JPWO2007046451A1 - ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物及び有機溶剤に接するポリアリーレンサルファイド樹脂成形品 - Google Patents

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Abstract

本発明は、離型性と耐有機溶剤性の両者を満足し、有機溶剤に接するような用途で好適に用いられるポリアセタール樹脂成形品を提供する。詳しくは、(A)ポリアリーレンサルファイド樹脂100重量部、(B)無機充填剤150〜300重量部、(C)−(CH2)n−を基本構造単位とし、nが15以上の直鎖あるいは分岐構造を有するオレフィン化合物0.01〜0.6重量部からなるポリアリーレンサルファイド樹脂組成物、及び該組成物を成形して得られる有機溶剤に接する成形品である。

Description

本発明は、優れた離型性を有し、且つ各種有機溶剤との接触下において良好な耐有機溶剤性を有するポリアリーレンサルファイド樹脂組成物及び成形品に関する。
ポリフェニレンサルファイド(以下PPSと略す場合がある)樹脂に代表されるポリアリーレンサルファイド(以下PASと略す場合がある)樹脂は、高い耐熱性、機械的物性、耐薬品性、寸法安定性、難燃性を有していることから、電気・電子機器部品材料、自動車機器部品材料、化学機器部品材料等に広く使用されている。
しかしながら、PAS樹脂は金属との親和性が高く、また、溶融状態から固化する際の収縮率が小さいこと、適用される成形品に精密なものが多く複雑な形状の金型が多いこと等の理由から、成形時に金型からの離型が悪く、安定して連続成形することが困難な場合があり、成形速度が遅く(成形サイクルが長い)、生産性に劣るという問題点を有している。
このため、樹脂中に離型剤を添加して成形加工に用いているのが一般的であり、離型剤としては、従来、次のようなものが提案されている。
(1)ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム等の脂肪酸の金属塩を添加する方法(JP−A 54−162752)
(2)グリセロールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等の多価アルコールと一価の脂肪酸とのエステルを添加する方法(JP−A 58−74751,JP−A 63−289068)
(3)N,N’−アルキレンビスアルカンアミド等の脂肪酸のアミドを添加する方法(US−B 4395509)
一方、PAS樹脂は、耐薬品性が極めて良好であることから、電気・電子機器あるいは自動車機器等における、有機溶剤に接する部品へも多く用いられるようになってきているが、近年、これら有機溶剤に接する部品の高性能化、あるいは使用環境温度の高温化により、耐有機溶剤性への要求がこれまで以上に一段と高まっている。
ところが、本発明者らの検討によれば、上記(1)〜(3)に示される離型剤は、離型性改善効果は示すものの、PAS樹脂が本来有している優れた耐有機溶剤性を低下させてしまうという欠点があることが判明した。
また、JP−A 60−229949、JP−A 61−275353には、PAS樹脂にポリエチレンを添加する手法が提案されているが、本発明が解決しようとする課題に対しては実施内容における添加量が過多であり、少量添加の効果については特に言及されていない。また、本発明で課題とする離型性と耐有機溶剤性に対する効果については記載されていない。
本発明は、離型性と耐有機溶剤性の両者を満足し、有機溶剤に接するような用途で好適に用いられるPAS樹脂組成物及び成形品の提供を目的とするものである。
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討した結果、PAS樹脂に対し、ある特定の添加剤を所定量配合することにより、有機溶剤に接するような用途においても、離型性と耐有機溶剤性の両者を満足するPAS樹脂組成物及び成形品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、
(A)ポリアリーレンサルファイド樹脂100重量部
(B)無機充填剤150〜300重量部
(C)−(CH−を基本構造単位とし、nが15以上の直鎖あるいは分岐構造を有するオレフィン化合物0.01〜0.6重量部
からなるポリアリーレンサルファイド樹脂組成物、並びに
該ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物を成形して得られることを特徴とする、有機溶剤に接するポリアリーレンサルファイド樹脂成形品である。
発明の詳細な説明
以下本発明の構成成分について詳細に説明する。本発明に用いる(A)成分としてのPAS樹脂は、主として繰返し単位として−(Ar−S)−(但しArはアリーレン基)で構成された高分子化合物であり、本発明では一般的に知られている分子構造のPAS樹脂を使用することができる。
上記アリーレン基としては、例えば、p−フェニレン基、m−フェニレン基、o−フェニレン基、置換フェニレン基、p,p’−ジフェニレンスルフォン基、p,p’−ビフェニレン基、p,p’−ジフェニレンエーテル基、p,p’−ジフェニレンカルボニル基、ナフタレン基などが挙げられる。PAS樹脂は、上記繰返し単位のみからなるホモポリマーでも良いし、下記の異種繰返し単位を含んだコポリマーが加工性等の点から好ましい場合もある。
ホモポリマーとしては、アリーレン基としてp−フェニレン基を用いた、p−フェニレンサルファイド基を繰返し単位とするPPSが好ましく用いられる。また、コポリマーとしては、前記のアリーレン基からなるアリーレンサルファイド基の中で、相異なる2種以上の組み合わせが使用できるが、中でもp−フェニレンサルファイド基とm−フェニレンサルファイド基を含む組み合わせが特に好ましく用いられる。この中で、p−フェニレンサルファイド基を70モル%以上、好ましくは80モル%以上含むものが、耐熱性、成形性、機械的特性等の物性上の点から適当である。
又、これらのPAS樹脂の中で、2官能性ハロゲン芳香族化合物を主体とするモノマーから縮重合によって得られる実質的に直鎖状構造の高分子量ポリマーが好ましく使用できるが、直鎖状構造のPAS樹脂以外にも、縮重合させるときに3個以上のハロゲン官能基を有するポリハロ芳香族化合物等のモノマーを少量用いて、部分的に分岐構造又は架橋構造を形成させたポリマーも使用できるし、低分子量の直鎖状構造ポリマーを酸素等の存在下、高温で加熱して酸化架橋又は熱架橋により溶融粘度を上昇させ、成形加工性を改良したポリマー、あるいはこれらの混合物も使用可能である。
本発明に使用する基体樹脂としてのPAS樹脂の溶融粘度(310℃・ズリ速度1200sec−1)は特に限定されないが10〜500Pa・sが好ましい。溶融粘度が過小の場合は機械強度が十分でないため好ましくなく、溶融粘度が過大であると射出成形時に樹脂組成物の流動性が悪く成形作業が困難になり、耐薬品性を低下するため好ましくない。
次に、本発明で使用する(B)無機充填剤は、特に種類を限定されないが十分な機械的強度を得るために重要である。無機充填剤としては、例えば軽質炭酸カルシウム、重質ないし微粉化炭酸カルシウム、特殊カルシウム系充填材等の炭酸カルシウム;霞石、閃長石微粉末、モンモリロナイト、ベントナイト等の焼成クレー、シラン改質クレー等のクレー(珪酸アルミニウム粉末);タルク;溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ(二酸化珪素)粉末;珪藻土、珪砂等の珪酸含有化合物;軽石粉、軽石バルーン、スレート粉、雲母粉等の天然鉱物の粉砕品;アルミナ、アルミナコロイド(アルミナゾル)、アルミナ・ホワイト、硫酸アルミニウム等のアルミナ含有化合物;硫酸バリウム、リトポン、硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、グラファイト(黒鉛)等の鉱物;ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、発泡ガラスビーズ等のガラス系フィラー;フライアッシュ球、火山ガラス中空体、合成無機中空体、単結晶チタン酸カリウム、炭素中空球、炭素64フラーレン、無煙炭粉末、人造氷晶石(クリオライト)、酸化チタン、酸化マグネシウム、塩基性マグネシウム、ドロマイト、チタン酸カリウム、亜硫酸カルシウム、マイカ、アスベスト、珪酸カルシウム、アルモニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化珪素繊維等が挙げられる。特に好ましくは、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ及び炭酸カルシウムから選ばれる1種又は2種以上である。
(B)成分の配合量は、(A)成分のPAS樹脂100重量部に対し、150〜300重量部であり、好ましくは150〜250重量部である。(B)成分の配合量が過少であると十分な耐有機溶剤性能が得られず、また過大であると靱性の低下あるいは流動性低下による加工性の悪化等の問題点が発生する。
次に、本発明で使用する(C)オレフィン化合物は、成形時における離型性を向上させるために重要である。かかる(C)成分は、−(CH−を基本構造単位とし、nが15以上の直鎖あるいは分岐構造を有するオレフィン化合物であれば特に限定されない。nが15未満の場合、熱安定性が低くなるため成形時の発生ガスが多くなる等の問題を生じる。(C)オレフィン化合物としては、例えば高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、パラフィン等が挙げられ、好ましくは低密度ポリエチレン(密度0.90〜0.93g/cm)である。
(C)オレフィン化合物の配合量は、(A)成分のPAS樹脂100重量部に対し、0.01〜0.6重量部であり、好ましくは0.01〜0.4重量部である。(C)成分の配合量が過少であると成形時における金型からの離型が困難となる。また過大であると耐有機溶剤性能が低下するため好ましくない。
次に、本発明においては特に必須ではないが、更に(D)結晶核剤を併用することにより、本発明の効果は一段と増大する。この目的に使用する結晶核剤としては、公知の有機質核剤、無機核剤のいずれも使用することができる。
無機核剤としては、カーボンナノチューブ、ZnO、MgO、Al、TiO、MnO、SiO、Feなどの金属酸化物、ボロンナイトライドなどの窒化物、NaCO、CaCO、MgCO、CaSO、CaSiO、BaSO、Ca(POなどの無機塩、シリカ、タルク、カオリン、クレー、白土などが挙げられる。又、有機質核剤としては、シュウ酸カルシウム、シュウ酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、フタル酸カルシウム、酒石酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどの有機塩類、耐熱性の高分子、耐熱性高分子の架橋物などを使用することができる。カーボンナノチューブ、ボロンナイトライド、タルク、カオリン、クレー、白土等の粘土類、架橋又は分岐構造を有する高分子化合物等が好ましく、特に、カーボンナノチューブが好ましい。ここで、架橋又は分岐構造を有する高分子化合物とは、例えばモノマーの一部に3ケ以上の官能基を有するものの重縮合によって生じた分岐又は架橋構造を有する高分子化合物、或いは既成の高分子物質に後で架橋又は分岐構造を付与したものの何れにてもよく、架橋PASであってもよい。
結晶核剤として特に好ましいカーボンナノチューブは、アーク放電法、レーザー蒸着法、CVD法、二酸化炭素の接触水素還元法等いずれも製造方法でも使用可能であるが、平均直径が5〜100nm、平均アスペクト比が20〜2500のものが好ましい。平均直径が過少であるとカーボンナノチューブの製造が困難になり好ましくない。一方、平均直径が過大であると結晶核剤としての効果が小さく同時に耐有機溶剤性能の向上効果が小さく好ましくない。
尚、上記結晶核剤中には無機充填剤と重複するものも存在し、これらの物質は両機能を果たすことができるが、(D)結晶核剤としての使用量は(A)成分100重量部当たり0.01〜3重量部あれば十分であり、好ましくは0.1〜2重量部である。0.01重量部より過小の場合は耐有機溶剤性が十分でない。
本発明では、組成物成形品の高低温衝撃特性を改善するために、熱可塑性エラストマーを適宜併用することができる。熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、フッ素系エラストマー、シリコーン系エラストマー、ブタジエン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、中心に架橋構造を持つ各種粒子系エラストマー等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系エラストマーが好ましく、さらに好ましくはα−オレフィンとα,β−不飽和酸のグリシジルエステルを主成分とするオレフィン系共重合体が用いられる。また、α−オレフィンとα,β−不飽和酸のグリシジルエステルの主成分に各種グラフト共重合体を共重合させたオレフィン系エラストマーも好ましく用いることができる。
熱可塑性エラストマーの配合量としては、(A)成分のPAS樹脂100重量部に対し、1〜25重量部、好ましくは1〜15重量部、さらに好ましくは1〜8重量部である。熱可塑性エラストマーの配合量が過少であると高低温衝撃特性の改善効果が十分でなく、過大であると成形時に金型に付着するモールドデポジットが多くなる問題が発生する。
また、本発明のPAS成形品の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、バリ等を改良する目的としてシラン化合物を配合することができる。シラン化合物としては、ビニルシラン、メタクリロキシシラン、エポキシシラン、アミノシラン、メルカプトシラン等の各種タイプが含まれ、例えば、ビニルトリクロルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。
また、本発明のPAS成形品の樹脂組成物には、その目的に応じ前記成分の他に、他の熱可塑性樹脂を補助的に少量併用することも可能である。ここで用いられる他の熱可塑性樹脂としては、高温において安定な熱可塑性樹脂であればいずれのものでもよい。
更に、本発明のPAS成形品の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、一般の熱可塑性樹脂に添加される公知の物質、即ち酸化防止剤等の安定剤、難燃剤、染・顔料等の着色剤、潤滑剤および結晶化促進剤、結晶核剤等も要求性能に応じ適宜添加することができる。
本発明で用いる成形品の樹脂組成物の調製は、一般に合成樹脂組成物の調製に用いられる設備と方法により調製することができる。一般的には必要な成分を混合し、一軸又は二軸の押出機を使用して溶融混練し、押出して成形用ペレットとすることができる。また、樹脂成分を溶融押出し、その途中で繊維状充填物を添加配合するのも好ましい方法の一つである。
本発明で用いる樹脂成形法は特に限定されるものではなく、射出成形、押出成形、真空成形、圧縮成形等、一般に公知の熱可塑性樹脂の成形法を用いて成形することができるが、最も好ましいのは射出成形である。成形時の金型温度は、PAS樹脂を十分結晶化させるために、120〜180℃が好ましく、特に好ましくは130〜160℃である。金型温度が低すぎると、PAS樹脂の成形表面での結晶化が不十分となるため、耐薬品性が低下してしまい、金型温度が高すぎると、成形サイクル時間が長くなるといった問題を生じる。
本発明で用いる成形品は、成形後、アニール処理を施すのが好ましい。アニール処理の条件は、成形品の大きさ、形状、あるいは用途によって異なるが、一般的には100〜240℃で行われる。アニール温度が低すぎると、アニール処理が長時間となり製造コスト的に好ましくなく、アニール温度が高すぎると、PAS樹脂が劣化するため、機械的強度の低下を引き起こし、好ましくない。
本発明で用いる成形品が接する有機溶剤とは、例えば、以下に示すようなものである。メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン系溶剤、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶剤、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の含窒素系溶剤、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−ノナン、n−ドデカン等の脂肪族炭化水素系溶剤、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族化合物、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、1−クロロエタン、ジクロロエタン等のハロゲン系溶剤、重油、ガソリン、軽油、灯油等の燃料類、潤滑油、ギヤー油、作動油、シリンダー油、グリース等の機械用オイル類が挙げられる。本発明の成形品は、有機溶剤の単独、あるいは2種以上に接する用途に用いることができる。
図1は、実施例で離型性の評価に使用した成形品を示す図である。
次に実施例、比較例で本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例に用いた各(A)、(B)、(C)、(D)の具体的物質は以下の通りである。
(A)ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂
・(A−1)(株)クレハ製、フォートロンKPS(310℃、ズリ速度1200sec−1における粘度20Pa・s)
(B)無機充填剤
・(B−1)ガラス繊維(日本電気硝子(株)製、13μmφチョップドストランド(ECS03T−717))
・(B−2)炭酸カルシウム(東洋ファインケミカル(株)製、ホワイトンP−30)
・(B−3)ガラスフレーク(日本電気硝子(株)製、マイクログラスフレカREFG−108)
(C)オレフィン化合物
・(C−1)低密度ポリエチレン(三洋化成工業(株)製、サンワックス165P、基本構造単位−(CH−のn=約350、密度0.91g/cm
・(C−2)パラフィン(関東化学(株)製、基本構造単位−(CH−のn=約25〜30、融点50〜52℃)
(C’)その他の離型剤
・(C’−1)ペンタエリスリトールテトラステアレート(日本油脂(株)製、ユニスターH476)
・(C’−2)ポリエチレングリコール(三洋化成工業(株)製、ポリオキシエチレングリコール)
・(C’−3)グリセリンモノステアレート(理研ビタミン(株)製、リケマールS−100)
・(C’−4)モンタン酸エステルワックス(クラリアントジャパン(株)製、リコルブWE1パウダー)
・(C’−5)エチレンビスステアリン酸アミド(ライオンアクゾ(株)製、アーモワックスEBS)
・(C’−6)ステアリン酸亜鉛(日本油脂(株)製、ステアリン酸亜鉛)
・(C’−7)モンタン酸(クラリアントジャパン(株)製、リコワックスS)
・(C’−8)12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム(日東化成工業(株)製、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム)
(D)結晶核剤
・(D−1)ボロンナイトライド(水島合金鉄(株)製、FS−1)
・(D−2)カーボンナノチューブ(ハイペリオン・キャタリシス・インターナショナル製、RMB7015−01)
平均直径10nm、平均アスペクト比100〜1000のカーボンナノチューブとポリフェニレンサルファイド樹脂の15重量%マスターバッチ
また、実施例および比較例での評価方法は以下の通りである。
[耐薬品性の評価]
試験片(長さ130mm、幅13mm、厚み0.8mm)を成形し、レギュラーガソリン(85%)/メタノール(15%)の混合溶剤中に80℃、1000時間浸漬した時の試験片の重量部変化率(重量増(wt%))により評価した。
[曲げ強度の測定]
ISO3167に準じた試験片(幅10mm、厚み4mm)を成形し、ISO178に準じて測定した。
[離型性の評価]
図1に示す形状の成形品を成形する際の離型性を、離型状況と離型時の音から下記3段階で判定した。
○;離型良好
△;離型やや劣る
×;離型不良
実施例1〜9、比較例1〜9
表1、2に示す各原料成分をヘンシェルミキサーで5分間混合し、これをシリンダー温度320℃の二軸押出機に投入し(ガラス繊維(B−1)は押出機のサイドフィード部より別添加)、樹脂温度350℃にて溶融混練し、樹脂組成物のペレットを作った。
得られた樹脂組成物のペレットを、シリンダー温度320℃の二軸押出機に投入し表1、2に示す金型温度で射出成形を行い、目的の成形品(試験片)を作成し、上記評価を行った。結果を表1、2に示す。
実施例10
(D)結晶核剤として、D−2を4.7重量部(カーボンナノチューブ量としては0.7重量部)使用した以外は実施例9と同様に目的の成形品(試験片)を作成し、上記評価を行なった。結果を表1に示す。
Figure 2007046451
Figure 2007046451

Claims (9)

  1. (A)ポリアリーレンサルファイド樹脂100重量部
    (B)無機充填剤150〜300重量部
    (C)−(CH−を基本構造単位とし、nが15以上の直鎖あるいは分岐構造を有するオレフィン化合物0.01〜0.6重量部
    からなるポリアリーレンサルファイド樹脂組成物。
  2. (C)オレフィン化合物の添加量が0.01〜0.4重量部である請求項1記載のポリアリーレンサルファイド樹脂組成物。
  3. (C)オレフィン化合物が、低密度ポリエチレンである請求項1又は2記載のポリアリーレンサルファイド樹脂組成物。
  4. 更に、(A)ポリアリーレンサルファイド樹脂100重量部当たり(D)結晶核剤0.01〜3重量部を配合してなる請求項1〜3の何れか1項記載のポリアリーレンサルファイド樹脂組成物。
  5. (D)結晶核剤がカーボンナノチューブである請求項4記載のポリアリーレンサルファイド樹脂組成物。
  6. カーボンナノチューブが、多層構造を有し、平均直径が5〜100nm、平均アスペクト比が20〜2500である請求項5記載のポリアリーレンサルファイド樹脂組成物。
  7. (B)無機充填剤が、ガラス繊維、ガラスフレーク及び炭酸カルシウムから選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜4の何れか1項記載のポリアリーレンサルファイド樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7の何れか1項記載のポリアリーレンサルファイド樹脂組成物を成形して得られることを特徴とする、有機溶剤に接するポリアリーレンサルファイド樹脂成形品。
  9. 請求項1〜7の何れか1項記載のポリアリーレンサルファイド樹脂組成物を、金型温度120〜180℃で成形して得られることを特徴とする、有機溶剤に接するポリアリーレンサルファイド樹脂成形品。
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