JP5461467B2 - 強度、導電率及び曲げ加工性に優れたチタン銅及びその製造方法 - Google Patents

強度、導電率及び曲げ加工性に優れたチタン銅及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明はチタン銅合金及びその製造方法に関し、コネクタ、端子、リレ−、スイッチ等の導電性ばね材に好適に用いられるチタン銅合金及びその製造方法に関する。
近年の電子機器の小型化に伴い、電子機器のコネクタには著しい小型化、薄肉化が要求されており、またコネクタに複雑な曲げ加工が施されている。したがって、コネクタに使用される金属材料には、高い強度、導電性及び曲げ加工性が求められる。
強度、導電性及び曲げ加工性に優れたコネクタ材料として、高ベリリウム銅(JIS C1720)が使用されているが、ベリリウム化合物が毒性を有し、また製造工程が複雑でコストが高いことから、代替材が求められている。
高ベリリウム銅の代替材として、JIS C1990に代表されるTi含有銅合金(以下、チタン銅)の需要が高まっている。一般にチタン銅は、鋳塊を熱間圧延、冷間圧延、溶体化処理した後、時効処理してCu−Ti系金属間化合物を析出させて製造される。しかしながら、チタン銅の導電率(約12%IACS)は、高ベリリウム銅(約20%IACS)より劣るという問題がある。
そこで、Cu−Ti系金属間化合物の析出量を調整することにより、チタン銅の導電率を改善する技術が報告されている(特許文献1)。又、Ti濃度、及びCu−Ti系金属間化合物の大きさ等を規定すると共に、平均結晶粒径を10μm以下に制御して導電率及び曲げ加工性を改善したチタン銅が報告されている(特許文献2)。
又、時効(析出)処理後に冷間圧延を行って高耐力と曲げ加工性を確保したチタン銅が報告されている(特許文献3)。
特許3740474号公報 特許4210239号公報 特開2010−126777号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたチタン銅の場合、曲げ加工性の改善が十分とはいえない。又、特許文献2に記載されたチタン銅の場合、0.2%耐力が850MPa以上で導電率が18%IACS以上のときのMBR/tは最小でも1.8であり、曲げ加工の厳しい小型コネクタ用の材料として不充分である。
一方、特許文献3に記載されたチタン銅の場合、0.2%耐力が850MPa以上で、かつ導電率が18%IACS以上の高強度、高導電率のものが得られていない。
このように、強度、導電率及び曲げ加工性を共に改善させ、小型コネクタに適したチタン銅は未だ開発されていない。
すなわち、本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、強度、導電率及び曲げ加工性に優れたチタン銅及びその製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは種々検討した結果、高温で時効するとともに、冷却速度を大きくし過ぎないことで、大きな粒界反応相を形成し、安定相の粗大化による強度や曲げ加工性の劣化を抑制し、高導電化できることを見出した。
上記の目的を達成するために、本発明のチタン銅は、0.5〜4.5質量%のTiを含有し、残部がCu及び不可避不純物からなり、Ti濃度が1質量%以下のCu高濃度層とTi濃度が13質量%以上の層とでラメラ組織を構成する粒界反応相と、Ti濃度が13質量%以上の安定相とを有し、粒界反応相の円相当粒径が8μm以上、安定相の円相当粒径が5μm以下であって、0.2%耐力が850MPa以上、導電率が18%IACS以上であり、JIS H 3130に規定するW曲げ試験を圧延方向に直角な方向に行った際、割れの生じない最小曲げ半径(MBR、単位:mm)と板厚(t、単位:mm)との比(MBR/t)が1以下である。
更にFe、Co、Ni、Si、Cr、Zr、B及びPの群から選ばれる1種以上を合計0.01〜0.5質量%含有することが好ましい。
本発明のチタン銅の製造方法は、前記チタン銅の製造方法であって、0.5〜4.5質量%のTiを含有し残部がCu及び不可避不純物からなる鋳塊を熱間圧延、冷間圧延、溶体化処理後、冷間圧延することなく時効処理を行った後、冷間圧延を行い、前記溶体化処理の温度をTi濃度が2%を超える場合は800℃以上、2%以下のものは700℃以上とし、前記時効処理の最高到達温度から300℃までの冷却速度を10〜80℃/時間とし、前記時効後冷間圧延の加工度を10〜30%とする。
前記時効後冷間圧延の後に300〜600℃で5〜300秒加熱する歪取り焼鈍を行うことが好ましい。
本発明によれば、強度、導電率及び曲げ加工性に優れたチタン銅が得られる。
本発明のチタン銅の組織のSEM像を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係る銅合金について説明する。なお、本発明において%とは、特に断らない限り、質量%を示すものとする。
まず、本発明の技術思想について説明する。一般にチタン銅は、鋳塊を熱間圧延、冷間圧延した後、溶体化処理してCuマトリックス中にTiを固溶させ、さらにその後に時効処理してCu−Ti系金属間化合物を析出させて製造され、これにより高い強度及び導電率が得られる。そして、チタン銅の導電率を改善させるためには、時効温度を高くし、Cu−Ti系金属間化合物の析出を促進させれば良い。
ところが、高い導電率を得るために時効温度を高くするだけでは、粗大化した金属間化合物である安定相(TiCu)が原因となり、強度及び曲げ加工性が劣化する。このように、チタン銅の強度及び曲げ加工性と、導電率との向上は相反し、これらすべてを改善することは難しい。
このようなことから、本発明者らは、チタン銅のCu−Ti系化合物の析出状態と、強度、導電率及び曲げ加工性との関係を鋭意調査した。その結果、溶体化後に冷間圧延することなく高温で時効するとともに、冷却速度を速くし過ぎないことで粒界反応相を大きくすれば、強度や曲げ加工性の劣化を抑制し、高導電化できることを見出した。
図1は、本発明のチタン銅の組織のSEM像を示す。図1の符号Bは粒界反応相であり、結晶粒界にそって成長した縞状の相である。粒界反応相は、Ti濃度が1質量%以下のCu高濃度層と、Ti濃度が13質量%以上の層がラメラ組織を構成するものである。一方、符号Aは安定相であり、TiとCuの金属間化合物粒子(TiCu等)で構成される相である。安定相のTi濃度は13%以上である。通常、安定相は時効処理時に析出し、粒界反応相は時効後の冷却時に析出する。
安定相は硬質で脆い金属間化合物であり、粗大化すると転位が集積し、クラックの発生源になりやすいため、強度及び曲げ加工性の低下を招く。一方、粒界反応相の延性は安定相より高いため、粗大化しても強度及び曲げ加工性に悪影響を及ぼしにくいと共に、ある程度大きい粒界反応層を析出させれば、材料中のCu高濃度領域が増大し、導電率の向上を図ることができる。従って、後述するように、円相当粒径が5μmを超える粗大な安定相の析出を抑制しながら、8μm以上の粒界反応相を多く析出させれば、強度や曲げ性を悪化させずに導電率を向上させることができる。
次に、本発明のチタン銅の組成及びその他の規定について説明する。
(1)組成
チタン銅は、0.5〜4.5質量%のTiを含有する。チタン銅は、溶体化処理によりCuマトリックス中へTiを固溶させ、時効処理により微細な析出物を合金中に分散させることにより、強度及び導電率を向上させる。
Ti濃度が0.5質量%未満になると、析出物の析出が不充分となり所望の強度が得られない。一方、Ti濃度が4.5質量%を超えると、熱間圧延で割れが発生し、製造性が著しく悪化する。
更にFe、Co、Ni、Si、Cr、Zr、B及びPの群から選ばれる1種以上を合計0.01〜0.5質量%含有させることにより、強度を更に向上させることができる。これらの合計含有量が0.01質量%未満になると強度上昇の効果は得られず、合計含有量が0.5質量%を超えると導電率が低下する場合がある。
(2)0.2%耐力及び導電率
0.2%耐力を高めると、コネクタとして使用する際に接点部での接圧が高くなり、接触電気抵抗が減少する。0.2%耐力が850MPa以上となると、接圧が高ベリリウム銅と同レベルになるので、高ベリリウム銅の代替材料として機能する。より好ましくは0.2%耐力が900MPa以上である。
導電率を高めると、コネクタとして使用する際、接点部での接触電気抵抗及び通電に伴う発熱量が減少する。導電率が18%IACS以上となると、接触電気抵抗や発熱量が高ベリリウム銅と同レベルになるので、高ベリリウム銅の代替材料として機能する。より好ましくは導電率が20%IACS以上である。
(3)粒界反応相の円相当粒径
粒界反応相の円相当粒径を8μm以上に規定することで、上記したような高Cu濃度層が存在する粒界反応相を多く析出させ、導電率を向上させることができると共に、強度や曲げ性の劣化を抑制できる。ここで、円相当粒径とは、粒界反応相を取り囲む円のうち最小円の直径である。ここで、後述するように、観察視野(41900μm)における球状及び縞状の組織を目視で識別し、これら識別した組織のうち、最小円の直径が3μm以上である粒界反応相を抽出し、抽出した各粒界反応相の最小円の直径を平均して円相当粒径とした。また、粒界反応相の円相当粒径の上限は、通常150μm程度である。
粒界反応相の円相当粒径が8μm未満であると、強度や曲げ性を悪化させずに18%IACS以上の導電率を得ることができない。
粒界反応相の円相当粒径を8μm以上にする方法としては、Tiの含有量を0.5質量%以上とし、時効処理時の冷却速度を80℃/時間以下とすることが挙げられる。
(4)安定相の円相当粒径
安定相の円相当粒径を5μm以下と規定する。安定相の円相当粒径が5μmを超えると、強度及び曲げ加工性が悪化する。ここで、後述するように、観察視野(41900μm)における球状及び縞状の組織を目視で識別し、これら識別した組織のうち、最小円の直径が1μm以上である安定相を抽出し、抽出した各安定相の最小円の直径を平均して円相当粒径とした。
安定相の円相当粒径を5μm以下にする方法としては、溶体化処理後、冷間圧延することなく時効処理を行うことが挙げられる。
以上のようにチタン銅を規定することで、JIS H 3130に規定するW曲げ試験を圧延方向に直角な方向に行った際、割れの生じない最小曲げ半径(MBR、単位:mm)と板厚(t、単位:mm)との比(MBR/t)を1以下とすることができ、特に小型コネクタ用の材料として適する。
(5)平均結晶粒径
本発明のチタン銅において、圧延方向に平行な断面の平均結晶粒径が15μm以上であると好ましい。
次に、本発明のチタン銅の製造方法について説明する。
本発明のチタン銅の製造方法は、0.5〜4.5質量%のTiを含有し残部がCu及び不可避不純物からなる鋳塊を熱間圧延、冷間圧延、溶体化処理後、冷間圧延することなく時効処理を行った後、冷間圧延を行う。
(イ)溶体化処理
Tiを充分に固溶させるため、Ti濃度が2%を超える場合は800℃以上、2%以下のものは700℃以上とする。上記温度より低温で溶体化処理を行った場合、強度や曲げ加工性の低下を招く。これは、上記範囲より低温の溶体化ではTiが充分に固溶せず、溶体化処理で残った安定相が時効処理時に粗大化しやすいからである。
(ロ)時効処理
チタン銅の強度、導電率及び曲げ加工性を向上させるため、時効処理を450℃以上で行い、その最高到達温度から300℃までの冷却速度を10〜80℃/時間とする。
時効温度が450℃未満であると、導電率が低下する。又、上記した冷却速度が10℃/時間未満になると、時効処理時間が長時間となって生産性が低下する。例えば、550℃で時効処理した後に10℃/時間の冷却速度で冷却すると、冷却時間は約1日(25時間)となるが、5℃/時間の冷却速度では50時間となり、工業的生産には好ましくない。
一方、上記した冷却速度が80℃/時間を超えると、粒界反応相が成長せず、粒界反応相の円相当粒径が8μm未満となって導電率の低下を招く。
なお、粒界反応相は時効処理における冷却時に析出するが、その冷却の過程において350℃以上の温度で一定時間保持すると粒界反応相の成長が促進される。従って、この効果を利用し、冷却途中で一定温度の保持を行う熱履歴で時効してもよい(この時効を段付き時効とする)。例えば、350℃より高い温度まで80℃/時間以下の冷却速度で冷却し、その温度(350℃以上)で数時間保持し、再び80℃/時間以下の冷却速度で冷却する。この段付き時効を行うと、同じ時効温度(最高到達温度)で比較した場合、80℃/時間以下の一定値の冷却速度よりも高い導電率が得られる。
又、時効処理時間を5〜20時間とすることが好ましい。時効処理時間が5時間未満になると、導電率が低下する場合があり、時効処理時間が20時間を超えると、強度及び曲げ加工性が低下する場合がある。
また、時効処理前に圧延を行うと、時効処理による析出が促進され、安定相が粗大化するため、強度、導電率及び曲げ加工性の両立ができなくなる。したがって、本発明においては、溶体化処理と時効処理の間に圧延を行わない。
(ハ)冷間圧延
強度を向上させるため、時効処理後に冷間圧延(時効後冷間圧延という)を行う。0.2%耐力を850MPa以上とするためには、時効後冷間圧延の加工度を10〜30%とする必要がある。より好ましくは時効後冷間圧延の加工度は10〜25%である。時効後冷間圧延の加工度が10%未満であると所望の強度が得られず、30%を超えると曲げ加工性が著しく悪化する。
(ニ)歪取り焼鈍
時効後冷間圧延で低下したばね性(ばね限界値)を改善するため、時効後冷間圧延後に歪取り焼鈍を行ってもよい。歪取り焼鈍の温度は300〜600℃、焼鈍時間は5〜300秒とする。より好ましくは歪取り焼鈍の温度が400〜550℃、焼鈍時間が5〜100秒である。歪取り焼鈍の温度が300℃未満であるか、又は焼鈍時間が5秒未満になると、ばね性が改善されない場合がある。一方、焼鈍時間が300秒を超えると強度が低下する場合があり、歪取り焼鈍の温度が600℃を超えると強度及び導電率が低下する場合がある。この導電率の低下は、高温焼鈍を行うとことで微細な析出物が母相へ固溶するためと考えられる。
電気銅を原料として、高周波真空溶解炉にて表1に示す各種インゴット(幅60mm×厚さ30mm)を鋳造し、850℃で厚さ8mmまで熱間圧延を行い、表面の酸化スケールを面削した後、冷間圧延を行った。その後、表1に示す温度で溶体化処理を行った。さらに、時効温度(最高到達温度)から300℃までの冷却速度、及び時間を表1に示すようにして時効処理した後、表1に示す加工度で時効後冷間圧延を行って最終板厚を0.1mmとした。
なお、発明例18、19については、それぞれ表1に示す時効温度(最高到達温度)で時効処理後、400℃まで80℃/時間以下の冷却速度で冷却した後、400℃で5時間保持し、再び80℃/時間以下の冷却速度で300℃まで冷却した。そして、発明例18、19において、表1で示す冷却速度は、時効温度(最高到達温度)での時効処理後、300℃まで冷却するのに要した時間をもとに算出した。
このようにして得られた各チタン銅試料について、諸特性の評価を行った。0.2%耐力は引張試験機を用いてJIS Z 2241に準拠して測定した。導電率はJIS H 0505に準拠して測定した。ばね性(ばね限界値)はJIS H 3130に準拠して測定した。曲げ加工性は、JIS H 3130に記載されたW曲げ試験を圧延方向に直角な方向に行った際、割れの生じない最小曲げ半径(MBR、単位:mm)を求め、板厚(t、単位:mm)との比(MBR/t)を測定した。
粒界反応相の円相当粒径は次のようにして求めた。まず、各試料の圧延面を電解研磨(電解液:りん酸(67vol%)+硫酸(10vol%)+純水、11A、1分間)した後、41900μmの視野の反射電子像を、FE−SEM(日本FEI社製XL30SFEG)を用いて観察した。この像において、図1の符号Aで表される球状の組織のTi濃度をEDX分析によって測定したところ、13質量%以上であり、この球状の組織を安定相とみなした。
また、符号Bで表される縞状組織を別途、収束イオンビーム装置(SIIナノテクノロジー社製)を用いて、上記試料の圧延方向に平行な断面から観察し、EDX分析によりその縞状組織のTi濃度を測定したところ、Ti濃度が極端に低い(1質量%以下)高Cu濃度層と、Ti濃度が13質量%以上の層(安定相と同様の組成を持つ層)とで構成されるラメラ組織であった。符号Bの析出物を粒界反応相とみなした。
そして、図1において、観察視野(41900μm)における符号A、Bの析出物を目視で識別し、これら識別した組織のうち、最小円の直径が3μm以上である粒界反応相と、最小円の直径が1μm以上である安定相を抽出し、抽出した各析出物の最小円の直径を平均して円相当粒径とした。又、抽出した各析出物の個数を目視で数えた。
得られた結果を表1、表2に示す。
表1、表2から明らかなように、粒界反応相の円相当粒径が8μm以上であり、安定相の円相当粒径が5μm以下である各発明例の場合、0.2%耐力が850MPa以上、導電率が18%IACS以上で、(MBR/t)が1以下となり、強度、導電率及び曲げ加工性がいずれも優れていた。
なお、それぞれほぼ同一組成の発明例18と発明例11、及び発明例19と発明例15を比較すると、上記した段付き時効を行った発明例18、19の場合、粒界反応相の成長が促進され、より高い導電率が得られた。
(1)Ti濃度について
Ti濃度が4.5質量%を超えた比較例1の場合、熱間圧延時に割れが発生し、試料が得られなかった。Ti濃度が0.5質量%未満である比較例2の場合、粒界反応相の円相当粒径が8μm未満となり、0.2%耐力が850MPa未満と低くなった。
(2)溶体化処理温度について
Ti濃度が2%を超え、溶体化処理温度が800℃未満である比較例3の場合、溶体化処理で残った安定相が時効処理時に粗大化し、曲げ加工性が悪化した。
(3)時効処理について
時効処理の温度が450℃未満である比較例4の場合、析出が不充分であるため導電率が18%IACS未満となった。時効処理時の冷却速度が80℃/時間を超えた比較例5の場合、粒界反応相の成長が不充分なために粒界反応相の円相当粒径が8μm未満となり、強度と曲げ加工性が低下した。
(4)時効後の冷間圧延
時効後の冷間圧延の加工度が10%未満である比較例6の場合、0.2%耐力が850MPa未満と低くなった。また、時効後の冷間圧延の加工度が30%を超える比較例7の場合、曲げ加工性が悪化した。
(5)歪取り焼鈍
歪取り焼鈍の温度が600℃を超える比較例8の場合、導電率が18%IACS未満となった。また、歪取り焼鈍の時間が300秒を超える比較例9の場合、0.2%耐力が850MPa未満と低くなった。
(6)時効前後の冷間圧延
溶体化処理と時効処理との間に冷間圧延を実施し、時効処理後に冷間圧延をしなかった比較例10の場合、安定相の円相当粒径が5μmを超え、強度と曲げ加工性が低下した。これは、冷間圧延により時効処理時の安定相の析出と成長が促進されたためである。
溶体化処理と時効処理との間に冷間圧延を実施し、時効処理後も冷間圧延した比較例11の場合、安定相の円相当粒径が5μmを超え、曲げ加工性が低下した。これは、冷間圧延により時効処理時の安定相の析出と成長が促進されたためである。

Claims (4)

  1. 0.5〜4.5質量%のTiを含有し、残部がCu及び不可避不純物からなり、
    Ti濃度が1質量%以下のCu高濃度層とTi濃度が13質量%以上の層とでラメラ組織を構成する粒界反応相と、Ti濃度が13質量%以上の安定相とを有し、
    前記粒界反応相の円相当粒径が8μm以上、安定相の円相当粒径が5μm以下であって、
    0.2%耐力が850MPa以上、導電率が18%IACS以上であり、JIS H 3130に規定するW曲げ試験を圧延方向に直角な方向に行った際、割れの生じない最小曲げ半径(MBR、単位:mm)と板厚(t、単位:mm)との比(MBR/t)が1以下であるチタン銅。
  2. 更にFe、Co、Ni、Si、Cr、Zr、B及びPの群から選ばれる1種以上を合計0.01〜0.5質量%含有する請求項1に記載のチタン銅。
  3. 請求項1に記載のチタン銅の製造方法であって、
    0.5〜4.5質量%のTiを含有し残部がCu及び不可避不純物からなる鋳塊を熱間圧延、冷間圧延、溶体化処理後、冷間圧延することなく時効処理を行った後、冷間圧延を行い、
    前記溶体化処理の温度をTi濃度が2%を超える場合は800℃以上、2%以下のものは700℃以上とし、
    前記時効処理を450℃以上で行い、その最高到達温度から300℃までの冷却速度を10〜80℃/時間とし、
    前記時効後冷間圧延の加工度を10〜30%とするチタン銅の製造方法。
  4. 前記時効後冷間圧延の後に300〜600℃で5〜300秒加熱する歪取り焼鈍を行う請求項3に記載のチタン銅の製造方法。
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