以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置、画像形成方法およびプログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。以下の実施の形態では、本発明の画像形成装置をカラー複写機に適用した例を示す。但し、カラー複写機に限られず、ファクシミリ、スキャナ機能やコピー、ファックス、プリンタなどの複数の機能を一つの筐体に収納した複合機等の画像処理を行うものであれば、本発明を適用することができる。
まず、本実施の形態のカラー複写機の作像原理について図1を参照して説明する。図1は、カラー複写機の作像原理を説明するための画像プロセス部、露光部および転写ベルトの正面図である。カラー複写機は、電子写真方式の画像形成による転写紙上への画像を形成する装置である。
このカラー複写機は、各々異なる色(Y,M,C,K)の画像を形成する画像プロセス部1の内部の4個の作像ユニット1Y,1M,1C,1Kが、転写媒体としての転写紙2を搬送する転写ベルト3に沿って一列に配置されたタンデム型となっている。転写ベルト3は、駆動回転する駆動ローラ4と従動回転する従動ローラ5との間に架設されており、駆動ローラ4の回転によって、図中矢印の方向に回転駆動される。転写ベルト3の下部には、転写紙2が収納された給紙トレイ6が備えられる。この給紙トレイ6に収納された転写紙2のうち最上位置にある転写紙2が、画像形成時に転写ベルト3に向けて給紙され、静電吸着によって転写ベルト3上に吸着される。吸着された転写紙2は、作像ユニット1Yに搬送され、ここで最初にY色の画像形成が行われる。
作像ユニット1Y,1M,1C,1Kは、それぞれ感光体ドラム7Y,7M,7C,7Kと、感光体ドラム7Y,7M,7C,7Kの周囲に配置された帯電器8Y,8M,8C,8Kと、現像器10Y,10M,10C,10Kと、感光体クリーナ11Y,11M,11C,11Kと、転写器12Y,12M,12C,12Kと、を備える。
作像ユニット1Yの感光体ドラム7Yの表面は、帯電器8Yで一様に帯電された後、露光部9によりY色の画像に対応したレーザ光LYで露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、現像器10Yで現像され、感光体ドラム7Y上にトナー像が形成される。このトナー像は、感光体ドラム7Yと転写ベルト3上の転写紙2とが接する位置(転写位置)で、転写器12Yによって転写紙2に転写され、これによって、転写紙2上に単色(Y色)の画像が形成される。転写が終わった感光体ドラム7Yでは、ドラム表面に残った不要なトナーが感光体クリーナ11Yによってクリーニングされ、つぎの画像形成に備えることとなる。
このように、作像ユニット1Yで単色(Y色)が転写された転写紙2は、転写ベルト3によって作像ユニット1Mに搬送される。ここでも同様に、感光体ドラム7M上に形成されたM色のトナー像が転写紙2上に重ねて転写される。転写紙2は、その後さらに作像ユニット1Cと作像ユニット1Kとに順に搬送され、同様に、形成されたC色とK色のトナー像が転写紙2に転写され、これによって転写紙2上にカラー画像が形成されてゆく。
そして、作像ユニット1Kを通過してカラー画像が形成された転写紙2は、転写ベルト3から剥離され、定着器13で定着された後、排紙される。
タンデム方式のカラー複写機においては、その構成上、各色間の位置合わせが重要である。各色間の色ずれには、主走査方向(感光体ドラム7K,7M,7C,7Yの回転軸に平行な方向)のレジストレーションずれ、副走査方向(感光体ドラム7K,7M,7C,7Yの回転軸に垂直な方向)のレジストレーションずれ、主走査倍率ずれ、スキューずれなどがある。そこで、このカラー複写機では、転写紙2に対して実際のカラー画像形成動作を行うに先立ち、補正パターンを用いた各色間の位置ずれ補正を行うことにしている。
図2は、補正パターンが形成された状態を示す転写ベルトの斜視図である。このカラー複写機では、位置ずれ補正のため、転写ベルト3上に各色の色ずれ補正用の補正パターン14を各作像ユニット1Y,1M,1C,1Kで形成し、この補正パターン14を複数の検知用の検知センサ15,16で検出する。この図2の例では、複数の検知センサ15,16を転写ベルト3における主走査方向の両端に配置し、転写ベルト3には、各々の検知センサ15,16の配置位置に対応して補正パターン14が形成されている。このような補正パターン14は、転写ベルト3が同図に示す搬送方向に転動移動し、検知センサ15,16を順に通過することによって検出される。この補正パターン14を検出すると、その検出結果から、種々のずれ量(主走査倍率ずれ量、主走査レジストレーションずれ量、副走査レジストレーションずれ量、スキューずれ量、歪み量)を算出するための演算処理が行われ、その色ずれ量から各ずれ成分の補正量が算出される。
つぎに、カラー複写機の制御動作に関連するブロックとその動作について説明する。図3は、カラー複写機の書込み制御と位置ずれ補正を行う機構の構成の一例を示すブロック図である。このカラー複写機で位置ずれ補正処理を行う処理部は、検知センサ15,16、プリンタコントローラ111、スキャナコントローラ112、エンジン制御部113、およびK,M,C,Y各色のLD(Laser Diode)制御部114K,114M,114C,114Yである。
検知センサ15,16は、各色の画像の位置ずれを算出するために、転写ベルト3に転写された補正パターン14を検知するためのものである。検知センサ15,16は、補正パターン14の位置を検出してアナログの検知信号をエンジン制御部113に出力する。
プリンタコントローラ111は、外部装置(たとえばパーソナルコンピュータ(以下、PCという))からネットワークを介して送信された画像データを受信するためのものである。プリンタコントローラ111は、受信した画像データを画像処理部124へ転送する。
スキャナコントローラ112は、図示しないスキャンで読み取った原稿画像を取得するためのものである。スキャナコントローラ112は、取得した画像データを画像処理部124へ転送する。
エンジン制御部113は、大別して、パターン検知部121と、CPU(Central Processing Unit)122と、RAM(Random Access Memory)123と、画像処理部124と、書込み制御部125と、を有する。
パターン検知部121は、検知センサ15,16から出力された検知信号を増幅し、増幅されたアナログの検知信号をデジタルデータへ変換し、変換したデジタルデータをRAM123に格納する。
CPU122は、RAM123に格納された補正パターン14の位置の検知信号であるデジタルデータから色ずれ量を算出し、算出した色ずれ量から色ずれを補正するための色ずれ補正量を算出する。ここで、色ずれ量としては、各色の歪み量、主走査方向の倍率誤差量、主走査方向レジストレーションずれ量および副走査方向レジストレーションずれ量(以下、主/副レジストずれ量という)、スキューずれ量などがある。また、色ずれ補正量としては、これらの各種ずれ量から、各色の歪み補正量、主走査倍率補正量、主走査方向レジストレーション補正量および副走査方向レジストレーション補正量(以下、主/副レジスト補正量という)、スキュー補正量などがある。
また、CPU122は、画像データの解像度、および算出した各色(Y,M,C,K)の歪み量に基づいて、K色を基準色とする場合のY色、M色、およびC色の歪みライン量を算出し、これらの基準色に対する各色の歪みライン量に基づいて、ラインメモリのライン数を決定する。なお、基準色とは、各色の歪み量を算出する際の基準位置となる色をいい、この例ではK色を基準色としている。
RAM123は、パターン検知部121からCPU122を介して取得した補正パターン14のデジタルデータを一時的に記憶するためのものである。なお、このRAM123を不揮発性メモリに代替し、不揮発性メモリに補正パターン14のデジタルデータを記憶する構成としてもよい。
画像処理部124は、プリンタコントローラ111によって受信した各画像データ、またはスキャナコントローラ112から取得した各画像データに応じた種々の画像処理を施す。また、画像処理部124は、書込み制御部125から送信された各色の副走査タイミング信号(K,M,C,Y)_FSYNC_Nを受信して、各色の主走査ゲート信号(K,M,C,Y)_IPLGATE_Nと副走査ゲート信号(K,M,C,Y)_IPFGATE_Nおよびこれら同期信号に伴う画像信号(K,M,C,Y)_IPDATA_Nを書込み制御部125に送信する。
書込み制御部125は、画像処理部124から転送された画像データを受け取り、受け取った画像データについて各種書込み処理を施して画像信号(K,M,C,Y)_LDDATAを生成し、それぞれLD制御部114K,114M,114C,114Yに送信する。
LD制御部114K,114M,114C,114Yは、露光部9内に備えられ、露光部9による感光体ドラム7Y,7M,7C,7Kへのレーザ光LY,LM,LC,LKの照射を制御するためのものである。レーザ光LY,LM,LC,LKが照射されることによって、感光体ドラム7Y,7M,7C,7K上にトナー画像が形成される。形成されたトナー画像は、転写紙2に転写され出力される。
このようなカラー複写機におけるカラー画像形成処理の概要について説明する。PCからのプリンタ画像はプリンタコントローラ111で、コピー画像はスキャナコントローラ112でそれぞれ処理され、エンジン制御部113の画像処理部124に転送される。画像処理部124では、各画像データに応じた種々の画像処理を行い、カラー各色の画像データに変換して書込み制御部125に転送する。書込み制御部125では、各色の印字タイミングを生成し、副走査タイミングに合わせて画像データを受け取り、各種書込み画像処理を施した後にLD発光データに変換し、各色のLD制御部114K,114M,114C,114YにてLDを発光し、感光体ドラム上に画像を形成する。
ここで、エンジン制御部113内の書込み制御部125について図4を参照してさらに説明する。図4は、書込み制御部の構成の一例を示すブロック図である。書込み制御部125は、大別して、K,M,C,Y各色の書込み制御部126K,126M,126C,126Yと、入力画像制御部127K,127M,127C,127Yと、ラインメモリ128K,128M,128C,128Yと、を備えている。
さらに、基準色のK色の書込み制御部126Kは、書込画像処理部131K、位置ずれ補正パターン生成部132K、LDデータ出力部133Kを備える。また、他のM,C,Y色の書込み制御部126M,126C,126Yは、K色と同様の構成である書込画像処理部131M,131C,131Y、位置ずれ補正パターン生成部132M,132C,132Y、LDデータ出力部133M,133C,133Yに加えて、スキュー補正処理部135M,135C,135Yを備える。
なお、この図4においては、説明を簡略にするために、図3で説明した各色の主走査ゲート信号(K,M,C,Y)_IPLGATE_Nと副走査ゲート信号(K,M,C,Y)_IPFGATE_Nおよびこれら同期信号に伴う画像信号(K,M,C,Y)_IPDATA_Nの3信号をあわせて書き込み制御信号(K,M,C,Y)_IPDATA[7:0]_Nと表記している。
書込画像処理部131K,131M,131C,131Yは、ラインメモリ128K,128M,128C,128Yに格納された画像データを用いて各種の画像処理を行うものである。
位置ずれ補正パターン生成部132K,132M,132C,132Yは、転写ベルト3上での各色の色ずれを補正するための補正値を算出するために、転写ベルト3に転写する補正パターン14の画像データを生成するためのものである。
LDデータ出力部133K,133M,133C,133Yは、CPU122によって算出された主副レジスト補正量に応じて補正書き込み指令(LDDATA)をLD制御部114K,114M,114C,114Yに送出し、レーザ光照射による書き込みタイミングのずれを補正する制御を行うものである。また、LDデータ出力部133K,133M,133C,133Yは、CPU122によって算出された主走査倍率補正量に応じた画像周波数の変更指令(LDDATA)をLD制御部114K,114M,114C,114Yに送出し、主走査方向の倍率誤差の補正制御を行うものである。さらに、LDデータ出力部133K,133M,133C,133Yは、位置ずれ補正パターン生成部132K,132M,132C,132Yから得られる補正パターン14を転写ベルト3上に形成する指令(LDDATA)を、LD制御部114K,114M,114C,114Yに送出するものである。また、LDデータ出力部133K,133M,133C,133Yは、出力周波数を非常に細かく設定できるデバイス、たとえば電圧制御発信器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)を利用したクロックジェネレータなどが各色について備えられている。
入力画像制御部127K,127M,127C,127Yは、画像処理部124から転送された画像データを受け取り、受け取った画像データをラインメモリ128K,128M,128C,128Yに格納し、格納した画像データを各色の書込み制御部126K,126M,126C,126Yに転送するものである。また、入力画像制御部127K,127M,127C,127Yは、CPU122により算出された歪みライン量に基づいて、各色のラインメモリ128K,128M,128C,128Yへの格納を行う。本実施の形態にかかる入力画像制御部127K,127M,127C,127Yでは、画像処理部124から1ビットの2値画像の画像データを受信し、受信した画像データを書込み制御部126K,126M,126C,126Yに転送する。なお、本実施の形態では、2値画像の画像データを書込み制御部126K,126M,126C,126Yに転送しているが、これに限定するものではない。例えば、2値画像の画像データを4ビットの濃度値(0(=白画素)〜15(=黒画素))を取る画像データに変換して書込み制御部126K,126M,126C,126Yに転送してもよい。
ラインメモリ128K,128M,128C,128Yは、画像処理部124から転送された画像データを順次格納するためのメモリである。
スキュー補正処理部135M,135C,135Yは、K色を基準として画像データのスキュー補正を行うものである。本実施の形態では、主走査方向を1ラインとして副走査方向の画像データ(画像)を複数に分割して、ラインメモリ128M,128C,128Yに格納し、主走査方向の1ラインの画像を表現する画素を分割し、分割した画素をスキューとは逆の副走査方向にシフトさせて出力する。これにより、トナー画像が形成される際に生じるスキューを補正する。以下、書込み制御部126K,126M,126C,126Yによる画像書込み処理について詳細に説明する。
まず、この図4のK色における画像書込み処理について説明する。まず、画像信号K_IPDATA[7:0]_Nが、画像処理部124から入力画像制御部127Kに送信される。入力画像制御部127Kは、ラインメモリ128Kに画像信号を一時記憶しながら、書込み制御部126Kに画像信号を送信する。書込み制御部126K内部では、書込画像処理部131Kが、入力画像制御部127Kから送信された画像信号をLDデータ出力部133Kに送信する。LDデータ出力部133Kは、K色書き込み画像信号K_LDDATAを生成しLD制御部114Kに送信する。
次に、図4のM色、C色、Y色における画像書込み処理について説明する。まず、画像信号(M,C,Y)_IPDATA[7:0]_Nが、画像処理部124から入力画像制御部127M,127C,127Yに送信される。ついで、入力画像制御部127M,127C,127Yは、RAM123に記憶されたスキュー補正量に基づいてスキュー量補正を行うために、それぞれラインメモリ128M,128C,128Yに画像信号を一時記憶する。スキュー補正処理部135M,135C,135Yは、一時記憶された画像信号にスキュー補正量によるスキュー量補正処理を実行した後、書込画像処理部131M,131C,131Yにそれぞれの画像信号を送信する。そして、K色の動作と同様に、各色の書込画像処理部131M,131C,131Yから画像信号を受信した各色のLDデータ出力部133M,133C,133Yは、書き込み画像信号(M,C,Y)_LDDATAを生成し各色のLD制御部114M,114C,114Yにそれぞれ送信する。上記スキュー補正量については、後に詳細を説明する。
なお、位置ずれ補正パターン14を出力する際には、位置ずれ補正パターン生成部132K,132M,132C,132YからK,M,C,Y各色のパターン画像信号が各色のLDデータ出力部133K,133M,133C,133Yに送信される。その後は、上記における説明と同様の動作を行う。
上述したように、カラー画像を形成するためには、K,M,C,Yの各色の位置合わせが行われていなければならない。そこで、位置ずれ補正の動作処理について、図5のフローチャートを参照しながら説明する。以下の位置ずれ補正処理は、基準色をK色とした場合について説明する。基準色とは補正の基準となる色で、他の色を基準色に合わせることで各色間の位置ずれを補正するものである。
位置ずれ補正処理が開始されると、まずステップS11で、図4の各色の書込み制御部126K,126M,126C,126Y内の位置ずれ補正パターン生成部132K,132M,132C,132Yで生成した位置ずれ補正パターンを転写ベルト3上に形成する。ついで、ステップS12では、検知センサ15,16によって、転写ベルト3上に形成された補正パターン14が検出される。
その後、ステップS13では、パターン検知部121で検出された補正パターン14がデジタルデータへと変換された後、CPU122によって、デジタルデータ化された補正パターンから基準色(K色)に対する主走査倍率補正量と、主レジスト補正量と、副レジスト補正量と、が算出される。同時に、ステップS14では、基準色(K色)に対する各色のスキュー補正量が算出され、ステップS15では、スキュー補正を行うための主走査方向の分割位置と補正方向(シフト方向)が算出される。
そして、ステップS16では、算出した主走査倍率補正量、主レジスト補正量、および副レジスト補正量と、スキュー補正量と、スキュー補正用の主走査の分割位置および補正方向(シフト方向)と、を含む情報をRAM123(または不揮発性メモリ)に保存し、位置ずれ補正処理が終了する。なお、RAM123に保存した補正量は、次回の位置ずれ補正処理を実施するまで、印刷時の補正量として使用される。
以上のように、主走査倍率補正量、主レジスト補正量、副レジスト補正量、およびスキュー補正量と、M,C,Y各色のスキュー補正用の主走査の分割位置および補正方向(シフト方向)と、を保存した後に、印刷処理が行われる。図6は、印刷の処理手順の一例を示すフローチャートである。
まず、印刷要求を受信すると、ステップS31では、書込み制御部125は、前述した主走査倍率補正量に基づき、K,M,C,Y各色の画素クロック周波数を設定する。ついで、ステップS32では、RAM123に保存された主レジスト補正量に基づいて、各色の主走査遅延量を設定し、さらにステップS33では、RAM123に保存された副レジスト補正量に基づいて、各色の副走査遅延量を設定する。
その後、ステップS34では、各色のスキュー補正量と階調数情報に基づいて、基準色(K色)に対するM、CおよびY色のスキュー補正量を設定する。そして、ステップS35では、設定されたK,M,C,Y各色の主走査画素クロック周波数、主走査遅延量、副走査遅延量、スキュー補正量に基づいて画像補正を実行しながら印刷動作を開始し、印刷処理が終了する。
なお、主走査方向の色ずれの補正は、主走査倍率と主走査の書き出しタイミングを補正することによって行われ、主走査倍率補正は、書込み制御部125で検出した各色の倍率誤差量に基づく画像周波数を変更することによって行う。ただし、書込み制御部125には、周波数を非常に細かく設定できるデバイス、たとえばVCOを利用したクロックジェネレータなどが備えられている。また、主走査方向の書き出しタイミングは、各色の同期検知信号をトリガにして動作する主走査カウンタのどの位置からLDがデータを出力するかによって調整を行う。
さらに、副走査方向の色ずれ補正は、副走査方向の書き出しタイミングを調整することで行う。図7は、書込み制御部による副走査方向の書き出しタイミング補正の一例を示すタイミングチャートである。図7において、書込み制御部125は、CPU122からのスタート信号STTRIG_Nを基準として、ライン数をカウントし、画像処理部124に対して副走査タイミング信号(Y,M,C,K)_FSYNC_Nを出力する。
その後、画像処理部124では、副走査タイミング信号(Y,M,C,K)_FSYNC_Nの受信をトリガにして、副走査ゲート信号(Y,M,C,K)_IPFGATE_Nを書込み制御部125に出力し、画像データ(Y,M,C,K)_IPDATA[7:0]_Nを転送する。そして、各色の書込み制御部126Y,126M,126C,126Kでは、画像信号(Y,M,C,K)_LDDATAをLD制御部114Y,114M,114C,114Kに送信する。
なお、副走査方向のレジストを補正する場合には、スタート信号からの副走査遅延量(Y,M,C,K)_mfcntldを検出した位置ずれ量に応じて変更する。通常は、K色を基準としての位置ずれ量をカラー(M,C,Y)の副走査遅延量に反映して、(Y,M,C,K)_FSYNC_Nのタイミングを変更して副走査方向の位置合わせを行う。
つぎに、カラー複写機における位置ずれ量の検出とその補正処理について説明する。図8−1は、転写ベルトに形成された位置ずれ補正パターンの一例を示す図である。転写ベルト3上に形成された補正パターン14は検知センサ15,16で検知され、得られた信号は、パターン検知部121によってアナログデータからデジタルデータへと変換され、データがサンプリングされ、サンプリングされたデータはRAM123に格納される。一通り補正パターン14の検知が終了した後、RAM123に格納されていたデータを用いて、CPU122で種々の色ずれ量(主走査倍率、主レジストずれ量、副レジストずれ量、スキュー)を算出するための演算処理を行い、その色ずれ量から各ずれ成分の補正量を算出する。
ここでは、スキュー補正について説明する。図8−2は、スキュー量の算出方法の一例を示す図である。ここでは、K色を基準色とした場合の各色の歪量を算出する方法の一例を示している。スキュー補正については、まず基準色であるK色に対するカラー各色(M,C,Y)のスキュー量を求める。例えば、図8−2のようにC色の画像の右側が通常の位置よりも下にずれている場合を例に挙げて説明すると、左側の検知センサ15は、転写ベルト3に形成された左側パターンK11とC11の位置を検出し、その位置関係からK色とC色の左側距離KC_Lを算出する。一方、右側の検知センサ16は、転写ベルト3に形成された右側パターンK21とC21の位置を検出し、その位置関係からK色とC色の右側距離KC_Rを算出する。以上により、C色のK色に対するスキュー量:KC_Skewは、次式(1)のように求められる。
KC_Skew=KC_R−KC_L ・・・(1)
また、M色、Y色についても同様に、パターン検出によって次式(2)、(3)からそれぞれのスキュー量KM_Skew,KY_Skewが算出される。
KM_Skew=KM_R−KM_L ・・・(2)
KY_Skew=KY_R−KY_L ・・・(3)
以上のようにして、K色を基準としたC色、M色、Y色のスキュー量、KC_Skew,KM_Skew,KY_Skewが算出される。
ここで、スキュー量とスキュー補正量の関係についての詳細を説明する。図9−1は、副走査方向の解像度が600dpi時のK色基準の各色のスキュー量の一例を示す図である。上記の(1)〜(3)式を用いて、カラー各色のスキュー量が図9−1のように求められたものとする。すなわち、K色基準で各色のスキュー量が、M:−110[μm]、C:−130[μm]、Y:30[μm]であったとする。ここで、副走査方向の解像度が600dpiであるので、1ラインシフトすることによって、25,400[μm]/600=42.3[μm]移動する。したがって、スキュー補正量は、それぞれのずれ量(スキュー量)を1ラインあたりの移動量で割って、小数点以下は四捨五入して整数単位の値にし、符号を反転したものとして求めることができる。図9−2は、図9−1の場合のスキュー補正量の一例を示す図である。この図9−2に示されるように、図9−1に示されるスキュー量の場合のスキュー補正量は、それぞれM:+3ライン、C:+3ライン、Y:−1ラインとなる。
図10−1〜図10−6は、スキュー補正方法(スキュー補正量算出方法)の一例を示す図である。図10−1は、入力画像図を示す図であり、8ライン分の入力画像が示されている。ここで、1つのラインは1つのラインメモリに格納される画像を示している。図10−2は、スキューを補正しないで図10−1の入力画像図をそのままLDデータとして出力した状態を示す図である。この図に示されるように、走査ビームのスキューにより、入力画像図をそのままLDデータとして出力した場合には、図10−1と比較して用紙上で右側が上方向に3ラインに相当する量だけずれている(つまり、スキュー量のライン数は3である)。
このように、右側画像が上に3ラインずれている場合には、図10−3に示されるように、主走査方向を{(スキュー量のライン数)+1}等分割、すなわち4等分割する。ここで、ライン上の主走査方向に分割した位置(分割位置)をシフト位置といい、シフト位置で区切られるライン上の主走査方向の領域をシフト領域というものとする。
そして、図10−4に示されるように、右側のシフト領域に移る度に1ラインずつ下方向にシフトさせて画像を出力すれば、図10−5に示すように、用紙上で左右の画像位置を平行にさせることができる。つまり、ラインメモリに画像の一部を蓄積し、読み出し位置を切り替えながら読み出し、主走査方向に分割した画像(シフト領域)を副走査方向にシフトすることで各色のスキューを補正する。この副走査方向にシフトすることをシフトという。
図11−1〜図11−6は、スキュー補正方法(スキュー補正量算出方法)の他の例を示す図であり、入力画像図に対して、スキュー補正をしない場合に用紙上で右側の画像が通常の位置よりも下方向に1ラインずれている場合のスキュー補正方法を示している。この場合も上述した図10−1〜図10−5の場合と同様に処理を行うことで、スキューを補正することができる。つまり、主走査方向に2等分割し、右側のシフト領域に移る度に1ラインずつシフト領域を上方向にシフトさせることで、図11−5に示すように用紙上で左右の画像位置が平行になる。
実際のスキュー補正では、スキュー補正用のラインメモリに入力画像データを順次蓄積しておき、スキュー補正処理部135M,135C,135Yで、分割した各領域でどのラインメモリ128M,128C,128Yのデータをリードするかを切り替えることで、図10−4や図11−4の画像を出力する構成とする。そのため、図10−6と図11−6に示されるように、各色での主走査方向のシフト位置のアドレスと、それぞれのシフト位置で副走査方向の+方向か−方向にシフトするかの情報を求めておけばよい。この主走査方向のシフト位置のアドレスと、それぞれのシフト位置での副走査方向の+方向か−方向へのシフト方向を含む情報をシフト補正情報という。
たとえば、図10−3に示すように走査方向の画素数を4,800画素とした場合、左端に対して右端では3ライン上方向にシフトしているので、主走査方向に4分割される。そこで、1〜1,200画素、1,201〜2,400画素、2,401〜3,600画素、3,601〜4,800画素のシフト領域に分割し、それぞれのシフト領域を1ブロック目、2ブロック目、3ブロック目、4ブロック目というものとする。
その結果、図10−4のように1ライン目の0〜1,200画素までは1本目のラインメモリの画像データの1ブロック目を出力し、1,201〜4,800画素までは白画素を出力する。また、2ライン目の0〜1,200画素までは2本目のラインメモリの画像データの1ブロック目を出力し、1,201〜2,400画素では1本目のラインメモリの画像データの2ブロック目を出力し、2,401〜4,800画素までは白画素を出力する。このような画像データ出力処理を繰り返し実行することで、出力画像は図10−5に示すように左右の画像位置が平行になるように補正することができる。
図12−1〜図12−2は、ラインメモリのスキュー補正時のタイミングチャートである。ここでは、K色は基準色であるので分割なしであり、M色およびC色はスキュー補正量が3ドットであるので4分割補正であり、Y色はスキュー補正量が1ドットであるので、2分割補正であるものとする。
図13は、ラインメモリ128K,128M,128Y,128Cの記憶領域を示す模式図である。本実施の形態では、図13に示すように、K色は2ライン、カラー色(M、C、Y)は5ラインのラインメモリが存在するものとする。ここでは、K色に2ライン、C色、M色、Y色に5ラインのラインメモリを有する構成として説明を行うが、基準色はK色以外の色としても良いし、残りの色も同じライン数である必要は無く、色によってスキューの発生量が異なる傾向がある場合は、スキューが発生しやすい色のラインメモリ数を増やしても良い。
また、本実施の形態では、各色で独立して個別のラインメモリ128K,128M,128Y,128Cを設けた構成としているが、図14に示すように、ラインメモリ128を1つだけ設け、各色で共通に使用する構成としても良い。
図4において、書込み制御部101では、入力画像と書込み画像の速度変換を行うために各色でラインメモリ128K,128M,128Y,128Cが必要になり、カラー色(M、C、Y)においてはスキュー補正を行うためにK色(基準色)よりも多くのラインメモリが必要となる。図13に示す構成では、K色については、入力画像データ(K_IPDATA)を2ラインのラインメモリに順次蓄積していき、ライト中でないラインメモリから順次リードしていくことで出力画像を生成し、LD画データ(K_LDDATA)としてLD制御部106へ出力する。図13の構成のようにK色は2ライン、M色、C色、Y色、は5ラインのラインメモリがある場合、1ラインの傾きを補正するのに2ライン必要なことと、1ラインは画像の入力に使用することから、補正できるスキュー量は、最大±3ラインとなる。
図12−1〜図12−2において、入力画像制御部127K,127M,127C,127Yは、CPU122からのスタート信号からの副走査遅延量(K,M,C,Y)_mfcntldによるタイミングで印刷動作を開始する。印刷動作が開始すると、ラインメモリK−1,M−1,C−1,Y−1に画像が記憶される。
ついで、ラインメモリK−2,M−2,C−2,Y−2に画像が記憶されると同時に、ラインメモリK−1,M−1,C−1,Y−1から画像が読み出される。そして、書込み制御部126Kを経てK色書込み信号K_LDDATAに全画素が出力され、書込み制御部126Mを経てM色書込み信号M_LDDATAに4分割の1ブロック目の画素が出力され、書込み制御部126Cを経てC色書込み信号C_LDDATAに4分割の1ブロック目の画素が出力され、書込み制御部126Yを経てY色書込み信号Y_LDDATAに2分割の1ブロック目の画素が出力される。
その後、ラインメモリK−1,M−3,C−3,Y−3に画像が記憶されると同時に、ラインメモリK−2,M−1,M−2,C−1,C−2,Y−1,Y−2から画像が読み出される。そして、書込み制御部126Kを経てK色書込み信号K_LDDATAに全画素が出力され、書込み制御部126Mを経てM色書込み信号M_LDDATAにラインメモリM−1の4分割の2ブロック目の画素とラインメモリM−2の4分割の1ブロック目の画素が出力される。また、書込み制御部126Cを経てC色書込み信号C_LDDATAにラインメモリC−1の4分割の2ブロック目の画素とラインメモリC−2の4分割の1ブロック目の画素が出力され、書込み制御部126Yを経てY色書込み信号Y_LDDATAにラインメモリY−1の2分割の2ブロック目の画素とラインメモリY−2の2分割の1ブロック目の画素が出力される。
ついで、ラインメモリK−2,M−4,C−4,Y−1に画像が記憶されると同時に、ラインメモリK−1,M−1,M−2,M−3,C−1,C−2,C−3,Y−2,Y−3から画像が読み出される。そして、書込み制御部126Kを経てK色書込み信号K_LDDATAに全画素が出力され、書込み制御部126Mを経てM色書込み信号M_LDDATAにラインメモリM−1の4分割の3ブロック目の画素とラインメモリM−2の4分割の2ブロック目の画素とラインメモリM−3の4分割の1ブロック目の画素が出力される。また、書込み制御部126Cを経てC色書込み信号C_LDDATAにラインメモリC−1の4分割の3ブロック目の画素とラインメモリC−2の4分割の2ブロック目の画素とラインメモリC−3の4分割の1ブロック目の画素が出力され、書込み制御部126Yを経てY色書込み信号Y_LDDATAにラインメモリY−2の2分割の2ブロック目の画素とラインメモリY−3の2分割の1ブロック目の画素が出力される。
その後、ラインメモリK−1,M−5,C−5,Y−2に画像が記憶されると同時に、ラインメモリK−2,M−1,M−2,M−3,M−4,C−1,C−2,C−3,C−4,Y−1,Y−3から画像が読み出される。書込み制御部126Kを経てK色書込み信号K_LDDATAに全画素が出力され、書込み制御部126Mを経てM色書込み信号M_LDDATAにラインメモリM−1の4分割の4ブロック目の画素とラインメモリM−2の4分割の3ブロック目の画素とラインメモリM−3の4分割の2ブロック目の画素とラインメモリM−4の4分割の1ブロック目の画素が出力される。また、書込み制御部126Cを経てC色書込み信号C_LDDATAにラインメモリC−1の4分割の4ブロック目の画素とラインメモリC−2の4分割の3ブロック目の画素とラインメモリC−3の4分割の2ブロック目の画素とラインメモリC−4の4分割の1ブロック目の画素が出力され、書込み制御部126Yを経てY色書込み信号Y_LDDATAにラインメモリY−3の2分割の2ブロック目の画素とラインメモリY−1の2分割の1ブロック目の画素が出力される。以上の処理が繰り返して実行され、スキュー補正された画像データが印刷される。
本実施の形態の画像処理で補正を行う方法は、ラインメモリに画像の一部を蓄積し、読み出し位置を切り替えながら読み出し、主走査方向に分割した画像を副走査方向にシフトすることで各色間の色ずれは低減する。この副走査方向にシフトすることを画像シフトといい、主走査方向に分割した位置を画像シフト位置という。しかし、本実施の形態の画像処理で補正を行う方法では、画像シフト位置において画素の隣接関係が変化する。この場合、画像シフト位置において局所的な濃度変化が生じる。この局所的な濃度変化を濃度ずれという。この濃度ずれはディザ法などの擬似階調処理により表現された画像に対し特に顕著となる。ディザ処理を施した場合、画像シフト位置において副走査方向へ周期的に局所的な濃度変化が発生するため濃度ずれが顕著に確認される。
図15は、ディザ処理を施した画像の一例を示す模式図である。電子写真記録では通常、レーザ光のビームが画素サイズより大きく広がっている為、図15の(a)に示した画像イメージを出力するとトナー付着面積が画素サイズ以上に膨らむ(図15の(b)参照)。
図15に示すディザ画像に対し、画像シフト処理が施されると、図16に示すように画像シフト位置において画素の隣接関係が変化する。図16の(a)の画像イメージのように隣接関係が変化すると実際の出力イメージは図16の(b)に示すになり画像シフト位置前後の画素におけるトナー付着面積は図15の(b)に示す画像シフトする以前の画像に対し変化する(図16の(b)参照)。
次に、画像シフト位置によるトナー付着面積の変化を具体的に説明する。図17は、画像シフト位置によるトナー付着面積の変化を説明するための模式図である。図17に示すように、1dotの単位面積を1、濃度100%の画素1dot出力時のトナー付着面積を1.57とする。このとき、図18−1(a)、図18−2(a)に示すディザ処理が施された濃度の画像イメージを下方向へ画像シフトした場合(図18−1(b)、図18−2(b)参照)、画像シフト位置において画素の隣接関係が変化し、図18−1(a)、図18−2(a)の実際の出力イメージに対し、白画素の面積が0.285増加する。実際の出力時において、白画素の面積が増えるため画像シフト位置において局所的に濃度が薄くなる。ディザマトリックスの周期性によってこの濃度変化が副走査方向に対し周期的にあらわれるため、図19、図20に示すように、白いすじ状のノイズ画像が発生する。
逆に、白画素の面積が減少する場合においてはシフト位置において局所的に濃度が濃くなるため、図18−2(c)に示すように、黒いすじ状のノイズ画像が発生する。画像シフト位置において画素の隣接関係が変化し、図18−2(a)の実際の出力イメージに対し、白画素の面積が0.285減少する。実際の出力時において、白画素の面積が減るため画像シフト位置において局所的な濃度が濃くなる。ディザマトリックスの周期性によってこの濃度変化が副走査方向に対し周期的にあらわれるため、図20に示すように、黒いすじ状ノイズ画像が発生する。
このように画像シフトによる画像シフト位置における画素の隣接関係の変化はトナー付着面積の変動を引き起こし、局所的な濃度ずれを発生させる。ディザ処理が施された画像では、画像シフト位置において、ディザマトリックスの周期性により副走査方向へ濃度ずれが周期的に生じるため、すじ状のノイズ画像を引き起こす。特にディザ処理が施された高濃度中間調の画像においてすじ状のノイズが顕著にあらわれ著しく画像を劣化させる。
本実施の形態では、この画像シフト位置において画素の隣接関係の変化による局所的な濃度ずれに対し、特にすじ状のノイズ画像が顕著にあらわれる画像に対して、画像シフト位置近傍の画素の濃度補正を行う。これにより、画像シフト位置付近のトナー付着面積の差分(増分)を補い、画像シフト前の付着面積に近づけ局所的な濃度ずれを低減することで副走査方向のすじ状のノイズ画像発生による画質劣化を低減し、かつ濃度補正による痕跡が目立たない最適な画像補正を実現している。
次に、本実施の形態のこのようなスキュー補正について説明する。図21は、図4におけるスキュー補正処理部135の機能的構成を示すブロック図である。図21では、マゼンダ(M)色に対するスキュー補正処理部135Mの機能的構成を示しているが、他の色に対するスキュー補正処理部135K,135Y,135Cについても同様である。
スキュー補正処理部135Mは、データセレクタ161と、スキューブロック制御部171と、ディザ補正部181とを備えている。
データセレクタ161は、入力画像制御部127から転送される画像データに対してスキュー補正を行い、ディザ補正部181に転送する。ディザ補正部181は、入力された画像データに対して濃度補正を行い、書込画像処理部131Mに出力する。
ここで、ディザ補正部181の詳細について説明する。図22は、ディザ補正部181の機能的構成を示すブロック図である。ディザ補正部181は、図22に示すように、ディザ補正入力部201と、パターンマッチング部211と、ディザ補正出力部221とを備えている。
ディザ補正処理は、ディザ補正入力部201が実行する入力処理と、パターンマッチング部211が実行する判定処理、ディザ補正出力部221が実行する補正処理とに大別される。図23は、ディザ補正処理の内容を説明するための模式図である。
入力処理では、データセレクタ161から出力されたスキュー補正が施された画像データの入力を受け付け、画像データの注目画素が画像シフト位置(分割位置)に位置するか否かを判断し、位置する場合、画像シフト位置近傍の画素の濃度値を検出することにより、注目画素とその近傍の画素との濃度ずれを検出し、注目画素とその近傍の画素の各濃度を3×8の入力画素パターンに入力する(図23(a)参照)。
判定処理では、入力処理により設定された入力画素パターンとシフト方向と、予め濃度が設定されたマッチングパターンを比較し一致するかどうか判定する(図23(b)参照)。マッチングパターンは予めシフト方向毎にそれぞれ設定する。ここで、シフト方向は、SKSHIFT信号(図21参照)からスキューブロック制御部171で生成され、ディザ補正部181に入力されるSKLINESEL信号(図21参照)の中のSHIFDIR信号(図22)により判断する。
補正処理では、判定処理により入力画素パターンとマッチングパターンが一致した場合、ディザ補正により濃度補正領域内の画素の濃度値を補正し、ディザ補正がなされた画像データ、すなわち濃度値が補正された画像データを書込画像処理部131に出力する(図23(c)参照)。以上の処理により、最適な濃度補正が行われる。
図24は、ディザ補正処理の手順を示すフローチャートである。ディザ補正処理では、まず、ディザ補正入力部201が注目画素が画像処理部で設定された主走査方向の画像シフト位置に位置しているか否かを判定する(ステップS51)。注目画素が主走査方向の画像シフト位置に位置していない場合には(ステップS51:No)、以降のディザ補正処理を行わずに処理を終了する。
ステップS51において、注目画素が主走査方向の画像シフト位置に位置する場合には(ステップS51:Yes)、ディザ補正入力部201は濃度ずれ検出処理を実行し(ステップS52)、次いで、パターンマッチング部211がパターンマッチング処理を行う(ステップS53)。なお、濃度ずれ検出処理の詳細については後述する。
濃度ずれ検出によって検出した入力画素パターンとマッチングパターンが一致した場合には(ステップS52:Yes)、ディザ補正出力部221が濃度補正画素の領域内の任意の画素に対しディザ補正処理(濃度値の補正処理)を行い(ステップS54)、処理を終了する。
一方、ステップS52において、濃度ずれ検出によって検出した入力画素パターンとマッチングパターンが一致しない場合には(ステップS52:No)、ディザ補正処理(濃度値の補正処理)を行わずに処理を終了する。
なお、本実施の形態において、ステップS51の画像シフト位置の判定処理と、ステップS53のパターンマッチング処理とを並列に実行するように構成してもよい。
次に、ステップS52の濃度ずれ検出処理の詳細について説明する図25は、濃度ずれ検出処理の手順を示すフローチャートである。
濃度ずれ検出実行処理では、まず、ディザ補正入力部201が、画像処理部124で設定されたシフト方向(SHIFTDIR)を入力し(ステップS71)、さらに予め設定されたミラー処理の有無を示すミラー情報(SKLINESEL信号(図21参照)の中のMIRROR信号)を入力する(ステップS72)。そして、ディザ補正入力部201は、注目画素と注目画素の周囲画素の濃度値を入力画素パターンに入力し(ステップS73)、濃度ずれ検出処理を終了する。
ここで、濃度ずれ検出の検出項目を選択式にしても良いし、濃度ずれ検出の順位を入れ替えて構成しても良い。なお、ミラー処理を必要としない画像プロセス構成を用いた画像形成装置の場合には、ミラー情報は必要としないのでミラー情報を予め保持しない構成とすることもできる。
図26は、パターンマッチング処理で用いるマッチングパターンと、ディザ補正の一例を示した図である。
濃度ずれ検出処理より検出されたシフト方向と入力画素パターンと、予め設定されたマッチングパターンとを比較し、両者が一致した場合、ディザ補正処理(濃度値の補正処理)を施す。このとき、マッチングパターンは予め設定されたシフト方向毎に設定する。ディザ補正処理は、図26に示すように、予め濃度値が定めたれたマッチングパターンによって濃度対象画素が設定され、もとの濃度値に対し増減処理を施すことで濃度補正を行う。このようにマッチングパターンによって濃度補正が一意的に決まるような構成とする。ディザ補正(濃度値の補正)は濃度値を予めマッチングパターン個別に持つ濃度値と入れ替えてもよいし、もとの濃度値とその周辺の濃度値による算出によって補正を行ってもよい。
また、ディザ補正出力部221を、ディザ補正処理においてスキュー補正された画像の濃度値を基準に濃度補正を行うように構成することもできる。すなわち、スキュー補正された画像の画素の濃度値に対し、増加量、減少量を予め設定しておき、画素の濃度値に増加量または減少量を加えることにより濃度補正を行うように構成することができる。この場合、増加量、減少量は、それぞれ個別に設定可能に構成してもよい。
次に、パターンマッチング処理で用いるマッチングパターンについて説明する。通常、プリンタは様々なディザマトリックスを用いて階調の滑らかさを表現する。図27,図28に示すように、通常、色ごと、ビット数ごと、線数ごと、用途ごとによってサイズ、スクリーン角の異なるディザマトリックスが個別に設定される。
また、階調数によっては異なる種類(型)のディザマトリックスが設定される。例えば、2値画像(1bit画像)の写真の場合、ドット集中型のディザマトリックス、多値画像(2/4bit画像)の写真の場合、万線型のディザマトリックス(図29参照)、文字の場合、分散型のディザマトリックス(図30)がそれぞれ個別に設定される。
このようにこれらの様々なディザマトリックスが設定されたプリンタコントローラ111においてディザ処理が施され、このディザ処理が施された画像データに対し、画像シフトを行うとすじ状ノイズ画像の目立ち方が大きく異なる。
また、画像シフトの際、分割位置によってすじ状ノイズ画像の目立ち方が異なってくる。濃度ずれが生じるところ全てを対象としてマッチングパターンを決定すると補正による痕跡がかえって目立ってしまい画像を劣化させてしまう。
このため、本実施の形態では、マッチングパターンはディザマトリックスを基準にしてすじ状ノイズ画像が目立つ部分に対してのみ設定することが好ましい。
このため、マッチングパターンを、色毎、ビット数毎、サイズ、スクリーン角、線数、階調数の異なるディザマトリックスに応じて異なるように設定したり、ディザマトリックスの種類に応じて異なるように設定する。例えば、中間調の濃度に対しては、中間調以外の濃度の場合に比べてマッチングパターンを細かく設定することができる。あるいは、中間調以外の濃度の場合やスキュー補正の基準色の場合には、マッチングパターンを設定しない、すなわちパターンマッチングによる濃度ずれ検出を行わないように構成してもよい。
また、例えば、図30に示す分散型のディザマトリックスにより表現された画像データに対し、画像シフトした場合を説明する。この場合、局所的な濃度ずれが生じている。濃度ずれが生じるところ全てを対象とするマッチングパターンを設定し、濃度補正を行うと注目画素全てに補正処理が施され、補正が施された部分だけ全く異なる画像になってしまい、補正処理を行うことでかえってその痕跡が目立ってしまう。
分散型のディザマトリックスにより表現された画像は局所的な濃度ずれは発生するが、マトリックスの構成上、升目が細かなため、画像シフトしてもすじ状ノイズはあまり目立たない。このような分散型のディザマトリックスに対してはマッチングパターンを設定しないほうが良い。
このように濃度ずれという観点だけでマッチングパターンを設定するとディザマトリックスの種類によってはかえって濃度補正の痕跡が目立ってしまうため、濃度ずれとディザマトリックスを基準にマッチングパターンを設定することで最適な補正処理が可能となる。図29に示すような万線型のディザマトリックスに対してはシフト位置とシフト方向とスクリーン角によってすじ状ノイズの目立ち方が変わってくる。
なお、ディザマトリックスの型、スクリーン角、線数、色、階調数によってマッチングパターンの設定を切り替えるように構成してもよい。
図16に示す画像シフト後の画像イメージにおいて、図31に示すように、注目画素が画像シフト位置に位置した場合、シフト方向を調べ、注目画素近傍の画素の濃度値を入力画素パターンに入力する。次に、入力画素パターンとマッチングパターンを比較する。マッチングパターンが図30に示す例の場合、図32に示すように、入力画素パターンとパターンDが一致する。パターンDが有する濃度補正対象画素の情報と濃度値計算によって濃度補正が行われる。パターンDの場合、濃度補正対象画素に対し、対象画素濃度値+Dの濃度値が出力されることにより濃度補正が行われる。
次に、入力画素パターンについて説明する。図41は、入力画素パターンの一例を示す模式図である。入力画素パターンの主走査サイズは、予め設定されるディザマトリックスを基準に決定すると、より最適な領域を決定することができる。図42(a)に示す代に、スクリーン角が比較的緩やかな万線型のディザマトリックスが予め設定されている場合、図42(b)に示すスクリーン角が比較的急な万線型のマトリックスに対し、主走査方向の周期が大きくなる。緩やかなスクリーン角のディザマトリックスの主走査方向の周期をもとにマッチングパターンの主走査サイズを決定すると、緩やかなスクリーン角のディザマトリックスによって表現された画像に対し誤検出することなく最適な濃度ずれ検出を実行することができる。入力画素パターンの副走査サイズは、シフト方向を判別するため、注目画素と上下1画素ずつの合計3画素分は最低必要になる。
図33(b)、図34(b)は、図17に示す関係、すなわち、濃度100%の画素1dot出力時のトナー付着面積1.57の場合に、本実施の形態のディザ補正部181により、出力時の1画素辺りのトナー付着面積が結果的に0.283+0.285=0.568(周辺画素の侵食分0.285を加味)になる濃度値による濃度補正(ディザ補正)を施した例である。このディザ補正処理の濃度補正により、画像シフト位置において局所的に増加した白画素面積を0.285から0.002に減少させ、白画素面積を画像シフトする以前の状態に近づけることができる。
図34(c)は、図17に示す関係の場合に、本実施の形態のディザ補正部181により、出力時の1画素辺りのトナー付着面積が結果的に1.285−0.285=1(周辺画素の侵食分0.285と対象画素の侵食分を加味)になる濃度値による濃度補正を施した例である。このディザ補正処理の濃度補正により、画像シフト位置において局所的に減少した白画素面積を−0.285からほぼ0に増加させ、白画素の面積を画像シフトする以前の状態に近づけることができる。
次に、ディザ補正処理の濃度補正による補正結果の例について説明する。図35、36,37は、ディザ補正(濃度補正)が施された画像データの出力イメージ例を示す模式図である。図35、36,37に示すように、ディザ補正処理の濃度補正によって画像シフト位置の画素に対し、画像シフト前のトナー付着面積に近づけることにより、すじ状のノイズ画像の発生を防止することができる。
図38、39,40は、図35、36,37に示す画像データを目視したときの状態の例を示す模式図である。図38、39,40に示すように、本実施の形態のディザ補正処理により、目視上、補正後の画像がもとの画像に近似していることがわかる。
このように本実施の形態では、スキュー補正処理部135のディザ補正部181によって、スキュー補正が施された画像データにおいて、注目画素が画像シフト位置に位置するか否かを判断し、画像シフト位置する場合、画像シフト位置近傍の画素の濃度ずれを検出し、3×8の入力画素パターンに入力し、入力画素パターンと画素のシフト方向と、予め設定されたマッチングパターンでパターンマッチングを行って、入力画素パターンとマッチングパターンが一致した場合、ディザ補正により濃度補正領域内の画素の濃度値を補正している。これにより、スキュー補正を実施する場合、すじ状ノイズの目立つところだけを検出して、画像シフト位置近傍の画素の濃度値を補正することができる。従って、本実施の形態によれば、画像シフトによるすじ状ノイズ画像の発生を防ぎ、かつ濃度補正による痕跡が目立たない高品質な画像補正を実現することができる。
なお、上記実施の形態の画像形成装置で実行される画像形成プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
上記実施の形態の画像形成装置で実行される画像形成プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、上記実施の形態の画像形成装置で実行される画像形成プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、上記実施の形態の画像形成装置で実行される画像形成プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
上記実施の形態の画像形成装置で実行される画像形成プログラムは、上述した各部(ディザ補正入力部、パターンマッチング部、ディザ補正出力部、画像処理部等)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから〜プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、ディザ補正入力部、パターンマッチング部、ディザ補正出力部、画像処理部等が主記憶装置上に生成されるようになっている。