JP5298333B2 - キャップ殺菌洗浄装置 - Google Patents

Description

本発明は、キャップの殺菌洗浄装置に関し、特に合成樹脂キャップをシュートで搬送しながら殺菌洗浄するのに好適なシュート式のキャップ殺菌洗浄装置に関する。

従来、清涼飲料等の内容物を充填したボトル容器に合成樹脂キャップを装着するに際して、キャップをキャッパーへの供給工程の前にキャップの殺菌・洗浄工程を設けている場合が多い。その場合のキャップの洗浄・殺菌方法として、一般にキャップをシュートで自重により搬送しながら行なう場合（例えば特許文献１参照）と、水平軸回りに回転駆動されるターレットやドラム型スターホイルで搬送する等動力駆動により搬送しながら行なう場合（例えば特許文献２、３参照）とが知られ、搬送中に温水又は蒸気或いは殺菌剤をキャップに噴射して殺菌をし、その後、無菌水を噴射して冷却乃至は洗浄を行なっている。

シュートで搬送中に殺菌洗浄を行なう装置として、キャップ搬送シュートは、キャップを回転可能に横向き支持できるように、少なくとも上下及び左右に配置した複数本の線状ガイドで連続的なキャップ搬送空間を画成するように構成され、キャップは前記シュート内を連続的に連なった状態で自重により落下する。該シュートで搬送中に搬送経路に沿って上下及び／又は側方に適宜間隔で配置されたノズルから、温水や無菌水（以下、代表的な例としてこれらを含めて温水の場合について説明する）をキャップ外周面及び内周面に向けて噴射することにより殺菌洗浄している。その場合、シュートに沿って配置したノズルの向きは、シュートの搬送を妨げないように、搬送方向に対して斜め方向から噴射している。

特開平０９−２７８０８７号公報 特開平１１−１９３００９号公報 特開２００３‐１２８０２３号公報

上記従来のシュートで自重搬送中に殺菌洗浄する方法及び装置は、ターレット等の動力で搬送しながら殺菌洗浄する方法・装置に比べてキャップを搬送するのに特別な動力を必要としない、設備が簡単で設備コストが安価であるなど有利な点があるが、次のような点で未だ解決すべき課題がある。
（１）キャップは、連なった状態で温水を噴射されながら移動するため積圧を受けると共に、温水により次第に加熱され、その出口近傍で送り出しターレットにより送り出しを制限されて停止したときに加熱されて柔らかくなっている状態で最大の積圧を受けることになり、スカート部が楕円状に変形する場合が生じる。
（２）殺菌・洗浄は、下り傾斜のシュート内のキャップに上流側から下流側に向けて温水や無菌水を噴射するので、上流側で噴射して汚れた温水や無菌水がキャップと共に移動してキャップに充分に滞留付着したまま、下流側で新たな無菌水を次々と噴射していくことになるので、洗浄効率が悪い。

本発明は、上記従来のシュートで搬送しながらキャップを殺菌洗浄するキャップ殺菌洗浄装置の上記問題点を解決しようとするものであり、シュート内での合成樹脂キャップに作用する積圧を緩和してキャップの変形を防止し、且つ上流側で噴射した温水や無菌水が下流側の温水や無菌水に及ぼす影響を少なくして効率よく殺菌洗浄でき、かつ省スペースを図ることができるキャップ殺菌洗浄装置を提供することを目的とする。

上記課題を解決する本発明のキャップの殺菌洗浄装置は、シュートで搬送中のキャップに殺菌洗浄媒体を噴射ノズルで噴射することによりキャップを殺菌洗浄するシュート式のキャップ殺菌洗浄装置であり、前記シュートは搬送経路が水平面に対して搬送方向に傾斜角αが０゜＜α≦１５゜の上り勾配となっている上り勾配シュート部を有し、該上り勾配シュート部に沿って殺菌洗浄媒体を噴射する複数個の前記噴射ノズルを有する殺菌洗浄媒体パイプを配置してなり、
前記シュートは、複数段の前記上り勾配シュート部を有し、該上り勾配シュート部間を垂直下りシュート部で連設して高さ方向にジグザグ状に配設され、上段側の上りシュートの上流端とその直ぐ下段側の上り勾配シュートの下流端との間隔が、前記上段側の上り勾配シュートの下流端と下流側上り勾配シュートの上流端との間隔よりも狭くなっていることを特徴とするものである。

前記噴射ノズルは、前記上り勾配シュート部の搬送方向軸線に対して２０゜〜１２０゜の傾斜角度で配置され、該複数個の噴射ノズルのうち少なくとも２／３個以上が、３０゜〜６０゜の傾斜角度で配置されていることが望ましく、４５゜が好適である。また、前記殺菌洗浄媒体パイプとしては、キャップのスカート壁に向かって上方から温水を噴射するスカート壁上側噴射ノズルが設けられた殺菌洗浄媒体パイプ、キャップのスカート壁に向かって下から温水を噴射するスカート壁下側噴射ノズルが配置された殺菌洗浄媒体パイプ、キャップの開口部から内部に向けて温水を噴射する内部噴射ノズルが設けられた殺菌洗浄媒体パイプ、キャップの天壁に向かって温水を噴射する天壁噴射ノズルが設けられている殺菌洗浄媒体パイプの組み合わせからなることが望ましい。

請求項１に記載の本発明によれば、シュートは上り勾配に形成されているので、シュート内を殺菌洗浄媒体の噴射圧力で推力を得て下流部端に配置されているターレットに移動を制限されて押せ押せ状態であったとしても、キャップに作用する積圧は、推力から自重により生じる搬送方向上流側向きの分力だけ軽減されることになるので、従来の下り勾配のみからなるシュートに比べて、キャップが受ける積圧が小さく、温水殺菌によるキャップの変形を効果的に防ぐことができる。
また、キャップへの殺菌洗浄媒体の噴射は、上り勾配シュート部で行なわれるので、噴射された殺菌洗浄媒体はキャップから下り勾配になっている上流側（即ち、搬送方向と逆方向）に流れる。従って、キャップ表面への殺菌洗浄媒体の付着残留量は、キャップの搬送方向と同方向に流れる下り勾配シュートの場合と比べて特段に少なく、その分下流側のノズルから噴射される新しい洗浄媒体がキャップ表面に直接作用する量が多くなり、効率的に殺菌洗浄することができる。加えて殺菌洗浄がより進んだ下流側の殺菌洗浄媒体が上流側のキャップの殺菌洗浄に寄与するので、殺菌洗浄媒体の消費量を節減することができる。

さらに、シュートをジグザグ状に多段に配置したので、必然的に下段のシュートはその上段のシュートに対して下流側に向かってシュート間の間隔を狭める方向に配置される関係となるので、縦方向にコンパクトな構成で十分な殺菌洗浄時間を稼ぐことができ、省スペースを図ることができる。

また、請求項２の発明によれば、ノズルからの殺菌洗浄媒体の噴射圧力によりキャップに推力を与えて上り勾配のシュートを搬送するためには、噴射圧力の分力が推力に寄与するように、搬送方向に対して噴射ノズルを傾斜させなければならないが、全てのノズルを搬送方向に傾斜させる必要はなく、搬送方向に抵抗を与える９０゜以上の傾斜角度のノズルを良好な搬送を妨げない程度に混ぜることによって、搬送スピード及び搬送間隔をコントロールすることができ、より良好な殺菌洗浄ができる。
また、請求項３の発明によれば、洗浄媒体噴射パイプをキャップの搬送経路に沿って４方に配置することによって、より完全にキャップを殺菌洗浄することができ、無菌充填ラインにもより適切に適用させることができる。

以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図１〜図３は、本発明の実施形態に係るシュート搬送式のキャップ殺菌洗浄装置を示し、図１はその正面模式図、図２はその上面図、図３はその側面拡大図である。
本発明のシュート搬送式のキャップ殺菌洗浄装置は従来のシュート搬送式のキャップ殺菌洗浄装置と比較して、シュートが搬送方向に対して下り勾配でなく、上り勾配になっており、キャップの搬送力はノズルから噴射される温水や清浄水の噴射圧力の分力で得られていることに最大の特徴を有している。キャップの殺菌は、温水又は蒸気或いは殺菌剤によって殺菌洗浄することができ、温水及び蒸気での殺菌の場合は殺菌後の冷却のために、殺菌剤による場合は殺菌剤の除去のために、清浄水の噴射が必要である。以下の実施形態では、温水を噴射して殺菌洗浄する工程についてのみ説明するが、本発明はそれに限るものではない。

本実施形態では、図１に示すようにシュート５は、全体的にはジグザグに縦方向に配置され、上方から供給されたキャップ３５を下方に搬送する途中で温水により殺菌洗浄して下方に排出するが、入口側垂直シュート部６、第１上り勾配シュート部７、内部垂直シュート部８、第２上り勾配シュート部９、出口側垂直シュート部１０から構成され、第１上り勾配シュート部７及び第２上り勾配シュート部９に沿って温水を噴射する噴射ノズル群が配置されている殺菌洗浄媒体パイプとしての温水パイプが複数本配置されている。第１上り勾配シュート部７と第２上り勾配シュート部９とは、何れも下流側に向かって水平面に対して傾斜角αの上り勾配となっているため、図示のように第１上り勾配シュート部７と第２上り勾配シュート部９は互いに逆方向に傾斜していることになり、それを多段に設けた場合、両側は高さ方向に交互に内側に傾斜して両勾配シュート間の間隔が狭まっていることになり、高さ方向にコンパクトに構成することができる。なお、本実施形態では、２段の上り勾配シュート部しか設けてないが、必要に応じて３段以上の多段に構成してもよい。

第１上り勾配シュート部７及び第２上り勾配シュート部９の下流端（頂上部）には、シュートによって上り勾配を搬送されてきたキャップを垂直方向に搬送方向を転換して、内部垂直シュート部８、出口側垂直シュート部１０に送り出すと共に、キャップの送り出し速度を調整するための送り出しターレット１１、１２がそれぞれ配置されている。送り出しターレット１１、１２は、外周部に横倒し状のキャップが嵌合するポケットを有し、図示しないモータで回転駆動され、上り勾配シュートの頂上に達したキャップがそれぞれポケットに嵌合して送り出される。従って、送り出しターレットの回転速度を制御することにより、連なって連続状態で送られてくるキャップの送り出し速度を任意に調節することが可能となる。

シュート５は、全体としてチャンバー１４内に配置され、チャンバー内で噴射される温水や無菌水が装置外に飛散することを防止している。第１上り勾配シュート部７及び第２上り勾配シュート部９は、図３に示すように、それぞれ長さ方向に所定の傾斜角を持って縦状態で配置されたベースフレーム１５からシュートを構成する丸線からなる線状ガイド１３を支持するブラケット１６が所定間隔で水平方向に突設して設けられている。本実施形態では、線状ガイド１３は、図３に示すように、キャップのスカート壁の中央部を上下から案内する上下一対と、開口部及び天壁外面部を案内するそれぞれ２本の線状ガイドの合計６本の線状ガイドからなる線状ガイド１３でキャップが通過する搬送経路を画成している。そして、さらにベースフレーム１５から前記搬送経路を囲うように後述する温水パイプを支持する支持フレーム１７が突設配置されている。

前記温水パイプは、本実施形態では、図３に示すように、合成樹脂キャップ３５のスカート壁に向かって上から温水を噴射するスカート壁上側噴射ノズル２０が設けられた温水パイプ２１、キャップのスカート壁に向かって下から温水を噴射するスカート壁下側噴射ノズル２２が配置された温水パイプ２３、キャップの開口部から内部に向けて温水を噴射する内部噴射ノズル２４が設けられた温水パイプ２５、キャップの天壁に向かって温水を噴射する天壁噴射ノズル２６が設けられている温水パイプ２７の合計４本からなり、前記支持フレーム１７に適当なブラケットを介して設けられている。しかしながら、温水パイプの配置は、これに限らず、たとえばキャップ天壁面に温水を噴射する温水パイプ２７は省略することも可能である。

第１上り勾配シュート部７及び第２上り勾配シュート部９の上り勾配の傾斜角αは、後述する温水の噴射により得られるキャップの搬送力により、重力に抗してキャップをスムーズに搬送させることができる角度であれば良く、０゜＜α≦１５゜の範囲が望ましい。傾斜角が１５゜を超えると傾斜がきつく高圧の温水噴射が要求されスムーズな搬送が難しく、且つ多量の温水を必要として非経済的である。また、逆に下限角度は、傾きが小さいと搬送速度抵抗が小さく、上り勾配の利点が少ないので、少なくとも０゜よりも大きのが望ましく、より望ましくは３゜以上である。

前記各温水パイプも勾配シュート部と同勾配でシュートに沿って配置されるが、その位置はそれぞれ次のように配置するのが望ましい。
温水パイプ２１、２３はスカート壁上側噴射ノズル２０及びスカート壁下側噴射ノズル２２が、合成樹脂キャップのスカート壁下端とタンパーエビデントバンド３６間に設けられたスリット（弱化線）３７に向けて温水を噴射するように、図３に示すようにスカート壁の高さ方向中心より下方にオフセットした位置に設けるのが望ましい。それにより、汚れや菌が付着し易いスリット部を確実に殺菌洗浄することができる。内部噴射ノズル２４が設けられた温水パイプ２５は、搬送経路を通過するキャップの開口部中央から天壁内面に温水を噴射できるように、図３に示すように、搬送経路の側面側中央部に設けるのが望ましい。また、天壁噴射ノズル２６が配置された温水パイプ２７は、図３に示すように、搬送経路を通過するキャップの天壁外周部から搬送方向斜めに温水ができるように、天壁の中心位置からずれた位置に配置するのが効率的に殺菌できて望ましい。

また、それぞれ温水パイプに配置される各噴射ノズルの種類及び傾斜角度は、キャップを効率よく殺菌し、かつキャップに搬送力を付与するために重要である。本実施形態では、スカート壁上側噴射ノズル２０と下側噴射ノズル２２は、図１に示すように互いに上側と下側からキャップ搬送方向に同角度傾斜して且つ同ピッチで温水パイプ２１、２３にそれぞれ設けられている。そして、スカート壁上側噴射ノズル２０と下側噴射ノズル２２が交互に位置するように、それぞれ半ピッチずれるように、上側の温水パイプ２１と下側の温水パイプ２３はずれて配置されている。スカート壁上側噴射ノズル２０と下側噴射ノズル２２から噴射されるノズルは、図１に模式的に示すように温水３０を扇形に噴射する扇形ノズルを採用して、スカート壁面特にスリット部重点的に洗浄できるようにした。スカート壁上側噴射ノズル２０と下側噴射ノズル２２の搬送経路中心線に対する傾斜角度は、シュートの傾斜角度にも左右されるが、前記噴射ノズルが前記上り勾配シュート部の搬送方向軸線に対して２０゜〜１２０゜の傾斜角度で配置することができる。

温水の噴射により推力を得るためには、搬送方向に対するノズルの傾斜角は理論的には０゜〜９０゜の範囲で可能であるが、２０゜以下であるとノズルの配置上噴射した温水がキャップへ当たる量が少なくなり、良好な搬送が困難となると共に温水が無駄になり殺菌効率が悪くなる。一方、９０゜を超えると噴射した温水の圧力が搬送方向に対して抵抗となり、推力を軽減することになるが、逆にこれを利用して９０゜以上の傾斜角を有するノズルを混ぜて配置することによって、高速で移動するキャップに抵抗を与え、そのスピードを弱めてキャップ間に隙間を設けることも可能であるので、ノズルの傾斜角の最大範囲を１２０゜とした。１２０゜を超えると搬送方向の２０゜以下の場合と同様に、搬送力及び洗浄効率が悪くなる。しかしながら、９０゜以上の傾斜角でノズルを配置する場合は、その個数が少なくとも推進方向傾斜角を有するノズルの約１／３以下でないと、抵抗が大きくなり、キャップを良好に搬送することはできなくなる。従って、その範囲以下で配置するのが望ましい。

また、内部洗浄ノズル２４は、最も殺菌が要求されるキャップ内部を殺菌洗浄するため、ノズルのピッチを前記上側噴射ノズル２０と下側噴射ノズル２２よりも小さくして、より多くの温水がキャップ内面に噴射されるようにした。該内部洗浄ノズル２４は、温水を扇形に噴射する扇形ノズル２４−１と温水を線状に直進して噴射する直進ノズル２４−２との２種類のノズルを用い、扇形ノズル２４−１の２個おきに直進ノズルを１個配置するようにした。このように、直進ノズルを配置することによって、キャップ部奥の洗浄性を高めることができる。天壁噴射ノズルは、天壁外面に温水を噴射して天壁外面を殺菌洗浄するものであるが、天壁外面は一般にフラットであり、最も殺菌が行い易いので、他の箇所を殺菌洗浄する上記各ノズルと比べて、そのピッチを大きくして少ない本数を配置しても良い。本実施形態で、図２に示すように内部噴射ノズルに対して４倍のピッチで、扇形ノズルを配置しているが、これに限るものではない。

また、本実施形態では、第１上り勾配シュート部７と第２上り勾配シュート部間に、温水受けパン１８を設け、搬送中のキャップに噴射した温水を受けて汚れた温水が下段の上り勾配シュートにかからないように回収できるようにした。それにより、上り勾配シュートを多段に設けても、各上り勾配シュートを搬送中のキャップに対しては噴射ノズルから噴射される新鮮な温水のみが作用するようにして、殺菌洗浄効果を向上させるようにした。

[実施例１]
上り勾配シュート部の傾斜角を７゜に設定してシュートを構成し、該シュートの回りに、図４に示すような配置形態で温水パイプＡ〜Ｄを配置した。これらの温水パイプＡ、Ｂ、Ｃ、Ｄを１００ｍｍピッチを基本として全長最大１４個のノズルが配置できる長さ（ノズル区間長１４００ｍｍ）とし、表１に示す状態で上流からそれぞれの箇所に噴射ノズルを配置した。なお、表中、Ｆは扇形ノズル（噴射角度１１０゜）、Ｓは直進ノズル（噴射角度０゜）、Ｐはプラグ（即ち、ノズルがなく閉鎖状態にある）を示している。上記各噴射ノズルは、図５に示すようにいずれも搬送方向に対して４５゜傾斜させて配置した。なお、図４におけるａ１、ｂ１、ｃ１、ｄ１は、各温水パイプの外周からシュートの直近線状ガイドまでの直線距離を示し、本実施例ではａ１＝ｂ１＝ｃ１＝８５ｍｍ、ｄ１＝８０ｍｍに設定してある。

上記装置において、洗浄効果を確認するため、スカート壁下端にスリット３７を介してタンパーエビデントバンド３６を有する合成樹脂キャップに１％水溶液の赤水を吹きかけてスリット部が赤く汚れたキャップを試料として上記上り勾配シュート部に供給して、表２に示すテスト条件で運転して殺菌洗浄効果、搬送状態を目視で確認した。その結果、キャップは、良好に上り勾配シュート部を通過し、且つ前記付着させた赤水による汚れは、キャップのスリット部に僅かに付着した状態で残ったが、２回通すことでスリット部から完全に汚れが除去された。従って、上記実施例の形態でノズル区間長を２倍にすれば、良好に殺菌洗浄できることが確認された。

[実施例２]
実施例２として、温水パイプＡの噴射ノズル全てを搬送方向に対して図６に示すように直角となるように配置した。この場合、９０゜の傾斜角度を有する噴射ノズルの合計は、７個であり、全体の噴射ノズル数３３個の約２１％である。この場合、温水パイプＡに配置した搬送方向に直角の噴射ノズルから噴射される温水は、キャップに作用する噴射圧力が搬送抵抗となり、搬送中のキャップ間に開きが生じた。その結果、温水が当たらない影の部分がなくなり、キャップの全周に効果的に温水が当たり洗浄効果は、実施例１の場合より向上した。従って、ノズルの向きは、全てのノズルがキャップの搬送方向に傾けて配置する場合に限らず、本実施例のように、一部のパイプにキャップの搬送に抵抗を与える向きにノズルを配置し、キャップの搬送・処理速度に影響を与えない程度に抵抗を与えることによって、洗浄効率が向上し、温水が節約できることが確認された。

[比較例１]
また、比較例１として、上記実施例１において温水パイプＡにおけるノズルの角度を、図７に示すように、搬送方向と逆向きに４５゜に設定して同様な実験を行なった。該比較例１は、Ａ列のノズルを逆向きに４５゜に設定することによって、キャップに回転力を付与し、スリットの洗浄効率の向上を期待して行なったものであるが、この場合キャップの推力が得られず、キャップが流れずに停止した。

本発明のキャップ殺菌洗浄方法および装置は、シュート内での合成樹脂キャップに作用する積圧を緩和してキャップの変形を防止し、且つ上流側で噴射した温水や無菌水が下流側の温水や無菌水に及ぼす影響を少なくして効率よく殺菌洗浄できるので、特にタンパーエビデントバンドを有する合成樹脂キャップの殺菌洗浄に好適であるが、それに限らず種々のキャップの洗浄殺菌に適用でき、充填密封ラインも通常の充填密封ラインから高度の殺菌洗浄が要求されるアセプティック充填ラインにも好適に利用できる。

本発明の実施形態に係るキャップ殺菌洗浄装置の要部正面図である。 その要部平面図である。 図１のＡ−Ａ矢視拡大図である。 実施例及び比較例におけるノズルの配置形態を示す模式図である。 実施例１の噴射パイプ及び噴射ノズルの配置を示す模式図である。なお、該図において、内部殺菌ノズルが配置されている温水パイプＣの位置をキャップが隠れないようにするため、実際の配置位置より下方に下げて図示している。以下に説明する図６、７の場合も同様である。 実施例２の噴射パイプ及び噴射ノズルの配置を示す模式図である。 比較例の噴射パイプ及び噴射ノズルの配置を示す模式図である。

符号の説明

１ キャップ殺菌洗浄装置 ５ シュート
６ 入口側垂直シュート部 ７ 第１上り勾配シュート部
８ 内部垂直シュート部 ９ 第２上り勾配シュート部
１０ 出口側垂直シュート部 １１、１２ 送り出しターレット
１３ 線状ガイド １４ チャンバー
１５ ベースフレーム １６ ブラケット
１７ 支持フレーム １８ 温水受けパン
２０ スカート壁上側噴射ノズル
２１、２３、２５、２７ 温水パイプ
２２ スカート壁下側噴射ノズル
２４ 内部噴射ノズル ２４−１ 扇形ノズル
２４−２ 直進ノズル ２６ 天壁噴射ノズル
３０ 温水 ３５ 合成樹脂キャップ
３６ タンパーエビデントバンド ３７ スリット

Claims (3)

1. シュートで搬送中のキャップに殺菌洗浄媒体を噴射ノズルで噴射することによりキャップを殺菌洗浄するシュート式のキャップ殺菌洗浄装置であり、前記シュートは搬送経路が水平面に対して搬送方向に傾斜角αが０゜＜α≦１５゜の上り勾配となっている上り勾配シュート部を有し、該上り勾配シュート部に沿って殺菌洗浄媒体を噴射する複数個の前記噴射ノズルを有する殺菌洗浄媒体パイプを配置してなり、
   前記シュートは、複数段の前記上り勾配シュート部を有し、該上り勾配シュート部間を垂直下りシュート部で連設して高さ方向にジグザグ状に配設され、上段側の上りシュートの上流端とその直ぐ下段側の上り勾配シュートの下流端との間隔が、前記上段側の上り勾配シュートの下流端と下流側上り勾配シュートの上流端との間隔よりも狭くなっていることを特徴とするキャップの殺菌洗浄装置。
2. 前記噴射ノズルが前記上り勾配シュート部の搬送方向軸線に対して２０゜〜１２０゜の傾斜角度で配置され、該複数個の噴射ノズルのうち少なくとも２／３個以上が、３０゜〜６０゜の傾斜角度で配置されていることを特徴とする請求項１に記載のキャップの殺菌洗浄装置。
3. 前記殺菌洗浄媒体パイプは、キャップのスカート壁に向かって上方から温水を噴射するスカート壁上側噴射ノズルが設けられた殺菌洗浄媒体パイプキャップのスカート壁に向かって下から温水を噴射するスカート壁下側噴射ノズルが設けられた殺菌洗浄媒体パイプ、キャップの開口部から内部に向けて温水を噴射する内部噴射ノズルが設けられた殺菌洗浄媒体パイプ、キャップの天壁に向かって温水を噴射する天壁用噴射ノズルが設けられている殺菌洗浄媒体パイプの組み合わせからなることを特徴とする請求項１又は２に記載のキャップの殺菌洗浄装置。