JP2016211077A - チタン銅 - Google Patents

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Abstract

【課題】 強度と曲げ加工性に優れたチタン銅、及びその製造方法を提供すること。【解決手段】 Tiを2.0〜4.0質量%含有し、第3元素としてFe、Co、Mg、Si、Ni、Cr、Zr、Mo、V、Nb、Mn、B、及びPからなる群から選択された1種以上を合計で0〜0.5質量%含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、EBSD測定における結晶方位解析において、Brass方位{1 1 0}<1 1 2>の面積率が5〜20%、Copper方位{1 1 2}<1 1 1>の面積率とS方位{1 2 3}<6 3 4>の面積率の和が10〜25%である、チタン銅。【選択図】 なし

Description

本発明はチタン銅及びその製造方法に関し、特にコネクタ等の電子部品用部材に好適なチタン銅及びその製造方法に関する。
近年では携帯端末などに代表される電子機器の小型化が益々進み、従ってそれに使用されるコネクタは狭ピッチ化及び低背化の傾向が著しい。小型のコネクタほどピン幅が狭く、小さく折り畳んだ加工形状となるため、使用する部材には、必要なバネ性を得るための高い強度と、過酷な曲げ加工に耐えることのできる、優れた曲げ加工性が求められる。この点、チタンを含有する銅合金(以下、「チタン銅」と称する。)は、比較的強度が高く、応力緩和特性にあっては銅合金中最も優れているため、特に強度が要求される信号系端子用部材として、近年、需要が増大してきている。
チタン銅は時効硬化型の銅合金である。具体的には、溶体化処理によって溶質原子であるTiの過飽和固溶体を形成させ、その状態から低温で比較的長時間の熱処理を施すと、スピノーダル分解によって母相中にTi濃度の周期的変動である変調構造が発達し、強度が向上する。かかる強化機構を基本としてチタン銅の更なる特性向上を目指して種々の手法が研究されている。
この際、問題となるのは、強度と曲げ加工性が相反する特性である点である。すなわち、強度を向上させると曲げ加工性が損なわれ、逆に、曲げ加工性を重視すると所望の強度が得られないということである。そこで、Fe、Co、Ni、Siなどの第三元素を添加する(特許文献1)、母相中に固溶する不純物元素群の濃度を規制し、これらを第二相粒子(Cu−Ti−X系粒子)として所定の分布形態で析出させて変調構造の規則性を高くする(特許文献2)、結晶粒を微細化させるのに有効な微量添加元素と第二相粒子の密度を規定する(特許文献3)、などの観点から、チタン銅の強度と曲げ加工性の両立を図ろうとする研究開発が従来なされてきた。
一般に、チタン銅の製造過程において第二相粒子が粗大化しすぎると、曲げ加工性が損なわれる傾向にあることが知られている。そのため、従来の最終溶体化処理においては、材料を所定の温度に加熱した後、水冷等によりできるだけ速い冷却速度で材料の冷却を行い、冷却過程での第二相粒子の析出を抑える手法が行われている。例えば特開2001−303222号公報(特許文献4)では、特性のばらつきを抑制するために、材料の熱処理後に200℃/s以上の冷却速度で速やかに冷却する例が開示されている。
特開2004−231985号公報 特開2004−176163号公報 特開2005−97638号公報 特開2001−303222号公報
このように、従来のチタン銅の製造方法は、2回の溶体化処理によってチタンを母相に十分に固溶させた後、固溶させたチタンの安定相を析出させない条件で速やかに冷却し、時効処理(熱処理)でスピノーダル分解を起こして高強度チタン銅を得るというものであった。しかし、1回目(第一)の溶体化処理については未だ十分な検討がなされておらず、そのために、チタン銅の曲げ強度バランス向上を考慮したうえで、1回目(第一)の溶体化処理と、2回目(第二)の溶体化処理をどのような組み合わせで行うかについても、十分な検討がなされていなかった。
そこで、本発明は、これらの溶体化処理条件の更なる改善を図り、強度と曲げ加工性に優れたチタン銅、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために、チタン銅の曲げ加工性と、チタン銅の結晶方位の関係について鋭意検討したところ、EBSD(Electron Back Scatter Diffraction:電子後方散乱回折)測定における結晶方位解析において、特定の方位の面積率が特定の値となるチタン銅が、優れた曲げ加工性と強度とを有していること、そのチタン銅が、後述する溶体化処理によって得られることを見いだして、本発明に到達した。EBSD(Electron Back Scatter Diffraction:電子後方散乱回折)とは、SEM(Scanning Electron Microscope:走査電子顕微鏡)内で試料に電子線を照射したときに生じる反射電子菊池線回折(菊池パターン)を利用して結晶方位を解析する技術である。
したがって、本発明は、次の(1)〜(5)にある。
(1)
Tiを2.0〜4.0質量%含有し、
第3元素としてFe、Co、Mg、Si、Ni、Cr、Zr、Mo、V、Nb、Mn、B、及びPからなる群から選択された1種以上を合計で0〜0.5質量%含有し、
残部が銅及び不可避的不純物からなり、
EBSD(Electron Back Scatter Diffraction:電子後方散乱回折)測定における結晶方位解析において、Brass方位{1 1 0}<1 1 2>の面積率が5〜20%、Copper方位{1 1 2}<1 1 1>の面積率とS方位{1 2 3}<6 3 4>の面積率の和が10〜25%である、チタン銅。
(2)
Tiを2.0〜4.0質量%含有し、
第3元素としてFe、Co、Mg、Si、Ni、Cr、Zr、Mo、V、Nb、Mn、B、及びPからなる群から選択された1種以上を合計で0〜0.3質量%含有し、
残部が銅及び不可避的不純物からなる、(1)に記載のチタン銅。
(3)
BadWay方向(曲げ軸が圧延方向と平行)のW曲げ試験による、割れが発生しない最小の半径(MBR)に対する板厚(t)の比であるMBR/t値が1.0以下である、(1)〜(2)のいずれかに記載のチタン銅。
(4)
0.2%耐力YSが、900〜1080MPaの範囲にある、(1)〜(3)のいずれかに記載のチタン銅。
(5)
平均結晶粒径が、3〜25μmである、(1)〜(4)のいずれかに記載のチタン銅。
さらに、本発明は、次の(11)〜(14)にもある。
(11)
チタン銅の板材である、(1)〜(5)のいずれかに記載のチタン銅。
(12)
(1)〜(5)のいずれかに記載のチタン銅からなる、伸銅品。
(13)
(1)〜(5)のいずれかに記載のチタン銅からなる、電子部品。
(14)
(1)〜(5)のいずれかに記載のチタン銅を備えた、コネクタ。
さらに、本発明は、次の(21)〜(33)にもある。
(21)
Tiを2.0〜4.0質量%含有し、
第3元素としてFe、Co、Mg、Si、Ni、Cr、Zr、Mo、V、Nb、Mn、B、及びPからなる群から選択された1種以上を合計で0〜0.5質量%含有し、
残部が銅及び不可避的不純物からなるチタン銅を製造する方法であって、
チタン銅に対する溶体化処理として、
800〜950℃の温度で2〜10分間の熱処理を行い、300℃までの冷却速度を3〜30℃/secで冷却する、第一溶体化処理の工程、
第一溶体化処理の後に、3〜70%の圧下率で圧延する、中間圧延処理の工程、
中間圧延処理の後に、第二相粒子組成の固溶限の温度から、30〜50℃高い温度で0.5〜3分間の熱処理を行う、最終溶体化処理の工程、
を含む溶体化処理が行われる、方法。
(22)
第一溶体化処理の工程の直後のチタン銅が、5〜15の範囲の導電率(%IACS)である、(21)に記載の方法。
(23)
最終溶体化処理の工程の直後のチタン銅が、平均結晶粒径が、3〜25μmである、(21)〜(22)のいずれかに記載の方法。
(24)
溶体化処理の後に、
5〜40%の圧下率で冷間圧延する冷間圧延工程、
を含む、(21)〜(23)のいずれかに記載の方法。
(25)
冷間圧延工程の後に、
300℃〜450℃の温度で0.5〜24時間加熱する、時効処理の工程、
を含む、(24)に記載の方法。
(26)
溶体化処理の後に、
400〜650℃で0.002〜5時間加熱する、熱処理の工程、
を含む、(21)〜(25)のいずれかに記載の方法。
(27)
熱処理の後に、
5〜40%の圧下率の冷間圧延する冷間圧延工程、
を含む、(26)に記載の方法。
(28)
Tiを2.0〜4.0質量%含有し、
第3元素としてFe、Co、Mg、Si、Ni、Cr、Zr、Mo、V、Nb、Mn、B、及びPからなる群から選択された1種以上を合計で0〜0.5質量%含有し、
残部が銅及び不可避的不純物からなるチタン銅を製造する方法であって、
チタン銅に対する溶体化処理として、
800〜950℃の温度で2〜10分間の熱処理を行い、300℃までの冷却速度を3〜30℃/secで冷却する、第一溶体化処理の工程、
第一溶体化処理の後に、3〜70%の圧下率で圧延する、中間圧延処理の工程、
中間圧延処理の後に、第二相粒子組成の固溶限の温度から、30〜50℃高い温度で0.5〜3分間の熱処理を行う、最終溶体化処理の工程、
を含む溶体化処理が行われる、方法。
(29)
チタン銅に対する溶体化処理の後に、
5〜40%の圧下率で冷間圧延する冷間圧延工程、
冷間圧延工程の後に、300℃〜450℃の温度で0.5〜24時間加熱する、時効処理の工程、
を含む、(28)に記載の方法。
(30)
チタン銅に対する溶体化処理の後に、
400〜650℃で0.002〜5時間加熱する、熱処理の工程、
熱処理の工程の後に、5〜40%の圧下率で冷間圧延する冷間圧延工程、
を含む、(28)に記載の方法。
(31)
最終溶体化処理の工程が、
中間圧延処理の後に、第二相粒子組成の固溶限の温度から、30〜50℃高い温度で0.5〜3分間の熱処理を行い、水冷によって急速に冷却する、最終溶体化処理の工程、
である、(28)〜(30)のいずれかに記載の方法。
(32)
Tiを2.0〜4.0質量%含有し、
第3元素としてFe、Co、Mg、Si、Ni、Cr、Zr、Mo、V、Nb、Mn、B、及びPからなる群から選択された1種以上を合計で0〜0.5質量%含有し、
残部が銅及び不可避的不純物からなるチタン銅を製造する方法であって、
チタン銅に対する溶体化処理として、
800〜950℃の温度で2〜10分間の熱処理を行い、300℃までの冷却速度を3〜30℃/secで冷却する、第一溶体化処理の工程、
第一溶体化処理の後に、3〜70%の圧下率で圧延する、中間圧延処理の工程、
中間圧延処理の後に、第二相粒子組成の固溶限の温度から、30〜50℃高い温度で0.5〜3分間の熱処理を行う、最終溶体化処理の工程、
を含み、上記溶体化処理の後に、
5〜40%の圧下率で冷間圧延する冷間圧延工程、
冷間圧延工程の後に、300℃〜450℃の温度で0.5〜24時間加熱する、時効処理の工程、
を含む、方法。
(33)
Tiを2.0〜4.0質量%含有し、
第3元素としてFe、Co、Mg、Si、Ni、Cr、Zr、Mo、V、Nb、Mn、B、及びPからなる群から選択された1種以上を合計で0〜0.5質量%含有し、
残部が銅及び不可避的不純物からなるチタン銅を製造する方法であって、
チタン銅に対する溶体化処理として、
800〜950℃の温度で2〜10分間の熱処理を行い、300℃までの冷却速度を3〜30℃/secで冷却する、第一溶体化処理の工程、
第一溶体化処理の後に、3〜70%の圧下率で圧延する、中間圧延処理の工程、
中間圧延処理の後に、第二相粒子組成の固溶限の温度から、30〜50℃高い温度で0.5〜3分間の熱処理を行う、最終溶体化処理の工程、
を含み、上記溶体化処理の後に、
400〜650℃で0.002〜5時間加熱する、熱処理の工程、
熱処理の工程の後に、5〜40%の圧下率で冷間圧延する冷間圧延工程、
を含む、方法。
さらに、本発明は、次の(41)〜(44)にもある。
(41)
(21)〜(33)のいずれかに記載の方法によって製造された、
Tiを2.0〜4.0質量%含有し、
第3元素としてFe、Co、Mg、Si、Ni、Cr、Zr、Mo、V、Nb、Mn、B、及びPからなる群から選択された1種以上を合計で0〜0.5質量%含有し、
残部が銅及び不可避的不純物からなるチタン銅。
(42)
EBSD(Electron Back Scatter Diffraction:電子後方散乱回折)測定における結晶方位解析において、Brass方位{1 1 0}<1 1 2>の面積率が5〜20%、Copper方位{1 1 2}<1 1 1>の面積率とS方位{1 2 3}<6 3 4>の面積率の和が10〜25%である、(41)に記載のチタン銅。
(43)
BadWay方向(曲げ軸が圧延方向と平行)のW曲げ試験による、割れが発生しない最小の半径(MBR)に対する板厚(t)の比であるMBR/t値が1.0以下である、(41)〜(42)のいずれかに記載のチタン銅。
(44)
0.2%耐力YSが、900〜1080MPaの範囲にある、(41)〜(43)のいずれかに記載のチタン銅。
さらに、本発明は、次の(51)〜(53)にもある。
(51)
Tiを2.0〜4.0質量%含有し、
第3元素としてFe、Co、Mg、Si、Ni、Cr、Zr、Mo、V、Nb、Mn、B、及びPからなる群から選択された1種以上を合計で0〜0.5質量%含有し、
残部が銅及び不可避的不純物からなるチタン銅を、溶体化処理する方法であって、
800〜950℃の温度で2〜10分間の熱処理を行い、300℃までの冷却速度を3〜30℃/secで冷却する、第一溶体化処理の工程、
第一溶体化処理の後に、3〜70%の圧下率で圧延する、中間圧延処理の工程、
中間圧延処理の後に、第二相粒子組成の固溶限の温度から、30〜50℃高い温度で0.5〜3分間の熱処理を行う、最終溶体化処理の工程、
を含む、方法。
(52)
第一溶体化処理の工程の直後のチタン銅が、5〜15の範囲の導電率(%IACS)である、(51)に記載の方法。
(53)
最終溶体化処理の工程の直後のチタン銅が、平均結晶粒径が、3〜25μmである、(51)〜(52)のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、優れた曲げ加工性と強度とを備えたチタン銅を得ることができる。本発明に係るチタン銅は、優れた曲げ加工性と強度とを有しているので、曲げ加工によって製造される電子部品、特に曲げ加工性と強度をあわせて求められる小型電子部品の製造に好適に使用することができる。
以下に、好適な実施の態様をあげて、本発明を詳細に説明する。
本発明に係るチタン銅は、
Tiを2.0〜4.0質量%含有し、
第3元素としてFe、Co、Mg、Si、Ni、Cr、Zr、Mo、V、Nb、Mn、B、及びPからなる群から選択された1種以上を合計で0〜0.5質量%含有し、
残部が銅及び不可避的不純物からなり、
EBSD(Electron Back Scatter Diffraction:電子後方散乱回折)測定における結晶方位解析において、Brass方位{1 1 0}<1 1 2>の面積率が5〜20%、Copper方位{1 1 2}<1 1 1>の面積率とS方位{1 2 3}<6 3 4>の面積率の和が10〜25%である、チタン銅にある。このようなチタン銅は、優れた曲げ加工性と強度とを備えたものとなっている。
[Ti含有量]
本発明に係るチタン銅は、Tiを2.0〜4.0質量%、好ましくは2.5〜3.5質量%含有するものとなっている。Tiが2.0質量%未満では十分な強度が得られず、逆に4.0質量%を超えると、強度及び曲げ加工性が劣化する傾向にある。このようにTiの含有量を適正化することで、電子部品用に適した強度及び曲げ加工性を共に実現することができる。
[第3元素]
本発明に係るチタン銅は、所望によって、銅及びチタン以外に、所定の第3元素を含有させて、使用することができる。好適な実施の態様において、第3元素としてFe、Co、Mg、Si、Ni、Cr、Zr、Mo、V、Nb、Mn、B、及びPからなる群から選択された1種以上を、合計して、例えば、0〜0.5質量%、好ましくは0〜0.3質量%、例えば、0.05〜0.5質量%、好ましくは0.05〜0.3質量%の範囲で含有させて、使用することができる。このような第3元素の添加によって、チタン銅の時効硬化を改善することができるが、第3元素を添加しないチタン銅もまた、本発明の優れた効果を奏するものとなっている。
[第二相粒子]
本発明において「第二相粒子」とは、母相の成分組成とは異なる組成の粒子を指す。第二相粒子は、種々の熱処理中に析出して母相と境界を形成するCuとTiを主成分とした粒子であり、具体的にはTiCu3粒子又は第3元素群の構成要素X(具体的にはMn、Fe、Mg、Co、Ni、Cr、V、Nb、Mo、Zr、Si、B及びPの何れか)を含むCu−Ti−X系粒子として現れる。
[結晶粒径]
チタン銅の強度及び曲げ加工性を向上させるためには、好適な実施の態様において、最終溶体化処理の工程の直後のチタン銅は、平均結晶粒径が、例えば3〜25μm、好ましくは3〜20μm、さらに好ましくは3〜15μm、例えば4〜23μm、好ましくは4〜21μm、とすることができる。本発明において、平均結晶粒径は光学顕微鏡又は電子顕微鏡による観察で圧延方向に平行な断面の組織観察における円相当径で計算する。
[EBSD]
EBSD(Electron Back Scatter Diffraction:電子後方散乱回折)とは、SEM(Scanning Electron Microscope:走査電子顕微鏡)内で試料に電子線を照射したときに生じる反射電子菊池線回折(菊池パターン)を利用して結晶方位を解析する技術である。
[結晶方位]
本発明によれば、EBSDで測定した、チタン銅における各結晶方位の面積率が、曲げ性の向上の指標となっている。Brass方位とは、圧延面法線方向(ND)に(1 1 0)面が、圧延方向(RD)に(1 1 2)面が向いている状態であり、{1 1 0}<1 1 2>の指数で示される。Copper方位とは、NDに(1 1 2)面が、RDに(1 1 1)面が向いている状態であり、{1 1 2}<1 1 1>の指数で示される。S方位は、同様に、{1 2 3}<6 3 4>の指数で示される。
好適な実施の態様において、本発明に係るチタン銅は、EBSD(Electron Back Scatter Diffraction:電子後方散乱回折)測定における結晶方位解析において、Brass方位{1 1 0}<1 1 2>の面積率が5〜20%、好ましくは6〜20%、好ましくは6.3〜19.4%、あるいは例えば7.1〜19.4%、例えば6.3〜19.4%、例えば7.1〜14.9%であり、Copper方位{1 1 2}<1 1 1>の面積率とS方位{1 2 3}<6 3 4>の面積率の和が10〜25%、好ましくは10.8〜24.2%、あるいは例えば10.8〜22.1%、例えば12.1〜24.2%、例えば12.1〜22.1%である。
本発明者は、上記Brass方位{1 1 0}<1 1 2>の面積率の値と、Copper方位{1 1 2}<1 1 1>の面積率とS方位{1 2 3}<6 3 4>の面積率の和の値とを両立したときに、従来のチタン銅よりも、再結晶集合組織が発達していると同時に、圧延集合組織が弱いものとなっていることを示していると考えており、上記数値範囲となることで、再結晶集合組織と圧延集合組織とが、優れた曲げ加工性と強度のバランスを実現していると考えている。
[0.2%耐力]
本発明に係るチタン銅の強さ(強度)を、JIS Z2241による引っ張り試験によって、0.2%耐力(YS)で評価することができる。好適な実施の態様において、本発明に係るチタン銅は、0.2%耐力(YS)が、例えば900〜1080MPaの範囲、好ましくは901〜1076MPaの範囲、あるいは例えば901〜1064MPaの範囲、例えば921〜1076MPaの範囲、例えば921〜1064MPaの範囲と、することができる。本発明におけるチタン銅の強度及び曲げ加工性のバランスは、このような0.2%耐力(YS)の範囲として実現することができる。
[W曲げ加工性]
本発明に係るチタン銅のW曲げ加工性を、JIS H 3100による、BadWay方向(曲げ軸が圧延方向と平行)のW曲げ試験によって、割れが発生しない最小半径(MBR)の板厚(t)に対する比であるMBR/t値を測定して、評価することができる。好適な実施の態様において、MBR/t値は、1.0以下とすることができ、例えば0〜1.0、例えば0.1〜1.0、例えば0.3〜1.0の範囲とすることができる。
[製造方法]
チタン銅の一般的な製造プロセスでは、まず溶解炉で電気銅、Ti等の原料を溶解し、所望の組成の溶湯を得る。そして、この溶湯をインゴットに鋳造する。チタンの酸化損耗を防止するため、溶解及び鋳造は真空中又は不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。その後、熱間圧延、冷間圧延、溶体化処理、時効処理の順で所望の厚みおよび特性を有する条や箔に仕上げる。熱処理後には、熱処理時に生成した表面酸化膜を除去するために、表面の酸洗や研磨等を行ってもよい。また、高強度化のために、溶体化処理と時効の間や時効後に冷間圧延を行ってもよい。
本発明に係るチタン銅は、特に第一の溶体化処理、その直後の中間圧延及びその直後の最終の溶体化処理の工程を適切な条件で実施することにより製造可能である。以下に、好適な製造例を工程毎に順次説明する。
1) インゴット製造
溶解及び鋳造によるインゴットの製造は、基本的に真空中又は不活性ガス雰囲気中で行う。溶解において添加元素の溶け残りがあると、強度の向上に対して有効に作用しない。よって、溶け残りをなくすため、FeやCr等の高融点の第3元素は、添加してから十分に攪拌したうえで、一定時間保持する必要がある。一方、TiはCu中に比較的溶け易いので第3元素の溶解後に添加すればよい。従って、Cuに、第3元素としてMn、Fe、Mg、Co、Ni、Cr、V、Nb、Mo、Zr、Si、B及びPよりなる群から選択される1種又は2種以上を合計で0〜0.50質量%含有するように添加し、次いで第2元素としてTiを2.0〜4.0質量%含有するように添加してインゴットを製造することが望ましい。
2) 均質化焼鈍及び熱間圧延
インゴット製造時に生じた凝固偏析や晶出物は粗大なので均質化焼鈍でできるだけ母相に固溶させて小さくし、可能な限り無くすことが望ましい。これは曲げ割れの防止に効果があるからである。具体的には、インゴット製造工程後には、900〜970℃に加熱して3〜24時間均質化焼鈍を行った後に、熱間圧延を実施するのが好ましい。液体金属脆性を防止するために、熱延前及び熱延中は960℃以下とするのが好ましい。
3) 第一溶体化処理
その後、冷間圧延と焼鈍を適宜繰り返してから、溶体化処理を行うのが好ましい。本発明においては、最終の溶体化処理に先だって、ここで予め溶体化を行っておく(第一溶体化処理)。このようにすれば、第二相粒子は第一溶体化処理で既に溶体化されているのだから、最終の溶体化処理では、第二相粒子を固溶させるための熱処理ではなく、その状態を維持しつつ再結晶のみ起こさせればよい処理となる。この第一溶体化処理は、加熱温度を800〜950℃とし、2〜10分間行えばよい。好適な実施の態様において、第一溶体化処理は、加熱温度を、例えば、800〜950℃の範囲、好ましくは830〜920℃の範囲とすることができる。このときの昇温速度は、極力速くすることが好ましい。
一方で、この第一溶体化処理の時の冷却速度は、緩冷却とすることが好ましく、好適な実施の態様において、例えば、300℃までの冷却速度を、3〜30℃/sec、好ましくは3〜25℃/sec、さらに好ましくは5〜25℃/sec、さらに好ましくは5〜20℃/secとすることができる。この冷却速度を速くしてしまった場合には、例えば、200℃/sec超の冷却速度としてしまった場合には、所望の結晶方位が得られず従来の曲げ加工性となってしまう。この冷却速度を速くすることは、粗大な粒子の析出を防ぐという点では好ましいが、結晶方位の観点からは好ましくなく、最終的な特性における曲げ加工性は冷却速度を緩冷却とした場合に比べて劣ってしまう。この冷却速度を遅くしてしまった場合には、粗大な粒子の析出が生じてしまうためか、やはり最終的な特性における曲げ加工性が大きく劣ったものとなってしまう。本発明者は、上記冷却速度の範囲の条件が、曲げ強度バランスの向上を実現するような、中程度のサイズの粒子(例えば、1μm以下の粒径)の析出を生じさせる条件となっていると考えている。
4) 中間圧延
第一溶体化処理と最終の溶体化処理の間に、中間圧延を行う。好適な実施の態様において、中間圧延の圧下率(加工度)は、例えば、3〜70%、好ましくは5〜60%、さらに好ましくは5〜50%、さらに好ましくは5〜40%とすることができる。圧下率は{((圧延前の厚み−圧延後の厚み)/圧延前の厚み)×100%}で定義される。この圧下率を高くしてしまった場合、例えば、70%超の圧下率としてしまった場合には、所望の結晶方位が得られず、最終的な特性における曲げ加工性が不十分となってしまう。本発明者は、上記圧下率の範囲の条件が、曲げ加工性に不利な影響を与える圧延集合組織の発達を抑制しつつ、その後の最終の溶体化処理で再結晶集合組織が発達しやすくなると考えている。
5) 最終の溶体化処理
中間圧延の後に、最終の溶体化処理を、第一溶体化処理に次いで行われる溶体化処理(第二溶体化処理)として、行う。好ましい実施の態様において、最終の溶体化処理では、加熱温度を、第二相粒子組成の固溶限の温度から、30〜50℃高い温度、好ましくは35〜45℃高い温度とすることができる。固溶減温度は、例えば、Tiの添加量が2.0〜4.0質量%の範囲でTiの固溶限が添加量と等しくなる温度は730〜840℃程度であり、例えばTiの添加量が3.2質量%では800℃程度である。例えば、典型的には、730〜880℃のTiの固溶限が添加量と同じになる温度に比べて30〜50℃高い温度、好ましくは35〜45℃高い温度に加熱する。
最終の溶体化処理での加熱時間は短いほうが結晶粒の粗大化を抑制できる。加熱時間は例えば0.5〜3分とすることができ、典型的には0.5〜1.5分とすることができる。冷却速度は極力速くし、例えば水冷などで行なわれる。この時点で新たに第2相粒子が発生しても微細かつ均一に分散していれば、強度と曲げ加工性に対してほとんど無害である。しかし粗大なものは最終の時効処理で更に成長する傾向にあるので、この時点での第2相粒子は生成してもなるべく少なく、小さくする。
最終の溶体化処理時における冷却は、急冷であることが好ましい。このような急冷は、例えば、水冷によって行うことができる。好適な実施の態様において、材料温度が400℃になるまで、例えば、冷却速度150℃/s以上、好ましくは200℃/s以上、さらに好ましくは250℃/s以上の速度で、急冷することが好ましい。急冷する場合の冷却速度には特に上限はないが、例えば水冷によって実現可能な範囲とすることができ、例えば、2000℃/s以下、例えば、1000℃/s以下の冷却速度とすることができる。
6) 最終の冷間圧延
上記最終の溶体化処理後、所望によって、最終の冷間圧延を行う。最終の冷間加工によってチタン銅の強度を高めることができる。圧下率(加工度)は、例えば、5%以上、好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上とすることができる。圧下率が高くなると強度は上昇するものの曲げ性が劣化することから、圧下率を40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下とすることができる。好適な実施の態様において、圧下率(加工度)は、例えば、5〜40%、好ましくは10〜35%、さらに好ましくは15〜30%、さらに好ましくは20〜30%とすることができる。圧下率は{((圧延前の厚み−圧延後の厚み)/圧延前の厚み)×100%}で定義される。
7) 時効処理
最終の冷間圧延の後、時効処理を行う。時効処理の条件は慣用の条件でよい。好適な実施の態様において、例えば、材料温度が、300℃〜500℃で0.1〜15時間加熱することが好ましく、材料温度350〜450℃で0.5〜15時間加熱することがより好ましい。
6´) 熱処理
本発明の好適な実施の態様において、上記「5) 最終の溶体化処理」の後に、所望によって、上記「6) 最終の冷間圧延」以降の処理に代えて、熱処理を行うことができる。熱処理は、材料温度が400〜650℃で0.002〜5時間加熱することが好ましく、材料温度400〜550℃で0.01〜5時間加熱することがより好ましい。
7´) 最終の冷間圧延
上記「6´) 熱処理」の後、所望によって、最終の冷間圧延を行うことができる。最終の冷間加工によってチタン銅の強度を高めることができる。圧下率(加工度)は、例えば、5%以上、好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上とすることができる。圧下率が高くなると強度は上昇するものの曲げ性が劣化することから、圧下率を40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下とすることができる。好適な実施の態様において、圧下率(加工度)は、例えば、5〜40%、好ましくは10〜35%、さらに好ましくは15〜30%、さらに好ましくは20〜30%とすることができる。圧下率は{((圧延前の厚み−圧延後の厚み)/圧延前の厚み)×100%}で定義される。
8´) 時効処理
上記「7´) 最終の冷間圧延」の後、時効処理を行うことができる。時効処理の条件は慣例の条件でよい。好適な実施の態様において、例えば、材料温度が、250℃〜450℃で0.1〜15時間加熱することが好ましく、材料温度300〜400℃で0.5〜15時間加熱することがより好ましい。
なお、当業者であれば、上記各工程の合間に適宜、表面の酸化スケール除去のための研削、研磨、ショットブラスト酸洗等の工程を行なうことができることは理解できるであろう。
[伸銅品、電子部品]
本発明に係るチタン銅は、種々の伸銅品、例えば板、条及び箔に加工することができる。本発明に係るチタン銅は、電気伝導性であることに加えて、優れた曲げ加工性と強度とを有しているので、曲げ加工によって製造される電子部品、リードフレーム、コネクタ、ピン、端子、リレー、スイッチ、二次電池用箔材等の小型電子機器部品等の製造に、好適に使用することができる。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
[チタン銅の製造]
実施例の銅合金を製造するに際しては、活性金属であるTiが第2成分として添加されるから、溶製には真空溶解炉を用いた。また、本発明で規定した元素以外の不純物元素の混入による予想外の副作用が生じることを未然に防ぐため、原料は比較的純度の高いものを厳選して使用した。
表1に記載の濃度のTiを添加し、場合により表1に記載の第3元素を更に添加して、残部銅及び不可避的不純物の組成を有するインゴットに対して950℃で3時間加熱する均質化焼鈍の後、900〜950℃で熱間圧延を行い、板厚10mmの熱延板を得た。なお、表1中に示される各成分の数字は質量%を示す。面削による脱スケール後、冷間圧延して素条の板厚(0.408〜2.0mm)とし、素条での第1溶体化処理を行った。第1溶体化処理の条件は、表2に記載の通りである。次いで、中間の冷間圧延では、表2に記載の加工度となるよう調整して冷間圧延(板厚0.4mm)した。
次いで、急速加熱が可能な焼鈍炉に挿入して、最終の溶体化処理(第2の溶体化処理)を行った。最終の溶体化処理の条件は、表2に記載の通りである。表2に記載の条件は、材料温度がTiの固溶限が添加量と同じになる温度(Ti濃度1.5質量%で約680℃、Ti濃度2.0質量%で約730℃、Ti濃度3.0質量%及び3.2質量%で約800℃、Ti濃度4.0質量%で約840℃)よりも、それぞれ30〜50℃高い温度(発明例1〜19、及び比較例2、4〜8、12)か、あるいはその範囲外の温度(その他の比較例)となる加熱条件である。その後、水冷で冷却し、酸洗による脱スケール後、最終圧延として表2に記載の加工度となるよう調整して冷間圧延(板厚0.3mm)した後に、表2の条件で時効処理を行った。時効処理は不活性ガス(Ar)雰囲気中で行い、その他の熱処理は空気中で行った。また、一部の発明例及び比較例では、表2に記載の通り、最終圧延の前にそれぞれ記載の条件で、熱処理を行った。
上記のように処理を行った各試験片について、以下の条件で特性評価を行った。
[製品の引張り試験]
引張試験機を用いてJIS Z2241に準拠し圧延方向と平行に引張り試験を行い、0.2%耐力(YS)を測定した。
[W曲げ加工性]
最終的に得られた各試験片のW曲げ加工性を、JIS H 3100に従った、BadWay方向(曲げ軸が圧延方向と平行)のW曲げ試験によって、割れが発生しない最小半径(MBR)の板厚(t)に対する比であるMBR/t値を測定して、評価した。その結果は、表3に示す。
[製品の結晶方位測定]
圧延面において、Brass方位、Copper方位、S方位の面積率をEBSDにより測定した。板厚中央部の結晶方位を解析するための試料として、りん酸67%+硫酸10%+水の溶液中で電解研磨した。
EBSD測定では、結晶粒を200個以上含む、600μm四方の試料面積に対し、0.5μm のステップでスキャンし、方位を解析した。理想方位からのずれ角度については、共通の回転軸を中心に回転角を計算し、ずれ角度とした。共通の回転軸は最も小さいずれ角度で表現できるものを採用した。全ての測定点に対してこのずれ角度を計算して小数点第一位までを有効数字とし、Brass方位、Copper方位、S方位のそれぞれから10°以内の方位を持つ結晶粒の面積を全測定面積で除し、面積率とした。EBSDによる方位解析において得られる情報は、電子線が試料に侵入する数10nmの深さまでの方位情報を含んでいるが、測定している広さに対して充分に小さいため、面積率として記載した。結果は、表3に示す。
[導電率]
JIS H 0505に準拠して導電率(%IACS)を測定した。その結果は、表3に示す。
[結晶粒径]
最終の溶体化処理の後の各試験片の平均結晶粒径(μm)を、次のように求めた。最終の溶体化処理の後の各試験片の板面(圧延面)を研磨したのちエッチングし、その面を光学顕微鏡で観察し、300μm×300μmの視野において100個以上の結晶粒の粒径をJIS H 0501の切断法で測定し、平均結晶粒径Dを求めた。その結果は、表3に示す。
Figure 2016211077
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[結果]
上述のように、試験片として、各発明例及び各比較例のチタン銅を、表1〜3に示す各条件下で製造したところ、表3に示す特性を有することがわかった。このように、本発明に係るチタン銅は、EBSD測定における結晶方位解析において、Brass方位の面積率の値、Copper方位の面積率とS方位の面積率の和の値が、上記特定の範囲のものとなっており、優れた曲げ加工性と引張強度を有するものとなっていた。また、本発明に係るチタン銅は、上記組成のチタン銅に対して、上記条件による二段階の溶体化処理、すなわち、第1の溶体化処理、中間圧延、最終の溶体化処理(第2の溶体化処理)を上記各条件で行うことにより、製造できることがわかった。
本発明によれば、優れた曲げ加工性と強度とを備えたチタン銅を得ることができる。本発明に係るチタン銅は、優れた曲げ加工性と強度とを有しているので、曲げ加工によって製造される電子部品、特に曲げ加工性と強度をあわせて求められる小型電子部品の製造に好適に使用することができる。本発明は、産業上有用な発明である。

Claims (7)

  1. Tiを2.0〜4.0質量%含有し、
    第3元素としてFe、Co、Mg、Si、Ni、Cr、Zr、Mo、V、Nb、Mn、B、及びPからなる群から選択された1種以上を合計で0〜0.5質量%含有し、
    残部が銅及び不可避的不純物からなり、
    EBSD(Electron Back Scatter Diffraction:電子後方散乱回折)測定における結晶方位解析において、Brass方位{1 1 0}<1 1 2>の面積率が5〜20%、Copper方位{1 1 2}<1 1 1>の面積率とS方位{1 2 3}<6 3 4>の面積率の和が10〜25%である、チタン銅。
  2. 平均結晶粒径が、3〜25μmである、請求項1に記載のチタン銅。
  3. BadWay方向(曲げ軸が圧延方向と平行)のW曲げ試験による、割れが発生しない最小の半径(MBR)に対する板厚(t)の比であるMBR/t値が1.0以下である、請求項1又は請求項2に記載のチタン銅。
  4. 0.2%耐力(YS)が、900〜1080MPaの範囲にある、請求項1〜3のいずれかに記載のチタン銅。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のチタン銅からなる、伸銅品。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載のチタン銅からなる、電子部品。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載のチタン銅を備えた、コネクタ。
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