JP3744569B2 - 吸湿性シリカ粒子およびその製造方法 - Google Patents

吸湿性シリカ粒子およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は吸湿性シリカ粒子およびその製造方法に関し、詳しくは半導体装置用の封止剤、接合剤およびパッケージ素材などとして用いられるエポキシ樹脂組成物の耐湿性を改善するために同組成物に添加される吸湿性シリカ粒子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
半導体装置用の封止剤、接合剤、パッケージ素材として従来よりエポキシ樹脂が一般に用いられている。しかし電子部品の高集積化に伴ない封止剤、接合剤、パッケージ素材に対する要求は年々厳しくなってきており、特にこれらの材料が水分の浸入を防止できない材料であると、ICチップ上のアルミニウム配線幅の縮小にともない、アルミニウムの腐食が促進されたり、侵入した水分による絶縁性の低下等により、IC部品として動作不良が発生してしまうという問題が生じる。
【0003】
そこでこの種の材料に用いられるエポキシ樹脂の耐湿性を向上させることが課題となっている。
【0004】
エポキシ樹脂組成物の耐湿性を向上させるために同組成物にシリカ粒子を含有させることは公知であり、例えば特開平6−49333号公報には、密度が2.10g/cm3未満、平均粒径が0.1μm以上3μm未満のシリカ粒子を含有させた耐湿性のエポキシ樹脂組成物が開示されている。しかし、このエポキシ樹脂組成物の耐湿性を向上させるために用いられたシリカ粒子は吸水率が3%以上のものであり、エポキシ樹脂組成物の耐湿性の向上には限界があった。
【0005】
ところで、シリカ粒子を製造する方法としてゾルゲル法が知られている。ゾルゲル法は、アルコキシシランをアルカリ水溶液中で加水分解した後縮合させ、次いで濃縮、乾燥焼成を行なってシリカ粒子を得るものであり、この方法は、粒径の揃った高純度シリカ粒子が得られるという利点を有する。
【0006】
特に1μm以上の大きな粒径を有するシリカ粒子を得る方法として、先ずアルコキシシランを用いてシリカのシード粒子を生成させ、次いでこのシード粒子の表面に、シリカ被覆層をアルコキシシランを用いて付着させるビルトアップ法が特公平3−52047号公報および特公平1−59974号公報に開示されている。
【0007】
しかし、上記ゾルゲル法により吸湿性のシリカ粒子を製造しようとする場合、次のような問題がある。
【0008】
(1)同一の乾燥、焼成温度で同一密度の非晶質の多孔性シリカ粒子を得てもロット間の吸水率の変動が大きく吸湿性シリカ粒子を安定して得ることができない。
【0009】
(2)シリカ粒子の水分散液の濃縮速度を上げると、同様に吸湿性シリカ粒子を安定して得ることができない。
【0010】
従って本発明の第1の目的は、エポキシ樹脂組成物の耐湿性を向上するために同組成物に添加するに好適な、吸水率が高く、吸湿性に優れたシリカ粒子を提供することにある。
【0011】
また本発明の第2の目的は、上記吸水率が高く、吸湿性に優れたシリカ粒子を吸水率の変動を起すことなく安定に製造し得る方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の目的は、見掛け密度が1.70〜1.80g/cm3、嵩密度が0.70〜0.80g/cm3であり、吸水率が10%以上であることを特徴とする吸湿性シリカ粒子によって達成された。
【0013】
本発明の第2の目的は、アルカリ水溶液にアルコキシシランを添加して加水分解、縮合させてシリカ粒子の水分散液を得る工程(I)と、
工程(I)で得られたシリカ粒子の水分散液を濃縮する工程(II)と、
工程(II)の過程で濃縮系に水を添加して未反応アルコキシシランの加水分解を行なう工程(III)と、
工程(II)および(III)の後に得られた濃縮物を乾燥、焼成して目的とする吸湿性シリカ粒子を得る工程(IV)と、
を含むことを特徴とする吸湿性シリカ粒子の製造方法によって達成された。
【0014】
【発明の実施の形態】
先ず本発明の吸湿性シリカ粒子について説明する。
前記特開平6−49333号公報においては、見掛け密度を2.10g/cm3未満に限定することにより、吸水率3%以上のシリカ粒子を得ているが、本発明者らは、吸湿性に更に優れたシリカ粒子を得るべく検討した結果、見掛け密度とともに嵩密度もシリカ粒子の吸水率、すなわち吸湿性を左右するパラメーターであること、さらに見掛け密度が1.70〜1.80g/cm3であるとともに嵩密度が0.70〜0.80g/cm3であると、シリカ粒子の吸水率が10%以上となり、吸湿性が著しく優れたものになることを見い出した。
【0015】
本発明のシリカ粒子はこれらの知見に基づいて完成されたものであり、本発明のシリカ粒子において見掛け密度を1.70〜1.80g/cm3、嵩密度を0.70〜0.80g/cm3に限定した理由は以下のとおりである。
【0016】
すなわち、見掛け密度が1.70g/cm3未満であり、嵩密度が0.80g/cm3を超えると、粒子強度が小さくなりすぎて、充填材としての補強効果が得られなくなるとともに、粒体としての凝集力が大きくなりすぎて、ハンドリング不良(例えば樹脂中への分散性低下)となる。
【0017】
見掛け密度が1.80g/cm3を超え、嵩密度が0.70g/cm3未満であると、粒子強度は十分なものとなるが、粒体としての嵩と帯電性が大きくなりすぎてハンドリング不良となるとともに、目的とする吸水率の高い粒子は得られない。
【0018】
見掛け密度が1.70〜1.80g/cm3であっても嵩密度が0.70g/cm3未満または0.80g/cm3を超えると粒子強度に問題はないが、嵩密度が0.70g/cm3未満では、粒体の嵩と帯電性が大きくなりすぎてハンドリング不良となるとともに、吸水率の変動幅が大きくなってしまう問題がある。嵩密度が0.80g/cm3を超えると、粉体としての凝集力が大きくなりすぎて、樹脂中への分散性が低下してしまう。
【0019】
嵩密度が0.70〜0.80g/cm3であっても見掛け密度が1.70g/cm3未満または1.80g/cm3を超えると、粒体としてのハンドリング性に問題はないが、見掛け密度が1.70g/cm3未満では粒子強度が不足してしまい、1.80g/cm3を超えると目的とする吸水率の高い粒子が得られない。
【0020】
これに対して見掛け密度が1.70〜1.80g/cm3であり、嵩密度が0.70〜0.80g/cm3であると、吸湿性に優れている、粒子強度に優れている、粉体としてのハンドリング性(操作性、分散媒体への分散性)に優れているなどの利点を有するシリカ粒子が得られる。
【0021】
本発明のシリカ粒子において、見掛け密度、嵩密度以外の特性値は特に限定はないが、例えば平均粒径は0.1〜3μmであるのが好ましく、0.5〜2μmであるのが特に好ましい。
【0022】
次に本発明の吸湿性シリカ粒子の製造方法について説明する。
本発明のシリカ粒子の製造方法は、上記したように工程(I)〜(IV)を含むものである。
【0023】
工程(I)は、アルカリ水溶液にアルコキシシランを添加して加水分解、縮合させてシリカ粒子の水分散液を得る工程である。
【0024】
シリカ粒子製造原料として用いるアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどのテトラアルコキシシランおよびその部分加水分解物であるモノヒドロキシトリアルコキシシラン、ジヒドロキシジアルコキシシラン、トリヒドロキシモノアルコキシシランなどが用いられるが、入手の容易性からテトラアルコキシシランを用いるのが好ましく、加水分解反応の制御性などの点からテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランを用いるのが特に好ましい。
【0025】
アルコキシシランが添加されるアルカリ水溶液は、アルカリ、アルコールおよび水によって構成される。アルカリとしてはアンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミンなどのアンモニア誘導体などが用いられるが、特にアンモニアが好ましい。アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、t−ブタノール、t−アミルアルコールなどが用いられるが、特にエタノールが好ましい。
【0026】
アルコキシシランの添加速度は、一義的ではないが、0.1g/分〜60g/分の範囲が好ましい。またアルコキシシランの添加量は、シリカ粒子分散液に含まれる水の量によって制限される。すなわちアルコキシシランに対する水のモル数が5倍以上、より好ましくは10倍以上50倍以下必要である。
【0027】
アルコキシシランの添加は、アルコキシシラン単独で行なっても良く、アルコキシシラン以外にアルコール、水、アンモニア水それぞれ単独もしくはそれらの混合物を、同時にあるいは別々に添加しても良い。
【0028】
工程(I)において、アルコキシシランの加水分解および加水分解により得られたシラノール基の縮合は常法により行なわれ、シリカ粒子の水分散液が得られる。
【0029】
工程(I)において、上記アルカリ水溶液に予めシード粒子を分散させておくと、アルカリ水溶液に添加されるアルコキシシランの加水分解および加水分解により得られたシラノール基の縮合がシード粒子の表面で起り、生成したシリカがシード粒子の表面上に被覆されて粒子がビルトアップ(増径)される。この方法は、とくに1μm以上の大径のシリカ粒子を製造するために有効である。なおシード粒子としては、粒径が揃っており、かつ反応系に単分散し得る球状粒子であれば特に制限はなく、各種金属酸化物粒子が用いられるが、特にシリカ粒子が好ましい。シリカシード粒子としては、ゾルゲル法により得たシリカ粒子が用いられるが、他の方法で得たシリカ粒子を用いてもよい。
【0030】
またシリカシード粒子表面上でのアルコキシシランの加水分解およびシラノール基の縮合によるシリカ被覆層の形成を複数回行なうことにより、最終的に得られるシリカ粒子の大径化を達成することができる。
【0031】
工程(I)の後に行なわれる工程(II)は、工程(I)で得られたシリカの水分散液を濃縮する工程である。濃縮は、常圧または減圧下にシリカの水分散液を加熱することにより行なわれる。加熱温度は常圧の場合は80〜200℃が好ましく、100〜150℃が特に好ましい。減圧度が350mmHgの場合の加熱温度は80〜130℃が好ましく、90〜120℃が特に好ましい。
【0032】
この濃縮工程(II)を行なうことにより、シリカの水分散液の容積は初期体積の1/10〜1/2に減容されるのが好ましく、1/4〜1/3に減容されるのが特に好ましい。
【0033】
この工程(II)において、濃縮時間を短縮するため、および後記工程(III)による未反応アルコキシシランの加水分解の完結のため、濃縮を回転、振動、転動などの機械的混合力をシリカの水分散液に付与しながら行なうのが好ましい。
【0034】
本発明のシリカ粒子の製造方法は、濃縮工程(II)の過程で濃縮系に水を添加して未反応アルコキシシランの加水分解を完結させる工程(III)を実施することをポイントとする。
【0035】
本発明者らの検討によれば、ゾルゲル法によるシリカ粒子の製造においてアルコキシシランの加水分解度がシリカ粒子の吸水率(吸湿性)に影響を及ぼし、アルコキシシランの加水分解を完結することにより吸水率が高く、吸湿性に優れたシリカ粒子を、製造ロット間の吸水率(吸湿性)のバラツキを起すことなく得ることができることが明らかとなった。
【0036】
濃縮工程(II)の過程で濃縮系に水を添加して未反応アルコキシシランの加水分解を完結させる工程(III)を実施するのはこのためである。
【0037】
添加する水の量は、濃縮工程(II)の前のシリカの水分散液の体積の1/10〜4/10であるのが好ましい、添加水量が1/10未満であると、加水分解を完結することができず、目標とする吸水率が得られなくなるとともに製造ロット間の吸水率のバラツキが大きくなり、また添加水量が4/10を超えると濃縮に時間がかかってしまう。添加水量はシリカの水分散液の体積の1.5/10〜3/10が特に好ましい。
【0038】
本発明のシリカ粒子の製造方法においては、前記濃縮工程(II)および加水分解完結工程(III)を行なった後、得られた濃縮物を乾燥、焼成する工程(IV)を実施する。
【0039】
工程(IV)において乾燥は、従来公知の各種乾燥装置を用いて行なわれる。乾燥装置としては、静置式のトレイ乾燥機を用いることもできるが、乾燥時間が長いだけでなく、乾燥後のシリカ粒子が凝集、固化してしまい、解砕工程が必要となるため好ましくなく、振動式、回転式、転動式、揺動式などの動的乾燥機を用いるのが好ましい。この乾燥によりシリカ粒子の含水率は1〜5%程度となる。
【0040】
乾燥後の焼成は、シリカ粒子の緻密化による粒子強度の向上、シリカ粒子表面のシラノール基の低減による吸水率の向上および細孔径分布の調整のために行なわれる。焼成温度は、400〜900℃の範囲である。焼成温度が400℃未満では粒子強度が不十分となるとともに、吸湿性能が大きくばらついてしまう。また900℃を超えると、シラノール基の低減および粒子の緻密化が進みすぎて吸湿率が低くなりすぎる。焼成温度は500〜800℃が特に好ましい。焼成に要する時間は、特に制限されず3〜20時間の範囲から適宜選択すれば良い。
【0041】
工程(IV)によりシリカ粒子を乾燥、焼成することにより得られたシリカ粒子は、吸水率が高く、吸湿性に優れ、かつ優れた粒子強度を有するので、エポキシ樹脂組成物に添加されてその吸湿性を向上させるために好ましく用いられる。
【0042】
【作用】
一般にテトラアルコキシシランを、アルコールを含有するアルカリ溶液中で加水分解してシリカ粒子が形成される反応は、次のように示される。
【0043】
加水分解反応 Si(OR)4 + 4H2O → Si(OH)4 + 4ROH (1)
縮合反応 Si(OH)4 → SiO2 + 2H2O (2)
(1)+(2)より Si(OR)4 + 2H2O → SiO2 + 4ROH
【0044】
アルカリ性触媒存在下では、(2)の縮合反応によりシロキサン結合(Si-O-Si)の三次元微細ネットワーク構造体が形成され、濃縮工程を経て、乾燥、焼成工程でシラノール基が脱水されてシロキサン結合密度が上がって、粒子が緻密化されるとともにその表面状態(細孔分布)が変化して、吸湿性能に違いが生ずる。
【0045】
すなわち反応直後において、加水分解反応が完結せず一部Si-ORが残ることになれば、三次元微細ネットワーク構造体の骨格および表面状態に変化が生じ、吸湿性能にばらつきが出てくることになる。本発明のシリカ粒子の製造方法によれば、濃縮工程で水を新たに加えて、(1)の加水分解反応を完結させることにより、三次元微細ネットワーク構造体が一定なものとなるため、乾燥・焼成工程を経たシリカ粒子の吸湿性能は高くかつ安定したものとなる。
【0046】
【実施例】
以下実施例により本発明を更に説明する。
実施例1
(1)シード粒子の製造
攪拌機を備えた20リットルの反応容器を恒温槽にセットし、メタノール6000g、25%アンモニア水4500g及び純水3000gを入れ、攪拌機で混合しながら30℃に加温した。ついでこの混合液を攪拌しながら、テトラエトキシシラン1400gを毎分5.9gの速度で連続的に添加した。添加後、ロータリーエバポレータによりメタノールおよびアンモニアを除去し、シリカシード粒子の水分散液を得た。このシリカシード粒子の走査型電子顕微鏡測定による平均粒径は、0.23μmであった。
【0047】
(2)目的とするシリカ粒子の製造
攪拌機を備えた100リットルの反応容器を恒温槽にセットし、メタノール15400g、25%アンモニア水20400g及び純水670gを入れ、さらに(1)で得られたシリカシード粒子の水分散液(平均粒径0.23μm、重量濃度29.0%)435gを添加し、シード粒子の分散液を得た。この分散液を30℃に加温し、攪拌しながらテトラエトキシシラン15370gを毎分50.8gの速度で連続的に添加して加水分解縮合反応を行い、シリカシード粒子を成長させた。
【0048】
反応液に純水5280gを添加し、反応液を30℃で保った状態で、テトラエトキシシラン15730gを毎分50.8gの速度で添加して2回目の加水分解縮合反応を行ない、シリカ粒子をさらに成長させた。
【0049】
さらに2回目の加水分解縮合反応を行なった反応液に純水5280gを添加し、反応液を30℃で保った状態で、テトラエトキシシラン15730gを毎分50.8gの速度で添加して3回目の加水分解縮合反応を行ない、シリカ粒子をさらに成長させた。
【0050】
3回の段階的な成長反応により生成したシリカ粒子は、その平均粒径が0.96μm(走査型電子顕微鏡測定)となり、極めて粒径分布の狭い球状粒子であった。
【0051】
水封式真空ポンプ、コンデンサー、加熱用ジャケットが付いた内容量50リットル、実容量27リットルの振動乾燥機(中央化工機(株)製VHS−30型)に解砕用のナイロンボール(25mmφ)を15kg入れ、上で得られたシリカ粒子の水分散液100リットルのうちの25リットルを上記乾燥機に入れ、乾燥機本体を105℃に加熱しながら、700mmHgの減圧条件で濃縮操作を開始した。振動乾燥機内の液量が15リットルまで濃縮された時点で更にシリカ粒子水分散液10リットルを乾燥機内に導入し濃縮操作を行なった。このような濃縮操作を繰り返すことにより、最初にシリカ粒子水分散液を導入してから4時間後に水分散液全量が25リットルまでに濃縮された。つぎに乾燥機中の濃縮液5リットルに純水20リットルを注入して、さらに濃縮操作を行ない、アルコール及びアンモニアを除去しつつ、未反応テトラエトキシシランの加水分解を完結させた。純水の注入が終了してから、振動乾燥機に520kfgの振動力による振動を加えながら更に1時間の濃縮操作を行なうことにより水分が除去され、粉体化したシリカ粒子が得られた。さらに引き続き105℃で3時間、シリカ粒子を乾燥させた。
【0052】
乾燥後のシリカ粒子をアルミナルツボに入れてマッフル炉内にセットし、酸素気流下、室温から500℃まで3時間かけて昇温し、この温度で9時間保持した後、室温まで3時間かけて降温して、焼成シリカ粒子を得た。
【0053】
(3)シリカ粒子の密度の測定
(i)見掛け密度
比重瓶(蓋付き重量W0)に溶媒(1−ブタノール)を8分目程度入れたのち蓋をし、蓋の穴から注射器にて同溶媒を注入し満杯にする。瓶に溶媒を入れた後、25℃の恒温槽で30分間保温する。30分後、比重瓶の外側についている水滴を拭き取り、電子天秤にて重量(A)を測定する。溶媒を捨てて洗浄し、試料(シリカ粒子)を比重瓶の2/3以上入れ(最低5g)、蓋をして比重瓶と試料の重量(W1)を測定する。
【0054】
試料の入った比重瓶に試料が舞わないように溶媒を2/3程度加え、超音波を30分程度照射し、その後試料が沈降するまで放置する。気泡の存在なく沈降が終了したときには、沈降粒子が浮いてこないよう静かに溶媒を追加し、気泡が入らないように蓋をする。この時、蓋の穴の先端まで溶媒が満たされていないときには、注射器等で満たす。その後、25℃の恒温槽に30分間保温し、重量(B)を測定する。
【0055】
見掛け密度(g/cm3)={W/[W−(B−A)]}×D
W=(W1−W0):乾燥試料の重量(g)
B:[乾燥試料+比重瓶+溶媒]の重量(g)
A:[比重瓶+溶媒]の重量(g)
D:25℃における1−ブタノールの密度(g/cm3)(0.8058)
【0056】
(ii)嵩密度
200mlメスシリンダーに約100mlのシリカ粒子を入れ、その重量を測定する。5cmの高さから机上にメスシリンダーを50回くり返し落下させて重力による沈降力を付与した後、メスシレンダー中のシリカ粒子の体積を測定する。測定されたシリカ粒子の重量および体積からシリカ粒子の嵩密度を算出した。
【0057】
(4)シリカ粒子の吸水率の測定
シリカ粒子をガラス製シャーレに入れ、150℃のオーブンでさらに乾燥した後、精秤してこの時の重量を吸湿前のシリカ重量(WA)とした。
【0058】
ついでこの容器を30℃、90%RHの恒温恒湿槽に入れ、48時間静置して、この時の重量を吸湿後のシリカ重量(WB)とした。このWA、WBから次式にしたがって吸湿率を計算した。
【0059】
吸湿率={(WB−WA)/WA}×100
【0060】
以上(1)から(4)までを5回繰り返して、得られたシリカ粒子の見掛け密度、嵩密度、吸水率の測定結果と、吸水率の平均値、標準偏差および変動率(標準偏差/平均値×100、%)を表1に示した。
【0061】
比較例1
実施例1の(2)のシリカ粒子の製造において濃縮に際して純水を添加しなかった以外は実施例1と同様に実施してシリカ粒子を得た。得られたシリカ粒子の見掛け密度、嵩密度、吸水率と、吸水率の平均値、標準偏差および変動率を表1に示した。
【0062】
【表1】
Figure 0003744569
【0063】
表1より下記のことが明らかとなった。
【0064】
(i)実施例1においては、5種の製造ロットともに見掛け密度、嵩密度ともに本発明のシリカ粒子における限定範囲内であり、見掛け密度、嵩密度ともに本発明の限定範囲内であると、吸水率は10%以上で吸湿性に優れている。
【0065】
一方、比較例1においては、5種の製造ロットともに見掛け密度、嵩密度のいずれか一方が本発明の限定範囲外であるため、吸水率は10%以下であり、吸湿性に劣る。
【0066】
(ii)実施例1においては、5種の製造ロット間における吸水率の変動率が少なく、目的とする吸湿性シリカ粒子を安定して製造できる。
【0067】
一方、比較例1においては、5種の製造ロット間の吸水率の変動が大きく、目的とする吸湿性シリカ粒子を安定に製造できない。
【0068】
実施例2
基本的に実施例1と同様の操作を繰り返して、見掛け密度および嵩密度がいずれも本発明の限定範囲内に含まれる13種のシリカ粒子を製造した。
【0069】
得られたシリカ粒子の見掛け密度、嵩密度および吸水率を表2に示した。
【0070】
【表2】
Figure 0003744569
【0071】
表2より、本発明における見掛け密度および嵩密度範囲を満足するシリカ粒子No.1〜13はいずれも吸水率が10%以上であり、吸湿性に優れていた。
【0072】
比較例2
基本的に比較例1の操作を繰り返して、見掛け密度、嵩密度の少なくとも一方が本発明の限定範囲に含まれない7種のシリカ粒子を製造した。
【0073】
得られたシリカ粒子の見掛け密度、嵩密度および吸水率を表3に示した。
【0074】
【表3】
Figure 0003744569
【0075】
表3より、見掛け密度および嵩密度の少なくとも一方が本発明の限定範囲を満足しないシリカ粒子は吸水率が低く、吸湿性に劣ることが明らかである。
【0076】
実施例3
本発明で得られた吸湿性シリカ粒子をエポキシ樹脂組成物に添加したときの吸水性能を以下のとおり評価した。
【0077】
エポキシ樹脂組成物として、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂(スリーボンド社製、2023)40重量部と変性芳香族アミン系硬化剤(スリーボンド社製、2102)10重量部との混合物を用いた。
【0078】
吸湿性シリカ粒子として、吸水率が10.0%である、表1、実施例1の製造ロット(B)のシリカ粒子、吸水率が12.0%である、表2のNo.7のシリカ粒子を用いた。これらのシリカ粒子は本発明のシリカ粒子に相当する。
【0079】
一方、比較のシリカ粒子として、吸水率が7%である、表1、比較例1の製造ロット(e)のシリカ粒子を用いた。
【0080】
これらのシリカ粒子20重量部を上記エポキシ樹脂組成物に加え、乳鉢で30分間混合したのち、減圧下で脱泡し、80×80×4mm(幅×長さ×厚さ)の型に注入し、80℃で20時間加熱して硬化体を得た。
【0081】
得られたエポキシ樹脂硬化体を6等分に切り出し、得られた硬化体試験片(26×40×4mm)の6枚を大気圧下の沸騰水中に5時間浸漬させた。浸漬前後の重量変化により、吸水による重量増加率(6枚の試験片の平均値)を求めた。
【0082】
C=[(W3−W2)/W2]×100
C :吸水による重量増加率(重量%)
2:沸騰水中に浸漬する前の試験体重量
3:沸騰水中に浸漬する後の試験体重量
【0083】
試験片の吸水による重量増加率を表4に示す。
【0084】
【表4】
Figure 0003744569
【0085】
表4より、吸水率が12%および10%である本発明のシリカ粒子を添加したエポキシ樹脂硬化体は、吸水による重量増加率が1.87%および1.82%であり、エポキシ樹脂の吸水率を上げることができ、この性能によりIC封止剤としての止水効果(湿気の侵入防止)が達成される。
【0086】
これに対して吸水率が7%である比較シリカ粒子を添加したエポキシ樹脂硬化体は吸水による重量増加率が1.75%であり、この値はシリカを添加しないエポキシ樹脂硬化体の吸水による重量増加率1.77%とほぼ一致し、エポキシ樹脂の吸水率の向上に全く寄与していないことが明らかである。
【0087】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば吸湿性に優れたシリカ粒子およびこれを安定に製造し得る方法が提供された。
【0088】
本発明のシリカ粒子は、安定した吸湿性能の高強度シリカ粒子であるため、低吸水性の各種樹脂に任意の量で添加させることができ、調湿性、帯電防止性を強度低下を伴わずに付与できるが、特に半導体装置用の封止剤、接合剤およびパッケージ素材などとして用いられるエポキシ樹脂組成物の耐湿性を改善するために好ましく用いられる。

Claims (5)

  1. 見掛け密度が1.70〜1.80g/cm3、嵩密度が0.70〜0.80g/cm3であり、吸水率が10%以上であることを特徴とする吸湿性シリカ粒子。
  2. 平均粒径が0.1〜3μmである、請求項1に記載の吸湿性シリカ粒子。
  3. アルカリ水溶液にアルコキシシランを添加して加水分解、縮合させてシリカ粒子の水分散液を得る工程(I)と、
    工程(I)で得られたシリカ粒子の水分散液を濃縮する工程(II)と、
    工程(II)の過程で濃縮系に水を添加して未反応アルコキシシランの加水分解を行なう工程(III)と、
    工程(II)および(III)の後に得られた濃縮物を乾燥、焼成して目的とする吸湿性シリカ粒子を得る工程(IV)と、
    を含むことを特徴とする吸湿性シリカ粒子の製造方法。
  4. 工程(I)で用いるアルカリ水溶液に予めシード粒子が分散されている、請求項3に記載の吸湿性シリカ粒子の製造方法。
  5. 工程(II)における濃縮を機械的な混合力を付与しながら行なう、請求項3に記載の吸湿性シリカ粒子の製造方法。
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