JPWO2012029717A1 - 銅合金板材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

曲げ加工性に優れ、優れた強度を有し、電気・電子機器用のリードフレーム、コネクタ、端子材等、自動車車載用などのコネクタや端子材、リレー、スイッチなどに適した、Tiを1.0〜5.0mass%含有し、残部が銅及び不可避不純物からなる銅合金板材であって、板材の厚さ方向でのEBSD測定における結晶方位解析において、Cube方位{001}<100>の面積率が5〜50%である銅合金材、およびその製造方法を提供する。

Description

本発明は銅合金板材およびその製造方法に関し、詳しくは車載部品用や電気・電子機器用部品、例えば、リードフレーム、コネクタ、端子材、リレー、スイッチ、ソケット、モーターなどに適用される銅合金板材およびその製造方法に関する。
車載部品用や電気・電子機器用のリードフレーム、コネクタ、端子材、リレー、スイッチ、ソケットなどの用途に使用される銅合金板材に要求される特性項目は、導電率、耐力(降伏応力)、引張強度、曲げ加工性、耐応力緩和特性がある。近年、電気・電子機器の小型化、軽量化、高機能化、高密度実装化や、使用環境の高温化に伴って、この要求特性が高まっている。
従来、一般的に電気・電子機器用材料としては、鉄系材料の他、リン青銅、丹銅、黄銅等の銅合金系材料も広く用いられている。これらの銅合金はSnやZnの固溶強化と、圧延や線引きなどの冷間加工による加工硬化の組み合わせにより強度を向上させている。この方法では、導電率が不十分であり、また、高い冷間加工率を加えることによって高強度を得ているために、曲げ加工性や耐応力緩和特性が不十分である。
これに替わる強化法として材料中に微細な第二相を析出させる析出強化がある。この強化方法は強度が高くなることに加えて、導電率を同時に向上させるメリットがあるため、多くの合金系で行われている。しかし、昨今の電子機器や自動車に使用される部品の小型化に伴って、使用される銅合金板材は、より高強度な銅合金系材料をより小さい半径で曲げ加工が施される様になっており、曲げ加工性に優れた銅合金板材が強く要求されている。従来のCu−Ti系において、高い強度を得るには、圧延加工率を高めて大きな加工硬化を得ていたが、この方法は先述した様に曲げ加工性を劣化させてしまい、高強度と良好な曲げ加工性を両立することができなかった。
この曲げ加工性向上の要求に対して、結晶方位の制御によって解決する提案がいくつかなされている。例えば、Cu−Ni−Si系銅合金において以下のような開示がなされている。特許文献1では、Cu−Ni−Si系銅合金において、結晶粒径と、{311}、{220}、{200}面からのX線回折強度Iがある条件を満たす様な結晶方位の場合に、曲げ加工性が優れることが見出されている。また、特許文献2では、Cu−Ni−Si系銅合金において、{200}面および{220}面からのX線回折強度がある条件を満足する結晶方位の場合に、曲げ加工性が優れることが見出されている。また、特許文献3では、Cu−Ni−Si系銅合金において、Cube方位{100}<001>の割合の制御によって曲げ加工性が優れることが見出されている。
また、Cu−Ti系銅合金においては次のような開示がある。特許文献4では、(311)面を発達させ、I(311)/I(111)≧0.5とすることでプレス打抜き性を向上させている。特許文献5では、TiとTi以外の第三元素の添加量、2段階で行う熱間圧延の各段階での温度と圧延率、冷間圧延の加工率、溶体化処理条件、時効析出条件を変更することで、平均結晶粒径と銅合金板材の板面におけるX線回折強度I{420}/I{420}>1.0を満たす結晶配向を有し、高強度かつノッチング後の曲げ加工性に優れる銅合金板材を提案している。特許文献6では、均質化条件、熱間圧延の最終パス温度、熱間圧延の各パスの平均加工度に加え、2段階で行う溶体化処理条件、各溶体化処理の後に行う冷間圧延での加工度、時効条件を変更することで、高い強度と優れた曲げ加工性と高い寸法安定性を有する銅合金を提案している。特許文献7では、{200}結晶面を主方位成分とする再結晶集合組織を得ることで、強度と曲げ加工性の両立を試みている。
また、電気・電子機器用途に使用される銅合金板材に要求される特性項目の一つとして、ヤング率(縦弾性係数)が低いことが求められている。近年コネクタなどの電子部品の小型化の進行に伴い、端子の寸法精度やプレス加工の公差が厳しくなっている。銅合金板材のヤング率を低減することで、コンタクト接圧に及ぼす寸法変動の影響を低減できるため、設計が容易となる。
特開2006−009137号公報 特開2008−013836号公報 特開2006−283059号公報 特開2006−249565号公報 特開2010−126777号公報 特開2007−270267号公報 特開2011−26635号公報
ところで、特許文献1または特許文献2に記載された発明においては、特定面からのX線回折による結晶方位の解析は、ある広がりを持った結晶方位の分布の中のごく一部の特定の面に関するものである。また、特許文献3に記載された発明においては、Cu−Ni−Si系合金についてCube方位面積率を50%以上に高めることで、強度と曲げ加工性を両立している。ここで、結晶方位の制御は溶体化熱処理後の圧延加工率の低減によって実現している。特許文献4に記載された発明においては、溶質原子を完全に固溶した状態で冷間圧延することによって、(311)面を発達させ、I(311)/I(111)≧0.5とすることでプレス打抜き性を向上させている。製造工程は、冷間圧延と再結晶焼鈍とその後工程で方位制御を行っている。特許文献5では、平均結晶粒径を5〜25μmとし、{420}結晶面を主方位成分とする集合組織を制御することで、ノッチング後の曲げ加工性を向上させている。製造方法においては、熱間圧延条件、冷間圧延条件、溶体化熱処理条件、時効析出条件に関する記載はあるが、熱間圧延は2段階で行っており、また、溶体化熱処理前の中間焼鈍とそれに続く冷間圧延とを行わずに溶体化処理を行っている。特許文献6では、第三元素群を第二相粒子として析出させることで、母相中に形成されるチタンの濃度波(いわゆる変調構造)の波長、振幅を安定化させている。さらに、この第二相粒子の数密度を制御することにより、強度と曲げ加工性を両立し、プレス加工の寸法精度も高めている。製造方法においては、最終溶体化前の冷間圧延加工率が70〜99%と高く、また、第一及び最終の2段階で行う溶体化処理においていずれも熱履歴が本発明で規定するものとは全く異なる。特許文献7では、溶体化熱処理にて再結晶粒の平均粒径を制御し、{200}結晶面を主方位成分とする再結晶集合組織を得ることで、強度と曲げ加工性を両立させている。工程においては、冷間圧延後の中間焼鈍にて、450〜600℃にて1〜20時間保持しており、本発明の条件とは大きく異なる。また、I{200}の回折強度を高めることで曲げ加工性を改善しているが、曲げシワ低減、ヤング率、たわみ係数に関しては記載されていない。
一方では、近年のますますの電気・電子機器の小型化、高機能化、高密度実装化等に伴い、電気・電子機器用の銅合金板材について、前述の各特許文献に記載された発明において想定されていた曲げ加工性よりも高い曲げ加工性、さらに、曲げ加工表面部の曲げシワの低減が要求されてきている。
Cu−Tiは、Tiの酸化を防止するために、鋳造は不活性ガス中もしくは真空溶解炉で行う必要があるが、それでも、鋳塊には酸化物からなる粗大な晶出物および析出物が存在し、80%以上の強加工(冷間圧延)の際にこれらの周りに転位、歪が導入され、Cube方位を成長させる再結晶溶体化熱処理にて方位回転を阻害する可能性が考えられる。
上記のような課題に鑑み、本発明の課題は、曲げ加工性に優れ、優れた強度を有し、電気・電子機器用のリードフレーム、コネクタ、端子材等、自動車車載用などのコネクタや端子材、リレー、スイッチなどに適した銅合金板材およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、電気・電子部品用途に適した銅合金板材について研究を行い、Cu−Ti系の銅合金において、曲げ加工性、強度、導電性、耐応力緩和特性を大きく向上させるために、Cube方位集積割合と曲げ加工性について相関があることを発見し、鋭意検討の末に、特定の銅合金組成において、特定の方位集合組織に制御することで、これら所望の特性を著しく向上させることができることを見出した。また、その結晶方位及び特性を有する銅合金板材において、さらに強度を向上させる働きのある添加元素を見出しさらに、それに加えて、本合金系において導電率や曲げ加工性を損なうことなく、強度を向上させる働きのある添加元素を見出した。また、上記の様な結晶方位を実現するための特定の工程を有してなる製造方法を見出した。本発明は、これらの知見に基づいてなされるに至ったものである。
すなわち、本発明によれば、以下の手段が提供される。
(1)Tiを1.0〜5.0mass%含有し、残部が実質的に銅及び不可避不純物からなる銅合金板材であって、EBSD測定における結晶方位解析において、Cube方位{0 0 1}<1 0 0>の面積率が5〜50%であることを特徴とする銅合金板材、
(2)前記銅合金が、さらに、Sn、Zn、Ag、Mn、B、P、Mg、Cr、Zr、Si、FeおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1つを合計で0.005〜1.0mass%含有することを特徴とする(1)に記載の銅合金板材、
(3)0.2%耐力が850MPa以上であり、曲げ加工性が90°W曲げ試験においてクラックがなく、曲げシワの小さい曲げ加工が可能な最小曲げ半径(r、mm)を板厚(t、mm)で割った値(r/t)が1以下である、(1)又は(2)に記載の銅合金板材、
(4)板材に一定の応力を加えた際の変位量を示す、引張試験で測定したヤング率が90〜120GPaであり、たわみ試験で測定したたわみ係数が80〜110GPaである、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の銅合金板材、
(5)前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の銅合金板材を製造する方法であって、前記銅合金板材を与える合金成分組成から成る銅合金素材に、鋳造[工程1]、均質化熱処理[工程2]、熱間圧延[工程3]、水冷[工程4]、冷間圧延[工程6]、中間焼鈍[工程7]、冷間圧延[工程8]及び中間溶体化熱処理[工程9]をこの順に施すことを特徴とする銅合金板材の製造方法、
(6)前記中間溶体化熱処理[工程9]の後で、時効析出熱処理[工程10]、仕上げ冷間圧延[工程11]及び調質焼鈍[工程12]をこの順に施すことを特徴とする(5)項に記載の銅合金板材の製造方法、
(7)前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の銅合金板材からなる銅合金部品、及び
(8)前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の銅合金板材からなるコネクタ。
本発明の銅合金板材は、曲げ加工性に優れ、優れた強度を示し、電気・電子機器用のリードフレーム、コネクタ、端子材等、自動車車載用などのコネクタや端子材、リレー、スイッチなどに特に適した性質を有する。また、本発明の製造方法によれば、上記銅合金板材を好適に製造することができる。
本発明の銅合金板材は、Tiを1.0〜5.0mass%含有し、残部が銅及び不可避不純物からなる組成を有し、EBSD測定における結晶方位解析において、Cube方位{0 0 1}<1 0 0>の面積率が5〜50%であるため、強度、曲げ加工性、導電率、耐応力緩和特性の各特性に優れ、自動車車載用や電気・電子機器の用途に好適な銅合金を提供することができる。
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、適宜添付の図面を参照して、下記の記載からより明らかになるであろう。
図1は{001}<100>Cube方位からのずれ角度が10°以内の例を示す模式図である。 図2は応力緩和特性の試験方法の説明図であり、図2(a)は熱処理前、図2(b)は熱処理後の状態をそれぞれ示す。 図3はJCBA T309:2001(仮)に基づく応力緩和試験方法の説明図である。
本発明の銅合金板材の好ましい実施の態様について、詳細に説明する。ここで、「銅合金材料」とは、(加工前であって所定の合金組成を有する)銅合金素材が所定の形状(例えば、板、条、箔、棒、線など)に加工されたものを意味する。その中で、板材とは、特定の厚みを有し形状的に安定しており面方向に広がりをもつものを指し、広義には条材を含む意味である。本発明において、板材の厚さは、特に限定されるものではないが、本発明の効果が一層よく顕れ実際的な用途に適合することを考慮すると、0.01〜1.0mmが好ましく、0.05〜0.5mmがより好ましい。
なお、本発明の銅合金板材は、その特性を圧延板の所定の方向における原子面の集積率で規定するものであるが、これは銅合金板材としてそのような特性を有しておれば良いのであって、銅合金板材の形状は板材や条材に限定されるものではない。本発明では、管材も板材として解釈して取り扱うことができるものとする。
[Cube方位の面積率]
銅合金板材の曲げ加工性を改善するために、本発明者らは曲げ加工部に発生するクラックの発生原因について調査した。その結果、塑性変形が局所的に発達して剪断変形帯を形成し、局所的な加工硬化によってマイクロボイドの生成と連結が起こり、成形限界に達することが原因であることを確認した。その対策として、曲げ変形において加工硬化が起きにくい結晶方位の割合を高めることが有効であることを知見した。即ち、板材の厚さ方向でのEBSD測定における結晶方位解析において、Cube方位{001}<100>の面積率が5%〜50%の場合に、良好な曲げ加工性を示すことを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至ったものである。Cube方位の面積率が上記下限値以上の場合は、上述した作用効果が十分に発揮される。また、上記上限値以下であると、再結晶処理の後の冷間圧延加工を低加工率で行わなくてよく、強度が著しく低下してしまうことがないため、好ましい。上記の観点から、Cube方位{001}<100>の面積率の好ましい範囲は7〜47%、更に好ましくは、10〜45%である。
[Cube方位以外の方位]
また、上記範囲のCube方位の他に、S方位{2 3 1}<3 4 6>、Copper方位{1 2 1}<1 1 1>、D方位{4 11 4}<11 8 11>、Brass方位{1 1 0}<1 1 2>、Goss方位{1 1 0}<0 0 1>、R1方位{3 5 2}<3 5 8>、RDW方位{1 0 2}<0 1 0>などが発生する。本発明においては、観測される全方位の面積に対して、Cube方位の面積率が上記の範囲にあれば、これらの方位成分を含んでいることは許容される。
[EBSD法]
本明細書における結晶方位の表示方法は、銅合金板材の長手方向(LD){板材の圧延方向(RD)に等しい}をX軸、板幅方向(TD)をY軸、板材の厚さ方向{板材の圧延法線方向(ND)に等しい}をZ軸とする直角座標系を取り、銅合金板材中の各領域において、Z軸に垂直な(圧延面(XY面)に平行な)結晶面の指数(h k l)と、X軸に垂直な(YZ面に平行な)結晶面の指数[u v w]とを用いて、(h k l)[u v w]の形で表す。また、(1 3 2)[6 −4 3]と(2 3 1)[3 −4 6]などのように、銅合金の立方晶の対称性のもとで等価な方位については、ファミリーを表すカッコ記号を使用し、{h k l}<u v w>と表す。
本発明における上記結晶方位の解析には、EBSD法を用いた。EBSD法とは、Electron Backscatter Diffraction(電子後方散乱回折)の略で、走査電子顕微鏡(SEM)内で試料に電子線を照射したときに生じる反射電子菊池線回折を利用した結晶方位解析技術のことである。結晶粒を200個以上含む、1ミクロン四方の試料面積に対し、0.5ミクロンなどのステップでスキャンし、方位を解析した。測定面積およびスキャンステップは試料の結晶粒の大きさによって調整した。各方位の面積率は、Cube方位{0 0 1}<1 0 0>の理想方位から±10°以内の面積の全測定面積に対する割合である。EBSDによる方位解析において得られる情報は、電子線が試料に侵入する数10nmの深さまでの方位情報を含んでいるが、測定している広さに対して充分に小さいため、本明細書中では面積率として記載した。また、方位分布は板厚方向に変化しているため、EBSDによる方位解析は板厚方向に何点かを任意にとって平均を取ることが好ましい。
各方位の面積率とは、各理想方位からのずれ角度が10°以内の領域の面積を、測定面積で割って算出したものである。
理想方位からのずれ角度については、共通の回転軸を中心に回転角を計算し、ずれ角度とする。図1に、Cube方位からのずれ角度が10°以内の方位の例を示す。ここでは、(100)及び(110)及び(111)の回転軸に関して、10°以内の方位を示しているが、あらゆる回転軸に関してCube方位との回転角度を計算することができる。回転軸は最も小さいずれ角度で表現できるものを採用し、全ての測定点に対してこのずれ角度を計算し、各方位から10°以内の方位を持つ結晶粒の面積の和を全測定面積で除し、面積率とする。
EBSDによる方位解析において得られる情報は、電子線が試料に侵入する数10nmの深さまでの方位情報を含んでいるが、測定している広さに対して小さすぎるため、本明細書中では面積率を用いる。方位分布は銅合金板材の板材表面から測定し、方位分布が板厚方向に変化している場合は、EBSDによる方位解析は板厚方向に何点かを任意にとって平均を取った値をいう。
ここで、EBSD測定の特徴について、X線回折測定との対比として説明する。
まず1点目に挙げられるのは、X線回折の方法で測定可能なのは、ブラッグの回折条件を満足し、かつ充分な回折強度が得られる、ND//(111)、(200)、(220)、(311)、(420)面の5種類のみであり、Cube方位からのずれ角度が15〜30°に相当する、例えばND//(511)面やND//(951)面などの高指数で表現される結晶方位については、測定出来ない。即ち、EBSD測定を採用することにより、初めて、それらの高指数で表現される結晶方位に関する情報が得られ、それにより特定される金属組織と作用の関係が明らかになる。
2点目は、X線回折はND//{hkl}の±0.5°程度に含まれる結晶方位の分量を測定しているのに対し、EBSD測定によれば菊池パターンを利用するため、特定の結晶面に限定されない、桁違いに広範な金属組織に関する情報が網羅的に得られ、合金材料全体としてX線回折では特定することが難しい状態が明らかになる。
以上のとおり、EBSD測定とX線回折測定とで得られる情報はその内容及び性質が異なる。
なお、本明細書において特に断らない限り、EBSDの測定は、銅合金板材のND方向に対して行ったものである。
[X線回折強度]
本発明では、合金板表面における{200}面からのX線回折強度をI{200}とし、純銅標準粉末の{200}面からのX線回折強度をI{200}とする場合、下記(a)の式を満たすことが好ましく、下記(b)の式を満たす結晶配向を有することがさらに好ましい。
I{200}/I{200}≧ 1.3 式(a)
I{200}/I{200}≧ 2.5 式(b)
[Ti]
本発明において、銅(Cu)に添加するチタン(Ti)について、添加量を制御することにより、Cu−Ti化合物を析出させて銅合金の強度を向上させることができる。Tiの含有量は1.0〜5.0mass%、好ましくは2.0〜4.0mass%である。この元素はこの規定範囲よりも添加量が多いと導電率を低下させ、また、少ないと強度が不足する。なお、本発明に係る銅合金のように第二合金成分としてTiを含有するものを「Ti系銅合金」と呼ぶことがある。
[副添加元素]
次に本合金への副添加元素の効果について示す。好ましい副添加元素としては、Sn、Zn、Ag、Mn、B、P、Mg、Cr、Zr、Si、FeおよびHfが挙げられる。これらの副添加元素の含有量は、Sn、Zn、Ag、Mn、B、P、Mg、Cr、Zr、Si、FeおよびHfからなる群から選ばれた少なくとも1種の総量で1質量%以下であると導電率を低下させる弊害を生じないため好ましい。添加効果を充分に活用し、かつ導電率を低下させないためには、この総量で、0.005〜1.0質量%であることが好ましく、0.01〜0.9質量%がさらに好ましく、0.03mass%〜0.8mass%であることが特に好ましい。以下に、各元素の添加効果の例を示す。
(Mg、Sn、Zn)
Mg、Sn、Znは、添加することで耐応力緩和特性を向上する。それぞれを単独で添加した場合よりも併せて添加した場合に相乗効果によって更に耐応力緩和特性が向上する。また、半田脆化が著しく改善する効果がある。
(Mn、Ag、B、P)
Mn、Ag、B、Pは添加すると熱間加工性を向上させるとともに、強度を向上する。
(Cr、Zr、Si、Fe、Hf)
Cr、Zr、Si、Fe、Hfは、化合物や単体で微細に析出し、析出硬化に寄与する。また、化合物として50〜500nmの大きさで析出し、粒成長を抑制することによって結晶粒径を微細にする効果があり、曲げ加工性を良好にする。
[銅合金板材の製造方法]
次に、本発明の銅合金板材の好ましい製造条件について説明する。
従来の析出型銅合金の製造方法は、銅合金素材を鋳造[工程1]して鋳塊を得て、これを均質化熱処理[工程2]し、熱間圧延[工程3]、水冷[工程4]、面削[工程5]、冷間圧延[工程6]をこの順に行い薄板化し、700〜1000℃の温度範囲で中間溶体化熱処理[工程9]を行って溶質原子を再固溶させた後に、時効析出熱処理[工程10]と仕上げ冷間圧延[工程11]によって必要な強度を満足させるものである。この一連の工程の中で、銅合金板材の集合組織は、中間溶体化熱処理中[工程9]に起きる再結晶によっておおよそが決定し、仕上げ圧延[工程11]中に起きる方位の回転により、最終的に決定される。
上記従来方に対して、本発明の一実施形態においては、熱間圧延[工程3]後に、水冷[工程4]、面削[工程5]し、冷間圧延[工程6]により圧延率80%以上99.8%以下で圧延し、その後に、再結晶しない程度に昇温速度10〜30℃/秒にて600〜800℃まで到達後、200℃/秒以上で急冷する中間焼鈍[工程7]を行い、更に、2〜50%の加工率の冷間圧延[工程8]を行うことによって、中間溶体化熱処理[工程9]の再結晶集合組織においてCube方位の面積率が増加する。また、中間溶体化熱処理[工程9]後には、時効析出熱処理[工程10]、仕上げ冷間圧延[工程11]及び調質焼鈍[工程12]を施してもよい。
以下に、各工程の条件をより詳細に設定した好ましい一実施態様について記載する。
少なくともTiを1.0〜5.0質量%含有し、他の前記副添加元素については適宜含有するように元素を配合し、残部がCuと不可避不純物から成る銅合金素材を高周波溶解炉により溶解し、これを0.1〜100℃/秒の冷却速度で鋳造[工程1]して鋳塊を得る。これを800〜1020℃で3分から10時間の均質化熱処理[工程2]後、1020〜700℃で熱間加工[工程3]を行った後に水焼入れ(水冷[工程4]に相当)を行う。この後、必要により、酸化スケール除去のために面削[工程5]を行ってもよい。その後に、加工率80〜99.8%の冷間圧延[工程6]し、次に昇温速度10〜30℃/秒で加熱し、600〜800℃まで到達後、200℃/秒以上にて急冷する中間焼鈍[工程7]を行い、更に、2〜50%の加工率の冷間圧延[工程8]を行い、600〜1000℃で5秒〜1時間の中間溶体化熱処理[工程9]を行う。この後、400〜700℃で5分〜10時間の時効析出熱処理[工程10]、加工率が3〜25%の仕上冷間圧延[工程11]、200〜600℃で5秒〜10時間の調質焼鈍[工程12]を行ってもよい。以上の方法によって、本発明の銅合金板材を得ることができる。
本実施形態において、熱間圧延[工程3]では、再熱温度から700℃の温度域で、鋳造組織や偏析を破壊し均一な組織にするための加工と、動的再結晶による結晶粒の微細化のための加工を行う。中間焼鈍[工程7]にて合金中の組織を全面再結晶させない程度に熱処理を行った後、加工率2〜50%の冷間圧延[工程8]を行い、中間溶体化[工程9]での再結晶集合組織においてCube方位の面積率が増加する。ここで、中間溶体化[工程9]前の中間焼鈍[工程7]の熱処理到達温度を本発明の規定値より高くすると、酸化スケールが形成され好ましくないため、この中間焼鈍[工程7]での熱処理到達温度は600〜800℃とする。中でも特に、一義的には断定しがたいが、中間焼鈍[工程7]にて焼鈍到達温度を指定すること、冷間圧延[工程8]での加工率を調整することによりCube方位面積率が増加する傾向がある。つまり、中間焼鈍[工程7]では、焼鈍到達温度に保持することはなく、所定の昇温速度で加熱して、目標とする焼鈍到達温度に到達したら、直ちに所定の冷却速度で冷却する。
ここで、中間焼鈍[工程7]の昇温速度が10℃/秒より遅いと、粒成長が進行し結晶粒が粗大化し曲げシワが大きくなってしまう。昇温速度が30℃/秒より速いと、Cube方位が十分に発達せず、曲げ加工性が劣る。また、到達温度が600℃より低い場合、Cube方位が発達せず曲げ加工性が劣り、800℃より高い場合は、粒成長が進行し結晶粒が粗大化し曲げシワが大きくなり特性が劣る。また、上で述べたように、加工率80〜99.8%の冷間圧延[工程6]のような強加工を施すことにより、鋳造で生じる粗大な晶出物、析出物の周りに転位、歪が導入され、Cube方位を成長させる中間溶体化熱処理[工程9]にて方位回転を阻害する可能性が考えられるが、中間焼鈍[工程7]を施すことによって、ここでの転位、歪が開放されるため、中間溶体化熱処理[工程9]ではCube方位成長の阻害は抑制される。
次に2〜50%の加工率にて冷間圧延[工程8]を施す。ここで、加工率が2%より低いと、加工歪が小さく、中間溶体化熱処理[工程9]にて結晶粒径が粗大化し、曲げシワが大きくなり特性が劣る。加工率が50%より高いと、Cube方位が十分に発達せず曲げ加工性が劣る。
中間溶体化熱処理[工程9]後には、時効析出熱処理[工程10]、仕上げ冷間圧延[工程11]、調質焼鈍[工程12]を施す。ここで、時効析出熱処理[工程10]の処理温度は、中間溶体化熱処理[工程9]の処理温度よりも低い。また、調質焼鈍[工程12]の処理温度は、中間溶体化熱処理[工程9]の処理温度よりも低い。
再結晶集合組織においてCube方位の面積率を増加させるために、仕上げ冷間加工[工程11]を行う。なおかつ結晶方位を一定方向に制御することでCube方位の発達に寄与する。
冷間圧延[工程6]により更なる加工歪を入れ、中間焼鈍[工程7]にて、昇温速度10〜30℃/秒、到達温度600〜800℃、到達後急冷の熱処理を加えることで、中間溶体化処理[工程9]で生じる再結晶集合組織においてCube方位面積率が増加する。中間焼鈍[工程7]では完全には再結晶しておらず、部分的に再結晶している亜焼鈍組織を得ることが目的である。冷間圧延[工程8]では、加工率2〜50%の圧延によって、微視的に不均一な歪を導入することが目的である。中間焼鈍[工程7]と冷間圧延[工程8]の作用効果によって、中間溶体化処理[工程9]におけるCube方位の成長を可能にする。通常、中間溶体化処理[工程9]のような熱処理は次工程での荷重を低減するために銅合金板材を再結晶させて強度を落とすことが主目的であるが、本発明ではその目的とは異なる。
上記各圧延工程での加工率(圧下率、断面減少率とも言う。以下の比較例で言う圧延率も同義である。)は、圧延工程前の板厚tと圧延工程後の板厚tを用いて、下式の様に算出される値をいう。
加工率(%)=((t−t)/t)×100
材料表面のスケールのための面削、酸洗浄などによる溶解を、必要に応じて行ってもよい。圧延後の形状が良好でない場合は、テンションレベラーなどによる矯正を、必要に応じて行ってもよい。
各熱処理や圧延の後に、板材表面の酸化や粗度の状態に応じて酸洗浄や表面研磨を、形状に応じてテンションレベラーによる矯正を行っても、Cube方位{0 0 1}<1 0 0>の面積率が本発明の範囲内であれば問題はない。
[銅合金板材の特性]
上記内容を満たすことで、たとえばコネクタ用銅合金板材に要求される特性を満足することができる。本発明において、銅合金板材は下記の特性を有することが好ましい。
・0.2%耐力が850MPa以上であることが好ましい。更に好ましくは950MPa以上である。0.2%耐力の上限値は、特に制限はないが、通常、1000MPa以下である。この詳細な測定条件は特に断らない限り実施例に記載のとおりとする。
・曲げ加工性が90°W曲げ試験においてクラックがなく、曲げシワの小さい曲げ加工が可能な最小曲げ半径(r)を板厚(t)で割った値(r/t)が1以下であることが好ましい。曲げシワに関しては、シワ間隔が、曲げシワはGWで20μm以下、BWで25μm以下であることが好ましい。更に好ましくは、GWで15μm以下、BWで20μm以下のシワ間隔である。この詳細な測定条件は特に断らない限り実施例に記載のとおりとする。ここで、圧延方向に垂直に切出した供試材において、曲げの軸が圧延方向に直角になるようにW曲げしたものをGW(Good Way)、曲げの軸が圧延方向に平行になるようにW曲げしたものをBW(Bad Way)という。
・導電率が5%IACS以上であることが好ましい。更に好ましくは導電率が10%IACS以上である。導電率の上限値は、特に制限はないが、通常、30%IACS以下である。この詳細な測定条件は特に断らない限り実施例に記載のとおりとする。
・ヤング率は90〜120GPa、たわみ係数は80〜110GPaであることが好ましい。更に好ましくはヤング率が100〜110GPa、たわみ係数が90〜100GPaである。この詳細な条件は、特に断らない限り実施例に記載のとおりとする。
・耐応力緩和特性は5%以下の良好な特性を、本発明により実現することができる。この詳細な条件は、特に断らない限り実施例に記載のとおりとする。
以下に、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
(実施例1)
本発明1〜本発明例21、比較例1〜比較例17について、表1に示す組成となるように、主原料CuとTi、試験例によってはそれ以外の副添加元素とを配合し、溶解・鋳造した。
すなわち、Ti等を表1に示した量含有し、残部がCuと不可避不純物から成る合金を高周波溶解炉により溶解し、これを0.1〜100℃/秒の冷却速度で鋳造[工程1]して鋳塊を得た。これを800〜1020℃で3分から10時間の均質化熱処理[工程2]後、1020〜700℃で熱間加工[工程3]を行った。その後、水焼入れ(水冷[工程4]に相当)し、酸化スケール除去のために面削[工程5]を行った。その後、加工率80〜99.8%の冷間圧延[工程6]、次に昇温速度10〜30℃/秒で加熱し、600〜800℃まで到達後、200℃/秒以上にて急冷する中間焼鈍[工程7]を行い、更に、2〜50%の加工率の冷間圧延[工程8]、600〜1000℃で5秒〜1時間の中間溶体化処理[工程9]を実施した。次に、400〜700℃で5分間〜1時間の時効析出熱処理[工程10]を行い、3〜25%の圧延率で仕上冷間圧延[工程11]、200〜600℃で5秒〜10時間の調質焼鈍[工程12]を行って供試材とした。比較例では、表2の通り、中間焼鈍[工程7]と冷間圧延[工程8]で前記条件から外して実施したものがある。これらの供試材の組成、中間焼鈍[工程7]と冷間圧延[工程8]での条件、および得られた特性を、本発明例および比較例について、表1、表2に示す。各熱処理や圧延の後に、材料表面の酸化や粗度の状態に応じて酸洗浄や表面研磨を、形状に応じてテンションレベラーによる矯正を行った。なお、熱間加工[工程3]での加工温度は、圧延機の入り側と出側に設置してある放射温度計により測定した。
これらの供試材について下記の特性調査を行った。ここで、供試材の厚さは0.15mmとした。評価結果を表2に示す。
a.Cube方位とS方位の面積率
EBSD法により、測定面積が0.08〜0.15μm、スキャンステップが0.5〜1μmの条件で測定を行った。測定面積は結晶粒を200個以上含むことを基準として調整した。スキャンステップは結晶粒径に応じて調整し、平均結晶粒径が15μm以下の場合は0.5μmステップで、30μm以下の場合は1μmステップで行った。電子線は走査電子顕微鏡のWフィラメントからの熱電子を発生源とした。
EBSD法の測定装置としては、(株)TSLソリューションズ製 OIM5.0(商品名)を用いた。
b.曲げ加工性
圧延方向に垂直に幅10mm、長さ35mmに切出し、これに曲げの軸が圧延方向に直角になるようにW曲げしたものをGW(Good Way)、曲げの軸が圧延方向に平行になるようにW曲げしたものをBW(Bad Way)とし、曲げ部を50倍の光学顕微鏡で観察し、クラックの有無を調査した。クラックのないものを○(「良」)、クラックのあるものを×(「劣」)と判定した。各曲げ部の曲げ角度は90°、各曲げ部の内側半径は0.15mmとした。すなわち、最小曲げ半径(r)が0.15mm、板厚(t)が0.15mm、その比(r/t)が1となる条件とした。
c.曲げシワの判定
90°W曲げ試験、180°密着曲げ試験を行ったサンプルの曲げ加工部表面の曲げシワの判定を行った。サンプルを樹脂埋めし、曲げ断面をSEM観察した。シワのサイズは、断面観察で見られる、シワの溝と溝の間の寸法より測定した。曲げシワに関しては、シワ間隔が、曲げシワはGWで20μm以下、BWで25μm以下であれば合格と判定した。
d.0.2%耐力 [YS]
圧延平行方向から切り出したJIS Z2201−13B号の試験片をJIS Z2241に準じて3本測定しその平均値を示した。
e.導電率 [EC]
20℃(±0.5℃)に保たれた恒温槽中で四端子法により比抵抗を計測して導電率を算出した。なお、端子間距離は100mmとした。
f.ヤング率
試験片は、圧延平行方向から切り出し、幅20mm、長さ150mm、平行度は50mmあたり0.05mm以下になるように加工した。ヤング率は、引張試験による応力−ひずみ線図の弾性領域の傾きから算出した値を示した。
g.たわみ係数
試験片は、圧延平行方向から切り出し、日本伸銅協会技術標準により幅を10mm、板厚0.1〜0.65mm、長さは板厚の100倍以上とした。JIS H 3130に準じて、梁(片持ち梁)をたわませた際の応力−ひずみ線図における弾性領域での傾きを、各試験片の表裏についてそれぞれ2回ずつ測定し、その平均値を示した。
h.X線回折強度
反射法で試料に対して1つの回転軸の回りの回折強度を測定した。ターゲットには銅を使用し、KαのX線を使用した。管電流20mA、管電圧40kV、の条件で測定し、回折角と回折強度のプロファイルにおいて、回折強度のバックグラウンドを除去後、各ピークのKα1とKα2を合わせた積分回折強度を求め、I{200}とI{200}の回折強度比I{200}/I{200}を求めた。
i.応力緩和率 [SRR]
旧日本電子材料工業会標準規格(EMAS−3003)に準じ、以下に示すように、150℃×1000時間の条件で測定した。片持ち梁法により耐力の80%の初期応力を負荷した。
図2は応力緩和特性の試験方法の説明図であり、図2(a)は熱処理前、図2(b)は熱処理後の状態である。図2(a)に示すように、試験台4に片持ちで保持した試験片1に、耐力の80%の初期応力を付与した時の試験片1の位置は、基準からδの距離である。これを150℃の恒温槽に1000時間保持し、負荷を除いた後の試験片2の位置は、図1(b)に示すように基準からHの距離である。3は応力を負荷しなかった場合の試験片であり、その位置は基準からHの距離である。この関係から、応力緩和率(%)は(H−H)/δ×100と算出した。
なお、同様の試験方法として以下の方法も適用可能である;日本伸銅協会(JCBA:Japan Copper and Brass Association)の技術標準案である「JCBA T309:2001(仮);銅及び銅合金薄板条の曲げによる応力緩和試験方法」;米国材料試験協会(ASTM;American Society for Testing and Materials)の試験方法である「ASTM E328;Standard Test Methods for Stress Relaxation Tests for Materials and Structures」;など。
図3は、上述のJCBA T309:2001(仮)に基づく、下方たわみ式片持ちねじ式のたわみ変位負荷用試験ジグを用いた応力緩和試験方法の説明図である。この試験方法の原理は、図2の試験台を用いた試験方法と同様のため、応力緩和率の値もほぼ同様の値となる。
この試験方法では、まず、試験片11を試験ジグ(試験装置)12に取り付け、所定の変位を室温で与え、30秒間保持後除荷し、試験ジグ12の底面を基準面13とし、この面13と試験片11のたわみ負荷点との距離をHとして測定する。所定の時間が経過したら恒温槽又は加熱炉から試験ジグ12を常温に取り出し、たわみ負荷用ボルト14をゆるめ除荷する。試験片11を常温まで冷却後、基準面13と試験片11のたわみ負荷点との距離Hを測定する。測定後、再びたわみ変位を与える。なお、図中、11は除荷時の試験片を表し、15はたわみ負荷時の試験片を表す。永久たわみ変位δを次の式によって求める。
δ=H−H
この関係から、応力緩和率(%)はδ/δ×100と算出した。
なお、δは所定の応力を得るのに必要な試験片の初期たわみ変位で、次の式で算出する。
δ=σl /1.5Eh
ここで、σ:試験片の表面最大応力(N/mm);h:板厚(mm)、E:たわみ係数(N/mm)、l:スパン長さ(mm)である。
Figure 2012029717
Figure 2012029717
表2に示すように、本発明例1〜本発明例21の製造方法で、中間焼鈍[工程7]は昇温速度10〜30℃/秒、到達温度は600〜800℃、温度到達後水焼入れによる急冷(冷却速度200℃/秒以上)で熱処理された。その後、2〜50%の加工率の冷間圧延[工程8]での処理に付した。比較例1〜比較例17では、本発明の製造方法における規定を満たさない場合を示した。比較例5、6、16、17はTi成分が範囲外であり、比較例1〜比較例17の中間焼鈍[工程7]は、比較例1、4、6、8、11、12、16、17で昇温速度が範囲外であり、比較例3〜6、10、11、14〜17では到達温度が範囲外であった。また、比較例2、6、7、9、12、13、15〜16では、冷間圧延[工程8]の加工率が範囲外であった。また、表1に示すように、比較例10では第三元素の添加量が、規定値である0.005〜1.0%の範囲を超えて多かった。
表2に示すように、本発明例1〜本発明例21は、曲げ加工性、耐力に優れた。しかし、比較例1〜比較例17に示すように、本発明の規定を満たさない場合は、特性が劣る結果となった。本発明例1〜本発明例21は、固溶温度より低い温度域で熱処理することによって、チタン銅の結晶方位回転を促進し、最終的にCube方位面積率を大幅に高め、曲げ性を改善した。本発明例1〜本発明例21はいずれもCube方位が5%以上となった。本発明例1〜本発明例21の曲げ加工表面部シワはGW≦20μm、BW≦25μmのサイズとなり、クラックが無くなり、曲げシワも小さいことから、曲げ加工性に優れていた。また、ヤング率とたわみ係数も規定の範囲内であった。
一方、比較例1〜7、比較例9、10、比較例12〜14、比較例16、17では曲げ表面にクラックが生じていた。比較例1〜17のCube方位面積率はいずれも規定値である5〜50%の範囲外であった。その中でも、Cube方位面積率の低い比較例5は曲げ加工性が劣り、Cube方位面積率の高い比較例8は耐力が劣っていた。
X線回折積分強度比I{200}/I{200}は、比較例1〜比較例17の内、比較例8、比較例11を除いて、すべて規定値の1.3以下であった。比較例8、比較例11は、1.3以上を示したが、耐力が劣っていた。
比較例5、6、16、17のTi含有量は、規定値である1.0〜5.0%の範囲外であった。
比較例1〜比較例17は、中間焼鈍の昇温速度、到達温度、冷間圧延加工率のいずれかが規定値の範囲外であり、特性も規定の範囲外となった。比較例1、比較例3、比較例4、比較例7〜9、比較例11、比較例13〜17では、ヤング率の規定値である90〜120GPaの範囲外であった。また、比較例1、比較例3〜8、比較例10〜11、比較例13〜17ではたわみ係数の規定値である80〜110GPaの範囲外であった。また、比較例10では第三元素の添加量が規定値よりも多く、導電率が低下しており、比較例14では第三元素添加量が規定値よりも少なかったが、これよりも、中間焼鈍での到達温度が高すぎたために、曲げ加工でクラックやシワを生じ、耐力(強度)が低く、ヤング率とたわみ係数が高すぎた。比較例15は、GW、BWともにクラック無く曲がっており、耐力も規定値を満たしているものの、曲げ加工表面部のシワが大きく、ヤング率、たわみ係数も規定値の上限を上回り、特性が劣っていた。比較例16、17では、Tiの含有量、製造工程のいずれも規定の範囲から外れており、Cube方位面積率、I{200}回折強度のいずれも規定の範囲外であった。
比較例3〜6、9、14〜17は、Cube方位の面積率が範囲外であり、さらに(耐応力緩和特性を向上させる)元素が添加されていないために、本発明例1〜21に比べ、耐応力緩和特性が劣る結果となった。
本発明においては、中間焼鈍[工程7]の昇温速度、到達温度、冷間圧延[工程8]の加工率を制御することで、目標組織が得られ、曲げ加工性と強度を両立し、さらに曲げ加工表面部のシワのサイズ、ヤング率、たわみ係数を満足したチタン銅合金板材を得ることができる。
(従来例)
下記表3に記載の合金組成(残部は銅(Cu))に対して、中間焼鈍[工程7]とその後の冷間圧延[工程8]を行わない以外は、前記実施例1と同様にして、銅合金板材を作製した。その結果得られた銅合金板材の供試材について、前記実施例1と同様の方法で評価を行った。その結果を表3に併せて示す。
Figure 2012029717
表3から明らかなように、中間焼鈍[工程7]とその後の冷間圧延[工程8]を介さずに作製した従来例1〜3の銅合金板材は、所定の合金組成と、これら2つの工程以外の製造条件(各工程と条件)を採用したとしても、いずれもCube方位の面積率が少なく、曲げ加工性が劣ってクラックを生じたか著しく大きなシワを生じていた。
これらとは別に、従来の製造条件により製造した銅合金板材について、本発明に係る銅合金板材との相違を明確化するために、その従来の製造条件で銅合金板材を作製し、上記と同様の特性項目の評価を行った。なお、各板材の厚さは特に断らない限り上記実施例と同じ厚さになるように加工率を調整した。
(比較例101)・・・特開2011−26635公報本発明例1の条件
3.25質量%のTiを含み、残部がCuからなる組成の銅合金を溶製し、縦型半連続鋳造機を用いて鋳造した。
得られた鋳片を950℃に加熱し、950℃から400℃まで温度を下げながら熱間圧延を行って、厚さ約9mmの板材にした後、水冷によって急冷し、その後、表層の酸化層を機械研磨により除去(面削)した。その板材の厚さは、その後の各冷間圧延の圧延率と最終板厚との関係より決めたものである。次いで、84%の圧延率で第1の冷間圧延を行った後、中間焼鈍処理に供した。中間焼鈍(熱処理)は、550℃で6時間行った。中間焼鈍前後の導電率をそれぞれEbおよびEa、ビッカース硬さをそれぞれHbおよびHaとして、Ea/Ebが3.3、Ha/Hbが0.72であった。その後、圧延率86%で第2の冷間圧延を行った。
次いで、圧延板の表面における(JIS H0501の切断法による)平均結晶粒径が5μmより大きく且つ25μm以下になるように、合金の組成に応じて900℃で15秒間保持して溶体化処理を行った。
続く中間圧延は省略して行わなかった。
次いで、450℃で時効処理を行った。時効処理時間は、銅合金の組成に応じて、450℃の時効で硬さがピークになる時間に調整した。なお、この時効処理時間については、本発明例1の合金の組成に応じて最適な時効処理時間を予備実験により求めた。
次いで、上記時効処理後の板材に対して、更に15%の圧延率で仕上げ冷間圧延を施した。さらに、炉温450℃での焼鈍炉内に保持時間1minの低温焼鈍を実施した。なお、必要に応じて途中で研磨、面削を行い、板厚は0.10mmに揃えた。
これを試料c01とした。
得られた試験体c01は、上記本発明に係る実施例とは製造条件について、中間焼鈍処理の処理温度が低く処理時間が長い点で異なり、前記中間焼鈍処理後の第2の冷間圧延における圧延率が大きい点でも異なり、Cube方位は5%未満であり、圧延垂直方向の曲げ加工性について本発明の要求特性を満たさない結果となった。
(比較例102)・・・特開2010−126777号公報実施例1の条件
3.18質量%のTiを含み、残部がCuからなる銅合金を溶製し、縦型半連続鋳造機を用いて鋳造して、厚さ60mmの鋳片を得た。
その鋳片を950℃に加熱した後に抽出し、熱間圧延を開始した。この熱間圧延では、750℃以上の温度域における圧延率が60%以上になり且つ700℃未満の温度域でも圧延が行われるようにパススケジュールを設定した。なお、700℃未満〜500℃における熱間圧延率を42%とし、熱間圧延の最終パス温度は600℃〜500℃の間とした。また、鋳片からのトータルの熱間圧延率は約95%であった。熱間圧延後、表層の酸化層を機械研磨により除去(面削)した。
次いで、圧延率98%で冷間圧延を行った後、溶体化処理を行った。この溶体化処理では、溶体化処理後の平均結晶粒径(双晶境界を結晶粒界とみなさない)が5〜25μmになるように、その合金組成に応じて750〜1000℃の温度域で該合金組成の固溶線より30℃以上高い温度に設定し、保持時間を5秒〜5分間の範囲で調整して熱処理を行った。具体的には、900℃で15秒間の熱処理を行った。
次いで、溶体化処理後の板材に対して、圧延率15%で冷間圧延を行った
このようにして得られた板材について、予備実験として300〜550℃の温度範囲で最大24時間までの時効処理実験を行って、合金組成に応じて最大硬さになる時効処理条件(時効温度T(℃)、時効時間t(分)、最大硬さH(HV))を把握した。そして、時効温度をT±10℃の範囲内の温度に設定するとともに、時効時間をtより短い時間であり且つ時効後の硬さが0.90H〜0.95Hの範囲になる時間に設定した。
次に、時効処理後の板材に対して、圧延率10%で仕上げ冷間圧延を行った後、450℃の焼鈍炉内で1分間保持する低温焼鈍を行った。
このようにして銅合金板材を得た。なお、必要に応じて途中で面削を行い、銅合金板材の板厚を0.15mmに揃えた。これを試料c02とした。
得られた試験体c02は、上記本発明に係る実施例とは製造条件について、熱間圧延を2段階で行っている点で異なり、溶体化処理前の中間焼鈍[工程7]と冷間圧延[工程8]とを行わずに溶体化処理を行っていて、冷間圧延[工程6]より後の熱処理と冷間圧延の工程が異なり、Cube方位は5%未満であり、圧延垂直方向の曲げ加工性について本発明の要求特性を満たさない結果となった。
本発明をその実施態様とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
本願は、2010年8月31日に日本国で特許出願された特願2010−195120に基づく優先権を主張するものであり、これはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。
1 初期応力を付与した時の試験片
2 負荷を除いた後の試験片
3 応力を負荷しなかった場合の試験片
4 試験台
11 試験片(除荷時)
12 試験ジグ
13 基準面
14 たわみ負荷用ボルト
15 試験片(たわみ負荷時)
すなわち、本発明によれば、以下の手段が提供される。
(1)Tiを1.0〜5.0mass%含有し、残部が実質的に銅及び不可避不純物からなる銅合金板材であって、EBSD測定における結晶方位解析において、Cube方位{0 0 1}<1 0 0>の面積率が5〜50%であることを特徴とする銅合金板材、
(2)前記銅合金が、さらに、Sn、Zn、Ag、Mn、B、P、Mg、Cr、Zr、Si、FeおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1つを合計で0.005〜1.0mass%含有することを特徴とする(1)に記載の銅合金板材、
(3)0.2%耐力が850MPa以上であり、曲げ加工性が90°W曲げ試験においてクラックがなく、曲げシワの小さい曲げ加工が可能な最小曲げ半径(r、mm)を板厚(t、mm)で割った値(r/t)が1以下である、(1)又は(2)に記載の銅合金板材、
(4)板材に一定の応力を加えた際の変位量を示す、引張試験で測定したヤング率が90〜120GPaであり、たわみ試験で測定したたわみ係数が80〜110GPaである、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の銅合金板材、
(5)前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の銅合金板材を製造する方法であって、前記銅合金板材を与える合金成分組成から成る銅合金素材に、0.1〜100℃/秒の冷却速度で鋳造[工程1]、800〜1020℃で3分から10時間の均質化熱処理[工程2]、1020〜700℃で熱間圧延[工程3]、水冷[工程4]、加工率80〜99.8%の冷間圧延[工程6]、昇温速度10〜30℃/秒で加熱し、600〜800℃まで到達後、200℃/秒以上にて急冷する中間焼鈍[工程7]、2〜50%の加工率の冷間圧延[工程8]及び600〜1000℃で5秒〜1時間の中間溶体化熱処理[工程9]
をこの順に施すことを特徴とする銅合金板材の製造方法、
(6)前記中間溶体化熱処理[工程9]の後で、400〜700℃で5分〜10時間の時効析出熱処理[工程10]、加工率が3〜25%の仕上げ冷間圧延[工程11]及び200〜600℃で5秒〜10時間の調質焼鈍[工程12]をこの順に施し、ここで、前記時効析出熱処理[工程10]の処理温度は、前記中間溶体化熱処理[工程9]の処理温度よりも低く、前記調質焼鈍[工程12]の処理温度は、前記中間溶体化熱処理[工程9]の処理温度よりも低いことを特徴とする(5)項に記載の銅合金板材の製造方法、
(7)前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の銅合金板材からなる銅合金部品、及び
(8)前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の銅合金板材からなるコネクタ。
以下に、各工程の条件をより詳細に設定した本発明の一実施態様について記載する。
少なくともTiを1.0〜5.0質量%含有し、他の前記副添加元素については適宜含有するように元素を配合し、残部がCuと不可避不純物から成る銅合金素材を高周波溶解炉により溶解し、これを0.1〜100℃/秒の冷却速度で鋳造[工程1]して鋳塊を得る。これを800〜1020℃で3分から10時間の均質化熱処理[工程2]後、1020〜700℃で熱間加工[工程3]を行った後に水焼入れ(水冷[工程4]に相当)を行う。この後、必要により、酸化スケール除去のために面削[工程5]を行ってもよい。その後に、加工率80〜99.8%の冷間圧延[工程6]し、次に昇温速度10〜30℃/秒で加熱し、600〜800℃まで到達後、200℃/秒以上にて急冷する中間焼鈍[工程7]を行い、更に、2〜50%の加工率の冷間圧延[工程8]を行い、600〜1000℃で5秒〜1時間の中間溶体化熱処理[工程9]を行う。この後、400〜700℃で5分〜10時間の時効析出熱処理[工程10]、加工率が3〜25%の仕上冷間圧延[工程11]、200〜600℃で5秒〜10時間の調質焼鈍[工程12]を行ってもよい。以上の方法によって、本発明の銅合金板材を得ることができる。
すなわち、本発明によれば、以下の手段が提供される。
(1)Tiを1.0〜5.0mass%含有し、残部が実質的に銅及び不可避不純物からなる銅合金板材であって、EBSD測定における結晶方位解析において、Cube方位{0 0 1}<1 0 0>の面積率が10〜50%であることを特徴とする銅合金板材、
(2)前記銅合金板材は、その製造時の冷間圧延加工工程における中間焼鈍において、昇温速度10〜30℃/秒で加熱されて600〜800℃(但し600℃は除く)まで到達していることを特徴とする、(1)に記載の銅合金板材。
)前記銅合金が、さらに、Sn、Zn、Ag、Mn、B、P、Mg、Cr、Zr、Si、FeおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1つを合計で0.005〜1.0mass%含有することを特徴とする(1)または(2)に記載の銅合金板材、
)0.2%耐力が850MPa以上であり、曲げ加工性が90°W曲げ試験においてクラックがなく、曲げシワの小さい曲げ加工が可能な最小曲げ半径(r、mm)を板厚(t、mm)で割った値(r/t)が1以下である、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の銅合金板材、
)板材に一定の応力を加えた際の変位量を示す、引張試験で測定したヤング率が90〜120GPaであり、たわみ試験で測定したたわみ係数が80〜110GPaである、(1)〜()のいずれか1項に記載の銅合金板材、
)前記(1)〜()のいずれか1項に記載の銅合金板材を製造する方法であって、前記銅合金板材を与える合金成分組成から成る銅合金素材に、0.1〜100℃/秒の冷却速度で鋳造[工程1]、800〜1020℃で3分から10時間の均質化熱処理[工程2]、1020〜700℃で熱間圧延[工程3]、水冷[工程4]、加工率80〜99.8%の冷間圧延[工程6]、昇温速度10〜30℃/秒で加熱し、600〜800℃まで到達後、200℃/秒以上にて急冷する中間焼鈍[工程7]、2〜50%の加工率の冷間圧延[工程8]、及び600〜1000℃で5秒〜1時間の中間溶体化熱処理[工程9]
をこの順に施すことを特徴とする銅合金板材の製造方法、
)前記中間溶体化熱処理[工程9]の後で、400〜700℃で5分〜10時間の時効析出熱処理[工程10]、加工率が3〜25%の仕上げ冷間圧延[工程11]、及び200〜600℃で5秒〜10時間の調質焼鈍[工程12]をこの順に施し、ここで、前記時効析出熱処理[工程10]の処理温度は、前記中間溶体化熱処理[工程9]の処理温度よりも低く、前記調質焼鈍[工程12]の処理温度は、前記中間溶体化熱処理[工程9]の処理温度よりも低いことを特徴とする()項に記載の銅合金板材の製造方法、
)前記(1)〜()のいずれか1項に記載の銅合金板材からなる銅合金部品、及び
)前記(1)〜()のいずれか1項に記載の銅合金板材からなるコネクタ。
(実施例1)
本発明例2〜本発明例21、比較例1〜比較例17について、表1に示す組成となるように、主原料CuとTi、試験例によってはそれ以外の副添加元素とを配合し、溶解・鋳造した。すなわち、Ti等を表1に示した量含有し、残部がCuと不可避不純物から成る合金を高周波溶解炉により溶解し、これを0.1〜100℃/秒の冷却速度で鋳造[工程1]して鋳塊を得た。これを800〜1020℃で3分から10時間の均質化熱処理[工程2]後、1020〜700℃で熱間加工[工程3]を行った。その後、水焼入れ(水冷[工程4]に相当)し、酸化スケール除去のために面削[工程5]を行った。その後、加工率80〜99.8%の冷間圧延[工程6]、次に昇温速度10〜30℃/秒で加熱し、600〜800℃まで到達後、200℃/秒以上にて急冷する中間焼鈍[工程7]を行い、更に、2〜50%の加工率の冷間圧延[工程8]、600〜1000℃で5秒〜1時間の中間溶体化処理[工程9]を実施した。次に、400〜700℃で5分間〜1時間の時効析出熱処理[工程10]を行い、3〜25%の圧延率で仕上冷間圧延[工程11]、200〜600℃で5秒〜10時間の調質焼鈍[工程12]を行って供試材とした。比較例では、表2の通り、中間焼鈍[工程7]と冷間圧延[工程8]で前記条件から外して実施したものがある。これらの供試材の組成、中間焼鈍[工程7]と冷間圧延[工程8]での条件、および得られた特性を、本発明例および比較例について、表1、表2に示す。各熱処理や圧延の後に、材料表面の酸化や粗度の状態に応じて酸洗浄や表面研磨を、形状に応じてテンションレベラーによる矯正を行った。なお、熱間加工[工程3]での加工温度は、圧延機の入り側と出側に設置してある放射温度計により測定した。
Figure 2012029717
Figure 2012029717
表2に示すように、本発明例〜本発明例21の製造方法で、中間焼鈍[工程7]は昇温速度10〜30℃/秒、到達温度は600〜800℃、温度到達後水焼入れによる急冷(冷却速度200℃/秒以上)で熱処理された。その後、2〜50%の加工率の冷間圧延[工程8]での処理に付した。比較例1〜比較例17では、本発明の製造方法における規定を満たさない場合を示した。比較例5、6、16、17はTi成分が範囲外であり、比較例1〜比較例17の中間焼鈍[工程7]は、比較例1、4、6、8、11、12、16、17で昇温速度が範囲外であり、比較例3〜6、10、11、14〜17では到達温度が範囲外であった。また、比較例2、6、7、9、12、13、15〜16では、冷間圧延[工程8]の加工率が範囲外であった。また、表1に示すように、比較例10では第三元素の添加量が、規定値である0.005〜1.0%の範囲を超えて多かった。
表2に示すように、本発明例〜本発明例21は、曲げ加工性、耐力に優れた。しかし、比較例1〜比較例17に示すように、本発明の規定を満たさない場合は、特性が劣る結果となった。本発明例〜本発明例21は、固溶温度より低い温度域で熱処理することによって、チタン銅の結晶方位回転を促進し、最終的にCube方位面積率を大幅に高め、曲げ性を改善した。本発明例〜本発明例21はいずれもCube方位が5%以上となった。本発明例〜本発明例21の曲げ加工表面部シワはGW≦20μm、BW≦25μmのサイズとなり、クラックが無くなり、曲げシワも小さいことから、曲げ加工性に優れていた。また、ヤング率とたわみ係数も規定の範囲内であった。
一方、比較例1〜7、比較例9、10、比較例12〜14、比較例16、17では曲げ表面にクラックが生じていた。比較例1〜17のCube方位面積率はいずれも規定値である5〜50%の範囲外であった。その中でも、Cube方位面積率の低い比較例5は曲げ加工性が劣り、Cube方位面積率の高い比較例8は耐力が劣っていた。
X線回折積分強度比I{200}/I{200}は、比較例1〜比較例17の内、比較例8、比較例11を除いて、すべて規定値の1.3以下であった。比較例8、比較例11は、1.3以上を示したが、耐力が劣っていた。
比較例5、6、16、17のTi含有量は、規定値である1.0〜5.0%の範囲外であった。
比較例1〜比較例17は、中間焼鈍の昇温速度、到達温度、冷間圧延加工率のいずれかが規定値の範囲外であり、特性も規定の範囲外となった。比較例1、比較例3、比較例4、比較例7〜9、比較例11、比較例13〜17では、ヤング率の規定値である90〜120GPaの範囲外であった。また、比較例1、比較例3〜8、比較例10〜11、比較例13〜17ではたわみ係数の規定値である80〜110GPaの範囲外であった。また、比較例10では第三元素の添加量が規定値よりも多く、導電率が低下しており、比較例14では第三元素添加量が規定値よりも少なかったが、これよりも、中間焼鈍での到達温度が高すぎたために、曲げ加工でクラックやシワを生じ、耐力(強度)が低く、ヤング率とたわみ係数が高すぎた。比較例15は、GW、BWともにクラック無く曲がっており、耐力も規定値を満たしているものの、曲げ加工表面部のシワが大きく、ヤング率、たわみ係数も規定値の上限を上回り、特性が劣っていた。比較例16、17では、Tiの含有量、製造工程のいずれも規定の範囲から外れており、Cube方位面積率、I{200}回折強度のいずれも規定の範囲外であった。
比較例3〜6、9、14〜17は、Cube方位の面積率が範囲外であり、さらに(耐応力緩和特性を向上させる)元素が添加されていないために、本発明例〜21に比べ、耐応力緩和特性が劣る結果となった。

Claims (8)

  1. Tiを1.0〜5.0mass%含有し、残部が銅及び不可避不純物からなる銅合金板材であって、EBSD測定における結晶方位解析において、Cube方位{0 0 1}<1 0 0>の面積率が5〜50%であることを特徴とする銅合金板材。
  2. 前記銅合金が、さらに、Sn、Zn、Ag、Mn、B、P、Mg、Cr、Zr、Si、FeおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1つを合計で0.005〜1.0mass%含有することを特徴とする請求項1に記載の銅合金板材。
  3. 0.2%耐力が850MPa以上であり、曲げ加工性が90°W曲げ試験においてクラックがなく曲げシワの小さい曲げ加工が可能な最小曲げ半径(r、mm)を板厚(t、mm)で割った値(r/t)が1以下である、請求項1又は2に記載の銅合金板材。
  4. 板材に一定の応力を加えた際の変位量を示す、引張試験で測定したヤング率が90〜120GPaであり、たわみ試験で測定したたわみ係数が80〜110GPaである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅合金板材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の銅合金板材を製造する方法であって、前記銅合金板材を与える合金成分組成から成る銅合金素材に、鋳造[工程1]、均質化熱処理[工程2]、熱間圧延[工程3]、水冷[工程4]、冷間圧延[工程6]、中間焼鈍[工程7]、冷間圧延[工程8]及び中間溶体化熱処理[工程9]をこの順に施すことを特徴とする銅合金板材の製造方法。
  6. 前記中間溶体化熱処理[工程9]の後で、時効析出熱処理[工程10]、仕上げ冷間圧延[工程11]及び調質焼鈍[工程12]をこの順に施すことを特徴とする請求項5に記載の銅合金板材の製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の銅合金板材からなる銅合金部品。
  8. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の銅合金板材からなるコネクタ。
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