JP5054314B2 - 熱安定性に優れたポリエーテルスルホン系樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
熱安定性に優れたポリエーテルスルホン系樹脂組成物及びその製造方法 Download PDFInfo
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Description
ポリマーコンポジットとしては、フィラーにカーボンナノチューブを用いてポリマーに添加することで、ポリマーの機械的物性、導電性、耐熱性等を改質する試みも行われている。
1.ポリエーテルスルホン系樹脂100重量部と窒化ホウ素ナノチューブ(官能基化され可溶性にされたものを除く)0.01〜50重量部とからなるポリエーテルスルホン系樹脂組成物。
2.平均直径が0.4nm〜1μm、アスペクト比が5以上である窒化ホウ素ナノチューブであることを特徴とする上記記載のポリエーテルスルホン系樹脂組成物。
3.上記記載のポリエーテルスルホン系樹脂組成物の成形体。
により構成される。
(窒化ホウ素ナノチューブ)
本発明において、窒化ホウ素ナノチューブとは、窒化ホウ素からなるチューブ状材料であり、理想的な構造としては6角網目の面がチューブ軸に平行に管を形成し、一重管もしくは多重管になっているものである。窒化ホウ素ナノチューブの平均直径は、好ましくは0.4nm〜1μm、より好ましくは0.6〜500nm、さらにより好ましくは0.8〜200nmである。ここでいう平均直径とは、一重管の場合、その平均外径を、多重管の場合はその最外側の管の平均外径を意味する。平均長さは、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。アスペクト比は、好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上である。アスペクト比の上限は、平均長さが10μm以下であれば限定されるものではないが、上限は実質25000である。よって、窒化ホウ素ナノチューブは、平均直径が0.4nm〜1μm、アスペクト比が5以上であることが好ましい。
(樹脂組成物の製造方法について)
本発明において組成物の製造方法としては、特に限定はされない。例えば、ポリエーテルスルホン系樹脂に窒化ホウ素ナノチューブを溶融混合させる方法が好ましく利用できる。溶融混合の方法は特に制限はないが、一軸あるいは二軸押し出し機、ニーダー、ラボプラストミルなどを用いて混練する事により得られる。
成形方法については特に制限はないが、例えば溶融状態にある窒化ホウ素ナノチューブ含有ポリエーテルスルホン系樹脂組成物をダイより押し出し成形する押し出し成形、射出成形、インフレーション成形等によりフィルム、シートを製造することができる。
または樹脂組成物溶液を支持体に流延し、特定の厚みにキャストした後、溶媒を除去する等の方法によりフィルム、シートを製造することができる。
(1)ガラス転移温度
ガラス転移温度は、TAインストルメント製TA2920を用いて30〜300℃の範囲で測定し、セカンドスキャンのピーク値よりガラス転移温度を計算した。
(2)熱膨張係数
熱膨張係数は、TAインストルメント製TA2940を用いて30〜80℃の範囲で測定し、セカンドスキャンの値を熱膨張係数とした。
窒化ホウ素製のるつぼに、1:1のモル比でホウ素と酸化マグネシウムを入れ、るつぼを高周波誘導加熱炉で1300℃に加熱した。ホウ素と酸化マグネシウムは反応し、気体状の酸化ホウ素(B2O2)とマグネシウムの蒸気が生成した。この生成物をアルゴンガスにより反応室へ移送し、温度を1100℃に維持してアンモニアガスを導入した。酸化ホウ素とアンモニアが反応し、窒化ホウ素が生成した。1.55gの混合物を十分に加熱し、副生成物を蒸発させると、反応室の壁から310mgの白色の固体が得られた。続いて得られた白色固体を濃塩酸で洗浄、イオン交換水で中性になるまで洗浄後、60℃で減圧乾燥を行い窒化ホウ素ナノチューブ(以下、BNNTと略すことがある)を得た。得られたBNNTは、平均直径が27.6nm、平均長さが2460nmのチューブ状であった。
4,4’−ヒドロキシジフェニルスルホン25.0部、ビス(4ークロロフェニル)スルホン28.7部、トルエン70部、炭酸カリウム17.25部を、窒素導入口と排出口を持った3つ口フラスコに入れ、これをディーン・スタークス・トラップに誘導し窒素置換を行い、110℃で6時間加熱環流を行った。反応に伴う水の流出が終了したのを確認後、トルエンを留去し、新たにN,N−ジメチルアセトアミド150部を加え、フラスコ内を窒素置換後、160℃で15時間加熱撹拌し、反応せしめた。得られたポリマーをロ別し、水−メタノール、水の順でよく洗浄した後、残存塩を除去するために沸騰水中で1時間還流した。生成物をロ別後、30mmHg減圧下100℃乾燥することでポリマーを得たした。500mgのポリマーをN,N−ジメチルアセトアミド溶媒10mlに溶解させ、還元粘度を測定したところ2.75であった。
0.18重量部の参考例1で得られた窒化ホウ素ナノチューブを100重量部のN−メチル−2−ピロリジノンに添加して、超音波バスにて2時間処理を行い、窒化ホウ素ナノチューブ分散液を調整した。続いて参考例2にて調整したポリエーテルスルホン15重量部を添加して室温でポリエーテルスルホンが溶解するまで攪拌した。得られた窒化ホウ素ナノチューブ含有ポリエーテルスルホン溶液をガラス基板上に200μmのドクターブレードを使用してキャストした後、80℃で60分、次いで130℃で60分放置した。得られたフィルムをガラス板より剥離し、金枠に固定して30mmHgに減圧下80℃で10分、130℃で1時間乾燥させた。フィルムの厚みは30μm、ガラス転移温度は227.2℃、熱膨張係数は50.0ppm/℃であった。
窒化ホウ素ナノチューブを含まない以外は実施例1と同様にして窒化ホウ素ナノチューブを含有しないポリエーテルスルホンフィルムを作製した。フィルムの厚みは22μm、ガラス転移温度は220.1℃、熱膨張係数は55.4ppm/℃であった。
(共役系高分子で被覆した窒化ホウ素ナノチューブの作製)
0.1重量部の参考例1で得られた窒化ホウ素ナノチューブを100重量部のジクロロメタンに添加して超音波バスにて2時間処理を行い、窒化ホウ素ナノチューブ分散液を調整した。続いて0.1重量部のアルドリッチ製ポリ(m−フェニレンビニレン−co−2,5−ジオクトキシ−p−フェニレンビニレン)を添加して超音波処理を1時間実施した。得られた分散液をミリポア製オムニポアメンブレンフィルター0.1μでろ過し、大量のジクロロメタンで洗浄後、60℃減圧乾燥を2時間行うことで黄色の共役系高分子で被覆された窒化ホウ素ナノチューブを得た。窒化ホウ素ナノチューブ上に被覆された共役系高分子の量は窒化ホウ素ナノチューブに対して4.2重量%であった。
18重量部の窒化ホウ素ナノチューブを含む上記で作製した共役系高分子で被覆された窒化ホウ素ナノチューブを100重量部のN−メチル−2−ピロリジノンに添加して、超音波バスにて2時間処理を行い、窒化ホウ素ナノチューブ分散液を調整した。続いて参考例2で調整した15重量部のポリエーテルスルホンを添加して室温でポリエーテルスルホンが溶解するまで攪拌した。得られた窒化ホウ素ナノチューブ含有ポリエーテルスルホン溶液をガラス基板上に200μmのドクターブレードを使用してキャストした後、80℃で60分、次いで130℃で60分放置した。得られたフィルムをガラス板より剥離し、金枠に固定して30mmHgに減圧下80℃で10分、130℃で1時間乾燥させた。フィルムの厚みは28μm、ガラス転移温度は226.7℃、熱膨張係数は50.6ppm/℃であった。
Claims (3)
- ポリエーテルスルホン系樹脂100重量部と窒化ホウ素ナノチューブ(官能基化され可溶性にされたものを除く)0.01〜50重量部とからなるポリエーテルスルホン系樹脂組成物。
- 平均直径が0.4nm〜1μm、アスペクト比が5以上である窒化ホウ素ナノチューブであることを特徴とする請求項1に記載のポリエーテルスルホン系樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載のポリエーテルスルホン系樹脂組成物の成形体。
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