JP5211055B2 - レンズ鏡筒 - Google Patents

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Description

本発明は、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、カメラ付携帯電話などの光学機器に搭載することができるレンズ鏡筒に関する。
デジタルスチルカメラなどの撮像装置は、レンズ鏡筒を備えている。レンズ鏡筒には、ズームレンズなどの各種レンズを収容し、カメラ本体に対して光軸方向に進退可能なものがある。このようなレンズ鏡筒を「沈胴式レンズ鏡筒」と呼ぶ場合がある。
特許文献1は、沈胴式レンズ鏡筒を開示する。特許文献1が開示する沈胴式レンズ鏡筒は、レンズを保持する保持枠と、その保持枠を組み込むカム環とを備える。保持枠は、カム作用により、カム環に対して繰り出し可能である。
このような沈胴式のレンズ鏡筒においては、レンズ鏡筒を構成するレンズ保持枠の厚みがデジタルスチルカメラの厚みに影響する。沈胴状態では、レンズ保持枠はデジタルスチルカメラの筐体内に収納されるからである。そこで、デジタルスチルカメラを薄型化する上で、レンズ保持枠を薄型化することが求められている。
特開2003−315660号公報
しかしながら、沈胴式のレンズ鏡筒においては、高倍率化が要求されている。この要求を満たすため、レンズと撮像素子との間に十分な距離をとることが必要となっている。従って、レンズ鏡筒を十分に薄型化することができなかった。
また、上記特許文献1が開示する沈胴式レンズ鏡筒によれば、抜け落ちようとするカムフォロアを直接受け止める範囲内に抜け止め壁を設けられないような場合や、カムフォロアを直接受け止める範囲内に設けたカムフォロアだけでは不十分な場合には、カムフォロアがカム溝から離脱することを防止することができない。
本発明の目的は、外部から加わる衝撃に対する強度を向上させるとともに、薄型化が可能なレンズ鏡筒を実現することである。また、本発明の目的は、抜け落ちようとするカムフォロアを直接受け止める範囲内に抜け止め壁を設けられないような場合や、カムフォロアを直接受け止める範囲内に設けられた抜け止め壁だけでは不十分な場合にも、カムフォロアがカム溝から抜けにくいレンズ鏡筒を提供することである。
本発明のレンズ鏡筒は、カム溝が形成された第1枠と、前記カム溝に係合されるカムフォロアが形成された第2枠と、を備え、前記第1枠と前記第2枠とが相対的に回転することにより、前記カム溝内を前記カムフォロアが移動して、前記第1枠に対する前記第2枠の前記レンズの光軸方向における位置が変化し、前記第2枠には、前記カムフォロアが形成された側に隆起体が形成され、前記第1枠には、前記カム溝が形成された側から突出して突起体が形成され、前記カム溝は、前記第1枠の円周方向に対して傾斜する傾斜部を有し、前記隆起体と前記突起体とは、前記カムフォロアが前記カム溝の傾斜部に位置した場合において、前記レンズの光軸方向に対して外力が加えられると、互いに当接する。
本発明によれば、従来よりも十分に薄型化したレンズ鏡筒を実現できる。
また、本発明によれば、抜け落ちようとするカムフォロアを直接受け止める範囲内に抜け止め壁を設けられないような場合や、カムフォロアを直接受け止める範囲内に設けられた抜け止め壁だけでは不十分な場合にも、カムフォロアがカム溝から抜けにくいレンズ鏡筒を提供することができる。
図1は、実施の形態1における撮像装置の外観を示す斜視図である。 図2は、撮像装置の分解斜視図である。 図3は、駆動枠の側面図である。 図4Aは、駆動枠におけるカムフォロワ近傍の上面図である。 図4Bは、カムフォロワの側面図である。 図4Cは、カムフォロワの上面図である。 図5は、固定枠の内面の構成を示す模式図である。 図6は、固定枠の内面の構成を示す模式図である。 図7は、図5におけるZ−Z部の断面図である。 図8は、固定枠に駆動枠を組み込んだ状態を示す側面図である。 図9は、固定枠に駆動枠及び直進枠を組み込んだ状態を示す側面図である。 図10は、実施の形態2に係る固定枠と駆動枠の斜視図である。 図11は、固定枠の内周面を展開した展開図である。 図12Aは、駆動枠の正面を斜め上から見た斜視図である。 図12Bは、図12Aにおける噛合歯近傍の拡大図である。 図13は、駆動枠の上面図である。 図14は、駆動枠の側面図である。 図15は、駆動枠が組み込まれた固定枠の内面構成を示す展開図である。 図16は、駆動枠が組み込まれた固定枠の内面構成を示す展開図である。 図17は、駆動枠が組み込まれた固定枠の内面構成を示す展開図である。 図18は、駆動枠が組み込まれた固定枠の内面構成を示す展開図である。 図19は、駆動枠が組み込まれた固定枠の上面図である。 図20Aは、図15におけるV1−V1部の断面図である。 図20Bは、図15におけるV2−V2部の断面図である。 図21は、固定枠及び駆動枠の他の構成例を示す展開図である。 図22は、カムフォロワの他の構成例を示す平面図である。 図23は、固定枠の内面の構成を示す模式図である。
本発明のレンズ鏡筒は、撮影のためのレンズを保持するレンズ鏡筒であって、内周面上にカム溝が形成された固定枠と、外周面上に設けられたカムフォロアと、外周面上において前記カムフォロアと略同一円周上に設けられた複数の噛合歯と、を有する駆動枠と、を備え、前記駆動枠は、前記固定枠内に組み込まれた状態で、前記カムフォロアが前記カム溝に嵌合し、前記噛合歯を介して駆動力が伝達され、前記カムフォロアが前記カム溝に沿って移動することに伴って、前記レンズの光軸方向に沿って前記固定枠に対して移動可能であり、前記固定枠は、前記カム溝に沿って設けられた第1の突起体を備え、前記第1の突起体は、前記駆動枠と前記固定枠とが所定の位置関係にある場合において、前記カムフォロアと、前記複数の噛合歯のうち前記カムフォロアに最も近い噛合歯との間に配置されるである。これにより、駆動枠に外力が加わった際に、カムフォロアがカム溝から外れることを防止できる。
本発明のレンズ鏡筒は、上記構成を基本として、以下のような態様をとることができる。
すなわち、本発明のレンズ鏡筒において、前記カムフォロアに最も近い噛合歯は、前記第1の突起体と干渉しないように切り欠き部を有する構成とすることができる。このような構成とすることにより、噛合歯と突起体とは干渉しないため、カムフォロアと噛合歯とをより近接して配置することが可能となる。
本発明のレンズ鏡筒において、前記駆動枠は、前記切り欠き部を有する噛合歯を複数有し、前記切り欠き部を有する複数の噛合歯は、連続的に配置されている構成とすることができる。このような構成とすることにより、カム溝が複雑な形状を有していても、カムフォロアがカム溝を移動する際に、突起体と複数の噛合歯とは当接しない。従って、突起体が駆動枠の移動の妨げになることはない。
本発明のレンズ鏡筒は、前記切り欠き部を有する複数の噛合歯のうち、一方の端若しくは両端にある歯は、切り欠き部を有している他の歯と比べ、異なる形状の切り欠き部を有している構成とすることができる。このような構成とすることにより、カムフォロワがカム溝を移動する際に、突起体と歯とが当接しないため、突起体が駆動枠の移動の妨げになることはない。
本発明のレンズ鏡筒において、前記固定枠は、所定数の前記カム溝を有し、前記駆動枠は、前記固定枠に組み込まれた状態で、前記所定数のカム溝にそれぞれ嵌合する前記所定数のカムフォロアを有する構成とすることができる。
本発明のレンズ鏡筒において、前記第1の突起体は、少なくとも一つの前記カム溝に沿って設けられている構成とすることができる。このような構成とすることにより、駆動枠に外力が加わった際に、カムフォロアがカム溝から外れることを防止できる。
本発明のレンズ鏡筒において、前記固定枠は、前記駆動枠に対して外力が加わった際に、前記駆動枠の端部に当接して、前記カムフォロアが前記カム溝から外れることを防止できる第2の突起体を、さらに備える構成とすることができる。
本発明のレンズ鏡筒において、前記駆動枠は、前記駆動枠の端面近傍にさらに隆起部を有し、前記駆動枠の端部は、前記隆起部の一部又は全部であり、前記駆動枠に対して外力が加わった際に、前記隆起部が前記第2の突起体に当接することにより、前記カムフォロアが前記カム溝から外れることを防止する構成とすることができる。
本発明のレンズ鏡筒は、前記駆動枠の外周面上において、前記端部と、前記端部に最も近いカムフォロアとは、所定の長さ離れており、前記駆動枠に外力が加わらない状態で、前記カムフォロアが前記カム溝を移動することにより、前記駆動枠が前記第1の突起体に係合することはない構成とすることができる。
本発明のレンズ鏡筒において、前記カム溝は、前記固定枠の円周方向に略平行な平行部と、前記固定枠の円周方向に対して傾斜した傾斜部とを備え、前記レンズはズームレンズであり、前記カムフォロワは、前記カム溝の傾斜部に沿って移動することに伴って、前記ズームレンズが広角端から望遠端の間を移動する構成とすることができる。
(実施の形態1)
〔1.撮像装置の構成〕
図1は、本実施の形態のレンズ鏡筒を備えた装置の一例を示す。図1に示す装置は、デジタルカメラに搭載される撮像装置である。撮像装置1は、その内部にズームレンズやフォーカスレンズなどの各種レンズや、入射する光を電気信号に変換して出力する撮像素子などを備えている。なお、本実施の形態に示す撮像装置は一例であり、デジタルカメラに限らず、ビデオカメラなどにも搭載が可能である。
撮像装置1は、固定枠10と駆動枠20と1群ユニット40とが互いに同軸位置に配されている。また、固定枠10の近傍にはギヤ11が配されている。ギヤ11は、モータなどの駆動手段により回転駆動される。駆動枠20と1群ユニット40とは、ギヤ11を矢印Cに示す方向へ回転させることにより、矢印Bに示す方向へ移動する。駆動枠20と1群ユニット40とは、ギヤ11を矢印Dに示す方向へ回転させることにより、矢印Aに示す方向へ移動する。図1に示す撮像装置1の状態は、駆動枠20と1群ユニット40とが固定枠10内に収容されている状態(以下、沈胴状態と称する)を示し、ギヤ11を回転させることにより駆動枠20と1群ユニット40とを矢印Aに示す方向に繰り出すことができる。また、1群ユニット40の端面には、板状のレンズバリア41が配されている。レンズバリア41は、1群ユニット40の開口部42を開放または閉塞することができる。
図2は、撮像装置1に含まれる各ユニットの分解斜視図である。図2に示すように、撮像装置1は、固定枠10,駆動枠20,直進枠30,1群ユニット40,2群ユニット50,および基体60とを備えている。なお、以下の説明において、固定枠10,駆動枠20,および直進枠30などの略円筒形の部材における円筒部の外周面を「外面」と称し、円筒部の内周面を「内面」と称する。
固定枠10は、内面にカム溝12が形成されている。また、固定枠10は、基体60とともに撮像装置1のシャーシ(不図示)に固定されている。カム溝12は、複数備えていることが好ましく、本実施の形態では3本のカム溝12を備えている。また、固定枠10は、内面において光軸方向と略平行な直進溝13が形成されている。
駆動枠20は、固定枠10の内部に配されている。また、駆動枠20は、円周方向に回転可能であるとともに、光軸方向に移動可能に配されている。また、駆動枠20は、固定枠10内に収容された位置と、固定枠10から光軸方向に一部が突出した位置との間を移動可能である。また、駆動枠20は、外面にカムフォロワ22を備えている。カムフォロワ22は、複数備えていることが好ましく、本実施の形態ではカム溝12の本数と同数である3個のカムフォロワ22を備えている。カムフォロワ22は、固定枠10に形成されているカム溝12に移動自在に遊嵌されている。また、駆動枠20は、内面に複数のカム溝23が形成されている。また、駆動枠20は、外面において円周方向にラック21が形成されている(図3参照)。ラック21は、駆動枠20が固定枠10に組み付けられている状態においてギヤ11と噛み合っている。これにより、ギヤ11を矢印CまたはDに示す方向に回転させることで、駆動枠20を矢印EまたはFに示す方向に回転させることができる。
直進枠30は、駆動枠20の内部に配されている。また、直進枠30は、円周方向に回転自在に配されている。また、直進枠30は、駆動枠20が矢印AまたはBに示す方向(図1参照)に移動する際、駆動枠20と一体的に移動するように配されている。また、直進枠30は、円筒部に複数の長孔31が形成されている。長孔31は、直進枠30の光軸方向に略平行に形成されているとともに、直進枠30の外面から内面に至るまで貫通して形成されている。また、直進枠30は、外面に直進キー32が形成されている。直進キー32は、固定枠10の直進溝13に移動自在に遊嵌している。
1群ユニット40は、直進枠30の内部に配されている。また、1群ユニット40は、対物レンズなどが含まれている。また、1群ユニット40は、光軸方向の端面に、開口部42を開放及び閉塞可能なレンズバリア41を備えている。また、1群ユニット40は、外面に複数のカムフォロワ43を備えている。カムフォロワ43は、直進枠30に形成された長孔31を介して、駆動枠20に形成されたカム溝23に移動自在に遊嵌している。したがって、駆動枠20が矢印EまたはFに示す方向に回転することにより、1群ユニット40は光軸方向に移動する。
2群ユニット50は、シャッターユニットや2群レンズなどが含まれている。
基体60は、撮像装置1のシャーシ(不図示)に固定されている。また、基体60は、フォーカスレンズや撮像素子などを備えている。
なお、固定枠10は、第1の枠体の一例である。駆動枠20は、第2の枠体の一例である。また、矢印Aに示す方向および矢印Bに示す方向は、撮像装置1の光軸に略平行な方向である。また、矢印Eに示す方向および矢印Fに示す方向は、撮像装置1の光軸を中心とした円周方向である。
以下、動作について説明する。
図1に示す沈胴状態は、撮像装置1を備えたデジタルカメラの電源がオフの時の状態である。撮像装置1は、図1に示す沈胴状態では駆動枠20,直進枠30,1群ユニット40,および2群ユニット50が固定枠10内に収容されている。また、レンズバリア41は閉じている。
この状態から、デジタルカメラの電源が投入されると、モータなどの駆動手段が通電されて駆動を開始する。モータが駆動を開始すると、モータの出力軸に直接的または間接的に噛み合ったギヤ11が矢印Cに示す方向に回転する。ギヤ11が矢印Cに示す方向に回転すると、ギヤ11とラック21とが噛み合っていることにより、駆動枠20が矢印Eに示す方向に回転する。駆動枠20が回転すると、カムフォロワ22がカム溝12の内部を移動し、駆動枠20はカム溝12とカムフォロワ22とのカム駆動により矢印Aに示す方向へ移動する。すなわち、駆動枠20は、図1に示す沈胴状態から、矢印Eに示す方向に回転しながら、矢印Aに示す方向へ移動する。また、直進枠30は、直進キー32が直進溝13に遊嵌しているため、駆動枠20が矢印Aに示す方向に移動するのに伴って、矢印Aに示す方向へ移動する。
また、駆動枠20が矢印Eに示す方向に回転することにより、カムフォロワ43がカム溝23の内部を移動し、1群ユニット40が矢印Aに示す方向へ移動する。ここで、直進枠30は、直進キー32が直進溝13に遊嵌していることによって円周方向の回転が規制されながら、駆動枠20と一体的に矢印Aに示す方向へ移動する。
なお、デジタルカメラにおいて電源スイッチなどの各種操作手段の操作状態の認識や、デジタルカメラ内の各部の制御は、制御マイコンなどの制御手段により実行される。
以上の動作により、駆動枠20、直進枠30、および1群ユニット40を、固定枠10から矢印Aに示す方向に突出した位置へ移動させることができる。この状態が撮影待機状態である。撮影待機状態において、デジタルカメラに搭載されているズームスイッチ(不図示)が使用者により操作されると、制御手段は、ズームレンズ(不図示)を光軸方向へ移動させてズーム動作を行うよう制御する。なお、撮像装置1を備えたデジタルカメラは、ズーム動作の他、フォーカス動作や撮影動作などを実行可能であるが、本明細書での説明は省略する。
〔2.カム機構の構成〕
図3は、駆動枠20の平面図であり、図2における矢印Bに示す方向に見た図である。図3に示すように、駆動枠20の外面には3個のカムフォロワ22が形成されている。図4Aは、駆動枠20におけるカムフォロワ22近傍の上面図である。図4Bは、図4AにおけるZ−Z部の断面図である。図4Cは、カムフォロワ22の拡大図を示す。
図4Aに示すように、カムフォロワ22は、頂面及び底面が略楕円形状の円筒形状に形成されている。具体的には、図4Cに示すようにカムフォロワ22は、2個の真円22a及び22bを仮想的に並べて配置した時の形状に形成されている。本実施の形態では、カムフォロワ22の幅寸法D2は、奥行寸法D1の略2倍としている。ただし、寸法D1と寸法D2との関係は一例であり、寸法D2を寸法D1の1.5倍としてもよいし、寸法D2を寸法D1の3倍以上としてもよく、少なくとも寸法D2は寸法D1のn倍(nは1よりも大きい値。ただし、nは自然数に限らず、小数も含む)であればよい。寸法D2の値を大きくすればするほど、カムフォロワ22の断面積が大きくなって剛性が高くなるが、寸法D2の値を大きくしすぎるとそれに伴いカム溝12の溝幅を大きくする必要があり、固定枠10が大きくなってしまう。したがって、寸法D2は、本実施の形態のように寸法D1の略2倍とすることが好ましい。
また、図4Bに示すように、カムフォロワ22は、頂面の縁部に傾斜部22cが形成されている。傾斜部22cの傾斜角は、カム溝12の側面の傾斜角と同等である。したがって、カムフォロワ22がカム溝12に遊嵌している時は、傾斜面22cがカム溝12の側面に面当接が可能である。
図5は、固定枠10の内面におけるカム溝12近傍の構成を模式的に示した図である。カム溝12は、第1領域12a、第2領域12b、第3領域12c、第4領域12d、および第5領域12eとを含む。
第1領域12aは、カム溝12の一方の端部に位置し、駆動枠20が沈胴位置にある時にカムフォロワ22が位置する領域である。また、第1領域12aの溝幅G1は、カムフォロワ12の短辺方向の端部22d(図4C参照)が当接可能な寸法を有している。また、第1領域12aは、その側面(カム溝12の方向に形成された側面)が固定枠10の円周方向に対して略平行な方向に形成されている。
第2領域12bは、第1領域12aに連接して形成され、駆動枠20が沈胴位置と突出位置との間を移動する際にカムフォロワ22が移動する領域である。また、第2領域12bの溝幅G2は、カムフォロワ22の長辺方向の端部22e(図4C参照)が当接可能な寸法を有している。また、第2領域12bは、その側面が固定枠10の円周方向に対して傾斜した方向に形成されている。
第3領域12cは、第2領域12bに連接して形成され、駆動枠20が突出位置にある時にカムフォロワ22が位置する領域である。また、第3領域12cは、カムフォロワ22の短辺方向の端部22dが当接可能な溝幅を有しており、第1領域12aの溝幅G1と同等である。また、第3領域12cは、その側面が固定枠10の円周方向に対して略平行な方向に形成されている。また、カムフォロワ22が第3領域12cに位置している時、ズームレンズは広角端に位置している。
第4領域12dは、第3領域12cに連接して形成され、ズームレンズが広角端から望遠端の間を移動する時にカムフォロワ22が移動する領域である。また、第4領域12dは、カムフォロワ22の長辺方向の端部22eが当接可能な溝幅を有しており、第2領域12bの溝幅G2と同等である。また、第4領域12dは、その側面が固定枠10の円周方向に対して傾斜した方向に形成されている。
第5領域12eは、第4領域12dに連接して形成され、ズームレンズが望遠端に位置している時にカムフォロワ22が位置する領域である。また、第5領域12eは、カムフォロワ22の短辺方向の端部22dが当接可能な溝幅を有しており、第1領域12aの溝幅G1と同等である。また、第5領域12eは、その側面が固定枠10の円周方向に対して略平行な方向に形成されている。
開口部12fは、カムフォロワ22をカム溝12内に挿入するためのものであり、少なくともカムフォロワ22の幅寸法D2(図4C参照)よりも大きな開口幅寸法を有する。
湾曲部12gは、各領域間におけるカム溝12の側面に形成されている。なお、各領域間における互いに対向する2つの湾曲部12gを、一組の湾曲部とする。各領域におけるカム溝12の側面は、ほぼ平面に形成されているが、各領域同士は湾曲した面(湾曲部12g)で接続している。また、湾曲部12gは、カム溝12の対向する側面にそれぞれ形成されている。また、湾曲部12gは、カムフォロワ22が領域から領域へ移動する際に、常にカムフォロワ22の傾斜面22cが当接する溝幅に形成されている。すなわち、本実施の形態のカム溝12は、隣り合う領域の溝幅は互いに異なるため、一組の湾曲部12gにおける溝幅は隣り合う領域に向かって徐々に広がるまたは狭まるように形成されている。
図6は、カム溝12に対するカムフォロワ22の動きを説明するための図であり、固定枠10の内面の構成を示す。以下、カムフォロワ22の動きについて説明する。
まず、駆動枠20が沈胴位置にある時、カムフォロワ22は第1領域12a内に位置している(例えば位置122a)。この時、カムフォロワ22は、その短辺方向の端部22dがカム溝12の側面に当接し、カム溝12の幅方向のガタツキが抑えられながら位置が規制されている。
次に、撮像装置1の電源が投入され、モータ(不図示)によって駆動枠20が回転されると、第1領域12a内に位置していたカムフォロワ22が第2領域12b内へ移動する(例えば位置122b)。カムフォロワ22は、第2領域12b内を移動している時、長辺方向の端部22eが常にカム溝12の側面に当接し、カム溝12の幅方向のガタツキの発生を抑えられている。これにより、駆動枠20は、突出位置へ向かって移動する。
次に、駆動枠20が突出位置まで移動すると、カムフォロワ22は第3領域12c内へ移動する(例えば位置122c)。カムフォロワ22は、第3領域12c内に位置している時、短辺方向の端部22dが常にカム溝12の側面に当接し、カム溝12の幅方向のガタツキが抑えられながら位置が規制されている。この時、ズームレンズは、広角端に位置している。
次に、使用者によって、撮像装置1に搭載されているズームスイッチが操作されて、ズームレンズを望遠側へ移動させる命令が入力されると、カムフォロワ22は第3領域12cから第4領域12dへ移動する(例えば位置122d)。カムフォロワ22は、第4領域12d内に位置している時、長辺方向の端部22eが常にカム溝12の側面に当接し、カム溝12の幅方向のガタツキが抑えられている。また、カムフォロワ22が第4領域12d内を移動する時も、長辺方向の端部22eが常にカム溝12の側面に当接している。なお、ズームスイッチの操作量に応じてズームレンズの位置が異なるが、ズームレンズが如何なる位置にあってもカムフォロワ22の傾斜面22cが常にカム溝12の側面に当接する。したがって、ズームレンズが如何なる位置にあっても、カムフォロワ22とカム溝12との間のガタツキを抑えることができる。
ズームレンズが望遠端まで移動されると、カムフォロワ22は第5領域12e内へ移動する(位置122e)。カムフォロワ22は、第5領域12eに位置している時、短辺方向の端部22dが常にカム溝12の側面に当接し、カム溝12の幅方向のガタツキが抑えられながら位置が規制されている。
また、ズームスイッチが操作されて、ズームレンズを広角側へ移動させる命令が入力されると、カムフォロワ22は第5領域12eまたは第4領域12dから第3領域12cに向かって移動する。この時も、カムフォロワ22は、常にカム溝12の側面に当接し、カム溝12の幅方向のガタツキが抑えられながら移動する。
また、撮像装置1の電源をオフにする命令が入力されると、モータによって駆動枠20が回転駆動されて、第3領域12c、第4領域12d、第5領域12eのいずれかの位置にあるカムフォロワ22は、第2領域12bを介して、第1領域12aへ移動する。カムフォロワ22は、第1領域12aへ向かう移動中も常にカム溝12の側面に当接し、ガタツキが抑えられながら移動する。
また、各領域間におけるカム溝12の側面は湾曲面(湾曲部12g)が形成され、カムフォロワ22が領域から領域へ移動する際に、カムフォロワ22の傾斜面22cが常にカム溝12の側面に当接するように形成されている。このように、カム溝12に湾曲部12gを備えたことにより、カムフォロワ22が領域間を移動する際に発生する衝撃を抑えることができる。特許文献1に開示されているように略「く」の字に屈曲したカム溝では、カムフォロワがカム溝の屈曲した部分を移動する際に、カムフォロワとカム溝の側面とが衝突することによる衝撃が発生する。発生した衝撃は、撮像装置1を備えたデジタルカメラの本体筐体を介して、デジタルカメラを把持している使用者の手に伝わることとなり、使用者に違和感を与えてしまう。本実施の形態では、湾曲部12gを備えたことにより、衝撃の発生を抑え、使用者に違和感を与えることを防ぐ。
〔3.直進溝13の構成〕
図5に示すように、本実施の形態の直進溝13は、カム溝12の第1領域12aの一部に重なるように形成されている。また、直進溝13に直進キー(後述)を挿入するための開口部は、カム溝12の開口部12fと同一位置に形成されている。
図7は、直進溝13を示しており、図5におけるZ−Z部の断面である。図7に示すように、直進溝13は、カム溝12の深さd1よりも深く形成されている(深さd2)。また、直進溝13の幅寸法w2は、開口部12fの幅寸法w1よりも小さく、カムフォロワ22の幅寸法D2よりも小さく形成されている。
カムフォロワ22は、幅寸法D2が直進溝13の幅寸法w2よりも大きく、開口部12fの幅寸法w1よりも小さく形成されているため、カム溝12に挿入する際、直進溝13に誤挿入されることなく、確実にカム溝12に挿入することができる。一方、直進枠30に形成されている直進キー32を直進溝13に挿入する際は、直進キー32の幅寸法が直進溝13の幅寸法よりも小さく形成されているため、確実に挿入することができる。
図8は、駆動枠20が挿入された固定枠10を、矢印Aに示す方向(図2参照)から見た図である。図9は、駆動枠20及び直進枠30が挿入された固定枠10を、矢印Aに示す方向から見た図である。
直進枠30は、駆動枠20が光軸方向に移動するのに伴って、駆動枠20と一体的に光軸方向に移動する。図6において、位置132a〜132eは、カムフォロワ22が位置122a〜122eのそれぞれに位置している時における、直進キー32の位置を示す。このように、直進キー32は、直進枠30が光軸方向に移動する時に、直進枠30の回転方向の移動を規制しながら直進溝13内を移動する。
このように、直進溝13をカム溝12の一部と重ねて形成したことにより、固定枠10におけるカム溝12及び直進溝13を形成するためのスペースを削減することができ、固定枠10を小型化することができる。特に、固定枠10の円周方向のスペース効率を向上させることができるため、固定枠10を小径化することができる。
〔4.実施の形態の効果、他〕
本実施の形態によれば、カムフォロワ22の外径を大きくしたことにより、カムフォロワ22の剛性を上げることができ、撮像装置1に対して外部から衝撃が加わった際にカムフォロワ22が破損する可能性を低減することができる。
また、カムフォロワ22の外径は、短辺方向の外径を従来の略真円のカムフォロワの外径とし、長辺方向の外径を略真円のカムフォロワのn倍(本実施の形態では略2倍)としたことにより、カムフォロワ22及びカム溝12の形状設計が容易になる。
また、カム溝12において、各領域間に湾曲部12gを形成したことにより、カムフォロワ22が領域間を移動する際にカムフォロワ22に衝撃が発生するのを抑えることができる。よって、撮像装置1を備えたデジタルカメラの本体筐体へ衝撃が伝達しないため、撮像装置1を把持している使用者の手に衝撃が伝わることを防ぐことができる。
また、直進溝13をカム溝12の一部と重ねて形成したことにより、固定枠10を小型化することができる。特に、固定枠10の円周方向のスペース効率を向上させることができるため、固定枠10を小径化することができる。
また、直進溝13の溝幅w1(図6参照)を、カム溝12におけるカムフォロワ挿入部の溝幅w2(図6参照)よりも小さくしたことにより、カムフォロワ22をカム溝12に挿入する際に、カムフォロワ22を誤って直進溝13に挿入してしまうことを防ぐことができる。よって、駆動枠20を固定枠10に組み込む際の作業性を向上させることができる。
また、図6に示すように、カム溝12は、各領域毎に溝幅を異ならせているとともに、各領域間の溝幅を連続的に変化させる形状としたことにより、カムフォロワ22をカム溝12に沿ってスムーズに移動させることができる。
なお、本実施の形態では、直進溝13をカム溝12における第1領域12aにおいて重畳して形成しているが、第5領域12eにおいてカム溝12に重畳して形成しても同様の効果が得られる。
(実施の形態2)
〔1.撮像装置の構成〕
実施の形態2に係る撮像装置は、実施の形態1に係る撮像装置のように、固定枠、駆動枠,直進枠、1群ユニット、2群ユニット、および基体を備えている。
図10は、実施の形態2に係る撮像装置における固定枠100と駆動枠200の斜視図である。固定枠100は、略円筒形状に形成され、その内面にカム溝103,104,105(図10ではカム溝103のみ図示)が形成されている。カム溝103,104,105の形状や固定枠100における位置などは、実施の形態1に係るカム溝12(図6参照)と同等であるため、詳細な説明は省略する。カム溝103の近傍には、突起体101及び102が形成されている。突起体101及び102の詳しい説明は後述する。駆動枠200は、略円筒形状に形成され、その外面に複数の噛合歯200aが形成されている。複数の噛合歯200aの詳しい説明は後述する。
〔2.固定枠の構成〕
図11は、固定枠100の内周面を展開した展開図である。
図11に示すように、固定枠100は、カム溝103、カム溝104、およびカム溝105を有する。カム溝103とカム溝104とカム溝105とは、同一の形状である。例えばカム溝103は、水平部106、傾斜部107、水平部108、傾斜部109、および水平部110を含む。水平部106,108,110は、固定枠100の外周円筒面の円周方向に対して略水平である。傾斜部107,109は、固定枠100の外周円筒面の円周方向に対して傾斜している。
固定枠100は、カム溝103沿いに、突起体101と突起体102とを有する。突起体101と突起体102とは、カム溝103に沿って壁面を形成している。突起体101は、傾斜部107沿いに形成されている。突起体102は、傾斜部109沿いに形成されている。
ここで、図11に示す矢印aに示す方向は、本実施の形態にかかるレンズ鏡筒が不図示のデジタルカメラ本体に取り付けられた際の、デジタルカメラ本体側の方向である。また、図11に示す矢印bに示す方向は、本実施の形態にかかるレンズ鏡筒が不図示のデジタルカメラ本体に取り付けられた際の、レンズ側の方向である。
カム溝103は、矢印aに示す側の側端部と矢印bに示す側の側端部とに、突起体を形成することが可能である。突起体101は、傾斜部107における、矢印aに示す側の側端部に沿って形成されている。突起体102は、傾斜部109における、矢印bに示す側の側端部に沿って形成されている。
なお、本実施の形態において、突起体101と突起体102とは、カム溝103に沿って横長に突出し、壁面を形成するような構成とした。しかし、必ずしもそのような構成とする必要はなく、カム溝103に沿って複数の突起部を形成するなどの構成であってもよい。要するに、カム溝103に沿って設けられた突起体であればよい。
〔3.駆動枠の構成〕
図12Aは、駆動枠200の正面を斜め上から見た斜視図である。図12Bは、図12Aにおける噛合歯204〜209の近傍の拡大斜視図である。図13は、駆動枠200の上面図である。図14は、駆動枠200の側面図である。
駆動枠200は、外周面上に、カムフォロア201、カムフォロア202、およびカムフォロア203が形成されている。カムフォロア201とカムフォロア202とカムフォロア203とは、固定枠100に形成されたカム溝103〜105に、移動可能に嵌合可能である。
駆動枠200は、外周面上に、噛合歯204、噛合歯205、噛合歯206、噛合歯207、噛合歯208、噛合歯209を含む複数の噛合歯200aが形成されている。これらの噛合歯は、不図示のレンズ鏡筒の内部又は外部に配された歯車(不図示)などの歯に噛み合う。図12Bに示すように噛合歯204〜209は、それぞれ切り欠き部204a〜209aが形成されている。切り欠き部205a,206a,207a,208aは、駆動枠200の円周方向に対して略水平状に切り欠かれている。切り欠き部204a,209aは、駆動枠200の円周方向に対して傾斜状に切り欠かれている。
駆動枠200は、カムフォロア201,202,203と、複数の噛合歯200aとが、その外周面の同一円周上に形成されている(図13参照)。また、駆動枠200は、カムフォロア201,202,203と、複数の噛合歯200aとが、駆動枠200の光軸L方向の端部近傍に形成されている(図12A及び図14参照)。
なお、本実施の形態においては、駆動枠200の外周面上に、3つのカムフォロアと、複数の噛合歯とを同一円周上に設けた。しかし、必ずしもこのような構成とする必要はなく、3つのカムフォロアと、複数の噛合歯とが略同一円周上にあればよい。
これにより、駆動枠200は、固定枠100に対して、レンズの光軸方向(L軸方向)に沿って移動する際に、ほぼ最大の長さを移動することができる。従って、本実施の形態にかかるレンズ鏡筒は、駆動枠200の固定枠100に対するレンズの光軸方向に沿っての移動距離が同一であるレンズ鏡筒の中で、最も薄型化することができる。すなわち、固定枠100の光軸方向の幅寸法を小さくすることができるので、レンズ鏡筒を薄型化することができる。
また、駆動枠200は、外周面上に隆起体210が形成されている。隆起体210は、駆動枠200の外周面上における、光軸方向の端部近傍に形成されている。隆起体210は、駆動枠200の円周方向に沿って形成されている。隆起体210は、駆動枠200の外周上において他の平坦な部分と比較して隆起している。隆起体210を形成することにより、駆動枠200を固定枠100に組み込んだレンズ鏡筒は、隆起部210が形成されていないレンズ鏡筒と比較して、光の漏れ量を抑えることができる。
隆起体210と、カムフォロア201との間には、間隙部211が存在する。間隙部211は、両側を隆起体210とカムフォロア201とによって挟まれることにより形成される谷の部分である。
〔4.駆動枠と固定枠の動作〕
図15〜図18は、固定枠100における所定の位置に駆動枠200が組み込まれたユニットの、内側の展開図である。図19は、固定枠100における所定の位置に駆動枠200が組み込まれたユニットを上面から見た上面模式図である。図20Aは、図15におけるV1−V1部の断面図である。図20Bは、図15におけるV2−V2部の断面図である。なお、図15〜図18において、突起体101,突起体102,および隆起体210を明確に図示するためにハッチングを付した。また、図15〜図18において、固定枠100およびそれに含まれる構成は細線で描画し、駆動枠200およびそれに含まれる構成は太線で描画した。
固定枠100は、略円筒状に形成され、その内部空間に駆動枠200を組み込むことができる。具体的には、駆動枠200は、カムフォロア201をカム溝103に嵌合し、カムフォロア202をカム溝104に嵌合し、カムフォロア203をカム溝105に嵌合した状態で、固定枠100の内側に保持される。
駆動枠200に形成された複数の噛合歯200aは、レンズ鏡筒の内部又は外部に配された歯車などの歯(不図示)に噛み合う。駆動枠200は、噛合歯200aが噛み合っている歯車が回転することにより、噛合歯200aを介し、固定枠100に対して回転方向への動力を得る。一方、カムフォロア201〜203が嵌合しているカム溝103〜105は、駆動枠200に保持されたレンズの光軸L方向成分と、駆動枠200の固定枠100に対する回転方向成分とに分解できる方向に形成されている。このように、カム溝103〜105が形成されている方向は、固定枠100に対する駆動枠200の回転方向成分を有しているため、駆動枠200が固定枠100に対する回転方向への動力を得ると、カムフォロア201〜203はカム溝103〜105に沿って移動する。これにより、駆動枠200は、自身が保持するレンズの光軸L方向に沿って移動する。なぜなら、カム溝103〜105が形成されている方向は、駆動枠200に保持されたレンズの光軸L方向成分を有しているからである。
駆動枠200の光軸L方向の移動動作について詳しく説明する。
図15は、カムフォロワ201がカム溝103における傾斜部109の範囲内に位置している状態を示す。図20Aに示すように、突起体101は、カム溝103に沿って壁面を形成している。すなわち、突起体101の側面101aは、カム溝103の内壁面103aに隣接している。このように、突起体101が形成されている範囲内において、カムフォロア201は、突起体101とカム溝103と当接する。一方、他の範囲内において、カムフォロア201は、カム溝103とだけ当接する。従って、カムフォロア201が固定枠100に当接する面積は、突起体101が形成されている範囲内において他の範囲内よりも大きい。よって、カムフォロワ201が図15に示す位置に位置している時に、レンズ鏡筒に対して矢印aに示す方向に所定量以上の外力が加えられたとしても、カムフォロワ201に加わる矢印aに示す方向の力を突起体101の側面101aとカム溝103の内壁面103aとで受ける。したがって、カムフォロア201がカム溝103から離脱することを防止することができる。
ここで、図20Bに示すように、噛合歯204に略斜め方向の切り欠き部204aが形成されているため、図15に示す状態では突起体101と噛合歯204とは係合しない。また、突起体101と複数の噛合歯200aとは係合しない。これにより、駆動枠200において、カムフォロア201と噛合歯200aとを、より近接した位置に配置することができる。カムフォロア201と噛合歯200aとを近接して配置することにより、駆動枠200は、より多くの数の噛合歯を備えることが可能となる。駆動枠200は、噛合歯の数を多くすることにより、より多くの回転量を確保することが可能となる。これにより、本実施の形態にかかるレンズ鏡筒は、より精度の高いレンズ駆動を行うことが可能となる。
なお、本実施の形態において、噛合歯204は、図14に示すように傾斜状の切り欠き部204aが形成されている。しかし、噛合歯204に形成された切り欠き部204aは、必ずしも傾斜状である必要はなく、切り欠き部205aなどのように略水平状等の切り欠きであってもよい。要するに、突起体101と噛合歯204とが干渉し合わないように、噛合歯204に切り欠き部を備えていれば、どの様な形状であってもよい。
図15に示すように、カムフォロワ201が傾斜部109の範囲内に位置している状態において、突起体101は、図19に示すように、カムフォロア201と、噛合歯204との間に配置される。また、突起体101とカムフォロア201とは離間し、突起体101と噛合歯204とは離間する。
図16は、固定枠100が、広角寄りの位置で駆動枠200を保持している状態での、固定枠100と駆動枠200との展開図である。
図16に示す状態では、図15に示す状態と同様に、突起体101は、カム溝103に沿って壁面を形成している(図20Aの側面101aと内壁面103aを参照)。従って、カムフォロア201が固定枠100に当接する面積は、突起体101が形成されている範囲内において他の範囲内よりも大きい。これにより、レンズ鏡筒に対して、矢印aに示す方向に所定量以上の外力が加えられた際に、突起体101は、カムフォロア201がカム溝103から離脱するのを防止することができる。
また、図16に示す状態において、隆起体210と突起体102とは、かなり近い位置に位置している。しかし、隆起体210と突起体102とは、僅かな隙間を挟んで離間している。この状態で、レンズ鏡筒に対して矢印aに示す方向に所定量以上の外力が加えられると、隆起体210と突起体102とは当接する。隆起体210と突起体102とが当接することにより、カムフォロア201がカム溝103から離脱するのを防止することができる。
なお、本実施の形態においては、駆動枠200に対して外力が加わった際に、隆起体210の先端部212と、突起体102とが当接する構成とした。しかし、必ずしもこのような構成とする必要はなく、駆動枠200に所定量以上の外力が加わった際に、駆動枠200の端部と、突起体102とが当接する構成であればよい。
また、本実施の形態においては、隆起体210の先端部212は、カムフォロア201の傾斜部107における移動方向に対して平行に切り欠かれている。これにより、隆起体210の先端部212と、突起体102とが離間する範囲内において、隆起体210を最大限に大きくとることができる。隆起体210を大きくとることにより、レンズ鏡筒からの光の漏れ量を少なくすることができる。
図16に示す状態において、突起体101は、図19に示すように、カムフォロア201と、噛合歯204との間に配置される。また、図16に示す状態において、突起体101とカムフォロア201とは離間し、突起体101と噛合歯204とは離間している。
ここで、駆動枠200のカムフォロアが領域Aの範囲内に位置している場合には、デジタルカメラは撮影可能な状態ではない。一方、駆動枠200のカムフォロアが領域Bの範囲内に位置している場合には、デジタルカメラは撮影可能な状態である。本実施の形態においては、突起体101は、駆動枠200が望遠位置と広角位置との間の位置(デジタルカメラの撮影可能位置)にある場合に、カムフォロア201が存在する位置の近傍に形成されている。また、突起体102は、駆動枠200が広角位置に位置している場合に、隆起体210の端部(固定枠100の円周方向における端部)が存在する位置の近傍に形成されている。
図15,図16に示すように、本実施の形態にかかるレンズ鏡筒において、突起体101は、デジタルカメラにおいて被写体を撮影可能な状態において、カムフォロア201が移動する範囲に沿って形成されている。すなわち、突起体101は、レンズ(不図示)が望遠端と広角端との間を移動する際にカムフォロワ201が移動する範囲に沿って形成されている。しかし、突起体101は、デジタルカメラにおいて被写体の撮影が不可能な状態において、カムフォロア201が移動する範囲に沿う位置には、形成されていない。
また、突起体102は、広角位置での撮影が可能な状態で隆起体210が移動する範囲に沿って形成されている。しかし、突起体102は、デジタルカメラにおいて撮影が不可能な状態において、隆起体210が移動する範囲に沿う位置には、形成されていない。突起体101及び102を上記のような構成にしている理由を以下述べる。
レンズの収納状態(デジタルカメラによる撮影が不可能な状態)で使用者がデジタルカメラを誤って床等に落下させ、そのデジタルカメラが備えるレンズ鏡筒に対して、矢印aに示す方向に外力が加わった場合を考える。駆動枠200が固定枠100内に完全に収納されている場合には、カムフォロア201は、カム溝103の矢印aに示す方向の終端に位置している。カム溝103の矢印aに示す方向の終端より先には、デジタルカメラ本体の撮像素子などが存在する。従って、カムフォロア201がカム溝103の矢印aに示す方向の終端に位置している場合には、レンズ鏡筒に対して、矢印aに示す方向に外力が加えられたとしても、カムフォロア201が存在する位置より矢印aに示す側に存在するデジタルカメラ本体の撮像素子などが壁となり、カムフォロア201がカム溝103から離脱することがない。
一方、撮影可能な状態においては、カムフォロア201は、カム溝103の領域Bの範囲内に存在している。この場合には、カムフォロア201が存在している位置より矢印aに示す側に、カムフォロア201が存在し得る空間がある。従って、レンズ鏡筒に矢印aに示す方向に外力が加えられた場合に、カムフォロア201がカム溝103から離脱する可能性がある。
よって、本実施の形態においては、カムフォロア201がカム溝103から離脱することを防止するために、カムフォロア201がカム溝103から離脱する可能性がある範囲で、突起体101と突起体102とを設けている。
隆起体210とカムフォロア201とは、駆動枠200の外周上において、間隙部211と比較して隆起している。従って、固定枠100が駆動枠200を組み込んだ状態において、固定枠100の内周面と間隙部211との間には、空間が形成される。間隙部211と固定枠100の内周面とが形成する空間は、カムフォロア201がカム溝103を移動するのに伴って、突起体102上を通過する。つまり、固定枠100の内周面上に突起体102を設けたとしても、駆動枠200が固定枠100に対して移動する際に、突起体102に当接することはない。したがって、駆動枠200は、突起体102によって、移動を妨げられることはない。
図17は、固定枠100が、広角寄りの位置で駆動枠200を保持している状態を示す。図18は、固定枠100が、デジタルカメラによる撮影が不可能な位置で駆動枠200を保持している状態を示す。
図17及び図18に示す状態において、突起体101と、噛合歯206、噛合歯207を含む複数の噛合歯とは、係合しない。それは、図12Bに示すように、噛合歯206、噛合歯207、噛合歯208、噛合歯209には、それぞれ切り欠き部206a,207a,208a,209aが形成されているからである。
また、略斜め方向に形成された切り欠き部204a,209aと、略水平方向に形成された切り欠き部205a,206a,207a,208aとは、連続的な形状となるように形成されている。これにより、カム溝103のような複雑な形状を有するカム溝に沿って、駆動枠200が有するカムフォロア201を移動させる際に、突起体101と複数の噛合歯とは離間している。従って、突起体101が駆動枠200の移動の妨げになることはない。
なお、図17に示すように、広角位置(水平部108)では、カムフォロア201を支える突起体がカム溝103に沿って設けられていない。これは、カムフォロワ201がカム溝103の水平部108に位置している状態では、そもそもカムフォロア201がカム溝103から抜けにくいからである。但し、必ずこのような構成にする必要はなく、広角位置においても、カムフォロア201を支える突起体をカム溝103に沿って設ける構成とすることもできる。
また、間隙部211と固定枠100の内周面とが形成する空間は、カムフォロア201がカム溝103を移動するのに伴って、突起体102上を通過していく。図18に示す状態より、さらに駆動枠200が矢印aに示す方向に移動することにより、間隙部211と固定枠100の内周面とが形成する空間は、突起体102上を通過し切る。
〔他の構成例〕
本発明の実施の形態として、上述の通り、実施の形態1及び実施の形態2を例示した。しかし、本発明は、これらの実施の形態に限定されない。そこで、本発明の他の実施の形態を、以下まとめて説明する。
実施の形態1及び実施の形態2に係るレンズ鏡筒を構成する固定枠と駆動枠とは、図1〜図19に示すレンズ鏡筒に限定されない。例えば、図1〜図19に示すレンズ鏡筒は、3つのカム溝103〜105が形成されている固定枠100を例示しているが、3つ以外の個数のカム溝を有する構成とすることができる。
また、図1〜図19に示すレンズ鏡筒では、水平部106と、傾斜部107と、水平部108と、傾斜部109とを備えたカム溝103〜105が形成されている固定枠100を例示しているが、単なる斜め状などの他の形状のカム溝を有する構成とすることができる。
また、図1〜図19に示すレンズ鏡筒では、3つのカムフォロア201〜203が形成されている駆動枠200を例示しているが、固定枠100が有するカム溝の個数と同数であれば、3つ以外の個数のカムフォロアを有する構成とすることができる。
また、実施の形態2に係るレンズ鏡筒では、カム溝103の近傍にのみ突起体101と突起体102とが形成された固定枠100を例示したが、カム溝103の近傍のみに突起体101及び102を形成する構成には限らない。例えば、カム溝104とカム溝105とにも突起体101及び102を形成するなど、複数のカム溝に沿って突起体を形成する構成とすることができる。
また、実施の形態2に係るレンズ鏡筒では、カム溝103に沿って突起体101と突起体102とが形成された固定枠100を例示したが、突起体101と突起体102との両方を必ずしも形成する必要はなく、いずれか一方の突起体が形成された構成とすることができる。
なお、実施の形態2において、突起体102は、カム溝103に沿って設けられる構成とした。しかし、必ずしもそのような構成とする必要はなく、図21に示すように、突起体112a,112b,112cをカム溝103から離れた範囲に形成してもよい。要するに、突起体は、固定枠100が有する複数のカム溝のうちのいずれか2つの隣接するカム溝の間に設けられていればよい。
また、実施の形態1にかかるカムフォロワ22、および実施の形態2にかかるカムフォロワ201,202,203の形状は、略小判型としたが、カム溝に移動可能に嵌合する形状であれば略小判型に限らない。図22は、カムフォロワの他の構成例を示す平面図である。図22に示すカムフォロワは、平面形状を略平行四辺形とし、対向する二つの鈍角部を円弧状としている。側面301と側面302とは略平行である。側面303と側面304とは略平行である。側面301と側面303との角度θ1と、側面302と側面304との角度θ2とは、略同一角度とし、それぞれ90度未満とした。図23は、図22に示すカムフォロワが嵌合したカム溝を示す模式図である。図23に示す角度θ3及びθ4は、領域400dにおけるカム溝400の角度である。角度θ1は、角度θ3と同角度以上とし、角度θ2は、角度θ4と同角度以上とする。
図23に示すように、カムフォロワ300が領域400aに位置している時(例えば破線300aに示す位置)は、側面303及び304がカム溝400の内壁に当接している。カムフォロワ300が領域400bに位置している時(例えば破線300bに示す位置)は、側面301の一部と側面302の一部とがカム溝400の内壁に当接している。カムフォロワ300が領域400cに位置している時(例えば破線300cに示す位置)は、側面303及び304がカム溝400の内壁に当接している。カムフォロワ300が領域400dに位置している時(例えば破線300dに示す位置)は、側面301の一部と側面302の一部とがカム溝400の内壁に当接している。カムフォロワ300が領域400eに位置している時(例えば破線300eに示す位置)は、側面303及び304がカム溝400の内壁に当接している。
このように、カムフォロワ300を図22に示すような形状としたことにより、カムフォロワ300が領域400bまたは400dに位置している時、カム溝400の内壁との接触面積を略小判型のカムフォロワに比べて大きくすることができる。
すなわち、略小判型のカムフォロワは、図23に示す領域400bまたは400dに位置している時、カム溝400の内壁との接触面積が少なく、接圧が集中してしまう。したがって、カムフォロワがカム溝内を移動する際に、カム溝の内壁を削ってしまうことがある。また、カムフォロワにおけるカム溝の内壁に接している部分が摩耗してしまうことがある。さらに、カムフォロワの累積移動距離が長くなると、カム溝の内壁またはカムフォロワが大きく削られてしまい、カムフォロワとカム溝との間にガタツキが発生してしまうことがある。
そこで、カムフォロワの形状を図22に示すような形状とすることにより、カムフォロワが図23に示す領域400bまたは400dに位置している時、カム溝400の内壁との接触面積を大きくすることができ、カム溝400の内壁あるいはカムフォロワにかかる接圧を分散させることができる。よって、カムフォロワがカム溝の内壁を削ってしまうことを低減することができる。また、カムフォロワが摩耗することを低減することができる。したがって、カムフォロワとカム溝との間にガタツキが発生するのを抑えることができる。
また、カムフォロワの形状を図22に示すような形状とすることにより、カムフォロワの断面積を大きくすることができるので、カムフォロワの剛性を上げることができる。
なお、固定枠10は、本発明における固定枠の一例である。また、駆動枠20は、本発明における駆動枠の一例である。また、カム溝12における第1領域12a、第3領域12c、および第5領域12eは、本発明における第1の領域の一例である。また、カム溝12における第2領域12bおよび第4領域12dは、本発明における第2の領域の一例である。また、直進枠30は、本発明における直進枠の一例である。また、直進キー32は、本発明における突起部の一例である。また、隆起体210は、本発明における隆起体の一例である。また、突起体101は、本発明における第1の突起体の一例である。また、突起体102は、本発明における第2の突起体の一例である。
本発明は、デジタルカメラ、ビデオカメラ、銀塩カメラ、カメラ付き携帯電話端末などの撮像装置に搭載されるレンズ鏡筒に有用である。

Claims (3)

  1. レンズを備えるレンズ鏡筒であって、
    カム溝が形成された第1枠と、
    前記カム溝に係合されるカムフォロアが形成された第2枠と、を備え、
    前記第1枠と前記第2枠とが相対的に回転することにより、前記カム溝内を前記カムフォロアが移動して、前記第1枠に対する前記第2枠の前記レンズの光軸方向における位置が変化し、
    前記第2枠には、前記カムフォロアが形成された側に隆起体が形成され、
    前記第1枠には、前記カム溝が形成された側から突出して突起体が形成され、
    前記カム溝は、前記第1枠の円周方向に対して傾斜する傾斜部を有し、
    前記隆起体と前記突起体とは、前記カムフォロアが前記カム溝の傾斜部に位置した場合において、前記レンズの光軸方向に対して外力が加えられると、互いに当接する、
    レンズ鏡筒。
  2. 前記第2枠は、前記カムフォロアが形成された側に複数の噛合歯を有する、請求項1に記載のレンズ鏡筒。
  3. 前記第1枠には、前記傾斜部に沿った位置に前記突起体とは異なる他の突起体を有し、
    前記カムフォロアと前記他の突起体とは、前記カムフォロアが前記カム溝の傾斜部に位置した場合において、前記レンズの光軸方向に対して外力が加えられると、互いに当接する、請求項1または請求項2に記載のレンズ鏡筒。
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