以下、本発明の一実施形態を図1〜図22(B)に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着ローラ2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、トナーパターン検出器2245、温湿度センサ(図示省略)及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
なお、ここでは、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向に沿った方向をY軸方向、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX軸方向として説明する。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えば、パソコン)及び公衆回線を介した情報機器(例えば、ファクシミリ装置)との双方向の通信を制御する。そして、通信制御装置2080は、受信した情報をプリンタ制御装置2090に通知する。
プリンタ制御装置2090は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、アナログデータをデジタルデータに変換するAD変換器などを有している。そして、プリンタ制御装置2090は、上位装置及び情報機器からの要求に応じて各部を制御するとともに、上位装置及び情報機器からの画像情報を光走査装置2010に送る。
温湿度センサは、カラープリンタ2000内の温度と湿度を検出し、プリンタ制御装置2090に通知する。
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転するものとする。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
光走査装置2010は、プリンタ制御装置2090からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて、各色毎に変調された光束を、対応する帯電された感光体ドラムの表面にそれぞれ照射する。これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。なお、この光走査装置2010の構成については後述する。
トナーカートリッジ2034aにはブラックトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033aに供給される。トナーカートリッジ2034bにはシアントナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033bに供給される。トナーカートリッジ2034cにはマゼンタトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033cに供給される。トナーカートリッジ2034dにはイエロートナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033dに供給される。
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。ところで、転写ベルト2040上で、トナー画像の移動する方向(ここでは、X軸方向)は「副方向」と呼ばれ、該副方向に直交する方向(ここでは、Y軸方向)は「主方向」と呼ばれている。
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出し、レジストローラ対2056に搬送する。該レジストローラ対2056は、所定のタイミングで記録紙を転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出す。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。ここで転写された記録紙は、定着ローラ2050に送られる。
定着ローラ2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここで定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次スタックされる。
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
トナーパターン検出器2245は、転写ベルト2040の−Z側であって、転写ベルト2040の近傍に配置されている。このトナーパターン検出器2245については後述する。
次に、前記光走査装置2010の構成について説明する。
光走査装置2010は、一例として図2〜図5に示されるように、4つの光源(2200a、2200b、2200c、2200d)、4つのカップリングレンズ(2201a、2201b、2201c、2201d)、4つの開口板(2202a、2202b、2202c、2202d)、4つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b、2204c、2204d)、ポリゴンミラー2104、4つの偏向器側走査レンズ(2105a、2105b、2105c、2105d)、8枚の折返しミラー(2106a、2106b、2106c、2106d、2108a、2108b、2108c、2108d)、4つの像面側走査レンズ(2107a、2107b、2107c、2107d)、4つの光検知センサ(2205a、2205b、2205c、2205d)、4枚の光検知用ミラー(2207a、2207b、2207c、2207d)、及び不図示の走査制御装置などを備えている。そして、これらは、光学ハウジング2300(図2〜図4では図示省略、図5参照)の所定位置に組み付けられている。
なお、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
光源2200bと光源2200cは、X軸方向に関して離れた位置に配置されている。そして、光源2200aは光源2200bの−Z側に配置されている。また、光源2200dは光源2200cの−Z側に配置されている。
カップリングレンズ2201aは、光源2200aから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
カップリングレンズ2201bは、光源2200bから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
カップリングレンズ2201cは、光源2200cから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
カップリングレンズ2201dは、光源2200dから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
開口板2202aは、開口部を有し、カップリングレンズ2201aを介した光束を整形する。
開口板2202bは、開口部を有し、カップリングレンズ2201bを介した光束を整形する。
開口板2202cは、開口部を有し、カップリングレンズ2201cを介した光束を整形する。
開口板2202dは、開口部を有し、カップリングレンズ2201dを介した光束を整形する。
シリンドリカルレンズ2204aは、開口板2202aの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
シリンドリカルレンズ2204bは、開口板2202bの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
シリンドリカルレンズ2204cは、開口板2202cの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
シリンドリカルレンズ2204dは、開口板2202dの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
ポリゴンミラー2104は、2段構造の4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。そして、1段目(下段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204aからの光束及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束がそれぞれ偏向され、2段目(上段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204bからの光束及びシリンドリカルレンズ2204cからの光束がそれぞれ偏向されるように配置されている。
ここでは、シリンドリカルレンズ2204a及びシリンドリカルレンズ2204bからの光束はポリゴンミラー2104の−X側に偏向され、シリンドリカルレンズ2204c及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束はポリゴンミラー2104の+X側に偏向される。
各偏向器側走査レンズはそれぞれ、ポリゴンミラー2104の回転に伴って、対応する感光体ドラム面上で光スポットが主走査方向に等速で移動するようなパワーを有する非円弧面形状を有している。
偏向器側走査レンズ2105a及び偏向器側走査レンズ2105bは、ポリゴンミラー2104の−X側に配置され、偏向器側走査レンズ2105c及び偏向器側走査レンズ2105dは、ポリゴンミラー2104の+X側に配置されている。
そして、偏向器側走査レンズ2105aと偏向器側走査レンズ2105bはZ軸方向に積層され、偏向器側走査レンズ2105aは1段目の4面鏡に対向し、偏向器側走査レンズ2105bは2段目の4面鏡に対向している。また、偏向器側走査レンズ2105cと偏向器側走査レンズ2105dはZ軸方向に積層され、偏向器側走査レンズ2105cは2段目の4面鏡に対向し、偏向器側走査レンズ2105dは1段目の4面鏡に対向している。
そこで、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204aからの光束は、偏向器側走査レンズ2105a、折返しミラー2106a、像面側走査レンズ2107a、及び折返しミラー2108aを介して、感光体ドラム2030aに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030aの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030a上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030aでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030aの回転方向が、感光体ドラム2030aでの「副走査方向」である。
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204bからの光束は、偏向器側走査レンズ2105b、折り返しミラー2106b、像面側走査レンズ2107b、及び折返しミラー2108bを介して、感光体ドラム2030bに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030bの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030b上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030bでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030bの回転方向が、感光体ドラム2030bでの「副走査方向」である。
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204cからの光束は、偏向器側走査レンズ2105c、折り返しミラー2106c、像面側走査レンズ2107c、及び折返しミラー2108cを介して、感光体ドラム2030cに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030cの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030c上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030cでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030cの回転方向が、感光体ドラム2030cでの「副走査方向」である。
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204dからの光束は、偏向器側走査レンズ2105d、折り返しミラー2106d、像面側走査レンズ2107d、及び折り返しミラー2108dを介して、感光体ドラム2030dに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030dの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030d上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030dでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030dの回転方向が、感光体ドラム2030dでの「副走査方向」である。
ところで、各感光体ドラムにおける画像情報が書き込まれる主走査方向の走査領域は「有効走査領域」、「画像形成領域」、あるいは「有効画像領域」などと呼ばれている。
カラープリンタ2000は、A3サイズまでの記録紙に対応可能である。そこで、上記有効画像領域の幅(幅Wという(図7参照))は、A3サイズの記録紙の短手方向の長さである297mmとなる。
ポリゴンミラー2104と各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本実施形態では、偏向器側走査レンズ2105aと像面側走査レンズ2107aと折り返しミラー(2106a、2108a)とからKステーションの走査光学系が構成されている。また、偏向器側走査レンズ2105bと像面側走査レンズ2107bと折り返しミラー(2106b、2108b)とからCステーションの走査光学系が構成されている。そして、偏向器側走査レンズ2105cと像面側走査レンズ2107cと折り返しミラー(2106c、2108c)とからMステーションの走査光学系が構成されている。さらに、偏向器側走査レンズ2105dと像面側走査レンズ2107dと折り返しミラー(2106d、2108d)とからYステーションの走査光学系が構成されている。
Cステーションの走査光学系、Mステーションの走査光学系、及びYステーションの走査光学系では、少なくとも1つの折り返しミラーの姿勢及び形状を調整するための調整機構を有している。そして、各調整機構は、プリンタ制御装置2090によって制御される。
光検知センサ2205aには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Kステーションの走査光学系を介した光束のうち書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207aを介して入射する。
光検知センサ2205bには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Cステーションの走査光学系を介した光束のうち書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207bを介して入射する。
光検知センサ2205cには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Mステーションの走査光学系を介した光束のうち書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207cを介して入射する。
光検知センサ2205dには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Yステーションの走査光学系を介した光束のうち書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207dを介して入射する。
各光検知センサはいずれも、受光量に応じた信号(光電変換信号)を出力する。
走査制御装置は、各光検知センサの出力信号に基づいて対応する感光体ドラムでの走査開始タイミングを検出する。
次に、前記トナーパターン検出器2245について説明する。
このトナーパターン検出器2245は、一例として図6に示されるように、108個の反射型光学センサ(22451〜2245108)を有している。
そして、一例として図7に示されるように、反射型光学センサ22451は、転写ベルト2040における有効画像領域に対して−Y側の部分に対向する位置に配置され、反射型光学センサ2245108は、転写ベルト2040における有効画像領域に対して+Y側の部分に対向する位置に配置されている。そして、反射型光学センサ22452〜2245107は、転写ベルト2040における有効画像領域内に対向する位置に配置されている。
108個の反射型光学センサ(22451〜2245108)は、いずれも同じ構成、同じ構造を有している。そこで、以下では、反射型光学センサ22451を代表として、反射型光学センサの構成及び構造について説明する。
反射型光学センサ22451は、一例として図8〜図11に示されるように、7個の発光部(E1〜E7)を含む照射系、7個の照明用マイクロレンズ(LE1〜LE7)を含む照明光学系、7個の受光用マイクロレンズ(LD1〜LD7)を含む受光光学系、7個の受光部(D1〜D7)を含む受光系などを備えている。
7個の発光部(E1〜E7)は、主方向に沿って等しい間隔Le、すなわち、発光部間隔Leで配置されている。各発光部には、LED(Light Emitting Diode)を用いることができる。ここでは、一例として、Le=0.4mmとしている。この場合は、主方向に関して、E1とE7との間の距離は2.4mm(Le×6)である。また、各発光部の主方向の大きさは約0.04mmである。さらに、各発光部から射出される光束の波長は850nmである。なお、以下では、便宜上、点灯された発光部を「点灯発光部」と略述する。
7個の照明用マイクロレンズ(LE1〜LE7)は、それぞれ7個の発光部(E1〜E7)に個別に対応している。
各照明用マイクロレンズは、対応する発光部から射出された光束を転写ベルト2040の表面に向けて集光的に導く。各照明用マイクロレンズでは、レンズ径、レンズの曲率半径、及びレンズ厚は同一である。また、各照明用マイクロレンズの光軸は、対応する発光部の発光面に直交する方向に平行である。
ここでは、説明をわかりやすくするため、各発光部から射出され対応する照明用マイクロレンズを通過した光束のみが、検出用光(S1〜S6)として転写ベルト2040を照明するものとする(図12参照)。そして、各検出用光によって転写ベルト2040の表面に形成される光スポット(以下では、便宜上「検出用光スポット」と略述する)の中心は、副方向に関して、対応する発光部と受光部の中間付近にある。
一例として、各検出用光スポットの直径は0.4mmである。この値は、上記発光部間隔Leと等しい。なお、従来の検出用光スポットの直径は、通常、2〜3mm程度であった。
また、ここでは、転写ベルト2040の表面は滑らかであり、転写ベルト2040の表面に照射された検出用光のほとんどは正反射される。
7個の受光部(D1〜D7)は、それぞれ発光部(E1〜E7)に個別に対応している。
各受光部は、対応する発光部から射出され、転写ベルト2040の表面で正反射された光束の光路上に配置されている。そして、隣り合う2つの受光部の間隔(受光部間隔)は、発光部間隔Leと等しい。
各受光部には、PD(フォトダイオード)を用いることができる。そして、各受光部は、受光量に応じた信号を出力する。
7個の受光用マイクロレンズ(LD1〜LD7)は、それぞれ7個の受光部(D1〜D7)に個別し、転写ベルト2040あるいはトナーパターンで反射された検出用光を集光する。この場合には、各受光部の受光量を増加させることが可能となる。すなわち、検出感度を向上させることができる。各受光用マイクロレンズでは、レンズ径、レンズの曲率半径、及びレンズ厚は同一である。
各マイクロレンズには、主方向及び副方向に関して集光機能を有する球面レンズや、副方向に関して正のパワーを持つシリンドリカルレンズ、主方向に関するパワーと副方向に関するパワーとが互いに異なるアナモフィックレンズなどを用いることができる。
ここでは、一例として、各マイクロレンズは球面レンズである。そして、各照明用マイクロレンズでは、入射側の光学面は集光パワーを有し、射出側の光学面は集光パワーを有していない。また、各受光用マイクロレンズでは、射出側の光学面は集光パワーを有し、入射側の光学面は集光パワーを有していない。
具体的には、各照明用マイクロレンズでは、レンズ径は0.415mm、レンズの曲率半径は0.430mm、レンズ厚は1.229mmである。
各受光用マイクロレンズでは、レンズ径は0.712mm、レンズの曲率半径は0.380mm、レンズ厚は1.419mmである。
本実施形態では、7個の照明用マイクロレンズ(LE1〜LE7)と7個の受光用マイクロレンズ(LD1〜LD7)は、一体化され、マイクロレンズアレイとなっている。これにより、各マイクロレンズを所定位置に組み付ける際の作業性を向上させることができる。また、複数のマイクロレンズにおけるレンズ面間の位置精度を高めることができる。なお、各レンズ面は、フォトリソグラフィやモールド成形などの加工法を用いてガラス基板や樹脂基板上に形成することができる。
以下では、発光部を特定する必要がない場合には、発光部Eiと表示する。そして、発光部Eiに対応する照明用マイクロレンズを照明用マイクロレンズLEiと表示する。また、発光部Eiから射出され照明用マイクロレンズLEiを通過した光束を、検出用光Siと表示する。また、発光部Eiに対応する受光部を受光部Diと表示する。さらに、受光部Diに対応する受光用マイクロレンズを受光用マイクロレンズLDiと表示する。
また、一例として図13に示されるように、各照明用マイクロレンズの光軸は、対応する各発光部の中心を通り該発光部に垂直な軸に対して受光系側にΔd(ここでは、0.035mm)ずれている。そして、各受光用マイクロレンズの光軸は、対応する各受光部の中心を通り該受光部に垂直な軸に対して照射系側にΔd’(ここでは、0.020mm)ずれている。これにより、より多くの反射光を対応する受光部に導くことができる。
そして、副方向に関して、照明用マイクロレンズLEiと受光用マイクロレンズLDiのレンズ間距離は0.445mm、発光部Eiと受光部Diの間隔は、0.500mmである。さらに、副方向に関して、発光部Eiから照明用マイクロレンズLEiまでの距離は、0.800mmであり、各マイクロレンズの+Z側の面から転写ベルト2040表面までの距離は、5mmである。
また、主方向に並ぶ発光部の数は756(=7×108)個であり、反射型光学センサ22451の発光部E1と反射型光学センサ2245108の発光部E7との主方向の距離H(図14参照)は、302mmである。すなわち、H(=302mm)>W(=297mm)である。
次に、位置ずれ検出用パターンLPについて説明する。
位置ずれ検出用パターンLPは、一例として図15に示されるように、主方向に平行な4本のライン状パターン(「第1パターン群」という)と、副方向に関して該第1パターン群の後方に配置され、主方向に対して45°傾斜している複数のライン状パターン(「第2パターン群」という)とを有している。
第1パターン群は、一例として図16に示されるように、ブラックトナーで形成されるライン状パターンLPK1と、シアントナーで形成されるライン状パターンLPC1と、マゼンタトナーで形成されるライン状パターンLPM1と、イエロートナーで形成されるライン状パターンLPY1とから構成されている。第1パターン群の各ライン状パターンは、長さDlpであり、副方向に沿って所定の間隔(等間隔)となるように配置されている。ここでは、Dlp=310mmである。すなわち、Dlp(=310mm)>H(=302mm)>W(=297mm)である。また、各ライン状パターンの線幅は1.0mmである。
第2パターン群は、一例として図17に示されるように、副方向に沿って所定の間隔(等間隔)となるように配置された4本のライン状パターンからなるパターン列を複数有している。そして、該複数のパターン列は、主方向に沿って互いに近接して配置されている。
各パターン列は、一例として図18に示されるように、ブラックトナーで形成されるライン状パターンLPK2と、シアントナーで形成されるライン状パターンLPC2と、マゼンタトナーで形成されるライン状パターンLPM2と、イエロートナーで形成されるライン状パターンLPY2とから構成されている。
第2パターン群の各ライン状パターンは、主方向の大きさw1が、1.8mm、線幅が1.0mmである。そこで、パターン列の数は155(=Dlp÷2mm)個である。
次に、画像プロセス制御のために、トナーパターン検出器2245を用いて行われる位置ずれ検出処理について説明する。本実施形態では、位置ずれ検出処理は、プリンタ制御装置2090によって行われる。
画像プロセス制御は、電源投入直後では、(a)感光体ドラムの停止時間が6時間以上のとき、(b)装置内の温度が10℃以上変化しているとき、(c)装置内の相対湿度が50%以上変化しているとき、印刷時では、(d)プリント枚数が所定の枚数に達したとき、(e)現像ローラの回転回数が所定の回数に達したとき、(f)転写ベルトの走行距離が所定の距離に達したときなどに行われる。
(1)プリンタ制御装置2090は、走査制御装置に対して位置ずれ検出用パターンを含むトナーパターンの作成を指示する。
これにより、走査制御装置は、感光体ドラム2030dにおける所定位置に、ライン状パターンLPY1、LPY2、が形成されるようにYステーションを制御し、感光体ドラム2030cにおける所定位置に、ライン状パターンLPM1、LPM2、が形成されるようにMステーションを制御する。
また、走査制御装置は、感光体ドラム2030bにおける所定位置に、ライン状パターンLPC1、LPC2、が形成されるようにCステーションを制御し、感光体ドラム2030aにおける所定位置に、ライン状パターンLPK1、LPK2が形成されるようにKステーションを制御する。
そして、各ステーションによって形成されたトナーパターンは、それぞれ所定のタイミングで転写ベルト2040に転写される。なお、各位置ずれ検出用パターンは、同一の作像条件(露光パワー、帯電バイアス、現像バイアス)で形成される。
(2)プリンタ制御装置2090は、108個の反射型光学センサ(22451〜2245108)に対して、それぞれ発光部E1から順次、点灯・消灯を繰り返し行うよう指示する(図19参照)。
なお、図20には、検出用光S3の軌跡が示されている。
(3)プリンタ制御装置2090は、各受光部の出力信号を取得する。
(4)プリンタ制御装置2090は、有効画像領域内の複数箇所について、それぞれ位置すれを算出する。
ここでは、プリンタ制御装置2090は、各受光部の出力信号を時間的に追跡し、ライン状パターンLPK1を検出してからライン状パターンLPC1を検出するまでの時間Tkc1、ライン状パターンLPK1を検出してからライン状パターンLPM1を検出するまでの時間Tkm1、ライン状パターンLPK1を検出してからライン状パターンLPY1を検出するまでの時間Tky1を求める(図21参照)。
また、プリンタ制御装置2090は、ライン状パターンLPK2を検出してからライン状パターンLPC2を検出するまでの時間Tkc2、ライン状パターンLPK2を検出してからライン状パターンLPM2を検出するまでの時間Tkm2、ライン状パターンLPK2を検出してからライン状パターンLPY2を検出するまでの時間Tky2を求める(図21参照)。
なお、図21では、受光部の出力信号は、増幅され、所定の基準値と比較する比較回路を介しているものとする。
そして、プリンタ制御装置2090は、時間Tky1、時間Tkc1、及び時間Tkm1と、あらかじめ得られているそれらの基準時間との差(時間差ΔT1とする)をそれぞれ求め、該時間差ΔT1からブラックのトナー画像に対する副方向の位置ずれ量ΔS1を求める。
また、プリンタ制御装置2090は、時間Tky2、時間Tkc2、及び時間Tkm2と、あらかじめ得られているそれらの基準時間との差(時間差ΔT2とする)をそれぞれ求め、該時間差ΔT2からブラックのトナー画像に対する主方向の位置ずれ量ΔS2を求める。
一例として、時間Tkc1における時間差ΔT1が図22(A)に示されている。また、時間Tkc2における時間差ΔT2が図22(B)に示されている。この場合には、プリンタ制御装置2090は、次の(1)式を用いて、シアンのトナー画像の主方向の位置ずれ量ΔS2を求める。ここで、Vは転写ベルト2040の副方向への移動速度、θはライン状パターンの主方向に対する傾斜角(ここでは、45°)である。
ΔS2=V・ΔT2・cotθ ……(1)
プリンタ制御装置2090は、位置ずれ量ΔS1から「副走査レジストずれ」、「走査線の曲がり」を求める。また、プリンタ制御装置2090は、反射型光学センサ22451で得られた位置ずれ量ΔS1と反射型光学センサ2245108で得られた位置ずれ量ΔS1とから「傾きずれ」を求める。さらに、プリンタ制御装置2090は、位置ずれ量ΔS2から「主走査レジストずれ」、「倍率ずれ」を求める。
(5)プリンタ制御装置2090は、画像プロセス制御を実施する。
ここでは、プリンタ制御装置2090は、「副走査レジストずれ」及び「主走査レジストずれ」が0となるように、例えば、対応する画像形成ステーションにおける画像の書き出しタイミングの変更を走査制御装置に指示する。
また、プリンタ制御装置2090は、「倍率ずれ」が0となるように、例えば、対応する画像形成ステーションにおける画素クロックの位相調整を走査制御装置に指示する。
また、プリンタ制御装置2090は、「傾きずれ」及び「走査線の曲がり」が0となるように、例えば、対応する画像形成ステーションの折り返しミラーの姿勢、形状を調整する。
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係るカラープリンタ2000では、トナーパターン検出器2245によって、本発明の画像形成装置における位置ずれ検出センサが構成されている。
また、プリンタ制御装置2090によって、本発明の画像形成装置における処理装置が構成されている。
以上説明したように、本実施形態に係るカラープリンタ2000によると、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)と、各感光体ドラムに対して画像情報に応じて変調された光束を主走査方向に走査し、潜像を形成する光走査装置2010と、潜像にトナーを付着させトナー画像を生成する4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)と、トナー画像が転写される転写ベルト2040と、転写ベルト2040に転写された位置ずれ検出用パターンを検出するためのトナーパターン検出器2245と、全体を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
トナーパターン検出器2245は、108個の反射型光学センサ(22451〜2245108)を有している。
そして、各反射型光学センサは、主方向に沿って等間隔Leで配置された7個の発光部(E1〜E7)を含む照射系、7個の照明用マイクロレンズ(LE1〜LE7)を含む照明光学系、7個の受光用マイクロレンズ(LD1〜LD7)を含む受光光学系、及び7個の受光部(D1〜D7)を含む受光系などを備えている。
反射型光学センサ22451の発光部E1と反射型光学センサ2245108の発光部E7との主方向の距離Hは、302mmであり、H(=302mm)>W(=297mm)の関係が満足されている。
位置ずれ検出用パターンは、主方向に平行な「第1パターン群」と、副方向に関して該第1パターン群の後方に配置され、主方向に対して45°傾斜している「第2パターン群」とを有している。
第1パターン群は、色毎に形成された4本のライン状パターン(LPK1、LPC1、LPM1、LPY1)から構成されている。第1パターン群の各ライン状パターンは、長さDlpが310mmであり、Dlp(=310mm)>H(=302mm)>W(=297mm)の関係が満足されている。すなわち、Dlp≧W、及びH≧W、の関係が満足されている。
この場合には、転写ベルトが主方向に関して蛇行し、位置ずれ検出用パターンの位置が検出用光の照明領域に対して主方向にずれたとしても、有効画像領域内のほぼ全ての検出用光の照明領域において位置ずれ検出用パターンの検出が可能となる。なお、転写ベルトが主方向に関して蛇行すると、主方向の一側の端部近傍に形成されるごく少数の検出用光スポットが、位置ずれ検出に用いられなくなる場合も生じる可能性はあるが、ごく少数なので、問題にはならない。
第2パターン群は、色毎に形成された4本のライン状パターン(LPK2、LPC2、LPM2、LPY2)からなるパターン列を複数有している。そして、該複数のパターン列は、主方向に沿って互いに近接して配置されている。
この場合には、有効走査領域のほぼ全域で、ブラックのトナー画像に対するシアンのトナー画像、マゼンタのトナー画像、及びイエローのトナー画像の、主方向及び副方向の位置ずれをそれぞれ検出することができる。そして、プリンタ制御装置2090は、該位置ずれの検出結果に基づいて、ほぼリアルタイムで、「副走査レジストずれ」、「主走査レジストずれ」、「傾きずれ」、「走査線曲がり」、及び「倍率ずれ」を補正する。
従って、カラープリンタ2000は、高品質の画像を安定して形成することができる。
ところで、一例として図23に示されるように、転写ベルト上の検出用光スポットに対応してそれぞれ1つずつ位置ずれ検出用パターンを形成すると、該位置ずれ検出用パターンの主方向の長さDpは、検出用光スポットのスポット径をD、隣接する2つの検出用光スポットの間隔をL、とすると、D≦Dp≦Lとなる。この場合、スポット間隔Lが狭いと、転写ベルトの主方向に関する蛇行などによって、検出用光の照明領域から位置ずれ検出用パターンがはみ出すおそれがあった。なお、図23では、D=Dp<L、の場合が示されている。
また、一例として図24に示されるように、位置ずれ検出用パターンの主方向の長さDpを、L+D≦Dp≦2Lとした場合、1つの検出用光の照明領域から位置ずれ検出用パターンがはみ出しても、隣の検出用光が該位置ずれ検出用パターンを照明している。そのため、位置ずれ検出用パターンを照明している検出用光の反射光を受光する受光部の出力信号を選択して用いれば、転写ベルトが主方向に関して蛇行しても、位置ずれ検出精度を劣化させることがない。しかしながら、位置ずれ検出に用いることのできる検出用光の数が半減するという不都合があった。なお、図24では、L+D=Dp<2L、の場合が示されている。
なお、上記実施形態では、7個の照明用マイクロレンズ(LE1〜LE7)と7個の受光用マイクロレンズ(LD1〜LD7)が一体化されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、108個の反射型光学センサ(22451〜2245108)が、主方向に沿って一列に配置される場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図25に示されるように、主方向に沿って二列に配置されても良い。この場合は、互いに近接する2つの反射型光学センサの主方向に関する距離を小さくすることができる。
また、上記実施形態では、1つの反射型光学センサが7個の発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図26に示されるように、1つの反射型光学センサが11個の発光部を有していても良い。この場合、発光部間隔が上記実施形態と同じであれば、70個の反射型光学センサが用いられることとなる。
また、上記実施形態では、全ての反射型光学センサが同一個数の発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、トナーパターン検出器2245が、複数個の反射型光学センサを有する場合について説明したが、これに限らず、トナーパターン検出器2245が、1個の反射型光学センサを有していても良い。この場合、該反射型光学センサは、756個の発光部を有することとなる(図27参照)。
また、上記実施形態において、一例として図28に示されるように、前記第2パターン群が、主方向に正射影したときの長さが前記Dlpと略等しい、ライン状パターンLPK2とライン状パターンLPC2とライン状パターンLPM2とライン状パターンLPY2の4本のライン状パターンから構成されても良い。
また、上記実施形態では、転写ベルトの表面が滑らかな場合について説明したが、これに限らず、転写ベルトの表面が滑らかでなくても良い。この場合であっても、上記実施形態と同様にして位置ずれを検出することができる。また、転写ベルトの表面の一部が滑らかであっても良い。
また、上記実施形態において、反射型光学センサに処理装置を設け、プリンタ制御装置2090での処理の少なくとも一部を、該処理装置が行っても良い。
また、上記実施形態において、プリンタ制御装置2090での処理の少なくとも一部を、走査制御装置が行っても良い。
また、上記実施形態では、4色のトナーが用いられる場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、5色あるいは6色のトナーが用いられる場合であっても良い。
また、上記実施形態では、トナーパターン検出器2245が、転写ベルト2040上の位置ずれ検出用パターンを検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、感光体ドラム表面の位置ずれ検出用パターンを検出しても良い。なお、感光体ドラムの表面は、転写ベルト2040と同様に正反射体に近い。
また、上記実施形態において、位置ずれ検出用パターンを記録紙に転写し、該記録紙上の位置ずれ検出用パターンを、トナーパターン検出器2245で検出しても良い。
また、上記実施形態では、画像形成装置として、カラープリンタ2000の場合について説明したが、これに限らず、プリンタ以外の画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、又は、これらが集約された複合機であっても良い。