JP5210344B2 - ポリプロピレン樹脂組成物を射出成形して得られた自動車部品 - Google Patents
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Description
間中に加熱溶融が終了しないと、次の射出充填ができないため、冷却時間を短縮できなくなる。上記ポリプロピレン樹脂組成物は、加熱溶融時間(可塑化時間)が長く、冷却時間を短縮することができず、したがって、成形サイクルを短縮できないという問題がある。
プロピレン単独重合体(A1)30〜80重量%と、エラストマー(B)15〜40重量%と、無機充填剤(C)5〜30重量%とを含有してなるポリプロピレン樹脂組成物からなる自動車部品であって、
該プロピレン単独重合体(A1)は、
(i)メルトフローレート(ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重)が20〜300g/10分の範囲にあり、
(ii)13C−NMRスペクトルから求められる、全プロピレン構成単位中のプロピレンモノマーの2,1−挿入あるいは1,3−挿入に基づく位置不規則単位の割合がいずれも0.2%以下であり、
(iii)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求めた分子量分布(Mw/Mn)が1〜3である
ことを特徴としている。
プロピレン単独重合体部とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体部とからなるプロピレン系ブロック共重合体(A2)と、無機充填剤(C)と、必要に応じてエラストマー(B)とを含有してなるポリプロピレン樹脂組成物からなる自動車部品であって、
該プロピレン系ブロック共重合体(A2)のプロピレン単独重合体部は、
(i)メルトフローレート(ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重)が20〜300g/10分の範囲にあり、
(ii)13C−NMRスペクトルから求められる、全プロピレン構成単位中のプロピレンモノマーの2,1−挿入あるいは1,3−挿入に基づく位置不規則単位の割合がいずれも0.2%以下であり、
(iii)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求めた分子量分布(Mw/Mn)が1〜3であり、
該プロピレン系ブロック共重合体(A2)、該エラストマー(B)および該無機充填剤(C)の合計量100重量%に対して、該ポリプロピレン樹脂組成物におけるプロピレン系ブロック共重合体(A2)のプロピレン単独重合体部の含有量が30〜80重量%、該プロピレン系ブロック共重合体(A2)のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体部と該エラストマー(B)の合計含有量が15〜40重量%、かつ、該該無機充填剤(C)の含有量が5〜30重量%であることを特徴としている。
前記ポリプロピレン樹脂組成物のクロス分別クロマト(CFC)測定において、オルトジクロロベンゼン100〜135℃溶出成分の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1〜3の範囲にあることが好ましい。
Δ反射率差≦0.5
を満たしていることが特に好ましい。
本発明に係るポリプロピレン樹脂組成物からなる自動車部品は、プロピレン単独重合体(A1)とエラストマー(B)と無機充填剤(C)とを、またはプロピレン系ブロック共重合体(A2)と無機充填剤(C)と必要に応じてエラストマー(B)とを含有してなるポリプロピレン樹脂組成物からなる。
本発明で用いられるプロピレン単独重合体(A1)は、下記の特性を有する結晶性ポリプロピレン樹脂である。
(i)メルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重)は、20〜300g/10分、好ましくは20〜250g/10分、より好ましくは30〜220g/10分、特に好ましくは40〜200g/10分の範囲にあり、
(ii)13C−NMRスペクトルから求められる全プロピレン構成単位中のプロピレンモノマーの2,1−挿入あるいは1,3−挿入に基づく位置不規則単位の割合がいずれも0.2%以下、好ましくは0.1%以下、特に0.05%以下であり、
(iii)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求めた分子量分布(Mw/Mn)が1〜3、好ましくは1〜2.5、より好ましくは1〜2.3の範囲にある。
(iv)n−デカン可溶分量(プロピレン単独重合体をn−デカンで150℃、2時間処理した後に室温に戻し、n−デカンに溶解した重量%)が2重量%以下、好ましくは1重量%以下であり、
(v)13C−NMRスペクトル測定から求められるペンタッド(pentad)アイソタクティシティが90%以上、好ましくは93%以上、より好ましくは94%以上である。アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)は、13C−NMRを使用して測定されるプロピレン系ブロック共重合体(A)分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖の存在割合を示しており、プロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。具体的には、13C−NMRスペクトルで観測されるメチル炭素領域の全吸収ピーク中に占めるmmmmピークの分率として算出される値である。
(vi)示差走査型熱量計(DSC)により測定される吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm)は、通常155〜170℃、好ましくは157〜165℃、より好ましくは158〜163℃の範囲にあることが望ましい。
R1、R2、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、およびR14は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭化水素基およびケイ素含有炭化水素基から選ばれ、
R1ないしR12で示される基のうち、隣接した基は互いに結合して環を形成してもよく、一般式(1)の場合はR1、R4、R5、およびR12から選ばれる基とR13またはR14が互いに結合して環を形成してもよく、
Aは、不飽和結合および/または芳香族環を含んでいてもよい炭素原子数2〜20の2価の炭化水素基を示し、AはYと共に形成する環を含めて2つ以上の環構造を含んでいてもよく、
Yは、炭素原子またはケイ素原子であり、
Mは、周期表第4族から選ばれた金属を示し、
jは、1〜4の整数であり、
Qは、ハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子から選ばれ、jが2以上のときはQは互いに同一でも異なっていてもよい。)
また、本発明で用いられる他のメタロセン化合物触媒成分としては、下記一般式(1a)または(2a)で表わされるメタロセン化合物が挙げられる。
R1、R2、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、およびR14は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭化水素基およびケイ素含有炭化水素基から選ばれ、
一般式(1a)で示される化合物であって、R3がtert−ブチル基またはトリメリルシリル基であり、R13およびR14が同時にメチル基またはフェニル基である場合は、R6およびR11は同時に水素原子でなく、R1ないしR12で示される基のうち隣接した基は互いに結合して環を形成してもよく、一般式(1a)の場合はR1、R4、R5およびR12から選ばれる基とR13またはR14が互いに結合して環を形成してもよく、
Aは、不飽和結合および/または芳香族環を含んでいてもよい炭素原子数2〜20の2価の炭化水素基を示し、Aは、Yと共に形成する環を含めて2つ以上の環構造を含んでいてもよく、
Yは、炭素原子またはケイ素原子であり、
Mは、周期表第4族から選ばれた金属であり、
jは、1〜4の整数であり、
Qは、ハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子から選ばれ、jが2以上のときはQは互いに同一でも異なっていてもよい。)
また、上記以外のメタロセン化合物触媒成分として、下記一般式(1b)または(2b)で表わされるメタロセン化合物が挙げられる。
R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭化水素基およびケイ素含有炭化水素基から選ばれ、R5ないしR12のうち隣接した基は、互いに結合して環を形成してもよく、
Aは、不飽和結合および/または芳香族環を含んでいてもよい炭素原子数2〜20の2価の炭化水素基を示し、Aは、Yと共に形成する環を含めて2つ以上の環構造を含んでいてもよく、
Mは、周期表第4族から選ばれた金属を示し、
Yは、炭素原子またはケイ素原子であり、
jは、1〜4の整数であり、
Qは、ハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子から選ばれ、jが2以上のときはQは互いに同一でも異なっていてもよい。)
上記炭化水素基の好ましい例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアルキルアリール基などが挙げられる。
基、フリル基などであってもよい。
具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1,1−ジエチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1,1,2,2−テトラメチルプロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、1,1−ジメチルブチル、1,1,3−トリメチルブチル、ネオペンチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシル、1−メチル−1−シクロヘキシル、1−アダマンチル、2−アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル、メンチル、ノルボルニル、ベンジル、2−フェニルエチル、1−テトラヒドロナフチル、1−メチル−1−テトラヒドロナフチル、フェニル、ナフチル、トリルなどの炭化水素基が挙げられる。
具体的には、トリメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、トリフェニルシリルなどの基が挙げられる。
基であることがより好ましい。
上記の一般式(1)または(2)において、R1、R2、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基から選ばれる。好ましい炭化水素基およびケイ素含有炭化水素基の具体例としては、上記と同様の基が挙げられる。
上記一般式(1)で表わされるメタロセン化合物は、R13とR14はYと結合し、架橋部として置換メチレン基または置換シリレン基を構成する。好ましい具体例としは、たとえば、メチレン、ジメチルメチレン、ジエチルメチレン、ジイソプロピルメチレン、メチルtert−ブチルメチレン、ジtert−ブチルメチレン、ジシクロヘキシルメチレン、メチルシクロヘキシルメチレン、メチルフェニルメチレン、ジフェニルメチレン、メチルナフチルメチレン、ジナフチルメチレンまたはジメチルシリレン、ジイソプロピルシリレン、メチルtert−ブチルシリレン、ジシクロヘキシルシリレン、メチルシクロヘキシルシリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルナフチルシリレン、ジナフチルシリレンなどが挙げられる。
そのような構造の一例として、R1とR14が互いに結合して環を形成した場合を下記に例示する。下記一般式(1c)で表わされるメタロセン化合物では、架橋部とシクロペンタジエニル基が一体となり、テトラヒドロペンタレン骨格を形成し、下記一般式(1d)で表わされるメタロセン化合物では、架橋部とシクロペンタジエニル基が一体となり、テトラヒドロインデニル骨格を形成している。また同様に、架橋部とフルオレニル基が互いに結合して環を形成してもよい。
好ましい具体例としては、たとえばシクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、ビシクロ[3.3.1]ノニリデン、ノルボルニリデン、アダマンチリデン、テトラヒドロナフチリデン、ジヒドロインダニリデン、シクロジメチレンシリレン、シクロトリメチレンシリレン、シクロテトラメチレンシリレン、シクロペンタメチレンシリレン、シクロヘキサメチレンシリレン、シクロヘプタメチレンシリレンなどが挙げられる。
上記一般式(1)または(2)において、jは1〜4の整数である。
アニオン配位子の具体例としては、メトキシ、tert−ブトキシ、フェノキシ等のアルコキシ基;アセテート、ベンゾエート等のカルボキシレート基;メシレート、トシレート等のスルホネート基などが挙げられる。
以下に、上記一般式(1)または(2)で表わされる、本発明に係るメタロセン化合物の具体例を示す。
(1)吸着水を含有する化合物あるいは結晶水を含有する塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水や氷や水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
なお有機アルミニウムオキシ化合物は、少量のアルミニウム以外の金属の有機化合物成分を含有していてもよい。イオン化イオン性化合物としては、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物を例示することができる。
有機アルミニウム化合物としては、分子内に少なくとも1個のA1−炭素結合を有する化合物が利用できる。このような化合物としては、たとえば下記一般式で表される有機アルミニウム化合物が挙げられる。
プロピレン単独重合体(A1)の重合工程は、通常、約−50〜200℃、好ましくは約50〜100℃の温度で、また通常、常圧〜100kg/cm2、好ましくは約2〜5
0kg/cm2の圧力下で行なわれる。プロピレンの重合は、回分式、半連続式、連続式
の何れの方法においても行なうことができる。
本発明で用いられるプロピレン系ブロック共重合体(A2)は、プロピレン単独重合体部と、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体部とからなるブロック共重合体である。このプロピレン系ブロック共重合体(A2)全体におけるα−オレフィンの含有量は1〜40重量%、好ましくは3〜30重量%である。
(i)このプロピレン単独重合体部のメルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重)は、20〜300g/10分、好ましくは20〜250g/10分、より好ましくは30〜220g/10分、特に好ましくは40〜200g/10分の範囲にあり、
(ii)13C−NMRスペクトルから求められる全プロピレン構成単位中のプロピレンモノマーの2,1−挿入あるいは1,3−挿入に基づく位置不規則単位の割合がいずれも0.2%以下、好ましくは0.1%以下、特に0.05%以下であり、
(iii)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求めた分子量分布(Mw/Mn)が1〜3、好ましくは1〜2.5、より好ましくは1〜2.3の範囲にある。
(iv)n−デカン可溶分量(プロピレン単独重合体をn−デカンで150℃、2時間処理した後に室温に戻し、n−デカンに溶解した重量%)が2重量%以下、好ましくは1重量%以下であり、
(v)13C−NMRスペクトル測定から求められるペンタッド(pentad)アイソタクティシティが90%以上、好ましくは93%以上、より好ましくは95%以上である。アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)は、13C−NMRを使用して測定されるプロピレン系ブロック共重合体(A2)分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖の存在割合を示しており、プロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。具体的には、13C−NMRスペクトルで観測されるメチル炭素領域の全吸収ピーク中に占めるmmmmピークの分率として算出される値である。
(vi)示差走査型熱量計(DSC)により測定される吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm)は、通常155〜170℃、好ましくは155〜165℃、より好ましくは157〜163℃の範囲にあることが望ましい。
本発明で用いられるプロピレン系ブロック共重合体(A2)は、前記メタロセン触媒の存在下に、プロピレンを重合させてプロピレン単独重合体成分を形成する工程と、エチレンとプロピレンとを共重合させてエチレン・プロピレン共重合体成分を形成する工程とを、任意の順序で行なって調製することができる。
本発明で用いられるエラストマー(B)としては、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(B−1)、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B−2)、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体(B−3)、水素添加ブロック共重合体(B−4)、その他弾性重合体、およびこれらの混合物などが挙げられる。
炭素原子数4〜20のα−オレフィンとしては、具体的には、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。これらのα−オレフィンおよびエチレンは、単独で、または2種以上組み合せて用いることができる。これらの中では、特にエチレンが好ましく用いられる。
炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。これらのα−オレフィンは、単独で、または2種以上組み合せて用いることができる。これらの中では、特にプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく用いられる。
非共役ポリエンとしては、具体的には、
5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロピリデン−5−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン等の環状ジエン;
1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,7−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状の非共役ジエン;
2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン等のトリエンなどが挙げられる。これらの中では、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンが好ましく用いられる。
前記水素添加ブロック共重合体(B−4)は、ブロックの形態が下記の式(1)または(2)で表わされるブロック共重合体の水素添加物であり、水素添加率が90モル%以上、好ましくは95モル%以上の水素添加ブロック共重合体である。
(XY)n ・・・(2)
(式中、Xは、モノビニル置換芳香族炭化水素から導かれるブロック重合単位であり、
Yは、共役ジエンから導かれるブロック重合単位であり、
nは、1〜5の整数である。)
上記のようなエラストマー(B)は、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
本発明で用いられる無機充填剤(C)としては、具体的には、タルク、クレー、炭酸カルシウム、マイカ、けい酸塩類、炭酸塩類、ガラス織維などが挙げられる。これらの中では、タルク、炭酸カルシウムが好ましく、特にタルクが好ましい。タルクの平均粒径は、1〜5μm、好ましくは1〜3μmの範囲内にあることが望ましい。無機充填剤(B)は、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
前記プロピレン単独重合体(A1)含有のポリプロピレン樹脂組成物は、プロピレン単独重合体(A1)、エラストマー(B)および無機充填剤(C)の合計100重量%に対して、プロピレン単独重合体(A1)を30〜80重量%、好ましくは40〜78重量%、より好ましくは42〜75重量%、さらに好ましくは45〜70重量%の割合で含有し、エラストマー(B)を15〜40重量%、好ましくは15〜35重量%、より好ましくは17〜35重量%、さらに好ましくは20〜35重量%の割合で含有し、無機充填剤(C)を5〜30重量%、好ましくは7〜25重量%、より好ましくは8〜23重量%、さらに好ましくは10〜20重量%の割合で含有してなる。
また、酸化防止剤は、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、具体的には、
テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジン)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(分子量=847)、
アデカスタブLA−52〔分子量=847、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジン)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート〕、
アデカスタブLA−62(分子量=約900)、
アデカスタブLA−67(分子量=約900)、
アデカスタブLA−63(分子量=約2000)、
アデカスタブLA−68LD(分子量=約1900)(いずれも旭電化工業(株)製、商標)、
キマソーブ(CHIMASSORB)944(分子量=72500、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、商標)などを挙げることができる。
これらの耐光安定剤は、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
脂肪酸金属塩の配合量は、ポリプロピレン樹脂((A1)または(A2))、エラストマー(B)および無機充填剤(C)の合計100重量部に対して、好ましくは0.01〜1重量部、特に好ましくは0.05〜0.5重量部である。脂肪酸金属塩の配合量が上記範囲にある場合、中和剤および分散剤としての機能を十分に発揮させることができ、しかも、成形品からの昇華量も少なくすることができる。
本発明に係る自動車部品は、上記のようにして得られるポリプロピレン樹脂組成物からなる。
Δ反射率差≦0.5
を満たすことが好ましい。この反射率差が0.5以下であると、その射出成形品表面に、フローマークを視認しずらくなる。すなわち、このような射出成形品は、外観に優れ、商品価値のある自動車部品として好適である。この反射率差(光沢差)の測定方法については、実施例において後述する。
本発明によれば、剛性と耐衝撃性のバランスに優れ、かつフローマークが発生しにくく、発生しても目立たず、しかも成形品表面のシボ転写性が良好で、外観に優れる自動車部品(射出成形品を含む)を提供することができる。
実施例A1
[メタロセン化合物の合成]
<ジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロライドの合成>
(1)4,4'−ジ−t−ブチルジフェニルメタンの合成
300ml容量の二口フラスコを十分に窒素置換し、AlCl338.4g(289mmol)を入れ、CH3NO280mlを加えて溶解し、これを溶液(1)とした。滴下ロートと磁気撹拌子を備えた500ml容量の三口フラスコを十分に窒素置換し、これにジフェニルメタン25.6g(152mmol)と2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール43.8g(199mmol)を入れ、CH3NO280mlを加えて溶解した。撹拌しながら氷浴で冷却した。(1)の溶液を35分かけて滴下した後、反応液を12℃で1時間撹拌した。反応液を氷水500ml中に注ぎ、ヘキサン800mlで反応生成物を抽出した。その反応生成物を含む有機層を5%水酸化ナトリウム水溶液600mlで洗浄し、続いてMgSO4で乾燥した。MgSO4をろ別した後、溶媒をエバポレートして得られたオイルを−78℃に冷却して固体を析出させ、それをろ過で回収し、エタノール300mlで洗浄した。減圧下で乾燥して、4,4'−ジ−t−ブチルジフェニルメタンを得た。その収量は18.9gであった。
磁気撹拌子を備えた200ml容量のフラスコに、4,4'−ジ−t−ブチルジフェニルメタン1.95g(6.96mmol)とHIO40.78g(3.48mmol)、I21.55g(6.12mmol)、concH2SO40.48mlを入れた。これに酢酸17.5ml、水3.75mlを加え、撹拌しながら90℃に加熱し5時間反応させた。反応液を氷水50ml中に注ぎ、(C2H5)2Oで反応生成物を抽出した。その反応生成物を含む有機層を飽和NaHSO4水溶液100mlで洗浄し、続いてNa2CO3を添加し、撹拌後Na2CO3をろ別した。さらに有機層を水800mlで洗浄後、MgSO4を加えて乾燥した。MgSO4をろ別した後、溶媒を留去して黄色オイルを得た。この黄色オイルをカラムクロマトグラフィーにより精製し、2,2'−ジヨード−4,4'−ジ−t−ブチルジフェニルメタンを得た。その収量は3.21gであった。
50ml容量の二口フラスコに、2,2'−ジヨード−4,4'−ジ−t−ブチルジフェニルメタン3.21g(6.03mmol)、銅粉2.89g(47.0mmol)を入れ、230℃に加熱し、撹拌しながら5時間反応させた。反応生成物をアセトンで抽出し、溶媒を留去し、赤褐色オイルを得た。この赤褐色オイルからカラムクロマトグラフィーにより薄黄色のオイルを得た。未反応原料を含むフラクションは再度カラムにかけて目的物のみ回収した。メタノールで再結晶して白色固体の3,6−ジ−t−ブチルフルオレンを得た。その収量は1.08gであった。
窒素雰囲気下で、濃度2.0mol/lのtert−ブチルマグネシウムクロライド/ジエチルエーテル溶液(450ml、0.90mol)に脱水ジエチルエーテル(350ml)を加えた溶液に、氷冷下で0℃を保ちながら3−メチルシクロペンテノン(43.7g、0.45mmol)の脱水ジエチルエーテル(150ml)溶液を滴下し、さらに室温で15時間撹拌した。反応溶液に塩化アンモニウム(80.0g、1.50mol)の水(350ml)溶液を、氷冷下で0℃を保ちながら滴下した。この溶液に水(2500ml)を加え撹拌した後、反応生成物を含む有機層を分離して水で洗浄した。この有機層に、氷冷下で0℃を保ちながら10%塩酸水溶液(82ml)を加えた後、室温で6時間撹拌した。この反応液の有機層を分離し、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウム(乾燥剤)で乾燥した。乾燥剤を濾過し、濾液から溶媒を留去して液体を得た。この液体を減圧蒸留(45〜47℃/10mmHg)することにより14.6gの淡黄色の液体(1−tert−ブチル−3−メチルシクロペンタジエン)を得た。その分析値を以下に示す。
1H−NMR(270MHz、CDCl3中、TMS基準)
δ6.31+6.13+5.94+5.87(s+s+t+d、2H)、3.04+2.95(s+s、2H)、2.17+2.09(s+s、3H)、1.27(d、9H)
窒素雰囲気下で1−tert−ブチル−3−メチルシクロペンタジエン(13.0g、95.6mmol)の脱水メタノール(130ml)溶液に、氷冷下で0℃を保ちながら脱水アセトン(55.2g、950.4mmol)を滴下し、さらにピロリジン(68.0g、956.1mmol)を滴下した後、室温で4日間撹拌した。反応液をジエチルエーテル(400ml)で希釈した後、水400mlを加えた。反応生成物を含む有機層を分離し、0.5Nの塩酸水溶液(150ml×4)、水(200ml×3)、飽和食塩水(150ml)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウム(乾燥剤)で乾燥した。乾燥剤を濾過し、濾液から溶媒を留去して液体を得た。この液体を減圧蒸留(70〜80℃/0.1mmHg)することにより10.5gの黄色の液体(3−tert−ブチル−5,6,6−トリメチルフルベン)を得た。その分析値を以下に示す。
1H−NMR(270MHz、CDCl3中、TMS基準)
δ6.23(s、1H)、6.05(d、1H)、2.23(s、3H)、2.17(d、6H)、1.17(s、9H)
3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン(0.9g、3.4mmol)のTHF(30ml)溶液に、氷冷下でn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.1ml、3.4mmol)を窒素雰囲気下で滴下し、さらに室温で6時間撹拌した。さらに、氷冷下で、この赤色溶液に3−tert−ブチル−5,6,6−トリメチルフルベン(0.6g、3.5mmol)のTHF(15ml)溶液を窒素雰囲気下で滴下し、室温で12時間撹拌した後に水30mlを加えた。ジエチルエーテルで抽出、分離した反応生成物を含む有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過し、濾液から溶媒を減圧下で除去して固体を得た。この固体を熱メタノールから再結晶して1.2gの淡黄色の固体(2−(3−tertt−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)−2−(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレニル)プロパン)を得た。その分析値を以下に示す。
1H−NMR(270MHz、CDCl3中、TMS基準)
δ7.72(d、2H)、7.18−7.05(m、4H)、6.18−5.99(s+s、1H)、4.32−4.18(s+s、1H)、3.00−2.90(s+s、2H)、2.13−1.98(t+s、3H)、1.38(s、18H)、1.19(s、9H)、1.10(d、6H)
(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロライドの合成
氷冷下で、2−(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)−2−(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレニル)プロパン(1.3g、2.8mmol)のジエチルエーテル(40ml)溶液にn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(3.6ml、5.8mmol)を窒素雰囲気下で滴下し、さらに室温で16時間撹拌した。反応混合物から溶媒を減圧下で除去して赤橙色の固体を得た。この固体に−78℃でジクロロメタン150mlを加えて撹拌溶解し、次いで、この溶液を−78℃に冷却したジルコニウムテトラクロライド(THF)2錯体(1.0g、2.7mmol)のジクロロメタン(10ml)懸濁液に加え、−78℃で6時間撹拌し、室温で一昼夜撹拌した。この反応溶液から溶媒を減圧下で除去し、オレンジ色の固体を得た。さらに、この固体をトルエンで抽出、セライト濾過し、濾液から溶媒を減圧下で除去した後、ジエチルエーテルから再結晶し0.18gのオレンジ色の固体(ジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロライド)を得た。その分析値を以下に示す。
1H−NMR(270MHz、CDCl3中、TMS基準)
δ7.98(dd、2H)、7.90(d、1H)、7.69(d、1H)、7.32−7.25(m、2H)、6.01(d、1H)、5.66(d、1H)、2.54(s、3H)、2.36(s、3H)、2.28(s、1H)、1.43(d、18H)、1.08(s、9H)
充分に窒素置換した500ml容量の反応器に、シリカ20g(旭硝子(株)製、商品名 H−121、窒素下150℃で4時間乾燥したもの)、およびトルエン200mlを仕込み、撹拌しながらメチルアルミノキサン60ml(アルベマール社製、10重量%トルエン溶液)を窒素雰囲気下で滴下した。次いで、この混合物を110℃で4時間反応させた後、反応系を放冷して固体成分を沈澱させ、上澄み溶液をデカンテーションによって取り除いた。続いて、固体成分をトルエンで3回、ヘキサンで3回洗浄し、シリカ担持メチルアルミノキサンを得た。
充分に窒素置換した1000ml容量の二つ口フラスコ中に、シリカ担持メチルアルミノキサンをアルミニウム換算で20mmol入れ、ヘプタン500mlに懸濁させた。次いで、その懸濁液に、ジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロライド54mg(0.088mmol)をトルエン溶液として加えた後、次いで、トリイソブチルアルミニウム(80mmol)を加え、30分攪拌して触媒懸濁液とした。
上記のようにして得られたプロピレン単独重合体(A1−1)と、プロピレン・エチレン共重合体ゴム(B−1)[PER;エチレン含量41モル%、MFR(ASTM D 1238,230℃、荷重2.16kg)=2.0g/10分]と、エチレン・1−ブテン共重合体ゴム(B−2−a)[EBR;エチレン含量82モル%、MFR(ASTM D 1238,230℃、荷重2.16kg)=7g/10分]と、タルク(C−1)[無機充填剤、林化成(株)製、K−1(商標)]と、Irganox 1010(商標)[酸化防止剤(チバガイギー社製)]と、Irgafos 168(商標)[酸化防止剤(チバガイギー社製)]と、サノールLS−770(商標)[HALS系耐光安定剤(三共製薬社製)]と、チヌビン120(商標)[紫外線吸収剤(チバガイギー社製)]を表1に示した配合でタンブラー型混合機にて混合した後、二軸押出機で溶融混練してペレット化した。
また、同射出成形機を用いて、表面にシボの付いた平板(140mm×360mm×3mm厚)を射出成形し、転写されたシボ面の光沢の測定を行なった(シボ面の光沢は、ASTM D523に従い、60度の光線入射角にて測定した。)。光沢測定位置は、平板中央部の上流端から80mm離れた位置(A部)および下流端から80mm離れた位置(B部)の2個所とした。
物性測定方法は次の通りである。
引張特性は、ASTM D638−84に準拠して引張試験を行なって、引張伸びを下記の条件で測定した。
<試験条件>
試験片:ASTM D638−84 No.1ダンベル
チャック間距離:114mm
温度:23℃
引張速度:10mm/分および20mm/分
曲げ特性は、ASTM D−790に準拠して、下記の条件にて曲げ試験を行なって曲げ弾性率を求めた。
<試験条件>
試験片:6.4mm(厚さ)×12.7mm(幅)×127mm(長さ)
スパン間:100mm
曲げ速度:2mm/分
測定温度:23℃
アイゾット衝撃強度は、ASTM D−256に準拠して、下記の条件にて衝撃試験を行なって求めた。
<試験条件>
試験片:12.7mm(幅)×6.4mm(厚さ)×64mm(長さ)
ノッチ:機械加工
測定温度:23℃、−30℃
なお、フローマーク観察、シボ転写性評価、可塑化時間測定およびASTM試験に供した試験片の射出成形条件は、次の通りである。
フローマーク観察;樹脂温度230℃、金型温度40℃、
射出速度25%、射出圧力65%、
冷却時間20秒。
シボ転写性評価;樹脂温度220℃、金型温度40℃、
射出速度20%、射出圧力80%、
冷却時間15秒。
可塑化時間測定;樹脂温度210℃、金型温度40℃、
射出速度30%、射出圧力50%、
冷却時間20秒。
ASTM試験片;樹脂温度210℃、金型温度40℃、
射出速度40%、射出圧力40%、
冷却時間20秒。
射出成形平板(100mm×350mm×2mm厚、1点ゲート)の流動末端から50mmから150mm間の領域で、流動方向に対し5mm間隔にて反射率(測定機:日本電色工業(株)製FW−098、90°入射角)を測定した。
プロピレン単独重合体(A1−1)、プロピレン・エチレン共重合体ゴム(B−1)、エチレン・1−ブテン共重合体ゴム(B−2−a)およびタルク(C−1)の配合比、添加剤の種類およびその配合比を表2のように変更した以外は、実施例A1と同様にして、ポリプロピレン樹脂組成物を得た。この組成物を実施例A1と同様にして評価した。その結果を表2に示す。
[メタロセン化合物の合成]
<ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロライドの合成>
Organometallics,13,954(1994)に記載の方法に従って、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロライドを合成した。
実施例A1において、メタロセン化合物として、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロライドを70mg用いた以外は、実施例A1と同様にして、プロピレン単独重合体(A1−2)を得た。
このプロピレン単独重合体(A1−2)を用いて、実施例A1と同様にして、ポリプロピレン樹脂組成物を製造し、その物性を評価した。その結果を表1に示す。
比較例A1と同じプロピレン単独重合体(A1−2)を用いて、実施例A2と同様にしてポリプロピレン樹脂組成物を製造し、その物性を評価した。その結果を表2に示す。
この比較例A3で使用する、塩化マグネシウム担持チタン触媒(チーグラー・ナッタ触媒)を用いて製造された市販のプロピレン単独重合体(A1−3)[商品名 J108、(株)グランドポリマー製]の物性は以下の通りである。
このプロピレン単独重合体(A1−3)を用いて、実施例A1と同様にしてポリプロピレン樹脂組成物を製造し、その物性を評価した。結果を表1に示す。
比較例A3と同じプロピレン単独重合体(A1−3)を用いて、実施例A2と同様にして、ポリプロピレン樹脂組成物を製造し、その物性を評価した。その結果を表2に示す。
[プロピレン系ブロック共重合体(A2−1)の製造]
充分に窒素置換した1000ml容量の二つ口フラスコ中に、実施例A1に記載のシリカ担持メチルアルミノキサンをアルミニウム換算で20mmol入れ、ヘプタン500mlに懸濁させた。次いで、その懸濁液に、実施例A1に記載のジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロライド54mg(0.088mmol)をトルエン溶液として加えた後、次いで、トリイソブチルアルミニウム(80mmol)を加え、30分攪拌して触媒懸濁液とした。
上記のようにして得られたプロピレン系ブロック共重合体(A2−1)と、エチレン・1−ブテン共重合体ゴム(B−2−b)[EBR;エチレン含量70モル%、MFR(ASTM D 1238,230℃、荷重2.16kg)=1.8g/10分]と、タルク(C−1)[無機充填剤、林化成(株)製、K−1(商標)]と、Irganox 1010(商標)[酸化防止剤(チバガイギー社製)]と、Irgafos 168(商標)[酸化防止剤(チバガイギー社製)]と、サノール LS−770(商標)[HALS系耐光安定剤(三共製薬社製)]と、チヌビン120(商標)[紫外線吸収剤(チバガイギー社製)]を表3に示した配合でタンブラー型混合機にて混合した後、二軸押出機で溶融混練してペレット化した。
また、同射出成形機を用いて、表面にシボの付いた平板(140mm×360mm×3mm厚)を射出成形し、転写されたシボ面の光沢の測定を行なった。シボ面の光沢は、ASTM D523に従い、60度の光線入角度にて測定した。光沢測定位置は、平板中央部の上流端から80mm離れた位置(A部)および下流端から80mm離れた位置(B部)の2個所とした。
引張特性、曲げ特性およびアイゾット衝撃強度の物性測定方法は、実施例A1に記載した通りである。
なお、フローマーク観察、シボ転写性評価、可塑化時間測定およびASTM試験に供した試験片の射出成形条件も、実施例A1に記載した通りである。
プロピレン系ブロック共重合体(A2−1)、エチレン・1−ブテン共重合体ゴム(B−2−b)およびタルク(C−1)の配合比、添加剤の種類およびその配合比を表4のように変更した以外は、実施例B1と同様にして、ポリプロピレン樹脂組成物を得た。この組成物を実施例B1と同様にして評価した。その結果を表4に示す。
[プロピレン系ブロック共重合体(A2−2)の製造]
実施例B1において、メタロセン化合物として、実施例A1に記載のジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロライド70mgを用いた以外は、実施例B1と同様にして、プロピレン系ブロック共重合体(A2−2)を得た。
このプロピレン系ブロック共重合体(A2−2)を用いて、実施例B1と同様にして、ポリプロピレン樹脂組成物を製造し、その物性を評価した。その結果を表3に示す。
比較例B1と同じプロピレンブロック共重合体(A2−2)を用いて、実施例B2と同様にしてポリプロピレン樹脂組成物を製造し、その物性を評価した。その結果を表4に示す。
この比較例B3で使用する、塩化マグネシウム担持チタン触媒(チーグラー・ナッタ触媒)を用いて製造された市販のプロピレン・エチレンブロック共重合体(A2−3)[商品名 J707、(株)グランドポリマー製]の物性は以下の通りである。
このプロピレン系ブロック共重合体(A2−3)を用いて、実施例B1と同様にしてポリプロピレン樹脂組成物を製造し、その物性を評価した。結果を表3に示す。
比較例B3と同じプロピレン系ブロック共重合体(A2−3)を用いて、実施例B2と同様にして、ポリプロピレン樹脂組成物を製造し、その物性を評価した。その結果を表4に示す。
Claims (7)
- プロピレン単独重合体(A1)30〜80重量%と、エラストマー(B)15〜40重量%と、無機充填剤(C)5〜30重量%とを含有してなるポリプロピレン樹脂組成物を射出成形して得られた自動車部品であって、
該プロピレン単独重合体(A1)は、
(i)メルトフローレート(ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重)が20〜300g/10分の範囲にあり、
(ii)13C−NMRスペクトルから求められる、全プロピレン構成単位中のプロピレンモノマーの2,1−挿入あるいは1,3−挿入に基づく位置不規則単位の割合がいずれも0.05%以下であり、
(iii)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求めた分子量分布(Mw/Mn)が1〜3であり、
(vi)示差走査型熱量計(DSC)により測定される吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm)が155〜170℃の範囲にある
ことを特徴とするポリプロピレン樹脂組成物を射出成形して得られた自動車部品。 - プロピレン単独重合体部とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体部とからなるプロピレン系ブロック共重合体(A2)と、無機充填剤(C)とを含有してなるポリプロピレン樹脂組成物を射出成形して得られた自動車部品であって、
該プロピレン系ブロック共重合体(A2)のプロピレン単独重合体部は、
(i)メルトフローレート(ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重)が20〜300g/10分の範囲にあり、
(ii)13C−NMRスペクトルから求められる、全プロピレン構成単位中のプロピレンモノマーの2,1−挿入あるいは1,3−挿入に基づく位置不規則単位の割合がいずれも0.05%以下であり、
(iii)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求めた分子量分布(Mw/Mn)が1〜3であり、
(vi)示差走査型熱量計(DSC)により測定される吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm)が155〜170℃の範囲にあり、
該プロピレン系ブロック共重合体(A2)および該無機充填剤(C)の合計量100重量%に対して、該ポリプロピレン樹脂組成物におけるプロピレン系ブロック共重合体(A2)のプロピレン単独重合体部の含有量が30〜80重量%、該プロピレン系ブロック共重合体(A2)のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体部の含有量が15〜40重量%、かつ、該無機充填剤(C)の含有量が5〜30重量%であることを特徴とするポリプロピレン樹脂組成物を射出成形して得られた自動車部品。 - 前記ポリプロピレン樹脂組成物は、さらに、エラストマー(B)を含有し、前記プロピレン系ブロック共重合体(A2)、エラストマー(B)および無機充填剤(C)の合計量100重量%に対して、該ポリプロピレン樹脂組成物におけるプロピレン系ブロック共重合体(A2)のプロピレン単独重合体部の含有量が30〜80重量%、該プロピレン系ブロック共重合体(A2)のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体部と該エラストマー(B)の合計含有量が15〜40重量%、かつ、該無機充填剤(C)の含有量が5〜30重量%であることを特徴とする請求項2に記載のポリプロピレン樹脂組成物を射出成形して得られた自動車部品。
- 前記エラストマー(B)が、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(B−1)、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B−2)、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体(B−3)および水素添加ブロック共重合体(B−4)から選ばれる少なくとも1種のエラストマーであることを特徴とする請求項1または3に記載のポリプロピレン樹脂組成物を射出成形して得られた自動車部品。
- 前記無機充填剤(C)がタルクであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物を射出成形して得られた自動車部品。
- 前記ポリプロピレン樹脂組成物のクロス分別クロマト(CFC)測定において、オルトジクロロベンゼン100〜135℃溶出成分の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1〜3の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物を射出成形して得られた自動車部品。
- 前記自動車部品が射出成形品であって、この射出成形品の流動末端から50mm〜150mmの位置において、流動方向に対し5mm間隔にて反射率(入射角90°、反射角90°、測定面積4mmφ)を測定した場合に、隣接した測定個所の反射率差が、次式
Δ反射率差≦0.5
を満たしていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の自動車部品。
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