JP2005008495A - 窒化ホウ素ナノチューブの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】不活性ガスを下から上向きに、アンモニアガスを上から下向きにそれぞれ反応室内に導入しながら、等モルのホウ素と酸化マグネシウムの混合物を1500℃に加熱する。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、窒化ホウ素ナノチューブの製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、半導体材料、エミッター材料、耐熱性充填材料、高強度材料、触媒等として有用であると期待されている窒化ホウ素のナノチューブの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
炭素原子が筒状に並んだナノメートルの大きさのチューブ状炭素物質、カーボンナノチューブは従来から知られている。カーボンナノチューブは、アーク放電法、レーザー加熱法、化学的気相堆積法等により合成されている。
【0003】
近年、窒化ホウ素ナノチューブもまた、カーボンナノチューブと同様な方法により合成可能なことが知られている。この窒化ホウ素ナノチューブについては、ホウ化ニッケル(NiB)を触媒に使用し、ボラジンを前駆物質として窒化ホウ素を合成する方法やカーボンナノチューブを鋳型として利用し、ホウ素酸化物と窒素を高周波誘導加熱炉中で反応させて合成する方法等がこれまでに提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
窒化ホウ素は、半導体材料、エミッター材料、耐熱性充填材料、高強度材料、触媒等の分野において、従来にない特性を有する材料として利用されることが期待されている。
【0005】
しかしながら、上述の製造方法では、窒化ホウ素ナノチューブの収率が悪く、少量しか合成することができず、また、炭素等の不純物が混入するため、半導体特性や強度等の物理的性質の測定を十分に行うことができないという問題があった。
【0006】
そこで、この出願の発明の発明者らは、ホウ素、酸化マグネシウム、アンモニアを高温で反応させることにより、窒化ホウ素ナノチューブを大量に合成することのできる製造方法を見出し、提案している(たとえば、特許文献1参照)。
【0007】
この出願の発明は、先に提案した窒化ホウ素ナノチューブの製造方法をさらに発展させ、炭素等の不純物を含まない高純度の窒化ホウ素ナノチューブをより大量に製造することのできる窒化ホウ素ナノチューブの製造方法を提供することを解決すべき課題としている。
【0008】
【特許文献1】
特願2002−330041号(未公開)
【0009】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、不活性ガスを下から上向きに、アンモニアガスを上から下向きにそれぞれ反応室内に導入しながら、等モルのホウ素と酸化マグネシウムの混合物を1500℃に加熱することを特徴とする窒化ホウ素ナノチューブの製造方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
この出願の発明の窒化ホウ素ナノチューブの製造方法では、アルゴンガス等の不活性ガスを下から上向きに、アンモニアガスを上から下向きにそれぞれ反応室内に導入しながら、等モル、すなわち1:1のモル比のホウ素と酸化マグネシウムの混合物を1500℃に加熱する。この温度においてホウ素と酸化マグネシウムは反応し、酸化ホウ素(B2O2)と金属マグネシウムの蒸気が生成する。生成した酸化ホウ素の蒸気は、下から上向きに反応室内へ導入される不活性ガスにより反応室内へ移送される。反応室へはアンモニアガスが上から下向きに導入されるため、反応室内において、酸化ホウ素とアンモニアが反応して白色の窒化ホウ素ナノチューブが高純度、高収率で得られる。
【0011】
以下実施例を示し、この出願の発明の窒化ホウ素ナノチューブの製造法についてさらに詳しく説明する。
【0012】
【実施例】
[実施例1]
図1に示したように、窒化ホウ素製のるつぼ内に、ボールミルで6時間かけて粉砕して十分に微粉化したホウ素1.08gと酸化マグネシウム4.02gの混合物(1)を入れ、この混合物(1)の入ったるつぼを高周波誘導加熱炉(2)中の窒化ホウ素製のボート(3)に取り付けた。高周波誘導加熱炉(2)の下方からアルゴンガスを400sccmの流速で反応室(4)内へ導入し、高周波誘導加熱炉(2)の上方からアンモニアガスを80sccmの流速で反応室(4)内へ導入しながら、混合物(1)及び反応室(4)の温度を1500℃に維持した。この温度で15分間反応させた後、高周波誘導加熱炉(2)を室温に冷却した。反応室(4)の壁から1.5gの白色固体が得られた。出発原料のホウ素を基準として窒化ホウ素への転換率はおよそ60%であった。また、生成率は100mg/minであった。
【0013】
生成した窒化ホウ素の結晶構造は、X線回折のパターンから六方晶系と菱面体晶系の混合相であった。また、原料や反応途中の中間生成物などの結晶形態を示すピークはなく、高純度品であることが確認された。
【0014】
図2は、生成した窒化ホウ素を走査型電子顕微鏡により観察した像の写真である。生成した窒化ホウ素は直線状の形態を有している。
【0015】
図3は、透過型電子顕微鏡により観察した像の写真である。図3から確認されるように、生成した窒化ホウ素は、60ナノメートルよりも大きな直径を有するナノチューブも若干含まれているが、大部分はよく結晶化された30ナノメートルより小さい直径を有するナノチューブであった。
[比較例1]
図4に示したように、窒化ホウ素製のるつぼ内に、ボールミルで6時間かけて粉砕し十分に微粉化したホウ素0.33gと酸化マグネシウム1.22gの混合物(1)を入れ、この混合物(1)の入ったるつぼを高周波誘導加熱炉(2)中の窒化ホウ素製のボート(3)に取り付けた。高周波誘導加熱炉(2)の上方からアルゴンガスを200sccmの流速で反応室(4)の下部に導入する一方、高周波誘導加熱炉(2)の下方からアンモニアガスを100sccmの流速で反応室(4)の中程に導入しながら、混合物(1)を1300℃に加熱した。反応室(4)の温度は、1100℃に保った。この温度で2時間反応させた後、加熱炉を室温に冷却した。反応室(4)の壁に310mgの白色固体が堆積した。出発物質のホウ素から窒化ホウ素の転換率はおよそ40%であった。窒化ホウ素の生成率は2.5mg/minであった。
【0016】
図5は、生成した窒化ホウ素の走査型電子顕微鏡像の写真である。ナノチューブが曲線状で互いに絡み合っているのが確認される。
【0017】
図6は、透過型電子顕微鏡により観察した像の写真である。大部分のナノチューブの直径は60ナノメートルよりも大きく、平均で50ナノメートルであった。
【0018】
実施例1と比較例1の比較により、この出願の発明の窒化ホウ素ナノチューブの製造方法により、窒化ホウ素ナノチューブの収率がより高くなることが確認される。
【0019】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、半導体材料、エミッター材料、耐熱性充填材料、高強度材料、触媒等の分野において、従来にない特性を有する新材料として利用されることが期待されている窒化ホウ素のナノチューブが、より大量に製造される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で用いた窒化ホウ素ナノチューブを製造する反応装置を概略的に示した図である。
【図2】実施例1で得られた窒化ホウ素ナノチューブの走査型電子顕微鏡像の写真である。
【図3】実施例1で得られた窒化ホウ素ナノチューブの透過型電子顕微鏡像の写真である。
【図4】比較例1で用いた窒化ホウ素ナノチューブを製造する反応装置を概略的に示した図である。
【図5】比較例1で得られた窒化ホウ素ナノチューブの走査型電子顕微鏡像の写真である。
【図6】比較例1で得られた窒化ホウ素ナノチューブの透過型電子顕微鏡像の写真である。
【符号の説明】
1 混合物
2 高周波誘導加熱炉
3 ボート
4 反応室
Claims (1)
- 不活性ガスを下から上向きに、アンモニアガスを上から下向きにそれぞれ反応室内に導入しながら、等モルのホウ素と酸化マグネシウムの混合物を1500℃に加熱することを特徴とする窒化ホウ素ナノチューブの製造方法。
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2003
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