以下、本発明を、画像形成装置としての電子写真方式のプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)に適用した一実施形態について説明する前に、本発明を理解する上で参考になる参考形態について説明する。
まず、参考形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図1は、参考形態に係るプリンタを示す概略構成図である。このプリンタは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(以下、Y、C、M、Kと記す。)用の4つの作像ユニット1Y,1C,1M,1Kを備えている。これらは、画像を形成する画像形成物質として、互いに異なる色のY,C,M,Kのトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。
図2は、Yトナー像を作像するための作像ユニット1Yの構成を示す概略図である。また、図3は、作像ユニット1Yの外観を示す斜視図である。これらの図において、作像ユニット1Yは、感光体ユニット2Yと現像ユニット7Yとを有している。感光体ユニット2Y及び現像ユニット7Yは、図3に示されるように、作像ユニット1Yとして一体的にプリンタ本体に対して着脱可能に構成されている。ただし、プリンタ本体から取り外した状態では、現像ユニット7Yを図示しない感光体ユニットに対して着脱することができる。
感光体ユニット2Yは、潜像担持体としてのドラム状の感光体3Y、ドラムクリーニング装置4Y、図示しない除電装置、帯電装置5Yなどを有している。帯電手段としての帯電装置5Yは、図示しない駆動手段によって図2中の時計回り方向に回転駆動する感光体3Yの表面を帯電ローラ6Yにより一様帯電させる。具体的には、図2において、反時計回りに回転駆動する帯電ローラ6Yに対して図示しない電源から帯電バイアスを印加し、その帯電ローラ6Yを感光体3Yに近接又は接触させることで、感光体3Yを一様帯電させる。
なお、帯電ローラ6Yの代わりに、帯電ブラシ等の他の帯電部材を近接又は接触させるものを用いてもよい。また、スコロトロンチャージャのように、チャージャ方式によって感光体3Yを一様帯電させるものを用いてもよい。帯電装置5Yによって一様帯電した感光体3Yの表面は、後述する潜像形成手段としての光書込ユニット20から発せられるレーザー光によって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。
図4は、現像ユニット7Y内を示す分解構成図である。現像手段としての現像ユニット7Yは、図2や図4に示されるように、現像剤搬送手段としての第1搬送スクリュウ8Yが配設された第1剤収容室9Yを有している。また、トナー濃度検出手段としての透磁率センサーからなるトナー濃度センサー10Y、現像剤搬送手段としての第2搬送スクリュウ11Y、現像剤担持体としての現像ロール12Yなども有している。更には、現像剤規制部材としてのドクターブレード13Yなどが配設された第2剤収容室14Yも有している。
循環経路を形成しているこれら2つの剤収容室内には、磁性キャリアとマイナス帯電性のYトナーとからなる二成分現像剤である図示しないY現像剤が内包されている。第1搬送スクリュウ8Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動することで、第1剤収容室9Y内のY現像剤を図2中の手前側(図4中矢印Bの方向)へ搬送する。搬送途中のY現像剤は、第1搬送スクリュウ8Yの上方に固定されたトナー濃度センサー10Yによって、第1剤収容室9Yにおけるトナー補給口17Yに対向する箇所(以下「補給位置」という。)よりも現像剤循環方向下流側に位置する所定の検出箇所を通過するY現像剤のトナー濃度が検知される。そして、第1搬送スクリュウ8Yにより第1剤収容室9Yの端部まで搬送されたY現像剤は、連通口18Yを経て第2剤収容室14Y内に進入する。
第2剤収容室14Y内の第2搬送スクリュウ11Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動することで、Y現像剤を図2中の奥側(図4の矢印Aの方向)へ搬送する。このようにしてY現像剤を搬送する第2搬送スクリュウ11Yの上方には、現像ロール12Yが第2搬送スクリュウ11Yと平行な姿勢で配設されている。この現像ロール12Yは、図2中で反時計回り方向に回転駆動する非磁性スリーブからなる現像スリーブ15Y内に固定配置されたマグネットローラ16Yを内包した構成となっている。
第2搬送スクリュウ11Yによって搬送されるY現像剤の一部は、マグネットローラ16Yの発する磁力によって現像スリーブ15Yの表面に汲み上げられる。そして、現像スリーブ15Yの表面と所定の間隙を保持するように配設されたドクターブレード13Yによってその層厚が規制された後、感光体3Yと対向する現像領域まで搬送され、感光体3Y上のY用の静電潜像にYトナーを付着させる。この付着により、感光体3Y上にYトナー像が形成される。現像によってYトナーを消費したY現像剤は、現像スリーブ15Yの回転に伴って第2搬送スクリュウ11Y上に戻される。そして、第2搬送スクリュウ11Yにより第2剤収容室14Yの端部まで搬送されたY現像剤は、連通口19Yを経て第1剤収容室9Y内に戻る。このようにして、Y現像剤は現像ユニット内を循環搬送される。
トナー濃度センサー10YによるY現像剤のトナー濃度の検出結果は、電気信号として図示しない制御装置に送られる。この制御装置は、RAMの中にトナー濃度センサー10Yからの出力電圧を、Y現像剤のトナー濃度に変換する。また、C,M,K用の現像ユニット(7C,7M,7K)に搭載されたトナー濃度センサー(10C,10M,10K)からの出力電圧を、それぞれの現像剤(C,M,K現像剤)のトナー濃度に変換する。なお、透磁率センサーからなるトナー濃度センサーからの出力電圧は、トナー濃度と相関する。現像剤のトナー濃度が高くなるにつれて現像剤の透磁率が低下してトナー濃度センサーからの出力値が低下する。
Y用の現像ユニット7Yについては、トナー濃度センサー10Yからの出力電圧に基づいて算出したトナー濃度検知結果と、RAMに記憶しているYトナー濃度の制御目標値とを比較する。そして、比較結果に応じた量のYトナーをトナー補給口17Yから供給するように、トナー補給装置のY用の補給モータをその量に応じた時間分だけ駆動する。これにより、現像に伴うYトナーの消費によってYトナー濃度が低下したY現像剤に対し、第1剤収容室9Yで適量のYトナーが供給される。このため、第2剤収容室14Y内のY現像剤のトナー濃度はトナー濃度の目標値の付近に維持される。他色用の現像ユニット7C,7M,7K内における現像剤についても同様である。
図1において、感光体3Y上に形成されたYトナー像は、中間転写体である中間転写ベルト41に中間転写される。感光体ユニット2Yのドラムクリーニング装置4Yは、中間転写工程を経た後の感光体3Yの表面に残留したトナーを除去する。これによってクリーニング処理が施された感光体3Yの表面は、図示しない除電装置によって除電される。この除電により、感光体3Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他色用の作像ユニット1C,1M,1Kにおいても、同様にして感光体3C,3M,3K上にCトナー像、Mトナー像、Kトナー像が形成されて、中間転写ベルト41上に中間転写される。
作像ユニット1Y,1C,1M,1Kの下方には、光書込ユニット20が配設されている。この光書込ユニット20は、画像情報に基づいて発したレーザー光Lを、各作像ユニット1Y,1C,1M,1Kの感光体3Y,3C,3M,3Kに照射する。これにより、感光体3Y,3C,3M,3K上には、それぞれY用、C用、M用、K用の静電潜像が形成される。
なお、光書込ユニット20は、光源から発したレーザー光Lを、モータによって回転駆動されるポリゴンミラー21によって偏向せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体3Y,3C,3M,3Kに照射するものである。かかる構成のものに代えて、LEDアレイを採用したものを用いてもよい。
光書込ユニット20の下方には、第1給紙カセット31、第2給紙カセット32が鉛直方向に重なるように配設されている。これらの給紙カセット内には、それぞれ、記録材である記録シートPが複数枚重ねられた記録シート束の状態で収容されており、一番上の記録シートPには、第1給紙ローラ31a及び第2給紙ローラ32aがそれぞれ当接している。第1給紙ローラ31aが図示しない駆動手段によって図1中で反時計回りに回転駆動すると、第1給紙カセット31内の一番上の記録シートPが、カセットの図1中右側方において鉛直方向に延在するように配設された給紙路33に向けて排出される。また、第2給紙ローラ32aが図示しない駆動手段によって図1中で反時計回りに回転駆動すると、第2給紙カセット32内の一番上の記録シートPが給紙路33に向けて排出される。
給紙路33内には、複数の搬送ローラ対34が配設されており、給紙路33に送り込まれた記録シートPは、これら搬送ローラ対34のローラ間に挟み込まれながら、給紙路33内を鉛直方向の下側から上側に向けて搬送される。
給紙路33の末端には、レジストローラ対35が配設されている。レジストローラ対35は、搬送ローラ対34から送られてくる記録シートPをローラ間に挟み込むとすぐに、両ローラの回転を一旦停止させる。そして、記録シートPを適切なタイミングで後述の2次転写ニップに向けて送り出す。
作像ユニット1Y,1C,1M,1Kの上方には、中間転写ベルト41を張架しながら反時計回りに無端移動させる転写ユニット40が配設されている。転写ユニット40は、中間転写ベルト41の他に、ベルトクリーニングユニット42、第1ブラケット43、第2ブラケット44などを備えている。また、4つの1次転写ローラ45Y,45C,45M,45K、2次転写バックアップローラ46、駆動ローラ47、補助ローラ48、ニップ入口ローラ49なども備えている。中間転写ベルト41は、これらのローラに張架されながら、駆動ローラ47の回転駆動によって図1中反時計回りに無端移動する。
4つの1次転写ローラ45Y,45C,45M,45Kは、無端移動する中間転写ベルト41を感光体3Y,3C,3M,3Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト41の内周面にトナーとは逆極性(参考形態ではプラス極性)の転写バイアスを印加する。中間転写ベルト41は、その無端移動に伴ってY用、C用、M用、K用の1次転写ニップを順次通過していく過程で、その外周面に感光体3Y,3C,3M,3K上の各色トナー像が重なり合うように1次転写される。これにより、中間転写ベルト41上に4色重ね合わせトナー像(以下「4色トナー像」という。)が形成される。
2次転写バックアップローラ46は、中間転写ベルト41のループ外側に配設された2次転写ローラ50との間に中間転写ベルト41を挟み込んで2次転写ニップを形成している。先に説明したレジストローラ対35は、ローラ間に挟み込んだ記録シートPを、中間転写ベルト41上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで、2次転写ニップに向けて送り出す。中間転写ベルト41上の4色トナー像は、2次転写バイアスが印加される2次転写ローラ50と2次転写バックアップローラ46との間に形成される2次転写電界や、ニップ圧の影響により、2次転写ニップ内で記録シートPに一括2次転写される。そして、記録シートPの白色と相まって、フルカラートナー像となる。
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト41には、記録シートPに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、ベルトクリーニングユニット42によってクリーニングされる。なお、ベルトクリーニングユニット42は、クリーニングブレード42aを中間転写ベルト41のおもて面に当接させており、これによってベルト上の転写残トナーを掻き取って除去するものである。
なお、転写ユニット40の第1ブラケット43は、図示しないソレノイドの駆動のオンオフに伴って、補助ローラ48の回転軸線を中心にして所定の回転角度で揺動するようになっている。
本プリンタは、モノクロ画像を形成する場合には、前述のソレノイドの駆動によって第1ブラケット43を図中反時計回りに少しだけ回転させる。この回転により、補助ローラ48の回転軸線を中心にしてY用、C用、M用の1次転写ローラ45Y,45C,45Mを図中反時計回りに公転させることで、中間転写ベルト41をY用、C用、M用の感光体3Y,3C,3Mから離間させる。そして、4つの作像ユニット1Y,1C,1M,1Kのうち、K用の作像ユニット1Kだけを駆動して、モノクロ画像を形成する。これにより、モノクロ画像形成時にY用、C用、M用の作像ユニットを無駄に駆動させることによるそれら作像ユニットの消耗を回避することができる。
2次転写ニップの図中上方には、定着手段としての定着ユニット60が配設されている。この定着ユニット60は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加圧加熱ローラ61と、定着ベルトユニット62とを備えている。定着ベルトユニット62は、定着ベルト64、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加熱ローラ63、テンションローラ65、駆動ローラ66、図示しない温度センサー等を有している。そして、無端状の定着ベルト64を加熱ローラ63、テンションローラ65及び駆動ローラ66によって張架しながら、図2中反時計回り方向に無端移動せしめる。この無端移動の過程で、定着ベルト64は加熱ローラ63によって裏面側から加熱される。
定着ベルト64における加熱ローラ63に対する掛け回し箇所には、図1中時計回り方向に回転駆動される加圧加熱ローラ61がおもて面側から当接している。これにより、加圧加熱ローラ61と定着ベルト64とが当接する定着ニップが形成されている。
定着ベルト64のループ外側には、図示しない温度センサーが定着ベルト64のおもて面と所定の間隙を介して対向するように配設されており、定着ニップに進入する直前の定着ベルト64の表面温度を検知する。この検知結果は、図示しない定着電源回路に送られる。定着電源回路は、温度センサーによる検知結果に基づいて、加熱ローラ63に内包される発熱源や、加圧加熱ローラ61に内包される発熱源に対する電源の供給をオンオフ制御する。これにより、定着ベルト64の表面温度が約140℃に維持される。
2次転写ニップを通過した記録シートPは、中間転写ベルト41から分離した後、定着ユニット60内に送られる。そして、定着ユニット60内の定着ニップに挟まれながら図中下側から上側に向けて搬送される過程で、定着ベルト64によって加熱されたり、押圧されたりして、フルカラートナー像が記録シートPに定着する。
このようにして定着処理が施された記録シートPは、排紙ローラ対67のローラ間を経た後、機外へと排出される。プリンタ本体の筺体の上面には、スタック部68が形成されており、排紙ローラ対67によって機外に排出された記録シートPは、このスタック部68に順次スタックされる。
転写ユニット40の上方には、Yトナー,Cトナー,Mトナー,Kトナーをそれぞれ収容する4つのトナー収容器であるトナーボトル72Y,72C,72M,72Kが配設されている。トナーボトル72Y,72C,72M,72K内の各色トナーは、トナー補給装置により、それぞれ、作像ユニット1Y,1C,1M,1Kの現像ユニット7Y,7C,7M,7Kに適宜供給される。トナーボトル72Y,72C,72M,72Kは、作像ユニット1Y,1C,1M,1Kとは独立してプリンタ本体に脱着可能である。
図4において、トナー濃度センサー10Yは、第1剤収容室9Y内において、第2剤収容室14Yに進入する直前の現像剤のトナー濃度を検知する。また、トナー補給口17Yは、第2剤収容室14Yから第1剤収容室9Y内に進入した直後の現像剤に対してトナーを補給する位置に設けられている。つまり、第1剤収容室9Y内において、トナー濃度センサー10Yは、トナー補給口17Yよりも下流側の位置で現像剤のトナー濃度を検知する。
図5は、Y用のトナーボトル72Yを示す斜視図である。同図において、Y用のトナーボトル72Yは、粉体としての図示しないYトナーを収容する粉体収容部たるボトル状のボトル部73Yと、粉体排出部たる円筒状のホルダー部74Yとを備えている。
ホルダー部74Yは、図6に示されるように、ボトル状のボトル部73Yの頭部に係合して、ボトル部73Yを回転自在に保持する。ボトル部73Yの内周面には、容器の外側から内側に向けて突出するスクリュウ状の螺旋突起がボトル軸線方向に延在するように形成されている。
図7は、本プリンタにおけるトナー補給装置70を示す斜視図である。同図において、トナー補給手段としてのトナー補給装置70は、4つのトナーボトル72K,Y,C,Mを載置するボトル載置台95、それぞれのボトル部を個別に回転駆動するボトル駆動部96などを備えている。ボトル載置台95上にセットされたトナーボトル72K,Y,C,Mは、それぞれホルダー部をボトル駆動部96に係合させている。
図中矢印X1で示されるように、ボトル駆動部96に係合しているトナーボトル72Mをボトル載置台95上でボトル駆動部96から遠ざける方向にスライド移動させると、トナーボトル72Mのホルダー部74Mがボトル駆動部96から外れる。このようにして、トナー補給装置70からトナーボトル72Mを取り外すことができる。
一方、トナーボトル72Mが装着されていない状態のトナー補給装置70において、図中矢印X2で示されるように、ボトル載置台95上でトナーボトル72Mをボトル駆動部96に近づける方向にスライド移動させる。すると、トナーボトル72Mのホルダー部74Mがボトル駆動部96に係合する。このようにして、トナー補給装置70にトナーボトル72Mを装着することができる。他色用のトナーボトル72K,Y,Cについても、同様の操作を行うことでトナー補給装置70に脱着することができる。
トナーボトル72Y,C,M,Kのボトル部73K,Y,C,Mの頭部外周面には、それぞれ図示しないギヤ部が形成されているが、このギヤ部はホルダー部74K,Y,C,Mに覆い隠されている。但し、ホルダー部74K,Y,C,Mの周面の一部には、ギヤ部を部分的に露出させるための図示しない切り欠きが形成されおり、ギヤ部はこの切り欠きから自らの一部を露出させている。
トナーボトル72K,Y,C,Mのホルダー部74K,Y,C,Mがボトル駆動部96に係合すると、ボトル駆動部96に設けられた図示しないK,Y,C,M用のボトル原動ギヤが、前述の切り欠きを介してボトル部73K,Y,C,Mのギヤ部に噛み合う。そして、ボトル駆動部96のK,Y,C,M用のボトル原動ギヤが図示しない駆動系によって回転駆動することで、ボトル部73K,Y,C,Mがホルダー部74K,Y,C,M上で回転駆動される。
図5において、ボトル部73Yがこのようにしてホルダー部74Y上で回転せしめられると、ボトル部73Y内のYトナーが上述のスクリュウ状の螺旋突起に沿ってボトル底側からボトル頭部側に向けて移動する。そして、粉体を収容する収容体たるボトル部73Yの先端に設けられた図示しないボトル開口を通って、円筒状のホルダー部74Y内に流入する。
図8は、トナー補給装置に装着された状態のトナーボトルと、その周囲構成とを示す概略構成図である。同図において、トナーボトルは、ホルダー部74Yの箇所で破断した横断面が示されている。上述したように、このホルダー部74Yには、ホルダー部74Yよりも図中奥側に存在している図示しないボトル部が回転駆動することで、ボトル部内のYトナーが送り込まれてくる。
トナーボトルのホルダー部74Yは、トナー補給装置のホッパ部76Yに係合している。このホッパ部76Yは、図紙面に直交する方向に扁平な形状に構成され、同図においては、中間転写ベルト41の手前側に位置している。ホルダー部74Yの底に形成されているトナー排出口75Yと、トナー補給装置のホッパ部76Yに形成されているトナー受入口とは、互いに連通している。
トナーボトルのボトル部からホルダー部74Yに送り込まれたYトナーは、自重によってホッパ部76Y内に落とし込まれる。ホッパ部内では、回転可能な回転軸部材77Yに固定された可撓性に富んだ押圧フィルム78Yが回転軸部材77Yとともに回転する。ホッパ部76Yの内壁には、ホッパ部76Y内におけるYトナーの有無を検知する圧電素子からなるトナー検知センサー82Yが固定されている。
ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる押圧フィルム78Yは、その回転に伴ってYトナーをトナー検知センサー82Yの検知面に向けて押圧する。これにより、トナー検知センサー82Yがホッパ部76Y内のトナーを良好に検知することが可能になる。トナーボトルのボトル部の回転駆動制御は、このトナー検知センサー82YがYトナーを良好に検知するようになるように行われる。よって、ボトル部内にYトナーが十分に存在している限り、ボトル部からホルダー部74Yを介してホッパ部76Y内に十分量のYトナーが落とし込まれて、ホッパ部76Y内は十分量のトナーで満たされる。この状態から、ボトル部を頻繁に回転させているにもかかわらず、トナー検知センサー82YによってYトナーが検知され難くなる状態に変化したとする。すると、図示しない制御装置は、ボトル部内のYトナーが残り僅かであるとみなして、「トナーニアエンド」の警報をユーザーに報知する。
ホッパ部76Yの下部には、横搬送管79Yが接続されており、ホッパ部76Y内のYトナーは、自重によってテーパーを滑り落ちでこの横搬送管79Y内に落とし込まれる。横搬送管79Y内には、トナー補給スクリュウ80Yが配設されており、その回転駆動に伴って、Yトナーを横搬送管79Yの長手方向に沿って横搬送する。
横搬送管79Yの長手方向の一端部には、落下案内管81Yが鉛直方向に延在する姿勢で接続されている。この落下案内管81Yの下端は、現像ユニット7Yの第1剤収容室9Yのトナー補給口17Yに接続されている。横搬送管79Y内のトナー補給スクリュウ80Yが回転すると、横搬送管79Yの長手方向の一端部まで搬送されたYトナーが、落下案内管81Yとトナー補給口17Yとを通じて現像ユニット7Yの第1剤収容室9Y内に落下する。これにより、第1剤収容室9Y内にYトナーが補給される。他色(C,M,K)においても、同様にしてトナーが補給される。
図9は、本プリンタにおける一部の電気回路を示すブロック図である。Y,C,M,Kトナーの補給量の調整は、補給制御手段として機能する制御装置100が、Y,C,M,K用の補給モータ71Y,71C,71M,71Kの駆動を制御することによって行われる。なお、トナー補給部材としては、補給モータ(例えば71Y)の駆動力によりトナー補給口(例えば17Y)から現像ユニット内へのトナーの補給量を調整できるものであれば、公知のものを広く利用することが可能である。
制御装置100は、演算手段たるCPU(Central Processing Unit)、データ記憶手段であるRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等から構成されている。各種の演算処理や、制御プログラムの実行を行うことが可能であり、RAMの中にY,C,M,Kについてのトナー濃度の制御目標値をそれぞれ格納している。
制御装置100の補給制御部102は、予測データ算出手段として機能する予測データ算出部101によって算出された予測データに基づいて、トナー補給装置70における各色の補給モータ(71Y,71C,71M,71K)の駆動を制御する。予測データ算出部101は、トナー濃度センサーによるトナー濃度検知結果やトナー濃度の制御目標値などと、ROMに記憶されている演算プログラムや演算テーブルとに基づいて、現像剤のトナー濃度の時間変化についての予測データを算出する。
図10は、制御装置(100)によって実施されるトナー補給量の決定のプロセスを回路的に説明するためのブロック図である。実際には、制御装置(100)は、トナー補給量を演算処理によって決定しているが、理解を容易にするために、その演算処理のプロセスを回路的に説明する。制御装置(100)は、トナー濃度の制御目標値と、トナー濃度検知結果とを比較し、比較結果に応じた量のトナーをトナー補給口(例えば17Y)から現像ユニット内に供給するように、補給モータ(例えば71Y)の駆動を制御する。この制御により、現像に伴うトナーの消費によってトナー濃度を低下したさせた現像剤に対し、現像ユニットの第1剤収容部(例えば9Y)にて適量のトナーが補給される。このため、第2剤収容部(例えば14Y)内の現像剤のトナー濃度が制御目標値の付近に維持される。
制御装置(100)においては、まず、トナー濃度検知結果とトナー濃度の制御目標値とが比較され、その結果がセンサー計算部に入力される。そして、第1補給量計算部により、その比較結果などに基づいて、トナー濃度検知結果とトナー濃度の制御目標値との差分を解消するためのトナー補給量が算出される。連続プリント動作中には、現像が連続的に行われていることから、そのトナー補給量に相当するトナーを補給しただけでは、トナー濃度を制御目標値に合わせることができない。そこで、画像情報や用紙情報など、出力される画像に関係する情報に基づいて、現像に伴うトナー消費量を相殺するためのトナー補給量が第2補給量計算部によって算出される。そして、第1補給量算出部によって算出されたトナー補給量と、第2補給量算出部によって算出されたトナー補給量との合計が、最終的なトナー補給量として求められる。
図11は、第1補給量計算部で行われる演算処理を回路的に説明するためのブロック図である。この図では、PI制御によってトナー補給量が算出される例を示している。第1補給量計算部には、トナー濃度の制御目標値とトナー濃度検知結果との差分であるトナー濃度目標差分値が入力される。トナー濃度目標差分値が大きいほど、トナー濃度が制御目標値から離れた値になっている。このトナー濃度目標差分値は、比例処理部(P)と積分処理部(I)とにそれぞれ入力される。そして、比例処理部では、トナー濃度目標差分値に対して所定のゲインを乗算する。これにより、トナー濃度差分値に比例した値のトナー補給量を求める。一方、積分処理部では、トナー濃度目標差分値を累積した積分値を求める。あるタイミングにおけるトナー濃度目標差分値がかなり大きな値であった場合、積分値も大きな値になるため、トナー補給量も大きな値が算出される。このため、トナー濃度の迅速な回復が図られる。トナー補給量が適切であれば、積分値は迅速に小さくなっていく。第1補給量計算部では、比例制御部によって算出されたトナー補給量と、積分制御部によって算出されたトナー補給量との合計が、FB(フィードバック)制御によるトナー補給量として算出される。なお、PI制御に限らず、入力に対する差分に相当するトナー補給量と、差分の累積に相当するトナー補給量とを反映するものであれば、他の制御による算出方法を採用してもよい。
図1に示されるように、中間転写ベルト41の周方向における全域のうち、ニップ入口ローラ49に対する掛け回し箇所には、光学センサー150がベルトおもて面側から対向している。図12は、光学センサー150を中間転写ベルト41とともに示す拡大構成図である。マルチ反射型光学センサーからなる光学センサー150は、光源たるLED150aと、正反射受光部150bと、拡散反射受光部150cとを有している。そして、LED150aから発した後、中間転写ベルト41の表面上で正反射した正反射光を、正反射受光部150bによって受光しながら、正反射光の受光量に応じた電圧を正反射受光部150bから出力する。また、LED150aから発した後、中間転写ベルト41の表面上で拡散反射した拡散反射光を、拡散反射受光部150cによって受光しながら、拡散反射光の受光量に応じた電圧を拡散反射受光部150cから出力する。中間転写ベルト41上に形成されたテストトナー像(詳細は後述する)が光学センサー150との対向位置を通過するときには、前述した正反射光や拡散反射光の受光量がテストトナー像の光学特性を示す。また、ベルト地肌が前記対向位置を通過するときには、前述した正反射光や拡散反射光の受光量がベルト地肌の光学特性を示す。
本プリンタの制御装置は、以下のようなプロセスコントロール処理を、電源オン直後や、所定枚数のプリントを行う毎に実施するように構成されている。プロセスコントロール処理では、Y,C,M,KトナーからなるY,C,M,K階調パターン像をそれぞれ形成する。これら階調パターン像はそれぞれ、複数個のテストトナー像からなり、光学センサー150との対向位置を通過するように、中間転写ベルト41のベルト幅方向における中央部に形成される。K階調パターン像PKを例にすると、これは例えば図13に示されるように、次のテストトナー像からなる。即ち、段階的にトナー付着量が徐々に増えていく第1Kテストトナー像PK1、第2Kテストトナー像PK2、第3Kテストトナー像PK3・・・第14Kテストトナー像PK14という14個のKテストトナー像からなる。これらKテストトナー像がそれぞれ光学センサー150との対向位置に進入したときにおける光学センサー150からの出力電圧が、I/Oインターフェースを介して制御装置(100)に送られてRAMに記憶される。Kと同様にして、Y,C,M,についても、それぞれ14個のY,C,Mテストトナー像からなるY,C,M階調パターン像PY,PC,PMが形成される。そして、14個のY,C,Mテストトナー像が光学センサー150との対向位置に進入したときにおける光学センサー150からの出力電圧がRAMに記憶される。なお、図13は、中間転写ベルト41を鉛直方向の下方から上方に向けて見上げた状態を示している。
制御装置(100)は、RAMに記憶した光学センサー150からの出力電圧と、ROM内に予め記憶しているアルゴリズムとに基づいて、Y,C,M,Kについてそれぞれ、出力電圧を単位面積当りのY,C,M,Kトナー付着量に換算してRAMに記憶する。
図14は、プロセスコントロール処理で実施される各種の工程を示すフローチャートである。プロセスコントロール処理では、装置立ち上げ処理(ステップ1:以下、ステップをSと記す)、フォトセンサーの校正処理(S2)、トナー濃度センサーの出力値の取得処理(S3)、及び階調パターン像の作成処理(S4)が行われる。加えて、階調パターン検出処理(S5)、トナー付着量の算出処理(S6)、目標付着量となる現像バイアスの算出処理(S8)、及びトナー濃度制御目標値(Vtref)の補正処理(S9)も行われる。
装置立ち上げ処理(S1)では、各種モータや各種デバイスの駆動が開始されて、それらの駆動が安定するまで処理の進行が待機される。光学センサー150は、温度変化や経時劣化などによってLEDの出力を変化させたり、受光部の感度を変化させたりする。このため、LEDに対して一定の電流を供給し続けたとしても、ベルトの地肌を検知しているときの光学センサー150の受光部からの出力電圧値が経時的に変化してしまう。ベルト表面性の経時変化によっても、受光部からの出力電圧値が経時的に変化してしまう。このため、プロセスコントロール処理を実施するにあたっては、フォトセンサーの校正処理を行って、中間転写ベルト41の地肌部を検知しているときの受光部から一定の電圧を出力させるようにする。
フォトセンサーの校正処理(S2)では、光学センサー150ついて、正反射受光部からの出力電圧値が所定の範囲内になるように、LEDへの電流供給量(LEDの発光量)が調整される。以下、このときの受光部からの出力電圧値を、地肌出力値Vsgという。LEDへの電流供給量を増やすにつれてLEDの発光量が増加して正反射受光部の受光量が増加する。逆に、LEDへの電流供給量を減らすにつれてLEDの発光量が減少して正反射受光部の受光量が減少する。
フォトセンサーの校正処理(S2)における処理の詳細工程は次の通りである。即ち、各フォトセンサーについてそれぞれ、LEDに対する電流供給が開始された後、正反射受光部からの出力電圧値が4±0.5[V]になるように、LEDに対する電流供給量が調整される。以下、この電流供給量をLED電流Ifsgと記す。
制御装置(100)は、二分探索法を用いて正反射受光部からの出力電圧値を4.0[V]に最も近づけ得るLED電流Ifsgを探索する。二分探索法の結果、正反射受光部からの出力電圧値を4±0.5[V]の範囲内に収め得るLED電流Ifsgが存在しなかった場合には、地肌出力値Vsg調整エラーとする。この地肌出力値Vsg調整エラーが連続して3回発生した場合には、異常発生エラーの処理に移行して装置を緊急停止させてその旨のメッセージを表示する。なお、本プリンタにおいては、過電流を供給することによるLEDの破損を防止する狙いで、LED電流Ifsgの上限値が30[mA]に設定されている。
制御装置(100)は、二分探索法により、正反射受光部からの出力電圧値を4±0.5[V]の範囲内に収め、且つ、4.0[V]に最も近づけ得るLED電流Ifsgを見つけた場合には、その値をRAMに記憶する。そして、以降、プロセスコントロール処理を終了するまで、そのLED電流IfsgをLEDに供給する。
なお、LED電流Ifsgの初期値をかなり低い値に設定していると地肌出力値Vsgの調整終了までに長時間を要してしまう。このため、制御装置(100)は、初期値として、前回の校正処理を実施したときのLED電流Ifsgの値をRAMから読み出してそれを初期値として採用する。そして、その初期値の条件で地肌出力値Vsgを所定の時間間隔で測定してそれらの平均値を求め、平均値が4.0±0.5[V]の範囲内である場合には、そのLED電流Ifsgをそのまま採用する。
制御装置(100)は、このようにして光学センサー150の校正処理(S2)を終えると、次に、トナー濃度センサーの出力値の取得処理(S3)を実施する。この取得処理では、上述したY,C,M,K用のトナー濃度センサー(10Y,10C,10M,10K)についてそれぞれ、出力電圧値Vtを取得してRAMに記憶する。Y,C,M,K用のトナー濃度センサーの出力電圧値Vtをそれぞれ取得するのは、後に、Y,C,M,Kについてそれぞれ、トナー濃度の制御目標値の補正に利用するためである。
次に、制御装置(100)は、階調パターン像の作成処理(S4)の実施により、Y,C,M,Kの階調パターン像を中間転写ベルト41に形成する。図13では、各色の階調パターン像のうち、K階調パターン像PKだけを示しているが、階調パターン像の作成処理(S4)では、Y,C,M,Kの階調パターン像PY,PC,PM,PKがベルト移動方向に沿って一直線上に並んで形成される。何れの階調パターン像も、14個のテストトナー像からなり、それらテストトナー像の光学特性が光学センサー150によって検知される。
各色の階調パターン像における14個のテストトナー像のサイズは次の通りである。即ち、ベルト幅方向の長さが10[mm]であり、ベルト移動方向の長さが14.4[mm]であり、先行するテストトナー像と後続のテストトナー像との間の間隙が5.6[mm]である。階調パターン像におけるテストトナー像の数は14個に限定されるものではないが、互いに隣り合う感光体の中心間距離の範囲に収まる個数であることが望ましい。階調パターン像のベルト移動方向における長さが前述の中心間距離によりも長くなると、各色の階調パターン像の形成を同時に開始することができない。このため、先行する階調パターン像の末端部と後続の階調パターン像の先頭部とを重ねないように、形成タイミングをずらす必要が生ずる。これにより、プロセスコントロール処理の実施時間を長くしてしまうからである。
本プリンタでは、階調パターン像を形成する際、テストトナー像の画像濃度(トナー付着量)にかかわらず、テストトナー像の潜像の光書込強度を最大強度(ベタ画像を形成するときの強度)に設定する。そして、個々のテストトナー像で現像バイアスや帯電バイアスを異ならせることで、個々のテストトナー像の画像濃度を異ならせている。
本プリンタのように、各色の階調パターン像を1つの光学センサー150だけで検知する構成では、次のような利点がある。即ち、ベルト幅方向の一端部と他端部とで画像濃度偏差が生じてしまう場合であっても、その画像濃度偏差の影響を受けることなく、テストトナー像の画像濃度を正確に検知することができる。これに対し、各色の階調パターンを互いにベルト幅方向にずれた位置に形成し、それぞれを専用のフォトセンサーで検知する構成では、階調パターン像の形成や検知の時間を短縮することが可能になるが、前述の画像濃度偏差の影響を受けてしまう。
各色の階調パターン像を形成したら、制御装置(100)は、階調パターン検出処理(S5)を実施して、Y,M,C,Kの階調パターン像についてそれぞれ、14個のテストトナー像における単位面積あたりのトナー付着量(画像濃度)を検出する。本プリンタにおいては、K階調パターン像のテストトナー像については、正反射光量だけを利用してトナー付着量を検出する。これに対し、C,M,K階調パターン像のテストトナー像については、正反射光量と拡散反射光量とを利用してトナー付着量を検出する。
上述したように、階調パターン像は、Y,C,M,Kの4色のうち、Yの階調パターン像が1番始めに形成される。Y階調パターン像の形成が開始されてから、Y階調パターン像の1つ目のテストトナー像が光学センサー150の直下に進入するまでの時間(以下、検知タイムラグという)は、次のようなパラメータなどによって予め決まっている。即ち、プロセスコントロール実施時におけるプロセス線速(ベルト等の速度)や、感光体〜センサー間距離などである。但し、中間転写ベルト41は厳密に設計速度で移動するわけではなく、且つ感光体〜センサー間距離にも誤差があることから、検知タイムラグにも多少の誤差が発生する。制御装置(100)は、想定し得る最大の誤差が検知タイムラグに発生したとしても、Y階調パターン像の先頭を確実に捉えることができるタイミングで、光学センサー150からの出力電圧値を取得し始める。
次に、制御装置(100)は、トナー付着量の算出処理(S6)を実施する。この演算処理では、K階調パターン像におけるKテストトナー像のトナー付着量を、次のようにして求める。即ち、まず、正反射受光部からの地肌出力値Vsgやトナー像出力値Vspについて、次のような計算を行う。
これらの式において、「_reg」は正反射受光部からの出力電圧値であることを示している。これらの式においては、地肌出力値Vsgやトナー像出力値Vspについて、オフセット電圧Voffsetとの差分を求めている。オフセット電圧Voffsetは、LEDの発光をオフにしたときの受光部からの出力電圧値を表している。また、式におけるnは、Kテストトナー像の番号を表している。つまり、階調パターン像における14個のKテストトナー像の全てについて、前述の差分を求めるのである。測定値とオフセット電圧Voffsetとの差分を求めることで、Kテストトナー像のトナー付着量の増加分を把握することが可能になる。
次に、制御装置(100)は、次式のように差分の正規化値を求める。
そして、予め記憶している正規化値Rnとトナー付着量との関係を示すアルゴリズム(グラフ、計算式、データテーブルなど)に基づいて、それぞれのKテストトナー像におけるトナー付着量を求める。
また、Y階調パターン像,C階調パターン像,M階調パターン像のテストトナー像のトナー付着量については、次のようにして求める。図15は、センサー出力値とカラーテストトナー像のトナー付着量との関係を示すグラフである。制御装置(100)は、まず、次式のように、Y,C,Mの各色についてそれぞれ、14個のテストトナー像におけるトナー像出力値Vspのオフセット電圧Voffsetとの差分を求める。なお、式中における「_dif」は拡散反射受光部からの出力電圧値であることを示している。
次に、拡散反射受光部からのトナー像出力値Vsp_difに対して拡散反射受光部の感度に応じた補正を行うための感度補正係数αを次のようにして求める。
感度補正係数αの比を最小値によって求めるのは、正反射光受光部からのトナー像出力値Vsp_regにおける正反射成分の最小値はほぼゼロであり、かつ正の値となることがわかっているからである。このようにして求めた感度補正係数αを拡散反射受光部からのトナー像出力値Vsp_dif[n]に乗ずることで、トナー像出力値Vsp_difの差分とトナー付着量との関係を示すグラフが例えば図16に示されるように補正される。
次に、次式のようにして、正反射受光部からのトナー像出力値Vsp_regの差分について、拡散反射光成分と正反射光成分とをそれぞれ分解する。なお、数7における△Vsp_reg_dif[n]は、差分の拡散反射光成分を表している。また、数8における△Vsp_reg_reg[n]は、差分の正反射光成分を表している。
このようにして、正反射光受光部からのトナー像出力値Vsp_regの差分から、拡散反射光成分を分離して、純粋な正反射光成分のみを抽出する。これにより、例えば図17に示されるように、正反射光受光部からのトナー像出力値Vsp_regの差分とトナー付着量との関係を示すグラフが純粋な正反射成分だけを反映したものに補正される。
次に、次式により、正反射受光部について14個のテストトナー像にそれぞれ対応する14個の正反射成分の正規化を行う。
また、次式により、拡散反射受光部について、トナー像出力値Vsp_difから地肌出力値Vsp=difの拡散光出力成分を除去する。
以上のようにして、正反射光に対して感度を持つ低トナー付着量域において、正反射光よりトナー付着量との関係が一義的に表せる正反射光成分のみを抽出する。そし、拡散反射光から、[ベルト地肌部から直接反射されてくる拡散反射光成分]を除去したら、これらを基に拡散反射光出力の感度補正を行う。感度補正を行う理由は、次の補正を行うためである。即ち、LED及び受光部の感度の固体誤差に関連する補正、及び、LED及び受光部の温度特性や経時劣化特性に関連する補正である。
この補正については、次のようにして行う。即ち、図18に示されるように、「正反射光部の正反射成分の正規化値」に対し、地肌部変動補正後の拡散反射光出力をプロットし、低トナー付着量域における直線関係から、拡散反射光出力の感度を求め、この感度が予め定めた狙いの感度となるように、補正を行う。拡散反射光出力の感度とは、図18のグラフに示される直線の傾きであり、ある正規化値の地肌部変動補正後の拡散反射光出力がある値となるように、現状の傾きに対して乗じる補正係数を算出して、補正する。その直線の傾きを最小二乗法により求める。
グラフにプロットした点を近似する方法は、次の通りである。即ち、「正反射光の正反射成分の正規化値」に対し、地肌部変動補正後の拡散光出力をプロットしたプロット線を多項式近似(2次式近似)して、感度補正係数ηを算出する。より詳しくは、まず、プロット線を2次近似式(y=ξ1x2+ξ2x+ξ3)で近似して、次式のように最小二乗法により係数ξ1、ξ2、ξ3を求める。なお、次式におけるmは、データ数を表している。また、x[i]は、正反射光の正反射成分の正規化値を表している。また、y[i]は、地肌部変動補正後拡散光出力を表している。計算に用いるxの範囲は、例えば0.1≦x≦1.00とする。
次に、こうして近似されたプロット線から計算される正規化値aをある値bとするような感度補正係数ηを次式によって求める。
また、次式のように、上記数10で求めた地肌部変動補正後の拡散光出力に対し、この感度補正係数ηを乗じることで、トナー付着量と拡散出力との関係を予め定められた関係となるように補正する。なお、次式における△Vsp_dif’は、上記数10で求められた拡散光出力を表している。
このような補正を行うことで、温度変化、経時劣化などによるLEDや受光部の出力変動を抑えて、受光部からの出力電圧値とトナー付着量との関係を一義的な関係に補正することができる。
次に、付着量変換テーブルを用いて△Vsp_dif”をトナー付着量に変換する。補正後の出力電圧値に基づいて、付着量変換テーブルを参照することにより、出力電圧値をトナー付着量に変換することができる。
以上のようにして、各色の階調パターン像についてそれぞれ14個のテストトナー像のトナー付着量を求めたら、次に、目標付着量となる現像バイアスの算出処理(S8)を実施する。具体的には、まず、図19に示されるように、テストトナー像を現像したときの現像ポテンシャル(静電潜像と現像スリーブとの電位差)と、そのテストトナー像のトナー付着量との関係を示す近似直線を最小二乗法によって求める。そして、その近似直線の傾きを、現像γとして求める。また、その近似直線のx切片を現像開始電圧Vkとして求める。
次に、近似直線に基づいて、目標トナー付着量(図示の例では4.5mg/cm2)が得られる現像ポテンシャルを求める。そして、その結果から、目標トナー付着量が得られる現像バイアスを算出する(現像バイアスVb[−V]=(現像ポテンシャル−|潜像電位|)×(−1))。なお、作像時の帯電バイアスVcは、感光体の地肌部電位を、現像剤の磁性キャリアを感光体に付着させない程度の値にするように予め決定されている。
現像バイアスVbを求めたら、以降の作像時における制御パラメータとしての現像バイアスVbを、求めた値と同じ値に補正する。次に、トナー濃度制御目標値(Vtref)の補正処理(S9)を実施する。現像γとトナー濃度センサー出力Vtとに基づいてトナー濃度制御目標値Vtrefを補正する。具体的には、「Δγ=現像γ検出値−現像γ目標値」の解を求める。現像γ目標値は予め装置毎に決められている。例えば、1.0[mg/cm2/−kV]程度である。この値は、現像ポテンシャルが1[−kV]であるときに、1.0[mg/cm2]のトナーが感光体に付着することを示している。現像開始電圧Vkが0[−V]で、且つ目標トナー付着量が0.5[mg/cm2]であれば、500[−V]の現像ポテンシャルが必要になる。現像ポテンシャル[−V]は、「Vb−Vl(潜像電位)」によって求められるので、潜像電位Vl=50[−V]であると、現像バイアスVbは550[−V]となる。Δγが所定の値を超えると、現像バイアスVbが設定可能な範囲を超えたり、異常画像が発生したりするので、Δγを目標範囲に収めるようにトナー濃度制御目標値Vtrefを補正する。但し、このときのトナー濃度センサー出力Vtがトナー濃度制御目標値Vtrefと大きく異なっているときは補正を行わない。
例えば、Δγ≧0.30[mg/cm2/−kV]であって、且つVt−Vtref≧−0.2Vであるとする。この場合、「Vtref=Vt−0.2V」であるので、現在よりもトナー濃度を下げるようにトナー濃度制御目標値Vtrefを補正する。また例えば、Δγ≦0.30[mg/cm2/−kV]であって、且つVt−Vtref≦0.2Vであるとする。この場合、「Vtref=Vt+0.2V」であるので、現在よりもトナー濃度を上げるようにトナー濃度制御目標値Vtrefを補正する。前述した2つのケース以外では、トナー濃度制御目標値Vtrefを、それまでと同じ値にする。
以上のようなプロセスコントロール処理を定期的に実施することで、環境変動にかかわらず、長期間に渡って目標の画像濃度に近いトナー像を形成することができる。しかしながら、環境やトナー帯電量が急激に変化すると、次にプロセスコントロール処理を実施するまでの期間で、画像濃度過多や画像濃度不足を引き起こしてしまう。特に、複数の記録シートに対して画像を連続的に形成する連続プリントモードにおいて、装置内の温度が急激に上昇したり、現像装置内のトナー帯電量が急激に上下したりすると、画像濃度過多や画像濃度不足を引き起こし易くなる。
そこで、従来、連続プリントモードにおいて、次のような目標値補正処理を実施するようにした画像形成装置が知られている。即ち、中間転写ベルト41における紙間対応領域(連続プリントモードにおける先行する記録シートと後続の記録シートとの間に対応する領域)にパッチ状のベタトナー像(以下、ベタパッチ像という)を形成する。そして、ベタパッチ像の画像濃度を光学センサーユニットによって検知して、その検知結果と、目標画像濃度とを比較する。次いで、両者の差分に相当する分だけ、トナー濃度制御目標値Vtrefを補正することで、目標画像濃度が得られるようにする。かかる構成では、連続プリントモードにおいて、急激な温度変化やトナー帯電量変化が発生しても、目標画像濃度を得ることができる。
しかしながら、かかる構成では、ベタパッチ像を形成することで、ユーザーの意図しないトナー消費を発生させて、ランニングコストを増加させてしまうという問題があった。
図20は、参考形態に係るプリンタの一部の電気回路を示すブロック図である。同図において、画像情報取得手段としての画像データ入力部201には、外部のパーソナルコンピュータやスキャナ等から送られてくる画像情報が入力される。画像データ入力部201に入力された画像情報は、上述した光書込ユニット(20)の駆動を制御する書込制御部202に受け渡される。
書込制御部202は、画像処理部203、書込データメモリ部204、発光データ生成部205、判定部206などを有している。画像処理部203は、入力された画像情報に対して所定の画像処理を施すものである。また、書込データメモリ部204は、画像処理後の画像情報を一時的に記憶するものである。また、発光データ生成部205は、画像処理後の画像情報に基づいて、光書込ユニット(20)のレーザーダイオードを駆動制御するための発光データを生成した後、図示しないレーザー駆動回路に出力するものである。また、判定部206は、画像処理後の画像情報に基づいて形成されるトナー像の所定領域について、画像濃度の検知対象として適している否かを判定し、適している場合に、適性領域データを制御装置(100)に出力するものである。
判定部206は、用紙1枚分の画像情報を、複数の分割領域に分けて取得する。図21は、用紙の分割領域を説明するための模式図である。同図において、主走査方向は、感光体の回転軸線に沿った方向である。また、副走査方向は、用紙の搬送方向と同じ方向である。判定部206は、用紙1枚分の領域を、図示のように主走査方向、副走査方向にそれぞれ分割した複数の分割領域を定める。なお、同図では、便宜上、用紙を主走査方向に5分割し、且つ副走査方向に10分割した例を示しているが、実際には、分割数はそれぞれもっと多くなる。例えば、最大でA3サイズまでに対応している機種では、感光体の軸線方向の長さが、300[mm]よりも少し大きなものになる。分割領域の大きさは、光学センサー150によるトナー付着量の検知対象領域と同じくらいが望ましいことから、本プリンタでは10[mm]×10[mm]程度である。このため、A3サイズ紙については、主走査方向を30分割し、且つ副走査方向を42分割(420mm/42=10mm)にする。
判定部206は、例えば、図21の例であれば、用紙1枚分の画像情報を、A1、B1、C1、D1、E1、A2・・・という順序で、それぞれの分割領域毎に取得していく。そして、所定の列位置にある分割領域だけについて、画像濃度の検知対象領域として適しているか否かを判定していく。所定の列位置とは、具体的には、主走査方向において光学センサー150が配設されている位置と同じになる列位置である。例えば、光学センサー150が、図中のC列の位置に形成されるテストトナー像のトナー付着量を検知するように配設されている場合には、所定の列位置はC列になる。よって、C1〜C10の10個の分割領域について、それぞれトナー付着量(=画像濃度)の検知対象として適しているか否かを判定する。以下、所定の列位置がC列である場合を例にして説明する。
トナー付着量の検知対象として適しているか否かの判定については、記録画素密度に基づいて行う。具体的には、分割領域の面積[cm2]は、用紙サイズ[cm2]を分割領域の分割数で除算した値であるため、用紙サイズ毎に予め決まった数値になる。例えば、A3サイズ紙を1260分割(30×42分割)する場合には、各分割領域の面積は、「42[cm]×29.7[cm]/1260=0.99[cm2]」になる。
また、各分割領域における画素数も予め決まっている。例えば、A3サイズを1260分割する場合には、「234[dot]×236[dot]=55224[dot]」である。判定部206は、各サイズの用紙についてそれぞれ、主副の両方方向の分割数と、分割領域の画素数とを予め記憶している。
記録画素密度は、分割領域における全ての画素のうち、ドットが形成される画素の割合を示す値である。ドットが形成される画素の数を分割領域の画素数で除算した結果に100を乗じた体が記録画素密度[%]である。この記録画素密度が所定値以上(例えば95[%]以上)である場合には、分割領域のほぼ全域にベタ画像が形成されているとみなして差し支えない。
そこで、判定部206は、C1〜C10の分割領域についてそれぞれ、書込データメモリ部204から取得した記録画素数と、予め記憶している分割領域の画素数とに基づいて、記録画素密度を算出する。そして、算出結果が所定値以上である場合に、その分割領域についてトナー付着量の検知対象として適していると判定する。一方、算出結果が所定値未満である場合には、その分割領域についてトナー付着量の検知対象として適していないと判定する。
このような判定を分割領域C1、分割領域C2・・・分割領域C10という順で行っていくが、その過程で検知対象として適している分割領域が見つかった場合には、それ以降の判定は中止する。
図22は、分割領域と光学センサー150との位置関係を説明するための模式図である。図示のように、用紙の大部分の領域に渡る「A」という大きなアルファベットの画像が形成されるとする。判定部206は、C1〜C10の分割領域の画像情報を順次取得しながら、それぞれについてトナー付着量の検知対象として適しているか否かを判定していく。図示のように、分割領域C1は、全域に渡る非画像領域であることから、記録画素密度=0[%]となり、検知対象として不適切であると判定される。また、分割領域C2も非画像領域であることから、記録画素密度=0[%]となり、検知対象として不適切であると判定される。また、分割領域C3は、ある程度の大きさのベタ画像部を包含しているが、記録画素密度=70[%]となり、記録画素密度が閾値(例えば95%)未満であることから、検知対象として不適切であると判定される。また、分割領域C4は、図示のように全域がベタ画像部であることから、記録画素密度=100[%]となり、検知対象として適していると判定される。判定部206は、この時点で、分割領域C5以降についての判定を中止する。そして、分割領域C4についての位置情報を制御装置100に送信する。
位置情報としては、図示のように、用紙先端から分割領域の先端までの距離L1の情報を送信する。この距離L1については、分割領域の副走査方向の長さ(以下、副走査分割長さという)と、検知対象として適していると判定した分割領域の行番号とに基づいて算出する。より詳しくは、副走査分割長さに対して行番号から1を減じた値を乗じたものを距離L1とする。図示の例では、検知対象として適していると判定される分割領域の行番号が4であることから、判定部206は、副走査分割長さに対して3を乗じた値を距離L1として求め、その結果を制御装置100に送信する。
各頁の画像を感光体に光書込する際には、書込開始信号が生成される。この書込開始信号は、書込制御部202から制御装置100に送られる。以下、制御装置100がこの書込開始信号を受信してから、中間転写ベルト41上のトナー像における分割領域C4の画像部の先端が光学センサー150との対向領域に進入するまでの時間を、「領域突入時間」という。この「領域突入時間」については、所定の計算式によって求めることが可能である。具体的には、書込開始信号の生成時から、用紙先端が光学センサー150との対向位置に進入するまでの時間(以下、用紙先端突入時間という)は、プロセス線速によって定まるため、プロセス線速が一定であればその用紙先端突入時間も一定である。距離L1をプロセス線速で除算した結果は、用紙先端が光学センサー150との対向位置に進入してから、目標となる分割領域の先端が同対向位置に進入するまでに要する時間である。よって、用紙先端突入時間に対し、距離L1をプロセス線速で除算した結果を加算する式が、上述した所定の計算式である。
制御装置100は、判定部206から距離L1の情報を受信すると、その計算式を用いて、「領域突入時間」を算出する。そして、書込開始信号を受信してから、「領域突入時間」が経過したタイミングで、光学センサー150の出力をサンプリングする。そして、サンプリング結果に基づいて、分割領域C4に形成されたベタ画像部のトナー付着量を算出し、算出結果に基づいてトナー制御目標値Vtrefを補正する。
かかる構成では、ユーザーの命令に基づいて形成するトナー像において、トナー付着量の検知対象として適している領域のトナー付着量を検知した結果に基づいて、制御パタメータとしてのトナー制御目標値Vterfの補正量を算出する。そして、トナー付着量を検知するための専用のベタパッチ像を中間転写ベルト41の紙間対応領域に形成することなく、トナー制御目標値Vtrefを適切に補正する。これにより、環境やトナー帯電量の変動に起因する画像濃度の不適切化を従来よりも低コストで抑えることができる。
図23は、本プリンタによって実施される目標値簡易補正処理の処理フローを示すフローチャートである。目標値簡易補正処理は、連続プリントモードにおいて、ベタ部のトナー付着量に基づいてトナー制御目標値Vtrefを補正する処理である。プロセスコントロール処理よりも簡易な処理であることが、目標値簡易補正処理と呼ばれる所以である。
目標値簡易補正処理を開始すると、まず、光学センサー150のLEDを点灯させる(S1)。具体的には、印刷動作を開始するための装置の立ち上げ準備を行うのと同時に光学センサー150のシャッターを開いてLEDを露出させた後、LEDを点灯させて、トナー付着量の検知が行える状態にする。
次に、印刷条件を取得する(S2)。印刷条件は、プロセス線速、書込解像度、用紙サイズなどである。これらの印刷条件を取得したら、分割領域毎に記録画素数の情報(画像情報)を取得する(S3)。そして、C列の分割領域について、記録画素数と、分割領域の画素数とに基づいて記録画素密度を算出し(S4)、算出結果に基づいて、それらの分割領域についてトナー付着量の検知対象として適しているか否かを判定する(S5)。この判定において、トナー付着量の検知対象として適している分割領域がなかった場合には(S5でN)、印刷を終了してから(S11でY)、光学センサー150のLEDをOFFにした後に(S12)、プリントジョブを終了する。
一方、複数のC列の分割領域において、トナー付着量の検知対象として適して得るものがあった場合には(S5でY)、その分割領域を光学センサー150によって検知した後(S6)、検知結果に基づいてトナー付着量を算出する(S7)。なお、光学センサー150の検知結果をトナー付着量に変換する方法は、プロセスコントロール処理と同じ方法である。トナー付着量を算出したら、その算出結果と、目標付着量との差分に基づいて、トナー濃度制御目標値Vtrefの補正量を算出する(S8)。算出結果が目標付着量よりも高い場合には、差分に相当する分だけトナー付着量を低くするように補正量を求める。また、算出結果が目標付着量よりも低い場合には、差分に相当する分だけトナー付着量を高くするように補正量を求める。このようにして補正量を求めたら、その結果を記憶した後(S9)、トナー濃度制御目標値Vtrefを補正する(S10)。そして、印刷を終了したら(S11でY)、光学センサー150のLEDをOFFにした後に(S12)、プリントジョブを終了する。
かかる目標値簡易補正処理においては、S6〜S10の一連のフローが、トナー付着量の検知結果に基づいて制御パラメーターとしてのトナー濃度制御目標値Vtrefを補正する第1制御パラメータ処理として機能している。本プリンタでは、このような第1制御パラメータ処理を具備する目標値簡易補正処理とは別に、図14にフローが示されるプロセスコントロール処理を実施する。このプロセスコントロール処理は、複数のテストトナー像についてのトナー付着量(画像濃度)の検知結果に基づいて制御パラメータたる現像バイアスVbを補正する第2制御パラメータ補正処理として機能している。
トナー濃度制御目標値Vtrefの補正の具体的なやり方としては、以下の方法を例示することが可能である。即ち、図24に示されるように、分割領域のトナー付着量が目標付着量よりも大きい場合には、トナー濃度制御目標値Vtrefをより大きな値に補正する。これは、トナー濃度の目標値をそれまでよりも低くすることを意味している。トナー濃度制御目標値Vtrefは光学センサー150からの出力電圧の目標値であり、出力電圧が大きくなるほど、トナー濃度が低下していることを示すからである。また、分割領域のトナー付着量が目標付着量よりも小さい場合には、トナー濃度制御目標値Vtrefをより小さな値に補正する。これは、トナー濃度の目標値をそれまでよりも高くすることを意味している。
図示のように、トナー付着量について、上限閾値1、及びこれよりも大きい上限閾値2という2つの上限閾値を設けるとともに、下限閾値1、及びこれよりも小さい下限閾値2という2つの下限閾値を設けるとよい。そして、図25に示されるように、トナー付着量がそれら閾値に対してどの範囲にあるのかに基づいて、トナー濃度制御目標値Vtrefの補正量を決定することが望ましい。
具体的には、分割領域のトナー付着量が上限閾値2を超えた場合、即ち、目標付着量よりもかなり大きくなった場合には、トナー濃度制御目標値Vtrefを0.1[V]だけ高くすることで、トナー濃度をより低くする。これにより、トナー付着量をより下げて目標付着量に近づける。なお、現像バイアスはマイナス極性である。また、分割領域のトナー付着量が上限閾値2未満であって且つ上限閾値1以上である場合、即ち、目標付着量よりも少し大きくなった場合には、トナー濃度制御目標値Vtrefを0.05[V]だけ高くすることで、トナー濃度を少しだけ低くする。これにより、トナー付着量をより下げて目標付着量に近づける。また、分割領域のトナー付着量が下限閾値1以上であって且つ上限閾値1未満である場合には、概ね目標のトナー付着量が得られていることから、トナー濃度制御目標値Vtrefの補正は行わない。また、分割領域のトナー付着量が下限閾値1未満であって、且つ下限閾値2以上である場合、即ち、目標付着量よりも少しだけ小さくなった場合には、トナー濃度制御目標値Vtrefを0.05[V]だけ低くすることで、トナー濃度を少しだけ高くする。これにより、トナー付着量をより上げて目標付着量に近づける。また、分割領域のトナー付着量が下限閾値2未満である場合、即ち、目標付着量よりもかなり小さくなった場合には、トナー濃度制御目標値Vtrefを0.1[V]だけ低くすることで、トナー濃度を高くする。これにより、トナー付着量をより上げて目標付着量に近づける。
なお、目標値簡易補正処理において、制御パラメータとして、トナー濃度制御目標値Vtrefを補正する例について説明したが、トナー濃度制御目標値Vtrefの代わりに、他の制御パラメータを補正してもよい。例えば、現像バイアスを補正してもよい。現像バイアスを補正する場合には、次のような補正を行えばよい。即ち、図26に示されるように、分割領域のトナー付着量が目標付着量よりも大きい場合には、現像バイアスVbをより小さな値に補正する。一方、分割領域のトナー付着量が目標付着量よりも小さい場合には、現像バイアスVbをより大きな値に補正する。図示のように、トナー付着量について、上限閾値1、及びこれよりも大きい下限閾値2という2つの上限閾値を設けるとともに、下限閾値1、及びこれよりも小さい下限閾値2という2つの下限閾値を設けるとよい。そして、図27に示されるように、トナー付着量がそれら閾値に対してどの範囲にあるのかに基づいて、現像バイアスVbの補正量を決定することが望ましい。
具体的には、分割領域のトナー付着量が上限閾値2を超えた場合、即ち、目標付着量よりもかなり大きくなった場合には、現像バイアスVbの絶対値を4[V]だけ小さくすることで、現像ポテンシャルを4[V]下げる。これにより、トナー付着量をより下げて目標付着量に近づける。また、分割領域のトナー付着量が上限閾値2未満であって且つ上限閾値1以上である場合、即ち、目標付着量よりも少し大きくなった場合には、現像バイアスVbの絶対値を2[V]だけ小さくすることで、現像ポテンシャルを2[V]下げる。これにより、トナー付着量をより下げて目標付着量に近づける。また、分割領域のトナー付着量が下限閾値1以上であって且つ上限閾値1未満である場合には、概ね目標のトナー付着量が得られていることから、現像バイアスVbの補正は行わない。また、分割領域のトナー付着量が下限閾値1未満であって、且つ下限閾値2以上である場合、即ち、目標付着量よりも少しだけ小さくなった場合には、現像バイアスVbの絶対値を2[V]だけ大きくすることで、現像ポテンシャルを2[V]上げる。これにより、トナー付着量をより上げて目標付着量に近づける。また、分割領域のトナー付着量が下限閾値2未満である場合、即ち、目標付着量よりもかなり小さくなった場合には、現像バイアスVbの絶対値を4[V]だけ大きくすることで、現像ポテンシャルを4[V]上げる。これにより、トナー付着量をより上げて目標付着量に近づける。
また、制御パラメータとして、光書込ユニット20のレーザー光量を補正してもよい。分割領域のトナー付着量が目標付着量よりも大きい場合には、レーザー光量をより小さくする。一方、分割領域のトナー付着量が目標付着量よりも小さい場合には、レーザー光量をより大きくする。このように、レーザー光量を補正することで、トナー付着量を目標付着量に近づけることができる。
また、本プリンタにおいては、目標値簡易補正処理を実施することで、連続プリントモードにおけるプロセスコントロール処理の実施間隔を長くして、装置のダウンタイムを短縮するようになっている。具体的には、プロセスコントロール処理については、基本的に、累積プリント枚数が100枚増加する毎に実施するようになっている。例えば、連続プリントモードを実施する直前で、前回のプロセスコントロール処理を実施してからの累積プリント枚数の増加分(以下、「増加枚数」という)が、80枚だとする。そして、500枚の記録シートに画像を連続出力する連続プリントモードを開始したとする。この場合、連続プリントモードを開始してから、20枚の記録シートに画像を出力した時点で「増加枚数」が100枚になる。このため、基本的には、その時点で連続プリントを一時中断して、プロセスコントロール処理を実施するが、その間、ユーザーを待たせてしまう。
これに対し、本プリンタにおいては、それぞれのプリントにおいて、目標値簡易補正処理を実施する。そして、目標値簡易補正処理で、トナー付着量の検知対象として適している分割領域の有無を判定し、適している分割領域が存在している場合には、トナー濃度制御目標値Vtrefを補正して、トナー付着量を目標付着量に近づけることが可能である。このため、連続プリントモードにおいて、目標値簡易補正処理でトナー濃度制御目標値Vtrefを補正することができた場合には、「増加枚数」をゼロにリセットする。例えば、「増加枚数」が80枚である状態から連続プリントモードを開始し、その後、10枚目のプリントでトナー濃度制御目標値Vtrefを補正することができたとする。すると、その時点で「増加枚数」をゼロにリセットする。これにより、プロセスコントロール処理の実施間隔を長くして、装置のダウンタイムを短縮することができる。
次に、参考形態に係るプリンタに、より特徴的な構成を付加した参考例に係るプリンタや、参考形態に係るプリンタに、より特徴的な構成を付加し且つ本発明を適用した実施形態に係るのプリンタについて説明する。なお、以下に特筆しない限り、参考例や実施形態に係るプリンタの構成は、参考形態と同様である。
[第1参考例]
上述したプロセスコントロール処理を実施することで、ベタ画像部でトナーの目標付着量(目標画像濃度)を得ることができるようになるが、中間調部で中間調用の目標付着量が得られるとは限らない。中間調部のトナー付着量については、光書込ユニット20のLDパワー(レーザーダイオードに供給する電力)を調整することで、変化させることが可能である。図28は、光書込ユニット20のLDパワー(レーザーダイオードに供給する電力)と、画像の中間調部におけるトナー付着量との関係を示すグラフである。図示のように、LDパワーが増加すると、それにつれてトナー付着量が増加する。これは、次に説明する理由による。即ち、LDパワーが増加するのに伴って、レーザー光量が増加して静電潜像の電位減衰率が大きくなることから、潜像電位が低くなる。そして、これによって現像ポテンシャルが大きくなることから、トナー付着量がより多くなるのである。
そこで、本プリンタは、プロセスコントロール処理を実施した直後に、中間調コントロール処理を実施して、画像の中間調部で中間調用の目標付着量が得られるように、LDパワーを補正する。
中間調を表現する方法としては、図29のドット分散型ディザマトリクスで示されるように、PAT1〜PAT5の5段階の面積階調で中間調を表現する方法を採用している。LDパワーが適切な値からずれると、それら5段階の中間調でそれぞれ、それらに個別に対応する目標付着量が得られなくなる。
中間調コントロール処理では、各色について、次のような制御をそれぞれ個別に実施する。即ち、まず、5段階の中間調でそれぞれ表現した5つの中間調テストトナー像からなる中間調パターンを中間転写ベルト41上に形成する。そして、それらの中間調テストトナー像を光学センサー150によって検知した結果に基づいて、それらの中間調テストトナー像に対するトナー付着量をそれぞれ算出する。この算出については、プロセスコントロール処理におけるトナー付着量の算出と同様にして行う。
次に、図30に示されるように、それぞれのトナー付着量と、中間調テストトナー像のディザマトリクスにおける記録ドット数との関係を示す2次元座標における近似直線を求める。図中の実線がその近似直線である。この近似直線が、それぞれの中間調テストトナー像の目標付着量を示す直線(図中点線)がどの程度傾いているのかに基づいて、それぞれの中間調テストトナー像で目標付着量が得られるLDパワーを算出する。そして、LDパワーを算出結果と同じ値に補正する。
このような中間調コントロール処理により、画像の中間調部においても目標付着量(目標画像濃度)を得ることができる。しかしながら、連続プリントモードにおいて、中間調コントロール処理を実施するために、連続プリントジョブを一時中断すると、ユーザーの待ち時間を延長してしまうことになる。
また、かかる延長を回避する狙いで、連続プリントモードにおいて、中間転写ベルト41の紙間対応領域に中間調テストトナー像を1つだけ形成し、それに対するトナー付着量に基づいてLDパワーを補正するという処理を実施したとする。1つの中間調テストトナー像に対するトナー付着量を参照しただけでも、LDパワーの補正量の適正値をある程度の精度で求めることが可能であるため、このような処理により、中間調のトナー付着量の大幅な不適切化を防止することが可能である。しかしながら、紙間対応領域に中間調テストトナー像を形成することで、ユーザーの意図しないトナー消費を発生させて、ランニングコストを増加させてしまう。
そこで、第1参考例に係るプリンタにおいては、次のような、LDパワー簡易補正処理を実施するようになっている。即ち、判定部206は、C1〜C10の分割領域についてそれぞれ、書込データメモリ部204から取得した画像情報に基づいて、次のような分割領域であるか否かを判定する。即ち、その分割領域の全域がディザマトリクスにおけるPAT3(図29を参照)の面積階調で表現されたものであるか否かを判定する。そして、PAT3で表現されたものである場合に、その分割領域について中間調のトナー付着量の検知対象として適していると判定する。一方、PAT3で表現されたものでない場合には、その分割領域について中間調のトナー付着量の検知対象として適していないと判定する。
このような判定を分割領域C1、分割領域C2・・・分割領域C10という順で行っていくが、その過程で検知対象として適している分割領域が見つかった場合には、それ以降の判定は中止する。
図31は、分割領域と、画像と、光学センサー150との位置関係を説明するための模式図である。図示のように、用紙には、PAT3で中間調を表現した画像部(中間調画像部)と、ベタ画像部とが形成されている。PAT3で中間調を表現した中間調画像部は、分割領域C3に部分的に形成されているが、分割領域C3の全域に渡って形成されていない。このため、判定部206は、分割領域C3については、中間調のトナー付着量の検知対象として適していないと判定する。これに対し、中間調画像部は、分割領域C4の全域に渡って形成されている。このため、判定部206は、分割領域C4について、中間調のトナー付着量の検知対象として適していると判定する。そして、この時点で、分割領域C5以降についての判定を中止して、分割領域C4についての位置情報を制御装置100に送信する。位置情報の送信方法については、目標値簡易補正処理と同様のであるので説明を省略する。但し、目標値簡易補正処理では、位置情報として距離L1を送信するが、LDパワー簡易補正処理では、位置情報として距離L2を送信する。
制御装置100は、判定部206から送られてくる中間調についての位置情報である距離L2の情報を受信すると、「領域突入時間」を算出する。そして、書込開始信号を受信してから、「領域突入時間」が経過したタイミングで、光学センサー150の出力をサンプリングする。そして、サンプリング結果に基づいて、分割領域C4に形成された中間調画像部のトナー付着量を算出し、算出結果に基づいてLDパワーを補正する。
かかる構成では、ユーザーの命令に基づいて形成するトナー像において、中間調のトナー付着量の検知対象として適している領域のトナー付着量(画像濃度)を検知した結果に基づいて、制御パタメータたるLDパワーの補正量を求める。そして、トナー付着量を検知するための専用の中間調テストトナー像を中間転写ベルト41の紙間対応領域に形成することなく、LDパワーを適切に補正する。これにより、環境やトナー帯電量の変動に起因する中間調部の画像濃度の不適切化を低コストで抑えることができる。
なお、制御パラメータとして、LDパワーを補正することに代えて、ディザマトリクスにおける書込ドット数を補正してもよい。中間調画像部のトナー付着量が目標付着量よりも大きい場合には、書込ドット数をより少なくする。一方、中間調画像部のトナー付着量が目標付着量よりも小さい場合には、書込ドット数をより多くすればよい。
また、本プリンタにおいては、LDパワー簡易補正処理を実施することで、連続プリントモードにおける中間調コントロール処理の実施間隔を長くして、装置のダウンタイムを短縮するようになっている。具体的には、中間調コントロール処理については、基本的に、累積プリント枚数が100枚増加する毎に実施するようになっている。例えば、連続プリントモードを実施する直前で、前回の中間調コントロール処理を実施してからの累積プリント枚数の増加分(以下、「中間調用増加枚数」という)が、80枚だとする。そして、500枚の記録シートに画像を連続出力する連続プリントモードを開始したとする。この場合、連続プリントモードを開始してから、20枚の記録シートに画像を出力した時点で「中間調用増加枚数」が100枚になる。このため、基本的には、その時点で連続プリントを一時中断して、中間調コントロール処理を実施するが、その間、ユーザーを待たせてしまう。
これに対し、本プリンタにおいては、それぞれのプリントにおいて、LDパワー簡易補正処理を実施する。そして、LDパワー簡易補正処理で、中間調のトナー付着量の検知対象として適している分割領域の有無を判定し、適している分割領域が存在している場合には、LDパワーを補正して、中間調部のトナー付着量を目標付着量に近づける。このため、連続プリントモードにおいて、LDパワー簡易補正処理でLDパワーを補正することができた場合には、「中間調用増加枚数」をゼロにリセットする。例えば、「中間調用増加枚数」が80枚である状態から連続プリントモードを開始し、その後、10枚目のプリントでLDパワーを補正することができたとする。すると、その時点で「中間調用増加枚数」をゼロにリセットする。これにより、中間調コントロール処理の実施間隔を長くして、装置のダウンタイムを短縮することができる。
[第2参考例]
環境が変動すると、感光体の露光部の電位減衰特性が変化することから、露光によって書き込まれるドットの径が微妙に変化する。これにより、複数の1ドットを縦、又は横に並べたライン画像のライン幅が微妙に変化してしまう。
そこで、本プリンタは、ライン幅補正処理を定期的に実施して、目標のライン幅が得られるようにLDパワーを補正する。
ライン幅補正処理では、各色について、次のような制御をそれぞれ個別に実施する。即ち、まず、1ドットを主走査方向に複数並べたライン画像を中間転写ベルト41上に形成する。そして、主走査方向に延在するそのライン画像を光学センサー150によって検知した結果に基づいて、ライン画像のライン幅を算出する。
図32は、Kライン画像を検知対象としたときの光学センサー150の正反射受光部150bからの出力電圧を示すグラフである。Kライン画像については、正反射受光部150bからの出力電圧の変化に基づいて、そのライン幅を算出する。具体的には、中間転写ベルト41の地肌が正反射受光部150bとの対向位置を通過しているときには、ベルト表面で多くの正反射光が得られることから、正反射受光部150bからの出力電圧が図示のように4.0[V]付近で安定する。一方、ベルト表面に形成されたKライン画像の表面では、正反射光が殆ど得られない。このため、Kライン画像が正反射受光部150bとの対向位置に進入すると、図示のように、正反射受光部150bからの出力電圧が0.5[V]付近まで一気に下がる。出力電圧の立ち下がりから立ち上がりまでの時間内で、Kライン画像が正反射受光部150bとの対向位置を通過したことになり、その時間はKライン画像のライン幅と比例関係にある。そこで、制御装置100は、前述の時間に基づいてKライン画像のライン幅を算出する。
図33は、Y,M,Cのうち、何れかのライン画像を検知対象としたときの光学センサー150の拡散反射受光部150cからの出力電圧を示すグラフである。Y,M,Cライン画像については、拡散反射受光部150cからの出力電圧の変化に基づいて、そのライン幅を算出する。具体的には、中間転写ベルト41の地肌が拡散反射受光部150cとの対向位置を通過しているときには、ベルト表面で拡散反射光が殆ど得られないことから、拡散反射受光部150cからの出力電圧が図示のように0.1[V]未満で安定する。一方、ベルト表面に形成されたY,M,Cライン画像の表面では、拡散反射光が良好に得られる。このため、Y,M,Cライン画像が拡散反射受光部150cとの対向位置に進入すると、図示のように、拡散反射受光部150cからの出力電圧が2.0[V]付近まで一気に上がる。出力電圧の立ち上がりから立ち下がりまでの時間内で、Y,M,Cライン画像が拡散反射受光部150cとの対向位置を通過したことになり、その時間はY,M,Cライン画像のライン幅と比例関係にある。そこで、制御装置100は、前述の時間に基づいてY,M,Cライン画像のライン幅を算出する。
LDパワーが大きくなるほど、ライン幅が大きくなる。制御装置100は、ライン画像のライン幅を算出したら、算出結果を目標ライン幅と比較する。そして、その差分に応じた分だけLDパワーを補正することで、ライン幅を目標ライン幅に近づける。例えば100枚のプリントを実施する毎に、このようなライン幅補正処理を実施する。連続プリントモードにおいては、中間転写ベルト41の紙間対応領域に、Y,M,C,Kの4本のライン画像を形成して光学センサー150で検知する。よって、ライン幅補正処理の実施によって連続プリント動作を一時中断する必要はない。
しかしながら、しかしながら、紙間対応領域にライン画像を形成することで、ユーザーの意図しないトナー消費を発生させて、ランニングコストを増加させてしまう。
そこで、第2参考例に係るプリンタにおいては、次のような、ライン幅簡易補正処理を実施するようになっている。即ち、判定部206は、C1〜C10の分割領域についてそれぞれ、書込データメモリ部204から取得した画像情報に基づいて、次のような分割領域であるか否かを判定する。即ち、Y,M,C,Kの何れかのライン画像がその分割領域に存在するか否かを判定する。そして、何れかのライン画像が存在する場合には、その分割領域についてライン画像の検知対象として適していると判定する。一方、何れの色のライン画像も存在しない場合には、その分割領域についてライン画像の検知対象として適していないと判定する。
このような判定を分割領域C1、分割領域C2・・・分割領域C10という順で行っていくが、全ての色のライン画像について対応可能にならない限り、最終の分割領域C10まで判定を続行する。例えば、分割領域C1について、Yライン画像の検知対象として適していると判定しても、M,C,Kライン画像には対応できないことから、分割領域C2以降の判定を続行する。
図34は、分割領域と、ライン画像と、光学センサー150との位置関係を説明するための模式図である。図示のように、Yライン画像LP−Y、Mライン画像LP−M、Cライン画像LP−C、及びKライン画像LP−Kが形成されている。Yライン画像は、分割領域C4に形成されている。このため、判定部206は、分割領域C4について、Yライン画像LP−Yの検知対象として適していると判定する。そして、ライン画像の色情報(本例ではY)と、分割領域C4の用紙先端からの距離L3とを制御装置100に送信する。また、Mライン画像LP−M、Cライン画像LP−C、及びKライン画像LP−Kは、分割領域C10内で副走査方向に並んで形成されている。このため、判定部206は、分割領域C10について、それら3つのライン画像の検知対象として適していると判定する。そして、ライン画像の色情報(本例ではM,C,K)と、分割領域C10の用紙先端からの距離L3とを制御装置100に送信する。このとき、色情報については、副走査方向の並び順で送信する。図示の例では、M,C,Kという順である。
制御装置100は、判定部206から送られてくる色情報や距離L3の情報を受信すると、「領域突入時間」を算出する。そして、書込開始信号を受信してから、「領域突入時間」が経過したタイミングで、光学センサー150の出力をサンプリングする。そして、サンプリング結果に基づいて、分割領域C4や分割領域C10に形成されたライン画像のライン幅を算出し、算出結果に基づいてLDパワーを補正する。
かかる構成では、ユーザーの命令に基づいて形成するトナー像において、ライン画像の検知対象として適している領域のライン画像を検知した結果に基づいて、制御パタメータたるLDパワーの補正量を求める。そして、ライン幅を検知するための専用のライン画像を中間転写ベルト41の紙間対応領域に形成することなく、LDパワーを適切に補正する。これにより、環境やトナー帯電量の変動に起因する中間調部の画像濃度の不適切化を低コストで抑えることができる。
なお、本プリンタにおいては、ライン幅易補正処理を実施した場合、その分だけライン幅補正処理の実施を省略して、トナー消費量を抑えることができる。具体的には、ライン幅補正処理については、上述したように累積プリント枚数が100枚増加する毎に実施するようになっている。累積プリント枚数の増加数が1から100まで増加するまでの間に、例えばY,M,Cの3色についてライン幅簡易補正処理によるLDパワーの補正ができたとする。この場合、ライン幅補正処理では、Kライン画像だけを形成して、K用のLDパワーだけを補正する。
[実施形態]
実施形態に係るプリンタは、目標値簡易補正処理にて、トナー付着量の検知対象として適している分割領域が画像領域のマトリクス内になかったプリントが所定回数続いた場合には、次のような処理を行うようになっている。即ち、目標値簡易補正処理の直後に、第2制御パラメータ補正処理としてのプロセスコントロール処理を実施する。
図35は、実施形態に係るプリンタによって実施される目標値簡易補正処理の処理フローを示すフローチャートである。本プリンタの制御部は、目標値簡易補正処理をスタートすると、まず、初期バッチ処理を実施する(S101)。この初期バッチ処理は、参考形態に係るプリンタの目標値簡易補正処理におけるS1からS4までの工程と同じことを実施する処理である。即ち、LEDの点灯、印刷条件の取得、分割領域毎の記録画素数の情報(画像情報)の取得、及び分割領域毎の記録画素密度の算出を順に実施する。
制御部は、次に、プロコン用枚数カウント値C0を1の加算によって更新する(S102)。このプロコン用枚数カウント値C0は、プロセスコントロール処理の実施タイミングの到来を把握するために1枚プリント毎にカウントアップされる変数である。制御部は、そのカウントアップの後に、複数の分割領域についてそれぞれ記録画素密度に基づいてトナー付着量の検知対象として適しているか否かを判定する(S103)。そして、適している分割領域があった場合(S103でY)には、ベタ連続不検出カウント値C1をゼロにリセットする(S104)。このベタ連続不検出カウント値C1は、検知対象として適している分割領域がなかったという判定結果が連続プリントにおける個々のプリントで連続して発生した場合に、その連続回数をカウントするためのものである。制御部は、S104の工程でベタ連続不検出カウント値C1をゼロにリセットすると、トナー付着量の検知対象として適していると判定した分割領域を光学センサーによって検知した後(S105)、検知結果に基づいてトナー付着量を算出する(S106)。そして、その算出結果について適正範囲であるか否かを判定する(S107)。
一方、上記S103の工程にて、検知対象として適している分割領域がなかった場合(S103でN)には、ベタ連続不検出カウント値C1を1の加算によって更新した後(S118)、処理フローを後述するS114に進める。
また、制御部は、上記S107の工程でトナー付着量について適正範囲であると判定した場合(S107でY)には、付着量連続不適カウント値C2をゼロにリセットした後(S108)、簡易補正実行処理(S109)を実施する。付着量連続不適カウント値C2は、トナー付着量について適正範囲でないという判定結果が連続プリントにおける個々のプリントで連続して発生した場合に、その連続回数をカウントするためのものである。また、簡易補正実行処理(S109)は、参考形態に係るプリンタの目標値簡易補正処理におけるS8からS10までの工程と同じことを実施する処理である。即ち、トナー付着量に基づくトナー濃度制御目標値Vtrefの補正量の算出と、補正量の記憶と、補正量による補正とを順に実施する。その後、プロコン用枚数カウント値C0をゼロにリセットした後、1枚プリントの終了を待ってから(S111でY)、光学センサーのLEDを消灯した直後に(S112)、一連の処理フローを終了する。
一方、上記S107の工程でトナー付着量について適正範囲でない判定した場合(S107でN)には、次のような処理フローを実施する。即ち、付着量連続不適カウント値C2を1の加算によって更新した後(S113)、ベタ連続不検出カウント値C1について所定の閾値を超えている否かを判定する(S114)。そして、超えている場合(S114でY)には、プロコン用枚数カウント値C0、ベタ連続不検出カウント値C1、付着量連続不適カウント値C2をそれぞれゼロにリセットした後(S115)、プロコンフラグをオンにする(S116)。その後、上述したS111及びS112を経てから、一連の処理フローを終了する。このようにして目標値簡易補正処理を終えると、プロコンフラグがオンになっていることから、連続プリントジョブを一時中断して、上述したプロセスコントロールを実施する。
また、ベタ連続不検出カウント値C1について所定の閾値を超えていないと判定した場合には(S114でN)、付着量連続不適カウント値C2について所定の閾値を超えているか否かを判定する(S117)。そして、超えている場合には(S117でY)、ベタ連続不検出カウント値C1について所定の閾値を超えていると判定した場合と同様に、S115、S116、S111、及びS112の工程を実施してから一連の処理フローを終了する。これに対し、付着量連続不適カウント値C2について所定の閾値を超えていないと判定した場合には(S117でN)、S111及びS112の工程を実施してから一連の処理フローを終了する。
このような目標値簡易補正処理においては、トナー付着量の検知対象として適している分割領域が画像領域のマトリクス内になかったプリントが所定の閾値を超えて連続すると、S114の工程における判定結果が「Y」になる。そして、S115の工程でプロコンフラグがオンされることから、目標値簡易補正処理の直後に、プロセスコントロールが実施される。かかる構成において、トナー付着量の検知対象として適している分割領域を出力しないプリントが所定の閾値を超えて連続したことにより、トナー濃度制御目標値Vtrefの簡易補正を実施できなかったプリントが所定の閾値を超えたとする。この場合、トナー濃度制御目標値Vtrefが適正値から大きくずれている可能性が高いことから、上記S116の工程でプロコンフラグをオンにする。そして、目標値簡易補正処理の直後に、連続プリントジョブを一時中断してプロセスコントロール処理を実施することで、画像濃度を適切に調整することができる。
また、本プリンタにおいて、上記S103の工程における判定処理の判定結果が検知対象として適しているというものになり、且つ上記S107の工程にて付着量について適正範囲でないと判定されるケースが閾値を超える回数だけ続いたとする。この場合、上記S116の工程でプロコンフラグをONに設定して、目標値簡易補正処理の直後にプロセスコントロール処理を実施する。かかる構成では、環境変動等によって現像バイアスなどの作像条件が適正値からずれてしまったことにより、トナー付着量が適正範囲から外れてしまった場合に、そのことを検知してプロセスコントロール処理を実施することで、作像条件を適切に補正する。これにより、安定した画像濃度を長期間に渡って実現することができる。
また、本プリンタにおいて、上記S103の工程における判定処理の判定結果が検知対象として適しているというものになり、且つ上記S107の工程にて付着量について適正範囲であると判定されたとする。この場合、上記S110の工程でプロコン用枚数カウント値C0をゼロにリセットして、次回のプロセスコントロール処理の実施タイミングを予定よりも延長する。かかる構成では、作像条件が適切な値になっていてトナー付着量が適正範囲に収まっている場合に、プロセスコントロール処理の実施タイミングを予定よりも延長する。これにより、プロセスコントロール処理を過剰に実施することによる装置のダウンタイムの発生を回避することができる。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[態様A]
態様Aは、画像情報を取得する画像情報取得手段(例えば画像データ入力部201)と、前記画像情報取得手段によって取得された画像情報に基づいて像担持体(例えば中間転写ベルト(41)の表面にトナー像を形成するトナー像形成手段(例えば、光書込ユニット20、作像ユニット1Y,M,C,K、及び転写ユニット40など)と、前記像担持体の表面上に形成されたトナー像の画像濃度を検知する画像濃度検知手段(例えば光学センサー150)と、前記画像濃度検知手段による検知結果に基づいて、所望の画質が得られるように前記トナー像形成手段の制御パラメータを補正するパラメータ補正処理を実施する制御手段(例えば制御装置100及び書込制御部202)とを備える画像形成装置において、前記画像情報に基づいて形成されるトナー像の所定領域について、前記パラメータ補正処理における画像濃度の検知対象として適しているか否かを判定する判定処理を実施し、この判定処理にて前記所定領域について前記検知対象として適していると判定した場合に、前記パラメータ補正処理として、前記所定領域の画像濃度を前記画像濃度検知手段によって検知した結果に基づいて前記制御パラメータを補正する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
[態様B]
態様Bは、態様Aにおいて、前記判定処理にて、前記所定領域がベタ画像部である場合に前記所定領域について前記検知対象として適していると判定し、且つ、前記パラメータ補正処理にて、ベタ画像部で所望の画像濃度が得られるように前記制御パラメータを補正する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
[態様C]
態様Cは、態様A又はBにおいて、前記判定処理にて、前記所定領域が中間調画像部である場合に前記所定領域について前記検知対象として適していると判定し、且つ、前記パラメータ補正処理にて、中間調画像部で所望の画像濃度が得られるように前記制御パラメータを補正する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
[態様D]
態様Dは、態様A〜Cの何れかにおいて、前記判定処理にて、前記所定領域が線画像部である場合に前記所定領域について前記検知対象として適していると判定し、且つ、前記パラメータ補正処理にて、所定の太さの線画像が得られるように前記制御パラメータを補正する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
[態様E]
態様Eは、態様Bにおいて、前記判定処理にて、前記所定領域における記録画素密度が所定の閾値以上である場合に前記所定領域についてベタ画像部であると判定する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
[態様F]
態様Fは、態様Cにおいて、前記判定処理にて、前記所定領域における全てのドットがドット分散型ディザマトリクスで表現された所定の階調のもの(例えばPAT3)である場合に前記所定領域について前記検知対象として適していると判定する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
[態様G]
態様Gは、態様B、C、E又はFにおいて、前記制御パタメータ補正処理を第1制御パラメータ補正処理(例えば目標値簡易補正処理、LDパワー簡易補正処理)として実施し、且つ、互いに画像濃度の異なる複数のトナー像からなるパターン像(例えば階調パターン像)を前記像担持体の表面に形成してそれら複数のトナー像の画像濃度を前記画像濃度検知手段によってそれぞれ検知した結果に基づいてベタ画像部又は中間調画像部で所望の画像濃度が得られるように制御パラメータを補正する第2制御パラメータ補正処理(例えばプロセスコントロール処理、中間調コントロール処理)として実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
[態様H]
態様Hは、態様Gにおいて、前記検知対象として適していないという前記判定処理の判定結果が所定回数続いた場合に、前記第2制御パラメータ補正処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
[態様I]
態様Iは、態様G又はHにおいて、前記判定処理の判定結果が前記検知対象として適しているというものになり、且つ前記画像濃度の検知結果が所定の適正範囲に収まらないケースが所定回数続いた場合に、前記第2制御パラメータ補正処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
[態様J]
態様Jは、態様G〜Iの何れかにおいて、前記判定処理の判定結果が前記検知対象として適しているというものになり、且つ前記画像濃度の検知結果が所定の適正範囲内に収まった場合に、次回の前記第2制御パラメータ補正処理の実施タイミングを予定よりも延長する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
[態様K]
態様Kは、態様G〜Jの何れかにおいて、前記判定処理で前記所定領域について前記検知対象として適していると判定したことに基づいて前記第1制御パラメータ補正処理を実施した場合に、次回の前記第2制御パラメータ補正処理の実施タイミングを予定よりも延長する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
[態様L]
態様Lは、態様Dにおいて、前記判定処理にて、前記線画像部(例えばライン画像)が前記像担持体の表面における表面移動方向と直交する主走査方向に延在するものである場合に前記所定領域について前記検知対象として適していると判定するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
[態様M]
態様Mは、態様Lにおいて、前記画像濃度検知手段として、反射型フォトセンサーからなるものを用い、且つ、前記パラメータ補正処理にて、前記反射型フォトセンサーによる検知結果に基づいて前記線画像部の太さ(例えばライン幅)を把握した結果に基づいて前記制御パタメータを補正する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。