JP2007321071A - 樹脂複合組成物及びその製造方法 - Google Patents

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ズィ チュンイ
Tang Chengchun
タン チェンチュン
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Abstract

【課題】少量あるいは多量の添加であっても効率よく機械特性、耐熱性を向上させたポリビニルエステル系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリビニルエステル系樹脂100重量部と窒化ホウ素ナノチューブ0.01〜100重量部とからなるポリビニルエステル系樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

ポリビニルエステル系樹脂と窒化ホウ素ナノチューブとを均一に分散させたポリビニルエステル系樹脂組成物、およびその製造方法に関する。更に詳しくは、構造の規定された無機のナノチューブをフィラーとしてナノ分散させることにより、少量のフィラー添加においても、従来のポリビニルエステル系樹脂及びその組成物に比べて効率よく熱特性、機械特性及び成形加工性を向上させたポリビニルエステル系樹脂組成物に関する。
カーボンナノチューブは、従来にない機械的物性、電気的特性、熱的特性等を有するためナノテクノロジーの有力な素材として注目を浴び、広範な分野で応用の可能性が検討され、一部実用化が開始されている。
ポリマーコンポジットとしては、フィラーにカーボンナノチューブを用いてポリマーに添加することで、ポリマーの機械的物性、導電性、耐熱性等を改質する試みも行われている。
例えばポリアミドやポリビニルエステルとカーボンナノチューブからなるポリマーコンポジットに関しては、多層カーボンナノチューブとの樹脂組成物による導電性、線膨張係数(特許文献1)、遮熱性または電磁波透過性(特許文献2)の改良に関する報告例(特許文献1−6)が開示されている。また、カーボンナノチューブを共役系高分子で被覆することで、カーボンナノチューブの分散性を極めて高め、少ないカーボンナノチューブの量でマトリクス樹脂に高い導電性を付与するとの報告(特許文献7参照)がある。
また、ポリメチルメタクリレートやポリスチレンのような側鎖構造を有するポリマーとカーボンナノチューブからなるポリマーコンポジットに関して、共役系高分子で単層カーボンナノチューブを被覆することにより、わずかな単層カーボンナノチューブ添加量であっても弾性率が飛躍的に向上するとの報告(特許文献8参照)がある。
一方、カーボンナノチューブと、構造的な類似性を有する窒化ホウ素ナノチューブも、従来にない特性を有する材料として注目を浴びている(特許文献9参照)。特許文献8にはカーボンナノチューブの代わりに窒化ホウ素ナノチューブを使用してもよいとの記載があるが、飛躍的な効果を得るためには側鎖構造を有するポリマーに限定されておりそれ以外の主鎖型芳香族ポリマーでの具体的な報告はされていない。
一方ポリビニルエステル系樹脂は、ポリ酢酸ビニルに代表されるように柔軟性、透明性及び成型加工性に優れ、例えば電子部品の排熱材用のベース樹脂や、塩素含有樹脂製代替素材としてビルやマンションのフローリング、床材その他建材用途等に利用されている。しかし従来ポリビニルエステル系樹脂はその柔軟性のため耐熱性、機械特性といった物理特性の面で単独での使用には不十分であり、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムまたはそれらの混合物等の無機フィラーを添加する事で特性を改良することが広く行われている。(特許文献10、11)
しかしもともとこれらの無機充填材は実質的にサイズがμmオーダー以上のバルク状固体であり、実用的にこれらをポリビニルエステル系樹脂に高度に微細分散化して複合化することは非常に困難であり、充填材の凝集に伴って不均一性が生じ、成形性、寸法安定性が低下する他、成形品の表面外観も損なわれるばかりか、靭性が低下するという問題もある。しかも特に塩基性金属塩系の無機フィラー表面が混練時にポリビニルエステルを加水分解し、複合材料組成物の物性を低下させる恐れもある。フィラーの効果不足や変性樹脂の物性低減などの課題を解決すべく、大きな比表面積により少量でも効果の高く、真にナノレベルで分散可能なナノフィラーの探索が望まれている。
特開2004−124086号公報 特開2004−075400号公報 特開2004−143238号公報 特開2004−143239号公報 特開2004−143240号公報 特開2004−075400号公報 特開2004−002621号公報 特開2004−244490号公報 特開2000−109306号公報 特開平7−125145号公報 特開2001−214074号公報
本発明の目的は、従来のようなバルク、あるいはナノ分散困難な無機フィラーを含有するポリビニルエステル系樹脂組成物に対して、組成物の成形性や外観に影響を与えないことが必要な用途を含め少量あるいは多量の添加であっても効率よく効率よく熱特性、機械特性及び成形加工性等を向上させたポリビニルエステル系樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、窒化ホウ素ナノチューブをポリビニルエステル系樹脂に添加することにより、効率よく熱特性、機械特性及び成形加工性に優れた樹脂組成物が得られることを見出し本発明に到達した。すなわち、本発明は、
1.ポリビニルエステル系樹脂100重量部と窒化ホウ素ナノチューブ0.01〜100重量部とからなるポリビニルエステル系樹脂組成物。
2.窒化ホウ素ナノチューブの平均直径が0.4nm〜1μm、アスペクト比が5以上であることを特徴とする上記に記載のポリビニルエステル系樹脂組成物。
3.窒化ホウ素ナノチューブが共役系高分子で被覆されていることを特徴とする上記に記載のポリビニルエステル系樹脂組成物。
4.上記1〜3のいずれかに記載のポリビニルエステル系組成物からなるポリビニルエステル系樹脂成形体。
5.共役系高分子を窒化ホウ素ナノチューブに被覆した後、共役系高分子で被覆された窒化ホウ素ナノチューブをポリビニルエステル系樹脂または該樹脂溶液に混合分散させる工程を含む上記3に記載のポリビニルエステル系樹脂組成物の製造方法。
により構成される。
本発明によりポリビニルエステル系樹脂中に窒化ホウ素ナノチューブが均一にナノ分散している樹脂組成物が得られ、従来のポリビニルエステル系樹脂に対して優れた耐熱性、機械特性に加え寸法安定性および熱伝導性を付与することが期待される。本発明のポリビニルエステル系樹脂組成物は、溶液あるいは溶融状態からの押し出し、射出成型、熱プレス成形、カレンダー、ペースト加工成形等などの任意の成形方法により、フィルムやその他シート、チューブ、カップ、ボトルの如き構造体など所望の形状に成形でき、そのような成形品、積層品は、成形加工性、耐熱性、柔軟性、寸法安定性及び耐摩耗性に優れるため、産業用、民生用の各種分野に用いられ、中でも建材用途、電気・電子部材用途、自動車用途、特に床材用途として好適に使用することができる。
以下本発明を詳細に説明する。
(窒化ホウ素ナノチューブ)
本発明において、窒化ホウ素ナノチューブとは、窒化ホウ素からなるチューブ状材料であり、理想的な構造としては6角網目の面がチューブ軸に平行に管を形成し、一重管もしくは多重管になっているものである。窒化ホウ素ナノチューブの平均直径は、好ましくは0.4nm〜1μm、より好ましくは0.6〜500nm、さらにより好ましくは0.8〜200nmである。ここでいう平均直径とは、一重管の場合、その平均外径を、多重管の場合はその最外側の管の平均外径を意味する。平均長さは、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。アスペクト比は、好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上である。アスペクト比の上限は、平均長さが10μm以下であれば限定されるものではないが、上限は実質25000である。よって、窒化ホウ素ナノチューブは、平均直径が0.4nm〜1μm、アスペクト比が5以上であることが好ましい。
窒化ホウ素ナノチューブの平均直径およびアスペクト比は、電子顕微鏡による観察から求めることが出来る。例えばTEM(透過型電子顕微鏡)測定を行い、その画像から直接窒化ホウ素ナノチューブの直径および長手方向の長さを測定することが可能である。また組成物中の窒化ホウ素ナノチューブの形態は例えば繊維軸と平行に切断した繊維断面のTEM(透過型電子顕微鏡)測定により把握することが出来る。
窒化ホウ素ナノチューブは、アーク放電法、レーザー加熱法、化学的気相成長法を用いて合成できる。また、ホウ化ニッケルを触媒として使用し、ボラジンを原料として合成する方法も知られている。また、カーボンナノチューブを鋳型として利用して、酸化ホウ素と窒素を反応させて合成する方法もが提案されている。本発明に用いられる窒化ホウ素ナノチューブは、これらの方法により製造されるものに限定されない。窒化ホウ素ナノチューブは、強酸処理や化学修飾された窒化ホウ素ナノチューブも使用することができる。
窒化ホウ素ナノチューブは共役系高分子で被覆されていることが好ましい。窒化ホウ素ナノチューブを被覆する共役系高分子は、窒化ホウ素ナノチューブと相互作用が強く、マトリクス樹脂であるポリビニルエステル系樹脂との相互作用も強いものが好ましい。これらの共役系高分子としては、例えば、ポリフェニレンビニレン系高分子、ポリチオフェン系高分子、ポリフェニレン系高分子、ポリピロール系高分子、ポリアニリン系高分子、ポリアセチレン系高分子等が挙げられる。中でも、ポリフェニレンビニレン系高分子、ポリチオフェン系高分子が好ましい。
窒化ホウ素ナノチューブは、カーボンナノチューブに匹敵する優れた機械的物性、熱伝導性を有するだけでなく、化学的に安定でカーボンナノチューブよりも優れた耐酸化性を有することが知られている。また、ホウ素原子と窒素原子の間のダイポール相互作用により局所的な極性構造を有しており、極性構造を有する媒体への親和性、分散性がカーボンナノチューブより優れることが期待される。更に電子構造的に広いバンドギャップを有するため絶縁性であり、絶縁放熱材料としても期待できる他、カーボンナノチューブと異なり白色であることから着色を嫌う用途にも応用できるなど、ポリマーの特徴を活かしたコンポジット創製が可能となる。
本発明の樹脂組成物においては、ポリビニルエステル系樹脂100重量部に対して、窒化ホウ素ナノチューブが、0.01〜100重量部の範囲内で含有されるものである。本発明におけるポリビニルエステル系樹脂100重量部に対する上記窒化ホウ素ナノチューブの含有量の下限は、0.01重量部であるが、本発明においては特に、0.05重量部以上が好ましく、より好ましくは0.1重量部以上であることが好ましい。一方、ポリビニルエステル系樹脂100重量部に対する窒化ホウ素ナノチューブの含有量の上限は、上述したように100重量部以下であるが、本発明においては、80重量部以下であることが好ましく、50重量部以下であることがより好ましい。上記範囲内とすることにより、窒化ホウ素ナノチューブをポリビニルエステル系樹脂に均一に分散させることが可能となるからである。また、窒化ホウ素ナノチューブが過度に多い場合は、均一な樹脂組成物を得ることが困難となり好ましくない。本発明の樹脂組成物は、窒化ホウ素ナノチューブに由来する窒化ホウ素フレーク、触媒金属等を含む場合がある。
特にポリマー分子鎖内にカルボニル基、エステル結合等の極性構造を有するポリビニルエステル系樹脂は、ナノレベルで構造の規定された極性窒化ホウ素ナノチューブと分子レベルで静電的に相互作用することが可能である。ポリマーとナノチューブ間の特異的な相互作用の結果として得られたポリビニルエステル系樹脂組成物においては、少量のフィラー添加においても、従来のポリビニルエステル系樹脂及びその組成物に比べて効率のよい耐熱性、機械特性の改良が可能であり、バルクの無機フィラー添加ポリビニルエステルの範囲を超える高性能を発現することも期待される。
本発明で使用するポリビニルエステル系樹脂としては通常のものが用いられ、例えば酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等の低級脂肪族カルボン酸ビニルエステルからの重合体、及びその共重合体、あるいはこれらと更に少量のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、ステアリン酸ビニル、炭素数3以上のα−オレフィン等の他種モノマーが共重合した共重合体等が挙げられるが、好ましくは酢酸ビニルホモポリマー、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−メタクリル酸エステル共重合体等などが用いられ、これらの中でもビニルエステルとして酢酸ビニルを含むポリビニルエステル及びその共重合体を用いることが特に好ましい。これらポリビニルエステル系樹脂の製造にあたっては、特に製造方法の制限はなく、公知の溶液重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合等の重合方法によって得ることができる。
中でも、特にエチレン−ビニルエステルを主成分とする共重合体がもっとも好ましく、その場合該共重合体中の酢酸ビニルの含有量が10〜95重量%であることが好ましく、より好ましくは15〜90重量%、特に好ましくは20〜85重量%である。かかる樹脂組成において酢酸ビニルの含有量が10重量%未満では他の樹脂との相溶性が低下することがあり、95重量%を越えると耐水性、耐熱性が低下する傾向にある。
またその分子量(本明細書で分子量とはポリスチレン換算の数平均分子量を意味する)は2000〜1000000の範囲のものが好ましく、特に成型加工性、樹脂機械特性や溶剤との相溶性の点から4000〜250000のものを用いるのが好ましい。
(樹脂組成物の製造方法について)
本発明のポリビニルエステル系樹脂組成物の製造方法としては以下に示す方法が好ましく挙げられる。
樹脂組成物の製造方法として、ポリビニルエステル系樹脂中に窒化ホウ素ナノチューブを溶融状態にて高せん断応力下に混合、分散することによる方法、あるいはポリビニルエステル系樹脂、窒化ホウ素ナノチューブとポリビニルエステル系樹脂を溶解する溶媒からなる樹脂溶液を調整する工程と成形した後に該溶媒を除去する工程からなる方法のいずれをも用いることができる。
ここで、溶融混合による樹脂組成物の製造における混合方法としては特に制限はないが、例えば一軸あるいは二軸押し出し機、ニーダー、ラボプラストミル、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、タンブラー、ミキシングロール等で混合する方法や溶融混練しペレット化するプロセスを好ましく実施することができる。一方、溶剤を用いる場合の窒化ホウ素ナノチューブ含有樹脂溶液の製造方法としては、A)ポリビニルエステル系樹脂を溶解させることが可能な溶媒に窒化ホウ素ナノチューブを分散させた分散液を調整し、ポリビニルエステル系樹脂を添加、溶解させてポリビニルエステル系樹脂と窒化ホウ素ナノチューブからなる混合溶液を調整する方法、B)ポリビニルエステル系樹脂を溶解させることが可能な溶媒にポリビニルエステル系樹脂を溶解した樹脂溶液に窒化ホウ素ナノチューブを添加して分散させる方法、C)ポリビニルエステル系樹脂を溶解させることができる溶媒にポリビニルエステル系樹脂と窒化ホウ素ナノチューブを添加して調整する方法等が利用できる。本発明ではいずれかの方法を単独で用いるか、あるいはいずれかの方法を組み合わせてもよい。中でも、A)の窒化ホウ素ナノチューブ分散液にポリビニルエステル系樹脂を添加、溶解させる方法が好ましい。
この際に例えば窒化ホウ素ナノチューブを溶媒中でビーズミル処理することや超音波処理を施す、強力なせん断処理を施すことにより窒化ホウ素ナノチューブの分散性を向上することができる。中でも、超音波処理を施す方法が好ましい。本発明においても窒化ホウ素ナノチューブ分散液にポリビニルエステルを添加して、超音波処理等を施すことにより、窒化ホウ素ナノチューブの分散性が飛躍的に向上することを見出した。
本発明においてポリビニルエステル系樹脂を溶解させることが可能な溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のカルボン酸エステル類;エタノール、プロパノール及びブタノール等のアルコール類;ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素類;あるいはクロロホルム、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン及びブロムクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジオキソランなどが挙げられるがこれらに限定されるものではなく必要に応じて溶媒を選ぶことができる。
溶解性を損なわない範囲で、エーテル、シクロヘキサン、クロロベンゼン、石油エーテル、水といった溶媒が含まれていても差し支えない。
また、共役系高分子で被覆した窒化ホウ素ナノチューブを使用する場合は、共役系高分子を窒化ホウ素ナノチューブに被覆した後、共役系高分子で被覆された窒化ホウ素ナノチューブを上記のようにポリビニルエステル系樹脂または該樹脂溶液に混合分散させることにより本発明の樹脂組成物を製造することができる。
窒化ホウ素ナノチューブを共役高分子で被覆する方法として特に限定はされないが、1)窒化ホウ素ナノチューブを溶融している共役高分子に添加して混合する無溶媒で行う方法2)窒化ホウ素ナノチューブと共役高分子を、共役高分子を溶解する溶媒中で分散混合する方法等が挙げられる。2)の方法においては窒化ホウ素ナノチューブを分散させる方法として超音波や各種攪拌方法を用いることができる。攪拌方法としては、ホモジナイザーのような高速攪拌やアトライター、ボールミル等の攪拌方法も使用することができる。
更に、本発明のポリビニルエステル系樹脂組成物には、種々の目的に応じてカーボンナノチューブ、カーボンブラック、炭素繊維等の炭素系フィラーを混合してもよい。更には顔料や染料、充填剤、熱安定剤、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、パラフィン、高級脂肪酸アミド系、金属セッケン等の滑剤、エポキシ化安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、金属不活性化剤、光安定剤、シランカップリング剤、表面処理剤、難燃剤、発泡剤、離型剤、加工助剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、気泡防止剤、着色剤、防曇剤、抗菌剤、ホウ酸及び帯電防止剤等の添加剤を添加しても差し支えない。
(ポリビニルエステル系樹脂成形体)
本発明のポリビニルエステル系樹脂組成物とは、このようなポリビニルエステル系樹脂と窒化ホウ素ナノチューブとを複合した後、任意の成型を行う前の塊状やペレット状などのいわゆる成型前ポリマーを意味する。このようなポリビニルエステル系樹脂組成物は、調整した後に更に湿式、乾-湿式、あるいは乾式工程を経てフィルム状に成型したり、もしくは溶融成形を経てフィルム状に成形することができる。
成形方法としては例えば、前述の窒化ホウ素ナノチューブ含有樹脂溶液を成形したのち、溶媒を除去する方法が挙げられる。例えばフィルムやシートの場合、ガラス、金属といった基板上にキャストして成形したのち、乾式成型あるいは湿式成型、乾式成型と湿式成型の併用によりフィルム製膜やシート成型が可能である他、更にチューブ、カップ、ボトルの如き構造体を作製することが可能である。また該組成物と上述の添加剤とを均一に溶融混合、成型する際には、カレンダー成形、押出成形法、射出成形法、圧縮成形法、等任意の成形法が採用できる。このうち押出成形法としてはT−ダイ法、中空成形法、パイプ押出法、線状押出法、異型ダイ押出法、インフレーション法、メルトスパン法等が挙げられる。成膜法により任意の形状に加工することも可能である。これらの成型工程において、流動配向、せん断配向、又は延伸配向させる事によりポリビニルエステル系樹脂および窒化ホウ素ナノチューブの配向を高め機械特性を向上させる事ができる。更にフィルムまたはシートの場合は、一般的に行われる延伸加工、例えば、一軸延伸、ゾーン延伸、フラット逐次延伸、フラット同時二軸延伸、チューブラー同時延伸を施すことで更に樹脂および窒化ホウ素ナノチューブの配向を高め機械特性を改良することも好ましく実施できる。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。また使用したポリビニルエステルは三井・デュポンケミカル(株)製のエチレン−酢酸ビニル共重合体(エバフレックスEV40LX、酢酸ビニル共重合率41重量%、数平均分子量31,000)である。
(1)引張強度測定
引張強度は、50mm×10mmのサンプルを用い、引張り速度5mm/分で行いオリエンテックUCT−1Tによって測定した。
(2)ガラス転移温度
ガラス転移温度は、TAインストルメント製TA2920を用いて窒素雰囲気下、−50〜200℃の範囲で昇温速度10℃/分にて測定し、セカンドスキャンのピーク値よりガラス転移温度を計算した。
(3)ポリマー重量減少温度
ポリマー重量減少温度は、Rigaku製TG 8120を用いて空気中、30〜800℃の範囲で昇温速度10℃/分にて測定し、5%重量減少時のピーク値より算出した。
[参考例1 窒化ホウ素ナノチューブの製造]
窒化ホウ素製のるつぼに、1:1のモル比でホウ素と酸化マグネシウムを入れ、るつぼを高周波誘導加熱炉で1300℃に加熱した。ホウ素と酸化マグネシウムは反応し、気体状の酸化ホウ素(B)とマグネシウムの蒸気が生成した。この生成物をアルゴンガスにより反応室へ移送し、温度を1100℃に維持してアンモニアガスを導入した。酸化ホウ素とアンモニアが反応し、窒化ホウ素が生成した。1.55gの混合物を十分に加熱し、副生成物を蒸発させると、反応室の壁から310mgの白色の固体が得られた。続いて得られた白色固体を濃塩酸で洗浄、イオン交換水で中性になるまで洗浄後、60℃で減圧乾燥を行い窒化ホウ素ナノチューブ(以下、BNNTと略すことがある)を得た。得られたBNNTは、平均直径が27.6nm、平均長さが2460nmのチューブ状であった。
[実施例1]
参考例1で得られた0.30重量部の窒化ホウ素ナノチューブを100重量部のテトラヒドロフランに添加して、超音波バスにて4時間処理を行い、窒化ホウ素ナノチューブ分散液を調整した。上記窒化ホウ素ナノチューブ分散液にエチレン−酢酸ビニル共重合体0.30重量部を添加して超音波バスにて30分処理を行ったところ、飛躍的に窒化ホウ素ナノチューブの分散性が向上した。続いてエチレン−酢酸ビニル共重合体14.70重量部を続けて添加して40℃でエチレン−酢酸ビニル共重合体が溶解するまで攪拌した。得られた窒化ホウ素ナノチューブ含有エチレン−酢酸ビニル共重合体溶液をガラス基板上に200μmのドクターブレードを使用してキャストした後、50℃で1時間、80℃で1時間乾燥させた。続いて、乾燥したフィルムをイオン交換水中に投入しフィルムをガラス基板上より剥離し、1時間洗浄を行った。得られたフィルムを金枠に固定して30mmHgにて80℃で1時間、100℃で1時間減圧乾燥を実施した。フィルムの厚みは39μm、ガラス転移温度は−23.5℃、引張強度は5.50MPaであった。また、5%ポリマー重量減少温度は342.0℃であった。
[実施例2]
(共役系高分子で被覆した窒化ホウ素ナノチューブの作製)
参考例1で得られた0.1重量部の窒化ホウ素ナノチューブを100重量部のジクロロメタンに添加して超音波バスにて2時間処理を行い、窒化ホウ素ナノチューブ分散液を調整した。続いて0.1重量部のアルドリッチ製ポリ(m−フェニレンビニレン−co−2,5−ジオクトキシ−p−フェニレンビニレン)を添加して超音波処理を1時間実施した。得られた分散液をミリポア製オムニポアメンブレンフィルター0.1μでろ過し、大量のジクロロメタンで洗浄後、60℃減圧乾燥を2時間行うことで黄色の共役高分子で被覆された窒化ホウ素ナノチューブを得た。窒化ホウ素ナノチューブ上に被覆された共役系高分子の量は窒化ホウ素ナノチューブに対して4.2重量%であった。
(窒化ホウ素ナノチューブ含有ポリビニルエステル系樹脂の作製)
上記で作製した共役系高分子で被覆された窒化ホウ素ナノチューブ0.30重量部を、100重量部のテトラヒドロフランに添加して、超音波バスにて2時間処理を行い、窒化ホウ素ナノチューブ分散液を調整した。続いて15重量部のエチレン−酢酸ビニル共重合体を添加して室温で樹脂が溶解するまで攪拌した。得られた窒化ホウ素ナノチューブ含有エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂溶液をガラス基板上に200μmのドクターブレードを使用してキャストした後、80℃で1時間、130℃で1時間乾燥させた。続いて、乾燥したフィルムをイオン交換水中に投入しフィルムをガラス基板上より剥離し、1時間洗浄を行った。得られたフィルムを金枠に固定して30mmHgにて80℃で1時間、100℃で1時間にて減圧乾燥を実施した。フィルムの厚みは35μm、ガラス転移温度は−22.8℃、引張強度は5.56Mpaであった。また、5%ポリマー重量減少温度は343.5℃であった。
[比較例1]
窒化ホウ素ナノチューブを含有しない以外は、実施例1と同様にエチレン−酢酸ビニル共重合体のフィルムを作製した。フィルムの厚みは34μm、ガラス転移温度は−26.5℃、引張強度は4.72MPaであった。また、5%ポリマー重量減少温度は335.7℃であった。
以上の結果より本発明の窒化ホウ素ナノチューブを含有するポリビニルエステル系樹脂組成物は、窒化ホウ素ナノチューブを含有しないポリビニルエステル系樹脂に比べて優れた耐熱性、および引張り強度を有することがわかる。

Claims (5)

  1. ポリビニルエステル系樹脂100重量部と窒化ホウ素ナノチューブ0.01〜100重量部とからなるポリビニルエステル系樹脂組成物。
  2. 窒化ホウ素ナノチューブの平均直径が0.4nm〜1μm、アスペクト比が5以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリビニルエステル系樹脂組成物。
  3. 窒化ホウ素ナノチューブが共役系高分子で被覆されていることを特徴とする請求項1または2に記載のポリビニルエステル系樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリビニルエステル系組成物からなるポリビニルエステル系樹脂成形体。
  5. 共役系高分子を窒化ホウ素ナノチューブに被覆した後、共役系高分子で被覆された窒化ホウ素ナノチューブをポリビニルエステル系樹脂または該樹脂溶液に混合分散させる工程を含む請求項3記載のポリビニルエステル系樹脂組成物の製造方法。
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