JP2007297463A - 強化樹脂組成物およびその製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】マトリックス樹脂単体に比較して、特に耐熱性、機械的特性、および寸法安定性を向上させたポリビニルアルコール系樹脂組成物および成形体を提供する。
【解決手段】ポリビニルアルコール系樹脂100重量部と窒化ホウ素ナノチューブ0.01〜100重量部とからなるポリビニルアルコール系強化樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

ポリビニルアルコール系樹脂と窒化ホウ素ナノチューブとを均一に分散させたポリビニルアルコール系樹脂組成物、およびその製造方法に関する。更に詳しくは、構造の規定された無機のナノチューブをフィラーとしてナノ分散させることにより、少量のフィラー添加においても、従来のポリビニルアルコール系樹脂及びその組成物の透明性を維持しながら効率よく耐熱性、機械的特性および寸法安定性が改良されたポリビニルアルコール系樹脂組成物に関する。
カーボンナノチューブは、従来にない機械的物性、電気的特性、熱的特性等を有するためナノテクノロジーの有力な素材として注目を浴び、広範な分野で応用の可能性が検討され、一部実用化が開始されている。
ポリマーコンポジットとしては、フィラーにカーボンナノチューブを用いてポリマーに添加することで、ポリマーの機械的物性、導電性、耐熱性等を改質する試みも行われている。
例えばポリアミドやポリビニルアルコール等の熱可塑性樹脂とカーボンナノチューブからなるポリマーコンポジットに関しては、得られる樹脂組成物における導電性改良に関する報告例(特許文献1〜3)や、機械的強度の改善された繊維が報告されている(非特許文献1)。またカーボンナノチューブを共役系高分子で被覆することで、カーボンナノチューブの分散性を極めて高め、少ないカーボンナノチューブの量でマトリクス樹脂に高い導電性を付与するとの報告(特許文献4参照)がある。
また、ポリメチルメタクリレートやポリスチレンのような側鎖構造を有するポリマーとカーボンナノチューブからなるポリマーコンポジットに関して、共役系高分子で単層カーボンナノチューブを被覆することにより、わずかな単層カーボンナノチューブ添加量であっても弾性率が飛躍的に向上するとの報告(特許文献5参照)がある。
近年、カーボンナノチューブと構造的な類似性を有する窒化ホウ素ナノチューブも、従来にない特性を有する材料として注目を浴びている(特許文献6参照)。窒化ホウ素ナノチューブは、カーボンナノチューブに匹敵するレベルの優れた機械的物性、熱伝導性を有するだけでなく、化学的に安定でカーボンナノチューブよりも優れた耐酸化性を有することが知られている。また、絶縁性であるため、絶縁性放熱材料としても期待できる。特許文献5にはカーボンナノチューブの代わりに窒化ホウ素ナノチューブを使用しても良いとの記載があるが、飛躍的な効果を得るためには側鎖構造を有するポリマーに限定されておりそれ以外の主鎖型芳香族ポリマーでの具体的な報告はされていない。
一方、従来、PVA系樹脂は、機械的特性、耐候性、耐アルカリ性等の諸性能に優れることから、繊維あるいはフィルム状成型物として水硬性材料、ゴム等の補強材料等に代表される産業分野をはじめとして広く使用されている。
しかしながら、従来のPVA系樹脂は一般的に耐熱性がそれほど高くなく、加熱時の弾性率の低下や寸法変化などが知られている。また、特にPVA系繊維は湿潤環境下では機械物性が大きく低下するため、これらの性能の不足を改善することが強く求められている。
これらの課題を解決すべく、例えばポリアミド系ポリマーに層状ケイ酸塩をナノメートルレベルで複合(以下ナノ分散)させることで繊維の機械特性や耐熱性、耐熱水性、繊維化工程性が改善するという、いわゆるナノコンポジット化技術が盛んに研究されているが(例えば、特許文献7−9参照)、これによりポリビニルアルコール系材料の性能向上を狙う場合、PVA系ポリマーに層状ケイ酸塩をナノ分散させようとしても重合後のケン化工程などで化学反応を伴うため化学反応中にケイ酸塩の再凝集などの問題点がある。また、ポリアミドを重合後、層状ケイ酸塩と共に溶融混錬することで層状ケイ酸塩をポリマー中に分散する事も行われているが、混錬時の溶融粘度が高く十分なせん断を与える事ができないため、層状ケイ酸塩をナノ分散させることは困難であった。さらにこの方法では、成形性などの点から、層状ケイ酸塩の添加量を増やす事は困難である。これらの課題解決のため、例えば水膨潤性の層状ケイ酸塩を含有させることによるPVA系繊維(例えば、特許文献10参照。)があるがケイ酸塩の分散状態は満足のいくものではない。また繊維の機械的特性、耐熱性、耐湿熱性の改善度合いは前記した要求を満たすものではない。
これらに対して特許文献11では、層状ケイ酸塩をポリビニルアルコールと共に水またはジメチルスルホキシド類の有機溶媒溶液中に分散させてせん断応力を付与することでポリビニルアルコール系ポリマーを前記層状ケイ酸塩の層間にインターカレーションできること、及びこれより作成した原液を紡糸することで、ポリマー中に層状ケイ酸塩を微細に分散し機械特性、熱特性が改善されたコンポジット繊維が調整できるが開示されている。しかしながらこの場合も層状ケイ酸塩の層間隔を広げることはできるものの一層ごとに完全にナノ分散せしめるものではなく改良効果には限界があることと、分散条件の特異性のため繊維紡糸プロセス以外への賦型方法への適用には制限があった。また層状ケイ酸塩のような無機系充填材の存在下、250℃以上の条件で溶融成型を行い配合すると、無機充填材から遊離したアルカリ成分(例えば、ナトリウム、カリウム等)や無機充填材から発生する層間水や無機充填材が弱アルカリ性又は弱酸性であることに起因すると考えられる樹脂の加水分解、ひいては分子量低下が生じ、成形安定性に劣るだけでなく溶樹脂本来の優れた特性が低下する恐れもある。
このようなポリビニルアルコール系樹脂に対して、分散性、安定性及びフィラー自体の固有の熱、機械的特性において優れる有望な新規ナノフィラーの探索が望まれている一方で、カーボンナノチューブ並の機械的特性と優れた耐熱性、化学安定性を有する窒化ホウ素ナノチューブをフィラーとして添加、成形することにより機械的物性、寸法安定性の改善されたポリビニルアルコール系強化樹脂を得たとの報告はこれまで無い。
特開2005−200620号公報 特開2003−82247号公報 特開2002−97375号公報 特開2004−2621号公報 特開2004−244490号公報 特開2000−109306号公報 特開平3−81364号公報 特開平8−3818号公報 特開平10−130956号公報 特開平10−53918号公報 特開2005−9029号公報 Advanced Materials 2004, 16, 58−61
本発明の目的は、従来のような多量のバルクフィラーを含有するポリビニルアルコール系樹脂組成物に対して、組成物の成形性や外観に影響を与えないことが必要な用途を含め少量あるいは多量の添加であっても効率よく機械的特性、耐熱性、および寸法安定性の優れたポリビニルアルコール系樹脂組成物を提供することを目的とする。
そこで本発明者らは上記の課題を解決すべく検討した結果、窒化ホウ素ナノチューブをポリビニルアルコール系樹脂に添加することにより、ポリビニルアルコール系樹脂の成形性を損なうことなく高強度化でき、かつ高度な耐熱性、耐熱寸法安定性を付与し得ることを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明は、
1.ポリビニルアルコール系樹脂100重量部と窒化ホウ素ナノチューブ0.01〜100重量部とからなるポリビニルアルコール系強化樹脂組成物。
2.窒化ホウ素ナノチューブの平均直径が0.4nm〜1μm、アスペクト比が5以上であることを特徴とする上記に記載のポリビニルアルコール系強化樹脂組成物。
3.窒化ホウ素ナノチューブが共役系高分子で被覆されていることを特徴とする上記に記載のポリビニルアルコール系強化樹脂組成物。
4.ポリビニルアルコール系樹脂100重量部と窒化ホウ素ナノチューブ0.01〜100重量部とからなる上記に記載のポリビニルアルコール系強化樹脂組成物からなる成形体。
5.共役系高分子を窒化ホウ素ナノチューブに被覆した後、当該窒化ホウ素ナノチューブをポリビニルアルコール系樹脂または該樹脂溶液に混合分散させる工程を含む上記に記載のポリビニルアルコール系強化樹脂組成物の製造方法。
6.窒化ホウ素ナノチューブ及び/又は予めポリビニルアルコール系樹脂を被覆した窒化ホウ素ナノチューブをポリビニルアルコール系樹脂の樹脂または該樹脂溶液に混合分散させる上記に記載のポリビニルアルコール系強化樹脂組成物の製造方法。
7.窒化ホウ素ナノチューブ及び/又は予めポリビニルアルコール系樹脂を被覆した窒化ホウ素ナノチューブをポリビニルアルコール系樹脂の重合製造時に混合分散させる上記に記載のポリビニルアルコール系強化樹脂組成物の製造方法。
により構成される。
本発明によりポリビニルアルコール系樹脂中に窒化ホウ素ナノチューブが均一にナノ分散している樹脂組成物が得られ、従来のポリビニルアルコール系樹脂に優れた耐熱性、機械的特性および寸法安定性を付与することができる。また従来のポリビニルアルコール系樹脂に優れた熱伝導性を付与することが期待される。本発明のポリビニルアルコール系樹脂組成物は、溶液あるいは溶融状態からの押し出し、射出成型などの任意の成形方法により、フィルムや構造体など所望の形状に成形でき、従来のポリビニルアルコール系樹脂の透明性に加え、これを凌駕する機械的特性、高温での低線膨張係数、寸法安定性を示している。このため、産業資材用、衣料用、医療用、農業用、あるいは日用、レジャー品等のあらゆる用途に好適に使用でき、例えば、各種フィルター、断熱材、高保温性衣料品、ハウスラッピングペーパー、清掃用モップ材、補強用(セメント、ゴム、樹脂等)などに広く使用することができる。特に、力学物性、耐熱性、耐湿熱性に優れることから、セメント、ゴム、樹脂等の補強用素材などの各種用途に適している。
以下本発明を詳細に説明する。
(窒化ホウ素ナノチューブ)
本発明において、窒化ホウ素ナノチューブとは、窒化ホウ素からなるチューブ状材料であり、理想的な構造としては6角網目の面がチューブ軸に平行に管を形成し、一重管もしくは多重管になっているものである。窒化ホウ素ナノチューブの平均直径は、好ましくは0.4nm〜1μm、より好ましくは0.6〜500nm、さらにより好ましくは0.8〜200nmである。ここでいう平均直径とは、一重管の場合、その平均外径を、多重管の場合はその最外側の管の平均外径を意味する。平均長さは、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。アスペクト比は、好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上である。アスペクト比の上限は、平均長さが10μm以下であれば限定されるものではないが、上限は実質25000である。よって、窒化ホウ素ナノチューブは、平均直径が0.4nm〜1μm、アスペクト比が5以上であることが好ましい。
窒化ホウ素ナノチューブの平均直径およびアスペクト比は、電子顕微鏡による観察から求めることが出来る。例えばTEM(透過型電子顕微鏡)測定を行い、その画像から直接窒化ホウ素ナノチューブの直径および長手方向の長さを測定することが可能である。また組成物中の窒化ホウ素ナノチューブの形態は例えば繊維軸と平行に切断した繊維断面のTEM(透過型電子顕微鏡)測定により把握することが出来る。
窒化ホウ素ナノチューブは、アーク放電法、レーザー加熱法、化学的気相成長法を用いて合成できる。また、ホウ化ニッケルを触媒として使用し、ボラジンを原料として合成する方法も知られている。また、カーボンナノチューブを鋳型として利用して、酸化ホウ素と窒素を反応させて合成する方法もが提案されている。本発明に用いられる窒化ホウ素ナノチューブは、これらの方法により製造されるものに限定されない。窒化ホウ素ナノチューブは、強酸処理や化学修飾された窒化ホウ素ナノチューブも使用することができる。
窒化ホウ素ナノチューブは共役系高分子で被覆されていることが好ましい。窒化ホウ素ナノチューブを被覆する共役系高分子は、窒化ホウ素ナノチューブと相互作用が強く、マトリクス樹脂であるポリビニルアルコール系樹脂との相互作用も強いものが好ましい。これらの共役系高分子としては、例えば、ポリフェニレンビニレン系高分子、ポリチオフェン系高分子、ポリフェニレン系高分子、ポリピロール系高分子、ポリアニリン系高分子、ポリアセチレン系高分子等が挙げられる。中でも、ポリフェニレンビニレン系高分子、ポリチオフェン系高分子及びポリピロール系高分子等が好ましい。
窒化ホウ素ナノチューブは、ホウ素原子と窒素原子の間のダイポール相互作用により局所的な極性構造を有しており、極性構造を有する媒体への親和性、分散性がカーボンナノチューブより優れることが期待される。更に電子構造的に広いバンドギャップを有するため絶縁性であり、絶縁放熱材料としても期待できる他、カーボンナノチューブと異なり白色であることから着色を嫌う用途にも応用できるなど、媒体としてのポリマーの特徴を活かしたコンポジット創製が可能となる。
本発明の樹脂組成物においては、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、窒化ホウ素ナノチューブが、0.01〜100重量部の範囲内で含有されるものである。本発明におけるポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対する上記窒化ホウ素ナノチューブの含有量の下限は、0.01重量部であるが、本発明においては特に、0.05重量部以上が好ましく、より好ましくは0.1重量部以上であることが好ましい。一方、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対する窒化ホウ素ナノチューブの含有量の上限は、上述したように100重量部以下であるが、本発明においては、80重量部以下であることが好ましく、50重量部以下であることがより好ましい。上記範囲内とすることにより、窒化ホウ素ナノチューブをポリビニルアルコール系樹脂に均一に分散させることが可能となるからである。また、窒化ホウ素ナノチューブが過度に多い場合は、均一な樹脂組成物を得ることが困難となり好ましくない。本発明の樹脂組成物は、窒化ホウ素ナノチューブに由来する窒化ホウ素フレーク、触媒金属等を含む場合がある。
ポリマー主鎖骨格内に水酸基の様なドナー性原子団から構成された電子構造を有するポリビニルアルコール系樹脂は、極性かつナノレベルで構造の規定された窒化ホウ素ナノチューブと分子レベルで静電的に相互作用することが可能である。ポリマーとナノチューブ間の特異的な相互作用の結果として得られるポリビニルアルコール系樹脂においては、少量のフィラー添加においても、従来のポリビニルアルコール系樹脂及びその組成物に比べて効率のよい耐熱性の改良が可能であり、バルク状態の無機フィラーや固有の機械特性としてナノチューブに劣る層状ケイ酸塩などを添加したポリビニルアルコール系樹脂の範囲を超える高性能を発現することも期待される。
本発明で使用するポリビニルアルコール系樹脂としては公知素材が使用できる。このものは通常ビニルエステル系単量体を重合した後、それをけん化することにより得ることができる。ここでビニルエステルとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙げられるが、工業的には酢酸ビニルが多く用いられる。
ビニルエステル系単量体の重合方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法が挙げられる。その中でも、無溶媒またはアルコールなどの溶媒中で重合する塊状重合法や溶液重合法が通常採用される。溶液重合時に溶媒として使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げられる。重合に使用される開始剤としては、例えば、α,α′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシカーボネートなどのアゾ系開始剤または過酸化物系開始剤などの公知の開始剤が挙げられる。重合温度については特に制限はないが、−30〜150℃の範囲が好適である。このような重合方法によって得られるビニルエステル重合体は公知の方法によってけん化される。その方法として、例えば、水系溶媒やアルコールに溶解した状態でのけん化が好適に用いられる。この目的に使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコールなどの低級アルコールが挙げられ、メチルアルコールが特に好適に使用される。けん化反応に使用されるアルコールには、40重量%以下であれば、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ベンゼン等の溶剤が含有されていてもよい。けん化反応に用いられる触媒としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、ナトリウムメチラートなどのアルカリ触媒、あるいは鉱酸などの酸触媒が用いられる。けん化反応の温度については特に制限はないが、20〜60℃の範囲が好適である。けん化反応の進行に伴って、ゲル状生成物が析出してくる場合には、その時点で生成物を粉砕し、洗浄後、乾燥することにより、本発明の樹脂組成物に用いるポリビニルアルコール系樹脂が得られる。なおこのような方法により得られる市販のポリビニルアルコール系樹脂には、残存酢酸ナトリウムが通常0.1%程度含まれる。本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂に含まれる残存酢酸ナトリウム量について特に制限はないが、得られる成形物の機械的強度や着色、成形性等を考慮すると、0.05%以下であることが好ましく、0.01%以下であることがより好ましい。
また本発明の樹脂組成物において用いられるポリビニルアルコール系樹脂は、ビニルアルコールユニットを主成分とするものであれば特に限定されず、他の構成単位を有していてもかまわない。このような構造単位としては、例えば、ビニルアルコール単位、ビニルエステル単位、α−オレフィン単位、アルキルビニルエーテル単位、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸などの不飽和酸類またはその塩またはその炭素数1〜18のアルキルエステル類;アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその酸塩またはその4級塩などのアクリルアミド類;メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその酸塩またはその4級塩などのメタクリルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルアミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;アリルアセテート、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、ふっ化ビニル、ふっ化ビニリデン、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;トリメトキシビニルシランなどのビニルシラン類;オキシアルキレン基を有する単量体、酢酸イソプロペニル、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等のヒドロキシ基含有のα−オレフィン類;フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸またはイタコン酸等に由来するカルボキシル基を有する単量体;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等に由来するスルホン酸基を有する単量体;ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、ビニロキシブチルトリメチルアンモニウムクロリド、ビニロキシエチルジメチルアミン、ビニロキシメチルジエチルアミン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロリド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロリド、N−アクリルアミドジメチルアミン、アリルトリメチルアンモニウムクロリド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアリルアミン、アリルエチル等に由来するカチオン基を有する単量体が挙げられる。中でも炭素数4以下のα−オレフィン単位、炭素数が4以下のアルキルビニルエーテル単位および/またはヒドロキシアルキルビニルエーテル単位を好ましくあげることができる。このうちα−オレフィンの具体例として、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等が挙げられるが、耐水性、吸湿性を考慮すると、エチレンがより好ましい。PVA系樹脂に含まれるα−オレフィン単位の含有量は、0〜20モル%であることが好ましい。α−オレフィン単位の含有量が20モル%を超えると、PVA系樹脂の水への溶解性が低下する。また炭素数が4以下のアルキルビニルエーテル単位および/またはヒドロキシアルキルビニルエーテル単位としては、例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等が挙げられる。PVA系樹脂に含まれるアルキルビニルエーテルおよび/またはヒドロキシアルキルビニルエーテルの含有量は0〜20モル%であることが好ましい。含有量が20モル%を超えると、PVA系樹脂の水への溶解性が低下する。このような変性ユニットの導入法は共重合による方法でも、後反応による方法でもよい。
本発明の樹脂組成物において用いられるポリビニルアルコール系樹脂の分子量についても特に制限はないが、得られる繊維の機械的特性や寸法安定性等を考慮すると30℃水溶液の粘度から求めた平均重合度が1200〜20000のものが望ましい。高重合度のものを用いると、強度、耐湿熱性等の点で優れるので好ましいが、ポリマー製造コストや繊維化コストなどの観点から平均重合度が1500〜5000のものが特に好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂のけん化度も特に限定されるものではないが、得られる繊維の結晶性及び配向性の点で98モル%以上が好ましく、99モル%以上であると更に好ましい。99.7モル%以上であると耐熱水性が優れるので特に好ましい。
本発明のポリビニルアルコール系樹脂組成物には、組成物本来の特性を損なわない範囲で、必要に応じて1種以上の他の追加の樹脂を更に含んでいてもよい。このような重合体としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリスチレン、ブタジエン/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリスルホン、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルホンなどの熱可塑性樹脂樹脂や、尿素−ホルマリン系樹脂、メラミン−ホルマリン系樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。かかる他の樹脂が存在する場合、組成物の全重量を基準にして約1〜約40重量%、好ましくは約30重量%以下の量で使用し得る。
(樹脂組成物の製造方法について)
本発明において組成物の製造方法としては、特に限定はされない。好ましくはa)窒化ホウ素ナノチューブ及び/又は予めポリビニルアルコール系樹脂を被覆した窒化ホウ素ナノチューブをポリビニルアルコール系樹脂または該樹脂溶液に混合分散させる方法、あるいはb)窒化ホウ素ナノチューブ及び/又は予めポリビニルアルコール系樹脂を被覆した窒化ホウ素ナノチューブをビニルエステル系単量体の重合製造時に混合分散させる方法が挙げられる。
a)の方法として例えば、ポリビニルアルコール系樹脂に窒化ホウ素ナノチューブを溶融混合させる方法が好ましく利用できる。溶融混合の方法は特に制限はないが、一軸あるいは二軸押し出し機、ニーダー、ラボプラストミル、バンバリーミキサーあるいはミキシングロールなどを用いて混練する事により得られる。
a)の方法として溶媒を用いる場合の窒化ホウ素ナノチューブ含有樹脂溶液の製造方法としては、A)ポリビニルアルコール系樹脂を溶解させることが可能な溶媒に窒化ホウ素ナノチューブを分散させた分散液を調整し、ポリビニルアルコール系樹脂を添加、溶解させてポリビニルアルコール系樹脂と窒化ホウ素ナノチューブからなる混合溶液を調整する方法、B)ポリビニルアルコール系樹脂を溶解させることが可能な溶媒にポリビニルアルコール系樹脂を溶解した樹脂溶液に窒化ホウ素ナノチューブを添加して分散させる方法、C)ポリビニルアルコール系樹脂を溶解させることができる溶媒にポリビニルアルコール系樹脂と窒化ホウ素ナノチューブを添加して調整する方法等が利用できる。本発明では何れかの方法を単独で用いるか、あるいは何れかの方法を組み合わせても良い。中でも、A)の窒化ホウ素ナノチューブ分散液にポリビニルアルコール系樹脂を添加、溶解させる方法が好ましい。
この際に例えば窒化ホウ素ナノチューブを溶媒中でビーズミル処理することや超音波処理を施す、強力なせん断処理を施すことにより窒化ホウ素ナノチューブの分散性を向上することができる。中でも、超音波処理を施す方法が好ましい。本発明においても窒化ホウ素ナノチューブ分散液にポリビニルアルコール系樹脂を添加して、超音波処理等を施すことにより、窒化ホウ素ナノチューブの分散性が飛躍的に向上することを見出した。
本発明においてポリビニルアルコール系樹脂を溶解させるために適当な溶媒としては、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、水、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール等の多価アルコール類、ジエチレントリアミンなどが挙げられるがこれらに限定されるものではなく、必要に応じて溶媒を組み合わせ用いることもできる。中でも、供給性、環境負荷への影響の観点から、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド及び水が特に好ましい。
溶解性を損なわない範囲で、メタノール、エタノール、ブタノール、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフランといった溶媒が含まれていても差し支えない。
またb)の方法として、窒化ホウ素ナノチューブをビニルエステル系単量体の重合製造時に、原料と同時あるいは重合途中で添加し、そのまま重合後に組成物とした後、けん化工程を経てポリビニルアルコール系樹脂組成物を調整することも好ましく実施できる。
さらにこのようにして作成されたポリビニルアルコール系樹脂組成物にはさらに分散性を高める目的で、溶融混練処理を行ってもよい。混練方法は特に特定はしないが、一軸ルーダー、ニ軸のルーダーおよびニーダーを使用して行う事ができる。溶融混練処理温度は、樹脂成分の軟化、流動する温度より5℃〜100℃高い温度である。高温過ぎると樹脂の分解や異常反応を生じ好ましくない。また、混練処理時間は少なくとも30秒以上15分以内、好ましくは1〜10分である。
これらの工程で用いる窒化ホウ素ナノチューブは、あらかじめマトリクスであるポリビニルアルコール系樹脂で被覆しておいて使用することもできる。ポリビニルアルコール系樹脂を窒化ホウ素ナノチューブに被覆する方法として特に限定はされないが、1)窒化ホウ素ナノチューブを溶融状態のポリビニルアルコール系樹脂に添加して混合する無溶媒で行う方法、2)窒化ホウ素ナノチューブとポリビニルアルコール系樹脂を、ポリビニルアルコール系樹脂を溶解する溶媒中で分散混合する方法等が挙げられる。2)の方法においては窒化ホウ素ナノチューブを分散させる方法として超音波や各種攪拌方法を用いることができる。攪拌方法としては、ホモジナイザーのような高速攪拌やアトライター、ボールミル等の攪拌方法も使用することができる。
また、共役系高分子で被覆した窒化ホウ素ナノチューブを使用する場合は、共役系高分子を窒化ホウ素ナノチューブに被覆した後、共役系高分子で被覆された窒化ホウ素ナノチューブを上記のようにポリビニルアルコール系樹脂または該樹脂溶液に混合分散させることにより本発明の樹脂組成物を製造することができる。
窒化ホウ素ナノチューブを共役高分子で被覆する方法として特に限定はされないが、1)窒化ホウ素ナノチューブを溶融している共役高分子に添加して混合する無溶媒で行う方法2)窒化ホウ素ナノチューブと共役高分子を、共役高分子を溶解する溶媒中で分散混合する方法等が挙げられる。2)の方法においては窒化ホウ素ナノチューブを分散させる方法として超音波や各種攪拌方法を用いることができる。攪拌方法としては、ホモジナイザーのような高速攪拌やアトライター、ボールミル等の攪拌方法も使用することができる。
本発明のポリビニルアルコール系樹脂組成物とは、このようなポリビニルアルコール系樹脂を重合、窒化ホウ素ナノチューブと複合した後、任意の成型を行う前の塊状やペレット状などのいわゆる成型前ポリマーを意味する。このようなポリビニルアルコール系樹脂組成物は、調整した後に更に湿式、乾-湿式、乾式工程もしくは溶融成形を経て繊維、フィルム及びシート状に成形することができる。成形方法については特に制限はないが、例えば溶融状態にある窒化ホウ素ナノチューブ含有ポリビニルアルコール系樹脂組成物をダイより押し出し成形する押し出し成形、圧縮成形法、トランスファー成形法、強化プラスチック成形法、射出成形、や押出製膜法、Tダイからのインフレーション成形法、中空成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法、発泡成形法、真空成形法、圧空成形法等によりフィルム、シートを製造する他、任意の形状に加工することが可能である。あるいは溶液状態の該組成物を湿式、乾式、乾湿式ドライジェット紡糸法より製糸することにより繊維成型体を製造することもできる。更に樹脂組成物溶液を支持体に流延し、特定の厚みにキャストした後、溶媒を除去する等の方法によりフィルム、シートを製造することができる。例えばフィルムの場合、ガラス、金属といった基板上にキャストして成形したのち、乾式製膜あるいは湿式製膜、乾式製膜と湿式製膜の併用によりフィルムを作製することが可能である。これらの成型工程において、流動配向、せん断配向、又は延伸配向させる事によりポリビニルアルコール系樹脂および窒化ホウ素ナノチューブの配向を高め機械的特性を向上させる事が出来る。
また本発明のポリビニルアルコール系樹脂組成物は、その成形物、物性を損なわない範囲で各種添加剤の使用が可能であり、例えば他の熱可塑性ポリマー成分、熱安定剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、滑剤、離型剤、発泡剤、耐衝撃性改良剤、架橋剤、着色剤、充填剤等の添加剤を加えても差し支えない。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。また使用したポリビニルアルコール系樹脂は和光純薬工業(株)製のポリビニルアルコール2000(けん化度98mol%、平均重合度2000)である。
(1)強伸度測定
強伸度は、50mm×10mmのサンプルを用い、引張り速度5mm/分で行いオリエンテックUCT−1Tによって測定した。
(2)ガラス転移温度
ガラス転移温度は、TAインストルメント製TA2920を用いて窒素気流中、30〜300℃の範囲で昇温速度10℃/分にて測定し、セカンドスキャンのピーク値よりガラス転移温度を計算した。
(3)ポリマー重量減少温度
ポリマー重量減少温度は、Rigaku製TG 8120を用いて空気中、30〜800℃の範囲で昇温速度10℃/分にて測定し、5%重量減少時のピーク値より算出した。
(4)熱膨張係数
熱膨張係数は、TAインストルメント製TA2940を用いて空気中、30〜80℃の範囲で昇温速度10℃/分にて測定し、セカンドスキャンの値を熱膨張係数とした。
[参考例1 窒化ホウ素ナノチューブの製造]
窒化ホウ素製のるつぼに、1:1のモル比でホウ素と酸化マグネシウムを入れ、るつぼを高周波誘導加熱炉で1300℃に加熱した。ホウ素と酸化マグネシウムは反応し、気体状の酸化ホウ素(B)とマグネシウムの蒸気が生成した。この生成物をアルゴンガスにより反応室へ移送し、温度を1100℃に維持してアンモニアガスを導入した。酸化ホウ素とアンモニアが反応し、窒化ホウ素が生成した。1.55gの混合物を十分に加熱し、副生成物を蒸発させると、反応室の壁から310mgの白色の固体が得られた。続いて得られた白色固体を濃塩酸で洗浄、イオン交換水で中性になるまで洗浄後、60℃で減圧乾燥を行い窒化ホウ素ナノチューブ(以下、BNNTと略すことがある)を得た。得られたBNNTは、平均直径が27.6nm、平均長さが2460nmのチューブ状であった。
[実施例1]
0.15重量部の窒化ホウ素ナノチューブを100重量部のN、N−ジメチルアセトアミドに添加して、超音波バスにて4時間処理を行い、窒化ホウ素ナノチューブ分散液を調整した。上記窒化ホウ素ナノチューブ分散液にポリビニルアルコール系樹脂(和光純薬工業製)0.15重量部を添加して超音波バスにて30分処理を行ったところ、飛躍的に窒化ホウ素ナノチューブの分散性が向上した。続いて更に14.85重量部のポリビニルアルコール系樹脂を添加して60℃でポリビニルアルコール系樹脂が完全に溶解するまで攪拌した。得られた窒化ホウ素ナノチューブ含有ポリビニルアルコール系樹脂溶液をガラス基板上に200μmのドクターブレードを使用してキャストした後、80℃で1時間、130℃で1時間乾燥させた。続いて、乾燥したフィルムをイオン交換水中に投入しフィルムをガラス基板上より剥離し、1時間洗浄を行った。得られたフィルムを金枠に固定して30mmHgにて80℃で1時間、180℃で1時間減圧乾燥を実施した。フィルムの厚みは31μm、ガラス転移温度は71.7℃、熱膨張係数は47.7ppm/℃、引張強度は51.7MPa及び引張弾性率は3.30Gpaであった。また、5%ポリマー重量減少温度は299.6℃であった。
[実施例2]
(共役系高分子で被覆した窒化ホウ素ナノチューブの作製)
参考例1で得られた窒化ホウ素ナノチューブ0.1重量部を100重量部のジクロロメタンに添加して超音波バスにて2時間処理を行い、窒化ホウ素ナノチューブ分散液を調整した。続いて0.1重量部のアルドリッチ製ポリ(m−フェニレンビニレン−co−2,5−ジオクトキシ−p−フェニレンビニレン)を添加して超音波処理を1時間実施した。得られた分散液をミリポア製オムニポアメンブレンフィルター0.1μでろ過し、大量のジクロロメタンで洗浄後、60℃減圧乾燥を2時間行うことで黄色の共役系高分子で被覆された窒化ホウ素ナノチューブを得た。窒化ホウ素ナノチューブ上に被覆された共役系高分子の量は窒化ホウ素ナノチューブに対して4.2重量%であった。
(窒化ホウ素ナノチューブ含有ポリビニルアルコール系樹脂の作製)
0.18重量部の窒化ホウ素ナノチューブを含む上記で作製した共役系高分子で被覆された窒化ホウ素ナノチューブを100重量部のN、N−ジメチルアセトアミドに添加して、超音波バスにて2時間処理を行い、窒化ホウ素ナノチューブ分散液を調整した。続いて上記窒化ホウ素ナノチューブ分散液にポリビニルアルコール系樹脂(和光純薬工業製)0.15重量部を添加して超音波バスにて30分処理を行ったところ、飛躍的に窒化ホウ素ナノチューブの分散性が向上した。続いて更に14.85重量部のポリビニルアルコール系樹脂を添加して60℃でポリビニルアルコール系樹脂が完全に溶解するまで攪拌した。得られた窒化ホウ素ナノチューブ含有ポリビニルアルコール系樹脂溶液をガラス基板上に200μmのドクターブレードを使用してキャストした後、80℃で1時間、130℃で1時間乾燥させた。続いて、乾燥したフィルムをイオン交換水中に投入しフィルムをガラス基板上より剥離し、1時間洗浄を行った。得られたフィルムを金枠に固定して30mmHgにて80℃で1時間、180℃で1時間減圧乾燥を実施した。フィルムの厚みは31μm、ガラス転移温度は72.1℃、熱膨張係数は47.0ppm/℃、引張強度は52.1MPa及び引張弾性率は3.40Gpaであった。また、5%ポリマー重量減少温度は295.8℃であった。
[比較例1]
窒化ホウ素ナノチューブを含有しない以外は、実施例1と同様にポリビニルアルコール系樹脂のフィルムを作製した。フィルムの厚みは28μm、ガラス転移温度は71.2℃、熱膨張係数は62.9ppm/℃、引張強度は30.4MPa及び引張弾性率は1.15Gpaであった。

Claims (7)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂100重量部と窒化ホウ素ナノチューブ0.01〜100重量部とからなるポリビニルアルコール系強化樹脂組成物。
  2. 窒化ホウ素ナノチューブの平均直径が0.4nm〜1μm、アスペクト比が5以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリビニルアルコール系強化樹脂組成物。
  3. 窒化ホウ素ナノチューブが共役系高分子で被覆されていることを特徴とする請求項1または2に記載のポリビニルアルコール系強化樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載のポリビニルアルコール系強化樹脂組成物からなる成形体。
  5. 共役系高分子を窒化ホウ素ナノチューブに被覆した後、当該窒化ホウ素ナノチューブをポリビニルアルコール系樹脂または該樹脂溶液に混合分散させる工程を含む請求項3記載のポリビニルアルコール系強化樹脂組成物の製造方法。
  6. 窒化ホウ素ナノチューブ及び/又は予めポリビニルアルコール系樹脂を被覆した窒化ホウ素ナノチューブをポリビニルアルコール系樹脂または該樹脂溶液に混合分散させる請求項1〜3のいずれかに記載のポリビニルアルコール系強化樹脂組成物の製造方法。
  7. 窒化ホウ素ナノチューブ及び/又は予めポリビニルアルコール系樹脂を被覆した窒化ホウ素ナノチューブをポリビニルアルコール系樹脂の重合製造時に混合分散させる請求項1〜3のいずれかに記載のポリビニルアルコール系強化樹脂組成物の製造方法。
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