JP6089839B2 - プロピレン樹脂組成物の製造方法及び該プロピレン樹脂組成物からなる成形体 - Google Patents

プロピレン樹脂組成物の製造方法及び該プロピレン樹脂組成物からなる成形体 Download PDF

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Description

本発明は、プロピレン樹脂組成物の製造方法、該製造方法によって製造されるプロピレン樹脂組成物及び該プロピレン樹脂組成物からなる成形体に関する。
プロピレン樹脂は、バンパー、インストルメントパネル、ガーニッシュ等の自動車内外装部品、テレビケース等の家電機器部品等の各種工業部品用成形材料に利用されている。
例えば、特許文献1には、特定のメルトフローレート(MFR)を有するプロピレン・エチレンブロック共重合体と、特定の重量平均分子量を有するプロピレン単独重合体と、特定のMFRを有するゴムと、特定の平均粒径を有するタルクとから構成されており、バンパーをはじめとする自動車外装部品に用いられるポリプロピレン形樹脂組成物が記載されている。
また、特許文献2には、ポリプロピレン樹脂と、エチレンとアルファオレフィンからなる部分を含む共重合体と、タルクとからなる組成物であって、組成物全体のMFRが特定の範囲にあり、かつ、樹脂成分中でのタルクの分散パラメーターが特定の範囲にあり、家庭電化製品、事務用機器等の外装材として用いられる樹脂組成物が記載されている。
特開2000−109639号公報 特開2003−73508号公報
しかしながら、上記の特許文献等に記載の樹脂組成物からなる成形体については、剛性と低温での耐衝撃性のバランスについては、未だ満足の行くものではなかった。
このような状況の下、本発明の目的は、成形体にした場合に、剛性と低温での耐衝撃性のバランスに優れる成形体を得ることができるプロピレン系樹脂組成物の製造方法、該製造方法によって製造されるプロピレン樹脂組成物及び該プロピレン樹脂組成物からなる成形体を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、本発明が、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
下記プロピレン樹脂(A)50〜95質量%と、
下記プロピレン樹脂(B1)0.05〜25質量%と、
下記プロピレン樹脂(B2)2.5〜49.5質量%(但し、プロピレン樹脂(A)とプロピレン樹脂(B1)とプロピレン樹脂(B2)のそれぞれの質量の合計量を100質量%とする)からなるプロピレン樹脂組成物を、
プロピレン樹脂(B1)である鞘層とプロピレン樹脂(B2)である芯層とからなる多層ペレット(B)と、プロピレン樹脂(A)とを溶融混練して製造するプロピレン樹脂組成物の製造方法に係るものである。
プロピレン樹脂(A):荷重2.16kgf、230℃で測定したメルトフローレートが0.1〜200g/10分であり、135℃のテトラリン中で測定される極限粘度([η] )が0.8〜7.0dl/gであり、分子量分布(Mw/Mn)が3.0以上であるプロピレン樹脂。
プロピレン樹脂(B1):荷重2.16kgf、230℃で測定したメルトフローレートが80〜200g/10分であり、135℃のテトラリン中で測定される極限粘度([η]B1 )が0.8〜1.2dl/gであり、分子量分布(Mw/Mn)が3.0以上であり、かつプロピレンに由来する構造単位の含有量が90質量%以上であるプロピレン樹脂。
プロピレン樹脂(B2):荷重2.16kgf、230℃で測定したメルトフローレートが100g/10分を越えるプロピレン樹脂(a)と、有機過酸化物(b)とを溶融混練してなるプロピレン樹脂(B2)であって、
荷重2.16kgf、230℃で測定したメルトフローレートが300g/10分以上であり、135℃のテトラリン中で測定される極限粘度([η]B2 )が0.5dl/g以上、1.0dl/g未満であり、分子量分布(Mw/Mn)が3.0以上であり、かつプロピレンに由来する構造単位の含有量が90質量%以上であるプロピレン樹脂。
また、本発明は、
上記のプロピレン樹脂組成物の製造方法によって製造されるプロピレン樹脂組成物、及び、該プロピレン樹脂組成物からなる成形体に係るものである。
本発明によれば、成形体にした場合に、剛性と低温での耐衝撃性のバランスに優れる成形体を得ることができるプロピレン系樹脂組成物を製造することができ、該製造方法によって製造されるプロピレン樹脂組成物及び該プロピレン樹脂組成物からなる成形体を得ることができる。
本発明のプロピレン樹脂組成物の製造方法は、プロピレン樹脂(B1)である鞘層とプロピレン樹脂(B2)である芯層とからなる多層ペレット(B)と、プロピレン樹脂(A)とを溶融混練してプロピレン樹脂組成物を製造する方法である。
〔プロピレン樹脂組成物〕
本発明の製造方法に用いられるプロピレン樹脂(A)として、
プロピレン単独重合体、
プロピレンと他のオレフィンモノマーとのランダム共重合体、又は、
プロピレン重合体成分とプロピレンと他のオレフィンとの共重合体成分とからなり、多段重合によって得られるプロピレン重合材料が用いられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の製造方法に用いられる多層ペレット(B)の鞘層に用いられるプロピレン樹脂(B1)として、前記プロピレン樹脂(A)と同様のプロピレン樹脂が用いられる。
具体的には、プロピレン単独重合体、
プロピレンと他のオレフィンモノマーとのランダム共重合体、又は、
プロピレン重合体成分とプロピレンと他のオレフィンとの共重合体成分とからなり、多段重合によって得られるプロピレン重合材料が用いられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の製造方法に用いられる多層ペレット(B)の芯層に用いられるプロピレン樹脂(B2)は、プロピレン樹脂(a)と、有機過酸化物(b)とを溶融混練してなるプロピレン樹脂であって、前記プロピレン樹脂(a)としては、前記プロピレン樹脂(A)又は前記プロピレン樹脂(B1)と同様のプロピレン樹脂が用いられる。
具体的には、プロピレン単独重合体、
プロピレンと他のオレフィンモノマーとのランダム共重合体、又は、
プロピレン重合体成分とプロピレンと他のオレフィンとの共重合体成分とからなり、多段重合によって得られるプロピレン重合材料が用いられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〔プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、プロピレン樹脂(a)〕
<単独重合体>
プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)として用いられるプロピレン単独重合体は、プロピレンに由来する構造単位のみからなる重合体、プロピレンに由来する構造単位を主な構造単位とする重合体である。なお、プロピレンに由来する構造単位を主な構造単位とするということは、重合体の全量100質量%に対して、プロピレンに由来する構造単位の含有量が少なくとも98質量%以上であるということである。
プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)として用いられるプロピレンと他のオレフィンモノマーとのランダム共重合体は、
プロピレンに由来する構造単位とエチレンに由来する構造単位とからなるプロピレン−エチレンランダム共重合体、
プロピレンに由来する構造単位と炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構造単位とからなるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、又は、
プロピレンに由来する構造単位とエチレンに由来する構造単位と炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構造単位とからなるプロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体である。
プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)に用いられるプロピレン重合材料は、
多段重合によって製造され、
プロピレン単独重合体成分又はプロピレンに由来する構造単位を主な構造単位とする重合体成分と、エチレン及び炭素数4以上のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンモノマーに由来する構造単位とプロピレンに由来する構造単位とを有する共重合体成分からなるプロピレン重合材料である。
プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)の製造方法として、重合触媒を用いてオレフィンモノマーを重合する製造方法が挙げられる。
重合触媒としては、例えば、チーグラー型触媒系、チーグラー・ナッタ型触媒系、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンからなる触媒系、又はシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物及び有機アルミニウム化合物からなる触媒系、シリカ、粘土鉱物等の無機粒子にシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物、イオン性の錯体を形成する化合物及び有機アルミニウム化合物等の触媒成分を担持し変性させた触媒系等が挙げられ、また、上記の触媒系の存在下でエチレンやプロピレンや炭素数4以上のα−オレフィンを予備重合させて調製される予備重合触媒を用いてもよい。
前記の触媒系としては、例えば、特開昭61−218606号公報、特開平5−194685号公報、特開平7−216017号公報、特開平9−316147号公報、特開平10−212319号公報、特開2004−182981号公報に記載の触媒系が挙げられる。
重合方法としては、例えば、バルク重合、溶液重合、スラリー重合又は気相重合が挙げられる。ここでバルク重合とは、重合温度において液状のオレフィンを媒体として重合を行う方法であり、溶液重合又はスラリー重合とは、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の不活性炭化水素溶媒中で重合を行う方法である。また気相重合とは、気体状態の単量体を媒体として、その媒体中で気体状態の単量体を重合する方法である。
前記の重合方法は、バッチ式(回分式)又は連続式のいずれでも良い。また、単一の重合反応槽を用いる単段式でも、複数の重合反応槽を直列に連結させる多段式のいずれでも良い。経済的であることから、連続式の気相重合法又はバルク重合法と気相重合法を連続的に行うバルク−気相重合法が好ましい。
なお、重合の各種条件(重合温度、重合圧力、モノマー濃度、触媒投入量、重合時間等)は、目的とするプロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)に応じて、適宜決定すればよい。
プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)の製造において、前記樹脂に含まれる残留溶媒や、製造時に副生する低分子量のオリゴマー等を除去するために、必要に応じて前記樹脂が融解する温度以下の温度で前記樹脂を乾燥してもよい。乾燥方法としては、例えば、特開昭55−75410号公報、特許第2565753号公報に記載の方法等が挙げられる。
<ランダム共重合体>
プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)として用いられるプロピレンと他のオレフィンモノマーとのランダム共重合体は、前述のとおり、
プロピレンに由来する構造単位とエチレンに由来する構造単位とからなるプロピレン−エチレンランダム共重合体、
プロピレンに由来する構造単位と炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構造単位とからなるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、又は、
プロピレンに由来する構造単位とエチレンに由来する構造単位と炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構造単位とからなるプロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体である。
ランダム共重合体に用いられる炭素数4以上のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられ、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
プロピレンに由来する構造単位と炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構造単位とからなるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、
例えば、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−1−オクテンランダム共重合体、プロピレン−1−デセンランダム共重合体等が挙げられる。
プロピレンに由来する構造単位とエチレンに由来する構造単位と炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構造単位とからなるプロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−オクテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−デセンランダム共重合体等が挙げられる。
プロピレン−エチレンランダム共重合体に含まれるエチレンに由来する構造単位の含有量は、好ましくは0.1〜40質量%であり、より好ましくは0.1〜30質量%であり、さらに好ましくは2〜15質量%であり、
プロピレンに由来する構造単位の含有量は、好ましくは99.9〜60質量%であり、より好ましくは99.9〜70質量%であり、さらに好ましくは98〜85質量%である。
なお、このプロピレン−エチレンランダム共重合体をプロピレン樹脂(B1)として用いる場合、プロピレンに由来する構造単位の含有量は、後述の通りである。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体に含まれるα−オレフィンに由来する構造単位の含有量は、好ましくは0.1〜40質量%であり、より好ましくは0.1〜30質量%であり、さらに好ましくは2〜15質量%であり、
プロピレンに由来する構造単位の含有量は、好ましくは99.9〜60質量%であり、より好ましくは99.9〜70質量%であり、さらに好ましくは98〜85質量%である。
なお、このプロピレン−エチレンランダム共重合体をプロピレン樹脂(B1)として用いる場合、プロピレンに由来する構造単位の含有量は、後述の通りである。
プロピレンに由来する構造単位とエチレンに由来する構造単位と炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構造単位とからなるプロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体に含まれるエチレンに由来する構造単位の含有量及びα−オレフィンに由来する構造単位の含有量の合計量は、好ましくは0.1〜40質量%であり、より好ましくは0.1〜30質量%であり、さらに好ましくは2〜15質量%であり、
プロピレンに由来する構造単位の含有量は、好ましくは99.9〜60質量%であり、より好ましくは99.9〜70質量%であり、さらに好ましくは98〜85質量%である。
なお、このプロピレン−エチレンランダム共重合体をプロピレン樹脂(B1)として用いる場合、プロピレンに由来する構造単位の含有量は、後述の通りである。
<プロピレン重合材料>
プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)として用いられるプロピレンと他のオレフィンモノマーとのプロピレン重合材料は、前述のとおり、多段重合によって製造され、
プロピレン単独重合体成分又はプロピレンに由来する構造単位を主な構造単位とする重合体成分(以下、重合体成分(I)と称する)と、エチレン及び炭素数4以上のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンモノマーに由来する構造単位とプロピレンに由来する構造単位とを有する共重合体成分(以下、重合体成分(II)と称する)からなるプロピレン共重合材料である。
重合体成分(I)が、プロピレンに由来する構造単位を主な構造単位とする重合体成分である場合、プロピレンに由来する構造単位と、エチレン及び炭素数4〜10個のα―オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のオレフィンモノマーに由来する構造単位を有する重合体成分であって、前記のオレフィンモノマーに由来する構造単位の含有量は、0.01質量%以上20質量%未満である(但し、重合体成分(I)の質量を100質量%とする)。
炭素数4〜10個のα−オレフィンとして、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンであり、より好ましくは1−ブテンである。
プロピレンに由来する構造単位を主な構造単位とする重合体成分としては、例えば、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−1−オクテン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体成分等が挙げられる。
重合体成分(I)としては、好ましくは、プロピレン単独重合体成分、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体成分である。
重合体成分(II)は、エチレン及び炭素数4以上のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンモノマーに由来する構造単位とプロピレンに由来する構造単位とを有する共重合体成分である。
重合体成分(II)が、エチレンに由来する構造単位とプロピレンに由来する構造単位とを有する共重合体成分である場合、エチレンに由来する構造単位の含有量は、20〜80質量%であり、好ましくは20〜60質量%、より好ましくは30〜60質量%である(但し、重合体成分(II)の質量を100質量%とする)。
重合体成分(II)が、炭素数4以上のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンモノマーに由来する構造単位とプロピレンに由来する構造単位とを有する共重合体成分である場合、炭素数4以上のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンモノマーに由来する構造単位の含有量は、20〜80質量%であり、好ましくは20〜60質量%、より好ましくは30〜60質量%である(但し、重合体成分(II)の質量を100質量%とする)。
重合体成分(II)が、エチレンに由来する構造単位と炭素数4以上のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンモノマーに由来する構造単位とプロピレンに由来する構造単位とを有する共重合体成分である場合、エチレンに由来する構造単位の含有量と炭素数4以上のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンモノマーに由来する構造単位の含有量の合計量は、20〜80質量%であり、好ましくは20〜60質量%、より好ましくは30〜60質量%である(但し、重合体成分(II)の質量を100質量%とする)。
重合体成分(II)を構成する炭素数4〜10個のα−オレフィンとしては、例えば、前記重合体成分(I)を構成する炭素数4〜10個のα−オレフィンと同様のα−オレフィンが挙げられる。
重合体成分(II)としては、例えば、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−デセン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−1−オクテン共重合体成分、プロピレン−1−デセン共重合体成分等が挙げられ、好ましくは、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体成分、より好ましくは、プロピレン−エチレン共重合体成分である。
重合体成分(I)と重合体成分(II)からなるプロピレン重合材料の重合体成分(II)の含有量は1〜50質量%であることが好ましく、1〜40質量%であることがより好ましく、10〜40質量%であることが更に好ましく、10〜30質量%であることが更にいっそう好ましい(但し、プロピレン重合材料の全質量を100質量%とする)。
重合体成分(I)と重合体成分(II)からなるプロピレン重合材料の重合体成分(I)がプロピレン単独重合体成分の場合、該プロピレン重合材料としては、例えば、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合材料、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合材料、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合材料、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−オクテン)共重合材料、(プロピレン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合材料、(プロピレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合材料、(プロピレン)−(プロピレン−1−オクテン)共重合材料、(プロピレン)−(プロピレン−1−デセン)共重合材料等が挙げられる。
また、重合体成分(I)と重合体成分(II)からなるプロピレン重合材料の重合体成分(I)がプロピレンに由来する構造単位を主な構造単位とする重合体成分の場合、重合体成分(I)と重合体成分(II)からなるプロピレン重合材料としては、例えば、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン)共重合材料、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合材料、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合材料、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−オクテン)共重合材料、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−デセン)共重合材料、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合材料、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合材料、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−オクテン)共重合材料、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−デセン)共重合材料、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン)共重合材料、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合材料、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合材料、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−オクテン)共重合材料、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−デセン)共重合材料、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合材料、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合材料、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−オクテン)共重合材料、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−デセン)共重合材料、(プロピレン−1−ヘキセン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合材料、(プロピレン−1−ヘキセン)−(プロピレン−1−オクテン)共重合材料、(プロピレン−1−ヘキセン)−(プロピレン−1−デセン)共重合体、(プロピレン−1−オクテン)−(プロピレン−1−オクテン)共重合材料、(プロピレン−1−オクテン)−(プロピレン−1−デセン)共重合材料等が挙げられる。
重合体成分(I)と重合体成分(II)からなるプロピレン重合材料として、好ましくは、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合材料、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合材料、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン)共重合材料、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合材料、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合材料であり、より好ましくは、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合材料である。
重合体成分(I)の135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η])は、0.1〜5dl/gであり、好ましくは0.3〜4dl/gであり、より好ましくは0.5〜3dl/gである。
重合体成分(II)の135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η]II)は1〜20dl/gであり、好ましくは1〜10dl/gであり、より好ましくは2〜7dl/gである。
また、重合体成分(I)の極限粘度([η])に対する重合体成分(II)の極限粘度([η]II)の比は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは2〜10であり、さらに好ましくは2〜9である。
なお、本発明における極限粘度(単位:dl/g)は、以下の方法によって、テトラリンを溶媒として用いて、温度135℃で測定される値である。
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1g/dl、0.2g/dl及び0.5g/dlの3点について還元粘度を測定する。極限粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法、すなわち還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求められる。
プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)が重合体成分(I)と重合体成分(II)とを多段重合させて得られるプロピレン重合材料である場合、前段の重合槽から一部抜き出した重合体パウダーから重合体成分(I)又は重合体成分(II)の極限粘度を求め、重合体成分(I)と重合体成分(II)のそれぞれの極限粘度の値と、重合体成分(I)と重合体成分(II)のそれぞれの含有量を用いて、他の重合体成分の極限粘度を算出する。
また、重合体成分(I)と重合体成分(II)からなるプロピレン重合材料が、重合体成分(I)が前段の重合工程で得られ、重合体成分(II)が後段の工程で得られる方法によって製造されるプロピレン重合材料である場合、重合体成分(I)及び重合体成分(II)の含有量、極限粘度([η]Total、[η]、[η]II)の測定及び算出の手順は、以下のとおりである。なお、極限粘度([η]Total)は、プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)の全体の極限粘度を示す。
前段の重合工程で得られる重合体成分(I)の極限粘度([η])、後段の重合工程後に得られるプロピレン重合材料の前記の方法で測定した極限粘度([η]Total)プロピレン重合材料に含有される重合体成分(II)の含有量から、重合体成分(II)の極限粘度([η]II)を、下記式から計算する。
[η]II=([η]Total−[η]×XI)/XII
[η]Total:後段重合工程後に得られるプロピレン重合材料の極限粘度(dl/g)
[η]:前段重合工程後に重合槽より抜き出した重合体パウダー(重合体成分(I))の極限粘度(dl/g)
XI:プロピレン重合材料の全質量に対する重合体成分(I)の質量比
XII:プロピレン重合材料の全質量に対する重合体成分(II)の質量比
尚、XI、XIIは重合時の物質収支から求める。
プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)の全質量に対する重合体成分(II)の質量比(XII)は、プロピレン単独重合体成分とプロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)のそれぞれの(樹脂全体の)結晶融解熱量を測定し、次式を用いて計算により求めることもできる。結晶融解熱量は、示差走査型熱分析(DSC)により測定できる。
XII=1−(ΔHf)Total/(ΔHf)
(ΔHf)Total:プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)のそれぞれの(樹脂全体の)融解熱量(cal/g)
(ΔHf):プロピレン単独重合体成分の融解熱量(cal/g)
プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)を構成する重合体成分(II)に含有されるエチレンに由来する構造単位の含有量、炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構造単位の含有量、又は、それら含有量の合計量((Cα´)II)は、
((Cα´)II)は、赤外線吸収スペクトル法によりプロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)のそれぞれの(樹脂全体の)に含有されるエチレンに由来する構造単位の含有量、炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構造単位の含有量、又は、それら含有量の合計量((Cα´)Total)を測定し、次式を用いて計算により求める。
(Cα´)II=(Cα´)Total/XII
(Cα´)Total:プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)のそれぞれの(樹脂全体の)に含有されるエチレンに由来する構造単位の含有量、炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構造単位の含有量、又は、それら含有量の合計量(質量%)
(Cα´)II:重合体成分(II)に含有されるエチレンに由来する構造単位の含有量、炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構造単位の含有量、又は、それら含有量の合計量(質量%)
プロピレン重合材料は、重合体成分(I)を第1工程で製造し、重合体成分(II)を第2工程で製造することにより得られる。製造方法としては、前述の重合触媒を用いて、前述の多段重合を用いて、オレフィンモノマーを重合する製造方法が挙げられる。
プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)のアイソタクチック・ペンタッド分率(以下、[mmmm]と称する)は、樹脂組成物又はその成形体の引張強度と低温での耐衝撃性のバランスを良好にするという観点から、0.97以上であることが好ましく、0.98以上であることがより好ましい。なお、[mmmm]が1に近いほど、プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)が、高い立体規則性を示す分子構造を有する高結晶性の重合体であることを表す。
また、プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)、ランダム共重合体又はプロピレン重合材料である場合は、ランダム共重合体又はプロピレン重合材料に含有されるプロピレンに由来する構造単位の連鎖について測定される値を用いる。
<プロピレン樹脂(A)>
本発明の製造方法に用いられるプロピレン樹脂(A)のメルトフローレート(以下、MFRともいう)は、0.1〜200g/10分であり、得られる成形体の破断伸びや衝撃強度を高くするという観点から、0.5〜200g/10分であることが好ましく、10〜100g/10分であることがより好ましく、20〜80g/10分であることが更に好ましく、30〜50g/10分であることが更にいっそう好ましい。なお、MFRはJISK7210に従い、荷重2.16kgf、230℃で測定した値を用いている。
プロピレン樹脂(A)の135℃のテトラリン中で測定される極限粘度([η]P)は0.8〜7.0dl/gである。樹脂組成物の流動性という観点から好ましくは0.85から2.0dl/gである。
プロピレン樹脂(A)のGPCにより測定される分子量分布(Mw/Mn)は3.0以上である。樹脂組成物の流動性という観点から好ましくは3.5dl/g以上である。
なお、Mwはプロピレン樹脂(A)の重量平均分子量を表し、Mnはプロピレン樹脂(A)の数平均分子量を表す。
<プロピレン樹脂(B1)>
本発明の製造方法に用いられる多層ペレット(B)の鞘層に用いられるプロピレン樹脂(B1)のMFRは80〜200g/10分であり、樹脂組成物の流動性を悪化させないという観点や、溶融張力を低下させず、ストランドの引き取り性を悪化させないという観点から、好ましくは100〜150g/10分である。なお、MFRはプロピレン樹脂(A)と同様の条件で測定した値を用いている。
プロピレン樹脂(B1)の135℃のテトラリン中で測定される極限粘度([η]B1 )は0.8〜1.2dl/gである。成形体の靭性の低下を抑えるという観点や、樹脂組成物の流動性を低下させず、加工性の悪化を抑えるという観点から、好ましくは、0.85〜1.1dl/gである。
プロピレン樹脂(B1)のGPCにより測定される分子量分布(Mw/Mn)は3.0以上である。成形体の引張破断伸びの低下を抑えるという観点から、好ましくは3.2以上であり、より好ましくは、3.5以上である。なお、Mwはプロピレン樹脂(B1)の重量平均分子量を表し、Mnはプロピレン樹脂(B1)の数平均分子量を表す。
プロピレン樹脂(B1)に含有されるプロピレンに由来する構造単位の含有量は90質量%以上である。(但し、プロピレン樹脂(B1)の全質量を100質量%とし、13C−NMRスペクトルによって測定される含有量である。)成形体の剛性を高くするという観点から、好ましくは95質量%以上である。
プロピレン樹脂(B1)は、プロピレンに由来する構造単位の他に、エチレンに由来する構造単位、炭素数4〜20のα−オレフィンに由来する構造単位を含有していてもよい。炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。
また、プロピレン樹脂(B1)としては、プロピレン単独重合体、ランダム共重合体又はプロピレン重合材料のそれぞれを単独で用いても良く、少なくとも2種を併用しても良い。プロピレン樹脂(B1)として好ましくは、プロピレン単独重合体である。
<プロピレン樹脂(a)>
本発明の製造方法に用いられる多層ペレット(B)の芯層を構成するプロピレン樹脂(B2)に用いられるプロピレン樹脂(a)のMFRは100g/10分を超え、樹脂組成物の流動性という観点から好ましくは150g/10分であり、200g/10分〜450g/10分である。なお、MFRはプロピレン樹脂(A)と同様の条件で測定した値を用いている。
プロピレン樹脂(a)に含有されるプロピレンに由来する構造単位の含有量は90質量%以上である。(但し、プロピレン樹脂(a)の全質量を100質量%とし、13C−NMRスペクトルによって測定される含有量である。)成形体の剛性を高くするという観点から、好ましくは95質量%以上である。
〔多層ペレット(B)〕
本発明の製造方法に用いられる多層ペレット(B)は、上述のプロピレン樹脂(B1)からなる鞘層と、後述するプロピレン樹脂(B2)からなる芯層とからなる。多層ペレット(B)を構成する芯層の質量に対する鞘層の質量の比(鞘層/芯層)は、樹脂組成物の流動性を悪化させないという観点や、溶融張力を低下させず、ストランドの引き取り性を悪化させないという観点から、好ましくは50/50〜1/99であり、より好ましくは20/80〜5/95であり、さらに好ましくは15/85〜7/93である。
多層ペレット(B)を溶融混練して得られる混練物のメルトフローレートは、流動性を悪化させないという観点から、好ましくは300g/10分以上であり、より好ましくは350g/10分以上である。
多層ペレット(B)の鞘層、芯層、又は鞘層と芯層の両層には、必要に応じて、酸化防止剤、中和剤、滑剤、帯電防止剤、造核剤、紫外線防止剤、難燃剤、充填剤、可塑剤、発泡剤、発泡助剤、分散剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、抗菌剤、架橋剤、架橋助剤、有機多孔質パウダー、顔料等の添加剤を添加しても良い。
多層ペレット(B)の製造方法としては、鞘層を構成するプロピレン樹脂(B1)と、芯層を構成するプロピレン樹脂(B2)のそれぞれを溶融した状態で多層ストランドダイ装置に供給し、多層ストランドを押出し、冷却し、カッティングする方法が挙げられる。
鞘層を構成するプロピレン樹脂(B1)又は芯層を構成するプロピレン樹脂(B2)を多層ストランドダイ装置に供給する方法は、プロピレン樹脂(B1)とプロピレン樹脂(B2)のそれぞれを、それぞれ別の押出機から供給する方法が好ましい。供給装置としては、フィーダールーダー、コールドフィード押出機、二軸テーパ押出機等の公知の押出機があげられ、押出機は一軸押出機でも良く、二軸押出機でも良い。
使用する押出機の台数は、目的とする多層ペレットの層の数に応じて使用すれば良く、芯層と鞘層からなる2層構造の場合は、少なくとも2台の押出機を使用すれば良く、芯層と鞘層とさらに他の1層からなる3層構造の場合は、少なくとも3台の押出機を使用すれば良い。
多層ストランドダイ装置として、好ましくはクロスヘッドダイであり、クロスヘッドダイのより好ましい構造としては、例えば、欧州特許公開公報EP1063070−A2に詳細に開示されているクロスヘッドダイである。
<プロピレン樹脂(B2)>
本発明の製造方法に用いられる多層ペレット(B)の芯層に用いられるプロピレン樹脂(B2)は、上記のプロピレン樹脂(a)と、有機過酸化物(b)とを溶融混練してなるプロピレン樹脂である。このプロピレン樹脂(B2)のMFRは、300g/10分以上である。樹脂組成物の流動性という観点から、好ましくは350g/10分以上である。なお、MFRはプロピレン樹脂(A)と同様の条件で測定した値を用いている。
プロピレン樹脂(B2)の135℃のテトラリン中で測定される極限粘度([η]B2 )は0.5dl/g以上、1.0dl/g未満であり、成形体の靭性を低下させないという観点や、流動性の低下を抑えて、加工性の悪化を抑えるという観点から、好ましくは、0.52dl/g以上、0.8dl/g以下である。
プロピレン樹脂(B2)のGPCにより測定される分子量分布(Mw/Mn)は3.0以上であり、好ましくは、3.5以上であり、より好ましくは、4.0以上である。重合体(A1)のMw/Mnが3.0未満の場合、プロピレン樹脂組成物の流動性が低下することがある。
プロピレン樹脂(B2)に含有されるプロピレンに由来する構造単位の含有量は90質量%以上である。(但し、プロピレン樹脂(B2)の全質量を100質量%とし、13C−NMRスペクトルによって測定される含有量である。)成形体の剛性を高くするという観点から、好ましくは95質量%以上である。
<有機過酸化物(b)>
多層ペレット(B)の芯層に用いられるプロピレン樹脂(B2)の製造に用いられる有機過酸化物(b)としては、樹脂の分解を促進するという観点から、好ましくは半減期が1分となる分解温度が50〜210℃である有機過酸化物である。また、分解してラジカルを発生した後、プロピレン樹脂(a)からプロトンを引き抜く作用を有する有機過酸化物が好ましい。
半減期が1分となる分解温度が50〜210℃である有機過酸化物としては、ジアシルパーオキサイド化合物、ジアルキルパーオキサイド化合物、パーオキシケタール化合物、アルキルパーエステル化合物、パーカーボネート化合物等が挙げられる。好ましくは、ジアルキルパーオキサイド化合物、ジアシルパーオキサイド化合物、パーカーボネート化合物、アルキルパーエステル化合物である。
有機過酸化物(b)として、具体的には、ジセチルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジミリスチルパーオキシカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルネオデカノエート、α―クミルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、tert−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブテン、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレラート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(tert−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等が挙げられる。
有機過酸化物(b)の配合量は、プロピレン樹脂(a)100質量部に対して、0.001〜10質量部であり、好ましくは0.003〜5質量部であり、更に好ましくは0.1〜1.0質量部であり、更にいっそう好ましくは0.2〜0.5質量部である。
〔プロピレン樹脂組成物の製造方法〕
プロピレン樹脂組成物は、上記プロピレン樹脂(A)と上記多層ペレット(B)とを溶融混練することにより得られる。
溶融混練は単軸又は二軸押出機を用いて180℃〜250℃で行われることが好ましい。
上記の製造方法によって製造されるプロピレン樹脂組成物は、プロピレン樹脂(A)50〜95質量%と、プロピレン樹脂(B1)0.05〜25質量%と、プロピレン樹脂(B2)2.5〜49.5質量%(但し、プロピレン樹脂(A)とプロピレン樹脂(B1)とプロピレン樹脂(B2)のそれぞれの質量の合計量を100質量%とする)とを含有する。
成形体の剛性と衝撃性のバランスという観点から、プロピレン樹脂(A)60〜80質量%と、プロピレン樹脂(B1)1〜5質量%と、プロピレン樹脂(B2)40〜20質量%含有することが好ましい。
〔エラストマー(C)〕
本発明のプロピレン樹脂組成物の製造には、エラストマー(C)を添加しても良い。エラストマー(C)としては、オレフィン系エラストマー(C−1)、又はビニル芳香族含有化合物系エラストマー(C−2)が挙げられる。
なお、エラストマー(C)は、本発明に係るプロピレン樹脂組成物の製造方法によって製造されるプロピレン樹脂組成物に添加してもよいし、プロピレン樹脂組成物からなる成形体に添加してもよい。
本発明のプロピレン樹脂組成物の製造方法で用いられるエラストマー(C)の含有量、又は、本発明の製造方法によって製造されるプロピレン樹脂組成物及びその樹脂組成物からなる成形体に含有されるエラストマー(C)の含有量は、成形体の衝撃強度を十分なものとし、成形体の剛性を悪化させないという観点から、
プロピレン樹脂(A)と、プロピレン樹脂(B1)と、プロピレン樹脂(B2)プロピレン樹脂組成物100質量部に対して、1〜100質量部であることが好ましく、10〜70質量部であることがより好ましく、20〜50質量部であることが更に好ましい。
<オレフィン系エラストマー(C−1)>
オレフィン系エラストマー(C−1)は、エチレンと炭素数4以上20以下のα−オレフィンとの共重合体(但し、エチレンの含有量が50質量%以上である)である。
炭素数4以上20以下のα−オレフィンとしては、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
オレフィン系エラストマー(C−1)のJIS−K−7112に準拠して測定される密度は、プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又はプロピレン樹脂(B2)に対する分散性を高くするという観点や、室温又は低温での成形体の衝撃強度を高くするという観点から、0.85〜0.885g/cmであり、好ましくは0.85〜0.88g/cmであり、より好ましくは0.855〜0.875g/cmである。
オレフィン系エラストマー(C−1)の190℃、2.16kg荷重でのMFRは、成形体の衝撃強度を高くするという観点から、0.1〜30g/10分であり、好ましくは0.5〜20g/10分である。
オレフィン系エラストマー(C−1)の製造方法としては、重合触媒を用いて製造する方法が挙げられる。重合触媒としては、例えば、
(1)バナジウム化合物、有機アルミニウム化合物及びハロゲン化エステル化合物からなるチーグラー・ナッタ触媒や、
(2)チタン原子、ジルコニウム原子又はハフニウム原子に少なくとも1種のシクロペンタジエニルアニオン骨格を有する基が配位したメタロセン化合物と、アルモキサンあるいはホウ素化合物とを組み合わせた触媒(いわゆるメタロセン触媒)
等が挙げられる。
重合方法としては、例えば、炭化水素化合物のような不活性有機溶媒中でエチレンとα−オレフィンを共重合させる方法や、溶媒を用いずにエチレン及びα−オレフィン中で共重合させる方法が挙げられる。
<ビニル芳香族含有化合物系エラストマー(C−2)>
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(C−2)は、ビニル芳香族化合物単量体単位を含有するエラストマーであり、ビニル芳香族化合物としてはスチレンが挙げられる。
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(C−2)に含有されるビニル芳香族化合物単量体単位の平均含有量として、好ましくは10〜20質量%であり、より好ましくは12〜19質量%である(ただし、ビニル芳香族化合物含有エラストマーの全量を100質量%とする)。
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(C−2)の190℃、2.16kg荷重でのMFRは、好ましくは0.1〜15g/10分であり、より好ましくは1〜13g/10分である。
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(C−2)の分子量分布としては、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)から求められる分子量分布(Q値)として、好ましくは2.5以下であり、より好ましくは2.3以下である。
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(C−2)の製造方法としては、オレフィン系共重合体エラストマーもしくは共役ジエンエラストマーに対し、ビニル芳香族化合物を重合や反応により結合させる方法等が挙げられる。
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(C−2)としては、例えば、
(1)ビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックとからなるブロック共重合体、
(2)前記のブロック共重合体の共役ジエン部分の二重結合が水素添加されているブロック重合体、
(3)オレフィン系共重合体エラストマーとビニル芳香族化合物とを反応させて得られるエラストマー等が挙げられる。
このうち、上記(2)のブロック共重合体の共役ジエン部分の二重結合が80%以上水素添加されているブロック重合体を用いることが好ましく、85%以上水素添加されているブロック重合体を用いることがより好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記(1)のビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックからなるブロック共重合体としては、スチレン−エチレン−ブテン−スチレン系エラストマー(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン系エラストマー(SEPS)、スチレン−ブタジエン系エラストマー(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレン系エラストマー(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン系エラストマー(SIS)等が挙げられる。
また、オレフィン系共重合体エラストマー(C−1)とビニル芳香族化合物を反応させて得られるエラストマーをエラストマー(C)として用いてもよい。オレフィン系共重合体エラストマー(C−1)とビニル芳香族化合物を反応させて得られるエラストマー(C)としては、エチレン−プロピレン−非共役ジエン系エラストマー(EPDM)等のオレフィン系共重合体エラストマーとスチレン等のビニル芳香族化合物を反応させて得られるエラストマーが挙げられる。
〔無機充填材(D)〕
本発明のプロピレン樹脂組成物の製造方法には、無機充填材(D)を用いても良い。無機充填材(D)としては、非繊維状無機充填材(D−1)、又は繊維状無機充填材(D−2)が挙げられる。
なお、無機充填材(D)は、本発明に係るプロピレン樹脂組成物の製造方法によって製造されるプロピレン樹脂組成物に添加してもよいし、プロピレン樹脂組成物からなる成形体に添加してもよい。
本発明のプロピレン樹脂組成物の製造方法で用いられる無機充填材(D)の含有量、又は、本発明の製造方法によって製造されるプロピレン樹脂組成物及びその樹脂組成物からなる成形体に含有される無機充填材(D)の含有量は、成形体の剛性を十分なものとし、樹脂組成物の流動性や成形体の衝撃強度を悪化させないという観点から、
プロピレン樹脂(A)と、プロピレン樹脂(B1)と、プロピレン樹脂(B2)プロピレン樹脂組成物100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。
<非繊維状無機充填材(D−1)>
非繊維状無機充填材(D−1)としては、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、クレー、アルミナ、シリカ、硫酸カルシウム、けい砂、カーボンブラック、酸化チタン、水酸化マグネシウム、ゼオライト、モリブデン、けいそう土、セリサイト、シラス、水酸化カルシウム、亜硫酸カルシウム、硫酸ソーダ、ベントナイト、黒鉛等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。このうちタルクを用いることが好ましい。
非繊維状無機充填材(D−1)は、無処理のまま使用しても良く、プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又はプロピレン樹脂(B2)との界面接着性を向上させ、かつ、プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又はプロピレン樹脂(B2)に対する分散性を向上させるために、シランカップリング剤、又はチタンカップリング剤、若しくは界面活性剤で表面を処理して使用しても良い。界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩類等が挙げられる。
非繊維状無機充填材(D−1)の平均粒子径は、10μm以下であり、好ましくは5μm以下である。ここで本発明における「平均粒子径」とは、遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて水、アルコール等の分散媒中に懸濁させて測定した篩下法の積分分布曲線から求めた50%相当粒子径D50のことを意味する。
非繊維状無機充填材は、粉状、フレーク状、顆粒状などが挙げられ、いずれの形態のものを用いてもよい。
<繊維状無機充填材(D−2)>
繊維状無機充填材(D−2)としては、例えば、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、チタン酸カリウム繊維、水酸化マグネシウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ケイ酸カルシウム繊維、炭酸カルシウム繊維、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。このうち、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、ケイ酸カルシウム繊維を用いることが好ましく、繊維状マグネシウムオキシサルフェートを用いることがより好ましい。
繊維状無機充填材(D−2)は、無処理のまま使用しても良く、プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又はプロピレン樹脂(B2)との界面接着性を向上させ、かつ、プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又はプロピレン樹脂(B2)に対する分散性を向上させるために、シランカップリング剤、又は高級脂肪酸金属塩で表面を処理して使用しても良い。高級脂肪酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
繊維状無機充填材(D−2)の電子顕微鏡観察によって測定される平均繊維長は、3μm以上であり、好ましくは3〜20μmであり、更に好ましくは8〜15μmである。また、アスペクト比は、10以上であり、好ましくは10〜30であり、更に好ましくは12〜25である。そして、電子顕微鏡観察によって測定される平均繊維径は、好ましくは、0.2〜1.5μmであり、更に好ましくは0.3〜1.0μmである。
本発明の製造方法によって製造されるプロピレン樹脂組成物の用途、又は、その樹脂組成物からなる成形体としては、例えば、車両部品、電気・電子機器部品、電線、建築材料、農・水産・園芸用品、化学産業用品、土木資材、産業・工業資材、家具、文房具、日用・雑貨用品、衣服、容器・包装用品、玩具、レジャー用品、医療用品等が挙げられる。
車両部品としては、例えば、インストルメンタルパネル、ドア、ピラー等の自動車内装部品、バンパー等の自動車外装部品等が挙げられる。電線としては、プラスチックケーブル、絶縁電線、電線保護材等が挙げられる。
プロピレン樹脂組成物の成形加工方法は、特に限定されるものではないが、射出成形法を用いることが好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳しく説明する。実施例及び比較例で使用した成分は下記の通りである。
(1)プロピレン樹脂(a)
多層ペレット(B)の芯層を構成するプロピレン樹脂(B2)に用いられるプロピレン樹脂(a)として、以下のプロピレン単独重合体を用いた。
分子量分布(Mw/Mn):5.8
極限粘度([η]P):0.80dl/g
アイソタクチックペンタッド分率:0.98
MFR(230℃):300g/10分
プロピレンに由来する構造単位の含有量:100質量%
(2)プロピレン樹脂(B1−1)
比較例に用いられるプロピレン樹脂として、以下のプロピレン単独重合体を用いた。
分子量分布(Mw/Mn):4.1
極限粘度([η]P):0.95dl/g
アイソタクチックペンタッド分率:0.98
MFR(230℃):120g/10分
プロピレンに由来する構造単位の含有量:100質量%
(3)プロピレン樹脂(B1−2)
比較例に用いられるプロピレン樹脂として、以下のプロピレン単独重合体を用いた。
分子量分布(Mw/Mn):4.1
極限粘度([η]P):1.30dl/g
アイソタクチックペンタッド分率:0.98
MFR(230℃):30g/10分
(4)プロピレン樹脂(B1−3)
比較例に用いられるプロピレン樹脂として、以下のプロピレン単独重合体(三洋化成工業(株)製、低分子量ポリプロピレン(ビスコール440P))を用いた。
分子量分布(Mw/Mn):4.3
極限粘度([η]P):0.3dl/g
MFR(230℃):5000g/10分
(5)プロピレン樹脂(B1−4)
比較例に用いられるプロピレン樹脂として、以下のプロピレン単独重合体(三洋化成工業(株)製、低分子量ポリプロピレン(ビスコール660P))を用いた。
分子量分布(Mw/Mn):2.7
極限粘度([η]P):0.12dl/g
MFR(230℃):5000g/10分
(6)プロピレン樹脂(A)
多層ペレットの鞘層を構成するプロピレン樹脂(B2)及びプロピレン樹脂(A)として、以下のプロピレン−エチレン重合材料(フィリップス・スミカ・ポリプロピレン・カンパニー製 AGN450)を用いた。
・MFR(230℃):46g/10分
・極限粘度([η]total):1.31dl/g
・共重合材料のプロピレン単独重合体成分(重合体成分(I))
分子量分布(Mw/Mn):4.0
極限粘度([η]I):1.0dl/g
アイソタクチックペンタッド分率:0.97
・プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(重合体成分(II))
極限粘度([η]II):2.3dl/g
プロピレン−エチレン重合材料(BC−1)に対する重合体成分(II)の含有量:19質量%
重合体成分(II)に含有されるエチレンに由来する構造単位の含有量:46質量%
(7)エラストマー(R−1)
エラストマー(R−1)として、以下のエチレン−1−オクテン共重合体ゴム(デュポンダウエラストマー社製、ENGAGE8842)を用いた。
密度:0.857g/cm3
MFR(190℃):1g/10分
(8)エラストマー(R−2)
エラストマー(R−2)として、以下のエチレン−1−オクテン共重合体ゴム(デュポンダウエラストマー社製、ENGAGE8137)を用いた。
密度:0.864g/cm3
MFR(190℃):13g/10分
(9)タルク(TALC)
無機充填材として、タルク(林化成社製 MWHST)を用いた。平均粒子径は、2.7μmであった。
(10)有機過酸化物(b)
有機過酸化物(b)として、化薬アクゾ(株)製の1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンを用いた。
原料成分及びプロピレン樹脂組成物の物性は下記に示した方法に従って測定した。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
上記プロピレン樹脂のメルトフローレートは、JIS K 7210(1995)に従い、試験荷重2.16kgf、試験温度230℃の条件で測定を行ったときの値を用いた。
エラストマーのメルトフローレートは、JIS K 7210(1995)に従い、試験荷重2.16kgf、試験温度190℃の条件で測定を行ったときの値を用いた。
(2)曲げ弾性率(FM、単位:MPa)
射出成形により成形された厚みが6.4mmである試験片を用いて、ASTM D790に準拠し23℃における曲げ弾性率を測定した。
(3)破断伸び(UE、単位:%)
射出成形により成形された厚みが3.2mmである試験片を用いて、ASTM D638に準拠し23℃における破断伸びを測定した。引っ張り速度は30mm/分で行った。
(4)アイゾット衝撃強度(Izod、単位:kJ/m
JIS−K−7110に規定された方法に従って、測定した。射出成形により成形された厚みが3.2mmであり、ノッチ付きの試験片を用いて、測定温度は23℃と−15℃で測定した。
(5)重量平均分子量(Mw)及び、分子量分布(Mw/Mn)
GPCによって、下記条件により重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、さらにそれらの比(Mw/Mn)を算出した。
機種:ウォーターズ社製150C型
カラム:TSK−GEL GMH6−HT 7.5φmm×300mm×3本
測定温度:140℃
溶媒:オルトジクロロベンゼン
測定濃度:5mg/5ml
〔多層ペレットの作製〕
表1に示した組成で、タンブラーにて均一に予備混合した後、芯層部は、芯用二軸押出機(日本製鋼所製TEX30:30φmm)に供給し、鞘層部は、鞘用単軸押出機(池貝社製VS40:40φmm、L/D=25)に供給した。それぞれの押出機から温度250℃で芯鞘型ダイ(口金6個)に芯鞘比を、芯/鞘=90/10(質量%/質量%)にして供給した。押し出された6本のストランドを水槽に通し冷却しペレタイザーにてカッティングし、2層ペレット((B−1)〜(B−3))を得た。2層ペレットを溶融混練した混練物のMFRを表2に示した。
〔実施例1〜3、比較例1〜3〕
表3に示した組成で、タンブラーにて均一に予備混合した後、二軸混練押出機(日本製鋼所社製TEX44αII−49BW−3V型)を用いて、押出量50kg/時間、シリンダ設定温度200℃、スクリュー回転数を200rpm、ベント吸引下で混練押出して、プロピレン樹脂組成物を製造した。
なお表3中、「質量%」は、プロピレン樹脂(A)及び多層ペレット(B)の含有量の合計量、又はプロピレン樹脂(A)及びプロピレン樹脂の含有量の合計量を100質量%としたときの割合であり、「質量部」はプロピレン樹脂(A)及び多層ペレット(B)の含有量の合計量、又はプロピレン樹脂(A)及びプロピレン樹脂の含有量の合計量を100質量部としたときの値である。
得られたプロピレン樹脂組成物を、住友重機製SE180DUZ型射出成形機を用い、成形温度220℃、金型温度50℃で射出成形を行い、曲げ弾性率、破断伸び、アイゾット衝撃強度評価用試験片を得た。得られたプロピレン樹脂組成物の物性を下記の表4に示した。
Figure 0006089839

Figure 0006089839
Figure 0006089839
Figure 0006089839

Claims (2)

  1. 下記プロピレン樹脂(A)50〜95質量%と、
    下記プロピレン樹脂(B1)0.05〜25質量%と、
    下記プロピレン樹脂(B2)2.5〜49.5質量%(但し、プロピレン樹脂(A)とプロピレン樹脂(B1)とプロピレン樹脂(B2)のそれぞれの質量の合計量を100質量%とする)からなるプロピレン樹脂組成物を、
    プロピレン樹脂(B1)である鞘層とプロピレン樹脂(B2)である芯層とからなる多層ペレット(B)と、プロピレン樹脂(A)とを溶融混練して製造する
    プロピレン樹脂組成物の製造方法。

    プロピレン樹脂(A):荷重2.16kgf、230℃で測定したメルトフローレートが0.1〜200g/10分であり、135℃のテトラリン中で測定される極限粘度([η] )が0.8〜7.0dl/gであり、分子量分布(Mw/Mn)が3.0以上であるプロピレン樹脂。
    プロピレン樹脂(B1):荷重2.16kgf、230℃で測定したメルトフローレートが80〜200g/10分であり、135℃のテトラリン中で測定される極限粘度([η]B1 )が0.8〜1.2dl/gであり、分子量分布(Mw/Mn)が3.0以上であり、かつプロピレンに由来する構造単位の含有量が90質量%以上であるプロピレン樹脂。
    プロピレン樹脂(B2):荷重2.16kgf、230℃で測定したメルトフローレートが100g/10分を越えるプロピレン樹脂(a)と、有機過酸化物(b)とを溶融混練してなるプロピレン樹脂(B2)であって、
    荷重2.16kgf、230℃で測定したメルトフローレートが300g/10分以上であり、135℃のテトラリン中で測定される極限粘度([η]B2 )が0.5dl/g以上、1.0dl/g未満であり、分子量分布(Mw/Mn)が3.0以上であり、かつプロピレンに由来する構造単位の含有量が90質量%以上であるプロピレン樹脂。
  2. 多層ペレット(B)の芯層の質量に対する鞘層の質量の比(鞘層/芯層)が、50/50〜1/99である請求項1記載のプロピレン樹脂組成物の製造方法。
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