以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の実施形態について説明する前に、本発明を理解する上で参考になる参考形態について説明する。
まず、参考形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図1は、参考形態に係るプリンタを示す概略構成図である。同図において、このプリンタは、イエロー,シアン,マゼンタ,ブラック(以下、Y,C,M,Kと記す)のそれぞれの色に対応するプロセスカートリッジ1Y,C,M,Kと、現像装置20Y,C,M,Kとを備えている。4つのプロセスカートリッジ1Y,C,M,Kや、4つの現像装置20Y,C,M,Kは、画像形成物質として互いに異なる色のトナー(Y,C,M,Kトナー)を用いるが、それ以外は同様の構成になっており、それぞれ寿命到達時に交換される。
Y,C,M,K用のプロセスユニット1Y,C,M,Kにおいて、感光体2Y,C,M,Kは図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転駆動される。このように回転駆動される感光体2Y,C,M,Kの表面は、帯電装置10Y,C,M,Kによって一様帯電せしめられる。
プロセスカートリッジ1Y,C,M,Kの図中下方には、光書込装置100が配設されている。この光書込装置100は、図示しない光書込回路によって制御される。また、この光書込回路は、図示しないパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報に基づいて、光書込装置100の駆動を制御する。
光書込装置100は、光書込回路の制御信号に基づいて発したレーザービームにより、プロセスカートリッジ1Y,C,M,Kにおけるそれぞれの感光体を光走査する。この光走査により、感光体2Y,C,M,K上にY,C,M,K用の静電潜像が形成される。なお、光書込装置100は、レーザー発振器から発したレーザービームを、モータによって回転駆動したポリゴンミラーで偏向せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。
Y,M,C,K用のプロセスカートリッジ1Y,M,C,Kについて、Y用のプロセスカートリッジ1Yを例に説明すると、これは図2に示されるように、ドラム状の感光体2Y、ドラムクリーニング装置3Y、除電ランプ(不図示)、帯電装置10Yなどを有している。また、Yトナーを用いるY用の現像装置20Yを例にすると、これはケーシング21Y、現像スリーブ22Y、マグネットローラ23Y、第1搬送スクリュウ24Y、第2搬送スクリュウ25Y、トナー濃度センサ26Yなどを有している。
現像器20Yのケーシング21内では、筒状の現像スリーブ22Yがケーシング21Yに設けられた開口から周面の一部を露出させるように回転可能に配設されている。マグネットローラ23Yは、周方向に分かれる複数の磁極を有しており、現像スリーブ22Yに連れ回らないように現像スリーブ22Y内に固定されている。ケーシング21Y内において、これら現像スリーブ22Yや現像スリーブ23Yが配設されている現像部27Yよりも鉛直方向下方には、攪拌搬送部28Yが形成されており、この内部には磁性キャリアとYトナーとを含む図示しないY現像剤が収容されている。攪拌搬送部28Yは、第1搬送スクリュウ24Yを収容する第1搬送部と、第2搬送スクリュウ25Yを収容する第2搬送部とが仕切壁29Yによって仕切られている。但し、この仕切壁29Yは、搬送スクリュウの両端部にそれぞれ対向する位置に図示しない開口を有しており、両搬送部はこれら両端部の開口を通して互いに連通している。
図3は、現像器29Yを示す分解斜視図である。上述した第1搬送部内の第1搬送スクリュウ24Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられるのに伴って、第1搬送部内のY現像剤を図中の右側から左側に向けて攪拌搬送する。第1搬送スクリュウ24Yによって第1搬送部の図中左端まで搬送されたY現像剤は、仕切壁Yに設けられた開口を通って第2搬送部に進入する。
第2搬送部内の第2搬送スクリュウ25Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられるのに伴って、第2搬送部内のY現像剤を図中左側から右側に向けて攪拌搬送する。このようにY現像剤が第2搬送部内で攪拌搬送される過程で、Y現像剤の一部はマグネットローラYの図示しない汲み上げ磁極によって発せられる磁力により、図中反時計回りに回転する現像スリーブ22Yの表面に汲み上げられる。現像スリーブ22Yに汲み上げられなかったY現像剤は、第2搬送スクリュウ25Yの回転駆動に伴って第2搬送部内における図中右側端部付近まで搬送された後、仕切壁Yに設けられた開口を通って第1搬送部内に進入する。このようにして、攪拌搬送部内では、Y現像剤が第1搬送部と第2搬送部とを循環搬送されながら、Yトナーの摩擦帯電が図られる。
図2において、現像スリーブ22Yによって汲み上げられたY現像剤は、現像スリーブ22Yに対して所定の間隙を介して対向するように配設されたドクターブレード30Yによってスリーブ上における層厚が規制される。そして、現像スリーブ22Yの回転に伴って、Y用の感光体2Yに対向する現像領域に搬送され、ここで感光体2Y上の静電潜像にYトナーを付着させる。この付着により、感光体2Y上の静電潜像がYトナー像に現像される。現像スリーブ22Yの回転に伴って現像領域を通過したY現像剤は、ケーシング21Y内の現像部27Y内に戻った後、マグネットローラ23Yの互いに反発する2つの磁極によって形成される反発磁界の影響を受けてスリーブ表面から離脱する。そして、攪拌搬送部28Yの第2搬送部内に戻る。
攪拌搬送部28Yの第1搬送部の上壁には、透磁率センサからなるトナー濃度センサ26Yが固定されている。このトナー濃度センサ26Yは、その直下を通過するY現像剤の透磁率に応じた値の電圧を出力する。トナーと磁性キャリアとを含有する二成分現像剤の透磁率は、トナー濃度とある程度の相関を示すため、トナー濃度センサ26YはYトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。この出力電圧の値は、図示しないトナー補給制御部に送られる。このトナー補給制御部は、トナー濃度センサ26Yからの出力電圧の目標値であるY用の出力目標値Vtrefを格納したRAM(ランダム・アクセス・メモリー)を備えている。このRAM内には、他の現像装置に搭載された図示しないトナー濃度センサからの出力電圧の目標値であるC,M,K用の取得目標値Vtrefのデータも格納されている。Y用の出力目標値Vtrefは、図示しないY用のトナー搬送装置の駆動制御に用いられる。具体的には、上記トナー補給制御部は、Y用のトナー濃度センサ26Yからの出力電圧の値をY用の出力目標値Vtrefに近づけるように、図示しないY用のトナー搬送装置を駆動制御して攪拌搬送部28Yの第1搬送部内にYトナーを補給する。この補給により、第2搬送部内のY現像剤中のYトナー濃度が所定の範囲内に維持される。他の現像装置についても、図示しないC,M,K用のトナー搬送装置を用いた同様のトナー補給制御が実施される。
ドラムクリーニング装置3Yは、感光体2Yに先端部を当接させるクリーニングブレード4Y、回収スクリュウ5Y、ステアリン酸亜鉛ブロック6Y、バネ7Y、塗布ブラシ8Y等を有している。クリーニングブレード4Yは、1次転写工程を経た後の感光体2Y表面に残留したトナーを除去する。除去されたトナーは、回収スクリュウ5Y上に落下する。そして、回収スクリュウ5Yの回転に伴ってスクリュウ軸線方向の端部まで搬送され、ここで図示しない排出口からドラムクリーニング装置3Yの外部に排出された後、図示しない廃トナーボトル内に搬送される。クリーニングブレード4Yと感光体2Yとの当接位置よりもドラム回転方向下流側では、回転軸上に複数の起毛を立設せしめた塗布ブラシ8Yがブラシ先端を感光体2Yに当接させながら回転している。この塗布ブラシ8Yには、バネ7Yによってステアリン酸亜鉛ブロック6Yが押し付けられている。塗布ブラシ8Yは、その回転に伴ってステアリン酸亜鉛ブロック6Yからステアリン酸亜鉛を掻き取ってブラシ先端に付着させた後、感光体2Yの表面に潤滑剤として塗布する。
このようにして潤滑剤が塗布された感光体2Yの表面は、図示しない除電ランプによって除電された後、帯電装置10Yによって一様帯電せしめられる。なお、同図においては、帯電装置10Yとして、帯電バイアスが印加される帯電ローラ11Yを感光体2Yに摺擦あるいは微小ギャップを介して対向せしめることで、感光体2Yを一様帯電せしめるタイプのものを示した。かかる構成の帯電装置10Yに代えて、コロトロンあるいはスコロトロン方式による帯電チャージャーを用いてもよい。
図1において、プロセスカートリッジ1Y,C,M,Kの図中上方には、中間転写ベルト41を張架しながら無端移動せしめる転写ユニット40が配設されている。転写手段たる転写ユニット40は、中間転写ベルト41の他、クリーニング装置42などを備えている。また、4つの1次転写バイアスローラ43Y,C,M,K、2次転写バックアップローラ44、クリーニングバックアップローラ45、テンションローラ46、従動ローラ47なども備えている。中間転写ベルト41は、これら8つのローラに張架されながら、少なくとも何れか1つのローラの回転駆動によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。1次転写バイアスローラ43Y,C,M,Kは、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト41を感光体2Y,C,M,Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。
1次転写バイアスローラ43Y,C,M,Kは、中間転写ベルト41の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス)の転写バイアスを印加する方式のものである。1次転写バイアスローラ43Y,C,M,Kを除くローラは、全て電気的に接地されている。中間転写ベルト41は、その無端移動に伴ってY,C,M,K用の1次転写ニップを順次通過していく過程で、感光体2Y,C,M,K上のY,C,M,Kトナー像が重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト41上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
転写ユニット40における上述した8つのローラは、何れも中間転写ベルト41のループ内側に配設されている。転写ユニット40は、これら8つのローラの他、中間転写ベルト41のループ外側に配設された2次転写ローラ48も有している。この2次転写ローラ48は、上述した2次転写バックアップローラ44との間に中間転写ベルト44を挟み込んで2次転写ニップを形成している。2次転写ニップでは、2次転写ローラ48に印加される2次転写バイアスと、アース接続された2次転写バックアップローラ44との電位差によって2次転写電界が形成されている。
光書込装置100の図中下方には、紙収容カセット50、これらに組み込まれた給紙ローラ51など有する紙収容手段が配設されている。紙収容カセット50は、シート部材たる記録シートPを複数枚重ねて収納しており、それぞれの一番上の記録シートPには給紙ローラ51を当接させている。給紙ローラ51が図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転せしめられると、一番上の記録シートPが給紙路52に向けて送り出される。
この給紙路52の末端付近には、レジストローラ対53が配設されている。レジストローラ対53は、記録シートPを挟み込むべく両ローラを回転させるが、挟み込んですぐに回転を一旦停止させる。そして、記録シートPを適切なタイミングで上述の2次転写ニップに向けて送り出す。中間転写ベルト41上に形成された上述の4色トナー像は、2次転写ニップで記録シートPに重ね合わされながら、上述した2次転写電界やニップ圧の影響を受けて記録シートP上に一括2次転写される。そして、記録シートPの白色と相まって、フルカラートナー像となる。このフルカラートナー像は、記録シートPとともに定着装置60に送られて、記録シートPの表面に定着せしめられる。
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト41の表面には、記録シートPに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、クリーニングバックアップローラ45との間に中間転写ベルト41を挟み込んでいるクリーニング装置42によってクリーニングされた後、上述した廃トナーボトル内に搬送される。
定着装置60は、内部にハロゲンランプ等の発熱源を内包しながら、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転駆動せしめられる加圧ローラ61と、定着ベルトユニット62とを有している。そして、定着ベルトユニット62は、無端状の定着ベルト63を、支持ローラ64と加熱ローラ65とによって張架しながら、図中反時計回りに無端移動せしめる。支持ローラ64と、加圧ローラ61とは、定着ベルト63を介して所定の圧力で当接している。これにより、定着ベルト63のおもて面と、加圧ローラ61とが接触する定着ニップが形成されている。
定着装置60内に送り込まれた記録シートPは、その未定着トナー像担持面を定着ベルト63に密着させる姿勢で定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化せしめられて、記録シートPの表面にフルカラー画像が定着される。
定着装置60内でフルカラー画像の定着処理が施された記録シートPは、定着装置60を出た後、反転搬送路70と排紙ローラ対71とを経由して、プリンタ筺体の上面に設けられたスタック部72上にスタックされる。
中間転写ユニット40と、これよりも上方にあるスタック部72との間には、ボトル支持部が配設されている。このボトル支持部は、Y,C,M,Kトナーを収容するトナー収容器たるトナーボトル73Y,C,M,Kを搭載している。これらトナーボトル73Y,C,M,K内に収容されているY,C,M,Kトナーは、それぞれ図示しないY,C,M,K用のトナー搬送装置により、現像手段たる現像装置20Y,C,M,K内に補給される。なお、トナーボトル73Y,C,M,Kは、プロセスカートリッジ1Y,C,M,Kとは独立してプリンタ本体に脱着可能になっている。
図4は、転写ユニット40を示す正面図である。本プリンタは、後述する作像条件決定処理において、位置ずれ検知用のテストトナー像やトナー付着量検知用のテストトナー像を中間転写ベルト41の表面に形成する。中間転写ベルト41の下方には、光学センサユニット150が配設されている。この光学センサユニット150は、中間転写ベルト41の周方向における全域のうち、従動ローラ47に対する掛け回し領域に対して所定の間隙を介して対向している。そして、第1端部フォトセンサ151と、中央フォトセンサ152と、第2端部フォトセンサ153とを有している。
第1端部フォトセンサ151は、中間転写ベルト41の幅方向の一端部において、ベルト地肌やテストトナー像の光学特性を検知するものである。また、中央フォトセンサ152は、中間転写ベルト41の幅方向の中央部において、ベルト地肌やテストトナー像の光学特性を検知するものである。また、第2端部フォトセンサ153は、中間転写ベルト41の幅方向の他端部において、ベルト地肌やテストトナー像の光学特性を検知するものである。
図5は、第1端部フォトセンサ151を中間転写ベルト41とともに示す拡大構成図である。マルチ反射型光学センサからなる第1端部フォトセンサ151は、光源たるLED151aと、正反射受光部151bと、拡散反射受光部151cとを有している。そして、LED151aから発した後、中間転写ベルト41の表面上で正反射した正反射光を、正反射受光部151bによって受光しながら、正反射光の受光量に応じた電圧を正反射受光部151bから出力する。また、LED151aから発した後、中間転写ベルト41の表面上で拡散反射した拡散反射光を、拡散反射受光部151cによって受光しながら、拡散反射光の受光量に応じた電圧を拡散反射受光部151cから出力する。中間転写ベルト41上に形成されたテストトナー像が第1端部フォトセンサ151との対向位置を通過するときには、前述した正反射光や拡散反射光の受光量がテストトナー像の光学特性を示す。また、ベルト地肌が前記対向位置を通過するときには、前述した正反射光や拡散反射光の受光量がベルト地肌の光学特性を示す。
本プリンタの図示しない制御部は、正反射受光部151bからの出力電圧値と、拡散反射受光部151cからの出力電圧値とに基づいて、中間転写ベルト41上に形成されたテストトナー像を把握したり、テストトナー像に対する単位面積当たりのYトナー付着量を把握したりする。
図6は、本プリンタにおける電気回路の一部を示すブロック図である。同図において、制御手段たる制御部190は、CPU190aと、制御プログラムや各種データを記憶したROM190cと、各種データを一時的に記憶するRAM190bとを有している。この制御部190には、光書込装置の駆動制御を司る光書込制御回路192、光学センサユニット150の各フォトセンサ、各種電源、各種モータ、各色トナー濃度センサなどが、周辺機器器との間で信号の送受を行うためのI/Oインターフェース191を介して接続されている。
光書込制御回路192は制御部190からI/Oインターフェース191を介して入力される指令に基づいて光書込装置(図1の100)の駆動を制御する。図示の各種電源は、各色のプロセスカートリッジ(1Y,C,M,K)の現像スリーブにそれぞれ印加する現像バイアスを個別に出力するための各色現像バイアス電源、各色の1次転写バイアスローラ(43Y,C,M,K)に印加する1次転写バイアスをそれぞれ個別に出力するための各色1次転写バイアス電源などである。また、図示の各種モータは、各色のプロセスカートリッジをそれぞれ個別に駆動するための各色プロセスモータ、中間転写ベルト41を駆動するためのベルト駆動モータなどである。また、各色トナー濃度センサは、Y現像装置内の現像剤のYトナー濃度を検知するYトナー濃度センサ、C現像装置内の現像剤のCトナー濃度を検知するCトナー濃度センサ、M現像装置内の現像剤のMトナー濃度を検知するMトナー濃度センサ、及びK現像装置内の現像剤のKトナー濃度を検知するKトナー濃度センサである。これらの各種機器の他、Y,C,M,K用の現像装置に対してそれぞれY,C,M,Kトナーを補給するための図示しないトナー補給装置もI/Oインターフェース191に接続されている。
本プリンタは、以下のような作像条件決定処理を、電源オン直後や、所定枚数のプリントを行う毎に実施するように構成されている。即ち、この作像条件決定処理では、画像濃度調整に関連するプロセスコントロール処理と、画像位置合わせに関連する位置ずれ補正処理とを実施する。そして、プロセスコントロール処理では階調パターン像を、位置ずれ補正処理では位置ずれ検知用パターン像を、中間転写ベルト41の表面に形成する。
プロセスコントロール処理では、Y,C,M,KトナーからなるY,C,M,K階調パターン像をそれぞれ形成する。これら階調パターン像はそれぞれ、14個のテストトナー像からなり、中央フォトセンサ152との対向位置を通過するように、中間転写ベルト41のベルト幅方向における中央部に形成される。K階調パターン像PKを例にすると、これは図7に示されるように、段階的にトナー付着量が徐々に増えていく第1Kテストトナー像PK1、第2Kテストトナー像PK2、第3Kテストトナー像PK3・・・第14Kテストトナー像PK14という14個のKテストトナー像からなる。これらKテストトナー像がそれぞれ中央フォトセンサ152との対向位置に進入したときにおける中央フォトセンサ152からの出力電圧が、I/Oインターフェース191を介して制御部190に送られてRAM190aに記憶される。Kと同様にして、Y,C,M,についても、それぞれ14個のY,C,Mテストトナー像からなるY,C,M階調パターン像PY,PC,PMが形成される。そして、14個のY,C,Mテストトナー像が中央フォトセンサ152との対向位置に進入したときにおける中央フォトセンサ152からの出力電圧がRAM190aに記憶される。なお、図7は、中間転写ベルト41を鉛直方向の下方から上方に向けて見上げた状態を示している。
制御部190は、RAM190bに記憶した各種フォトセンサからの出力電圧と、ROM190c2内に予め記憶しているアルゴリズムとに基づいて、Y,C,M,Kについてそれぞれ、出力電圧を単位面積当りのY,C,M,Kトナー付着量に換算してRAM190bに記憶する。
図8は、プロセスコントロール処理で実施される各種の工程を示すフローチャートである。プロセスコントロール処理では、装置立ち上げ処理(ステップ1:以下、ステップをSと記す)、フォトセンサの校正処理(S2)、トナー濃度センサの出力値の取得処理(S3)、階調パターン像の作成処理(S4)、階調パターン検出処理(S5)、トナー付着量の算出処理(S6)、目標付着量となる現像バイアスの算出処理(S8)、及びトナー濃度制御目標値(Vtref)の補正処理(S9)が行われる。
装置立ち上げ処理(S1)では、各種モータや各種デバイスの駆動が開始されて、それらの駆動が安定するまで処理の進行が待機される。
反射型フォトセンサは、温度変化や経時劣化などによってLEDの出力が変化したり、受光部の感度が変化したりすることで、LEDに対して一定の電流を供給し続けたとしても、ベルトの地肌を検知しているときのフォトセンサの受光部からの出力電圧値が経時的に変化してしまう。ベルト表面性の経時変化によっても、受光部からの出力電圧値が経時的に変化してしまう。このため、作像条件決定処理を実施するにあたっては、フォトセンサの校正処理を行って、中間転写ベルト41の地肌部を検知しているときの受光部から一定の電圧を出力させるようにする。
フォトセンサの校正処理(S2)では、光学センサユニット150における各フォトセンサについてそれぞれ、正反射受光部からの出力電圧値が所定の範囲内になるように、LEDへの電流供給量(LEDの発光量)が調整される。以下、このときの受光部からの出力電圧値を、地肌出力値Vsgという。LEDへの電流供給量を増やすにつれてLEDの発光量が増加して正反射受光部の受光量が増加する。逆に、LEDへの電流供給量を減らすにつれてLEDの発光量が減少して正反射受光部の受光量が減少する。
フォトセンサの校正処理(S2)における処理の詳細工程は次の通りである。即ち、各フォトセンサについてそれぞれ、LEDに対する電流供給が開始された後、正反射受光部からの出力電圧値が4±0.5[V]になるように、LEDに対する電流供給量が調整される。以下、この電流供給量をLED電流Ifsgと記す。
制御部190は、二分探索法を用いて正反射受光部からの出力電圧値を4.0[V]に最も近づけ得るLED電流Ifsgを探索する。二分探索法の結果、正反射受光部からの出力電圧値を4±0.5[V]の範囲内に収め得るLED電流Ifsgが存在しなかった場合には、地肌出力値Vsg調整エラーとする。この地肌出力値Vsg調整エラーが連続して3回発生した場合には、異常発生エラーの処理に移行して装置を緊急停止させてその旨のメッセージを表示する。
なお、本プリンタにおいては、過電流を供給することによるLEDの破損を防止する狙いで、LED電流Ifsgの上限値が30[mA]に設定されている。
制御部190は、二分探索法により、正反射受光部からの出力電圧値を4±0.5[V]の範囲内に収め、且つ、4.0[V]に最も近づけ得るLED電流Ifsgを見つけた場合には、その値をRAM190bに記憶する。そして、以降、作像条件決定処理を終了するまで、そのLED電流IfsgをLEDに供給する。
なお、LED電流Ifsgの初期値をかなり低い値に設定していると地肌出力値Vsgの調整終了までに長時間を要してしまうため、制御部190は、初期値として、前回のフォトセンサの校正処理を実施したときのLED電流Ifsgの値をRAM190bから読み出してそれを初期値として採用する。そして、その初期値の条件で地肌出力値Vsgを所定の時間間隔で測定してそれらの平均値を求め、平均値が4.0±0.5[V]の範囲内である場合には、そのLED電流Ifsgをそのまま採用する。このような処理を、第1端部フォトセンサ151、中央フォトセンサ152、第2端部フォトセンサ153の3つについてそれぞれ実施する。
制御部190は、このようにしてフォトセンサの構成処理(S2)を終えると、次に、トナー濃度センサの出力値の取得処理(S3)を実施する。この取得処理では、上述したY,C,M,K用のトナー濃度センサについてそれぞれ、出力電圧値Vtを取得してRAM190bに記憶する。Y,C,M,K用のトナー濃度センサの出力電圧値Vtをそれぞれ取得するのは、後に、Y,C,M,K用の出力目標値Vterfの補正に利用するためである。
次に、制御部190は、階調パターン像の作成処理(S4)の実施により、Y,C,M,Kの階調パターン像を中間転写ベルト41に形成する。図7では、各色の階調パターン像のうち、K階調パターン像PKだけを示しているが、階調パターン像の作成処理(S4)では、Y,C,M,Kの階調パターン像PY,PC,PM,PKがベルト移動方向に沿って一直線上に並んで形成される。何れの階調パターン像も、14個のテストトナー像からなり、中間転写ベルト41の幅方向における中央部に形成されて中央フォトセンサ152によって検知される。
各色の階調パターン像における14個のテストトナー像のサイズは次の通りである。即ち、ベルト幅方向の長さが10[mm]であり、ベルト移動方向の長さが14.4[mm]であり、先行するテストトナー像と後続のテストトナー像との間の間隙が5.6[mm]である。階調パターン像におけるテストトナー像の数は14個に限定されるものではないが、互いに隣り合う感光体の中心間距離の範囲に収まる個数であることが望ましい。階調パターン像のベルト移動方向における長さが前述の中心間距離によりも長くなると、各色の階調パターン像の形成を同時に開始することができず、先行する階調パターン像の末端部と後続の階調パターン像の先頭部とを重ねないように、形成タイミングをずらす必要が生ずる。これにより、プロセスコントロール処理の実施時間を長くしてしまうからである。
本プリンタでは、階調パターン像を形成する際、テストトナー像の画像濃度(トナー付着量)にかかわらず、テストトナー像の潜像の光書込強度を最大強度(ベタ画像を形成するときの強度)に設定する。そして、個々のテストトナー像で現像バイアスや帯電バイアスを異ならせることで、個々のテストトナー像の画像濃度を異ならせている。
本プリンタのように、階調パターン像を3つのフォトセンサのうち、中央フォトセンサ152だけで検知する構成では、ベルト幅方向の一端部と他端部とで画像濃度偏差が生じてしまう場合であっても、その画像濃度偏差の影響を受けることなく、テストトナー像の画像濃度を正確に検知することができる。これに対し、各色の階調パターンを互いにベルト幅方向にずれた位置に形成し、それぞれを専用のフォトセンサで検知する構成では、階調パターン像の形成や検知の時間を短縮することが可能になるが、前述の画像濃度偏差の影響を受けてしまう。
各色の階調パターン像を形成したら、制御部190は、階調パターン検出処理(S5)を実施して、Y,M,C,Kの階調パターン像についてそれぞれ、14個のテストトナー像における単位面積あたりのトナー付着量(画像濃度)を検出する。本プリンタにおいては、K階調パターン像のテストトナー像については、正反射光量だけを利用してトナー付着量を検出する。これに対し、C,M,K階調パターン像のテストトナー像については、正反射光量と拡散反射光量とを利用してトナー付着量を検出する。
上述したように、階調パターン像は、Y,C,M,Kの4色のうち、Yの階調パターン像が1番始めに形成される。Y階調パターン像の形成が開始されてから、Y階調パターン像の1つ目のテストトナー像が中央フォトセンサ152の直下に進入するまでの時間(以下、検知タイムラグという)は、プロセスコントロール実施時におけるプロセス線速(ベルト等の速度)や、感光体〜センサ間距離などによって予め決まっている。但し、中間転写ベルト41は厳密に設計速度で移動するわけではなく、且つ感光体〜センサ間距離にも誤差があることから、検知タイムラグにも多少の誤差が発生する。制御部190は、想定し得る最大の誤差が検知タイムラグに発生したとしても、Y階調パターン像の先頭を確実に捉えることができるタイミングで、中央フォトセンサ152からの出力電圧値を取得し始める。より詳しくは、図9に示されるように、前述のタイミングから、4[ms]の間隔で中央フォトセンサ152からの出力電圧値をサンプリングして結果をRAM190bに順次記憶していく。なお、図9において、「Front」は、一端部フォトセンサ151からの出力電圧値を示している。また、「Center」は、中央フォトセンサ152からの出力電圧値を示している。また、「Rear」は、他端部フォトセンサ153からの出力電圧値を示している。
テストトナー像のベルト移動方向の長さは14.4[mm]であり、作像条件決定処理実行時のプロセス線速は180[mm/sec]である。よって、中央フォトセンサ152の直下を1つのテストトナー像が通過する間に、出力電圧値が20回サンプリングされる(14.4/180*1000/4)。このため、基本的には、サンプリングを開始した後、中央フォトセンサ152の出力が急激に変化した時点から20個分のサンプリングデータが、それぞれ先頭のテストトナー像の反射光量を示していることになる。
次に、制御部190は、トナー付着量の算出処理(S6)を実施する。この演算処理では、特開2006−139180号公報に記載の方法によってトナー付着量を演算する。具体的には、K階調パターン像におけるKテストトナー像のトナー付着量については、次のようにして求める。即ち、まず、正反射受光部からの地肌出力値Vsgやトナー像出力値Vspについて、次のような計算を行う。
これらの式において、「_reg」は正反射受光部からの出力電圧値であることを示している。これらの式においては、地肌出力値Vsgやトナー像出力値Vspについて、オフセット電圧Voffsetとの差分を求めている。オフセット電圧Voffsetは、LEDの発光をオフにしたときの受光部からの出力電圧値を表している。また、式におけるnは、Kテストトナー像の番号を表している。つまり、階調パターン像における14個のKテストトナー像の全てについて、前述の差分を求めるのである。測定値とオフセット電圧Voffsetとの差分を求めることで、Kテストトナー像のトナー付着量の増加分を把握することが可能になる。
次に、制御部190は、次式のように差分の正規化値を求める。
そして、予め記憶している正規化値Rnとトナー付着量との関係を示すアルゴリズム(グラフ、計算式、データテーブルなど)に基づいて、それぞれのKテストトナー像におけるトナー付着量を求める。
また、Y階調パターン像,C階調パターン像,M階調パターン像のテストトナー像のトナー付着量については、次のようにして求める。図10は、センサ出力値とカラーテストトナー像のトナー付着量との関係を示すグラフである。まず、次式のように、Y,C,Mの各色についてそれぞれ、14個のテストトナー像におけるトナー像出力値Vspのオフセット電圧Voffsetとの差分を求める。なお、式中における「_dif」は拡散反射受光部からの出力電圧値であることを示している。
次に、拡散反射受光部からのトナー像出力値Vsp_difに対して拡散反射受光部の感度に応じた補正を行うための感度補正係数αを次のようにして求める。
感度補正係数αの比を最小値によって求めるのは、正反射光受光部からのトナー像出力値Vsp_regにおける正反射成分の最小値はほぼゼロであり、かつ正の値となることがわかっているからである。このようにして求めた感度補正係数αを拡散反射受光部からのトナー像出力値Vsp_dif[n]に乗ずることで、トナー像出力値Vsp_difの差分とトナー付着量との関係を示すグラフが例えば図11に示されるように補正される。
次に、次式のようにして、正反射受光部からのトナー像出力値Vsp_regの差分について、拡散反射光成分と正反射光成分とをそれぞれ分解する。なお、数7における△Vsp_reg_dif[n]は、差分の拡散反射光成分を表している。また、数8における△Vsp_reg_reg[n]は、差分の正反射光成分を表している。
このようにして、正反射光受光部からのトナー像出力値Vsp_regの差分から、拡散反射光成分を分離して、純粋な正反射光成分のみを抽出する。これにより、例えば図12に示されるように、正反射光受光部からのトナー像出力値Vsp_regの差分とトナー付着量との関係を示すグラフが純粋な正反射成分だけを反映したものに補正される。
次に、次式により、正反射受光部について14個のテストトナー像にそれぞれ対応する14個の正反射成分の正規化を行う。
また、次式により、拡散反射受光部について、トナー像出力値Vsp_difから地肌出力値Vsp=difの拡散光出力成分を除去する。
以上のようにして、正反射光に対して感度を持つ低トナー付着量域において、正反射光よりトナー付着量との関係が一義的に表せる正反射光成分のみを抽出し、拡散反射光から、[ベルト地肌部から直接反射されてくる拡散反射光成分]を除去したら、これらを基に拡散反射光出力の感度補正を行う。感度補正を行う理由は、次の補正を行うためである。即ち、LED及び受光部の感度の固体誤差に関連する補正、及び、LED及び受光部の温度特性や経時劣化特性に関連する補正である。
この補正については、次のようにして行う。即ち、図13に示されるように、「正反射光部の正反射成分の正規化値」に対し、地肌部変動補正後の拡散反射光出力をプロットし、低トナー付着量域における直線関係から、拡散反射光出力の感度を求め、この感度が予め定めた狙いの感度となるように、補正を行う。拡散反射光出力の感度とは、図13のグラフに示される直線の傾きであり、ある正規化値の地肌部変動補正後の拡散反射光出力がある値となるように、現状の傾きに対して乗じる補正係数を算出して、補正する。その直線の傾きを最小二乗法により求める。
グラフにプロットした点を近似する方法は、次の通りである。即ち、「正反射光の正反射成分の正規化値」に対し、地肌部変動補正後の拡散光出力をプロットしたプロット線を多項式近似(2次式近似)して、感度補正係数ηを算出する。より詳しくは、まず、プロット線を2次近似式(y=ξ1x2+ξ2x+ξ3)で近似して、次式のように最小二乗法により係数ξ1、ξ2、ξ3を求める。なお、次式におけるmは、データ数を表している。また、x[i]は、正反射光の正反射成分の正規化値を表している。また、y[i]は、地肌部変動補正後拡散光出力を表している。計算に用いるxの範囲は、例えば0.1≦x≦1.00とする。
次に、こうして近似されたプロット線から計算される正規化値aをある値bとするような感度補正係数ηを次式によって求める。
また、次式のように、上記数10で求めた地肌部変動補正後の拡散光出力に対し、この感度補正係数ηを乗じることで、トナー付着量と拡散出力との関係を予め定められた関係となるように補正する。なお、次式における△Vsp_dif’は、上記数10で求められた拡散光出力を表している。
このような補正を行うことで、温度変化、経時劣化などによるLEDや受光部の出力変動を抑えて、受光部からの出力電圧値とトナー付着量との関係を一義的な関係に補正することができる。
次に、付着量変換テーブルを用いて△Vsp_dif"をトナー付着量に変換する。補正後の出力電圧値に基づいて、付着量変換テーブルを参照することにより、出力電圧値をトナー付着量に変換することができる。
以上のようにして、各色の階調パターン像についてそれぞれ14個のテストトナー像のトナー付着量を求めたら、次に、目標付着量となる現像バイアスの算出処理(S8)を実施する。具体的には、まず、図14に示されるように、テストトナー像を現像したときの現像ポテンシャル(静電潜像と現像スリーブとの電位差)と、そのテストトナー像のトナー付着量との関係を示す近似直線を最小二乗法によって求める。そして、その近似直線の傾きを、現像γとして求める。また、その近似直線のx切片を現像開始電圧Vkとして求める。
次に、近似直線に基づいて、目標トナー付着量(図示の例では4.5mg/cm2)が得られる現像ポテンシャルを求め、その結果から、目標トナー付着量が得られる現像バイアスを算出する(現像バイアスVb[−V]=(現像ポテンシャル−|潜像電位|)×(−1))。
なお、作像時の帯電バイアスVcは、感光体の地肌部電位を現像剤の磁性キャリアを感光体に付着させない程度の値にするように予め決定されている。
現像バイアスVbを求めたら、次に、トナー濃度制御目標値(Vtref)の補正処理(S9)を実施する。この補正処理では、上記S8で求めた現像γから所定の目標現像γを減ずることで、△γを求める。目標現像γは予め決められた所定の数値であり、例えば現像ポテンシャル=1000[−V]という条件で1.0[mg/cm2]のトナー付着量が得られる値などが採用される。この場合、現像開始電圧Vkは0[−V]として想定され、目標トナー付着量が0.5[mg/cm2]であれば、現像ポテンシャルは500[−V]必要である。現像ポテンシャル[−V]=現像バイアスVb−潜像電位であるので、潜像電位が50[−V]であれば、現像バイアスVb=550[−V]となる。Δγが所定の値を超えるとVbが設定可能な範囲を超えたり、異常画像が発生したりするので、Δγが目標範囲になるようにトナー濃度制御目標値(Vtref)を補正する。ただし、このときのVtがVtrefと大きく異なっているときは補正を行わない。
例えば、Δγ≧0.30[mg/cm2/−kV](高い)で、且つ、Vt−Vtref≧−0.2[V]であったとする(例1)。この場合、Vtref=Vt−0.2[V]となる。つまり、現時点よりトナー濃度を下げるようにトナー濃度制御目標値Vtrefを設定することになる。一方、Δγ≦0.30[mg/cm2/−kV](低い)で、且つ、Vt−Vtref≦0.2[V]であったとする(例2)。この場合、Vtref=Vt+0.2[V]となる。つまり、現時点よりトナー濃度を上げるようにトナー制御目標値を設定することになる。例1や例2とは異なる事例の場合には、トナー濃度制御目標値Vtrefを補正せずに、前回と同じ値のままにする。
以上のようにしてプロセスコントロール処理を終えたら、次に、位置ずれ補正処理を実施する。この位置ずれ補正処理では、図15に示されるような位置ずれ検知用のパッチパターン像を中間転写ベルト41の幅方向の一端部と他端部とにそれぞれ形成する。それぞれのパッチパターン像は、ベルト幅方向から45[°]傾いた姿勢で延在する各色のテストトナー像Py1、Pc1、Pm1、Pk1と、約−45[°]傾いた姿勢で延在する各色のテストトナー像テストトナー像Py2、Pc2、Pm2、Pk2とからなる。
ベルト幅方向の一端部に形成されたパッチパターン像の各テストトナー像は、第1端部フォトセンサ151によって検知される。また、ベルト幅方向の他端部に形成されたパッチパターン像の各テストトナー像は、第2端部フォトセンサ153によって検知される。各色のテストトナー像の形成タイミングが適切であれば、各テストトナー像の検知時間間隔がそれぞれ等しくなるが、不適切であると、各テストトナー像の形成間隔が不均一になる。そして、検知時間間隔も不均一になる。
また、ベルト幅方向の一端側に形成されたパッチパターン像と、他端側に形成されたパッチパターン像とが、ベルト移動方向において互いに同じ位置に形成されていたとする。この場合、一端側に形成されたパッチパターン像の各テストトナー像と、他端側に形成されたパッチパターン像の各テストトナー像とが、互いに同じタイミングで検知される。これに対し、互いに同じ位置に形成されたおらず、ベルト幅方向において一直線上に並んでいないと(画像のスキューが生じていると)、一端側のテストトナー像の検知タイミングと、他端側のテストトナー像の検知タイミングとにずれが生じる。
制御部190は、主走査方向(ベルト幅方向と同じ)や副走査方向(ベルト移動方向と同じ)における各テストトナー像の検知時間間隔や検知タイミングのずれに基づいて、作像条件としての光学ミラーの傾きを調整したり、作像条件としての光書込タイミングを補正したりする。このような位置ずれ補正処理により、各色の重ね合わせずれや画像スキューを抑えることができる。
本発明者らは、次のような実験を行った。即ち、まず、トナー像を全く2次転写していない状態の中間転写ベルト41を継続して無端移動させた。そして、中間転写ベルト41の等速の無端移動を維持した状態で、一端部フォトセンサ151、中央フォトセンサ152、他端部フォトセンサ153についてそれぞれ、地肌出力値Vsgと4[ms]間隔でサンプリングしてハードディスクに記憶させる処理を制御部に実施させた。その後、それらサンプリング結果に基づいて、フォトセンサの正反射受光部からの地肌出力値Vsgと、経過時間との関係を示すグラフを作成した。
このグラフを図16に示す。なお、同図において、「Front」は、一端部フォトセンサ151からの地肌出力値Vsgを示している。また、「Center」は、中央フォトセンサ152からの地肌出力値Vsgを示している。また、「Rear」は、他端部フォトセンサ153からの地肌出力値Vsgを示している。以下、一端部フォトセンサ151、中央フォトセンサ152、及び他端部フォトセンサ153の3つをまとめてフォトセンサと言う。
同図においては、3つのフォトセンサからの地肌出力値Vsgをそれぞれ個別に示す3つのグラフが上下方向に並んで示されているが、その並び順で地肌出力値Vsgの大小関係を示しているわけではない。それぞれのグラフにおいて、波の上下変動が殆どないグラフ箇所の地肌出力値Vsgが、校正処理時における地肌出力値Vsgとほぼ同じ値になっている。
この実験においては、トナー像を2次転写していない中間転写ベルト41を駆動して地肌出力値Vsgを取得している。このため、本来であれば、それぞれのフォトセンサの正反射受光部からの地肌出力値Vsgは、校正処理時の値で安定するはずである。ところが、図示のように、フォトセンサの正反射受光部からの地肌出力値Vsgは、所定のタイミングで大きく変動している。具体的には、概ねベルト半周あたりに1回の割合で、地肌出力値Vsgを通常の値から大きく変動させてしまうタイミングが出現している。
この出現タイミングは、中間転写ベルト41の周方向における全域のうち、巻き癖の付いた箇所(以下、巻き癖箇所)がフォトセンサの直下に進入するタイミングであることが、本発明者らの研究によって判明した。巻き癖の付いていないベルト箇所に比べて、巻き癖箇所はループ内からループ外に向けて出っ張ったり、逆に凹んだりする。このため、フォトセンサとの対向位置では、フォトセンサと巻き癖箇所との距離が、巻き癖の付いていないベルト箇所に比べて近づいたり遠ざかったりする。これにより、フォトセンサの正反射受光部の受光量が巻き癖箇所と巻き癖の付いていない箇所とで大きく異なることから、巻き癖箇所がフォトセンサとの対向位置に進入するタイミングで地肌出力値Vsgが大きく変動するのである。以下、巻き癖箇所がフォトセンサとの対向位置に進入することに起因して地肌出力値Vsgが大きく変動する現象を、フォトセンサが巻き癖箇所を検出すると表現する。
このような地肌出力値Vsgの挙動において、特徴的な点は、図示のように、3つのフォトセンサがほぼ同時に巻き癖箇所を検出することである。これは、次に説明する理由による。即ち、図17は、K階調パターン像が形成された中間転写ベルト41の一部を上方から示す平面図である。同図では、便宜上、中間転写ベルト41における巻き癖箇所にハッチングを付している。通常、ベルトループ内側に配設された張架ローラは、その軸線方向をベルト幅方向にほぼ沿わせる姿勢で中間転写ベルト(41)をループ内側から支持する。このため、図示のように、巻き癖箇所がベルト幅方向に沿って発生することから、ベルト幅方向に沿って配設されている3つのフォトセンサがほぼ同時に巻き癖箇所を検出するのである。
なお、図16では、中間転写ベルト(41)の周方向において、巻き癖箇所が2つ発生し、且つそれらがベルト一周についてほぼ180[°]位相ずれした位置にある例を示している。
また、図17においては、偶然ながらK階調パターン像PKが巻き癖の付いていないベルト箇所に形成されている例を示しているが、K階調パター像PKにおけるいくつかのKテストトナー像を巻き癖箇所に形成してしまうこともある。同図に示される巻き癖箇所のベルト移動方向の大きさでは、最大で3つのKテストトナー像を巻き癖箇所に形成してしまうおそれがある。
図18は、巻き癖の付いていないベルト箇所に形成されたK階調パターン像PKにおける先頭、2番目、3番目、4番目、5番目のKテストトナー像が順にフォトセンサとの対向位置を通過する過程における正反射受光部からの出力電圧値の経時変化を示すグラフである。K階調パターン像PKは、3つのフォトセンサのうち、中央フォトセンサ(Center)に検知されるように、ベルト幅方向における中央部に形成される。複数のKテストトナー像が中央フォトセンサ(Center)との対向位置を順に通過していく過程において、一端部フォトセンサ(Front)や他端フォトセンサ(Rear)は、ベルトの地肌部上での正反射光だけを受光し続ける。つまり、作像条件決定処理においては、一端側フォトセンサ(Front)や他端側フォトセンサ(Rear)が、地肌光学特性検知手段としてのみ機能することになる。
プロセスコントロール処理の実行時においては、一端部フォトセンサ(Front)や他端フォトセンサ(Rear)が地肌出力値Vsgだけを出力し続ける。これに対し、中央フォトセンサは、図示のように、地肌出力値Vsgだけではなく、Kテストトナー像が自らの対向位置に進入するタイミングで、トナー像出力値Vspも出力する。先頭、2番目、3番目、4番目、5番目のKテストトナー像にそれぞれ個別に対応する5つのトナー像出力値Vspは、トナー付着量に応じた値になっている。
中間転写ベルトが無端移動しても、巻き癖の付いていないベルト箇所だけがフォトセンサとの対向位置に進入している限り、図示のように、一端部フォトセンサ(Front)や他端フォトセンサ(Rear)の地肌出力値Vsgは、安定した値になっている。
図19は、K階調パターン像PKにおける先頭のKテストトナー像の後端部と、2番目のKテストトナー像の全体と、3番目のKテストトナー像の先端部とが、巻き癖箇所に形成された場合におけるフォトセンサからの地肌出力値の経時変化を示すグラフである。この場合、図示のように、先頭のKテストトナー像に対応するトナー像出力値Vspの後半部分が大きく乱れてしまう。また、2番目のKテストトナー像に対応するトナー像出力値Vspの全体も大きく乱れてしまう。更には、3番目のKテストトナー像に対応するトナー像出力値Vspの前半部分も大きく乱れてしまう。
このようにトナー像出力値Vspが大きく乱れてしまうのは、巻き癖により、ベルト表面とフォトセンサとの距離が大きく変動してしまうからである。そして、中央フォトセンサ(Center)のトナー像出力値Vspだけでなく、一端側フォトセンサ(Front)や他端側フォトセンサ(Rear))の地肌出力値Vsgも、トナー像出力値Vspと同じタイミングで大きく乱れる。このように、一端側フォトセンサ(Front)や他端側フォトセンサ(Rear))の地肌出力値Vsgが巻き癖に起因して大きく乱れたタイミングでは、中央フォトセンサ(Center)のトナー像出力値Vspも大きく変化する。このようなトナー像出力値Vspでは、トナー付着量を正確に求めることができない。
なお、図17や図19では、巻き癖箇所のベルト移動方向の大きさがテストトナー像よりも大きくなっている例を示しているが、張架ローラの径によっては、図20に示されるように、テストトナー像よりも小さな巻き癖が形成される場合もある。同図では、ベルト移動方向の大きさがKテストトナー像よりも小さな巻き癖箇所の上に、先頭のKテストトナー像が形成された例を示している。この場合、フォトセンサの正反射受光部からの出力電圧値が、巻き癖に起因して図21に示されるように変動してしまう。中央フォトセンサ(Center)のトナー像出力値Vspも巻き癖に起因した変動を起こしているため、それに基づいてトナー付着量を正確に求めることができない。
また、Kテストトナー像よりも小さな巻き癖箇所が互いに隣り合うKテストトナー像の間の領域に位置したとする。例えば、先頭のKテストトナー像と2番目のKテストトナー像との間に、巻き癖箇所が位置したとする。すると、例えば図22に示されるように、中央フォトセンサ(Center)において、地肌出力値Vsgが次のように変動する。即ち、先頭のKテストトナー像に対応するトナー像出力値Vspと、2番目のKテストトナー像に対応するトナー像出力値Vspとの間に位置する地肌出力値Vsgが巻き癖に起因して大きく変動する。このような変動が起こると、個々のトナー像出力値Vspをそれぞれ識別することが困難になって、トナー像出力値Vspの番号を誤って認識してしまう(以下、出力番号違いという)おそれがでてくる。
この出力番号違いについて、より詳しく説明する。中間転写ベルト(41)を駆動する駆動ローラの径の誤差、経時変動、偏心などに起因して、中間転写ベルト(41)の移動速度には、どうしても微妙な誤差や変動が生ずる。そして、テストトナー像の形成(光書込)が開始されてから、そのテストトナー像がベルトに1次転写されてフォトセンサとの対向位置に進入するまでの時間には、ベルトの速度誤差や速度変動に起因する誤差が発生する。このため、前述の時間に基づいて、地肌出力値Vsgであるのかトナー像出力値Vspであるのかを識別することはできない。そこで、中央フォトセンサ(Cenetr)の出力電圧値については、センサ校正時の地肌出力値Vsgの平均値からの偏差に基づいて、地肌出力値Vsgであるのかトナー像出力値Vspであるのかを識別している。より詳しくは、先頭のテストトナー像の形成を開始してから、所定時間経過後(この時点では先頭のテストトナー像はフォトセンサとの対向位置に進入していない)に、フォトセンサからの出力電圧値のサンプリングを開始する。そして、その後、サンプリング結果と、センサ校正時の地肌出力値Vsgとの偏差が所定の閾値を超えた時点で、そのサンプリング結果を先頭のテストトナー像に対応するトナー像出力値Vspであると識別する。
このようにして先頭のテストトナー像に対応するトナー像出力値Vspを識別したら、フォトセンサからの出力電圧値を所定の時間間隔でサンプリングしていく。この過程で、やがて先頭のテストトナー像がフォトセンサとの対向位置を通過して、ベルトの地肌部が同対向位置に進入する。そして、サンプリング結果がセンサ校正時の地肌出力値Vsgの付近まで戻る。その後、サンプリング結果と校正時の地肌出力値Vsgとの偏差が再び所定の閾値を超えた時点で、制御部はそのサンプリング結果を2番目のテストトナー像に対応するトナー像出力値Vspであると識別する。
このように、フォトセンサからの出力電圧値は、通常、次のように変化する。即ち、フォトセンサとの対向位置にベルトの地肌部が進入しているときに、出力電圧値がセンサ校正時の地肌出力値Vsgとほぼ同じ値になる。その後、後続のテストトナー像よりも先行して形成されたテストトナー像が進入すると、そのテストトナー像のトナー付着量に対応するトナー像出力値Vsp(先行像出力値Vsp−sという)が検出される。そして、先行するテストトナー像がフォトセンサとの対向位置を通過して、先行するテストトナー像と後続のテストトナー像との間のベルト地肌部がフォトセンサとの対向位置に進入する。すると、出力電圧値がセンサ校正時の地肌出力値の付近まで戻る。その後、後続のテストトナー像がフォトセンサとの対向位置に進入すると、そのテストトナー像に対応するトナー像出力値Vsp(以下、後続像出力値Vsp−b)が検出される。先行像出力値Vsp−sが検出されてから、後続像出力値Vsp−bが検出されるまでの間に、出力電圧値がセンサ校正時の地肌出力値Vsgの付近まで一旦戻るという現象を利用して、個々のトナー像出力値Vspが識別されるのである。
このような識別において、巻き癖箇所が先行するテストトナー像と後続のテストトナー像との間に位置していると、先行像出力値Vsp−sと後続像出力値Vsp−bとの間の出力電圧値がそれらトナー像出力値と近い値になってしまうことがある(例えば図22)。すると、先行像出力値Vsp−sと後続像出力値Vsp−bとを区別することが困難になる。そして、先行像出力値Vsp−sと、後続像出力値Vsp−bと、両者間の地肌部出力値Vsgとを、1つのテストトナー像に対応するトナー像出力値Vspであるとみなしてしまう。これにより、以降に取得されるトナー像出力値Vspの番号が1つずつ少ない値として認識されてしまうのである。
これまで、図16等に示されるように、地肌部出力値Vsgのグラフの波を短時間で大きく上下させるような電圧変動をきたす巻き癖が発生する例について説明した。このような巻き癖に限らず、例えば図23に示されるように、一定時間だけ出力電圧値を本来の値からシフトさせ、グラフの波を短時間で上下させない巻き癖が発生する可能性もある。図16に示されるような、グラフの波を短時間で活発に上下させる巻き癖であれば、出力電圧値について単位時間あたりにおける上下変動の頻度が閾値を超えるのに基づいて、巻き癖を検知することが可能である。しかしながら、図23に示されるような、グラフの波を短時間で上下させない巻き癖を検知することはできない。
以下、図20に示されるように、巻き癖として、そのベルト移動方向の長さが、テストトナー像のベルト移動方向の長さよりも小さくなるものだけが発生するケースを例にして説明する。
1つの階調パターン像に形成される14個のテストトナー像におけるベルト移動方向の長さは14.4[mm]である。また、先行するテストトナー像と後続のテストトナー像との間の間隙は5.6[mm]である。また、感光体表面や中間転写ベルトの線速であるプロセス線速は180[mm/s]である。また、作像条件決定処理におけるフォトセンサからの出力電圧値のサンプリング時間間隔は4[ms]である。
このような条件で出力電圧値のサンプリングを行った場合、1つのテストトナー像について、20個のトナー像出力値Vspをサンプリングすることになる(14.4/180/1000×4)。また、先行するテストトナー像と後続のテストトナー像との間のベルト地肌部について、約8個の地肌出力値Vsgをサンプリングすることになる(5.6/180/1000×4)。
テストトナー像のトナー付着量については、基本的には、そのテストトナー像についてサンプリングした20個のトナー像出力値Vspの平均値に基づいて算出する。但し、そのテストトナー像が中間転写ベルトにおける巻き癖箇所に形成されたものであると、サンプリングした20個のトナー像出力値Vspのうち、いくつかは巻き癖に起因して不適切な値になっている。
図24は、図8に示されるプロセスコントロール処理の階調パターン検出処理(S5)における詳細な処理工程を示すフローチャートである。階調パターン検出処理においては、まず、所定のタイミングで、一端側フォトセンサからの出力電圧値、及び中央フォトセンサからの出力電圧値のサンプリングが開始され、制御部のRAMに順次記憶されていく(S5−1)。一端側フォトセンサからの出力電圧値と、中央フォトセンサからの出力電圧値とは、互いに同じタイミングで4[ms]毎にサンプリングされる。
中間転写ベルト(41)のベルト幅方向の一端側は、ベルト全周に渡ってトナーの付着のない地肌であるため、一端側フォトセンサについてサンプリングした出力電圧値は全て地肌出力値Vsgである。なお、一端側フォトセンサに代えて、他端側フォトセンサの出力電圧値をサンプリングしてもよい。一端側フォトセンサ、他端側フォトセンサの何れも、作像条件決定処理においては、地肌光学特性検知手段として機能するからである。
参考形態に係るプリンタでは、K、C、M、Yという順で階調パターン像が中央フォトセンサとの対向位置に進入するように、中間転写ベルト上に並んでいる。このため、複数のテストトナー像のうち、K階調パターン像の先頭のKテストトナー像が、まず始めに中央フォトセンサとの対向位置に進入する。
制御部(190)は、K用の感光体(2K)に対して先頭のKテストトナー像のための光書込を開始してから、所定時間が経過した時点で、一端側フォトセンサや中央フォトセンサの出力電圧値のサンプリングを開始する(S5−1)。この時点では、中間転写ベルトの速度に一般的な速度誤差や速度変動があったとしても、まだ先頭のKテストトナー像が確実に中央フォトセンサとの対向位置よりもベルト移動方向の上流側に位置している。このため、中央フォトセンサについて、初めにサンプリングされた出力電圧値は、確実に地肌出力値となる。
サンプリングを開始した後、所定時間が経過すると(S5−2でY)、制御部はサンプリングを終了した後(S5−3)、サンプリング結果補正処理を実施する(S5−4)。このサンプリング結果補正処理では、まず、一端側フォトセンサによってサンプリングした全ての地肌出力値Vsgについて、地肌出力値Vsgの平均値に対し、所定の閾値を超える偏差があるか否かを判定する。地肌出力値Vsgの平均値は、上述したセンサの校正処理において、一端側フォトセンサについて予め記憶しておいた値である。巻き癖の付いていないベルト箇所の地肌についての地肌出力値Vsgであれば、センサ校正時の地肌出力値Vsgの平均値と大差ない値になる。このため、S5−3の工程において、偏差がないと判定される。一方、巻き癖箇所の地肌についても地肌出力値Vsgであれば、センサ校正時の地肌出力値Vsgに対して比較的大きな偏差をもっていることから、S5−3の工程において偏差ありと判定される。
制御部は、一端側フォトセンサによってサンプリングした全ての地肌出力値Vsgにそれぞれ個別に対応させて、正否判定用のフラグデータを構築する。具体的には、S5−3において偏差なしと判定した地肌出力値Vsgに対しては、「0」という数値の正否判定用のフラグデータを関連付けてデータテーブルに記憶する。また、S5−3において偏差ありと判定した地肌出力値Vsgに対しては、「1」という数値の正否判定用のフラグデータを関連付けてデータテーブルに記憶する。
次に、制御部は、正否判定用のフラグデータの補正処理を実施する。具体的には、一端側フォトセンサによってサンプリングされた全ての地肌出力値Vsgのうち、地肌出力値Vsgの平均値に対して閾値を超える偏差をもっているものだけが、ベルトの巻き癖に起因する誤差を含んでいるわけではない。例えば、図25に示されるように、時点t1でサンプリングされた地肌出力値Vsgが、地肌出力値Vsgの平均値に対して+αを超える偏差をもったとする。つまり、時点t1でサンプリングされた地肌出力値Vsgは、巻き癖の箇所で検出されたものである。しかし、時点t1の前後においても、αという閾値ほどではないものの、地肌出力値Vsgが地肌出力値Vsgの平均値に対して僅かな偏差をもっていることがわかる。この僅かな偏差も、巻き癖に起因するものである可能性が高い。
そこで、制御部は、次のようなベルト領域でサンプリングした地肌出力値Vsgについては、巻き癖に起因する誤差を含んでいるものとみなす。即ち、時点t1で地肌出力値Vsgがサンプリングされたベルト箇所に対してベルト移動方向上流側に10[mm]シフトした位置から、同ベルト箇所に対してベルト移動方向下流側に10[mm]シフトした位置に至るまでの領域(以下、巻き癖誤差領域という)である。
このため、「1」という正否判定用のフラグデータに関連付けられた地肌出力値Vsgよりも早いタイミングでサンプリングされた直近14個分の地肌出力値Vsgにおいて、正否判定用のフラグデータを「0」として記憶しているものがあれば、そのフラグデータを「1」に補正する。また、補正前から「1」という数値であった正否判定用のフラグデータに関連付けられた地肌出力値Vsgよりも遅いタイミングでサンプリングされた直近14個の地肌出力値Vsgにおいても、正否判定用のフラグデータを「0」として記憶しているものがあれば、そのフラグデータを「1」に補正する。補正前から「1」という数値であった正否判定用のフラグデータに関連付けられた地肌出力値Vsgがサンプリングされた時点から、前後それぞれ14個分のフラグデータについても「1」に補正するのは、それらがベルトの巻き癖誤差領域で検出されたものであるからである(10[mm]÷180[mm/s]÷0.004[s]≒14)。
次に、制御部は、中央フォトセンサによってサンプリングした全ての出力電圧値のうち、正否判定用のフラグデータが「1」として記憶されている地肌出力値Vsgと同じタイミングでサンプリングした出力電圧値を補正が必要な値であるとみなす。そして、補正が必要な出力電圧値については、次のようにして補正する。即ち、制御部は、センサの校正処理のときに、一端側フォトセンサについての地肌出力値Vsgの平均値に加えて、中央フォトセンサについての地肌出力値Vsgの平均値も記憶している。以下、前者の平均値を一端地肌平均値Vsg−fという。また、後者の平均値を中央地肌平均値Vsg−cという。制御部は、中央地肌平均値Vsg−cについて、一端地肌平均値Vsg−fに対する比率を算出し(K=Vsg−c/Vsg−f)、算出結果を補正係数Kとして記憶している。そして、正否判定用のフラグデータが「1」として記憶されている地肌出力値Vsgと同じタイミングにおいて、中央フォトセンサによってベルト地肌を検出したと仮定した場合に得られる地肌出力値の推定値である推定地肌値Vsg−sを、前記地肌出力値Vsgに補正係数Kを乗ずることによって求める。例えば、正否判定用のフラグデータが「1」として記憶されている地肌出力値Vsgが3[V]であったとする。この場合、その地肌出力値Vsgと同じタイミングで中央フォトセンサによってベルト地肌を検出したと仮定した場合に得られる推定地肌値Vsg−sを、「3×K」として算出する。この推定地肌値Vsg−sには、巻き癖に起因する誤差を含んでおり、その誤差は、中央地肌平均値Vsg−cから推定地肌値Vsg−sを減ずることによって求められる。このようにして求めた誤差を補正量として扱う。そして、この中央フォトセンサによって実際に検出された出力電圧値にも、ほぼ同じ値の誤差が含まれていることになるため、前述の補正量を減ずることにより、中央フォトセンサによって実際に検出された出力電圧値を補正する。
制御部は、以上のようにしてサンプリング結果補正処理を実施したら、次に、中央フォトセンサによるサンプリング結果として記憶している複数の出力電圧値のうち、トナー像出力値Vspに相当するものを特定する(S5−5)。各色それぞれ14個のテストトナー像について、トナー像出力値Vspに相当するものを20個ずつ特定する。サンプリング結果として記憶されている出力電圧値は、巻き癖による誤差が前述の補正によってほぼ取り除かれている。このため、たとえベルトの巻き癖箇所が先行するテストトナー像と後続のテストトナー像との間に位置していても、その巻き癖箇所に対応する出力電圧値は、中央地肌平均値Vsg−cに近い値になる。このため、先行するテストトナー像に対応する20個のトナー像出力値Vspと、後続のテストトナー像に対応する20個のトナー像出力値Vspとをそれぞれ容易に特定することが可能である。
このようにして、各色において14個のテストトナー像についてそれぞれトナー像出力値Vspを20個ずつ特定したら、次に、トナー像出力値Vspの除外処理を実施する(S5−6)。具体的には、1つのテストトナー像に対応する20個のトナー像出力値Vspのうち、巻き癖箇所に対応するもの(正否判定用のフラグデータが「1」となっている地肌出力値Vsgに対応するもの)を、Vsp群の中から除外する。そして、除外後のVsp群を用いて、トナー像出力値Vspの平均値を求める(S5−7)。その後、平均値に基づいてテストトナー像のトナー付着量を算出する(S5−8)
このような処理により、例えば、図26や図27に示されるように、1つのテストトナー像に対応する20個のトナー像出力値Vspのうち、巻き癖箇所で検出された3個のトナー像出力値Vspが除外される。そして、残りの17個のトナー像出力値Vspの平均値が算出され、算出結果に基づいてトナー付着量が求められる。
図28は、従来の画像形成装置におけるテストトナー像のトナー付着量と、そのトナー付着量を実現する現像ポテンシャルとの関係の一例を示すグラフである。このグラフにおいて、複数のプロット点はそれぞれ、トナー像出力値Vspの平均値に基づいて求められたトナー付着量と、テストトナー像を現像したときの現像ポテンシャルとの交点を示している。各色の階調パターン像は14個のテストトナー像を具備しているため、本来であれば、1つのグラフについて14個のプロット点が得られるが、同図においては、便宜上、6個のプロット点だけを示している。
同図において6個の○のプロット点を結ぶ実線は、14個のテストトナー像のうち、先頭のテストトナー像が巻き癖箇所の上に形成された例におけるトナー付着量と現像ポテンシャルとの関係を示している。また、6個の△のプロット点を結ぶ点線は、14個のテストトナー像が全て、巻き癖のないベルト箇所に形成された例におけるトナー付着量と現像ポテンシャルとの関係を示している。
従来の画像形成装置において、先頭のテストトナー像が巻き癖箇所に形成された例では、先頭のテストトナー像に対応してサンプリングした20個のトナー像出力値Vspのうち、いくつかが巻き癖に起因する誤差を含んでいる。このため、先頭のテストトナー像に対応する1つ目のプロット点(○)が、巻き癖のない例における先頭のテストトナー像に対応する1つ目のプロット点(△)の位置から大きくずれている。このことにより、本来であれば、点線のような特性であるにもかかわらず、実線のような特性が検出されてしまう。このような実線の特性で、0.45[mg/cm2]という目標トナー付着量が得られる現像ポテンシャルを特定すると、図示のように、0.53[V]という結果が得られる。ところが、実際には、点線の特性で示されるように、0.5[V]の現像ポテンシャルで目標トナー付着量が実現される。このため、目標トナー付着量が正確に得られなくなってしまう。
図29は、参考形態に係るプリンタにおけるテストトナー像のトナー付着量と、そのトナー付着量を実現する現像ポテンシャルとの関係の一例を示すグラフである。同図においても6個の○のプロット点を結ぶ実線は、14個のテストトナー像のうち、先頭のテストトナー像が巻き癖箇所の上に形成された例におけるトナー付着量と現像ポテンシャルとの関係を示している。
参考形態に係るプリンタでは、先頭のテストトナー像が巻き癖箇所に形成されている場合であっても、巻き癖のないベルト箇所に形成された場合と同様に、トナー付着量が正確に求められている。これは、先頭のテストトナー像に対応する20個のトナー像出力値のうち、巻き癖箇所で検出されたものを除外して平均値を求めているからである。
なお、参考形態に係るプリンタにおいては、一端側フォトセンサ、中央フォトセンサ、及び他端側フォトセンサを、1つの基板上に配設している。かかる構成では、それらセンサを別々の基板上に配設する場合に比べて、センサ間の位置誤差の発生を抑えることができる。
これまで、プロセスコントロール処理において、中央フォトセンサによって得られたトナー像出力値Vspについて、一端側フォトセンサによって得られた地肌出力値Vsgに基づいて値の適否を判定する例について説明した。値の適否とは、具体的には、巻き癖に起因する誤差を含んでいる不適切な値であるか否かである。位置ずれ補正処理において、同様にして、トナー像出力値Vspについて、巻き癖に起因する誤差を含んでいるか否かを判定してもよい。この場合、一端側フォトセンサや他端側フォトセンサでトナー像出力値Vspを得る。つまり、それらフォトセンサがトナー像光学特性検知手段として機能する。また、中央フォトセンサがベルト1周分に渡って地肌出力値Vsgを検出する地肌光学特性検知手段として機能する。中央フォトセンサによってサンプリングした地肌出力値Vsgが地肌出力値Vsgの平均値に対して閾値を超える偏差をもっている場合に、それと同じタイミングで一端側フォトセンサや他端側フォトセンサによってサンプリングされた出力電圧値について、不適切な値であると判定するのである。
次に、参考形態に係るプリンタに、より特徴的な構成を付加した参考例や実施形態に係るプリンタについて説明する。なお、以下に特筆しない限り、参考例や実施形態に係るプリンタの構成は、実施形態と同様である。
[参考例]
参考例に係るプリンタにおいては、巻き癖箇所として、ベルト移動方向の大きさが、テストトナー像のベルト移動方向の大きさよりも大きくなるものが発生する。かかる構成では、テストトナー像の全体が巻き癖箇所の上に形成される場合もあり、この場合、そのテストトナー像に対応して検出される20個のトナー像出力値Vspが全て、巻き癖に起因する誤差を含んでしまう。そして、実施形態にかかるプリンタでは、この場合、そのテストトナー像については、トナー像出力値Vspの平均値が得られなくなる。
つまり、トナー付着量と現像ポテンシャルとの関係を示すグラフにおいて、本来であれば14個のプロット点が得られるものの、14個のプロット点が得られなくなることがあるのである。しかも、場合によっては、1つの巻き癖箇所の上に、複数のテストトナー像が形成されることもある。このため、2個以上のプロット点が得られなくなることもある。
図30は、トナー付着量有効範囲と、有効プロット点との関係を説明するためのグラフである。トナー付着量と現像ポテンシャルとの関係を示す2次元座標上において、トナー付着量が比較的少ない座標領域や、トナー付着量が比較的多い座標領域では、トナー付着量と現像ポテンシャルとの関係が一次関数にならない。このため、トナー付着量が比較的少ない座標領域に発生するプロット点や、トナー付着量が比較的多い座標領域に発生するプロット点を、同関係を示す一次関数の解析に使用することは望ましくない。そこで、本プリンタでは、トナー付着量有効範囲を定め、この座標領域内で発生するプロット点(有効プロット点)だけを使用して、トナー付着量と現像ポテンシャルとの関係を示す一次関数を解析するようになっている。
かかる構成では、有効プロット点が1つだけしか得られないと、一次関数を解析することができない。図示のように、一次関数を解析するためには、少なくとも2つの有効プロット点が必要である。ところが、参考形態に係るプリンタでは、14個の全てのプロット点が得られない結果として、有効プロット点が1つしか得られなくなる場合もあり得る。
そこで、参考例に係るプリンタにおいては、上述したS5−6の工程を省略する。これにより、1つのテストトナー像に対応する20個のトナー像出力値Vspについて、補正係数Kに基づく補正を行っているか否かにかかわらず、トナー像出力値Vspの平均値の算出に利用する。
かかる構成では、14個の全てのテストトナー像についてそれぞれ確実にトナー像出力値Vspの平均値を得ることで、上述した一次関数を確実に解析することができる。
[実施形態]
図31は、実施形態に係るプリンタの中間転写ベルト41の一部を示す平面図である。第2実施例に係るプリンタにおいては、一端側フォトセンサ151と他端側フォトセンサ153とが、それぞれ中央フォトセンサ152よりもベルト移動方向の上流側に配設されている。このため、一端側フォトセンサ151は、中央フォトセンサ152よりも早いタイミングで、巻き癖を検出する。
制御部は、一端側フォトセンサ151によって地肌出力値Vsgをサンプリングしたら、それをRAMに記憶すると同時に、正否判定用のフラグデータをその地肌出力値Vsgに関連付けてRAMに記憶していく。つまり、地肌出力値Vsgのサンプリングデータの記憶と、正否判定用のフラグデータの記憶とを同時に行っていくのである。正否判定用のフラグデータとして「1」を記憶した場合、それから所定のタイムラグをおいてサンプリングされる中央フォトセンサ152の出力電圧値は、巻き癖箇所で得られたものである。
そこで、制御部は、中央フォトセンサ152の出力電圧値をサンプリングしてRAMに記憶する際に、通常は、その出力電圧値に「0」という補正要否判定用のフラグデータを関連付けて記憶する。補正要否判定用のフラグデータが「0」である場合、それに関連付けられている出力電圧値について補正の必要がないことを表している。このように、通常は補正要否判定用のフラグデータを「0」として記憶していくが、正否判定用のフラグデータとして「1」を記憶してから所定のタイムラグをおいてサンプリングされる、中央フォトセンサの出力電圧値については、補正要否判定用のフラグデータを「1」として記憶する。
このように、一端側フォトセンサ151を中央フォトセンサ152よりもベルト移動方向の上流側に配設したことで、中央フォトセンサ152によってサンプリングされる複数の出力電圧値についてそれぞれ、サンプリング前に値の適否を判定することが可能になる。そして、サンプリング結果を記憶するとともに、その値について巻き癖に起因する誤差を含むか否かのフラグデータを記憶して、トナー像出力値Vspの補正に要する時間を短縮することができる。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[態様A]
態様Aは、自らのループ内側に配設された複数の張架部材(例えば、44、45、46、47、43Y,M,C,K)によって張架された状態で無端移動せしめられる無端状のベルト部材(例えば中間転写ベルト41)と、前記ベルト部材の移動方向に沿って並ぶ複数のテストトナー像を具備するテストパターン像を前記ベルト部材の表面に形成するトナー像形成手段(例えば、1Y,M,C,K、40、100)と、複数の前記テストトナー像の光学特性をそれぞれ検知して複数のテスト像検知結果を得るトナー像光学特性検知手段(例えば中央フォトセンサ152)と、複数の前記テスト像検知結果に基づいて前記トナー像形成手段の作像条件を決定する作像条件決定処理を実施する制御手段(例えば制御部190)とを備える画像形成装置において、前記ベルト部材の表面における全域のうち、前記テストトナー像に対してベルト幅方向に並んでいる領域である並び領域の地肌の光学特性を検知する地肌光学特性検知手段(例えば一端側フォトセンサ151)を前記トナー像光学特性検知手段とは別に設けるとともに、前記作像条件決定処理にて、複数の前記テストトナー像にそれぞれ個別に対応する複数の前記並び領域における地肌の光学特性をそれぞれ前記地肌光学特性検知手段によって検知した結果である複数の地肌検知結果を取得し、複数の前記テスト像検知結果についてそれぞれ、そのテスト像検知結果に対応する前記地肌検知結果に基づいて数値の適否を判定する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
[態様B]
態様Bは、態様Aにおいて、前記作像条件決定処理にて、複数の前記テスト像検知結果のうち、適切な数値であると判定したものだけを、それぞれ前記作像条件を決定する上での参照値として採用する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、巻き癖箇所で得られたテスト像検知結果を参照値として利用せずに作像条件を決定することで、同テスト像検知結果を参照値として利用して作像条件を決定する場合に比べて、実情に見合った適切な作像条件を決定することができる。
[態様C]
態様Cは、態様Bにおいて、前記作像条件決定処理にて、複数の前記テストトナー像についてそれぞれ、ベルト移動方向における互いに異なる箇所の光学特性をそれぞれ検知した結果である複数の像内箇所検知結果(例えば1つのテストトナー像に対応する20個のトナー像出力値Vsp)を取得する一方で、前記地肌検知結果として、それら複数の像内箇所検知結果にそれぞれ個別に対応する前記並び領域の地肌光学特性の検知結果である複数の領域内地肌検知結果(例えば1つのテストトナー像に対応する20個の地肌出力値Vsg)を取得し、複数の前記像内箇所検知結果のうち、その前記像内箇所検知結果に対応する前記領域内地肌検知結果に基づいて適切な数値であると判定したものだけを選抜してそれらの平均値を算出し、算出結果を前記テスト像検知結果として用いる処理を実施するように、前記制御部を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、巻き癖箇所で得られた像内箇所検知結果を平均値算出に利用しないことで、利用する場合に比べて、実情に見合った適切な作像条件を決定することができる。
[態様D]
態様Dは、態様Aにおいて、前記作像条件決定処理にて、複数の前記テスト像検知結果のうち、適切な数値でないと判定したものについては、それに対応する前記地肌検知結果に基づいて数値を補正する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、既に説明したように、巻き癖箇所が先行するテストトナー像と後続のテストトナー像との間に位置していたとしても、巻き癖箇所で得られた地肌検知結果を補正してその値を地肌検知結果の平均値に近づける。これにより、先行するテストトナー像に対応するテスト像検知結果と、後続のテストトナー像に対応するテスト像検知結果とを確実に選別することができる。
[態様E]
態様Eは、態様Dにおいて、複数の前記地肌検知結果についてそれぞれ、所定の下限閾値(例えば(一端地肌平均値Vsg−f)−偏差α)との比較結果と、所定の上限閾値(例えば一端地肌平均値Vsg−f)+偏差α)との比較結果とに基づいて数値の異常の有無を判定し、異常と判定した地肌検知結果に対応する前記テスト像検知結果について、適切な数値でないと判定する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、巻き癖箇所のうち、大きく変形している領域を確実に検出することができる。
[態様F]
態様Fは、態様D又はEにおいて、前記作像条件決定処理にて、複数の前記テストトナー像についてそれぞれ、ベルト移動方向における互いに異なる箇所の光学特性をそれぞれ検知した結果である複数の像内箇所検知結果を取得する一方で、前記テスト像検知結果として、それら複数の像内箇所検知結果にそれぞれ個別に対応する前記並び領域の地肌光学特性の検知結果である複数の領域内地肌検知結果を取得し、複数の前記像内箇所検知結果についてそれぞれ、その像内箇所検知結果に対応する前記領域内地肌検知結果に基づいて数値の適否を判定し、適切な数値でないと判定した前記像内箇所検知結果についてはそれに対応する前記領域内地肌検知結果に基づいて数値を補正した後、それら複数の像内箇所検知結果の平均値を算出し、算出結果を前記テスト像検知結果として用いて前記作像条件を決定する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、実施例1で説明したように、巻き癖箇所の上にテストトナー像の全体が重なってしまう場合であっても、巻き癖による誤差を低減したテスト像検知結果を確実に得ることができる。
[態様G]
態様Gは、態様A〜Fの何れかにおいて、前記地肌光学特性検知手段を、前記トナー像光学特性検知手段よりもベルト移動方向の上流側に配設したことを特徴とするものである。かかる構成では、実施例2で説明したように、テスト像検知結果の補正に要する時間を短縮することができる。
[態様H]
態様Hは、態様A〜Gの何れかにおいて、前記地肌光学特性検知手段と前記トナー像光学特性検知手段とを同じ基板上に配設したことを特徴とするものである。かかる構成では、両者を別々の基板上に配設する場合に比べて、両者の位置誤差の発生を低減することができる。