JP2002105329A - 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及び成形品

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JP2002105329A
JP2002105329A JP2000301074A JP2000301074A JP2002105329A JP 2002105329 A JP2002105329 A JP 2002105329A JP 2000301074 A JP2000301074 A JP 2000301074A JP 2000301074 A JP2000301074 A JP 2000301074A JP 2002105329 A JP2002105329 A JP 2002105329A
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JP
Japan
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thermoplastic resin
resin composition
acid
pitch
liquid crystal
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JP2000301074A
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English (en)
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Shigeru Okita
茂 沖田
Atsushi Suzuki
篤 鈴木
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Abstract

(57)【要約】 【課題】 導電性、ガスバリア性、強度、耐腐食性、成
形性に優れ、燃料電池セパレーターに適した熱可塑性樹
脂組成物を提供する。 【解決手段】ピッチ系炭素繊維ミルド5〜80重量%を
含有する熱可塑性樹脂組成物であって、熱可塑性樹脂が
ポリアセタール、非液晶ポリエステル、ポリフェニレン
オキシド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィ
ド、液晶ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルス
ルホンおよびポリエーテルイミドからなる群から選ばれ
る一種以上である熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ピッチ系炭素繊維
ミルドを含有する熱可塑性樹脂組成物およびそれから得
られる成形品に関する。更に詳しくは、ピッチ系炭素繊
維ミルドを含有する導電性および成形性に優れた熱可塑
性樹脂組成物およびそれから得られる燃料電池セパレー
ター等の成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、炭酸ガス排出問題に対応するため
に石油資源から得ていたエネルギーを石油資源に依らな
い方法でエネルギーを供給する方法が検討されている。
その一つに燃料電池があり、燃料電池車用電源や一般家
庭用電源への普及を目指して開発が盛んに行われてい
る。
【0003】燃料電池の各セルは、反応を司る電解質、
電解質を挟む1対の電極、電極に接触して電極からの集
電を行うと共にガス流路、冷却水路を供給するセパレー
ターから形成されている。
【0004】このうち、セパレーターは電極からの集電
機能を有するために高度な導電性が必要である。また、
両面に燃料ガス流路および冷却水流路を形成するため、
ガスバリア性、強度、耐腐食性などが要求される。更に
ガス流路および冷却水流路を形成する必要があり、優れ
た成形性が要求される。
【0005】従来の方法としては、膨張黒鉛粒子を加圧
して予備シートを形成させた後、ガス流路や冷却水流路
の付いた最終形状の金型で加圧して作製する方法(特開
平10−125337号公報)、金属セパレーター表面
に貴金属マトリックス中にフッ素樹脂またはフッ化黒鉛
粒子が共析、分散された貴金属複合メッキ被膜を形成す
る方法(特開2000−36309号公報)、フェノー
ル樹脂のような熱硬化性樹脂に多量の黒鉛を配合し、プ
レス成形により成形する方法(特開平10−33492
7号公報)、微細な空隙部を有する金属材料の空隙部に
導電性樹脂材料を緻密に充填する方法(特開2000−
67882号公報)などが考案されている。
【0006】また、燃料電池セパレーターを用途の対象
とする考案ではないが、液晶ポリマーに繊維状充填材と
粒状充填材を併用したコネクター用組成物(特開200
0−178443号公報)、ポリオレフィン、ポリアミ
ド、ポリエーテルエーテルケトンにミルド炭素繊維を配
合してなる耐摩耗性複合材料(特表平10−50974
7号公報)が考案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開平10−125337号公報に記載されている方法で
は細かいガス流路、冷却水流路を金型形状に忠実に形成
することが困難な上に撥水性、強度が不足するために高
分子化合物の塗布、含浸等が必要になるという問題点が
ある。
【0008】また、前記特開2000−36309号公
報に記載されている方法では主材として金属を用いてい
るために重量が大きくなること、また貴金属をベースと
する材料の被膜を形成させることからコストが高くなる
上に工程が複雑となり、現実的ではない。更に前記特開
平10−334927号公報に記載されている方法では
多量の黒鉛を配合した熱硬化性樹脂のプレス成形では細
かいガス流路、冷却水流路を金型形状に忠実に形成する
ことが困難な上に、成形時間が長く、生産性に劣るとい
う問題点がある。前記特開2000−67882号公報
に記載されている方法では金属材料を使用しているため
に錆の発生やイオンの溶出により出力が低下したり、耐
久性が低下するという問題点があった。
【0009】前記特開2000−178443号公報に
記載されている組成物は、寸法精度に優れ、そりの少な
いコネクター用組成物であって、その本文中に繊維状充
填材の例として炭素ミルドファイバーが記載されている
ものの、炭素ミルドファイバーを用いた実施例の記載は
無い。液晶ポリマーにガラスミルドファイバーやタルク
を配合した組成物に関する実施例しか記載されておら
ず、かかるガラスミルドファイバーやタルクを配合した
組成物を用いても導電性および成形性に優れた熱可塑性
樹脂組成物および燃料電池セパレーター等の成形品を得
ることはできない。
【0010】また、繊維状充填材として金属繊維やニッ
ケルや銅などの金属をメッキしたミルドファイバーの使
用の可能性が記載されているが、燃料電池セパレーター
のように極微量の金属イオンの発生でも出力低下を惹起
するような用途ではこのような繊維状充填材は使用する
ことができない。
【0011】また、同公報には、炭素ミルドファイバー
の中でもピッチ系ミルドファイバーを用いた場合にのみ
導電性および成形性に優れた熱可塑性樹脂組成物および
燃料電池セパレーター等の成形品が得られる点について
は開示されていない。
【0012】前記特表平10−509747号公報に記
載されている組成物は、ポリプロピレン、ポリアミド、
ポリエーテルエーテルケトンにミルド炭素繊維を配合し
てなる組成物であって、静電防止性、耐摩耗性に優れた
半導体ウェハー輸送用箱や他の関連装置に適した組成物
である。その目的は静電防止性が発現し得る程度に表面
抵抗値を低下させると共に耐摩耗性を付与することを目
的としており、前記特表平10−509747号公報の
組成物から高度な導電性、機械的特性、成形性、ガスバ
リア性に優れた熱可塑性樹脂組成物および燃料電池セパ
レーター等の成形品を得ることはできない。
【0013】このように従来の材料・方法では導電性、
ガスバリア性、強度、耐腐食性に優れたセパレーターを
効率良く、安価に製造するための材料や方法が見出され
ていなかった。
【0014】そこで本発明ではこのような用途に適して
おり、ガスバリア性、強度、耐腐食性、成形性に優れた
材料および成形品を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意検討した結果、特定の熱可塑性樹脂に
ピッチ系炭素繊維ミルドを配合することにより、熱可塑
性樹脂の成形性を損なうことなく高度な導電性を付与し
得ることを見出し、本発明に到達した。
【0016】すなわち、本発明は、 1.ピッチ系炭素繊維ミルド5〜80重量%を含有する
熱可塑性樹脂組成物であって、熱可塑性樹脂がポリアセ
タール、非液晶ポリエステル、ポリフェニレンオキシ
ド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、液
晶ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン
およびポリエーテルイミドからなる群から選ばれる一種
以上である熱可塑性樹脂組成物、 2.熱可塑性樹脂組成物がさらにカーボンナノチューブ
0.0001〜25重量%を含有するものである前記1
記載の熱可塑性樹脂組成物、 3.前記1または2のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組
成物を成形して得られる成形品、 4.前記1または2のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組
成物を成形して得られる燃料電池用セパレーターを提供
するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0018】本発明で使用されるピッチ系炭素繊維ミル
ドは、ピッチを原料として紡糸、不融化及び炭化を行っ
た後、ミルド化し、更に高温で黒鉛化して製造されるも
のである。出発原料となるピッチは、石油系ピッチ、石
炭系ピッチ、合成系ピッチなど、紡糸できるものであれ
ば特に限定は無いが、中でも光学異方性を有するメソフ
ェーズピッチと称されるピッチが得られる成形品の導電
性の観点から好ましい。
【0019】炭素繊維には通常、PAN系とピッチ系が
存在するが、本発明においては、炭素繊維ミルドとして
ピッチ系のものを用いることが高度な導電性を付与する
点で重要である。
【0020】原料ピッチを紡糸する方法は特に限定され
ず、メルトスピニング、メルトブロー、遠心紡糸、渦流
紡糸等の種々の方法を用いることができるが、紡糸時の
生産性および得られる繊維の品質の観点からメルトブロ
ー法が好ましい。メルトブロー時の紡糸孔の径について
特に制限は無いが、通常0.1mm〜0.5mm、好ま
しくは0.15mm〜0.3mmである。紡糸速度につ
いても特に制限は無いが、生産性の観点から通常は50
0m/分以上、好ましくは1,500m/分以上、更に
好ましくは2,000m/分以上である。
【0021】紡糸温度は原料ピッチの種類によって変わ
るが、原料ピッチの軟化点以上であり、原料ピッチが変
質しない温度以下である。通常は300℃〜400℃、
好ましくは300℃〜380℃である。
【0022】紡糸後の不融化方法に特に制限は無く、例
えば炭酸ガスや酸素などの酸化性ガス雰囲気で加熱処理
する方法や、硝酸やクロム酸等の酸化性水溶液中で処理
する方法、更に光やγ線等により処理する方法などを採
用することができる。生産効率の観点から空気中で加熱
処理する方法が好ましい。その条件は原料の種類によっ
て異なるが、通常は平均昇温速度3℃/分以上、好まし
くは5℃/分以上で350℃付近まで昇温させながら加
熱処理する方法が採用される。
【0023】不融化された繊維は、不活性ガス雰囲気
下、250℃〜2,000℃で炭化処理されるが、その
後のミルド化を容易にするという観点から、好ましくは
400℃〜1,500℃、更に好ましくは500℃〜
1,000℃である。
【0024】不融化繊維をミルド化する方法としては、
ジェットミル、ディスクミル、クロスフローミル、高速
回転ミル等を使用することができるが、例えばブレード
を取り付けたローターを高速回転することにより繊維軸
に対して直角方向に繊維を寸断することが好ましい。ミ
ルド化された繊維の繊維長は、ローター回転数、ブレー
ド角度、ローター周辺に取り付けられたフィルターの目
の大きさなどを調整することで制御可能である。ヘンシ
ェルミキサー、ボールミル、磨潰機などによる方法もあ
るが、ミルド化に長時間かかる上に繊維軸との直角方向
への加圧力が働き、繊維軸方向への縦割れ発生が多くな
るので好ましくない。
【0025】ミルド化物の平均径およびアスペクト比に
ついては特に制限は無い。得られる組成物の機械特性、
導電性、成形時の流動性との兼ね合いから適宜選択すれ
ば良いが、平均径は通常は1〜50μm、好ましくは2
〜50μm、更に好ましくは3〜40μmであり、アス
ペクト比は通常は1〜50、好ましくは1〜40、更に
好ましくは1〜30である。
【0026】ミルド化物の黒鉛化は、非酸化性雰囲気、
例えば、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下2,400
℃以上、好ましくは2,600℃以上の温度で加熱処理
して行われる。この黒鉛化工程の前に酸素の存在下で熱
処理(酸化処理)しても良い。その場合、処理条件とし
ては、雰囲気ガスの酸素含有量2vol%〜40vol
%、好ましくは5vol%〜30vol%、温度200
℃〜900℃、好ましくは250℃〜700℃である。
【0027】このようにして得られた黒鉛化物の黒鉛層
間距離(d002)は通常0.3380nm以下、好まし
くは0.3365nm以下、C軸方向の結晶子の大きさ
(Lc)は通常35nm以上、好ましくは45nm以
上、a軸方向の結晶子の大きさ(La)は通常50nm
以上、好ましくは60nm以上、(101)回折ピーク
と(100)回折ピークの比(I101)/(I100)が通
常1.0以上、好ましくは1.2以上である。
【0028】本発明の樹脂組成物に配合されるピッチ系
炭素繊維ミルドの重量は樹脂組成物全体に対して5〜8
0重量%である。少なすぎると高度な導電性を付与でき
ない。また、多すぎると流動性が低下し、溶融成形が困
難になる。成形時の流動性、得られる成形品の比重及び
強度、導電性の観点から好ましくは10〜70重量%、
より好ましくは15〜70重量%、特に好ましくは20
〜65重量%である。
【0029】本発明においてはさらにカーボンナノチュ
ーブを配合することが可能である。かかるカーボンナノ
チューブとしては、炭素六角網面が円筒状に閉じた単層
構造あるいはこれらの円筒構造が入れ子状に配置された
多層構造を有する材料のことである。単層構造のみから
構成されていても多層構造のみから構成されていても良
く、単層構造と多層構造が混在していてもかまわない。
また部分的にカーボンナノチューブの構造を有している
炭素材料も使用できる。また、カーボンナノチューブと
いう名称の他にグラファイトフィブリルナノチューブと
いった名称で称されることもある。
【0030】カーボンナノチューブは、例えば炭素電極
間にアーク放電を発生させ、放電用電極の陰極表面に成
長させる方法、シリコンカーバイドにレーザービームを
照射して加熱・昇華させる方法、遷移金属系触媒を用い
て炭化水素を還元雰囲気下の気相で炭化する方法などに
よって製造することができる。製造方法の違いによって
得られるカーボンナノチューブのサイズや形態は変わっ
て来るが、いずれの形態のものも使用できる。
【0031】本発明の樹脂組成物に配合されるカーボン
ナノチューブの重量は樹脂組成物全体に対して、成形
性、成形時の流動性の点から、0〜25重量%であるこ
とが好ましい。なかでも成形時の流動性、得られる成形
品の比重及び強度、導電性の観点から含有量が0.00
01〜25重量%であることが好ましく、より好ましく
は0.01〜20重量%、さらに好ましくは0.5〜1
5重量%、特に好ましくは1〜8重量%である。
【0032】本発明で使用される熱可塑性樹脂は、ポリ
アセタール、非液晶ポリエステル、ポリフェニレンオキ
シド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、
液晶ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホ
ンおよび、ポリエーテルイミドからなる群から選ばれる
一種が好ましく用いられる。これらの中でも流動性の面
からポリフェニレンスルフィドおよび液晶ポリエステル
が特に好ましい。
【0033】本発明で用いられるポリフェニレンスルフ
ィド樹脂とは、一般式(1)で表される繰り返し単位を
有する重合体であり、その含有量は耐熱性の面から70
モル%以上であることが好ましく、より好ましくは80
モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。繰
り返し単位(1)の含有量が70モル%未満の場合には
耐熱性および剛性が低下する傾向が見られる。
【0034】一般式(1)以外の繰り返し単位として
は、一般式(2)〜(8)で表される構造単位が用いら
れる。
【0035】
【化1】
【0036】
【化2】
【0037】
【化3】
【0038】
【化4】
【0039】
【化5】
【0040】
【化6】
【0041】
【化7】
【0042】
【化8】
【0043】本発明で用いるポリフェニレンスルフィド
樹脂としては、長さ31.75mm、径2.10mmの
オリフィスを用い、温度316℃、荷重20gで測定し
た時のメルトフローレイト(以下MFRと略す)が50
〜200g/minであるものが好ましい。更に好まし
くは50〜150g/10min、とりわけ70〜15
0g/10minが好ましい。
【0044】また、本発明で用いるポリフェニレンスル
フィド樹脂の灰分は、450〜500℃で炭化させた
後、538℃で6時間灰化させた時の灰分残さ量で0.
30重量%以下であることが好ましい。更に好ましくは
0.25重量%以下、とりわけ0.22重量%以下が好
ましい。
【0045】このようなポリフェニレンスルフィド樹脂
は公知の方法、例えば特公昭45−3368号公報、特
公昭52−12240号公報、特開昭61−7332号
公報に記載されている方法を用いて製造することができ
る。本発明においては、前記公報に記載されている方法
で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂を空気中加熱
による架橋・高分子量化、窒素などのガス雰囲気下ある
いは減圧下での熱処理、有機溶剤・熱水・酸性水溶液・
アルカリ性水溶液などによる洗浄を施した上で使用して
も良い。特に有機溶剤で洗浄すると低分子量成分が除去
されるため、溶融成形時のガス発生、金型腐蝕は低減さ
れる。その場合の有機溶剤としては、N−メチルピロリ
ドン、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジ
メチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノ
ン、ヘキサメチルホスホンアミド、ピペラジノンなどの
含窒素溶剤、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホ
ン、スルホランなどのスルホン系溶剤、アセトン、メチ
ルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなど
のケトン系溶剤、ジメチルエーテル、ジエチルエーテ
ル、ジプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラ
ヒドロフランなどのエーテル系溶剤、クロロホルム、メ
チレンジクロリド、四塩化炭素、トリクロロエチレン、
ジクロロエチレン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶
剤、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレング
リコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコールなどのアルコール系溶剤、フェノール、クレゾ
ールなどのフェノール系溶剤、ベンゼン、トルエン、キ
シレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ペンタン、ヘキサ
ン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの飽和炭
化水素系溶剤などが挙げられる。
【0046】また、酸性水溶液、アルカリ性水溶液につ
いては、ポリフェニレンスルフィド樹脂を分解する作用
の無いものであれば特に制限は無く、酢酸、塩酸、硫
酸、燐酸、有機カルボン酸、有機スルホン酸、各種水酸
化アルカリ水溶液などが用いられる。
【0047】また、酸無水物、エポキシ基、イソシアネ
ート基などの官能基を有する化合物で処理しても良い。
【0048】本発明で用いられる液晶ポリエステルは芳
香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、脂肪
族ジオキシ単位、芳香族ジカルボニル単位から選ばれる
構造単位からなる。芳香族オキシカルボニル単位の具体
例としてはp−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−
2−ナフトエ酸から生成する構造単位、芳香族ジオキシ
単位の具体例としては4,4’−ジヒドロキシジフェニ
ル、ヒドロキノン、3,3’,5,5’−テトラメチル
−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、t−ブチルヒド
ロキノン、フェニルヒドロキノン、2,6−ジヒドロキ
シナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,
4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルから生成する構
造単位、脂肪族ジオキシ単位の具体例としてはエチレン
グリコール、プロピレングリコールから生成する構造単
位、芳香族ジカルボニル単位の具体例としてはテレフタ
ル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス
(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボ
ン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸から
生成する構造単位が挙げられる。
【0049】好ましい液晶ポリエステルは、構造単位
(9)、(10)、(11)からなる液晶ポリエステル
である。
【0050】
【化9】
【0051】
【化10】
【0052】
【化11】
【0053】ただし、式中R1は次の化学構造から選ば
れた1種以上を表す。
【0054】
【化12】
【0055】また式中R2は次の化学構造から選ばれた
1種以上を表す。ただし、Xは水素原子またはハロゲン
原子を表す。
【0056】
【化13】
【0057】上記構造単位のうち、(10)については
R1が4,4’−ビフェニレン、1,4−フェニレン、
ジメチレンであるものが好ましく、(11)については
R2が1,4−フェニレン、2,6−ナフタレンである
ものが好ましい。
【0058】本発明で好ましく用いられる液晶ポリエス
テルは上記の如く構造単位(9)、(10)、(11)
からなる共重合体である。その共重合組成は任意に選ぶ
ことができるが、次のような組成が好ましい。
【0059】上記構造単位(9)及び(10)の合計は
構造単位(9)、(10)および(11)の合計に対し
て30〜95mol%が好ましく、40〜90mol%
がより好ましい。また、構造単位(11)は構造単位
(9)、(10)および(11)の合計に対して70〜
5mol%が好ましく、60〜10mol%がより好ま
しい。また、構造単位(9)の構造単位(10)に対す
るmol比[(9)]/[(10)]は75/25〜9
5/5であることが好ましく、より好ましくは78/2
2〜93/7である。また、構造単位(11)は構造単
位(10)と実質的に等モルであることが好ましい。こ
こで実質的に等モルとは、末端を除くポリマー主鎖を構
成する構造単位が等モルであるが、末端を構成する構造
単位としては必ずしも等モルとは限らないことを意味す
る。
【0060】本発明で好ましく用いられる液晶ポリエス
テルは上記構造単位(9)〜(11)を構成する成分以
外に、3,3’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−
ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、ア
ジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン
酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル
酸などの脂環式ジカルボン酸、クロロヒドロキノン、
3,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒド
ロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジ
フェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシベンゾフ
ェノンなどのジフェノール、1,2−プロパンジオー
ル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂肪族
または脂環式ジオール、m−ヒドロキシ安息香酸、2,
6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカル
ボン酸などを液晶性を損なわない範囲で共重合せしめる
ことができる。
【0061】液晶ポリエステル樹脂の対数粘度には特に
制限は無いが、ペンタフルオロフェノール中、0.1g
/dL濃度、60℃で測定した値が0.5〜15dL/
gであることが好ましく、1〜10dL/gであること
が特に好ましい。
【0062】また、液晶ポリエステルの溶融粘度には特
に制限は無いが、流動性の面から融点+10℃の温度、
ずり速度1,000sec-1での値が0.5〜200P
a・secであることが好ましく、0.5〜100Pa
・secであることがより好ましい。なお、ここで言う
融点(Tm)とは示差走査熱量測定において、室温から
20℃/分の昇温条件で測定した時に観測される吸熱ピ
ーク温度(Tm1)を観測後、Tm1+20℃の温度で
5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで冷
却した後、再度20℃/分の昇温条件で昇温した時に観
測される吸熱ピーク温度(Tm2)のことを指す。
【0063】液晶ポリエステルの製造方法には特に制限
が無く、公知のポリエステルの重縮合方法に準じて製造
することができる。例えば次のような方法で製造でき
る。 (1)p−ヒドロキシ安息香酸などのオキシカルボニル
単位形成性成分を除く成分から得られたポリエステルと
p−ヒドロキシ安息香酸とを乾燥窒素気流下で加熱溶融
し、アシドリシス反応によって共重合ポリエステルフラ
グメントを生成させ、次いで減圧・増粘させる方法。 (2)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセ
トキシジフェニル、ジアセトキシベンゼンなどの芳香族
ジヒドロキシ化合物のジアシル化物と2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳
香族ジカルボン酸から脱酢酸縮重合反応させる方法。 (3)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒド
ロキシジフェニル、ヒドロキノンなどの芳香族ジヒドロ
キシ化合物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフ
タル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に無水
酢酸を反応させてフェノール性水酸基をアシル化した
後、脱酢酸重縮合反応する方法。 (4)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステル及び
4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ヒドロキノンなど
のジフェノールと2,6−ナフタレンジカルボン酸、テ
レフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸の
ジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により
液晶ポリエステルを製造する方法。 (5)p−ヒドロキシ安息香酸および2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳
香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを
反応させてそれぞれジフェニルエステルとした後、4,
4’−ジヒドロキシジフェニル、ヒドロキノンなどのジ
フェノールを加え、脱フェノール重縮合反応により液晶
ポリエステルを製造する方法。 (6)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル
あるいはそのオリゴマーまたはビス(β−ヒドロキシエ
チル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス
(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で上記
(2)または(3)の方法により液晶ポリエステルを製
造する方法。
【0064】液晶ポリエステルの重縮合反応は無触媒で
も進行するが、酢酸第1錫、テトラブチルチタネート、
酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金
属マグネシウムなどの金属化合物を使用することができ
る。
【0065】本発明で用いられる樹脂組成物には、本発
明の効果を損なわない範囲で、ガラス繊維、チタン酸カ
リウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミニウム
ウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊
維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金
属繊維などの繊維状充填材、ワラステナイト、ゼオライ
ト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフ
ィライト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミ
ナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化
マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄
などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バ
リウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カル
シウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビ
ーズ、ガラスフレーク、セラミックビーズ、窒化ホウ
素、炭化珪素およびシリカなどの非繊維状充填材が挙げ
られ、これらは中空であってもよく、さらにはこれら充
填剤を2種類以上併用することも可能である。また、よ
り優れた機械的強度を得る目的でこれら繊維状/非繊維
状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合
物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エ
ポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用
してもかまわない。
【0066】さらに、本発明の樹脂組成物には、タル
ク、カオリン、有機リン化合物、ポリエーテルエーテル
ケトンなどの結晶核剤、次亜リン酸塩などの着色防止
剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミンなどの酸
化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、染料や顔料
などの着色剤、帯電防止剤などの添加剤を添加すること
ができる。
【0067】本発明の樹脂組成物の製造方法に特に制限
は無い。ピッチ系炭素繊維ミルド、カーボンナノチュー
ブ、熱可塑性樹脂、その他成分を一括してドライブレン
ドした後、押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなど
で溶融混練しても良いし、予め熱可塑性樹脂とピッチ系
炭素繊維ミルドを溶融押出したペレットとカーボンナノ
チューブ、その他成分を溶融混練しても良い。
【0068】本発明の成形品の製造方法に特に制限は無
く、射出成形、射出圧縮成形、プレス成形などを用いる
ことができるが、生産効率の観点から射出成形が好まし
い。ピッチ系炭素繊維ミルド、カーボンナノチューブ、
熱可塑性樹脂、その他成分を一括してドライブレンドし
た後、そのまま射出成形しても良いし、一旦全成分を溶
融押出してペレタイズしてから射出成形しても良い。あ
るいはピッチ系炭素繊維ミルド/熱可塑性樹脂ペレット
と予め熱可塑性樹脂とカーボンナノチューブ、その他成
分を溶融混練したペレットをドライブレンドしてそのま
ま射出成形しても良いし、両ペレットを一旦溶融押出し
てペレタイズしてから射出成形しても良い。
【0069】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定される
ものではない。
【0070】以下の実施例においてポリフェニレンスル
フィド系材料の評価用試験片は、東芝機械IS80型射
出成形機にて、シリンダー温度:320℃、金型温度:
140℃、射出速度:75%、射出圧力:充填下限圧力
+10kg/cm2(G)の設定条件で射出成形することにより
作成した。
【0071】液晶ポリエステル系材料の評価用試験片
は、東芝機械IS80型射出成形機にて、シリンダー温
度:345℃、金型温度:120℃、射出速度:75
%、射出圧力:充填下限圧力+10kg/cm2(G)の設定条
件で射出成形することにより作成した。
【0072】ナイロン系材料の評価用試験片は、東芝機
械IS80型射出成形機にて、シリンダー温度:350
℃、金型温度:150℃、射出速度:75%、射出圧
力:充填下限圧力+10kg/cm2(G)の設定条件で射出成
形することにより作成した。
【0073】以下の実施例において、機械特性、ガス透
過性、体積固有抵抗の評価は次の方法により行った。
【0074】引張特性:ASTM D638に従って測
定した。
【0075】曲げ特性:ASTM D790に従って測
定した。
【0076】アイゾット衝撃強度:ASTM D256
に従って測定した。
【0077】ガス透過性:水素ガスについては1mm厚
みの試験片を使用し、JIS K7126に記載されて
いるA法(差圧法)に従って23℃、絶乾状態で測定し
た。また、水蒸気については25μm厚みの試験片を使
用し、JIS Z0208に従って40℃、90%RH
で測定した。
【0078】体積固有抵抗:ASTM D257に従っ
て測定した。
【0079】[参考例1] ポリフェニレンスルフィド
樹脂の製造 攪拌機付きオートクレーブに水硫化ナトリウム水溶液
4.67kg(水硫化ナトリウム25モル)、50%水
酸化ナトリウム2kg(水酸化ナトリウム25モル)な
らびにN−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略
す。)8kgを仕込み、攪拌しながら徐々に昇温し、水
3.8kgを含む留出水4.1Lを除去した。残留混合
物に1,4−ジクロロベンゼン3.75kg(25.5
モル)ならびにNMP2kgを加えて230℃で1時間
加熱した。反応生成物を温水で5回洗浄後、90℃、p
H4の酢酸水溶液25L中に投入し、1時間攪拌した。
ポリフェニレンスルフィド樹脂を濾過し、濾液のpHが
7になるまで90℃のイオン交換水で洗浄した後、80
℃で24時間真空乾燥した。長さ31.75mm、径
2.10mmのオリフィスを用い、温度316℃、荷重
20gで測定した時のメルトフローレイト(MFR)は
87g/min、450〜500℃で炭化させた後、5
38℃で6時間灰化させた時の灰分残さ量は0.19重
量%であった。
【0080】[参考例2] 液晶ポリエステル樹脂の製
造 p−ヒドロキシ安息香酸995重量部、4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニル126重量部、テレフタル酸112
重量部、固有粘度が0.61dL/gのポリエチレンテ
レフタレート216重量部及び無水酢酸969重量部を
攪拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、重縮合を行
った。芳香族オキシカルボニル単位80mol%、芳香
族ジオキシ単位7.5mol%、エチレンオキシ単位1
2.5mol%からなり、融点(Tm)314℃、32
4℃、0.5mmφ×10mmのオリフィスを用い、ず
り速度1,000sec-1で測定した時の溶融粘度が1
3Pa・secのペレットを得た。
【0081】[参考例3]径7mm、長さ48mmのグ
ラファイト製スティックに、先端から中心軸に沿って径
3mm、深さ29mmの穴を開け、この穴にロジウム:
白金:グラファイト=5:5:2の混合粉末を詰めてカ
ーボンナノチューブ製造用陽極を作成した。一方、9
9.998%純度のグラファイトからなる径14mm、
長さ31mmの陰極を作成した。これらの電極を真空チ
ャンバーの中に設置し、純度99.9%のヘリウムガス
でチャンバー内部を置換し、直流アーク放電を行った。
陽極と陰極の間隔を常に1〜2mmに制御し、圧力60
0torr、電流70Aで放電を行った。陰極上に生成
したカーボンナノチューブを取り出した。内径5nm、
外径10nm、長さ1〜10μmの単層及び複層のグラ
ファイト層からなるカーボンナノチューブが得られた。
【0082】[実施例1〜8]参考例1、参考例2で製
造したポリフェニレンスルフィド樹脂及び液晶ポリエス
テル樹脂にピッチ系炭素繊維ミルド(ペトカ社“メルブ
ロン”ミルド。アスペクト比3.7)及び参考例3で製
造したカーボンナノチューブを表1に示す比率で溶融混
練し、樹脂組成物のペレットを製造した。このペレット
を用いて射出成形により各種試験片を作製した。各種特
性の評価結果を表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】実施例1〜8より本発明の組成物は機械的
特性、ガスバリア性、導電性に優れ、かつ射出成形可能
な材料であることがわかる。
【0085】実施例1より、ピッチ系炭素繊維ミルドの
単独配合で機械的特性、ガスバリア性、導電性に優れ、
かつ射出成形可能な材料が得られることがわかる。
【0086】実施例2〜4より、ピッチ系炭素繊維ミル
ドの配合量を50重量%に固定し、カーボンナノチュー
ブを併用すると機械的特性が若干低下するものの、導電
性が向上することがわかる。
【0087】実施例5より、ピッチ系炭素繊維ミルドと
カーボンナノチューブの配合量を大きく変えても機械的
特性、ガスバリア性、導電性に優れ、かつ射出成形可能
な材料が得られることがわかる。
【0088】実施例6〜8より、マトリックス樹脂をポ
リフェニレンスルフィド樹脂から液晶ポリエステルに変
えても機械的特性、ガスバリア性、導電性に優れ、かつ
射出成形可能な材料が得られることがわかる。
【0089】[比較例1〜2]各成分の配合比率を表2
のようにする以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を
製造した。配合比率および特性評価結果を表2に示す。
【0090】
【表2】
【0091】比較例1〜2より、ピッチ系炭素繊維ミル
ドを配合せず、カーボンナノチューブのみの配合では機
械的特性、ガスバリア性、導電性、射出成形性のすべて
を満足する材料が得られないことがわかる。
【0092】[実施例9]実施例3で製造した組成物を
用い、図1に示す形状の金型を使用して樹脂温度320
℃、金型温度151℃、冷却時間19秒で連続射出成形
を行った。連続1,000ショットを越えても不良の無
い成形品が安定して得られた。図1は、燃料電池セパレ
ーター用に水素ガス、酸素ガスまたは空気の流路を形成
させた平板であり、サイズ66mm×84mm、厚み3
mmである。そして上記平板にはガス流路入り口A、ガ
ス流路出口Bおよびガス流路Cが設けられている。ま
た、ガス流路の幅は2.5mm、深さは2mmである。
【0093】[比較例3]炭素粉末として粒径110μ
m以上かつ160μm以下の黒鉛粉末をエポキシ樹脂
(油化シェルエポキシ製“エピコート”807)に2
0:80重量部の比率で混合し、次いで硬化剤(油化シ
ェルエポキシ製“エピキュア”IBMI12を4部添加
して混合脱泡した。次いでこの材料を用い、温度150
℃、圧力10MPaで45分間プレス成形して各種評価
試験片を作成した。更に成形後に150℃で6時間キュ
アした後、物性を評価した。結果を表2に示す。
【0094】表2からわかるように、導電性には優れる
ものの、機械的特性に劣ることがわかる。
【0095】また、図1に示す形状の平板のプレス金型
を使用して温度150℃、圧力10MPa、プレス時間
45分で連続してプレス成形を行った。未充填、離型時
破損などが発生し、10ショットを越える連続プレス成
形が出来なかった。
【0096】[比較例4]半芳香族ナイロン樹脂(アモ
コ・パフォーマンス・プロダクツ製“アモデル”ET−
1001)にピッチ系炭素繊維ミルド(ペトカ社“メル
ブロン”ミルド。アスペクト比3.7)を表2に示す割
合で溶融混練し、樹脂組成物のペレットを製造した。こ
のペレットを用いて射出成形により各種試験片を作製し
た。各種特性の評価結果を表2に示す。表2からわかる
ように、導電性、機械的特性は良好な値を示すものの水
蒸気バリア性に劣ることがわかる。また、この組成物を
用いて図1に示す形状の金型を使用して連続射出成形を
試みたが、流動性に劣り、完全充填したセパレーターが
得られなかった。
【0097】[比較例5、6]参考例1、参考例2で製
造したポリフェニレンスルフィド樹脂及び液晶ポリエス
テル樹脂にガラス繊維ミルド(旭グラスファイバー社
“グラスロン”MF06JB1−20、平均径10μ
m、平均長30〜100μm)及びタルク(平均径1.
5μm)を表2に示す割合で溶融混練し、樹脂組成物の
ペレットを製造した。このペレットを用いて射出成形に
より各種試験片を作製した。各種特性の評価結果を表2
に示す。表2からわかるように、機械的特性、ガスバリ
ア性は良好な値を示すものの導電性に劣ることがわか
る。
【0098】
【発明の効果】本発明を用いることにより、従来の方法
では得られなかった成形性に優れかつ高度な導電性を有
する樹脂組成物および成形品を得ることができる。また
本発明の樹脂組成物より優れた燃料電池セパレーターを
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例9、比較例4で使用した平板の平面構造
図である。
【符号の説明】
A:ガス流路入り口 B:ガス流路出口 C:ガス流路
フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA40 AA43 AA50 AA51 AA62 AA64 AB03 AD01 AE15 AF37 AH15 BA01 BB03 BB05 BB06 BC01 4J002 AA011 CB001 CF001 CG001 CH071 CM041 CM051 CN011 CN031 DA016 DA026 FA046 FA056 FD010 FD070 FD200 GQ00 5H026 BB01 BB02 CX02 EE05 EE18 HH05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピッチ系炭素繊維ミルド5〜80重量%
    を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、熱可塑性樹脂
    がポリアセタール、非液晶ポリエステル、ポリフェニレ
    ンオキシド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフ
    ィド、液晶ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテル
    スルホンおよびポリエーテルイミドからなる群から選ば
    れる一種以上である熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂組成物がさらにカーボンナ
    ノチューブ0.0001〜25重量%を含有するもので
    ある請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2のいずれかに記載の熱
    可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形品。
  4. 【請求項4】 請求項1または2のいずれかに記載の熱
    可塑性樹脂組成物を成形して得られる燃料電池用セパレ
    ーター。
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