JPH08860B2 - ポリエステルフィルム - Google Patents

ポリエステルフィルム

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JPH08860B2
JPH08860B2 JP2391591A JP2391591A JPH08860B2 JP H08860 B2 JPH08860 B2 JP H08860B2 JP 2391591 A JP2391591 A JP 2391591A JP 2391591 A JP2391591 A JP 2391591A JP H08860 B2 JPH08860 B2 JP H08860B2
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光生 武田
成史 倉本
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定の複合体微粒子を
特定量含有するポリエステルフィルムに関し、特に滑り
性,耐ブロッキング性,耐摩耗性などの優れたポリエス
テルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフィルムは物理的・化学的
特性が優れている為、磁気テープ用,包装用,光学写真
用,蒸着用,コンデンサー用等広範な分野で使用されて
いる。しかしながらポリエステルフィルムの滑り性や耐
摩耗性が良好でないときは、上述の各用途における加工
工程及び使用過程において種々のトラブルをひき起こし
易く、また品質の劣化をもたらすという問題がある。
【0003】例えば塗布型磁気テープ用ベースフィルム
として使用する場合にポリエステルフィルムの滑り性が
不十分であると、磁性層塗布工程においてフィルム表面
とコーティングロールとの摩擦によるフィルム表面の摩
耗が激しくなり、極端な場合にはフィルム表面に皺や擦
り傷等が発生する。また磁気テープとして使用する段階
でカセット等からの引き出し・巻き上げ等を行うとき
に、ガイド部や再生ヘッド等との間で著しい摩耗を生
じ、擦り傷や歪の発生、更にはフィルム表面の削れ等に
よる白粉状物質の発生を招き、ドロップアウトや耐久性
の低下の原因となることが多い。
【0004】そこでポリエステルフィルムの滑り性を改
良する工夫がなされている。磁気テープに限らず殆どの
応用分野においてフィルムの滑り性を改良する必要があ
る場合には、フィルム中に微粒子を存在せしめることに
よりフィルム表面に凹凸を付与して摩擦係数を低下せし
める方法が一般に採用されている。フィルム中に微粒子
を存在せしめる方法としては、(1) フィルム原料に用い
る高分子の触媒残渣から不活性微粒子を析出せしめる方
法 (2) 不活性の無機又は有機微粒子を添加する方法等が用
いられている。
【0005】フィルム中のこれらの微粒子はその粒子径
が大きい程滑り性の改良効果が大きくなるが、磁気テー
プ、特にビデオテープ用等の精密用途においては、その
粒子が大きいこと自体がドロップアウト等の電磁変換特
性の劣化の原因ともなり得る。従ってフィルム表面の凹
凸はできるだけ微細である必要があり、表面平坦性を維
持しつつ良好な滑り性を示す様な適度に荒れた表面特性
を示すフィルムが要求されている。
【0006】また上記不活性微粒子を含有するポリエス
テルフィルムでは、通常2軸延伸によって該微粒子とポ
リエステルマトリックスとの境界に剥離を生じ該微粒子
のまわりにボイドが形成され易い。この傾向は微粒子が
大きい程、形状が板状より球状に近いほど、微粒子が変
形しにくい程、また延伸面積倍率が大きいほど、また延
伸温度が低い程、大きくなる。
【0007】また一般にボイドが大きくなればなるほど
突起の形状はゆるやかな形となり摩擦係数を高くする。
又くり返し使用するうちに、ボイド上に生じた小さな傷
(スクラッチ)が原因となって粒子の脱落が起こること
があり、耐久性を低下させるとともに削れ粉発生の原因
となっている。
【0008】不活性微粒子としては、炭酸カルシウム,
酸化チタン,カオリン等が利用されているが、これらの
微粒子は粒度分布が揃っていない為、フィルム表面に形
成される突起は均一且つ微細なものとなり難く、しかも
凝集粒子等の粗大粒子に基づく大きなボイドの形成に起
因する上記問題を内在している。
【0009】近年これら従来材料のもつ問題点を解決す
べく、球状シリカを始めとする、粒度分布が非常に良く
揃った球状微粒子を滑り性改良フィラーとして使用する
ことが提案されている(特開昭63−108037号公
報,特開昭63−72730号公報等)。例えば特開昭
63−108037号公報によれば、均一粒径のシリカ
球状微粒子をポリエステルフィルム中に存在せしめるこ
とにより、ボイドが小さくフィルム表面の荒れが均一で
表面凹凸がそろっており摩擦係数の小さい2軸配向ポリ
エステルフィルムが得られるが、シリカとポリエステル
樹脂との親和性が低い為に該フィルムのボイド上に微細
な傷(スクラッチ)を生じ易く、これらによっても粒子
の脱落が誘発される。従って使用中に耐久性が低下する
とともに削れ粉が発生するという問題は未解決である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上述し
た従来の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、特定の
構成からなる複合体微粒子をポリエステルフィルム中に
適切量存在せしめると、上記微粒子がポリエステルフィ
ルムと優れた親和性を示し、ボイドが小さく且つフィル
ム表面に均一且つ微細な凹凸を形成することによって、
フィルムの滑り性及び耐削れ性が向上され得ることを見
い出し本発明の完成に至った。
【0011】従って本発明の目的は、ボイドが小さくフ
ィルム表面の荒れが均一で表面凹凸がそろっており、滑
り性,耐削れ性及び耐久性に優れたポリエステルフィル
ム、特に二軸配向ポリエステルフィルムを提供すること
にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明のポリエステルフ
ィルムは、分子中に複数個のアミノ基を有する有機化合
物 (A) とゲル状シリカからなり、且つ平均粒子径が0.
05〜5μm の範囲にある複合体微粒子がポリエステルフ
ィルム中に0.005 〜5重量%含まれている点に要旨を有
するものである。
【0013】
【作用】本発明のポリエステルフィルムを構成する主成
分たるポリエステルとは芳香族ジカルボン酸を主たる酸
成分とし、脂肪族グリコールを主たるグリコール成分と
するポリエステル樹脂である。
【0014】芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレ
フタル酸,ナフタレンジカルボン酸,イソフタル酸,ジ
フェニルエタンジカルボン酸,ジフェニルジカルボン
酸,ジフェニルエーテルジカルボン酸,ジフェニルスル
ホンジカルボン酸,ジフェニルケトンジカルボン酸,ア
ンスラセンジカルボン酸等を挙げることができる。
【0015】脂肪族グリコールとしては、例えばエチレ
ングリコール,トリメチレングリコール,テトラメチレ
ングリコール,ペンタメチレングリコール,ヘキサメチ
レングリコール,デカメチレングリコール等の如き炭素
数2〜10のポリメチレングリコールあるいはシクロヘ
キサンジメタノールの如き脂環族ジオール等を挙げるこ
とができる。
【0016】本発明において特に好ましいポリエステル
としては、例えばアルキレンテレフタレート及び/又は
アルキレンナフタレートを主たる構成成分とするものが
示される。更に好ましいものとしては全ジカルボン酸成
分の80モル%以上がテレフタル酸及び/または2,6 −
ナフタレンジカルボン酸であり、全グリコール成分の8
0モル%以上がエチレングリコールである共重合体が挙
げられる。
【0017】上記芳香族ジカルボン酸以外のジカルボン
酸としては、例えばアジピン酸やセバチン酸等の如き脂
肪族ジカルボン酸;シクロヘキサン−1,4 −ジカルボン
酸の如き脂環族ジカルボン酸等が使用し得る。
【0018】上記グリコール以外のグリコールとして
は、例えばハイドロキノン,レゾルシン,2,2 −ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の如き芳香族ジ
オール;1,4 −ジヒドロキシメチルベンゼン等の如き芳
香環を有する脂肪族ジオール;ポリエチレングリコー
ル,ポリプロピレングリコール,ポリテトラメチレング
リコール等の如きポリアルキレングリコール(ポリオキ
シアルキレングリコール)等が使用できる。
【0019】また本発明におけるポリエステルには、例
えばヒドロキシ安息香酸等の如き芳香族オキシ酸;ω−
ヒドロキシカプロン酸等の如き脂肪族オキシ酸等のオキ
シカルボン酸に由来する成分を、ジカルボン酸成分およ
びオキシカルボン酸成分の総量に対し20モル%以下で
共重合或は結合させたものも包含される。
【0020】さらに本発明におけるポリエステルには全
酸成分に対し2モル%以下の量で、3官能以上のポリカ
ルボン酸又はポリヒドロキシ化合物、例えばトリメリッ
ト酸,ペンタエリスリトール等を共重合したものも包含
される。
【0021】上記ポリエステルはそれ自体公知であり、
それ自体公知の方法で製造することができる。
【0022】上記ポリエステルの粒度は、o−クロロフ
ェノール中の溶液として35℃で測定して求めたときの
固有粘度が約0.4 〜約0.9 のものが好ましい。
【0023】本発明においてポリエステル中に分散含有
せしめられる複合体微粒子は、分子中に複数個のアミノ
基を有する有機化合物(A) とゲル状シリカから混成され
る複合体であり、平均粒子径が0.05〜5 μm のものであ
る。ここでゲル状シリカとは、その主な構成要素が、珪
素原子が主に酸素原子との結合(-Si-O-) を介して3次
元のネットワークを構成した結晶学的に非晶質であるシ
リコンの含酸素化合物を意味する、尚主成分である珪素
以外の金属元素が前記非晶質ネットワーク中に部分的に
組込まれているものでもよい。その際珪素原子に対する
割合が原子比で0.2 以下の範囲であれば本発明のゲル状
シリカに包含される。
【0024】微粒子の形状はポリエステルフィルム中で
の分散性及び表面凹凸の均一性を考慮すると球状である
ことが好ましい。ここで球状とは粒子の長径/短径比が
1.0 〜1.2 の範囲にあることを意味する。
【0025】さらに微粒子の粒子径分布はポリエステル
フィルムの表面粗さの分布に反映される為、できるだけ
シャープなものが好ましい。その具体的な指標として
は、下記式で示される粒子径の変動係数が30%以下で
あるものが望ましく、更に好ましくはフィルムの表面突
起の高さが極めて均一になるという点から15%以下で
あるものが推奨される。
【0026】
【数1】
【0027】次に分子中に複数個のアミノ基を有する有
機化合物(A) の具体例としては、エチレンジアミン、ピ
ペラジン、プロピレンジアミン、1,3 −ジアミノプロパ
ン、ジメチルアミノプロピルアミン、メンタンジアミ
ン、トリエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テト
ラメチルエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テト
ラメチル−1,3 −ブタンジアミン、ヘキサメチレンジア
ミン等のジアミン類;ジエチレントリアミン、トリエチ
レンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエ
チレンヘキサミン、アミノエチルピペラジン、イミノビ
スプロピルアミン等のハイアミン類;エチレンイミン、
プロピレンイミン、2−エチルアジリジン、2,2 −ジメ
チルアジリジン等のアルキレンイミン類の重合物及びそ
の誘導体;ピロリジン、ピペリジン等の重合物及びその
誘導体;ポリアミノアルキル(メタ)アクリレート、ポ
リアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ハロゲン化
ポリジアリルアンモニウム、アイオネン系化合物、キト
サン等の完全な線状または分岐構造よりなるカチオン性
高分子電解質;さらにはテトラメチルポルフィン、テト
ラフェニルポルフィン等のポルフィン類及びフタロシア
ニン類等のキレート化剤、アミノ変性ポリシロキサン等
が挙げられるが、例えばアミノアルキル(メタ)アクリ
レートと(メタ)アクリルアミドとの共重合体のよう
に、上述したようなアミノ基含有化合物を構成単位とし
て含む化合物であってもよい。
【0028】これら有機化合物(A) の中では、アミノ基
の当量分子量が小さいものの方がゲル状シリカの三次
元ネットワーク内に取り込まれやすい、更にアミノ基
が高密度に存在する複合体微粒子となる、などの特徴を
示す。この観点から、アミノ基の当量分子量が1000以下
のものが好ましく、更にアミノ基の当量分子量が200
以下のものが特に好ましい。具体的にはアルキレンイミ
ンの重合体及びその誘導体が例示される。特にエチレン
イミンの重合体であるポリエチレンイミン及びその誘導
体は原料として入手し易く、微粒子の製造工程で使用す
るアルコール類等の有機溶媒に対する溶解性が高いな
ど、取り扱いの面でも好ましい。該誘導体としては、例
えばポリエチレンイミンにプロピレングリコールやエチ
レングリコール等を反応させたグリコール付加物等が挙
げられる。
【0029】これら有機化合物(A) の複合体微粒子中の
含有量は特に限定されないが、少な過ぎると有機化合物
が取り込まれた効果が実質的に発揮されず、また多過ぎ
ると粒径の制御が困難となって微粒子の凝集物が生成し
やすくなる。従って、有機化合物(A) の含有量は0.1 〜
50重量%の範囲が好ましい。
【0030】さらに本発明の複合体微粒子には、該微粒
子表面に例えばエチレングリコール,プロピレングリコ
ール,1,3 −ブタンジオール等のポリエステル原料とし
て使用されるグリコール類がグラフトした微粒子も含ま
れる。該微粒子はポリエステル中での分散性が一層向上
する点で好ましい。該複合体微粒子の製法は特に限定さ
れないが、加水分解及び/又は縮合可能な有機珪素化合
物を有機化合物(A) 及び水が存在する有機溶媒中で加水
分解及び/又は縮合させる方法は、有機化合物(A) をゲ
ル状シリカ中に混成させ易い点および粒度分布のシャー
プな微粒子が得られ易い点などで好ましい。本方法によ
れば微粒子の形状を球状にすることも可能である。ここ
で加水分解及び/又は縮合可能な有機珪素化合物とは、
シリコンアルコキシド類,有機珪素塩化物類,シラノー
ル基含有有機化合物等であり、単独使用又は併用するこ
とができる。
【0031】好ましい有機珪素化合物の具体例として
は、メチルトリクロロシラン,ビニルトリクロロシラ
ン,フェニルトリクロロシラン,ジフェニルジクロロシ
ラン,メチルビニルジクロロシラン,トリメチルクロロ
シラン,メチルジフェニルクロロシラン等の有機珪素塩
化物;テトラメトキシシラン,テトラエトキシシラン,
テトライソプロポキシシラン,テトラブトキシシラン,
トリメトキシシラン,トリエトキシシラン,ジメトキシ
ジエトキシシラン,トリメトキシシラノール,トリエト
キシシラノール,メチルトリメトキシシラン,トリメト
キシビニルシラン,トリエトキシビニルシラン,3−グ
リシドキシプロピルトリメトキシシラン,3−クロロプ
ロピルトリメトキシシラン,3−メルカプトプロピルト
リメトキシシラン,3−(2−アミノエチルアミノプロ
ピル)トリメトキシシラン,フェニルトリメトキシシラ
ン,フェニルトリエトキシシラン,ジメトキシジメチル
シラン,ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチル
シラン,3−クロロプロピルジメチルメトキシシラン,
ジメトキシジフェニルシラン,ジメトキシメチルフェニ
ルシラン,トリメチルメトキシシラン,トリメチルエト
キシシラン,γ−(メタクリロキシプロピル)トリメト
キシシラン,β−(3,4 エポキシシクロヘキシル)エチ
ルトリメトキシシラン,3−アミノプロピルトリエトキ
シシラン,N−フェニル−3−アミノプロピルトリメト
キシシラン,3−ジメチルアミノプロピルトリメトキシ
シラン等の如き一般式 R1 mSi(OR2 )n (但し、R1 は置換基があってもよいアルキル基、アリ
ール基、水素原子及び不飽和脂肪族残基からなる群から
選ばれる少なくとも1種の有機基,R2 は置換基があっ
てもよいアルキル基を表わし、mは0または1〜3の範
囲の整数,nは1〜4の範囲の整数であってm+n=4
を満足する)で表されるシリコンアルコキシド類;テト
ラアセトキシシラン,メチルアセトキシシラン,フェニ
ルトリアセトキシシラン,ジアセトキシジメチルシラ
ン,アセトキシトリメチルシラン等の如き珪素の有機酸
エステル化合物;ジフェニルシランジオール,フェニル
シラントリオール,トリメチルシラノール,ジメチルシ
ランジオール等のシラノール基含有有機化合物等が挙げ
られる。これらのうち最も 好ましいのはテトラアルコキ
シシランを含む有機珪素化合物である。
【0032】更に、上記以外に使用可能な有機珪素化合
物としては、上述した有機珪素化合物の誘導体がある。
例えば、一部の加水分解性基がジカルボン酸,ヒドロキ
シカルボン酸,β−ジケトン類、β−ジエステル類,ア
ルカノールアミン等の珪素とのキレート形成能を有する
化合物の官能基で置換された有機珪素化合物あるいは上
述した有機珪素化合物及び/又はキレート化合物を部分
的に加水分解及び/又は縮合して得られる低縮合物が示
される。
【0033】これら有機珪素化合物の中でも前記一般式
1mSi(OR2)nで表されるシリコンアルコキサイ
ド類は原料としてもっとも入手し易く、粒度分布が非常
にシャープで真球性に優れた球状複合体微粒子が凝集の
ない状態で容易に得られ、且つ該微粒子にハロゲン等が
混入することがないので好ましい。
【0034】これらの有機珪素化合物は1種又は2種以
上を適宜選択して使用することができるが、1官能の有
機珪素化合物が選択される場合は、2官能以上、好まし
くは3官能以上の有機珪素化合物を併用することが必要
である。これらを併用する場合における加水分解反応で
は、…−Si−O−Si−O−…で示される結合が形成
され、ここに生成したゲル状シリカが本発明の複合体微
粒子における有用構成成分となるのである。 また本発明
においては必要に応じて、前記した非晶質ネットワーク
を構成し得る金属元素,例えばナトリウム,カリウム,
ルビジウム,セシウム等のアルカリ金属,マグネシウ
ム,カルシウム,ストロンチウム,バリウム等のアルカ
リ土類金属,アルミニウム,ホウ素,リン,チタニウ
ム,ジルコニウム,ガリウム,インジウム等周期律表第
III族,第IV族,第V族等の有機金属化合物又は無機塩
を共存せしめて使用することができる。その際珪素の割
合を原子比で80%以上とすることが好ましい。
【0035】有機珪素化合物の加水分解及び/又は縮合
を促進する為に塩基性触媒を共存させてもよい。該塩基
性触媒としては、アンモニア;尿素;エチルアミン、プ
ロピルアミン、トリエチルアミン等のモノアミン類;エ
タノールアミン、プロパノールアミン等のアルカノール
アミン類;テトラメチルヒドロキシド等の四級アンモニ
ウム塩等が挙げられる。
【0036】有機溶媒としては、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノー
ル、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレング
リコール、1,4 −ブタンジオール等のアルコール類;ア
セトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル
等のエステル類;イソオクタン、シクロヘキサン等の
(シクロ)パラフィン類;ジオキサン、ジエチルエーテ
ル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン等の芳香族化合
物等が挙げられ、単一でまたは混合物で用いられる。
【0037】有機珪素化合物の加水分解及び/又は縮合
を均一反応系で行う場合の有機溶媒としては、有機珪素
化合物や水と、また触媒を使用する場合には触媒とも相
溶性を示す溶媒が好ましく、特にアルコール性有機溶媒
が有利である。これらと相溶しない有機溶媒の場合はそ
れらに界面活性剤を添加して均一なミセルにしても良
い。しかし、加水分解及び/又は縮合は、必ずしも均一
反応系で行う必要はなく、金属水酸基を表面に有する微
粒子をシードとして共存させた懸濁液中で行う、いわゆ
るシード法によって行なう方が好ましい場合もある。
【0038】加水分解及び/又は縮合させるに際して存
在する水や触媒の量は、生成する粒子の形状、粒子径、
分散状態等に影響を及ぼすので、好ましい量に制御する
必要がある。この場合原料の有機珪素化合物の種類、濃
度等によって適宜選択される。
【0039】加水分解及び/又は縮合は、前記した有機
珪素化合物を有機化合物(A) 及び水、必要により触媒や
シードが存在する有機溶媒中に添加し、好ましくは0〜
100℃、更に好ましくは0〜70℃の範囲で撹拌する
ことによって達成される。有機珪素化合物の添加の方法
は限定されない。例えば、有機珪素化合物の1種または
2種以上の均一混合物をそのまま添加してもよいし、有
機溶媒と混合して添加してもよい。
【0040】またシード法を行なう場合のシード源とし
ては、湿式法シリカ、乾式法シリカ等の金属水酸基を表
面に有する微粒子粉体をシードとして有機溶媒中に均一
に分散させた懸濁液を使用してもよいし、アルミナ、シ
リカ、チタニア、ジルコニア等の水性ゾル又はオルガノ
ゾル等をそのままあるいは有機溶媒に混合して均一な分
散液としたものを使用したり、あるいは有機珪素化合物
を水の存在する有機溶媒中で加水分解、縮合することに
より製造したシリカの微粒子をシードとして懸濁液の状
態のまま使用してもよい。少なくとも、上述したシー
ド、水及び有機化合物(A) が存在する有機溶媒懸濁液中
で有機珪素化合物を加水分解及び/又は縮合させること
によっても、シードが均一に成長し、分子中に複数個の
アミノ基を有する有機化合物(A) が均質に取り込まれた
複合体微粒子が製造される。
【0041】以上に述べてきた好ましい製法に従えば、
分子中に複数個のアミノ基を有する有機化合物(A) とゲ
ル状シリカが混成する複合体であって、且つ平均粒子径
が0.05〜5μm の範囲にあり粒度分布のシャープな複合
体微粒子が懸濁体として得られる。
【0042】該複合体微粒子は、粉体あるいはエチレン
グリコール,プロピレンクリコール,1,3 −ブタンジオ
ール等のポリエステルの原料であるグリコール中に予め
分散させたいわゆるグリコール分散体としてポリエステ
ルに添加される。
【0043】該複合体微粒子を粉体として得る方法とし
ては、懸濁体を濾過,遠心分離,溶媒蒸発等通常行われ
ている方法に付すことによって微粒子を分離した後、乾
燥又は有機化合物(A) が分解しない条件で焼成して粉体
化する方法等が採用し得る。中でも必要に応じて懸濁体
の濃縮操作を行った後真空瞬間蒸発装置を用いる溶媒蒸
発法による粉体化方法は、得られた複合体微粒子のポリ
エステルフィルム中での分散性が極めて良好であるので
粉体化方法としては特に好ましい。
【0044】一方複合体微粒子をグリコール分散体とし
て得る方法は、特に制限されない。例えば、上記した方
法で粉体化された複合体微粒子を例えばエチレングリコ
ール,ジエチレングリコール,プロピレングリコール等
のグリコール中にボールミル,サンドミル,超音波ホモ
ジナイザー等の機械的エネルギーを用いて分散させる公
知の方法等が採用し得る。
【0045】別法としては、懸濁液から有機溶媒や水等
の溶媒成分を加熱蒸発等の方法により除去してグリコー
ルで置換しグリコール分散体とする方法、いわゆる加熱
溶媒置換法があり、これは凝集粒子の生成を防止し得る
点で好ましい。
【0046】さらに複合体微粒子には、前記したように
該微粒子表面にグリコールがグラフトした微粒子も含ま
れるが、グリコールを微粒子表面(ここで表面とは、微
粒子外表面に開口した無数の細孔の壁面を含めたものを
意味する)へグラフトさせる方法は特に限定されず、例
えば微粒子をグリコールと共存させた状態で加熱する方
法が適用される。加熱条件即ち温度,圧力,加熱時間,
加熱する為の装置等は、微粒子表面へグリコールをグラ
フトさせる量やグリコールの種類によって適宜選択さ
れ、また必要に応じてグリコールのグラフト反応を促進
させる目的で触媒を添加してもよい。
【0047】複合体微粒子をポリエステル中に分散含有
させる時期としては、(1) ポリエステルを形成する為の
重縮合反応の任意の時点及び/又は (2) 複合体微粒子の非存在下に重縮合反応により製造さ
れたポリエステルを再度溶融させた時点等が示され、特
に制限されない。
【0048】微粒子を添加,混合分散させたポリエステ
ル組成物はその後フィルム化される。(1) の方法を採用
する場合、複合体微粒子の反応系中への添加時期は、特
に限定されないが、重縮合反応の初期例えば反応液の固
有粘度が約0.3 になるまでの間が好ましく、添加方法、
添加時期についても特に限定されない。しかし微粒子の
分散状態がもっとも良好なポリエステルフィルムが得ら
れ易いという点では、ポリエステルの原料であるグリコ
ールの1種又は2種以上の混合溶媒に該微粒子を分散さ
せたスラリーの状態で添加する方法がもっとも好まし
い。
【0049】ポリエステルフイルム中の複合体微粒子の
含有量は、ポリエステルフィルム全体に対して0.005 〜
5重量%、好ましくは0.01〜3重量%の範囲とする。添
加量が0.005 重量%未満では滑り性や耐削れ性の向上効
果が不十分となり、一方5重量%を超えると表面平坦性
が低下し好ましくない。
【0050】なお、本発明の効果を損わない程度であれ
ば、複合体微粒子以外の微粒子、例えば球状,塊状,板
状等の形状を有し、且つポリエステルに不溶な外部添加
粒子及び/又はポリエステル合成時に析出させた内部粒
子を含有させても差支えない。更に平均粒子径が異なる
2種以上の複合体微粒子を含有させることもできる。複
合体微粒子はその平均粒子径が0.05〜5μm の範囲であ
る必要がある。0.05μm 未満の粒子では、滑り性の効果
が現われず5μm を超える粒子では、削れ性が問題とな
る。
【0051】このようにして得られたポリエステルフイ
ルムは、複合体微粒子を分散含有させたポリエステルフ
ィルムであって、未延伸フィルム、一軸あるいは二軸配
向フィルムを包含しこれらのフィルム化方法は特に限定
されない。例えば280〜300℃でシート状に溶融押
出した後、冷却固化することにより非晶質の未延伸フィ
ルムとすることができ、さらに必要に応じて例えば縦方
向及び横方向、あるいは縦,横,縦の方向に逐次、又は
縦方向及び横方向同時に2軸延伸する方法等を採用する
ことにより2軸配向フィルムとすることができる。
【0052】
【発明の効果】本発明のポリエステルフィルムは従来の
ポリエステルフィルムに比べて、分散含有されている複
合体微粒子が有機化合物(A) とゲル状シリカとの複合組
成となっている為、ポリエステルとの親和力が従来シリ
カより高い。従ってボイドの生成によるスクラッチが生
成し難く、且つフィルムの巻き取り時など従来フィルム
で問題とされていた応力負荷時の粒子脱落の問題及びこ
れに起因する白粉の生成が抑制される等の特徴を有す
る。
【0053】しかも本発明の特徴は、特に延伸処理され
た2軸配向ポリエステルフィルムとした時に著しく発揮
される。即ち本発明のポリエステルフィルムの中でも2
軸配向ポリエステルフィルムは、均一に且つ微細に制御
された凹凸表面特性,すぐれた滑り性及び耐削れ性を有
し、すりきず,白粉等の発生が極度に抑えられ耐久性が
極めて優れるという特徴を有する。この2軸配向ポリエ
ステルフィルムは、これらの特性を有するが故に各種の
広範な用途に使用することができる。例えばビデオ用,
オーディオ用,コンピュータ用等の磁気記録用ベースフ
ィルムとして用いると、優れた電磁変換特性,滑り性,
耐摩耗性及び長期にわたる耐久性を発揮する。またコン
デンサー用途に用いると低い摩擦係数,すぐれた巻回
性,低いつぶれ荷重,高い透明性等が得られる。更に電
気絶縁用途,包装用途及び蒸着用フィルム等の他の分野
へも広く適用することができる。
【0054】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明
するが、本発明は、これらの実施例に限定されるもので
はない。なお各参考例で製造される微粒子の粒子形状,
平均粒子径,粒子径の変動係数,結晶性,有機化合物
(A) の含有量,結合グリコール量等は下記の方法により
分析評価した。
【0055】粒子形状 1万倍の走査型電子顕微鏡観察により形状を判定した。
その際、長径/短径比を1万倍の走査型電子顕微鏡撮影
像中から任意の粒子100個を選んでその長径及び短径
を実測して求め、同比が1.0 〜1.2 の範囲にあるものを
球状と判定した。
【0056】平均粒子径,粒子径の変動係数 1万倍の走査電子顕微鏡撮影像中から任意の粒子100
個を選んでその粒子径を実測して下記式より求めた。
【0057】
【数2】
【0058】結晶性 粉体の場合には、それをそのまま試料としX線回折によ
り微粒子の結晶性を評価した。グリコール分散体の場合
には分散体の一部を100℃にて真空乾燥し、グリコー
ル等の揮発成分を完全に除去して微粒子の粉体試料を
得、同様に評価した。
【0059】有機化合物(A) の含有量 粉体の場合には、予め100℃で真空乾燥したものを試
料として、元素分析より得られる窒素含有率から有機化
合物(A) の含有率を求めた。グリコール分散体の場合に
は該分散体中の微粒子を遠心分離操作及びメタノール洗
浄を繰り返し行なって分離した後100℃にて真空乾燥
し、揮発成分を完全に除去して微粒子の粉体試料を得、
上記と同様にして有機化合物(A) の含有率を求めた。ま
たグリコール分散体の場合には該分散体中のグリコール
等の溶媒成分を遠心分離操作によって分離し、溶媒中に
溶けている有機化合物(A) の量を定量し、微粒子中に含
有される有機化合物(A) の含有率を求める際の参考デー
タとした。
【0060】グリコール分散体中の微粒子濃度 分散体の一部を100℃においてグリコール等の揮発成
分を完全に除去し得るまで真空乾燥することにより乾燥
粉末を得、この乾燥粉末のグリコール分散体に対する重
量分率を求め、この値をグリコール分散体中の微粒子濃
度とした。
【0061】グリコール分散体における微粒子の分散性 グリコール分散体中の溶媒成分であるグリコールを分散
媒として遠心沈降式粒度分布測定装置(島津製AS-CP-3)
による粒度分布測定及び光学顕微鏡観察により判定し
た。
【0062】結合グリコール量 グリコール分散体の場合には、上述した方法により得た
粉体試料約5g を精秤し0.05 NのNAOH水溶液250mlに
添加し室温で10時間撹拌を続ける。これにより微粒子
中の加水分解性基は全て加水分解されて水溶液に抽出さ
れる。該懸濁液から微粒子を分離した清澄液中のグリコ
ール量をガスクロマトグラフにより定量して、粉体試料
1gに対する結合グリコール量とした。更に各実施例、比
較例に示されるポリエステルフィルムの諸物性は下記の
方法により分析評価した。
【0063】フィルム表面粗さ JIS-BO601 で定義される中心線平均粗さ(Ra)を市販
の表面粗さ計(日本真空技術(株)製CeKtaK IIA)を用
い、以下の条件で測定した。触針半径 2.5 μm 触針圧 25 mgf 測定長 0.5 mm
【0064】ボイド比 フィルム表面に日立那珂精器(株)製イオンスパッタ装
置(E-102) を用いてイオンエッチング処理を施した後、
同装置にてPt-Au を蒸着した試料を走査型電子顕微銃で
観察した。表面に存在する微粒子50個について微粒子
の長径とボイドの長径を測定し、次式によりボイド比を
求めその数平均値をそのフィルムのボイド比とした。 ボイド比=ボイドの長径/微粒子の長径 このボイド比の値から以下の判定基準で評価した。 ◎:1≦ボイド比<1.2 ○:1.2 ≦ボイド比<1.5 △:1.5 ≦ボイド比<2.0 ×:2.0 ≦ボイド比
【0065】滑り性 ASTM-D-1894B-63 の方法に従い、スリップテスターを用
いて動摩擦係数μd を測定し、μd の値から以下の判定
基準に従って滑り性を評価した。 μd <0.4 →滑り性 ○ μd ≧0.4 →滑り性 ×
【0066】耐摩耗性 フィルムを幅15mmに細断したテープを金属製ガイドロ
ールに接触させた状態で50m /分の速度で5000m 走行
させたときのガイドロール表面に付着する白粉の生成量
で評価した。 ○:白粉の生成 殆どなし△:白粉の生成 若干あり ×:白粉の生成 多い
【0067】参考例1 撹拌機を備えた10リットルのステンレス容器中で、平
均分子量20,000、アミノ基の当量分子量43のポリエチ
レンイミン300g をメタノール2リットルに溶解せし
めた後、20℃においてテトラエチルシリケート2.4kg
を添加、混合し、1時間撹拌し均一溶液とした。この溶
液に酢酸5重量%水溶液24kgをゆっくり添加した後、
70℃で10分間加熱することによりヒドロゲルを得
た。このヒドロゲルを150℃で真空乾燥することによ
り溶媒を除去した後、粉砕・分級することによって平均
粒径3μm の微粒子(P1)を得た。
【0068】微粒子(P1)は、X線回折,元素分析及び走
査型電子顕微鏡観察等よりポリエチレンイミン30重量
%と非晶質シリカゲルよりなり、平均粒子径3μm ,粒
子径変動係数20%の不定形微粒子であることが確認さ
れた。微粒子(P1)の諸物性を表1に示す。
【0069】参考例2 参考例1においてポリエチレンイミンの代わりにジメチ
ルアミノプロピルメタクリルアミドとヒドロキシエチル
メタクリレートの共重合体(平均分子量1万,アミノ基
の当量分子量300)70g ,メタノールの代わりにイ
ソプロピルアルコール2リットルを使用した以外は、参
考例1と同様にして微粒子(P2)を得た。微粒子(P2)の諸
物性を表1に示す。
【0070】参考例3 参考例1においてポリエチレンイミンの代わりに、平均
分子量2000のβ−ポリ−D−グルコサミン(アミノ基の
当量分子量161)100g を使用した以外は参考例1
と同様にして微粒子(P3)を得た。微粒子(P3)の諸物性を
表1に示す。
【0071】参考例4 参考例1においてポリエチレンイミンを使用しない以外
は参考例1と同様にして微粒子(P4)を得た。微粒子(P4)
の諸物性を表1に示す。
【0072】参考例5 撹拌機,滴下口,温度計を備えた20リットルのガラス
製反応器にエタノール12リットル,28重量%のアン
モニア水1800g を加え、撹拌して均一溶液とし20℃に
保った。ついで撹拌を続けながらテトラエチルシリケー
ト624g を30分間で滴下して反応させた。さらに滴
下終了後20℃にて5時間撹拌を続けシリカの球状微粒
子の懸濁体を製造した。
【0073】次に上記懸濁体を、熱媒ジャケット及び留
出口を備えたZミキサー中に移し、撹拌しながら熱媒温
度150℃に保持した状態で溶媒成分を留去した。得ら
れた粉末を真空乾燥炉中で150℃10時間加熱処理す
ることにより微粒子粉体を得た。得られた微粒子をP5と
する。微粒子(P5)は、走査型電子顕微銃観察及びX線回
折より、平均粒子径0.6 μm ,粒子径の変動係数6%の
非晶質球状微粒子であり元素分析より微粒子中に窒素分
は含まれないことが確認された。微粒子(P5)の諸物性を
表1に示す。
【0074】参考例6 参考例5においてテトラエチルシリケートを滴下して反
応させる際に、平均分子量300,アミノ基の当量分子
量43のポリエチレンイミン10.5g を共存させた以外は
参考例5と同様にして行い、微粒子(P6)の粉体を得た。
微粒子(P6)の諸物性を表1に示す。
【0075】参考例7 参考例5において、テトラエチルシリケートを滴下して
反応させる際に、末端水酸基含有ポリエチレンイミン
(平均分子量1000,アミノ基の当量分子量45)2.5gを
共存させた以外は参考例5と同様にして行い、微粒子(P
7)の粉体を得た。微粒子(P7)の諸物性を表1に示す。
【0076】参考例8 参考例5と同じ原料を用いてテトラエチルシリケートの
加水分解縮合反応を行い平均粒子径0.2 μm のシリカ微
粒子の懸濁体を製造した。次に上記懸濁体を加熱し溶媒
を一部蒸発させることにより微粒子濃度20重量%,水
濃度25重量%の濃縮懸濁液を製造した。
【0077】次に、真空瞬間蒸発装置(内径8mmで長さ
9m の加熱水蒸気ジャケット付きのステンレス鋼製の管
の一端が濃縮懸濁液の供給口であり多端が減圧に保持さ
れた粉体の捕集室に導かれ、粉体と蒸発した蒸気はバッ
グフィルターで分離され、蒸気は凝縮させ系外に抜き出
す様にされている)を使用して上記濃縮懸濁液より粉体
を製造した。
【0078】すなわち200℃に加熱された上記真空瞬
間蒸発装置の長管の一端に定量ポンプで上記濃縮懸濁液
を15kg/hr の流量で供給し、他端より50Torrに保た
れたバッグフィルターを備えた粉体捕集室に導き、シリ
カ球状微粒子粉体を得た。得られた微粒子(P8)の諸物性
を表1に示す。
【0079】参考例9 参考例8においてテトラエチルシリケートを滴下反応さ
せる際に平均分子量2000,アミノ基の当量分子量43の
ポリエチレンイミンを共存させた以外は参考例8と同様
にして反応を行い最終的に微粒子(P9)粉体を得た。微粒
子粉体(P9)の諸物性を表1に示す。
【0080】参考例10 参考例1〜7でそれぞれ得られた微粒子P1〜P7の各20
重量部をエチレングリコール80重量部に添加混合した
後、超音波ホモジナイザーを用いて単分散化処理するこ
とにより、各微粒子が20重量%の割合で単分散したエ
チレングリコールスラリーd1〜d7を得た。これらのスラ
リー中に含まれる各微粒子の物性は、表1に示した微粒
子P1〜P7の物性と変わらないことを確認した。
【0081】参考例11 参考例10と同様にして参考例8で得られた微粒子P8の
エチレングリコールスラリーを得た。次に上記スラリー
を還流冷却器を備えたステンレス製釜内で撹拌しながら
昇温し、150℃で2時間保持した後冷却することによ
って微粒子が20重量%の割合で単分散したエチレング
リコールスラリーd8を得た。d8に含まれる微粒子はエチ
レングリコールが1mmol/g 結合した微粒子であること
を除いて、表1に示した物性面でP8と変わらない微粒子
であることを確認した。
【0082】参考例12 参考例11において微粒子P8の代わりに微粒子P9を使用
する以外は参考例11と同様にして、微粒子が20重量
%の割合で単分散したエチレングリコールスラリー(d9)
を得た。d9に含まれる微粒子はエチレングリコールが0.
8mml/g結合した微粒子であること及びエチレングリコー
ルが結合することにより微粒子組成が若干変わることを
除いて、表1に示した物性面でP9と変わらない微粒子で
あることを確認した。
【0083】比較例1 ジメチルテレフタレート100重量部とエチレングリコ
ール70重量部を、酢酸マンガン4水和物0.04重量部を
触媒として常法に従ってエステル交換反応をさせた後、
亜燐酸0.03重量部を安定剤として、参考例10で得られ
たエチレングリコールスラリー(d4)1重量部を撹拌添加
した。
【0084】その後三酸化アンチモン0.03重量部を添加
し引き続き高温高真空下で常法通り重縮合反応を行な
い、極限粘度数(オルソクロロフェノール,35℃)0.
61dl/gのポリエチレンテレフタレートを得た。
【0085】次いでこのポリエチレンテレフタレートを
180℃で乾燥後、溶融温度280〜300℃で溶融押
出機によりシート化し、続いて90℃で縦延伸倍率3.5
倍、横延伸倍率4.0 倍に2軸延伸し、その後熱固定し厚
み15μm の2軸配向フィルムを得た。得られたフィル
ムの特性を表2に示す。得られたフィルムは、微粒子(P
4)周辺のボイド比が高く且つ滑り性及び耐摩耗はいず
れも不満足なものであった。
【0086】比較例2 比較例1におけるエチレングリコールスラリー(d4)の代
わりに参考例10で得られたエチレングリコールスラリ
ー(d5)1重量部を使用した以外は比較例1と同様にして
ポリエチレンテレフタレートを合成し、最終的に厚み1
5μm の2軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフ
ィルムは滑り性は良好であるが耐摩耗性において不満足
なものであった。このフィルムの特性を表2に示す。
【0087】比較例3 比較例1におけるジメチルテレフタレートの代わりにジ
メチル−2,6 −ナフタレート126重量部を、またエチ
レングリコールスラリー(d4)の代わりに参考例11で得
られたエチレングリコールスラリー(d8)1重量部を使用
した以外は比較例1と同様にしてポリエチレンナフタレ
ートを合成し、最終的に厚み15μm の2軸配向ポリエ
ステルフィルムを得た。このフィルムは滑り性は良好で
あるが耐摩耗性において不満足なものであった。このフ
ィルムの特性を表2に示す。
【0088】実施例1〜3 比較例1におけるエチレングリコールスラリー(d4)の代
わりに表2に記載した各微粒子のエチレングリコールス
ラリー(d1),(d2),(d3)を表2に記載した割合で使用した
以外は比較例1と同様にしてポリエステルを合成し、更
に厚み15μmの2軸配向ポリエステルフィルムを製造
した。これらのフィルムの特性を表2に示すがこれらの
フィルムは比較例1で得られたフィルムに比べてボイド
比が小さく走行時の白粉の生成量が少なく、耐摩耗
改善されたフィルムであった。
【0089】実施例4及び5 比較例2におけるエチレングリコールスラリー(d5)の代
わりに表2に記載した各微粒子のエチレングリコールス
ラリー(d6),(d7) を表2に記載した割合で使用した以外
は、比較例2と同様にしてポリエステルを合成し更に厚
み15μm の2軸配向ポリエステルフィルムを合成し
た。これらのフィルムの特性を表2に示すがこれらのフ
ィルムは比較例2で得られたフィルムに比べてボイド比
が小さく走行時の白粉の生成が殆どない耐摩耗性が改善
されたフィルムであった。
【0090】実施例6〜8 比較例3におけるエチレングリコールスラリー(d8)の代
わりに参考例12で得られたエチレングリコールスラリ
ー(d9)を、それぞれ表2に記載した割合で使用した以外
は比較例3と同様にしてポリエステルを合成し更に厚み
15μm の2軸配向ポリエステルフィルムを合成した。
これらのフィルムの特性を表2に示すが、これらのフィ
ルムは、比較例3で得られたフィルムに比べてボイド比
が小さく走行時の白粉の生成が殆どみられず、耐摩耗性
が改善されたフィルムであった。
【0091】比較例4 エチレングリコールとテレフタル酸ジメチルとのエステ
ル交換型重縮合反応により、実質的に微粒子を含まない
ポリエチレンテレフタレートのペレットを得た。このペ
レット100重量部を300℃で溶融した状態で、参考
例5で得られた微粒子(P5)粉体1重量部を添加混合した
後、溶融押出し機によりシート化し、続いて比較例1と
同様にして2軸延伸することにより厚み15μm の2軸
配向フィルムを得た。このフィルムは、微粒子(P5)周辺
のボイド比が1.3 であり走行時に白粉が生成し耐摩耗性
の不充分なフィルムであった。
【0092】実施例9 比較例4における微粒子(P5)の代わりに、参考例7で得
られた微粒子(P8)粉体1重量部を使用した以外は比較例
4と同様にして2軸配向フィルムを得た。このフィルム
は比較例4のフィルムと比べて微粒子周辺のボイド比が
1.18と小さく、走行時に白粉の生成が殆どみられず、耐
摩耗性に優れるフィルムであった。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 67/02 // B29K 67:00 B29L 7:00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中に複数個のアミノ基を有する有機
    化合物(A) とゲル状シリカからなり、且つ平均粒子径が
    0.05〜5μm の範囲にある複合体微粒子がポリエステル
    フィルム中に0.005 〜5重量%の範囲で含まれてなるこ
    とを特徴とするポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 複合体微粒子が粒子の長径/短径比が1.
    0 〜1.2 の範囲内にある球状であり、且つ粒子径の変動
    係数が15%以下である請求項1記載のポリエステルフ
    ィルム。
  3. 【請求項3】 有機化合物(A) が複合体微粒子中に0.1
    〜50重量%の範囲で含まれる請求項1〜2のいずれか
    に記載のポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】 有機化合物(A) がアルキレンイミンの重
    合物及び/又はその誘導体である請求項1〜3のいずれ
    かに記載のポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】 ポリエステルフィルムが2軸配向ポリエ
    ステルフィルムである請求項1〜4のいずれかに記載の
    ポリエステルフィルム。
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