以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。
図1は、実施の形態にかかる画像形成装置としてのカラー複写機100の作像にかかる処理を行う要部構成図である。このカラー複写機100は、それぞれ異なる色(Y:イエロー,M:マゼンタ,C:シアン,K:ブラック)の画像を形成する画像プロセス部の内部の4個の作像ユニット1Y,1M,1C,1Kが、転写媒体としての記録紙2を搬送する転写ベルト3に沿って一列に配置されたタンデム型の装置である。
転写ベルト3は、駆動回転する駆動ローラ4と従動回転する従動ローラ5との間に架設されており、駆動ローラ4の回転によって、図中矢印の方向に回転駆動される。転写ベルト3の下部には、記録紙2が収納された給紙トレイ6が備えられている。この給紙トレイ6に収納された記録紙2のうち最上位置にある記録紙2が、画像形成時に転写ベルト3に向けて給紙され、静電吸着によって転写ベルト3上に吸着される。吸着された記録紙2は、作像ユニット1Yに搬送され、ここで最初にY色の画像形成が行われる。
作像ユニット1Y,1M,1C,1Kは、それぞれ感光体ドラム7Y,7M,7C,7Kと、感光体ドラム7Y,7M,7C,7Kの周囲に配置された帯電器8Y,8M,8C,8Kと、現像器10Y,10M,10C,10Kと、感光体クリーナ11Y,11M,11C,11Kと、転写器12Y,12M,12C,12Kと、を備える。
作像ユニット1Yの感光体ドラム7Yの表面は、帯電器8Yで一様に帯電された後、露光部(MY)9MYによりY色の画像に対応したレーザ光LYで露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、現像器10Yで現像され、感光体ドラム7Y上にトナー像が形成される。このトナー像は、感光体ドラム7Yと転写ベルト3上の記録紙2とが接する位置(転写位置)で、転写器12Yによって記録紙2に転写され、これによって、記録紙2上に単色(Y色)の画像が形成される。転写が終わった感光体ドラム7Yでは、ドラム表面に残った不要なトナーが感光体クリーナ11Yによってクリーニングされ、つぎの画像形成に備えることとなる。
このように、作像ユニット1Yで単色(Y色)が転写された記録紙2は、転写ベルト3によって作像ユニット1Mに搬送される。ここでも上述したY色の画像形成動作と同様に露光部(MY)9MYによりM色に対応したレーザ光LMで露光され、M色の画像形成動作が行われ、感光体ドラム7M上に形成されたM色のトナー像が記録紙2上に重ねて転写される。記録紙2は、その後さらに作像ユニット1Cに搬送され、露光部(KC)9KCによりC色に対応したレーザ光LCで露光され、C色の画像形成処理が行われ、C色のトナー像が記録用紙2上に重ねて転写される。さらに記録用紙2は、作像ユニット1Kに搬送され、露光部(KC)9KCによりK色に対応したレーザ光LKで露光され、K色の画像形成処理が行われ、K色のトナー像が記録紙2上に重ねて転写される。以上により、記録紙2上にカラー画像が形成される。さらに、作像ユニット1Kを通過してカラーのトナー画像が形成された記録紙2は、転写ベルト3から剥離され、定着器13で熱および圧力の作用により定着処理され、その後排紙される。なお、作像ユニット1Y,1M,1C,1Kは、画像形成部として機能する。
ところで、タンデム方式のカラー複写機100においては、その構成上、各色間の位置合わせ(色ずれ補正)が重要である。各色間の色ずれには、主走査方向(感光体ドラム7K,7M,7C,7Yの回転軸に平行な方向)のレジストレーションずれ、副走査方向(感光体ドラム7K,7M,7C,7Yの回転軸に垂直な方向)のレジストレーションずれ、主走査倍率ずれ、スキュー(斜め)ずれなどがある。そこで、本実施の形態にかかるカラー複写機100においては、記録紙2に対して実際のカラー画像形成動作を行うに先立ち、各色間の色ずれ補正を行う。色補正処理については後述する。
図2は、カラー複写機100において各色の印刷位置のずれを補正する位置ずれ補正処理部110の機能構成を示すブロック図である。位置ずれ補正処理部110は、パターン検知センサ15,16と、プリンタコントローラ111と、スキャナコントローラ112と、エンジン制御部113と、書込みユニット(KC)104KCと、書込みユニット(MY)104MYとを備えている。
エンジン制御部113は、パターン検知部121と、色ずれ補正部1221と、書込み管理部1222と、ポリゴンミラー駆動管理部1223と、AD変換器1224と、RAM(Random Access Memory)123と、画像処理部124と、書込み制御部125とを有している。書込み制御部125は、各色の書込み制御を行う書込み制御部(K)126K、書込み制御部(M)126M、書込み制御部(C)126Cおよび書込み制御部(Y)126Yを有している。色ずれ補正部1221、書込み管理部1222、ポリゴンミラー駆動管理部1223およびAD変換器1224は、CPU(Central Processing Unit)122により実現される。
書込みユニット(KC)104KCは、K色のLD(Laser Diode)制御部101K、C色のLD制御部101C、サーミスタ(KC)102KC、ポリゴンミラー駆動部103KCを有する。書込みユニット(MY)104MYは、M色のLD制御部101M、Y色のLD制御部101Y、サーミスタ(MY)102MY、ポリゴンミラー駆動部103MYを有する。LD制御部101K,101Cは、露光部9KC内に備えられている。LD制御部101M,101Yは、露光部9MY内に備えられている。
パターン検知センサ15,16は、各色間の色ずれ量を算出するために、転写ベルト3に転写された色ずれ補正用パターン14を検知するためのものである。パターン検知センサ15,16は、色ずれ補正用パターン14を検知してアナログの検知信号をエンジン制御部113に出力する。
プリンタコントローラ111は、外部装置(たとえば、PC:パーソナルコンピュータ)からネットワークを介して送信された画像データを受信する。プリンタコントローラ111はさらに、画像データをカラー印刷するかまたはモノクロ印刷するかを指定する印刷指定を画像データとともに受信する。プリンタコントローラ111は、受信した画像データを印刷指定とともに画像処理部124へ転送する。カラー印刷が指定された場合には、カラー複写機100において、K、C、M、Yすべての色によりカラー画像が形成される。一方、モノクロ印刷が指定された場合には、カラー複写機100において、K、Cの2色のみにより白黒画像が形成される。
スキャナコントローラ112は、図示しないスキャナで読み取った原稿の画像データを取得し、取得した画像データを画像処理部124へ転送する。なお、スキャナコントローラ112が取得した画像データについては、後述の操作表示部を介し、ユーザからカラーまたはモノクロの印刷指定が入力され、入力された印刷指定は、画像データとともに画像処理部124に転送される。
パターン検知部121は、パターン検知センサ15,16から出力された検知信号を増幅し、増幅されたアナログの検知信号をデジタルデータへ変換し、変換したデジタルデータをRAM123に格納する。
色ずれ補正部1221は、RAM123に格納されたデジタルデータから色ずれ量を算出し、算出した色ずれ量を補正するための補正量を算出する。本実施の形態においては、色ずれ補正部1221は、K色を基準色とし、K色からのずれ量を各色の色ずれ量とし、これに基づいて、各色の補正量を算出する。ここで、基準色とは、位置合わせの基準となる色で、他の色を基準色に合わせることで各色間の色ずれを補正するものである。ここで、色ずれ量としては、各色の歪み量、主走査方向の倍率誤差量、主走査方向レジストレーションずれ量および副走査方向レジストレーションずれ量(以下、主/副レジストずれ量という)、スキューずれ量などがある。また、補正量としては、これらの各種色ずれ量から算出した各色の歪み補正量、主走査倍率補正量、主走査方向レジストレーション補正量および副走査方向レジストレーション補正量(以下、主/副レジスト補正量という)、スキュー補正量などがある。
さらに、色ずれ補正部1221は、画像データの解像度、および算出した各色(Y,M,C,K)の歪み量に基づいて、K色を基準色とするY色、M色、およびC色の歪みライン量を算出する。さらに、色ずれ補正部1221は、基準色であるK色に対する各色の歪みライン量に基づいて、ラインメモリのライン数を決定する。なお、基準色とは、各色の歪みライン量を算出する際の基準位置となる色を指す。本実施の形態においては、K色を基準色とする。RAM123は、各種データを記憶する。
書込み管理部1222は、後述の書込み制御部125の動作を管理する。具体的には、書込み管理部1222は、書込みタイミングを制御するためのスタート信号STTRIG_Nを書込み制御部125に送信する。
画像処理部124は、プリンタコントローラ111によって受信した各画像データと印刷指示、またはスキャナコントローラ112から取得した各画像データと対応する印刷指示に応じた種々の画像処理を施す。また、画像処理部124は、書込み制御部125から送信された各色の副走査タイミング信号(K,C,M,Y)_FSYNC_Nを受信して、各色の主走査ゲート信号(K,C,M,Y)_IPLGATE_N、副走査ゲート信号(K,C,M,Y)_IPFGATE_N、およびこれら同期信号に伴う画像データ(K,C,M,Y)_IPDATA_Nを書込み制御部125に送信する。
書込み制御部125は、画像処理部124から転送された画像データ(K,C,M,Y)_IPDATA_Nを受け取る。書込み制御部125はさらに、書込み管理部1222からスタート信号STTRIG_Nを受信する。書込み制御部125は、スタート信号STTRIG_Nを基準とし、画像処理部124から受け取った画像データ(K,C,M,Y)_IPDATA_Nに基づいて、各種書込み処理を施してLD発光データ(K,C,M,Y)_LDDATAを生成し、それぞれLD制御部101K,101C,101M,101Yに送信する。
LD制御部101K,101C,101M,101Yは、LD発光データ(K,C,M,Y)_LDDATAに基づいて、露光部9KC,9MYによる感光体ドラム7Y,7M,7C,7Kへのレーザ光LY,LM,LC,LKの照射を制御する。レーザ光LK,LC,LM,LYが照射されることにより、感光体ドラム7K,7C,7M,7Y上に静電潜像が形成され、さらにこの静電潜像に対する現像処理によってトナー画像が形成される。形成されたトナー画像は、記録紙2に転写され、定着されて出力される。
このようなカラー複写機100におけるカラー画像形成処理の概要について説明する。PCから送信された画像データはプリンタコントローラ111で、図示しないスキャナで読み取られた原稿の画像データはスキャナコントローラ112でそれぞれ処理され、エンジン制御部113の画像処理部124に転送される。画像処理部124では、各画像データに応じた種々の画像処理が行われ、各色の画像データに変換されて書込み制御部125に転送される。書込み制御部125では、各色の印字タイミングを生成し、副走査タイミングに合わせて画像データを受け取り、受け取った画像データに各種書込み画像処理を施してLD発光データを生成し、各色のLD制御部101K,101C,101M,101Yにてレーザ光LK,LC,LM,LYを発光し、感光体ドラム7K,7C,7M,7Y上に画像を形成する。
ポリゴンミラー駆動部(KC)103KCおよびポリゴンミラー駆動部(MY)103MYは、それぞれ後述のポリゴンミラー(KC)およびポリゴンミラー(MY)を駆動する。ポリゴンミラー駆動部(MY)103MYおよびポリゴンミラー駆動部(KC)103KCは、それぞれ第1駆動手段、第2駆動手段として機能する。
ポリゴンミラー駆動管理部1223は、ポリゴンミラー駆動部(KC)103KCおよびポリゴンミラー駆動部(MY)103MYを管理する。ポリゴンミラー駆動管理部1223は、駆動制御部として機能する。
サーミスタ(KC)102KCおよびサーミスタ(MY)102MYは、それぞれポリゴンミラー駆動部(KC)103KCを含む書込みユニット(KC)104KCおよびポリゴンミラー駆動部(MY)103MYを含む書込みユニット(MY)104MYの温度をそれぞれ検知する。AD変換器1224は、サーミスタ(KC)102KCおよびサーミスタ(MY)102MYが検知したアナログ検知信号をデジタルデータへ変換し、変換したデジタルデータをRAM123に格納する。サーミスタ(KC)102KCおよびサーミスタ(MY)102MYは、温度検出部として機能する。
RAM123は、サーミスタ(KC)102KCおよびサーミスタ(MY)102MYから取得した温度情報のデジタルデータを一時的に記憶する。なお、このRAM123を不揮発性メモリに代替し、不揮発性メモリに温度情報のデジタルデータを記憶する構成としてもよい。
図3は、書込みユニット(KC)104KCの主走査断面図である。なお、書込みユニット(MY)104MYの構成は、書込みユニット(KC)104KCと同様である。図3には、書込みユニット(KC)104KCの詳細な構成を示している。図3において、符号21はLD(K)、符号22はLD(C)、符号23はLD(K)用fθレンズ、符号24はLD(C)用fθレンズ、符号25はポリゴンミラー(KC)、符号26はハウジング、符号27は反射ミラー(K)、符号28は反射ミラー(C)、符号102KCはサーミスタ(KC)である。
LD(K)21およびLD(C)22は、いずれも光ビームを放射する光源手段である。LD(K)21およびLD(C)22は、いずれも、たとえば半導体レーザからなるレーザ発光部とコリメーターレンズを有する。LD(K)21およびLD(C)22は、副走査断面内において異なる角度で、偏向手段であるポリゴンミラー25の同一の偏向面に対して光ビームを発する。なお、LD(K)21およびLD(C)22は、いずれも第2光源として機能する。また図示せぬLD(M)およびLC(Y)は、いずれも第1光源として機能する。
結像手段を構成する走査レンズであるfθレンズは、fθ特性を有する2つのfθレンズからなり、LD(K)用fθレンズ23が下段に、LD(C)用fθレンズ24が上段に設置されている。2つのfθレンズは、2つの光源手段であるLD(K)21およびLD(C)22から放射された光ビームに対応して設けられている。ポリゴンミラー(KC)25で偏向反射された光ビームを被走査面の異なる位置にそれぞれ結像させる。ポリゴンミラー(KC)25は、偏向手段であり、光源手段から入射した光ビームを偏向面で反射させ、結像手段へ放射する。ポリゴンミラー(KC)25は、ポリゴンミラー駆動部(KC)103KCにより駆動する。つまり、LD(K)21およびLD(C)22から斜入射した光ビームを同一の偏向面で反射させ、それぞれによる光ビームをLD(K)用fθレンズ23およびLD(C)用fθレンズ24へ放射する。また、ポリゴンミラー駆動部(KC)103KCにより、たとえば反時計方向に所定の速度で回転する。ハウジング26は、走査光学装置を構成する諸装置を収容する。反射ミラー(K)27および反射ミラー(C)28は、ポリゴンミラー(KC)25で偏向反射され、LD(K)用fθレンズ23およびLD(C)用fθレンズ24を通過したそれぞれの光ビームを、被走査面上の異なる露光位置へ結像させるべく反射させる。なお、ポリゴンミラー(KC)25は第2偏向部として機能し、図示せぬポリゴンミラー(MY)は第1偏向部として機能する。
LD(K)光路は、LD(K)21の光路からポリゴンミラー(KC)25に入射し、ポリゴンミラー(KC)25において偏向反射され、LD(K)用fθレンズ23を介して対応する反射ミラー(K)27で反射され、被走査面上で走査する。LD(C)光路も、ポリゴンミラー(KC)25、LD(C)用fθレンズ24、反射ミラー(C)28を介して同様に走査する。また、サーミスタ(KC)102KCにて走査光学装置の温度を検知する。
以上にように、本実施の形態にかかるカラー複写機100においては、KC色の画像を書き込む書込みユニット(KC)104KCと、MY色の画像を書き込む書込みユニット(MY)104MYとを分ける構成としており、モノクロ印刷時には、KC用のポリゴンミラー(KC)25のみが回転する。すなわち、ポリゴンミラー駆動部(KC)103KCが駆動する。このため、モノクロ印刷時には、ポリゴンミラー駆動部(KC)103KCを含む書込みユニット(KC)104KCの温度が上昇する。一方で、モノクロ印刷時には、ポリゴンミラー(MY)は回転せず静止しているので、ポリゴンミラー駆動部(MY)103MYも駆動しない。したがって、モノクロ印刷時には、ポリゴンミラー駆動部(MY)103MYを含む書込みユニット(MY)104MYの温度は上昇しない。
図4は、カラー複写機100においてカラー/モノクロ印刷を繰り返し実行した場合の書込みユニット(KC)104KCおよび書込みユニット(MY)104MYの温度変化の一例をグラフに示す図である。グラフに示すように、カラー印刷、モノクロ印刷、カラー印刷、モノクロ印刷の順に印刷処理を実施した場合、最初のカラー印刷実施時には、書込みユニット(KC)104KCおよび書込みユニット(MY)104MYのポリゴンミラーはともに回転する。すなわち、ポリゴンミラー駆動部(KC)103KCおよびポリゴンミラー駆動部(MY)103MYが動作する。したがって、書込みユニット(KC)104KCおよび書込みユニット(MY)104MYの温度はともに上昇する。
続くモノクロ印刷実施時には、書込みユニット(KC)104KCのポリゴンミラーは回転させるが、書込みユニット(MY)104MYのポリゴンミラーは停止させる。したがって、書込みユニット(KC)104KCの温度はさらに上昇する。一方で、書込みユニット(MY)104MYの温度は低下する。
続くカラー印刷実施時には、書込みユニット(KC)104KCの温度はさらに上昇する。書込みユニット(MY)104MYも温度が上昇するものの、直前のモノクロ印刷時にいったん温度が低下しているので、書込みユニット(KC)104KCに比べて低い温度においての上昇となる。続くモノクロ印刷実施時には、書込みユニット(KC)104KCの温度はさらに上昇する一方で、書込みユニット(MY)104MYの温度は低下する。
このように、モノクロ印刷が実施されると、書込みユニット(KC)104KCと書込みユニット(MY)104MYの温度差が大きくなっていく場合がある。すなわち、モノクロ印刷後にカラー印刷が行われると、書込みユニット間の温度差、温度勾配が大きくなる。このような書込みユニット間の温度差、温度勾配は、位置ずれに大きく影響を与える。すなわち、書込みユニット間の温度差、温度勾配が大きいほど、位置ずれの程度が大きくなる。
そこで、本実施の形態にかかるカラー複写機100においては、書込みユニット間の温度差が大きくなるのを防ぐべく、図2において説明したエンジン制御部113のポリゴンミラー駆動管理部1223に各書込みユニット104KC,104MYのポリゴンミラー駆動部103KC,103MYによるポリゴンミラーの駆動を管理させる。
図5は、位置ずれ補正用パターンが形成された状態を示す転写ベルトの斜視図である。図6は、図5の位置ずれ補正用パターンの拡大図である。本実施の形態にかかるカラー複写機100においては、位置ずれ補正のため、転写ベルト3上に各色の色ずれ補正用パターン14を各作像ユニット1Y,1M,1C,1Kで形成し、この色ずれ補正用パターン14をパターン検知センサ15,16で検知する。
この図5の例では、パターン検知センサ15,16は、転写ベルト3における主走査方向の両端に配置されている。転写ベルト3には、それぞれのパターン検知センサ15,16の配置位置に対応して色ずれ補正用パターン14が形成されている。色ずれ補正用パターン14は、4本の平行なパターンK11,C11,M11,Y11,K21,C21,M21,Y21と、4本の斜め線のパターンK12,C12,M12,Y12,K22,C22,M22,Y22を副走査方向に一定間隔に配置したものである。このような色ずれ補正用パターン14は、転写ベルト3の移動方向に沿って繰り返し形成される。色ずれ補正用パターン14は、サンプル数を多くして誤差による影響を減らすために、図6に示すように、パターン検知センサ15,16の位置にあわせて複数出力される。このような色ずれ補正用パターン14は、転写ベルト3が同図に示す搬送方向に移動し、パターン検知センサ15,16を順に通過することによって検知される。
転写ベルト3上に形成された色ずれ補正用パターン14は、パターン検知センサ15,16で検知される。パターン検知センサ15,16から出力された検知信号は、パターン検知部121によってアナログデータからデジタルデータへと変換される。色ずれ補正部1221は、パターン検知部121により変換されたデジタルデータのサンプリングを行い、サンプリングしたデジタルデータをRAM123に格納する。一通り色ずれ補正用パターン14の検知が終了すると、色ずれ補正部1221は、RAM123に格納されていたデジタルデータを用いて、種々の色ずれ量(各色の歪み量、主走査方向の倍率誤差量、主/副レジストずれ量、スキューずれ量など)を算出するための演算処理を行い、その色ずれ量から各ずれ成分の補正量を算出する。
図7は、図2において説明したエンジン制御部113の書込み制御部125の詳細な機能を示すブロック図である。書込み制御部125は、K,C,M,Y各色の書込み制御部126K,126C,126M,126Yと、入力画像制御部127K,127C,127M,127Yと、ラインメモリ128K,128C,128M,128Yとを有している。
入力画像制御部127K,127C,127M,127Yは、それぞれ画像処理部124から送信された画像データを受け取り、受け取った画像データをラインメモリ128K,128C,128M,128Yに格納し、格納した画像データを順次読み出して各色の書込み制御部126K,126C,126M,126Yに転送する。
なお、入力画像制御部127K,127C,127M,127Yは、それぞれ色ずれ補正部1221により算出された歪みライン量に基づいて、各色のラインメモリ128K,128C,128M,128Yへ画像データを格納する。本実施の形態では、入力画像制御部127K,127C,127M,127Yは、画像処理部124から1ビットの2値画像の画像データを受信し、受信した画像データを書込み制御部126K,126C,126M,126Yに転送する。なお、本実施の形態では、2値画像の画像データを書込み制御部126K,126C,126M,126Yに転送しているが、これに限定するものではない。たとえば、入力画像制御部127K,127C,127M,127Yは、画像処理部124から受信した2値画像の画像データを4ビットの濃度値(0(=白画素)〜15(=黒画素))を取る画像データに変換して書込み制御部126K,126C,126M,126Yに転送してもよい。
ラインメモリ128K,128C,128M,128Yは、画像処理部124から転送された画像データを順次格納するためのメモリである。K色の書込み制御部126Kは、書込画像処理部131Kと、補正パターン生成部132Kと、LDデータ出力部133Kとを有している。C,M,Y色の書込み制御部126C,126M,126Yは、いずれもK色と同様の構成である。すなわち、C,M,Y色の書込み制御部126C,126M,126Yは、それぞれ書込画像処理部131M,131C,131Yと、補正パターン生成部132C,132M,132Yと、LDデータ出力部133C,133M,133Yとを有している。
なお、図7においては、説明を簡略にするために、図2で説明した各色の主走査ゲート信号(K,C,M,Y)_IPLGATE_Nと副走査ゲート信号(K,C,M,Y)_IPFGATE_Nおよびこれら同期信号に伴う画像信号(K,C,M,Y)_IPDATA_Nの3信号をあわせて書き込み制御信号(K,C,M,Y)_IPDATA[7:0]_Nと表記している。
書込画像処理部131K,131C,131M,131Yは、ラインメモリ128K,128C,128M,128Yに格納された画像データを用いて各種の画像処理を行うものである。
補正パターン生成部132K,132C,132M,132Yは、転写ベルト3上での各色の色ずれおよび濃度ずれを補正するための色ずれ補正用パターン14および濃度ずれ補正用パターンを生成し、LDデータ出力部133K,133C,133M,133Yを介して、生成した色ずれ補正用パターン14等を出力する。これにより、転写ベルト3に色ずれ補正用パターン14が形成される。
なお、RAM123を不揮発性メモリに代替し、RAM123に色ずれ補正用パターン14のデジタルデータを記憶することとしてもよい。
LDデータ出力部133K,133C,133M,133Yは、書込画像処理部131K,131C,131M,131Yから取得した画像データに対応し、さらに、色ずれ補正部1221によって算出された主/副レジスト補正量に応じた補正書き込み指令(LD発光データ(K,C,M,Y)_LDDATA)をLD制御部101K,101C,101M,101Yに送出し、レーザ光照射による書き込みタイミングのずれを補正する制御を行うものである。また、LDデータ出力部133K,133C,133M,133Yは、色ずれ補正部1221によって算出された主走査倍率補正量に応じた画像周波数の変更指令(LD発光データ(K,C,M,Y)_LDDATA)をLD制御部101K,101C,101M,101Yに送出し、主走査方向の倍率誤差の補正制御を行うものである。
さらに、LDデータ出力部133K,133C,133M,133Yは、補正パターン生成部132K,132C,132M,132Yから得られる色ずれ補正用パターン14等を転写ベルト3上に形成する指令(LD発光データ(K,C,M,Y)_LDDATA)を、LD制御部101K,101C,101M,101Yに送出するものである。また、LDデータ出力部133K,133C,133M,133Yには、それぞれ出力周波数を非常に細かく設定できるデバイス、たとえば電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)を利用したクロックジェネレータなどが備えられている。
ここで、書込み制御部126K,126C,126M,126Yによる画像書込み処理について詳細に説明する。まず、図7のK色における画像書込み処理について説明する。まず、画像データK_IPDATA[7:0]_Nが、画像処理部124から入力画像制御部127Kに送信される。入力画像制御部127Kは、ラインメモリ128Kに画像データを一時記憶しながら、書込み制御部126Kに画像データを送信する。書込み制御部126K内部では、書込画像処理部131Kが、入力画像制御部127Kから送信された画像データをLDデータ出力部133Kに送信する。LDデータ出力部133Kは、K色のLD発光データK_LDDATAを生成し、LD制御部101Kに送信する。
なお、位置ずれ補正用パターン14および濃度ずれ補正用パターンを出力する際には、補正パターン生成部132K,132C,132M,132YからK,C,M,Y各色の画像データが各色のLDデータ出力部133K,133C,133M,133Yに送信される。その後は、上述した説明と同様の動作を行う。
図8は、副走査方向の書き出しタイミングを制御すべく画像処理部124および書込み制御部125から出力される信号のタイミングチャートを示す図である。図7において(A)はスタート信号STTRIG_N、(B)はY色の副走査タイミング信号Y_FSYNC_N、(C)はY色の副走査ゲート信号Y_IPFGATE_N、(D)はY色のLD発光データY_LDDATA、(E)はM色の副走査タイミング信号M_FSYNC_N、(F)はM色の副走査ゲート信号Y_IPFGATE_N、(G)はM色のLD発光データM_LDDATA、(H)はC色の副走査タイミング信号C_FSYNC_N、(I)はC色の副走査ゲート信号C_IPFGATE_N、(J)はC色のLD発光データC_LDDATA、(K)はK色の副走査タイミング信号K_FSYNC_N、(L)はK色の副走査ゲート信号K_IPFGATE_N、(M)はK色のLD発光データK_LDDATAである。
図8に示すように、書込み制御部125は、書込み管理部1222からのスタート信号STTRIG_Nを基準として、ライン数をカウントし、画像処理部124に対して各色の副走査タイミング信号(Y,M,C,K)_FSYNC_Nを送信する。
その後、画像処理部124は、各色の副走査タイミング信号(Y,M,C,K)_FSYNC_Nの受信をトリガにして、各色の副走査ゲート信号(Y,M,C,K)_IPFGATE_Nを書込み制御部125に送信し、さらに各色の画像データ(Y,M,C,K)_IPDATA[7:0]_Nを送信する。
各色の書込み制御部126Y,126M,126C,126Kは、各色のLD発光データ(Y,M,C,K)_LDDATAをLD制御部101K,101C,101M,101Yに送信する。
なお、副走査方向の色ずれを補正する場合には、書込み制御部125は、スタート信号からの副走査遅延量(Y,M,C,K)_mfcntldを、検知した色ずれ量に応じて変更する。本実施の形態においては、書込み制御部125は、K色を基準とした色ずれ量をC,M,Y各色の副走査遅延量(Y,M,C)_mfcntldに反映し、各色の副走査タイミング信号(Y,M,C)_FSYNC_Nのタイミングを変更して副走査方向の色ずれの補正を行う。
図9は、カラー複写機100における印刷処理を示すフローチャートである。カラー複写機100のエンジン制御部113は、まず印刷開始にかかる処理を行う(ステップS100)。次に、エンジン制御部113は、ポリゴンミラー駆動制御処理を行う(ステップS101)。
次に、色ずれ補正部1221は、サーミスタ(KC)102KCおよびサーミスタ(MY)102MYにそれぞれ書込みユニット(KC)104KCおよび書込みユニット(MY)104MYの温度を検出させる。そして、色ずれ補正部1221は、書込みユニット(KC)104KCの現在の温度(f_kc)と書込みユニット(MY)104MYの現在の温度(f_my)の差を算出し、算出した差分値と予め定めた閾値(F)とを比較する(ステップS102)。差分値(|f_kc−f_my|)が閾値(F)以上である場合には(ステップS102,Yes)、色ずれ補正部1221は、色ずれ補正量算出処理を行う(ステップS103)。
差分値(|f_kc−f_my|)が閾値(F)未満である場合には(ステップS102,No)、ステップS104へ進む。ステップS104において、すべての印刷処理が終了すると(ステップS104,Yes)、カラー複写機100における印刷処理が完了する。ステップS104において、印刷処理が終了していなければ(ステップS104,No)、ステップS101に戻り、S101からS103の処理を繰り返す。
このように、本実施の形態においては、色ずれ補正部1221は、現在の書込みユニット(KC)104KCおよび書込みユニット(MY)104MYの温度差に基づいて、色ずれ補正量算出処理を行うか否かを決定し、温度差が閾値以上となる度に色ずれ補正量を算出する。
図10は、図9において説明した印刷開始処理(ステップS100)を示すフローチャートである。印刷開始処理は、エンジン制御部113により統括的に実行される。印刷処理が開始されると、まず、書込み制御部125は、RAM123に保存された主走査倍率補正量に基づき、K,C,M,Y各色の画素クロック周波数を決定する(ステップS111)。
次に、書込み制御部125は、RAM123に保存された主レジスト補正量に基づいて、各色の主走査遅延量を決定し(ステップS112)、さらに、RAM123に保存された副レジスト補正量に基づいて、各色の副走査遅延量を決定する(ステップS113)。
次に、書込み制御部125は、RAM123に保存された各色のスキュー補正量と階調数情報に基づいて、基準色(K色)に対するM、CおよびY色のスキュー補正量を決定する(ステップS114)。次に、書込み制御部125は、決定したK,C,M,Y各色の主走査画素クロック周波数、主走査遅延量、副走査遅延量、スキュー補正量に基づいて色ずれ補正を実行しながら印刷動作を開始する(ステップS115)。
なお、主走査方向の色ずれ補正は、書込み制御部125が各色の主走査倍率と主走査方向の書き出しタイミングを制御することによって行われる。また、主走査倍率補正は、書込み制御部125が検出した各色の倍率誤差量に基づく画像周波数を変更することによって行う。ただし、書込み制御部125には、周波数を非常に細かく設定できるデバイス、たとえばVCOを利用したクロックジェネレータなどが備えられている。また、主走査方向の書き出しタイミングは、各色の同期検知信号をトリガにして動作する主走査カウンタのいずれの位置からLDがデータを出力するかによって調整する。さらに、副走査方向の色ずれ補正は、書込み制御部125が副走査方向の書き出しタイミングを制御することで行う。
図11は、図9において説明したポリゴンミラー駆動制御処理(ステップS101)を示すフローチャートである。ポリゴンミラー駆動制御処理は、エンジン制御部113により統括的に実行される。
カラー複写機100は、モノクロ印刷時には、ポリゴンミラー(KC)のみ回転させるべくポリゴンミラー駆動部(KC)103KCのみ駆動するが、本実施の形態にかかるカラー複写機100においては、モノクロ印刷後にカラー印刷が行われる場合には、ユニット間の温度差を無くし、色ずれの影響を小さくするためにモノクロ印刷実施中にポリゴンミラー駆動部(MY)103MYを駆動させる。
ステップS100により印刷処理が開始すると、ポリゴンミラー駆動管理部1223は、印刷処理対象となる画像データに対しカラーおよびモノクロのいずれの印刷指定がなされているかを監視する。現在モノクロ印刷中である場合には(ステップS121,Yes)、ポリゴンミラー駆動管理部1223はさらに、現在印刷処理中の画像データに対する印刷ジョブ以降のカラーの印刷指定がなされた印刷ジョブを検出する。カラーの印刷指定の印刷ジョブがある場合には(ステップS122,Yes)、ポリゴンミラー駆動管理部1223は、現在の印刷処理から次のカラーの印刷指定の印刷ジョブまでの印刷枚数を特定する。印刷枚数が予め設定された閾値(N)以下である場合には(ステップS123,Yes)、ポリゴンミラー駆動管理部1223は、現在停止中のポリゴンミラー駆動部(MY)103MYを動作させ(ステップS124)、図9のステップS102へ進む。すなわち、ポリゴンミラー駆動管理部1223は、記録枚数特定部として機能する。
ステップS121においてカラー印刷中である場合(ステップS121,No)、ステップS122においてカラー印刷指定の印刷ジョブが検出されない場合(ステップS122,No)、ステップS123において印刷ジョブまでの印刷枚数が閾値(N)より大きい場合(ステップS123,No)には、ポリゴンミラー駆動制御処理は終了し、図9のステップS102へ進む。
モノクロ印刷時には、ポリゴンミラー駆動部(MY)103MYのみが動作し、ポリゴンミラー駆動部(MY)103MYは停止している。したがって、書込みユニット(KC)104KCと書込みユニット(MY)104MYの温度差は大きくなっていく。そこで、本実施の形態のカラー複写機100においては、上記ポリゴンミラー駆動制御処理において、カラー印刷が行われるタイミングから所定時間だけ前のタイミングにおいて、予め書き込みユニット(MY)104MYを動作させておくことにより、書込みユニット(KC)104KCと書込みユニット(MY)104MYの温度差を小さくし、書込みユニット(KC)104KCと書込みユニット(MY)104MYの温度差に起因した色ずれが生じるのを防いでいる。
すなわち、図9を参照しつつ説明したように、本実施の形態にかかるカラー複写機100においては、書込みユニット(KC)104KCと書込みユニット(MY)104MYの温度差が閾値(F)以上になった場合に、色ずれの補正量算出処理を行うが、ポリゴンミラー駆動制御処理により、書込みユニット(KC)104KCと書込みユニット(MY)104MYの温度差が大きくなる前にポリゴンミラー駆動部(KC)102MYを動作させることにより、色ずれ補正量算出処理を行う回数を減らすことができる。これにより、カラー複写機100において色ずれ補正量算出処理を行うため印刷処理を行うことのできないダウンタイムを低減することができる。
なお、閾値(N)は、予め設定された固定値であってもよく、ユーザにより変更が可能な可変値としてもよい。具体的には、ポリゴンミラー駆動管理部1223は、後述の操作表示部においてユーザから入力された閾値(N)を利用する。すなわち、操作表示部は、枚数閾値受付部として機能する。
また、他の例としては、ポリゴンミラー駆動管理部1223は、現在処理中の印刷ジョブと前後の印刷ジョブの関係に基づいて、閾値を決定し、決定した閾値を利用することとしてもよい。具体的には、例えば、ポリゴンミラー駆動管理部1223は、現在処理中の印刷ジョブの前後の印刷ジョブにおけるデータ量が少ない場合には比較的大きい値を閾値に決定し、データ量が多い場合には比較的小さい値を閾値に決定してもよい。すなわち、ポリゴンミラー駆動管理部1223は、枚数閾値決定部として機能する。
また、本実施の形態においては、ポリゴンミラー駆動制御処理は、エンジン制御部113において統括的に実施されることとしたが、これに限定されるものではなく、他の例としては、ポリゴンミラー駆動制御処理は、プリンタコントローラ等のコントローラにより統括的に実施されることとしてもよい。
図12は、図9において説明した色ずれ補正量算出処理(ステップS103)を示すフローチャートである。色ずれ補正量算出処理は、エンジン制御部113により統括的に実行される。色ずれ補正量算出処理においては、まず、色ずれ補正部1221は、各色の補正パターン生成部132K,132C,132M,132Yに対し、色ずれ補正用パターン14の生成を指示し、各色の補正パターン生成部132K,132C,132M,132Yは、指示に従い転写ベルト3上に色ずれ補正用パターン14を形成する(ステップS131)。ここで、色ずれ補正部1221は、補正画像形成指示部として機能する。
次に、パターン検知センサ15,16は、転写ベルト3上に形成された色ずれ補正用パターン14を検知する(ステップS132)。次に、パターン検知部121が、パターン検知センサ15,16による色ずれ補正用パターン14の検知信号をデジタルデータに変換すると、色ずれ補正部1221は、色ずれ補正用パターン14のデジタルデータから、基準色(K色)に対する主走査倍率補正量と、主/副レジスト補正量とを算出する(ステップS133)。さらに、色ずれ補正部1221は、基準色(K色)に対する各色のスキュー量を算出する(ステップS134)。次に、色ずれ補正部1221は、算出したスキュー量に基づいて、スキュー補正を行うためのスキュー補正量を算出する(ステップS135)。
次に、色ずれ補正部1221は、算出した主走査倍率補正量、主/副レジスト補正量、スキュー補正量を含む補正量をRAM123(または不揮発性メモリ)などのメモリに保存する(ステップS136)。以上で、色ずれ補正量算出処理が完了する。なお、RAM123に保存した補正量は、次に色ずれ補正量算出処理が行われるまで、印刷時の補正量として使用される。
なお、カラー複写機100は、図9において説明した印刷開始処理が行われる前の時点で、色ずれ補正量算出処理を行い、色ずれ補正量算出処理により算出された補正量を予めRAM123に格納しておくこととする。また、他の例としては、印刷開始処理時には、RAM123には、カラー複写機100における前回の印刷処理中に色ずれ補正量算出処理において算出された補正量が格納されており、印刷開始処理においては、RAM123に格納された値が利用されてもよい。
図13は、カラー複写機100の印刷処理の第1の変更例を示すフローチャートである。図13に示す例においては、現在の書込みユニット(KC)104KCと書込みユニット(MY)104MYの温度差に代えて、書込みユニット(KC)104KCおよび書込みユニット(MY)104MYそれぞれの現在の温度と過去の温度検出結果に基づいて、色ずれ補正量算出処理を行うか否かを決定する。
本例においては、サーミスタ(KC)102KCおよびサーミスタ(MY)102MYは、書込みユニット(KC)104KCおよび書込みユニット(MY)104MYの温度を検出する度に検出結果をRAM123に格納する。すなわち、RAM123は、書込みユニット(KC)104KCおよび書込みユニット(MY)104MYの温度の検出結果の履歴を記憶する。
そして、ポリゴンミラー駆動制御処理(ステップS101)の後、色ずれ補正部1221は、サーミスタ(KC)102KCおよびサーミスタ(MY)102MYにそれぞれ書込みユニット(KC)104KCの現在の温度(f_kc2)および書込みユニット(MY)104MYの現在の温度(f_my2)を検出させる。さらに、色ずれ補正部1221は、RAM123を参照し、書込みユニット(KC)104KCの前回の色ずれ補正量算出処理実行時の温度(f_kc1)と、書込みユニット(MY)104MYの前回の色ずれ補正量算出処理実行時の温度(f_my1)を特定する。そして、色ずれ補正部1221は、書込みユニット(KC)104KCにおける現在と過去の温度差(Δf_kc)を式(1)により算出し、書込みユニット(MY)104MYにおける現在と過去の温度差(Δf_my)を式(2)により算出する(ステップS200)。
Δf_kc=f_kc2−f_kc1 ・・・(1)
Δf_my=f_my2−f_my1 ・・・(2)
次に、色ずれ補正部1221は、書込みユニット(KC)104KCにおける温度差(Δf_kc)と書込みユニット(MY)104MYにおける温度差(Δf_my)の差分値(|Δf_kc−Δf_my|)と、予め設定された閾値(ΔF)とを比較する(ステップS201)。
そして、色ずれ補正部1221は、差分値(|Δf_kc−Δf_my|)が閾値(ΔF)以上である場合に(ステップS201,Yes)、色ずれ補正量算出処理を行う(ステップS103)。差分値(|Δf_kc−Δf_my|)が閾値(ΔF)未満である場合には(ステップS201,No)、ステップS104へ進む。
さらに、色ずれ補正量算出処理(ステップS103)が完了すると、色ずれ補正部1221は、ステップS200において検出した書込みユニット(KC)104KCの現在の温度(f_kc2)と書込みユニット(MY)104MYの現在の温度(f_my2)を、それぞれ温度(f_kc1)および温度(f_my1)としてRAM123に格納する(ステップS203)。なお、第1の変更例にかかる印刷処理のこれ以外の処理は、図9〜図12を参照しつつ説明した印刷処理と同様である。
このように、本例においては、カラー複写機100は、書込みユニット(KC)104KCおよび書込みユニット(MY)104MYの現在の温度だけでなく、書込みユニット(KC)104KCおよび書込みユニット(MY)104MYの過去の温度に基づいて総合的に色ずれ補正量算出処理を行うタイミングを判断する。
図14は、カラー複写機100の印刷処理の第2の変更例を示すフローチャートである。図14に示す例においては、図13を参照しつつ説明した第1の変更例のように書込みユニット(KC)104KCおよび書込みユニット(MY)104MYの現在と過去の温度に基づいて、色ずれ補正量算出処理のタイミングを判断するのに加えて、さらにカラー印刷時にのみ色ずれ補正量算出処理を行う。
すなわち、色ずれ補正部1221は、差分値(|Δf_kc−Δf_my|)と、予め設定された閾値(ΔF)とを比較し、差分値(|Δf_kc−Δf_my|)が閾値(ΔF)以上である場合には(ステップS211,Yes)、さらに現在実行されている印刷処理がカラー印刷であるか、モノクロ印刷であるかを特定する。そして、色ずれ補正部1221は、カラー印刷である場合にのみ(ステップS212,カラー)、色ずれ補正量算出処理を行い(ステップS103)、モノクロ印刷である場合には(ステップS212,モノクロ)、ステップS104に進む。なお、第2の変更例にかかる印刷処理のこれ以外の処理は、印刷処理の第1の変更例と同様である。
本実施の形態にかかるカラー複写機100は、複数の書込みユニットを備えるが、書込みユニットの構成はこれに限定されるものではなく、他の例としては、カラー複写機100は、単一の書込みユニットを備え、書込みユニットは、複数のサーミスタを有することとしてもよい。
また、カラー複写機100が備えるサーミスタの数は、本実施の形態に限定されるものではない。他の例にかかるカラー複写機においては、例えば複数の書込みユニットそれぞれが、複数のサーミスタを有することとしてもよい。
また、本実施の形態においては、温度検出機構としてサーミスタを用いることとしたが、温度検出機構は、書込みユニットの温度に相当する値を検出可能なものであればよく、サーミスタに限定されるものではない。温度検出機構は、サーミスタ以外の温度検出機構であってもよく、また他の例としては、カラー複写機において印刷された連続印刷枚数など温度を予測可能な量を検知する機構であってもよい。
図15は、カラー複写機100のハードウェア構成例を示すブロック図である。本図に示すように、カラー複写機100は、コントローラ210とエンジン部(Engine)260とをPCI(Peripheral Component Interface)バスで接続した構成となる。コントローラ210は、カラー複写機100全体の制御と描画、通信、図示しない操作部からの入力を制御するコントローラである。エンジン部260は、PCIバスに接続可能なプリンタエンジンなどであり、たとえば白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、4ドラムカラープロッタ、スキャナまたはファックスユニットなどである。なお、このエンジン部260には、プロッタなどのいわゆるエンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
コントローラ210は、CPU211と、ノースブリッジ(NB)213と、システムメモリ(MEM−P)212と、サウスブリッジ(SB)214と、ローカルメモリ(MEM−C)217と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)216と、ハードディスクドライブ(HDD)218とを有し、ノースブリッジ(NB)213とASIC216との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス215で接続した構成となる。また、MEM−P212は、ROM(Read Only Memory)212aと、RAM(Random Access Memory)212bと、をさらに有する。
CPU211は、複合機の全体制御をおこなうものであり、NB213、MEM−P212およびSB214からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
NB213は、CPU211とMEM−P212、SB214、AGP215とを接続するためのブリッジであり、MEM−P212に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
MEM−P212は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM212aとRAM212bとからなる。ROM212aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM212bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
SB214は、NB213とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB214は、PCIバスを介してNB213と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインターフェース(I/F)部なども接続される。
ASIC216は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGP215、PCIバス、HDD218およびMEM−C217をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC216は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC216の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C217を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部260との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC216には、PCIバスを介してFCU(Facsimile Control Unit)230、USB(Universal Serial Bus)240、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インターフェース250が接続される。操作表示部220はASIC216に直接接続されている。
MEM−C217は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD(Hard Disk Drive)218は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
AGP215は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P212に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
なお、本実施の形態のカラー複写機100で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。本実施の形態のカラー複写機100で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置を、カラー複写機に適用した例を挙げて説明するが、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。