JP5307305B1 - 銅合金材料およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Crを0.1〜0.8mass%、並びに添加元素群1(Mg、Ti及びZrからなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.01〜0.5mass%)及び添加元素群2(Zn、Fe、Sn、Ag、Si及びPからなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.005〜0.5mass%)からなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.01〜0.5mass%含有し、残部が銅と不可避不純物からなり、電子後方散乱回折測定における圧延面の結晶方位解析において、Cube方位{001}<100>からずれが15°以内である方位を有する結晶粒の面積率が3%以上であり、かつ結晶粒界における対応粒界Σ3の割合が20%以上である、曲げ加工性、耐力、導電性、耐応力緩和特性に優れ、EV、HEVを中心とした車載部品および周辺インフラや太陽光発電システムなどのリードフレーム、コネクタ、端子材等に好適である銅合金材料を提供する。
Description
本発明は銅合金材料およびその製造方法に関し、詳しくはEV(Electric Vehicle)、HEV(Hybrid Electic Vehicle)を中心とした車載部品および周辺インフラや太陽光発電システムなどのリードフレーム、コネクタ、端子材、リレー、スイッチ、ソケットなどに適用される銅合金材料およびその製造方法に関する。
EV、HEVを中心とした車載部品および周辺インフラや太陽光発電システムなどのリードフレーム、コネクタ、端子材、リレー、スイッチ、ソケットなどの用途に使用される銅合金材料に要求される特性項目としては、例えば、導電率、引張強度、曲げ加工性、耐応力緩和特性などがある。近年、システムが高電圧化し、使用環境が高温化しており、これらの要求特性のレベルが高まっている。
上記の変化に伴い、銅合金材料には下記のような問題が生じている。
第一に、端子が使用される環境が高温化、高電圧化しており耐熱要求が強まっている。特に高温下において端子バネ部に接圧がかかっている際、その応力が経時劣化することがバネ信頼性に対し問題となっている。また、上記に挙げた用途では、その環境温度が年々上がっている。更に、周囲環境のみでなく、自発熱も、高温化、電流ロスとなることから問題となる。
第二に、端子には強いバネ性及び一定の強度が要求されるが、一方で接点部分やバネ部分に施される曲げに対する加工性(曲げ加工性)が劣ると設計上不自由であり、必要とされるコネクタ設計が不可能になってしまう。また、肉厚化によって曲げ加工性が劣化することは一般的に良く知られているが、板厚の肉厚化は大電流用途では避けられず、従来のコネクタ製品と同等の曲げでもクラックが発生する問題が生じている。
第一に、端子が使用される環境が高温化、高電圧化しており耐熱要求が強まっている。特に高温下において端子バネ部に接圧がかかっている際、その応力が経時劣化することがバネ信頼性に対し問題となっている。また、上記に挙げた用途では、その環境温度が年々上がっている。更に、周囲環境のみでなく、自発熱も、高温化、電流ロスとなることから問題となる。
第二に、端子には強いバネ性及び一定の強度が要求されるが、一方で接点部分やバネ部分に施される曲げに対する加工性(曲げ加工性)が劣ると設計上不自由であり、必要とされるコネクタ設計が不可能になってしまう。また、肉厚化によって曲げ加工性が劣化することは一般的に良く知られているが、板厚の肉厚化は大電流用途では避けられず、従来のコネクタ製品と同等の曲げでもクラックが発生する問題が生じている。
銅(Cu)は純金属のままではバネ強度が必要特性に満たされるレベルには達しない。そこで、例えばMgやSnを添加し固溶強化したり、CrやZrを添加し析出強化したりすることでバネ材として利用できる。なお、大電流用途としては導電率が高く、かつ耐熱性に優れていることが必要である。
このような背景において、Cu−Cr系合金は中程度の強度と高導電を有していることで知られている。特許文献1ではCu−Cr系合金にMgを添加することでスタンピング(プレス打ち抜き)加工性が改善されることが、特許文献2ではCu−Cr系合金にZrを添加することで曲げ加工性が改善されることが、特許文献3ではCu−Cr系合金にTiを添加することで耐応力緩和特性が改善されることが見出されている。特許文献1〜3に示すように、既知の高導電性銅合金の添加成分、組成についての例が知られている。
また、特許文献4ではCu−Cr−Zr系合金において、結晶粒界における対応粒界Σ3の割合が10%以上であることで曲げ加工性が優れることが見出されている。また、特許文献5ではCu−Cr−Zr系合金において、Brass方位の方位分布密度を20以下、かつ、Brass方位とS方位とCopper方位との方位分布密度の合計を10以上50以下に制御することによる曲げ加工性改善がなされている。
さらに、特許文献6〜8に示すように、Cu−Mg系合金が知られている。特許文献6ではCu−Mg−P系合金の表面結晶粒径を調整することでスタンピング時の金型磨耗を減少させることが、特許文献7ではCu−Mg−P系合金に析出し分散されるMg−P系化合物の粒子径を調整することで耐マイグレーション性が改善されることが、特許文献8ではCu−Mg−P系合金中の粒子径0.1μm以上の粗大な金属間化号物の析出を抑制することで高導電率であって曲げ加工性が改善されることが見出されている。
また、特許文献4ではCu−Cr−Zr系合金において、結晶粒界における対応粒界Σ3の割合が10%以上であることで曲げ加工性が優れることが見出されている。また、特許文献5ではCu−Cr−Zr系合金において、Brass方位の方位分布密度を20以下、かつ、Brass方位とS方位とCopper方位との方位分布密度の合計を10以上50以下に制御することによる曲げ加工性改善がなされている。
さらに、特許文献6〜8に示すように、Cu−Mg系合金が知られている。特許文献6ではCu−Mg−P系合金の表面結晶粒径を調整することでスタンピング時の金型磨耗を減少させることが、特許文献7ではCu−Mg−P系合金に析出し分散されるMg−P系化合物の粒子径を調整することで耐マイグレーション性が改善されることが、特許文献8ではCu−Mg−P系合金中の粒子径0.1μm以上の粗大な金属間化号物の析出を抑制することで高導電率であって曲げ加工性が改善されることが見出されている。
ところで、特許文献1、2、3に記載された発明は、Cu−Cr系合金成分の規定と、結晶粒径の規定はされているが、工程条件から組織制御(集合組織制御や粒界状態制御)による母相自身の特性改善には至っていない。
また、特許文献6、7、8に記載された発明は、Cu−Mg系合金成分の規定と、結晶粒径や析出物の粒子径の規定はされているが、工程条件から組織制御(集合組織制御や粒界状態制御)による母相自身の特性改善には至っていない。
また、特許文献4ではCu−Cr−Zr系合金において、特定の高加工度で最終冷間圧延を行うことにより動的再結晶を生じさせることによって、対応粒界Σ3の割合を10%以上とし、文献5ではCu−Cr−Zr系銅合金において、特定の加工度での冷間圧延と低温での熱処理を行うことにより、Brass方位の方位分布密度を20以下、かつ、Brass方位とS方位とCopper方位との方位分布密度の合計が10以上50以下となるように制御して、それぞれ曲げ加工性が改善されているが、ともに耐応力緩和特性の改善には至っていない。
このように、今後必要とされる、導電率、引張強度、曲げ加工性、耐応力緩和特性のそれぞれが高いレベルで、かつ、バランス良く優れるという特性は、これまでの合金組成と従来製法での達成は困難である。
また、特許文献6、7、8に記載された発明は、Cu−Mg系合金成分の規定と、結晶粒径や析出物の粒子径の規定はされているが、工程条件から組織制御(集合組織制御や粒界状態制御)による母相自身の特性改善には至っていない。
また、特許文献4ではCu−Cr−Zr系合金において、特定の高加工度で最終冷間圧延を行うことにより動的再結晶を生じさせることによって、対応粒界Σ3の割合を10%以上とし、文献5ではCu−Cr−Zr系銅合金において、特定の加工度での冷間圧延と低温での熱処理を行うことにより、Brass方位の方位分布密度を20以下、かつ、Brass方位とS方位とCopper方位との方位分布密度の合計が10以上50以下となるように制御して、それぞれ曲げ加工性が改善されているが、ともに耐応力緩和特性の改善には至っていない。
このように、今後必要とされる、導電率、引張強度、曲げ加工性、耐応力緩和特性のそれぞれが高いレベルで、かつ、バランス良く優れるという特性は、これまでの合金組成と従来製法での達成は困難である。
上記のような問題点に鑑み、本発明の課題は、強度、導電性に優れ、その中でも特に耐応力緩和特性、曲げ加工性が良好でこれらの両バランスが優れている銅合金材料およびその製造方法を提供することにある。この銅合金材料は、EV、HEVを中心とした車載部品および周辺インフラや太陽光発電システムなどのリードフレーム、コネクタ、端子材等、自動車車載用などのコネクタや端子材、リレー、スイッチ、ソケットなどに適する。
本発明者らは、鋭意検討を重ね、電気・電子部品用途に適した銅合金について研究を行った結果、Cu−Cr系又はCu−Mg系の所定の合金組成を有する銅合金材料が有する組織において、圧延板の表面方向(ND)にCube方位{100}<001>が3%以上集積していること、結晶粒界における対応粒界Σ3の割合が20%以上存在することで、強度、導電性に加え、曲げ加工性、耐応力緩和特性を同時に向上させ得ることを見出した。本発明は、これらの知見に基づきなされるに至ったものである。
すなわち、本発明によれば、以下の手段が提供される。
(1)Crを0.1〜0.8mass%、並びに下記添加元素群1及び下記添加元素群2からなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.01〜0.5mass%含有し、残部が銅と不可避不純物からなり、電子後方散乱回折測定における圧延面の結晶方位解析において、Cube方位{0 0 1}<1 0 0>からのずれが15°以内である方位を有する結晶粒の面積率が3%以上であり、かつ結晶粒界における対応粒界Σ3の割合が20%以上である銅合金材料。
添加元素群1:Mg、Ti及びZrからなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.01〜0.5mass%
添加元素群2:Zn、Fe、Sn、Ag、Si及びPからなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.005〜0.5mass%
(2)前記添加元素群1から選ばれる少なくとも一種及び前記添加元素群2から選ばれる少なくとも一種を合計で0.01〜0.5mass%含有する(1)項に記載の銅合金材料。
(3)引張強さが400MPa以上、導電率が75%IACS以上である(1)又は(2)項に記載の銅合金材料。
(4)(1)項に記載の組成を与える銅合金素材を、鋳造[工程1−1]した鋳塊に、600〜1025℃で10分〜10時間の均質化熱処理[工程1−2]、加工温度が500〜1020℃で加工率30〜98%の熱間圧延[工程1−3]、加工率50〜99%の冷間圧延[工程1−4]、300〜1000℃で5秒〜180分の中間熱処理[工程1−5]、加工率50〜95%の冷間圧延[工程1−6]、400〜650℃で30〜180分の時効処理[工程1−9]、及び550〜700℃で5秒〜10分の歪取焼鈍[工程1−11]を、この順に行うことを特徴とする(1)〜(3)項のいずれか1項に記載の銅合金材料の製造方法。
(5)Mgを0.01〜0.5mass%含有し、残部が銅と不可避不純物からなり、電子後方散乱回折測定における圧延面の結晶方位解析において、Cube方位{0 0 1}<1 0 0>からのずれが15°以内である方位を有する結晶粒の面積率が3%以上であり、かつ結晶粒界における対応粒界Σ3の割合が20%以上である銅合金材料。
(6)Mgを0.01〜0.5mass%含有し、並びにZn、Sn、Ag、Si及びPからなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.01〜0.3mass%含有し、残部が銅と不可避不純物からなり、電子後方散乱回折測定における圧延面の結晶方位解析において、Cube方位{0 0 1}<1 0 0>からのずれが15°以内である方位を有する結晶粒の面積率が3%以上であり、かつ結晶粒界における対応粒界Σ3の割合が20%以上である銅合金材料。
(7)引張強さが250MPa以上、導電率が75%IACS以上である(5)又は(6)項に記載の銅合金材料。
(8)(5)又は(6)項に記載の組成を与える銅合金素材を、鋳造[工程2−1]した鋳塊に、600〜1025℃で10分〜10時間の均質化熱処理[工程2−2]、加工温度が500〜1020℃で加工率30〜98%の熱間圧延[工程2−3]、加工率50〜99%の冷間圧延[工程2−4]、300〜800℃で5秒〜180分の中間熱処理[工程2−5]、加工率50〜95%の冷間圧延[工程2−6]、300〜800℃で5秒〜180分の熱処理[工程2−7]、加工率10〜80%の冷間加工[工程2−8]、及び300〜600℃で5〜60秒の歪取焼鈍[工程2−9]を、この順に行うことを特徴とする(5)〜(7)項のいずれか1項に記載の銅合金材料の製造方法。
ここで、前記(1)〜(3)項に記載のCu−Cr系合金材料と前記(4)項に記載のその製造方法とを併せて本発明の第一の実施態様という。
また、前記(5)〜(7)項に記載のCu−Mg系合金材料と前記(8)項に記載のその製造方法とを併せて本発明の第二の実施態様という。
本発明とは、特に断らない限り、前記第一の実施態様と第二の実施態様の両方を包含する意味である。
(1)Crを0.1〜0.8mass%、並びに下記添加元素群1及び下記添加元素群2からなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.01〜0.5mass%含有し、残部が銅と不可避不純物からなり、電子後方散乱回折測定における圧延面の結晶方位解析において、Cube方位{0 0 1}<1 0 0>からのずれが15°以内である方位を有する結晶粒の面積率が3%以上であり、かつ結晶粒界における対応粒界Σ3の割合が20%以上である銅合金材料。
添加元素群1:Mg、Ti及びZrからなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.01〜0.5mass%
添加元素群2:Zn、Fe、Sn、Ag、Si及びPからなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.005〜0.5mass%
(2)前記添加元素群1から選ばれる少なくとも一種及び前記添加元素群2から選ばれる少なくとも一種を合計で0.01〜0.5mass%含有する(1)項に記載の銅合金材料。
(3)引張強さが400MPa以上、導電率が75%IACS以上である(1)又は(2)項に記載の銅合金材料。
(4)(1)項に記載の組成を与える銅合金素材を、鋳造[工程1−1]した鋳塊に、600〜1025℃で10分〜10時間の均質化熱処理[工程1−2]、加工温度が500〜1020℃で加工率30〜98%の熱間圧延[工程1−3]、加工率50〜99%の冷間圧延[工程1−4]、300〜1000℃で5秒〜180分の中間熱処理[工程1−5]、加工率50〜95%の冷間圧延[工程1−6]、400〜650℃で30〜180分の時効処理[工程1−9]、及び550〜700℃で5秒〜10分の歪取焼鈍[工程1−11]を、この順に行うことを特徴とする(1)〜(3)項のいずれか1項に記載の銅合金材料の製造方法。
(5)Mgを0.01〜0.5mass%含有し、残部が銅と不可避不純物からなり、電子後方散乱回折測定における圧延面の結晶方位解析において、Cube方位{0 0 1}<1 0 0>からのずれが15°以内である方位を有する結晶粒の面積率が3%以上であり、かつ結晶粒界における対応粒界Σ3の割合が20%以上である銅合金材料。
(6)Mgを0.01〜0.5mass%含有し、並びにZn、Sn、Ag、Si及びPからなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.01〜0.3mass%含有し、残部が銅と不可避不純物からなり、電子後方散乱回折測定における圧延面の結晶方位解析において、Cube方位{0 0 1}<1 0 0>からのずれが15°以内である方位を有する結晶粒の面積率が3%以上であり、かつ結晶粒界における対応粒界Σ3の割合が20%以上である銅合金材料。
(7)引張強さが250MPa以上、導電率が75%IACS以上である(5)又は(6)項に記載の銅合金材料。
(8)(5)又は(6)項に記載の組成を与える銅合金素材を、鋳造[工程2−1]した鋳塊に、600〜1025℃で10分〜10時間の均質化熱処理[工程2−2]、加工温度が500〜1020℃で加工率30〜98%の熱間圧延[工程2−3]、加工率50〜99%の冷間圧延[工程2−4]、300〜800℃で5秒〜180分の中間熱処理[工程2−5]、加工率50〜95%の冷間圧延[工程2−6]、300〜800℃で5秒〜180分の熱処理[工程2−7]、加工率10〜80%の冷間加工[工程2−8]、及び300〜600℃で5〜60秒の歪取焼鈍[工程2−9]を、この順に行うことを特徴とする(5)〜(7)項のいずれか1項に記載の銅合金材料の製造方法。
ここで、前記(1)〜(3)項に記載のCu−Cr系合金材料と前記(4)項に記載のその製造方法とを併せて本発明の第一の実施態様という。
また、前記(5)〜(7)項に記載のCu−Mg系合金材料と前記(8)項に記載のその製造方法とを併せて本発明の第二の実施態様という。
本発明とは、特に断らない限り、前記第一の実施態様と第二の実施態様の両方を包含する意味である。
本発明のCu−Cr系を中心とした銅合金材料は、耐応力緩和特性、曲げ加工性に優れ、優れた強度と導電性を有し、EV、HEVを中心とした車載部品および周辺インフラや太陽光発電システムなどのリードフレーム、コネクタ、端子材、リレー、スイッチ、ソケット等に好適である。
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、適宜添付の図面を参照して、下記の記載からより明らかになるであろう。
本発明の銅合金材料の好ましい実施の態様について、詳細に説明する。ここで、「銅合金材料」とは、(加工前であって所定の合金組成を有する)銅合金素材が所定の形状(例えば、板、条など)に加工されたものを意味する。実施形態として板材、条材について以下に説明する。
なお、本発明の銅合金材料は、その特性を圧延板の所定の方向における集合組織の集積率、結晶粒界における特定の対応粒界で規定するものであるが、これは銅合金材料としてそのような特性を有していればよいのであって、銅合金材料の形状は板材に限定されるものではなく、条材であってもよい。
次に各合金組成とその添加元素成分について説明する。
なお、本発明の銅合金材料は、その特性を圧延板の所定の方向における集合組織の集積率、結晶粒界における特定の対応粒界で規定するものであるが、これは銅合金材料としてそのような特性を有していればよいのであって、銅合金材料の形状は板材に限定されるものではなく、条材であってもよい。
次に各合金組成とその添加元素成分について説明する。
本発明の第一の実施態様において、銅合金材料には、例えば、EV、HEVを中心とした車載部品および周辺インフラや太陽光発電システムなどのコネクタに要求される導電性、機械的強度、曲げ加工性および耐応力緩和特性を有するものとして、Cu−Cr系合金を用いる。本発明の第一の実施態様においては、組織に関して曲げ加工性を改善するCube方位の面積率、耐応力緩和特性を改善する対応粒界Σ3の全粒界長に対する長さ割合をともに所望の占有率にするため、Cuに対する添加量としてCrを0.1〜0.8mass%含有し、並びに下記添加元素群1及び下記添加元素群2からなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.01〜0.5mass%含有する。
添加元素群1:Mg、Ti、及びZrからなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.01〜0.5mass%
添加元素群2:Zn、Fe、Sn、Ag、Si及びPからなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.005〜0.5mass%
添加元素群1:Mg、Ti、及びZrからなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.01〜0.5mass%
添加元素群2:Zn、Fe、Sn、Ag、Si及びPからなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.005〜0.5mass%
好ましくは、前記添加元素群1から選ばれる少なくとも一種及び前記添加元素群2から選ばれる少なくとも一種を合計で0.01〜0.5mass%含有する。さらに好ましくは、Crを0.15〜0.5mass%含有し、前記添加元素群1から選ばれる少なくとも一種及び前記添加元素群2から選ばれる少なくとも一種を合計で0.1〜0.5mass%含有する。これはこの範囲内の添加量に規定することで、母相が純銅組織に近い状態であることからCube方位の発達を促すことと、一部固溶による積層欠陥エネルギーが低下した状態とすることとを両立することができるからである。析出型のCu−Cr系合金は、上記に加え、最終的に組織を決定する熱処理に付す前の析出物が結晶粒の部分粗大化を抑制し、Cube方位の安定的な発達を促している。
本発明の第二の実施態様において、銅合金材料には、例えば、EV、HEVを中心とした車載部品および周辺インフラや太陽光発電システムなどのコネクタに要求される導電性、機械的強度、曲げ加工性および耐応力緩和特性を有するものとして、Cu−Mg系合金を用いる。本発明の第二の実施態様においては、組織に関して曲げ加工性を改善するCube方位の面積率、耐応力緩和特性を改善する対応粒界Σ3の全粒界長に対する長さ割合をともに所望の占有率にするため、Cuに対する添加量としてMgを0.01〜0.5mass%含有する。本発明の第二の実施態様においては、前記Mgに加えて、副添加元素としてZn、Fe、Sn、Ag、Si及びPからなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.01〜0.3mass%含有してもよく、好ましくは前記副添加元素を合計量で0.05〜0.3mass%含有してもよい。これはこの範囲内の添加量に規定することで、母相が純銅組織に近い状態であることからCube方位の発達を促すことと、固溶による積層欠陥エネルギーが低下した状態とすることとを両立することができるからである。
以下、本発明の第一の実施態様における、析出型のCu−Cr系の銅基合金の添加元素について説明する。
(Cr)
本発明の第一の実施態様は、強度と導電性を確保するため、Cu−Cr系合金を対象とする。Crの添加量は0.1〜0.8mass%であり、好ましくは0.15〜0.5mass%である。Crの添加量をこの範囲内とすることで、Cr単体及び/又はCrと他の元素との化合物からなる析出物を銅母相へ析出させて、析出強度を出しながら母相を純銅により近い状態とし、板厚方向(ND)におけるCube方位{0 0 1}<1 0 0>の核生成および成長を促す。一方、Cr添加量が多すぎると、これらの析出物が析出し過ぎてしまい、後の熱処理にて十分に固溶が進行せず、時効処理後の強度が落ちる傾向がある。また、積層欠陥エネルギー(Stacking Fault Energy、以下SFEともいう)が増加し、前記熱処理時に対応粒界Σ3の増加が抑制されてしまい、十分な耐応力緩和特性が得られない傾向がある。逆に、Cr添加量が少なすぎると、これらの添加効果が得られない。
(Cr)
本発明の第一の実施態様は、強度と導電性を確保するため、Cu−Cr系合金を対象とする。Crの添加量は0.1〜0.8mass%であり、好ましくは0.15〜0.5mass%である。Crの添加量をこの範囲内とすることで、Cr単体及び/又はCrと他の元素との化合物からなる析出物を銅母相へ析出させて、析出強度を出しながら母相を純銅により近い状態とし、板厚方向(ND)におけるCube方位{0 0 1}<1 0 0>の核生成および成長を促す。一方、Cr添加量が多すぎると、これらの析出物が析出し過ぎてしまい、後の熱処理にて十分に固溶が進行せず、時効処理後の強度が落ちる傾向がある。また、積層欠陥エネルギー(Stacking Fault Energy、以下SFEともいう)が増加し、前記熱処理時に対応粒界Σ3の増加が抑制されてしまい、十分な耐応力緩和特性が得られない傾向がある。逆に、Cr添加量が少なすぎると、これらの添加効果が得られない。
なお、ここで「化合物」とは、2種類以上の元素からなっている物質をいい、例えばCr等とその他の元素(Cuを含む)1種以上からなる物質である。本書において析出物とは、これらの化合物がCu母相の粒内あるいは粒界に存在している析出物もしくは晶出物を包含する意味である。ここで、Cr系析出物の例としては、Cr単体の他、例えばSi添加時はCr3Si、CrSiなどのCr系化合物が挙げられる。これら化合物は、添加元素によって異なるものである。
(合金成分Mg、Ti、Zr、Zn、Fe、Sn、Ag、Si、P)
本発明の第一の実施態様では、主添加元素である前記Crの他に、副添加元素として下記添加元素群1及び下記添加元素群2からなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.01〜0.5mass%含有する。副添加元素は、その作用の観点から2つの群に分けている。
添加元素群1:Mg、Ti及びZrからなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.01〜0.5mass%
添加元素群2:Zn、Fe、Sn、Ag、Si及びPからなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.005〜0.5mass%
前記添加元素群1から選ばれる少なくとも一種及び前記添加元素群2から選ばれる少なくとも一種を合計で0.01〜0.5mass%含有することが好ましい。
本発明の第一の実施態様では、主添加元素である前記Crの他に、副添加元素として下記添加元素群1及び下記添加元素群2からなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.01〜0.5mass%含有する。副添加元素は、その作用の観点から2つの群に分けている。
添加元素群1:Mg、Ti及びZrからなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.01〜0.5mass%
添加元素群2:Zn、Fe、Sn、Ag、Si及びPからなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.005〜0.5mass%
前記添加元素群1から選ばれる少なくとも一種及び前記添加元素群2から選ばれる少なくとも一種を合計で0.01〜0.5mass%含有することが好ましい。
これらの副添加元素それぞれの添加量の好ましい範囲は次の通りである。Mgの添加量は、好ましくは0.01mass%〜0.5mass%、さらに好ましくは0.05mass%〜0.3mass%である。Tiの添加量は、好ましくは0.01mass%〜0.2mass%、さらに好ましくは0.02mass%〜0.1mass%である。Zrの添加量は、好ましくは0.01mass%〜0.2mass%、さらに好ましくは0.01mass%〜0.1mass%である。Znの添加量は、好ましくは0.05mass%〜0.3mass%、さらに好ましくは0.1mass%〜0.2mass%である。Feの添加量は、好ましくは0.05mass%〜0.2mass%、さらに好ましくは0.1mass%〜0.15mass%である。Snの添加量は、好ましくは0.05mass%〜0.3mass%、さらに好ましくは0.1mass%〜0.2mass%である。Agの添加量は、好ましくは0.05mass%〜0.2mass%、さらに好ましくは0.05mass%〜0.1mass%である。Siの添加量は、好ましくは0.01mass%〜0.1mass%、さらに好ましくは0.02mass%〜0.05mass%である。Pの添加量は、好ましくは0.005mass%〜0.1mass%、さらに好ましくは0.005mass%〜0.05mass%である。各元素の添加量がこれより少なすぎると添加効果は得られない。
これらの副添加元素は、それぞれ次の役割を果たす。
Mgは、固溶し耐応力緩和特性を改善する。Mgの添加量が多すぎると、Mg系の化合物を形成し、溶解、鋳造、熱間圧延に対し悪影響を与え、製造性を著しく悪化させる。さらに、導電性低下を起こすほかに、固溶量の増加によりNDにおけるCube方位{0 0 1}<1 0 0>の核生成および成長が抑制され、曲げ加工性が不十分になる。
Mgは、固溶し耐応力緩和特性を改善する。Mgの添加量が多すぎると、Mg系の化合物を形成し、溶解、鋳造、熱間圧延に対し悪影響を与え、製造性を著しく悪化させる。さらに、導電性低下を起こすほかに、固溶量の増加によりNDにおけるCube方位{0 0 1}<1 0 0>の核生成および成長が抑制され、曲げ加工性が不十分になる。
Ti、Zrは、固溶、析出、晶出により耐応力緩和特性及び強度を改善する。Ti、Zrの添加量が多すぎると、Ti系やZr系の化合物を形成し、溶解、鋳造、熱間圧延に対し悪影響を与え、製造性を著しく悪化させる。さらに、TiとZrの添加量が多すぎて固溶状態でも存在する場合は、導電性低下を起こすほかに、固溶量の増加によりNDにおけるCube方位{0 0 1}<1 0 0>の核生成および成長が抑制され、曲げ加工性が不十分になる。
Znは、前記所定の添加量の範囲内ではめっき、半田の耐剥離特性が向上し、わずかであるが強度向上に寄与する。Znの添加量が多すぎると、固溶により導電性低下を起こすほかに、固溶量の増加によりNDにおけるCube方位{0 0 1}<1 0 0>の核生成および成長が抑制され、曲げ加工性が不十分になる。
Feは、前記所定の添加量の範囲内では、化合物や単体で母相に微細に析出する。単体としては、析出して析出硬化に寄与する。また、Fe系化合物としても析出する。いずれの場合にも、結晶粒の成長を抑制することによって結晶粒を微細にする効果があり、Cube方位{001}<100>の結晶粒の分散状態を良化することによって、曲げ加工性を良好に向上させる。
Snは、固溶強化、更に圧延時に加工硬化を促進する。また、Mgと同時に添加することで、各々を単独で添加するよりも更に耐応力緩和特性を良好化させることができる。Snの添加量が多すぎると、固溶により導電性低下を起こすほかに、固溶量の増加によりNDにおけるCube方位{0 0 1}<1 0 0>の核生成および成長が抑制され、曲げ加工性が不十分になる。
Feは、前記所定の添加量の範囲内では、化合物や単体で母相に微細に析出する。単体としては、析出して析出硬化に寄与する。また、Fe系化合物としても析出する。いずれの場合にも、結晶粒の成長を抑制することによって結晶粒を微細にする効果があり、Cube方位{001}<100>の結晶粒の分散状態を良化することによって、曲げ加工性を良好に向上させる。
Snは、固溶強化、更に圧延時に加工硬化を促進する。また、Mgと同時に添加することで、各々を単独で添加するよりも更に耐応力緩和特性を良好化させることができる。Snの添加量が多すぎると、固溶により導電性低下を起こすほかに、固溶量の増加によりNDにおけるCube方位{0 0 1}<1 0 0>の核生成および成長が抑制され、曲げ加工性が不十分になる。
Agは、単独でも耐応力緩和特性を改善する効果があり、またMg、Zr、Tiと同時添加すると、各々を単独で添加するよりも更に耐応力緩和特性を良好化させることができる。Agの添加量が多すぎると効果が飽和し、特にコストへの影響が大きいため好ましくない。
Siは、単独でも耐応力緩和特性を改善する効果があり、またMg、Zr、Tiと同時添加すると、各々を単独で添加するよりも更に耐応力緩和特性を良好化させることができる。また、プレス性を改善させる効果がある。Siの添加量が多すぎると、固溶により導電性低下を起こすほかに、固溶量の増加によりNDにおけるCube方位{0 0 1}<1 0 0>の核生成および成長が抑制され、曲げ加工性が不十分になる。
Pは、溶解鋳造時の湯流れを良好にしたり、また単独、もしくは化合物の状態で耐応力緩和特性を良好化させることができる。Pの添加量が多すぎると、固溶により導電性低下を起こすほかに、固溶量の増加によりNDにおけるCube方位{0 0 1}<1 0 0>の核生成および成長が抑制され、曲げ加工性が不十分になる。
Siは、単独でも耐応力緩和特性を改善する効果があり、またMg、Zr、Tiと同時添加すると、各々を単独で添加するよりも更に耐応力緩和特性を良好化させることができる。また、プレス性を改善させる効果がある。Siの添加量が多すぎると、固溶により導電性低下を起こすほかに、固溶量の増加によりNDにおけるCube方位{0 0 1}<1 0 0>の核生成および成長が抑制され、曲げ加工性が不十分になる。
Pは、溶解鋳造時の湯流れを良好にしたり、また単独、もしくは化合物の状態で耐応力緩和特性を良好化させることができる。Pの添加量が多すぎると、固溶により導電性低下を起こすほかに、固溶量の増加によりNDにおけるCube方位{0 0 1}<1 0 0>の核生成および成長が抑制され、曲げ加工性が不十分になる。
以下、本発明の第二の実施態様における、固溶型のCu−Mg系の銅基合金の添加元素について説明する。
本発明の第二の実施態様は、必須添加元素としてMgを0.01〜0.5mass%含有する。該Mgに加えて、さらに任意添加元素として、Zn、Sn、Ag、Si及びPからなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.01〜0.3mass%含有してもよい。
本発明の第二の実施態様は、必須添加元素としてMgを0.01〜0.5mass%含有する。該Mgに加えて、さらに任意添加元素として、Zn、Sn、Ag、Si及びPからなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.01〜0.3mass%含有してもよい。
これらの主添加元素及び副添加元素それぞれの添加量の好ましい範囲は次の通りである。Mgの添加量は、好ましくは0.01〜0.3mass%、さらに好ましくは0.05mass%〜0.25mass%である。Znの添加量は、好ましくは0.05〜0.3mass%、さらに好ましくは0.1mass%〜0.2mass%である。Snの添加量は、好ましくは0.05〜0.2mass%、さらに好ましくは0.1mass%〜0.15mass%である。Agの添加量は、好ましくは0.01〜0.15mass%、さらに好ましくは0.05mass%〜0.1mass%である。Siの添加量は、好ましくは0.01〜0.05mass%、さらに好ましくは0.02mass%〜0.03mass%である。Pの添加量は、好ましくは0.001〜0.1mass%、さらに好ましくは0.005mass%〜0.05mass%である。
(合金成分Mg、Zn、Sn、Ag、Si、P)
各添加元素は、それぞれ上述の作用を奏する。
各添加元素は、それぞれ上述の作用を奏する。
なお、本発明において、残部に含まれる不可避不純物は通常のものであり、例えばO、F、S、Cが挙げられる。不可避不純物の含有量はそれぞれ0.001mass%以下であることが好ましい。
(集合組織)
本発明における圧延面の結晶方位の解析には、EBSD法を用いた。EBSDとは、Electron BackScatter Diffraction(電子後方散乱回折)の略で、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)内で試料に電子線を照射したときに生じる反射電子菊池線回折(菊池パターン)を利用した結晶方位解析技術のことである。本発明においては、結晶粒を200個以上含む、500μm四方の試料面積に対し、0.5μmのステップでスキャンし、方位を解析した。
本発明における圧延面の結晶方位の解析には、EBSD法を用いた。EBSDとは、Electron BackScatter Diffraction(電子後方散乱回折)の略で、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)内で試料に電子線を照射したときに生じる反射電子菊池線回折(菊池パターン)を利用した結晶方位解析技術のことである。本発明においては、結晶粒を200個以上含む、500μm四方の試料面積に対し、0.5μmのステップでスキャンし、方位を解析した。
なお、EBSD測定にあたっては、鮮明な菊池線回折像を得るために、機械研磨の後に、コロイダルシリカの砥粒を使用して、基体表面を鏡面研磨した後に、測定を行うことが好ましい。また、測定は板表面から行った。
なお、本発明において、Cube方位{001}<100>の面積率とは、Cube方位{001}<100>の理想方位からのずれが15°以内の方位(±15°以内のずれ角度)を有する結晶粒の面積の全測定面積に対する割合をいう。EBSD法による方位解析において得られる情報は、電子線が試料に侵入する数10nmの深さまでの方位情報を含んでいるが、測定している広さに対して十分に小さいため、本明細書中では面積率として記載した。また、方位分布は板厚方向に変化しているため、EBSD法による方位解析は板厚方向に何点かを任意にとって平均を取ることが好ましい。ここでは特に断りのない限り、ある結晶方位を有する結晶面の面積率はこのようにして測定したものを呼ぶことにする。
なお、本発明において、Cube方位{001}<100>の面積率とは、Cube方位{001}<100>の理想方位からのずれが15°以内の方位(±15°以内のずれ角度)を有する結晶粒の面積の全測定面積に対する割合をいう。EBSD法による方位解析において得られる情報は、電子線が試料に侵入する数10nmの深さまでの方位情報を含んでいるが、測定している広さに対して十分に小さいため、本明細書中では面積率として記載した。また、方位分布は板厚方向に変化しているため、EBSD法による方位解析は板厚方向に何点かを任意にとって平均を取ることが好ましい。ここでは特に断りのない限り、ある結晶方位を有する結晶面の面積率はこのようにして測定したものを呼ぶことにする。
本発明においては、圧延面におけるCube方位{0 0 1}<1 0 0>の面積率が3%以上、好ましくは6%以上である。上限は特に制限はないが、通常90%以下である。Cube方位の面積率をこのように制御することで曲げ加工性を改善することができる。
なお、本発明においては、圧延面(圧延ロールに接触して圧延された面)の表面を観察した際のCube方位{0 0 1}<1 0 0>の面積率を規定するものである。
なお、本発明においては、圧延面(圧延ロールに接触して圧延された面)の表面を観察した際のCube方位{0 0 1}<1 0 0>の面積率を規定するものである。
(対応粒界Σ3)
対応粒界とは、幾何学的に整合性の高い特殊な粒界であり、対応格子点密度の逆数として定義されるΣ値が小さい程、この整合性がより高いことを意味する。この内、対応粒界Σ3は、粒界での規則性の乱れが小さく粒界エネルギーが低いことで知られる。特に、組織内に応力緩和を促進する欠陥が少ないために、耐熱性により優れている。
本発明においては、結晶粒界における対応粒界Σ3の割合が20%以上、好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上である。上限は特に制限はないが、通常90%以下である。対応粒界Σ3の割合をこのように制御することで耐応力緩和特性を改善することができる。なお、対応粒界Σ3の割合とは、ESBD法などで測定した観察面における粒界の長さの総和に対する、対応粒界Σ3の長さの合計を、次式:(対応粒界Σ3の長さの和)/(全粒界の長さの和)×100(%)で求めた値である。対応粒界Σ3とその測定方法の詳細について以下に説明する。
対応粒界とは、幾何学的に整合性の高い特殊な粒界であり、対応格子点密度の逆数として定義されるΣ値が小さい程、この整合性がより高いことを意味する。この内、対応粒界Σ3は、粒界での規則性の乱れが小さく粒界エネルギーが低いことで知られる。特に、組織内に応力緩和を促進する欠陥が少ないために、耐熱性により優れている。
本発明においては、結晶粒界における対応粒界Σ3の割合が20%以上、好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上である。上限は特に制限はないが、通常90%以下である。対応粒界Σ3の割合をこのように制御することで耐応力緩和特性を改善することができる。なお、対応粒界Σ3の割合とは、ESBD法などで測定した観察面における粒界の長さの総和に対する、対応粒界Σ3の長さの合計を、次式:(対応粒界Σ3の長さの和)/(全粒界の長さの和)×100(%)で求めた値である。対応粒界Σ3とその測定方法の詳細について以下に説明する。
対応粒界Σ3の解析には、EDAX TSL社製のソフト「Orientation Imaging Microscopy v5」(商品名)を用い、CSL(Coincidence Site Lattice boundary)解析によって行う。対応粒界Σ3は、例えば、隣り合う粒が<1 1 1>の回転軸をもとに60°の回転角の関係を有する粒界である。従って、該ソフトを用いて、隣接する粒界の方位関係から対応粒界Σ3に該当する粒界を解析する。そして、測定範囲における圧延面の全粒界長と対応粒界Σ3を測定し、(対応粒界Σ3の長さ)/(全粒界長)×100(%)を対応粒界Σ3の割合と定義する。なお、該ソフトを用いた測定において、隣り合うピクセルが15°以上の傾き(ずれ)を有する場合を結晶粒界として判断している。
具体的には、EBSD法により、結晶粒を200個以上含む約500μm四方の測定領域において、スキャンステップが0.5μmの条件で測定を行い、前記ソフトで対応粒界Σ3の長さと全粒界長とを測定する。測定対象において、隣り合うピクセルの方位差(ずれ)が15°以上の場合は粒界と判断し、一方、隣り合うピクセルでの方位関係から対応粒界Σ3を判断する。このようにして測定した測定範囲における圧延面の全ての粒界の長さと対応粒界Σ3の長さから、対応粒界Σ3の長さの和の、全ての粒界の長さの和に対する割合を、次式:(対応粒界Σ3の長さの和)/(全粒界の長さの和)×100から計算して、これを「結晶粒界における対応粒界Σ3の割合」とする。本書では、これを単に、「対応粒界Σ3の割合(%)」ともいう。
(製造方法)
次に、本発明の銅合金材料の製造方法(その結晶方位と粒界状態とを制御する方法)について説明する。
次に、本発明の銅合金材料の製造方法(その結晶方位と粒界状態とを制御する方法)について説明する。
本発明の第一の実施態様では、Cu−Cr系銅合金は、鋳造[工程1−1]した鋳塊を均質化熱処理[工程1−2]し、熱間加工[工程1−3](具体的には、熱間圧延)とその後の冷間加工[工程1−4](具体的には、冷間圧延)で薄板化し、さらに中間熱処理(中間焼鈍)[工程1−5]、冷間加工[工程1−6](具体的には、冷間圧延)、時効処理(時効析出熱処理)[工程1−9]、及び歪取焼鈍[工程1−11]を、この順に行うことによって製造することができる。前記冷間加工[工程1−6]の後であって時効処理[工程1−9]の前に、必要により、さらに熱処理[工程1−7]と冷間加工[工程1−8](具体的には、冷間圧延)をこの順で行ってもよい。また、前記時効処理[工程1−9]の後であって歪取焼鈍[工程1−11]の前に、必要により、さらに仕上げの冷間加工[工程1−10](具体的には、冷間圧延)を行ってもよい。
前記時効処理[工程1−9]、冷間加工[工程1−10]、及び歪取焼鈍[工程1−11]の各工程の条件は、所望の強度及び導電性などの特性に応じて、適宜調整される。
本発明の第一の実施態様の銅合金材料において、その集合組織は、この一連のステップ中で、熱間加工[工程1−3]によってCube方位発達の駆動力が与えられて、時効処理[工程1−9]と行う場合には熱処理[工程1−7]とによって対応粒界Σ3が発達する。そして、中間熱処理[工程1−5]によって集合組織のおおよそが決定し、最後に施される冷間加工(例えば冷間圧延)[工程1−6]、[工程1−8]又は[工程1−10]中に起きる方位の回転によって最終的に決定される。
前記熱処理[工程1−7]と冷間加工[工程1−8]とは省略することができる。これらを行わなくとも、時効処理[工程1−9]を所定の条件で行えば所望の集合組織を得ることができる。前記熱処理[工程1−7]を行うことによって、時効処理[工程1−9]をより短時間で行うことができる。
前記冷間加工[工程1−6]は、板厚を調整する以外に、材料に歪を入れて後工程の熱処理での対応粒界Σ3の発達を促す作用を有する。
前記時効処理[工程1−9]、冷間加工[工程1−10]、及び歪取焼鈍[工程1−11]の各工程の条件は、所望の強度及び導電性などの特性に応じて、適宜調整される。
本発明の第一の実施態様の銅合金材料において、その集合組織は、この一連のステップ中で、熱間加工[工程1−3]によってCube方位発達の駆動力が与えられて、時効処理[工程1−9]と行う場合には熱処理[工程1−7]とによって対応粒界Σ3が発達する。そして、中間熱処理[工程1−5]によって集合組織のおおよそが決定し、最後に施される冷間加工(例えば冷間圧延)[工程1−6]、[工程1−8]又は[工程1−10]中に起きる方位の回転によって最終的に決定される。
前記熱処理[工程1−7]と冷間加工[工程1−8]とは省略することができる。これらを行わなくとも、時効処理[工程1−9]を所定の条件で行えば所望の集合組織を得ることができる。前記熱処理[工程1−7]を行うことによって、時効処理[工程1−9]をより短時間で行うことができる。
前記冷間加工[工程1−6]は、板厚を調整する以外に、材料に歪を入れて後工程の熱処理での対応粒界Σ3の発達を促す作用を有する。
本発明の第一の実施態様では、前記熱処理[工程1−7]を終えると、Cube方位の面積率と対応粒界Σ3の全粒界に対する割合がほぼ最終的に決定された組織となっている。このため、前記熱処理[工程1−7]より後の工程では、この組織が狙いの制御範囲にあれば、例えば、冷間加工[工程1−8]による薄板化、時効処理[工程1−9]による析出強化及び高導電率化(機械強度の向上と同時に導電率の回復)、時効処理[工程1−9]後の冷間加工[工程1−10]による高強度化、歪取焼鈍[工程1−11]によるバネ性や伸びの回復などについて、自由な冷間加工と熱処理の組合せを行ってよい。
本発明の第一の実施態様における、熱処理/加工条件の代表例と、各工程の好ましい条件とを例示すると、具体的に以下の通りである。
前記均質化熱処理[工程1−2]は、600〜1025℃で10分〜10時間行うことが好ましい。均質化熱処理時間は2〜10時間としてもよい。前記熱間加工[工程1−3]は、加工温度が500〜1020℃で加工率30〜98%で行うことが好ましい。前記冷間加工[工程1−4]は、加工率50〜99%で行うことが好ましい。この加工率は50〜95%としてもよい。前記中間熱処理(中間焼鈍)[工程1−5]は、300〜1000℃で5秒〜180分行うことが好ましい。前記冷間加工[工程1−6]は、加工率50〜95%で行うことが好ましい。
前記熱処理[工程1−7]は、650〜1000℃で5〜60秒行うことが好ましい。前記冷間加工[工程1−8]は、加工率10〜60%で行うことが好ましい。
前記時効処理(時効析出熱処理)[工程1−9]は、400〜650℃で30〜180分行うことが好ましい。前記仕上げの冷間加工[工程1−10]は、加工率0〜70%で行うことが好ましい。ここで、加工率0%とは、該加工を行わないことを意味し、この場合、前記冷間加工[工程1−10]は省略される。前記歪取焼鈍[工程1−11]は、550〜700℃で5秒〜10分行うことが好ましい。歪取焼鈍時間は5秒〜60秒としてもよい。
また、各熱処理の後や圧延加工の後に、材料表面の酸化や粗度の状態に応じて酸洗浄や表面研磨を、形状に応じてテンションレベラーによる矯正を行ってもよい。熱間圧延[工程1−3]の後は、通常、水冷(焼き入れ)する。
本発明の第一の実施態様における各工程の組合せの好ましい例としては、後記の実施例における製法1〜製法4を挙げることができる。
前記均質化熱処理[工程1−2]は、600〜1025℃で10分〜10時間行うことが好ましい。均質化熱処理時間は2〜10時間としてもよい。前記熱間加工[工程1−3]は、加工温度が500〜1020℃で加工率30〜98%で行うことが好ましい。前記冷間加工[工程1−4]は、加工率50〜99%で行うことが好ましい。この加工率は50〜95%としてもよい。前記中間熱処理(中間焼鈍)[工程1−5]は、300〜1000℃で5秒〜180分行うことが好ましい。前記冷間加工[工程1−6]は、加工率50〜95%で行うことが好ましい。
前記熱処理[工程1−7]は、650〜1000℃で5〜60秒行うことが好ましい。前記冷間加工[工程1−8]は、加工率10〜60%で行うことが好ましい。
前記時効処理(時効析出熱処理)[工程1−9]は、400〜650℃で30〜180分行うことが好ましい。前記仕上げの冷間加工[工程1−10]は、加工率0〜70%で行うことが好ましい。ここで、加工率0%とは、該加工を行わないことを意味し、この場合、前記冷間加工[工程1−10]は省略される。前記歪取焼鈍[工程1−11]は、550〜700℃で5秒〜10分行うことが好ましい。歪取焼鈍時間は5秒〜60秒としてもよい。
また、各熱処理の後や圧延加工の後に、材料表面の酸化や粗度の状態に応じて酸洗浄や表面研磨を、形状に応じてテンションレベラーによる矯正を行ってもよい。熱間圧延[工程1−3]の後は、通常、水冷(焼き入れ)する。
本発明の第一の実施態様における各工程の組合せの好ましい例としては、後記の実施例における製法1〜製法4を挙げることができる。
ここで、加工率は次の式によって定義される値である。
加工率(%)=(t1−t2)/t1×100
式中、t1は圧延加工前の厚さを、t2は圧延加工後の厚さをそれぞれ表わす。
加工率(%)=(t1−t2)/t1×100
式中、t1は圧延加工前の厚さを、t2は圧延加工後の厚さをそれぞれ表わす。
本発明の第二の実施態様では、Cu−Mg系銅合金は、鋳造[工程2−1]した鋳塊を均質化熱処理[工程2−2]し、熱間加工[工程2−3](具体的には、熱間圧延)とその後の冷間加工[工程2−4](具体的には、冷間圧延)で薄板化し、さらに中間熱処理(中間焼鈍)[工程2−5]、冷間加工[工程2−6](具体的には、冷間圧延)、熱処理[工程2−7]、仕上の冷間加工[工程2−8](具体的には、冷間圧延)、及び歪取焼鈍[工程2−9]を、この順に行うことによって製造することができる。
前記歪取焼鈍[工程2−9]の条件は、所望の強度、導電性、伸び、バネ性(耐応力緩和特性)などの特性に応じて、適宜調整される。
本発明の第二の実施態様の銅合金材料において、その集合組織は、この一連のステップ中で、熱間加工[工程2−3]によってCube方位発達の駆動力が与えられて、熱処理[工程2−7]によって対応粒界Σ3が発達する。そして、中間熱処理[工程2−5]によって集合組織のおおよそが決定し、最後に施される冷間加工(つまり仕上げ冷間圧延)[工程2−8]中に起きる方位の回転によって最終的に決定される。
前記冷間加工[工程2−6]は、板厚を調整する以外に、材料に歪を入れて後工程の熱処理[工程2−8]での対応粒界Σ3の発達を促す作用を有する。
前記歪取焼鈍[工程2−9]の条件は、所望の強度、導電性、伸び、バネ性(耐応力緩和特性)などの特性に応じて、適宜調整される。
本発明の第二の実施態様の銅合金材料において、その集合組織は、この一連のステップ中で、熱間加工[工程2−3]によってCube方位発達の駆動力が与えられて、熱処理[工程2−7]によって対応粒界Σ3が発達する。そして、中間熱処理[工程2−5]によって集合組織のおおよそが決定し、最後に施される冷間加工(つまり仕上げ冷間圧延)[工程2−8]中に起きる方位の回転によって最終的に決定される。
前記冷間加工[工程2−6]は、板厚を調整する以外に、材料に歪を入れて後工程の熱処理[工程2−8]での対応粒界Σ3の発達を促す作用を有する。
本発明の第二の実施態様では、前記熱処理[工程2−7]を終えると、Cube方位の面積率と対応粒界Σ3の全粒界に対する割合がほぼ最終的に決定された組織となっている。このため、前記熱処理[工程2−7]より後の工程では、この組織が狙いの制御範囲にあれば、例えば、高強度化を含めた冷間加工[工程2−8]による薄板化、歪取焼鈍[工程2−9]によるバネ性や伸びの回復などについて、自由な冷間加工と熱処理の組合せを行ってよい。一方で、600℃を超える温度での熱処理や、圧下率80%を超える冷間圧延などの加工は、各結晶方位の面積率や、粒界の状態を変化させる恐れがある。このため、本発明の第二の実施態様では前記熱処理[工程2−7]よりも後には、これらの高温での熱処理や高加工率での加工は施さないこととする。
本発明の第二の実施態様における、熱処理/加工条件の代表例と、各工程の好ましい条件とを例示すると、具体的に以下の通りである。
前記均質化熱処理[工程2−2]は、600〜1025℃で10分〜10時間行うことが好ましい。均質化熱処理時間は1〜5時間としてもよい。前記熱間加工[工程2−3]は、加工温度が500〜1020℃で加工率30〜98%で行うことが好ましい。前記冷間加工[工程2−4]は、加工率50〜99%で行うことが好ましい。この加工率は50〜95%としてもよい。前記中間熱処理(中間焼鈍)[工程2−5]は、300〜800℃で5秒〜180分行うことが好ましい。前記冷間加工[工程2−6]は、加工率50〜95%で行うことが好ましい。前記熱処理[工程2−7]は、300〜800℃で5秒〜180分行うことが好ましい。この熱処理温度は300〜600℃としてもよく、あるいは400〜800℃、600〜800℃としてもよい。この熱処理時間は30〜180分としてもよく、あるいは5〜60秒としてもよい。前記冷間加工[工程2−8]は、加工率10〜80%で行うことが好ましい。
前記歪取焼鈍[工程2−9]は、300〜600℃で5〜60秒行うことが好ましい。
また、各熱処理の後や圧延加工の後に、材料表面の酸化や粗度の状態に応じて酸洗浄や表面研磨を、形状に応じてテンションレベラーによる矯正を行ってもよい。熱間圧延[工程2−3]の後は、通常、水冷(焼き入れ)する。
本発明の第二の実施態様における各工程の組合せの好ましい例としては、後記の実施例における製法10〜製法14を挙げることができる。
前記均質化熱処理[工程2−2]は、600〜1025℃で10分〜10時間行うことが好ましい。均質化熱処理時間は1〜5時間としてもよい。前記熱間加工[工程2−3]は、加工温度が500〜1020℃で加工率30〜98%で行うことが好ましい。前記冷間加工[工程2−4]は、加工率50〜99%で行うことが好ましい。この加工率は50〜95%としてもよい。前記中間熱処理(中間焼鈍)[工程2−5]は、300〜800℃で5秒〜180分行うことが好ましい。前記冷間加工[工程2−6]は、加工率50〜95%で行うことが好ましい。前記熱処理[工程2−7]は、300〜800℃で5秒〜180分行うことが好ましい。この熱処理温度は300〜600℃としてもよく、あるいは400〜800℃、600〜800℃としてもよい。この熱処理時間は30〜180分としてもよく、あるいは5〜60秒としてもよい。前記冷間加工[工程2−8]は、加工率10〜80%で行うことが好ましい。
前記歪取焼鈍[工程2−9]は、300〜600℃で5〜60秒行うことが好ましい。
また、各熱処理の後や圧延加工の後に、材料表面の酸化や粗度の状態に応じて酸洗浄や表面研磨を、形状に応じてテンションレベラーによる矯正を行ってもよい。熱間圧延[工程2−3]の後は、通常、水冷(焼き入れ)する。
本発明の第二の実施態様における各工程の組合せの好ましい例としては、後記の実施例における製法10〜製法14を挙げることができる。
本発明の第一の実施態様の銅合金材料は、EV、HEVを中心とした車載部品および周辺インフラや太陽光発電システムなどのリードフレーム、コネクタ、端子材等に要求される特性を満足することができる。該特性の内、導電率については75%IACS以上、好ましくは80%IACS以上を満足する。引張強さについては、400MPa以上を満足する。曲げ加工性は、クラックなく曲げ加工が可能な90°W曲げにおける最小曲げ半径(R:単位mm)を板厚(t:単位mm)で割った値(R/t)で評価し、該銅合金材料が有する引張強さの程度に応じて変わるが、引張強さ400MPa以上550MPa未満の場合、R/t≦0.5を、引張強さ550MPa以上700MPa未満の場合、R/t=0.5〜1を、それぞれ満足する。更には耐応力緩和特性については、日本伸銅協会 JCBA T309:2004(銅及び銅合金薄板条の曲げによる応力緩和試験方法)に準じて求めた応力緩和率(SR)で評価するが、該応力緩和率35%以下を満たすことができる。応力緩和率(SR)の具体的な測定法は、後記の実施例にて詳述する。この曲げ加工性と耐応力緩和特性については、いずれも同組成において従来法で製造した銅合金の材料の両者の結果とそのバランスを上回る良好な特性を有する。
本発明の第二の実施態様の銅合金材料は、EV、HEVを中心とした車載部品および周辺インフラや太陽光発電システムなどのリードフレーム、コネクタ、端子材等に要求される特性を満足することができる。該特性の内、導電率については75%IACS以上、好ましくは80%IACS以上を満足する。引張強さについては、250MPa以上を満足する。曲げ加工性は、クラックなく曲げ加工が可能な最小曲げ半径(R:単位mm)を板厚(t:単位mm)で割った値(R/t)で評価し、該銅合金材料が有する引張強さの程度に応じて変わるが、試験板厚0.4〜2mmt、曲げ巾10mmwにおいて、引張強さ250MPa以上400MPa未満の場合、180°曲げにてR/t=0を、引張強さ400MPa以上500MPa未満の場合、90°曲げにてR/t=0を、それぞれ満足する。更には耐応力緩和特性については、前記応力緩和率(SR)が35%以下を満たすことができる。この曲げ加工性と耐応力緩和特性については、いずれも同組成において従来法で製造した銅合金材料の両者の結果とそのバランスを上回る良好な特性を有する。
以下に、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1−1、比較例1−1(Cu−Cr系合金)
表1−1及び表1−2に合金組成を示したように、主添加元素としてCrを含有し、副添加元素としてMg、Ti及びZrからなる群から選ばれる少なくとも一種(添加元素群1)並びにZn、Fe、Sn、Ag、Si及びPからなる群から選ばれる少なくとも一種(添加元素群2)からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有し、残部がCuと不可避不純物から成る銅合金を高周波溶解炉により溶解し、これを鋳造[工程1−1]して鋳塊を得た。その後に、600℃〜1025℃で10分〜10時間の均質化熱処理[工程1−2]、加工温度が500〜1020℃で加工率が30〜98%の熱間圧延[工程1−3]、水冷を施した。更に、加工率が50〜99%の冷間圧延[工程1−4]、300〜1000℃で5秒〜180分間の中間熱処理[工程1−5]を施した。その後、加工率が50〜95%の冷間圧延[工程1−6]を施した。ここまでが上工程である。この状態を提供材とし、下工程として、下記製法1〜製法7のいずれかの製法にて、試験No.1−1〜1−22(本発明例)及び試験No.1−23〜1−50(比較例)の銅合金材料の供試材を製造した。なお、前記上工程の条件を変えた場合は、下記製法1〜製法7に併せて示した。
また、製法8、製法9として、前記特許文献4、特許文献5の実施例に相当する製造工程で行った例の全工程を以下に示す。
表1−1及び表1−2に合金組成を示したように、主添加元素としてCrを含有し、副添加元素としてMg、Ti及びZrからなる群から選ばれる少なくとも一種(添加元素群1)並びにZn、Fe、Sn、Ag、Si及びPからなる群から選ばれる少なくとも一種(添加元素群2)からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有し、残部がCuと不可避不純物から成る銅合金を高周波溶解炉により溶解し、これを鋳造[工程1−1]して鋳塊を得た。その後に、600℃〜1025℃で10分〜10時間の均質化熱処理[工程1−2]、加工温度が500〜1020℃で加工率が30〜98%の熱間圧延[工程1−3]、水冷を施した。更に、加工率が50〜99%の冷間圧延[工程1−4]、300〜1000℃で5秒〜180分間の中間熱処理[工程1−5]を施した。その後、加工率が50〜95%の冷間圧延[工程1−6]を施した。ここまでが上工程である。この状態を提供材とし、下工程として、下記製法1〜製法7のいずれかの製法にて、試験No.1−1〜1−22(本発明例)及び試験No.1−23〜1−50(比較例)の銅合金材料の供試材を製造した。なお、前記上工程の条件を変えた場合は、下記製法1〜製法7に併せて示した。
また、製法8、製法9として、前記特許文献4、特許文献5の実施例に相当する製造工程で行った例の全工程を以下に示す。
(製法1)
前記上工程(鋳造[工程1−1]から冷間圧延[工程1−6]まで、以下同じ。)を経た後、時効処理[工程1−9]を400〜650℃で30〜180分間施し、冷間圧延[工程1−10]を加工率25%で施した後、走間炉で550〜700℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程1−11]を行った。なお、前記条件に代えて、前記均質化熱処理[工程1−2]は600〜1025℃で2〜10時間で行い、前記冷間圧延[工程1−4]は加工率50〜99%で行った。熱処理[工程1−7]と冷間圧延[工程1−8]とは行わなかった。
前記上工程(鋳造[工程1−1]から冷間圧延[工程1−6]まで、以下同じ。)を経た後、時効処理[工程1−9]を400〜650℃で30〜180分間施し、冷間圧延[工程1−10]を加工率25%で施した後、走間炉で550〜700℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程1−11]を行った。なお、前記条件に代えて、前記均質化熱処理[工程1−2]は600〜1025℃で2〜10時間で行い、前記冷間圧延[工程1−4]は加工率50〜99%で行った。熱処理[工程1−7]と冷間圧延[工程1−8]とは行わなかった。
(製法2)
前記上工程を経た後、熱処理[工程1−7]を650〜1000℃で5〜60秒間施し、冷間圧延[工程1−8]を加工率25%で施した後、時効処理[工程1−9]を400〜650℃で30〜180分間施し、走間炉で550〜700℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程1−11]を行った。冷間圧延[工程1−10]は行わなかった。
前記上工程を経た後、熱処理[工程1−7]を650〜1000℃で5〜60秒間施し、冷間圧延[工程1−8]を加工率25%で施した後、時効処理[工程1−9]を400〜650℃で30〜180分間施し、走間炉で550〜700℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程1−11]を行った。冷間圧延[工程1−10]は行わなかった。
(製法3)
前記上工程を経た後、時効処理[工程1−9]を400〜650℃で30〜180分間施し、冷間圧延[工程1−10]を加工率50%で施した後、走間炉で550〜700℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程1−11]を行った。熱処理[工程1−7]と冷間圧延[工程1−8]とは行わなかった。
前記上工程を経た後、時効処理[工程1−9]を400〜650℃で30〜180分間施し、冷間圧延[工程1−10]を加工率50%で施した後、走間炉で550〜700℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程1−11]を行った。熱処理[工程1−7]と冷間圧延[工程1−8]とは行わなかった。
(製法4)
前記上工程を経た後、熱処理[工程1−7]を650〜1000℃で5〜60秒間施し、冷間圧延[工程1−8]を加工率30%で施した後、時効処理[工程1−9]を400〜650℃で30〜180分間施し、冷間圧延[工程1−10]を加工率25%で施した後、走間炉で550〜700℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程1−11]を行った。
前記上工程を経た後、熱処理[工程1−7]を650〜1000℃で5〜60秒間施し、冷間圧延[工程1−8]を加工率30%で施した後、時効処理[工程1−9]を400〜650℃で30〜180分間施し、冷間圧延[工程1−10]を加工率25%で施した後、走間炉で550〜700℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程1−11]を行った。
(製法5)
前記上工程を経た後、時効処理[工程1−9]を450〜600℃で30〜180分間施し、冷間圧延[工程1−10]を加工率25%で施した後、走間炉で550〜700℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程1−11]を行った。なお、前記条件に代えて、前記熱間圧延[工程1−3]は加工温度300〜450℃で加工率30〜98%で行った。熱処理[工程1−7]と冷間圧延[工程1−8]とは行わなかった。
前記上工程を経た後、時効処理[工程1−9]を450〜600℃で30〜180分間施し、冷間圧延[工程1−10]を加工率25%で施した後、走間炉で550〜700℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程1−11]を行った。なお、前記条件に代えて、前記熱間圧延[工程1−3]は加工温度300〜450℃で加工率30〜98%で行った。熱処理[工程1−7]と冷間圧延[工程1−8]とは行わなかった。
(製法6)
前記上工程を経た後、時効処理[工程1−9]を400〜650℃で30〜180分間施し、冷間圧延[工程1−10]を加工率25%で施した後、走間炉で550〜700℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程1−11]を行った。なお、前記条件に代えて、前記冷間圧延[工程1−6]は加工率30%で行った。熱処理[工程1−7]と冷間圧延[工程1−8]とは行わなかった。
前記上工程を経た後、時効処理[工程1−9]を400〜650℃で30〜180分間施し、冷間圧延[工程1−10]を加工率25%で施した後、走間炉で550〜700℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程1−11]を行った。なお、前記条件に代えて、前記冷間圧延[工程1−6]は加工率30%で行った。熱処理[工程1−7]と冷間圧延[工程1−8]とは行わなかった。
(製法7)
前記上工程を経た後、時効処理[工程1−9]を300〜350℃で30〜180分間施し、冷間圧延[工程1−10]を加工率25%で施した後、走間炉で550〜700℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程1−11]を行った。熱処理[工程1−7]と冷間圧延[工程1−8]とは行わなかった。
前記上工程を経た後、時効処理[工程1−9]を300〜350℃で30〜180分間施し、冷間圧延[工程1−10]を加工率25%で施した後、走間炉で550〜700℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程1−11]を行った。熱処理[工程1−7]と冷間圧延[工程1−8]とは行わなかった。
(製法8)(特許文献4の実施例に相当する製造工程)
鋳造し、そのインゴットを均質化処理した(特許文献4には900℃以上、300分以上とあるので、ここでは950℃、500分間とした)。更に熱間加工、溶体化処理し、最終冷間圧延を行い厚さ0.15mmとし時効処理を施した。冷間圧延の条件は内容にならい、各パスの加工度を20%、全加工度を98%とした。特許文献4に条件明示のない熱間加工工程については、首尾よく熱間圧延し、その後水冷した。また、溶体化処理工程については、800℃、1時間で行った。時効処理については400℃で約30分行った。
鋳造し、そのインゴットを均質化処理した(特許文献4には900℃以上、300分以上とあるので、ここでは950℃、500分間とした)。更に熱間加工、溶体化処理し、最終冷間圧延を行い厚さ0.15mmとし時効処理を施した。冷間圧延の条件は内容にならい、各パスの加工度を20%、全加工度を98%とした。特許文献4に条件明示のない熱間加工工程については、首尾よく熱間圧延し、その後水冷した。また、溶体化処理工程については、800℃、1時間で行った。時効処理については400℃で約30分行った。
(製法9)(特許文献5の実施例に相当する製造工程)
鋳造し、950℃に加熱し、厚さ8mmまで首尾よく熱間圧延し、その後水冷した。また、その後、厚さ1mmまで冷間圧延し、800℃で300分間焼鈍した(特許文献5には、単に焼鈍すると記載されているが、焼鈍時間については記載がないため、ここでは300分間とした)。続いて加工度40%で冷間加工し、500℃で1分間の加熱処理を3回繰返し、厚さ0.22mmとした。
鋳造し、950℃に加熱し、厚さ8mmまで首尾よく熱間圧延し、その後水冷した。また、その後、厚さ1mmまで冷間圧延し、800℃で300分間焼鈍した(特許文献5には、単に焼鈍すると記載されているが、焼鈍時間については記載がないため、ここでは300分間とした)。続いて加工度40%で冷間加工し、500℃で1分間の加熱処理を3回繰返し、厚さ0.22mmとした。
なお、前記各製法1〜7においては、各熱処理や圧延の後に、材料表面の酸化や粗度の状態に応じて酸洗浄や表面研磨を、形状に応じてテンションレベラーによる矯正を行った。
上記の内で、製法1で製造した供試材について下記の特性調査を行った。ここで、供試材の厚さは特に断らない限り0.15mmとした。本発明例の結果を表2−1に、比較例の結果を表2−2に、それぞれ示す。製法5で製造したいずれも比較例の供試材については、その結果を表3−1、表3−2に示した。表4−1は製法2〜4で製造した本発明例の供試材の結果、表4−2は製法6〜9で製造した比較例の供試材の結果である。
a.Cube方位{0 0 1}<1 0 0>の面積率:
EBSD法により、約500μm四方の測定領域で、スキャンステップが0.5μmの条件で測定を行った。上記の通り、Cube方位から±15°以内のずれ角度を有する結晶粒の原子面の面積を求めて、該面積を全測定面積で割ることで、Cube方位の結晶粒の面積率を得た。以下の各表中には、これを単に「Cube面積率(%)」として示す。
EBSD法により、約500μm四方の測定領域で、スキャンステップが0.5μmの条件で測定を行った。上記の通り、Cube方位から±15°以内のずれ角度を有する結晶粒の原子面の面積を求めて、該面積を全測定面積で割ることで、Cube方位の結晶粒の面積率を得た。以下の各表中には、これを単に「Cube面積率(%)」として示す。
b.結晶粒界における対応粒界Σ3の割合:
EBSD法により、約500μm四方の測定領域で、スキャンステップが0.5μmの条件で測定を行った。測定対象の粒界は隣接結晶間の方位差が15°以上とし、対応粒界Σ3の長さの和の、全ての粒界の長さの和に対する割合を計算した。以下の各表中には(対応粒界Σ3の長さの和)/(全粒界の長さの和)×100を「対応粒界率Σ3の割合(%)」として示す。
EBSD法により、約500μm四方の測定領域で、スキャンステップが0.5μmの条件で測定を行った。測定対象の粒界は隣接結晶間の方位差が15°以上とし、対応粒界Σ3の長さの和の、全ての粒界の長さの和に対する割合を計算した。以下の各表中には(対応粒界Σ3の長さの和)/(全粒界の長さの和)×100を「対応粒界率Σ3の割合(%)」として示す。
d−1.曲げ加工性:
曲げ加工試験方法については、JIS Z 2248に準じて行った。
圧延方向に垂直に幅10mm、長さ25mmに切出し、これに曲げの軸が圧延方向に直角になるようにW曲げしたものをGW(Good Way)、圧延方向に平行になるようにW曲げしたものをBW(Bad Way)とし、曲げ部を200倍の光学顕微鏡で観察し、クラックの有無を調査した。tを板厚(mm)、Rを90°W曲げ最小曲げ半径(mm)とする。GW、BWともに引張強度が400MPa以上550MPa未満の場合はR/t≦0.5、550MPa以上700MPa未満の場合はR/t≦1を満足し、該当以上のRにて曲がる場合は「可(○)」とし、クラックが入る場合は「不可(×)」と判定した。なお、上記条件を満たし、同じ組成の従来材に対し、他の特性(引張強度、導電率、耐応力緩和特性)が大きく劣ることなく、より曲げ半径Rが小さくても曲げ加工することができた供試材については「良(◎)」とした。
曲げ加工試験方法については、JIS Z 2248に準じて行った。
圧延方向に垂直に幅10mm、長さ25mmに切出し、これに曲げの軸が圧延方向に直角になるようにW曲げしたものをGW(Good Way)、圧延方向に平行になるようにW曲げしたものをBW(Bad Way)とし、曲げ部を200倍の光学顕微鏡で観察し、クラックの有無を調査した。tを板厚(mm)、Rを90°W曲げ最小曲げ半径(mm)とする。GW、BWともに引張強度が400MPa以上550MPa未満の場合はR/t≦0.5、550MPa以上700MPa未満の場合はR/t≦1を満足し、該当以上のRにて曲がる場合は「可(○)」とし、クラックが入る場合は「不可(×)」と判定した。なお、上記条件を満たし、同じ組成の従来材に対し、他の特性(引張強度、導電率、耐応力緩和特性)が大きく劣ることなく、より曲げ半径Rが小さくても曲げ加工することができた供試材については「良(◎)」とした。
e.引張強度 [TS]:
圧延平行方向から切り出したJIS Z2201−13B号の試験片をJIS Z2241に準じて3本測定しその平均値を示した。
圧延平行方向から切り出したJIS Z2201−13B号の試験片をJIS Z2241に準じて3本測定しその平均値を示した。
f.導電率 [EC]:
20℃(±0.5℃)に保たれた恒温漕中で四端子法により比抵抗を計測して導電率を算出した。なお、端子間距離は100mmとした。供試材の導電率(EC)が75%IACS以上を「可(○)」、75%IACS未満を「不可(×)」とした。
20℃(±0.5℃)に保たれた恒温漕中で四端子法により比抵抗を計測して導電率を算出した。なお、端子間距離は100mmとした。供試材の導電率(EC)が75%IACS以上を「可(○)」、75%IACS未満を「不可(×)」とした。
g.応力緩和率 [SR]:
日本伸銅協会 JCBA T309:2004(銅及び銅合金薄板条の曲げによる応力緩和試験方法)に準じ、以下に示すように、150℃で1000時間保持後の条件で測定した。片持ちはりブロック式の治具を用いて、耐力の80%の初期応力を負荷して、150℃、1000時間の試験後の変位量を用いて応力緩和率(SR)を求めて、耐応力緩和特性を評価した。
図1は耐応力緩和特性の試験方法の説明図であり、図1(a)は熱処理前、図1(b)は熱処理後の状態である。図1(a)に示すように、試験台4に片持ちで保持した試験片1に、耐力の80%の初期応力を付与した時の試験片1の位置は、基準からδ0の距離である。これを150℃の恒温槽に1000時間保持(前記試験片1の状態での熱処理)し、負荷を除いた後の試験片2の位置は、図1(b)に示すように基準からHtの距離である。3は応力を負荷しなかった場合の試験片であり、その位置は基準からH1の距離である。この関係から、応力緩和率(%)は(Ht−H1)/(δ0―H1)×100と算出した。式中、δ0は、基準から試験片1までの距離であり、H1は、基準から試験片3までの距離であり、Htは、基準から試験片2までの距離である。
結果に対し、応力緩和率(SR)が35%未満の場合は「可(○)」とし、応力緩和率(SR)が35%以上の場合は「不可(×)」と判定した。なお、上記応力緩和率(SR)が35%未満の条件を満たし、同じ組成の従来材に対し、他の特性(引張強度、導電率、曲げ加工性)が大きく劣ることなく、応力緩和率(SR)がより小さい発明材については「良(◎)」と判定した。
日本伸銅協会 JCBA T309:2004(銅及び銅合金薄板条の曲げによる応力緩和試験方法)に準じ、以下に示すように、150℃で1000時間保持後の条件で測定した。片持ちはりブロック式の治具を用いて、耐力の80%の初期応力を負荷して、150℃、1000時間の試験後の変位量を用いて応力緩和率(SR)を求めて、耐応力緩和特性を評価した。
図1は耐応力緩和特性の試験方法の説明図であり、図1(a)は熱処理前、図1(b)は熱処理後の状態である。図1(a)に示すように、試験台4に片持ちで保持した試験片1に、耐力の80%の初期応力を付与した時の試験片1の位置は、基準からδ0の距離である。これを150℃の恒温槽に1000時間保持(前記試験片1の状態での熱処理)し、負荷を除いた後の試験片2の位置は、図1(b)に示すように基準からHtの距離である。3は応力を負荷しなかった場合の試験片であり、その位置は基準からH1の距離である。この関係から、応力緩和率(%)は(Ht−H1)/(δ0―H1)×100と算出した。式中、δ0は、基準から試験片1までの距離であり、H1は、基準から試験片3までの距離であり、Htは、基準から試験片2までの距離である。
結果に対し、応力緩和率(SR)が35%未満の場合は「可(○)」とし、応力緩和率(SR)が35%以上の場合は「不可(×)」と判定した。なお、上記応力緩和率(SR)が35%未満の条件を満たし、同じ組成の従来材に対し、他の特性(引張強度、導電率、曲げ加工性)が大きく劣ることなく、応力緩和率(SR)がより小さい発明材については「良(◎)」と判定した。
表1−1は合金組成が本発明の規定範囲内の本発明に係る銅合金(合金No.1〜22)、表1−2は合金組成が本発明の規定範囲外の比較例の銅合金(合金No.23〜50)について示す。単位はmass%である。空欄は添加なしを示し、残部はCuと不可避不純物である。
以下、各合金の評価に対しては、以下のように2通り設けた。曲げ加工性、引張強度、導電性、耐応力緩和特性を合金特性として、これらの各特性の全てが本発明の規定又は好ましい値以上/以下の良好な特性を満たす場合、合金特性が十分であるとし、これらの各特性のいずれか一つでも満たしていない場合、合金特性が劣っているとした。また、同じ合金組成であって、かつ、本発明の製造方法によって得た銅合金材料について、曲げ加工性、耐応力緩和特性の一方、もしくは両方が従来の製造方法によって得た銅合金材料よりも良好化したとき、従来にない優れた銅合金材料であると判断した。
また組織については、製品のCube方位の面積率、対応粒界Σ3の割合状態について、本発明の規定を満たす場合を組織が規定範囲内とし、いずれか一方でもこの規定を満たしていない場合、組織が規定範囲外とした。また、製法1〜製法9として示した各製造工程について、本発明の規定の範囲内にある場合を製造工程条件が本発明の規定の範囲内であるとし、一方、工程の一つでも本発明の規定条件を満たしていない場合及び本発明の規定の範囲外にある工程が組み合わさっている場合をそれぞれ本発明の規定の範囲外とした。
また組織については、製品のCube方位の面積率、対応粒界Σ3の割合状態について、本発明の規定を満たす場合を組織が規定範囲内とし、いずれか一方でもこの規定を満たしていない場合、組織が規定範囲外とした。また、製法1〜製法9として示した各製造工程について、本発明の規定の範囲内にある場合を製造工程条件が本発明の規定の範囲内であるとし、一方、工程の一つでも本発明の規定条件を満たしていない場合及び本発明の規定の範囲外にある工程が組み合わさっている場合をそれぞれ本発明の規定の範囲外とした。
表2−1は合金組成が本発明の規定範囲内であり、かつ本発明の規定の範囲内の製造方法で製造した本発明例を示す。これらの本発明例については本発明で規定する組織を満たしており、合金特性が良好であった。
また、表2−2は合金組成が本発明の規定の範囲外、しかし、本発明の規定の範囲内の製造方法で製造した比較例を示す。これらの比較例については、合金特性のいずれか一つ以上が劣っているか、製造途中で熱間割れを起こしてしまい、その後のプロセスを経ることができない結果であった。組織、および製造条件が本発明の規定の範囲内にあっても合金組成が本発明で規定する範囲外であると所望の合金特性に劣り、製造上問題をきたし不良品となることが分かる。
また、表2−2は合金組成が本発明の規定の範囲外、しかし、本発明の規定の範囲内の製造方法で製造した比較例を示す。これらの比較例については、合金特性のいずれか一つ以上が劣っているか、製造途中で熱間割れを起こしてしまい、その後のプロセスを経ることができない結果であった。組織、および製造条件が本発明の規定の範囲内にあっても合金組成が本発明で規定する範囲外であると所望の合金特性に劣り、製造上問題をきたし不良品となることが分かる。
表3−1は合金組成が本発明の規定の範囲内であり、しかし、本発明の規定の範囲外の製造方法で製造した比較例を示す。また、表3−2は合金組成が本発明の規定の範囲外であり、かつ本発明の規定の範囲外の製造方法で製造した比較例を示す。
これらの前記製法5で製造した比較例2−1〜2−22、2−23〜2−50においては、熱間圧延[工程1−3]での熱履歴が不十分であった為に、所望のCube方位の面積率とならなかった。
合金組成が本発明の規定の範囲内であっても、本発明の規定の範囲外の製造方法で製造した場合は規定の組織が得られず、合金特性が不十分である事が分かる。合金組成が本発明の規定の範囲外であると、組織の状態に関わらず合金特性が不十分である事が分かる。合金組成が本発明の規定の範囲外であると、本発明の規定の内外のいかなる製造方法で製造しても合金特性に劣る。
これらの前記製法5で製造した比較例2−1〜2−22、2−23〜2−50においては、熱間圧延[工程1−3]での熱履歴が不十分であった為に、所望のCube方位の面積率とならなかった。
合金組成が本発明の規定の範囲内であっても、本発明の規定の範囲外の製造方法で製造した場合は規定の組織が得られず、合金特性が不十分である事が分かる。合金組成が本発明の規定の範囲外であると、組織の状態に関わらず合金特性が不十分である事が分かる。合金組成が本発明の規定の範囲外であると、本発明の規定の内外のいかなる製造方法で製造しても合金特性に劣る。
表4−1、表4−2には合金組成を代表して、合金No.3、6、9、11、15、18、20、22について前記製法2〜5、6〜9で製造した銅合金材料の合金特性の結果を示す。製法2〜4の本発明の規定の範囲内の製造方法で製造した場合は合金特性を満たし、製法6〜7の本発明の規定の範囲外の製造方法で製造した場合はいずれかの合金特性が規格より大きく劣り、規格を満たしていても本発明例よりもその特性が大きく劣っている。
この内、前記製法6で製造した比較例3−25〜3−32においては、時効処理[工程1−9]前での冷間圧延[工程1−6]における加工率が低すぎた為に、所望の対応粒界Σ3の状態とならずに、耐応力緩和特性に劣った結果となった。
また、前記製法7で製造した比較例3−33〜3−40においては、時効処理[工程1−9]での加熱温度が低すぎて熱履歴が不十分であった為に、所望の対応粒界Σ3の状態とならずに、耐応力緩和特性に劣った結果となった。さらには、Cube方位の面積率も小さすぎて、導電性に劣り、曲げ加工性にも劣ったものもあった。
さらに、特許文献4に相当する製法8、特許文献5に相当する製法9で製造した比較例の供試材は、本発明の供試材とは異なって曲げ加工性に劣った結果となった。また、導電率にも劣り、さらに、耐応力緩和特性にも劣ったものもあった。
この内、前記製法6で製造した比較例3−25〜3−32においては、時効処理[工程1−9]前での冷間圧延[工程1−6]における加工率が低すぎた為に、所望の対応粒界Σ3の状態とならずに、耐応力緩和特性に劣った結果となった。
また、前記製法7で製造した比較例3−33〜3−40においては、時効処理[工程1−9]での加熱温度が低すぎて熱履歴が不十分であった為に、所望の対応粒界Σ3の状態とならずに、耐応力緩和特性に劣った結果となった。さらには、Cube方位の面積率も小さすぎて、導電性に劣り、曲げ加工性にも劣ったものもあった。
さらに、特許文献4に相当する製法8、特許文献5に相当する製法9で製造した比較例の供試材は、本発明の供試材とは異なって曲げ加工性に劣った結果となった。また、導電率にも劣り、さらに、耐応力緩和特性にも劣ったものもあった。
実施例2−1、比較例2−1(Cu−Mg系合金)
表5−1及び表5−2に合金組成を示したように、必須添加元素としてMgを含有し、更に任意添加元素としてZn、Fe、Sn、Ag及びSiからなる群から選ばれる少なくとも一種を含有し、残部がCuと不可避不純物から成る銅合金を高周波溶解炉により溶解し、これを鋳造[工程2−1]して鋳塊を得た。その後に、600℃〜1025℃で1〜5時間の均質化熱処理[工程2−2]、加工温度が500〜900℃で加工率が30〜98%の熱間圧延[工程2−3]、水冷を施した。更に、加工率が50〜99%の冷間圧延[工程2−4]、300〜800℃で5秒〜180分間の中間熱処理[工程2−5]を施した。その後、加工率が50〜95%の冷間圧延[工程2−6]を施した。ここまでが上工程である。この状態を提供材とし、下工程として、下記製法10〜17または前記製法8もしくは9のいずれかの製法にて、試験No.4−1〜4−10(本発明例)及び試験No.4−11〜4−18(比較例)の銅合金材料の供試材を製造した。なお、前記上工程の条件を変えた場合は、下記製法10〜製法17に併せて示した。
表5−1及び表5−2に合金組成を示したように、必須添加元素としてMgを含有し、更に任意添加元素としてZn、Fe、Sn、Ag及びSiからなる群から選ばれる少なくとも一種を含有し、残部がCuと不可避不純物から成る銅合金を高周波溶解炉により溶解し、これを鋳造[工程2−1]して鋳塊を得た。その後に、600℃〜1025℃で1〜5時間の均質化熱処理[工程2−2]、加工温度が500〜900℃で加工率が30〜98%の熱間圧延[工程2−3]、水冷を施した。更に、加工率が50〜99%の冷間圧延[工程2−4]、300〜800℃で5秒〜180分間の中間熱処理[工程2−5]を施した。その後、加工率が50〜95%の冷間圧延[工程2−6]を施した。ここまでが上工程である。この状態を提供材とし、下工程として、下記製法10〜17または前記製法8もしくは9のいずれかの製法にて、試験No.4−1〜4−10(本発明例)及び試験No.4−11〜4−18(比較例)の銅合金材料の供試材を製造した。なお、前記上工程の条件を変えた場合は、下記製法10〜製法17に併せて示した。
(製法10)
前記上工程(鋳造[工程2−1]から冷間圧延[工程2−6]まで、以下同じ。)を経た後、熱処理[工程2−7]を300〜600℃で30〜180分間施し、冷間圧延[工程2−8]を加工率20%で施した後、300〜600℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程2−9]を行った。なお、前記条件に代えて、前記冷間圧延[工程2−4]は加工率50〜95%で行った。
前記上工程(鋳造[工程2−1]から冷間圧延[工程2−6]まで、以下同じ。)を経た後、熱処理[工程2−7]を300〜600℃で30〜180分間施し、冷間圧延[工程2−8]を加工率20%で施した後、300〜600℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程2−9]を行った。なお、前記条件に代えて、前記冷間圧延[工程2−4]は加工率50〜95%で行った。
(製法11)
前記上工程を経た後、熱処理[工程2−7]を300〜600℃で30〜180分間施し、冷間圧延[工程2−8]を加工率40%で施した後、300〜600℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程2−9]を行った。
前記上工程を経た後、熱処理[工程2−7]を300〜600℃で30〜180分間施し、冷間圧延[工程2−8]を加工率40%で施した後、300〜600℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程2−9]を行った。
(製法12)
前記上工程を経た後、熱処理[工程2−7]を600〜800℃で5〜60秒間施し、冷間圧延[工程2−8]を加工率20%で施した後、300〜600℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程2−9]を行った。
前記上工程を経た後、熱処理[工程2−7]を600〜800℃で5〜60秒間施し、冷間圧延[工程2−8]を加工率20%で施した後、300〜600℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程2−9]を行った。
(製法13)
前記上工程を経た後、熱処理[工程2−7]を600〜800℃で5〜60秒間施し、冷間圧延[工程2−8]を加工率45%で施した後、300〜600℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程2−9]を行った。
前記上工程を経た後、熱処理[工程2−7]を600〜800℃で5〜60秒間施し、冷間圧延[工程2−8]を加工率45%で施した後、300〜600℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程2−9]を行った。
(製法14)
前記上工程を経た後、熱処理[工程2−7]を400〜800℃で5〜60秒間施し、冷間圧延[工程2−8]を加工率75%で施した後、300〜600℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程2−9]を行った。
前記上工程を経た後、熱処理[工程2−7]を400〜800℃で5〜60秒間施し、冷間圧延[工程2−8]を加工率75%で施した後、300〜600℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程2−9]を行った。
(製法15)
前記上工程を経た後、熱処理[工程2−7]を300〜600℃で30〜180分間施し、冷間圧延[工程2−8]を加工率20%で施した後、300〜600℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程2−9]を行った。なお、前記条件に代えて、前記熱間圧延[工程2−3]は加工温度300〜500℃で加工率30〜98%で行った。
前記上工程を経た後、熱処理[工程2−7]を300〜600℃で30〜180分間施し、冷間圧延[工程2−8]を加工率20%で施した後、300〜600℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程2−9]を行った。なお、前記条件に代えて、前記熱間圧延[工程2−3]は加工温度300〜500℃で加工率30〜98%で行った。
(製法16)
前記上工程を経た後、熱処理[工程2−7]を300〜600℃で30〜180分間施し、冷間圧延[工程2−8]を加工率40%で施した後、300〜600℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程2−9]を行った。なお、前記条件に代えて、前記熱間圧延[工程2−3]は加工温度300〜500℃で加工率30〜98%で行った。
前記上工程を経た後、熱処理[工程2−7]を300〜600℃で30〜180分間施し、冷間圧延[工程2−8]を加工率40%で施した後、300〜600℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程2−9]を行った。なお、前記条件に代えて、前記熱間圧延[工程2−3]は加工温度300〜500℃で加工率30〜98%で行った。
(製法17)
前記上工程を経た後、熱処理[工程2−7]を600〜800℃で5〜60秒間施し、冷間圧延[工程2−8]を加工率90%で施した後、300〜600℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程2−9]を行った。
前記上工程を経た後、熱処理[工程2−7]を600〜800℃で5〜60秒間施し、冷間圧延[工程2−8]を加工率90%で施した後、300〜600℃で5〜60秒間保持した歪取焼鈍[工程2−9]を行った。
なお、(製法8)と(製法9)は前記実施例1−1、比較例1−1と同様に行った。
なお、前記各製法10〜17においては、各熱処理や圧延の後に、材料表面の酸化や粗度の状態に応じて酸洗浄や表面研磨を、形状に応じてテンションレベラーによる矯正を行った。
上記の内で、製法10で製造した供試材について下記の特性調査を行った。ここで、供試材の厚さは特に断らない限り0.15mmとした。本発明例の結果を表6−1に、比較例の結果を表6−2に、それぞれ示す。製法15で製造したいずれも比較例の供試材については、その結果を表7−1、表7−2に示した。表8−1は製法11〜14で製造した本発明例の供試材の結果、表8−2は製法16〜17あるいは製法8〜9で製造した比較例の供試材の結果である。
d−2.曲げ加工性:
曲げ加工試験方法については、JIS Z 2248に準じて行っている。TS=250〜400MPaのサンプルについては180°密着曲げ(押し曲げ法、R=0)を行い、TS=400〜500MPaのサンプルについては90°曲げ(W曲げ、R=0)を行った。サンプルは、圧延方向に垂直に幅10mm、長さ25mmに切出し、これに曲げの軸が圧延方向に直角になるように曲げたものをGW(Good Way)、圧延方向に平行になるように曲げたものをBW(Bad Way)とし、曲げ部を200倍の光学顕微鏡で観察し、クラックの有無を調査した。GW、BWともに各条件においてクラックを生じることがなく良好な曲げ加工性を有する場合は「可(○)」とし、クラックのある場合は「不可(×)」と判定した。なお、上記条件を満たし、同じ組成かつ同強度の従来材に対し、曲げ改善した供試材については「良(◎)」とした。
曲げ加工試験方法については、JIS Z 2248に準じて行っている。TS=250〜400MPaのサンプルについては180°密着曲げ(押し曲げ法、R=0)を行い、TS=400〜500MPaのサンプルについては90°曲げ(W曲げ、R=0)を行った。サンプルは、圧延方向に垂直に幅10mm、長さ25mmに切出し、これに曲げの軸が圧延方向に直角になるように曲げたものをGW(Good Way)、圧延方向に平行になるように曲げたものをBW(Bad Way)とし、曲げ部を200倍の光学顕微鏡で観察し、クラックの有無を調査した。GW、BWともに各条件においてクラックを生じることがなく良好な曲げ加工性を有する場合は「可(○)」とし、クラックのある場合は「不可(×)」と判定した。なお、上記条件を満たし、同じ組成かつ同強度の従来材に対し、曲げ改善した供試材については「良(◎)」とした。
なお、a.Cube面積率、b.対応粒界Σ3の割合、e.引張強度[TS]、f.導電率[EC]、g.応力緩和率[SR]については、前記実施例1−1、比較例1−1と同様に試験と評価を行った。
表5−1は合金組成が本発明の規定範囲内の本発明に係る銅合金(合金No.2−1〜2−10)、表5−2は合金組成が本発明の規定範囲外の比較例の銅合金(合金No.2−11〜2−18)について示す。単位はmass%である。空欄は添加なしを示し、残部はCuと不可避不純物である。
以下、各合金の評価に対しては、以下のように2通り設けた。曲げ加工性、引張強度、導電性、耐応力緩和特性を合金特性として、これらの各特性の全てが本発明の規定又は好ましい値以上/以下の良好な特性を満たす場合、合金特性が十分であるとし、これらの各特性のいずれか一つでも満たしていない場合、合金特性が劣っているとした。また、同じ合金組成であって、かつ、本発明の製造方法によって得た銅合金材料について、曲げ加工性、耐応力緩和特性の一方、もしくは両方が従来の製造方法によって得た銅合金材料よりも良好化した場合は、従来にない優れた銅合金材料であると判断した。
また組織については、製品のCube面積率、対応粒界Σ3の割合状態について、本発明の規定を満たす場合を組織が規定範囲内とし、いずれか一方でもこの規定を満たしていない場合、組織が規定範囲外とした。また、製法10〜製法17、製法8、製法9として示した各製造工程について、本発明の規定の範囲内にある場合を製造工程条件が本発明の規定の範囲内であるとし、一方、工程の一つでも本発明の規定条件を満たしていない場合及び本発明の規定の範囲外にある工程が組み合わさっている場合をそれぞれ本発明の規定の範囲外とした。
また組織については、製品のCube面積率、対応粒界Σ3の割合状態について、本発明の規定を満たす場合を組織が規定範囲内とし、いずれか一方でもこの規定を満たしていない場合、組織が規定範囲外とした。また、製法10〜製法17、製法8、製法9として示した各製造工程について、本発明の規定の範囲内にある場合を製造工程条件が本発明の規定の範囲内であるとし、一方、工程の一つでも本発明の規定条件を満たしていない場合及び本発明の規定の範囲外にある工程が組み合わさっている場合をそれぞれ本発明の規定の範囲外とした。
表6−1は合金組成が本発明の規定範囲内であり、かつ本発明の規定の範囲内の製造方法で製造した本発明例を示す。これらの本発明例については本発明で規定する組織を満たしており、合金特性が良好であった。
また、表6−2は合金組成が本発明の規定の範囲外、しかし、本発明の規定の範囲内の製造方法で製造した比較例を示す。これらの比較例については、合金特性のいずれか一つ以上が劣っているか、製造途中で熱間割れを起こしてしまい、その後のプロセスを経ることができない結果であった。組織、および製造条件が本発明の規定の範囲内にあっても合金組成が本発明で規定する範囲外であると所望の合金特性に劣り、製造上問題をきたし不良品となることが分かる。
また、表6−2は合金組成が本発明の規定の範囲外、しかし、本発明の規定の範囲内の製造方法で製造した比較例を示す。これらの比較例については、合金特性のいずれか一つ以上が劣っているか、製造途中で熱間割れを起こしてしまい、その後のプロセスを経ることができない結果であった。組織、および製造条件が本発明の規定の範囲内にあっても合金組成が本発明で規定する範囲外であると所望の合金特性に劣り、製造上問題をきたし不良品となることが分かる。
表7−1は合金組成が本発明の規定の範囲内であり、しかし、本発明の規定の範囲外の製造方法で製造した比較例を示す。また、表7−2は合金組成が本発明の規定の範囲外であり、かつ本発明の規定の範囲外の製造方法で製造した比較例を示す。
これらの前記製法15で製造した比較例5−1〜5−10、5−11〜5−18においては、熱間圧延[工程2−3]での熱履歴が不十分であった為に、所望のCube方位の面積率とならなかった。
合金組成が本発明の規定の範囲内であっても、本発明の規定の範囲外の製造方法で製造した場合は規定の組織が得られず、合金特性が不十分である事が分かる。合金組成が本発明の規定の範囲外であると、組織の状態に関わらず合金特性が不十分である事が分かる。合金組成が本発明の規定の範囲外であると、本発明の規定の内外のいかなる製造方法で製造しても合金特性に劣る。
これらの前記製法15で製造した比較例5−1〜5−10、5−11〜5−18においては、熱間圧延[工程2−3]での熱履歴が不十分であった為に、所望のCube方位の面積率とならなかった。
合金組成が本発明の規定の範囲内であっても、本発明の規定の範囲外の製造方法で製造した場合は規定の組織が得られず、合金特性が不十分である事が分かる。合金組成が本発明の規定の範囲外であると、組織の状態に関わらず合金特性が不十分である事が分かる。合金組成が本発明の規定の範囲外であると、本発明の規定の内外のいかなる製造方法で製造しても合金特性に劣る。
表8−1、表8−2には合金組成を代表して、No.2−4、2−5、2−7、2−8、2−9について前記製法11〜14、16〜17、8、9で製造した銅合金材料の合金特性の結果を示す。製法11〜14の本発明の規定の範囲内の製造方法で製造した場合は合金特性を満たし、製法16〜17、8、9の本発明の規定の範囲外の製造方法で製造した場合はいずれかの合金特性が規格より大きく劣り、規格を満たしていても本発明例よりもその特性が大きく劣っている。また、特許文献4に相当する製法8、特許文献5に相当する製法9で製造した比較例においても同様の劣った結果となった。
この内、前記製法16で製造した比較例6−21〜6−25においては、熱間圧延[工程2−3]での熱履歴が不十分であった為に、所望のCube方位の面積率とならずに、曲げ加工性に劣った結果となった。
また、前記製法17で製造した比較例6−26〜6−30においては、最終の冷間圧延[工程2−8]の加工率が高すぎて強加工した為に、結晶粒が回転を起こして対応粒界Σ3やCube方位の面積率といった方位関係が破壊されてしまい、耐応力緩和特性と曲げ加工性に劣った結果となった。
前記製法8で製造した比較例6−31〜6−35においては、上記本発明に係る実施例とは製造条件で比較して、熱間圧延(前記[工程2−3]に相当する)後の冷間圧延(前記[工程2−4]に相当する)を行っておらず、最終の冷間圧延(前記[工程2−6]に相当する)で加工率が高すぎた。この比較例で得られた組織はCube方位の面積率が3%未満と小さすぎ、対応粒界Σ3の割合が20%未満と小さすぎて、耐応力緩和特性と曲げ加工性に劣った結果となった。
前記製法9で製造した比較例6−36〜6−40においては、上記本発明に係る実施例とは製造条件で比較して、中間熱処理(前記[工程2−5]に相当する)での加熱時間が長すぎ、熱処理(前記[工程2−7]に相当する)を3回繰り返して行った点でも異なる。この比較例で得られた組織はCube方位の面積率が3%未満と小さすぎて、曲げ加工性に劣った結果となった。
この内、前記製法16で製造した比較例6−21〜6−25においては、熱間圧延[工程2−3]での熱履歴が不十分であった為に、所望のCube方位の面積率とならずに、曲げ加工性に劣った結果となった。
また、前記製法17で製造した比較例6−26〜6−30においては、最終の冷間圧延[工程2−8]の加工率が高すぎて強加工した為に、結晶粒が回転を起こして対応粒界Σ3やCube方位の面積率といった方位関係が破壊されてしまい、耐応力緩和特性と曲げ加工性に劣った結果となった。
前記製法8で製造した比較例6−31〜6−35においては、上記本発明に係る実施例とは製造条件で比較して、熱間圧延(前記[工程2−3]に相当する)後の冷間圧延(前記[工程2−4]に相当する)を行っておらず、最終の冷間圧延(前記[工程2−6]に相当する)で加工率が高すぎた。この比較例で得られた組織はCube方位の面積率が3%未満と小さすぎ、対応粒界Σ3の割合が20%未満と小さすぎて、耐応力緩和特性と曲げ加工性に劣った結果となった。
前記製法9で製造した比較例6−36〜6−40においては、上記本発明に係る実施例とは製造条件で比較して、中間熱処理(前記[工程2−5]に相当する)での加熱時間が長すぎ、熱処理(前記[工程2−7]に相当する)を3回繰り返して行った点でも異なる。この比較例で得られた組織はCube方位の面積率が3%未満と小さすぎて、曲げ加工性に劣った結果となった。
上記の本発明例にみられるように、本発明の銅合金材料はEV、HEVを中心とした車載部品および周辺インフラや太陽光発電システムなどのリードフレーム、コネクタ、端子材等に好適である。
本発明をその実施態様とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
本願は、2011年8月29日に日本国で特許出願された特願2011−186253に基づく優先権を主張するものであり、これはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。
Claims (8)
- Crを0.1〜0.8mass%、並びに下記添加元素群1及び下記添加元素群2からなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.01〜0.5mass%含有し、残部が銅と不可避不純物からなり、
電子後方散乱回折測定における圧延面の結晶方位解析において、Cube方位{0 0 1}<1 0 0>からのずれが15°以内である方位を有する結晶粒の面積率が3%以上であり、かつ結晶粒界における対応粒界Σ3の割合が20%以上である銅合金材料。
添加元素群1:Mg、Ti及びZrからなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.01〜0.5mass%
添加元素群2:Zn、Fe、Sn、Ag、Si及びPからなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.005〜0.5mass% - 前記添加元素群1から選ばれる少なくとも一種及び前記添加元素群2から選ばれる少なくとも一種を合計で0.01〜0.5mass%含有する請求項1に記載の銅合金材料。
- 引張強さが400MPa以上、導電率が75%IACS以上である請求項1又は2に記載の銅合金材料。
- 請求項1に記載の組成を与える銅合金素材を、鋳造[工程1−1]した鋳塊に、600〜1025℃で10分〜10時間の均質化熱処理[工程1−2]、加工温度が500〜1020℃で加工率30〜98%の熱間圧延[工程1−3]、加工率50〜99%の冷間圧延[工程1−4]、300〜1000℃で5秒〜180分の中間熱処理[工程1−5]、加工率50〜95%の冷間圧延[工程1−6]、400〜650℃で30〜180分の時効処理[工程1−9]、及び550〜700℃で5秒〜10分の歪取焼鈍[工程1−11]を、この順に行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅合金材料の製造方法。
- Mgを0.01〜0.5mass%含有し、残部が銅と不可避不純物からなり、
電子後方散乱回折測定における圧延面の結晶方位解析において、Cube方位{0 0 1}<1 0 0>からのずれが15°以内である方位を有する結晶粒の面積率が3%以上であり、かつ結晶粒界における対応粒界Σ3の割合が20%以上である銅合金材料。 - Mgを0.01〜0.5mass%含有し、並びにZn、Sn、Ag、Si及びPからなる群から選ばれる少なくとも一種を合計で0.01〜0.3mass%含有し、残部が銅と不可避不純物からなり、
電子後方散乱回折測定における圧延面の結晶方位解析において、Cube方位{0 0 1}<1 0 0>からのずれが15°以内である方位を有する結晶粒の面積率が3%以上であり、かつ結晶粒界における対応粒界Σ3の割合が20%以上である銅合金材料。 - 引張強さが250MPa以上、導電率が75%IACS以上である請求項5又は6に記載の銅合金材料。
- 請求項5又は6に記載の組成を与える銅合金素材を、鋳造[工程2−1]した鋳塊に、600〜1025℃で10分〜10時間の均質化熱処理[工程2−2]、加工温度が500〜1020℃で加工率30〜98%の熱間圧延[工程2−3]、加工率50〜99%の冷間圧延[工程2−4]、300〜800℃で5秒〜180分の中間熱処理[工程2−5]、加工率50〜95%の冷間圧延[工程2−6]、300〜800℃で5秒〜180分の熱処理[工程2−7]、加工率10〜80%の冷間加工[工程2−8]、及び300〜600℃で5〜60秒の歪取焼鈍[工程2−9]を、この順に行うことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の銅合金材料の製造方法。
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