JP6089839B2 - プロピレン樹脂組成物の製造方法及び該プロピレン樹脂組成物からなる成形体 - Google Patents
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Description
このような状況の下、本発明の目的は、成形体にした場合に、剛性と低温での耐衝撃性のバランスに優れる成形体を得ることができるプロピレン系樹脂組成物の製造方法、該製造方法によって製造されるプロピレン樹脂組成物及び該プロピレン樹脂組成物からなる成形体を提供することにある。
すなわち、本発明は、
下記プロピレン樹脂(A)50〜95質量%と、
下記プロピレン樹脂(B1)0.05〜25質量%と、
下記プロピレン樹脂(B2)2.5〜49.5質量%(但し、プロピレン樹脂(A)とプロピレン樹脂(B1)とプロピレン樹脂(B2)のそれぞれの質量の合計量を100質量%とする)からなるプロピレン樹脂組成物を、
プロピレン樹脂(B1)である鞘層とプロピレン樹脂(B2)である芯層とからなる多層ペレット(B)と、プロピレン樹脂(A)とを溶融混練して製造するプロピレン樹脂組成物の製造方法に係るものである。
プロピレン樹脂(A):荷重2.16kgf、230℃で測定したメルトフローレートが0.1〜200g/10分であり、135℃のテトラリン中で測定される極限粘度([η]A P)が0.8〜7.0dl/gであり、分子量分布(Mw/Mn)が3.0以上であるプロピレン樹脂。
プロピレン樹脂(B1):荷重2.16kgf、230℃で測定したメルトフローレートが80〜200g/10分であり、135℃のテトラリン中で測定される極限粘度([η]B1 P)が0.8〜1.2dl/gであり、分子量分布(Mw/Mn)が3.0以上であり、かつプロピレンに由来する構造単位の含有量が90質量%以上であるプロピレン樹脂。
プロピレン樹脂(B2):荷重2.16kgf、230℃で測定したメルトフローレートが100g/10分を越えるプロピレン樹脂(a)と、有機過酸化物(b)とを溶融混練してなるプロピレン樹脂(B2)であって、
荷重2.16kgf、230℃で測定したメルトフローレートが300g/10分以上であり、135℃のテトラリン中で測定される極限粘度([η]B2 P)が0.5dl/g以上、1.0dl/g未満であり、分子量分布(Mw/Mn)が3.0以上であり、かつプロピレンに由来する構造単位の含有量が90質量%以上であるプロピレン樹脂。
上記のプロピレン樹脂組成物の製造方法によって製造されるプロピレン樹脂組成物、及び、該プロピレン樹脂組成物からなる成形体に係るものである。
本発明の製造方法に用いられるプロピレン樹脂(A)として、
プロピレン単独重合体、
プロピレンと他のオレフィンモノマーとのランダム共重合体、又は、
プロピレン重合体成分とプロピレンと他のオレフィンとの共重合体成分とからなり、多段重合によって得られるプロピレン重合材料が用いられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
具体的には、プロピレン単独重合体、
プロピレンと他のオレフィンモノマーとのランダム共重合体、又は、
プロピレン重合体成分とプロピレンと他のオレフィンとの共重合体成分とからなり、多段重合によって得られるプロピレン重合材料が用いられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
具体的には、プロピレン単独重合体、
プロピレンと他のオレフィンモノマーとのランダム共重合体、又は、
プロピレン重合体成分とプロピレンと他のオレフィンとの共重合体成分とからなり、多段重合によって得られるプロピレン重合材料が用いられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<単独重合体>
プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)として用いられるプロピレン単独重合体は、プロピレンに由来する構造単位のみからなる重合体、プロピレンに由来する構造単位を主な構造単位とする重合体である。なお、プロピレンに由来する構造単位を主な構造単位とするということは、重合体の全量100質量%に対して、プロピレンに由来する構造単位の含有量が少なくとも98質量%以上であるということである。
プロピレンに由来する構造単位とエチレンに由来する構造単位とからなるプロピレン−エチレンランダム共重合体、
プロピレンに由来する構造単位と炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構造単位とからなるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、又は、
プロピレンに由来する構造単位とエチレンに由来する構造単位と炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構造単位とからなるプロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体である。
多段重合によって製造され、
プロピレン単独重合体成分又はプロピレンに由来する構造単位を主な構造単位とする重合体成分と、エチレン及び炭素数4以上のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンモノマーに由来する構造単位とプロピレンに由来する構造単位とを有する共重合体成分からなるプロピレン重合材料である。
重合触媒としては、例えば、チーグラー型触媒系、チーグラー・ナッタ型触媒系、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンからなる触媒系、又はシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物及び有機アルミニウム化合物からなる触媒系、シリカ、粘土鉱物等の無機粒子にシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物、イオン性の錯体を形成する化合物及び有機アルミニウム化合物等の触媒成分を担持し変性させた触媒系等が挙げられ、また、上記の触媒系の存在下でエチレンやプロピレンや炭素数4以上のα−オレフィンを予備重合させて調製される予備重合触媒を用いてもよい。
前記の触媒系としては、例えば、特開昭61−218606号公報、特開平5−194685号公報、特開平7−216017号公報、特開平9−316147号公報、特開平10−212319号公報、特開2004−182981号公報に記載の触媒系が挙げられる。
なお、重合の各種条件(重合温度、重合圧力、モノマー濃度、触媒投入量、重合時間等)は、目的とするプロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)に応じて、適宜決定すればよい。
プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)として用いられるプロピレンと他のオレフィンモノマーとのランダム共重合体は、前述のとおり、
プロピレンに由来する構造単位とエチレンに由来する構造単位とからなるプロピレン−エチレンランダム共重合体、
プロピレンに由来する構造単位と炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構造単位とからなるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、又は、
プロピレンに由来する構造単位とエチレンに由来する構造単位と炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構造単位とからなるプロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体である。
例えば、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−1−オクテンランダム共重合体、プロピレン−1−デセンランダム共重合体等が挙げられる。
プロピレンに由来する構造単位の含有量は、好ましくは99.9〜60質量%であり、より好ましくは99.9〜70質量%であり、さらに好ましくは98〜85質量%である。
なお、このプロピレン−エチレンランダム共重合体をプロピレン樹脂(B1)として用いる場合、プロピレンに由来する構造単位の含有量は、後述の通りである。
プロピレンに由来する構造単位の含有量は、好ましくは99.9〜60質量%であり、より好ましくは99.9〜70質量%であり、さらに好ましくは98〜85質量%である。
なお、このプロピレン−エチレンランダム共重合体をプロピレン樹脂(B1)として用いる場合、プロピレンに由来する構造単位の含有量は、後述の通りである。
プロピレンに由来する構造単位の含有量は、好ましくは99.9〜60質量%であり、より好ましくは99.9〜70質量%であり、さらに好ましくは98〜85質量%である。
なお、このプロピレン−エチレンランダム共重合体をプロピレン樹脂(B1)として用いる場合、プロピレンに由来する構造単位の含有量は、後述の通りである。
プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)として用いられるプロピレンと他のオレフィンモノマーとのプロピレン重合材料は、前述のとおり、多段重合によって製造され、
プロピレン単独重合体成分又はプロピレンに由来する構造単位を主な構造単位とする重合体成分(以下、重合体成分(I)と称する)と、エチレン及び炭素数4以上のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンモノマーに由来する構造単位とプロピレンに由来する構造単位とを有する共重合体成分(以下、重合体成分(II)と称する)からなるプロピレン共重合材料である。
炭素数4〜10個のα−オレフィンとして、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンであり、より好ましくは1−ブテンである。
重合体成分(I)としては、好ましくは、プロピレン単独重合体成分、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体成分である。
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1g/dl、0.2g/dl及び0.5g/dlの3点について還元粘度を測定する。極限粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法、すなわち還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求められる。
プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)が重合体成分(I)と重合体成分(II)とを多段重合させて得られるプロピレン重合材料である場合、前段の重合槽から一部抜き出した重合体パウダーから重合体成分(I)又は重合体成分(II)の極限粘度を求め、重合体成分(I)と重合体成分(II)のそれぞれの極限粘度の値と、重合体成分(I)と重合体成分(II)のそれぞれの含有量を用いて、他の重合体成分の極限粘度を算出する。
[η]II=([η]Total−[η]I×XI)/XII
[η]Total:後段重合工程後に得られるプロピレン重合材料の極限粘度(dl/g)
[η]I:前段重合工程後に重合槽より抜き出した重合体パウダー(重合体成分(I))の極限粘度(dl/g)
XI:プロピレン重合材料の全質量に対する重合体成分(I)の質量比
XII:プロピレン重合材料の全質量に対する重合体成分(II)の質量比
尚、XI、XIIは重合時の物質収支から求める。
XII=1−(ΔHf)Total/(ΔHf)
(ΔHf)Total:プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)のそれぞれの(樹脂全体の)融解熱量(cal/g)
(ΔHf):プロピレン単独重合体成分の融解熱量(cal/g)
((Cα´)II)は、赤外線吸収スペクトル法によりプロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)のそれぞれの(樹脂全体の)に含有されるエチレンに由来する構造単位の含有量、炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構造単位の含有量、又は、それら含有量の合計量((Cα´)Total)を測定し、次式を用いて計算により求める。
(Cα´)II=(Cα´)Total/XII
(Cα´)Total:プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)のそれぞれの(樹脂全体の)に含有されるエチレンに由来する構造単位の含有量、炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構造単位の含有量、又は、それら含有量の合計量(質量%)
(Cα´)II:重合体成分(II)に含有されるエチレンに由来する構造単位の含有量、炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構造単位の含有量、又は、それら含有量の合計量(質量%)
また、プロピレン樹脂(A)、プロピレン樹脂(B1)、又は、プロピレン樹脂(a)、ランダム共重合体又はプロピレン重合材料である場合は、ランダム共重合体又はプロピレン重合材料に含有されるプロピレンに由来する構造単位の連鎖について測定される値を用いる。
本発明の製造方法に用いられるプロピレン樹脂(A)のメルトフローレート(以下、MFRともいう)は、0.1〜200g/10分であり、得られる成形体の破断伸びや衝撃強度を高くするという観点から、0.5〜200g/10分であることが好ましく、10〜100g/10分であることがより好ましく、20〜80g/10分であることが更に好ましく、30〜50g/10分であることが更にいっそう好ましい。なお、MFRはJISK7210に従い、荷重2.16kgf、230℃で測定した値を用いている。
なお、Mwはプロピレン樹脂(A)の重量平均分子量を表し、Mnはプロピレン樹脂(A)の数平均分子量を表す。
本発明の製造方法に用いられる多層ペレット(B)の鞘層に用いられるプロピレン樹脂(B1)のMFRは80〜200g/10分であり、樹脂組成物の流動性を悪化させないという観点や、溶融張力を低下させず、ストランドの引き取り性を悪化させないという観点から、好ましくは100〜150g/10分である。なお、MFRはプロピレン樹脂(A)と同様の条件で測定した値を用いている。
また、プロピレン樹脂(B1)としては、プロピレン単独重合体、ランダム共重合体又はプロピレン重合材料のそれぞれを単独で用いても良く、少なくとも2種を併用しても良い。プロピレン樹脂(B1)として好ましくは、プロピレン単独重合体である。
本発明の製造方法に用いられる多層ペレット(B)の芯層を構成するプロピレン樹脂(B2)に用いられるプロピレン樹脂(a)のMFRは100g/10分を超え、樹脂組成物の流動性という観点から好ましくは150g/10分であり、200g/10分〜450g/10分である。なお、MFRはプロピレン樹脂(A)と同様の条件で測定した値を用いている。
本発明の製造方法に用いられる多層ペレット(B)は、上述のプロピレン樹脂(B1)からなる鞘層と、後述するプロピレン樹脂(B2)からなる芯層とからなる。多層ペレット(B)を構成する芯層の質量に対する鞘層の質量の比(鞘層/芯層)は、樹脂組成物の流動性を悪化させないという観点や、溶融張力を低下させず、ストランドの引き取り性を悪化させないという観点から、好ましくは50/50〜1/99であり、より好ましくは20/80〜5/95であり、さらに好ましくは15/85〜7/93である。
多層ストランドダイ装置として、好ましくはクロスヘッドダイであり、クロスヘッドダイのより好ましい構造としては、例えば、欧州特許公開公報EP1063070−A2に詳細に開示されているクロスヘッドダイである。
本発明の製造方法に用いられる多層ペレット(B)の芯層に用いられるプロピレン樹脂(B2)は、上記のプロピレン樹脂(a)と、有機過酸化物(b)とを溶融混練してなるプロピレン樹脂である。このプロピレン樹脂(B2)のMFRは、300g/10分以上である。樹脂組成物の流動性という観点から、好ましくは350g/10分以上である。なお、MFRはプロピレン樹脂(A)と同様の条件で測定した値を用いている。
多層ペレット(B)の芯層に用いられるプロピレン樹脂(B2)の製造に用いられる有機過酸化物(b)としては、樹脂の分解を促進するという観点から、好ましくは半減期が1分となる分解温度が50〜210℃である有機過酸化物である。また、分解してラジカルを発生した後、プロピレン樹脂(a)からプロトンを引き抜く作用を有する有機過酸化物が好ましい。
プロピレン樹脂組成物は、上記プロピレン樹脂(A)と上記多層ペレット(B)とを溶融混練することにより得られる。
溶融混練は単軸又は二軸押出機を用いて180℃〜250℃で行われることが好ましい。
成形体の剛性と衝撃性のバランスという観点から、プロピレン樹脂(A)60〜80質量%と、プロピレン樹脂(B1)1〜5質量%と、プロピレン樹脂(B2)40〜20質量%含有することが好ましい。
本発明のプロピレン樹脂組成物の製造には、エラストマー(C)を添加しても良い。エラストマー(C)としては、オレフィン系エラストマー(C−1)、又はビニル芳香族含有化合物系エラストマー(C−2)が挙げられる。
なお、エラストマー(C)は、本発明に係るプロピレン樹脂組成物の製造方法によって製造されるプロピレン樹脂組成物に添加してもよいし、プロピレン樹脂組成物からなる成形体に添加してもよい。
プロピレン樹脂(A)と、プロピレン樹脂(B1)と、プロピレン樹脂(B2)プロピレン樹脂組成物100質量部に対して、1〜100質量部であることが好ましく、10〜70質量部であることがより好ましく、20〜50質量部であることが更に好ましい。
オレフィン系エラストマー(C−1)は、エチレンと炭素数4以上20以下のα−オレフィンとの共重合体(但し、エチレンの含有量が50質量%以上である)である。
炭素数4以上20以下のα−オレフィンとしては、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
(1)バナジウム化合物、有機アルミニウム化合物及びハロゲン化エステル化合物からなるチーグラー・ナッタ触媒や、
(2)チタン原子、ジルコニウム原子又はハフニウム原子に少なくとも1種のシクロペンタジエニルアニオン骨格を有する基が配位したメタロセン化合物と、アルモキサンあるいはホウ素化合物とを組み合わせた触媒(いわゆるメタロセン触媒)
等が挙げられる。
重合方法としては、例えば、炭化水素化合物のような不活性有機溶媒中でエチレンとα−オレフィンを共重合させる方法や、溶媒を用いずにエチレン及びα−オレフィン中で共重合させる方法が挙げられる。
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(C−2)は、ビニル芳香族化合物単量体単位を含有するエラストマーであり、ビニル芳香族化合物としてはスチレンが挙げられる。
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(C−2)に含有されるビニル芳香族化合物単量体単位の平均含有量として、好ましくは10〜20質量%であり、より好ましくは12〜19質量%である(ただし、ビニル芳香族化合物含有エラストマーの全量を100質量%とする)。
(1)ビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックとからなるブロック共重合体、
(2)前記のブロック共重合体の共役ジエン部分の二重結合が水素添加されているブロック重合体、
(3)オレフィン系共重合体エラストマーとビニル芳香族化合物とを反応させて得られるエラストマー等が挙げられる。
このうち、上記(2)のブロック共重合体の共役ジエン部分の二重結合が80%以上水素添加されているブロック重合体を用いることが好ましく、85%以上水素添加されているブロック重合体を用いることがより好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のプロピレン樹脂組成物の製造方法には、無機充填材(D)を用いても良い。無機充填材(D)としては、非繊維状無機充填材(D−1)、又は繊維状無機充填材(D−2)が挙げられる。
なお、無機充填材(D)は、本発明に係るプロピレン樹脂組成物の製造方法によって製造されるプロピレン樹脂組成物に添加してもよいし、プロピレン樹脂組成物からなる成形体に添加してもよい。
プロピレン樹脂(A)と、プロピレン樹脂(B1)と、プロピレン樹脂(B2)プロピレン樹脂組成物100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。
非繊維状無機充填材(D−1)としては、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、クレー、アルミナ、シリカ、硫酸カルシウム、けい砂、カーボンブラック、酸化チタン、水酸化マグネシウム、ゼオライト、モリブデン、けいそう土、セリサイト、シラス、水酸化カルシウム、亜硫酸カルシウム、硫酸ソーダ、ベントナイト、黒鉛等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。このうちタルクを用いることが好ましい。
非繊維状無機充填材は、粉状、フレーク状、顆粒状などが挙げられ、いずれの形態のものを用いてもよい。
繊維状無機充填材(D−2)としては、例えば、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、チタン酸カリウム繊維、水酸化マグネシウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ケイ酸カルシウム繊維、炭酸カルシウム繊維、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。このうち、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、ケイ酸カルシウム繊維を用いることが好ましく、繊維状マグネシウムオキシサルフェートを用いることがより好ましい。
車両部品としては、例えば、インストルメンタルパネル、ドア、ピラー等の自動車内装部品、バンパー等の自動車外装部品等が挙げられる。電線としては、プラスチックケーブル、絶縁電線、電線保護材等が挙げられる。
プロピレン樹脂組成物の成形加工方法は、特に限定されるものではないが、射出成形法を用いることが好ましい。
(1)プロピレン樹脂(a)
多層ペレット(B)の芯層を構成するプロピレン樹脂(B2)に用いられるプロピレン樹脂(a)として、以下のプロピレン単独重合体を用いた。
分子量分布(Mw/Mn):5.8
極限粘度([η]P):0.80dl/g
アイソタクチックペンタッド分率:0.98
MFR(230℃):300g/10分
プロピレンに由来する構造単位の含有量:100質量%
比較例に用いられるプロピレン樹脂として、以下のプロピレン単独重合体を用いた。
分子量分布(Mw/Mn):4.1
極限粘度([η]P):0.95dl/g
アイソタクチックペンタッド分率:0.98
MFR(230℃):120g/10分
プロピレンに由来する構造単位の含有量:100質量%
比較例に用いられるプロピレン樹脂として、以下のプロピレン単独重合体を用いた。
分子量分布(Mw/Mn):4.1
極限粘度([η]P):1.30dl/g
アイソタクチックペンタッド分率:0.98
MFR(230℃):30g/10分
(4)プロピレン樹脂(B1−3)
比較例に用いられるプロピレン樹脂として、以下のプロピレン単独重合体(三洋化成工業(株)製、低分子量ポリプロピレン(ビスコール440P))を用いた。
分子量分布(Mw/Mn):4.3
極限粘度([η]P):0.3dl/g
MFR(230℃):5000g/10分
(5)プロピレン樹脂(B1−4)
比較例に用いられるプロピレン樹脂として、以下のプロピレン単独重合体(三洋化成工業(株)製、低分子量ポリプロピレン(ビスコール660P))を用いた。
分子量分布(Mw/Mn):2.7
極限粘度([η]P):0.12dl/g
MFR(230℃):5000g/10分
多層ペレットの鞘層を構成するプロピレン樹脂(B2)及びプロピレン樹脂(A)として、以下のプロピレン−エチレン重合材料(フィリップス・スミカ・ポリプロピレン・カンパニー製 AGN450)を用いた。
・MFR(230℃):46g/10分
・極限粘度([η]total):1.31dl/g
・共重合材料のプロピレン単独重合体成分(重合体成分(I))
分子量分布(Mw/Mn):4.0
極限粘度([η]I):1.0dl/g
アイソタクチックペンタッド分率:0.97
・プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(重合体成分(II))
極限粘度([η]II):2.3dl/g
プロピレン−エチレン重合材料(BC−1)に対する重合体成分(II)の含有量:19質量%
重合体成分(II)に含有されるエチレンに由来する構造単位の含有量:46質量%
エラストマー(R−1)として、以下のエチレン−1−オクテン共重合体ゴム(デュポンダウエラストマー社製、ENGAGE8842)を用いた。
密度:0.857g/cm3
MFR(190℃):1g/10分
(8)エラストマー(R−2)
エラストマー(R−2)として、以下のエチレン−1−オクテン共重合体ゴム(デュポンダウエラストマー社製、ENGAGE8137)を用いた。
密度:0.864g/cm3
MFR(190℃):13g/10分
(9)タルク(TALC)
無機充填材として、タルク(林化成社製 MWHST)を用いた。平均粒子径は、2.7μmであった。
(10)有機過酸化物(b)
有機過酸化物(b)として、化薬アクゾ(株)製の1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンを用いた。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
上記プロピレン樹脂のメルトフローレートは、JIS K 7210(1995)に従い、試験荷重2.16kgf、試験温度230℃の条件で測定を行ったときの値を用いた。
エラストマーのメルトフローレートは、JIS K 7210(1995)に従い、試験荷重2.16kgf、試験温度190℃の条件で測定を行ったときの値を用いた。
(2)曲げ弾性率(FM、単位:MPa)
射出成形により成形された厚みが6.4mmである試験片を用いて、ASTM D790に準拠し23℃における曲げ弾性率を測定した。
(3)破断伸び(UE、単位:%)
射出成形により成形された厚みが3.2mmである試験片を用いて、ASTM D638に準拠し23℃における破断伸びを測定した。引っ張り速度は30mm/分で行った。
(4)アイゾット衝撃強度(Izod、単位:kJ/m2)
JIS−K−7110に規定された方法に従って、測定した。射出成形により成形された厚みが3.2mmであり、ノッチ付きの試験片を用いて、測定温度は23℃と−15℃で測定した。
(5)重量平均分子量(Mw)及び、分子量分布(Mw/Mn)
GPCによって、下記条件により重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、さらにそれらの比(Mw/Mn)を算出した。
機種:ウォーターズ社製150C型
カラム:TSK−GEL GMH6−HT 7.5φmm×300mm×3本
測定温度:140℃
溶媒:オルトジクロロベンゼン
測定濃度:5mg/5ml
表1に示した組成で、タンブラーにて均一に予備混合した後、芯層部は、芯用二軸押出機(日本製鋼所製TEX30:30φmm)に供給し、鞘層部は、鞘用単軸押出機(池貝社製VS40:40φmm、L/D=25)に供給した。それぞれの押出機から温度250℃で芯鞘型ダイ(口金6個)に芯鞘比を、芯/鞘=90/10(質量%/質量%)にして供給した。押し出された6本のストランドを水槽に通し冷却しペレタイザーにてカッティングし、2層ペレット((B−1)〜(B−3))を得た。2層ペレットを溶融混練した混練物のMFRを表2に示した。
表3に示した組成で、タンブラーにて均一に予備混合した後、二軸混練押出機(日本製鋼所社製TEX44αII−49BW−3V型)を用いて、押出量50kg/時間、シリンダ設定温度200℃、スクリュー回転数を200rpm、ベント吸引下で混練押出して、プロピレン樹脂組成物を製造した。
なお表3中、「質量%」は、プロピレン樹脂(A)及び多層ペレット(B)の含有量の合計量、又はプロピレン樹脂(A)及びプロピレン樹脂の含有量の合計量を100質量%としたときの割合であり、「質量部」はプロピレン樹脂(A)及び多層ペレット(B)の含有量の合計量、又はプロピレン樹脂(A)及びプロピレン樹脂の含有量の合計量を100質量部としたときの値である。
Claims (2)
- 下記プロピレン樹脂(A)50〜95質量%と、
下記プロピレン樹脂(B1)0.05〜25質量%と、
下記プロピレン樹脂(B2)2.5〜49.5質量%(但し、プロピレン樹脂(A)とプロピレン樹脂(B1)とプロピレン樹脂(B2)のそれぞれの質量の合計量を100質量%とする)からなるプロピレン樹脂組成物を、
プロピレン樹脂(B1)である鞘層とプロピレン樹脂(B2)である芯層とからなる多層ペレット(B)と、プロピレン樹脂(A)とを溶融混練して製造する
プロピレン樹脂組成物の製造方法。
プロピレン樹脂(A):荷重2.16kgf、230℃で測定したメルトフローレートが0.1〜200g/10分であり、135℃のテトラリン中で測定される極限粘度([η]A P)が0.8〜7.0dl/gであり、分子量分布(Mw/Mn)が3.0以上であるプロピレン樹脂。
プロピレン樹脂(B1):荷重2.16kgf、230℃で測定したメルトフローレートが80〜200g/10分であり、135℃のテトラリン中で測定される極限粘度([η]B1 P)が0.8〜1.2dl/gであり、分子量分布(Mw/Mn)が3.0以上であり、かつプロピレンに由来する構造単位の含有量が90質量%以上であるプロピレン樹脂。
プロピレン樹脂(B2):荷重2.16kgf、230℃で測定したメルトフローレートが100g/10分を越えるプロピレン樹脂(a)と、有機過酸化物(b)とを溶融混練してなるプロピレン樹脂(B2)であって、
荷重2.16kgf、230℃で測定したメルトフローレートが300g/10分以上であり、135℃のテトラリン中で測定される極限粘度([η]B2 P)が0.5dl/g以上、1.0dl/g未満であり、分子量分布(Mw/Mn)が3.0以上であり、かつプロピレンに由来する構造単位の含有量が90質量%以上であるプロピレン樹脂。 - 多層ペレット(B)の芯層の質量に対する鞘層の質量の比(鞘層/芯層)が、50/50〜1/99である請求項1記載のプロピレン樹脂組成物の製造方法。
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