子径は、粒度分布測定装置(日機装社製、Microtrac(登録商標)UPA150)を用いて粒度分布を測定して求めた。
例5〜11の物品について、波長200〜700nmの光の透過率を、分光計(日立製作所社製、U−4100)を用いて測定した。可視光(波長400〜700nm)における、例5〜11の物品の透過率を下記評価基準にて評価した結果を表4に示す。
○:透過率が90%以上。
×:透過率が90%未満。
Figure 0005375617
Figure 0005375617
〔例12〕
上記式(p)の繰り返し単位を有し、末端に極性の官能基を有さない含フッ素環状重合体の溶液(旭硝子社製、サイトップ(登録商標)CTX−Sタイプ。)の0.45g(重合体質量換算)を採取し、C6RfAの360mgを加え、solv180で希釈した後、10分間撹拌し、重合体の濃度が2.3質量%の含フッ素環状重合体の溶液の20gを得た。
STS−01の1.58gに水を加えて6.5gとし、微粒子濃度が9.7質量%の酸化チタン微粒子の水分散液(pH:2)を得た。
酸化チタン微粒子の水分散液を含フッ素環状重合体の溶液の入っている容器に入れ、5分間撹拌し、エマルジョンを得た。
エマルジョンを400Gで5分間遠心分離し、含フッ素有機溶媒の相と水の相とに相分離させた。上相が水の相、下相が含フッ素有機溶媒の相であった。
水の相の乾燥質量は0mgで、酸化チタン微粒子が完全に含フッ素有機溶媒の相に移相したことがわかったが、含フッ素有機溶媒の相は不透明に白濁していた。
例1と同様にして、有機無機複合材料の分散液(コーティング液)を回収し、コーティング液を合成石英基板の上にスピンコートし、塗膜を有する物品を得た。該物品のヘイズは、60%であった。また、可視光(波長400〜700nm)透過率は、50%であり、評価は×であった。以上のことから、酸化チタン微粒子が凝集することなく、含フッ素環状重合体のマトリックス中に均一に分散するためには、有機高分子の末端に極性の官能基が必要であることがわかった。
〔例13〕
側鎖の末端にカルボキシル基を有するフルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体(重合度:約500、重量平均分子量:約10万)の溶液(旭硝子社製、ルミフロン(登録商標))の0.45g(重合体質量換算)を採取し、C6RfA300mgを加え、含フッ素有機溶媒(パーフルオロヘキサン)で希釈した後、10分間撹拌して、重合体の濃度が6質量%のフルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体の溶液の8.1gを得た。なお、C6RfAの濃度は3.7質量%であった。
STS−01の1.7gに水を加えてSTS−01の濃度が4質量%の溶液(12.7g)とし、酸化チタン微粒子の水分散液(pHは3)を得た。
酸化チタン微粒子の水分散液をフルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体の溶液の入っている容器に入れ、5分間撹拌し、エマルジョンを得た。
エマルジョンを400Gで5分間遠心分離し、含フッ素有機溶媒の相と水の相とに相分離させた。上相が水の相、下相が含フッ素有機溶媒の相であった。
例1と同様にして、有機無機複合材料の分散液(コーティング液)を回収し、コーティング液を合成石英基板の上にスピンコートし、厚さ1μmの塗膜を有する物品を得た。該物品のヘイズは、0.5%であった。また、波長400〜700nmの光の透過率は、90%以上であった。
〔例14〕
N−アセチルシステインの100mg(0.61mmol)を容器にとり、メチルエチルケトンの3mlを加えて溶解し、1−オクテンの100μL(0.64mmol)と、光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)1mgとを加え、容器内をNガス置換した後、波長365nm、10mWの光を3時間照射し、メチルエチルケトンを加えて5mlとし、濃度34.3mg/mLの分散助剤溶液を得た。
重量平均分子量2万、酸価(mgKOH/g)2.2のアクリル樹脂252mgを採取し、メチルエチルケトンの4.5mlに溶解して、濃度6.5質量%の溶液とし、そこへ上記分散助剤溶液を加えて、撹拌し、有機高分子を含有する溶液を得た。
STS−01の1.2mLに水を加えて希釈して10mLとし、濃度4.6質量%の酸化チタン微粒子分散液とした。
上記有機高分子を含有する溶液と酸化チタン微粒子分散液を撹拌混合し、エマルジョン溶液とした。
上記エマルジョン溶液を480Gで10分間遠心したところ、メチルエチルケトンの相と水の相とに相分離し、上相がメチルエチルケトン相、下相が水相となった。
例1と同様にして、有機無機複合材料の分散液(コーティング液)を得た。
最初に仕込んだ固体成分(アクリルポリマー、分散助剤および酸化チタン微粒子)がすべてメチルエチルケトンの相に移相されたとして、有機無機複合材料の固形分(100体積%)中の酸化チタン微粒子の体積分率を、アクリルポリマーの比重を1.2、分散助剤の比重を1.2、酸化チタン微粒子の比重を3.9として前記式により計算した。結果を表5に示す。
除去した水の相について乾燥質量を測定した。結果を表5に示す。
コーティング液を、スピンコータを用いて、厚さ1mmの合成石英基板の上に回転数1200rpmで展開し、100℃で1時間、さらに200℃で1時間焼成し、塗膜を有する物品を得た。
塗膜の厚さを、触針式表面形状測定器(Vecco社製、Dektak3030)を用いて測定した。結果を表5に示す。
物品のヘイズを、ヘイズメータ(スガ試験機社製、HGM−3K)を用いて測定した。
結果を表5に示す。合成石英基板のヘイズは0.1%である。
得られた物品について、波長200〜700nmの光の透過率を、分光計(日立製作所社製、U−4100)を用いて測定した。可視光(波長400〜700nm)における、例14の物品の透過率を下記評価基準にて評価した結果を表5に示す。
○:透過率が90%以上。
×:透過率が90%未満。
表5より、ヘイズおよび透過率の結果から、酸化チタン微粒子が凝集することなく、アクリル重合体のマトリックス中に均一に分散していることが確認された。
〔例15〕
例14と同様にして操作を行い、分散助剤溶液を得た。
重量平均分子量2万、酸価(mgKOH/g)2.2のアクリル樹脂368mgを採取し、メチルエチルケトンの4.5mlに溶解して濃度9.2質量%の溶液とし、そこへ上記分散助剤溶液を加えて、撹拌し、有機高分子溶液を得た。
酸化ジルコニウム微粒子(日産化学社製ZR−AL、平均一次粒子径約5nm、酸化ジルコニウム含有量30.5質量%、比重1.36)の1.2mLを水で希釈して10mLにし、濃度4.8質量%の酸化ジルコニウム微粒子分散液とした。
上記微粒子分散液と有機高分子溶液を撹拌混合し、エマルジョン溶液とした。
上記エマルジョン溶液を480Gで10分間遠心したところ、この混合溶液は2相に分離し、上相がメチルエチルケトン相、下相が水相となった。
例1と同様にして、有機無機複合材料の分散液(コーティング液)を得た。
最初に仕込んだ固体成分(アクリルポリマー、分散助剤および酸化ジルコニウム微粒子)がすべてメチルエチルケトンの相に移相されたとして、有機無機複合材料の固形分(100体積%)中の酸化ジルコニウム微粒子の体積分率を、アクリルポリマーの比重を1.2、分散助剤の比重を1.2、酸化ジルコニウム微粒子の比重を5.5として前記式により計算した。結果を表5に示す。
除去した水の相について乾燥質量を測定した。結果を表5に示す。
例14と同様にして、操作を行い、塗膜を有する物品を得た。
得られた塗膜を有する物品について、例14と同様にして評価を行った。評価結果を、表5に示す。
表5より、ヘイズおよび透過率の結果から、酸化ジルコニウム微粒子が凝集することなく、アクリル重合体のマトリックス中に均一に分散していることが確認された。
Figure 0005375617
本発明の製造方法で得られた有機無機複合材料は、無機微粒子の分散性に優れることから可視光領域において透明であり、かつ分散させるために必要な第3成分(分散助剤)の使用量を抑制できるため、レンズ、LED封止材、低反射膜、高屈折率膜等の光学用途に有用である。

なお、2007年12月26日に出願された日本特許出願2007−335126号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (9)

  1. 主鎖または側鎖の末端に極性の官能基を有する有機高分子と、無機微粒子とを含む有機無機複合材料の製造方法であって、
    下記の工程を有する、有機無機複合材料の製造方法。
    (a)溶媒に前記有機高分子を溶解した溶液と、前記溶媒と相分離し得る分散媒に前記無機微粒子を分散させた分散液とを混合し、エマルジョンを得る工程。
    (b)前記エマルジョンを、前記溶媒の相と前記分散媒の相とに相分離させる工程。
    (c)前記溶媒の相を、前記有機無機複合材料の分散液として回収する工程。
  2. 前記有機高分子の濃度が、前記(a)工程における溶液(100質量%)中、1〜23質量%である、請求項1に記載の有機無機複合材料の製造方法。
  3. 前記無機微粒子の濃度が、前記(a)工程における分散液(100質量%)中、0.2〜50質量%である、請求項1または2に記載の有機無機複合材料の製造方法。
  4. 前記無機微粒子の平均一次粒子径が、2〜80nmである、請求項1〜3のいずれかに記載の有機無機複合材料の製造方法。
  5. 前記極性の官能基が、カルボキシル基、酸ハライド基、ヒドロキシ基、チオール基、ホルミル基、フェノール基およびシアノ基からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の有機無機複合材料の製造方法。
  6. 前記無機微粒子が、金属酸化物の微粒子である、請求項1〜5のいずれかに記載の有機無機複合材料の製造方法。
  7. 前記金属酸化物が、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化スズ、二酸化マンガン、酸化ニッケルおよび酸化鉄からなる群より選ばれる1種以上である、請求項6に記載の有機無機複合材料の製造方法。
  8. 前記有機高分子が、含フッ素樹脂である、請求項1〜7のいずれかに記載の有機無機複合材料の製造方法。
  9. 前記無機微粒子の表面の一部が、炭化水素基によって修飾されている、請求項1〜8のいずれかに記載の有機無機複合材料の製造方法。
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