以下、本発明の一実施形態を図1〜図39に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着ローラ2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、反射型光学センサ2245及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
なお、ここでは、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向に沿った方向をY軸方向、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX軸方向として説明する。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転するものとする。
感光体ドラム2030aの表面近傍には、感光体ドラム2030aの回転方向に沿って、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、クリーニングユニット2031aが配置されている。
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030bの表面近傍には、感光体ドラム2030bの回転方向に沿って、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、クリーニングユニット2031bが配置されている。
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030cの表面近傍には、感光体ドラム2030cの回転方向に沿って、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、クリーニングユニット2031cが配置されている。
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030dの表面近傍には、感光体ドラム2030dの回転方向に沿って、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、クリーニングユニット2031dが配置されている。
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
光走査装置2010は、上位装置からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて、各色毎に変調された光束を、対応する帯電された感光体ドラムの表面にそれぞれ照射する。これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。なお、この光走査装置2010の構成については後述する。
トナーカートリッジ2034aにはブラックトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033aに供給される。トナーカートリッジ2034bにはシアントナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033bに供給される。トナーカートリッジ2034cにはマゼンタトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033cに供給される。トナーカートリッジ2034dにはイエロートナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033dに供給される。
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。ところで、転写ベルト2040上でトナー画像の移動する方向は「副方向」と呼ばれ、該副方向に直交する方向(ここでは、Y軸方向)は「主方向」と呼ばれている。
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚づつ取り出し、レジストローラ対2056に搬送する。該レジストローラ対2056は、所定のタイミングで記録紙を転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出す。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。ここで転写された記録紙は、定着ローラ2050に送られる。
定着ローラ2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここで定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次スタックされる。
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
反射型光学センサ2245は、転写ベルト2040の−X側に配置されている。この反射型光学センサ2245については後述する。
次に、前記光走査装置2010の構成について説明する。
光走査装置2010は、一例として図2〜図5に示されるように、4つの光源(2200a、2200b、2200c、2200d)、4つのカップリングレンズ(2201a、2201b、2201c、2201d)、4つの開口板(2202a、2202b、2202c、2202d)、4つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b、2204c、2204d)、ポリゴンミラー2104、4つのfθレンズ(2105a、2105b、2105c、2105d)、8つの折返しミラー(2106a、2106b、2106c、2106d、2108a、2108b、2108c、2108d)、4つのトロイダルレンズ(2107a、2107b、2107c、2107d)、4つの光検知センサ(2205a、2205b、2205c、2205d)、4つの光検知用ミラー(2207a、2207b、2207c、2207d)、及び不図示の走査制御装置などを備えている。そして、これらは、光学ハウジング2300(図2〜図4では図示省略、図5参照)の所定位置に組み付けられている。
また、カップリングレンズ2201a及びカップリングレンズ2201bの光軸に沿った方向を「w1方向」、カップリングレンズ2201c及びカップリングレンズ2201dの光軸に沿った方向を「w2方向」とする。さらに、Z軸方向及びw1方向のいずれにも直交する方向を「m1方向」、Z軸方向及びw2方向のいずれにも直交する方向を「m2方向」とする。
なお、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
ここでは、光源2200a及び光源2200bにおける主走査対応方向は、m1方向であり、光源2200c及び光源2200dにおける主走査対応方向は、「m2方向」である。そして、光源2200a及び光源2200bにおける副走査対応方向、光源2200c及び光源2200dにおける副走査対応方向は、いずれもZ軸方向と同じ方向である。
光源2200bと光源2200cは、X軸方向に関して離れた位置に配置されている。そして、光源2200aは光源2200bの−Z側に配置されている。また、光源2200dは光源2200cの−Z側に配置されている。
カップリングレンズ2201aは、光源2200aから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
カップリングレンズ2201bは、光源2200bから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
カップリングレンズ2201cは、光源2200cから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
カップリングレンズ2201dは、光源2200dから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
開口板2202aは、開口部を有し、カップリングレンズ2201aを介した光束を整形する。
開口板2202bは、開口部を有し、カップリングレンズ2201bを介した光束を整形する。
開口板2202cは、開口部を有し、カップリングレンズ2201cを介した光束を整形する。
開口板2202dは、開口部を有し、カップリングレンズ2201dを介した光束を整形する。
シリンドリカルレンズ2204aは、開口板2202aの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
シリンドリカルレンズ2204bは、開口板2202bの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
シリンドリカルレンズ2204cは、開口板2202cの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
シリンドリカルレンズ2204dは、開口板2202dの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
ポリゴンミラー2104は、2段構造の4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。そして、1段目(下段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204aからの光束及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束がそれぞれ偏向され、2段目(上段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204bからの光束及びシリンドリカルレンズ2204cからの光束がそれぞれ偏向されるように配置されている。なお、1段目の4面鏡及び2段目の4面鏡は、互いに位相が45°ずれて回転し、書き込み走査は1段目と2段目とで交互に行われる。
ここでは、シリンドリカルレンズ2204a及びシリンドリカルレンズ2204bからの光束はポリゴンミラー2104の−X側に偏向され、シリンドリカルレンズ2204c及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束はポリゴンミラー2104の+X側に偏向される。
各fθレンズはそれぞれ、ポリゴンミラー2104の回転に伴って、対応する感光体ドラム面上で光スポットが主走査方向に等速で移動するようなパワーを有する非円弧面形状を有している。
fθレンズ2105a及びfθレンズ2105bは、ポリゴンミラー2104の−X側に配置され、fθレンズ2105c及びfθレンズ2105dは、ポリゴンミラー2104の+X側に配置されている。
そして、fθレンズ2105aとfθレンズ2105bはZ軸方向に積層され、fθレンズ2105aは1段目の4面鏡に対向し、fθレンズ2105bは2段目の4面鏡に対向している。また、fθレンズ2105cとfθレンズ2105dはZ軸方向に積層され、fθレンズ2105cは2段目の4面鏡に対向し、fθレンズ2105dは1段目の4面鏡に対向している。
そこで、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204aからの光束は、fθレンズ2105a、折返しミラー2106a、トロイダルレンズ2107a、及び折返しミラー2108aを介して、感光体ドラム2030aに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030aの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030a上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030aでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030aの回転方向が、感光体ドラム2030aでの「副走査方向」である。
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204bからの光束は、fθレンズ2105b、折り返しミラー2106b、トロイダルレンズ2107b、及び折返しミラー2108bを介して、感光体ドラム2030bに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030bの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030b上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030bでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030bの回転方向が、感光体ドラム2030bでの「副走査方向」である。
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204cからの光束は、fθレンズ2105c、折り返しミラー2106c、トロイダルレンズ2107c、及び折返しミラー2108cを介して、感光体ドラム2030cに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030cの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030c上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030cでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030cの回転方向が、感光体ドラム2030cでの「副走査方向」である。
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204dからの光束は、fθレンズ2105d、折り返しミラー2106d、トロイダルレンズ2107d、及び折り返しミラー2108dを介して、感光体ドラム2030dに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030dの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030d上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030dでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030dの回転方向が、感光体ドラム2030dでの「副走査方向」である。
ところで、各感光体ドラムにおける画像情報が書き込まれる主走査方向の走査領域は「有効走査領域」、「画像形成領域」、あるいは「有効画像領域」などと呼ばれている。
A3サイズの記録紙まで印字可能な画像形成装置では、一般的に、A3サイズの記録紙は、その長手方向に搬送されるので、印字すべきY軸方向の長さの最大値は、A3サイズの短手方向の長さとなる。すなわち、有効画像領域は、A3サイズの短手方向の長さ程度である。本実施形態のカラープリンタ2000は、A3サイズの記録紙まで印字可能な画像形成装置であるものとする。
なお、各折り返しミラーは、ポリゴンミラー2104から各感光体ドラムに至る各光路長が互いに一致するとともに、各感光体ドラムにおける光束の入射位置及び入射角がいずれも互いに等しくなるように、それぞれ配置されている。
また、シリンドリカルレンズとそれに対応するトロイダルレンズとにより、偏向点とそれに対応する感光体ドラム表面とを副走査方向に共役関係とする面倒れ補正光学系が構成されている。
ポリゴンミラー2104と各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本実施形態では、fθレンズ2105aとトロイダルレンズ2107aと折り返しミラー(2106a、2108a)とからKステーションの走査光学系が構成されている。また、fθレンズ2105bとトロイダルレンズ2107bと折り返しミラー(2106b、2108b)とからCステーションの走査光学系が構成されている。そして、fθレンズ2105cとトロイダルレンズ2107cと折り返しミラー(2106c、2108c)とからMステーションの走査光学系が構成されている。さらに、fθレンズ2105dとトロイダルレンズ2107dと折り返しミラー(2106d、2108d)とからYステーションの走査光学系が構成されている。
光検知センサ2205aには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Kステーションの走査光学系を介した光束のうち書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207aを介して入射する。
光検知センサ2205bには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Cステーションの走査光学系を介した光束のうち書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207bを介して入射する。
光検知センサ2205cには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Mステーションの走査光学系を介した光束のうち書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207cを介して入射する。
光検知センサ2205dには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Yステーションの走査光学系を介した光束のうち書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207dを介して入射する。
各光検知センサはいずれも、受光量に応じた信号(光電変換信号)を出力する。
走査制御装置は、各光検知センサの出力信号に基づいて対応する感光体ドラムでの走査開始タイミングを検出する
次に、前記反射型光学センサ2245について説明する。
この反射型光学センサ2245は、一例として図6に示されるように、1つの反射型光学センサである。
ここでは、一例として図7に示されるように、Y軸方向に関して、反射型光学センサ2245の中心位置をY1とする。そして、設計上は、該位置Y1と有効画像領域の中心位置とが一致している。
そして、反射型光学センサ2245によってそのトナー濃度が検出されるトナーパターンをTP1、TP2、TP3、及びTP4とする。
TP1はイエローのトナーパターンであり、TP2はマゼンタのトナーパターンであり、TP3はシアンのトナーパターンであり、TP4はブラックのトナーパターンである。なお、以下では、トナーパターンTP1〜TP4を区別する必要がない場合には、総称して「トナーパターンTP」ともいう。
トナーパターンTPは、一例として図8に示されるように、5つの長方形状のパターン(p1〜p5、以下では、便宜上「長方形パターン」という)を有している。各長方形パターンは、転写ベルト2040の進行方向に沿って一列に並んでおり、それぞれ全体としてみたときにトナー濃度の階調が異なっている。ここでは、トナー濃度の低い長方形パターンから、p1、p2、p3、p4、p5とする。すなわち、長方形パターンp1のトナー濃度が最も低く、長方形パターンp5のトナー濃度が最も高い。
図8における符号Lpは各長方形パターンのY軸方向の長さ(以下では、便宜上、「幅」ともいう)であり、符号Wpは各長方形パターンの転写ベルト2040の進行方向の長さである。
各長方形パターンの幅Lpは、有効画像領域の長さ以上となるように設定されている。
ここでは、一例として、A3サイズの紙の短手方向の長さ及びA4サイズの紙の長手方向の長さに対応して、Lp=318mmとしている。
なお、感光体ドラムや転写ベルト2040の位置ずれに起因して、トナーパターンに主方向(Y方向)の位置ずれが生じるときは、その位置ずれに応じてトナーパターンの長さを長くしても良い。
また、Lpは、有効画像領域の長さ以上であることが確保されていれば、反射型光学センサ2245の主方向(Y方向)の長さLyより短くても、あるいは長くても良い。ここでは、一例として、Lp<Lyとしている(図7参照)。
トナー濃度の階調は、光源から射出される光束のパワーの調整、光源に供給される駆動パルスにおけるデューティの調整、及び現像バイアスの調整によって変えることができる。また、網点の面積率を変えることによっても、トナー濃度の階調を変化させることができる。
そして、反射型光学センサ2245を用いたトナー濃度検出処理が行われる際には、プリンタ制御装置2090から走査制御装置にトナーパターンの形成が指示される。
反射型光学センサ2245は、一例として図9及び図10に示されるように、801個の発光部(E1〜E801)を有する照射系、801個の照明用レンズ(LE1〜LE801)を有する照射光学系、801個の受光部(D1〜D801)を有する受光系、及び不図示の処理装置を有している。
801個の発光部(E1〜E801)は、同一基板上にモノリシックに形成されている。そして、801個の発光部(E1〜E801)は、Y軸方向に沿って等間隔Leに配置されている。ここでは、一例として、Le=0.4mmである。
801個の照明用レンズ(LE1〜LE801)は、それぞれ801個の発光部(E1〜E801)に個別に対応している。ここでは、一例として、各照明用レンズの大きさは、直径で0.4mmである。
各照明用レンズは、対応する発光部の+X側に配置され、該発光部から射出された光束を転写ベルト2040の表面に向けて集光的に導く。なお、以下では、801個の発光部から射出された光束によって照射される領域を「スポット走査領域」という(図10参照)。
ここでは、説明をわかりやすくするため、各発光部から射出され対応する照明用レンズを通過した光束のみが、検出用光(S1〜S801)として転写ベルト2040を照射するものとする(図11参照)。
転写ベルト2040上における各検出用光のビームスポット径(直径)は0.4mm程度であり、隣接するビームスポットの中心間隔は0.4mmであるため、Y軸方向に関して、転写ベルト2040上において両端に位置するビームスポットの中心間距離は320mmとなる。これは、有効画像領域の長さ以上である。なお、従来の検出用光による光スポットの大きさは、通常、直径で2〜3mm程度であった。
ここでは、Lp=318mmであるため、仮に、トナーパターンに主方向の位置ずれが±1mm程度存在したとしても、トナーパターンは主方向の全域が検出用光で照射される。そこで、この場合であっても、主方向の全領域におけるトナー濃度の検出が可能である。
また、各照明用レンズの光軸は、対応する発光部の発光面に直交する方向(ここでは、X軸方向)に平行である。
なお、転写ベルト2040の表面は滑らかであり、転写ベルト2040の表面に照射された検出用光のほとんどは正反射する。
図9に戻り、受光部(D1〜D801)は、それぞれ発光部(E1〜E801)に個別に対応している。
各受光部は、対応する発光部の−Z側であって、該発光部から射出され、転写ベルト2040の表面で正反射された光束の光路上に配置されている。そこで、801個の受光部の配列ピッチは、801個の発光部の配列ピッチと等しい。
そして、各受光部は、対応する発光部からの検出用光が転写ベルト2040の表面に照射されたとき、該検出用光の正反射光のみを受光するように設定されている。
各受光部には、PD(フォトダイオード)を用いることができる。そして、各受光部は、受光量に応じた信号を出力する。ここでは、各受光部の受光面は、YZ平面に平行である。
なお、以下では、発光部を特定する必要がない場合には、発光部Eiと表示する(図12参照)。そして、発光部Eiに対応する照明用レンズを照明用レンズLEiと表示する。また、発光部Eiから射出され照明用レンズLEiを通過した光束を、検出用光Siと表示する。また、発光部Eiに対応する受光部を受光部Diと表示する。
ところで、Z軸方向に関して、転写ベルト2040上及びトナーパターン上における検出用光のスポットの中心は、発光部と受光部の中間付近にあることが望ましい。
また、一例として図13に示されるように、801個の受光部(D1〜D801)に個別に対応し、転写ベルト2040あるいはトナーパターンによって反射された検出用光を集光する801個の受光用レンズ(LD1〜LD801)を有する受光光学系を更に備えていても良い。この場合には、転写ベルト2040あるいはトナーパターンによって反射された検出用光が有効的に受光部へ導光され、各受光部の受光量を増加させることが可能となる。すなわち、検出感度を向上させることができる。
なお、以下では、受光部Diに対応する受光用レンズを受光用レンズLDiと表示する(図14参照)。
この場合に、一例として図15に示されるように、照明用レンズLEiと受光用レンズLDiを一体化しても良い。一体化することで、取り付け精度を向上させることができる。
ところで、照明用レンズLEi及び受光用レンズLDiの少なくとも一方は、Y軸方向及びZ軸方向にパワーを持つ球面レンズであっても良いし、Z軸方向のみに正のパワーを持つシリンドリカルレンズ(図16〜図18参照)であっても良いし、Y軸方向とZ軸方向とでパワーが異なるアナモフィックレンズであっても良い。
また、一例として図19〜図21に示されるように、上記球面レンズが、入射面は集光パワーを有しているが、射出面は集光パワーを有していないレンズであっても良い。
さらに、一例として図22〜図24に示されるように、照射光学系と受光光学系を一体にして、レンズアレイLEDAとしてもよい。この場合は、反射型光学センサを製造する際の作業性を向上させることができる。また、レンズ面間の配置精度を高めることができる。各レンズ面は、フォトリソグラフィやナノインプリントなどの加工法を用いてガラス基板や樹脂基板上に形成することができる。この場合に、射出面に集光パワーを有していても良い。
次に、反射型光学センサ2245を用いて行われる濃度検出処理について説明する。ここでは、図22〜図24に示される反射型光学センサが用いられている。この濃度検出処理は、所定のタイミング毎に、及び操作者の要求によって行われる。
(1)プリンタ制御装置2090は、801個の発光部(E1〜E801)を順次点灯させ、転写ベルト2040を照明する。ここでは、発光部Eiからの検出用光Siは、転写ベルト2040の表面で正反射される。なお、以下では、便宜上、点灯させた発光部を「点灯発光部」と略述する。
(2)反射型光学センサ2245の処理装置は、点灯発光部毎に、各受光部(D1〜D801)の出力信号に基づいて、各受光部の受光量を個別に求め、それぞれ「基準受光量」として、不図示のメモリに格納する。
ここでは、転写ベルト2040からの正反射光は、点灯発光部Eiに対応する受光部Diと該受光部Diに隣接する2つの受光部の計3個の受光部のみで受光されるように設定されている(図25(A)〜図26(B)参照)。また、点灯発光部Eiに対応する受光部Diの受光量を1としている。
(3)プリンタ制御装置2090は、走査制御装置に対して、各色毎にトナーパターンの形成を指示する。
(4)走査制御装置は、感光体ドラム2030dにおける位置Y1を中心にイエローのトナーパターンTP1が形成されるようにYステーションを制御し、感光体ドラム2030cにおける位置Y1を中心にマゼンタのトナーパターンTP2が形成されるようにMステーションを制御する。さらに、走査制御装置は、感光体ドラム2030bにおける位置Y1を中心にシアンのトナーパターンTP3が形成されるようにCステーションを制御し、感光体ドラム2030aにおける位置Y1を中心にブラックのトナーパターンTP4が形成されるようにKステーションを制御する。
そして、Yステーションによって形成されたイエローのトナーパターンTP1は転写ベルト2040における位置Y1を中心に転写され、Mステーションによって形成されたマゼンタのトナーパターンTP2は転写ベルト2040における位置Y1を中心に転写され、Cステーションによって形成されたシアンのトナーパターンTP3は転写ベルト2040における位置Y1を中心に転写され、Kステーションによって形成されたブラックのトナーパターンTP4は転写ベルト2040における位置Y1を中心に転写される。
(5)プリンタ制御装置2090は、所定時間が経過すると、801個の発光部(E1〜E801)を順次点灯させる。ここでは、トナーパターンの形成が指示されてから、トナーパターンが反射型光学センサ2245の前方に到達するまでの時間は略定まっており、プリンタ制御装置2090は、トナーパターンが反射型光学センサ2245の前方に近づいたと判断される適切なタイミングで、発光部の点灯を開始する。
長方形パターンは、反射型光学センサ2245の前方に位置すると、一例として、図27に示されるように、該長方形パターンは、発光部E1〜E3からの検出用光S1〜S3及び発光部E799〜E801からの検出用光S799〜S801では照射されないが、発光部E4〜E798からの検出用光S4〜S798で照射されるものとする。
そこで、長方形パターンが反射型光学センサ2245の前方に位置すると、検出用光S1〜S3及び検出用光S799〜S801は、転写ベルト2040の表面で正反射され、検出用光S4〜S798は、長方形パターンの表面で正反射及び拡散反射される(図28参照)。なお、以下では、便宜上、正反射した光を「正反射光」、拡散反射した光を「拡散反射光」ともいう。
(6)反射型光学センサ2245の処理装置は、トナーの色毎に、長方形パターン毎に、そして点灯発光部毎に、各受光部(D1〜D801)の出力信号に基づいて、各受光部の受光量を個別に求め、それぞれ「検出受光量」として、不図示のメモリに格納する。
図29(A)には、トナーパターンTP2の長方形パターンp1が検出用光S6で照射されたときの、受光部D6〜D10の受光量が示されている。図29(B)には、トナーパターンTP2の長方形パターンp1が検出用光S7で照射されたときの、受光部D6〜D10の受光量が示されている。図29(C)には、トナーパターンTP2の長方形パターンp1が検出用光S8で照射されたときの、受光部D6〜D10の受光量が示されている。
図30(A)には、トナーパターンTP2の長方形パターンp1が検出用光S9で照射されたときの、受光部D6〜D10の受光量が示されている。図30(B)には、トナーパターンTP2の長方形パターンp1が検出用光S10で照射されたときの、受光部D6〜D10の受光量が示されている。
なお、点灯発光部に対して主方向に2.0mm以上離れた位置に配置されている受光部では、トナーパターンでの正反射光及び拡散反射光はいずれも受光されないように設定されている。
図31(A)には、検出用光S8がトナーパターンTP2の長方形パターンp1を照射したときの受光部D6〜D10における受光量が示されている。図31(B)には、検出用光S8がトナーパターンTP2の長方形パターンp2を照射したときの受光部D6〜D10における受光量が示されている。図31(C)には、検出用光S8がトナーパターンTP2の長方形パターンp3を照射したときの受光部D6〜D10における受光量が示されている。
図32(A)には、検出用光S8がトナーパターンTP2の長方形パターンp4を照射したときの受光部D6〜D10における受光量が示されている。図32(B)には、検出用光S8が長方形パターンp5を照射したときの受光部D6〜D10における受光量が示されている。
図31(A)〜図32(B)に示されるように、トナー濃度が高くなるにつれて、各受光部の受光量が低くなっていることがわかる。なお、D_ALLには、受光部D6〜D10の受光量の合計値が示されている。
(7)反射型光学センサ2245の処理装置は、トナーの色毎に、長方形パターン毎に、そして点灯発光部毎に、各受光部の検出受光量を拡散反射光による受光量と正反射光による受光量とに分離する。
ここでは、一例として、発光部E8のみを点灯させたときの各受光部(D6〜D10)の検出受光量を、拡散反射光による受光量と正反射光による受光量とに分離する場合について、図33(A)及び図33(B)を用いて説明する。図33(A)には、検出用光E8の照射対象物が転写ベルト2040のときの受光部D6〜D10の受光量(基準受光量)が示され、図33(B)には、検出用光E8の照射対象物がトナーパターン(トナーパターンTP2の長方形パターンp1)のときの受光部D6〜D10の受光量(検出受光量)が示されている。なお、D_ALLには、受光部D6〜D10の受光量の合計値が示されている。
(7−1)受光部D8について
受光部D8は点灯発光部E8に対応する受光部であるため、この受光部D8の検出受光量は全て正反射光による受光量であると仮定する。一般的に、トナーパターンの反射率は、転写ベルト2040の反射率よりも低いため、受光部D8の検出受光量は1(基準受光量)よりも小さくなっている。
(7−2)受光部D6及び受光部D10について
受光部D6及び受光部D10では、基準受光量はいずれも0であった。そこで、受光部D6及び受光部D10の検出受光量は、いずれも、その全てが拡散反射光による受光量である。
(7−3)受光部D7について
受光部D7では、基準受光量は0ではなかった。そこで、受光部D7の検出受光量は、正反射光と拡散反射光とが混在した光による受光量である。
正反射光について考えてみると、受光部D7の検出受光量と受光部D8の検出受光量の比率は、受光部D7の基準受光量と受光部D8の基準受光量の比率と一致するはずである。
そこで、受光部D7の基準受光量を受光部D8の基準受光量で除した値(比率Aとする)を求める。
そして、受光部D8の検出受光量に比率Aを乗じる。ここで得られた値が、受光部D7の検出受光量に含まれる正反射光による受光量(受光量aとする)である。
次に、受光部D7の検出受光量から上記受光量aを差し引く。ここで得られた値が、受光部D7の検出受光量に含まれる拡散反射光による受光量である。
(7−4)受光部D9について
この受光部では、基準受光量は0ではなかった。そこで、受光部D9の検出受光量は、正反射光と拡散反射光とが混在した光による受光量である。
正反射光について考えてみると、受光部D9の検出受光量と受光部D8の検出受光量の比率は、受光部D9の基準受光量と受光部D8の基準受光量の比率と一致するはずである。
そこで、受光部D9の基準受光量を受光部D8の基準受光量で除した値(比率Bとする)を求める。
そして、受光部D8の検出受光量に比率Bを乗じる。ここで得られた値が、受光部D9の検出受光量に含まれる正反射光による受光量(受光量bとする)である。
次に、受光部D9の検出受光量から上記受光量bを差し引く。ここで得られた値が、受光部D9の検出受光量に含まれる拡散反射光による受光量である。
このようにして、各受光部の検出受光量を、拡散反射光による受光量(図34(A)参照)と正反射光による受光量(図34(B)参照)とに分離することができる。
ここでは、発光部E8が点灯されたときについて説明したが、発光部E8以外の発光部が点灯されたときについても同様な方法で、各受光部の検出受光量を、正反射光による受光量と拡散反射光による受光量とに分離することができる。
(8)反射型光学センサ2245の処理装置は、トナーの色毎に、長方形パターン毎に、そして点灯発光部毎に、拡散反射光による受光量の合計値、及び正反射光による受光量の合計値を求める。
一般的に、トナーパターンでの正反射光はトナー濃度の増加とともに減少し、拡散反射光はトナー濃度の増加とともに増大する傾向がある。
(9)反射型光学センサ2245の処理装置は、トナーの色毎に、長方形パターン毎に、そして点灯発光部毎に、トナー濃度を求める。
ところで、図35には、各長方形パターンの相対的な正反射率(相対正反射率)が示され、図36には、各長方形パターンの相対的な拡散反射率(相対拡散反射率)が示されている。
相対正反射率は、照射対象物が転写ベルトのときの受光部D6〜D10の正反射光による受光量の合計値を1として、照射対象物がトナーパターンのときの受光部D6〜D10の正反射光による受光量の合計値を規格化したものである。
また、相対拡散反射率は、照射対象物がトナーパターンのときの受光部D6〜D10の拡散反射光による受光量の合計値を、照射対象物がトナーパターンのときの受光部D6〜D10の正反射光による受光量の合計値で除し、その中の最大値を1として規格化したものである。
ここで、トナー濃度が低いときと高いときの隣接トナー濃度間における相対正反射率の差及び相対拡散反射率の差に着目する。長方形パターンp1〜p5におけるトナー濃度が等間隔であれば、この差が大きいほど、トナー濃度変化に対する測定精度が高い。
そこで、トナー濃度が低い長方形パターンp1と長方形パターンp2の相対正反射率の差をΔ1、トナー濃度が高い長方形パターンp4と長方形パターンp5の相対正反射率の差をΔ2とする(図37参照)。
また、トナー濃度が低い長方形パターンp1と長方形パターンp2の相対拡散反射率の差をΔ1’、トナー濃度が高い長方形パターンp4と長方形パターンp5の相対拡散反射率の差をΔ2’とする(図38参照)。
図37と図38から明らかなように、Δ1>Δ1’となり、Δ2<Δ2’となっている。これは、トナー濃度が低い場合は正反射光による受光量を用いたトナー濃度検出の方が精度が良く、トナー濃度が高い場合は拡散反射光による受光量を用いたトナー濃度検出の方が精度が良いことを示している。そこで、低濃度側でも高濃度側でも正反射光による受光量及び拡散反射光による受光量の一方のみを用いてトナー濃度を検出するよりも、トナー濃度が低い場合は正反射光による受光量を用い、トナー濃度が高い場合は拡散反射光による受光量を用いてトナー濃度の検出を行うことにより、より検知精度の高いトナー濃度検出が可能である。
なお、トナーの色毎に、そして長方形パターン毎に、正反射光による受光量の合計値の基準値、該基準値からのずれ量とトナー濃度の変化量との関係、及び拡散反射光による受光量の合計値の基準値、該基準値からのずれ量とトナー濃度の変化量との関係があらかじめ求められ、濃度テーブルとして不図示のメモリに格納されている。
そこで、反射型光学センサ2245の処理装置は、上記濃度テーブルを参照し、トナーの色毎に、長方形パターン毎に、点灯発光部毎に、正反射光による受光量の合計値、あるいは、拡散反射光による受光量の合計値に基づいてトナー濃度を求める。ここで得られたトナー濃度は、プリンタ制御装置2090に通知される。
(10)プリンタ制御装置2090は、反射型光学センサ2245の処理装置からのトナー濃度情報に基づいて、トナーの色毎に、主方向におけるトナー濃度変化を求める(図39参照)。
図39には、TP2のp1(Wp=3mm、Lp=318mm)での主方向におけるトナー濃度変化が示されている。ここでは、狙いのトナー濃度は、相対トナー濃度0.95である。
(11)プリンタ制御装置2090は、主方向におけるトナー濃度変化が許容限を超えている場合には、走査制御装置を介して、トナー濃度が狙いのトナー濃度(ここでは相対トナー濃度0.95)となるように制御、或いは、トナー濃度変化が許容限内となるように制御する。
例えば、走査制御装置は、トナー濃度変化に応じて、対応する光源から射出される光束のパワーを調整したり、光源に供給される駆動パルスにおけるデューティを調整したり、画像データを調整したりする。
従来のトナー濃度検出センサでは、ビームスポットは10個程度または20個程度であるため、主方向におけるトナー濃度変化を正確に知ることは困難であった。そして、狙いの画像状態とは異なる画像が出力されてしまうおそれがあった。
本実施形態の反射型光学センサ2245を用いれば、従来のトナー濃度検出センサに比べてビーム径が小さく、且つ、主方向に数100μmのピッチで数100点の発光点で転写ベルトを照射することが可能となり、主方向におけるトナー濃度補正を従来よりも精度良く、且つ、主方向の全幅で行うことができる。
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係るカラープリンタ2000では、反射型光学センサ2245によって本発明の第2の反射型光学センサが構成されている。
また、プリンタ制御装置2090によって本発明の画像形成装置における制御装置が構成されている。
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置2000によると、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)と、各感光体ドラムに対して画像情報に応じて変調された光束を主走査方向に走査し、潜像を形成する光走査装置と、潜像にトナーを付着させトナー画像を生成する4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)と、トナー画像を転写ベルト2040に転写する転写ローラ2042と、転写ベルト2040に転写されたトナーパターンの濃度を検出するための反射型光学センサ2245と、全体を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
そして、反射型光学センサ2245は、同一基板上に801個の発光部(E1〜E801)がモノリシックに形成されているアレイ光源を有する照射系と、801個の受光部(D1〜D801)、照射系から射出されトナーパターンで反射された光を受光する受光系とを備えている。
801個の発光部(E1〜E801)は、Y軸方向に関して等間隔に配置され、Y軸方向における両端に位置する2つの発光部(E1及びE801)からそれぞれ射出された光による転写ベルト2040上の2つの光スポットの中心間距離が、有効画像領域の長さ以上である。
また、トナーパターンの幅Lpは、318mmであり、795個の発光部(E4〜E798)がトナーパターンを照射する。
この場合は、有効画像領域の全長にわたってトナー濃度を検出することができる。そして、主方向に沿った795箇所でのトナー濃度が得られるため、主方向におけるトナー濃度変化を、従来よりも飛躍的に精度良く検出することができる。
また、2つの発光部(E1及びE801)からそれぞれ射出された光による転写ベルト2040上の2つの光スポットの中心間距離が、有効画像領域の長さ以上であるため、感光体ドラム又は転写ベルト2040に主方向の位置ずれがあったとしても対応することができる。
また、プリンタ制御装置2090は、801個の発光部(E1〜E801)を時分割点灯させているため、801個の発光部(E1〜E801)全てを同時点灯させる場合に比べて、SN比が高く、トナーパターンの主方向におけるトナー濃度変化を精度良く検出することができる。また、時分割点灯させることで、発光部全てを同時点灯させる場合に比べて低消費電力となる。
そして、プリンタ制御装置2090は、反射型光学センサ2245の処理装置からのトナー濃度情報に基づいて、トナーの色毎に、主方向におけるトナー濃度変化を求め、該トナー濃度変化が許容限を超えている場合には、走査制御装置を介してトナー濃度変化が許容限内となるように制御している。そこで、高い画像品質を維持することが可能である。
なお、上記実施形態では、トナーパターンの幅Lpが、318mmの場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、感光体ドラム又は転写ベルト2040に主方向の位置ずれがあるときには、その位置ずれ量を加味した長さにトナーパターンの幅Lpを設定しても良い。
また、上記実施形態において、反射型光学センサ2245の処理装置での処理の少なくとも一部を、プリンタ制御装置2090が行っても良い。
また、上記実施形態において、プリンタ制御装置2090での処理の少なくとも一部を、反射型光学センサ2245の処理装置、あるいは走査制御装置が行っても良い。
また、上記実施形態では、反射型光学センサ2245が801個の発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、反射型光学センサ2245は、少なくとも3つの発光部と少なくとも3つの受光部とから構成される受発光ユニットを複数有し、該複数の受発光ユニットが、Y軸方向に1列あるいは千鳥状に配列されても良い。この場合に、各受発光ユニットにおける互いに対応する発光部を組として同時に点灯及び消灯し、各組を順次、点灯及び消灯させることで、検出時間を短くすることができる。そして、長方形パターンにおける長さWpを小さくしたり、あるいはトナーパターンの移動速度を速くすることができる。
図40には、一例として、受発光ユニットが3つの発光部と3つの受光部とから構成され、267個の受発光ユニット(G1〜G267)がY軸方向に隣接して1列に配列された反射型光学センサが示されている。この場合は、「E1a、E2a、・・・・・、E267a」を組として同時に点灯及び消灯させ、続いて「E1b、E2b、・・・・・、E267b」を組として同時に点灯及び消灯させ、続いて「E1c、E2c、・・・・・、E267c」を組として同時に点灯及び消灯させることができる。
図41には、一例として、受発光ユニットが9つの発光部と9つの受光部とから構成され、89個の受発光ユニット(G1〜G89)が、トナーパターンの移動速度に応じた所定のずれ幅(ΔLとする)でZ軸方向にずれながらY軸方向に隣接して配列された反射型光学センサが示されている。
この場合、801個の発光部(E1a、E1b、・・・・、E89h、E89i)は、E89i→E89h→・・・→E1b→E1aの順で、順次、点灯及び消灯が行われる。このとき、トナーパターンは副方向へ速度Vで移動しているとする。この場合、スキャン時間を「st」とすれば、受発光ユニットG89の発光部の点灯・消灯を完了するのに要する時間は「st/89」であり、受発光ユニットG88の発光部の点灯・消灯を完了するのに要する時間は「st/89」であり、以下同様に、受発光ユニットG1の発光部の点灯・消灯を完了するのに要する時間も「st/89」である。
この時間「st/89」の間に、トナーパターンは「V・st/89」だけ副方向へ移動するので、上記ずれ量ΔLを、ΔL=V・st/89となるように設定すれば、801個の発光部によるトナーパターンのスポット走査をスキャン時間内に終了させることができる。
図42には、一例として、受発光ユニットが3つの発光部と3つの受光部とから構成され、267個の受発光ユニット(G1〜G267)がY軸方向に千鳥状に隣接して配列された反射型光学センサが示されている。ここでは、主方向において互いに隣接する受発光ユニットは、副方向に所定の距離ΔL’だけずれて配置されている。
この場合、801個の発光部(E1a、E1b、・・・、E267b、E267c)は、以下の順で点灯及び消灯が行われる。まず、受発光ユニットG2の発光部(E2a、E2b、E2c)、受発光ユニットG4の発光部(E4a、E4b、E4c)、受発光ユニットG6の発光部(E6a、E6b、E6c)、・・・、受発光ユニットG266の発光部(E266a、E266b、E266c)の計399個の発光部が点灯及び消灯され、次に、受発光ユニットG1の発光部(E1a、E1b、E1c)、受発光ユニットG3の発光部(E3a、E3b、E3c)、受発光ユニットG5の発光部(E5a、E5b、E5c)、・・・、受発光ユニットG267の発光部(E267a、E267b、E267c)の計402個の発光部が点灯及び消灯される。
上記計399個の発光部が点灯及び消灯を完了するのに要する時間は、801個の発光部全てが点灯及び消灯を完了するのに要する時間を「T」とすると、「T・399/801」となる。
この時間「T・399/801」の間に、トナーパターンは、トナーパターンの移動速度をV’とすると「V’・T・399/801」だけ副方向へ移動するので、ずれ量ΔL’を、ΔL’=V’・T・399/801のように設定すれば、801個の発光部によるトナーパターンのスポット走査をスキャン時間内に終了させることができる。
このように、受発光ユニットを千鳥状に配置すると、図41に示される反射型光学センサに比べて、副方向の長さを短くすることができる。
また、上記実施形態では、801個の発光部(E1〜E801)が、Y軸方向に沿って一列に配置されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図43に示されるように、801個の発光部(E1〜E801)及び801個の受光部(D1〜D801)が、トナーパターンの移動速度(V’’とする)に応じて、Y軸方向に対して傾斜した方向(傾斜角α)に沿って配置されていても良い。
この場合、スキャン時間をT’とし、発光部E1〜E801、受光部D1〜D801の主方向に関する配列長をZとすれば、Z・tanα=V’’・T、が満足されるように、傾斜角αを設定すれば、801個の発光部によるトナーパターンのスポット走査をスキャン時間内に適正に終了させることができる。この場合、発光部はE801→E800→E799→・・・→E2→E1の順に点灯・消灯される。
また、上記実施形態では、反射型光学センサ2245が1つの反射型光学センサの場合について説明したが、これに限定されるものではなく、一例として図44及び図45に示されるように、反射型光学センサ2245が、複数のセンサモジュールから構成されていても良い。なお、図44及び図45では、48個のセンサモジュール(2245−1〜2245−48)から構成されているが、これに限定されるものではない。
48個のセンサモジュールは、いずれも同様な構成のセンサモジュールであり、代表として、センサモジュール2245−1の構成例が図46及び図47に示されている。各センサモジュールは、17個の発光部、及び17個の受光部を有している。
図48には、センサモジュール2245−1〜2245−48の各発光部から射出された検出用光が転写ベルト2040に入射する様子が示されている。また、図49には、転写ベルト2040で正反射した検出用光が、48個のセンサモジュール2245−1〜2245−48の各受光部で受光される様子が示している。
図50には、48個のセンサモジュールがY軸方向に沿って一列に隣接して配置されている状態が示されている。
この場合、例えば、センサモジュールの照射系及び受光系がパッケージ内に収容されているとき、該パッケージ同士がほぼ接触して配置されていても良い。また、センサモジュール同士がY軸方向に関して、1mm程度の間隔を有していても良い。
このように、センサモジュールを主方向に複数個配列して反射型光学センサを構成すると、隣接する2つのセンサモジュールの境目に対応する部分にビームが照射されないことが生じるが、この部分は十分小さいので、センサモジュールを主方向に複数個配列した反射型光学センサであっても、トナーパターンの主方向の全領域にわたるトナー濃度の検出は可能である。なお、センサモジュールの繋ぎ目部分について、受光部及び発光部の配列ピッチに連続性があることが望ましい。
また、センサモジュールを主方向に複数個並べることにより、主方向に長い単一の反射型光学センサを用いる場合に比べて、製造コストの低減、取り付け精度の向上といった利点が生まれる。
この場合に、複数のセンサモジュールにおいて、互いに対応する発光部を組として同時に点灯・消灯させても良い。これにより、スキャン時間を短くすることができる。
また、この場合に、複数のセンサモジュールが、一例として図51に示されるように、トナーパターンの移動速度に応じた所定のずれ量ΔLで副方向にずれていても良い。
このとき、816個の発光部(E1−1、E1−2、・・・、E48−16、E48−17)は、E48−17→E48−16→・・・→E1−2→E1−1、の順で順次、点灯及び消灯される。ここで、トナーパターンが副方向へ速度Vで移動しており、スキャン時間を「st」とすれば、センサモジュール2245−48の発光部(E48−17〜E48−1)の点灯及び消灯を完了するのに要する時間は「st/48」であり、センサモジュール2245−47の発光部(E47−17〜E47−1)の点灯・消灯を完了するのに要する時間は「st/48」であり、以下同様に、センサモジュール2245−1の発光部(E1−17〜E1−1)の点灯・消灯を完了するのに要する時間も「st/48」である。
この時間「st/48」の間に、トナーパターンは「V・st/48」だけ副方向へ移動するので、上記ずれ量ΔLを、ΔL=V・st/48のように設定すれば、816個の発光部によるトナーパターンのスポット走査をスキャン時間内に終了させることができる。
また、この場合に、複数のセンサモジュールを、一例として図52に示されるように、千鳥状に配置してもよい。ここでは、主方向において互いに隣接するセンサモジュールは副方向に所定の距離ΔL’だけずれて配置されている。
816個の発光部は、以下の順で点灯及び消灯が行われる。まず、センサモジュール2245−2の発光部(E2−1〜E2−17)、センサモジュール2245−4の発光部(E4−1〜E4−17)、センサモジュール2245−6の発光部(E6−1〜E6−17)、・・・、センサモジュール2245−48の発光部(E48−1〜E48−17)の計408個の発光部が点灯及び消灯され、次に、センサモジュール2245−1の発光部(E1−1〜E1−17)、センサモジュール2245−3の発光部(E3−1〜E3−17)、センサモジュール2245−5の発光部(E5−1〜E5−17)、・・・、センサモジュール2245−47の発光部(E47−1〜E47−17)の計408個の発光部が点灯及び消灯される。
偶数番号のセンサモジュールの計408個の発光部が点灯及び消灯を完了するのに要する時間は、816個の発光部の全てが点灯及び消灯を完了するのに要する時間を「T」とすると、「T/2」となる。
この時間「T/2」の間に、トナーパターンは、トナーパターンの移動速度をV’とすると「V’・T/2」だけ副方向へ移動するので、ずれ量ΔL’を、ΔL’=V’・T/2のように設定すれば、816個の発光部によるトナーパターンのスポット走査をスキャン時間内に終了させることができる。
このように、センサモジュールを千鳥状に配置すると、図51に示される反射型光学センサに比べて、副方向の長さを短くでき、且つ、スキャン時間を短くする事ができる。
また、図53に示されるように、816個の発光部及び受光部は、主方向に対し、トナーパターンの移動速度(V’’とする)に応じた所定の角(βとする)だけ傾いていても良い。
この場合、スキャン時間をT’とし、816個の発光部及び受光部の主方向に関する配列長をZとすれば、Z・tanβ=V’’・T、が満足されるように、角βを設定すれば、816個の発光部によるトナーパターンのスポット走査をスキャン時間内に終了させることができる。この場合、発光部はE48−17→E48−16→・・・→E1−2→E1−1の順に点灯される。
また、上記実施形態では、発光部の数と受光部の数とが同じ場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、転写ベルト2040上のトナーパターンを検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、感光体ドラム表面のトナーパターンを検出しても良い。また、画像形成装置が中間転写ベルトを有する場合に、該中間転写ベルト上のトナーパターンを検出しても良い。
また、上記実施形態では、画像形成装置として、複数の感光体ドラムを備えたカラープリンタ2000の場合について説明したが、これに限らず、例えば1つの感光体ドラムを備え、単色の画像を形成するプリンタにも適用することができる。
また、プリンタ以外の画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、又は、これらが集約された複合機であっても良い。