JP5790996B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
具体的には、トナーとキャリアとからなる二成分の現像剤を用いる現像装置内に収容されている現像剤に対しては、現像に伴うトナー量の低下に応じてトナーを補給することで、現像装置内の現像剤のトナー濃度を一定の範囲内に維持している。現像装置内に補給されたトナーは、現像剤中のキャリア粒子と混合撹拌されるのに伴って帯電量を徐々に上昇させていくが、補給された直後は十分に帯電していない状態である。このため、画像面積率が高い画像を連続プリントする場合等、短時間に現像装置にトナーが多量に補給されると、現像剤中におけるトナーの単位重量あたりの帯電量(Q/M)が比較的小さくなる。これにより、潜像担持体上で所定の電位になっている静電潜像に付着するトナー粒子の量が増加し、現像濃度が増加する。一方、画像面積率の低い画像を連続プリントする場合等、現像装置に対して少量のトナーしか補給されない状態が長く続くと、現像剤中のトナーの多くを現像装置内で長期に渡って撹拌しながら滞留させる状態となる。これにより、現像剤中のトナーの帯電量(Q/M)が比較的大きくなって、潜像担持体上で所定の電位になっている静電潜像に付着するトナー粒子の量が減少し、現像濃度が低下する。
以上のような現像濃度の増減により、現像濃度ムラが引き起こされる。
このようなユーザー画像を測色し、その測色結果に基づいて作像条件を補正する制御であれば、テスト用トナー像を形成する必要がない。このため、ユーザー画像の測色結果に基づいて作像条件を補正する制御と上述した付着量安定化処理とを組み合わせることで、付着量安定化処理の頻度を抑制しつつ出力画像の色安定化を図ることができる。付着量安定化処理の頻度を抑制することで、作像条件の補正を行う際に生産性が低下することを抑制できる。ここで、上述した付着量安定化処理を行うことなく、ユーザー画像の測色結果に基づいて作像条件を補正する制御のみで出力画像の色安定化が可能であれば、作像条件の補正を行う際の生産性の低下を更に抑制することができる。
また、カラー画像形成装置の多くは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)等の一次色を混色することで多次色を表現しているため、制御上は一次色の作像条件を操作することで各色の現像濃度を調節することになる。しかしながら、ユーザー画像の多くは一次色ではなく多次色で構成されている場合が多いため、制御によって調節する一次色の現像濃度をユーザー画像から直接知ることは困難である。
このため、ユーザー画像の色を目標色に近づけるには、或る目標色に対して或る測色結果が出力されたときに各一次色の作像条件をどのように補正すればよいか、という情報の組合せを予め入力しておく必要がある。ユーザー画像の色を精度良く目標色に近づける補正を行うには、作像条件等の情報について非常に多くの組合せを予め入力しておく必要があるが、このような情報の組合せを得るには予め実験を行う必要があり、その組合せが多くなるとコスト高につながる。
さらに、上述した情報の組合せをテーブルまたはモデルとして与えることが出来たとしても、予め入力された情報を校正しなければ、制御に用いる情報の妥当性が低下する。そして、この校正というプロセスでは一般には多くのパッチ画像を出力する必要があり、トナーを大量に消費してしまうという不具合があり、さらに、この校正というプロセスには多大な時間がかかるという不具合がある。
このため、多次色同士を比較する制御では、精度の良い作像条件の補正を実現することが困難であった。
また、請求項2の発明は、入力画像情報に基づいて、互いに異なる一次色からなるトナー像である一次色トナー像を潜像担持体上に形成する作像手段と、該潜像担持体上に形成された該トナー像を直接または中間転写体を介して記録媒体に転写することによって、該潜像担持体上に形成された一次色トナー像を重ねた多次色トナー像を該記録媒体上に形成する転写手段と、該記録媒体上に形成された多次色トナー像を測色して出力画像の多次色の色情報を取得する出力画像測色手段と、該作像手段による上記一次色トナー像の作像条件を制御する作像条件制御手段と、を有する画像形成装置において、上記出力画像測色手段が取得した上記多次色の色情報に基づいて、上記多次色トナー像を構成する上記一次色トナー像のそれぞれの一次色の色情報を推定する画像情報色分解手段を備え、上記作像条件制御手段は、該画像情報色分解手段によって推定されたそれぞれの該一次色の色情報に基づいて該一次色トナー像の作像条件を補正するものであり、上記出力画像測色手段が取得する多次色の色情報は、上記多次色トナー像のRGB値であり、上記画像情報色分解手段は、各一次色について複数の網点率におけるトナー像の分光反射率分布の情報が予め入力された一次色分光反射率分布記憶手段を備え、該画像情報色分解手段は、上記入力画像情報に基づいて、上記一次色の色情報である一次色の見た目の網点率の推定値である出力網点率推定値の候補を複数生成し、該出力網点率推定値の候補に対応する分光反射率分布である推定分光反射率分布を該一次色分光反射率分布記憶手段に入力された情報に基づいて生成し、上記多次色トナー像を形成するすべての一次色の分光反射率分布の積をL*a*b*値に換算した値と、上記出力画像測色手段が取得した該多次色トナー像のRGB値をL*a*b*値に換算した値と、の色差ができるだけ小さくなる該出力網点率推定値の候補を各一次色について一つずつ探索し、探索して得た値を各一次色の該出力網点率推定値とすることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の画像形成装置において、上記画像情報色分解手段は、上記入力画像情報に基づいて、各一次色の目標値となる網点率である網点率目標値を設定し、各一次色について上記出力網点率推定値が該網点率目標値より小さい場合は、該出力網点率推定値を得たときの上記多次色トナー像を形成した作像条件よりも現像濃度が濃くなるように作像条件を補正し、該出力網点率推定値が該網点率目標値より大きい場合は、該出力網点率推定値を得たときの上記多次色トナー像を形成した作像条件よりも現像濃度が薄くなるように作像条件を補正することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記出力画像測色手段が測色を行う測色領域を上記出力画像の画像領域の一部に決定する測色領域決定手段を備えることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の画像形成装置において、上記測色領域決定手段は、上記入力画像情報に基づいて測色に適した領域を探索し、上記測色領域を決定することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記作像手段は、少なくとも、上記潜像担持体に潜像を書き込む潜像書込手段、及び該潜像担持体に担持された潜像をトナーによって現像する現像手段とを具備し、上記潜像書込手段として、帯電手段によって一様帯電せしめられた該潜像担持体の表面に対して光走査を行って静電潜像を書き込むものを用い、上記現像手段として、表面に現像剤を担持している現像剤担持体に現像バイアスを印加しながら該現像剤担持体上の現像剤中のトナーを該潜像担持体上の静電潜像に転移させるものを用い、上記作像条件制御手段は、上記作像条件として、該帯電手段の帯電強度、該潜像書込手段の光書込強度、該現像バイアス、及び該現像剤のトナー濃度のうち、少なくとも何れか1つを補正する処理を実施することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の画像形成装置において、上記現像手段として、トナー及びキャリアを含有する現像剤を用いて潜像を現像するものを用い、該現像手段内に収容される現像剤のトナー濃度を検知した結果と、所定の濃度目標値との差に応じて、前記現像手段内にトナーを補給するトナー補給手段を設けたことを特徴とするものである。
同じ一次色同士の色情報の比較であるため、一方の色が他方の色に対してどの程度、濃いか薄いかというような単純な比較となる。このため、推定された一次色が目標色よりも薄ければ現像濃度が濃くなるように作像条件を補正し、濃ければ現像濃度が薄くなるように作像条件を補正する。このため、各一次色について、推定された一次色と目標色との濃度差に対する適切な作像条件の補正の情報を予め入力しておけばよい。よって、本発明のように、一次色同士の色情報の比較する構成であれば、精度良く補正を行うために必要な、予め入力しておくべき情報の量を従来の多次色同士を比較する構成に比べて格段に少なくすることができる。予め入力しておくべき情報の量を格段に少なくすることで、出力した多次色トナー像を測色した結果に基づいて、精度良く補正を行うことが実現可能となる。
以下、本発明を適用したカラー画像形成装置の一実施形態として、電子写真方式のカラー複写機(以下、単に複写機600という)の一つ目の実施形態(以下、実施形態1と呼ぶ)について説明する。
まず、複写機600の基本的な構成について説明する。図1は、実施形態1に係る複写機600を示す概略構成図である。複写機600は、画像形成を行うプリンタ部100と、プリンタ部100に対して記録媒体である記録紙Pを供給する給紙装置200と、プリンタ部100の上に搭載されたスキャナ300と、このスキャナ300の上に搭載された原稿自動搬送装置(以下、ADF400という)とを備えている。
プリンタ部100は、その筐体外に、記録紙Pを手差し給紙する手差しトレイ6、プリンタ部100の筺体から排出された画像形成済みの記録紙Pをスタックするための排紙トレイ7などを具備する。
コピー動作がスタートすると、コンタクトガラス31上に原稿をセットしたときには、スキャナ300が第一走行体33を駆動し、第一走行体33上の光源から発した光をコンタクトガラス31上の原稿面で反射させる。ADF400に原稿をセットしたときには、スキャナ300は第一走行体33を自動読取部401の下方で停止させた状態で、第一走行体33上の光源から発した光を自動読取部401を通過する原稿の原稿面で反射させる。
スキャナ300は、原稿面で反射させた反射光を第二走行体34のミラーで反射し、結像レンズ35を通じて読取センサ36に案内する。このようにして原稿の画像情報を読み取る。得られた画像情報は、プリンタ部100に送られる。プリンタ部100は、スキャナ300による原稿読み取りで得られた画像情報に基づいて、画像をプリントする。複写機600のプリンタ部100は、スキャナ300による原稿読み取りで得られた画像情報の他、パーソナルコンピュータ等の外部装置から送られてきた画像情報に基づいて画像を形成することも可能である。
プリンタ部100には、中間転写体としての無端状の中間転写ベルト10が設けられている。中間転写ベルト10の基材としては、ベルト伸びによる位置ずれを抑制することが可能な、機械的強度に非常に優れた材料であるPI(ポリイミド)を例示することができる。中間転写ベルト10の基材中には、温湿度環境に依存せず常に安定した転写性能が得られるように、抵抗調整剤としてカーボンを分散させている。そのため、中間転写ベルト10は黒色を呈している。コストダウンを図るため、カーボンを分散しないPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を中間転写ベルト10の基材の材料として採用することも可能である。
現像装置61は、磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する現像剤を用いて感光体20の静電潜像を現像するものである。この現像装置61は、攪拌部66と現像部67とに大別される。攪拌部66は、互いに平行配設された2本の搬送スクリュ68を具備している。これら二本の搬送スクリュ68は、仕切り壁69によってそれぞれ個別に仕切られた仕切り空間に設けられている。これら仕切り空間の間に介在している仕切り壁69は、スクリュ長手方向の両端部に切り欠きを有している。この切り欠きにより、二本の搬送スクリュ68をそれぞれ個別に収容している二つの仕切り空間は、スクリュ長手方向の両端部でそれぞれ連通している。これら2つの仕切り空間のうち、後述する現像部67に隣接している方の仕切り空間は、現像部67内の現像スリーブ65に現像剤を供給するための供給室である。また、他方の仕切り空間は、スクリュ長手方向の一端側で供給室から受け取った現像剤を、他端側まで搬送して供給室に返送する返送室である。供給室内の搬送スクリュ68と、返送室内の搬送スクリュ68とは、互いに回転駆動に伴って正反対の方向に現像剤を搬送するようになっており、スクリュ長手方向の端部付近まで搬送した現像剤を前述の切り欠きに通して他方の室内に送り込む。これにより、図4に矢印で示すように、現像装置61内の現像剤は、供給室と返送室との間で循環搬送される。なお、図3に示したように、攪拌部66における供給室の底には、現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度センサ71が取り付けられている。
また、図4に示すように、供給室における搬送方向下流側端部と返送室における搬送方向上流側端部とを連通する切り欠きの上方には、トナー補給口61aが形成されている。
さらに、ライン分光計900は、副走査方向(記録紙Pの搬送方向)について10[mm]毎に区切って検出するものであり、分光反射率分布を検出する主走査方向の22箇所では、10[mm]×10[mm]の正方形の領域の測色を行う。そして、検出される分光反射率分布は、この正方形の領域の測色値の平均値となる。
図5は、中間転写ベルト10の水平張架面と光学センサユニット310とを示す上面図である。光学センサユニット310は、図5に示すように、ベルト幅方向(図1及び図2中の手前−奥方向、図5中の上下方向)に並ぶ第一光学センサ311と第二光学センサ312とを有している。第二光学センサ312は、第一光学センサ311よりもベルト中央寄りの位置に配設されている。このベルト中央寄りの位置は、現像装置61の現像部67内の現像スリーブ65に現像剤を供給する供給室現像領域における搬送スクリュ68による現像剤搬送方向(図4中の矢印B方向)について、より上流側の位置に相当する。
第一光学センサ311は、後述する付着量安定化処理において中間転写ベルト10上に形成されるKトナーパッチ像Pkに対する単位面積あたりのトナー付着量を検知するものである。図6に示すように、第一光学センサ311は、中間転写ベルト10に向けて光を発射するLEDからなる第一センサ光源311aと、中間転写ベルト10上で正反射した正反射光を受光する第一センサ正反射受光素子311bとを具備している。
第二光学センサ312は、後述する付着量安定化処理において中間転写ベルト10上に形成されるY、C、Mトナーパッチ像Py、Pc、Pmに対する単位面積あたりのトナー付着量をそれぞれ検知するものである。図7に示すように、第二光学センサ312は、中間転写ベルト10に向けて光を発射するLEDからなる第二センサ光源312aと、中間転写ベルト10上で正反射した正反射光を受光する第二センサ正反射受光素子312bと、中間転写ベルト10上で拡散反射した拡散反射光を受光する第二センサ拡散反射受光素子312cとを具備している。
第一センサ光源311a及び第二センサ光源312aとしては、何れも、ピーク発光波長λp=950[nm]のGaAs赤外発光ダイオードを使用している。また、第一センサ正反射受光素子311b、第二センサ正反射受光素子312b及び第二センサ拡散反射受光素子312cに用いる受光素子としては、ピーク受光波長800[nm]のSiフォトトランジスタを使用している。また、各光学センサと検知対象面である中間転写ベルト10との距離(検出距離)は5[mm]となるように配設されている。光学センサユニット310は、これら光学センサの他、センサメモリ313も配設されている。
複写機600は、メイン制御部500を有しており、このメイン制御部500が各部を駆動制御する。メイン制御部500は、各種演算処理や各部の駆動制御を実行するCPU501にバスライン502を介して、コンピュータプログラム等固定データを予め記憶するROM503と各種データを書き換え自在に記憶するワークエリア等として機能するRAM504とが接続されて構成されている。メイン制御部500には、プリンタ部100の各部、給紙装置200、スキャナ300、ADF400が接続されている。ここで、プリンタ部100の光学センサユニット310及びライン分光計900は、検出した情報をメイン制御部500に送り出す。
しかし、中間転写ベルト10上のトナー像は未定着トナー像であるため、最終的にプリンタ部100から出力される画像の色情報を得ることはできない。また、中間転写ベルト10上のフルカラートナー像は、未定着の一次色トナー像が重ねられただけの状態であるため、トナー付着量に関する情報を得ることは可能であるが、最終的に出力される多次色のカラー画像の色情報、たとえばL*a*b*値を得ることは不可能である。このように、中間転写ベルト10上ではトナーの付着量の情報しか検出出来ないため、中間転写ベルト10上のトナー像から得られる情報に基づいて、記録紙P上に定着処理されるトナー像の色(たとえばL*a*b*値)を任意の目標値に安定化することは困難である。
このように、中間転写ベルト10上のトナー像から得られる情報に基づいて、記録紙P上に定着処理されるトナー像の色を安定化することが困難という課題は、中間転写ベルト10上のトナー像がユーザー画像である構成に限るものではない。同様の課題は、上述した付着量安定化処理のように、テスト用トナー像を形成する構成であっても生じる。
記録紙P上に定着されたトナー像を測色する方法としては、大きく二つの方式があり、一つはパッチ画像を記録紙P上に形成して測色する方式であり、もう一つはユーザー画像を記録紙P上に形成して測色する方式である。
前者の方式は、ユーザー画像とは別にパッチ画像を印刷する必要があるため、上述した付着量安定化処理と同様に、トナーイールドの低下や生産性の低下に繋がる、というデメリットがある。さらに、ユーザー画像以外の画像を記録紙P上に形成するため、無駄紙の発生することや、パッチ画像が形成された記録紙Pとユーザー画像が形成された記録紙Pとを仕分ける機構が必要となること、というデメリットがある。しかし、記録紙P上に制御上測色すべき色を含む任意のトナー像を形成でき、制御に用いる測色が容易になるというメリットがある。
一方、後者の方式は上述した前者のデメリットは存在しないが、制御上測色すべき色を含む任意のトナー像を形成出来ないため、制御上測色すべき色を測色できるかどうかはユーザー画像に強く依存する。
そして、本発明の構成を適用した画像形成装置である複写機600は、記録紙Pに形成された多次色のユーザー画像の測色結果から単色の現像濃度を予測することで、極力パッチ画像を出力することなく出力画像の色安定化を図るものである。以下、複写機600における多次色のユーザー画像の測色結果に基づいた出力画像の色安定化を図る制御を色安定化処理と呼ぶ。
複写機600では、色安定化処理において、出力画像測色手段であるライン分光計900が取得した多次色のユーザー画像の色情報に基づいて、メイン制御部500が画像情報色分解手段として、多次色トナー像を構成するY,M,C,Kの一次色トナー像のそれぞれの一次色の色情報を推定する。さらに、メイン制御部500は作像条件制御手段として、推定したY,M,C,Kそれぞれの一次色の色情報に基づいて一次色トナー像を作像する各画像形成ユニット18(Y,C,M,K)や潜像書込ユニット21における作像条件の制御パラメータを補正する。ここで、補正する制御パラメータとしては、現像装置61内のトナー濃度の制御目標値、現像バイアス、潜像書込ユニット21が感光体20表面に照射する書込光の強度などがある。以下、複写機600における色安定化処理について、詳述する。
色安定化処理において、メイン制御部500は、まず、入力画像情報として、外部装置から送られてくる画像情報、あるいはスキャナ300で得た画像情報を取得する。この入力画像情報は、画像を構成する、マトリクス状に並ぶ複数の画素についてそれぞれR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の単色成分の明度を表した画素値を具備するものである。メイン制御部500は、この入力画像情報を、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(黒)の単色成分の明度を表した画素値を具備する作像用画像情報に変換する(S1)。
一つは、印刷処理として、作像処理(S2)及び転写処理(S3)を実行し、他の一つは、測色領域決定処理(S4)として、画像領域におけるライン分光計900で測色を行う領域を決定する。
作像処理(S2)としては、作像用画像情報に基づいて、上述したように、四つの画像形成ユニット18(Y,C,M,K)それぞれの感光体20(Y,C,M,K)上に一次色のトナー像を作像し、一次色トナー像を中間転写ベルト10上で重ねることで多次色トナー像を作像する。また、転写処理(S3)としては、上述したように中間転写ベルト10上に形成された多次色トナー像を二次転写ニップで記録紙P上に転写する。その後、定着装置25で多次色トナー像が定着された記録紙Pは排紙トレイ7に向かって搬送される。
一方、測色領域決定処理(S4)として、メイン制御部500は測色領域決定手段として、作像用画像情報で示される画像の全領域のうちどの領域を、測色対象となる測色領域にするのかを決定する。
また、測色領域としては、領域内における色合いの変化ができるだけ少ない(色の平坦度が高い)領域であることが、精度の良い測色を行うときに好ましい。よって、メイン制御部500は、作像用画像情報に基づいて色の平坦度が高く測色に適した領域を探索する処理を行っている。
この探索の後、プリンタ部100によってその画像を形成した記録紙Pを排紙トレイ7上に排紙すると、測色手段としてのライン分光計900によって、測色領域の測色を行う。その後、測色結果から得られる色情報と、作像用画像情報から得られる測色領域の色情報と比較する。
平坦度の第一例としては、次のような算出法によって求められたものを挙げることができる。すなわち、まず、C、M、Y、Kについてそれぞれ、各画素の分散を求める。次いで、その分散の和に負の符号をつけたものを部分領域内の平坦度として求める。
平坦度の第二例として、分散共分散行列の行列式を用いて求められるものを挙げることができる。具体的には、C、M、Y、Kについてそれぞれ、部分領域内の各画素における分散と共分散を求める。次いで、分散を対角成分に、共分散を非対角成分に配置した4×4の分散共分散行列を構築し、その行列式を計算する。そして、行列式の値に負の符号を付けたものを平坦度として求めてもよい。分散共分散行列の行列式を用いることで、CMYK空間での分布の広がりを評価することができるからである。先に説明した第一例の平坦度に比べて、異なる成分間の色の広がりも評価することができる点が優れている。
また、平坦度の第三例として、色の周波数特性を利用したものを挙げることができる。具体的には、部分領域内の各画素値を用いてフーリエ変換を行い、特定周波数のフーリエ係数の絶対値の二乗の和を求める。この和に負の符号を付けて平坦度とする。特定周波数については複数の周波数を用いることができる。第一例の平坦度では、中間調処理された画像に対しては中間調処理のパターンの影響を受けて、平坦である領域を識別できないケースがある。これに対し、第三例の平坦度では、特定周波数のフーリエ係数の絶対値の二乗の和を用いることで、中間調処理の影響を排した平坦度を算出することができる。
平坦度は、これまで説明した第一例〜第三例のものに限られるものではなく、公知の平坦度算出技術を用いることが可能である。
画像情報に基づいて測色に適した測色領域が見つからない場合には、上述した従来から公知の付着量安定化処理を実施する。この付着量安定化処理は、多次色の出力を本来の色に精度良く合わせることはできないが、本来の色から少しずれた値で安定化させることが可能であるので、その実施により、出力画像の色調の大きな乱れを回避することができる。つまり、ユーザー画像の中から測色に適した測色領域が見つからない場合には、後述する色安定化処理の代わりに付着量安定化処理を実施することで、色調の大きな乱れの発生を回避することができる。
ここで補正する制御パラメータは、潜像書込ユニット21のレーザー強度(LDP)、帯電装置60の帯電印加電圧(Cdc)、及び現像装置61の現像バイアス(Vb)である。制御パラメータとしてはこの他にも現像装置61内に収納されている現像剤のトナー濃度を採用することも可能である。
実施形態1では、一次色の色情報として、仮に一次色で出力したときのトナー像を測定したときの見かけ上の平均網点率(以下、単に出力網点率と呼ぶ)を推定する。
ここで、網点率と潜像書込ユニット21のレーザー強度との関係について説明する。
図10は、レーザー強度と網点率との関係を説明する説明図である。
潜像書込ユニット21のレーザー出力の調整可能なパラメータとしては、LD−Power(LDP)とLD−Duty(LDD)とがある。LDPは書込光のレーザー強度であり、LDDは単位時間あたりに書き込みを行う時間の比率である。網点率というのは、記録紙Pの表面上の単位面積当たりのトナー像が形成された面積の比率であり、これは、感光体20の表面上の単位面積当たりの潜像が形成された面積の比率である。よって、例えば、網点率が50[%]というのは、LDDが50[%]というのを意味している。
ここで、一例として、一次色の作像条件が、レーザー強度は70[%]で制御網点率は40[%]の場合を考える。
この条件で所望の画像形成が成されると、記録紙P上には、レーザー強度70[%]に対応した1画素当たりのトナー付着量で、記録紙Pの表面上の単位面積当たりの40[%]の面積にトナー像が形成される。このようなトナー像を出力したときの出力網点率は40[%]となる。一方、同じ条件で画像形成したにも係わらず1画素当たりのトナー付着量が少なくなると、録紙Pの表面上の単位面積当たりの40[%]の面積にトナー像が形成されるにも係わらず、所望の画像形成が成されたトナー像よりも薄く見える。このようなトナー像を出力したときの出力網点率は40[%]よりも小さくなる。
このように、制御網点率と出力網点率とを比較して、出力網点率の方が制御網点率よりも小さい場合は、レーザー強度を強くするなど、トナー付着量が増加するように制御パラメータを補正する。逆に、出力網点率の方が制御網点率よりも大きい場合は、トナー付着量が減少するように制御パラメータを補正する。
しかし、記録紙P上に形成されているトナー像は多次色であり、一次色の色情報である出力網点率を直接に測定することは出来ない。このため、メイン制御部500は、ライン分光計900で測定した多次色トナー像の出力画像情報に基づいて、各一次色の出力網点率を推定し、各一次色毎に制御網点率と推定した出力網点率(以下、出力網点率推定値と呼ぶ)とを比較することにより、制御パラメータに対する補正量を決める。
まず、色分解モデルについて説明する。各色の網点率をそれぞれkc、km、ky、kk、反射光の波長をλ[nm]、各色の各網点率における分光反射率分布をそれぞれcyan(kc,λ)、magenta(km,λ)、yellow(ky,λ)、black(kk,λ)とする。
分光反射率分布は、白色光を照射したときに反射光の波長毎に異なる反射率の分布を示すものである。ただし、転写紙の分光反射率分布をwhite(λ)としたとき、すべての波長λについてwhite(λ)=1となる正規化を全波長(λ=400[nm]〜700[nm])で施している。
一例として、magenta(0.5、λ)と表記する場合について説明する。このように表記する場合は、km=0.5であり、白色の記録紙上に形成された網点率が50[%]のマゼンタの一次色のトナー像の分光反射率分布を示す。そして、実施形態1では、λは、λ=400[nm]から700[nm]までの10[nm]毎に反射率を求めることを示しており、magenta(0.5,λ)と表記すると、網点率50[%]の一次色のトナー像に対して白色光を照射したときの、λ=400[nm]の反射光の反射率、λ=410[nm]の反射光の反射率、λ=420[nm]の反射光の反射率・・・・・・・、λ=700[nm]の反射光の反射率、というように、31個の波長についての反射率を示し、31行1列の行列(31×1行列)で示すことができる。
複写機600では、多次色のトナー像の分光反射率分布を、この多次色のトナー像を形成する各一次色のトナー像の分光反射率分布の積として表現する、以下の数1に示す色分解モデルを用いる。
複写機600で採用する一次色の出力網点率推定値を推定するアルゴリズムでは、事前情報として制御網点率近傍の網点率における各一次色の分光反射率分布cyan(kc,λ)、magenta(km,λ)、yellow(ky,λ)、black(kk,λ)が必要となる。ただし、任意の網点率kc、km、ky、kkに対するデータを用意することは一般に困難である。このため、10[%]刻みで離散化した各10個の網点率kc1〜kc10、km1〜km10、ky1〜ky10、kk1〜kk10に対する一次色の分光反射率分布のデータのみを一次色のデータテーブルに保存する。一次色のデータテーブルには、各色について網点率とその網点率で作像された一次色トナー像の測色結果である分光反射率分布データがメイン制御部500のROM503に保存されている。
まず画像情報から得られる測色領域の網点率である制御網点率から出力網点率推定値の候補(制御網点率に近い値の網点率の組合せ)を生成する。
次に、出力網点率推定値の候補に対応する各一次色の分光反射率分布を一次色のデータテーブルから生成する。例えば、ある色の制御網点率が55[%]であった場合、その近傍の値である網点率50[%]や60[%]のときの分光反射率分布をその色の一次色のデータテーブルから生成する。
ここで生成した各色の一次色の分光反射率分布を数3や数4で示す式の「cyan(kc,λ)」、「magenta(km,λ)」、「yellow(ky,λ)」及び「black(kk,λ)」に当てはめ、Jを最小化する出力網点率推定値の組合せを探索し推定結果とする。
制御網点率が50[%]のredのトナー像で、予測される分光反射率分布がred(0.5,λ)で与えられる画像は、一般に、magenta(0.5,λ)とyellow(0.5,λ)を重ね合わせることで作られる。よって、数5のような色分解が考えられる。
例えば、制御網点率が50[%]で画像形成され、予測される分光反射率分布がred(0.5,λ)で与えられるトナー像の測色結果を分解する際には、MagentaとYellowとの組合せとして、数6のように計9通りの候補を生成する。
このように、推定された一次色の色情報と、目標色の色情報とを比較する色情報としては、網点率に限るものではない。
一次色のデータテーブルには、各網点率に対する分光反射率分布が保存されているため、出力網点率推定値及び制御網点率に対する分光反射率分布を算出することができる。分光反射率分布がわかると、公知の方法により、L*a*b*値を算出することができる。
そして、推定された一次色の色情報として出力網点率推定値に対応したL*a*b*値を用い、一次色の目標色の色情報として制御網点率に対応したL*a*b*値を用いてL*a*b*値同士を比較して、出力されるトナー像を形成する一次色の色を目標色に近づける制御を行っても良い。
このため、シアンは「L*」の値の比較、マゼンタは「a*」の値の比較、イエローは「b*」の値の比較をすることで、出力された多次色トナー像を形成する各一次色トナーがそれぞれの目標色に対して、濃いのか薄いのかを判断することができる。
次に、上述した方法で一次色の出力網点率推定値を推定し、出力網点率推定値と制御網点率とを比較して作像条件を補正する色安定化処理を実施した実験について説明する。
複写機600と同様の構成の複写試験機を用意した。そして、70[%]の3Cグレー画像を、1枚ごとに上述した色安定化処理を実施しながら50枚の記録紙Pに連続プリントした。
ここで、70[%]の3Cグレー画像は、シアン、マゼンタ及びイエローをそれぞれ制御網点率70[%]で感光体20上に一次色トナー像を形成し、この3つの一次色トナー像を中間転写ベルト10上で重ねて、記録紙P上に転写し、定着せしめたグレー色のトナー像である。
分光反射率分布を測定する際にトナ−像に光を照射する光源としては、D65光源を用いた。
図11に示すように、一枚目の画像では、出力網点率推定値は何れの一次色についても目標値である制御網点率70[%]から離れた値となっている。その後、出力網点率推定値と制御網点率70[%]とを比較して、出力網点率推定値が70[%]に近づくように、上述したような色安定化処理を実施する。図11では、色安定化処理を実施することにより、各一次色の出力網点率推定値が10枚目あたりから目標値である網点率70[%]に近い値で推移していることが分かる。
これらのL*a*b*値の値は、本実験における一枚目のプリントの前に網点率70[%]で出力した各一次色トナー像の測色値である。
図12中の「○」プロットは、出力網点率推定値の分光反射率分布から算出されるL*a*b*値の一成分の推移を示す。また、図12中の「△」プロットは、L*a*b*値の実測値の一成分の推移を示す。この実測値はライン分光計900による測色対象となる70%3Cグレー画像の隣に制御網点率70[%]の条件で作像した一次色トナー像の測色値である。
図13に示すように、一枚目の画像では、出力した3Cグレー画像と目標値との色差が大きい値となっている。その後、出力網点率推定値と制御網点率70[%]とを比較して、出力網点率推定値が70[%]に近づくように、上述したような色安定化処理を実施する。図13では、色安定化処理を実施することにより出力した3Cグレー画像と目標値との色差が5枚目あたりから4を下回り、出力した画像と目標値との色差が低い状態で推移していることが分かる。
複数の潜像担持体上でそれぞれ作像する画像形成装置では、中間転写ベルトを備える構成に限らず、各潜像担持体から直接に記録媒体に転写して記録媒体上で各一次色のトナー像を重ねて多次色トナー像を形成する画像形成装置にも適用可能である。
また、複数の潜像担持体を備える構成に限らず一つの潜像担持体で作像する構成も適用可能である。一つの潜像担持体上で作像する構成では、一つの潜像担持体の表面上に複数の現像装置が配置される画像形成装置にも適用可能である。この画像形成装置では、潜像担持体上に形成した一次色トナー像を中間転写体上に転写し、先に中間転写体に転写した一次色トナー像に対して新たに潜像担持体上に形成した一次色トナー像を重ねて転写し、中間転写体上で多次色トナー像を形成し、記録紙に転写する構成である。さらに、一つの潜像担持体上で作像する構成では、一つの潜像担持体に複数の帯電装置、露光装置及び現像装置の組合せが配置されている構成で、先に形成されたトナー像を担持する潜像担持体表面に対して、帯電、露光及び現像を行う画像形成装置にも適用可能である。
このように、一次色トナー像を重ねた多次色トナー像を記録媒体上に形成する画像形成装置であれば適用可能である。
以下、本発明を適用したカラー画像形成装置の一実施形態として、電子写真方式のカラー複写機(以下、単に複写機600という)の二つ目の実施形態(以下、実施形態2と呼ぶ)について説明する。
図1を用いて説明した実施形態1の複写機600が出力画像測色手段としてライン分光計900を備えるのに対して、記録紙P上のRGB値を検出する制御用RGBスキャナを備える。この制御用RGBスキャナは実施形態1の複写機600におけるライン分光計900と同じ位置に配置される。そして、図面上では、図1中のライン分光計900と同様に示すことができるため、実施形態2の複写機600も図1を用いて説明し、実施形態2における出力画像測色手段である制御用RGBスキャナは、以下において、制御用スキャナ800と呼ぶ。
また、図8に示すブロック図中のライン分光計900は、実施形態2では制御用スキャナ800である。
さらに、制御用スキャナ800は、副走査方向(記録紙Pの搬送方向)について10[mm]毎に区切って検出するものであり、RGB値を検出する主走査方向の22箇所では、10[mm]×10[mm]の正方形の領域の測色を行う。そして、検出されるRGB値は、この正方形の領域の測色値の平均値となる。
複写機600は、メイン制御部500を有しており、このメイン制御部500が各部を駆動制御する。メイン制御部500は、各種演算処理や各部の駆動制御を実行するCPU501にバスライン502を介して、コンピュータプログラム等固定データを予め記憶するROM503と各種データを書き換え自在に記憶するワークエリア等として機能するRAM504とが接続されて構成されている。メイン制御部500には、プリンタ部100の各部、給紙装置200、スキャナ300、ADF400が接続されている。ここで、プリンタ部100の光学センサユニット310及び制御用スキャナ800は、検出した情報をメイン制御部500に送り出す。
実施形態2のメイン制御部500が実施する付着量安定化処理は、上述したように実施形態1と同様である。
複写機600では、色安定化処理において、出力画像測色手段である制御用スキャナ800が取得した多次色のユーザー画像の色情報に基づいて、メイン制御部500が画像情報色分解手段として、多次色トナー像を構成するY,M,C,Kの一次色トナー像のそれぞれの一次色の色情報を推定する。さらに、メイン制御部500は作像条件制御手段として、推定したY,M,C,Kそれぞれの一次色の色情報に基づいて一次色トナー像を作像する各画像形成ユニット18(Y,C,M,K)や潜像書込ユニット21における作像条件の制御パラメータを補正する。ここで、補正する制御パラメータとしては、現像装置61内のトナー濃度の制御目標値、現像バイアス、潜像書込ユニット21が感光体20表面に照射する書込光の強度などがある。以下、実施形態2の複写機600における色安定化処理について、詳述する。
色安定化処理において、メイン制御部500は、まず、入力画像情報として、外部装置から送られてくる画像情報、あるいはスキャナ300で得た画像情報を取得する。この入力画像情報は、画像を構成する、マトリクス状に並ぶ複数の画素についてそれぞれR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の単色成分の明度を表した画素値を具備するものである。メイン制御部500は、この入力画像情報を、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(黒)の単色成分の明度を表した画素値を具備する作像用画像情報に変換する(S1)。
一つは、印刷処理として、作像処理(S2)及び転写処理(S3)を実行し、他の一つは、測色領域決定処理(S4)として、画像領域における制御用スキャナ800で測色を行う領域を決定する。
作像処理(S2)としては、作像用画像情報に基づいて、上述したように、四つの画像形成ユニット18(Y,C,M,K)それぞれの感光体20(Y,C,M,K)上に一次色のトナー像を作像し、一次色トナー像を中間転写ベルト10上で重ねることで多次色トナー像を作像する。また、転写処理(S3)としては、上述したように中間転写ベルト10上に形成された多次色トナー像を二次転写ニップで記録紙P上に転写する。その後、定着装置25で多次色トナー像が定着された記録紙Pは排紙トレイ7に向かって搬送される。
一方、測色領域決定処理(S4)として、メイン制御部500は測色領域決定手段として、作像用画像情報で示される画像の全領域のうちどの領域を、測色対象となる測色領域にするのかを決定する。
本実施形態の複写機600では、全画像領域の一部の領域を測色領域として、測色領域の測色、及び、測色結果の出力画像情報と作像用画像情報と比較する演算を行っている。このように全画像領域の一部の領域を測色領域として画像情報同士の比較を行うものに限らず、可能であれば、画像領域全体を幾つかの測色領域に分け、一部ではなく、画像領域全体について測色と画像情報同士の比較とを行っても良い。しかし、画像領域全体について測色と画像情報同士の比較とを行うと、処理する情報量が非常に多くなり、処理速度が高速なCPUを備えていないと、装置の生産性が低下するが、CPUの高速化はコスト高に繋がる。このため、本実施形態では複写機600では、全画像領域の一部の領域を測色領域として、測色領域について測色と画像情報同士の比較とを行っている。
また、測色領域としては、領域内における色合いの変化ができるだけ少ない(色の平坦度が高い)領域であることが、精度の良い測色を行うときに好ましい。よって、メイン制御部500は、作像用画像情報に基づいて色の平坦度が高く測色に適した領域を探索する処理を行っている。
この探索の後、プリンタ部100によってその画像を形成した記録紙Pを排紙トレイ7上に排紙すると、測色手段としての制御用スキャナ800によって、測色領域の測色を行う。その後、測色結果から得られる色情報と、作像用画像情報から得られる測色領域の色情報と比較する。
ここで補正する制御パラメータは、潜像書込ユニット21のレーザー強度(LDP)、帯電装置60の帯電印加電圧(Cdc)、及び現像装置61の現像バイアス(Vb)である。制御パラメータとしてはこの他にも現像装置61内に収納されている現像剤のトナー濃度を採用することも可能である。
本実施形態では、一次色の色情報として、仮に一次色で出力したときのトナー像を測定したときの見かけ上の平均網点率(以下、単に出力網点率と呼ぶ)を推定する。
本推定方法における、網点率と潜像書込ユニット21のレーザー強度との関係は上述した実施形態1と同様である。
しかし、記録紙P上に形成されているトナー像は多次色であり、一次色の色情報である出力網点率を直接に測定することは出来ない。このため、メイン制御部500は、制御用スキャナ800で測定した多次色トナー像の出力画像情報に基づいて、各一次色の出力網点率を推定し、各一次色毎に制御網点率と推定した出力網点率(以下、出力網点率推定値と呼ぶ)とを比較することにより、制御パラメータに対する補正量を決める。
まず、推定に利用する一次色のデータテーブルについて説明する。
複写機600で採用する一次色の出力網点率推定値を推定するアルゴリズムでは、事前情報として制御網点率近傍の網点率における各一次色の分光反射率分布cyan(kc,λ)、magenta(km,λ)、yellow(ky,λ)、black(kk,λ)が必要となる。ただし、任意の網点率kc、km、ky、kkに対するデータを用意することは一般に困難である。このため、10[%]刻みで離散化した各10個の網点率kc1〜kc10、km1〜km10、ky1〜ky10、kk1〜kk10に対する一次色の分光反射率分布のデータのみを一次色のデータテーブルに保存する。一次色のデータテーブルには、各色について網点率とその網点率で作像された一次色トナー像の測色結果である分光反射率分布データがメイン制御部500のROM503に保存されている。
次に、出力網点率推定値の候補に対応する各一次色の分光反射率分布を一次色のデータテーブルから生成する。例えば、ある色の制御網点率が55[%]であった場合、その近傍の値である網点率50[%]や60[%]のときの分光反射率分布をその色の一次色のデータテーブルから生成する。
最後に、他次色の推定L*a*b*値と観測L*a*b*値との間の色差(CIEDE94)を計算し、その値が最小となる出力網点率推定値の組合せを探索し推定結果とする。
なお、本実施例では推定L*a*b*値と観測L*a*b*値の間の色差を算出するための色差式としてCIEDE94を採用したが、CIEDE2000等、別の色差式を採用することも可能である。
制御網点率が50[%]のredのトナー像で、予測される分光反射率分布がred(0.5,λ)で与えられる画像は、一般に、magenta(0.5,λ)とyellow(0.5,λ)を重ね合わせることで作られる。よって、実施形態1で用いた数5のような色分解が考えられる。
例えば、制御網点率が50[%]で画像形成され、予測される分光反射率分布がred(0.5,λ)で与えられるトナー像の測色結果を分解する際には、MagentaとYellowとの組合せとして、実施形態1で用いた数6のように計9通りの候補を生成する。
このように、推定された一次色の色情報と、目標色の色情報とを比較する色情報としては、網点率に限るものではない。実施形態1で説明したように、L*a*b*値同士を比較して、出力されるトナー像を形成する一次色の色を目標色に近づける制御を行っても良い。
7 排紙トレイ
10 中間転写ベルト
14 第一支持ローラ
15 第二支持ローラ
16 第三支持ローラ
17 ベルトクリーニング装置
18 画像形成ユニット
20 感光体
21 潜像書込ユニット
24 二次転写ローラ
25 定着装置
30 原稿台
30a 原稿排紙トレイ
31 コンタクトガラス
33 第一走行体
34 第二走行体
35 結像レンズ
36 読取センサ
41 手差し給紙路
42 給紙ローラ
44 給紙カセット
45 分離ローラ
46 給紙路
47 搬送ローラ
48 搬送路
49 レジストローラ対
56 排紙ローラ対
60 帯電装置
61 現像装置
61a トナー補給口
62 一次転写ローラ
63 感光体クリーニング装置
64 除電装置
65 現像スリーブ
66 攪拌部
67 現像部
68 搬送スクリュ
69 仕切り壁
71 トナー濃度センサ
73 ドクターブレード
75 クリーニングブレード
76 ファーブラシ
91 ローラクリーニング部
93 用紙反転装置
100 プリンタ部
200 給紙装置
300 スキャナ
310 光学センサユニット
311 第一光学センサ
311a 第一センサ光源
311b 第一センサ正反射受光素子
312 第二光学センサ
312a 第二センサ光源
312c 第二センサ拡散反射受光素子
312b 第二センサ正反射受光素子
313 センサメモリ
320 電位センサ
401 自動読取部
500 メイン制御部
502 バスライン
600 複写機
601 手差し給紙ローラ
602 手差し分離ローラ
800 制御用スキャナ
900 ライン分光計
Claims (7)
- 入力画像情報に基づいて、互いに異なる一次色からなるトナー像である一次色トナー像を潜像担持体上に形成する作像手段と、
該潜像担持体上に形成された該トナー像を直接または中間転写体を介して記録媒体に転写することによって、該潜像担持体上に形成された一次色トナー像を重ねた多次色トナー像を該記録媒体上に形成する転写手段と、
該記録媒体上に形成された多次色トナー像を測色して出力画像の多次色の色情報を取得する出力画像測色手段と、
該作像手段による上記一次色トナー像の作像条件を制御する作像条件制御手段と、を有する画像形成装置において、
上記出力画像測色手段が取得した上記多次色の色情報に基づいて、上記多次色トナー像を構成する上記一次色トナー像のそれぞれの一次色の色情報を推定する画像情報色分解手段を備え、
上記作像条件制御手段は、該画像情報色分解手段によって推定されたそれぞれの該一次色の色情報に基づいて該一次色トナー像の作像条件を補正するものであり、
上記出力画像測色手段が取得する多次色の色情報は、上記多次色トナー像の分光反射率分布であり、
上記画像情報色分解手段は、各一次色について複数の網点率におけるトナー像の分光反射率分布の情報が予め入力された一次色分光反射率分布記憶手段を備え、
該画像情報色分解手段は、上記入力画像情報に基づいて、上記一次色の色情報である一次色の見た目の網点率の推定値である出力網点率推定値の候補を複数生成し、
該出力網点率推定値の候補に対応する分光反射率分布である推定分光反射率分布を該一次色分光反射率分布記憶手段に入力された情報に基づいて生成し、
上記多次色トナー像を形成するすべての一次色の分光反射率分布の積と、上記出力画像測色手段が取得した該多次色トナー像の分光反射率分布と、のL2ノルムの値ができるだけ小さくなる該出力網点率推定値の候補を各一次色について一つずつ探索し、
探索して得た値を各一次色の該出力網点率推定値とすることを特徴とする画像形成装置。 - 入力画像情報に基づいて、互いに異なる一次色からなるトナー像である一次色トナー像を潜像担持体上に形成する作像手段と、
該潜像担持体上に形成された該トナー像を直接または中間転写体を介して記録媒体に転写することによって、該潜像担持体上に形成された一次色トナー像を重ねた多次色トナー像を該記録媒体上に形成する転写手段と、
該記録媒体上に形成された多次色トナー像を測色して出力画像の多次色の色情報を取得する出力画像測色手段と、
該作像手段による上記一次色トナー像の作像条件を制御する作像条件制御手段と、を有する画像形成装置において、
上記出力画像測色手段が取得した上記多次色の色情報に基づいて、上記多次色トナー像を構成する上記一次色トナー像のそれぞれの一次色の色情報を推定する画像情報色分解手段を備え、
上記作像条件制御手段は、該画像情報色分解手段によって推定されたそれぞれの該一次色の色情報に基づいて該一次色トナー像の作像条件を補正するものであり、
上記出力画像測色手段が取得する多次色の色情報は、上記多次色トナー像のRGB値であり、
上記画像情報色分解手段は、各一次色について複数の網点率におけるトナー像の分光反射率分布の情報が予め入力された一次色分光反射率分布記憶手段を備え、
該画像情報色分解手段は、上記入力画像情報に基づいて、上記一次色の色情報である一次色の見た目の網点率の推定値である出力網点率推定値の候補を複数生成し、
該出力網点率推定値の候補に対応する分光反射率分布である推定分光反射率分布を該一次色分光反射率分布記憶手段に入力された情報に基づいて生成し、
上記多次色トナー像を形成するすべての一次色の分光反射率分布の積をL*a*b*値に換算した値と、上記出力画像測色手段が取得した該多次色トナー像のRGB値をL*a*b*値に換算した値と、の色差ができるだけ小さくなる該出力網点率推定値の候補を各一次色について一つずつ探索し、
探索して得た値を各一次色の該出力網点率推定値とすることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1または2の画像形成装置において、
上記画像情報色分解手段は、上記入力画像情報に基づいて、各一次色の目標値となる網点率である網点率目標値を設定し、
各一次色について上記出力網点率推定値が該網点率目標値より小さい場合は、該出力網点率推定値を得たときの上記多次色トナー像を形成した作像条件よりも現像濃度が濃くなるように作像条件を補正し、該出力網点率推定値が該網点率目標値より大きい場合は、該出力網点率推定値を得たときの上記多次色トナー像を形成した作像条件よりも現像濃度が薄くなるように作像条件を補正することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記出力画像測色手段が測色を行う測色領域を上記出力画像の画像領域の一部に決定する測色領域決定手段を備えることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項4の画像形成装置において、
上記測色領域決定手段は、上記入力画像情報に基づいて測色に適した領域を探索し、上記測色領域を決定することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記作像手段は、少なくとも、上記潜像担持体に潜像を書き込む潜像書込手段、及び該潜像担持体に担持された潜像をトナーによって現像する現像手段とを具備し、
上記潜像書込手段として、帯電手段によって一様帯電せしめられた該潜像担持体の表面に対して光走査を行って静電潜像を書き込むものを用い、
上記現像手段として、表面に現像剤を担持している現像剤担持体に現像バイアスを印加しながら該現像剤担持体上の現像剤中のトナーを該潜像担持体上の静電潜像に転移させるものを用い、
上記作像条件制御手段は、上記作像条件として、該帯電手段の帯電強度、該潜像書込手段の光書込強度、該現像バイアス、及び該現像剤のトナー濃度のうち、少なくとも何れか1つを補正する処理を実施することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項6の画像形成装置において、
上記現像手段として、トナー及びキャリアを含有する現像剤を用いて潜像を現像するものを用い、該現像手段内に収容される現像剤のトナー濃度を検知した結果と、所定の濃度目標値との差に応じて、前記現像手段内にトナーを補給するトナー補給手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
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