以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置、画像形成装置の画像形成方法、およびプログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。以下の実施の形態では、本発明の画像形成装置をカラー複写機に適用した例を示す。但し、カラー複写機に限られず、ファクシミリ、スキャナ機能やコピー、ファックス、プリンタなどの複数の機能を一つの筐体に収納した複合機等、画像処理によるスキューの補正(以下、スキュー補正とする)を行うものであれば、本発明を適用することができる。また、以下では、本実施の形態にかかるカラー複写機の構成とスキュー補正処理について説明した後に、本実施の形態にかかるカラー複写機の特徴的な構成およびスキュー補正処理について説明する。
(カラー複写機の構成と補正処理について)
まず、カラー複写機の作像原理について図1を参照して説明する。図1は、カラー複写機の作像原理を説明するための画像プロセス部、露光部および転写ベルトの正面図である。カラー複写機は、電子写真方式の画像形成により転写紙上への画像を形成する装置である。
このカラー複写機は、所謂直接転写方式のタンデム型の画像形成装置であり、各々異なる色(Y,M,C,K)の画像を形成する画像プロセス部1の内部の4個の作像ユニット1Y,1M,1C,1Kが、転写媒体としての転写紙2を搬送する転写ベルト3に沿って一列に配置されている。転写ベルト3は、駆動回転する駆動ローラ4と従動回転する従動ローラ5との間に架設されており、駆動ローラ4の回転によって、図中矢印の方向に回転駆動される。転写ベルト3の下部には、転写紙2が収納された給紙トレイ6が備えられる。この給紙トレイ6に収納された転写紙2のうち最上位置にある転写紙2が、画像形成時に転写ベルト3に向けて給紙され、静電吸着によって転写ベルト3上に吸着される。吸着された転写紙2は、作像ユニット1Yに搬送され、ここで最初にY色の画像形成が行われる。
作像ユニット1Y,1M,1C,1Kは、それぞれ感光体ドラム7Y,7M,7C,7Kと、感光体ドラム7Y,7M,7C,7Kの周囲に配置された帯電器8Y,8M,8C,8Kと、現像器10Y,10M,10C,10Kと、感光体クリーナ11Y,11M,11C,11Kと、転写器12Y,12M,12C,12Kと、を備える。
作像ユニット1Yの感光体ドラム7Yの表面は、帯電器8Yで一様に帯電された後、露光部9によりY色の画像に対応したレーザ光LYで露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、現像器10Yで現像され、感光体ドラム7Y上にトナー像が形成される。このトナー像は、感光体ドラム7Yと転写ベルト3上の転写紙2とが接する位置(転写位置)で、転写器12Yによって転写紙2に転写され、これによって、転写紙2上に単色(Y色)の画像が形成される。転写が終わった感光体ドラム7Yでは、ドラム表面に残った不要なトナーが感光体クリーナ11Yによってクリーニングされ、つぎの画像形成に備えることとなる。
このように、作像ユニット1Yで単色(Y色)が転写された転写紙2は、転写ベルト3によって作像ユニット1Mに搬送される。ここでも同様に、感光体ドラム7M上に形成されたM色のトナー画像が転写紙2上に重ねて転写される。転写紙2は、その後さらに作像ユニット1Cと作像ユニット1Kとに順に搬送され、同様に、形成されたC色とK色のトナー像が転写紙2に転写され、これによって転写紙2上にカラー画像が形成されてゆく。
そして、作像ユニット1Kを通過してカラー画像が形成された転写紙2は、転写ベルト3から剥離され、定着器13で定着された後、排紙される。
ところで、タンデム型の画像形成装置においては、その構成上、各色間の位置合わせが重要である。そのため、このカラー複写機では、転写ベルト3上に各色の補正パターンを作像し、その補正パターンを光学式の検知センサ15,16を用いて検出することで、各色間の位置ずれを、主走査方向(感光体ドラム7K,7M,7C,7Yの回転軸に平行な方向)のレジストレーションずれ、副走査方向(感光体ドラム7K,7M,7C,7Yの回転軸に垂直な方向)のレジストレーションずれ、主走査倍率ずれ、スキューずれなどのように要因別に算出し、それぞれが一致するように位置ずれを補正する。なお、このカラー複写機では、転写紙2に対して実際のカラー画像形成動作を行うに先立ち、補正パターンを用いた各色間の位置ずれ補正を行うことにしている。
図2は、補正パターンが形成された状態を示す転写ベルトの斜視図である。このカラー複写機では、位置ずれ補正のため、転写ベルト3上に各色の位置ずれ補正用の補正パターン14を各作像ユニット1Y,1M,1C,1Kで形成し、この補正パターン14を複数の検知用の検知センサ15,16で検出する。この図2の例では、複数の検知センサ15,16を転写ベルト3における主走査方向の両端に配置し、転写ベルト3には、各々の検知センサ15,16の配置位置に対応して補正パターン14が形成されている。このような補正パターン14は、転写ベルト3が同図に示す搬送方向に転動移動し、検知センサ15,16を順に通過することによって検出される。この補正パターン14を検出すると、その検出結果から、種々の位置ずれ量(主走査倍率ずれ量、主走査レジストレーションずれ量、副走査レジストレーションずれ量、スキューずれ量、歪み量)を算出するための演算処理が行われ、その位置ずれ量から各位置ずれ成分の位置ずれ補正量が算出される。
つぎに、カラー複写機の制御動作に関連するブロックとその動作について説明する。図3は、カラー複写機の書込み制御と位置ずれ補正を行う機構の構成の一例を示すブロック図である。このカラー複写機で位置ずれ補正処理を行う処理部は、検知センサ15,16、プリンタコントローラ111、スキャナコントローラ112、エンジン制御部113、およびK,M,C,Y各色のLD(Laser Diode)制御部114K,114M,114C,114Yである。
検知センサ15,16は、各色の画像の位置ずれ量を算出するために、転写ベルト3に形成された補正パターン14の位置を検出するためのものである。検知センサ15,16は、検出した補正パターン14の位置を示すアナログの検知信号をエンジン制御部113に出力する。
プリンタコントローラ111は、外部装置(たとえばパーソナルコンピュータ(以下、PCという))からネットワークを介して送信された画像データを受信するためのものである。プリンタコントローラ111は、受信した画像データをエンジン制御部113(後述する画像処理部124)へ転送する。
スキャナコントローラ112は、図示しないスキャンで読み取った原稿の画像データを取得するためのものである。スキャナコントローラ112は、取得した画像データをエンジン制御部113(後述する画像処理部124)へ転送する。
エンジン制御部113は、大別して、パターン検知部121と、CPU(Central Processing Unit)122と、RAM(Random Access Memory)123と、画像処理部124と、書込み制御部125と、を有する。
パターン検知部121は、検知センサ15,16から出力された検知信号を増幅し、増幅されたアナログの検知信号をデジタルデータへ変換し、変換したデジタルデータをRAM123に格納する。
CPU122は、RAM123に格納されたデジタルデータが示す補正パターン14の位置から位置ずれ量を算出し、算出した位置ずれ量から位置ずれを補正するための位置ずれ補正量を算出する。ここで、位置ずれ量としては、各色の歪み量、主走査方向の倍率誤差量、主走査方向レジストレーションずれ量および副走査方向レジストレーションずれ量(以下、主/副レジストずれ量という)、スキューずれ量などがある。また、これらの位置ずれ量から算出した位置ずれ補正量としては、各色の歪み補正量、主走査倍率補正量、主走査方向レジストレーション補正量および副走査方向レジストレーション補正量(以下、主/副レジスト補正量という)、スキュー補正量などがある。
また、CPU122は、画像データの解像度、および算出した各色(Y,M,C,K)の歪み量に基づいて、K色を基準色とする場合のY色、M色、およびC色の歪みライン量を算出し、これらの基準色に対する各色の歪みライン量に基づいて、ラインメモリのライン数を決定する。なお、基準色とは、各色の歪み量を算出する際の基準位置となる色をいい、この例ではK色を基準色としている。
RAM123は、パターン検知部121からCPU122を介して取得した補正パターン14の位置を示すデジタルデータを一時的に記憶するためのものである。なお、このRAM123を不揮発性メモリに代替し、不揮発性メモリに補正パターン14の位置を示すデジタルデータを記憶する構成としてもよい。
画像処理部124は、プリンタコントローラ111によって受信した各画像データ、またはスキャナコントローラ112から取得した各画像データに応じた種々の画像処理を施して色毎の画像データ(例えば、1ビットの2値画像データ)に変換し、色毎の画像データを書込み制御部125に転送する。本実施の形態では、画像処理部124は、書込み制御部125から送信された各色の副走査タイミング信号(K,M,C,Y)_FSYNC_Nに従って、各色の主走査ゲート信号(K,M,C,Y)_IPLGATE_Nと副走査ゲート信号(K,M,C,Y)_IPFGATE_Nおよびこれら同期信号に伴う各色の画像データ(K,M,C,Y)_IPDATA_Nを書込み制御部125に送信する。
書込み制御部125は、K,M,C,Y各色の書込み制御部126K,126M,126C,126Yを備えている。書込み制御部126K,126M,126C,126Yは、各色の画像データに応じた静電潜像を感光体7Y,7M,7C,7Kに形成する印字タイミングを生成し、生成した印字タイミングに合わせて画像処理部124から転送された画像データを受け取り、受け取った画像データに各種書込み画像処理を施してLD発光データ(K,M,C,Y)_LDDATAに変換し、それぞれLD制御部114K,114M,114C,114Yに送信する。
LD制御部114K,114M,114C,114Yは、露光部9内に備えられ、書込み制御部125から送信されたLD発光データに従って露光部9に駆動信号を出力して、露光部9による感光体ドラム7Y,7M,7C,7Kへのレーザ光LY,LM,LC,LKの照射を制御するためのものである。レーザ光LY,LM,LC,LKが照射されることによって、感光体ドラム7Y,7M,7C,7K上に静電潜像が形成される。
このようなカラー複写機におけるカラー画像形成処理の概要について説明する。PCからのプリンタ画像はプリンタコントローラ111で、コピー画像はスキャナコントローラ112でそれぞれ処理され、エンジン制御部113の画像処理部124に転送される。画像処理部124では、各画像データに応じた種々の画像処理を行い、カラー各色の画像データに変換して書込み制御部125に転送する。書込み制御部125では、各色の印字タイミングを生成し、副走査タイミングに合わせて画像データを受け取り、各種書込み画像処理を施した後にLD発光データに変換し、各色のLD制御部114K,114M,114C,114YにてLDを発光し、感光体ドラム上に画像を形成する。
ここで、エンジン制御部113内の書込み制御部125について図4を参照してさらに説明する。図4は、書込み制御部の構成の一例を示すブロック図である。書込み制御部125は、大別して、K,M,C,Y各色の書込み制御部126K,126M,126C,126Yと、入力画像制御部127K,127M,127C,127Yと、ラインメモリ128K,128M,128C,128Yと、を備えている。
さらに、基準色のK色の書込み制御部126Kは、書込画像処理部131K、位置ずれ補正パターン生成部132K、LDデータ出力部133Kを備える。また、他のM,C,Y色の書込み制御部126M,126C,126Yは、K色と同様の構成である書込画像処理部131M,131C,131Y、位置ずれ補正パターン生成部132M,132C,132Y、LDデータ出力部133M,133C,133Yに加えて、スキュー補正処理部135M,135C,135Yを備える。
なお、この図4においては、説明を簡略にするために、図3で説明した各色の主走査ゲート信号(K,M,C,Y)_IPLGATE_Nと副走査ゲート信号(K,M,C,Y)_IPFGATE_Nおよびこれら同期信号に伴う画像データ(K,M,C,Y)_IPDATA_Nの3信号をあわせて書き込み制御信号(K,M,C,Y)_IPDATA[7:0]_Nと表記している。
入力画像制御部127K,127M,127C,127Yは、画像処理部124から送信された書き込み制御信号(K,M,C,Y)_IPDATA[7:0]_Nを受け取り、受け取った書き込み制御信号(K,M,C,Y)_IPDATA[7:0]_Nを、主走査方向を1ラインとして副走査方向の画像データ(画像)を複数に分割してラインメモリ128K,128M,128C,128Yに格納する。さらに、入力画像制御部127K,127M,127C,127Yは、ラインメモリ128K,128M,128C,127Yをトグル動作させながら、主走査方向の1ラインずつ書き込み制御信号(K,M,C,Y)_IPDATA[7:0]_Nを各色の書込み制御部126K,126M,126C,126Yに転送するものである。
本実施の形態では、入力画像制御部127K,127M,127C,127Yは、CPU122により算出された歪みライン量に基づいて、各色のラインメモリ128K,128M,128C,128Yへの書き込み制御信号(K,M,C,Y)_IPDATA[7:0]_Nの格納を行う。また、本実施の形態では、入力画像制御部127K,127M,127C,127Yは、画像処理部124から1ビットの2値画像の画像データ(書き込み制御信号(K,M,C,Y)_IPDATA[7:0]_N)を受信し、受信した画像データを書込み制御部126K,126M,126C,126Yに転送する。なお、本実施の形態では、2値画像の画像データを書込み制御部126K,126M,126C,126Yに転送しているが、これに限定するものではない。例えば、2値画像の画像データを4ビットの濃度値(0(=白画素)〜15(=黒画素))を取る画像データに変換して書込み制御部126K,126M,126C,126Yに転送してもよい。
ラインメモリ128K,128M,128C,128Yは、画像処理部124から送信された書き込み制御信号(K,M,C,Y)_IPDATA[7:0]_Nを順次格納するためのメモリである。
書込画像処理部131K,131M,131C,131Yは、入力画像制御部127K,127M,127C,127Y(または後述するスキュー補正処理部135M,135C,135Y)から転送された書き込み制御信号(K,M,C,Y)_IPDATA[7:0]_Nに各種の画像処理を施してLD出力部133K,133M,133C,133Yに転送するものである。
位置ずれ補正パターン生成部132K,132M,132C,132Yは、転写ベルト3上での各色の位置ずれを補正するための位置ずれ補正量を算出するために、転写ベルト3に転写する補正パターン14を生成するためのものである。
LDデータ出力部133K,133M,133C,133Yは、書込画像処理部131K,131M,131C,131Yから転送された書き込み制御信号(K,M,C,Y)_IPDATA[7:0]_NをLD発光データ(K,M,C,Y)_LDDATAに変換し、CPU122によって算出された主/副レジスト補正量に応じて補正書き込み指令(LDDATA)をLD制御部114K,114M,114C,114Yに送出し、レーザ光照射による書き込みタイミングのずれを補正する制御を行うものである。また、LDデータ出力部133K,133M,133C,133Yは、CPU122によって算出された主走査倍率補正量に応じた画像周波数の変更指令(LDDATA)をLD制御部114K,114M,114C,114Yに送出し、主走査方向の倍率誤差の補正制御を行うものである。さらに、LDデータ出力部133K,133M,133C,133Yは、位置ずれ補正パターン生成部132K,132M,132C,132Yから得られる補正パターン14を転写ベルト3上に形成する指令(LDDATA)を、LD制御部114K,114M,114C,114Yに送出するものである。
また、LDデータ出力部133K,133M,133C,133Yは、出力周波数を非常に細かく設定できるデバイス、たとえば電圧制御発信器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)を利用したクロックジェネレータなどを各色について備え、クロックジェネレータに設定された出力周波数に従って、各画素の画像データ(書き込み制御信号(K,M,C,Y)_IPDATA[7:0]_N)を周期的に転写ベルト3上に形成/出力する。
スキュー補正処理部135M,135C,135Yは、K色を基準として画像データ(書き込み制御信号(K,M,C,Y)_IPDATA[7:0]_N)のスキュー補正を行うものである。具体的には、スキュー補正処理部135M,135C,135Yは、ラインメモリ128M,128C,128Yに格納された主走査方向の1ラインの画像データを表現する画素を分割し、分割した画素により表現される画像データをスキューとは逆の副走査方向にシフトさせて書込画像処理部131M,131C,131Yに転送する。これにより、トナー画像が形成される際に生じるスキューを補正する。以下、書込み制御部126K,126M,126C,126Yによる画像書込み処理について詳細に説明する。
まず、この図4のK色における画像書込み処理について説明する。まず、画像データK_IPDATA[7:0]_Nが、画像処理部124から入力画像制御部127Kに送信される。入力画像制御部127Kは、ラインメモリ128Kに画像データを一時記憶しながら、書込み制御部126Kに画像データを送信する。書込み制御部126K内部では、書込画像処理部131Kが、入力画像制御部127Kから送信された画像データをLDデータ出力部133Kに送信する。LDデータ出力部133Kは、K色のLD発光データK_LDDATAを生成しLD制御部114Kに送信する。
次に、図4のM色、C色、Y色における画像書込み処理について説明する。まず、画像データ(M,C,Y)_IPDATA[7:0]_Nが、画像処理部124から入力画像制御部127M,127C,127Yに送信される。ついで、入力画像制御部127M,127C,127Yは、RAM123に保存されたスキュー補正量に基づいてスキュー補正を行うために、画像データ(M,C,Y)_IPDATA[7:0]_Nをそれぞれラインメモリ128M,128C,128Yに一時記憶する。スキュー補正処理部135M,135C,135Yは、一時記憶された画像データ(M,C,Y)_IPDATA[7:0]_Nに、スキュー補正量によるスキュー補正処理を実行した後、書込画像処理部131M,131C,131Yに画像データ(M,C,Y)_IPDATA[7:0]_Nを送信する。そして、K色の動作と同様に、各色の書込画像処理部131M,131C,131Yから画像データ(M,C,Y)_IPDATA[7:0]_Nを受信した各色のLDデータ出力部133M,133C,133Yは、LD発光データ(M,C,Y)_LDDATAを生成し、各色のLD制御部114M,114C,114Yにそれぞれ送信する。上記スキュー補正量については、後に詳細を説明する。
なお、位置ずれ補正パターン14を出力する際には、位置ずれ補正パターン生成部132K,132M,132C,132YからK,M,C,Y各色のパターン画像データが各色のLDデータ出力部133K,133M,133C,133Yに送信される。その後は、上記における説明と同様の動作を行う。
上述したように、カラー画像を形成するためには、K,M,C,Yの各色の位置合わせが行われていなければならない。そこで、位置ずれ補正処理について、図5のフローチャートを参照しながら説明する。図5は、位置ずれ補正処理の手順を示すフローチャートである。以下の位置ずれ補正処理は、基準色をK色とした場合について説明する。基準色とは補正の基準となる色で、他の色を基準色に合わせることで各色間の位置ずれを補正するものである。
書込み制御部125は、CPU122から位置ずれ補正処理の開始が指示されると、まず、図4の各色の書込み制御部126K,126M,126C,126Y内の位置ずれ補正パターン生成部132K,132M,132C,132Yで生成した補正パターン14を転写ベルト3上に形成する(ステップS11)。ついで、検知センサ15,16が、転写ベルト3上に形成された補正パターン14の位置を検出する(ステップS12)。
その後、検知センサ15,16で検出された補正パターン14の位置を示す検知信号がパターン検知部121によりデジタルデータへと変換された後、CPU122が、デジタルデータが示す補正パターン14の位置から、基準色(K色)に対する主走査倍率補正量と、主レジスト補正量と、副レジスト補正量と、が算出される(ステップS13)。同時に、CPU122は、基準色(K色)に対する各色のスキュー補正量を算出し(ステップS14)、さらに、スキュー補正を行うための主走査方向の分割位置と補正方向を算出する(ステップS15)。
そして、CPU122は、算出した主走査倍率補正量、主レジスト補正量、および副レジスト補正量と、スキュー補正量と、スキュー補正用の主走査の分割位置および補正方向と、を含む情報をRAM123(または不揮発性メモリ)に保存し(ステップS16)、位置ずれ補正処理が終了する。なお、RAM123に保存した補正量は、次回の位置ずれ補正処理を実施するまで、印刷時の補正量として使用される。
以上のように、主走査倍率補正量、主レジスト補正量、副レジスト補正量、およびスキュー補正量と、M,C,Y各色のスキュー補正用の主走査の分割位置および補正方向と、を保存した後に、印刷処理が行われる。図6は、印刷処理の手順の一例を示すフローチャートである。
まず、CPU122から印刷要求を受信すると、書込み制御部125は、前述した主走査倍率補正量に基づき、K,M,C,Y各色の画素クロック周波数を設定する(ステップS31)。ついで、書込み制御部125は、RAM123に保存された主レジスト補正量に基づいて、各色の主走査遅延量を設定し(ステップS32)、さらに、RAM123に保存された副レジスト補正量に基づいて、各色の副走査遅延量を設定する(ステップS33)。
その後、書込み制御部125は、各色のスキュー補正量と階調数情報に基づいて、基準色(K色)に対するM、CおよびY色のスキュー補正量を設定する(ステップS34)。そして、書込み制御部125は、設定されたK,M,C,Y各色の主走査画素クロック周波数、主走査遅延量、副走査遅延量、スキュー補正量に基づいて画像補正を実行しながら印刷動作を開始し、印刷処理が終了する(ステップS35)。
なお、主走査方向の位置ずれの補正は、主走査倍率と主走査の書き出しタイミングを補正することによって行われ、主走査倍率補正は、書込み制御部125で検出した各色の倍率誤差量に基づく画像周波数を変更することによって行う。ただし、書込み制御部125には、周波数を非常に細かく設定できるデバイス、たとえばVCOを利用したクロックジェネレータなどが備えられている。また、主走査方向の書き出しタイミングは、各色の同期検知信号をトリガにして動作する主走査カウンタのどの位置からLDがデータを出力するかによって調整を行う。
さらに、副走査方向の位置ずれ補正は、副走査方向の書き出しタイミングを調整することで行う。図7は、書込み制御部による副走査方向の書き出しタイミング補正の一例を示すタイミングチャートである。図7において、書込み制御部125は、CPU122からのスタート信号STTRIG_Nを基準として、ライン数をカウントし、画像処理部124に対して副走査タイミング信号(Y,M,C,K)_FSYNC_Nを出力する。
その後、画像処理部124では、副走査タイミング信号(Y,M,C,K)_FSYNC_Nの受信をトリガにして、副走査ゲート信号(Y,M,C,K)_IPFGATE_Nを書込み制御部125に出力し、画像データ(Y,M,C,K)_IPDATA[7:0]_Nを転送する。そして、各色の書込み制御部126Y,126M,126C,126Kでは、LD発光データ(Y,M,C,K)_LDDATAをLD制御部114Y,114M,114C,114Kに送信する。
なお、副走査方向のレジストを補正する場合には、スタート信号からの副走査遅延量(Y,M,C,K)_mfcntldを、検出した位置ずれ量に応じて変更する。通常は、K色を基準としての位置ずれ量をカラー(M,C,Y)の副走査遅延量に反映して、(Y,M,C,K)_FSYNC_Nのタイミングを変更して副走査方向の位置合わせを行う。
つぎに、本実施の形態にかかるカラー複写機における位置ずれ量の検出とその補正処理について説明する。転写ベルト3上に形成された補正パターン14の位置は検知センサ15,16で検出され、得られた検知信号は、パターン検知部121によってアナログデータからデジタルデータへと変換され、変換されたデジタルデータの中からサンプリングされ、サンプリングされたデジタルデータはRAM123に格納される。一通り補正パターン14の検出が終了した後、RAM123に格納されていたデジタルデータを用いて、CPU122が、種々の位置ずれ量(主走査倍率、主レジストずれ量、副レジストずれ量、スキュー量)を算出するための演算処理を行い、その位置ずれ量から各ずれ成分の補正量(主走査倍率補正量、主/副レジスト補正量、スキュー補正量)を算出する。
ここで、スキュー補正に用いるスキューずれ量およびスキュー補正量の算出方法ついて説明する。図8は、転写ベルト上に形成された補正パターンの一例を示す図である。図9は、スキューずれ量の算出方法の一例を示す図である。ここでは、K色を基準色とした場合の各色のスキューずれ量を算出する方法の一例を示している。
CPU122は、まず基準色であるK色に対するカラー各色(M,C,Y)のスキューずれ量を求める。例えば、図9のようにC色の補正パターン14(C11,C21)の右側が通常の位置よりも下にずれている場合を例に挙げて説明すると、左側の検知センサ15は、転写ベルト3に形成された左側の補正パターン14(K11,C11)の位置を検出し、その位置関係からK色とC色の左側距離KC_Lを算出する。一方、右側の検知センサ16は、転写ベルト3に形成された右側の補正パターン14(K21,C21)の位置を検出し、その位置関係からK色とC色の右側距離KC_Rを算出する。以上により、C色のK色に対するスキューずれ量:KC_Skewは、次式(1)のように求められる。
KC_Skew=KC_R−KC_L ・・・(1)
また、M色、Y色についても同様に、補正パターン14の位置を検出することによって、次式(2)、(3)からそれぞれのスキューずれ量KM_Skew,KY_Skewが算出される。
KM_Skew=KM_R−KM_L ・・・(2)
KY_Skew=KY_R−KY_L ・・・(3)
以上のようにして、K色を基準としたC色、M色、Y色のスキューずれ量、KC_Skew,KM_Skew,KY_Skewが算出される。
次に、スキューずれ量とスキュー補正量の関係についての詳細を説明する。図10は、副走査方向の解像度が600dpi時のK色基準の各色のスキューずれ量の一例を示す図である。上記の(1)〜(3)式を用いて、カラー各色のスキューずれ量が図10のように求められたものとする。すなわち、K色基準で各色のスキューずれ量が、M:−110[μm]、C:−130[μm]、Y:30[μm]であったとする。ここで、副走査方向の解像度が600dpiであるので、1ラインシフトすることによって、25,400[μm]/600=42.3[μm]移動する。したがって、スキュー補正量は、それぞれのスキューずれ量を1ラインあたりの移動量で割って、小数点以下は四捨五入して整数単位の値にし、符号を反転したものとして求めることができる。図11は、図10の場合のスキュー補正量の一例を示す図である。この図11に示されるように、図10に示されるスキューずれ量の場合のスキュー補正量は、それぞれM:+3ライン、C:+3ライン、Y:−1ラインとなる。
図12〜図17は、スキュー補正方法(スキュー補正量算出方法)の一例を示す図である。図12は、入力画像図を示す図であり、8ライン分の画像データを示す図である。ここで、1つのラインは1つのラインメモリに格納される画像データを示している。図13は、スキュー補正を行わずに図12の入力画像図をそのままLD発光データとして出力した状態を示す図である。この図に示されるように、走査ビームのスキューにより、入力画像図をそのままLD発光データとして出力した場合には、図12と比較して用紙上で右側の画像が上方向に3ラインに相当する量だけずれている(つまり、スキュー補正量のライン数は3である)。
このように、右側の画像が上に3ラインずれている場合には、図14に示されるように、主走査方向の1ラインの画像データを表現する画素(0〜4800画素)を{(スキュー補正量のライン数)+1}等分割、すなわち4等分割する。ここで、主走査方向の1ラインの画像データを表現する画素を分割した位置(分割位置)をシフト位置といい、シフト位置で区切られるライン上の主走査方向の領域をシフト領域というものとする。
そして、スキュー補正処理部135M,135C,135Yは、図15に示されるように、シフト位置で分割した画素を、右側のシフト領域に移る度に1ラインずつ下方向にシフトさせて画像データを出力すれば、図16に示すように、用紙上で左右の画像位置を平行にさせることができる。つまり、ラインメモリに画像データの一部を蓄積し、ラインメモリの読み出し位置を切り替えながら画像データを読み出し、主走査方向に分割した画像データ(シフト領域)を副走査方向にシフトすることにより、図16に示すように、各色のスキューを補正する。
よって、スキュー補正処理部135M,135C,135Yは、図17に示すように、CPU122により算出されたスキュー補正量から、ラインメモリのアドレスであるシフト位置およびそれぞれのシフト位置における副走査方向へのシフト方向(+方向または−方向)をスキュー補正用データとして求め、シフト位置に従って主走査方向に分割した画素(シフト領域)をシフト方向にシフトすることで各色のスキューを補正する。図17は、スキュー補正処理部により求めたシフト位置およびシフト方向の一例を示す図である。
図18〜図23は、スキュー補正方法(スキュー補正量算出方法)の他の例を説明するための図である。図18は、8ライン分の画像データを示す図である。図19は、スキュー補正を行わずに図18に示す画像データをそのままLD発光データとして出力した状態を示す図である。この図に示されるように、走査ビームのスキューにより、画像データをそのままLD発光データとして出力した場合には、図18に示す画像データと比較して用紙上で右側の画像が下方向に1ラインに相当する量ずれている。つまり、スキュー補正量のライン数は1である。この場合も上述した図12〜図17の場合と同様に処理を行うことで、スキューを補正することができる。
具体的には、右側の画像データが下方向に1ラインずれて出力されてしまう場合、スキュー補正処理部135M,135C,135Yは、図20に示すように、主走査方向の1ラインの画像データを表現する画素(0〜4800画素)を{(スキュー補正量のライン数)+1}等分割する(すなわち、2等分割する)。そして、スキュー補正処理部135M,135C,135Yは、図21に示すように、シフト位置で分割した画素を、右側のシフト領域に移る度に1ラインずつシフト領域を上方向にシフトさせて画像データを出力する。これにより、スキュー補正処理部135M,135C,135Yは、図22に示すように、用紙上で左右の画像位置を平行に補正することができる。
つまり、スキュー補正用のラインメモリに画像データの一部を順次蓄積しておき、スキュー補正処理部135M,135C,135Yが、シフト位置で区切られる各シフト領域でどのラインメモリ128M,128C,128Yの画像データをリードするかを切り替えることで、図16や図22に示す画像データを出力することができる。よって、スキュー補正処理部135M,135C,135Yは、図17と図23に示されるように、CPU122により算出されたスキュー補正量から、ラインメモリのアドレスであるシフト位置と、それぞれのシフト位置における副走査方向へのシフト方向(+方向または−方向)と、をスキュー補正用データとして求め、シフト位置に従って主走査方向に分割した画素(シフト領域)をシフト方向にシフトすることで各色のスキューを補正する。この主走査方向のシフト位置のアドレスと、それぞれのシフト位置での副走査方向の+方向か−方向へのシフト方向を含む情報をシフト補正情報という。
なお、スキュー補正処理部135M,135C,135Yは、CPU122により算出されたスキュー補正量からシフト補正情報を求めると、シフト補正情報をRAM123に格納し、スキュー補正を行う度にRAM123からシフト補正情報を受け取り、シフト補正情報に従ってスキュー補正を行うものとする。また、スキュー補正処理部135M,135C,135Yは、新たなシフト補正情報を求めた場合、新たなシフト補正情報によりRAM123に格納されているシフト補正情報を更新するものとする。
例えば、図14に示すように主走査方向の画像データを表現する画素の画素数を4,800画素とした場合、スキュー補正処理部135M,135C,135Yは、左端の画素に対して右端の画素が3ライン上方向にシフトしているので、主走査方向の1ラインの画像データを表現する画素(0〜4800画素)を4等分割する。つまり、スキュー補正処理部135M,135C,135Yは、1〜1,200画素、1,201〜2,400画素、2,401〜3,600画素、3,601〜4,800画素のシフト領域に分割し、それぞれのシフト領域を1ブロック目、2ブロック目、3ブロック目、4ブロック目というものとする。
そして、スキュー補正処理部135M,135C,135Yは、図15に示すように1ライン目の0〜1,200画素までは1本目のラインメモリの画像データの1ブロック目を出力し、1,201〜4,800画素までは白画素を出力する。また、スキュー補正処理部135M,135C,135Yは、2ライン目の0〜1,200画素までは2本目のラインメモリの画像データの1ブロック目を出力し、1,201〜2,400画素では1本目のラインメモリの画像データの2ブロック目を出力し、2,401〜4,800画素までは白画素を出力する。スキュー補正処理部135M,135C,135Yは、このような画像データの出力処理を繰り返し実行することで、図16に示すように、用紙上で左右の画像位置が平行になるように補正することができる。
図24および図25は、スキュー補正時の書込み制御部による副走査方向の書き出しおよび読み出しのタイミングチャートである。ここでは、K色は基準色であるので分割なしであり、M色およびC色はスキュー補正量が3ドットであるので4等分割されたシフト領域をシフト方向にシフトする補正であり、Y色はスキュー補正量が1ドットであるので、2等分割されたシフト領域をシフト方向にシフトする補正であるものとする。
図24および図25において、入力画像制御部127K,127M,127C,127Yは、CPU122からのスタート信号STTRIG_Nからの副走査遅延量(K,M,C,Y)_mfcntldによるタイミングで印刷動作を開始する。印刷動作が開始すると、入力画像制御部127K,127M,127C,127Yは、ラインメモリK−1,M−1,C−1,Y−1に画像データを格納する。
ついで、入力画像制御部127K,127M,127C,127Yは、ラインメモリK−2,M−2,C−2,Y−2への画像データの格納と同時に、ラインメモリK−1,M−1,C−1,Y−1から画像データを読み出す。そして、書込み制御部126Kを経てK色のLD発光データK_LDDATAに全画素が出力され、書込み制御部126Mを経てM色のLD発光データM_LDDATAに4分割の1ブロック目の画素が出力され、書込み制御部126Cを経てC色のLD発光データC_LDDATAに4分割の1ブロック目の画素が出力され、書込み制御部126Yを経てY色のLD発光データY_LDDATAに2分割の1ブロック目の画素が出力される。
その後、入力画像制御部127K,127M,127C,127Yは、ラインメモリK−1,M−3,C−3,Y−3への画像データの格納と同時に、ラインメモリK−2,M−1,M−2,C−1,C−2,Y−1,Y−2から画像データを読み出す。そして、書込み制御部126Kを経てK色のLD発光データK_LDDATAに全画素が出力され、書込み制御部126Mを経てM色のLD発光データM_LDDATAにラインメモリM−1の4分割の2ブロック目の画素とラインメモリM−2の4分割の1ブロック目の画素が出力される。また、書込み制御部126Cを経てC色のLD発光データC_LDDATAにラインメモリC−1の4分割の2ブロック目の画素とラインメモリC−2の4分割の1ブロック目の画素が出力され、書込み制御部126Yを経てY色のLD発光データY_LDDATAにラインメモリY−1の2分割の2ブロック目の画素とラインメモリY−2の2分割の1ブロック目の画素が出力される。
ついで、入力画像制御部127K,127M,127C,127Yは、ラインメモリK−2,M−4,C−4,Y−1への画像データの格納と同時に、ラインメモリK−1,M−1,M−2,M−3,C−1,C−2,C−3,Y−2,Y−3から画像データを読み出す。そして、書込み制御部126Kを経てK色のLD発光データK_LDDATAに全画素が出力され、書込み制御部126Mを経てM色のLD発光データM_LDDATAにラインメモリM−1の4分割の3ブロック目の画素とラインメモリM−2の4分割の2ブロック目の画素とラインメモリM−3の4分割の1ブロック目の画素が出力される。また、書込み制御部126Cを経てC色のLD発光データC_LDDATAにラインメモリC−1の4分割の3ブロック目の画素とラインメモリC−2の4分割の2ブロック目の画素とラインメモリC−3の4分割の1ブロック目の画素が出力され、書込み制御部126Yを経てY色のLD発光データY_LDDATAにラインメモリY−2の2分割の2ブロック目の画素とラインメモリY−3の2分割の1ブロック目の画素が出力される。
その後、入力画像制御部127K,127M,127C,127Yは、ラインメモリK−1,M−5,C−5,Y−2への画像データの格納と同時に、ラインメモリK−2,M−1,M−2,M−3,M−4,C−1,C−2,C−3,C−4,Y−1,Y−3から画像データを読み出す。そして、書込み制御部126Kを経てK色のLD発光データK_LDDATAに全画素が出力され、書込み制御部126Mを経てM色のLD発光データM_LDDATAにラインメモリM−1の4分割の4ブロック目の画素とラインメモリM−2の4分割の3ブロック目の画素とラインメモリM−3の4分割の2ブロック目の画素とラインメモリM−4の4分割の1ブロック目の画素が出力される。また、書込み制御部126Cを経てC色のLD発光データC_LDDATAにラインメモリC−1の4分割の4ブロック目の画素とラインメモリC−2の4分割の3ブロック目の画素とラインメモリC−3の4分割の2ブロック目の画素とラインメモリC−4の4分割の1ブロック目の画素が出力され、書込み制御部126Yを経てY色のLD発光データY_LDDATAにラインメモリY−3の2分割の2ブロック目の画素とラインメモリY−1の2分割の1ブロック目の画素が出力される。以上の処理が繰り返して実行され、スキュー補正された画像データが印刷される。
以上説明したスキュー補正では、主走査方向の1ラインの画像データを表現する画素の分割を行っているので、シフト位置において画素の隣接関係が変化する。この場合、シフト位置において局所的な濃度変化が生じる。この局所的な濃度変化を濃度ずれと呼ぶことにする。この濃度ずれは、ディザ法などの擬似階調処理によって表現された画像に対し特に顕著となる。ディザ処理を施した画像では、シフト位置において副走査方向へ周期的に局所的な濃度変化が発生するため濃度ずれが顕著に確認される。
ここで、ディザ処理を施した画像データにスキュー補正を実行した場合に濃度ずれが発生する理由について説明する。カラーレーザプリンタなどのカラー複写機では、滑らかな階調性を表現するため、色毎、または写真用/文字用、または画像データのビット数、または解像度毎にそれぞれディザマトリクスを持っている。これらのディザマトリクスのサイズ、形状は互いに異なる場合が多々ある。
ディザ処理とは、多階調画像を2値で表現するもので、N×M画素(N,Mともに自然数)の閾値からなるディザマトリクスと呼ばれるマトリクスを元画像に重ね合わせて、2値化を行う処理である。個々の画素(ディザマトリクスサイズ)は非常に小さいため、人間の目には異なった階調として見える。このような処理を施すことにより、2値により多階調を表現する処理がディザ処理である。また、ディザ処理で用いる出力の階調数を2値ではなく、3から16階調程度の多階調とする多値のディザ処理も存在する。以下では、2値画像の例について記載するが、本発明は多値画像に対しても同様に適用することができる。
電子写真記録では、通常、レーザ光のビーム径が画素サイズより大きく広がっているため、画像データを出力すると、画像データを表現する各画素の記録画像(印刷用紙上のトナー画像)のトナー付着面積が画素サイズ以上に膨らむ。そのため、シフトが行われると、シフト位置においてトナーが重なり合う面積が変化し、シフトの前後でトナー付着面積が変化する。
例えば、シフトによりトナー付着面積が増加する場合(つまり、画像データを表現する各画素のトナー画像が重なり合う面積が減少する場合)、シフト位置付近の局所的な濃度は濃くなる。一方、シフトによりトナー付着面積が減少する場合(つまり、画像データを表現する各画素のトナー画像が重なり合う面積が増加する場合)、シフト位置付近の局所的な濃度は薄くなる。このトナー付着面積の変化は、シフト位置においてのみ発生するため、シフトの前後においてシフト位置付近の画像が劣化する。特に、上述したディザ処理などの擬似階調処理が施された画像においては、シフトによりトナー付着面積の変化が頻繁に生じると、副走査方向へすじ状のノイズの原因となる。
ここで、このシフトによりトナー付着面積が変化した画素の一例を具体的に説明する。図26は、シフトによりトナー付着面積が変化した画素の一例を示す説明図である。
副走査方向へのシフトは、1ラインずつ行われるため、副走査方向へのシフトの前後において、シフト位置の画素が1画素分ずれることとなる。そのため、副走査方向へのシフトが施されると、シフト位置における画素の隣接関係が変化する場合が生じる。例えば、図26に示すように、シフト前、黒画素の画素Aに隣接する画素A´は、同じく黒画素である。しかし、シフト後、黒画素の画素Aに隣接する画素A´は、白画素になる。このように、隣接する画素がシフト前後で変化した画像を出力すると、図26のシフト後に示すように、画素Aの格子状のハッチングで示す部分のトナー付着面積がシフトの前後で変化する。
例えば、シフト前における画素Aに対するトナー付着面積を1とすると、シフト位置において下方向へのシフトを施すと、シフト前における画素Aに対するトナー付着部分と画素A´に対するトナー付着部分とが重なり合う部分が無くなり、トナー付着面積が0.09増加する。このようなトナー付着面積の増加は、シフト位置において副走査方向に対し周期的にあらわれると、黒いすじ状のノイズとなり、画質を劣化させる。
一方、図示しないが、シフト位置を挟んで隣接する画素同士のトナー付着部分の重なり合いがシフトにより生じると、トナー付着面積が0.09減少する。このような、トナー付着面積の減少は、シフト位置において副走査方向に対し周期的にあらわれると、白いすじ状のノイズとなり、画質を劣化させる。
つまり、上述したシフトだけでは、スキューおよび曲がりによる位置ずれ自体は小さくできるが、特に擬似階調処理が施された画像データを出力した場合に、副走査方向にすじ状のノイズを発生させてしまうという問題がある。そこで、以下の本実施の形態にかかるスキュー補正処理部135M,135C,135Yでは、上述したシフトに加え、シフトにより変動した濃度を正確に補正する。以下、スキュー補正処理部135M,135C,135Yについて詳細に説明する。
図27は、本実施の形態にかかるスキュー補正処理部のブロック図である。このスキュー補正処理部135は、データセレクタ1351と、スキュー出力制御部1352と、ノイズ補正処理部1353と、を備える。なお、この図では、M色の場合のスキュー補正処理部135を示しているが、他のC色とY色のスキュー補正処理部も同様の構造を有している。
スキュー出力制御部1352は、シフト補正情報(シフト位置とシフト方向)をRAM123から受け取り、受け取ったシフト補正情報に従って、ラインメモリ128Mに蓄積されている画像データのうち、どのラインの画像データを出力するかを選択するための選択信号をデータセレクタ1351に出力する。また、スキュー出力制御部1352は、RAM123から受け取ったシフト補正情報をノイズ補正処理部1353に出力する。
データセレクタ1351は、入力画像制御部127Mによりラインメモリ128Mから読み出された画像データの中から、スキュー出力制御部1352から出力された選択信号に基づいて、出力するラインの画像データを選択する。そして、データセレクタ1351は、選択した画像データをノイズ補正処理部1353に渡す。より具体的には、本実施の形態では、データセレクタ1351は、選択信号に基づいて選択されたラインの画像データに加えて、選択されたラインの上下1ラインの画像データ(合計3ライン×2画素の画像データ)をノイズ補正処理部1353に渡す。なお、本実施の形態では、合計3ライン×2画素の画像データをノイズ補正処理部1353に渡しているが、これに限定するものではない。例えば、ノイズ補正処理部1353の処理に応じて、合計2ライン以上の画像データをノイズ補正処理部1353に渡しても良い。
ノイズ補正処理部1353は、スキュー出力制御部1352から受け取ったシフト補正情報に基づいて、データセレクタ1351から受信した画像データについて、シフト位置周辺でノイズ画像が認識される位置の画素を抽出し、ノイズが発生しないように抽出した画素により表現される画像データに濃度補正を施し、その結果を書込画像処理部131に出力する。
図28および図29を用いて、本実施の形態にかかるノイズ補正処理部1353の構成および処理手順について説明する。図28は、本実施の形態にかかるノイズ補正処理部のブロック図である。図29は、本実施の形態にかかるノイズ補正処理部による画像データの処理手順を示すフローチャートである。
ノイズ補正処理部1353は、図28に示すように、ノイズ発生判定部1501と、補正対象画素決定部1502と、濃度分布検出部1503と、濃度補正部1504と、位相補正部1505と、補正画素データ出力部1506と、を備える。なお、この図は、M色の場合のノイズ補正処理部1353を示しているが、他のC色とY色のノイズ補正処理部も同様の構成を有している。
ノイズ発生判定部1501は、スキュー出力制御部1352から受け取ったシフト補正情報に基づいて、シフト位置に接する注目画素が、画素の隣接関係の変化による局所的な濃度の増減を起こすノイズ発生画素となっているか否かを判定する(ステップS1511)。
図30は、注目画素がノイズ発生画素となる画像の一例を示す説明図である。ノイズ発生判定部1501は、図30に示すように、右下方向へのシフトにより、注目画素1601および注目画素1602に隣接する画素により表現される画像データの濃度が白画素の濃度:0に変化した場合、格子状のハッチングにより示すトナー付着面積が増加して局所的に濃度が増加するため、注目画素1601および注目画素1602をノイズ発生画素と判定する。
本実施の形態では、ノイズ発生判定部1501は、シフト位置周辺の画素の配列およびシフト方向が、予め設定された画素配列のパターンであって、画像データをシフトさせて出力した場合にトナー付着面積が増減して局所的な濃度の増減を起こすパターン(以下、画素配列パターンとする)と一致した場合、注目画素がノイズ発生画素になっていると判定する。図31および図32は、シフト位置周辺の画素の一例を示す図である。例えば、図30に示すようなシフトが行われた場合、ノイズ発生判定部1501は、図31の符号1701で示す3ライン×2画素の配列および図32の符号1702で示す3ライン×2画素の配列と、予め設定された画素配列パターンと、を比較して、注目画素がノイズ発生画素となっているか否かを判定する。
なお、本実施の形態では、ノイズ発生判定部1501は、入力画像制御部127Mによりシフトされた画像データを用いて注目画素がノイズ発生画素となっているか否かを判定しているが、これに限定するものではない。例えば、シフト前の画像データを用いて、注目画素がノイズ発生画素となるか否かを判定してもよい。また、入力画像制御部127Mにより画像処理部124から受け取った2値画像データが、濃度を0〜15までの値で示す4ビットの画像データに変換された場合には、画素配列パターンを増やして対応するものとする。または、4ビットの画像データの上位ビットが示す濃度を用いて、ノイズ発生画素となっているか否かを判定しても良い。これにより、ノイズ発生判定部1501に入力する画像データのビット数を小さくことができる。
図33および図34は、シフト前後のシフト位置周辺の画素の一例を示す説明図である。図33の符号3301〜3304および図34の符号3401〜3402は、シフト前のシフト位置周辺の周辺画素(3ライン×2画素)の配列である。図33の符号3305〜3308および図34の符号3405〜3408は、シフト後のシフト位置周辺の周辺画素(3ライン×2画素)の配列である。注目画素である画素B、図33および図34に示すように、シフトの前後で、隣接する画素が画素Cから画素Aに変わることにより、隣接する画素に濃度変化が生じる。よって、ノイズ発生判定部1501は、画素Bをノイズ発生画素と判定する。
補正対象画素決定部1502は、ノイズ発生判定部1501によって注目画素がノイズ発生画素になっていると判定された場合(ステップS1512:Yes)、濃度の増減を起こす画素である注目画素または注目画素周辺の画素を、画像データの濃度を補正する画素(以下、補正対象画素とする)に決定する(ステップS1513)。図35および図36は、シフト位置周辺の画素から決定した補正対象画素の一例を示す説明図である。
例えば、補正対象画素決定部1502は、図31の符号1701で示すシフト位置周辺の画素に含まれる注目画素(格子状のハッチングを含む画素)がノイズ発生画素と判定された場合、図35に示すように、符号1701で示すシフト位置周辺の画素のうち、トナー付着面積が変化した符号2001で示す画素を補正対象画素として決定する。一方、補正対象画素決定部1502は、図32の符号1702で示すシフト位置周辺の画素に含まれる注目画素(格子状のハッチングを含む画素)がノイズ発生画素と判定された場合、図36に示すように、符号1702で示すシフト位置周辺の画素のうち、トナー付着面積が変化した符号2002で示す画素を補正対象画素として決定する。
より具体的には、図33の符号3304で示す画像データがシフトされずに出力される場合、注目画素である画素B(黒画素)と画素C(黒画素)とが重なり合う部分は、トナー付着面積として現れない。しかし、図33の符号3304で示す画像データがシフトされて図33の符号3308で示す画像データが出力される場合、注目画素である画素B(黒画素)が画素A(白画素)と重なり合うため、シフト前に画素C(黒画素)と重なり合っていた部分がトナー付着面積を増加させる。これは、上述したように、LDのビーム径が1画素の面積よりも大きいためである。よって、補正対象画素決定部1502は、図33の符号3308に示すシフト位置周辺の画素から補正対象画素を決定する場合、画素Bを補正対象画素として決定する。
また、図33の符号3302で示す画像データがシフトされずに出力される場合、注目画素である画素B(黒画素)が画素C(白画素)と重なり合う部分は、トナー付着面積として現れる。しかし、図33の符号3302で示す画像データがシフトされて図33の符号3306で示す画像データが出力される場合、注目画素である画素B(黒画素)が画素A(黒画素)と重なり合う部分は、トナー付着面積として現れない。そのため、シフトによりトナー付着面積が減少する。よって、補正対象画素決定部1502は、図33の符号3306で示すシフト位置周辺の画素から補正対象画素を決定する場合、画素Aまたは画素Cを補正対象画素として決定する。このように、補正対象画素は、注目画素と注目画素周辺の画素の濃度分布により一意的に決定される。
濃度分布検出部1503は、補正対象画素決定部1502によって補正対象画素に決定した画素に隣接する隣接画素により表現される画像データの濃度を検出する(ステップS1514)。図37は、濃度を検出する隣接画素の一例を示す説明図である。本実施の形態では、濃度分布検出部1503は、図37に示すように、補正対象画素の上下左右に隣接する4つの隣接画素により表現される画像データの濃度(0または15)を検出する。
濃度補正部1504は、補正対象画素決定部1502により補正対象画素に決定した画素により表現される画像データに対して濃度補正を施す(ステップS1515)。本実施の形態では、濃度補正部1504は、濃度分布検出部1503により検出された隣接画素により表現される画像データの濃度に応じて形成されたトナー画像の補正対象画素上における範囲に基づいて、補正対象画素により表現される画像データに対して濃度補正を施す。なお、本実施の形態では、濃度分布検出部1503により検出された画像データの濃度に応じて形成されたトナー画像の補正対象画素上における範囲に基づいて、補正対象画素により表現される画像データに対して濃度補正を施しているが、これに限定するものではない。例えば、シフトにより変動した濃度(トナー付着面積)を補正するものであれば、本発明に適用することができる。図38は、図35に示す補正対象画素に隣接する上下左右の隣接画素の一例を示す説明図である。図39は、補正対象画素に隣接する上下左右の隣接画素の画素サイズの一例を示す図である。例えば、図38に示すように、補正対象画素の上下左右に隣接する4つの隣接画素のうち、下の隣接画素の濃度が15(つまり黒画素)であり、その他の隣接画素の濃度が0(つまり白画素)である場合、下の隣接画素のトナー画像は、画素サイズよりも大きくなり、補正対象画素2001上にトナー付着面積を有する。ここで、補正対象画素2001上における下の隣接画素のトナー付着面積は、補正対象画素2001の濃度補正によって変化しない。そのため、濃度補正部1505は、補正対象画素2001により表現される画像データの濃度に対して、トナー付着面積の増減を正確に濃度補正を施すために、下の隣接画素の濃度:15に応じて形成される隣接画素のトナー画像の補正対象画素2001上における範囲(トナー付着面積)に基づいて、補正対象画素2001により表現される画像データの濃度を補正する必要がある。
図40〜43は、補正対象画素により表現される画像データ対する濃度補正の一例を示す説明図である。
従来は、図40に示すように、濃度補正後の補正対象画素のトナー付着面積が、濃度補正前の補正対象画素のトナー付着面積:100からシフトにより増加したトナー付着面積:5(以下、変動面積とする)を差し引いた面積:95となるように、補正対象画素により表現される画像データの濃度を補正していた。したがって、補正対象画素上に隣接画素のトナー付着面積(破線で示す領域α)がある場合、濃度補正後の補正対象画素のトナー付着面積は、濃度補正後の補正対象画素のトナー付着面積および破線で示す領域αにより占められる面積となっていた。つまり、濃度補正後の補正対象画素のトナー付着面積が、濃度補正前の補正対象画素のトナー付着面積:100から変動面積:5を差し引いた値になっていなかった。そのため、補正対象画素に対して、変動面積分の濃度を補正することができなかった。
そこで、本実施の形態では、濃度補正部1505は、補正対象画素上における隣接画素のトナー画像の範囲であるトナー付着面積(破線で示す領域α)に基づいて、領域αを除いた濃度補正前の補正対象画素のトナー付着面積から変動面積を差し引いた面積と、領域αを除いた濃度補正後の補正対象画素のトナー付着面積と、が一致するように補正対象画素により表現される画像データの濃度を補正する。
例えば、図41に示すように、領域α:10を除いた濃度補正前の補正対象画素のトナー付着面積:90から変動面積:5を差し引いた面積:85と、領域α:10を除いた濃度補正後の補正対象画素のトナー付着面積:85と、が一致するように、補正対象画素により表現される画像データの濃度を補正する。これにより、濃度補正後の補正対象画素のトナー付着面積:85+10と、濃度補正前の補正対象画素のトナー付着面積:100から変動面積:5を差し引いた面積と、が一致する。よって、補正対象画素の下に隣接する隣接画素のトナー画像の補正対象画素上におけるトナー付着面積を差し引いた補正対象画素のトナー画像に対して変動面積が補正されるように、補正対象画素により表現される画像データの濃度を補正することにより、変動面積分の濃度を正確に補正できる。
また、図42に示すように、上・下の領域α:20を除いた濃度補正前の補正対象画素のトナー付着面積:80から変動面積5を差し引いた面積:75と、上・下の領域α:20を除いた濃度補正後の補正対象画素のトナー付着面積:75と、が一致するように、補正対象画素により表現される画像データの濃度を補正する。これにより、濃度補正後の補正対象画素のトナー付着面積:75+20と、濃度補正前の補正対象画素のトナー付着面積:100から変動面積:5を差し引いた面積と、が一致する。よって、補正対象画素の上・下に隣接する隣接画素のトナー画像の補正対象画素上におけるトナー付着面積を差し引いた補正対象画素のトナー画像に対して変動面積が補正されるように、補正対象画素により表現される画像データの濃度を補正することにより、変動面積分の濃度を正確に補正できる。
また、図43に示すように、上・下・左の領域α:30を除いた濃度補正前の補正対象画素のトナー付着面積:70から変動面積5を差し引いた面積:65と、上・下・左の領域α:30を除いた濃度補正後の補正対象画素のトナー付着面積:65と、が一致するように、補正対象画素により表現される画像データの濃度を補正する。これにより、濃度補正後の補正対象画素のトナー付着面積:65+30と、濃度補正前の補正対象画素のトナー付着面積:100から変動面積:5を差し引いた面積と、が一致する。よって、補正対象画素の上・下・左に隣接する隣接画素のトナー画像の補正対象画素上におけるトナー付着面積を差し引いた補正対象画素のトナー画像に対して変動面積が補正されるように、補正対象画素により表現される画像データの濃度を補正することにより、変動面積分の濃度を正確に補正できる。
次に、補正対象画素により表現される画像データの濃度の補正方法の一例について説明する。
本実施の形態では、RAM123が、補正対象画素の上下左右に隣接する隣接画素により表現される画像データの濃度と、隣接画素により表現される画像データの濃度に応じたトナー画像の補正対象画素上における範囲に基づく濃度補正値と、を対応付けて記憶する。そして、濃度補正部1504は、RAM123から、濃度分布検出部1503により検出された隣接画素により表現される画像データの濃度と対応付けられた濃度補正値を読み出し、読み出した濃度補正値を用いて補正対象画素により表現される画像データの濃度を補正する。
図44は、隣接画素により表現される画像データの濃度と、隣接画素により表現される画像データの濃度に応じたトナー画像の補正対象画素上における範囲に基づく濃度補正値と、を対応付けたテーブルの一例を示す図である。本実施の形態においては、図44に示すテーブルが予めRAM123に記憶されているものとする。濃度補正部1504は、図44に示すテーブルから、上下左右の隣接画素により表現される画像データの濃度と対応付けられた濃度補正値を読み出し、読み出した濃度補正値を用いて、補正対象画素により表現される画像データの濃度を補正する。なお、本実施の形態では、画像データの濃度が15の隣接画素をトナー画像が補正対象画素上における範囲を有する隣接画素とする。
例えば、図35に示すように、補正対象画素により表現される画像データの濃度が15で、上下左右の隣接画素により表現される画像データの濃度が0,15,0,0である場合、濃度補正部1504は、図44に示すテーブルから、パターン3に対応する濃度補正値:−4を読み出し、補正対象画素により表現される画像データの濃度:15から4を減算した濃度:11に補正対象画素により表現される画像データの濃度を補正する。また、図36に示すように、補正対象画素により表現される画像データの濃度が15で、上下左右の隣接画素により表現される画像データの濃度が15,15,0,0である場合、濃度補正部1504は、図44に示すテーブルから、パターン6に対応する濃度補正値:−5を読み出し、補正対象画素により表現される画像データの濃度:15から5を減算した濃度:10に補正対象画素により表現される画像データの濃度を補正する。
図45は、補正対象画素により表現される画像データの濃度を補正した画像の一例を示す説明図である。なお、図45中の破線は、濃度補正前の補正対象画素のトナー付着面積である。図45に示すように、本実施の形態では、隣接画素のトナー画像の補正対象画素上における範囲に基づいて、補正対象画素の濃度が補正されるため、シフトにより変動した濃度を正確に補正することができる。例えば、符号2601で示す補正対象画素および符号2602で示す補正対象画素のシフトによる変動面積は同じであるが、符号2601で示す補正対象画素のトナー付着面積が、符号2602に示す補正対象画素のトナー付着面積よりも大きくなっている。これは、符号2601に示す補正対象画素には下の隣接画素のみのトナー画像が形成されているのに対し、符号2602に示す補正対象画素には上下の隣接画素のトナー画像が形成されているためである。
このように、本実施の形態によれば、隣接画素のトナー画像の補正対象画素上における範囲に基づいて、補正対象画素により表現される画像データの濃度を補正することができるので、シフトにより生じた画像データの濃度変化を正確に補正することができる。
位相補正部1505は、LDデータ出力部133K,133M,133C,133Yが各画素の画像データを出力可能な画素期間(周期)内における出力位置を補正するための位相データを画像データに付加するものであって、濃度補正部1504により補正対象画素の画像データに対して濃度補正が施された場合、補正対象画素の画像データを出力可能な画素期間内における画像データの出力位置を、画素期間の中央からシフト位置の方向またはシフト位置とは反対方向にずれた位置に補正する(ステップS1516)。
本実施の形態では、位相データには、情報量が2bitのデータを用いるものとする。よって、位相補正部1505は、画像データの出力位置を画素期間の中央に補正する場合(位相なし):00、画像データの出力位置を画素期間の中央から遅らせる場合(左位相):10、画像データに出力位置を画素期間の中央から進める場合(右位相):01を位相データとして画像データに付加する。
図46は、シフト無しの状態の画素配列の一例を示す図である。図47は、右下にシフトした状態の画素配列の一例を示す図である。図48は、濃度が増加した場合の理想的な濃度補正の一例を示す図である。図49および図50は、濃度が増加した場合の従来の濃度補正の一例を示す図である。図46に示すシフト無しの状態から画素Bを右下へシフトさせると、画素(補正対象画素)Aおよび画素(補正対象画素)Bのトナー付着面積が、図47に示すように、格子状のハッチングで示す面積増加する。よって、画素A(画素B)の濃度は、図48に示すように、画素A(画素B)のトナー付着面積から格子状のハッチングで示す面積のトナー付着面積が差し引かれるように、補正されるのが理想的である。
しかし、従来の濃度補正方法では、画像データに対して濃度補正を施した画素A(画素B)のトナー画像のトナー付着面積が、図49に示すように、左右対称に減少していたため、図50の格子状のハッチングで示す領域(すじ状のノイズの発生に影響を及ぼしていない部分)のトナー付着面積も減少していた。そのため、従来の濃度補正方法では、図50の破線で囲まれた領域のトナー付着面積だけを減少させることができず、図50の格子状のハッチングで示す領域のトナー付着面積も減少し、濃度補正前の画像に近づけることができず、新たな画質劣化の原因となることが懸念されていた。
図51は、シフト無しの状態の画素配列の一例を示す図である。図52は、右上にシフトした状態の画素配列の一例を示す図である。図53は、濃度が減少した場合の理想的な濃度補正の一例を示す図である。図54および図55は、濃度が減少した場合の従来の濃度補正の一例を示す図である。図51に示すシフト無しの状態から画素Bを右上にシフトさせると、画素A(補正対象画素)および画素B(補正対象画素)のトナー付着面積が、図52に示すように、格子状のハッチングで示す面積減少する。よって、画素C(補正対象画素)および画素D(補正対象画素)の濃度は、図53に示すように、格子状のハッチングで示す面積のトナー付着面積が増加するように、補正されるのが理想的である。
しかし、従来の濃度補正方法では、画像データに対して濃度補正を施した画素C(画素D)のトナー画像が画素C(画素D)の中央(位相なし)に形成されていたため、図54および図55の格子状のハッチングで示す領域(すじ状のノイズの発生に影響を及ぼしていない部分)のトナー付着面積が増加していた。そのため、従来の濃度補正方法では、図53の格子状のハッチングで示す領域のトナー付着面積を増加させることができず、濃度補正前の画像に近づけることができず、新たな画質劣化の原因となることが懸念されていた。
そこで、位相補正部1505は、上述したように、濃度補正部1504から入力された補正対象画素および補正対象画素周辺の周辺画素の配置、およびスキュー出力制御部1352から入力されたシフト補正情報に含まれるシフト方向に基づいて、画像データの出力位置を補正する。例えば、位相補正部1505は、補正対象画素および補正対象画素周辺の周辺画素の配置、およびシフト補正情報に含まれるシフト方向に基づいて、補正対象画素の画像データの濃度が濃度補正により増加すると判断した場合、補正対象画素により表現される画像データの出力位置を、画素期間の中央からシフト位置の反対方向にずれた位置に補正する。一方、位相補正部1505は、補正対象画素および補正対象画素周辺の周辺画素の配置、およびシフト補正情報に含まれるシフト方向に基づいて、補正対象画素の画像データの濃度が濃度補正により減少すると判断した場合、補正対象画素により表現される画像データの出力位置を、画素期間の中央からシフト位置の方向にずれた位置に補正する。
図56および図57は、濃度が増加した場合における画像データの出力位置の補正処理の一例を示す図である。位相補正部1505は、図56に示すように、濃度補正を施した画素Aの画像データの出力位置を、画素期間の中央からシフト位置とは反対方向(左位相)にずれた位置に補正する。つまり、位相補正部1505は、画素Aの画像データに付加する位相データとして左位相:10を出力する。さらに、位相補正部1505は、図56に示すように、濃度補正を施した画素Bの画像データの出力位置を、画素期間の中央からシフト位置とは反対方向(右位相)にずれた位置に補正する。つまり、位相補正部1505は、画素Bの画像データに付加する位相データとして右位相:11を出力する。これにより、位相補正部1505は、図57の破線で示す領域のトナー付着面積のみを画素Aのトナー画像および画素Bのトナー画像から減少させることができる。
図58および図59は、濃度が減少した場合における画像データの出力位置の補正処理の一例を示す図である。位相補正部1505は、図58に示すように、濃度補正を施した画素Cの画像データの出力位置を、画素期間の中央からシフト位置の方向(右位相)にずれた位置に補正する。つまり、位相補正部1505は、画素Cの画像データに付加する位相データとして右位相:11を出力する。さらに、位相補正部1505は、図58に示すように、濃度補正を施した画素Dの画像データの出力位置を、画素期間の中央からシフト位置の方向(左位相)にずれた位置に補正する。つまり、位相補正部1505は、画素Dの画像データに付加する位相データとして左位相:10を出力する。これにより、位相補正部1505は、図59の格子状のハッチングで示す領域の画素Cのトナー画像および画素Dのトナー画像を、図58の格子状のハッチングで示す領域の画素Cのトナー画像および画素Dのトナー画像の位置に補正することができる。
なお、露光部9がY,M,C,Kのうち2色(例えば、K,M)を左から右に走査し、残りの2色(例えば、C,Y)を右から左に走査する対向走査方式を採用している場合、書込み制御部126C,126Yは、左右反転させて画像の書込みを行う。そのため、位相補正部1505は、左右反対の位相データを出力して、最終的な画像の各画素のトナー画像の位置が適切な位置になるようにする。
補正画素データ出力部1506は、濃度補正部1504から入力された各画素の画像データ(濃度データ)に、位相補正部1505から入力された位相データを付加して書込画像処理部131に出力する(ステップS1517)。また、補正画素データ出力部1506は、ノイズ発生判定部1501によって注目画素がノイズ発生画素になっていないと判定された場合(ステップS1512:No)、データセレクタ1351から入力された画像データ(濃度データ)に、位相補正部1505から入力された位相データを付加して書込画像処理部131に出力する(ステップS1517)。なお、最終的には、LDデータ出力部133が、各画素の画像データ(濃度データ)および位相データを用いて、PWM(Pulse Width Modulation)制御を利用してLD制御部114によるLDの発光を制御するLD変調信号を出力することにより、LDの発光を制御する。
このように、本実施の形態にかかるノイズ補正処理部によれば、補正対象画素の濃度補正に応じて、補正対象画素により表現される画像データの出力位置を、局所的な濃度の増減が起きていない方向であって、シフト位置の方向またはシフト位置の反対方向にずれた位置に補正することにより、濃度補正を施す画素により表現される画像内において、スキュー補正により発生するすじ状のノイズの発生に影響を及ぼしていない部分の画像を濃度補正前の画像に近づけることができるので、スキュー補正に伴う濃度補正による画質の劣化を最小限に抑えることができる。
なお、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。