JP2014088604A - Cu−Ni−Co−Si系銅合金板材およびその製造法 - Google Patents

Cu−Ni−Co−Si系銅合金板材およびその製造法 Download PDF

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Abstract

【課題】高強度化と曲げたわみ係数低減を高いレベルで両立させた銅合金板材を提供する。
【解決手段】Cu−Ni−Co−Si系銅合金板材において、母相中に存在する第二相粒子のうち、粒径2nm以上10nm未満の「超微細第二相粒子」の個数密度が1.0×109個/mm2以上、粒径10nm以上100nm未満の「微細第二相粒子」の個数密度が5.0×107個/mm2以下、粒径100nm以上3.0μm以下の「粗大第二相粒子」の個数密度が1.0×105個/mm2以上1.0×106個/mm2以下であり、I{200}は当該銅合金板材板面における{200}結晶面のX線回折強度と、純銅標準粉末試料における{200}結晶面のX線回折強度の比I{200}/I0{200}が3.0以上である銅合金板材。
【選択図】なし

Description

本発明は、コネクタ、リードフレーム、リレー、スイッチなどの電気・電子部品に適したCu−Ni−Co−Si系銅合金板材において特に曲げたわみ係数の低減を図ったもの、およびその製造方法に関する。
コネクタ、リードフレーム、リレー、スイッチなどの通電部品として電気・電子部品に使用される材料には、通電によるジュール熱の発生を抑制するために良好な「導電性」が要求されるとともに、電気・電子機器の組立時や作動時に付与される応力に耐え得る高い「強度」が要求される。また、コネクタなどの電気・電子部品は、一般にプレス打ち抜き後に曲げ加工により成形されることから、優れた曲げ加工性も要求される。
特に近年、コネクタなどの電気・電子部品は小型化および軽量化が進む傾向にあり、それに伴って、素材である銅合金の板材には薄肉化の要求(例えば、板厚が0.15mm以下、更に0.10mm以下)が高まっている。そのため、素材に要求される強度レベル、導電性レベルは一層厳しくなっている。具体的には0.2%耐力950MPa以上の強度レベルと導電率30%IACS以上の導電性レベルを併せ持つ素材が望まれている。
また、コネクタなどの電気・電子部品は一般にプレス打ち抜き後に曲げ加工により成形されることから、設計時には「曲げたわみ係数」が用いられる。曲げたわみ係数とは曲げ試験時の弾性係数であり、曲げたわみ係数が低いほど永久変形を開始するまでの曲げたわみ量を大きくとることができる。特に最近では素材の板厚や残留応力といったバラツキを許容できる設計に加え、端子部分の「挿入感」を重視するような実使用上のニーズに応えるため、ばねの変位を大きくとる構造が求められている。そのためには、素材の機械的特性において圧延方向の曲げたわみ係数が95GPa以下、好ましくは90GPa以下と小さいことが有利となる。
代表的な高強度銅合金として、Cu−Be系合金(例えばC17200;Cu−2%Be)、Cu−Ti系合金(例えばC19900;Cu−3.2%Ti)、Cu−Ni−Sn系合金(例えばC72700;Cu−9%Ni−6%Sn)などが挙げられる。しかしながら、コストと環境負荷の視点から近年Cu−Be系合金を敬遠する傾向(いわゆる脱ベリ志向)が強まっている。また、Cu−Ti系合金およびCu−Ni−Sn系合金は、固溶元素が母相内に周期的な濃度変動を有する変調構造(スピノーダル構造)を有し、強度は高いものの、導電率が例えば10〜15%IACS程度と低いという欠点がある。
一方、Cu−Ni−Si系合金(いわゆるコルソン合金)は、強度と導電性の特性バランスに比較的優れた材料として注目されている。例えば、Cu−Ni−Si系銅合金板材は、溶体化処理、冷間圧延、時効処理、仕上げ冷間圧延および低温焼鈍を基本とする工程により、比較的高い導電率(30〜50%IACS)を維持しながら700MPa以上の0.2%耐力に調整することができる。しかし、この合金系において更なる高強度化に対応することは必ずしも容易ではない。
Cu−Ni−Si系銅合金板材の高強度化手段として、Ni、Siの多量添加や時効処理後の仕上げ圧延(調質処理)率の増大などの一般的手法が知られている。Ni、Siの添加量増大に伴い強度は増大していく。しかし、ある程度の添加量(例えばNi:3%、Si:0.7%程度)を超えると強度の増大が飽和する傾向にあり、950MPa以上の0.2%耐力を達成することは極めて困難である。また、Ni、Siの過剰添加は導電率の低下や、Ni−Si系析出物の粗大化による曲げ加工性の低下を招きやすい。他方、時効処理後の仕上げ圧延率の増大によっても強度の向上は可能である。しかし、仕上げ圧延率が高くなると曲げ加工性、特に圧延方向を曲げ軸とする「BadWay曲げ」での曲げ加工性が著しく悪化する。そのため、強度レベルが高くても電気・電子部品に加工できなくなる場合がある。
特開2008−248333号公報 特開2009−7666号公報 WO2011/068134号公報 特開2011−252188号公報 特開2011−84764号公報 特開2011−231393号公報
Cu−Ni−Si系合金の改良系として、Coを添加したCu−Ni−Co−Si系合金が知られている。CoはNiと同様にSiとの化合物を形成するので、Co−Si系析出物による強度向上効果が得られる。Cu−Ni−Co−Si系合金を用いて特性改善を図った例として、以下のような文献が挙げられる。
特許文献1にはCu−Ni−Co−Si系合金において粗大析出物の抑制により第二相粒子の個数密度を制御することに加え、加工硬化を組み合わせて強度を向上させることが記載されている。しかし、その強度レベルは0.2%耐力810〜920MPa程度であり、950MPaには至っていない。特許文献2には平均結晶粒径および集合組織を制御して特性を向上させることが記載されているが、その強度レベルは0.2%耐力652〜867MPaと低い。特許文献4には析出物の粒度分布を適正化することにより特に耐へたり性を改善することが記載されている。この場合も0.2%耐力が950MPa以上となるような高強度は実現されていない。
特許文献3には集合組織の制御によって特性を向上させ、中には0.2%耐力1000MPaを実現したCu−Ni−Co−Si系合金も開示されている。しかしながら、0.2%耐力を940MPa以上に調整した材料では曲げたわみ係数が100GPa以上と高くなってしまい、高強度・低たわみ係数の両立を実現することは難しいことがわかる。
特許文献5にはX線回折強度比I{200}/I0{200}が0.2〜3.5のCu−Ni−Co−Si系合金が例示されている。しかし、I{200}/I0{200}が3.0以上のものにおいて950MPa以上の0.2%耐力は実現されていない。特許文献6にはCube方位粒の面積率が高く、0.2%耐力950MPa以上のCu−Ni−Co−Si系銅合金板材が示されている。しかし、発明者らの検討によれば、この文献の技術によって曲げたわみ係数が95MPa以下と低いものを得ることは難しいことがわかった。
以上のように、銅合金板材の高強度化と、曲げたわみ係数の低減を高いレベルで両立させることは容易でなかった。本発明はこのような従来の問題点に鑑み、30%IACS以上の導電率と良好な曲げ加工性を維持しつつ、0.2%耐力950MPa以上の高強度を有し、且つ95GPa以下の曲げたわみ係数と優れた曲げ加工性を同時に有するCu−Ni−Co−Si系銅合金板材を提供することを目的とする。
上記目的は、質量%で、Ni:0.80〜3.50%、Co:0.50〜2.00%、Si:0.30〜2.00%、Fe:0〜0.10%、Cr:0〜0.10%、Mg:0〜0.10%、Mn:0〜0.10%、Ti:0〜0.30%、V:0〜0.20%、Zr:0〜0.15%、Sn:0〜0.10%、Zn:0〜0.15%、Al:0〜0.20%、B:0〜0.02%、P:0〜0.10%、Ag:0〜0.10%、Be:0〜0.15%、REM(希土類元素):0〜0.10%、残部Cuおよび不可避的不純物である化学組成を有し、母相中に存在する第二相粒子のうち、粒径2nm以上10nm未満の「超微細第二相粒子」の個数密度が1.0×109個/mm2以上、粒径10nm以上100nm未満の「微細第二相粒子」の個数密度が5.0×107個/mm2以下、粒径100nm以上3.0μm以下の「粗大第二相粒子」の個数密度が1.0×105個/mm2以上1.0×106個/mm2以下であり、下記(1)式を満たす結晶配向を有する銅合金板材によって達成される。
I{200}/I0{200}≧3.0 …(1)
ここで、I{200}は当該銅合金板材板面における{200}結晶面のX線回折ピークの積分強度、I0{200}は純銅標準粉末における{200}結晶面のX線回折ピークの積分強度である。
その銅合金板材は、圧延方向の0.2%耐力が950MPa以上、圧延方向の曲げたわみ係数が95GPa以下、導電率が30%IACS以上という特性を具備する。なお、本発明においてY(イットリウム)はREM(希土類元素)であるとして扱う。
上記銅合金板材の製造方法として、上記化学組成を有し、1060℃以下850℃以上の温度範囲で圧延率85%以上の圧延加工を施す処理を経ており、粒径100nm以上3.0μm以下の「粗大第二相粒子」の個数密度が1.0×105個/mm2以上1.0×106個/mm2以下であり、粒径10nm以上100nm未満の「微細第二相粒子」の個数密度が5.0×107個/mm2以下である金属組織を有する銅合金板材中間製品に対して、800℃から950℃までの昇温速度が50℃/sec以上となるように950℃以上に昇温したのち950〜1020℃で保持するヒートパターンで溶体化処理を施す工程、
前記溶体化処理後の金属組織および結晶配向を有する材料を350〜500℃で時効処理する工程、
を有する製造法が提供される。前記溶体化処理において上記(1)式を満たす結晶配向を得ることができる。
上記の銅合金板材中間製品は、上記化学組成を有する銅合金鋳片に対して、1060℃以下850℃以上の温度範囲で圧延率85%以上、且つ850℃未満700℃以上の温度範囲で圧延率30%以上の熱間圧延を施し、その後、冷間圧延を経ることにより製造することができる。
時効処理後に、前記(1)式を満たす結晶配向が維持される圧延率の範囲で仕上げ冷間圧延を施すことが強度レベルを引き上げるうえで有効である。仕上げ冷間圧延後には、150〜550℃の範囲で低温焼鈍を施すことができる。
本発明によれば、導電率30%IACS以上、0.2%耐力950MPa以上、曲げたわみ係数95GPa以下の特性を有する曲げ加工性の良好な銅合金板材が実現できる。曲げたわみ係数が小さいことから、永久変形を開始するまでの曲げたわみ量を大きくとることができ、且つ0.2%耐力が高いので、コネクター、リードフレームなどの通電部品において端子部分の「挿入感」を改善することができる。
発明者らは、研究の結果、以下のような知見を得た。
(a)Cu−Ni−Co−Si系銅合金板材において、粒径10nm以上100nm未満の「微細第二相粒子」と粒径100nm以上3.0μm以下の「粗大第二相粒子」の個数密度を所定範囲にコントロールし、且つ板面に平行な{200}結晶面を持つ結晶粒の割合を増大させることにより、曲げたわみ係数を低下させることができる。
(b)粒径2nm以上10nm未満の「超微細第二相粒子」の個数密度を十分に確保することにより、上記曲げたわみ係数の低下を損なうことなく高い強度レベルが得られる。
(c)熱間圧延により「粗大第二相粒子」を十分に生成させたのち、昇温過程での急速加熱を要件とする溶体化処理を施すことにより、上記(a)(b)の金属組織および結晶配向を有する銅合金板材を実現することができる。
本発明はこのような知見に基づいて完成したものである。
〔第二相粒子〕
Cu−Ni−Co−Si系合金は、fcc結晶からなる母相(マトリクス)の中に第二相粒子が存在する金属組織を呈する。第二相粒子は鋳造工程の凝固時に生成する晶出物およびその後の製造工程で生成する析出物であり、当該合金の場合、主としてCo−Si系金属間化合物相とNi−Si系金属間化合物相で構成される。本明細書ではCu−Ni−Co−Si系合金に観測される第二相粒子を以下の4種類に分類している。
(i)超微細第二相粒子; 粒径2nm以上10nm未満であり、溶体化処理後の時効処理で生成する。強度向上に寄与する。
(ii)微細第二相粒子; 粒径10nm以上100nm未満であり、強度向上にはほとんど寄与せず、曲げたわみ係数の上昇を招く。
(iii)粗大第二相粒子; 粒径100nm以上3.0μm以下であり、強度向上にはほとんど寄与せず、曲げたわみ係数の上昇を招く。ただし、溶体化処理において板面に平行な{200}結晶面を持つ結晶粒の割合を増大させるために有効であることがわかった。
(iv)超粗大第二相粒子; 粒径3.0μmを超えるものであり、鋳造工程の凝固時に生成する。強度向上には寄与しない。製品に残存すると曲げ加工時の割れの起点となりやすい。
〔第二相粒子の分布〕
粒径2nm以上10nm未満の「超微細第二相粒子」は0.2%耐力950MPa以上の高強度を得る上で重要である。種々検討の結果、超微細第二相粒子の個数密度は1.0×109個/mm2以上を確保する必要がある。それより少ないと仕上げ冷間圧延での圧延率をかなり高くしない限り0.2%耐力950MPa以上の強度レベルを得ることは難しい。仕上げ冷間圧延率が過大になると板面における{200}結晶面の配向割合が低下し、曲げたわみ係数の上昇を招く。超微細第二相粒子の個数密度の上限は特に規定する必要はないが、本発明で対象とする化学組成範囲では通常、5.0×109個/mm2以下の範囲となる。また、超微細第二相粒子の個数密度は1.5×109個/mm2以上であることが好ましい。
粒径10nm以上100nm未満の「微細第二相粒子」は強度向上にほとんど寄与せず、曲げ加工性の向上にも寄与しない。また、曲げたわみ係数を上昇させる要因となる。したがって本発明では、不要な微細第二相粒子の存在割合が少なく、その分、強度向上に有効な超微細第二相粒子の量を上述のように十分確保した金属組織を対象とする。具体的には、微細第二相粒子の個数密度は5.0×107個/mm2以下に制限され、4.0×107個/mm2以下とすることがより好ましい。
粒径100nm以上3.0μm以下の「粗大第二相粒子」は、溶体化処理に供する中間製品の段階で十分に存在させておくことにより、溶体化処理時において、曲げたわみ係数の低減に極めて有利な結晶配向を有する再結晶集合組織(後述の{200}配向)を形成する作用を発揮する。しかし、粗大第二相粒子が多すぎると曲げたわみ係数の上昇を招く。したがって本発明では、粗大第二相粒子の個数密度を1.0×105個/mm2以上1.0×106個/mm2以下とする。これより少ない場合には結晶配向の形成が不十分となり曲げたわみ係数の低減効果が得られにくい。これより多い場合には曲げたわみ係数の上昇を招きやすく、また超微細第二相粒子量の確保が不十分となり強度低下を招きやすい。なお、粗大第二相粒子の個数密度は5.0×105個/mm2以下であることがより好ましい。
粒径3.0μmを超える「超粗大第二相粒子」は、本発明において有益ではないため、できるだけ少ないことが望ましい。ただし、曲げ加工性を阻害するほど多量の超粗大第二相粒子が存在するような場合には、そもそも超微細第二相粒子および粗大第二相粒子の存在量を上述のように十分確保することが困難である。したがって、本発明において超粗大第二相粒子の個数密度を特に規定する必要はない。
〔結晶配向〕
圧延を経て製造された銅系材料の板材において、{200}結晶面が板面に平行で且つ<001>方向が圧延方向に平行な結晶の方位はCube方位と呼ばれる。Cube方位の結晶は、板厚方向(ND)、圧延方向(RD)、圧延方向と板厚方向に垂直な方向(TD)の3方向に同等な変形特性を示す。{200}結晶面上のすべり線は、曲げ軸に対して45°および135°と対称性が高いため、せん断帯を形成することなく曲げ変形が可能である。そのため、Cube方位の結晶粒は本質的に曲げ加工性が良好である。
Cube方位は純銅型再結晶集合組織の主方位であることが良く知られている。しかし、銅合金においては一般的な工程条件でCube方位を発達させることは困難である。発明者らは鋭意研究の結果、特定条件での熱間圧延と溶体化処理を組み合わせる工程(後述)により、Cu−Ni−Co−Si系合金において、{200}結晶面が板面にほぼ平行である結晶粒の存在割合が多い集合組織(以下、単に「{200}配向」ということがある)の実現が可能であることを見出した。そして、{200}配向のCu−Ni−Co−Si系銅合金板材は、曲げ加工性が良好であることに加え、曲げたわみ係数の低減に極めて有効であることを発見した。
具体的には下記(1)式を満たす結晶配向を有する銅合金板材とすることによって、95GPa以下という低いたわみ係数を実現することができる。下記(1)’式を満たすことが一層効果的である。
I{200}/I0{200}≧3.0 …(1)
I{200}/I0{200}≧3.5 …(1)’
ここで、I{200}は当該銅合金板材板面における{200}結晶面のX線回折ピークの積分強度、I0{200}は純銅標準粉末における{200}結晶面のX線回折ピークの積分強度である。
なお、95GPa以下の曲げたわみ係数が得られる{200}配向のCu−Ni−Co−Si系銅合金板材について、板面における{220}結晶面および{211}結晶面のX線回折強度を測定すると、それぞれ下記(2)式および(3)式のようになる。
I{220}/I0{220}≦3.0 …(2)
I{211}/I0{211}≦2.0 …(3)
ここで、I{220}は当該銅合金板材板面における{220}結晶面のX線回折ピークの積分強度、I0{220}は純銅標準粉末における{220}結晶面のX線回折ピークの積分強度である。同様にI{211}は当該銅合金板材板面における{211}結晶面のX線回折ピークの積分強度、I0{211}は純銅標準粉末における{211}結晶面のX線回折ピークの積分強度である。
〔化学組成〕
本発明で対象とするCu−Ni−Co−Si系合金の成分元素について説明する。以下、合金元素についての「%」は特に断らない限り「質量%」を意味する。
Niは、Ni−Si系析出物を形成して銅合金板材の強度と導電性を向上させる元素である。その作用を十分に発揮させるために、Ni含有量は0.80%以上とすることが必要であり、1.30%以上とすることがより効果的である。一方、過剰なNi含有は導電率の低下や粗大析出物の生成による曲げ加工時の割れを招く要因となる。種々検討の結果、Ni含有量は3.50%以下の範囲に制限され、3.00%以下に管理してもよい。
Coは、Co−Si系析出物を形成して銅合金板材の強度と導電性を向上させる元素である。また、Ni−Si系析出物を分散させる作用を有する。二種類の析出物の共存による相乗効果によって強度が一層向上する。これらの作用を十分に発揮させるには0.50%以上のCo含有量を確保することが好ましい。ただし、CoはNiより高融点の金属であることから、Co含有量が高すぎると溶体化処理での完全固溶が困難となり、未固溶のCoは強度向上に有効なCo−Si系析出物の形成に使われない。そのためCo含有量は2.00%以下とするのが好ましく、1.80%以下とすることが更に好ましい。
Siは、Ni−Si系析出物およびCo−Si系析出物の形成に必要な元素である。Ni−Si系析出物はNi2Siを主体とする化合物であると考えられ、Co−Si系析出物はCo2Siを主体とする化合物であると考えられる。ただし、合金中のNi、CoおよびSiは時効処理によって全てが析出物になるとは限らず、ある程度は母相中に固溶した状態で存在する。固溶状態のNi、CoおよびSiは銅合金の強度を若干向上させるが、析出状態と比べてその効果は小さく、また、導電率を低下させる原因になる。そのため、Si含有量は、できるだけ析出物Ni2SiおよびCo2Siの組成比に近づけるのが好ましい。そのためには(Ni+Co)/Si質量比を3.0〜6.0に調整することが好ましく、3.5〜5.0に調整することがより効果的である。このような観点から、本発明ではSi含有量が0.30〜2.00%の範囲にある合金を対象とし、0.50〜1.20%の範囲にあることがより好ましい。
上記以外の任意添加元素として、必要に応じてFe、Cr、Mg、Mn、Ti、V、Zr、Sn、Zn、Al、B、P、Ag、Be、REM(希土類元素)などを添加してもよい。例えば、Snは耐応力緩和性の向上させる作用を有し、Znは銅合金板材のはんだ付け性および鋳造性を改善する作用を有し、Mgも耐応力緩和性を向上させる作用を有する。Fe、Cr、Mn、Ti、V、Zrなどは強度を向上させる作用を有する。Agは導電率を大きく低下させずに固溶強化を図る上で有効である。Pは脱酸作用、Bは鋳造組織を微細化する作用を有し、それぞれ熱間加工性の向上に有効である。また、Ce、La、Dy、Nd、YなどのREM(希土類元素)は結晶粒の微細化や析出物の分散化に有効である。
これらの任意添加元素を多量に添加すると、Ni、Co、Siと化合物を形成する元素もあり、本発明で規定する第二相粒子のサイズと分布の関係を満たすのが難しくなる。また、導電率が低下したり、熱間加工性、冷間加工性に悪影響を及ぼしたりする場合もある。種々検討の結果、これらの元素の含有量はそれぞれ、Fe:0〜0.10%、Cr:0〜0.10%、Mg:0〜0.10%、Mn:0〜0.10%、Ti:0〜0.30%好ましくは0〜0.25%、V:0〜0.20%、Zr:0〜0.15%、Sn:0〜0.10%、Zn:0〜0.15%、Al:0〜0.20%、B:0〜0.02%、P:0〜0.10%、Ag:0〜0.10%、Be:0〜0.15%、REM(希土類元素):0〜0.10%の範囲とすることが望まれる。また、これら任意添加元素は総量で2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下あるいは0.5%以下に管理してもよい。
〔特性〕
コネクタなどの電気・電子部品に適用する素材には、部品の端子部分(挿入部分)において、挿入時の応力負荷による座屈、変形が生じない強度が必要である。特に部品の小型化および薄肉化に対応するには強度レベルに対する要求が一層厳しくなる。今後の小型化・薄肉化のニーズを考慮すると、素材である銅合金板材の強度レベルとして圧延方向の0.2%耐力を950MPa以上とすることが望まれる。通常、950MPa以上1000MPa未満の範囲とすればよく、950MPa以上990MPa未満、あるいは950MPa以上980MPa未満にコントロールしてもよい。
一方、端子部分の「挿入感」を重視するような実使用上のニーズに応えるためには、ばねとしての弾性変位が大きくなるように、曲げたわみ係数を小さくすることが極めて有効である。そのためには、上記のような高強度を呈する板材において、曲げたわみ係数が95GPa以下と小さいことが望ましく、90MPa以下であることがより好ましい。
また、コネクタなどの通電部品は、電気・電子機器の高集積化、密装化および大電流化に対応するために従来にも増して高導電率であることの要求が高まっている。具体的には30%IACS以上の導電率であることが望まれ、35%IACS以上の導電率を確保することがより好ましい。
〔製造方法〕
上述の銅合金板材は、「熱間圧延→冷間圧延→溶体化処理→時効処理」のプロセスを経て製造することができる。ただし、熱間圧延と溶体化処理においては、製造条件に工夫を要する。熱間圧延と溶体化処理の間で行う冷間圧延においては所定の条件に管理した中間焼鈍を施してもよい。時効処理後に「仕上げ冷間圧延」を行うことができる。また、その後には「低温焼鈍」を施すことができる。一連のプロセスとして、「溶解・鋳造→熱間圧延→冷間圧延→溶体化処理→時効処理→仕上げ冷間圧延→低温焼鈍」のプロセスを例示することができる。以下、各工程における製造条件を例示する。
〔溶解・鋳造〕
一般的な銅合金の溶製方法と同様の方法により、銅合金の原料を溶解した後、連続鋳造や半連続鋳造などにより鋳片を製造することができる。CoとSiの酸化を防止するために、木炭やカーボン等で溶湯を被覆するか、チャンバー内において不活性ガス雰囲気下または真空下で溶解を行うことが望ましい。なお、鋳造後には、鋳造組織の状態により必要に応じて鋳片を均質化焼鈍に供することができる。均質化焼鈍は例えば1000〜1060℃で1〜10h加熱する条件にて行えばよい。均質化焼鈍は次工程の熱間圧延における加熱工程を利用してもよい。
〔熱間圧延〕
鋳片を1000〜1060℃に加熱した後、1060℃以下850℃以上の温度範囲で圧延率85%以上(好ましくは圧延率85〜95%)の圧延を実施し、且つ850℃未満700℃以上の温度範囲で圧延率30%以上の圧延を施すことが、後述の溶体化処理に供するための「銅合金板材中間製品」を得る上で極めて有効である。
鋳造時の凝固過程では粒径3.0μmを超える粗大な晶出物が不可避的に生成し、その冷却過程では粒径3μmを超える粗大な析出物が不可避的に生成する。それらの晶出物および析出物は超粗大第二相粒子として鋳片中に介在する。850℃以上の高温域で圧延率85%以上の圧延加工を施すことによって上記の超粗大第二相粒子を分解しながら固溶を促進させ、組織の均質化を図る。この高温域での圧延率が85%を下回ると超粗大第二相粒子の固溶が不十分となり、残留した超粗大第二相粒子がその後の工程でも固溶することなく残存するため、時効処理での超微細第二相粒子の析出量が減少し強度が低下する。また、残存した粒径3.0μmを超える粒子は曲げ加工時の割れの起点となるため曲げ加工性が悪化することがある。
次に、850℃未満700℃以上の温度域で30%以上の圧延率を確保する。これにより析出が促進され、溶体化処理に供するための「銅合金板材中間製品」において、粒径100nm以上3.0μm以下の粗大第二相粒子の個数密度を上記所定範囲に確保することができる。このようにして熱間圧延工程で粗大第二相粒子の個数密度を制御しておくことにより、溶体化処理において{200}配向を得ることが可能となるのである。また、上記熱処理条件を採用することにより粒径10nm以上100nm未満の微細第二相粒子の個数密度についても銅合金板材中間製品において上記所定量を超えないようにすることができる。850℃未満700℃以上の温度域での圧延率が30%を下回ってしまうと第二相粒子の析出および粗大第二相粒子への粒成長が不十分となる。この場合、強度向上、{200}配向の形成のどちらにも寄与しない粒径10nm以上100nm未満の微細第二相粒子の個数密度が高まり、強度の低下、曲げたわみ係数の上昇、曲げ加工性の悪化を招きやすい。また、850℃未満700℃以上の温度域での圧延率が不足すると微細第二相粒子の増大を招きやすく、曲げたわみ係数の上昇要因となりうる。なお、この温度域での圧延率は60%以下とすることがより好ましい。
なお、圧延率は下記(4)式により表される。
圧延率R(%)=(h0−h1)/h0×100 …(4)
ここで、h0は圧延前の板厚(mm)、h1は圧延後の板厚(mm)である。
熱間圧延でのトータルの圧延率は85〜98%とすればよい。
例として、厚さ100mmの鋳片に対して850℃以上の高温域で圧延率90%の圧延を行い、850℃未満の温度域で圧延率40%の圧延を行う場合について説明する。まず、圧延率90%の圧延に関しては、(4)式のh0に100mm、Rに90%を代入すると圧延率90%の圧延後の板厚h1は10mmとなる。次に、圧延率40%の圧延に関しては、(4)式のh0に10mm、Rに40%を代入すると圧延率40%の圧延後の板厚h1は6mmとなる。したがってこの場合、熱間圧延での初期板厚は100mm、最終板厚は6mmであるから、改めて(4)式のh0に100mm、h1に6mmを代入すると、熱間圧延でのトータルの圧延率は94%となる。
熱間圧延終了後には、水冷などにより急冷するのが好ましい。また、熱間圧延後には必要に応じて面削や酸洗を行うことができる。
〔冷間圧延〕
上記熱間圧延により第二相粒子の粒度を調整した熱延材に対して、所定の厚さを得るために冷間圧延を施して、溶体化処理に供するための「銅合金板材中間製品」とすることができる。必要に応じて冷間圧延工程の途中で中間焼鈍を施してもよい。冷間圧延によって粗大な第二相粒子は圧延方向に多少引き延ばされるが、中間焼鈍を施さない場合は第二相粒子の体積は保たれる。中間焼鈍を施すと第二相の析出が生じるが、粒径10nm以上100nm未満の微細第二相粒子の個数密度が5.0×107個/mm2以下の範囲に維持される条件で焼鈍すれば問題ない。本発明では後述のように粗大第二相粒子の個数密度は板面に平行な断面についての走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって測定される値を採用するが、発明者らの検討によれば、その手法によって定まる粒径100nm以上3.0μm以下の粗大第二相粒子の個数密度が1.0×105個/mm2以上1.0×106個/mm2以下である銅合金板材中間製品に対して、後述の特異なヒートパターンを有する溶体化処理を施すことにより、所望の結晶配向が得られることがわかった。上記熱間圧延の条件範囲にて、この冷間圧延後の「粗大第二相粒子」の個数密度を上記範囲に収めることが可能である。ここでの冷間圧延は通常、圧延率99%以下の範囲とすればよい。なお、熱間圧延で所望の板厚に達していれば冷間圧延を実施しなくてもよいが、溶体化処理の再結晶化を促進するという観点からは、圧延率が50%以上の冷間圧延を施すことが有利となる。中間焼鈍を施さない場合は、溶体化処理工程が熱間圧延後の最初の熱処理となる。
〔溶体化処理〕
上述のようにして粒径100nm以上3.0μm以下の「粗大第二相粒子」の個数密度を調整した銅合金板材中間製品に対して、溶体化処理を施す。一般に溶体化処理は溶質元素をマトリクス中に再固溶させることおよび十分に再結晶化することを主たる目的としている。本発明ではさらに{200}配向の再結晶集合組織を得ることを重要な目的とする。
本発明に従う溶体化処理においては、昇温過程において、800℃から950℃までの昇温速度が50℃/sec以上となるように950℃以上に昇温することが重要である。粒径100nm以上3.0μm以下の「粗大第二相粒子」の個数密度が上述のように調整されているCu−Ni−Co−Si系銅合金板材に対してこのような急速な昇温を施すと、{200}配向が増大し、{220}面、{211}面の板面X線回折強度が低い結晶配向を得ることができる。そのような結晶配向が得られるメカニズムについては現時点で不明な点も多いが、上記粒径の粗大第二相粒子は再結晶による結晶粒成長を抑制する作用を有すると考えられ、そのような粒子が適量分散している場合に急速昇温によって急激に再結晶を起こさせると、過剰な結晶粒成長に至らず、結果的に{200}配向が得られるのである。800℃から950℃までの昇温速度が50℃/secより遅いと再結晶の進行速度が遅くなり、安定して{200}配向を得ることが難しくなる。
950℃以上での加熱保持によって溶質元素の再固溶を十分に進行させる。保持温度が950℃より低いと再固溶および再結晶が不十分となりやすい。一方、保持温度が1020℃を超えると結晶粒の粗大化を招きやすい。これらいずれの場合も、最終的に曲げ加工性の優れた高強度材を得ることが困難となる。したがって保持温度は950〜1020℃とする。この温度域での保持時間は例えば5sec〜5minとすればよい。保持後の冷却は、固溶した第二相粒子の析出を防止するため急冷することが好ましい。このようなヒートパターンを有する溶体化処理によって上記の(1)式、好ましくは(1)’式を満たすような{200}配向を有する板材を得る。
〔時効処理〕
時効処理では、強度と導電性の向上が主な目的となる。強度に寄与する超微細第二相粒子をできるだけ多く析出させながら、第二相粒子の粗大化を防ぐ必要がある。時効処理温度が高すぎると析出物が粗大化しやすく、超微細第二相粒子の粗大化により強度低下、曲げたわみ係数の上昇を招く。一方、時効温度が低すぎると上述した特性を改善する効果が十分に得られないか、時効時間が長すぎて生産性に不利になる。具体的には、時効処理は350〜500℃の温度範囲で行うのが好ましい。時効処理時間は通常実施されるように、硬さがピーク(最大)となる概ね1〜10h程度で良好な結果が得られる。
〔仕上げ冷間圧延〕
この仕上げ冷間圧延では、強度レベルの更なる向上を図る。ただし、冷間圧延率の増大に伴い{220}を主方位成分とする圧延集合組織が発達していく。圧延率が高すぎると{220}方位の圧延集合組織が相対的に優勢となりすぎ、高強度と低曲げたわみ係数を両立することが困難となる。したがって、上記(1)式、より好ましくは上記(1)’式を満たす結晶配向が維持される圧延率の範囲で仕上げ冷間圧延を実施する必要がある。発明者らの詳細な研究の結果、圧延率が60%を超えない範囲で仕上げ冷間圧延を行うことが望ましく、50%以下の範囲とすることがより好ましい。
〔低温焼鈍〕
仕上げ冷間圧延の後には、銅合金板材の残留応力の低減、ばね限界値と耐応力緩和特性の向上を目的として、低温焼鈍を施してもよい。加熱温度は150〜550℃の範囲で設定するのが好ましい。300〜500℃の範囲とすることがより好ましい。これにより板材内部の残留応力が低減され、強度の低下をほとんど伴わずに曲げ加工性を向上させることができる。また、導電率を向上させる効果もある。この加熱温度が高すぎると低時間で軟化し、バッチ式でも連続式でも特性のバラツキが生じやすくなる。一方、加熱温度が低すぎると上述した特性を改善する効果が十分に得られない。加熱時間は5sec以上の範囲で設定することができる。30sec〜1hの範囲で設定することがより好ましい。
表1に示す化学組成の銅合金を高周波溶解炉にて溶解し、厚さ60mmの鋳片を得た。各鋳片を1030℃で4h均質化焼鈍した。その後、熱間圧延→冷間圧延→溶体化処理→時効処理→仕上げ冷間圧延→低温焼鈍の工程で板厚0.15mmの銅合金板材(供試材)を得た。
熱間圧延は、鋳片を1000℃に加熱し、1000℃から850℃までの高温域で種々の圧延率で圧延し、続けて850℃未満から700℃までの温度域で種々の圧延率で圧延する手法にて行った。それぞれの温度域での圧延率は表1中に示してある。最終パス温度は700℃以上であり、熱間圧延後に材料を水冷によって急冷した。得られた熱延材の表面酸化層を機械研磨により除去した後、冷間圧延を施して板厚0.20mmの「銅合金板材中間製品」とした。
上記銅合金板材中間製品に対して、溶体化処理を施した。昇温時に800〜950℃における昇温速度を種々変化させて、1000℃の保持温度まで昇温した。試料表面に取り付けた熱電対により800〜950℃の昇温速度を測定した。1000℃に到達後、1min保持し、その後、50℃/sec以上の冷却速度で常温まで急冷(水冷)した。800〜950℃における昇温速度は表1中に示してある。
時効処理温度は430℃とし、時効時間は合金組成に応じて430℃の時効で硬さがピークとなる時間に調整した。ただし、比較例No.38では時効処理温度を530℃とし、時効時間は530℃の時効で硬さがピークとなる時間とした。時効処理後、仕上げ圧延を施して板厚0.15mmとし、最終的に425℃、1minの低温焼鈍を施して供試材を得た。
なお、比較例No.37では、熱延材を機械研磨後に550℃で6h中間焼鈍を実施した。中間焼鈍後は冷間圧延を施して板厚0.20mmの「銅合金板材の中間製品」とし、本発明例と同様の条件で溶体化処理、時効処理、仕上げ圧延、低温焼鈍を順に施して板厚0.15mmの銅合金板材(供試材)とした。
Figure 2014088604
〔第二相粒子の個数密度〕
各供試材について、粒径2nm以上10nm未満の「超微細第二相粒子」、粒径10nm以上100nm未満の「微細第二相粒子」、および粒径100nm以上3.0μm以下の「粗大第二相粒子」の個数密度を測定した。
超微細第二相粒子および微細第二相粒子については、透過型電子顕微鏡(TEM)により100000倍の写真を無作為に選択した10視野について撮影し、それらの写真上で超微細第二相粒子あるいは微細第二相粒子に該当する粒子の数をカウントすることによって個数密度を算出した。
粗大第二相粒子については、板面に平行な電解研磨表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、3000倍の写真を無作為に選択した10視野について撮影し、その写真上で粗大第二相粒子に該当する粒子の数をカウントすることによって個数密度を算出した。電解研磨はリン酸、エタノール、純水の混合溶液を用いた。
粒径は、いずれの場合も、各粒子を取り囲む最小円の直径とした。
なお、粗大第二相粒子および微細第二相粒子に関しては、上記の銅合金板材中間製品についても個数密度を確認した。
また、各供試材から試料を採取し、X線回折強度、0.2%耐力、曲げたわみ係数、導電率、曲げ加工性を以下のように測定した。
〔X線回折強度〕
X線回折装置を用いて、Mo−Kα1およびKα2線、管電圧40kV、管電流30mAの条件で、試料の板面(圧延面)について{200}面の回折ピークの積分強度I{200}、{220}面の回折ピークの積分強度I{220}および{211}面の回折ピークの積分強度I{211}を測定するとともに、純銅標準粉末の{200}面の回折ピークの積分強度I0{200}、{220}面の回折ピークの積分強度I0{220}および{211}面の回折ピークの積分強度I0{211}を測定した。なお、試料圧延面に明らかな酸化が認められた場合には、酸洗または#1500耐水ペーパーで研磨仕上げした試料を使用した。なお、純銅標準粉末としては、325メッシュ(JIS Z8801)純度99.5%の市販の銅粉末を使用した。
〔0.2%耐力〕
銅合金板材(供試材)の圧延方向に平行な引張試験用の試験片(JIS ZJ2241の5号試験片)をそれぞれ3個ずつ採取し、JIS ZJ2241に従って引張試験を行い、その平均値によって0.2%耐力を求めた。
〔曲げたわみ係数〕
日本伸銅協会技術標準(JCBA T312)に従って測定した。試験片の幅は10mm、長さ15mmとし、片持ち梁の曲げ試験を行い、荷重とたわみ変位からたわみ係数を測定した。
〔導電率〕
JIS H0505の導電率測定方法に従って測定した。
〔曲げ加工性〕
銅合金板材(供試材)から長手方向がTD(圧延方向に直角)方向の曲げ試験片(幅1.0mm、長さ30mm)を採取し、JIS H3110に従って90°W曲げ試験を行った。この試験後の試験片について、曲げ加工部の表面を光学顕微鏡によって100倍の倍率で観察して、割れが発生しない最小曲げ半径Rを求め、この最小曲げ半径Rを銅合金板材の板厚tで除することによって、TDのR/t値を求めた。このR/t値が1.0以下であるものはコネクタ等の電気・電子部品への加工において十分な曲げ加工性を有すると判断できる。
以上の結果を表2に示す。
Figure 2014088604
表2からわかるように、第二相粒子の個数密度および結晶配向が適正範囲にある本発明例のものは、いずれも導電率30%IACS以上、0.2%耐力950MPa以上、曲げたわみ係数95GPa以下の特性を有し、曲げ加工性も良好であった。これら本発明例においては、溶体化処理に供した「銅合金板材中間製品」の段階において、すでに粒径100nm以上3.0μm以下の「粗大第二相粒子」の個数密度は1.0×105個/mm2以上1.0×106個/mm2以下の範囲にあり、且つ粒径10nm以上100nm未満の「微細第二相粒子」の個数密度は5.0×107個/mm2以下の範囲にあることが確認された。この段階での粗大第二相粒子の適度な存在が、溶体化処理において(1)式を満たす{200}配向の形成に寄与したものと考えられる。
これに対し、比較例No.31および32はそれぞれNo.1および8と同組成の合金であり粗大第二相粒子の個数密度は1.0×105個/mm2以上1.0×106個/mm2以下の範囲にあるが、溶体化処理における800〜950℃の昇温速度が遅すぎたため(1)式を満たす{200}配向が得られず、曲げたわみ係数に劣った。なお、No.31、32の溶体化処理に供した「銅合金板材中間製品」において、粒径100nm以上3.0μm以下の「粗大第二相粒子」の個数密度は1.0×105個/mm2以上1.0×106個/mm2以下の範囲にあり、且つ粒径10nm以上100nm未満の「微細第二相粒子」の個数密度は5.0×107個/mm2以下の範囲にあることが確認された。
比較例No.33、34はいずれもNo.8と同組成の合金であるが、熱間圧延において850℃未満の温度域での圧延率が低すぎるか、またはこの温度域での圧延を施さなかったため、溶体化処理に供するための銅合金板材中間製品における粗大第二相粒子の個数密度は1.0×105個/mm2に満たなかった。その結果、(1)式を満たす{200}配向が得られず、曲げたわみ係数に劣った。なお、No.33、34の溶体化処理に供した「銅合金板材中間製品」にける微細第二相粒子の個数密度は5.0×107個/mm2を超えていることが確認された。
No.35、36もNo.8と同組成の合金であるが、熱間圧延にて850℃以上の高温域での圧延率が不足したため超粗大第二相粒子の固溶が不十分となった。その結果、時効処理で超微細第二相粒子の析出量が減少し、強度が低下した。なお、No.35、36の溶体化処理に供した「銅合金板材中間製品」における粗大第二相粒子の個数密度は1.0×105個/mm2以上1.0×106個/mm2以下の範囲にあり、微細第二相粒子の個数密度は5.0×107個/mm2以下であることが確認された。
No.37は熱間圧延工程と溶体化処理工程の間に中間焼鈍工程(550℃での再結晶焼鈍)を追加した工程により製造したものである。曲げ加工性および強度レベルは比較的良好であるが、中間焼鈍を施したことに起因して粒径10nm以上100nm未満の「微細第二相粒子」の個数密度が5.0×107個/mm2を超える値となったために曲げたわみ係数は十分に低下しなかったものと考えられる。なお、No.37の溶体化処理に供した「銅合金板材中間製品」における粗大第二相粒子の個数密度は1.0×105個/mm2以上1.0×106個/mm2以下の範囲にあり、微細第二相粒子の個数密度は5.0×107個/mm2を超えていることが確認された。
No.38は時効処理温度が530℃である工程により製造したものである。曲げ加工性および強度レベルは比較的良好であるが、時効処理温度が高すぎたことに起因して粒径100nm以上3μm以下の「粗大第二相粒子」の個数密度が1.0×106個/mm2を超える値となったために曲げたわみ係数は十分に低下しなかったものと考えられる。なお、No.39の溶体化処理に供した「銅合金板材中間製品」における粗大第二相粒子の個数密度は1.0×106個/mm2を超えており、微細第二相粒子の個数密度は5.0×107個/mm2以下であることが確認された。
No.39はCr量が0.34%と高い組成の合金である。Cr量が多いためCr−Si系の粗大な第二相粒子が多く形成し、粒径2nm以上10nm未満の「超微細第二相粒子」の個数密度が1.0×109個/mm2を下回ったため強度が不足し、粒径100nm以上3μm以下の「粗大第二相粒子」の個数密度が1.0×106個/mm2を超える値となったために曲げたわみ係数は十分に低下しなかったものと考えられる。なお、No.39の溶体化処理に供した「銅合金板材中間製品」における粗大第二相粒子の個数密度は1.0×106個/mm2を超えており、微細第二相粒子の個数密度は5.0×107個/mm2以下であることが確認された。
熱間圧延終了時点での粗大第二相粒子の個数密度に関しては、本発明例No.1〜16、および比較例No.31、32、35〜38が1.0×105個/mm2以上1.0×106個/mm2以下の範囲であり、比較例33、34が1.0×105個/mm2より少なく、比較例No.39が1.0×106個/mm2を超えていた。

Claims (7)

  1. 質量%で、Ni:0.80〜3.50%、Co:0.50〜2.00%、Si:0.30〜2.00%、Fe:0〜0.10%、Cr:0〜0.10%、Mg:0〜0.10%、Mn:0〜0.10%、Ti:0〜0.30%、V:0〜0.20%、Zr:0〜0.15%、Sn:0〜0.10%、Zn:0〜0.15%、Al:0〜0.20%、B:0〜0.02%、P:0〜0.10%、Ag:0〜0.10%、Be:0〜0.15%、REM(希土類元素):0〜0.10%、残部Cuおよび不可避的不純物である化学組成を有し、母相中に存在する第二相粒子のうち、粒径2nm以上10nm未満の「超微細第二相粒子」の個数密度が1.0×109個/mm2以上、粒径10nm以上100nm未満の「微細第二相粒子」の個数密度が5.0×107個/mm2以下、粒径100nm以上3.0μm以下の「粗大第二相粒子」の個数密度が1.0×105個/mm2以上1.0×106個/mm2以下であり、下記(1)式を満たす結晶配向を有する銅合金板材。
    I{200}/I0{200}≧3.0 …(1)
    ここで、I{200}は当該銅合金板材板面における{200}結晶面のX線回折ピークの積分強度、I0{200}は純銅標準粉末試料における{200}結晶面のX線回折ピークの積分強度である。
  2. 圧延方向の0.2%耐力が950MPa以上、曲げたわみ係数が95GPa以下、導電率が30%IACS以上である請求項1に記載の銅合金板材。
  3. 質量%で、Ni:0.80〜3.50%、Co:0.50〜2.00%、Si:0.30〜2.00%、Fe:0〜0.10%、Cr:0〜0.10%、Mg:0〜0.10%、Mn:0〜0.10%、Ti:0〜0.30%、V:0〜0.20%、Zr:0〜0.15%、Sn:0〜0.10%、Zn:0〜0.15%、Al:0〜0.20%、B:0〜0.02%、P:0〜0.10%、Ag:0〜0.10%、Be:0〜0.15%、REM(希土類元素):0〜0.10%、残部Cuおよび不可避的不純物である化学組成を有し、1060℃以下850℃以上の温度範囲で圧延率85%以上の圧延加工を施す処理を経ており、粒径100nm以上3.0μm以下の「粗大第二相粒子」の個数密度が1.0×105個/mm2以上1.0×106個/mm2以下であり、粒径10nm以上100nm未満の「微細第二相粒子」の個数密度が5.0×107個/mm2以下である金属組織を有する銅合金板材中間製品に対して、800℃から950℃までの昇温速度が50℃/sec以上となるように950℃以上に昇温したのち950〜1020℃で保持するヒートパターンで溶体化処理を施す工程、
    前記溶体化処理後の金属組織および結晶配向を有する材料を350〜500℃で時効処理する工程、
    を有する銅合金板材の製造法。
  4. 質量%で、Ni:0.80〜3.50%、Co:0.50〜2.00%、Si:0.30〜2.00%、Fe:0〜0.10%、Cr:0〜0.10%、Mg:0〜0.10%、Mn:0〜0.10%、Ti:0〜0.30%、V:0〜0.20%、Zr:0〜0.15%、Sn:0〜0.10%、Zn:0〜0.15%、Al:0〜0.20%、B:0〜0.02%、P:0〜0.10%、Ag:0〜0.10%、Be:0〜0.15%、REM(希土類元素):0〜0.10%、残部Cuおよび不可避的不純物である化学組成を有する銅合金鋳片に対して、1060℃以下850℃以上の温度範囲で圧延率85%以上、且つ850℃未満700℃以上の温度範囲で圧延率30%以上の熱間圧延を施し、その後、冷間圧延を経ることにより、粒径100nm以上3.0μm以下の「粗大第二相粒子」の個数密度が1.0×105個/mm2以上1.0×106個/mm2以下であり、粒径10nm以上100nm未満の「微細第二相粒子」の個数密度が5.0×107個/mm2以下である金属組織を有する銅合金板材中間製品を得る工程、
    前記銅合金板材中間製品に対して、800℃から950℃までの昇温速度が50℃/sec以上となるように950℃以上に昇温したのち950〜1020℃で保持するヒートパターンで溶体化処理を施す工程、
    前記溶体化処理後の金属組織および結晶配向を有する材料を350〜500℃で時効処理する工程、
    を有する銅合金板材の製造法。
  5. 前記溶体化処理において下記(1)式を満たす結晶配向を得る請求項3または4に記載の銅合金板材の製造法。
    I{200}/I0{200}≧3.0 …(1)
    ここで、I{200}は当該銅合金板材板面における{200}結晶面のX線回折ピークの積分強度、I0{200}は純銅標準粉末における{200}結晶面のX線回折ピークの積分強度である。
  6. 前記時効処理後に、前記(1)式を満たす結晶配向が維持される圧延率の範囲で仕上げ冷間圧延を施す請求項3〜5のいずれかに記載の銅合金板材の製造法。
  7. 前記仕上げ冷間圧延後に、150〜550℃の範囲で低温焼鈍を施す請求項6に記載の銅合金板材の製造法。
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