JP4916768B2 - 高純度非晶質シリカ及びその製造方法 - Google Patents

高純度非晶質シリカ及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高純度非晶質シリカ及びその製造方法に関するものであり、より詳細には、バーミキュライトを出発原料として得られる高純度非晶質シリカ及びその製造方法に関するものである。
非晶質シリカは、塗料、樹脂成形品、紙、化粧料等の各種の分野において、広く使用されている。このような非晶質シリカとして、層状ケイ酸と呼ばれるものが広く知られている。このような層状ケイ酸は、粘土鉱物を酸処理することにより得られるものであり、一般に、粘土鉱物中のシリカ四面体層同士が強固に結合して存在しているため、層として独立に挙動するものは少ない。
一方、本出願人は、先にバーミキュライトを酸処理して得られる非晶質シリカを提案した(特許文献1参照)。
即ち、バーミキュライトを酸処理して得られる非晶質シリカは、層状ケイ酸構造を有するものであるが、SiOの薄層が積層された劈開性積層体粒子からなり、葉片状または鱗片状と呼ばれる板状形状を有しており、SiOの薄層(層状シリカ)が層として独立した挙動を示すという特性(即ち劈開性)を示し、従来公知のシリカに見られない性質を有している。具体的には、樹脂等の媒質中に薄い形で分布することができ、分散性が高く、被覆力、密着性、保護効果、ガスに対するバリヤー性などが向上しているという特性を有している。
また、特許文献2には、非晶質シリカを400〜900℃の温度で焼成処理することにより、吸油量が増大し、吸湿量を低減させ得ることが開示されている。
特許第3689174号 特開2005−053744号
しかしながら、特許文献1に記載されているようなバーミキュライトから得られる非晶質シリカは、吸湿性が高いため、樹脂などに配合した場合、押出機等を用いて成形したときに、含有水分により発泡を生じるという問題がある。一方、特許文献2にしたがって非晶質シリカを焼成処理することにより吸湿性を低下させることが考えられるが、バーミキュライトを出発原料とし、これを酸処理して得られる非晶質シリカに関しては、このような焼成処理では吸湿性を低下することができない。即ち、特許文献2に記載されている方法は、ケイ酸アルカリと鉱酸との反応により得られる非晶質シリカについてはある程度吸湿性を低下させることができるが、バーミキュライト由来の層状ケイ酸構造を有する非晶質シリカに適用させても、吸湿性を低下させることができないのである。
従って、本発明の目的は、バーミキュライトを出発原料とし、これを酸処理することにより得られ、SiOの薄層が積層された劈開性積層体粒子からなっているとともに、吸湿性が著しく低下している非晶質シリカ及びその製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題について鋭意検討した結果、バーミキュライトの酸処理によって得られる非晶質シリカは、所謂ゾルゲル法により得られる非晶質シリカとは焼成に対する挙動が大きく異なり、その不可避的不純物含量を一定の微量の範囲に調整した後に、特定の温度領域で焼成することにより、バーミキュライトに由来する劈開性の層状ケイ酸構造を損なうことなく、吸湿量を大きく低減させ得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明によれば、非晶質シリカ薄層の劈開性積層体粒子からなり、SiO含量が98.0乃至99.6重量%の範囲にあり、アスペクト比が2乃至20の板状粒子形状を有し、レーザ回折法で測定して中位径(D50)が1乃至30μmの範囲にあるとともに、BET比表面積が150m/g以下、75%RHでの平衡水分量が10.0%以下であることを特徴とする高純度非晶質シリカが提供される。
本発明の高純度非晶質シリカは、以下で述べる焼成により硫酸塩等の酸塩が熱分解しSOとして脱離すると共に、シラノール基の縮重合によりOH基量が低減され且つ吸湿性が著しく低いことから、例えば下記の特性:
(1)電気伝導度が100μS/cm以下であること、
(2)29Si−NMR測定で算出されるSiの平均縮合度が3.80以上であること、
(3)吸油量が110ml/100g未満の範囲にあること、
を有している。
本発明によれば、また、バーミキュライトを酸処理し、得られた酸処理物をろ過し、水洗して、SiO含量が98.0乃至99.6重量%の範囲となるように不可避的不純物含量を調整した後、900乃至1100℃の温度で焼成することを特徴とする高純度非晶質シリカの製造方法が提供される。
本発明によれば、さらに、上記の高純度非晶質シリカからなる樹脂乃至エラストマー用配合剤、塗料用配合剤が提供される。
本発明によれば、バーミキュライトの酸処理物からなる非晶質シリカを、その不可避的不純物含量を微量の範囲に調整した後に、900乃至1100℃という極めて限定された範囲で焼成することにより、吸湿性が著しく低減された高純度の非晶質シリカが得られる。例えば75%RHの平衡水分量(以下、飽和吸湿量と呼ぶことがある)は、10.0%以下と著しく小さい。かかる高純度の非晶質シリカは、吸湿性が著しく低減されているため、樹脂やエラストマーなどに配合した場合にも、含有水分による発泡を生じることがなく、また、バーミキュライトに由来した特有の劈開性層状ケイ酸構造を有しており、葉片状または鱗片状と呼ばれる板状形状を有しているため、樹脂等の媒質中に薄い形で分布することができ、分散性が高く、被覆力、密着性、保護効果、ガスに対するバリヤー性など、極めて優れた特性を樹脂やエラストマーの成形品に付与することができる。
[バーミキュライト]
本発明の高純度非晶質シリカの製造原料として使用されるバーミキュライト(vermiculite)は、バーミキュライト群粘土鉱物あるいは雲母群粘土鉱物に分類される加水雲母を主成分とする鉱物であり、蛭石とも呼ばれている。この鉱物を一定温度以上に急熱すると、面指数(001)の面に垂直な方向(C軸方向)に著しく延び、蛭に似た形態になるのが名前の由来となっている。このバーミキュライトには、基本的に下記式(1)で表わされる化学構造を有する3八面体型のものと、下記式(2)で表わされる化学構造を有する2八面体型のものとがあり、何れも使用することができる。
{E0.6〜0.8・4〜5HO}(Mg,Fe3+,Fe2+,Al)
・[Si,Al]10(OH) …(1)
{E0.6〜0.8・nHO}(Al,Fe,Mg)・[Si,Al]
・O10(OH) …(2)
尚、上記式中、Eは層間イオンであり、主としてKやMgからなる。
また、バーミキュライトの化学的組成は、産地等によっても相違するが、代表的な組成は以下の通りである。
SiO:35〜45重量%
Al:10〜20重量%
MgO:7〜30重量%
Fe:5〜22重量%
CaO:3重量%以下
NaO:1重量%以下
O:10重量%以下
Fe以外の重金属含量(Pb,Cr,Cd等):0.2重量%以下
灼熱減量(1050℃):3〜25重量%
(高純度非晶質シリカの製造)
本発明の高純度非晶質シリカを製造するにあたっては、先ず、上記のようなバーミキュライトを酸処理する。このような酸処理を行うことにより、結晶構造が破壊され、且つ有色成分が除去され、白色性が向上し、重合体等に配合した場合の着色を抑えることができる。
酸処理に使用される酸としては、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸(特に硫酸)が使用され、その使用量は、バーミキュライト中のFeを含む塩基性成分に対して過剰量である。また、酸濃度は、一般に、15乃至40重量%、特に20乃至35重量%とするのがよく、酸処理温度は、10乃至110℃の範囲とするのがよい。特に処理温度の高いほうが酸濃度を低くしても処理が短時間で行える。酸処理時間は、酸濃度や酸の使用量、温度等によっても異なり、一概に規定することはできないが、通常、6乃至48時間程度であり、このような酸処理により、通常、SiO含量が82重量%以上、特に85重量%以上の非晶質シリカ(以下、単に酸処理シリカと呼ぶことがある)が得られる。
尚、上記の酸処理に先立って、必要により、200乃至500℃の温度で加熱処理を行うこともできる。この加熱処理は、膨積処理と呼ばれるものであり、バーミキュライトの層状構造をバラバラにするために行われ、特にアスペクト比の高い非晶質シリカを得るために有効である。また、酸処理に先立って、必要により、夾雑する脈石の分離を行うのが好ましい。この分離は、水簸、液体サイクロンなどによる湿式分級方法および風簸、サイクロン、ミクロンセパレータなどによる乾式分級方法が一般に適用できる。
上記で得られる酸処理シリカは、特許文献1にも記載されているように、それ自体公知であり、バーミキュライト由来の層状ケイ酸粒子構造を有するものであり、シリカ薄層が積層した積層体粒子からなり、かかる積層体粒子は劈開性を示す。
本発明においては、バーミキュライトの酸処理によって上記の酸処理シリカを生成させた後、ろ過し、水洗を行うが、この水洗を高度に行うことが必要である。即ち、上記の酸処理シリカは、天然物であるバーミキュライトを出発原料として得られたものであるため、バーミキュライト由来の不可避的不純物をかなりの量で含有しており、イオン交換水等を用いて水洗を高度に行うことにより、酸処理に使用された余剰の酸とともに、この不可避的不純物含量を低減させ、SiO含量を98.0乃至99.6重量%、特に好ましくは、98.5乃至99.6重量%の高純度に高めることが重要となる。このような高度の水洗を行うことにより、以下の焼成処理により、バーミキュライト由来の特有の層状ケイ酸構造を損なうことなく、吸湿性を大幅に低減させることが可能となるのである。
本発明においては、上記のようにして不可避的不純物量が微量の範囲に調整された酸処理シリカ(バーミキュライトの酸処理物)を、900乃至1100℃という極めて限定された温度領域で焼成する。これにより、バーミキュライト由来の劈開性層状ケイ酸構造を損なうことなく、吸湿性を大きく低減させることができる。
即ち、上記の焼成により、シラノール基(SiOH基)の縮合、粒子の収縮などによる粒子内細孔の消失や表面積の低下などが生じ、この結果、後述する物性を有し、吸湿性が大きく低減した高純度非晶質シリカが得られるのである。例えば、焼成温度が上記範囲よりも低い場合には、吸湿性を低減させることができず、また、焼成温度が上記範囲よりも高温であるときには、粒子間の焼結が生じたり、或いは結晶化を生じたり、層状ケイ酸構造が損なわれてしまったりする。添付図面の図2は、後述する実施例及び比較例の実験により測定された焼成温度と飽和吸湿量との関係を示すが、この図によれば、焼成温度が950℃以上となる温度領域で飽和吸湿量が急激に減少しており、前述した温度領域での焼成により吸湿性を大きく低減させ得ることが判る。
また、吸湿性を大きく低減させるためには、上記のような焼成に際しては、先に述べたように、高度の水洗により、不可避的不純物含量が微量の範囲に低減され、高純度の非晶質シリカとなっていることが必要である。このような不可避的不純物含量の調整によって吸湿性が著しく低減し得るようになることの理由は、明確に解明された訳ではないが、本発明者等は、次のように推定している。
即ち、先に説明したバーミキュライトの組成から理解されるように、原料のバーミキュライト中には、シリカやアルミナ成分以外に、NaやKのアルカリ金属やCa等のアルカリ土類金属を含有しており、これらの多くは酸処理によって除かれているが、一部は不可避的不純物として、FeやMgとともにバーミキュライト酸処理物(酸処理シリカ)中に含まれている。しかるに、このような不可避的不純物の内、アルカリ金属、アルカリ土類金属或いはMgは、焼成に際して融剤として機能すると同時に、水に対する親和性が高い。
従って、不可避的不純物としてアルカリ金属、アルカリ土類金属或いはMgが多く含まれている場合には、低温領域の焼成で吸湿性を低下させることはできるが、その温度領域が非常に狭くなるため、層状ケイ酸構造を維持することが困難となる。
また、酸処理シリカのSiO含量が著しく高く、不可避的不純物含量が著しく少ないと、高温での焼成は可能となるが、細孔の消失などが十分に行われず、このため、吸湿性を大きく低減させることが困難となる。即ち、吸湿性を大きく低減させるためには、不可避的不純物として微量のアルカリ金属、アルカリ土類金属或いはMgの存在が必要であると考えられる。上記で説明したように、アルカリ金属等は焼成に際して融剤として作用するため、微量のアルカリ金属等が存在すると、焼成によって、粒子表面がわずかではあるが溶融流動し、このため、シラノール基の除去とともに、粒子内細孔が閉じられ、比表面積の低下などがもたらされ、この結果、吸湿性が大きく低減されるものと思われる。
従って、本発明では、高度の水洗を行い、不可避的不純物含量を所定の範囲に低減させ、アルカリ金属、アルカリ土類金属或いはMgが微量の範囲で存在しているため、前述した限定された温度範囲(900乃至1100℃)での焼成により、バーミキュライト由来の層状ケイ酸構造を維持しながら、吸湿性を著しく低減させることが可能となるのである。
本発明において、上記のような温度での焼成は、飽和吸湿量が後述する範囲となる程度の時間、例えば0.1乃至2時間程度行われる。なお焼成は、水洗された酸処理シリカ濾過ケーキ、濾過ケーキ乾燥物、濾過ケーキ乾燥物を粉砕、分級して粒度調製した粉末の、いずれで行っても良い。粒度調製していない焼成物は、焼成後に粉砕、分級して目的の粒度に調製する。
(高純度非晶質シリカ)
上記のようにして得られる本発明の高純度非晶質シリカは、原料バーミキュライトに由来して、非晶質シリカ薄層の劈開性積層体粒子構造を有している。図1は、本発明の高純度非晶質シリカの電子顕微鏡写真である。
即ち、図1から理解されるように、かかる粒子は、板状粒子形状を有しており、非晶質シリカ薄層が積層した劈開性積層体粒子構造を有している。かかる非晶質シリカは、レーザ回折法で測定して中位径(D50)が1乃至30μm、特に2乃至20μmの範囲にあり、アスペクト比は、2乃至20の範囲にある。尚、本発明のアスペクト比は、粒子の絶対最大長/最大高さの比の平均値から求めた(詳細は、後述の実施例を参照)。
また、このような非晶質シリカは、不可避的不純物含量が微量な範囲に調整されているため高純度であり、そのSiO含量が98.0乃至99.6重量%、特に98.5乃至99.6重量%の範囲にある。また、前述した温度領域での焼成による熱履歴を受けているため、粒子内細孔の消失などにより比表面積も大きく低減されており、そのBET比表面積が150m/g以下、好ましくは100m/g以下、特に好ましくは30m/g以下の範囲にある。この結果、かかる本発明の高純度非晶質シリカは吸湿性が著しく低く、75%RHの平衡水分量(飽和吸湿量)が10.0%以下の範囲となっている。従って、樹脂に混練したときの含有水分による発泡を抑制する上で有利である。
また、本発明の高純度非晶質シリカは、電気伝導度が100μS/cm以下、好ましくは80μS/cm以下、特に好ましくは60μS/cm以下の範囲にある。即ち、前述した焼成に先立っての水洗により不可避的不純物のうち、特にNa等のアルカリ金属成分が除去されているため、高い抵抗値を示すものである。
さらに、本発明の高純度非晶質シリカは、前述した焼成によってOH基含量が低減されているため、29Si−NMR測定で算出されるSiの平均縮合度が3.80以上と極めて高い範囲にある。例えば、バーミキュライトの酸処理によって得られる酸処理物、即ち酸処理シリカ(比較例1参照)は、上記で測定されるSiの平均縮合度が3.58であり、本発明に比して小さい。即ち、本発明の高純度非晶質シリカは、バーミキュライトの酸処理物に比してSiの平均縮合度が4に近い範囲にシフトしており、シラノール基(SiOH基)同士の縮合が生じていることを物語っている。この結果、本発明の高純度非晶質シリカは、層状ケイ酸構造を損なうことなく吸湿性を著しく低減しているため、少量での使用により、樹脂等の媒質中に大面積で分布させることができ、板状粒子形状による利点を大きく活用させることができる。
さらには、本発明の高純度非晶質シリカは、吸油量が110ml/100g未満と極めて小さい。即ち、焼成されていない酸処理シリカでは、吸油量はかなり大きいが、本発明では、吸油量も大きく低減されており、これは、焼成により細孔容積が大きく低減していることを物語っている。
尚、本発明の高純度非晶質シリカは、吸湿性が低いという特性を有しているが、酸処理を経由して得られることから、不可避的不純物中の鉄分などの有色成分含量も著しく少なく、このため、ハンター白色度が85%以上、特に88%以上を示し、樹脂等に配合したときの着色を抑えることができるという利点も有している。
上述した本発明の高純度非晶質シリカは、それ単独で、各種の樹脂乃至エラストマーなどに、充填剤、補強剤、絶縁性向上剤、ガスバリア剤、難燃助剤などとして配合することができ、特に含有水分による発泡を防止でき、また層状に分布させることができ、少量で各種特性を向上させることができ、例えばその配合量は用途によっても異なるが、一般に樹脂固形分当り100重量部当り、0.1乃至30重量部程度の少量でよい。
また、かかる高純度非晶質シリカは、それ単独で樹脂等に配合してもよいが、他の無機或いは有機の表面改質剤で処理して樹脂等に対する分散性を高めて使用に供することもできる。このような表面改質剤は、該シリカ当り0.5乃至30重量%、特に1乃至25重量%の量で用いるのが良い。更に、本発明の高純度非晶質シリカは、メークアップ化粧料等の填剤として、また製紙用填料として有用である。
無機の表面改質剤としては、エアロジル、疎水処理エアロジル等の微粒子シリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等のケイ酸塩、カルシア、マグネシア、亜鉛華、酸化鉄、チタニア等の金属酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩、A型、P型、ZSM−5等の合成ゼオライト及びその酸処理物もしくはその金属イオン交換物、ハイドロタルサイトなどがあり、これらは、その用途に応じて、適宜ブレンドして、まぶして或いは被覆して使用することができる。
また、有機の表面改質剤としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の脂肪酸、脂肪酸のカルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、バリウム塩等の金属石鹸、シランカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤、シリコーンオイル、各種ワックス類、未変性乃至変性の各種樹脂(例えばロジン、石油樹脂等)等があり、その用途に応じて、このような表面改質剤を被覆して使用に供することができる。
また、本発明の高純度非晶質シリカは、劈開性を有しており、シリカ薄層の独立性が高いため、樹脂等に配合し、分散或いは混練等を行ったとき、粒子にかかる剪断力により、シリカ薄層への劈開が促進され、層状での分散が拡大して生じ、しかも成形時の流動配向により容易に層状に配向し、各物性の点で好適な層状分布構造を与え、例えばガスバリア性などの特性を著しく高めることができる。
このような高純度非晶質シリカが配合される樹脂としては、フィルム、シート、容器や蓋等の形状に成形加工するもの、特にガスバリア性を向上させ得るという見地から、包装材として使用される熱可塑性樹脂が好適であり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、脂環式構造を有するポリオレフィンなどのオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのエステル樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などのアミド樹脂;ポリヒドロキシブチレート、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリグリコール酸、ポリアルキレンカーボネートなどの生分解性樹脂;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体;ポリビニルアルコール;エチレン−ビニルアルコール共重合体;ポリスチレン;ポリスルホン、セロファン;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリカーボネート;ポリアクリロニトリル;塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、軟質塩化ビニル;などを例示することができる。
また高純度非晶質シリカが配合されるエラストマーとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンーブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンープロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、アクリルゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴムなどの所謂ゴムや、スチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、エステル系、アミド系などの熱可塑性エラストマーを例示することができる。
本発明の高純度非晶質シリカは、塗料用配合剤として、使用することができる。本発明の高純度非晶質シリカは、塗料に配合し、分散或いは混練等を行ったとき、粒子にかかる剪断力により、塗装時の流動配向により容易に層状に分散配向するため、乾燥塗膜に好適な層状分布構造を形成することができる。さらに、本発明の高純度非晶質シリカは焼成により疎水化されているため、塗料樹脂とのなじみに優れる。そのため、樹脂成分と高純度非晶質シリカが強固に密着するため塗膜物性が向上する。配合量は一般に、樹脂固形分当り100重量部当り、0.1乃至30重量部程度の少量でよい。
塗料としては、熱硬化性樹脂塗料、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、トリアリルシアヌレート樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、油性樹脂、或いは熱可塑性塗料、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、アクリル重合体、飽和ポリエステル樹脂等を挙げることができる。
また、用いる塗料は、その用い方によって、溶剤型塗料、水性塗料、紫外線硬化型塗料、粉体塗料等の任意のものであってよい。この溶剤型塗料の有機溶媒としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、ダイアセトンアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ溶媒等の1種または2種以上を用いることができる。また、水性塗料としては、水溶液型の塗料の他、自己乳化型或いは界面活性剤乳化型の塗料が使用される。水性塗料の樹脂としては、水性媒体に水溶化された或いは自己乳化されたアルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂或いはこれらの2種以上を組合せて用いることができる。
以下に本発明を実施例により詳細に説明する。尚、実施例における測定方法は以下の通りである。
(1)SiO含量
JIS R9011の石灰の化学分析法に準拠して行なった。
(2)アスペクト比
粒子の面積平均径(D[3,2])を、レーザ回折式粒度分布測定装置Mastersizer 2000で測定する。次に、三次元レーザ顕微鏡VK-9500で粒子の画像撮影を行う。得られた画像ファイルを、画像解析ソフトWinROOFに読み込ませ、個々の粒子の円相当径と絶対最大長、最大高さを計測する。円相当径の平均値が面積平均径に合致するまで、円相当径の小さい方から順にデータを削除する。各粒子について絶対最大長と最大高さからアスペクト比を求め、全粒子のアスペクト比の平均値をその試料のアスペクト比とした。
(3)中位径(D50
Malvern社製 Mastersizer 2000を使用して、レーザ回折散乱法で測定した。
(4)BET比表面積
カルロエルバ社製Sorptomatic Series 1900を使用し、窒素吸着等温線を測定した。比圧0.2以下の吸着枝側窒素吸着等温線からBET法で求めた。
(5)平衡水分量(飽和吸湿量)
試料約1gを、予め重量を測定した50mmφの秤量ビンに入れ、110℃の電気恒温乾燥器で3時間乾燥後、デシケーター中で放冷する。次いで試料の重さを精秤し、飽和食塩水で関係湿度(RH)75%に調節したデシケーター中に入れ、重量が平衡に達するまで測定し、平衡水分量を求めた。
(6)電気伝導度
試料の5%水懸濁液を、JIS K 5101−17−1:2004に準拠して調製した。この懸濁液の電気伝導度を、(株)堀場製作所製電気伝導度計(DS-8F)で測定した。
(7)NMRの測定(Siの平均縮合度)
各試料の29Si−MASNMRの測定は、日本電子(株)製のJEOL EX270型のNMR装置を用い下記の条件で測定を行った。
観測周波数 53.54MHz
パルスディレイ 100.000sec
パルス幅 2.9μsec(90°)
標準試料 ポリジメチルシラン −33.8ppm
積算回数 200
得られた結果から下記式により、Siの平均縮合度を求めた。
平均縮合度
=(Q×1+Q×2+Q×3+Q×4)/(Q+Q+Q+Q
(Q,Q,Q,Q:縮合度の異なる各ケイ素に帰属するNMRピーク面積)
(8)吸油量
JIS K 5101−13−1:2004に準拠して測定した。
(9)嵩密度
JIS K 6220−1 7.7:2001に準拠して測定した。
(比較例1)
南アフリカ産バーミキュライト原石1.0kgに水5.2kgと98%硫酸2.3kgを加え、95℃で20時間加熱した。次いで、ろ過、水洗後のろ過ケーキを、130℃で乾燥し、粉砕、分級し、非晶質シリカを得た。得られた非晶質シリカの物性を表1に示す。
(実施例1〜2、比較例2〜5)
比較例1で得た試料を、電気炉を用い、表1に示した各温度で1時間それぞれ焼成を行った。得られた試料について、物性測定を行い、結果を表1に示す。
尚、比較例5(1200℃焼成)は、凝集物(焼結塊)が生成したため、乳鉢粉砕し、200メッシュで篩ったものについて物性測定を行った。
また、実施例1の電子顕微鏡写真(倍率:5000倍)を図1に、実施例1及び比較例5のX線回折図を図3にそれぞれ示す。
Figure 0004916768
(比較例6)
比較例1で用いたバーミキュライト原石とは、切り羽が別の南アフリカ産バーミキュライト原石を用いた以外は、比較例1と同様にして行い、非晶質シリカを得た。得られた非晶質シリカの物性を表2に示す。
(実施例3〜4)
比較例6において、酸処理し、ろ過、水洗後のろ過ケーキを130℃で乾燥後粉砕を行わず、表2に示した各温度で1時間焼成を行った。焼成後、粉砕、分級し、非晶質シリカを得た。物性測定を行い、結果を表2に示す。
Figure 0004916768
本発明の高純度非晶質シリカ粒子(実施例1)の電子顕微鏡写真(倍率:5000倍)。 実施例及び比較例の実験結果から測定された焼成温度と飽和吸湿量との関係を示す図。 本発明の高純度非晶質シリカ粒子(実施例1;1000℃焼成)及び比較例5(1200℃焼成)のX線回折図。

Claims (7)

  1. 非晶質シリカ薄層の劈開性積層体粒子からなり、SiO含量が98.0乃至99.6重量%の範囲にあり、アスペクト比が2乃至20の板状粒子形状を有し、レーザ回折法で測定して中位径(D50)が1乃至30μmの範囲にあるとともに、BET比表面積が150m/g以下、75%RHでの平衡水分量が10.0%以下であることを特徴とする高純度非晶質シリカ。
  2. 電気伝導度が100μS/cm以下である請求項1に記載の高純度非晶質シリカ。
  3. 29Si−NMR測定で算出されるSiの平均縮合度が3.80以上である請求項1に記載の高純度非晶質シリカ。
  4. 吸油量が110ml/100g未満の範囲にある請求項1に記載の高純度非晶質シリカ。
  5. バーミキュライトを酸処理し、得られた酸処理物をろ過し、水洗して、SiO含量が98.0乃至99.6重量%の範囲となるように不可避的不純物含量を調整した後、900乃至1100℃の温度で焼成することを特徴とする高純度非晶質シリカの製造方法。
  6. 請求項1乃至4の何れかに記載の高純度非晶質シリカからなる樹脂乃至エラストマー用配合剤。
  7. 請求項1乃至4の何れかに記載の高純度非晶質シリカからなる塗料用配合剤。
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