JP4356313B2 - 金属化合物微粉末の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱プラズマを用いることにより、各種金属のホウ化物の微粉末、あるいは金属ホウ化物の微粉末と窒化物その他の化合物の微粉末との混合微粉末を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
微粉末の製造方法の一つとしてプラズマ反応を用いる方法があり、金属ホウ化物の微粉末又は金属ホウ化物を含む微粉末についても、不活性ガスの熱プラズマを用いて合成する方法が知られている。この熱プラズマ法によれば、原料粉末は熱プラズマ中で原子レベルまで一旦分解され、金属ホウ化物の核が形成され、この核が成長して微粉末が合成されるものと考えられる。
【0003】
従来、熱プラズマによる金属ホウ化物など微粉末の合成には、原料として市販されている通常の金属ホウ化物粉末が用いられていた。しかしながら、かかる方法では、原料の金属ホウ化物と同等の化合物組成の微粉末を得ることは容易ではなく、原料とは異なる化合物組成の金属ホウ化物微粉末が形成されてしまうという問題があった。特に、各種化学量論組成を有する金属ホウ化物の微粉末を合成する場合、その化合物組成及び粉末特性を制御することは極めて困難であった。
【0004】
また、通常の金属ホウ化物粉末を原料として用いる従来の熱プラズマ法では、金属のホウ化物微粉末と、他の化合物、例えば窒化物、酸化物、炭化物などの微粉末との混合微粉末を合成する場合においても、上記の組成制御の問題に加えて、各化合物の微粉末の混合比を制御することが極めて困難であった。
【0005】
熱プラズマを用いて金属ホウ化物微粉末を製造する改良方法として、水素又は水素と不活性ガスとの混合ガス雰囲気中で発生した熱プラズマにより、金属のホウ化物あるいは金属とホウ素との混合物を加熱溶融することにより、金属ホウ化物を蒸発凝縮させる方法が、特公平6−39326号公報に開示されている。しかし、この方法は、可燃性の極めて強い気体で爆発の危険がある水素を用いる必要があるため、その取り扱いに注意を要するという問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特公平6−39326号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来の事情に鑑み、熱プラズマを用いて、可燃性が極めて強く爆発の危険がある水素ガスを使用せずに、得られる微粉末の化合物組成の制御並びに各化合物の混合比の制御が容易であり、更には結晶性や粒度分布などの粉末特性を制御することも可能な、金属ホウ化物の微粉末又は金属ホウ化物と他の化合物の混合微粉末を製造する方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明が提供する金属化合物微粉末の製造方法は、熱プラズマによる金属化合物微粉末の製造方法であって、La、Ce、Gd、Tb、Dy、Ho、Y、Sm、Eu、Er、Tm、Yb、Luから選ばれた少なくとも1種の金属のホウ化物粉末と、ホウ素粉末とを、不活性ガス雰囲気中で発生させた熱プラズマ中に、不活性ガスのキャリアガスによって供給することにより、1次粒子の平均粒径が800nm以下である金属ホウ化物微粉末を得ることを特徴とする。
【0011】
上記本発明の金属化合物微粉末の製造方法においては、前記不活性ガス雰囲気として、アルゴンガス、アルゴンと窒素の混合ガス、若しくはアルゴンとヘリウムの混合ガスを用いることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明方法においては、熱プラズマにより金属ホウ化物を含む金属化合物の微粉末を合成するための原料として、金属粉末とホウ素粉末の混合物、金属ホウ化物粉末とホウ素粉末の混合物、若しくは金属粉末と金属ホウ化物粉末とホウ素粉末の混合物のいずれかを用いる。これらの金属粉末、金属ホウ化物粉末、及びホウ素粉末は、いずれも通常のミクロンオーダーの粉末を用いることができる。具体的には、原料粉末はフィーダーにより安定的に供給することが可能な1〜100μm程度の粒度範囲のものが使用可能であるが、特に2〜30μmの範囲の粉末が好ましい。
【0013】
これらの原料粉末は、キャリア用の不活性ガスによって、少量ずつ連続的に不活性ガスの熱プラズマ中に供給される。熱プラズマ中に供給された原料粉末は、熱プラズマ中央部の超高温部(10000〜20000℃程度)で加熱されて原子レベルまで分解され、次に熱プラズマ中において金属ホウ化物等の金属化合物の核が形成され、その核がプラズマの流れと共に移動しながら核成長して金属ホウ化物を含む金属化合物の微粉末が合成される。
【0014】
上記熱プラズマ用の不活性ガスとしては、アルゴンガス、アルゴンとヘリウムの混合ガス、若しくはアルゴンと窒素の混合ガスを用いることが好ましい。また、熱プラズマは、直流(DC)放電又は高周波(RF)放電により形成されるプラズマ、又はその両者を用いたハイブリッドプラズマなどを用いることができる。これらの中でも、熱プラズマ中に多くの原料粉末を供給でき、金属ホウ化物を含む金属化合物の微粉末を制御性良く且つ生産性良く合成することが可能な、高周波放電により形成されるプラズマ又はハイブリッドプラズマの使用が望ましい。
【0015】
また、上記した原料粉末を熱プラズマ中に供給する際に、熱プラズマ形成用の不活性ガスと共に、窒素ガス、酸素ガス、有機炭素系ガスなどの反応性ガスを供給すれば、金属ホウ化物の微粉末と、その金属の窒化物、酸化物、炭化物などの金属ホウ化物以外の化合物の微粉末との混合微粉末を製造することができる。尚、有機炭素系ガスとしては、メタン(CH4)、アセチレン(C2H2)などを用いることができる。
【0016】
本発明方法により得られる金属ホウ化物の微粉末、あるいは金属ホウ化物微粉末と窒化物、炭化物、酸化物などの金属ホウ化物以外の化合物の微粉末との混合微粉末は、直径がナノオーダー、即ち1μm以下の微粉末である。この微粉末の粒径は合成条件や目的とする化合物などによって変化し、好ましくは1次粒子の平均粒径が800nm以下、更に好ましくは100nm以下の平均粒径の微粉末を得ることができる。
【0017】
本発明方法により、金属ホウ化物の微粉末、若しくは金属ホウ化物と窒化物、炭化物、酸化物の混合微粉末を合成することができる金属としては、La、Ce、Gd、Tb、Dy、Ho、Y、Sm、Eu、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Ca、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Al、Siなどを挙げることができる。ただし、上記金属の中には、窒化物、炭化物、又は酸化物を形成しないものも含まれている。
【0018】
また、ある特定金属のホウ化物の微粉末、又は特定金属のホウ化物微粉末と窒化物、炭化物、酸化物などの微粉末との混合微粉末を合成するのみならず、熱プラズマ中に供給する原料粉末中に上記の2種以上の金属を混在させることによって、それら2種以上の金属の混合したホウ化物の微粉末、あるいはそれら2種以上の金属のホウ化物の微粉末と窒化物、炭化物、酸化物などの微粉末との混合微粉末を合成することも可能である。
【0019】
従って、本発明方法の原料粉末である金属粉末及び金属ホウ化物微粉末においては、その金属元素として、La、Ce、Gd、Tb、Dy、Ho、Y、Sm、Eu、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Ca、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Al、Siから選ばれた少なくとも1種が好ましい。
【0020】
上記本発明方法においては、原料粉末中の金属粉末、ホウ素粉末、金属ホウ化物粉末の混合比及びその供給量などを調整することによって、得られる金属ホウ化物の微粉末及び金属ホウ化物以外の化合物の微粉末の化合物組成、特に化学量論組成を制御することができ、また結晶性や粒度分布などの粉末特性についても制御が可能である。
【0021】
例えば、金属ホウ化物の微粉末を製造する場合、原料粉末中における金属粉末、金属ホウ化物粉末、ホウ素粉末の割合を変化させることにより、得られる金属ホウ化物の組成を制御することができる。更に具体的には、例えばモリブデン(Mo)のホウ化物微粉末を合成する場合、原料粉末中のホウ素の混合比を増加させるに伴って、金属モリブデン微粉末の合成割合が減少し、モリブデンホウ化物(MoB)の合成割合が増加する。更にホウ素の混合比を増加させると、モリブデンホウ化物のうちMoBの合成割合が減少し、MoB2の合成割合が増加する。
【0022】
原料粉末として金属粉末とホウ素粉末を用いる場合だけでなく、金属ホウ化物粉末とホウ素粉末を用いる場合、あるいは金属粉末と金属ホウ化物粉末とホウ素粉末を用いる場合にも、上記と同様の手法によって、得られる金属ホウ化物微粉末の化合物組成や粉末特性を制御することができる。尚、本発明方法による上記化合物組成や粉末特性の制御は、水素ガスを用いることなく、不活性ガスの熱プラズマを用いて行うことが可能である。
【0023】
また、熱プラズマ用の不活性ガスと共に、窒素ガス、酸素ガス、有機炭素系ガスなどの反応性ガスを併用することにより、金属ホウ化物微粉末と金属ホウ化物以外の化合物の微粉末との混合微粉末を製造する場合においても、原料粉末の混合比及びその供給量、更にはプラズマ用ガス中の不活性ガスと反応性ガスの流量比などを調整することによって、各化合物組成の制御や粉末特性の制御と共に、混合微粉末中における金属ホウ化物と窒化物、酸化物、炭化物などの各化合物の混合比を簡単に制御することができる。
【0024】
例えば、チタン金属粉末とホウ素粉末を原料とした場合に、熱プラズマ中に供給するアルゴンガスなどの不活性ガス中に反応性ガスとして窒素ガスを混合することによって、TiB2などのチタンのホウ化物微粉末と共に、Ti2N及びTiNなどの窒化物の微粉末が同時に合成される。その際、アルゴンガス中に混合する窒素ガスの流量比を増加させ又は減少させることによって、ホウ化物微粉末に対する窒化物微粉末の比率を増加させ又は減少させることができる。
【0025】
次に、本発明方法を実施するための製造装置の一具体例を、図1に基づいて説明する。図1において、反応容器6の上部外壁には、熱プラズマ発生用の高周波コイル2が巻き付けてある。尚、高周波コイル2を巻きつける上部外壁は石英ガラスなどで構成された円筒形の2重管となっており、その隙間に冷却水を流して熱プラズマによる石英ガラスの溶融を防止している。
【0026】
また、反応容器6の上部には、原料粉末供給ノズル5と共に、不活性ガス供給ノズル3及び反応性ガス供給ノズル4が設けてある。原料粉末フィーダーからキャリアガスによって送られてきた粉末原料は、原料粉末供給ノズル5を通して熱プラズマ1中に供給される。尚、原料粉末供給ノズル5は、必ずしも図1のように熱プラズマ1の上部に設置する必要はなく、熱プラズマ1の横方向にノズルを設置することもできる。
【0027】
反応容器6は、プラズマ反応部の圧力の保持や、製造された微粉末の分散を抑制する役割を果たす。また、反応容器6の下部には、吸引管7が接続してあり、その吸引管7の途中には合成された微粉末を捕集するためのフィルター8が設置してある。反応容器6内の圧力は、フィルター8の下流側に設置されているポンプの吸引能力によって調整する。
【0028】
【実施例】
実施例1
図1の装置を用い、ホウ化ランタン(LaB6)粉末とホウ素(B)粉末とを所定の割合で混合し、乾燥させた混合粉末を原料粉末として、反応容器内に発生させたArガス又はAr−He混合ガスの熱プラズマ中にキャリアガスで連続的に供給することにより、ホウ化ランタンの微粉末を製造した。また、反応性ガスとしてN2ガスをArガスに混入し、ホウ化ランタンと窒化ランタンの混合微粉末の製造も行った。
【0029】
即ち、反応容器内を真空ポンプで排気した後、Arガスを導入して大気圧とした。この排気とArガス導入を3回繰り返して、反応容器内の残留空気を排気した。その後、反応容器内にプラズマガスとしてArガスあるいはAr−He混合ガスを13リットル/分の流量で導入し、高周波コイルに交流電圧をかけて、高周波電磁場(周波数4Hz)により高周波プラズマを発生させた。この時のプレート電力は、Arガスの場合は20kW、Ar−He混合ガスの場合は22kWとした。原料粉末を供給するキャリアガスは、1.0リットル/分の流速のArガスを用いた。また、N2ガスを熱プラズマ用のArガスに混入する場合、N2ガスの流量は2又は4リットル/分とした。
【0030】
得られた微粉末をフィルターで回収し、CuKα線を用いた粉末X線回折装置(MacScience製、MXP3TA)により同定した。また、微粉末の粒子形状の観察、及び粒径分布の測定は、透過型電子顕微鏡(日本電子製、JEM−2010)を用いて行った。
【0031】
LaB6粉末とB粉末からなる混合原料粉末中のホウ素のモル混合比、即ちB/(LaB6+B)と、得られた微粉末の相との関係をXRDで調べた。その結果、Arガスプラズマ、Ar−He混合ガスプラズマ及びAr−N2混合ガスプラズマのいずれの場合においても、上記のモル混合比B/(LaB6+B)が0.85〜0.87の範囲で、LaB6が最も効率的に合成されることが分った。
【0032】
例えば、上記のモル混合比B/(LaB6+B)が0.85〜0.87の範囲である上記混合原料粉末を用い、Arガスプラズマ中で合成された微粉末は、図2に示すX線回折パターンを有し、LaB6の単一相であることが確認された。尚、Ar−He混合ガスプラズマ及びAr−N2混合ガスプラズマの場合も、同様にLaB6の単一相であることが分った。また、上記B/(LaB6+B)が0.9を超えると、Arガスプラズマ及びAr−He混合ガスプラズマ中で合成した場合はLaB6の他にB微粉末が、またAr−N2混合ガスプラズマ中で合成した場合はLaB6の他に窒化ホウ素(BN)微粉末が得られた。
【0033】
また、上記のごとく合成し回収した微粉末をTEM観察した結果、全て微細なナノ粒子であることが分った。例えば、混合原料粉末中のホウ素のモル混合比B/(LaB6+B)が0.86のとき、Arガスプラズマ中で合成されたLaB6微粉末のTEM写真を図3に、Ar−He混合ガスプラズマでのLaB6微粉末のTEM写真を図4に、及びAr−N2混合ガスプラズマでのLaB6微粉末のTEM写真を図5に示した。また、図3のTEM写真から、510個の粒子を測定して求めたLaB6微粉末の個数平均粒径は9.82nmであり、その幾何標準偏差は1.37であった。図4及び図5のTEM写真からも、図3と同様のナノサイズのLaB6微粉末が形成されていることが分った。
【0034】
参考例1
図1の装置を用い、実施例1と同様にして、ニオブ(Nb)粉末とホウ素(B)粉末の混合粉末を原料粉末として、ニオブのホウ化物(NbB、NbB2)の微粉末を合成した。反応容器に供給する熱プラズマ用の不活性ガスは、20リットル/分の流量のArガスを用いた。
【0035】
その結果、Nb粉末とB粉末の混合原料粉末中におけるホウ素のモル混合比B/(Nb+B)が0の場合にはNb微粉末のみが合成されるが、モル混合比が0.5を超えるとNbB微粉末とNbB2微粉末の混合微粉末が合成され始めた。更に、上記モル混合比が0.65付近でNbB微粉末が、及び0.9付近でNbB2微粉末がそれぞれ最も高い比率で合成された。
【0036】
上記ArガスにN2ガスを4リットル/分混合し、上記と同じ混合原料粉末を用いて、Ar−N2混合ガスプラズマ中で微粉末を合成したところ、混合原料粉末中のホウ素のモル混合比B/(Nb+B)が0.3〜0.9の広い範囲で、NbB微粉末とNbB2微粉末と共に、Nb2N微粉末も合成されることが分った。また、上記B/(Nb+B)が0.75以上で、更にBN微粉末も合成された。
【0037】
また、上記の微粉末をTEM観察した結果、全て微細なナノ粒子であることが分った。例えば、上記ホウ素のモル混合比B/(Nb+B)が0.66のとき、Ar−N2混合ガスプラズマ中で合成された混合微粉末(NbB、NbB2、Nb2N)のTEM写真を図6に示す。この図6のTEM写真から、450個の粒子を測定して求めた個数平均粒径は14.0nmであり、その幾何標準偏差は1.48であった。
【0038】
参考例2
図1の装置を用い、実施例1と同様にして、クロム(Cr)とホウ素(B)の混合粉末を原料粉末とし、クロムのホウ化物(CrB、CrB2)の微粉末を合成した。また、熱プラズマ用の不活性ガスは、20リットル/分の流量のArガスを用いた。
【0039】
Cr粉末とB粉末の混合原料粉末中におけるホウ素のモル混合比B/(Cr+B)が0ではCrの微粉末のみが合成されるが、この混合比が0.2を超えるとCrBが合成され始め、0.4を越えると更にCrB2が合成され始めることが分った。上記モル混合比を更に増加させるに伴って急激にCrB2の合成量が増加し、0.75付近でCrB2微粉末が最も高い比率で合成された。
【0040】
また、上記ArガスにN2ガスを4リットル/分混合して形成したAr−N2混合ガスプラズマ中では、混合原料粉末中におけるホウ素のモル混合比B/(Cr+B)が0〜0.3付近までは主にCrN微粉末が合成され、0.6以上になるとCrNの合成量が急激に減少して、CrBとCrB2の混合微粉末の合成量が増加し、更に0.75付近でCrB2微粉末が最も高い比率で合成された。
【0041】
また、上記の微粉末をTEM観察した結果、全て微細なナノ粒子であることが分った。例えば、上記B/(Cr+B)が0.75のとき、Ar−N2混合ガスプラズマ中で合成された混合微粉末(CrB、CrB2、CrN)は、そのTEM写真から、450個の粒子を測定して求めた個数平均粒径は10.2nmであり、その幾何標準偏差は1.37であった。
【0042】
参考例3
図1の装置を用い、実施例1と同様にして、アルミニウム(Al)とホウ素(B)の混合粉末を原料粉末とし、アルミニウムのホウ化物(AlB10、AlB12)の微粉末を合成した。また、熱プラズマ用の不活性ガスには、20リットル/分の流量のArガスを用いた。
【0043】
アルミニウムとホウ素の混合原料粉末中におけるホウ素のモル混合比B/(Al+B)が0.5を超えると、AlB10微粉末とAlB12微粉末とが合成され始め、0.9付近でAlB10微粉末が最も高い比率で合成された。
【0044】
また、上記ArガスにN2ガスを4リットル/分混合して形成したAr−N2混合ガスプラズマ中では、上記混合原料粉末中のホウ素のモル混合比B/(Al+B)が0.3〜0.95の範囲で、AlB10微粉末、AlB12微粉末と共に、AlN微粉末が合成された。更に、混合原料粉末中のホウ素のモル混合比B/(Al+B)が0.75以上では、AlB10微粉末及びAlB12微粉末と共に、BN微粉末の合成も確認された。
【0045】
また、上記の微粉末をTEM観察した結果、全て微細なナノ粒子であることが分った。例えば、上記B/(Al+B)が0.66のとき、Ar−N2混合ガスプラズマ中で合成された混合微粉末を透過型電子顕微鏡で観察した。そのTEM写真を図7に示す。このTEM写真から、得られた混合微粉末について求めた個数平均粒径は9.3nmであり、その幾何標準偏差は1.22であった。
【0046】
尚、上記の実施例及び各参考例以外に、Ce、Gd、Tb、Dy、Ho、Y、Sm、Eu、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Ca、Ti、Zr、Hf、Ta、Siの各金属元素についても、上記と同様に微粉末の合成を実施したところ、ホウ化物微粉末、あるいはホウ化物微粉末と窒化物などの他の化合物微粉末との混合微粉末が、全てナノオーダーで製造可能であることを確認することができた。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、可燃性が極めて強く爆発の危険がある水素ガスを使用せずに、熱プラズマ法により、ナノオーダーの各種金属のホウ化物の微粉末、あるいはナノオーダーの金属ホウ化物と窒化物、酸化物、炭化物などとの混合微粉末を、その化合物組成及び粉末特性あるいは混合微粉末の混合比を制御しながら、効率良く合成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施するための金属ホウ化物微粉末製造装置の一具体例を示す概略の断面図である。
【図2】本発明方法によりArガスプラズマ中で合成された合成したLaB6微粉末のX線回折パターンである。
【図3】本発明方法によりArガスプラズマ中で合成されたLaB6微粉末の透過型電子顕微鏡写真である。
【図4】本発明方法によりAr−He混合ガスプラズマ中で合成されたLaB6微粉末の透過型電子顕微鏡写真である。
【図5】本発明方法によりAr−N2混合ガスプラズマ中で合成されたLaB6微粉末の透過型電子顕微鏡写真である。
【図6】本発明方法によりAr−N2混合ガスプラズマ中で合成されたNbB、NbB2、Nb2Nの混合微粉末の透過型電子顕微鏡写真である。
【図7】本発明方法によりAr−N2混合ガスプラズマ中で合成されたAlB10、AlB12、AlNの混合微粉末の透過型電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 熱プラズマ
2 高周波コイル
3 不活性ガス供給ノズル
4 反応性ガス供給ノズル
5 原料粉末供給ノズル
6 反応容器
7 吸引管
8 フィルター
Claims (4)
- 熱プラズマによる金属化合物微粉末の製造方法であって、La、Ce、Gd、Tb、Dy、Ho、Y、Sm、Eu、Er、Tm、Yb、Luから選ばれた少なくとも1種の金属のホウ化物粉末と、ホウ素粉末とを、不活性ガス雰囲気中で発生させた熱プラズマ中に、不活性ガスのキャリアガスによって供給することにより、1次粒子の平均粒径が800nm以下である金属ホウ化物微粉末を得ることを特徴とする金属化合物微粉末の製造方法。
- 前記不活性ガス雰囲気として、アルゴンガス、アルゴンと窒素の混合ガス、若しくはアルゴンとヘリウムの混合ガスを用いることを特徴とする、請求項1に記載の金属化合物微粉末の製造方法。
- 前記熱プラズマが高周波放電により形成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属化合物微粉末の製造方法。
- 前記1次粒子の平均粒径が100nm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の金属化合物微粉末の製造方法。
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