JP6077755B2 - Cu−Zn−Sn−Ni−P系合金及びその製造方法 - Google Patents

Cu−Zn−Sn−Ni−P系合金及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えばコネクタ、端子、リレ−、スイッチ等の導電性ばね材に好適なCu-Zn-Sn-Ni-P系合金及びその製造方法に関する。
従来から、端子やコネクタの材料として、固溶強化型合金である黄銅やりん青銅が用いられてきた。ところで、電子機器の軽量化及び小型化に伴い、端子やコネクタは薄肉化、小型化し、これらに使用される材料には高強度及び高曲げ性が望まれている。さらに、自動車のエンジンルーム付近等の高温環境で使用されるコネクタでは、応力緩和現象によりコネクタ接圧が低下するため、耐応力緩和性の良好な材料が求められる。
しかしながら、黄銅やりん青銅は強度、耐応力緩和特性が十分でないため、近年では析出強化型合金が広く使用されている。特に、析出強化型合金のなかでも、Cu-Ni-Si合金は、コルソン合金と呼ばれ、Ni2Si微細化合物の析出により高強度、高曲げ性、良好な耐応力緩和特性を有し、近年の民生用及び車載用コネクタに用いられている(特許文献1〜8)。
特開2009−185341号公報 特開2009−62610号公報 特開平11−293367号公報 特開2003−306732号公報 特開2005−163127号公報 特開平5−33087号公報 特開2007−84923号公報 特開2007−107087号公報
しかしながら、析出合金は、溶質元素の固溶及び時効処理による析出によって強化されるため、固溶合金と比較して高温の溶体化処理及び長時間の時効処理が必要となり、製造コストの上昇が避けられない。また、近年の銅価格やニッケル価格の高騰により、これらを安価な原料で代替できる低コストの銅合金の開発が望まれている。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、CuやNiに比べ原料代が安く、銅スクラップに混入することがあるZnを3質量%以上含有すると共に、銅スクラップに混入するSnの含有を許容し、低コストで強度、曲げ性及び耐応力緩和特性に共に優れるCu-Zn-Sn-Ni-P系合金及びその製造方法の提供を目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明のCu-Zn-Sn-Ni-P系合金は、質量%で、Sn:0.2〜0.8%、Zn:3〜18%、Ni:0.3〜1.2%、P:0.01〜0.12%含有し、残部がCu及び不可避不純物からなり、結晶粒径を1μm以上10μm以下、日本伸銅協会技術標準JCBAT309:2004に従って、試験片にたわみを与えた状態で150℃にて1000時間加熱後に除荷して測定したとき、圧延方向の応力緩和率が25%以下、(220)面からのX線回折強度I(220)、(311)面からのX線回折強度I(311)を、純銅粉末標準試料の(220)、(311)面からのX回折強度をそれぞれI0(220)、I0(311)としたとき、I(220)/I0(220)≦3.0、かつI(311)/I0(311)≦0.5と制御する。また、上記銅合金は、JIS-Z2241に準拠した引張強さが540MPa以上である。
更にMg、Mn、Ti、Cr及びZrの群から選ばれる少なくとも1種以上を総量で0.02〜0.25質量%含有してもよい。
上記銅合金の製造方法は、インゴットを熱間圧延後に第1の冷間圧延、バッチ焼鈍では350〜480℃の、連続式焼鈍炉では550〜700℃の再結晶焼鈍、加工度25〜60%の最終冷間圧延を順に行って製造される。

本発明によれば、CuやNiに比べ原料代が安く、銅スクラップに混入することがあるZnを3質量%以上含有すると共に、銅スクラップに混入するSnの含有を許容し、低コストで強度、曲げ性及び耐応力緩和特性に共に優れるCu-Zn-Sn-Ni-P系合金が得られる。
以下、本発明の実施形態に係るCu-Zn-Sn-Ni-P系合金について説明する。なお、本発明において%とは、特に断らない限り、質量%を示すものとする。
(組成)
[Sn及びZn]
合金中のSnの濃度を0.2〜0.8%とし、Znの濃度を3〜18%とする。Sn及びZnは合金の強度及び耐熱性を向上させ、さらにSnは耐応力緩和特性を向上させ、Znは、はんだ接合の耐熱性を向上させる。又、Znを3質量%以上含有させることで、引張強さを540MPa以上に向上できるとともに、Znが混入する銅スクラップを合金製造に利用して製造コストを低減できる。なお、後述するように、Znを3質量%以上含有させても、再結晶温度を低温(480℃以下)にしないと、結晶粒径の著しい粗大化が起こり、強度が低下して540MPa以上の引張強さが安定して得られない。
Sn及びZnの含有量が上記範囲未満であると、上述の効果が得られず、上記範囲を超えると導電性が低下する。さらに、Snの含有量が上記範囲を超えると熱間加工性が低下し、Znの含有量が上記範囲を超えると曲げ加工性が低下する。
[Ni及びP]
合金中のNiの濃度を0.3〜1.2%とし、Pの濃度を0.01〜0.12%とする。Ni及びPを共に含有させると、再結晶を目的とする短時間の熱処理中でも、合金中にNi3Pの微細析出物が析出するため、強度及び耐応力緩和特性が向上する。
Ni及びPの含有量が上記範囲未満であると、Ni3Pの析出が十分でなく、所望の強度及び応力緩和改善効果が得られない。Ni及びPの含有量が上記範囲を超えると、導電性が著しく低下することに加え、曲げ加工性及び熱間加工性が低下する。
[他の添加元素]
合金中に、強度を改善する目的で、さらにMg、Mn、Ti、Cr及びZrの群から選ばれる少なくとも一種以上を総量で0.02〜0.25質量%含有してもよい。さらに、Mg、Mnは耐応力緩和特性を向上させ、Cr、Mnは熱間加工性を向上させる。
但し、これらの元素はZnに比べると酸化物の生成自由エネルギーが低く、これらの元素の総量が上記範囲を超えると、インゴット鋳造時の大気溶解中に酸化し、不必要な原料コストの上昇や、生成した酸化物を鋳造時に巻き込んでインゴット品質の低下を招く。
[結晶粒径]
合金の結晶粒径を1μm以上10μm以下とする。結晶粒径が10μmを超えると、W曲げ時の表面しわが大きくなり、加工性が低下するのに加え、粒径の粗大化により強度が低下して540MPa以上の引張強さが安定して得られない。一方、結晶粒径が1μm未満の場合、耐応力緩和特性が著しく劣化する。
なお、結晶粒径は、JIS-H0501の切断法に準じ測定する。
[X線回折強度]
(220)面からのX線回折強度をI(220)とし、(311)面からのX線回折強度をI(311)とし、かつ、純銅粉末標準試料の(220)、(311)面からのX回折強度をそれぞれI0(220)、I0(311)としたとき、I(220)/I0(220)≦3.0、かつI(311)/I0(311)≦0.5を満たす。
I(220)/I0(220)が3.0を超えるか、又はI(311)/I0(311)が0.5を超えると、(220)、(311)面が発達し過ぎて曲げ加工性が著しく劣化する。


[引張強さ及び応力緩和率]
JIS-Z2241に準拠した引張強さが540MPa以上、合金の応力緩和率が25%以下であることが好ましい。応力緩和率(耐応力緩和特性)は、日本伸銅協会技術標準JCBAT309:2004に従って測定する。
本発明のCu-Zn-Sn-Ni-P系合金は、通常、インゴットを熱間圧延及び面削後、第1の冷間圧延と再結晶焼鈍を行い、最終冷間圧延して製造することができる。最終冷間圧延の後に歪取り焼鈍をしてもよい。
なお、本発明は、合金中にNi及びPを含有することで、上述のように再結晶焼鈍時間を短時間としても、Ni3Pの微細析出物が析出し、生産コストを低減しつつ、強度及び耐応力緩和特性を向上させることができる。
一方、応力緩和率を25%以下にするためには、応力緩和に寄与する適度なサイズのNi3Pを母相中に析出物として分散させる必要がある。熱間圧延後の冷却を徐冷とした場合、Ni3Pの析出は進行するものの、Ni3Pのサイズが応力緩和に寄与するレベルの析出物サイズと比較して粗大となる。このため、熱間圧延終了後の析出を抑制し、かつ、NiおよびPを母相中に十分に固溶させる事で、後の素条焼鈍および再結晶焼鈍時にNi3Pが析出する様に材料中のNi及びPの状態を調整する。Ni及びPを固溶させるため、熱間圧延の終了温度は600℃以上が好ましく、析出を抑制するため水冷することが好ましい。
熱間圧延前にインゴットを焼鈍炉にて温度800〜980℃、時間2〜4時間で保持し、取り出し後、すぐに熱間圧延を実施する。圧延終了時の温度が600〜800℃になる様に、パススケジュールを調整し、冷却を水冷とする事が好ましい。
熱間圧延前の保持温度が800℃未満であると、圧延終了時に動的再結晶が起こらず、鋳造組織に起因する粗大金属組織が後の工程まで残留し、I(220)/I0(220)が3.0を超えるか、又はI(311)/I0(311)が0.5を超える場合がある。熱間圧延前の保持温度が980℃を超えると、熱間圧延時にSn-P系の液相が生成し、圧延途中で割れが発生する場合がある。
熱間圧延前の保持時間が2時間未満であると、熱間圧延前の保持温度が800℃未満である場合と同様に、粗大金属組織が残存し、曲げ加工性が劣化する場合がある。保持時間が4時間を超えても効果が飽和すると共にコストアップとなる。
熱間圧延の終了温度が600℃未満であると、熱間圧延時のNi-Pの固溶が不十分で、耐応力緩和特性が劣化する場合がある。
熱間圧延後の冷却を徐冷(空冷)で行うと、冷却中にNi-Pの析出が進むものの、析出物サイズが粗大化し、最終的に応力緩和に寄与しない粗大析出物が生成するため、耐応力緩和特性が劣化する場合がある。
第1の冷間圧延の加工度を95%以上とすることが好ましい。第1の冷間圧延の加工度が95%未満であると、再結晶焼鈍時のNi-Pの析出が不十分となり、耐応力緩和特性が劣化する場合がある。
バッチ焼鈍では、再結晶焼鈍の温度を350〜480℃とし、焼鈍時間を15〜90分とすることが好ましい。再結晶焼鈍温度が350℃未満であると、未再結晶となってI(220)/I0(220)が3.0を超えるか、又はI(311)/I0(311)が0.5を超えると共に、耐応力緩和特性が劣化する場合がある。再結晶焼鈍温度が480℃を超えると、結晶粒径の著しい粗大化が起こり、強度が低下して540MPa以上の引張強さが安定して得られない場合がある。再結晶焼鈍の焼鈍時間が15分未満であると、再結晶するが、混粒となりやすく、I(220)/I0(220)が3.0を超えるか、又はI(311)/I0(311)が0.5を超える場合がある。再結晶焼鈍の焼鈍時間が90分を超えると、粒が粗大化して強度が低下すると共に、生産コストが上昇する場合がある。なお、生産コストの更なる低減のために、連続式焼鈍炉にて再結晶焼鈍を行なう事ができる。その際、焼鈍温度は550〜700℃とし、結晶粒径が目標サイズ以下(10μm)となる様に、材料の炉内滞在時間(通板速度と同義)を調整する。
最終冷間圧延の加工度を25〜60%とすることが好ましい。最終冷間圧延の加工度が25%未満であると十分な強度が得られず、60%を超えると(220)、(311)面が発達し過ぎてI(220)/I0(220)が3.0を超えるか、又はI(311)/I0(311)が0.5を超える場合がある。
<実験A(発明例1〜16、比較例1〜8)
大気溶解炉中にて電気銅を溶解し、表1に示す添加元素を所定量投入し、溶湯を攪拌した。その後、鋳込み温度1100℃にて鋳型に出湯し、厚み30mm×幅60mm×長さ120mmの表1に示す組成の銅合金インゴットを得た。インゴットを片面当り2.5mm面削後、以下の順で熱間圧延、冷間圧延、熱処理を行い、板厚0.2mmの試料を得た。
(1)インゴットを保持温度800℃で3時間(保持時間)焼鈍後、板厚11mmまで熱間圧延し、熱間圧延終了時の材料温度(熱間圧延の終了温度)が600℃(誤差±10℃)となるように調整した。
(2)熱間圧延後の表層の酸化スケールを除去するため、片面0.5mmの面削を実施した。
(3)板厚0.3mmになるまで(加工度97%)、第1の冷間圧延を実施した。
(4)380℃×30分の再結晶焼鈍を実施した。
(5)再結晶焼鈍後の表面の酸化スケールを酸洗・バフ研磨で除去後、板厚0.2mmになるまで(加工度33.3%)、最終冷間圧延を施した。
(6)最終冷間圧延後、さらに300℃×0.5hの歪取り焼鈍を施した。
<実験B(発明例21〜32、比較例11〜22)
インゴットの組成をCu-0.4%Sn-15%Zn-0.4%Ni-0.05%Pとしたこと以外は、実験Aと同様にしてインゴットを得た。但し、インゴットの焼鈍条件、熱間圧延終了後の冷却条件、第1の冷間圧延の加工度、再結晶焼鈍条件、及び最終冷間圧延の加工度を表3に示すように変化させ、板厚0.2mmの試料を得た。又、最終冷間圧延後、さらに300℃×0.5hの歪取り焼鈍を施した。
<評価>
実験A,Bの歪取焼鈍後の材料について以下の項目を評価した。
[平均結晶粒径]
幅20mm×長さ20mmのサンプルを電解研磨後、Philips社製FE-SEMにて反射電子像を観察した。観察倍率は1000倍とし、5視野の画像についてJISH0501に規定される切断法にて結晶粒径を求め、平均値を算出した。
[X線回折強度]
X線ディフラクトメータ(株式会社リガク製 RINT2500)により各試料の標準測定を行ない、付属ソフトウェアにて、それぞれ(220)面、(311)面からのX線回折強度I(220)及びI(311)の積分強度を算出した。また、純銅粉末標準試料(325mesh,水素気流中で300℃で1時間加熱してから使用)についても同様の測定を行ない、それぞれ(220)面、(311)面からのX線回折強度I0(220)及びI0(311)を測定した。なお、X線照射条件として、Cuターゲットを使用し、管電圧25kV、管電流20mAとした。
[引張強さ]
各試料について、圧延方向に平行な方向に引張試験を行い、JISZ2241に準拠して引張強さ(TS)を求めた。
[導電率]
各試料について、JISH0505に準拠し、ダブルブリッジ装置を用いた四端子法により求めた体積抵抗率から導電率(%IACS)を算出した。
[W曲げ性]
曲げ軸が圧延方向と平行になるようにして幅10mm×長さ30mmの短冊試験片を採取した。この試験片のW曲げ試験(JIS H3130)を行い、割れの発生しない最小曲げ半径をMBR(Minimum Bend Radius)とし、板厚t(mm)との比MBR/tにより評価した。
[耐応力緩和特性]
幅10mm×長さ100mmの短冊形状の試験片を,試験片の長手方向が圧延方向と平行になるように採取した。試験片の片端を固定し、固定位置から50mmの位置(l=50mm)を作用点として,試験片にy0のたわみを与え,0.2%耐力の80%に相当する応力(σ0)を負荷した。y0は次式により求めた。
y0=(2/3)・l・σ0 / (E・t)
ここで,Eはヤング率であり,tは試料の厚みである。試験片にy0のたわみを与えた状態で150℃にて1000時間加熱後に除荷し,永久変形量(高さ)yを測定し,応力緩和率{[y(mm)/y0(mm)]×100(%)}を算出した。
得られた結果を表1〜表4に示す。なお、表1、表2は実験Aの結果であり、表3、表4は実験Bの結果である。
Figure 0006077755
Figure 0006077755
Figure 0006077755
Figure 0006077755
実験Aについて
Sn、Zn、Ni、Pの含有量が規定範囲内であって、結晶粒径が1μm以上10μm以下、I(220)/I0(220)≦3.0、かつI(311)/I0(311)≦0.5を満たす各実施例の場合、引張強さが540MPa以上、かつ応力緩和率が25%以下で、W曲げ性が(MBR/t)≦0.5となった。
一方、Znが3%未満である比較例1、及びSnが0.2%未満である比較例3の場合、いずれも引張強さが540MPa未満に低下した。
Znが18%を超えた比較例2の場合、I(220)/I0(220)が3.0を超え、かつI(311)/I0(311)が0.5を超え、W曲げ性が(MBR/t)>0.5となり、応力緩和率も25%を超えて劣化した。
Snが0.8%を超えた比較例4の場合、及びPが0.12%を超えた比較例8の場合、いずれも熱間圧延で割れが発生し、合金を製造できなかった。
Niが0.3%未満である比較例5の場合、応力緩和率が25%を超えて劣化した。
Niが1.2%を超えた比較例6の場合、I(220)/I0(220)が3.0を超え、かつI(311)/I0(311)が0.5を超え、W曲げ性が(MBR/t)>0.5となって劣化した。
Pが0.01%未満である比較例7の場合、応力緩和率が25%を超えて劣化した。
実験Bについて
熱間圧延、第1の冷間圧延、再結晶焼鈍、及び最終冷間圧延の条件が規定範囲を満たす各実施例の場合、引張強さが540MPa以上、かつ応力緩和率が25%以下で、W曲げ性が(MBR/t)≦0.5となった。
一方、熱間圧延前の保持温度が800℃未満である比較例11、熱間圧延前の保持時間が2時間未満である比較例13、及び再結晶焼鈍の焼鈍時間が15分未満である比較例19の場合、いずれもI(220)/I0(220)が3.0を超え、かつI(311)/I0(311)が0.5を超え、W曲げ性が(MBR/t)>0.5となって劣化した。
熱間圧延前の保持温度が980℃を超えた比較例12の場合、熱間圧延で割れが発生し、合金を製造できなかった。
熱間圧延の終了温度が600℃未満である比較例14の場合、熱間圧延終了後の冷却を徐冷とした比較例15の場合、及び第1の冷間圧延の加工度が95%未満である比較例16の場合、いずれも応力緩和率が25%を超えて劣化した。
再結晶焼鈍の温度が350℃未満である比較例17の場合、再結晶が生成せずに未結晶となり、I(220)/I0(220)が3.0を超え、かつI(311)/I0(311)が0.5を超え、W曲げ性が(MBR/t)>0.5となって劣化し、さらに応力緩和率が25%を超えて劣化した。
再結晶焼鈍の温度が480℃を超えた比較例18、及び再結晶焼鈍の焼鈍時間が90分を超えた比較例20の場合、いずれも結晶粒径が10μmを超えて粗大となり、引張強さが540MPa未満に低下した。
最終冷間圧延の加工度が25%未満である比較例21の場合、引張強さが540MPa未満に低下した。
最終冷間圧延の加工度が60%を超えた比較例22の場合、I(220)/I0(220)が3.0を超え、かつI(311)/I0(311)が0.5を超え、W曲げ性が(MBR/t)>0.5となって劣化した。

Claims (4)

  1. 質量%で、Sn:0.2〜0.8%、Zn:3〜18%、Ni:0.3〜1.2%、P:0.01〜0.12%含有し、残部がCu及び不可避不純物からなり、
    結晶粒径が1μm以上10μm以下、
    日本伸銅協会技術標準JCBAT309:2004に従って、試験片にたわみを与えた状態で150℃にて1000時間加熱後に除荷して測定したとき、圧延方向の応力緩和率が25%以下、
    (220)面からのX線回折強度をI(220)とし、(311)面からのX線回折強度をI(311)とし、かつ、純銅粉末標準試料の(220)、(311)面からのX回折強度をそれぞれI0(220)、I0(311)としたとき、I(220)/I0(220)≦3.0、かつI(311)/I0(311)≦0.5を満たすCu-Zn-Sn-Ni-P系合金。
  2. JIS-Z2241に準拠した引張強さが540MPa以上ある請求項1に記載のCu-Zn-Sn-Ni-P系合金。
  3. 更にMg、Mn、Ti、Cr及びZrの群から選ばれる少なくとも1種以上を総量で0.02〜0.25質量%含有する請求項1又は2に記載のCu-Zn-Sn-Ni-P系合金。
  4. インゴットを熱間圧延後に第1の冷間圧延、バッチ焼鈍では350〜480℃の、連続式焼鈍炉では550〜700℃の再結晶焼鈍、加工度25〜60%の最終冷間圧延を順に行う請求項1〜3のいずれかに記載のCu-Zn-Sn-Ni-P系合金の製造方法。
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