以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
〈画像形成装置の概略構成〉
図1は、本実施形態の画像形成装置の概略構成を示す図である。この画像形成装置はカラー複写機であり、この図は画像プロセス部、露光部及び搬送ベルトなどの正面図である。
本実施形態の画像形成装置は、各々異なる色(Y,M,C,K)の色成分画像を形成する4個の作像ユニット1Y,1M,1C,1Kが、記録体としての記録用紙2を搬送する搬送ベルト3に沿って一列に配置されたタンデム方式の画像形成プロセス部を備えている。また、作像ユニット1Y,1M,1C,1Kの上方には、K,Cの画像データに基づいて、レーザ光LK,LCを発光して、作像ユニット1K,1Cの感光体ドラムを露光する書込ユニット(露光部)9KCと、M,Yの画像データに基づいて、レーザ光LM,LYを発光して、作像ユニット1M,1Yの感光体ドラムを露光する書込ユニット9MYが配置されている。書込ユニットと作像ユニットが画像形成ユニットを構成する。ここでは、1つの書込ユニットが2色の画像データに基づく書込を行うが、1つの書込ユニットが1色の画像データに基づく書込を行うように構成することもできる。
作像ユニット1K,1C,1M,1Yは、それぞれ像担持体としての感光体ドラム7K,7C,7M,7Yと、感光体ドラム7K,7C,7M,7Yの周囲に配置された帯電器8K,8C,8M,8Yと、現像器10K,10C,10M,10Yと、感光体クリーナ11K,11C,11M,11Yと、転写器12K,12C,12M,12Yと、を備えている。
搬送ベルト3は、駆動回転する駆動ローラ4と従動回転する従動ローラ5との間に架設されており、駆動ローラ4の回転によって、図中矢印の方向(反時計回り)に回転駆動される。搬送ベルト3の下部には、記録用紙2が収納された給紙トレイ6が設けられている。この給紙トレイ6に収納された記録用紙2のうち最上の位置にある記録用紙2が、画像形成時に搬送ベルト3に向けて給紙され、静電吸着によって搬送ベルト3上に吸着される。吸着された記録用紙2は、作像ユニット1Kの位置に搬送され、ここで最初にKの画像形成が行われる。
作像ユニット1Kの感光体ドラム7Kの表面は、帯電器8Kで一様に帯電された後、書込ユニット(露光部)9KCによりK色の画像データに対応したレーザ光LKで露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、現像器10Kで現像され、感光体ドラム7K上にトナー像が形成される。このトナー像は、感光体ドラム7Kと搬送ベルト3上の記録用紙2とが接する位置(転写位置)で、転写器12Kによって記録用紙2に転写され、これによって、記録用紙2上に単色(K色)の画像が形成される。転写が終わった感光体ドラム7Kでは、ドラム表面に残った不要なトナーが感光体クリーナ11Kによってクリーニングされ、次の画像形成に備える。
このように、作像ユニット1Kで単色(K色)が転写された記録用紙2は、搬送ベルト3によって作像ユニット1Cに搬送される。ここでも同様に、感光体ドラム7C上に形成されたC色のトナー像が記録用紙2上に重ねて転写される。記録用紙2は、その後さらに作像ユニット1Mと作像ユニット1Yとに順に搬送され、同様に、形成されたM色とY色のトナー像が記録用紙2に転写され、これによって記録用紙2上にカラー画像が形成されてゆく。そして、作像ユニット1Yを通過してカラー画像が形成された記録用紙2は、搬送ベルト3から剥離され、定着器13で定着された後、排紙される。
このようなタンデム方式の画像形成装置においては、その構成上、各色のトナー画像を記録用紙2上に転写するときの位置合わせ(色ずれ補正)が重要である。各色のトナー画像間の位置ずれには、主走査方向(感光体ドラム7K,7C,7M,7Yの回転軸に平行な方向)のレジストレーションずれ、副走査方向(感光体ドラム7K,7M,7C,7Yの回転軸に垂直な方向)のレジストレーションずれ、主走査倍率ずれ、スキューずれなどがある。
そこで、この画像形成装置では、記録用紙2に対して実際のカラー画像形成動作を行うに先立ち、搬送ベルト3上に位置ずれ検出用パターンを形成し、搬送ベルト3に対向する光電センサ15,16により位置ずれ検出用パターンを検出し、その検出出力に基づいて位置ずれ補正量を算出し、その位置ずれ補正量を用いて、実際の画像形成動作を行うときに各色の位置ずれ補正を行う。
〈位置ずれ検出用パターンと光電センサとの関係〉
図2は、搬送ベルト3上に形成される位置ずれ検出用パターンと光電センサ15,16との関係を示す斜視図である。
搬送ベルト3上に各色の位置ずれ検出用パターン14を各作像ユニット1Y,1M,1C,1Kで形成し、この位置ずれ検出用パターン14を光電センサ15,16で検出する。この図の例では、光電センサ15,16を搬送ベルト3における主走査方向の両端付近に配置し、搬送ベルト3には、各々の光電センサ15,16の配置位置に対応して位置ずれ検出用パターン14が形成されている。
このような位置ずれ検出用パターン14は、搬送ベルト3が同図に示す搬送方向に移動し、光電センサ15,16に対向する位置を順に通過することによって検知される。
光電センサ15,16により、この位置ずれ検出用パターン14が検知されると、その検知結果に基づいて、後述するエンジン制御部内のCPUにより種々の位置ずれ量(主走査倍率ずれ量、主走査レジストレーションずれ量、副走査レジストレーションずれ量、スキューずれ量、歪み量)を算出するための演算処理が行われ、その位置ずれ量から各ずれ成分の補正量が算出される。
〈位置ずれ検出用パターンの構成〉
図3は、本発明の実施形態の画像形成装置が形成する位置ずれ検出用パターン14を示す図である。
1セットの位置ずれ検出用パターン14は、K色,C色,M色,Y色からなる4本の平行なパターンK11,C11,M11,Y11(K21,C21,M21,Y21)と、4本の斜め線のパターンK12,C12,M12,Y12(K22,C22,M22,Y22)を副走査方向に一定間隔に配置したものである。
このような位置ずれ検出用パターン14は、搬送ベルト3の移動方向に沿って繰り返し形成される。位置ずれ検出用パターン14は、サンプル数を多くして誤差による影響を減らすために、光電センサ15,16の位置に合わせて複数セット形成される。
〈書込制御及び色ずれ補正に関連するブロック〉
図4は、本発明の実施形態の画像形成装置における書込制御、及び色ずれ補正に関連するブロックを示す図である。
色ずれ補正に関連するブロックは、光電センサ15,16、プリンタコントローラ111、スキャナコントローラ112、エンジン制御部113、及びK,M,C,Y各色のLD(Laser Diode)制御部106,107,108,109からなる。
光電センサ15,16は、各色間の位置ずれ補正量を取得するために、搬送ベルト3に転写された位置ずれ検出用パターン14を検知し、アナログの検知信号をエンジン制御部113内のパターン検知部121へ送出する。
プリンタコントローラ111は、外部装置(例えば、PC:パーソナルコンピュータ))からネットワークを介して送信された画像データを受信し、受信した画像データをエンジン制御部113内の画像処理部124へ転送する。
スキャナコントローラ112は、図示しないスキャナで読み取った原稿の画像データを取得し、取得した画像データを画像処理部124へ転送する。
エンジン制御部113は、大別すると、パターン検知部121と、CPU(Central Processing nit)122と、RAM(Random Access Memory)123と、画像処理部124と、書込制御部125と、を有する。
パターン検知部121は、光電センサ15,16から出力されたアナログの検知信号を増幅し、デジタルデータへ変換し、変換したデジタルデータをRAM123に格納する。
CPU122は、RAM123に格納されたデジタルデータから位置ずれ量を算出し、算出した位置ずれを補正するための位置ずれ補正量を算出する。ここで、位置ずれ量としては、各色の歪み量、主走査方向の倍率誤差量、主走査方向レジストレーションずれ量及び副走査方向レジストレーションずれ量(以下、主/副レジストずれ量という)、スキューずれ量などがある。また、補正量としては、これらの各種位置ずれ量から算出した各色の歪み補正量、主走査倍率補正量、主走査方向レジストレーション補正量および副走査方向レジストレーション補正量(以下、主/副レジスト補正量という)、スキュー補正量などがある。
また、CPU122は、画像データの解像度、及び算出した各色(Y,M,C,K)の歪み量に基づいて、K色を基準色とした場合、Y色、M色、及びC色の歪みライン量を算出する。さらに、CPU122は、基準色であるK色に対する各色の歪みライン量に基づいて、ラインメモリのライン数を決定する。なお、基準色とは、各色の歪みライン量を算出する際の基準位置となる色であり、この例ではK色を基準色としている。
RAM123は、パターン検知部121からCPU122を介して取得した位置ずれ検出用パターン14のデジタルデータを一時的に記憶する。なお、このRAM123を不揮発性メモリで代替し、不揮発性メモリに位置ずれ検出用パターン14のデジタルデータを記憶する構成としてもよい。
画像処理部124は、プリンタコントローラ111が受信した各画像データ、又はスキャナコントローラ112が取得した各画像データに応じた種々の画像処理を施す。また、画像処理部124は、書込制御部125から送信された各色の副走査タイミング信号(K,M,C,Y)_FSYNC_Nを受信して、各色の主走査ゲート信号(K,M,C,Y)_IPLGATE_N、副走査ゲート信号(K,M,C,Y)_IPFGATE_N、及びこれら同期信号に伴う画像データ(K,M,C,Y)_IPDATA_Nを書込制御部125に送信する。
書込制御部125は、画像処理部124から転送された画像データ(K,M,C,Y)_IPDATA_Nを受け取り、受け取った画像データ(K,M,C,Y)_IPDATA_Nについて各種書込処理を施してLD発光データ(K,M,C,Y)_LDDATAを生成し、それぞれLD制御部106,107,108,109に送信する。
LD制御部106,107,108,109は、書込ユニット9KC,9MY内に備えられ、書込ユニット9KC,9MYによる感光体ドラム7K,7C,7M,7Yへのレーザ光LK,LC,LM,LYの照射を制御するためのものである。
PCから送信された画像データはプリンタコントローラ111で、図示しないスキャナで読み取られた原稿の画像データはスキャナコントローラ112でそれぞれ処理され、エンジン制御部113の画像処理部124に転送される。画像処理部124では、各画像データに応じた種々の画像処理が行われ、各色の画像データに変換されて書込制御部125に転送される。書込制御部125では、各色の印字タイミングを生成し、副走査タイミングに合わせて画像データを受け取り、受け取った画像データに各種書込画像処理を施してLD発光データを生成し、各色のLD制御部106,107,108,109によりLDを発光させ、感光体ドラム上に画像を形成する。
〈書込制御部のブロック図〉
図5は、図4における書込制御部125の内部構成を示すブロック図である。
書込制御部125は、大別すると、K,M,C,Y各色の書込制御部126K,126M,126C,126Yと、入力画像制御部127K,127M,127C,127Yと、ラインメモリ128K,128M,128C,128Yと、を備えている。
入力画像制御部127K,127M,127C,127Yは、画像処理部124から送信された画像データを受け取り、受け取った画像データをラインメモリ128K,128M,128C,128Yに格納し、格納した画像データを順次読み出して各色の書込制御部126K,126M,126C,126Yに転送するものである。
入力画像制御部127K,127M,127C,127Yは、CPU122により算出された歪みライン量に基づいて、各色のラインメモリ128K,128M,128C,128Yへ画像データを格納する。本実施形態では、入力画像制御部127K,127M,127C,127Yは、画像処理部124から1ビット(=2値)の画像データを受信し、受信した画像データを書込制御部126K,126M,126C,126Yに転送する。なお、本実施形態では、2値の画像データを書込制御部126K,126M,126C,126Yに転送しているが、これに限定するものではない。例えば、2値の画像データを4ビットの濃度値(0(=白画素)〜15(=黒画素))を取る画像データに変換して書込制御部126K,126M,126C,126Yに転送してもよい。
ラインメモリ128K,128M,128C,128Yは、画像処理部124から転送された画像データを順次格納するためのメモリである。
基準色であるK色の書込制御部126Kは、書込画像処理部131K、位置ずれ検出用パターン生成部132K、LDデータ出力部133Kを備える。また、他のM,C,Y色の書込制御部126M,126C,126Yは、K色と同様の構成である書込画像処理部131M,131C,131Y、位置ずれ検出用パターン生成部132M,132C,132Y、LDデータ出力部133M,133C,133Yを備える。
なお、図5においては、説明を簡略にするために、図4で説明した各色の主走査ゲート信号(K,M,C,Y)_IPLGATE_Nと副走査ゲート信号(K,M,C,Y)_IPFGATE_N及びこれら同期信号に伴う画像信号(K,M,C,Y)_IPDATA_Nの3信号を合わせて書き込み制御信号(K,M,C,Y)_IPDATA[7:0]_Nと表記している。
書込画像処理部131K,131M,131C,131Yは、ラインメモリ128K,128M,128C,128Yに格納された画像データを用いて各種の画像処理を行うものである。
位置ずれ検出用パターン生成部132K,132M,132C,132Yは、搬送ベルト3上に位置ずれ検出用パターン14を形成するための画像データを生成し、LDデータ出力部133K,133M,133C,133Yに送出する。
LDデータ出力部133K,133M,133C,133Yは、CPU122によって算出された主/副レジストレーション補正量に応じて補正書き込み指令(LD発光データ(K,M,C,Y)_LDDATA)をLD制御部106,107,108,109に送出し、レーザ光照射による書込タイミングのずれを補正する制御を行う。
また、LDデータ出力部133K,133M,133C,133Yは、CPU122によって算出された主走査倍率補正量に応じた画像周波数の変更指令(LD発光データ(K,M,C,Y)_LDDATA)をLD制御部106,107,108,109に送出し、主走査方向の倍率誤差の補正制御を行う。
さらに、LDデータ出力部133K,133M,133C,133Yは、位置ずれ検出用パターン生成部132K,132M,132C,132Yから得られる位置ずれ検出用パターン14を形成するための画像データに基づいて、位置ずれ検出用パターン14を搬送ベルト3上に形成する指令(LD発光データ(K,M,C,Y)_LDDATA)を、LD制御部106,107,108,109に送出する。
また、LDデータ出力部133K,133M,133C,133Yには、出力周波数を非常に細かく設定できるデバイス、例えば電圧制御発信器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)を利用したクロックジェネレータなどが各色について備えている。
ここで、書込制御部126K,126M,126C,126Yによる画像書込処理について詳細に説明する。
まず、K色の画像書込処理について説明する。まず、画像データK_IPDATA[7:0]_Nが、画像処理部124から入力画像制御部127Kに送信される。入力画像制御部127Kは、ラインメモリ128Kに画像データを一時記憶しながら、書込制御部126Kに画像データを送信する。書込制御部126K内部では、書込画像処理部131Kが、入力画像制御部127Kから送信された画像データをLDデータ出力部133Kに送信する。LDデータ出力部133Kは、K色書込LD発光データK_LDDATAを生成し、LD制御部106に送信する。
なお、位置ずれ検出用パターン14を出力する際には、位置ずれ検出用パターン生成部132K,132M,132C,132YからK,M,C,Y各色の位置ずれ検出用パターンの画像データが各色のLDデータ出力部133K,133M,133C,133Yに送信される。その後は、上記の説明と同様の動作を行う。
〈エンジン制御部及び書込ユニットのブロック図〉
図6は、図4におけるエンジン制御部、及び図1における書込ユニットのブロック図である。
K色及びC色の書込ユニット9KCと、M色及びY色の書込ユニット9MYが別に構成されている。ユニット毎の温度を検知するため、書込ユニット9KCにサーミスタ1010、書込ユニット9MYにサーミスタ1011が搭載されている。
CPU122はAD変換器1100を搭載し、サーミスタ1010、サーミスタ1011が検知したアナログ検知信号をAD変換器1100でデジタルデータに変換し、変換したデジタルデータをRAM123に格納する。
RAM123は、サーミスタ1010、サーミスタ1011からCPU122を介して取得した温度情報のデジタルデータを一時的に記憶する。なお、このRAM123を不揮発性メモリで代替し、不揮発性メモリに温度情報のデジタルデータを記憶する構成としてもよい。
〈書込ユニットの機械的構成〉
図7は、図1における書込ユニット9KCの機械的構成を示す主走査方向の断面図である。ここで、図7Aは上方から見た図であり、図7Bは側面側から見た図である。
書込ユニット9KCは、K用LD201、C用LD202、K用fθレンズ203、C用fθレンズ204、ポリゴンミラー205、ハウジング206、K用反射ミラー207、C用反射ミラー208、サーミスタ1010からなる。
K用LD201及びC用LD202は光ビームを放射する光源であり、例えば半導体レーザからなるレーザ発光部とコリメーターレンズを有する。K用LD201及びC用LD202は、副走査断面内において異なる角度で、偏向手段であるポリゴンミラー205の同一の偏向面に対して光ビームを発する。
K用fθレンズ203及びC用fθレンズ204からなる2つのfθレンズは、2つの光源であるK用LD201及びC用LD202から放射される光ビームに対応して、K用fθレンズ203が下段に、C用fθレンズ204が上段に配置されている。
ポリゴンミラー205で偏向反射された光ビームを被走査面の異なる位置にそれぞれ結像させる。ポリゴンミラー205は、光源であるK用LD201及びC用LD202から入射した光ビームを偏向面で反射させ、K用fθレンズ203、C用fθレンズ204へ放射する。
つまり、K用LD201及びC用LD202から入射した光ビームを同一の偏向面で反射させ、それぞれによる光ビームをK用fθレンズ203及びC用fθレンズ204へ放射する。また、ポリゴンミラー205は、駆動手段としてのモータ(不図示)により、例えば図の反時計回りに所定の速度で回転する。
ハウジング206は、走査光学装置を構成する諸装置を収容する。K用反射ミラー207及びC用反射ミラー208は、ポリゴンミラー205で偏向反射され、K用fθレンズ203及びC用fθレンズ204を通過したそれぞれの光ビームを、被走査面上の異なる露光位置へ結像させるべく反射させる。
K用光ビーム211は、K用LD201から放出され、ポリゴンミラー205に入射し、そこで偏向反射され、K用fθレンズ203を介して、対応するK用反射ミラー207で反射され、被走査面上で走査する。C用光ビーム212も、ポリゴンミラー205、C用fθレンズ204、C用反射ミラー208を介して同様に走査する。
〈位置ずれ補正量取得処理〉
図8は、本発明の実施形態の画像形成装置における位置ずれ補正量取得処理のフローチャートである。この処理は、エンジン制御部113のCPU122により統括的に実行される。
位置ずれの補正量の取得処理が開始されると、サーミスタ1010,1011の温度検出結果に応じて基準色を決定する(ステップS1)。このステップの詳細については後述する。
次に各色の位置ずれ検出用パターン生成部132K,132M,132C,132Yで生成した画像データを基に位置ずれ検出用パターン14が搬送ベルト3上に形成される(ステップS2)。次いで、光電センサ15,16によって、搬送ベルト3上の位置ずれ検出用パターン14が検知される(ステップS3)。
その後、パターン検知部121において、光電センサ15,16による位置ずれ検出用パターン14の検知信号がデジタルデータへと変換された後、CPU122によって、デジタルデータから、ステップS1で決定した基準色に対する主走査倍率補正量と、主/副レジスト補正量とが算出される(ステップS4)。
また、CPU122によって、基準色に対する各色のスキュー量が算出され(ステップS5)、さらに、スキュー補正を行うためのスキュー補正量が算出される(ステップS6)。
そして、CPU122によって、算出した主走査倍率補正量、主/副レジスト補正量、スキュー補正量を含む補正量をRAM123などのメモリに保存し、位置ずれ補正量取得処理が終了する(ステップS7)。
以上のようにして、主走査倍率補正量、主/副レジスト補正量、スキュー補正量がRAM123に保存されると、印刷処理が行われる。ここで、RAM123に保存した補正量は、次回の位置ずれ補正量取得処理が行われるまで、印刷時の補正量として使用される。
なお、この図の処理では、位置ずれの補正量の算出処理が開始されると、まず温度検出結果に応じて基準色を決定しているが、基準色を決定するタイミングはこれに限定されるものではなく、各補正量算出(ステップS4)の前であればよい。
〈印刷処理〉
図9は、本発明の実施形態の画像形成装置における印刷処理のフローチャートである。この処理は、エンジン制御部114のCPU122により統括的に実行される。
印刷処理が開始されると、書込制御部125は、RAM123に保存された主走査倍率補正量に基づき、K,M,C,Y各色の画素クロック周波数を設定する(ステップS11)。次いで、書込制御部125は、RAM123に保存された主レジスト補正量に基づいて、各色の主走査遅延量を設定し(ステップS12)、さらに、RAM123に保存された副レジスト補正量に基づいて、各色の副走査遅延量を設定する(ステップS13)。
その後、書込制御部125は、RAM123に保存された各色のスキュー補正量と階調数情報に基づいて、基準色に対する各色のスキュー補正量を設定する(ステップS14)。そして、書込制御部125は、設定されたK,M,C,Y各色の主走査画素クロック周波数、主走査遅延量、副走査遅延量、スキュー補正量に基づいて位置ずれ補正を実行しながら印刷動作を開始し、印刷処理が終了する(ステップS15)。
なお、主走査方向の位置ずれ補正は、主走査倍率と主走査方向の書き出しタイミングを補正することによって行われる。また、主走査倍率補正は、書込制御部125で検出した各色の倍率誤差量に基づく画像周波数を変更することによって行う。また、主走査方向の書き出しタイミングは、各色の同期検知信号をトリガにして動作する主走査カウンタのどの位置からLDがデータを出力するかによって調整を行う。さらに、副走査方向の色ずれ補正は、書込制御部125が副走査方向の書き出しタイミングを補正することで行う。
〈副走査方向の書き出しタイミング補正〉
図10は、本発明の実施形態の画像形成装置における副走査方向の書き出しタイミングの補正、即ち図9のステップS15における副走査方向の書き出しタイミングの補正について説明するための図である。
書込制御部125は、CPU122からのスタート信号STTRIG_Nを基準として、ライン数をカウントし、画像処理部124に対して副走査タイミング信号(K,C,M,Y)_FSYNC_Nを送信する。
その後、画像処理部124では、副走査タイミング信号(K,C,M,Y)_FSYNC_Nの受信をトリガにして、副走査ゲート信号(K,C,M,Y)_IPFGATE_Nを書込制御部125に送信し、さらに画像データ(K,C,M,Y)_IPDATA[7:0]_Nを送信する。そして、各色の書込制御部126K,126C,126M,126Yでは、LD発光データ(K,C,M,Y)_LDDATAをLD制御部106,107,108,109に送信する。
なお、副走査方向の位置ずれを補正する場合には、スタート信号からの副走査遅延量(K,C,M,Y)_mfcntldを、検知した位置ずれ量に応じて変更する。基準色からの位置ずれ量を基準色以外の各色の副走査遅延量(K,C,M,Y)_mfcntldに反映して、副走査タイミング信号(K,C,M,Y)_FSYNC_Nのタイミングを変更して副走査方向の色ずれの補正を行う。
〈印刷動作と書込ユニット間の温度差との関係〉
図11は、本発明の実施形態の画像形成装置における印刷動作と書込ユニット間の温度差との関係を示す図である。ここで、横軸は時間を表し、縦軸は温度を表す。また、カラー、モノクロは、カラー印刷、モノクロ印刷を意味し、K,Cが付与された直線、M,Yが付与されは折れ線は、それぞれサーミスタ1010,1011により測定された書込ユニット9KC,9MYの温度である。
初めにカラー印刷を実施したときの書込ユニット9KC、書込ユニット9MYのポリゴンモータは両方とも回転するので、両方の書込ユニットの温度が上昇する。また、ポリゴンモータの熱と同時に定着器からの熱の影響も受けるため、図1の定着器13により近い書込ユニット9MYが定着器からの熱の影響を大きく受け、書込ユニット9KCに対して温度勾配が急に立ち上がる。このため、書込ユニット9MYの方が温度が高くなる。
次にモノクロ印刷を行うとき、書込ユニット9KCのポリゴンモータが回転するため、書込ユニット9KCの温度はさらに上昇する。一方、書込ユニット9MYのポリゴンモータは停止するので、書込ユニット9MYは定着の熱の影響を受けつつも温度が低下し次第に書込ユニット9KCの温度の方が高くなる。
次にカラー印刷を行う場合、書込ユニット9KCの温度は上昇するが、書込ユニット9MYについては、モノクロ印刷時に低下した温度から書込ユニット9KC以上に定着の熱の影響を受けることで、温度勾配が急に立ち上がりながら温度が上昇し、次第に書込ユニット9KCより温度が高くなる。
次にモノクロ印刷を行う場合、書込ユニット9MYの温度は低下し、次第に書込ユニット9KCの温度の方が高くなる。
このように、カラー・モノクロ印刷を繰り返し実行すると、書込ユニット9KC,9MY間の温度差が大きくなることがある。またカラー・モノクロ印刷を繰り返し実行した場合程ではないが、カラー印刷を繰り返すだけでも定着器からの熱の影響を受けることで、書込ユニット9KCと書込ユニット9MYでは温度勾配が異なるため、書込ユニット間の温度差が大きくなることがある。
温度差が大きいと、ドット形成位置への影響が大きいため、ある程度、書込ユニット間の温度差が大きい場合に位置ずれ補正量取得処理を実行することで、適切に色ずれ補正を行うことができる。またレンズの特性などにより温度が常温に対して大きく離れれば、ドット形成位置への影響が大きいため、温度が常温に近い色を基準色として位置ずれ補正量取得処理を実行することで画像全体の色ずれを低減することができる。
〈位置ずれ補正量取得処理の実行条件〉
図12は、本発明の実施形態の画像形成装置における位置ずれ補正量取得処理の実行条件を説明するためのフローチャートである。このフローは、エンジン制御部113により統括的に実行される。
このフローにおいて、書込ユニット9KCの前回の位置ずれ補正量取得処理実行時の温度をf_kc1、現在の温度をf_kc2、書込ユニット9MYの前回の位置ずれ補正量取得処理実行時の温度をf_my1、現在の温度をf_my2とする。
処理を開始すると、まず現在温度と前回の位置ずれ補正量取得処理実行時の温度との差を下記の式〔1〕、〔2〕により求める(ステップS21)。
Δf_kc=f_kc2−f_kc1 …式〔1〕
Δf_my=f_my2−f_my1 …式〔2〕
次に書込ユニット9KCの温度差と書込ユニット9MYの温度差の差分の絶対値を下記の式〔3〕により算出し、その値が所定量:F以上であるか否かを判定する(ステップS22)。
|Δf_kc−Δf_my| …式〔3〕
判定の結果、差分の絶対値が所定量:Fより小さい場合(ステップS22:NO)、温度差を算出する。一方、差分の絶対値が所定量:F以上の場合(ステップS22:YES)、次の印刷設定がカラーかモノクロかを判定する(ステップS23)。判定の結果、印刷設定がモノクロの場合(ステップS23:モノクロ)、温度差を再度検出する。印刷設定がカラーの場合(ステップS23:カラー)、前述した位置ずれ補正量取得処理(図8)を実行する(ステップS24)。
次に下記の式〔4〕、〔5〕により、現在の測定温度を前回の測定温度とし(ステップS25)、位置ずれ補正量取得処理を終了する。
f_kc1=f_kc2 …式〔4〕
f_my1=f_my2 …式〔5〕
なお、この図のフローでは、前回の位置ずれ補正量取得処理実行時の温度と現在温度を使用して実行条件の判定処理を行っているが、現在の温度のみを使用して判定処理を行っても良い。
〈基準色の決定手順〉
図13は、本発明の実施形態の画像形成装置における基準色の決定手順の一例を示すフローチャートであり、図14は、発明の実施形態の画像形成装置における基準色の決定手順の別の一例を示すフローチャートである。これらは図8のステップS1の詳細なフローである。これらのフローはエンジン制御部113により統括的に実行される。これらのフローにおいて、書込ユニット9KCの現在の温度をf_kc2、書込ユニットMYの現在の温度をf_my2、常温をf_0とする。
まず図13に示すフローチャートについて説明する。
処理を開始すると、まず書込ユニット9KC、書込ユニット9MYそれぞれの現在温度と常温との温度差の絶対値を求め、書込ユニット9KCにおける温度差の絶対値が書込ユニット9MYにおける温度差の絶対値より大きいか否かを判定する(ステップS31)。
判定の結果、書込ユニット9KCにおける温度差の絶対値が書込ユニット9MYにおける温度差の絶対値より大きい場合(ステップS31:YES)、Mを基準色に決定し(ステップS32)、処理を終了する。一方、書込ユニット9KCにおける温度差の絶対値が書込ユニット9MYにおける温度差の絶対値以下の場合(ステップS31:NO)、Kを基準色に決定し(ステップS33)、処理を終了する。
なお、ここではf_0を常温としたが、所定の温度(工程でチェックしたときの温度など)としてもよい。また、ここではM、Kの2色の内から基準色を決定する構成を例として挙げたが、サーミスタを色分毎に取り付ける構成とし、Y,M,C,Kの4色から基準色を選択するように構成してもよい。さらに、現在温度を連続印刷枚数に基づいて推定してもよい。
次に図14に示すフローチャートについて説明する。このフローは、現在の温度と常温の温度差の絶対値が所定の閾値を超えるときのみ基準色を切り替える場合の基準色の決定手順である。
処理を開始すると、まず、f_kc2とf_0の差の絶対値、及びf_my2とf_0の差の絶対値を算出し、それらの少なくとも一方が所定量:Gより大きいか否かを判定する(ステップS41)。
判定の結果、f_kc2とf_0の差の絶対値、及びf_my2とf_0の差の絶対値がともに所定量:G以下の場合(ステップS41:NO)、そのまま処理を終了する。一方、f_kc2とf_0の差の絶対値、或いはf_my2とf_0の差の絶対値が所定量:Gより大きい場合は(ステップS41:YES)、f_kc2とf_0の差の絶対値がf_my2とf_0の差の絶対値より大きいか否かを判定する(ステップS42)。
ステップS42における判定の結果、f_kc2とf_0の差の絶対値がf_my2とf_0の差の絶対値より大きい場合(ステップS42:YES)、Mを基準色に決定し(ステップS43)、処理を終了する。ステップS42における判定の結果、f_kc2とf_0の差の絶対値がf_my2とf_0の差の絶対値以下の場合(ステップS42:NO)、基準色をKに決定し(ステップS44)、処理を終了する。
なお、ここではf_kc2とf_0の差の絶対値、及びf_my2とf_0の差の絶対値の双方を共通の所定量:Gと比較しているが、所定量を別にしてもよい。また、図13の場合と同様、Y,M,C,Kの4色から基準色を選択するように構成したり、現在温度を連続印刷枚数に基づいて推定したりしてもよい。