以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
まず、図1は、本発明に係るプリンタ1の内部構造を概略的に示す断面図である。
図1に示すように、プリンタ1は、筐体2の内部に、記録媒体としての用紙3を給紙する給紙部4と、給紙された用紙3に画像を形成する画像形成部5とを備える。
ここで、給紙部4は、給紙トレイ6と、給紙ローラ7と、1対の搬送ローラ8と、1対のレジストローラ9とを備え、給紙トレイ6上に積層された用紙3を給紙ローラ7によって1枚づつ取り出し、取り出した用紙3を搬送ローラ8及びレジストローラ9によって、画像形成部5に搬送するように構成されている。
又、画像形成部5は、スキャナ部10と、プロセス部11と、転写部12と、定着部14とを備え、スキャナ部10によって形成される静電潜像をプロセス部11にて現像し、現像した静電潜像(現像剤像)を転写部12にて用紙3に転写し、転写した現像剤像を定着部14にて用紙3に定着させるように構成されている。
尚、スキャナ部10は、レーザー放射部(図示せず)と、ポリゴンミラー(図示せず)と、複数のレンズ(図示せず)と、複数の反射鏡(図示せず)とを備え、レーザー放射部から放射するレーザー光線をポリゴンミラーやレンズ、反射鏡によって偏向し、後述するプロセス部11の感光ベルト22上をレーザー光線で走査するように構成されている。
又、プロセス部11は、現像器15と、感光部16と、帯電器17とを備え、後述する感光部16の感光ベルト22を帯電器17によって帯電させると共に、帯電させた感光ベルト22が上述のレーザー光線で露光されることによって感光ベルト22上に形成される静電潜像を現像器15によって現像するように構成されている。
ここで、感光部16は、一次感光ローラ19と、二次感光ローラ20と、三次感光ローラ21と、感光ベルト22とを備え、一次感光ローラ19と二次感光ローラ20と三次感光ローラ21とに感光ベルト22が掛け渡され、これらローラによって感光ベルト22が回転移動できるように構成されている。より具体的には、一次感光ローラ19及び二次感光ローラ20が図中上下方向に対向配置され、下方に位置する一次感光ローラ19の図中左側上方の近傍に三次感光ローラ21が配置されている。尚、感光ベルト22は、表層にアルミを蒸着されたPET(ポリエチレンテレフタレート)などの樹脂により形成されたエンドレスベルトからなり、その表面に有機感光層が設けられている。
又、現像器15は、黄色のトナーを供給する現像器15Yと、マゼンダ色のトナーを供給する現像器15Mと、シアン色のトナーを供給する現像器15Cと、黒色のトナーを供給する現像器15Kとから構成されている。尚、現像器15はそれぞれ、現像ローラ18と、層厚規制ブレード(図示せず)と、供給ローラ(図示せず)と、トナー収容部(図示せず)とを備え、トナー収容部に収容されているトナーを供給ローラによって現像ローラ18に供給し、層厚規制ブレードによって一定の厚みからなる薄層として現像ローラ18上に担持するように構成されている。但し、本実施形態の現像器15はそれぞれ、正帯電性を有した非磁性1成分の重合トナーを用いるように設定されている。又、トナー収容部は、周知のように、現像器15に着脱可能に構成された容器からなっている。
そして、現像器15はそれぞれ、感光部16の図中右側にて、図中上下方向に互いに一定の間隔を有しながら並列配置されると共に、後述の切替機構86によって図中水平方向に移動し、現像ローラ18が感光ベルト22の表面と接触及び離間できるように設定されている。
又、帯電器17は、タングステンなどの帯電用ワイヤからコロナ放電を発生させる正帯電用のスコロトロン型帯電器からなり、三次感光ローラ21の下方近傍に配置され、当該帯電器17付近の感光ベルト22の表面を正極に帯電させるように設定されている。
更に、プロセス部11は、三次感光ローラ21の図中左側上方の近傍にOPCクリーナ33を備え、後述する転写部12の中間転写ベルト26に現像剤像を転写したのちも感光ベルト22の表面に残存するトナーをOPCクリーナ33によって除去するように構成されている。尚、OPCクリーナ33は、ボックス34の内部に、一次クリーニングローラ35と、二次クリーニングローラ35aと、クリーニングブレード35bとを備え、残存トナーを一次クリーニングローラ35を介して二次クリーニングローラ35aに転写し、転写した残存トナーをクリーニングブレード35bによって掻き取るように構成されている。但し、ボックス34は、感光ベルト22に対向する部位に開口部を形成された箱型の形状を有し、この開口部から一次クリーニングローラ35を感光ベルト22へ突出させることが可能に構成されていると共に、掻き取ったトナーを内部に貯留することも可能に構成されている。又、一次クリーニングローラ35は、シリコンゴムなどの弾性体からなると共に、後述の駆動機構84によって、感光ベルト22の表面と接触及び離間できるように設定されている。又、二次クリーニングローラ35aは、金属からなり、一次クリーニングローラ35に接触するように設けられている。そして、クリーニングブレード35bは、薄板状のブレードからなり、その先端が二次クリーニングローラ35aに接触するように設けられている。
又、転写部12は、一次転写ローラ23と、二次転写ローラ24と、三次転写ローラ25と、中間転写ベルト26とを備え、一次転写ローラ23と二次転写ローラ24と三次転写ローラ25とに中間転写ベルト26が掛け渡され、これらローラによって中間転写ベルト26が回転移動できるように構成されている。より具体的には、一次転写ローラ23が中間転写ベルト26及び感光ベルト22を介して感光部16の二次感光ローラ20に当接するように配置され、一次転写ローラ23の図中左側にて、二次転写ローラ24及び三次転写ローラ25が図中上下方向に対向配置されている。尚、中間転写ベルト26は、カーボンなどの導電性粒子を分散した導電性のポリカーボネートやポリイミドなどの樹脂により形成されたエンドレスベルトからなる。
又、転写部12は、二次転写ローラ24の下方近傍に転写ローラ13を備え、二次転写ローラ24と転写ローラ13との間に、搬送されてきた用紙3を通過させることにより、中間転写ベルト26上の現像剤像を用紙3に転写するように構成されている。尚、転写ローラ13は、後述の駆動機構82によって、二次転写ローラ24と接触及び離間できるように設定されている。
更に、転写部12は、三次転写ローラ25の図中左側近傍にΙTBクリーナ36を備え、用紙3に現像剤像を転写したのちも中間転写ベルト26の表面に残存するトナーをΙTBクリーナ36によって除去するように構成されている。尚、ΙTBクリーナ36は、ボックス37の内部に、一次クリーニングローラ38と、二次クリーニングローラ38aと、クリーニングブレード38bとを備え、残存トナーを一次クリーニングローラ38を介して二次クリーニングローラ38aに転写し、転写した残存トナーをクリーニングブレード38bによって掻き取るように構成されている。但し、ボックス37は、中間転写ベルト26に対向する部位に開口部を形成された箱型の形状を有し、この開口部から一次クリーニングローラ38を中間転写ベルト26へ突出させることが可能に構成されていると共に、掻き取ったトナーを内部に貯留することも可能に構成されている。又、一次クリーニングローラ38は、シリコンゴムなどの弾性体からなると共に、後述の駆動機構83によって、中間転写ベルト26の表面と接触及び離間できるように設定されている。又、二次クリーニングローラ38aは、金属からなり、一次クリーニングローラ38に接触するように設けられている。そして、クリーニングブレード38bは、薄板状のブレードからなり、その先端が二次クリーニングローラ38aに接触するように設けられている。
そして、定着部14は、加熱ローラ27と、押圧ローラ28と、1対の搬送ローラ29と、1対の排紙ローラ30とを備え、用紙3に転写された現像剤像を加熱ローラ27によって用紙3に熱定着させたのち、この用紙3を搬送ローラ29及び排紙ローラ30によって筐体2の外部へ排出するように構成されている。より具体的には、加熱ローラ27と押圧ローラ28とが互いに当接するように配置され、加熱ローラ27と押圧ローラ28との間に、搬送されてきた用紙3を通過させることにより、現像剤像を用紙3に熱定着させるように構成されている。尚、加熱ローラ27は、熱源として内部にハロゲンランプを備え、内層が金属、外層がシリコン製ゴムで構成されている。
更に、プリンタ1は、二次感光ローラ20の図中上方近傍と、一次転写ローラ23と二次転写ローラ24との間、二次転写ローラ24と加熱ローラ27との間、搬送ローラ29と排紙ローラ30との間にそれぞれ、現像剤像の濃度を原色毎に測定する濃度センサ40,41,42,43を備える。尚、本実施形態において、これら濃度センサは、赤外領域、または、可視領域の光を発光する光源と、光源の光を対象物に向けて集光するレンズと、対象物に反射した反射光を受光するフォトトランジスタとを備えた、所謂、反射型濃度センサとして構成され、一定領域毎に濃度を測定するように設定されている。又、本実施形態において、これら濃度センサは、その測定位置が感光ベルト22や中間転写ベルト26、用紙3の幅方向の一端付近に固定されている(図7参照)。
次に、図2は、プリンタ1における制御系統の構成を示す構成ブロック図である。
図2に示すように、プリンタ1には、当該プリンタ1の各部を統括制御する制御部50が具備され、この制御部50に当該プリンタ1に搭載された各種装置が接続されて当該プリンタ1の制御系統が構築されている。
即ち、制御部50は、上述の濃度センサ40〜43と、筐体2の内部の温度を測定する温度センサ44と、筐体2の内部の湿度を測定する湿度センサ45と、感光ベルト22の原点を検出する原点センサ46と、中間転写ベルト26の原点を検出する原点センサ47とに接続され、これらセンサから測定結果や検出結果を受信する。
又、制御部50は、上述のスキャナ部10に接続され、スキャナ部10のレーザー放射部にレーザー光線の放射信号を出力したり、ポリゴンミラーを回転駆動するモータの駆動信号を出力する。
又、制御部50は、各種装置を駆動もしくは作動させるドライバ回路60〜65に接続され、これらドライバ回路を介して、これらドライバ回路に接続された各種装置を制御する。より具体的には、ドライバ回路60には、二次感光ローラ20や一次転写ローラ23、転写ローラ13、一次クリーニングローラ35,38の回転動力源として当該プリンタ1に具備されたメインモータ80が接続され、制御部50は、ドライバ回路60を介して、メインモータ80を駆動することで、これらローラを回転させる。但し、これらローラ同士の回転を調整するために、メインモータ80は、複数のギア列からなる駆動ギア81を介してこれらローラに接続されている。
又、ドライバ回路61には、駆動ギア81を介して伝達されるメインモータ80の動力を転写ローラ13に伝達したり、転写ローラ13を二次転写ローラ24と接触させる駆動機構82が接続され、制御部50は、ドライバ回路61を介して、駆動機構82を作動させることで、転写ローラ13を回転させたり、二次転写ローラ24と接触させる。
又、ドライバ回路62には、駆動ギア81を介して伝達されるメインモータ80の動力を一次クリーニングローラ38に伝達したり、一次クリーニングローラ38を中間転写ベルト26の表面と接触させる駆動機構83が接続され、制御部50は、ドライバ回路62を介して、駆動機構83を作動させることで、一次クリーニングローラ38を回転させたり、中間転写ベルト26の表面と接触させる。
又、ドライバ回路63には、駆動ギア81を介して伝達されるメインモータ80の動力を一次クリーニングローラ35に伝達したり、一次クリーニングローラ35を感光ベルト22の表面と接触させる駆動機構84が接続され、制御部50は、ドライバ回路63を介して、駆動機構84を作動させることで、一次クリーニングローラ35を回転させたり、感光ベルト22の表面と接触させる。
又、ドライバ回路64には、現像器15を感光ベルト22へ移動させる動力源として当該プリンタ1に具備されたモータ85が接続され、制御部50は、ドライバ回路65を介して、モータ85を駆動することで、感光ベルト22へ移動する動力を現像器15に与える。
又、ドライバ回路65には、モータ85の動力の伝達先を切り替える切替機構86が接続され、制御部50は、ドライバ回路65を介して、切替機構86を作動させることで、移動させるべき現像器15にモータ85の動力を伝達し、感光ベルト22へ移動させる。
又、制御部50は、各種装置に電圧を印加する電圧印加回路70〜76に接続され、これら電圧印加回路を介して、これら電圧印加回路に接続された各種装置に電圧を印加する。より具体的には、電圧印加回路70には、各現像器15が接続され、制御部50は、電圧印加回路70を介して、各現像器15の現像ローラ18に電圧(バイアス電圧)を印加することで、現像ローラ18に担持されたトナーを感光ベルト22に付着させる。
又、電圧印加回路71には、帯電器17が接続され、制御部50は、電圧印加回路71を介して、帯電器17に電圧を印加することで、感光ベルト22を帯電させる。
又、電圧印加回路72には、一次転写ローラ23が接続され、制御部50は、電圧印加回路72を介して、一次転写ローラ23に電圧(バイアス電圧)を印加することで、中間転写ベルト26を帯電させ、感光ベルト22上のトナーを中間転写ベルト26に付着させる。
又、電圧印加回路73には、一次クリーニングローラ35が接続され、制御部50は、電圧印加回路73を介して、一次クリーニングローラ35に電圧(バイアス電圧)を印加することで、一次クリーニングローラ35を帯電させ、感光ベルト22上の残存トナーを一次クリーニングローラ35に付着させる。
又、電圧印加回路74には、一次クリーニングローラ38が接続され、制御部50は、電圧印加回路74を介して、一次クリーニングローラ38に電圧(バイアス電圧)を印加することで、一次クリーニングローラ38を帯電させ、中間転写ベルト26上の残存トナーを一次クリーニングローラ38に付着させる。
又、電圧印加回路75には、転写ローラ13が接続され、制御部50は、電圧印加回路75を介して、転写ローラ13に電圧(バイアス電圧)を印加することで、用紙3を帯電させ、中間転写ベルト26上のトナーを用紙3に付着させる。
又、電圧印加回路76には、加熱ローラ27が接続され、制御部50は、電圧印加回路76を介して、加熱ローラ27に電圧を印加することで、加熱ローラ27を加熱させる。
この制御系統では、周知のように、制御部50が、感光ベルト22を帯電させ、外部から入力される画像データに従って、スキャナ部10を制御して各原色毎に静電潜像を感光ベルト22上に順次形成していくと共に、各現像器15を順次駆動して各原色毎に静電潜像を順次現像していく。又、これと共に、中間転写ベルト26を帯電させて、現像剤像を中間転写ベルト26に順次転写したのち、帯電させた転写ローラ13を駆動して、中間転写ベルト26上の現像剤像を用紙3に一括転写する。そして、加熱ローラ27で用紙3を加熱し、現像剤像を用紙3に熱定着させる。即ち、プリンタ1は、所謂、4サイクル方式のカラーレーザープリンタとして構成されている。
ここで、図3は、制御部50の構成を示す構成ブロック図である。
図3に示すように、制御部50は、外部から画像データを受信する通信インターフェイス(通信Ι/F)50aと、当該制御部50が実行すべき各種処理を実行するCPU50bと、CPU50bが実行する各種処理のプログラムやデータを記憶するROM50cと、CPU50bが各種処理を実行する際に、データを一時格納するRAM50dと、時刻を計測するリアルタイムクロック(RTC)50eと、不揮発性の記憶素子(例えば、フラッシュメモリなど)からなる内部メモリ50gと、CPU50bと当該制御部50に接続された上述の各種装置とを接続するΙ/O50hとを備えている。
以上説明した通信Ι/F50a、CPU50b、ROM50c、RAM50d、RTC50e、内部メモリ50gおよびΙ/050hは、バスを介して互いに接続されている。RTC50eは、プリンタ1に供給される電力によって充電可能であるように構成されたバッテリ50fに接続され、プリンタ1の電源がOFFされても、時刻の計測を継続するように設定されている。
この制御部50においては、CPU50b,ROM50c,RAM50dおよびそれらを互いに接続するバスがコンピュータを構成している。
図3に示すように、制御部50には、さらに、不揮発性の記憶素子(例えば、フラッシュメモリなど)を備えた外部メモリ90が電気的に接続される。その外部メモリ90は、プリンタ1に着脱可能に装着される。
次に、図4ないし図6を参照することにより、制御部50の、CPU50bを含むコンピユータによって実行される各種処理プログラムを詳細に説明する。
本実施形態においては、図12に概念的に表すように、画像形成条件の補正が必要に応じて行われる。その画像形成条件は、画像の形成に関してユーザによって指定されたユーザ指定条件(画像データに含まれる画像形成位置あるいは濃度等の印刷条件)に基づいてプリンタ1が画像を形成するために、プリンタ1が設定する条件である。
そのユーザ指定条件は、画像の印刷濃度に関する濃度条件と、画像の印刷位置に関する位置条件とを含んでいる。濃度条件は、例えば、中間調のディザ印字の濃度、あるいは、塗りつぶしの比率等に関連する。また、位置条件は、例えば、用紙において画像が書き出される位置に関連する。
したがって、画像形成条件は、印刷濃度に関連する濃度関連条件と、印刷位置に関連する位置関連条件とを含んでいる。濃度関連条件には、例えば、現像バイアス、帯電電圧、露光強度、露光パルス幅、定着温度等が含まれ、一方、位置関連条件には、例えば、用紙において画像が書き出される位置を制御するために前記レーザ放射部に入力される制御信号(露光のタイミング信号)が含まれる。
図12においては、画像形成条件のうちの濃度関連条件の補正が「濃度補正」として示される一方、位置関連条件の補正が「位置補正」として示されている。本実施形態においては、プリンタ1の初期化の段階において、「位置補正」と「濃度補正」とが行われる。
本実施形態においては、さらに、各回の印刷ジョブごと(複数枚を連続印刷する印刷ジョブでは、各頁の印刷ごと)に、前補正と後補正とが行われる。前補正は、各回の印刷ジョブにおける実際の印刷に先立ち、今回の印刷を最適化するために行われる補正を意味する。一方、後補正は、各回の印刷ジョブにおける実際の印刷後に、次回の印刷ジョブ、あるいは、同じ印刷ジョブ内の次頁の印刷に備えて、その印刷を最適化するために行われる補正を意味する。
具体的には、前補正は、各回の印刷ジョブにおいて、1枚(1頁)分の画像データの入力後であって印刷の開始前に行われる濃度補正を含んでいる。これに対し、後補正は、各回の印刷ジョブにおいて、1頁の印刷の終了後に行われる位置補正と濃度補正とを含んでいる。
図4には、前記コンピュータによって実行される起動処理プログラムが概念的にフローチャートで表されている。この起動処理プログラムは、プリンタ1の電源がONされた際に起動される。なお、図4に示されるフローチャートでは、便宜上、位置関連条件を「位置条件」として表し、濃度関連条件を「濃度条件」として表している(後述する図5,6についても同様)。
図4に示すように、この起動処理プログラムは、ステップSl0から実行が開始され、このステップSl0においては、制御部50によって制御される各種装置が初期設定され、その結果、プリンタ1における画像の形成条件が初期設定される。
本実施形態においては、後に詳述するが、一回の補正に伴って画像形成条件が変化する量が制限されている。この制限は特に、画像形成条件のうちの濃度関連条件(例えば、前記現像バイアス)の補正について有効であり、一連の印刷中、例えば、複数枚を連続印刷する印刷ジョブにおいて、連続印刷される画像の印刷濃度が、ユ−ザに知覚されるほどに急に変化してしまうことが防止される。
そのため、本実施形態においては、画像形成条件の各回の補正において算出されるその画像形成条件の変更量が、一回の補正において許容される許容範囲を超えるか否かを示す変更ステータスフラグが、CPU50bのレジスタ領域に設けられている。その変更ステータスフラグは、このステップSl0において、後述のように初期設定される。
ここに「変更量」は、上記画像形成条件のデフォルト値(例えば、工場出荷時に設定された出荷時点での最適な画像形成条件)を基準として、使用経過後における最適な画像形成条件との差が、現時点において理想的な画像を形成するために必要な「補正値」であると定義した場合、あるいは、前回の印刷時における画像形成条件を基準として、次回の印刷時における最適な画像形成時要件との差が,現時点において理想的な画像を形成するために必要な「補正値」であると定義した場合のいずれであっても、今回の印刷時における最適な画像形成条件と次回の印刷時における最適な画像形成条件との差を意味する。
その変更量は、それが許容範囲を超えない場合には、その変更量が反映されるように画像形成条件が実際に補正されることが許可される。この場合には、変更量と、画像形成条件の補正量とが互いに一致する。これに対し、その変更量が許容範囲を超える場合には、その変更量のうち許容範囲内の部分は反映されるが、その許容範囲を超える部分は反映されないように、画像形成条件が実際に補正されることが許可される。この場合には、変更量と補正量とが互いに一致せず、その変更量のうち許容範囲を超えない部分の量と補正量とが互いに一致する。
この変更ステータスフラグは、「0」を表す状態で、画像形成条件の変更量が許容範囲内である旨を示し、一方、「1」を表す状態で、画像形成条件の変更量が許容範囲を超えた旨を示すように定義されている。このステップSl0においては、変更ステータスフラグが「0」を表す状態に設定され、それにより、その変更ステータスフラグは、その初期においては、画像形成条件の変更量が許容範囲である旨を示す。なお、本実施形態では、1つの印刷ジョブ内において、画像形成条件の変更量が許容範囲を超えた場合に限り、変更量が一定範囲内に制限されるように設定されているが、必ずしも1つの印刷ジョブ内にのみ特定されるべきものでないことは勿論であり、例えば、複数の印刷ジョブ範囲で連続的に画像を形成する場合であっても、前回形成した画像と次回形成する画像とにおける濃度等が大きく異なってしまうことを防止できる。
このステップSl0の実行後、ステップS20において、内部メモリ50gおよび/または外部メモリ90にアクセスされ、保存期間が予め指定された指定期間(例えば、1週間)を経過していない新しい測定データ、すなわち、指定期間内に測定された新しい測定データが内部メモリ50gや外部メモリ90に記憶されているか否かが判定される。
それら内部メモリ50gおよび/または外部メモリ90には、図8に部分的に示すように、(a)環境パラメータであって、その測定データが記憶された日時(測定を行った日時)や測定時における筐体2内の温度や湿度、印字モード、用紙3の種類などを含むものと、(b)その測定時の画像形成条件(例えば、現像バイアス)や消耗品情報(例えば、現像器の印字枚数)と、(c)その測定時のユーザ指定条件(濃度条件および位置条件を含む。)と、(d)印刷濃度および印刷位置の各測定結果を表す測定データとを互いに関連付けた管理テーブルが設定されている。このステップS20においては、その管理テーブルが参照されることにより、指定期間(例えば、1週間)を経過していない新しい測定データ、すなわち、指定期間内に測定された新しい測定データが記憶されているか否かが判定される。
図8を参照することにより、上記管理テーブルをさらに具体的に説明するに、この管理テーブルには、各印刷ジョブごとに、印刷が行われた日付および印刷開始時刻、プリンタ1の電源がONに投入されてから各回の印刷が開始されるまでに経過した時間、プリンタ1の温度および湿度、印刷モード、印刷した用紙の種類、使用したトレーの番号、印刷した用紙のサイズ、印刷した用紙が搬送された幅方向位置、両面印刷か片面印刷かの区別、測定データ名、測定時の画像形成条件(現像バイアス)、消耗品情報(現像器の印字枚数)等が、上述の環境パラメータとして、管理テーブルに記録される。
その測定データ名は、例えば、測定データをプリンタ1に保存するためにそのプリンタ1において自動的に割り当てられるファイル名を意味する。プリンタ1には、そのファイル名に関連付けられて、(a)濃度および位置の測定時における画像形成条件と、(b)その測定時における濃度条件および位置条件を含むユーザ指定条件と、(c)測定された画像形成位置(本実施形態においては印刷位置)を表す位置データ、および、測定された画像形成濃度(本実施形態においては印刷濃度)を表す濃度データを含む測定データとが記録される。
したがって、後に図5を参照して詳述するが、初期化に後続する各回の印刷ジョブにおいて、ユーザによって指定された画像データが通信インターフェイス(通信Ι/F)50aを介して入力すると、入力画像データに含まれるユーザ指定条件に最も近いユーザ指定条件で行われた過去の印刷ジョブが検索される。その検索された過去の印刷ジョブについて、そのときに実測された印刷位置および印刷濃度が分かれば、各回の印刷ジョブの実行に先立ち、この印刷ジョブを、その過去の印刷ジョブにおいて使用された画像形成条件と同じ画像形成条件で実行した場合に、理想的な印刷位置および印刷濃度(入力画像データに含まれる位置および濃度条件)と、実際の印字位置および印刷濃度との間に発生する誤差を予測することができる。
よって、各回の印刷ジョブの実行に先立ち、その予測された誤差を見込んで、入力画像データに含まれるユーザ指定条件に対応する画像形成条件を修正すれば、今回の印刷ジョブを実行した場合に、ユーザ指定条件に近い最適な条件で今回の印刷が行われることとなる。
また、濃度あるいは位置に関連する画像形成条件については、最新のデータから大きく変化していないことが予測される場合であれば、指定期間内の新しい測定データに基づいて修正を行うようにすれば良いし、過去の測定データ、例えば、現時点(印刷時)の温度、湿度などの条件に一致する、あるいは近似する環境パラメータに対応づけられている過去の測定データを参考にして、さらには、最新のデータをも組み合わせて、修正を行うようにしても良い。このようにすれば、今回の印刷ジョブを実行した場合に、ユーザによって選択された入力画像データを最適な画像形成条件で印刷を行うことができる。これが、前述の前補正である。
ここで、図4に戻り、初期化のために行われる処理を詳述するに、保存期間が指定期間を経過していない新しい測定データが記憶されている場合には、ステップS20の判定がYESとなり、後述のステップS30を経ることなく、その記憶されている測定データに基づき、直ちに、ステップS40が実行される。
これに対し、指定期間内の新しい測定データがない場合、すなわち、保存期間が指定期間を経過した古い測定データしか記憶されていない場合には、ステップS20の判定がNOとなり、その後、ステップS30において、従来通り測定用バッチが印字されて測定され、それにより、強制的に測定データが更新される。これが、測定用画像形成処理である。
この測定用画像形成処理においては、予め用意されている測定用画像であって各原色毎の画像の形成位置や形成濃度を測定するのに適したものが感光ベルト22上に形成され、その形成された測定用画像を用いて、画像の形成位置や形成濃度が測定される。
より具体的には、画像の形成位置を測定するために、図9に平面図およびグラフで示すように、感光ベルト22の移動方向と交わる方向に沿った線画が用紙3上に形成され、その形成された線画のエッジの位置が濃度センサ43によって検出される。この湯合、濃度センサ43は、用紙送り方向における濃度の急変位置を検出し、その検出結果に基づき、画像の形成位置が測定される。また、中間転写ベルト26上に画像を形成し、濃度センサ41によって検出するようにしても良い。
この測定用画像形成処理においては、さらに、画像の形成濃度を測定するために、図10に平面図およびグラフで示すように、用紙3上に各原色毎にグラデーションが形成され、濃度センサ40により、各原色毎の形成濃度が測定される。
この測定用画像形成処理においては、画像の形成位置の測定結果を表す位置データと、画像の形成濃度の測定結果を表す濃度データとがそれぞれ、前述の測定データを構成する。それら測定データは、前述の環境パラメータであって今回取得されたものに関連付けて、内部メモリ50gおよび/または外部メモリ90の管理テーブルに記憶される。
ステップS30の実行によって測定用画像形成処理が実行されると、その後、ステップS40が実行される。このステップS40においては、ステップS30の実行によって生成された測定データ(位置データおよび濃度データ)が管理テーブルから読み出される。その後、その読み出された測定データに基づき、画像形成条件のうちの位置関連条件の補正値と、濃度関連条件の補正値とが算出される。すなわち、このS40においては、前述の位置補正と濃度補正とが行われるのである。
具体的には、位置関連条件の補正値は、測定データにより表される画像形成位置と、理想的な画像形成位置との差に基づき、次回に形成される画像の形成位置が目標の形成位置に近づくように、算出される。
同様にして、濃度関連条件の補正値は、測定データにより表される画像形成濃度と、理想的な画像形成濃度との差に基づき、次回に形成される画像の形成濃度が目標の形成濃度に近づくように、算出される。
続いて、ステップS50において、それら算出された2つの補正値が反映されるように、画像形成条件が補正され、その補正された画像形成条件が、新たな画像形成条件に設定される。その設定された画像形成条件は、管理テーブルに、前記読み出された測定データに関連付けて記憶される。これにより、入力画像データ(ユーザによって指定されたユーザ指定条件を含む)と、プリンタ(画像形成装置)1の画像形成条件との対応関係が、管理テーブルにおいて更新されることになる。その後、ステップS60において、画像形成処理プログラムがコールされて実行される。
以上、保存期間が指定期間を経渦した古い測定データしか記憶されていないためにステップS20の判定がNOである場合を説明したが、保存期間が指定期間を経過していない新しい測定データが少なくとも記憶されているためにステップS20の判定がYESである場合を説明する。
この場合には、ステップS40において、管理テーブルから、保存期間が指定期間を経過していない測定データが読み出される。すなわち、指定期間内に測定された比較的新しい測定データであれば、その測定時点から現時点までに位置あるいは濃度関連条件が大きく変化していないものと推測されるので、このような最新の測定データが存在している場合には、管理テーブルに記憶されている比較的新しい測定データに基づき、画像形成条件のうちの位置関連条件の補正値と、濃度関連条件の補正値とが算出される。
具体的には、位置関連条件の補正値は、その読み出された測定データのうちの位置データにより表される画像形成位置(プリンタ1の電源投入後に最初に行われる印刷の位置の予測値)と、理想的な画像形成位置との差に基づき、最初に形成される画像の形成位置が目標の形成位置に近づくように、算出される。
また、濃度関連条件の補正値は、その読み出された測定データのうちの濃度データにより表される画像形成濃度(プリンタ1の電源投入後に最初に行われる印刷の濃度の予測値)と、理想的な画像形成濃度との差に基づき、最初に形成される画像の形成濃度が目標の形成濃度に近づくように、算出される。その後、ステップS60において、画像形成処理プログラムがコールされて実行される。
図5には、その画像形成処理プログラムがフローチャートで概念的に表されている。
図5に示すように、この画像形成処理プログラムの実行が開始されると、まず、ステップSl00において、通信Ι/F50aを介して外部から画像データを受信する受信状態にあるか否かが判定される。受信状態になければ、このステップSl00の判定が繰り返し実行されて、外部から画像データを受信するまで待機し、画像データを受信すると、この画像データをRAM50dに確保されたバッファ領域に格納する(S105)。そして、用紙3の1枚分の画像データを受信したか否かを判定し(S110)、1枚分受信していない場合には、再度S100〜S110を実行する一方、1枚分受信した場合には、変更ステータスフラグが0であるか否かを確認する(S115)。ここで、変更ステータスフラグが0でない場合(つまり、変更ステータスフラグが1である場合)には、後述のS130に直ちに移行する一方、変更ステータスフラグが0である場合には、取得した測定データに基づいて、濃度関連条件の補正量を算出し(S120)、補正した濃度関連条件を新たな濃度関連条件として設定する処理を行う(S125)。具体的に、バッファ領域に格納されている、これから印刷しようとする画像データには、記録媒体上の指定領域を黄色、マゼンダ色、シアン色、及び黒色のうちのいずれのトナーを用いて、何パーセントの濃度(塗りつぶしの比率)で印刷を行う、といった「色」と「濃度条件」とを含む指示情報が含まれており、これに基づいて実際の印刷が実行される。ところが、装置の置かれている環境(温度、湿度などの要因)やトナーの経年変化により、画像データの指示情報に基づいて記録媒体上に印刷した結果が、指示された濃度、色合いとは異なったものになる問題があったため、画像データの指示情報に応じた正確な印刷結果を得るために、指示情報で指示されている印刷濃度に関連する画像形成条件に対して適宜補正を行い、その補正された画像形成条件で印刷を行うという対策が取られている。なお、印刷濃度に関連する画像形成条件(濃度関連条件)としては、例えば、現像バイアス、帯電電圧、露光強度、露光パルス幅、定着温度等が含まれるが、入力画像データに含まれる階調補正、例えば、中間調のディザ印字の濃度、あるいは、塗りつぶしの比率等に関連する補正であっても良いし、ガンマ補正等に関する補正であっても良い。
本実施形態では、濃度関連条件の補正を行う場合に、最新のデータから大きく変化していないものと推測されるときには、指定期間内の新しい測定データを図8の管理テーブルから取得し、その測定データに基づいて濃度関連条件の補正量を算出する。また、過去の測定データ、例えば、現時点(印刷時)の温度、湿度などの条件に一致する、あるいは近似する環境パラメータに対応づけられている過去の測定データを検索して、該当するものがあれば、これらを参考にし、さらには、最新のデータをも組み合わせて適宜修正を行う。さらに、入力画像データに含まれる印字モードや、用紙3の種類などの環境パラメータをもとに、ユーザ指定条件に最も近いユーザ指定条件で行われた過去の測定データを検索して、該当するものがあれば、それらの測定データをも参照して適宜修正を行う。これによって、過去の印刷ジョブにおいて使用された画像形成条件と同じ画像形成条件で印刷を実行した場合に、理想的な印刷位置および印刷濃度(例えば、入力画像データに含まれるユーザ指定条件)と、実際の印字位置および印刷濃度との間に発生する誤差を的確に予測することができる。したがって、各回の印刷ジョブの実行に先立ち、その予測された誤差を見込んで、画像形成条件を適宜修正することにより、ユーザによって選択された入力画像データを理想的な画像形成条件で印刷を行うことができる。尚、濃度関連条件の補正量を算出した場合に、CPU50bは、算出した補正量(算出量)をRAM50dに格納する。
そして、CPU50bは、RAM50dに確保された展開領域に画像データをビットマップデータとして展開し(S130)、ビットマップデータが示す画像の中に画像の形成条件の補正に適した部分、即ち、濃度センサ40,43を用いて測定するのに適したデータがあるか否かを確認する(S135)。尚、画像の形成条件の補正に適した部分として、画像の形成位置の補正に対しては、上述の測定用画像形成処理と同様に、用紙3の移動方向と交わる方向に沿って形成する直線が該当し、画像の形成濃度の補正に対しては、安定したベタ塗り部分が該当する。つまり、濃度にムラを生じるベタ塗り部分は該当しない(図11参照)。
ここで、画像の形成位置もしくは形成濃度のうちの少なくとも一方を補正するのに適した部分がある場合には、CPU50bは、後述の測定印刷処理を実行したのち、本処理を再度S100に戻す(S140)。
一方、S135にて、適した部分がない場合には、CPU50bは、S125において設定した形成条件を用いて画像の印刷を実行したのち(S145)、変更ステータスフラグが0であるか否かを確認する(S150)。ここで、変更ステータスフラグが0である場合には、本処理を再度S100に戻す一方、変更ステータスフラグが0でない場合(つまり、変更ステータスフラグが1である場合)には、RAM50dに格納した算出量を取得し(S155)、補正による濃度関連条件の変更量が許容範囲内であるか否かを確認する(S160)。尚、本実施形態では、連続して画像を形成する場合に、ユーザーが一目見ただけでは前回形成した画像と次回形成する画像とにおける濃度の差を区別できないような変更量の大きさを許容範囲として設定する。
そして、許容範囲内でない場合には、当該プリンタ1に画像データを入力する外部装置の印刷ジョブが終了したか否かを確認し(S165)、印刷ジョブが終了していない場合には、許容範囲内にて補正した濃度関連条件を新たな濃度関連条件として設定すると共に(S170)、変更ステータスフラグを1に設定して(S175)、本処理を再度S100に戻す。
尚、S160及びS165にて、補正による濃度関連条件の変更量が許容範囲内であったり、当該プリンタ1に画像データを入力する外部装置の印刷ジョブが終了している場合には、算出した補正量分だけ補正した濃度関連条件を新たな濃度関連条件として設定すると共に(S180)、変更ステータスフラグを0に設定して(S185)、本処理を再度S100に戻す。
ここで、図6は、上述の測定印刷処理の流れを示すフローチャートである。
図6に示すように、本処理が起動されると、CPU50bは、まず、画像の印刷を行いながら、濃度センサ43から入力される測定データを取得し(S200)、取得した測定データを内部メモリ50gや外部メモリ90に記憶する(S205)。尚、この際、CPU50bは、測定した時の日時や画像形成条件(現像バイアス)、消耗品情報(現像器の印字枚数)、筐体2の内部の温度、湿度、印字モード、用紙3の種類などの環境パラメータに対応づけて測定データを記憶する。
そして、この測定データの中に位置関連条件の補正に適した位置データがあるか否かを確認し(S210)、ない場合には、後述のS225へ直ちに移行する一方、ある場合には、この位置データに基づいて位置関連条件の補正量を算出し(S215)、補正した位置関連条件を新たな位置関連条件として設定する(S220)。
続いて、測定データの中に濃度関連条件の補正に適した濃度データがあるか否かを確認し(S225)、ない場合には、変更ステータスフラグが0であるか否かを確認する。ここで、変更ステータスフラグが0である場合には、直ちに本処理を終了する一方、変更ステータスフラグが0でない場合(つまり、変更ステータスフラグが1である場合)には、後述のS240に移行する。
一方、S225にて、測定データの中に濃度関連条件の補正に適した濃度データがある場合には、この濃度データに基づいて濃度関連条件の補正量を算出し(S235)、補正による濃度関連条件の変更量が許容範囲内であるか否かを確認する(S240)。但し、上述のS230にて変更ステータスフラグが0でない場合(つまり、変更ステータスフラグが1である場合)には、RAM50dに格納されている算出量に基づいて、変更量が許容範囲内であるか否かを判断する。
そして、変更量が許容範囲内である場合には、算出した補正量分だけ補正した濃度関連条件を新たな濃度関連条件として設定すると共に(S245)、変更ステータスフラグを0に設定して(S250)、本処理を終了する。
一方、変更量が許容範囲内でない場合には、当該プリンタ1に画像データを入力する外部装置の印刷ジョブが終了したか否かを確認し(S255)、終了している場合には、本処理をS245,250に移行したのち、本処理を終了する。
一方、印刷ジョブが終了していない場合には、許容範囲内にて補正した濃度関連条件を新たな濃度関連条件として設定すると共に(S260)、変更ステータスフラグを1に設定して(S265)、本処理を終了する。
以上のように構成された本実施形態のプリンタ1では、外部から入力された画像データの中に画像の位置関連条件や濃度関連条件を補正するのに適した位置データや濃度データが含まれているか否かを確認する。そして、含まれている場合には、形成した画像の形成位置や形成濃度を測定し、この測定データを用いて画像の位置関連条件や濃度関連条件を補正し、これらを新たな位置関連条件や濃度関連条件として設定する。
つまり、本実施形態のプリンタ1では、ユーザーが印刷物として必要とする画像を用紙3に形成するために当該プリンタ1に所望の画像データを入力し、画像形成部5により用紙3に形成された画像の形成位置や形成濃度に基づいて、画像の形成条件を新たに設定するため、従来装置のように、わざわざテストパターンを形成せずとも、画像の形成を適切に行うことができる。
又、本実施形態のプリンタ1では、原色毎に画像の形成位置や形成濃度を測定し、各原色毎の位置関連条件や濃度関連条件を補正し、補正した位置関連条件や濃度関連条件を新たな位置関連条件や濃度関連条件として設定するため、多重色からなる画像を形成する際に、色ズレや濃度のズレを生じることなく、多重色からなる画像を形成することができる。
ここで、本実施形態のプリンタ1では、直線の形成位置を示す位置データを位置関連条件の設定に用いているため、曲線などの他の図形の位置データを用いた場合などに比べて形成位置のズレを容易、且つ、正確に把握できる、つまり、位置関連条件を容易、且つ、正確に設定することができる。
又、本実施形態のプリンタ1では、画像を形成する毎に位置関連条件や濃度関連条件の設定を新たに行うため、前回形成した画像の形成位置や形成濃度にズレが生じていても、次回画像を形成する際には、そのズレを補正できる。
又、本実施形態のプリンタ1では、補正による濃度関連条件の変更量が許容範囲内でなければ、連続して画像を形成する場合に、一定範囲内で補正した濃度関連条件を設定するため、前回形成した画像と次回形成する画像とにおける濃度が大きく異なってしまうことを防止できる。
又、本実施形態のプリンタ1では、日時や筐体2の内部の温度、湿度などといった周囲の環境に対応づけて測定データを内部メモリ50gや外部メモリ90に記憶するため、測定データの取得時に得られる日時や筐体2の内部の温度、湿度などに対応した測定データを取得すれば、周囲の環境状態に応じて画像の形成を適切に行うことができる。
又、本実施形態のプリンタ1では、外部メモリ90が着脱可能に構成されているため、この外部メモリ90をプリンタ1に装着するだけで、プリンタ1に画像の形成を適切に行わせることができる。又、プリンタ1と互換性を有した複数のプリンタとの間でこの外部メモリ90を共用することができるため、あるプリンタにおける測定データを他のプリンタで用いることで、この測定データを他のプリンタにおける画像の形成に反映させて、他のプリンタに画像の形成を適切に行わせることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態では、本発明を4サイクル方式カラーレーザープリンタに適用したが、タンデム方式カラーレーザープリンタに適用しても良い。尚、タンデム方式カラーレーザープリンタは、一般的に、4サイクル方式カラーレーザープリンタのように1つの露光手段を全ての原色で共用するのではなく、各原色毎に露光手段を備えているため、4サイクル方式カラーレーザープリンタのように感光ベルトや中間転写ベルトを駆動するローラや用紙を搬送するローラの回転ムラに起因する形成位置のズレだけでなく、各露光手段の設置位置によるズレも生じる。このため、タンデム方式レーザーカラープリンタに本発明を適用する場合には、感光ベルトや中間転写ベルト、用紙の移動方向に交わる方向に沿った直線の形成位置だけでなく、移動方向に沿った直線の形成位置を測定すれば、上述のズレの度合を正確に把握することができ、位置関連条件を適切に補正することができる。但し、上記実施形態のように濃度センサの測定位置が、感光ベルトや中間転写ベルト、用紙の幅方向の任意の部位(例えば、一端付近や中央付近)に固定されている場合には、必ずしもその測定位置に移動方向に沿った直線が来るとは限らない。そこで、感光ベルトや中間転写ベルト、用紙の移動方向に交わる方向に沿った直線の形成位置と、移動方向に沿った直線の形成位置とを測定する代わりに、移動方向に交わり、且つ、移動方向に対する角度が互いに異なる2つの直線の形成位置を測定しても良い。
又、上記実施形態では、測定データを内部メモリ50g及び外部メモリ90に蓄積させたが、順次上書きしても良い。
又、上記実施形態のプリンタ1は、トナーが交換されたことを認識すると、予め設定された補正量で濃度関連条件を補正するように設定されていても良い。即ち、新たなトナーを使用する際に必要な濃度関連条件の補正量を予め設定しておけば、トナーが交換された直後から、新たなトナーに対応した濃度にて画像の形成を行うことができる(請求項15記載の発明に相当)。
又、上記実施形態のプリンタ1は、トナーが交換されたことを認識すると、予め設定された測定用画像を示す測定用データをCPU50bに供給するように設定されていても良い(請求項16記載の発明に相当)。つまり、濃度を測定するのに適した画像を測定用画像に設定し、この画像データをCPU50bに供給すれば、予め設定された補正量で濃度関連条件を補正する場合と同様の効果を得ることができる。
又、上記実施形態のプリンタ1は、画像形成条件を補正するのに適した画像の特徴が測定できないまま予め設定された設定条件が成立した場合に、画像形成条件を補正するのに適した画像の特徴を含むように設定された測定用画像の画像データをCPU50bに供給するように設定されていても良い。この場合、画像形成条件を設定するために測定すべき画像の特徴が画像データに含まれていなくても、画像形成条件を適切に設定できる。尚、この場合、プリンタ1は、測定用画像を形成する必要が生じた場合にのみ、上述の画像データをCPU50bに供給するように設定されていると良い。つまり、設定条件が成立したにも関わらず、測定すべき画像の特徴が画像データに含まれていなくても、測定用画像を形成する必要がない場合にまで測定用画像を形成してしまうことを防止できる。尚、プリンタ1は、例えば、予め指定された指定期間の到来を設定条件の1つとすれば良い。即ち、指定期間が到来しているにも関わらず、測定すべき画像の特徴が画像データに含まれていなくても、画像形成条件を設定することができる。ここで、上述の指定期間は、例えば、時間的な期間であっても良いし、用紙3に画像を形成した回数であっても良い。
又、上記実施形態では、プリンタ1は、画像の濃度及び形成位置を補正するように設定されていたが、画像の色相やグロス(光沢)、OHPシートなど透明な記録媒体でのヘイズ(透過度)を補正するように設定されていても良い。尚、この場合、濃度センサ43を使用して、画像の色相やグロス、ヘイズを測定すれば良い。例えば、色相を測定する場合には、赤緑青に感度をもつ3色カラーセンサが好適であり、グロス、ヘイズを測定する場合であれば、赤外線センサや単色カラーセンサでも充分である。そして、グロス及びヘイズの補正は、例えば、加熱ローラ27の設定温度を変更して行えば良い。又、濃度及び色相の補正は、電圧印加回路70のバイアス電圧(現像バイアス)、あるいは、露光強度、露光パルス幅を変更するなどして行えば良い。
又、上記実施形態では、プリンタ1は、メモリを着脱可能に構成されていたが、現像器15の収容部とメモリとが一体に構成されていても良い。
又、上記実施形態では、プリンタ1は、重合トナーを用いたが、粉砕トナーを用いても勿論良い。
又、上記実施形態では、濃度センサ40,41,42,43は、その測定位置が感光ベルト22や中間転写ベルト26、用紙3の幅方向の一端付近に固定されていたが、幅方向の中央付近に固定されていても良い。
又、上記実施形態では、濃度センサは、感光ベルト22や中間転写ベルト26、用紙3の幅方向の一部分における現像剤像の濃度を測定するように設定されていたが、幅方向全体における現像剤像の濃度を測定するように設定されていても良い。
又、上記実施形態では、本発明をカラーレーザープリンタに適用したが、モノクロレーザープリンタに適用しても良い。
又、カラーもしくはモノクロのインクジェットプリンタでは、時間の経過に従って、画像の形成に用いるインクの水分が蒸発し、インクの粘度や濃度が上昇するため、レーザープリンタと同様に、テストパターンを形成する必要が生じる。即ち、本発明をインクジェットプリンタに適用しても良い。
1…プリンタ、2…筐体、3…用紙、4…給紙部、5…画像形成部、6…給紙トレイ、7…給紙ローラ、8…搬送ローラ、9…レジストローラ、10…スキャナ部、11…プロセス部、12…転写部、13…転写ローラ、14…定着部、15,15C,15K,15M,15Y…現像器、16…感光部、17…帯電器、18…現像ローラ、19…一次感光ローラ、20…二次感光ローラ、21…三次感光ローラ、22…感光ベルト、23…一次転写ローラ、24…二次転写ローラ、25…三次転写ローラ、26…中間転写ベルト、27…加熱ローラ、28…押圧ローラ、29…搬送ローラ、30…排紙ローラ、33…OPCクリーナ、34,37…ボックス、35,38…一次クリーニングローラ、35a,38a…二次クリーニングローラ、35b,38b…クリーニングブレード、36…ΙTBクリーナ、40,41,42,43…濃度センサ、44…温度センサ、45…湿度センサ、46,47…原点センサ、50…制御部、50a…通信I/F、50b…CPU、50c…ROM、50d…RAM、50e…RTC、50f…バッテリ、50g…内部メモリ、50h…I/O、60,61,62,63,64,65…ドライバ回路、70,71,72,73,74,75,76・・・電圧印加回路、80…メインモータ、81…駆動ギア、82,83,84…駆動機構、85…モータ、86…切替機構、90…外部メモリ。