しかしながら、主走査方向の位置ずれは、サイドレジずれを補正するだけでは十分ではない。例えば、画像形成装置の動作による温度上昇や外部気温変動など環境影響により、主走査方向の走査線の書き終わり位置又は印字幅(以下、倍率という)が変動する場合があり、この倍率変動によっても、各原画像の重ね合わせ時における位置ズレが生じるため、倍率変動も補正する必要がある。
ここで、この倍率変動について、図21を用いて具体的に説明する。
図22は、光ビームによって静電潜像を形成するための露光装置(ROS)300の概略構成を示した図である。ROS300には、光ビームを出射する半導体レーザ302、前記半導体レーザ300から出射された光ビームを平行光にするコリメータレンズ304、及びコリメータレンズ304を介した光ビームを偏向させる回転多面鏡306が備えられている。図示しない走査回転モータが回転することで、回転多面鏡306が矢印Aの方向に回転し、コリメータレンズ304を介して回転多面鏡306に入射したレーザ光は、前記回転多面鏡306周面の反射面によって反射され、fθレンズ308を介して、感光体310に照射される。感光体310の左側端部にはSOSセンサ312が設けられ、右側端部にはEOSセンサ314が設けられている。走査レーザ光がSOSセンサ312上、EOSセンサ314上のそれぞれを通過すると、走査レーザ光を検知したことを示すSOS信号、EOS信号がそれぞれ出力される。画像データである印字イメージデータは、SOSセンサ312からSOS信号が出力されたタイミングから一定時間経過後に出力される。
ここで、画像形成装置の内部の温度が上昇すると、レーザ光を出射する半導体レーザ302の温度も上昇する。これにともない、半導体レーザ302から出射されるレーザ光の波長が変化する。fθレンズ308は、入射するレーザ光の波長に応じて屈折率が変化するという特性を持っているため、波長が変化したレーザ光が前記fθレンズ308に入射すると、通常の場合(図22の実線)に比べてレーザ光が屈折してしまう(図22の破線)。この結果、通常の場合よりも広い走査幅でレーザ光が走査される。このような状態のまま画像を印字してしまうと、SOSセンサ312におけるSOS信号の出力のタイミングが変動するだけでなく、画像が主走査方向に伸びた状態で形成されてしてしまう。
また、画像形成装置の内部の温度が低下すると、逆に、通常の場合よりも狭い走査幅でレーザビームを走査してしまう(図22の一点鎖線)。すなわち、画像が縮んでしまう。
Y、M、C、Kの各半導体レーザは、特に熱源となる定着器からの距離が各々異なるため、図23に示されるように、定着器近傍に設けられた温度センサにより計測された温度上昇に対する、Y、M、C、Kの各半導体レーザの倍率変動による位置ずれ量(MAG)が各々異なってしまう。これにより各原画像の重ね合わせたときに位置ズレが生じるため、通常は、光ビームに対応する画像信号を出力する際に、画像信号の出力周波数の変更や、画像信号の出力クロックの位相シフト等を行って倍率の補正を行っている。
しかしながら、上記特許文献1に示されるような従来の画像形成装置は、倍率変動については全く考慮されておらず、倍率変動分がサイドレジ変動として補正されてしまい、逆に過補正となる場合もあり、画質が劣化する場合もある。
この点について、以下、図を参照しながら詳細に説明する。
図24は、走査方向が相反するC色及びM色について、各色の走査倍率の変動が同じ場合に上記従来の画像形成装置で位置ずれを補正したときの補正状態を示す説明図である。
図24(A)は、C色とM色の2色間で位置ずれが無い状態を示している。ここで図24(B)に示されるように、C色とM色の2色に同量の倍率変動が発生した場合に、従来の画像形成装置では倍率変動がサイドレジ変動として検知され、サイドレジ変動として補正される。すなわち、従来の画像形成装置では、M色のSOS信号からEOS信号の出力時間間隔の変動DMT_MAGがそのままM色の補正すべきズレ量として補正に用いられるため、補正結果として図24(C)のようにC色の書き終わり位置とM色の書き出し位置とが一致し、かつC色の書き出し位置とM色の書き終わり位置とが一致する状態になる。この例では、M色の倍率変動DTM_MAG=C色の倍率変動DTC_MAGであるため、倍率変動がサイドレジ変動として補正されても、位置ずれは解消される。
図25は、走査方向が相反するC色及びM色について、各色の走査倍率の変動が異なる場合に上記従来の画像形成装置で位置ずれを補正したときの補正状態を示す説明図である。
図25(A)は、C色とM色の2色間で位置ずれが無い状態を示している。ここで図25(B)に示されるようにC色とM色の2色に異なる量の倍率変動が発生した場合に、従来の画像形成装置で補正すると、M色のSOS信号からEOS信号の出力時間間隔の変動DMT_MAGがそのままM色の補正すべきズレ量として補正に用いられるため、この例では、M色の倍率変動DTM_MAGはC色の倍率変動DTC_MAGよりも大きく、位置ずれは解消されない。結果として図25(C)のようにC色の書き終わり位置とM色の書き出し位置とが一致せず、位置ずれが発生する。また、仮にこの状態でM色の倍率をC色の倍率に合わせるために倍率補正を行おうとしても、M色の書き出し位置が過剰補正されているため、倍率補正によりM色の走査開始側から走査終了側に向かって画像が伸びて(倍率補正では、書き終わり位置側ほど変位量が大きくなる)C色の書き出し位置とM色の書き終わり位置とが位置ずれし、更に画質が劣化する。
一般に、カラー画像形成装置は複数の光源を備えるため、装置自体が大きくなり、露光装置周辺の温度分布の差が大きくなる。特に、熱源である定着器に近い部位と定着器から離れた部位とでは温度差がより大きくなるため、半導体レーザの配置場所によっては倍率変動量に大きな差が生じてしまう。このため、倍率変動差による補正量の誤検知は、無視できない量となる。
また、レーザ光の反射ミラーの微小な位置変動が生じる場合においても、半導体レーザの波長変動同様に、倍率変動差を生じてしまうため、定着器に近い部位と定着器から離れた部位とでは、さらに、倍率差が発生することになる。
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、サイドレジ変動による位置ずれだけでなく倍率変動による位置ずれも補正して、高品質な画像を形成することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために第1の発明の画像形成装置は、複数の光源、複数の画像担持体、及び所定方向に回転する回転多面鏡を備え、複数の異なる画像信号に基づいて変調され前記光源の各々から出射された光ビームを、前記回転多面鏡によって偏向して、前記画像信号の各々に対応する前記画像担持体の各々に対して、前記複数の光源のうち所定の光源から出射された光ビームを第1の主走査方向へ走査すると共に、前記所定の光源を除く他の光源から出射された光ビームを前記第1の主走査方向と逆方向の第2の主走査方向へ走査することにより、前記画像信号の各々に対応した前記画像担持体の各々にそれぞれ異なる原画像を形成し、該各原画像を同一の転写領域に多重転写して画像を形成する画像形成装置において、前記第1及び第2の主走査方向への光ビームを検出することで該光ビームの走査開始位置を示す走査開始信号を出力する走査開始位置検出手段と、前記第2の主走査方向への光ビームを検出することで該光ビームの走査終了位置を示す走査終了信号を出力する走査終了位置検出手段と、前記画像担持体の各々に形成される原画像の倍率変動を検出する倍率検出手段と、前記倍率検出手段で検出された倍率変動に基づいて、倍率誤差を算出する倍率誤差算出手段と、前記走査開始信号、前記走査終了信号、及び前記倍率誤差に基づいて、前記画像担持体の各々に形成される原画像の主走査方向の両端が揃うように制御する制御手段と、を備えている。
第1の発明の画像形成装置では、第1及び第2の主走査方向への光ビームについては該光ビームの走査開始位置を示す走査開始信号が出力され、第2の主走査方向への光ビームについては更に該光ビームの走査終了位置を示す走査終了信号が出力される。
更に、倍率検出手段により同一の転写領域に形成された原画像の倍率変動が検出され、倍率誤差算出手段により該倍率変動に基づいて倍率誤差が算出される。制御手段は、走査開始信号、走査終了信号、及び倍率誤差に基づいて、各画像担持体に形成される原画像の主走査方向の両端が揃うように制御する。
これにより、サイドレジ変動による位置ずれだけでなく倍率変動による位置ずれも補正して、高品質な画像を形成することができる。
なお、上記転写領域は、中間転写体上の領域であってもよいし、記録媒体上の領域であってもよい。
また、前記制御手段は、前記走査開始信号に基づいて、同方向に走査する光ビームによる各原画像の書き出し位置が揃うように制御し、前記第2の主走査方向へ走査する光ビームの走査開始信号、前記第2の主走査方向へ走査する光ビームの走査終了信号、及び前記倍率誤差に基づいて、前記第1の主走査方向へ走査する光ビームによる原画像の書き終わり位置と前記第2の主走査方向へ走査する光ビームによる原画像の書き出し位置とが揃うように制御し、かつ、前記倍率誤差に基づいて前記原画像の倍率を補正することにより、前記画像担持体の各々に形成される原画像の主走査方向の両端が揃うように制御することができる。
通常、画像信号の周波数制御や位相シフトなどにより倍率補正を行うと、書き出し側から書き終わり側に向かって原画像が伸びる(または縮む)ように補正される(倍率補正は、走査終了端部ほど、変位量が大きくなる)。従って、同方向に走査する光ビーム間の補正については、基準側の光ビーム(第1の主走査方向へ走査する光ビーム)の書き出し位置に被基準側の光ビーム(第2の主走査方向へ走査する光ビーム)書き出し位置を揃えれば、被基準側の原画像の倍率を補正したときに、各原画像の書き終わり位置を揃えることができる。
また、異なる方向に走査する光ビーム間の補正については、基準側の光ビーム(第1の主走査方向へ走査する光ビーム)の書き終わり位置と、該基準側の光ビームと逆方向に走査する被基準側の光ビーム(第2の主走査方向へ走査する光ビーム)の書き出し位置とを揃えることにより、被基準側の原画像の倍率を補正したときに、双方の原画像の両端を揃えることができる。
なお、倍率補正については、倍率誤差算出手段で算出された倍率誤差に基づいて行うため、容易に倍率補正を行うことができる。倍率補正の方法は特に限定されず、例えば、画像信号の出力周波数の変更を行って倍率補正してもよいし、画像信号の出力クロックの位相シフトを行って倍率補正してもよい。
また、前記倍率検出手段は、前記第1及び第2の主走査方向への走査により同一の転写領域に形成された複数の位置ずれ検出パターンから位置ずれ量を検出する位置ずれ検出手段を備え、前記位置ずれ検出手段で検出された位置ずれ量に基づいて、前記画像担持体の各々に形成される原画像の倍率変動を検出することができる。
これにより、容易に各原画像の倍率変動を検出することができる。
なお、位置ずれ検出パターンが形成される転写領域は、中間転写体上の領域であってもよいし、記録媒体上の領域であってもよい。
また、前記倍率検出手段は、装置内の温度を検出する温度検出手段を備え、前記温度検出手段で検出された温度に基づいて、前記画像担持体の各々に形成される原画像の倍率変動を検出することができる。
倍率は、温度に応じて変動するため、温度を検出する温度検出手段を備えることで、温度変動に応じた倍率補正を行うことができる。
なお、温度検知手段で検出された温度に基いて倍率補正を行う場合には、画像形成動作を停止する必要が無いため、検出パターンを形成して倍率変動を検出する方法に比べて生産性よく、良好な画像を得ることができる。
また、第1の発明の画像形成装置は、前記第1の主走査方向への走査開始位置を示す走査開始信号を出力する走査開始位置検出手段に対して前記回転多面鏡により偏向された光ビームを反射して該光ビームを入射させる反射面と、前記第2の主走査方向への走査終了位置を示す走査終了信号を出力する走査終了位置検出手段に対して前記回転多面鏡により偏向された光ビームを反射して該光ビームを入射させる反射面とを、1つの基板に設けた又は一体形成した反射手段を更に備えた構成とすることができる。
このような構成により、反射手段の位置変動(サイドレジ変動)が生じた場合には、第1の主走査方向への走査開始信号と第2の主走査方向への走査終了信号の出力タイミングが同量だけ変動するため、各画像担持体に形成される原画像の書き出し位置及び書き終わり位置が揃うように容易に制御することができる。
また、第2の発明の画像形成装置は、複数の光源、複数の画像担持体、及び所定方向に回転する回転多面鏡を備え、複数の異なる画像信号に基づいて変調され前記光源の各々から出射された光ビームを、前記回転多面鏡によって偏向して、前記画像信号の各々に対応する前記画像担持体の各々に対して、前記複数の光源のうち所定の光源から出射された光ビームを第1の主走査方向へ走査すると共に、前記所定の光源を除く他の光源から出射された光ビームを前記第1の主走査方向と逆方向の第2の主走査方向へ走査することにより、前記画像信号の各々に対応した前記画像担持体の各々にそれぞれ異なる原画像を形成し、該各原画像を同一の転写領域に多重転写して画像を形成する画像形成装置において、前記第1及び第2の主走査方向への光ビームを検出することで該光ビームの走査開始位置を示す走査開始信号を出力する走査開始位置検出手段と、前記第1の主走査方向への光ビームを検出することで該光ビームの走査終了位置を示す走査終了信号を出力する走査終了位置検出手段と、前記画像担持体の各々に形成される原画像の倍率変動を検出する倍率検出手段と、前記倍率検出手段で検出された倍率変動に基づいて、倍率誤差を算出する倍率誤差算出手段と、前記走査開始信号、前記走査終了信号、及び前記倍率誤差に基づいて、前記画像担持体の各々に形成される原画像の主走査方向の両端が揃うように制御する制御手段と、を備えている。
第2の発明の画像形成装置では、第1及び第2の主走査方向への光ビームについては該光ビームの走査開始位置を示す走査開始信号が出力され、第1の主走査方向への光ビームについては更に該光ビームの走査終了位置を示す走査終了信号が出力される。
更に、倍率検出手段により同一の転写領域に形成された原画像の倍率変動が検出され、倍率誤差算出手段により該倍率変動に基づいて倍率誤差が算出される。制御手段は、走査開始信号、走査終了信号、及び倍率誤差に基づいて、各画像担持体に形成される原画像の主走査方向の両端が揃うように制御する。
これにより、サイドレジ変動による位置ずれだけでなく倍率変動による位置ずれも補正して、高品質な画像を形成することができる。
なお、上記転写領域は、中間転写体上の領域であってもよいし、記録媒体上の領域であってもよい。
また、前記制御手段は、前記走査開始信号に基づいて、同方向に走査する光ビームによる各原画像の書き出し位置が揃うように制御し、前記第1の主走査方向へ走査する光ビームの走査開始信号及び走査終了信号に基づいて、前記第1の主走査方向へ走査する光ビームによる原画像の書き終わり位置と前記第2の主走査方向へ走査する光ビームによる原画像の書き出し位置とが揃うように制御し、かつ、前記倍率誤差に基づいて前記原画像の倍率を補正することにより、前記画像担持体の各々に形成される原画像の主走査方向の両端が揃うように制御することができる。
前述したように、倍率補正を行うと、書き出し側から書き終わり側に向かって原画像が伸びる(または縮む)ように補正される。従って、同方向に走査する光ビーム間の補正については、基準側の光ビーム(第1の主走査方向へ走査する光ビーム)の書き出し位置に被基準側の光ビーム(第2の主走査方向へ走査する光ビーム)書き出し位置を揃えれば、被基準側の原画像の倍率を補正したときに、各原画像の書き終わり位置を揃えることができる。また、異なる方向に走査する光ビーム間の補正については、基準側の光ビーム(第1の主走査方向へ走査する光ビーム)の書き終わり位置と、該基準側の光ビームと逆方向に走査する被基準側の光ビーム(第2の主走査方向へ走査する光ビーム)の書き出し位置とを揃えることにより、被基準側の原画像の倍率を補正したときに、双方の原画像の両端を揃えることができる。
なお、倍率補正については、倍率誤差算出手段で算出された倍率誤差に基づいて行うため、容易に倍率補正を行うことができる。倍率補正の方法は特に限定されず、例えば、画像信号の出力周波数の変更を行って倍率補正してもよいし、画像信号の出力クロックの位相シフトを行って倍率補正してもよい。
上記第2の発明の画像形成装置は、前記第2の主走査方向への走査開始位置を示す走査開始信号を出力する走査開始位置検出手段に対して前記回転多面鏡により偏向された光ビームを反射して該光ビームを入射させる反射面と、前記第1の主走査方向への走査終了位置を示す走査終了信号を出力する走査終了位置検出手段に対して前記回転多面鏡により偏向された光ビームを反射して該光ビームを入射させる反射面とを、1つの基板に設けた又は一体形成した反射手段を更に備えることができる。
このような構成により、反射手段の位置変動(サイドレジ変動)が生じた場合には、第2の主走査方向への走査開始信号と第1の主走査方向への走査終了信号の出力タイミングが同量だけ変動するため、各画像担持体に形成される原画像の書き出し位置及び書き終わり位置が揃うように容易に制御することができる。
また、第3の発明の画像形成装置は、複数の光源、複数の画像担持体、及び所定方向に回転する回転多面鏡を備え、複数の異なる画像信号に基づいて変調され前記光源の各々から出射された光ビームを、前記回転多面鏡によって偏向して、前記画像信号の各々に対応する前記画像担持体の各々に対して、前記複数の光源のうち所定の光源から出射された光ビームを第1の主走査方向へ走査すると共に、前記所定の光源を除く他の光源から出射された光ビームを前記第1の主走査方向と逆方向の第2の主走査方向へ走査することにより、前記画像信号の各々に対応した前記画像担持体の各々にそれぞれ異なる原画像を形成し、該各原画像を同一の転写領域に多重転写して画像を形成する画像形成装置において、前記第1及び第2の主走査方向への光ビームを検出することで該光ビームの走査開始位置を示す走査開始信号を出力する走査開始位置検出手段と、前記第1の及び第2の主走査方向への光ビームを検出することで該光ビームの走査終了位置を示す走査終了信号を出力する走査終了位置検出手段と、前記走査開始信号及び前記走査終了信号に基づいて、前記画像担持体の各々に形成される原画像の主走査方向の両端が揃うように制御する制御手段と、を備えている。
第3の発明の画像形成装置では、第1及び第2の主走査方向への各光ビームについて、該光ビームの走査開始位置を示す走査開始信号及び該光ビームの走査終了位置を示す走査終了信号が出力される。
制御手段は、走査開始信号及び走査終了信号に基づいて、各画像担持体に形成される原画像の主走査方向の両端が揃うように制御する。
これにより、サイドレジ変動による位置ずれだけでなく倍率変動による位置ずれも補正して、高品質な画像を形成することができる。
また、前記制御手段は、前記走査開始信号に基づいて、同方向に走査する光ビームによる各原画像の書き出し位置が揃うように制御し、前記第1の主走査方向へ走査する光ビームの走査開始信号及び走査終了信号に基づいて、前記第1の主走査方向へ走査する光ビームによる原画像の書き終わり位置と前記第2の主走査方向へ走査する光ビームによる原画像の書き出し位置とが揃うように制御し、かつ、前記第1の主走査方向へ走査する光ビームの走査開始信号と走査終了信号との出力時間間隔、及び前記第2の主走査方向へ走査する光ビームの走査開始信号と走査終了信号との出力時間間隔に基づいて、前記原画像の倍率を補正することにより、前記画像担持体の各々に形成される原画像の主走査方向の両端が揃うように制御することができる。
前述したように、倍率補正を行うと、書き出し側から書き終わり側に向かって原画像が伸びる(または縮む)ように補正される。従って、同方向に走査する光ビーム間の補正については、基準側の光ビーム(第1の主走査方向へ走査する光ビーム)の書き出し位置に被基準側の光ビーム(第2の主走査方向へ走査する光ビーム)書き出し位置を揃えれば、被基準側の原画像の倍率を補正したときに、各原画像の書き終わり位置を揃えることができる。また、異なる方向に走査する光ビーム間の補正については、基準側の光ビーム(第1の主走査方向へ走査する光ビーム)の書き終わり位置と、該基準側の光ビームと逆方向に走査する被基準側の光ビーム(第2の主走査方向へ走査する光ビーム)の書き出し位置とを揃えることにより、被基準側の原画像の倍率を補正したときに、双方の原画像の両端を揃えることができる。
なお、倍率補正については、倍率誤差算出手段で算出された倍率誤差に基づいて行うため、容易に倍率補正を行うことができる。倍率補正の方法は特に限定されず、例えば、画像信号の出力周波数の変更を行って倍率補正してもよいし、画像信号の出力クロックの位相シフトを行って倍率補正してもよい。
また、上記第3の発明の画像形成装置は、前記第1の主走査方向への走査開始位置を示す走査開始信号を出力する走査開始位置検出手段に対して前記回転多面鏡により偏向された光ビームを反射して該光ビームを入射させる反射面と、前記第2の主走査方向への走査終了位置を示す走査終了信号を出力する走査終了位置検出手段に対して前記回転多面鏡により偏向された光ビームを反射して該光ビームを入射させる反射面とを、1つの基板に設けた又は一体形成した第1の反射手段と、前記第2の主走査方向への走査開始位置を示す走査開始信号を出力する走査開始位置検出手段に対して前記回転多面鏡により偏向された光ビームを反射して該光ビームを入射させる反射面と、前記第1の主走査方向への走査終了位置を示す走査終了信号を出力する走査終了位置検出手段に対して前記回転多面鏡により偏向された光ビームを反射して該光ビームを入射させる反射面とを、1つの基板に設けた又は一体形成した第2の反射手段を更に備えることができる。
このような構成により、反射手段の位置変動(サイドレジ変動)が生じた場合には、第1の主走査方向への走査開始信号と第2の主走査方向への走査終了信号の出力タイミングが同量だけ変動するため、各画像担持体に形成される原画像の書き出し位置及び書き終わり位置が揃うように容易に制御することができる。また、第2の主走査方向への走査開始信号と第1の主走査方向への走査終了信号の出力タイミングが同量だけ変動するため、各画像担持体に形成される原画像の書き出し位置及び書き終わり位置が揃うように容易に制御することができる。
例えば、第1の主走査方向へ走査する光ビームの走査開始信号と走査終了信号との出力時間間隔には、第1の主走査方向へ走査する光ビームのサイドレジ変動による位置ずれ量及び倍率変動による位置ずれ量が含まれる。また、第2の主走査方向へ走査する光ビームの走査開始信号と走査終了信号との出力時間間隔には、第2の主走査方向へ走査する光ビームのサイドレジ変動による位置ずれ量及び倍率変動による位置ずれ量が含まれる。
ここで、上記のような反射手段を設ければ、第1及び第2の主走査方向へ走査する光ビームのサイドレジ変動による位置ずれ量が等しくなるため、これら時間間隔から各原画像間の倍率誤差を求めることができ、これに基づいて各画像担持体上に形成される原画像の倍率を容易に補正することができる。
以上説明したように、本発明の画像形成装置によれば、多重画像形成時にサイドレジ変動による位置ずれだけでなく倍率変動による位置ずれも補正して、高品質な画像を生産性よく形成することができる、という優れた効果を奏する。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1には、本実施の形態の画像形成装置10の概略が示されている。この画像形成装置10は、カラー画像を形成するためのY、M、C、Kの各色信号に対応した4つの現像ユニット(イエロー現像ユニットY、マゼンタ現像ユニットM、シアン現像ユニットC、ブラック現像ユニットK)を備えている。各現像ユニットは同一の構成であり、画像担持体としての感光体ドラム12を各々含んでいる。
また、画像形成装置10は、上記の各現像ユニットに含まれる感光体ドラム12に対してレーザ光を照射するための走査露光装置11を備えている。
図2には、図1の矢印A方向からみた走査露光装置11の概略が示されている。この走査露光装置11には、図2の矢印S方向に等速回転する回転多面鏡(ポリゴンミラー)22を中心として、平凸レンズ及び平凹レンズで構成されたfθレンズ36が、図2の上下方向各々に配置されている。また、走査露光装置11には、画像データ信号を構成する各色信号に基づいて変調された、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色に対応するレーザ光を出射する4つのレーザダイオード30が設けられている。各レーザダイオード30から出射されるレーザ光は、それぞれ対応するコリメータレンズ34で平行光に変換されて反射ミラー29でその光路を屈折された後、上記fθレンズ36を透過して、回転多面鏡22にそれぞれ入射するようになっている。
回転多面鏡22に入射した各レーザ光は、回転多面鏡22の反射面で反射され再びfθレンズ36を透過し、入射時とは異なる光路上に配置されているミラー27で屈折されてシリンドリカルミラー28にそれぞれ導光される(図1参照)。シリンドリカルミラー28に導光されたレーザ光は、シリンドリカルミラー28で屈折されて、各現像ユニットの感光体ドラム12の表面(以下、ドラム表面と称する。)における露光走査位置13に照射されるようになっている。従って、このレーザ光は、上記fθレンズ36の作用によって、ドラム表面を等速度で走査されることになる。なお、各色のレーザ光の光路は、それぞれ矢印15Y、15M、15C、15Kで示している。
また、各現像ユニットでは、感光体ドラム12が図示しないモータによって、図1の矢印P方向に所定速度で回転するようになっている。これによって、上記走査露光装置11から出射される各レーザ光が、ドラム表面を感光体ドラム12の軸方向(主走査方向)に沿って繰り返し走査される。
各現像ユニットでは、図1の矢印Pで示すドラム回転方向に沿って露光走査位置13のわずか上流側には帯電器14が設けられており、ドラム表面を一様に帯電させるようになっている。これにより、帯電器14によって一様に帯電されたドラム表面に対して、レーザ光の露光走査がなされることにより、画像部分以外の帯電電荷を除去して、画像部分に電荷を残した静電潜像を形成するようになっている。
また、図1の矢印Pで示すドラム回転方向に沿って露光走査位置13のわずか下流側には現像器16が設けられている。この現像器16は、静電潜像と逆極性に帯電したトナーが充填されており、ドラム表面に形成された静電潜像に、それぞれの色(Y、M、C、K)に着色した帯電微粒子であるトナーを静電的に付着させて可視像(トナー像)を形成するようになっている。
また、感光体ドラム12の図1の下方には転写器18が設けられており、この転写器18と感光体ドラム12とによって上記トナー像を転写する転写ベルト18Aが挟持されている。この転写ベルト18Aは、駆動ローラによって、図1の矢印Q方向へ、各現像ユニットY、M、C、Kを順に搬送されるようになっている。また、各現像ユニットにおける転写器18では、電荷を転写ベルト18Aに与え、その静電力によって各色毎のトナー像を転写ベルト18Aに順次転写するようになっている。
さらに、各色毎のトナー像が転写された転写ベルト18Aの図1の矢印Q方向下流側には、定着器24が配設されている。この定着器24では、画像を記録する記録媒体26を挟持して図1の矢印R方向へ搬送しつつ、熱又は圧力を加えることによって転写ベルト18Aに転写されたトナー像を記録媒体26に融着するようになっている。
なお、各現像ユニットの感光体ドラム12の回転方向(図1の矢印P方向)最後端には、転写後感光体ドラム12上に残留するトナー等を除去するためのクリーナ20が設けられている。
また、転写ベルト18Aの矢印Q方向下流側であって、転写ベルト18Aの幅方向に垂直な位置(幅方向両端部)に、一対の位置ずれ検出部50が設けられている。位置ずれ検出部50は、転写ベルト18A上に順次転写された位置ずれ検出用の各色成分のパターン(以下、位置ずれ検出用パターン)を読み取って、基準色に対する他の色の位置ずれを検出する。これにより、各色毎のレーザ光による主走査方向に沿った画像の記録範囲の長さの比率(以下、倍率または走査倍率と呼称)の変動が検出される。
また、図2に示すように、走査露光装置11において、C色及びK色に対応するレーザ光の主走査方向(図2の矢印C、K)における走査開始位置近傍には、それぞれ、レーザ光による主走査開始(Start Of Scan;SOS)のタイミングの同期をとるためにレーザ光を検出するSOSセンサ40C、40Kが配置されている。また、Y色及びM色に対応するレーザ光の主走査方向(図2の矢印Y、M)において、その走査開始位置近傍には上記のSOSセンサ40Y、40Mがそれぞれ配置され、その走査終了位置近傍にはレーザ光による主走査終了(End Of Scan;EOS)のタイミングの同期をとるためにレーザ光を検出するEOSセンサ41Y、41Mがそれぞれ配置されている。各SOSセンサ40C〜40Kは、レーザ光を検出するとレーザ光の走査開始位置を示すSOS信号を出力し、各EOSセンサ41Y、41Mは、レーザ光を検出するとレーザ光の走査終了位置を示すEOS信号を出力する。
EOSセンサは、被基準色であって、基準色と走査方向を異にする色に対応して設けられている。本実施の形態では、C色を基準色とするため、C色の走査方向と異なる走査方向であるY色及びM色に対して、EOSセンサを設ける。
また、上記のSOSセンサ40K、SOSセンサ40CとEOSセンサ41M、41Yは、図3(A)に示すように、それぞれ対応するピックアップミラー38K、38CM、38Yによりピックアップされたレーザ光を検出するようになっている。ここでは、SOSセンサ40C及びEOSセンサ41Mに対して共通に、1つのピックアップミラー38CMが設けられている。なお、別の態様として図3(B)に示すように共通のホルダ39にピックアップミラー38C、38Mがそれぞれ保持され、一体として機能するようにしてもよい。また、共通のピックアップミラー38CM等でピックアップされるレーザ光はそれぞれ走査方向が異なる方向のものであり、一方が基準色であってもよい。このように一体的にピックアップミラーの設置位置が変位することにより、基準色(C色)のズレ量と同等のズレ量を被基準色(M色)に展開することで、基準色(C色)のズレの有無による補正方向の判断を容易に行うことができる。
すなわち、C色とM色の走査レーザ光に着目すると、図3(A)の矢印A方向からみた概略図である図4(A)に示すように、センサ出力位置の時間的変化は、主としてそのピックアップミラーの変位によるものであるから、実線で描かれているミラーが点線で描かれているミラーのように変位すると、ピックアップするポイントにズレが生じる。すなわち、図4(A)では走査角にしてΔθ分変化した位置でピックアップすることになる。この結果、図4(B)に示すように、変動前のC色SOSセンサの出力タイミングがΔt分だけ進むと同時に、M色EOSセンサの出力タイミングが同量のΔt分だけ遅れることになる。また、出力タイミングの移動方向が逆方向となることから、補正には都合がよい。
図5には、画像形成装置10の各色に対応するレーザ光によって形成される画像の位置合わせを行うためのレジストレーションコントロール部(以下、レジコン部と称する。)の概略図が示されている。このレジコン部は、走査方向が同方向であるレーザ光(Y色とM色、及びC色とK色)、及び走査方向が異方向であるレーザ光(C色とM色)について、それぞれ位置ズレの補正を行い、さらに全体として位置ズレの補正を行うものである。
メインコントロール回路68は、位置ずれ検出部50により検出された位置ずれの情報に基づいて、各レーザダイオード30から出射されるレーザ光による画像の倍率情報(倍率の変動量)を演算し、該倍率情報を倍率誤差演算部80及び画像処理回路72に出力する。
また、メインコントロール回路68には、各ラインシンクカウンタ70Y〜70Cから出力されるラインシンク信号間の出力タイミングであるカウンタ値を設定するためのコマンダ76が接続されている。コマンダ76によって設定されたカウンタ値は、メインコントロール回路68の内部に設けられている図示しないRAMに記憶されるようになっており、コマンダ76からのカウンタ値と後述するデータレジスタ66に記憶されている測定値とが関連付けられて、初期出荷時の調整や出荷後の再調整に利用される。
倍率誤差演算部80は、メインコントロール回路68から倍率情報を入力すると、該倍率情報に基づいて倍率誤差を演算し、画像処理回路72に出力すると共に、倍率誤差により補正した補正値によりラインシンクカウンタ70Y〜70Kのラインシンク信号発生タイミング(後述)を補正する。
画像処理回路72は、入力された画像データを画像処理して生成した印字データをレーザ駆動回路74に対してラインシンクカウンタ70Y〜Kからのラインシンク信号の出力タイミングに応じて出力する。画像処理回路72から出力される印字データの周波数は、倍率誤差演算部80から入力される倍率誤差によって変更される。前記画像信号の周波数を変更することで、主走査方向に沿ったレーザ光が照射されるドット間隔が変化し、レーザ光による主走査方向に沿った画像の記録範囲の長さ(倍率)を変更(補正)することができる。なお、ここでは、倍率の補正は、被基準色の画像の記録範囲の長さが基準色の画像の記録範囲の長さと等しくなるように、被基準色の画像信号に対して行われる。
また、レジずれを補正するレジコントロール回路60が、セレクタ62、レジコンカウンタ64、及び(演算器を含む)データレジスタ66で構成されている。
セレクタ62は、各SOSセンサ40Y〜40Kから出力される各々のSOS信号及びEOSセンサ41M、41Yから出力されるEOS信号を選択してレジコンカウンタ64に出力する。
レジコンカウンタ64は、セレクタ62から出力されたSOS信号あるいはEOS信号の時間差を計測し、該計測値をデータレジスタ66に出力する。
データレジスタ66は、レジコンカウンタ64から出力された計測値を蓄積すると共に、演算器で該計測値から補正値を算出して出力する。データレジスタ66には、メインコントロール回路68が接続されており、メインコントロール回路68からの指示によってデータレジスタ66が動作するようになっている。
次に、このレジコン部の動作を簡単に説明する。ここでは、C色及びK色の走査方向を正走査と、Y色とM色の走査方向を逆走査と呼んで説明する。
先ずは正走査について説明する。基準色はC色であるので、被基準色であるK色とのSOS信号の出力タイミングの時間差を計測するため、セレクタ62で、この2つのSOS信号が選択され、レジコンカウンタ64で計測を行う。レジコンカウンタ64での計測値はデータレジスタ66に蓄えられる。
同様にして、逆走査のY色とM色のSOS信号がセレクタ62で選択され、該SOS信号の出力タイミングの時間差の計測値がデータレジスタ66に蓄えられる。この逆走査においては、M色を基準とした値を保持する。
また、正走査のC色のSOS信号と逆走査のM色のSOS信号の出力タイミングの時間差をレジコンカウンタ64にて計測し、計測値がデータレジスタ66に蓄えられる。
データレジスタ66は、このようにして蓄えられた各データに基づいて位置ずれが補正されるような補正値を演算器で算出して倍率誤差演算部80に出力する。倍率誤差演算部80は、前述したように、倍率情報に基づいて倍率誤差を求め、データレジスタ66から出力された補正値に該求めた倍率誤差を加算した最終的な補正値を算出して、ラインシンクカウンタ70Y〜70Kに出力する。
該補正値が各ラインシンクカウンタ70Y〜70Kに入力されると、各色に対応するレーザ光の各々の走査を開始するための信号であるラインシンク信号を出力する。画像処理回路72は、画像データを画像処理して生成した印字データをこのラインシンク信号の出力タイミングでレーザ駆動回路に送出する。レーザ駆動回路74は、印字データに応じて各レーザダイオード30から出射されるレーザ光を変調させ、レーザダイオード30で印字を行う。
このように、ラインシンク信号に応じて、各色に対応するレーザ光の各々の走査が開始されるタイミングを補正することで、各色に対応するレーザ光間の主走査方向のずれが補正される。
次に、本実施の形態における位置ずれ補正時の処理について詳細に説明する。
まず、データレジスタ66で演算される補正値(倍率変動による位置ずれが考慮されない補正値)について説明する。
走査方向が同方向であるレーザ光間における位置ずれ補正処理では、データレジスタ66により以下のように補正値が演算され補正される。以下ではC色とK色を例に挙げる。
図6(A)には、初期状態のSOSセンサ40C、40Kから出力されるSOS信号、ラインシンクカウンタ70C、70Kから出力されるラインシンク信号のタイミングチャートが示されている。
SOSセンサ40C及びSOSセンサ40Kの各々から出力されるSOS信号に基づいて、ラインシンクカウンタ70C、70KからC色及びK色のそれぞれに対応するラインシンク信号L/S(C)、L/S(K)が生成され出力される。
ラインシンク信号L/S(C)、L/S(K)の生成タイミング(SOS信号の出力からラインシンク信号の出力までの時間)は、それぞれLSTK(Line Sync Timing of K)及びLSTC(Line Sync Timing of C)として保持されている。また、各SOS信号の時間差は、SDTKC(Same Direction Timing of K and C)として保持される。以下、初期状態におけるLSTK、LSTC、及びSDTKCを、それぞれOLD_LSTK、OLD_LSTC、及びOLD_SDTKCとする。
ここで、図6(B)に示されるように、C色のSOSセンサ40CからのSOS信号の出力がΔ秒だけずれると、C色に対応するレーザ光の書き出し位置が変動する。ここで、変動した書き出し位置の補正を全く行わない場合には、Δ秒分の色ズレが発生する。
このとき、SDTKCの値は変化しているので、SDTKCの変動前及び変動後の値からΔに対応するSDTKCの変動の量をデータレジスタ66が算出し、K色に対応するラインシンクカウンタ70Kのカウント値を補正することにより、色ずれが解消される。
ここで、C色に対応するレーザ光のSOSセンサ40Cから出力されるSOS信号が遅れて変位した場合のSDTKCをNEW_SDTKCとすると、NEW_SDTKCは次式で表される。
NEW_SDTKC=OLD_SDTKC+Δ
従って、C色及びK色に対応するそれぞれのラインシンク信号の発生までの時間(LCTC,LSTK)を
LSTC=OLD_LSTC
LSTK=NEW_LSTK=OLD_LSTK+Δ
とすることで、印字イメージの書き出し位置を揃えることができる。
反対に、C色のSOS信号の出力が進んで変位した(時間間隔が減る)場合には、
NEW_SDTKC=OLD_SDTKC−Δ
となるため、各色のSOS信号の出力からラインシンク信号の発生までの時間を
LSTC=OLD_LSTC
LSTK=NEW_LSTK=OLD_LSTK−Δ
とすることで、同様にイメージの書き出し位置を揃えることができる。
また、図6(C)に示されるように、K色のSOSセンサ40KからのSOS信号の出力がΔ秒だけずれた場合でも、上記と同様にK色に対応するラインシンクカウンタ70Kから出力されるラインシンク信号の出力タイミングを補正する。
すなわち、K色のSOS信号の出力が進んで変位した場合には、
NEW_SDTKC=OLD_SDTKC+Δ
となるため、各色のSOS信号の出力からラインシンク信号の発生までの時間を
LSTC=OLD_LSTC
LSTK=NEW_LSTK=OLD_LSTK+Δ
とすることで、印字イメージの書き出し位置を揃えることができる。
また、K色のSOS信号の出力が遅れて変位した(時間間隔が減る)場合には、
SDTKC=NEW_SDTKC=OLD_SDTKC−Δ
となるため、各色のSOS信号の出力からラインシンク信号の発生までの時間を
LSTC=OLD_LSTC
LSTK=NEW_LSTK=OLD_LSTK−Δ
とすることで、印字イメージの書き出し位置を揃えることができる。
また、図4(D)に示されるように、C色とK色のSOS信号の出力が同時に変動する場合もある。この場合でも、SDTKCの変動分が色ズレ分であるから、該SDTKCの変動だけ被基準色のラインシンクカウンタのラインシンク信号の出力タイミングを補正する。
従って、C色のSOS信号の出力に対してK色のSOS信号の出力が遅れて変位した(時間間隔が増える)場合には、
NEW_SDTKC=OLD_SDTKC+Δ
となり、各色のSOS信号発生からラインシンク信号の発生までの時間を
LSTC=OLD_LSTC
LSTK=NEW_LSTK=OLD_LSTK+Δ
とし、C色のSOS信号の出力に対してK色のSOS信号の出力が進んで変位した(時間間隔が減る)場合には、ずれ量の符号を変えて、
LSTC=OLD_LSTC
LSTK=NEW_LSTK=OLD_LSTK−Δ
とする。これにより、ラインシンク信号の出力タイミングを補正する。
Y色及びM色についても上記と同様に補正する。
次に、データレジスタ66により行われる走査方向が異方向であるレーザ光間の位置ずれ補正処理について、図7を参照しながら説明する。
なお、図7には、タイミングチャートの(1)乃至(6)における各タイミングにおける印字イメージも併せて示されている。
初期状態においては、(1)及び(2)に示される如く、C色のSOS信号の出力タイミングとM色に対応するSOS信号の出力タイミングとが一致し、C色に対応する印字イメージの書き出し位置とM色に対応する印字イメージの書き出し位置とが一致している。ここで、M色に対応するSOS信号の出力タイミングEOS信号の出力タイミングまでの時間間隔をDDSETM(Different Direction Sos to Eos Time of M)とする。以下、初期状態におけるDDSETMをOLD_DDSETMという。
図7の(3)から(5)は、C色及びM色に共通のピックアップミラー等の位置が変動し、併せてM色に対応するSOSセンサ側のピックアップミラーが変動した場合のタイミングチャートである。前述したピックアップミラーの共通構造の効果により、(3)に示すようにM色側のEOSセンサ41MのEOS信号の出力タイミングは、基準色CのズレであるΔCと同量だけ変化する。
一方、M色に対応するSOSセンサ40Mから出力されるSOS信号の出力タイミングは、これらとは独立に変動し、ΔMだけ変化する。この場合、(3)に示されるように、C色に対応する印字イメージの書き出し位置は、C色に対応するSOS信号の出力タイミングが進んで変位するため、C色に対応する印字イメージを書き出す方向(左方向)にΔCだけずれる。また、M色に対応するレーザ光の走査方向がC色に対応するレーザ光の走査方向と逆であることから、M色に対応する印字イメージの書き出し位置はM色に対応する印字イメージを書き出す方向(右方向)にΔMだけずれる。従って、C色に対応する印字イメージとM色に対応する印字イメージとのサイドレジを合わせるためには、M色に対応するSOS信号の出力タイミングを左方向にΔC+ΔMだけずらすように補正する。
ここで、初期状態から変動した後のDDSETMをNEW_DDSETMとすると、NEW_DDSETMには、M色に対応するレーザ光をM色に対応するSOSセンサ40Mに反射させるピックアップミラーによる印字イメージの書き出し位置の変動の量であるΔMと、EOSセンサ41M側のC色のSOSセンサ40Cとの共通ピックアップミラーによる印字イメージの書き出し位置の変動の量であるΔCが含まれるので、OLD_DDSETMとの差分、DDTM(Different Direction Time of M)は、
DDTM=NEW_DDSETM−OLD_DDSETM=ΔM+ΔC
となる。これは、M色に対応する印字イメージの書き出し位置のずれ量に相当する。
従って、この結果をM色のラインシンク信号発生タイミングの補正に反映させる。
なお、C色が変動しなければ、レジ補正の基本であるSOSセンサ同士の時間間隔のモニタによる補正方法をC色とM色に当てはめればよいが、C色が変動したか否かについて補正を行う際に監視する必要があり、処理上極めて煩雑になる。この判断処理を行わなくてもDDSETMの変動を監視していれば、自動的に補正することができる。すなわち、M色のSOS〜EOS時間による補正ではC色が変動しなければΔCがゼロになるため、
DDTM=NEW_DDSETM−OLD_DDSETM=ΔM
となり、ΔMだけの補正となる。従って、ΔCの監視を行うことなく、ΔM分だけ補正することが自動的にできる。
本実施の形態では、更に、上記のようにデータレジスタ66で演算される補正値を倍率変動による倍率誤差で補正して最終的な補正値を演算することにより、ラインシンク信号発生タイミングを補正して位置ずれを補正する。
通常、画像信号の周波数制御などにより倍率補正を行うと、書き出し側から書き終わり側に向かって画像が伸びる(または縮む)ように補正される(倍率補正は、走査終了端部ほど、変位量が大きくなる)。
同方向に走査する光ビーム間の補正については、基準側の光ビームの書き出し位置に被基準側の書き出し位置を揃えれば、被基準側の原画像の倍率を基準色に合うように補正したときに、双方の書き終わり位置が揃うことになるため、上記のように書き出し位置を揃えれば、倍率を補正したときに、書き終わり位置も揃えることができる。
しかしながら、異なる方向に走査する光ビーム間の補正については、上記で演算された補正値を用いると、図24に示されるように、基準側の光ビームの書き出し位置と、該基準側の光ビームと逆方向に走査する被基準側の光ビームの書き終わり位置とが揃う状態となるため、被基準側の原画像の倍率を基準色に合うように補正したときに更に位置ずれが発生してしまう。従って、倍率変動による位置ずれを補正する場合には、基準側の光ビームの書き終わり位置と、該基準側の光ビームと逆方向に走査する被基準側の光ビームの書き出し位置とを揃える必要がある。
以下、倍率変動による位置ずれを考慮した位置ずれ補正処理について説明する。ここでは、代表して基準色C色と被基準色M色の位置ずれ補正について説明する。
まず、図8(A)及び(B)に示すような位置ずれ検出用パターンを転写ベルト18Aの幅方向両端部に一対形成する。位置ずれ検出部50は、転写ベルト18A上に形成された該一対の位置ずれ検出用パターンを読み取って、各色毎のパターンの通過時間の変換から基準色に対する他の色の位置ずれ量を演算する。該位置ずれ量は、メインコントロール回路68に出力される。
メインコントロール回路68では、該位置ずれ量に基づいて、基準色に対する各色毎の倍率情報を演算して倍率誤差演算部80に出力する。
倍率誤差演算部80は、倍率情報に基いて補正値を算出する。ここでは、M色のSOS信号の出力からEOS信号の出力までの初期状態の時間間隔OLD_DDSETMに、上記演算された倍率変動量を乗算して、M色の倍率変動による補正値(倍率誤差)MAG_ERRを求める。
この倍率誤差MAG_ERRを上記DDTMから減算して最終的な補正値を求める。すなわち、走査方向が逆方向のレーザ光における最終的な補正値は、
DDTM=NEW_DDSETM − OLD_DDSETM − MAG_ERR
となる。
倍率誤差演算部80は、このDDTMに基いて、M色のラインシンク信号発生タイミング(LSTM)を設定し、ラインシンクカウンタ70Mに該設定値を出力する。
図9は、走査方向が相反するC色及びM色について、上記のように位置ずれを補正したときの補正状態を示す説明図である。
図9(A)は、C色とM色の2色間で位置ずれが無い状態を示している。ここで図9(B)に示されるようにC色とM色の2色に異なる量の倍率変動が発生した場合には、上記のようにMAG_ERRを算出してラインシンク信号発生タイミングを補正すると、結果として図9(C)のようにM色の書き出し位置が元の書き出し位置(図9(A)参照)からちょうどC色の位置ずれ量(DTC)だけ左側(走査終了側)にずれた状態になり、C色の書き終わり位置とM色の書き出し位置とが一致するように補正される。
なお、M色の書き終わり位置とC色の書き出し位置は、図9(C)に示されるように、M色とC色の倍率変動差分の色ずれを生じることになるが、この色ずれは、MAG_ERR分に等しいので、MAG_ERRを画像処理回路72へ出力し、画像処理回路72でMAG_ERR分の色ずれが無くなるように被基準色M色の倍率補正を実施することで、M色の書き終わり位置とC色の書き出し位置も一致する。なお、走査方向が同方向のレーザ光間の位置ずれを補正する場合の倍率補正処理も、同様に行われる。
このように、被基準色の書き出し位置を基準色の書き終わり位置に合わせて倍率補正することにより、位置ずれの無い高品質な画像が得られる。
なお、画像処理回路72では、倍率誤差演算部80で演算された倍率誤差(MAG_ERR)に応じて、出力する印字データの周波数を変更して倍率補正を行うが、この倍率補正により、C色の書き終わり位置とM色の書き出し位置とがずれる場合がある。
図10(A)は、図9(C)に示されるようにラインシンク信号発生タイミングが補正された時点のM色の印字イメージを示した図である。M色の書き出し位置が元の書き出し位置からC色の位置ずれ量(DTC)だけ左側にずれた状態に補正されている。この状態で被基準色のM色に対して倍率補正が行われ、例えば画像がα倍に伸びると、M色の書き出し位置も、元の書き出し位置からα倍されたDTC’だけ左側にずれてしまう。従って、倍率補正された後にM色の書き出し位置がC色の書き出し位置に一致するように、予め倍率誤差演算部80で、DTCとDTC’との差分を演算し、該差分を上記DDTCから差し引いた値を最終的な補正値として求めるようにしてもよい。これにより、更に正確に位置ずれを補正することができる。なお、DTCの量が小さい場合には、倍率補正しても書き出し位置は大きく変動しないため、このような補正は省略することもできる。
以上説明したように、位置ずれ検出部50を設け、検出された位置ずれ量から倍率情報を演算して位置ずれを補正するための補正値を算出するようにしたため、サイドレジ変動による位置ずれだけでなく倍率変動による位置ずれも補正して、高品質な画像を形成することができる。
なお、上述した実施の形態では、画像処理回路72が印字データの出力周波数を変更して倍率補正する場合について説明したが、これに限定されず、印字データの出力クロックの位相シフトにより倍率補正するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態では、画像処理回路72が位置ずれ検出部50の検出結果に応じて演算された倍率誤差に基づいて倍率補正する場合について説明したが、これに限定されず、例えば、位置ずれ検出部50とは別に、画像形成装置の温度を計測する温度センサを設け、温度センサで計測される温度から倍率の変動量を求め、該倍率の変動量に基づいて画像処理回路72が倍率補正を行うようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、転写ベルト18A上に形成された位置ずれ検出用パターンを読み取って位置ずれ量を演算する例について説明したが、記録媒体上に形成された位置ずれ検出用パターンを読み取って位置ずれ量を演算するようにしてもよい。
なお、図3に示した、本実施の形態に係るSOSセンサ、EOSセンサ、及びピックアップミラーの構成の変形例として、図11に示すように、走査方向が同方向であるレーザ光を共通のセンサ(40CK、41YM)で検出するようにしてもよい。この例は、図3(B)に示すようにホルダ39Aを利用した一体タイプであるが、1つのセンサに2つのレーザ光が入射されるように、それぞれのピックアップミラー38M、38Cを、所定角度分の傾きを設けて設置するようになっている。このように構成することにより、センサの数を減らすことができ、コストダウンを達成できる。なお、この変形例の場合においては、同時にレーザ光が入射されると、どちらの色のレーザ光であるかが判断つかない場合が生じることから、例えば、光学レイアウトの変更(レーザ光の回転多面鏡22への入射角に多少のオフセットを設けて、センサに対しては時系列的に入射させること)が必要となる。さらに、後段の処理に都合がよいように、センサ信号出力をそれぞれ分離する分離回路78A〜78Cを設ける必要がある。この場合のレジコン部の概略構成を、図12に示す。
[第2の実施の形態]
本実施の形態では、画像形成装置に温度センサを設け、温度センサで測定された測定値から倍率を求めて補正処理する場合について説明する。
本実施の形態の画像形成装置の概略構成は、第1の実施の形態の図1に示した画像形成装置10から位置ずれ検出部50を省略し、温度センサ52を設けた構成であるため、図示及び説明を省略する。
図13は、本実施の形態のレジストレーションコントロール部(レジコン部)の概略図である。図13において、第1の実施の形態の図5と同一もしくは同等の部分には同じ記号を付し、その説明を省略する。
図13に示されるように、位置ずれ検出部50に代えて温度センサ52がメインコントロール回路68に接続され、画像形成装置の内部温度を測定する温度センサ52の測定結果がメインコントロール回路68に入力されるような構成になっている。
また、メインコントロール回路68には、倍率テーブル54が接続されている。倍率テーブル54には、各色毎に温度に対する走査倍率の変化量が予め記憶されている。メインコントロール回路68は、温度センサ52により測定された測定値と倍率テーブル54とに基づいて、各レーザダイオード30から出射されるレーザ光による画像の倍率の変化量(倍率情報)を演算する。倍率誤差演算部80は、この倍率情報から、倍率誤差を算出する。算出した倍率誤差は、ラインシンクカウンタ70Y〜70Kのラインシンク信号発生タイミングの補正に用いられる他、画像処理回路72に出力され、倍率補正に用いられる。
次に、本実施の形態における位置ずれ補正処理について説明する。
倍率変動を考慮しない位置ずれ補正については、走査方向が同方向のレーザ光間の補正及び逆方向のレーザ光間の補正とも、第1の実施の形態(図6〜図7)と同様であるため説明を省略する。
本実施の形態において、走査方向が逆方向のレーザ光間の、倍率変動による位置ずれを考慮した最終的な補正値は、以下のようにして求められる。ここでは、代表して基準色C色と被基準色M色の位置ずれ補正について説明する。(なお、走査方向が同方向のレーザ光間の補正では、両者の書き出し位置が揃うため、以下の補正は不要である。)
通常、倍率変動は、走査露光装置11周辺の温度変化に依存する。従って、本実施の形態では温度センサ52の温度の測定結果を用いて位置ずれを補正する。
まず、M色の初期状態(色ずれのない状態)のSOS信号の出力からEOS信号の出力までの時間間隔をOLD_DDSETM、温度変化により倍率変動が生じた状態でのSOS信号の出力からEOS信号の出力までの時間間隔をNEW_DDSETMとする。
このSOS信号の出力からEOS信号の出力までの時間間隔OLD_DDSETMと、倍率変動が生じた状態でのSOS信号の出力からEOS信号の出力までの時間間隔NEW_DDSETMとの差分DTMは、
DTM = OLD_DDSETM − NEW_DDSETM
と表すことができる。
なお、DTMは、M色のサイドレジ変動による位置ずれ量および倍率変動による位置ずれ量を含むずれ量である。従って、M色のサイドレジ変動による位置ずれ量をDTM_SIDE、倍率変動による位置ずれ量をDTM_MAGとすると、
DTM = DTM_SIDE + DTM_MAG
と表すことができる。
ここで、メインコントロール回路68は、DTM_MAGによる影響を無くすために、温度センサ52の測定結果及び倍率テーブル54に基づいて、温度に対する倍率の変化量(倍率情報)を求める。
この倍率情報から、倍率誤差演算部80では、倍率変動による補正値(倍率誤差)MAG_ERR)を算出する。この補正値は、第1の実施の形態と同様に求めることができる。
この倍率誤差MAG_ERRを上記DTMから減算して最終的な補正値を求める。すなわち、走査方向が逆方向のレーザ光における最終的な補正値は、
DTM = DTM_SIDE + DTM_MAG − MAG_ERR
となる。
倍率誤差演算部80は、このDTMに基いて、新たにM色のラインシンク信号発生タイミング(LSTM)を設定し、ラインシンクカウンタ70Mに該設定値を出力する。
以上により、第1の実施の形態で図9を用いて説明したように、M色の書き出し位置とC色の書き終わり位置が一致する。
第1の実施の形態と同様に、M色の書き出し位置とC色の書き終わり位置とが一致しても、M色の書き終わり位置とC色の書き出し位置は、M色とC色の倍率変動差分の色ずれを生じることになるが、この色ずれは、MAG_ERR分に等しいので、MAG_ERRを画像処理回路72へ出力し、画像処理回路72でMAG_ERRに基づいて被基準色であるM色の倍率補正を実施することで、M色の書き終わり位置とC色の書き出し位置も一致する。
また、倍率補正後のM色の書き出し位置の変動を考慮して、第1の実施の形態で図10を用いて説明したように、予め該変動を計算して、倍率補正された後にM色の書き出し位置がC色の書き出し位置に一致するように、上記最終的な補正値を計算してもよい。
以上説明したように、温度センサ52を設け、温度の測定結果から倍率を演算して位置ずれを補正するための補正値を算出するようにしたため、サイドレジ変動による位置ずれだけでなく倍率変動による位置ずれも補正して、高品質な画像を形成することができる。
なお、上述した実施の形態では、画像処理回路72が印字データの出力周波数を変更して倍率補正する場合について説明したが、これに限定されず、印字データの出力クロックの位相シフトにより倍率補正するようにしてもよい。
また、本実施の形態においても、本実施の形態に係るSOSセンサ、EOSセンサ、及びピックアップミラーの構成の変形例として、図11に示すように、走査方向が同方向であるレーザ光を共通のセンサ(40CK、41YM)で検出するようにしてもよい。この場合のレジコン部の概略構成を、図14に示す。
[第3の実施の形態]
本実施の形態では、図15に示されるように、M色及びY色のEOSセンサを省略し、代わりに、C色及びK色のEOSセンサ40C、40Kを設け、位置ずれ補正を行う。本実施の形態では、基準色となるC色側のSOS信号及びEOS信号、M色のSOS信号を用いてM色の位置ずれを補正する。
本実施の形態の画像形成装置の概略構成は、第1の実施の形態の図1に示した画像形成装置10から位置ずれ検出部50を省略し、温度センサ52を設けた構成であるため、図示及び説明を省略する。
走査露光装置11の構成としては、C色のEOSセンサ41Cに向けてレーザ光を反射するためのピックアップミラー、及びM色のSOSセンサ40Mに向けてレーザ光を反射するためのピックアップミラーが、図16に示されるように、共通のホルダ39にピックアップミラー38C、38Mがそれぞれ保持され、一体として機能するように構成する。また、1つの共通ピックアップミラーが設けられた構成としてもよい。なお、図16では、走査方向が同方向であるレーザ光を共通のセンサ(40YM、41CM)で検出するように構成されている。
また、図17に示されるように、本実施の形態のレジコン部には倍率誤差演算部80は設けず、データレジスタ66から出力された補正値が直接ラインシンクカウンタ70Y〜70Kに入力される。また、温度センサ52がメインコントロール回路68に接続され、画像形成装置の内部温度を測定する温度センサ52の測定結果がメインコントロール回路68に入力されるような構成になっている。本実施の形態では、倍率誤差をメインコントロール回路68が演算して画像処理回路72に出力する構成となっている。
走査方向が同方向であるレーザ光間の位置ずれ補正処理は、第1の実施の形態と同様であるため説明を省略し、ここでは、走査方向が逆方向のレーザ光間の位置ずれ補正処理についてC色(基準色)及びM色(被基準色)を例に挙げて詳細に説明する。以下の処理は、データレジスタ66で行われる。
C色の初期状態(色ずれのない状態)のSOS信号の出力からEOS信号の出力までの時間間隔をOLD_DDSETC、色ずれが発生したときのSOS信号の出力からEOS信号の出力までの時間間隔をNEW_DDSETCとする。
このSOS信号の出力からEOS信号の出力までの時間間隔OLD_DDSETCと、倍率変動が生じた状態でのSOS信号の出力からEOS信号の出力までの時間間隔NEW_DDSETCとの差分DTCは、
DTC = OLD_DDSETC − NEW_DDSETC
と表すことができる。
なお、DTCは、C色のサイドレジ変動による位置ずれ量および倍率変動による位置ずれ量を含むずれ量である。従って、C色のサイドレジ変動による位置ずれ量をDTC_SIDE、倍率変動による位置ずれ量をDTC_MAGとすると、
DTC = DTC_SIDE + DTC_MAG
と表すことができる。
DTCは、C色の書き終わり位置の変位量であるため、C色の書き終わり位置とM色の書き出し位置とを一致させるには、このDTC分をそのままM色の書き出し位置の補正値として用いればよい。M色の書き出し位置をDTCで補正する(すなわちラインシンク信号発生タイミングをDTCで補正する)ことにより、図9(C)に示されるように、M色の書き出し位置とC色の書き終わり位置を一致させることができる。
なお、本実施の形態では、ラインシンク信号発生タイミングの補正においては、倍率変動による補正値(倍率誤差)MAG_ERRを求めてはいないが、画像処理回路72で行われる倍率補正処理では倍率誤差が必要となるため、第2の実施の形態と同様にメインコントロール回路68が温度センサ52の測定値から倍率の変化量を求め、該倍率の変化量から倍率誤差(MAG_ERR)を求めて、画像処理回路72に出力する。画像処理回路72はMAG_ERRに基づいて倍率補正を実施することで、M色の書き終わり位置とC色の書き出し位置を一致させる。
また、倍率補正後のM色の書き出し位置の変動を考慮して、第1の実施の形態で図10を用いて説明したように、予め該変動を計算して、倍率補正された後にM色の書き出し位置がC色の書き出し位置に一致するように、上記補正値を計算してもよい。
以上説明したような構成によっても、サイドレジ変動による位置ずれだけでなく倍率変動による位置ずれも補正して、高品質な画像を形成することができる。
また、本実施の形態においても、本実施の形態に係るSOSセンサ、EOSセンサ、及びピックアップミラーの構成の変形例として、図11に示すように、走査方向が同方向であるレーザ光を共通のセンサ(40CK、41YM)で検出するようにしてもよい。この場合のレジコン部の概略構成を、図18に示す。
また、本実施の形態において、温度センサ52に代えて、第1の実施の形態で設けた位置ずれ検出部50を設け、該位置ずれ検出部50により位置ずれ量を検出して走査倍率を求め、画像処理回路72に出力する倍率誤差を演算するようにしてもよい。
[第4の実施の形態]
本実施の形態では、第1の実施の形態でM色、Y色のみに対応して設けられていたEOSセンサをC色、K色に対して設け、全ての色についてSOS信号及びEOS信号が得られるように構成し、位置ずれを補正する画像処理回路を例に挙げて説明する。
本実施の形態の画像形成装置の概略構成は、第1の実施の形態の図1に示した画像形成装置10から位置ずれ検出部50を省略した構成であるため、図示及び説明を省略する。
図19は、本実施の形態における走査露光装置11の概略を示した図である。図19に示されるように、C色及びK色に対応するレーザ光の主走査方向(図2の矢印C、K)において、その走査開始位置近傍にはSOSセンサ40C、40Kがそれぞれ配置され、その走査終了位置近傍にはEOSセンサ41C、41Kがそれぞれ配置されている。また、Y色及びM色に対応するレーザ光の主走査方向(図2の矢印Y、M)において、その走査開始位置近傍にはSOSセンサ40Y、40Mがそれぞれ配置され、その走査終了位置近傍にはEOSセンサ41Y、41Mがそれぞれ配置されている。
なお、C色のSOSセンサ40Cに向けてレーザ光を反射するためのピックアップミラー、及びM色のEOSセンサ41Mに向けてレーザ光を反射するためのピックアップミラーが、共通のホルダにピックアップミラーがそれぞれ保持され、一体として機能するように構成する(例えば図3参照)。また、C色のEOSセンサ41Cに向けてレーザ光を反射するためのピックアップミラー、及びM色のSOSセンサ40Mに向けてレーザ光を反射するためのピックアップミラーが、共通のホルダに各ピックアップミラーがそれぞれ保持され、一体として機能するように構成する(例えば図16参照)。
なお、共通のホルダに各ピックアップミラーを設けるのではなく、1つの共通ピックアップミラーが設けられた構成としてもよい。
図20は、本実施の形態のレジストレーションコントロール部(レジコン部)の概略図である。図20において、第1の実施の形態の図5と同一もしくは同等の部分には同じ記号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態では、第1の実施の形態のようにラインシンクカウンタ70Y〜70Kの上流側に倍率誤差演算部80を設けずに、データレジスタ66から出力された補正値が直接ラインシンクカウンタ70Y〜70Kに入力されるように構成する。更に、メインコントロール回路68に、倍率誤差演算部56を設ける。倍率誤差演算部56は、レジコンカウンタ64で計測されたSOS信号あるいはEOS信号の時間差から倍率誤差を演算する。
走査方向が同方向であるレーザ光間の位置ずれ補正処理は、第1の実施の形態と同様であるため説明を省略し、ここでは、走査方向が逆方向のレーザ光間の位置ずれ補正処理についてC色(基準色)及びM色(被基準色)を例に挙げて詳細に説明する。以下の処理は、データレジスタ66で行われる。
C色の初期状態(色ずれのない状態)のSOS信号の出力からEOS信号の出力までの時間間隔をOLD_DDSETC、色ずれが発生したときのSOS信号の出力からEOS信号の出力までの時間間隔をNEW_DDSETCとする。
また、M色の初期状態(色ずれのない状態)のSOS信号の出力からEOS信号の出力までの時間間隔をOLD_DDSETM、色ずれが発生したときのSOS信号の出力からEOS信号の出力までの時間間隔をNEW_DDSETMとする。
さらに、C色におけるSOS信号の出力からEOS信号の出力までの時間間隔OLD_DDSETCと、倍率変動が生じた状態でのSOS信号の出力からEOS信号の出力までの時間間隔NEW_DDSETCとの差分DTCは、
DTC = OLD_DDSETC − NEW_DDSETC
と表すことができる。
また、M色におけるSOS信号の出力からEOS信号の出力までの時間間隔OLD_DDSETMと、倍率変動が生じた状態でのSOS信号の出力からEOS信号の出力までの時間間隔NEW_DDSETMとの差分DTMは、
DTM = OLD_DDSETM − NEW_DDSETM
と表すことができる。
ここで、C色のサイドレジ変動による位置ずれ量をDTC_SIDE、倍率変動による位置ずれ量を DTC_MAGとし、M色のサイドレジ変動による位置ずれ量をDTM_SIDE、倍率変動による位置ずれ量をDTM_MAGとすると、
DTM = DTM_SIDE + DTM_MAG
DTC = DTC_SIDE + DTC_MAG
と表すことができる。
ただし、M色のSOSセンサ40MおよびC色のEOSセンサ41Cに対してレーザ光を導くピックアップミラーは前述したように共通のホルダに保持されているか一体形成されており、かつ、M色のEOSセンサ41MおよびC色のSOSセンサ40Cに対してレーザ光を導くピックアップミラーは、共通のホルダに保持されているか一体形成されている。従って、M色のサイドレジ変動による位置ずれ量DTM_SIDE、及びC色のサイドレジ変動による位置ずれ量DTC_SIDEとは同一の量になる。
すなわち、DTM_SIDE = DTC_SIDEとなる。
また、DTCは、C色の走査終了位置の変位量であるため、C色の書き終わり位置とM色の書き出し位置とを一致させるには、このDTC分をそのままM色の書き出し位置の補正値として用いればよい。M色の書き出し位置をDTCで補正する(すなわちラインシンク信号発生タイミングをDTCで補正する)ことにより、図9(C)に示されるように、M色の書き出し位置とC色の書き終わり位置を一致させることができる。
一方、倍率誤差演算部56では、レジコンカウンタ64から入力したOLD_DDSETC 、NEW_DDSETC、OLD_DDSETM、NEW_DDSETMから、上記と同様にDTC、DTMを演算する。ここで、DTCに含まれる倍率変動による位置ずれ量DTC_MAGと、DTMに含まれる倍率変動による位置ずれ量DTM_MAGの差分を倍率誤差MAG_ERRとして演算する。すなわち、倍率誤差MAG_ERRは以下の式で表される。
MAG_ERR = DTM − DTC = DTM_MAG−DTC_MAG
この倍率誤差MAG_ERR分だけ、M色の書き終わり位置とC色の書き出し位置がずれるため、このズレが解消されるように、メインコントロール回路68は、倍率誤差MAG_ERRに基づいて所定の関数式からM色の倍率補正値を演算し、該倍率補正値を画像処理回路72に出力する。画像処理回路72は倍率補正値に基づいて倍率補正を実施し、これによりM色の書き終わり位置とC色の書き出し位置とが一致する。
なお、倍率補正後のM色の書き出し位置の変動を考慮して、第1の実施の形態で図10を用いて説明したように、予め該変動を計算して、倍率補正された後にM色の書き出し位置がC色の書き出し位置に一致するように、M色の書き出し位置を補正するようにしてもよい。
以上説明したような構成によっても、サイドレジ変動による位置ずれだけでなく倍率変動による位置ずれも補正して、高品質な画像を形成することができる。
なお、本実施の形態においても、本実施の形態に係るSOSセンサ、EOSセンサ、及びピックアップミラーの構成の変形例として、図11に示すように、走査方向が同方向であるレーザ光を共通のセンサ(40CK、41YM)で検出するようにしてもよい。この場合のレジコン部の概略構成を、図21に示す。