JP5276247B2 - ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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本発明はポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法に関し、さらに詳しくは、特に射出成形用途に使用したときのバリ発生を低減可能にしたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法に関する。
ポリアリーレンスルフィド(以下、PPSと略称する場合がある)は、耐熱性、耐薬品性、難燃性、機械的強度、電気的特性及び寸法安定性などに優れたエンジニアリングプラスチックであり、射出成形、押出成形及び圧縮成形などの各種成形法により、各種の成形品に成形することができ、電気・電子機器や自動車機器などの広範な分野において用いられている。
しかし、ポリアリーレンスルフィドは特に射出成形用途に用いる場合、ナイロンやポリブチレンテレフタレート(PBT)などの他のエンジニアリング樹脂に比べて、バリの発生量が多いことが問題視されている。そのため、従来かかるバリの発生を抑制するため、種々の検討がなされてきたが、十分にバリを抑制する方法が見出されていないのが現状である。
一方、特許文献1には、ポリアリーレンスルフィド樹脂にカーボンナノチューブ(以下CNTと略称する場合がある)を配合したポリアリーレンスルフィド樹脂組成物が知られている。しかし、このカーボンナノチューブ配合ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、潤滑性向上を目的にしたものであり、かつ、製造方法はポリアリーレンスルフィド樹脂にCNTを溶融混練するものである。このように溶融混練法であるため、極めて微細なカーボンナノチューブを使用したとしても、カーボンナノチューブを微細にポリアリーレンスルフィド樹脂中に良分散させることが難しい。そのためカーボンナノチューブ配合量も10〜40重量%と多くなり、潤滑性の向上には効果を奏するものの、射出成形用途でのバリ発生の抑制には効果を奏することはできない。
特開2002−105314号公報
本発明の目的は、カーボンナノチューブをポリアリーレンスルフィド中に高度に分散させることにより、射出成形用途に使用してもバリの発生を抑制するポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造を可能にする製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法は、ポリアリーレンスルフィド中にカーボンナノチューブが分散したポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法であって、有機アミド溶媒にカーボンナノチューブを分散させた後、該分散液をアルカリ金属硫化物およびジハロ芳香族化合物の両方に対して添加することにより、前記有機アミド溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを200℃以上290℃未満の温度範囲で反応させてポリアリーレンスルフィドの重合を行うことを特徴とするものである。
ましくは、有機アミド溶媒中にカーボンナノチューブを超音波洗浄機により分散させるようにするとよい。
本発明によれば、ポリアリーレンスルフィドの重合をカーボンナノチューブの存在下で行うことにより、カーボンナノチューブをポリアリーレンスルフィド中に高度に分散させたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を得ることができる。そして、このポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を使用することにより、射出成形用途においてもバリの発生量を抑制することができる。
本発明において適用するポリアリーレンスルフィドの重合方法は、有機アミド溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを200℃以上290℃未満の温度範囲で反応させて重合する重合方法を適用する。以下、このポリアリーレンスルフィドの重合方法について、本発明に適用する場合におけるアルカリ金属硫化物、ジハロ芳香族化合物、分子量調節剤、分岐・架橋剤、重合溶媒、重合助剤、重合安定剤、重合反応、後処理及び生成ポリアリーレンスルフィドについて順に具体的に説明する。
アルカリ金属硫化物
本発明で使用されるアルカリ金属硫化物としては、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム、及びこれらの2種以上の混合物を好ましいものとして挙げることができる。特に好ましいものは、硫化ナトリウムである。
これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性混合物として、或いは無水物の形で用いることができる。また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物、或いは反応前に別の反応槽で調整されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。また、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素から反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物、或いは反応前に別の反応槽で調整されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。
本発明において、仕込みアルカリ金属硫化物の量は、脱水操作などにより反応開始前にアルカリ金属硫化物の一部損失が生じる場合には、実際の仕込み量から当該損失分を差し引いた残存量を意味するものとする。
ジハロ芳香族化合物
本発明で使用されるジハロ芳香族化合物としては、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベンゼンなどのジハロベンゼン、及び1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼン、3,5−ジクロロ安息香酸などのハロゲン以外の置換基をも含むジハロ芳香族化合物などを挙げることができる。なかでも、p−ジクロロベンゼンに代表されるp−ジハロベンゼンを主成分にするジハロ芳香族化合物が好ましい。特に好ましくは、p−ジクロロベンゼンを80〜100モル%含むものである。また、異なる2種以上のジハロ芳香族化合物を組み合わせて共重合体とすることも可能である。
分子量調節剤、分岐・架橋剤
本発明においては、生成ポリアリーレンスルフィドの末端を形成させるか、あるいは重合反応や分子量を調節するなどのために、モノハロ化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)を併用することができる。また、分岐または架橋重合体を形成させるために、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼンなどのトリハロ以上のポリハロ化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)、活性水素含有ハロゲン芳香族化合物及びハロゲン芳香族ニトロ化合物などを併用することも可能である。
重合溶媒
本発明においては、重合溶媒として有機アミド溶媒を使用する。有機アミド溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン、テトラアルキル尿素、ヘキサアルキル燐酸トリアミドなどに代表されるアプロチック有機アミド溶媒、及びこれらの混合物などが、反応の安定性が高いために好ましく使用される。これらの中でもN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記する場合もある)の使用が特に好ましい。本発明における重合溶媒の使用量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.2〜10モルの範囲が好ましく、2〜5モルの範囲がより好ましい。
重合助剤
本発明においては、高重合度のポリアリーレンスルフィドをより短時間で得るために重合助剤を用いることも可能である。重合助剤の具体例としては、一般にポリアリーレンスルフィドの重合助剤として知られているアルカリ金属カルボン酸塩、水及びハロゲン化リチウムなどを挙げることができる。特に好ましいものは、アルカリ金属カルボン酸塩である。
アルカリ金属カルボン酸塩は、一般式R(COOM)n (式中、Rは、炭素数1〜20を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基である。Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムから選ばれるアルカリ金属である。nは1〜3の整数である。)で表される化合物である。このアルカリ金属カルボン酸塩は、無水、水和物または水溶液としても用いることができる。アルカリ金属カルボン酸塩の具体例としては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、吉草酸リチウム、安息香酸ナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、p−トルイル酸カリウム、及びそれらの混合物などを挙げることができる。
アルカリ金属カルボン酸塩は、有機アミド溶媒中で、有機酸と、アルカリ金属水酸化物、炭酸アルカリ金属塩及び重炭酸アルカリ金属塩よりなる群から選ばれる一種以上の化合物とを、ほぼ等化学当量ずつ添加して反応させることにより形成させてもよい。上記アルカリ金属カルボン酸塩の中でも、安価で入手し易いことから、特に酢酸ナトリウムが好ましく用いられる。
これら重合助剤を使用する場合の使用量は、通常仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対し、0.01モル〜10モルの範囲であり、0.1〜5モルの範囲がより好ましい。
重合安定剤
本発明においては、重合反応系を安定化し、副反応を防止するために、重合安定剤を用いることもできる。重合安定剤は、重合反応系の安定化に寄与し、望ましくない副反応を抑制する。副反応の一つの目安としては、チオフェノールの生成が挙げられ、重合安定剤の添加によりチオフェノールの生成を抑えることができる。重合安定剤の具体例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、及びアルカリ土類金属炭酸塩などの化合物が挙げられる。そのなかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい。上述のアルカリ金属カルボン酸塩も重合安定剤として作用するので、本発明で使用する重合安定剤の一つに入る。
これら重合安定剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合安定剤は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対して、通常0.01〜0.2モル、好ましくは0.02〜0.15モル、より好ましくは0.03〜0.10モルの割合で使用する。この割合が少ないと安定化効果が不十分であり、逆に多すぎても経済的に不利益であったり、ポリマー収率が低下する傾向となる。
重合安定剤の添加時期は、重合開始前の脱水工程の前か、重合開始時から重合途中のいずれかの時点、あるいはこれらの任意の組合わせの時期であればよい。好ましくは脱水工程の前あるいは重合開始時である。なお、脱水操作時にアルカリ金属硫化物の一部が分解して、硫化水素が発生する場合には、その結果生成したアルカリ金属水酸化物も重合安定剤となり得る。
重合反応
本発明における重合方法は、有機アミド溶媒中で、重合助剤の存在下または非存在下に、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを200℃以上290℃未満で反応させてPPSを製造する方法である。その際に、前記の重合反応に加え、さらに脱水処理その他の前処理工程や後処理工程などの付加的な工程があってもよい。
また重合反応は、例えば、有機アミド溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを、200℃以上245℃未満の温度範囲内で、転化率が30〜80モル%になるように反応させて、ポリフェニレンスルフィドのプレポリマーを生成させる工程、及び245℃以上290℃未満の温度範囲内で、前記プレポリマーを高分子量ポリフェニレンスルフィドに転換する工程の様に2段階の重合方法を採ってもよい。
上記の重合工程を開始するに際しては、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温〜220℃、好ましくは100〜220℃の温度範囲で、有機アミド溶媒にアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物を加える。この段階で重合助剤を加えてもよい。これらの原料の仕込み順序は、順不同であってもよく、同時であってもさしつかえない。
アルカリ金属硫化物は、通常、水和物の形で使用されるが、その含有水量が仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.3モルより少ない場合には、必要量の水を添加して補充することが好ましい。アルカリ金属硫化物の含有水量が多すぎる場合には、ジハロ芳香族化合物を添加する前に、有機アミド溶媒とアルカリ金属硫化物を含む混合物を昇温し、過剰量の水を系外に除去する必要がある(脱水工程)。なお、この操作により水を除去し過ぎた場合には、不足分を添加して補充するのが通常である。
また、アルカリ金属硫化物としては、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物、或いは反応前に別の反応槽で調整されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。この方法に特に制限はないが、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温〜150℃、好ましくは常温から100℃の温度範囲で、有機アミド溶媒にアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物を加え、常圧または減圧下、少なくとも150℃以上、好ましくは180〜250℃まで昇温し、水分を留去させる方法が挙げられる(脱水工程)。この段階で重合助剤を加えてもよい。また、水分の留去を促進するためにトルエンなどを加えて反応を行ってもよい。
上記脱水工程における反応系の共存水量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり通常、0.5〜2.5モル、好ましくは0.8〜1.2モルの範囲が望ましい。
水分を添加する場合、その添加時期は、上記工程の開始時点、中間時点、終期のいずれであっても良い。
本発明において、重合安定剤の使用量(仕込量)は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり、通常0.01〜0.2モル、好ましくは0.02〜0.15モル、更には0.03〜0.10モルの範囲であることが高分子量PPSを得るためには望ましい。この使用量が少なすぎると、望ましくない副反応を抑制できなくなり、十分な高重合度のPPSを得るのが困難となる。また多すぎると、経済的に不利益であったり、ポリマー収率が低下する傾向となる。
本発明において、ジハロ芳香族化合物の使用量(仕込み量)は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり、通常0.9〜2.0モル、好ましくは0.95〜1.5モル、より好ましくは1.0〜1.3モル、更に好ましくは1.01〜1.10モルの範囲であることが、高分子量のPPSを得るのために望ましい。この使用割合が0.9モル未満または2.0モル超過の場合には、加工に適した高粘度(高重合度)のPPSを得ることが困難となるので好ましくない。
本発明において、上記重合工程の時間としては、20分以上〜50時間未満の範囲が好ましく、60分〜10時間の範囲がより好ましい。反応時間が上記の範囲未満では、十分な高重合度化が困難な場合が多く、上記の範囲を越える時間をかけても、それにより得られる高重合度化効果が小さくなり、経済的に不利となる。
なお、ここで、重合反応時間とは、モノマー原料投入後、昇温、定温、降温過程を含めて、重合系が200℃〜290℃の範囲にある全時間を示す。
後処理
本発明においては、重合反応終了後の後処理を、常法によって行なうことができる。例えば、重合反応の終了後、重合溶媒をフラッシュ法により揮散除去してから、水洗濾過を繰り返して乾燥することにより、また、冷却した生成物スラリーをそのまま、あるいは水などで稀釈してから濾別し、水洗濾過を繰り返して乾燥することにより、ポリアリーレンスルフィドを得ることができる。生成物スラリーは、高温状態のままでポリマーを篩分してもよい。また、上記濾別・篩分後、ポリアリーレンスルフィドを重合溶媒と同じ有機アミド溶媒やケトン類、アルコール類などの有機溶媒及び高温水で洗浄処理してもよい。ポリアリーレンスルフィドを酢酸、塩酸などの酸や塩化アンモニウムのような塩で処理することもできる。
次に、本発明に用いるカーボンナノチューブ(CNT)について述べる。本発明で用いるCNTは、グラファイトの1枚面を巻いて円筒状にした形状を有しており、そのグラファイト層が1層で巻いた構造を持つ単層カーボンナノチューブ、2層以上で巻いた多層カーボンナノチューブのいずれでも良いが、多層カーボンナノチューブであることが好ましく、特にグラファイト層が2〜5層の多層カーボンナノチューブであることが好ましい。さらに2層カーボンナノチューブであることが最も好ましい。
単層カーボンナノチューブより多層カーボンナノチューブが好ましい理由は、多層カーボンナノチューブのほうが樹脂との親和性とカーボンナノチューブ自身の有する特性の両立がしやすいからである。カーボンナノチューブに樹脂との親和性を持たせようとすると、酸化などの表面処理をする必要があるが、単層カーボンナノチューブには、グラファイト層が1層しかないので表面処理をすることによってグラファイト層の結晶配列が崩れ、カーボンナノチューブの優れた特性を失うことが多い。この点で、2層以上のグラファイト層を有する多層カーボンナノチューブの方が好ましいが、層数が大きくなればカーボンナノチューブの直径および体積が大きくなり、単位添加量あたりのカーボンナノチューブの本数が減少してしまうため、樹脂に対する補強効果や導電性の付与効果は低下する可能性がある。
上述したカーボンナノチューブとしての特性と、樹脂に配合した場合の樹脂特性の改良効果という両特性を具備するものとして、多層カーボンナノチューブのなかで層数の小さい2〜5層カーボンナノチューブが好ましく、2層カーボンナノチューブが最も好ましい。具体的な直径としては、直径3nm以下の多層カーボンナノチューブが好ましい。
本発明で用いる好ましい多層カーボンナノチューブは、2〜5層のカーボンナノチューブが全カーボンナノチューブ中に50%以上含まれるものである。その同定方法としては、カーボンナノチューブやカーボンナノチューブを含む樹脂組成物の超薄切片を20万倍以上の透過型電子顕微鏡で観察した際に、その電子顕微鏡の視野中に見られる繊維状のナノチューブの本数の中で2〜5層のカーボンナノチューブが50%以上であれば良い。最も好ましい2層カーボンナノチューブとは、全カーボンナノチューブ中に占める2層カーボンナノチューブの割合が50%以上であることを言う。
カーボンナノチューブの特徴である円筒状のグラファイト構造は高分解能透過型電子顕微鏡で調べることができる。グラファイトの層は、透過型電子顕微鏡でまっすぐにはっきりと見えるほど好ましいが、グラファイト層は乱れていても構わない。グラファイト層が乱れたものは、カーボンナノファイバーと定義することがあるが、このようなカーボンナノファイバーも本発明においてはカーボンナノチューブに含むものとする。
本発明のカーボンナノチューブは、一般にレーザーアブレーション法、アーク放電法、熱CVD法、プラズマCVD法、燃焼法などで製造できるが、どのような方法で製造したカーボンナノチューブでも構わない。篠原らが報告しているようにゼオライトを触媒の担体としてアセチレンを原料に熱CVD法で作る方法は、特に精製することなく、多少の熱分解による不定形炭素被覆はあるものの、純度が高く、良くグラファイト化された多層カーボンナノチューブが得られる点で特に好ましい方法である(Chemical Physics Letters 303(1999) 117-124)。
本発明は、カーボンナノチューブ外表面の炭素に対する酸含有率が2%以上であることを特徴とするカーボンナノチューブを用いることが好ましい。
ここで、酸含有割合は下式で求めたものと定義する。
Figure 0005276247
ここに、
Ac:カーボンナノチューブ1gに含まれる酸のモル数
2πRa:カーボンナノチューブ平均外周(nm)
[(Ra−Rb)/Rk]+1:カーボンナノチューブ平均層数
2π(Ra+Rb)/2:カーボンナノチューブ平均円周(nm)
Ra:カーボンナノチューブ平均外半径(nm)
Rb:カーボンナノチューブ平均内半径(nm)
Rk:カーボンナノチューブ平均層間距離(nm)
である。
上式に示す分子のAcは、外表面に酸を有するカーボンナノチューブ1gに含まれる酸のモル数である。純度100%のカーボンナノチューブを得ることは困難であり、それを同定することも困難であるため、ここで言うカーボンナノチューブとは5万倍の倍率で走査型電子顕微鏡で見たときに繊維状の物質がその電子顕微鏡の視野の中に80%以上であるカーボン質材料であればカーボンナノチューブと言って差し支えない。
従って、厳密に定義すればカーボンナノチューブ外表面だけに酸性基を有するのではなく、カーボンナノチューブに付着した炭素、カーボンナノチューブに混在する炭素粒子も含んだ状態で酸量を測定し、すべてカーボンナノチューブの表面に酸性基があるとして計算したものである。
外表面に酸を有するカーボンナノチューブに含まれる酸のモル数の測定は、カーボンナノチューブを溶媒に分散させ、中和滴定によって求めたものである。外表面に酸を有するカーボンナノチューブとは、カーボンナノチューブ外表面に少なくとも1種類以上の酸性の官能基を有するカーボンナノチューブのことである。酸性の官能基の種類は特に限定されず、例えば、カルボキシル基、水酸基、スルホン基などである。また、それ以外の官能基、例えばカルボニル基、ニトロ基、エーテル基、などを有していても良い。
図1(A),(B)に外表面に酸を有するカーボンナノチューブの模式図を示す。この模式図では、3層のグラファイト層2a,2b,2cが巻かれた多層カーボンナノチューブ1の場合を例示する。
上式に示す分母は、カーボンナノチューブ1gに含まれるカーボンナノチューブ外表面の炭素のモル数である。カーボンナノチューブ平均外周を、カーボンナノチューブ平均層数とカーボンナノチューブ平均円周の乗算結果を用いて除算することで、カーボンナノチューブ全体に対するカーボンナノチューブ外表面の炭素率を求める。これに、カーボンナノチューブ1gを炭素原子の原子量(12g/mol)で除算した結果(つまり、カーボンナノチューブ1g中に含まれる炭素原子のモル数)を乗算することで、カーボンナノチューブ1gに含まれるカーボンナノチューブ外表面の炭素のモル数を求める。
カーボンナノチューブ平均外半径Ra、カーボンナノチューブ平均内半径Rbは、図1(B)に示すように定義され、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)観察結果から、ひとつのカーボンナノチューブを重複して用いないルール適用して、任意に少なくとも10点以上、好ましくは20点以上のカーボンナノチューブの外半径、内半径を計測し、それぞれ平均値を計算することで求める。
カーボンナノチューブ層間距離Rkは、公知の値である0.34nmを用いる。
前記式で示される、カーボンナノチューブ外表面の炭素に対する酸含有率は2%以上、好ましくは4%以上、さらに好ましくは8%以上であることが好ましい。2%より小さいと、樹脂中への分散性が低下する可能性がある。
また、前記式を満たすカーボンナノチューブの官能基を、エステル化、アミド化、イミド化などの化学反応などの手法を用いてさらに修飾して用いてもかまわない。
上記の如く、前記式で示されるカーボンナノチューブ外表面の炭素に対する酸含有率が2%以上であることを特徴とするカーボンナノチューブを得るための鍵となる技術は、プラズマ処理である。プラズマ処理は、酸素又は窒素ガスプラズマ処理であることが好ましい。
本発明において、プラズマ処理とは、特に制限されないが、例えば公知の低温プラズマ処理のことをいい、処理空間内にカーボンナノチューブと処理するガスを供給した状態で高電圧を印可して発生するプラズマにより、カーボンナノチューブを処理する方法である。プラズマ発生ガスとしては、特に限定されないが、有機、無機ガスが目的に応じ単独あるいは混合されて用いられる。たとえば、酸素、窒素、水素、アンモニア、メタン、エチレン、4フッ化炭素などが挙げられる。
処理装置としては、特に限定されるものではなく、公知の内部電極方式または外部電極方式が使用されるが、電極の汚染のない点から外部電極方式が好ましい。処理圧力、電源周波数、処理出力などの処理条件は特に限定されるものではなく目的に応じ好ましく選定すればよい。
プラズマ処理、特に酸素プラズマ処理が好ましい理由は、現時点で明らかではないが、以下のように推察される。プラズマとは荷電粒子を含む気体で、荷電粒子がカーボンナノチューブと衝突することにより炭素−炭素の結合が切れることによって処理される。或いは、炭化水素がデポジットされることにより処理される。プラズマ処理により、炭素−炭素の結合が切れた場合は、酸素と接触することにより、その部分にカルボキシル基などの官能基が生じると考えられる。カーボンナノチューブ外表面の炭素に対するカルボキシル基含有率が式1を満たす場合に、樹脂への分散性が特に向上する。その理由は、カーボンナノチューブ外表面にカルボキシル基が存在することで、隣接するこれとは別のカーボンナノチューブ外表面に存在するカルボキシル基と反発し合うようになり、絡まり合っていたカーボンナノチューブがほぐれ、樹脂中に分散すると考えられる。
また、プラズマ処理は、層数の少ない多層カーボンナノチューブに特に好ましい。表面にカルボキシル基を導入するためには、酸化剤を用いて酸化する方法、酸素ガス存在下で焼成する方法が知られているが、これらは酸化のコントロールが難しく、層数の少ない多層カーボンナノチューブを、すべて燃やしてしまうなどの欠点がある。それに比較してプラズマ処理は、表面層のみをマイルドに処理できるので層数の少ないナノチューブにとっては特に好ましい。プラズマ処理は10層以下のカーボンナノチューブに好ましい処理であり、更に好ましくは5層以下、特に好ましくは、2層カーボンナノチューブに好ましい。また、単層ナノチューブでは表面に官能基が導入されることによってグラファイト構造が乱れ、グラファイト構造が連続しているカーボンナノチューブの特性を低下させてしまうので好ましくない。
プラズマ処理には、種々の処理があるが具体例として、酸素ガスプラズマ処理が好ましい。その理由は、通常カーボンナノチューブは、アモルファスカーボンなどが表面に付着しており、そのアモルファスカーボン成分を酸化して二酸化炭素にして除去することができ、カーボンナノチューブの親水化などの修飾だけでなく、同時に精製もできるからである。酸素ガスプラズマ処理の条件は、装置、放電形態によって異なるが外部電極方式の場合、圧力は5から100Paが好ましい。プラズマ処理の条件によって、アモルファスカーボンのような熱分解炭素被覆物は、取り除くことも出来れば適度に残すことも出来る。適度に残した方が、カーボンナノチューブ全体の外表面積が大きくなり、樹脂中への親和性が高くなり、好ましい。
また別の具体的な処理法として、2層〜5層の細いカーボンナノチューブの処理には、窒素プラズマが好ましい。酸素プラズマよりもマイルドに処理が出来るため、カーボンナノチューブ自体が燃え尽きて無くなることはない。窒素プラズマ処理でも、処理後空気中にさらすことにより、窒素プラズマにより、切られた結合は、空気中の酸素と反応して、カルボキシル基やカルボニル基、ヒドロキシル基等になる。
また、カーボンナノチューブをカップリング剤で予備処理して使用することも好ましい。かかるカップリング剤としてはイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などが挙げられる。
特に好ましいのは、有機シラン系化合物であり、その具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩等の炭素炭素不飽和基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられる。
本発明において、重合時に添加するカーボンナノチューブの添加量は、モノマー1モル当たり0.05〜5gであることが好ましい。特に0.1〜3gであることが好ましい。なお、本重合系ではカーボンナノチューブはそのほぼ全量がポリアリーレンスルフィド樹脂中に取り込まれる。
カーボンナノチューブの添加方法としては、カーボンナノチューブを有機アミド溶媒中に分散させた後、この分散液をポリアリーレンスルフィド重合系に添加し、重合を行う。特にカーボンナノチューブを有機アミド溶媒中に超音波洗浄機により分散させる方法が好ましい。
本発明で得られたカーボンナノチューブ含有ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、より優れた強度、剛性等を発現させるため、必要に応じて非繊維状充填材、繊維状充填材を更に配合しても良い。
非繊維状充填材の具体例としては、タルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケートなどの珪酸塩、酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス粉、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、カーボンブラック、シリカおよび黒鉛などが挙げられる。これらは中空であってもよく、さらにはこれら非繊維状充填剤を2種類以上併用することも可能である。
また、これらの非繊維状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物およびエポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用してもよい。中でも炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、カオリン、クレー、タルクなどの珪酸塩、アルミナおよび黒鉛が特に好ましく使用される。
繊維状充填材の具体例としてはとしては、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、炭酸カルシウムウィスカー、ワラステナイトウィスカー、硼酸アルミウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維および金属繊維などが挙げられる。これらは2種類以上を併用することも可能である。
また、これら繊維状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物およびエポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械的強度を得る意味において好ましい。中でもガラス繊維および炭素繊維がより好適に用いられる。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに他の樹脂をブレンドして用いてもよい。かかるブレンド可能な樹脂には特に制限はないが、その具体例としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、環状オレフィンコポリマーやナイロン6,ナイロン66,ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、芳香族系ナイロンなどのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシルジメチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、カルボキシル基やカルボン酸エステル基や酸無水物無水物基やエポキシ基などの官能基を有するオレフィン系コポリマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエーテルエステルエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマー、ポリアミドイミド、ポリアセタールおよびポリイミドなどが挙げられる。
また、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、チオエーテル系化合物、その他のエステル系化合物、有機リン化合物などの可塑剤、タルク、カオリン、有機リン化合物などの結晶核剤、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物などの酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、多官能エポキシ化合物などの強度向上剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤および発泡剤などの通常の添加剤を添加することができる。
さらに、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、機械的強度、靱性などの向上を目的に、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基およびウレイド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するアルコキシシランを添加してもよい。
かかる化合物の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、およびγ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられる。
かかるシラン化合物の好適な添加量は、ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、0.05〜5重量部の範囲が選択される。
このようにして得られる本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、射出成形、押出成形(繊維、フィルム、シート、チューブ、円筒など)、ブロー成形、トランスファー成形など各種成形に供することが可能であるが、特に射出成形に対して好ましく採用される。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の用途としては、例えば光ピックアップ、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品;オフィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品:顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;水道蛇口コマ、混合水栓、ポンプ部品、パイプジョイント、水量調節弁、逃がし弁、湯温センサー、水量センサー、水道メーターハウジングなどの水廻り部品;バルブオルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター,ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンシオメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド摩耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、車速センサー、ケーブルライナーなどの自動車・車両関連部品などが挙げられ、これらの用途に対しても好適に使用することができる。
以下、実施例及び比較例により、本発明についてさらに具体的に説明する。なお、物性の測定は以下の方法に準じて行なった。
〔ポリマーの収率〕
脱水工程後のオートクレーブ中の硫化ナトリウムが全てPPSに転化したと仮定した重量(理論量)を基準とした。硫化ナトリウムがジハロ芳香族化合物よりも過剰に仕込まれた場合は、すべてPPSに転化することはあり得ない場合もあるが、その場合でも一応硫化ナトリウムの量を基準として考えることとする。
〔ポリマーの溶融粘度〕
東洋精機社製メルトインデクサ(長さ8.00mm、穴直径2.095mmのオリフィス、サンプル量7g、サンプル仕込み後測定開始までのプレヒート時間5分、荷重5000g)を用い、315.5℃の条件で測定を行ない、ポリマーのメルトフローレートを比較した。
〔バリ長さの測定〕
円周上に(a) 幅4mm×長さ20mm×厚み500μm、(b) 幅4mm×長さ20mm×厚み20μmの2つの突起部を有する80mm直径×2mm厚の円盤形状金型を用いて、シリンダー温度320℃、金型温度130℃で射出成形を行い、厚みの厚い(a) の突起部が先端まで充填される時の厚みの薄い(b) の突起部の充填長さを測定し、これをバリ長さとした。なお、ゲート位置は円板中心部分とした。射出成形には日精樹脂工業(株)社製PS20E2ASEを用いた。
参考例1(多層カーボンナノチューブの合成)
K.Hernadi、A.Fonsecaらによる報告を参照(Zeolites 17:416−423、1996)し、酢酸鉄(2g)、酢酸コバルト(2g)、Y型ゼオライト(10g)を秤量し、メタノール(100ml)を加えて、振とう器にて1時間攪拌後、メタノール分を乾燥除去し、触媒を得た。次に、CVD反応装置を用いて、反応管内の石英ウール上に触媒1gをあらかじめセットし、窒素(30cc/分)雰囲気下で600℃まで昇温後、アセチレン(6cc/分)、窒素(30cc/分)雰囲気下で600℃×5時間保持しカーボンナノチューブを合成した。その後、窒素(30cc/分)雰囲気下で室温まで冷却し、反応混合物を取り出した。
前記の反応混合物を、フッ化水素酸10%水溶液中で3時間攪拌後、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し、ろ紙上の固形物を、イオン交換水、アセトン溶液にて洗浄後、乾燥し、カーボンナノチューブ(CNT−1)を得た。CNT−1の透過型電子顕微鏡(TEM)観察結果、グラファイト層の構造が確認でき、多層カーボンナノチューブを多く含むことがわかった。また、SEMのEDXを用いて元素分析を行ったところ、Y型ゼオライトの存在率はEDXの測定限界以下(ほぼ0%)である結果を得た。
前記カーボンナノチューブ(CNT−1)10mgに、イオン交換水50mlを加えて、超音波洗浄機(YAMATO化学製、BRANSON3210、発信周波数47KHz、出力130W)にて1時間処理後、48時間静置して得られた試料のpHをガラス電極式水素イオン濃度計(東亜電波工業、HM−30V)を用いて測定したところ、pH=7.0でり、この結果からCNT−1の酸のモル数は10mgあたり、ほぼ0molであり、前記式を用いてカーボンナノチューブ外表面の炭素に対する酸含有率(%)を計算すれば、0%と算出される。
参考例2(プラズマ処理した多層カーボンナノチューブの合成)
参考例1で得たカーボンナノチューブ(CNT−1)0.5gを、ガラス製シャーレー上にうすく広げて、YAMATO化学製PLASMA CHAMBER MODEL PC−101Aを用いて、酸素ガス、圧力20Pa、POWER300Wの条件で、5分間プラズマ処理を行い、一度取り出して、シャーレー上のプラズマ処理カーボンナノチューブを、かき混ぜ(ひっくり返す、転がす等の動作)、シャーレー上にうすく広げ、再び同様のプラズマ処理を行う作業を繰り返し、合計15分(計3回)のプラズマ処理を行いプラズマ処理したカーボンナノチューブ(CNT−2)を得た。前記プラズマ処理カーボンナノチューブ(CNT−2)の透過型電子顕微鏡(TEM)観察結果から、多層カーボンナノチューブを多く含むことが確認できた。
前記プラズマ処理後のカーボンナノチューブ(CNT−2)10mgに、イオン交換水50mlを加えて、超音波洗浄機(YAMATO化学製、BRANSON3210、発信周波数47KHz、出力130W)にて1時間処理後、48時間静置して得られた分散液のpHを、ガラス電極式水素イオン濃度計(東亜電波工業、HM−30V)を用いて測定したところ、pH=5.5であった。一般によく知られた中和滴定を、42.5×10-6(mol/l)の水酸化ナトリウム水溶液を用いて、pH=7.0を終点として行った結果、水酸化ナトリウム水溶液145mlを要した。つまり、0.25mgの水酸化ナトリウム(NaOH、40g/mol)を要した。この結果から、プラズマ処理後のカーボンナノチューブ10mg中の酸のモル数は6.3×10-6(mol)と計算できる。
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、ひとつのカーボンナノチューブを重複して用いないルールを適用して、任意に20点のカーボンナノチューブの外半径、内半径を計測し、それぞれ平均値を計算した結果、Ra:カーボンナノチューブ平均外半径11.5nm、Rb:カーボンナノチューブ平均内半径3.3nmの結果を得た。また、Rk:カーボンナノチューブ層間距離0.34nmを用いた。
これらの結果から、前記式を用いてカーボンナノチューブ外表面の炭素に対する酸含有率(%)を計算した結果、12%の結果を得た。
参考例3(2〜5層のカーボンナノチューブの合成)
J.L.Hutchison らの方法(Carbon 39 (2001) 761-770) に従って、アーク放電法でカーボンナノチューブを生成した。アノードは直径3.2mm,長さ140mm の穴に触媒が埋め込まれた直径8.2mmのグラファイトロッド、カソードは直径10mm, 長さ25mmのグラファイトロッドとした。触媒は、次のように調製した。粒子径 2-5μm のNi,Co,Fe粉末の混合物と硫黄原子を良く粉砕した後、アルゴンガス下で500℃1時間焼成した。ボールミルでμサイズまで粉砕した後すぐにカーボン粉末と混ぜた。3.2mm の穴をドリルであけたグラファイトロッドにぎっしりつめた。アノードの組成は、カーボンに対して、Ni 2.6at%,Co 0.7at%,Fe 1.45at%,S 0.75at%であった。アルゴン:水素体積比1:1で350torrで75−80A のアーク電流でCNT合成を行った。両電極は2mm の距離で電圧差は26〜28Vとした。
得られたカーボンナノチューブを含むカーボン10mgに、イオン交換水50mlを加えて、超音波洗浄機(YAMATO化学製、BRANSON3210、発信周波数47KHz、出力130W)にて1時間処理後、48時間静置して得られた上澄み液を回収した。上澄み液に含まれるカーボン成分を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、炭素不純物の付着した2〜5層のカーボンナノチューブが多く見られた。繊維状のカーボンナノチューブ中に占める2〜5層のカーボンナノチューブの割合は70%であった。5万倍の走査型電子顕微鏡で見たところ、80%は、繊維状のグラファイト構造を有するカーボンナノチューブで、20%は粒子状の不定形炭素であった。上記の上澄み液を乾燥させてカーボンナノチューブ(CNT−3)を得た。CNT−3を再度水に分散させて、参考例1と同様に酸量を量り、酸含有率を求めたところ、0%であった。
参考例4(プラズマ処理した2〜5層のカーボンナノチューブの合成)
参考例3と同様にしてアーク放電法でCNT合成を行った。得られたカーボンナノチューブを含むカーボン0.5gを、ガラス製シャーレー上にうすく広げて、YAMATO化学製PLASMA CHAMBER MODEL PC−101Aを用いて、窒素ガス、圧力20Pa、POWER300Wの条件で、5分間プラズマ処理を行い、一度取り出して、シャーレー上のプラズマ処理カーボンナノチューブを、かき混ぜ(ひっくり返す、転がす等の動作)、シャーレー上にうすく広げ、再び同様のプラズマ処理を行う作業を繰り返し、合計10分(計2回)のプラズマ処理を行った。
プラズマ処理後のカーボン材料10mgに、イオン交換水50mlを加えて、超音波洗浄機(YAMATO化学製、BRANSON3210、発信周波数47KHz、出力130W)にて1時間処理後、48時間静置して得られた試料を観察したところ、カーボンナノチューブ分散液と黒い沈殿物が確認できた。分散液を、遠心分離器(装置:KUBOTA KR−20000T、ローター:RA−3 50ml×8本)を用いて、回転数12000rpm(約17000(×g))×1時間、遠心分離したところ、上澄み液として、透明感のある黒色の溶液を得た。スポイトで溶液部分を回収し、高分解能透過型電子顕微鏡で観察した結果、炭素不純物の付着した2〜5層のカーボンナノチューブが多く見られた。繊維状のカーボンナノチューブ中に占める2〜5層のカーボンナノチューブの割合は70%であった。5万倍の走査型電子顕微鏡で見たところ、80%は、繊維状のグラファイト構造を有するカーボンナノチューブで、20%は粒子状の不定形炭素であった。
乾燥させてプラズマ処理したカーボンナノチューブ(CNT−4)を得た。CNT−4を再度水に分散させて、参考例2と同様に酸量を量り、酸含有率を求めたところ、8.5%であった。
実施例1
(脱水工程)
撹拌機付きの70リットルオートクレーブに、47%水硫化ナトリウム8355.32g(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2975.00g(71.40モル)、超音波洗浄機を用いて前記カーボンナノチューブCNT−1を11.43g分散させたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)11434.50g(115.50モル)、酢酸ナトリウム516.60g(6.30モル)、及びイオン交換水10500.00g(583.33モル)を仕込み、常圧で窒素を通じながら240℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14865.32gおよびNMP280.00gを留出した後、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.05モルであった。また、硫化水素の飛散量は1.6モル%であった。
(重合工程)
次に、p−ジクロロベンゼン(p−DCB)10362.03g(70.49モル)、超音波洗浄機を用いて前記カーボンナノチューブCNT−1を9.06g分散させたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)9064.44g(91.56モル)を反応系に加えた。なお、反応系に添加したCNT−1の総量は、20.49gである。反応容器を窒素ガス下に密封した後、400rpmで撹拌しながら、200℃から227℃まで0.8℃/分の速度で昇温し、次いで227℃から270℃まで0.6℃/分の速度で昇温し、270℃で140分保持した。次いで水2520.00g(140.00モル)を15分かけて系内に注入しながら、250℃まで徐々に反応系を冷却した。250℃から200℃まで1.0℃/分の速度で徐々に反応系を冷却し、その後室温近傍まで急冷した。
(回収工程)
内容物を取り出し、35リットルのNMPで希釈後、溶剤と固形物をふるい(80mesh)で濾別し、得られた粒子を70リットルの温水で数回洗浄、濾別した。次いで、酢酸33.75gを加えた70リットルの温水で、得られた粒子を洗浄、濾別した後、70リットルの温水で洗浄、濾別して、PPSポリマー粒子を得た。これを、80℃で熱風乾燥し、120℃で減圧乾燥した。
得られたPPSのメルトフローレートは451g/10分であり、収率は88.11%であった。
得られたCNT含有PPS樹脂60重量%及びガラス繊維(旭ファイバーグラス社製 03JAFT523)40重量%をドライブレンドし、スクリュー型2軸押出機(池貝PCM−30)を用いてシリンダー温度320℃、200rpmで溶融混練、ペレタイズを行った。
このペレットを用いて、バリ長さの測定を行ったところ100μmであった。
実施例2
CNT−1の替わりにCNT−2を用いた以外は実施例1と同様の重合を行った。
得られたPPSのメルトフローレートは406g/10分であり、収率は88.35%であった。
得られたCNT含有PPS樹脂60重量%及びガラス繊維(旭ファイバーグラス社製 03JAFT523)40重量%をドライブレンドし、スクリュー型2軸押出機(池貝PCM−30)を用いてシリンダー温度320℃、200rpmで溶融混練、ペレタイズを行った。
このペレットを用いて、バリ長さの測定を行ったところ65μmであった。
実施例3
CNT−1の替わりにCNT−3を用いた以外は実施例1と同様の重合を行った。
得られたPPSのメルトフローレートは422g/10分であり、収率は88.85%であった。
得られたCNT含有PPS樹脂60重量%及びガラス繊維(旭ファイバーグラス社製 03JAFT523)40重量%をドライブレンドし、スクリュー型2軸押出機(池貝PCM−30)を用いてシリンダー温度320℃、200rpmで溶融混練、ペレタイズを行った。
このペレットを用いて、バリ長さの測定を行ったところ80μmであった。
実施例4
CNT−1の替わりにCNT−4を用いた以外は実施例1と同様の重合を行った。
得られたPPSのメルトフローレートは385g/10分であり、収率は89.01%であった。
得られたCNT含有PPS樹脂60重量%及びガラス繊維(旭ファイバーグラス社製 03JAFT523)40重量%をドライブレンドし、スクリュー型2軸押出機(池貝PCM−30)を用いてシリンダー温度320℃、200rpmで溶融混練、ペレタイズを行った。
このペレットを用いて、バリ長さの測定を行ったところ50μmであった。
実施例5
CNT−2の添加量を35.98gにした以外は実施例2と同様の重合を行った。
得られたPPSのメルトフローレートは311g/10分であり、収率は87.96%であった。
得られたCNT含有PPS樹脂60重量%及びガラス繊維(旭ファイバーグラス社製 03JAFT523)40重量%をドライブレンドし、スクリュー型2軸押出機(池貝PCM−30)を用いてシリンダー温度320℃、200rpmで溶融混練、ペレタイズを行った。
このペレットを用いて、バリ長さの測定を行ったところ50μmであった。
比較例1
CNTを添加しない以外は実施例2と同様の重合を行った。
得られたPPSのメルトフローレートは583g/10分であり、収率は88.28%であった。
得られたCNT含有PPS樹脂60重量%及びガラス繊維(旭ファイバーグラス社製 03JAFT523)40重量%をドライブレンドし、スクリュー型2軸押出機(池貝PCM−30)を用いてシリンダー温度320℃、200rpmで溶融混練、ペレタイズを行った。
このペレットを用いて、バリ長さの測定を行ったところ200μmであった。
比較例2
比較例1で得られたPPS樹脂59.83重量%、CNT−2を0.16重量%及びガラス繊維(旭ファイバーグラス社製 03JAFT523)40重量%をドライブレンドし、スクリュー型2軸押出機(池貝PCM−30)を用いてシリンダー温度320℃、200rpmで溶融混練、ペレタイズを行った。
このペレットを用いて、バリ長さの測定を行ったところ165μmであった。
本発明に使用されるカーボンナノチューブを例示した模式図であり、(A)は側面図、(B)は断面図である。
符号の説明
1 カーボンナノチューブ
2a,2b,2c グラファイト層

Claims (5)

  1. ポリアリーレンスルフィド中にカーボンナノチューブが分散したポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法であって、有機アミド溶媒にカーボンナノチューブを分散させた後、該分散液をアルカリ金属硫化物およびジハロ芳香族化合物の両方に対して添加することにより、前記有機アミド溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを200℃以上290℃未満の温度範囲で反応させてポリアリーレンスルフィドの重合を行うことを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記有機アミド溶媒中に超音波洗浄機によりカーボンナノチューブを分散させる請求項1に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
  3. ポリアリーレンスルフィドのモノマー1モル当たり前記カーボンナノチューブを0.05〜5g配合する請求項1〜2のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記カーボンナノチューブ以外の他の充填材として非繊維充填材及び/又は繊維充填材を配合する請求項1〜3のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
  5. 前記カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブである請求項1〜4のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
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