JP6136389B2 - プロピレン・エチレンブロック共重合体組成物および用途 - Google Patents

プロピレン・エチレンブロック共重合体組成物および用途 Download PDF

Info

Publication number
JP6136389B2
JP6136389B2 JP2013048861A JP2013048861A JP6136389B2 JP 6136389 B2 JP6136389 B2 JP 6136389B2 JP 2013048861 A JP2013048861 A JP 2013048861A JP 2013048861 A JP2013048861 A JP 2013048861A JP 6136389 B2 JP6136389 B2 JP 6136389B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
propylene
ethylene
weight
block copolymer
component
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013048861A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014173045A (ja
Inventor
勝行 横溝
勝行 横溝
勝 青木
勝 青木
尚一 福永
尚一 福永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Polypropylene Corp
Original Assignee
Japan Polypropylene Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Polypropylene Corp filed Critical Japan Polypropylene Corp
Priority to JP2013048861A priority Critical patent/JP6136389B2/ja
Publication of JP2014173045A publication Critical patent/JP2014173045A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6136389B2 publication Critical patent/JP6136389B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、剛性、耐衝撃性、耐傷付性が良好で、ウェルド外観に優れた成形体を得ることができるプロピレン・エチレンブロック共重合体組成物、及びウェルド外観が優れた成形体に関する。
従来からポリプロピレンは、たとえば射出成形体、押出成形体として、各種用途に広く利用されている。自動車分野では、バンパー、サイドモール等大型の部品を射出成形して用いられることが多い。近年、これらの部品は軽量化のために成形品の厚み低減が求められている。このような大型成形品においては少ないゲート点数で末端部にまで充分に溶融樹脂を射出充填することは難しい。ゲート点数を増やし、流動長を短くすることにより射出充填が可能になるが、ゲート数点増加に伴いウェルドラインが多く発生することになる。ウェルドラインが少ないうちは、意匠上問題が生じにくい位置にウェルドラインが発生するように、厚薄の調整といった成形品の形状やゲートの位置といった金型の設計等の構造上の設計で対応することがある程度可能であるが、ウェルドラインが多くなると、意匠上目に触れる部分にウェルドラインが生じることが避けられなくなっている。そこで、ウェルドラインが目立ちにくい、すなわちウェルド外観が良好な材料が必要となっている。
ウェルド外観の改良の手法として、樹脂の粘弾性挙動をコントロール方法が知られている(特許文献1、2)。特許文献1では、特定の溶融粘弾性測定から得られる緩和時間、分子量分布指数を有する自動車内装部材用プロピレン系ブロック共重合体組成物は、光沢ムラ、低光沢性、ウェルドに優れることが報告されている。特許文献2では、特定の溶融粘度、スウエル比を有するプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形体は、ウェルド外観及びフローマークの目立ちにくさ(フローマーク外観)が著しく向上することが報告されている。
また、ウェルド外観の改良の別の手法として、樹脂の一次構造をコントロールする方法が知られている(特許文献3、4)。特許文献3、4では、結晶性プロピレンブロック共重合体、エラストマー、無機充填剤を含み、クロスフラクショネーションクロマトグラフィーによる0℃溶出分の重量平均分子量および結晶性プロピレンブロック共重合体のデカン可溶分の極限粘度を特定範囲とした場合に、ウェルド外観及びフローマーク外観において改良効果があると報告されている。
しかしながら、これらの手法においては、プロピレン系ブロック共重合体の特定の組成を選択し、あくまでプロピレン系ブロック共重合体とエラストマーおよびフィラーとの組み合わせであり、ウェルド改良への効果は限定され、満足のいくレベルには至っていない。
さらに、ウェルド外観の改良の別の手法として、ウェルド外観改質剤を添加する方法も知られている(特許文献5、6)。特許文献5では、シンジオタクティックポリプロピレンがウェルドの改質に効果があることが見出されていて、熱可塑性樹脂に0.1〜20重量部添加することにより、成形品の機械物性を低下させずにウェルド外観が改善するとの報告がある。特許文献6は、特定のダイスウエルと分子量分布を有するランダムプロピレン共重合体が成形性改質に効果があることが見出されていて、プロピレン・エチレンブロック共重合体に2〜30重量部添加することにより、ウェルド外観及びフローマーク外観が改善するとの報告がある。
一方、ポリプロピレン系複合材料は剛性、耐衝撃性等の機械物性と経済性の点からより多く用いられている。この複合材料には、物性改良効果の点から、タルク、マイカ等の隣片状の充填剤やガラス繊維、チタン酸カリウムウイスカー等の繊維状の充填剤がよく用いられる。ただこれらの充填剤を用いた複合材料を成形するとき、ウェルドライン部分に膨れが生じ著しく外観を損なうことがある。このウェルドライン部分の膨れを改良する手法として、例えば、特定粒子径の炭酸カルシウムを用いるもの(特許文献7,8)、炭酸カルシウムとタルクあるいは炭酸カルシウムとガラス樹脂を併用するもの(特許文献9,10)、所定形状、所定割合の繊維状強化剤、タルクおよび炭酸カルシウムを併用するもの(特許文献11)がある。
しかしこれらは、物性の改良効果とウェルド外観の改良効果のバランスに限界がある。つまり粒子状の炭酸カルシウムはウェルド外観の改良効果があるが物性の改良効果は少なく、物性の改良効果の高いタルクやガラス繊維を多く用いるとウェルド外観、耐傷付性は不良となる。
特開平8−151419号公報 特開2000−838号公報 特開2006−124520号公報 特開2006−316106号公報 特開2001−49058号公報 特開2002−194023号公報 特開昭55−120643号公報、 特開昭56−120742号公報 特開昭58−145746502号公報、 特開昭59−100149号公報 特開昭62−91545号公報
そこで本発明は、機械物性、耐傷付性及びウェルド外観に優れたプロピレン系樹脂材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を進めた結果、特定のプロピレン・エチレンブロック共重合体と繊維状無機フィラーとを組み合わせた重合体組成物が、ウェルドラインが成形体表面の何処にあっても目立ちにくいことを見出し、さらにその成形体が、優れた機械物性、耐傷付性とウェルド外観のバランスを有することを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨とするところは、MFRが0.5〜200g/10分、DSC法により測定された融解ピーク温度(Tm)が110〜150℃を有し、かつ線形粘弾性測定により評価される結晶化開始温度のせん断速度依存性dTとMFRとの関係が以下の式(1)を満足するプロピレン・エチレンブロック共重合体51〜90重量%、その他のプロピレン系重合体0〜14重量%と繊維状フィラー10〜49重量%とを含有するプロピレン・エチレンブロック共重合体組成物にある。
dT<−6.7×log MFR+10.6 ・・・ (1)
また、本発明の他の要旨は、プロピレン・エチレンブロック共重合体は、メタロセン触媒により重合されたものである前記のプロピレン・エチレンブロック共重合体組成物にある。
また、本発明の他の要旨は、プロピレン・エチレンブロック共重合体は、下記(i)〜(ii)の要件を満たす前記のプロピレン・エチレンブロック共重合体組成物にある。
(i)エチレン含量が0〜7重量%以下のプロピレン系重合体成分30〜95重量%と、プロピレン系重合体成分よりも3〜20重量%多いエチレンを含有するプロピレン・エチレンランダム共重合体成分5〜70重量%とからなる。
(ii)固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有する。
また、本発明の他の要旨は、繊維状フィラーは、ガラス繊維である前記のプロピレン・エチレンブロック共重合体組成物にある。
また、本発明の他の要旨は、前記のプロピレン・エチレンブロック共重合体組成物を加熱成形加工して得られる、ウェルドラインが形成される合流部を持つ成形体にある。
また、本発明の他の要旨は、前記の成形体からなる、自動車用部品、電子電気機器用部品、又は機械用部品にある。
本発明のプロピレン・エチレンブロック共重合体組成物は、剛性、耐衝撃性等の機械物性、耐傷付性に優れかつウェルド外観に優れた成形体を得ることができる。
図1は、実施例及び比較例で用いたプロピレン・エチレンブロック共重合体のMFR−dT平面上のプロットを示す図である。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
1.構成成分
(1)プロピレン・エチレンブロック共重合体
本発明において、プロピレン・エチレンブロック共重合体は、プロピレン系重合体成分とプロピレン・エチレンランダム共重合体成分とを、逐次に重合して得られる共重合体である。プロピレン系重合体成分は、プロピレン単独重合体並びにプロピレンとエチレン及び炭素数4以上のα−オレフィンから選ばれるコモノマーとの共重合体から選ばれる。プロピレン・エチレンランダム共重合体成分は、プロピレン系重合体成分よりも多いエチレンを含有するプロピレン・エチレンランダム共重合体である。プロピレン・エチレンブロック共重合体は、通常、プロピレン系重合体成分とプロピレン・エチレンランダム共重合体成分とを含む重合体ブレンドであるが、プロピレン系重合体成分とプロピレン・エチレン共重合体成分とがブロック状に結合した成分を含んでいてもよい。
本発明のプロピレン・エチレンブロック共重合体は、プロピレン系重合体成分20〜95重量%とプロピレン・エチレンランダム共重合体成分5〜80重量%とを含んでいることが好ましい。なお、プロピレン系重合体成分とプロピレン・エチレンランダム共重合体成分との合計量を100重量%とする。
本発明のプロピレン・エチレンブロック共重合体は、メルトフローレート(MFR)が、0.5〜200g/10分であり、好ましくは1〜50g/10分、より好ましくは2〜35g/10分である。MFRが0.5g/10分未満では、溶融流動性の点で加熱成形加工が困難になり、200g/10分を超えると、耐衝撃性が低下する恐れがある。ここで、MFRは、JIS K7210に準拠し、加熱温度230℃、荷重21.2N(2.16kg)で測定する値である。
本発明のプロピレン・エチレンブロック共重合体は、融解ピーク温度(Tm)が、110〜150℃であり、好ましくは120〜140℃である。Tmが110℃未満では、溶融されたプロピレン系樹脂の冷却固化速度が遅く、加熱成形性を悪化させる恐れがあり、又は耐傷付性が悪くなる恐れがある。Tmが150℃を超えると、耐衝撃性が悪くなる恐れがある。ここで、Tmは、示差走査熱量測定(DSC)法により求められる。具体的測定は、示差走査熱量計(DSC)を用い、サンプル量5mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、次に10℃/分の昇温速度で融解させたときに描かれる曲線のピーク位置を、Tm(℃)とする。
本発明のプロピレン・エチレンブロック共重合体は、結晶化開始温度のせん断速度依存性dTとMFRの関係を樹脂構造的に制御したものであり、結晶化開始温度のせん断速度依存性dTとMFRとが以下の関係式(1)を満足し、好ましくは関係式(1)´を満足するものである。関係式(1)を満たさないと、ウェルド外観が劣る恐れがある。
dT<−6.7×log MFR+10.6 ・・・(1)
0.5<dT<−6.7×log MFR+9.1 ・・・(1)´
ここでdTは、後述の実施例において詳述するように、定常流溶融粘度測定で求められる。
なお、関係式(1)および関係式(1)´は、後述の実施例において詳述するように、種々のブロック共重合体と繊維状フィラーとの樹脂組成物について、ウェルド外観評価を行った結果、MFRとdTとのプロットにおいて、ウェルド外観が同程度と評価されるプロットに基づいて導かれる、効果を奏する区画を示すものである。
本発明のプロピレン・エチレンブロック共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定された分子量分布(Mw/Mn)が、好ましくは4以下、より好ましくは3未満である。Mw/Mnが4以下であれば、ウェルド外観や耐傷付性がより向上するので好ましい。さらに成形品の表面のべたつきを抑えることもできる。製造の容易さから、Mw/Mnは、好ましくは1.5以上、より好ましくは1.8以上である。ここで、分子量分布は、GPC法で測定して得られる重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の比率(Mw/Mn)として求められる。
本発明のプロピレン・エチレンブロック共重合体において、プロピレン系重合体成分は、Tmを所望の範囲に収めるという観点から、プロピレン単独重合体又はエチレン含量が7重量%以下のプロピレン・エチレンランダム共重合体であることが好ましい。すなわちエチレン含量が0〜7重量%であることが好ましい。プロピレン系重合体成分のエチレン含量は、好ましくは0.1〜5重量%であり、より好ましくは0.2〜3重量%である。また、エチレン含量が7重量%を超えると、組成物はべたつくようになるおそれがあり、保管時、成形時にあってはペレット同士がくっついたり、成形時にあっては成形品が金型にくっついたりして、取り扱いが大変になることもある。
本発明のプロピレン・エチレンブロック共重合体において、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分のエチレン含量は、耐衝撃性の観点から、プロピレン系重合体成分よりも、好ましくは3重量%以上多く、より好ましくは6重量%以上多く、更に好ましくは8重量%以上多い。プロピレン・エチレンランダム共重合体成分のエチレン含量は、耐傷付性の観点から、プロピレン系重合体成分よりも、好ましくは20重量%以下多く、より好ましくは18重量%以下多く、更に好ましくは15重量%以下多い。
本発明のプロピレン・エチレンブロック共重合体において、プロピレン系重合体成分の割合は、製品のべたつき発生、かつ耐熱性が低下する恐れを考慮すると、好ましくは30重量%以上であり、より好ましくは35重量%以上であり、さらに好ましくは40重量%以上である。また、耐衝撃性が不十分となる恐れを考慮すると、好ましくは95重量%以下であり、より好ましくは85重量%以下であり、さらに好ましくは75重量%以下である。
プロピレン系重合体成分及びプロピレン・エチレンランダム共重合体成分の割合並びにエチレン含量は、温度昇温溶離分別(TREF)測定により求めることができる。本発明において、プロピレン系重合体成分及びプロピレン・エチレンランダム共重合体成分の割合並びにそれらのエチレン含量は、JP 2011−79924 A 2011.4.21(特開2011−79924号公報)に記載された方法に準拠して求める。
本発明のプロピレン・エチレンブロック共重合体は、プロピレン単独重合体又はエチレン含量7重量%以下のプロピレン・エチレンランダム共重合体から選ばれるプロピレン系重合体成分30〜95重量%とプロピレン系重合体成分よりも3〜20重量%多いエチレンを含むプロピレン・エチレンランダム共重合体成分5〜70重量%とを逐次重合して得られる重合体であることが好ましい。特に、第一工程で、プロピレン単独重合体又はエチレン含量7重量%以下のプロピレン・エチレンランダム共重合体から選ばれるプロピレン系重合体成分30〜95重量%を重合した後、第二工程で、プロピレン系重合体成分の存在下、プロピレン系重合体成分よりも3〜20重量%多いエチレンを含むプロピレン・エチレンランダム共重合体成分を5〜70重量%重合して得られる重合体であることが好ましい。
本発明においては、相溶性を良好に保ち、ベタつきが無く、型の凹凸への追随性、耐傷付性を良好に維持するために、プロピレン・エチレンブロック共重合体に含まれる、プロピレン系重合体成分とプロピレン・エチレンランダム共重合体成分とが相分離していないことが好ましい。相溶性が低く、プロピレン系重合体成分とプロピレン・エチレンランダム共重合体成分とが相分離していると、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分が粒子状に成形品表面に現れやすくなり、前記粒子の弾性の影響で金型転写性が不十分となることや、耐傷付性が悪化することが考えられる。
相分離構造を取っているかどうかは、固体粘弾性測定における温度−tanδ曲線において判別可能である。すなわち、プロピレン系重合体成分とプロピレン・エチレンランダム共重合体成分とが相分離構造をとる場合には、プロピレン系重合体成分に含まれる非晶部のガラス転移温度と、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分に含まれる非晶部のガラス転移温度が各々異なるため、プロピレン・エチレンブロック共重合体のガラス転移温度に基づくピークは複数となる。逆に、相分離していない場合には、両成分は、分子のオーダーで混合しており、プロピレン・エチレンブロック共重合体のガラス転移温度に基づくピークは、両成分のガラス転移温度の中間的な温度に単一のピークを有する。
そこで、本発明のプロピレン・エチレンブロック共重合体は、固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有することが好ましい。
固体粘弾性測定は、具体的には、短冊状の試料片に特定周波数の正弦歪みを与え、発生する応力を検知することで行う。ここでは、周波数は1Hzを用い、測定温度は−60℃から段階状に昇温し、サンプルが融解して測定不能になるまで行う。また、歪みの大きさは、0.1〜0.5%程度が推奨される。得られた応力から、公知の方法によって貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”を求め、これらの比で定義される損失正接(=損失弾性率/貯蔵弾性率)を温度に対してプロットすると、0℃以下の温度領域で鋭いピークを示す。一般に、0℃以下でのtanδ曲線のピークは、重合体の非晶部のガラス転移を観測するものであり、ここでは本ピーク温度をガラス転移温度Tg(℃)として定義する。
本発明のプロピレン・エチレンブロック共重合体は、プロピレン系重合体成分とプロピレン・エチレン共重合体成分とを、逐次重合して製造することができる。重合用触媒としては、メタロセン触媒、チーグラー触媒等を用いることができる。プロピレン・エチレン共重合体成分のブリードやべたつきの観点から、好ましくは分子量分布及び結晶性分布を狭く制御しやすいメタロセン触媒である。
メタロセン触媒としては、例えば、下記に示すような触媒成分(a)、触媒成分(b)、及び必要に応じて使用する触媒成分(c)を接触させて得られる触媒等が挙げられる。
触媒成分(a):一般式(2)で表される遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種のメタロセン遷移金属化合物
Figure 0006136389
(一般式(2)中、AおよびA’は、置換基を有していてもよい共役五員環配位子、Qは、二つの共役五員環配位子間を任意の位置で架橋する結合性基、X及びYは、触媒成分(b)と反応してオレフィン重合能を発現させるσ共有結合性補助配位子、Mは、周期律表第4族の遷移金属である。)
触媒成分(b):下記(b−1)〜(b−4)から選ばれる少なくとも1種の固体成分
(b−1)有機アルミオキシ化合物が担持された微粒子状担体
(b−2)触媒成分(a)と反応して触媒成分(a)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された微粒子状担体
(b−3)固体酸微粒子
(b−4)イオン交換性層状珪酸塩
触媒成分(c):有機アルミニウム化合物
上記一般式(2)中、AおよびA’は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい共役五員環配位子を示す。共役五員環配位子として、例えばシクロペンタジエニル基誘導体が挙げられる。シクロペンタジエニル基誘導体が置換基を有する場合、その置換基の例としては、炭素数1〜30の炭化水素基(ハロゲン、珪素、酸素、硫黄などのヘテロ原子を含有していてもよい)が挙げられ、この炭化水素基は一価の基としてシクロペンタジエニル基と結合していても、また、これが複数存在するときにその内の2個がそれぞれ他端(ω−端)で結合してシクロペンタジエニルの一部と共に環を形成していてもよい。この様な共役五員環配位子の例としては、インデニル基、フルオレニル基、またはヒドロアズレニル基等が挙げられ、中でもインデニル基またはヒドロアズレニル基が好ましい。これらの基は、さらに置換基を有していてもよい。
Qは、二つの共役五員環配位子間を任意の位置で架橋する結合性基を示す。Qとして、好ましくはメチレン基、エチレン基、シリレン基、ゲルミレン基、およびこれらに炭化水素基が置換したもの、並びにシラフルオレン基等が挙げられる。
XおよびYは、それぞれ独立に、触媒成分(b)と反応してオレフィン重合能を発現させるσ共有結合性補助配位子を示す、共有結合性補助配位子としては、例えば水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素、窒素、ケイ素等のヘテロ原子を有する炭化水素基が例示できる。これらのうち好ましいものは、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子である。
Mは、周期律表第4族の遷移金属である。好ましくはチタン、ジルコニウム、ハフニウムであり、より好ましくはジルコニウム、ハフニウムである。
触媒成分(b)は、(b−1)有機アルミオキシ化合物が担持された微粒子状担体、(b−2)触媒成分(a)と反応して触媒成分(a)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された微粒子状担体、(b−3)固体酸微粒子、(b−4)イオン交換性層状珪酸塩選ばれる少なくとも1種の固体成分である。これらの各成分は、公知のものであり、公知のものから適宜選択して使用することができる。その具体的な例示や製造方法については、特開2002−284808公報、特開2002−53609号公報、特開2002−69116号公報、特開2003−105015号公報などに詳細な例示がある。
触媒成分(b)の非限定的な具体例としては、成分(b−1)として、メチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、メチルイソブチルアルモキサン、ブチルボロン酸アルミニウムテトライソブチルなどが担持された微粒子状担体を、成分(b−2)として、トリフェニルボラン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが担持された微粒子状担体を、成分(b−3)として、アルミナ、シリカアルミナ、塩化マグネシウムなどを、成分(b−4)として、モンモリロナイト、ザコウナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライトなどのスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族などが挙げられる。これらは、混合層を形成しているものでもよい。
ここで、成分(b−1)、成分(b−2)に用いられる微粒子状担体としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、シリカアルミナ、シリカマグネシアなどの無機酸化物、塩化マグネシウム、オキシ塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化ランタンなどの無機ハロゲン化物、さらには、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンジビニルベンセン共重合体、アクリル酸系共重合体などの多孔質の有機担体を挙げることができる。
触媒成分(b)の中で特に好ましいものは、成分(b−4)イオン交換性層状珪酸塩である。
触媒成分(c)は有機アルミニウム化合物であり、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノメトキシドなどのハロゲン又はアルコキシ含有アルキルアルミニウムである。また、有機アルミニウム化合物として、メチルアルミノキサンなどのアルミノキサン類なども使用できる。これらのうちトリアルキルアルミニウムが好ましい。
本発明のプロピレン・エチレンブロック共重合体は、プロピレン系重合体成分とプロピレン・エチレンランダム共重合体成分とを逐次重合することにより、製造することができる。従来のプロピレン・エチレンブロック共重合体では、第一工程と第二工程で得られるプロピレン・エチレン共重合体とプロピレン系重合体成分とのバランスを充分に配慮されたものがなく、柔軟性、耐衝撃性、ウェルド外観、耐傷付性をバランス良く向上させたものがなかった。
そこで、本発明において、プロピレン・エチレンブロック共重合体は、第一工程と第二工程でエチレン含量が異なる成分を逐次重合したブロック共重合体であることが剛性、耐衝撃性、耐傷付性およびウェルド外観の全てをバランスさせるために必要である。
また、本発明では、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分単独ではべたつきやすい共重合体である場合があるので、反応器への付着等の問題を防止するために、プロピレン系重合体成分を重合した後で、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分を重合する方法を用いることが好ましい。逐次重合を行う際には、バッチ法と連続法のいずれを用いることも可能であるが、一般的には生産性の観点から、連続法を用いることが好ましい。
バッチ法の場合には、時間と共に重合条件を変化させることにより、単一の反応器を用いてプロピレン系重合体成分とプロピレン・エチレンランダム共重合体成分を個別に重合することが可能である。本発明の効果を阻害しない限り、複数の反応器を並列に接続して用いても良い。連続法の場合には、プロピレン系重合体成分とプロピレン・エチレンランダム共重合体成分を個別に重合する必要から、2個以上の反応器を直列に接続した製造設備を用いる必要があるが、本発明の効果を阻害しない限りプロピレン系重合体成分とプロピレン・エチレンランダム共重合体成分のそれぞれについて、複数の反応器を直列及び/又は並列に接続して用いても良い。
重合プロセスは、スラリー法、バルク法、気相法など任意の重合方法を用いることができる。バルク法と気相法の中間的な条件として超臨界条件を用いることも可能であるが、実質的には気相法と同等であるため、特に区別することなく気相法に含める。プロピレン・エチレンランダム共重合体成分は、炭化水素等の有機溶媒や液化プロピレンに溶けやすいため、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分の製造に際しては、気相法を用いることが望ましい。
プロピレン系重合体成分の製造に対しては、どのプロセスを用いても特に問題はないが、比較的結晶性の低いプロピレン系重合体成分を製造する場合には、付着等の問題を避けるために、気相法を用いることが望ましい。従って、連続法を用いて、先ずプロピレン系重合体成分をバルク法又は気相法にて重合し、引き続きプロピレン・エチレンランダム共重合体成分を気相法にて、重合することが最も望ましい。
重合温度は、通常用いられている温度の範囲であれば、特に問題なく用いることができる。具体的には、0℃〜200℃、より好ましくは40℃〜100℃の範囲を用いることができる。重合圧力は、選択するプロセスによって差異が生じるが、通常用いられている圧力の範囲であれば、特に問題なく用いることができる。具体的には、0より大きく200MPaまで、より好ましくは0.1MPa〜50MPaの範囲を用いることができる。この際、窒素などの不活性ガスを共存させてもよい。第一工程でプロピレン系重合体成分、第二工程でプロピレン・エチレンランダム共重合体成分の逐次重合を行う場合、第二工程にて、系中に重合抑制剤を添加することが望ましい。プロピレン・エチレンブロック共重合体を製造する場合には、第二工程のエチレン・プロピレンランダム共重合を行う反応器に重合抑制剤を添加すると、得られるパウダーの粒子性状(流動性など)やゲルなどの製品品質を改良することができる。この手法については、各種技術検討がなされており、一例として特公昭63−54296号、特開平7−25960号、特開2003−2939号などの公報を例示することができる。本発明にも、当該手法を適用することが望ましい。
本発明に用いられるプロピレン・エチレンブロック共重合体の各要素は、以下のように制御され、本発明の共重合体に必要とされる構成要件を満たすよう製造することができる。
メルトフローレート(MFR)は、プロピレン・エチレンブロック共重合体の重合条件である温度や圧力を調節したり、水素等連鎖移動剤の添加量を制御したりすることにより、容易に調整を行なうことができる。連鎖移動剤の添加量を多くすると、MFRは高くなる傾向がある。
Tmを調整するには、重合反応系へ供給するエチレンの量を制御することにより、容易に調整することができる。エチレンの量を多くすると、エチレン含量は高くなり、Tmは低下する傾向がある。
MFRを固定し、dTを大きくするには、プロピレン・エチレンブロック共重合体の分子量分布を広く調整すればよい。一方、MFRを固定し、dTを小さくするには、プロピレン・エチレンブロック共重合体の分子量分布を狭く調整すればよい。また、dTを固定し、MFRを大きくするには、プロピレン・エチレンブロック共重合体の分子量分布を広く調整すればよい。一方、dTを固定し、MFRを小さくするには、プロピレン・エチレンブロック共重合体の分子量分布を狭く調整すればよい。
プロピレン・エチレンブロック共重合体の分子量分布を調整する方法は、狭くする場合は、重合用触媒として、メタロセン触媒を用いたり、プロピレン・エチレンブロック共重合体を重合後、有機過酸化物を使用し溶融混練したりすることにより、調整することができる。一方、広くする場合は、2種以上のメタロセン触媒成分を併用させた触媒系や2種以上のメタロセン錯体を併用した触媒系を用いて重合することにより、調整することができる。
本発明では、プロピレン系重合体成分のエチレン含量を所望の範囲に制御するためには、プロピレン系重合体成分を重合する工程における重合槽に供給するプロピレンとエチレンの量比を、適宜調整すればよい。供給比率と得られるプロピレン・エチレンランダム共重合体中のエチレン含量の関係は、用いる触媒の種類によって異なるが、供給比率の調整により、制御することができる。例えば、エチレン含量を7重量%以下に制御する場合には、プロピレンに対するエチレンの供給重量比を0.3以下の範囲、好ましくは0.2以下の範囲とすればよい。
本発明では、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分のエチレン含量を所望の範囲に制御するためには、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分を重合する工程における重合槽に供給するプロピレンとエチレンの量比を、適宜調整すればよい。例えば、エチレン含量を3〜27重量%に制御する場合には、用いる触媒の種類によって異なるが、プロピレンに対するエチレンの供給重量比を0.005〜6の範囲、好ましくは0.01〜3の範囲とすればよい。
プロピレン・エチレンブロック共重合体における、プロピレン系重合体成分の割合(W(A))とプロピレン・エチレンランダム共重合体成分の割合(W(B))は、プロピレン系重合体成分を製造する工程の製造量とプロピレン・エチレンランダム共重合体成分を製造する工程の製造量の比を変化させることにより、制御することができる。例えば、W(A)を増やしてW(B)を減らすためには、プロピレン系重合体成分を製造する工程の製造量を維持したままプロピレン・エチレンランダム共重合体成分を製造する工程の製造量を減らせばよく、それは、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分を製造する工程の滞留時間を短くしたり、重合温度を下げたり、重合抑制剤の量を増やしたりすることにより、容易に制御することができる。その逆も又同様である。
実際に条件を設定する際には、重合活性の減衰を考慮する必要がある。すなわち、本発明のプロピレン・エチレンブロック共重合体のエチレン含量の範囲においては、一般にエチレン含有量を高くするために、プロピレンに対するエチレン供給量比を高くすると、重合活性が高くなり、同時に重合活性の減衰が大きくなる傾向にある。したがって、第二工程の重合活性を維持するために、第一工程の重合活性を抑制する必要があり、具体的には、第一工程の成分にて、エチレン含量を下げ、製造量を下げ、必要に応じて、重合温度を下げる及び/又は重合時間(滞留時間)を短くする、あるいは第二工程の成分にて、エチレン含量を上げ、製造量を上げ、必要に応じて、重合温度を上げる及び/又は重合時間(滞留時間)を長くするような方法で条件を設定することが好ましい。したがって、第一工程でプロピレン系重合体成分を製造し、第二工程でプロピレン・エチレンランダム共重合体成分を製造することにより、プロピレン・エチレンブロック共重合体を製造する方法が好ましい。
本発明のプロピレン・エチレンブロック共重合体は、固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接曲線において、tanδ曲線が0℃以下で単一のピークを有することが好ましい。すなわち、固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接曲線において求められるtanδ曲線がピークを示す温度であるガラス転移温度Tgが、0℃以下で単一のピークを持つことが好ましい。Tgが単一のピークを持つためには、プロピレン系重合体成分のエチレン含量とプロピレン・エチレンランダム共重合体成分のエチレン含量との差を20重量%以下、好ましくは15重量%以下にし、実際の測定において、Tgが単一のピークとなる範囲まで、その差を小さくすればよい。
プロピレン系重合体成分のエチレン含量に応じて、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分のエチレン含量を所定の範囲に入るよう、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分を製造する工程のプロピレンに対するエチレンの重合槽への供給重量比を設定することで、所望のプロピレン系重合体成分のエチレン含量とプロピレン・エチレンランダム共重合体成分のエチレン含量との差を達成することができる。
また、本発明に好ましく用いられるような相分離構造を取らないプロピレン・エチレンブロック共重合体のTgは、プロピレン系重合体成分のエチレン含量とプロピレン・エチレンランダム共重合体成分のエチレン含量、及び両成分の量比の影響を受ける。本発明において、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分の好ましい量は5〜70重量%であるが、この範囲において、Tgはプロピレン・エチレンランダム共重合体成分中のエチレン含量の影響をより強く受ける。
すなわち、Tgは、非晶部のガラス転移を反映するものであるが、本発明のプロピレン・エチレンブロック共重合体において、プロピレン系重合体成分は、結晶性を持ち比較的非晶部が少ないのに対し、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分は、低結晶性あるいは非晶性であり、そのほとんどが非晶部であるためである。
したがって、Tgの値は、ほぼプロピレン・エチレンランダム共重合体成分のエチレン含量によって制御される。プロピレン・エチレンランダム共重合体成分のエチレン含量の制御法は、前述したとおりである。
(2)その他のプロピレン系重合体
本発明のプロピレン・エチレンブロック共重合体組成物には、その他のプロピレン系重合体が含まれていてもよい。その他のプロピレン系重合体としては、プロピレン単独重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体及びそれらの混合物が挙げられる。
その他のプロピレン系重合体は、Tmが150℃を超え170℃以下であることが好ましい。
(3)繊維状フィラー
本発明で用いられる繊維状フィラーとしては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ウィスカー及び融点が245℃以上である有機繊維などが挙げられる。効果の度合、組成物の製造のし易さ及び経済性などの点から、好ましくはガラス繊維である。ガラス繊維としては、繊維に用いられるガラスの種類としては、例えば、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラスなどを挙げることができ、中でもEガラスが好ましい。繊維状フィラーは一種を使用しても二種以上を使用してもよい。繊維状フィラーは、本発明の組成物において低収縮性、耐傷付性、剛性・衝撃強度・耐熱性などの機械物性、線膨張係数の低減などの寸法安定性、環境適応性などを向上させる成分として寄与するものである。
繊維状フィラーの繊維径は、フィラーの種類がガラス繊維でも他の繊維でも、3〜25μmのものが好ましく、6〜20μmのものがより好ましい。繊維径が3μm未満の場合、組成物及びその成形体の製造時などにおいて、繊維が折損し、機械物性が低下する恐れがあり、一方、25μmを超えても、繊維のアスペクト比が低下することに伴い、やはり機械物性が低下する恐れがあるほか、低収縮性、耐傷付性の向上効果が十分発現されない恐れがある。
繊維状フィラーの繊維長は、フィラーの種類がガラス繊維でも他の繊維でも、2〜20mmとすることが好ましい。繊維長が2mm未満の場合、本発明の組成物及びその成形体の低収縮性や剛性・衝撃強度などの向上効果が十分発現されない恐れがあり、一方、20mmを超えると、シボ転写性、触感や成形性(流動性)を低下させるおそれがある。なお、この場合の繊維長とは、ガラス繊維をそのまま原料として用いる場合における長さを表す。但し、後記する溶融押出加工して連続した多数本のガラス繊維を集合一体化した、ガラス繊維含有ペレットの場合はこの限りではなく、通常ロービング状のものを用いる。ここで、繊維状フィラーの繊維径や長さは、顕微鏡やノギスなどにより測定された値より求められる。
繊維状フィラーは、表面処理されたものも無処理のものもいずれも用いることができるが、プロピレン・エチレンブロック共重合体への分散性を向上させるなどのため、有機シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、ジルコネートカップリング剤、シリコーン化合物、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、脂肪酸エステルなどの表面処理剤によって表面処理されているものを用いることが好ましい。
表面処理に使用する有機シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。また、チタネートカップリング剤としては、例えばイソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル)チタネートなどが挙げられる。また、アルミネートカップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートなどを挙げることができる。また、ジルコネートカップリング剤としては、例えば、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル)ブチル、ジ(トリデシル)ホスフィトジルコネート;ネオペンチル(ジアリル)オキシ、トリネオデカノイルジルコネートが挙げられる。また、前記シリコーン化合物としては、シリコーンオイル、シリコーン樹脂などが挙げられる。
さらに、表面処理に使用する高級脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、カプリン酸、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、カレイン酸、リノール酸、ロジン酸、リノレン酸、ウンデカン酸、ウンデセン酸などが挙げられる。また、高級脂肪酸金属塩としては、炭素数9以上の脂肪酸、例えば、ステアリン酸、モンタン酸などのナトリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩などが挙げられる。中でも、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸ナトリウムが好適である。また、脂肪酸エステルとしては、グリセリン脂肪酸エステルなどの多価アルコール脂肪酸エステル、アルファスルホン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが例示される。前記表面処理剤の使用量は、特に制限されるわけではないが、ガラス繊維100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましく、0.1〜3重量部がより好ましい。また、繊維状フィラーは、集束剤で集束(表面)処理されたものを用いてもよく、集束剤の種類としては、エポキシ系集束剤、芳香族ウレタン系集束剤、脂肪族ウレタン系集束剤、アクリル系集束剤及び無水マレイン酸変性ポリオレフィン系集束剤などが挙げられる。これらの集束剤は、プロピレン・エチレンブロック共重合体との溶融混練において融解するものであることが好ましく、200℃以下で溶融するものであることが好ましい。
繊維状フィラーは、繊維原糸を所望の長さに裁断した、所謂チョップドストランド状繊維として用いることもできる。本発明の重合体組成物及びその成形体の剛性・衝撃強度の各向上効果をより高めるなどのため、チョップドストランド状ガラス繊維を用いることが好ましい。
また、繊維状フィラーは、予め任意の量の例えばプロピレン・エチレンブロック共重合体及び/または繊維状フィラーを、溶融押出加工して連続した多数本の繊維を集合一体化したペレットとし、且つ、該ペレット中における繊維の長さが実質的に、該ペレットの一辺(押出方向)の長さと同じである、「繊維含有ペレット」として用いてもよく、本発明の共重合体成物及びその成形体の低収縮性、耐傷付性、剛性・衝撃強度などの物性をより高める点などからより好ましい。この場合、「ペレット中における繊維の長さが実質的に、該ペレットの一辺(押出方向)の長さと同じである」とは、具体的には、繊維含有ペレット中の繊維の個数全体を基準として、50%以上、好ましくは90%以上において、繊維の長さが繊維含有ペレットの長さ(押出方向)と同じであることを指し、該ペレット調製の際に繊維の折損を殆ど受けないことを意味する。
こういった繊維含有ペレットの製造方法は、特に制限されないが、例えば、樹脂押出機を用い、連続した多数本の繊維を繊維ラックからクロスヘッドダイを通して引きながら、任意の量のプロピレン・エチレンブロック共重合体と、溶融状態で溶融押出加工(含浸)して多数本のガラス繊維を集合一体化する方法(引抜成形法)で製造すると、繊維の折損を殆ど受けないので好ましい。
繊維含有ペレットの長さ(押出方向)は、使用する繊維にもよるが、2〜20mmとすることが好ましい。2mm未満であると本発明の繊維強化組成物及びその成形体の低収縮性、耐傷付性、剛性・衝撃強度などの物性を低下させるおそれがあり、一方、20mmを超えるとシボ転写性、触感や成形性(流動性)などを低下させるおそれがある。
(4)配合量比
本発明のプロピレン・エチレンブロック共重合体組成物において、プロピレン・エチレンブロック共重合体組成物、その他のプロピレン系重合体及び繊維状フィラーの割合は、前記三成分の合計量100重量%基準として、プロピレン・エチレンブロック共重合体は51〜90重量%、好ましくは60〜85重量%、より好ましくは65%〜80重量%、その他のプロピレン系樹脂は0〜14重量%、好ましくは0〜12重量%、より好ましくは0〜10重量%、繊維状フィラーは10〜49重量%、好ましくは15〜40重量%、より好ましくは20〜35重量%である。繊維状フィラーの割合が10重量%未満であると、剛性・衝撃強度などの機械物性などが低下するおそれがある 。一方、51重量%を超えると、シボ転写性、ウェルド外観、成形性などが低下するおそれがある。その他のプロピレン系樹脂が上記範囲を超えると、ウェルド外観が低下するおそれがある。
(5)その他の任意成分
本発明のプロピレン・エチレンブロック共重合体には、その他の任意成分として、熱可塑性エラストマー、無機充填材、変性ポリオレフィン、各種添加剤成分等が含まれていてもよい。
熱可塑性エラストマーの添加により、共重合体組成物の衝撃強度、塗装性等の向上が期待できる。
熱可塑性エラストマーとしては、エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン・1−ブテン共重合ゴム、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合ゴム、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム(EPDM)、エチレン・1−ブテン・非共役ジエン共重合ゴム、エチレン・プロピレン・1−ブテン・非共役ジエン共重合ゴム、その他のエチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合ゴム等のポリオレフィン系ゴム、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合ゴムの水添物(SEBS:スチレン・エチレン・ブテン・スチレンブロック共重合ゴム)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合ゴムの水添物(SEPS:スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合ゴム)等のスチレン系ゴムを挙げることができる。
熱可塑性エラストマーの密度は、0.85〜0.90g/cm、好ましくは0.86〜0.88g/cmである。
熱可塑性エラストマーのMFRは、0.1〜20g/10分 、好ましくは0.5〜10g/10分 である。この範囲内であれば、耐衝撃性、成形性や塗装性が良好である。
熱可塑性エラストマーは、融点が観測されないか、110℃未満に観測される。
熱可塑性エラストマーの添加量は、プロピレン・エチレンブロック共重合体、その他のプロピレン系重合体及び繊維状フィラーの合計100重量部に対して好ましくは1〜40重量部、より好ましくは5〜30重量部である。
無機充填材の添加により、剛性の向上が期待できる。
無機充填材としては、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、ゼオライト、ガラスビーズ、ガラスバルーン等が挙げられる。これらの中でも、炭酸カルシウム、タルク、マイカを用いるのが好ましい。無機充填材の添加によりウェルド外観が悪くなることがあるが、添加量は共重合体組成物の使用目的、要求性能を考慮して定めることができ、プロピレン・エチレンブロック共重合体、その他のプロピレン系重合体及び繊維状フィラーの合計100重量部に対して好ましくは0〜30重量部、より好ましくは5〜25重量部、さらに好ましくは8〜25重量部である。
変性ポリオレフィンの添加により、プロピレン・エチレンブロック共重合体及びその他のプロピレン系重合体と繊維状フィラーとの親和性が改善され、機械的物性の向上が期待できる。特に、繊維状フィラーがガラス繊維の場合に、著しい機械的物性の向上が期待できる。
変性ポリオレフィンとは、官能基をもつオレフィン系樹脂である。変性ポリオレフィンの基本骨格となるオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・αオレフィンランダム共重合体等が挙げられ、好ましくはポリプロピレンが挙げられる。
官能基としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基等が挙げられる。かかる官能基を有する化合物としては、不飽和カルボン酸又はその誘導体が挙げられる。不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、これらの酸無水物が挙げられる。特に無水マレイン酸等が用いられる。これらの不飽和カルボン酸又はその誘導体による変性率としては、好ましくは0.1〜10重量%である。かかるオレフィン系樹脂に官能基を有する化合物を反応させて変性することにより、官能基が付与された変性ポリオレフィンとすることができる。
添加量は、プロピレン・エチレンブロック共重合体、その他のプロピレン系重合体及び繊維状フィラーの合計100重量部に対して好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.05〜4重量部、さらに好ましくは0.1〜2重量部である。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、或いは、更に性能の向上をはかるために、各種添加剤を適宜配合することができる。具体的には、酸化防止剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、核剤、スリップ剤、抗ブロッキング剤、防曇剤、難燃剤、分散剤、着色剤、発泡剤などを挙げることができる。
2.プロピレン・エチレンブロック共重合体組成物の製造
本発明のプロピレン・エチレンブロック共重合体組成物は、プロピレン・エチレンブロック共重合体、その他のプロピレン系重合体、繊維状フィラー及びその他の任意成分を混合又は溶融混練して製造することができる。
混合は、通常、タンブラー、Vブレンダー、リボンブレンダーなどの混合機器を用いて行い、溶融混練は、通常、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー、撹拌造粒機などの混練機器を用いて(半)溶融混練し、造粒する。(半)溶融混練・造粒して製造する際には、前記各成分の配合物を同時に混練してもよく、また性能向上をはかるべく各成分を分割して混練する、すなわち、例えば、先ずプロピレン・エチレンブロック共重合体の一部または全部と、繊維状フィラーの一部とを混練し、その後に残りの成分を混練・造粒するといった方法を採用することもできる。
また、繊維状フィラーは、予めプロピレン・エチレンブロック共重合体などに比較的高濃度に含有させた所謂マスターバッチとした形で使用することもできる。
3.成形体及び用途
本発明の成形体は、前記プロピレン・エチレンブロック共重合体組成物を、加熱成形加工、例えば、射出成形(ガス射出成形、二色射出成形、コアバック射出成形、サンドイッチ射出成形も含む)、射出圧縮成形(プレスインジェクション)、押出成形、シート成形及び中空成形して得ることができる。加熱成形加工としては、射出成形または射出圧縮成形が好ましい。
本発明のプロピレン・エチレンブロック共重合体組成物はウェルド外観が良好なので、ウェルドラインが形成される加熱成形加工に好適に適用できる。またウェルドラインが形成される合流部をもつ成形体の原料として好適である。
本発明の成形体は、ウェルド外観、耐傷付性が良好であり、さらに高剛性・高衝撃強度である。さらに、本発明の成形体は、経済的に有利な成分を使用し、容易な製造方法にて製造し、低コストで得られる。そのため、インストルメントパネル、グローブボックス、コンソールボックス、ドアトリム、肘掛け、グリップノブ、各種トリム類、天井部品、ハウジング類、ピラー類、マッドガード、バンパー、フェンダー、バックドアー、ファンシュラウドなどの自動車用内外装部品及びエンジンルーム内部品を含む自動車用部品、テレビ・掃除機などの電気電子機器用部品、各種工業部品、便座などの住宅設備機器用部品、建材用部品、機械用部品などの用途に、好適に用いることができる。特に、上記したような特性を兼ね備えることにより、自動車部品に好適である。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの記載により何ら限定されるものではない。
1.測定法
(1)プロピレン系重合体成分及びプロピレン・エチレンランダム共重合体成分の割合並びにエチレン含量の決定
特開2011−79924号公報に記載された温度昇温溶離分別(TREF)に準じて、決定した。なお装置、測定条件は以下の通りとした。
TREF
[装置]
(TREF部):
TREFカラム:4.3mmφ×150mmステンレスカラム
カラム充填材:100μm、表面不活性処理ガラスビーズ
加熱方式:アルミヒートブロック
冷却方式:ペルチェ素子(ペルチェ素子の冷却は水冷)
温度分布:±0.5℃
温調器:(株)チノー、デジタルプログラム調節計KP1000(バルブオーブン)
加熱方式:空気浴式オーブン
測定時温度:140℃
温度分布:±1℃
バルブ:6方バルブ 4方バルブ
(試料注入部):
注入方式:ループ注入方式
注入量:ループサイズ0.1ml
注入口加熱方式:アルミヒートブロック
測定時温度:140℃
(検出部):
検出器:波長固定型赤外検出器 FOXBORO社製 MIRAN 1A
検出波長:3.42μm
高温フローセル:LC−IR用ミクロフローセル、光路長1.5mm、窓形状2φ×4mm長丸、合成サファイア窓板
測定時温度:140℃
(ポンプ部):
送液ポンプ:センシュウ科学社製 SSC−3461ポンプ
[測定条件]
溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.5mg/mLのBHTを含む)
試料濃度:5mg/mL
試料注入量:0.1mL
溶媒流速 :1mL/分
(2)固体粘弾性測定
試料は、下記条件により射出成形した厚さ2mmのシートから、10mm幅×18mm長×2mm厚の短冊状に切り出したものを用いた。装置は、レオメトリック・サイエンティフィック社製のARESを用いた。周波数は1Hzである。測定温度は、−60℃から段階状に昇温し、試料が融解して測定不能になるまで測定を行った。歪みは0.1〜0.5%の範囲で行った。
(試験片の作成):
規格番号:JIS K7152(ISO294−1)
成形機:東洋機械金属社製TU−15射出成形機
成形機設定温度:ホッパ下から80,80,160,200,200,200℃
金型温度:40℃
射出速度:200mm/s(金型キャビティー内の速度)
射出圧力:800kgf/cm2
保持圧力:800kgf/cm2
保圧時間:40秒
金型形状:平板(厚さ2mm 幅30mm 長さ90mm)
(3)MFR
JIS K7210に準じて、加熱温度230℃、荷重21.2N(2.16kg)にて測定した。
(4)融解ピーク温度
セイコー社製DSCを用いた。
(5)分子量分布
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380,F288,F128,F80,F40,F20,F10,F4,F1,A5000,A2500,A1000。
各々が0.5mg/mlとなるようにo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2ml注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算に使用する、粘度式の[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4 α=0.7
PP:K=1.03×10−4 α=0.78
なお、GPCの測定条件は、以下の通りである。
装置:WATERS社製、GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:FOXBORO社製、MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
測定温度:140℃
流速:1.0ml/min
注入量:0.2ml
試料の調製:試料はo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlのBHTを含む)を用いて1mg/mlの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
(6)結晶化開始温度のせん断流動速度依存性(dT):レオメトリック・サイエンティフィック社製のARESを用いた定常流溶融粘度測定モードにおいて、試料温度を180℃から一定速度で降温させ、結晶化終了後、測定を終了する。ここで、140℃以下の温度領域において一定のせん断速度を与えた状態で、試料の溶融粘度が急速に増粘する温度を結晶化開始温度(Tc(℃))として検知する。降温速度は、−10℃/min、せん断速度は、0.5(1/s)〜4.0(1/s)の範囲で選ばれる。dT(℃・s)は、各せん断速度とTcの関係を最小二乗法によって線形近似し、Tcのせん断速度に対する傾き値を与えた。
(7)曲げ弾性率(単位:MPa):JIS−K7203に準拠して測定した。
(8)シャルピー衝撃強度(単位:kJ/m2):JIS K−7111(ISO 179/1eA)に準拠して、23℃で測定した。
(9)ウェルド外観評価:型締め圧170トンの射出成形機で、開口部を設けた肉厚4mmの平板モデル成形品を220℃で射出成形して、ウェルドラインを観察した。ウェルドラインの目立ちやすさを、下記の基準でウェルド外観の評価とした。
◎:ウェルドライン無し
○:ウェルドラインが殆ど目立たない
△:ウェルドラインがやや目立つ
×:ウェルドラインがかなり目立つ
(10)耐傷付性:
・試験片=平板(120×120×3t(mm))。
・成形機=東芝機械社製IS170型射出成形機。
・成形条件=成形温度200℃、金型温度30℃、射出圧力60MPa。
・引掻試験器=ROCKWOOD SYSTEMS AND EQUIPMENT社製 「SCRATCH & MAR TESTER」
・測定方法=上記試験器にて10Nの荷重にて、形状(曲率半径0.5mm、ボール状)加工を施した引掻先端にて、引掻速度=100mm/分にて引掻き、それぞれの荷重に対する傷の形態を試験片に対して90度の角度で目視判定し、傷の目立ちやすさを下記の基準で判断し、耐傷付性の評価とした。
◎:傷つき白化無し
○:傷つき白化が殆ど目立たない
△:傷つき白化がやや目立つ
×:傷つき白化がかなり目立つ
2.使用材料
(1)プロピレン・エチレンブロック共重合体
下記の製造例1〜2により、本発明で用いられるプロピレン・エチレンブロック共重合体(PP−1、PP−2)を、また、下記の製造例3〜4により、本発明で用いられるものとは異なるプロピレン・エチレンブロック共重合体(PP−3、PP−4)を得た。
〔製造例PP−1〕
予備重合触媒の調製
(イオン交換性層状珪酸塩の化学処理)
10リットルの撹拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコに、蒸留水3.75リットル、続いて濃硫酸(96%)2.5kgをゆっくりと添加した。50℃で、さらにモンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL;平均粒径=25μm 粒度分布=10〜60μm)を1kg分散させ、90℃に昇温し、6.5時間その温度を維持した。50℃まで冷却後、このスラリーを減圧濾過し、ケーキを回収した。このケーキに蒸留水を7リットル加え再スラリー化後、濾過した。この洗浄操作を、洗浄液(濾液)のpHが、3.5を越えるまで実施した。回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。乾燥後の重量は707gであった。
(イオン交換性層状珪酸塩の乾燥):
先に化学処理した珪酸塩を、キルン乾燥機により乾燥した。乾燥機の仕様、乾燥条件は以下の通りである。
回転筒:円筒状、内径50mm、加温帯550mm(電気炉) かき上げ翼付き回転数:2rpm 傾斜角:20/520 珪酸塩の供給速度:2.5g/分 ガス流速:窒素、96リットル/時間 向流乾燥温度:200℃(粉体温度)
(触媒の調製)
撹拌及び温度制御装置を有する内容積16リットルのオートクレーブを窒素で充分置換した。ここに、該珪酸塩200gを導入し、混合ヘプタン1,160ml、さらにトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.60M)840mlを加え、室温で攪拌した。1時間後、混合ヘプタンにて洗浄し、珪酸塩スラリーを2,000mlに調製した。 次に、先に調製した珪酸塩スラリーにトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71ML)9.6mlを添加し、25℃で1時間反応させた。並行して、(r)−ジクロロ[1,1´−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム2,180mg(0.3mM)と混合ヘプタン870mlに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)33.1mlを加えて、室温にて1時間反応させた混合物を、珪酸塩スラリーに加え、1時間攪拌後、混合ヘプタンを追加して5,000mlに調製した。
(予備重合)
続いて、槽内温度を40℃昇温し、温度が安定したところでプロピレンを100g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後プロピレンの供給を停止し、さらに2時間維持した。予備重合終了後、残モノマーをパージし、撹拌を停止させ約10分間静置後、上澄みを2,400mlデカントした。続いて、トリイソブチルアルミニウム(0.71ML)のヘプタン溶液9.5ml、さらに混合ヘプタンを5600ml添加し、40℃で30分間撹拌し、10分間静置した後に、上澄みを5600ml除いた。さらに、この操作を3回繰り返した。最後の上澄み液の成分分析を実施したところ有機アルミニウム成分の濃度は、1.23mモル/リットル、Zr濃度は8.6×10−6g/Lであり、仕込み量に対する上澄み液中の存在量は0.016%であった。続いて、トリイソブチルアルミニウム(0.71ML)のヘプタン溶液を170ml添加した後に、45℃で減圧乾燥を実施した。触媒1g当たりポリプロピレンを2.0g含む予備重合触媒が得られた。
プロピレン・エチレンブロック共重合体の製造
(第一工程)
攪拌羽根を有する横型重合器(L/D=3.7、内容積100L)に、あらかじめ35kgのシーズポリマーを導入後、窒素ガスを3時間流通させた。その後、プロピレン、エチレンおよび水素を導入しながら65℃まで昇温した。反応器の圧力を2.2MPaGとし、ガス中のエチレン/プロピレン(モル比)=0.06、水素/プロピレン(モル比)=0.0002となるように条件調整をした後、上記予備重合触媒を0.9g/hr(予備重合されたポリマーも含んだ量)、有機アルミ化合物としてトリイソブチルアルミニウムを15mmol/hr一定となるように供給した。反応温度65℃、反応圧力2.2MPaG、上記のエチレン/プロピレン、水素/プロピレンの条件を維持するようにして、プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)の製造を実施した。
(第二工程)
攪拌羽根を有する横型重合器(L/D=3.7、内容積100L)に、第一工程からのプロピレン−エチレンランダム共重合体(A)を間欠的に供給し、プロピレンとエチレンの共重合を行った。反応条件は攪拌速度18rpm、反応温度70℃、反応圧力2.1MPaGであり、ガスのエチレン/プロピレン(モル比)=0.43、水素/プロピレン+エチレン(モル比)=0.0003となるように調整した。プロピレン−エチレンランダム共重合体(B)の重合量を調整するための重合活性抑制剤として酸素ガスを供給した。
こうして得られたプロピレン・エチレンブロック共重合体(PP−1)を分析したところ、MFRは6.0g/10分、Tmは133℃、dTは2.7、Mw/Mnは2.4、エチレン含有量は5.8重量%であった。該PP−1は、図1に示すように式(1)を満足するものであった。また、該PP−1は、プロピレン系重合体成分のエチレン含量1.8重量%、組成比56重量%、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分のエチレン含量11.0重量%、組成比44重量%、tanδ曲線が−12.3℃に単一のピークを有するものであった。
〔製造例PP−2〕
製造例PP−1と同じ予備重合触媒を用いて、以下の方法でPP−2を得た。
(第一工程)
第一工程では、内容積0.4mの攪拌装置付き液相重合層を用いてプロピレン・エチレンランダム共重合を実施した。液化プロピレンと液化エチレン、トリイソブチルアルミニウムをそれぞれ90kg/時、2.2kg/時、21.2g/時で連続的に供給した。水素供給量は、第一工程のMFRが目標の値となるように調節した。さらに、上記の予備重合触媒を、触媒として(予備重合ポリマーの重量は除く)、5.4g/時となるように供給した。また、重合温度が65℃となるように重合槽を冷却した。 第一工程で得られたプロピレン・エチレンランダム共重合体を分析したところ、BD(嵩密度)は0.46g/cc、MFRは7.0g/10分、エチレン含有量は1.5重量%であった。
(第二工程)
第二工程では、内容積0.5mの攪拌式気相重合槽を用いてプロピレン・エチレンランダム共重合を実施した。第一工程の液相重合槽より重合体粒子を含んだスラリーを連続的に抜き出し、液化プロピレンをフラッシングした後、窒素で昇圧して気相重合槽へ連続的に供給した。重合槽は、温度が80℃、プロピレンとエチレンと水素の分圧の合計が1.5MPaとなるように制御した。その際にプロピレンとエチレンと水素の分圧の合計に占めるプロピレンとエチレン及び水素の濃度は、それぞれ73.99vol%、26.00vol%、150volppmとなるように制御した。さらに、重合活性抑制剤としてエタノールを気相重合槽に供給した。エタノールの供給量は、気相重合槽に供給される重合体粒子に随伴して供給されるTIBA中のアルミニウムに対して、0.3mol/molとなるようにした。こうして得られたプロピレン・エチレンブロック共重合体(PP−1)を分析したところ、重合活性は7.6kg/g−触媒、BDは0.41g/cc、MFRは2.0g/10分、Tmは138℃、dTは6.4、Mw/Mnは2.8、エチレン含有量は6.5重量%であった。該PP−2は、図1に示すように式(1)を満足するものであった。また、該PP−2は、プロピレン系重合体成分のエチレン含量1.5重量%、組成比50重量%、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分のエチレン含量11.5重量%、組成比50重量%、tanδ曲線が−12.3℃に単一のピークを有するものであった。
〔製造例PP−3〕
予備重合触媒の調製
(固体触媒成分aの製造)
撹拌装置を備えた容量10Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、精製したトルエン2Lを導入した。ここに、室温で、Mg(OEt)を200g、TiClを1L添加した。温度を90℃に上げて、フタル酸−n−ブチルを50ml導入した。その後、温度を110℃に上げて3hr反応を行った。生成した反応生成物aを精製したトルエンで充分に洗浄した。次いで、精製したトルエンを導入して全体の液量を2Lに調整した。室温でTiClを1L添加し、温度を110℃に上げて2hr反応を行った。反応生成物aを精製したトルエンで充分に洗浄した。更に、精製したn−ヘプタンを用いて、トルエンをn−ヘプタンで置換し、反応生成物aのスラリーを得た。このスラリーの一部をサンプリングして乾燥した。分析したところ、反応生成物aのTi含量は2.7wt%、Mg含有量は18wt%であった。また、反応生成物aの平均粒径は33μmであった。
次に、攪拌装置を備えた容量20Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、反応生成物aのスラリーを固体成分として100g導入した。精製したn−ヘプタンを導入して、反応生成物aの濃度が25g/Lとなるように調整した。SiCl 50mLを加え、90℃で1hr反応を行った。反応生成物aを精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。その後、精製したn−ヘプタンを導入して液レベルを4Lに調整した。ここに、ジメチルジビニルシランを30ml、(t−C)(CH)Si(OCHを30ml、EtAlのn−ヘプタン希釈液をEtAlとして80g添加し、40℃で2hr反応を行った。反応生成物aを精製したn−ヘプタンで充分に洗浄し、固体触媒成分aを得た。得られたスラリーの一部をサンプリングして乾燥した。分析したところ、固体成分にはTiが1.2重量%、(t−C)(CH)Si(OCHが8.8重量%含まれていた。
(予備重合)
固体触媒成分aを用いて、以下の手順により予備重合を行った。上記のスラリーに精製したn−ヘプタンを導入して、固体触媒成分aの濃度が20g/Lとなるように調整した。スラリーを10℃に冷却した後、EtAlのn−ヘプタン希釈液をEtAlとして10g添加し、280gのプロピレンを4hrかけて供給した。プロピレンの供給が終わった後、更に30分反応を継続した。次いで、気相部を窒素で充分に置換し、反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。得られたスラリーをオートクレーブから抜き出し、真空乾燥を行った。その結果、固体1g当たり2.5gのプロピレンが重合したポリプロピレン含有の固体触媒成分a得られた。分析したところ、この固体触媒成分aのポリプロピレンを除いた部分には、Tiが1.0重量%、(t−C)(CH)Si(OCHが8.2重量%含まれていた。
プロピレン・エチレンブロック共重合体の製造
(第一工程)
内容積230リットルの流動床式反応器を2個連結してなる連続反応装置を用いて重合を行った。まず第1反応器で、重合温度65℃、プロピレン分圧18kg/cm(絶対圧)、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.046となるように連続的に供給するとともに、トリエチルアルミニウムを5.25g/hrで、ポリプロピレン含有の固体触媒成分aをポリマー重合速度が20kg/hrになるように供給し、結晶性プロピレン重合体成分を製造した。第1反応器で重合したパウダー(結晶性プロピレン重合体成分)は、反応器内のパウダー保有量を40kgとなるように連続的に抜き出し、第2反応器に連続的に移送した。
(第二工程)
続いて、第2反応器内が、重合温度60℃、圧力2.0MPaになるように、プロピレンとエチレンをエチレン/(プロピレン+エチレン)のモル比で0.28となるように連続的に供給し、更に、分子量制御剤としての水素を、水素/(プロピレン+エチレン)のモル比で0.015となるように連続的に供給すると共に、活性水素化合物としてエチルアルコールを、トリエチルアルミニウムに対して1.1倍モルになるように供給し、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分を製造した。第2反応器で重合が終了したパウダー(結晶性プロピレン重合体成分とプロピレン・エチレンランダム共重合体成分とからなるプロピレン・エチレンブロック共重合体)は、反応器内のパウダー保有量を60kgとなるように連続的にベッセルに抜き出した。水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、プロピレン・エチレンブロック共重合体(PP−3)を得た。こうして得られたプロピレン・エチレンブロック共重合体(PP−3)を分析したところ、MFRは30g/10分、Tmは160℃、dTは1.7、Mw/Mnは7.0、エチレン含有量は9.8重量%であった。該PP−3は、図1に示すように式(1)を満足しないものであった。また、該PP−3は、プロピレン系重合体成分のエチレン含量0.0重量%、組成比74重量%、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分のエチレン含量37.5重量%、組成比26重量%、tanδ曲線が−38.5℃と4.5℃にそれぞれのピークを有するものであった。
〔製造例PP−4〕
プロピレン・エチレンブロック共重合体の製造
(第一工程)
内容積2000Lの流動床式反応器を2個連結してなる連続反応装置を用いて重合を行った。まず第1反応器で、重合温度75℃、プロピレン分圧1.8MPa(絶対圧)、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.004となるように連続的に供給するとともに、トリエチルアルミニウムを5.2g/hrで、上記記載のポリプロピレン含有の固体触媒成分aをポリマー重合速度が20kg/hrになるように供給した。第1反応器で重合したパウダー(結晶性プロピレン重合体)は、反応器内のパウダー保有量を60kgとなるように連続的に抜き出し、第2反応器に連続的に移送した(第1段目重合工程)。
(第二工程)
続いて、第2反応器内で、重合温度70℃で、圧力1.5MPaになるように、プロピレンとエチレンをエチレン/プロピレンのモル比で1.08となるように連続的に供給し、更に、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.012となるように連続的に供給すると共に、エチルアルコールをトリエチルアルミニウムに対して3.10倍モルになるように供給した。第2反応器で重合したパウダーは、反応器内のパウダー保有量を60kgとなるように連続的にベッセルに抜き出し、水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、プロピレン・エチレンブロック共重合体(PP−4)を得た(第2段目重合工程)。こうして得られたプロピレン・エチレンブロック共重合体(PP−4)を分析したところ、重合活性は36kg/g−触媒、BDは0.465g/cc、MFRは2.1g/10分、Tmは162℃、dTは11.0、Mw/Mnは4.6、エチレン含有量は5.9重量%であった。該PP−4は、図1に示すように式(1)を満足しないものであった。また、該PP−4は、プロピレン系重合体成分のエチレン含量0.0重量%、組成比89重量%、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分のエチレン含量54.0重量%、組成比11重量%、tanδ曲線が−56℃と5.0℃にそれぞれのピークを有するものであった。
(2)繊維状フィラー
日本電気硝子社製ガラス繊維T480H(チョップドストランド、繊維径10μm、長さ4mm)。
(3)変性ポリオレフィン
アルケマ社製無水マレイン酸変性ポリプロピレンOREVAC CA100(酸変性量(グラフト率)=0.8重量%)。
3.実施例及び比較例
[実施例1、2、比較例1、2]
プロピレン・エチレンブロック共重合体、繊維状フィラー及び変性ポリオレフィンを表1に記載の配合割合(重量部)で準備し、スーパーミキサーでドライブレンドした後、35ミリ径の2軸押出機を用いて溶融混練した。ダイ出口部温度230℃でダイから押し出しペレット化した。得られたペレットから射出成形機により試験片を作成した。得られた試験片を用い、物性を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0006136389
本発明の関係式を満足するプロピレン・エチレンブロック共重合体PP−1、PP−2を使用した実施例1、2はウェルド外観等にすぐれ、本発明の効果を奏することがわかる。本発明の関係式を満足しないプロピレン・エチレンブロック共重合体PP−3又はPP−4を使用した比較例1、2はウェルド外観等が劣っていた。
本発明のプロピレン・エチレンブロック共重合体に求められる関係式(1)および関係式(1)´は、以下のように実験的に求めた。
図1は、MFR−dT関係図にPP−1〜PP−4をプロットした図である。
図1のプロットPP−1とプロットPP−3とを結ぶ線分上の物性値を持つプロピレン・エチレンブロック共重合体のサンプルをPP−1とPP−3との任意割合の混合物として作成し、かかるサンプルを原料とした組成物を得て、各組成物のウェルド外観を相対的に定量評価した。
一方、図1のプロットPP−2とプロットPP−4とを結ぶ線分上の物性値を持つプロピレン・エチレンブロック共重合体のサンプルをPP−2とPP−4との任意割合の混合物として作成し、かかるサンプルを原料とした組成物を得て、各組成物のウェルド外観を相対的に定量評価した。
線分PP−1PP−3上のサンプルのうちウェルド外観の相対評価が50点の点と、線分PP−2PP−4上のサンプルのうちウェルド外観の相対評価が50点の点を結んだラインが
dT=−6.7×log MFR+10.6であったので、ウェルド外観の相対評価が50点を超える点を含む領域を、関係式(1)として規定した。同様にウェルド外観の相対評価が80点を超える点を含む領域を、関係式(1)´として規定した。
以上における、各実施例と各比較例の結果からして、本発明の構成と各要件の合理性と有意性が実証され、さらに本発明の従来技術に対する優位性も明らかにされている。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、良好な物性バランス(流動性、剛性、低温衝撃強度)、ウェルド外観を有し、工業部品部材、例えばバンパー、サイドモール等の自動車部品等の原料に適する。

Claims (4)

  1. MFRが0.5〜200g/10分、DSC法により測定された融解ピーク温度(Tm)が110〜150℃を有し、線形粘弾性測定により評価される結晶化開始温度のせん断速度依存性dTとMFRとの関係が以下の式(1)を満足し、下記(i)〜(ii)の要件を満たし、かつプロピレン系重合体成分とプロピレン・エチレンランダム共重合体成分とが相分離していないメタロセン触媒を用いたプロピレン・エチレンブロック共重合体51〜90重量%、その他のプロピレン系重合体0〜14重量%と繊維状フィラー10〜49重量%とを含有することを特徴とするプロピレン・エチレンブロック共重合体組成物。
    dT≦−7.76×log MFR+8.74 ・・・ (1)
    (i)エチレン含量が0〜7重量%以下のプロピレン系重合体成分30〜95重量%と、プロピレン系重合体成分よりも3〜18重量%多いエチレンを含有するプロピレン・エチレンランダム共重合体成分5〜70重量%とからなる。
    (ii)固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有する。
  2. 繊維状フィラーは、ガラス繊維であることを特徴とする請求項1に記載のプロピレン・エチレンブロック共重合体組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のプロピレン・エチレンブロック共重合体組成物を加熱成形加工して得られる、ウェルドラインが形成される合流部を持つことを特徴とする成形体。
  4. 請求項3に記載の成形体からなる、自動車用部品。
JP2013048861A 2013-03-12 2013-03-12 プロピレン・エチレンブロック共重合体組成物および用途 Active JP6136389B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013048861A JP6136389B2 (ja) 2013-03-12 2013-03-12 プロピレン・エチレンブロック共重合体組成物および用途

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013048861A JP6136389B2 (ja) 2013-03-12 2013-03-12 プロピレン・エチレンブロック共重合体組成物および用途

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014173045A JP2014173045A (ja) 2014-09-22
JP6136389B2 true JP6136389B2 (ja) 2017-05-31

Family

ID=51694623

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013048861A Active JP6136389B2 (ja) 2013-03-12 2013-03-12 プロピレン・エチレンブロック共重合体組成物および用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6136389B2 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5000070B2 (ja) * 2001-03-15 2012-08-15 三井化学株式会社 ポリプロピレン樹脂組成物からなる自動車部品
JP2009114249A (ja) * 2007-11-02 2009-05-28 Mitsui Chemicals Inc プロピレン系樹脂組成物からなる自動車部品
JP5147530B2 (ja) * 2008-05-14 2013-02-20 日本ポリプロ株式会社 プロピレン−エチレン共重合体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014173045A (ja) 2014-09-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6330302B2 (ja) 繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体
JP5211012B2 (ja) 結晶性ポリプロピレン樹脂組成物
JP2010121119A (ja) プロピレン系樹脂組成物およびその成形品
JP5052490B2 (ja) 結晶性ポリプロピレン樹脂組成物及びその自動車用内外装部品
JP2007262335A (ja) 極性基含有プロピレン共重合体よりなるフィラー分散親和剤及びそれを用いた複合材
WO2017051778A1 (ja) 繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物
JP5124517B2 (ja) ポリプロピレン系ブロー成形体
KR102483265B1 (ko) 개선된 도장성을 갖는 폴리프로필렌계 조성물
KR20180016147A (ko) 수축률 및 외관이 우수한 폴리프로필렌 수지 조성물
JP5137734B2 (ja) 難燃性ポリプロピレン系樹脂組成物及びその組成物を使用する成形体
JP3953466B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体
JP2012229303A (ja) プロピレン系樹脂組成物及びその射出成形体
JP5153580B2 (ja) ポリプロピレン樹脂組成物および該組成物を成形してなる成形体。
JP4889627B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂自消性組成物及びそれを利用する成形製品
JP2013071964A (ja) 鉛筆外装軸用ポリプロピレン樹脂組成物および鉛筆
JP6175879B2 (ja) ポリプロピレン系難燃樹脂組成物
JP6136389B2 (ja) プロピレン・エチレンブロック共重合体組成物および用途
JP3933534B2 (ja) 自消性成形体用ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる成形体
JP5124262B2 (ja) プロピレン系共重合体組成物
JP5467590B2 (ja) ポリプロピレン樹脂組成物および該組成物を成形してなる成形体。
JPS63241050A (ja) 超高分子量エチレン重合体組成物及びその製法
JP2020158652A (ja) プロピレン系重合体組成物およびその成形体
JP2010241893A (ja) 難燃性ポリプロピレン系樹脂組成物及びそれよりなる成形体
JP4889626B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂自消性組成物及びそれからなる成形体
JP6089839B2 (ja) プロピレン樹脂組成物の製造方法及び該プロピレン樹脂組成物からなる成形体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150602

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160302

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160405

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160526

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20160530

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160913

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161018

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170404

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170417

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6136389

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250