JP3834640B2 - 窒化ホウ素ナノチューブの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、半導体材料、エミッター材料、耐熱性充填材料、高強度材料、触媒等として有用な窒化ホウ素ナノチューブの製造方法に関し、さらに詳しくは、カーボンを介在させずに触媒反応によって窒化ホウ素ナノチューブを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
炭素原子が筒状に並んだナノメートルの大きさのチューブ状炭素物質(カーボンナノチューブ)が従来より知られており、このカーボンナノチューブはアーク放電法、レーザー加熱法、化学的気相堆積法等により合成されている。また、近年、窒化ホウ素(BN)ナノチューブも、これに準じた方法を用いて合成できることが報告され、カーボンナノチューブを鋳型として利用しホウ素酸化物と窒素を高周波誘導加熱炉中で反応させて合成する方法やホウ化ニッケル(NiB)を触媒に利用して合成する方法等も提案されている(文献1〜8)。しかしながら、これら従来の製造方法では、炭素などの不純物が混入したり、反応温度や触媒によっては少量しか合成できない等の問題点があり、実質的に、半導体特性や強度などの物理的測定ができないという課題点があった。このため、これらの問題点を克服して、炭素などの不純物を含まず、実用化に適応できるものとしてその製造が容易で、しかも比較的大量に製造可能であって、半導体特性や強度などの物理的特性の検証とこれに基づく実用的応用を可能とすることのできる、窒化ホウ素ナノチューブの新しい製造方法の提案が望まれていた。
【0003】
【文献】
1:R.Sen,et al.,Chem.Phys.Lett.287(1998)671
2:N.G.Chopra,et al.,Science 269(1995)966
3:E.J.M.Homilton,et al.,Science 260(1993)659
4:W.Han,et al.,Appl.Phys.Lett.73(1998)3805
5:D.P.Yu,et al.,Appl.Phys.Lett.72(1998)1966
6:O.R.Louvie,et al.,Chem.Mater.12(2000)1808
7:F.L.Deepak,et al.,Chem.Phys.Lett.353(2002)345
8:C.Tang,et al.,Chem.Phys.Lett.342(2001)492
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この出願の発明は、以上のとおりの従来技術の現状に鑑みなされたもので、炭素などの不純物を含まず、実用化に適用できるものとして、その製造が容易で、しかも大量合成が可能で、半導体特性や強度などの物理的特性の検証からこれら特性による実用的応用を可能とすることのできる、新しい窒化ホウ素ナノチューブの製造方法を提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するものとして、この出願の発明の窒化ホウ素ナノチューブの製造方法は、第1には、アルミナに担持されたニッケル硼化物を触媒とし、ホウ素を窒素ガスおよびアンモニアガスの少くともいずれかの反応性ガスと加熱反応させることを特徴とし、第2には、ニッケル硼化物触媒のニッケルとホウ素の構成が原子比率でニッケル対ホウ素が1:1.2であることを特徴とし、第3には、1100℃から1300℃の範囲に加熱することを特徴としている。
【0006】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態を詳細に説明する。
【0007】
この出願の発明の窒化ホウ素ナノチューブの製造方法では、アルミナ(Al2O3)に担持されたニッケル硼化物の触媒を用いるが、担体としてのアルミナの形状はナノ球形、ナノ板状形、ナノ塊状等の各種であってよく、ニッケル硼化物(NiB)はこのアルミナに担持されている。触媒としてのニッケル硼化物は各種の方法によって調製されてよく、たとえばアルミナを水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)の溶液に含浸した後に、塩化ニッケルの溶液を加えて還元反応させることにより調製することができる。
【0008】
アルミナに担持されたニッケル硼化物の触媒においては、全体に対してのニッケルの含有量には特段の制限はないが、触媒としての調製等の観点からは、約15重量%以下であることが実際的である。また、ニッケル硼化物触媒のニッケルとホウ素との原子比は1:1が基準であるが、1:0.8〜1:1.5程度の範囲であることが考慮され、特に、1:1.2の原子比であることが好ましい。
【0009】
窒化ホウ素ナノチューブの製造では、たとえば以上のようにして調製したアルミナに担持されたニッケル硼化物触媒をホウ素と混合し、窒素ガス、またはアンモニアガスの少くともいずれかを反応性ガスとして加熱反応させる。反応性ガスには、アルゴン等の不活性な希ガスが混合されていてもよい。
【0010】
加熱反応は、1100℃以上の温度、より好ましくは1100℃〜1300℃の高温条件下で行うのが望ましい。
【0011】
窒化ホウ素ナノチューブの製造方法は、たとえば以下の実施例として示される。もちろん、以下の例によって発明が限定されることはない。
【0012】
【実施例】
アルミナを基板とするニッケル硼化物の触媒は、還元と含浸の方法により調合される。たとえば、アルミナ(5g)を水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)のメタノール溶液で2時間含浸した後、窒素ガスの流下環境で室温にて乾燥し、その後、塩化ニッケル(NiCl2)のメタノール溶液(15ml、2M)を2時間かけて滴下する。そして、この溶液をはげしく攪拌しながら、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)のメタノール溶液(20ml、0.5M)を2時間かけて加え、反応を行う。還元反応が終了後、沈殿物をアンモニア水溶液で数回洗浄する。洗浄後の沈殿物を水素雰囲気中で、150℃で8時間焼成する。この結果得られる触媒は、たとえば、ニッケルとホウ素の構成が原子比率でニッケル対ホウ素が1:1.2であり、アルミナに担持されたニッケルの含有量は約12重量%である。そして、このようにして得られた触媒とホウ素を、ホウ素0.45g、触媒(NiB/Al2O3)0.13gの割合で8時間かけてボールミル機により充分に混合する。この混合物をアルミナるつぼの内に入れ、このるつぼを、加熱炉中の焼結アルミナ管の内に設置する。そして、加熱炉を1100〜1300℃の温度範囲に加熱し、窒素またはアンモニアのガスを、たとえば流速80sccmで2時間継続して導入する。反応が終了した後、加熱炉を室温まで冷却する。以上により、目的とする窒化ホウ素ナノチューブが生成される。
【0013】
この生成された窒化ホウ素ナノチューブは、図1に示したように、直径が5〜30nmで長さが数μmの、良好に結晶化され中空状の構造を有している。内側が閉じているか、蓋がされた竹状のナノチューブではないことがわかる。そして、図2aに示したように、平たい先端をした非常に特徴的な端部を有しているものがある。これは、図2aの差し込み図に示したように、ジグザグ型の窒化ホウ素の配列を示していて、窒化ホウ素ナノチューブのジグザグ分子配列がアームチェア型配列よりも安定であることを示している。また、図2bに示したように、窒化ホウ素ナノチューブの端部を閉鎖するのに136°および148°の角度をなして相互に連結しているものがある。反応温度が1400℃の場合には、図3に示したように、竹状構造の窒化ホウ素ナノチューブが生成される。このものは、構造的な欠陥を有していることがわかる。一方、反応温度が1500℃以上では、図4に示したように、直径が5マイクロメートルよりも大きいものが生成し、ナノメートルサイズの窒化ホウ素ナノチューブは生成しない。
【0014】
【発明の効果】
この出願の発明によれば、炭素などの不純物を含まず、実用化に適した中空状の構造、形態を有し、半導体特性や強度などの特徴のある物理的特性を有する窒化ホウ素ナノチューブを大量に、かつ容易に製造することができる。半導体材料、エミッター材料、耐熱性充填材料、高強度材料、触媒等の分野への応用に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】固形粒から成長している窒化ホウ素ナノチューブの低倍率のTEM画像である。
【図2】(a)平坦な先端を有する窒化ホウ素ナノチューブの高倍率のTEM画像と電子回折パターンである。
(b)平坦でない先端を有する窒化ホウ素ナノチューブと電子回折パターンである。
【図3】アンモニアガスにより1400℃で合成された、TEM画像で竹状構造の窒化ホウ素ナノチューブのTEM画像である。
【図4】アンモニアガスにより1500℃で合成された生成物のSEM画像である。
Claims (3)
- アルミナに担持されたニッケル硼化物を触媒とし、ホウ素を窒素ガスおよびアンモニアガスの少くともいずれかの反応性ガスと加熱反応させることを特徴とする窒化ホウ素ナノチューブの製造方法。
- ニッケル硼化物触媒のニッケルとホウ素の構成が原子比率でニッケル対ホウ素が1:1.2であることを特徴とする請求項1の窒化ホウ素ナノチューブの製造方法。
- 1100℃から1300℃の範囲に加熱することを特徴とする請求項1または2の窒化ホウ素ナノチューブの製造方法。
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