JP5080027B2 - 熱可塑性樹脂複合組成物及びその製造方法 - Google Patents
熱可塑性樹脂複合組成物及びその製造方法 Download PDFInfo
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ポリマーコンポジットとしては、フィラーにカーボンナノチューブを用いてポリマーに添加することで、ポリマーの機械的物性、導電性、耐熱性等を改質する試みも行われている。
1.ポリビニルブチラール系樹脂100重量部と白色の窒化ホウ素ナノチューブ0.01〜100重量部とからなるポリビニルブチラール系樹脂組成物。
2.窒化ホウ素ナノチューブの平均直径が0.4nm〜1μm、アスペクト比が5以上25000以下であることを特徴とする上記に記載のポリビニルブチラール系樹脂組成物。
3.窒化ホウ素ナノチューブが、気体状の酸化ホウ素(B 2 O 2 )とマグネシウム蒸気とアンモニアガスとの反応により生成したものである上記に記載のポリビニルブチラール系樹脂組成物。
4.上記何れかに記載のポリビニルブチラール系樹脂成形体。
5.気体状の酸化ホウ素(B 2 O 2 )とマグネシウム蒸気とアンモニアガスとを反応させ生成した窒化ホウ素ナノチューブを、ポリビニルブチラール系樹脂を溶解させることが可能な溶媒に分散させた分散液に、ポリビニルブチラール系樹脂を添加・溶解させたのち、溶媒を除去することによる上記に記載のポリビニルブチラール系樹脂組成物の製造方法。により構成される。
(窒化ホウ素ナノチューブ)
本発明において、窒化ホウ素ナノチューブとは、窒化ホウ素からなるチューブ状材料であり、理想的な構造としては6角網目の面がチューブ軸に平行に管を形成し、一重管もしくは多重管になっているものである。窒化ホウ素ナノチューブの平均直径は、好ましくは0.4nm〜1μm、より好ましくは0.6〜500nm、さらにより好ましくは0.8〜200nmである。ここでいう平均直径とは、一重管の場合、その平均外径を、多重管の場合はその最外側の管の平均外径を意味する。平均長さは、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。アスペクト比は、好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上である。アスペクト比の上限は、平均長さが10μm以下であれば限定されるものではないが、上限は実質25000である。よって、窒化ホウ素ナノチューブは、平均直径が0.4nm〜1μm、アスペクト比が5以上であることが好ましい。
本発明のポリビニルブチラール系樹脂組成物の製造方法としては以下に示す方法で調整可能である。
樹脂組成物の製造方法として、ポリビニルブチラール系樹脂中に窒化ホウ素ナノチューブを溶融状態にて高せん断応力下に混合、分散することによる方法、あるいはポリビニルブチラール系樹脂、窒化ホウ素ナノチューブとポリビニルブチラール系樹脂を溶解する溶媒からなる樹脂溶液を調整する工程と成形した後に該溶媒を除去する工程からなる方法の何れをも用いることができる。
(1)引張弾性率測定
引張弾性率は、50mm×10mmのサンプルを用い、引張り速度5mm/分で行いオリエンテックUCT−1Tによって測定した。
(2)ガラス転移温度
ガラス転移温度は、TAインストルメント製TA2920を用いて窒素雰囲気下、30〜300℃の範囲で昇温速度10℃/分にて測定し、セカンドスキャンのピーク値よりガラス転移温度を計算した。
(3)熱膨張係数
熱膨張係数は、TAインストルメント製TA2940を用いて空気中30〜80℃の範囲で昇温速度10℃/分にて測定し、セカンドスキャンの値を熱膨張係数とした。
(4)ポリマー重量減少温度
ポリマー重量減少温度は、Rigaku製TG 8120を用いて空気中、30〜800℃の範囲で昇温速度10℃/分にて測定し、5%重量減少時のピーク値より算出した。
窒化ホウ素製のるつぼに、1:1のモル比でホウ素と酸化マグネシウムを入れ、るつぼを高周波誘導加熱炉で1300℃に加熱した。ホウ素と酸化マグネシウムは反応し、気体状の酸化ホウ素(B2O2)とマグネシウムの蒸気が生成した。この生成物をアルゴンガスにより反応室へ移送し、温度を1100℃に維持してアンモニアガスを導入した。酸化ホウ素とアンモニアが反応し、窒化ホウ素が生成した。1.55gの混合物を十分に加熱し、副生成物を蒸発させると、反応室の壁から310mgの白色の固体が得られた。続いて得られた白色固体を濃塩酸で洗浄、イオン交換水で中性になるまで洗浄後、60℃で減圧乾燥を行い窒化ホウ素ナノチューブ(以下、BNNTと略すことがある)を得た。得られたBNNTは、平均直径が27.6nm、平均長さが2460nmのチューブ状であった。
参考例1で得られた0.30重量部の窒化ホウ素ナノチューブを100重量部のテトラヒドロフランに添加して、超音波バスにて4時間処理を行い、窒化ホウ素ナノチューブ分散液を調整した。上記窒化ホウ素ナノチューブ分散液にポリビニルブチラール0.30重量部を添加して超音波バスにて30分処理を行ったところ、飛躍的に窒化ホウ素ナノチューブの分散性が向上した。続いてポリビニルブチラール14.70重量部を続けて添加して40℃でポリビニルブチラールが溶解するまで攪拌した。得られた窒化ホウ素ナノチューブ含有ポリビニルブチラール溶液をガラス基板上に200μmのドクターブレードを使用してキャストした後、50℃で1時間、80℃で1時間乾燥させた。続いて、乾燥したフィルムをイオン交換水中に投入しフィルムをガラス基板上より剥離し、1時間洗浄を行った。得られたフィルムを金枠に固定して30mmHgにて80℃で1時間、100℃で1時間減圧乾燥を実施した。フィルムの厚みは34μm、ガラス転移温度は89.1℃、熱膨張係数は52.6ppm/℃、引張弾性率は2.31Gpaであった。また、5%ポリマー重量減少温度は297.8℃であった。
(共役系高分子で被覆した窒化ホウ素ナノチューブの作製)
参考例1で得られた0.1重量部の窒化ホウ素ナノチューブを100重量部のジクロロメタンに添加して超音波バスにて2時間処理を行い、窒化ホウ素ナノチューブ分散液を調整した。続いて0.1重量部のアルドリッチ製ポリ(m−フェニレンビニレン−co−2,5−ジオクトキシ−p−フェニレンビニレン)を添加して超音波処理を1時間実施した。得られた分散液をミリポア製オムニポアメンブレンフィルター0.1μでろ過し、大量のジクロロメタンで洗浄後、60℃減圧乾燥を2時間行うことで黄色の共役高分子で被覆された窒化ホウ素ナノチューブを得た。窒化ホウ素ナノチューブ上に被覆された共役系高分子の量は窒化ホウ素ナノチューブに対して4.2重量%であった。
上記で作製した共役系高分子で被覆された窒化ホウ素ナノチューブ0.30重量部を、100重量部のテトラヒドロフランに添加して、超音波バスにて2時間処理を行い、窒化ホウ素ナノチューブ分散液を調整した。続いて15重量部のポリビニルブチラールを添加して室温で樹脂が溶解するまで攪拌した。得られた窒化ホウ素ナノチューブ含有ポリビニルブチラール樹脂溶液をガラス基板上に200μmのドクターブレードを使用してキャストした後、80℃で1時間、130℃で1時間乾燥させた。続いて、乾燥したフィルムをイオン交換水中に投入しフィルムをガラス基板上より剥離し、1時間洗浄を行った。得られたフィルムを金枠に固定して30mmHgにて80℃で1時間、100℃で1時間にて減圧乾燥を実施した。フィルムの厚みは31μm、ガラス転移温度は90.2℃、熱膨張係数は51.5ppm/℃、引張弾性率は2.35Gpaであった。また、5%ポリマー重量減少温度は298.0℃であった。
窒化ホウ素ナノチューブを含有しない以外は、実施例1と同様にポリビニルブチラールのフィルムを作製した。フィルムの厚みは24μm、ガラス転移温度は83.9℃、熱膨張係数は78.5ppm/℃、引張弾性率は2.11Gpaであった。また、5%ポリマー重量減少温度は272.0℃であった。
Claims (5)
- ポリビニルブチラール系樹脂100重量部と白色の窒化ホウ素ナノチューブ0.01〜100重量部とからなるポリビニルブチラール系樹脂組成物。
- 窒化ホウ素ナノチューブの平均直径が0.4nm〜1μm、アスペクト比が5以上25000以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリビニルブチラール系樹脂組成物。
- 窒化ホウ素ナノチューブが、気体状の酸化ホウ素(B 2 O 2 )とマグネシウム蒸気とアンモニアガスとの反応により生成したものである請求項1または2記載のポリビニルブチラール系樹脂組成物。
- 請求項1〜3の何れかに記載のポリビニルブチラール系樹脂組成物からなる成形体。
- 気体状の酸化ホウ素(B 2 O 2 )とマグネシウム蒸気とアンモニアガスとを反応させ生成した窒化ホウ素ナノチューブを、ポリビニルブチラール系樹脂を溶解させることが可能な溶媒に分散させた分散液に、ポリビニルブチラール系樹脂を添加・溶解させたのち、溶媒を除去することによる請求項3記載のポリビニルブチラール系樹脂組成物の製造方法。
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