JP3873652B2 - 熱可塑性樹脂組成物及びその射出成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及びその射出成形体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、剛性、衝撃強度、流動性に優れ、かつ、成形体にした場合に成形体の外観、特にフローマークが良好な熱可塑性樹脂組成物に関する。また、本発明は、その熱可塑性樹脂組成物からなる射出成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン系樹脂は、剛性、衝撃強度等が要求される材料に広く用いられている。近年、特に、自動車用材料にポリプロピレン系樹脂が用いられるようになり、中でもエチレン−プロピレンブロック共重合体が用いられるようになってきている。また、エチレン−プロピレンブロック共重合体は、従来は、溶媒法により製造されてきたが、製造工程が簡便であり、エチレン−プロピレンブロック共重合体を低価格で製造できる連続式の気相法により製造されるようになってきた。
【0003】
ところが、一般に、気相法で製造されたエチレン−プロピレンブロック共重合体は、エチレン−プロピレン共重合体部分の極限粘度([η]EP)が低いため、スウェリングレシオ(SR)が低く、フローマークが不充分で、成形体の外観が悪くなり、また、気相法で製造されるエチレン−プロピレンブロック共重合体のエチレン−プロピレン共重合体部分の極限粘度([η]EP)を高くすると、ブツが発生し、成形体の外観が悪くなるという問題を有している。
【0004】
上述のような外観の問題を解決する方法としては、例えば、特開平7−286022号公報には、23℃n−デカン不溶成分の極限粘度が0.1〜20dl/gであり、23℃n−デカン可溶成分の極限粘度が5〜15dl/gである、外観にブツを発生することなく成形物を形成することが出来るようなバッチ式の溶媒法で製造されたプロピレン系ブロック共重合体が記載されている。しかし、同公開公報に比較例3に示されているように、エチレン−プロピレン共重合体部分に相当すると考えられる23℃n−デカン可溶成分の極限粘度が高いエチレン−プロピレンブロック共重合体は、ブツの原因となるゴム塊個数が多いものであった。
【0005】
また、特開平7−286075号公報には、連続式で製造されたプロピレン重合体と23℃n−デカン可溶成分の極限粘度が5〜12dl/gであるエチレン−プロピレンブロック共重合体からなる、外観にブツを発生することのない成形物を形成することができるようなプロピレン重合体組成物が開示されている。しかし、そのエチレン−プロピレンブロック共重合体の配合量は12重量%以上で、多いものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、剛性、衝撃強度、流動性に優れ、かつ、成形体にした場合に成形体の外観、特にフローマークが良好な熱可塑性樹脂組成物及びその熱可塑性樹脂組成物からなる射出成形体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、かかる実状に鑑み、鋭意検討した結果、含有量が一定の範囲であるポリプロピレン系樹脂、含有量が一定の範囲であるエラストマー、含有量が一定の範囲である無機充填剤、及び、特定の条件で測定したメルトテンション(MT)が特定の範囲であり、特定の条件で測定したスウェリングレシオ(SR)が特定の範囲であり、特定の温度で測定した緩和弾性率と特定時間の緩和弾性率の比が特定の値になるまでに要する時間が特定の範囲であり、含有量が特定の範囲である樹脂を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物、及び、それからなる射出成形体が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
ポリプロピレン系樹脂(A)35〜85重量%、エラストマー(B)10〜35重量%、無機充填剤(C)2〜30重量%、及び、190℃で、巻取速度を15.7m/分にして測定したメルトテンション(MT)が0.1N以上であり、220℃で、オリフィスのL/Dを40に、せん断速度を1.2×103sec-1にして測定したスウェリングレシオ(SR)が1.8以上であり、210℃で測定した緩和弾性率G(t)と時間0.02秒の緩和弾性率G(0.02)の比(G(t)/G(0.02))が0.01になるまでに要する時間が10sec以上である樹脂(D)0.1〜5重量%未満を含有する熱可塑性樹脂組成物(但し、上記(A)、(B)、(C)及び(D)を含有する熱可塑性樹脂組成物の全量を100重量%とする)、及び上記の熱可塑性樹脂組成物からなる射出成形体に係るものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂(A)とは、特に制限はないが、好ましくは、結晶性を有するポリプロピレン系樹脂であり、例えば、結晶性プロピレン単独重合体、結晶性エチレン−プロピレン共重合体、結晶性プロピレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種類以上を併用しても良い。
【0010】
結晶性プロピレン−α−オレフィン共重合体に用いられるα−オレフィンとしては、炭素原子数が4以上のα−オレフィンであり、好ましくは炭素原子数が4〜20のα−オレフィンであり、より好ましくは炭素原子数が4〜12のα−オレフィンである。例えば、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン−1等が挙げられる。結晶性プロピレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、結晶性プロピレン−ブテン−1共重合体、結晶性プロピレン−ヘキセン−1共重合体等が挙げられる。
【0011】
結晶性を有するポリプロピレン系樹脂として、好ましくは結晶性プロピレン単独重合体、結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体、又はそれらの混合物であり、特に好ましくは、結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体、又は結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体と結晶性プロピレン単独重合体の混合物である。
【0012】
本発明で用いられる結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体とは、プロピレン単独重合体部分(これを第1セグメントという。)とエチレン−プロピレンランダム共重合体部分(これを第2セグメントという。)とからなる結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体である。
【0013】
第1セグメントであるプロピレン単独重合体部分としては、そのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比であるQ値が3.0〜5.0であるものが好ましく、3.5〜4.5であるものがさらに好ましい。また、13C−NMRにより計算されるアイソタクチックペンタッド分率が0.98以上であるものが好ましく、0.99以上であるものがさらに好ましい。また、135℃テトラリン溶液の極限粘度[η]Pが0.7〜1.1dl/gであるものが好ましく、0.8〜1.0dl/gであるものがさらに好ましい。
【0014】
第2セグメントであるエチレン−プロピレンランダム共重合体部分としては、その135℃テトラリン溶液の極限粘度[η]EPが1.0以上8.0dl/g未満であるものが好ましく、1.5〜7.5dl/gであるものがさらに好ましい。また、エチレン含量[(C2’)EP]が25〜35重量%であるものが好ましく、27〜33重量%であるものがさらに好ましい。
【0015】
また、エチレン−プロピレンランダム共重合体部分(第2セグメント)とプロピレン単独重合体部分(第1セグメント)の割合(第2セグメント/第1セグメント比)としては、8/92〜35/65が好ましい。
【0016】
上記の結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体と結晶性プロピレン単独重合体との混合物に用いられる結晶性プロピレン単独重合体とは、結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体の第1セグメントであるプロピレン単独重合体部分と同じ様な物性を有するものであって、そのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比であるQ値が3.0〜5.0であるものが好ましく、3.5〜4.5であるものがさらに好ましい。また、13C−NMRにより計算されるアイソタクチックペンタッド分率が0.98以上であるものが好ましく0.99以上であるものがさらに好ましい。また、135℃テトラリン溶液の極限粘度[η]Pが0.7〜1.1dl/gであるものが好ましく、0.8〜1.0dl/gであるものがさらに好ましい。
【0017】
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の立体規則性オレフィン重合触媒、例えば、公知の触媒であるチーグラー・ナッタ触媒系、メタロセン触媒系、それらを組合わせた触媒系等を用いて、公知の重合方法であるバルク重合法、溶液重合法、スラリー重合法又は気相重合法、あるいはこれらの重合法を任意に組み合わせて製造することができるが、好ましくは、連続式の気相重合法である。
特に結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体は、第1セグメントである結晶性プロピレン単独重合体部分を得る第1工程で立体規則性オレフィン重合触媒の存在下にプロピレンを単独重合し、続いて、第2セグメントであるエチレン−プロピレンランダム共重合体部分を得る第2工程でエチレンとプロピレンを共重合することによって製造されるものが好ましい。
【0018】
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂(A)の配合割合は、35〜85重量%であり、好ましくは40〜80重量%であり、さらに好ましくは、45〜75重量%である。
【0019】
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂(A)の配合割合が、35重量%未満である場合、剛性が低下することがあり、85重量%を超えると、衝撃強度が低下することがある。
【0020】
本発明で用いられるエラストマー(B)とは、特に制限されるものではないが、ゴム成分を含有するものであることが好ましい。例えば、ビニル芳香族化合物含有ゴム及び/又はエチレン−α−オレフィンランダム共重合体ゴムからなるエラストマー等が挙げられる。
【0021】
本発明のビニル芳香族化合物含有ゴムとしては、例えば、ビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックからなるブロック共重合体等が挙げられ、その共役ジエン部分の二重結合が80%以上水素添加されているものが好ましく、さらに好ましくは85%以上水素添加されているものである。また、GPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)法による分子量分布(Q値)が2.5以下であるものが好ましく、さらに好ましくは2.3以下のものである。また、ビニル芳香族化合物含有ゴム中のビニル芳香族化合物の平均含有量が10〜20重量%であるものが好ましく、さらに好ましくは12〜19重量%のものである。また、ビニル芳香族化合物含有ゴムのメルトフローレート(MFR、JIS−K−6758、230℃)が1〜15g/10分であるものが好ましく、さらに好ましくは2〜13g/10分のものである。
【0022】
上述のビニル芳香族化合物含有ゴムとしては、例えば、スチレン−エチレン−ブテン−スチレン系ゴム(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン系ゴム(SEPS)、スチレン−ブタジエン系ゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレン系ゴム(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン系ゴム(SIS)等のブロック共重合体又はこれらのゴム成分を水添したブロック共重合体等を挙げることができる。また、エチレン−プロピレン−非共役ジエン系ゴム(EPDM)等のオレフィン系共重合体ゴムとスチレン等のビニル芳香族化合物を反応させて得られるゴムも好適に使用することができる。また、2種類以上のビニル芳香族化合物含有ゴムを併用しても良い。
【0023】
上述のビニル芳香族化合物含有ゴムの製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、オレフィン系共重合体ゴムもしくは共役ジエンゴムに対し、ビニル芳香族化合物を重合、反応等により結合させる方法等が挙げられる。
【0024】
本発明のエチレン−α−オレフィンランダム共重合体ゴムとは、エチレンとα−オレフィンからなるランダム共重合体ゴムであり、そのようなゴムであれば特に制限はない。α−オレフィンは炭素原子数3以上のα−オレフィンであり、例えば、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン等が挙げられ、好ましくは、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1である。
【0025】
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体ゴムとしては、エチレン−プロピレンランダム共重合体ゴム、エチレン−ブテン−1ランダム共重合体ゴム、エチレン−ヘキセン−1ランダム共重合体ゴム、エチレン−オクテン−1ランダム共重合体ゴム等が挙げられ、好ましくは、エチレン−オクテン−1ランダム共重合体ゴム、エチレン−ブテン−1ランダム共重合体ゴム又はエチレン−プロピレンランダム共重合体ゴムである。また、2種類以上のエチレン−α−オレフィンランダム共重合体ゴムを併用しても良い。
【0026】
本発明で用いられるエチレン−オクテン−1ランダム共重合体ゴムのGPC法によるQ値(分子量分布)が2.5以下であるものが好ましく、さらに好ましくは2.3以下のものである。また、エチレン−オクテン−1ランダム共重合体ゴム中のオクテン−1の含有量が15〜45重量%であるものが好ましく、さらに好ましくは18〜42重量%のものである。また、エチレン−オクテン−1ランダム共重合体ゴムのメルトフローレート(MFR、JIS−K−6758、190℃)が1〜15g/10分であるものが好ましく、さらに好ましくは、2〜13g/10分のものである。
【0027】
本発明で用いられるエチレン−ブテン−1ランダム共重合体ゴムのGPC法によるQ値(分子量分布)が2.7以下であるものが好ましく、さらに好ましくは2.5以下のものである。また、エチレン−ブテン−1ランダム共重合体ゴム中のブテン−1の含有量が15〜35重量%であるものが好ましく、さらに好ましくは17〜33重量%のものである。また、エチレン−ブテン−1ランダム共重合体ゴムのメルトフローレート(MFR、JIS−K−6758、190℃)が1〜15g/10分であるものが好ましく、さらに好ましくは2〜13g/10分のものである。
【0028】
本発明で用いられるエチレン−プロピレンランダム共重合体ゴムのGPC法によるQ値(分子量分布)が2.7以下であるものが好ましく、さらに好ましくは2.5以下のものである。また、エチレン−プロピレンランダム共重合体ゴム中のプロピレンの含有量が20〜30重量%であるものが好ましく、さらに好ましくは22〜28重量%のものである。また、エチレン−プロピレンランダム共重合体ゴムのメルトフローレート(MFR、JIS−K−6758、190℃)が1〜15g/10分であるものが好ましく、さらに好ましくは2〜13g/10分のものである。
【0029】
上述のエチレン−α−オレフィンランダム共重合体ゴムの製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の触媒を用いて、公知の重合方法により、エチレンと各種のα−オレフィンを共重合させることによって製造することができる。公知の触媒としては、例えば、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物からなる触媒系、チーグラーナッタ触媒系又はメタロセン触媒系等が挙げられ、公知の重合方法としては、溶液重合法、スラリー重合法、高圧イオン重合法又は気相重合法等が挙げられる。
【0030】
本発明で用いられるエラストマー(B)の配合割合は、10〜35重量%であり、好ましくは15〜30重量%である。エラストマー(B)の含有量が10重量%未満の場合、熱可塑性樹脂組成物の衝撃強度が低下することがあり、35重量%を超えた場合、剛性、耐熱性が低下することがある。
【0031】
本発明で用いることができる無機充填剤(C)とは、剛性を向上させることができるものであればよく、特に限定されるものではなく、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、結晶性ケイ酸カルシウム、タルク及び硫酸マグネシウム繊維等が挙げられる。好ましくは、タルク及び/又は硫酸マグネシウム繊維である。
【0032】
本発明で用いるタルクとは、特に限定されるものではないが、含水ケイ酸マグネシウムを粉砕したものが好ましい。その分子の結晶構造はパイロフィライト型三層構造を示しており、タルクはこの構造が積み重なったものであり、特に結晶を単位層程度にまで微粉砕した平板状のものが好ましい。
【0033】
本発明で用いられるタルクの平均粒子径は3μm以下が好ましい。ここでタルクの平均粒子径とは遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて水、アルコール等の分散媒中に懸濁させて測定した篩下法の積分分布曲線から求めた50%相当粒子径D50のことを意味する。
【0034】
タルクは無処理のまま使用しても良く、または、ポリプロピレン系樹脂(A)との界面接着性を向上させ、また分散性を向上させる目的で公知の各種シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩類あるいは他の界面活性剤で表面を処理したものを使用しても良い。
【0035】
本発明で用いることができる硫酸マグネシウム繊維とは、特に限定されるものではないが、硫酸マグネシウム繊維の平均繊維長が5〜50μmであるものが好ましく、さらに好ましくは10〜30μmのものである。また、平均繊維径が0.3〜2.0μmであるものが好ましく、さらに好ましくは0.5〜1.0μmのものである。
【0036】
本発明で用いられる無機充填剤の配合割合は、2〜30重量%であり、好ましくは5〜30重量%であり、さらに好ましくは10〜30重量%である。無機充填剤の配合割合が、2重量%未満である場合、剛性が低下することがあり、30重量%を超えた場合、衝撃強度が不充分なことがあり、また、外観も悪化することがある。
【0037】
本発明で用いられる樹脂(D)とは、ポリプロピレン系樹脂組成物のスウェリングレシオ(SR)を向上させることができる樹脂であり、樹脂(D)の190℃で、巻取速度を15.7m/分にして測定したメルトテンション(MT)は0.1N以上であり、好ましくは0.15N以上である。このメルトテンション(MT)が0.1N未満である場合、成形体の外観が不充分なことがある。
【0038】
また、樹脂(D)の220℃で、オリフィスのL/Dを40に、せん断速度を1.2×103sec-1にして測定したスウェリングレシオ(SR)は1.8以上であり、好ましくは、2.0以上である。このスウェリングレシオ(SR)が2.0未満である場合、成形体の外観が不充分なことがある。
【0039】
また、樹脂(D)の210℃で測定した緩和弾性率G(t)と時間0.02秒の緩和弾性率G(0.02)の比(G(t)/G(0.02))が0.01になるまでに要する時間は10sec以上であり、好ましくは15secである。この210℃で測定した緩和弾性率G(t)と時間0.02秒の緩和弾性率G(0.02)の比(G(t)/G(0.02))が0.01になるまでに要する時間が10sec未満である場合、成形体の外観が不充分であることがある。
【0040】
本発明で用いられる樹脂(D)としては、例えば、ポリプロピレンブロック共重合体及び/又はポリテトラフルオロエチレン繊維のポリプロピレンマスターバッチ等が挙げられる。ポリプロピレンブロック共重合体として、好ましくはエチレン−プロピレンブロック共重合体であり、さらに好ましくは、プロピレン単独重合体部分とエチレン−プロピレン共重合体部分からなり、そのエチレン−プロピレン共重合体部分の極限粘度[η]EPが8〜15dl/gであり、そのエチレン−プロピレン共重合体部分の含有量が20〜40重量%であるエチレン−プロピレンブロック共重合体である。
【0041】
また、本発明で用いられる樹脂(D)の配合割合は、0.1〜5重量%未満であり、好ましくは0.5〜4.5重量%であり、さらに好ましくは1.0〜4.5重量%である。樹脂(D)の配合割合が0.1重量%未満である場合、成形体の外観が不充分であることがあり、5重量%以上である場合、流動性が低下することがある。
【0042】
本願明細書記載の熱可塑性樹脂組成物は、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、熱ロールなどの混練機を用いて製造することができる。各成分の混練機への添加、混合は同時に行なってもよく又分割して行なっても良く、例えば下記の方法等が挙げられるが、これらに制限されることはない。
(方法1)ポリプロピレン系樹脂(A)と無機充填剤(C)を混練した後、エラストマー(B)を添加し、その後樹脂(D)を混練する方法。
(方法2)予めポリプロピレン系樹脂(A)に無機充填剤(C)を高濃度に混練してマスターバッチとし、それを別途ポリプロピレン系樹脂(A)やエラストマー(B)等で希釈した後、樹脂(D)を混練する方法。
(方法3)ポリプロピレン系樹脂(A)とエラストマー(B)を混練した後、無機充填剤(C)を添加し、その後誦し(D)を混練する方法。
(方法4)予めポリプロピレン系樹脂(A)にエラストマー(B)を高濃度に混練してマスターバッチとし、それにポリプロピレン系樹脂(A)、無機充填剤(C)を添加し、その後誦し(D)を混練する方法。
(方法5)予めポリプロピレン系樹脂(A)と無機充填剤(C)、ポリプロピレン系樹脂(A)とエラストマー(B)をそれぞれ混練しておき、最後にそれらを合わせた後、樹脂(D)を混練する方法。
【0043】
混練温度は、通常、170〜250℃であり、より好ましくは190〜230℃である。混練時間は、通常、1〜20分であり、より好ましくは3〜15分である。
【0044】
また、これらの混練機において本発明で用いられる成分(A)〜(D)以外に、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、銅害防止剤、難燃剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、造核剤、気泡防止剤、架橋剤等の添加剤を本発明の目的、効果を損なわない範囲において、適宜配合してもよい。
【0045】
本願明細書記載の熱可塑性樹脂組成物は、一般に公知の射出成形方法により射出成形体に成形することができる。特に、ドアートリム、ピラー、インストルメンタルパネル、及びバンパー等の自動車用射出成形体として好適に使用される。
【0046】
【実施例】
以下実施例により本発明を説明するが、これらは単なる例示であり、これら実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いた樹脂成分及び組成物の物性の測定法を以下に示した。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS−K−6758に規定された方法に従って、測定した。特に断りのない限り、測定温度は230℃で、荷重は2.16kgで測定した。
【0047】
(2)曲げ弾性率(FM、単位:kg/cm2
JIS−K−7203に規定された方法に従って、測定した。射出成形により成形された厚みが6.4mmであり、スパン長さが100mmである試験片を用いて、荷重速度は2.0または30mm/分で、測定温度は23℃で測定した。
(3)アイゾット衝撃強度(Izod、単位:kg・cm/cm2
JIS−K−7110に規定された方法に従って、測定した。射出成形により成形された厚みが6.4mmであり、成形の後にノッチ加工されたノッチ付きの試験片を用いて、測定温度は23℃および−30℃で測定した。
【0048】
(4)加熱変形温度(HDT、単位:℃)
JIS−K−7207に規定された方法に従って、測定した。ファイバーストレスは18.6kg/cm2または4.6kg/cm2で測定した。
(5)ロックウェル硬度(HR)
JIS−K−7202に規定された方法に従って、測定した。射出成形により成形された厚みが3.0mmである試験片を用いて測定した。測定値はRスケールで表示した。
(6)脆化温度(BP、単位:℃)
JIS−K−7216に規定された方法に従って、測定した。射出成形により成形された25×150×2mmの平板から所定の6.3×38×2mmの試験片を打抜ち抜き、測定を行った。
【0049】
(7)固有粘度(単位:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1、0.2および0.5g/dlの3点について還元粘度を測定した。固有粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法すなわち、還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求めた。
結晶性ポリプロピレンについては、テトラリンを溶媒として用いて、温度135℃で測定した。
(7−1)結晶性エチレン−プロピレンブロックコポリマーの極限粘度
(7−1a)プロピレン単独重合体部分(第1セグメント)の極限粘度:[η]P結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体の第1セグメントであるプロピレン単独重合体部分の極限粘度:[η]Pはその製造時に、第1工程であるプロピレン単独重合体の重合後に重合槽内よりプロピレン単独重合体を取り出し、取り出されたプロピレン単独重合体の[η]Pを測定して求めた。
【0050】
(7−1b)エチレン−プロピレンランダム共重合体部分(第2セグメント)の極限粘度:[η]EP
結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体の第2セグメントであるエチレン−プロピレンランダム共重合体部分の極限粘度:[η]EPは、プロピレン単独重合体部分の極限粘度:[η]Pとエチレン−プロピレンブロック共重合体全体の極限粘度:[η]Tをそれぞれ測定し、エチレン−プロピレンランダム共重合体部分の結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体全体に対する重量比率:Xを用いて次式から計算により求めた。
[η]EP=[η]T/X−(1/X−1)[η]P
[η]P:プロピレン単独重合体部分の極限粘度(dl/g)
[η]T:ブロック共重合体全体の極限粘度(dl/g)
【0051】
(7−1c)エチレン−プロピレンランダム共重合体部分の結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体全体に対する重量比率:X
エチレン−プロピレンランダム共重合体部分の結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体全体に対する重量比率:Xはプロピレン単独重合体部分(第1セグメント)と結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体全体の結晶融解熱量をそれぞれ測定し、次式を用いて計算により求めた。結晶融解熱量は、示唆走査型熱分析(DSC)により測定した。
X=1−(ΔHfT/(ΔHfP
(ΔHfT:ブロック共重合体全体の融解熱量(cal/g)
(ΔHfP:プロピレン単独重合体部分の融解熱量(cal/g)
【0052】
(8)結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体中のエチレン−プロピレンランダム共重合体部分のエチレン含量:(C2')EP
結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体のエチレン−プロピレンランダム共重合体部分のエチレン含量:(C2')EPは、赤外線吸収スペクトル法により結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体全体のエチレン含量(C2')T(重量%)を測定し、次式を用いて計算により求めた。
(C2')EP=(C2')T/X
(C2')T:ブロック共重合体全体のエチレン含量(重量%)
(C2')EP:エチレン−プロピレンランダム共重合体部分のエチレン含量 (重量%)
X:エチレン−プロピレンランダム共重合体部分の結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体全体に対する重量比率
【0053】
(9)アイソタクチック・ペンタッド分率
アイソタクチック・ペンタッド分率とは、A.ZambelliらによってMacromolecules, 6, 925(1973)に発表されている方法、すなわち13C−NMRを使用して測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。ただし、NMR吸収ピークの帰属に関しては、その後発刊されたMacromolecules, 8, 687(1975)に基づいて行った。
具体的には13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの面積分率としてアイソタクチック・ペンタッド分率を測定した。 この方法により英国NATIONAL PHYSICAL LABORATORYのNPL標準物質CRM No.M19−14 Polypropylene PP/MWD/2のアイソタクチック・ペンタッド分率を測定したところ、0.944であった。
【0054】
(10)分子量分布(Q値)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を、以下に示す条件で測定した。
GPC:Waters社製 150C型
カラム:昭和電工社製 Shodex 80 MA 2本
サンプル量:300μl(ポリマー濃度0.2wt%)
流 量:1ml/分
温 度:135℃
溶 媒:o−ジクロルベンゼン
東洋曹達社製の標準ポリスチレンを用いて溶出体積と分子量の検量線を作成した。検量線を用いて検体のポリスチレン換算の重量平均分子量、数平均分子量を求め、分子量分布の尺度であるQ値を、重量平均分子量/数平均分子量により算出して求めた。
【0055】
(11)メルトテンション(MT、単位:N)
(株)東洋精機製作所製メルトテンションテスターRE2を使用して、下記条件で測定した。
測定温度:190℃
巻取速度:15.7mm/分
(12)スウェリングレシオ(SR)
(株)東洋精機製作所製キャピログラフ1Bを使用して、下記条件で測定した。
測定温度:220℃
L/D:40
せん断速度:1.2×103sec-1
【0056】
(13)緩和弾性率G(t)と時間0.02秒の緩和弾性率G(0.02)の比が0.01になるまでの時間
レオメトリックス社製メカニカルスペクトロメーターRMS−800を使用して、下記条件で測定した。
測定モード:Stress Relaxation
測定温度:210℃
プレート形状:25mmφ パラレルプレート
プレート間距離:1.9mm
歪み量:0.2
印加歪み:0.2
【0057】
(14)外観
射出成形により成形された試験片を用いて目視により外観を観察し、良好と不良の判定をした。
【0058】
(射出成形体の製造)
上記(2)、(3)、(4)、(5)、(6)および(14)の物性評価用の射出成形体である試験片は、次の方法に従って作成した。組成物を熱風乾燥器で120℃で2時間乾燥後、東芝機械製IS150E−V型射出成形機を用い成形温度220℃、金型冷却温度50℃、射出時間15sec、冷却時間30secで射出成形を行い、射出成形体である試験片を得た。
【0059】
(熱可塑性樹脂組成物の製造)
熱可塑性樹脂組成物は次の方法に従って製造した。各成分を所定量、計量し、ヘンシェルミキサーまたはタンブラーで均一に予備混合した後、二軸混練押出機(日本製鋼所社製TEX44SS 30BW−2V型)を用いて、押出量を30〜50kg/hrで、スクリュー回転数を350rpmで、ベント吸引下で混練押出して、組成物を製造した。スクリュ−は三条タイプのローターとニーディングディスクを混練ゾーンの2ヶ所に、すなわち、第1フィード口、第2フィード口、各々の次のゾーンに配置して構成した。
【0060】
表1に実施例1〜4および比較例1〜6で用いたポリプロピレン系樹脂(A)の物性を示し、表2に実施例1〜4および比較例1〜6で用いたエラストマー(B)の物性を示した。
【0061】
表3に実施例1〜4の熱可塑性樹脂組成物における各成分の配合割合(重量%)を示し、表4に比較例1〜4の熱可塑性樹脂組成物における各成分の配合割合(重量%)を示し、表7に比較例5及び6の熱可塑性樹脂組成物における各成分の配合割合(重量%)を示した。
【0062】
表5に実施例1〜4の熱可塑性樹脂組成物の物性及びその組成物を用いて得られた射出成形体の物性と外観の結果を示し、表6に比較例1〜4の熱可塑性樹脂組成物の物性及びその組成物を用いて得られた射出成形体の物性と外観の結果を示し、表8に比較例5及び6の熱可塑性樹脂組成物の物性及びその組成物を用いて得られた射出成形体の物性と外観の結果を示した。
【0063】
実施例1、2及び比較例1、2、5及び6で用いた無機充填剤(C)は、タルクであり、実施例3、4および比較例3、4で用いた無機充填剤(C)は、タルク及び硫酸マグネシウム繊維であった。
また、実施例1〜4及び比較例5で用いた樹脂(D)は、190℃で、巻取速度を15.7m/分にして測定したメルトテンション(MT)は0.2Nであり、220℃で、オリフィスのL/Dを40に、せん断速度を1.2×103sec-1にして測定したスウェリングレシオ(SR)は2.34であり、210℃で測定した緩和弾性率G(t)と時間0.02秒の緩和弾性率G(0.02)の比(G(t)/G(0.02))が0.01になるまでに要する時間は36秒であるエチレン−プロピレンブロック共重合体であった。
【0064】
なお、その樹脂(D)であるエチレン−プロピレンブロック共重合体のプロピレン単独重合体部分の分子量分布(Q値)は4.0であり、その極限粘度[η]Pは0.91dl/gであり、そのアイソタクチックペンタッド分率は0.99であり、また、そのエチレン−プロピレンブロック共重合体のエチレン−プロピレンランダム共重合部分の極限粘度[η]EPは11.5dl/gであり、エチレン−プロピレンブロック共重合体におけるエチレン−プロピレンランダム共重合部分の含有量は25.1重量%であり、そのエチレン−プロピレンランダム共重合部分におけるエチレン含有量は23.1重量%であった。
【0065】
比較例6で用いた樹脂(D’)は、190℃で、巻取速度を15.7m/分にして測定したメルトテンション(MT)は0.003Nであり、220℃で、オリフィスのL/Dを40に、せん断速度を1.2×103sec-1にして測定したスウェリングレシオ(SR)は1.54であり、210℃で測定した緩和弾性率G(t)と時間0.02秒の緩和弾性率G(0.02)の比(G(t)/G(0.02))が0.01になるまでに要する時間は0.3秒であるエチレン−プロピレンブロック共重合体であった。
【0066】
なお、その樹脂(D’)であるエチレン−プロピレンブロック共重合体のプロピレン単独重合体部分の極限粘度[η]Pは0.94dl/gであり、また、そのエチレン−プロピレンブロック共重合体のエチレン−プロピレンランダム共重合部分の極限粘度[η]EPは5.0dl/gであり、エチレン−プロピレンブロック共重合体におけるエチレン−プロピレンランダム共重合部分の含有量は12.0重量%であり、そのエチレン−プロピレンランダム共重合部分におけるエチレン含有量は32.0重量%であった。
【0067】
【表1】
Figure 0003873652
BC:エチレン−プロピレンブロック共重合体
PP:プロピレン単独重合体
P部:エチレン−プロピレンブロック共重合体のプロピレン単独重合体部分またはプロピレン単独重合体の全体
EP部:エチレン−プロピレンブロック共重合体のエチレン−プロピレンランダム共重合体部分
含量1:エチレン−プロピレンブロック共重合体におけるエチレン−プロピレンランダム共重合体部分の含量
含量2:エチレン−プロピレンランダム共重合体部分におけるエチレン含量mmmm:アイソタクチック・ペンタッド分率
【0068】
【表2】
Figure 0003873652
SEBS−1:ビニル芳香族化合物含有ゴム
EBR−1:エチレン−ブテン−1共重合体ゴム
EOR−1:エチレン−オクテン−1共重合体ゴム
【0069】
【表3】
Figure 0003873652
【0070】
【表4】
Figure 0003873652
【0071】
【表5】
Figure 0003873652
【0072】
【表6】
Figure 0003873652
【0073】
【表7】
Figure 0003873652
【0074】
【表8】
Figure 0003873652
【0075】
実施例1〜4は、本発明の要件を満足する熱可塑性樹脂組成物であり、流動性(MFR)が高く、剛性(曲げ弾性率(FM)、加熱変形温度(HDT)及びロックウェル硬度(HR))及び衝撃強度(アイゾット衝撃強度(Izod)及び脆化温度(BP))のバランスに優れ、かつ、射出成形体の外観が良好であることが分かる。
【0076】
これに対して、比較例1〜4は、本発明の要件の一つである樹脂(D)を用いなかった熱可塑性樹脂組成物であり、射出成形体の外観が不良であることが分かる。
【0077】
また、比較例5は、本発明の要件の一つである樹脂(D)の含有量を満足しない熱可塑性樹脂組成物であり、熱可塑性樹脂組成物の流動性が不充分であることが分かる。
【0078】
そして、比較例6は、本発明の要件である樹脂(D)の190℃で、巻取速度を15.7m/分にして測定したメルトテンション(MT)、220℃で、オリフィスのL/Dを40に、せん断速度を1.2×103sec-1にして測定したスウェリングレシオ(SR)及び210℃で測定した緩和弾性率G(t)と時間0.02秒の緩和弾性率G(0.02)の比(G(t)/G(0.02))が0.01になるまでに要する時間を満足しない樹脂(D’)を用いた熱可塑性樹脂組成物であり、射出成形体の外観が不良であることが分かる。
【0079】
【発明の効果】
本発明により、剛性、衝撃強度、流動性に優れ、かつ、成形体にした場合に成形体の外観が良好な熱可塑性樹脂組成物及びその熱可塑性樹脂組成物からなる射出成形体が提供される。

Claims (7)

  1. ポリプロピレン系樹脂(A)35〜85重量%、エラストマー(B)10〜35重量%、無機充填剤(C)2〜30重量%、及び、190℃で、巻取速度を15.7m/分にして測定したメルトテンション(MT)が0.1N以上であり、220℃で、オリフィスのL/Dを40に、せん断速度を1.2×103sec-1にして測定したスウェリングレシオ(SR)が1.8以上であり、210℃で測定した緩和弾性率G(t)と時間0.02秒の緩和弾性率G(0.02)の比(G(t)/G(0.02))が0.01になるまでに要する時間が10sec以上である樹脂(D)0.1〜5重量%未満を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物(但し、上記(A)、(B)、(C)及び(D)を含有する熱可塑性樹脂組成物の全量を100重量%とする)。
  2. ポリプロピレン系樹脂(A)の含有量が40〜80重量%であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. エラストマー(B)が、ビニル芳香族化合物含有ゴム及び/又はエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムであり、その含有量が15〜30重量%であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 無機充填剤(C)が、タルク及び/又は硫酸マグネシウム繊維であり、その含有量が5〜30重量%であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 樹脂(D)の190℃で、巻取速度を15.7m/分にして測定したメルトテンション(MT)が0.15N以上であり、220℃で、オリフィスのL/Dを40に、せん断速度を1.2×103sec-1にして測定したスウェリングレシオ(SR)が2.0以上であり、210℃で測定した緩和弾性率G(t)と時間0.02秒の緩和弾性率G(0.02)の比(G(t)/G(0.02))が0.01になるまでに要する時間が15sec以上であり、その含有量が0.5〜4.5重量%であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 樹脂(D)が、エチレン−プロピレン共重合体部分の極限粘度[η]EPが8〜15dl/gであり、その共重合体部分の含有量が20〜40重量%であるエチレン−プロピレンブロック共重合体であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする射出成形体。
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