JP2007146039A - 樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、ポリエステル100重量部および窒化ホウ素ナノチューブ0.01〜100重量部を含有する樹脂組成物である。
【選択図】図1
Description
一方、分散相の大きさがナノメートルオーダーであるナノコンポジットの研究が、近年活発となってきている。ナノコンポジットは、分散相がミクロンオーダーである場合と比較して、分散相が微細なため、分散相の占める体積が同じ場合、分散相の間の距離が極度に小さくなる。その結果、少量の分散相でも十分な効果を発現する可能性があることが知られている。
中でも、カーボンナノチューブや微細炭素繊維をポリマーに添加することにより、ポリマーの結晶化が促進されることが報告されている(非特許文献1、特許文献1)。また、機械的物性を改質する試みとしてポリパラフェニレンベンゾオキサゾールと単層カーボンナノチューブとの繊維組成物による力学特性改善の報告例(非特許文献2)やポリアクリロニトリルと単層カーボンナノチューブとの繊維組成物に関する報告例(非特許文献3)等が知られている。
本発明の成形体は、機械部品などの樹脂成形体、衣料・産業資材などの繊維、包装・磁気記録用途、電気電子用途などのフィルムとして好適に使用することができる。本発明の繊維は、引張強度に優れ、高次加工、各種充填剤の添加が可能であり、多くの産業資材および衣料用の繊維として好適に使用することができる。また本発明のフィルムは、機械的物性に優れ、高次加工、各種充填剤の添加が可能であり、多くの産業資材用面状体として好適に使用することができる。
本発明において、窒化ホウ素ナノチューブとは、窒化ホウ素からなるチューブ状材料であり、理想的な構造としては6角網目の面がチューブ軸に平行に管を形成し、一重管もしくは多重管になっているものである。窒化ホウ素ナノチューブの平均直径は、好ましくは0.4nm〜1μm、より好ましくは0.6〜500nm、さらにより好ましくは0.8〜200nmである。ここでいう平均直径とは、一重管の場合、その平均外径を、多重管の場合はその最外側の管の平均外径を意味する。平均長さは、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。アスペクト比は、好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上である。アスペクト比の上限は、平均長さが10μm以下であれば限定されるものではないが、上限は実質25000である。よって、窒化ホウ素ナノチューブは、平均直径が0.4nm〜1μm、アスペクト比が5以上であることが好ましい。
窒化ホウ素ナノチューブは、アーク放電法、レーザー加熱法、化学的気相成長法を用いて合成できる。また、ホウ化ニッケルを触媒として使用し、ボラジンを原料として合成する方法も知られている。また、カーボンナノチューブを鋳型として利用して、酸化ホウ素と窒素を反応させて合成する方法もが提案されている。本発明に用いられる窒化ホウ素ナノチューブは、これらの方法により製造されるものに限定されない。窒化ホウ素ナノチューブは、強酸処理や化学修飾された窒化ホウ素ナノチューブも使用することができる。
本発明におけるポリエステルとしては、ジカルボン酸(あるいはそのエステル形成性誘導体)、ジオール(あるいはそのエステル形成性誘導体)、ヒドロキシカルボン酸(あるいはそのエステル形成性誘導体)を主原料として、縮合反応することにより得られるものが挙げられる。
上記ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
その他、芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族ジカルボニル単位、エチレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位からなるサーモトロピック液晶性を示す熱可塑性ポリエステル樹脂を使用することもできる。
さらに具体的にはポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートからなる群より選ばれる少なくとも一種のポリエステルが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、示差走査熱量分析(DSC)測定において、窒素雰囲気下、融解後、降温速度20℃/分で測定したときの結晶化ピークが、窒化ホウ素ナノチューブを含まないポリエステルに比較して、高温側にシフトしていることが好ましい。
例えば、ポリ乳酸においては、結晶性が低いため、結晶融解後、降温速度20℃/分で測定した際、結晶化に起因する発熱ピークを観察することができない場合があるが、窒化ホウ素ナノチューブを含有するポリ乳酸においては、結晶融解後、降温速度20℃/分で示差熱分析装置(DSC)を測定した際、結晶化に起因する発熱ピークを観察することができる。結晶化ピークが発現することから窒化ホウ素ナノチューブを含有することによりポリ乳酸の結晶化が促進されていることが確認できる。結晶化が促進されているかどうか判断するための分析手段として、DSC測定以外にも半結晶化時間を測定することにより、半結晶化時間の長短を確認することで可能である。
(原料混合)
本発明の樹脂組成物は、窒化ホウ素ナノチューブの存在下で、ポリエステルの重合反応を行うことにより製造することができる。即ち、重合原料に窒化ホウ素ナノチューブを混合して重合せしめることにより製造することができる。重合原料に窒化ホウ素ナノチューブを混合する方法としては、例えば溶媒中に窒化ホウ素ナノチューブを分散させた分散液を調製し重合原料に混合することができる。
ここでポリエステルの原料とは、ジカルボン酸、ジオール、ヒドロキシカルボン酸、これらのエステル形成性誘導体、オリゴマー等である。オリゴマーとはジカルボン酸(そのエステル形成性誘導体)とジオール(そのエステル形成性誘導体)とをエステル交換させて得られるものである。好ましい化合物は前記のとおりである。この際に、例えば窒化ホウ素ナノチューブを溶媒中で、ビーズミル処理したり、超音波処理を施したり、強力なせん断処理を施したりすることにより窒化ホウ素ナノチューブの分散性を向上することができる。
本発明の樹脂組成物は、ポリエステルに窒化ホウ素ナノチューブを溶融混合して製造することができる。溶融混合の方法は特に制限はないが、一軸あるいは二軸押し出し機、ニーダー、ラボプラストミルなどを用いて混練することができる。
本発明の樹脂組成物は、溶媒に窒化ホウ素ナノチューブを分散させた後、ポリエステルを添加、溶解して、ポリエステル、窒化ホウ素ナノチューブおよび溶媒を含有する溶液を調製し、次いで溶媒を除去して製造することができる。溶媒は、ポリエステルを溶解することが可能な溶媒であればよい。溶媒として、フェノール、1,1’,2,2’−テトラクロロエタン、p−クロロフェノール、o−クロロフェノール、クレゾール、ヘキサフルオロイソプロパノール、クロロホルム、メチレンクロライド、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、ジメチルアセトアミドなどが挙げられるがこれらに限定されるものではなく、必要に応じて溶媒を選ぶことができる。溶解性を損なわない範囲で、メタノール、エタノール、ブタノール、アセトン、酢酸エチル、エチレングリコール、クロロベンゼン、水といった溶媒が含まれていても差し支えない。窒化ホウ素ナノチューブは、溶媒100重量部に対し、好ましくは0.0001〜10重量部の割合で添加する。ポリエステルは、溶媒100重量部に対し、好ましくは1〜50重量部の割合で添加する。
この際に、例えば窒化ホウ素ナノチューブを溶媒中でビーズミル処理したり、超音波処理を施したり、強力なせん断処理を施したりすることにより窒化ホウ素ナノチューブの分散性を向上することができる。
上記方法により製造された樹脂組成物は、さらに分散性を高めるために溶融混練処理を行ってもよい。混練方法は特に特定されないが、一軸ルーダー、ニ軸のルーダーおよびニーダーを使用して行うことができる。溶融混練処理温度は、樹脂成分が溶融する温度より5℃〜100℃高い温度であり、特に好ましくは樹脂の融点より10℃〜60℃高い温度である。高温過ぎると樹脂の分解や異常反応を生じ好ましくない。また、混練処理時間は少なくとも30秒以上15分以内、好ましくは1〜10分である。
また本発明の樹脂組成物は、その物性を損なわない範囲で各種充填剤の添加してもよい。機械的強度、耐熱性、寸法安定性、電気的性質の性能に優れた成形体を得るためには配合することが好ましい。充填剤として目的に応じて繊維状、粒子状、板状または中空状のものが用いられる。繊維状充填剤としては、ガラス繊維、アスベスト繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維、更にステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属繊維状物などの無機質繊維状物が挙げられる。特に代表的な繊維状充填剤はガラス繊維、またはカーボン繊維である。なお、ポリアミド、フッ素樹脂、アクリル樹脂などの高融点有機質繊維状物質も使用することができる。
本発明の繊維は、ポリエステル100重量部および窒化ホウ素ナノチューブ0.01〜20重量部を含有する。ポリエステルおよび窒化ホウ素ナノチューブは組成物の項で説明したとおりである。窒化ホウ素ナノチューブは、ポリエステル100重量部に対し、好ましくは0.1〜18重量部、より好ましくは0.2〜15重量部である。
本発明の繊維は、窒化ホウ素ナノチューブの90%以上が、繊維軸方向に配向していることが好ましい。窒化ホウ素ナノチューブの配向の割合はコンポジット繊維を例えば透過型電子顕微鏡(TEM)観察により、30点測定して繊維軸方向に配向している窒化ホウ素ナノチューブの割合を算出することにより求める。本発明の繊維の単繊維繊度は、好ましくは0.5〜50dtex、より好ましくは5〜50dtexである。
本発明の繊維は、ポリエステル100重量部および窒化ホウ素ナノチューブ0.01〜20重量部を含有する樹脂組成物を溶融紡糸し、次いで延伸することにより製造することができる。
溶融紡糸、延伸については特に制限はなく、ポリエステル繊維を製造する従来公知の工程で製造することができる。例えば、紡糸後、未延伸糸を巻き取り別途延伸する方法、未延伸糸をいったん巻き取ることなく連続して延伸を行う方法などが採用される。ここで、紡糸した未延伸糸を延伸する際に、トータル延伸倍率が5〜15倍の範囲内となるように設定すれば、最終的に得られる繊維の繊維強度と引張強度とをさらに高い水準にて両立させることができるとともに、延伸工程における断糸が少なくなり、生産性がさらに向上する。また延伸工程は一段延伸のみでも、二段以上の延伸段階を経てもよい。また、紡糸時に使用する口金の形状について制限はなく、円形、異形、中実、中空等のいずれも採用することができる。
本発明のフィルムは、ポリエステル100重量部および窒化ホウ素ナノチューブ0.01〜20重量部を含有する樹脂組成物からなる。ポリエステルおよび窒化ホウ素ナノチューブは樹脂組成物の項で説明したとおりである。窒化ホウ素ナノチューブは、ポリエステル100重量部に対し、好ましくは0.1〜18重量部、より好ましくは0.2〜15重量部である。
本発明のフィルムは、ポリエステル100重量部と窒化ホウ素ナノチューブ0.01〜20重量部を含有する樹脂組成物を溶融押出することにより製造することができる。窒化ホウ素ナノチューブは、ポリエステル100重量部に対し、好ましくは0.1〜18重量部、より好ましくは0.2〜15重量部である。
溶融押出した未延伸フィルムはそのまま巻き取ってもよいし、熱処理もしくは延伸を行ってもよい。延伸する場合は、トータル延伸倍率をコントロールすることで、最終的に得られるフィルムの引張強度を高くすることができるとともに、延伸工程における破断が少なくなり、生産性がさらに向上する。また延伸工程は一段延伸のみでも、二段以上の延伸段階を経てもよい。
本発明のフィルムは、溶媒に窒化ホウ素ナノチューブを分散させた後、ポリエステルを添加、溶解して、ポリエステル、窒化ホウ素ナノチューブおよび溶媒を含有する溶液を調製し、キャストした後、溶媒を除去することにより製造することができる。窒化ホウ素ナノチューブは、溶媒100重量部に対し、好ましくは0.0001〜10重量部の割合で添加する。ポリエステルは、溶媒100重量部に対し、好ましくは1〜50重量部の割合で添加する。
透過型電子顕微鏡(TEM)により50点の窒化ホウ素ナノチューブを観察し、その直径の平均をとることで窒化ホウ素ナノチューブの平均直径および平均長さを算出した。
2)固有粘度
ポリエステル材料をフェノール/1,1’,2,2’−テトラクロロエタン=60/40(重量比)溶媒に溶解し、濃度1.2g/dL、温度35℃で測定を行った。
3)熱特性
TAs Instrument製DSC2920を用いて窒素雰囲気下20℃/分で350℃まで加熱し測定を行った。また10重量%減量温度に関しては、理学電機製TG−DTA8120を用いて、昇温速度を10℃/分、ガス流量を空気100mL/分のもと30℃から800℃まで加熱して測定を行った。
4)テンシロン測定
オリエンテック製RTC1225Aを用いて初期試料長25mm(繊維)、50mm(フィルム)試験速度10mm/分で引張試験を15回行い、その平均値を用いた。
5)繊維中の窒化ホウ素ナノチューブの配向評価
コンポジット繊維の透過型電子顕微鏡(TEM)観察により、30点測定して繊維軸方向に配向している窒化ホウ素ナノチューブの割合を算出することにより求めた。
窒化ホウ素製のるつぼに、1:1のモル比でホウ素と酸化マグネシウムを入れ、るつぼを高周波誘導加熱炉で1300℃に加熱した。ホウ素と酸化マグネシウムは反応し、気体状の酸化ホウ素(B2O2)とマグネシウムの蒸気が生成した。この生成物をアルゴンガスにより反応室へ移送し、温度を1100℃に維持してアンモニアガスを導入した。酸化ホウ素とアンモニアが反応し、窒化ホウ素が生成した。1.55gの混合物を十分に加熱し、副生成物を蒸発させると、反応室の壁から310mgの白色の固体が得られた。続いて得られた白色固体を濃塩酸で洗浄、イオン交換水で中性になるまで洗浄後、60℃で減圧乾燥を行い窒化ホウ素ナノチューブ(以下、BNNTと略すことがある)を得た。得られたBNNTは、平均直径が27.6nm、平均長さが2460nmのチューブ状であった。
0.3重量部のBNNTを60重量部のエチレングリコールに添加して、超音波バスにて4時間処理を行い分散液を調製した。40重量部のビスヒドロキシエチルテレフタレートと三酸化アンチモン0.014重量部を上記分散液に加え、窒素不活性雰囲気下200℃にて反応を開始した。30分かけて250℃に昇温した後、その後系内の圧力を常圧から30mmHgへ1時間かけて減圧し、最終的に280℃、0.3mmHgへさらに10分かけて、昇温、減圧を行った。その条件で3時間反応を行い樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の融解後、20℃/分で測定したDSCの冷却曲線の結晶化ピークおよび10重量%減量温度を表1に示す。
40重量部のビスヒドロキシエチルテレフタレートに三酸化アンチモン0.014重量部を加え窒素不活性雰囲気下200℃にて反応を開始した。30分かけて250℃に昇温した後、その後系内の圧力を常圧から30mmHgへ1時間かけて減圧し、最終的に280℃、0.3mmHgへさらに10分かけて昇温、減圧を行った。その条件で3時間反応を行い、ポリエステルを得た。得られた樹脂の融解後、20℃/分で測定したDSCの冷却曲線の結晶化ピークおよび10重量%減量温度を表1に示す。
0.3重量部の多層カーボンナノチューブ(MWNT、シンセンナノテクポート社製:直径40〜60nm)を60重量部のエチレングリコールに添加して、超音波バスにて4時間処理を行い、多層カーボンナノチューブ分散液を調製した。40重量部のビスヒドロキシエチルテレフタレートと三酸化アンチモン0.014重量部を上記分散液に加え窒素不活性雰囲気下200℃にて反応を開始した。30分かけて250℃に昇温した後、その後系内の圧力を常圧から30mmHgへ1時間かけて減圧し、最終的に280℃、0.3mmHgへさらに10分かけて昇温、減圧を行った。その条件で3時間反応を行い、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の融解後、20℃/分で測定したDSCの冷却曲線の結晶化ピークおよび10重量%減量温度を表1に示す。
0.3重量部のBNNTを60重量部のエチレングリコールに添加して、超音波バスにて4時間処理を行い、分散液を調製した。37.7重量部の2,6−ビスヒドロキシエチルナフタレンジカルボキシレートと三酸化アンチモン0.011重量部を上記分散液に加え窒素不活性雰囲気下220℃にて反応を開始した。30分かけて270℃に昇温し、その後系内の圧力を常圧から30mmHgへ1時間かけて減圧し、最終的に300℃、0.3mmHgへ1時間かけて昇温、減圧を行った。この条件で1時間反応を行い樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の融解後、20℃/分で測定したDSCの冷却曲線の結晶化ピークおよび10重量%減量温度を表1に示す。
37.7重量部の2,6−ビスヒドロキシエチルナフタレンジカルボキシレートに三酸化アンチモン0.011重量部を加え窒素不活性雰囲気下220℃にて反応を開始した。30分かけて270℃に昇温し、その後系内の圧力を常圧から30mmHgへ1時間かけて減圧し、最終的に300℃、0.3mmHgへ1時間かけて昇温、減圧を行った。この条件で1時間反応を行い、ポリエステルを得た。得られた樹脂の融解後、20℃/分で測定したDSCの冷却曲線の結晶化ピークおよび10重量%減量温度を表1に示す。
0.235重量部のBNNTを200重量部のジクロロメタンに添加して、超音波バスを用いて1時間処理を行い分散液を調製した。この分散液に23.5重量部のポリ乳酸(島津製作所製 ラクティ#9000)を添加、溶解してポリ乳酸と窒化ホウ素ナノチューブからなる混合溶液を調製した。混合溶液よりジクロロメタンを除去した後、50℃1時間、70℃10分減圧乾燥することで樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の融解後、20℃/分で測定したDSCの冷却曲線の結晶化ピークを表1に示す。
0.47重量部のBNNTを200重量部のジクロロメタンに添加して、超音波バスを用いて1時間処理を行い分散液を調製した。この分散液に23.5重量部のポリ乳酸(島津製作所製 ラクティ#9000)を添加、溶解してポリ乳酸と窒化ホウ素ナノチューブからなる混合溶液を調製した。混合溶液よりジクロロメタンを除去した後、50℃1時間、70℃10分減圧乾燥することで樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の融解後、20℃/分で測定したDSCの冷却曲線の結晶化ピークを表1に示す。
0.94重量部のBNNTを200重量部のジクロロメタンに添加して、超音波バスを用いて4時間処理を行い分散液を調製した。この分散液に23.5重量部のポリ乳酸(島津製作所製 ラクティ#9000)を添加、溶解してポリ乳酸と窒化ホウ素ナノチューブからなる混合溶液を調製した。混合溶液よりジクロロメタンを除去した後、50℃1時間、70℃10分減圧乾燥することで樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の融解後、20℃/分で測定したDSCの冷却曲線の結晶化ピークを表1に示す。
23.5重量部のポリ乳酸(島津製作所製 ラクティ#9000)を200重量部のジクロロメタンに添加、溶解してポリ乳酸溶液を調製した。ポリ乳酸溶液よりジクロロメタンを除去した後、50℃1時間、70℃10分減圧乾燥することで樹脂を得た。得られた樹脂の融解後、20℃/分で測定したDSCの冷却曲線の結晶化ピークを表1に示す。
0.3重量部のBNNTを60重量部のエチレングリコールに添加して、超音波バスにて4時間処理を行い分散液を調製した。37.7重量部の2,6−ビスヒドロキシエチルナフタレンジカルボキシレートと三酸化アンチモン0.011重量部を上記分散液に加え窒素不活性雰囲気下220℃にて反応を開始した。30分かけて270℃に昇温し、その後系内の圧力を常圧から30mmHgへ1時間かけて減圧し、最終的に300℃、0.3mmHgへ1時間かけて設定し、この条件で1時間反応を行い樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物は均一な白色であった。得られた樹脂組成物の固有粘度は0.65dl/gであった。
120℃で5時間乾燥した上記で得られた樹脂組成物を、通常のエクストルーダー型モノホール紡糸機で300℃にて溶融した。1時間脱泡した後、口径0.2mmの口金から紡出し、未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を140℃で7.5倍に一段延伸し、窒化ホウ素ナノチューブ含有ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート繊維を製造した。図1に得られた繊維のTEM写真を示す。直径が100nmより大きい窒化ホウ素ナノチューブの凝集物は観察できず、窒化ホウ素ナノチューブが均一に分散していることがわかる。また、繊維軸方向に窒化ホウ素ナノチューブが高度に配向していることがわかる。得られた繊維の物性の測定結果を表2に示す。
37.7重量部の2,6−ビスヒドロキシエチルナフタレンジカルボキシレートに三酸化アンチモン0.011重量部を加え窒素不活性雰囲気下220℃にて反応を開始した。30分かけて270℃に昇温し、その後系内の圧力を常圧から30mmHgへ1時間かけて減圧し、最終的に300℃、0.3mmHgへ1時間かけて設定し、この条件で1時間反応を行い、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の固有粘度は0.64dl/gであった。
120℃で5時間乾燥した上記樹脂組成物を、通常のエクストルーダー型モノホール紡糸機で300℃にて溶融した。1時間脱泡した後、口径0.2mmの口金から紡出し、未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を140℃で7.5倍に一段延伸し、ポリエチレンテレフタレート繊維を製造した。得られた繊維の物性の測定結果を表2に示す。
0.3重量部の多層カーボンナノチューブ(MWNT、シンセンナノテクポート社製 直径40〜60nm)を60重量部のエチレングリコールに添加して、超音波バスにて4時間処理を行い、窒化ホウ素ナノチューブ分散液を調製した。37.7重量部の2,6−ビスヒドロキシエチルナフタレンジカルボキシレートと三酸化アンチモン0.011重量部を上記分散液に加え窒素不活性雰囲気下220℃にて反応を開始した。30分かけて270℃に昇温し、その後系内の圧力を常圧から30mmHgへ1時間かけて減圧し、最終的に300℃、0.3mmHgへ1時間かけて設定し、この条件で1時間反応を行い樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の固有粘度は0.65dl/gであった。
120℃で5時間乾燥した上記樹脂組成物を、通常のエクストルーダー型モノホール紡糸機で300℃にて溶融した。1時間脱泡した後、口径0.2mmの口金から紡出を試みたが、分散性が悪く安定な紡糸を実施することはできなかった。以下表2に実施例6および比較例5〜6の結果をまとめた。
0.3重量部のBNNTを60重量部のエチレングリコールに添加して、超音波バスにて4時間処理を行い分散液を調製した。40重量部のビスヒドロキシエチルテレフタレートと三酸化アンチモン0.014重量部を上記分散液に加え窒素不活性雰囲気下200℃にて反応を開始した。30分かけて250℃に昇温した後、その後系内の圧力を常圧から30mmHgへ1時間かけて減圧し、最終的に280℃、0.3mmHgへさらに10分かけて、昇温、減圧を行った。その条件で3時間反応を行い樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物は均一な白色であった。得られた樹脂組成物の固有粘度は0.68dl/gであった。
120℃で5時間乾燥した上記で得られた樹脂組成物を、通常のエクストルーダー型モノホール紡糸機で300℃にて溶融した。1時間脱泡した後、口径0.2mmの口金から紡出し、未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を140℃で5.4倍に一段延伸し、窒化ホウ素ナノチューブ含有ポリエチレンテレフタレート繊維を製造した。図2に得られた繊維のTEM写真を示す。直径が100nmより大きい窒化ホウ素ナノチューブの凝集物は観察できず、窒化ホウ素ナノチューブが均一に分散していることがわかる。また、繊維軸方向に窒化ホウ素ナノチューブが高度に配向していることがわかる。
0.235重量部のBNNTを200重量部のジクロロメタンに添加して、超音波バスを用いて1時間処理を行い分散液を調製した。この分散液に23.5重量部のポリ乳酸(島津製作所製 ラクティ#9000)を添加、溶解してポリ乳酸と窒化ホウ素ナノチューブからなる混合溶液を調製した。ドクターブレード200μを用いて、ガラス板上にキャストした後、室温でジクロロメタンを除去した。50℃1時間、70℃10分減圧乾燥することでフィルムを得た。得られたフィルムの厚みは23μm、引張強度62.7MPa、引張弾性率3.00GPaであった。
23.5重量部のポリ乳酸(島津製作所製 ラクティ#9000)を200重量部のジクロロメタンに添加、溶解してポリ乳酸溶液を調製した。ポリ乳酸溶液をドクターブレード200μmを用いて、ガラス板上にキャストした後、室温でジクロロメタンを除去した。50℃1時間、70℃10分減圧乾燥することでフィルムを得た。得られたフィルムの厚みは23μm、引張強度57.1MPa、引張弾性率2.85GPaであった。
表1および表2中、PETはポリエチレンテレフタレート、PENはポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、PLAはポリ乳酸、BNNTは窒化ホウ素ナノチューブ、MWNTは多層カーボンナノチューブを表す。
Claims (15)
- ポリエステル100重量部および窒化ホウ素ナノチューブ0.01〜100重量部を含有する樹脂組成物。
- 窒化ホウ素ナノチューブは、平均直径が0.4nm〜1μm、アスペクト比が5以上である請求項1に記載の樹脂組成物。
- ポリエステルが、ポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 示差走査熱量分析(DSC)測定において、窒素雰囲気下、融解後、降温速度20℃/分で測定したときの結晶化ピークが、窒化ホウ素ナノチューブを含まないポリエステルに比較して、高温側にシフトしている請求項1〜3いずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 示差走査熱量分析(DSC)測定において、窒素雰囲気下、融解後、降温速度20℃/分で測定したときの結晶化ピークが、窒化ホウ素ナノチューブを含まないポリエステルでは見られなかった結晶化ピークが発現する請求項1〜3いずれか一項に記載の樹脂組成物。
- ポリエステルに窒化ホウ素ナノチューブを溶融混合することからなる請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 窒化ホウ素ナノチューブの存在下で、ポリエステルの重合反応を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 溶媒に窒化ホウ素ナノチューブを分散させた後、ポリエステルを添加、溶解して、ポリエステル、窒化ホウ素ナノチューブおよび溶媒を含有する溶液を調製し、次いで溶媒を除去することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物の製造方法。
- ポリエステル100重量部および窒化ホウ素ナノチューブ0.01〜20重量部を含有する樹脂組成物からなる繊維。
- 窒化ホウ素ナノチューブの90%以上が、繊維軸方向に配向している請求項9に記載の繊維。
- 窒化ホウ素ナノチューブの90%以上が、直径200nm以下である請求項9または10記載の繊維。
- ポリエステル100重量部および窒化ホウ素ナノチューブ0.01〜20重量部を含有する樹脂組成物を溶融紡糸し、次いで延伸することを特徴とする繊維の製造方法。
- ポリエステル100重量部および窒化ホウ素ナノチューブ0.01〜20重量部を含有する樹脂組成物からなるフィルム。
- ポリエステル100重量部および窒化ホウ素ナノチューブ0.01〜20重量部を含有する樹脂組成物を溶融押出することを特徴とするフィルムの製造方法。
- 溶媒に窒化ホウ素ナノチューブを分散させた後、ポリエステルを添加、溶解して、ポリエステル、窒化ホウ素ナノチューブおよび溶媒を含有する溶液を調製し、キャストした後、溶媒を除去することを特徴とするフィルムの製造方法。
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