JP2014172915A - 発泡用繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物及びそれを発泡成形してなる成形体 - Google Patents

発泡用繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物及びそれを発泡成形してなる成形体 Download PDF

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和匡 近藤
Kenji Masuda
憲二 増田
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直也 青木
Masashi Shimouse
正史 下鵜瀬
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Abstract

【課題】 射出発泡成形の分野において、成形性が良好で、発泡倍率が高く、発泡成形体の剛性が高いポリプロピレン系発泡成形体を得ることが可能な樹脂組成物を提供し、さらにそれを用いたポリプロピレン系発泡成形体を提供する。
【解決手段】 メタロセン触媒により重合された特定のプロピレン系樹脂成分(ア)100重量部に対して、ガラス繊維及び炭素繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である繊維(イ)8〜150重量部を含有することを特徴とする発泡成形用繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを発泡成形してなる射出発泡成形体など。
【選択図】なし

Description

本発明は、発泡用繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物及びそれを発泡成形してなる成形体に関する。本発明の発泡用繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物を発泡成形してなる成形体は、成形性が良好で、発泡倍率が高くかつ発泡成形体の剛性が高いという特徴を有する。
ポリプロピレン樹脂の重要な成形加工法の一つとして射出発泡成形が知られている。射出発泡成形によって得られた成形体は、断熱性や遮音性、クッション性、エネルギー吸収特性などの優れた特性を生かし、幅広い用途で使用されている。特に近年は、環境問題等の観点から、材料の軽量化と環境負荷の低減が重要な技術開発の課題となり、その解決方法の一つとして発泡成形体が使われる技術領域が広がる傾向に有り、その原料として用いられる発泡性能が高い樹脂に対する需要は、高まっている。
ポリプロピレン系樹脂の発泡においては、ポリプロピレン系樹脂は一般的に溶融張力が低いので、高発泡倍率を得るために過去に様々な観点から技術開発がなされてきた。ポリプロピレン系樹脂を高発泡化させる成形技術としては、型開き可能に保持された金型の空間内に発泡剤を含む樹脂を射出成形した後、金型を開くことにより前記空間を拡大して樹脂を発泡させるいわゆるコアバック法(Moving Cavity法)がある(例えば、特許文献1)。
通常のポリプロピレン系樹脂は結晶性でメルトテンション(溶融張力)が低く、気泡が破壊されやすい。その結果、成形体表面にシルバーストリーク(またはスワールマーク)と呼ばれる外観不良が発生しやすく、さらには内部にボイドが発生しやすく、発泡倍率を高くすることが困難であった。また、発泡成形品の鏡面の表面においては気泡が破壊され穴があくことにより表面が非常に荒れた状態の部位が多数見られるなど、外観上の問題が大きい。
このような、発泡性を改良する方法として、特定のMFR値、ダイスウエル比、伸張粘度、第1法線応力差とせん断応力比を有するプロピレン・エチレンブロック共重合体を配合した発泡向けのポリプロピレン系樹脂組成物が提案されている(特許文献2)。しかし、この方法では高発泡倍率かつ高衝撃の発泡成形体が得られるものの、成形体の剛性等については考慮がなされておらず、未だ不十分である。
また、発泡セルを均一化するためにプロピレン重合体とエラストマーと有機ポリマービーズとを組み合わせた方法も提案されている(特許文献3)。しかし、この方法では均一なセルを有した発泡成形体が得られるものの、これは有機ポリマービーズの効果によるものであり、発泡成形体の剛性および外観等に関して充分考慮されているとはいえない。
また、溶融張力の高いプロピレン系樹脂とせん断時の張力が高いプロピレン系樹脂とを組み合わせて、発泡倍率、セル形態、シルバーストリークを改良した組成物が提案されている(特許文献4)。この方法では高発泡で低比重の発泡成形体が得られるものの、得られた発泡成形体の剛性については何ら考慮がなされておらず、より高剛性の発泡成形体が求められているのが実情である。
このように従来の発泡性を改良するための検討は、ポリプロピレン系の樹脂のメルトテンションをあげる方法の提案が中心であり、溶融張力の低い樹脂とフィラーを組み合わせる事による発泡倍率と剛性とを共に向上させるような改良への取り組みは行われていない。
WO2005/026255号公報 特開2012−001655号公報 特開2009−108230号公報 特開2011−068819号公報
本発明が解決しようとする課題は、従来技術の現状に鑑み、発泡成形に好適に用いることができ、得られる製品の物性に優れたポリプロピレン樹脂組成物を提供することにある。特に射出発泡成形の分野において、成形性が良好で、発泡倍率が高く、発泡成形体の剛性が高いポリプロピレン系発泡成形体を得ることが可能な樹脂組成物を提供し、さらにそれを用いたポリプロピレン系発泡成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、融点が低いプロピレン系樹脂と繊維とを組み合わせる事により、成形性が良好で、高発泡でかつ剛性の高い発泡成形体が得られる事を見出し、本発明に到達した。すわなち、本発明で開示する、メタロセン触媒により重合された融点の低いプロピレン系樹脂成分と繊維とを組み合わせる事により、従来高発泡には望ましいと考えられていた均一なセルを有していなくても、繊維をセルの壁として利用することにより、均一で微細なセルを有することなく高い発泡倍率を達成し、かつ繊維を組み合わせる事により発泡成形体として高剛性なポリプロピレン系発泡成形体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記の特性を有するメタロセン触媒により重合されたプロピレン系樹脂成分(ア)100重量部に対して、繊維(イ)8〜150重量部を含有することを特徴とする発泡成形用繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
プロピレン系樹脂成分(ア):次の(ア−i)〜(ア−iv)に規定する要件を有する。
(ア−i):第1工程で、プロピレン単独またはエチレン含量7重量%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(ア−A)を30〜95重量%、第2工程で、成分(ア−A)よりも3〜20重量%多くのエチレンを含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(ア−B)を70重量%〜5重量%逐次重合して得られる(ただし、(ア−A)と(ア−B)の合計量は100重量%である)。
(ア−ii):DSC法により測定された融解ピーク温度(Tm)が110℃〜150℃である。
(ア−iii):固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有する。
(ア−iv):プロピレン系樹脂成分(ア)全体のメルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg荷重)が0.5g/10分〜200g/10分である。
繊維(イ):次の(イ−i)に規定する要件を有する。
(イ−i):ガラス繊維及び炭素繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明におけるプロピレン系樹脂成分(ア)100重量部に対して、更に、酸変性ポリオレフィン系樹脂及びヒドロキシ変性ポリオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の変性ポリオレフィン系樹脂(ウ)0.5〜15重量部を含有する発泡成形用繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1または2の発明におけるプロピレン系樹脂成分(ア)100重量部に対して、密度が0.86〜0.910g/cmでありメルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg荷重)が0.5g/10分〜80g/10分であるエラストマー(エ)を0.5〜100重量部含有することを特徴とする発泡成形用繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1から第3のいずれかの発明における発泡成形用繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物を発泡成形してなる成形体が提供される。
本発明の発泡成形用強化ポリプロピレンおよびその成形体は、成形性が良好で、高発泡でかつ剛性の高い発泡成形体が得られる。
そのため、インストルメントパネル、グローブボックス、コンソールボックス、ドアトリム、肘掛け、グリップノブ、各種トリム類、天井部品、ハウジング類、ピラー類、マッドガード、バンパー、フェンダー、バックドアー、ファンシュラウドなどの自動車用内外装及びエンジンルーム内部品などの自動車部品をはじめ、テレビ・掃除機などの電気電子機器部品、各種工業部品、便座などの住宅設備機器部品、建材部品などの用途に、好適に用いることができる。
図1は、温度昇温溶離分別(TREF)による溶出量及び溶出量積算を示す図である。
本発明は、特定のプロピレン系樹脂成分(ア)と特定の繊維(イ)、及び好ましく用いられる成分として酸変性ポリオレフィン系樹脂及びヒドロキシ変性ポリオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の変性ポリオレフィン系樹脂(ウ)、特定のエラストマー(エ)を、特定の割合で含有する発泡成形用繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物、及びそれを発泡成形してなる発泡成形体に関する。
以下、本願発明において用いられる各成分、得られる発泡成形用繊維強化プロピレン系樹脂組成物及びそれを発泡成形してなる成形体について、詳細に説明する。
1.プロピレン系樹脂成分(ア)
本発明に用いられるメタロセン触媒により重合されたプロピレン系樹脂成分(ア)は次の特性(ア−i)〜(ア−iv)に規定する要件を有する。
(ア−i):第1工程で、プロピレン単独またはエチレン含量7重量%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(ア−A)を30〜95重量%、第2工程で、成分(ア−A)よりも3〜20重量%多くのエチレンを含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(ア−B)を70重量%〜5重量%逐次重合して得られる(ただし、(ア−A)と(ア−B)の合計量は100重量%である)。
(ア−ii):DSC法により測定された融解ピーク温度(Tm)が110℃〜150℃である。
(ア−iii):固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有する。
(ア−iv):プロピレン系樹脂成分(ア)全体のメルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg荷重)が0.5g/10分〜200g/10分である。
本発明に用いられるプロピレン系樹脂成分(ア)に含有される成分のうち、特に成分(ア−B)は、低結晶性成分であるので、プロピレン系樹脂成分(ア)は、本発明の繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」という場合がある)及びそれを発泡成形してなる成形体(以下、単に「成形体」という場合がある)において、高発泡倍率の特性を付与するという特徴を有する。
1.1.プロピレン系樹脂成分(ア)
本発明に用いられるプロピレン系樹脂成分(ア)は、低結晶性成分を含み、特に成分(ア−B)により成形過程における冷却固化の進行が遅延されるため、樹脂組成物及びその成形体において、発泡成形時に発泡倍率を高くする機能を付与するという特徴を有する。
なお、本発明に用いられるプロピレン系樹脂成分(ア)とは、(ア−i)に規定するように、プロピレン単独またはプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(ア−A)と、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(ア−B)とを逐次重合することで得られる、通称での「ブロック共重合体」であり、必ずしも成分(ア−A)と成分(ア−B)とが完全にブロック状に、化学的に結合されたものでなくてもよい。
また、プロピレン系樹脂成分(ア)は、二種以上を併用することもできる。
(1)各要件
(ア−i)プロピレン系樹脂成分(ア)の製造工程及びエチレン含量等について
本発明に用いられるプロピレン系樹脂成分(ア)は、第1工程で、プロピレン単独またはエチレン含量7重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(ア−A)を30〜95重量%、第2工程で、成分(ア−A)よりも3〜20重量%多くのエチレンを、好ましくは6〜18重量%多くのエチレンを、より好ましくは8〜16重量%多くのエチレンを、含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(ア−B)を70重量%〜5重量%逐次重合して製造する。ただし、ここで(ア−A)と(ア−B)の合計量は100重量%である。
ここで、第2工程成分(ア−B)と、第1工程成分(ア−A)のエチレン含量の差が本発明に規定する範囲内であれば、本発明の樹脂組成物において良好な発泡倍率を達成することが可能となる。即ち、第2工程成分(ア−B)と、第1工程成分(ア−A)のエチレン含量の差が3重量%未満であると、本発明の樹脂組成物において発泡倍率が低下する傾向となる。一方、20重量%を超えると、成分(ア−A)と成分(ア−B)との相溶性が低下し、本発明の樹脂組成物において良好な発泡を行うことができないおそれがある。
すなわち、プロピレン系樹脂成分(ア)において、第1工程と第2工程でエチレン含量が所定の範囲で異なる成分を逐次重合することが、樹脂組成物及びその成形体において、高発泡倍率を発現するために必要であり、また、反応器への反応生成物の付着などの問題を防止するなどのためにも、成分(ア−A)を重合した後で、成分(ア−B)を重合する方法を用いることが重要である。
なお、成分(ア−A)及び成分(ア−B)のエチレン含量は、以下の方法により決定される。
(i)温度昇温溶離分別(TREF)とT(C)の算出:
プロピレン−エチレンランダム共重合体およびプロピレン−エチレンブロック共重合体の結晶性分布を、温度昇温溶離分別(以下、単にTREFともいう。)により評価する手法は、当該業者によく知られるものであり、例えば、次の文献などで詳細な測定法が示されている。
G.Glockner,J.Appl.Polym.Sci.:Appl.Polym.Symp.;45,1−24(1990)
L.Wild,Adv.Polym.Sci.;98,1−47(1990)
J.B.P.Soares,A.E.Hamielec,Polymer;36,8,1639−1654(1995)
本発明の成分(ア−A)及び成分(ア−B)などの特定は、TREFによる。
具体的な方法を、図1のTREFによる溶出量及び溶出量積算を示す図を用いて説明する。TREF溶出曲線(温度に対する溶出量のプロット)において、成分(ア−A)と(ア−B)は結晶性の違いにより各々T(A)とT(B)にその溶出ピークを示し、その差は十分大きいため、中間の温度T(C)(={T(A)+T(B)}/2)において、ほぼ分離が可能である。
また、TREF測定温度の下限は、本測定に用いた装置では−15℃であるが、成分(ア−B)の結晶性が非常に低いあるいは非晶性成分の場合には本測定方法において、測定温度範囲内にピークを示さない場合がある(この場合には、測定温度下限(すなわち−15℃)において溶媒に溶解した成分(ア−B)の濃度は検出される。)。
このとき、T(B)は、測定温度下限以下に存在するものと考えられるが、その値を測定することが出来ないため、このような場合にはT(B)を測定温度下限である−15℃と定義する。
ここで、T(C)までに溶出する成分の積算量をW(B)重量%、T(C)以上で溶出する部分の積算量をW(A)重量%と定義すると、W(B)は結晶性が低いあるいは非晶性の成分(ア−B)の量とほとんど対応しており、T(C)以上で溶出する成分の積算量W(A)は結晶性が比較的高い成分(ア−A)の量とほぼ対応している。TREFによって得られる溶出量曲線と、そこから求められる上記の各種の温度や量の算出の方法は図1に例示するように行う。
(TREF測定方法)
本発明においては、TREFの測定は具体的には以下のように測定を行う。試料を140℃でオルトジクロルベンゼン(ODCB(0.5mg/mLBHT入り))に溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で−15℃まで冷却し、60分間保持する。その後、溶媒であるODCB(0.5mg/mLBHT入り)を1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で−15℃のODCBに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
本発明で用いた装置などの概要は、下記の通りであり、同等の装置等を用いて決定することも可能である。
TREFカラム:4.3mmφ×150mmステンレスカラム
カラム充填材:100μm 表面不活性処理ガラスビーズ
加熱方式:アルミヒートブロック
冷却方式:ペルチェ素子(ペルチェ素子の冷却は水冷)
温度分布:±0.5℃
温調器:(株)チノー デジタルプログラム調節計KP1000(バルブオーブン)
加熱方式:空気浴式オーブン
測定時温度:140℃
温度分布:±1℃
バルブ:6方バルブ 4方バルブ
注入方式:ループ注入方式
検出器:波長固定型赤外検出器 FOXBORO社製 MIRAN 1A
検出波長:3.42μm
高温フローセル:LC−IR用ミクロフローセル 光路長1.5mm 窓形状2φ×4mm長丸 合成サファイア窓板
試料濃度:5mg/mL
試料注入量:0.1mL
(ii)成分(ア−A)と成分(ア−B)の分離:
先のTREFにより求めたT(C)を基に、分取型分別装置を用い昇温カラム分別法により、T(C)における可溶成分(ア−B)とT(C)における不溶成分(ア−A)とに分別し、NMRにより各成分のエチレン含量を求める。
昇温カラム分別法とは、例えば、次の文献などで詳細な測定法が示されている。
Macromolecules;21,314−319(1988)
具体的には、本発明において以下の方法を用いる。
(分別条件)
直径50mm、高さ500mmの円筒状カラムにガラスビーズ担体(80〜100メッシュ)を充填し、140℃に保持する。
次に、140℃で溶解したサンプルのODCB溶液(10mg/mL)200mLを前記カラムに導入する。その後、該カラムの温度を0℃まで10℃/時間の降温速度で冷却する。0℃で1時間保持後、10℃/時間の昇温速度でカラム温度をT(C)まで加熱し、1時間保持する。なお、一連の操作を通じてのカラムの温度制御精度は±1℃とする。
次いで、カラム温度をT(C)に保持したまま、T(C)のODCBを20mL/分の流速で800mL流すことにより、カラム内に存在するT(C)で可溶な成分を溶出させ回収する。
次いで10℃/分の昇温速度で当該カラム温度を140℃まであげ昇温し、140℃で1時間保持後、140℃の溶媒(ODCB)を20mL/分の流速で800mL流すことにより、T(C)で不溶な成分を溶出させ回収する。
分別によって得られたポリマーを含む溶液は、エバポレーターを用いて20mLまで濃縮された後、5倍量のメタノールを添加して、ポリマーを析出される。析出ポリマーをろ過して回収後、真空乾燥器により一晩乾燥する。
(iii)13C−NMRによるエチレン含量の測定:
前記分別により得られた成分(ア−A)と成分(ア−B)それぞれについてのエチレン含有量は、プロトン完全デカップリング法により測定した13C−NMRスペクトルを解析することにより求める。代表例として、本発明で用いた方法を以下に説明する。
機種:日本電子(株)製GSX−400(炭素核共鳴周波数400MHz)
溶媒:ODCB/重ベンゼン=4/1(体積比)
濃度:100mg/mL
温度:130℃
パルス角:90°
パルス間隔:15秒
積算回数:5,000回以上
スペクトルの帰属は、例えば以下の文献などを参考に行えばよい。
Macromolecules;17,1950(1984)
上記条件により測定されたスペクトルの帰属は表1の通りである。表中Sααなどの記号は以下の文献の表記法に従い、Pはメチル炭素、Sはメチレン炭素、Tはメチン炭素をそれぞれ表わす。
Carman,Macromolecules;10,536(1977)
Figure 2014172915
以下、「P」を共重合体連鎖中のプロピレン単位、「E」をエチレン単位とすると、連鎖中にはPPP、PPE、EPE、PEP、PEE、及びEEEの6種類のトリアッドが存在し得る。Macromolecules,15 1150 (1982)などに記されているように、これらトリアッドの濃度と、スペクトルのピーク強度とは、以下の<1>〜<6>の関係式で結び付けられる。
[PPP]=k×I(Tββ) <1>
[PPE]=k×I(Tβδ) <2>
[EPE]=k×I(Tδδ) <3>
[PEP]=k×I(Sββ) <4>
[PEE]=k×I(Sβδ) <5>
[EEE]=k×[I(Sδδ)/2+I(Sγδ)/4} <6>
ここで[ ]はトリアッドの分率を示し、例えば、[PPP]は、全トリアッド中のPPPトリアッドの分率である。
従って、[PPP]+[PPE]+[EPE]+[PEP]+[PEE]+[EEE]=1 <7>である。
また、kは定数であり、Iはスペクトル強度を示し、例えばI(Tββ)はTββに帰属される28.7ppmのピークの強度を意味する。
上記<1>〜<7>の関係式を用いることにより、各トリアッドの分率が求まり、さらに下式によりエチレン含有量が求まる。
エチレン含有量(モル%)=([PEP]+[PEE]+[EEE])×100
なお、本発明に係るプロピレンランダム共重合体には、少量のプロピレン異種結合(2,1−結合及び/または1,3−結合)が含まれ、それにより、以下の微小なピークを生じる。
Figure 2014172915
正確なエチレン含有量を求めるには、これら異種結合に由来するピークも考慮して計算に含める必要があるが、異種結合由来のピークの完全な分離・同定が困難であり、また異種結合量が少量であることから、本発明におけるエチレン含有量は、実質的に異種結合を含まないチーグラー・ナッタ触媒で製造された共重合体の解析と同じく、<1>〜<7>の関係式を用いて求めることとする。
エチレン含有量のモル%から重量%への換算は以下の式を用いて行う。
エチレン含有量(重量%)=(28×X/100)/{28×X/100+42×(1−X/100)}×100
ここでXは、モル%表示でのエチレン含有量である。また、プロピレン−エチレンブロック共重合体全体のエチレン含量[E]Wは、上記より測定された成分(ア−A)と成分(ア−B)それぞれのエチレン含量[E]Aと[E]B及びTREFより算出される各成分の重量比率W(A)とW(B)重量%から以下の式により算出される。
[E]W={[E]A×W(A)+[E]B×W(B)}/100 (重量%)
(ア−ii)融解ピーク温度(Tm)について
本発明に用いられるプロピレン系樹脂成分(ア)のDSC(示差走査熱量計)法により測定されたTmは、110〜150℃であり、好ましくは115〜148℃、より好ましくは120〜145℃である。本発明に用いられるプロピレン系樹脂成分(ア)のDSC(示差走査熱量計)法により測定されたTmが本発明の規定の範囲であることにより、本発明の樹脂組成物において高い発泡倍率と高い剛性を両立して達成することが可能となる。即ち、Tmが110℃未満であると、本発明の樹脂組成物及びその成形体の剛性が低下するおそれがある。一方、150℃を超えると、発泡倍率などが低下する場合がある。なお、プロピレン系樹脂成分(ア)のTmは、示差走査熱量計(例えば、本願に於いてはセイコー・インスツルメンツ社製DSC6200型)を用い、サンプル5.0mgを採り、200℃で5分間保持後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させ、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させる方法によって測定される。
なお、Tmは、使用する触媒やプロピレンと共重合するエチレンの含有量を調節することにより制御することができる。
(ア−iii)温度−損失正接曲線におけるtanδ曲線のピーク温度について
本発明に用いられるプロピレン系樹脂成分(ア)は、固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有する。
すなわち、本発明においては、樹脂組成物及びその成形体において、良好な発泡状態を発現するために、プロピレン系樹脂成分(ア)における、成分(ア−A)と成分(ア−B)とが相分離していないことが必要であるが、相分離していない場合、tanδ曲線は0℃以下に単一のピークを示す。
一方で、成分(ア−A)と成分(ア−B)とが相分離構造にある場合、成分(ア−A)に含まれる非晶部のガラス転移温度と成分(ア−B)に含まれる非晶部のガラス転移温度が各々異なるため、tanδ曲線は複数のピークを示す。
固体粘弾性測定(DMA)は、短冊状の試料片に特定周波数の正弦歪みを与え、発生する応力を検知することで行う。ここでは、周波数は1Hzを用い、測定温度は−60℃から段階状に昇温し、サンプルが融解して測定不能になるまで行う。
また、歪みの大きさは0.1%〜0.5%程度が推奨される。得られた応力から、公知の方法によって貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”を求め、これの比で定義される損失正接(=損失弾性率/貯蔵弾性率)を温度に対してプロットする。プロピレン系樹脂成分(ア)の成形体では、0℃以下の温度領域で鋭いピークを示す。なお、一般に0℃以下でのtanδ曲線のピークは、非晶部のガラス転移を観測するものである。
本発明で用いた固体粘弾性測定(DMA)は、具体的には、下記の通りであり、同等の装置等を用いて測定も可能である。
試料は下記条件により射出成形した厚さ2mmのシートから、10mm幅×18mm長×2mm厚の短冊状に切り出したものを用いる。
装置はレオメトリック・サイエンティフィック社製のARESを用いる。
規格番号:JIS−7152(ISO294−1)
周波数:1Hz
測定温度:−60℃から段階状に昇温し、試料が融解するまで。
歪:0.1〜0.5%の範囲
成形機:東洋機械金属社製TU−15射出成形機
成形機設定温度:ホッパ下から80,80,160,200,200,200℃
金型温度:40℃
射出速度:200mm/秒(金型キャビティー内の速度)
射出圧力:800kgf/cm
保持圧力:800kgf/cm
保圧時間:40秒
金型形状:平板(厚さ2mm 幅30mm 長さ90mm)
(ア−iv)メルトフローレート(MFR)について
本発明に用いられるプロピレン系樹脂成分(ア)全体のメルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg荷重)は、0.5〜200g/10分であり、好ましくは3〜150g/10分、より好ましくは5〜50g/10分である。本発明に用いられるプロピレン系樹脂成分(ア)全体のメルトフローレートを本発明の規定の範囲とすることにより、本発明の樹脂組成物において良好な成形性と、高発泡倍率を両立させて達成することが可能となる。すなわち、プロピレン系樹脂成分(ア)全体のMFRが0.5g/10分未満であると、本発明の樹脂組成物及びその成形体において、成形性が低下する場合がある。一方、200g/10分を超えると、発泡倍率が低下するおそれがある。MFRは、後述する重合条件(重合温度、コモノマー量、水素添加量等)を調整したり、分子量降下剤を用いるなどして制御することができる。
なお、本明細書におけるメルトフローレートは、JIS K7210:1999のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した値であり、単位は、g/10分である。
(2)Q値について
本発明に用いられるプロピレン系樹脂成分(ア)は、Q値が通常は2〜5であり、好ましくは2.2〜4.9、より好ましくは、2.3〜4.8、さらに好ましくは、2.5〜4.5である。Q値が2未満では、成形性や面品質が低下し、5を超えると発泡倍率や外観が悪化する等、本発明の樹脂組成物においてその他の種々の物性に悪影響を及ぼすおそれがある。Q値は、触媒および重合条件の調節、さらには分子量降下剤の添加量により制御することができる。
ここでQ値とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で定義される。なお、本願におけるGPC測定の詳細は下記の通りであり、同等の装置等を用いても測定は可能である。
装置:ウオーターズ社製GPC 150C型
検出器:MIRAN社製 1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S 3本(カラムの較正は東ソー社製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288の各0.5mg/ml溶液)の測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。また、試料の分子量はポリスチレンとポリプロピレンの粘度式を用いてポリプロピレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数はα=0.723、logK=−3.967であり、ポリプロピレンはα=0.707、logK=−3.616である。)
測定温度:140℃
濃度:20mg/10ml
注入量:0.2ml
溶媒:オルソジクロロベンゼン
流速:1.0ml/分
(3)製造方法
本発明に用いられるプロピレン系樹脂成分(ア)の製造は、メタロセン触媒を用いることを必須とする。
(i)メタロセン触媒
メタロセン系触媒としては、本発明に用いられるプロピレン系樹脂成分(ア)を製造できる限りは、特に限定はされるものではないが、本発明の要件を満たすために、例えば、下記に示す様な成分(a)、(b)、および必要に応じて使用する成分(c)からなるメタロセン系触媒を用いることが好ましい。
成分(a):下記の一般式(1)で表される遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種のメタロセン遷移金属化合物。
成分(b):下記(b−1)〜(b−4)から選ばれる少なくとも1種の固体成分。
(b−1):有機アルミオキシ化合物が担持された微粒子状担体。
(b−2):成分(a)と反応して成分(a)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された微粒子状担体。
(b−3):固体酸微粒子。
(b−4):イオン交換性層状珪酸塩。
成分(c):有機アルミニウム化合物。
成分(a)としては、下記一般式(1)で表される遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種のメタロセン遷移金属化合物を使用することができる。
Q(C4−aa)(C4−b )MeXY (1)
ここで、Qは2つの共役五員環配位子を架橋する2価の結合性基を表し、例えば、2価の炭化水素基、シリレン基ないしオリゴシリレン基、炭化水素基を置換基として有するシリレン基あるいはオリゴシリレン基、または炭化水素基を置換基として有するゲルミレン基などが例示される。この中でも好ましいものは2価の炭化水素基と炭化水素基を置換基として有するシリレン基である。
XおよびYは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基またはケイ素含有炭化水素基を示し、このうちで好ましいものとしては、水素、塩素、メチル、イソブチル、フェニル、ジメチルアミド、ジエチルアミド基などを例示することができる。XおよびYは、それぞれ独立に、すなわち同一でも異なっていてもよい。
とRは、水素、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基、または、リン含有炭化水素基を表す。炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基、ナフチル基、ブテニル基、ブタジエニル基などが例示される。また、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基、または、リン含有炭化水素基としては、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、トリメチルシリル基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピラゾリル基、インドリル基、ジメチルフォスフィノ基、ジフェニルフォスフィノ基、ジフェニルホウ素基、ジメトキシホウ素基などを典型的な例として例示できる。これらの中で、炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であることが特に好ましい。ところで、隣接したRとRは、結合して環を形成してもよく、この環上に炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基、または、リン含有炭化水素基からなる置換基を有していてもよい。
Meは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムの中から選ばれる金属原子であり、好ましくはジルコニウム、ハフニウムである。
なお、aおよびbは、置換基の数である。
以上において記載した成分(a)の中で、本発明に用いられるプロピレン系樹脂成分(ア)の製造に好ましいものは、炭化水素置換基を有するシリレン基、ゲルミレン基あるいはアルキレン基で架橋された置換シクロペンタジエニル基、置換インデニル基、置換フルオレニル基、置換アズレニル基を有する配位子からなる遷移金属化合物であり、特に好ましくは、炭化水素置換基を有するシリレン基、あるいはゲルミレン基で架橋された2,4−位置換インデニル基、2,4−位置換アズレニル基を有する配位子からなる遷移金属化合物である。
非限定的な具体例としては、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチルベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{2−イソプロピル−4−(3、5−ジイソプロピルフェニル)インデニル}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−プロピル−4−フェナントリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)アズレニル}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−フェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−イソプロピル−4−フェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロビフェニル)アズレニル}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−t−ブチル−3−クロロフェニル)アズレニル}ジルコニウムジクロリドなどがあげられる。これらの具体例の化合物のシリレン基をゲルミレン基に、ジルコニウムをハフニウムに置き換えた化合物も好適な化合物として例示される。なお、触媒成分は本発明の重要要素ではないので、煩雑な列記を避け、代表的な例示に限定しているが、これにより本発明の有効範囲が制限されることが無いのは自明のことである。
成分(b)としては、前記した成分(b−1)〜成分(b−4)から選ばれる少なくとも1種の固体成分を使用する。これらの各成分は、公知のものであり、公知技術の中から適宜選択して使用することができる。その具体的な例示や製造方法については、特開2002−284808公報、特開2002−53609号公報、特開2002−69116号公報、特開2003−105015号公報などに詳細な例示がある。
前記成分(b)の中で、特に好ましいものは、成分(b−4)のイオン交換性層状珪酸塩であり、さらに好ましい物は、酸処理、アルカリ処理、塩処理、有機物処理などの化学処理が施されたイオン交換性層状珪酸塩である。
必要に応じて成分(c)として用いられる有機アルミニウム化合物の例は、下記一般式(2)
AlRaP3−a (2)
(式中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基、Pは、水素、ハロゲンまたはアルコキシ基、aは、0<a≦3の数を表わす。)で示されるトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウムまたはジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノメトキシドなどのハロゲンもしくはアルコキシ含有アルキルアルミニウムである。またこの他に、メチルアルミノキサンなどのアルミノキサン類なども使用できる。これらのうち特にトリアルキルアルミニウムが好ましい。
触媒の形成方法としては、前記の成分(a)と成分(b)及び必要に応じて成分(c)を接触させて触媒とする。なお、その接触方法は触媒を形成することができる方法であれば特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
また、成分(a)と(b)及び(c)の使用量は、任意である。例えば、成分(b)に対する成分(a)の使用量は、成分(b)1gに対して、好ましくは0.1〜1,000μmol、特に好ましくは0.5〜500μmolの範囲である。成分(b)に対する成分(c)の使用量は、成分(b)1gに対し、好ましくは遷移金属の量が0.001〜100μmol、特に好ましくは0.005〜50μmolの範囲である。
さらに、本発明にて使用される触媒は、予めオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理に付すことが好ましい。
(ii)逐次重合
本発明に用いられるプロピレン系樹脂成分(ア)の製造に際しては、成分(ア−A)と成分(ア−B)を逐次重合することが必要である。
逐次重合を行う際には、バッチ法と連続法のいずれを用いることも可能であるが、一般的には生産性の観点から連続法を用いることが望ましい。
バッチ法の場合には、時間と共に重合条件を変化させることにより、単一の反応器を用いても成分(ア−A)と成分(ア−B)を逐次重合することが可能である。本発明の効果を阻害しない限り、複数の反応器を並列に接続して用いてもよい。
連続法の場合には、成分(ア−A)と成分(ア−B)を個別に重合する必要から2個以上の反応器を直列に接続した製造設備を用いる必要があるが、本発明の効果を阻害しない限り成分(ア−A)と成分(ア−B)の夫々について複数の反応器を直列及び/または並列に接続して用いてもよい。
(iii)重合プロセス
本発明に用いるプロピレン系樹脂成分(ア)の重合形式としては、スラリー法、バルク法、気相法など任意の重合方法が可能である。また、これらの重合形式を組み合わせて行うことも可能である。バルク法と気相法の中間的な条件として、超臨界条件を用いることも可能であるが、実質的には気相法と同等であるため、特に区別することなく気相法に含める。
成分(ア−A)の製造に対しては、どのプロセスを用いても特に問題はないが、成分(ア−A)として、比較的結晶性の低い成分(ア−A)を製造する場合には、反応器への生成物の付着などの問題を避けるために気相法を用いることが好ましい。
成分(ア−B)は、炭化水素などの有機溶媒や液化プロピレンに溶けやすいため、成分(ア−B)の製造に際しては気相法を用いることが好ましい。
従って、連続法を用いて、先ず成分(ア−A)をバルク法もしくは気相法にて重合し、引き続き成分(ア−B)を気相法にて重合することが最も好ましい。
(iv)その他の重合条件
重合温度は、通常用いられている温度範囲であれば、特に問題なく用いることができる。具体的には、0℃〜200℃、より好ましくは40℃〜100℃の範囲を用いることができる。
重合圧力は、選択するプロセスによって最適な圧力には差異が生じるが、通常用いられている圧力範囲であれば、特に問題なく用いることができる。具体的には、大気圧に対する相対圧力で0MPaより大きく200MPaまで、より好ましくは0.1MPa〜50MPaの範囲を用いることができる。この際窒素などの不活性ガスを共存させてもよい。
第1工程で成分(ア−A)、第2工程で成分(ア−B)の逐次重合を行う場合、第2工程にて系中に重合抑制剤を添加することが望ましい。第2工程のプロピレン−エチレンランダム共重合を行う反応器に重合抑制剤を添加すると、得られるパウダーの粒子性状(流動性など)やゲルなどの製品品質を改良することができる。この手法については、各種技術検討がなされており、一例として、特公昭63−54296号、特開平7−25960号、特開2003−2939号などの公報に記載の方法を例示することができる。本発明にも当該手法を適用することが望ましい。
メタロセン触媒の作用により得られるプロピレン系樹脂成分(ア)は、市販品を使用することもでき、例えば、日本ポリプロ社製ウエルネクスシリーズが好適に使用できる。
2.繊維(イ)
本発明に用いられる繊維(イ)は次の特性(イ−i)を満たす。
(イ−i):ガラス繊維及び炭素繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
本発明に用いられる繊維(イ)は、メタロセン触媒により重合された融点の低いプロピレン系樹脂成分(ア)と組み合わせる事により、従来高発泡には望ましいと考えられていた均一なセルを有していなくても、繊維(イ)をセルの壁として利用することにより、均一で微細なセルを有することなく高い発泡倍率を達成し、かつ発泡成形体として高剛性なポリプロピレン系発泡成形体が得られるという効果を奏する。更に、本発明に用いられる繊維(イ)は引張弾性率および引張強度が高いため、本発明の樹脂組成物及びその成形体の剛性のみならず、耐熱性などの物性、寸法安定性(線膨張係数の低減など)、環境適応性の各物性の向上などに寄与することが期待できる。
また、本発明の効果が十分に得られると共に、本発明の発泡成形用繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物の製造のし易さ及び経済性などの観点から、特にガラス繊維を用いることが好ましい。
また、繊維(イ)は、2種以上を併用することもでき、予めプロピレン系樹脂成分(ア)やその他の任意の樹脂成分などに比較的高濃度に含有させた所謂マスターバッチとした形で使用することもできる。
また、(イ−i)の規定に該当しないタルク、マイカ、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ウィスカーなどの各種フィラーを、本発明効果を著しく損なわない範囲内で併用することもできる。
以下、本発明における(イ−i)に規定する各種繊維について、詳細に説明する。
(1)ガラス繊維
本発明において、ガラス繊維としては、特に限定されず用いることができ、繊維に用いられるガラスの種類としては、例えば、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラスなどが挙げることができ、中でもEガラスが好ましい。ガラス繊維の製造方法は、特に限定されたものではなく、公知の各種製造方法にて製造される。
なお、ガラス繊維は2種以上を併用することもできる。
ガラス繊維長は、好ましくは、2〜20mmであり、より好ましくは、3〜10mmである。繊維の長さが2mm未満であると、本発明の樹脂組成物及びその成形体の剛性などの物性を低下させたり、発泡させた時にセルの壁としての効果が十分に得られなくなるおそれがある。一方、20mmを超えると成形性(流動性)を低下させるおそれがある。
本明細書で繊維長とは、通常のロービング状、ストランド状の繊維である場合、溶融混練する前のガラス繊維をそのまま原料として用いる場合における長さを表す。ただし、後述する溶融押出加工し、連続した多数本のガラス繊維を集合一体化したガラス繊維含有ペレットの場合は、ペレットの一辺(押出方向)の長さが、実質的にペレット中の繊維の長さと同じであるため、ペレットの一辺(押出方向)の長さを、繊維の長さとする。
ここで「実質的に」とは、具体的には、繊維含有ペレット中の繊維の個数全体を基準として、50%以上、好ましくは90%以上において、その長さがガラス繊維含有ペレットの長さ(押出方向)と同じであって、該ペレット調製の際に繊維の折損を殆ど受けないことを意味する。
なお、本明細書において、繊維長は、顕微鏡により計測し、100本以上の繊維の長さの平均値を算出することにより求める。
その具体的な測定は、例えば繊維(イ)がガラス繊維の場合、ガラス繊維を界面活性剤含有水に混合し、該混合水液を薄ガラス板上に滴下拡散した後、デジタル顕微鏡(例えばキーエンス社製VHX−900型)を用いて100本以上のガラス繊維長さを測定しその平均値を算出する方法による。
また、ガラス繊維の繊維径は3〜25μmのものが好ましく、6〜20μmのものがより好ましい。繊維径が3μm未満であると、本発明の樹脂組成物及びその成形体の製造、成形時などにおいて該ガラス繊維が折損し易くなるおそれがあり、一方、25μmを超えると、繊維のアスペクト比が低下することに伴い、本発明の樹脂組成物及びその成形体の剛性などの各向上効果などが低下するおそれがある。
繊維径は、繊維を繊維長さ方向に垂直に裁断し、その断面を顕微鏡観察して直径を計測し、100本以上の繊維の直径の平均値を算出することにより求める。
本発明においてガラス繊維は、表面処理されたものも無処理のものもいずれも用いることができるが、プロピレン系樹脂成分(ア)への分散性を向上させるなどのため、有機シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、ジルコネートカップリング剤、シリコーン化合物、高級脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステルなどによって表面処理されているものを用いることが好ましい。
表面処理に使用する有機シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。また、チタネートカップリング剤としては、例えばイソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル)チタネートなどが挙げられる。また、アルミネートカップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートなどを挙げることができる。また、ジルコネートカップリング剤としては、例えば、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル)ブチル、ジ(トリデシル)ホスフィトジルコネート;ネオペンチル(ジアリル)オキシ、トリネオデカノイルジルコネートが挙げられる。また、前記シリコーン化合物としては、シリコーンオイル、シリコーン樹脂などが挙げられる。
さらに、表面処理に使用する高級脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、カプリン酸、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、カレイン酸、リノール酸、ロジン酸、リノレン酸、ウンデカン酸、ウンデセン酸などが挙げられる。また、高級脂肪酸金属塩としては、炭素数9以上の脂肪酸、例えば、ステアリン酸、モンタン酸などのナトリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩などが挙げられる。中でも、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸ナトリウムが好適である。また、脂肪酸エステルとしては、グリセリン脂肪酸エステルなどの多価アルコール脂肪酸エステル、アルファスルホン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが例示される。
前記表面処理剤の使用量は、特に制限されるわけではないが、ガラス繊維100重量部に対して0.01重量部〜5重量部が好ましく、0.1重量部〜3重量部がより好ましい。
また、ガラス繊維は、集束剤で集束(表面)処理されたものを用いてもよく、集束剤の種類としては、エポキシ系集束剤、芳香族ウレタン系集束剤、脂肪族ウレタン系集束剤、アクリル系集束剤及び無水マレイン酸変性ポリオレフィン系集束剤などが挙げられる。これらの集束剤は、プロピレン系樹脂成分(ア)との溶融混練において融解する必要があるため、200℃以下で溶融するものであることが好ましい。
ガラス繊維は、繊維原糸を所望の長さに裁断した、所謂チョップドストランド状ガラス繊維として用いることもできる。この中でも、本発明の樹脂組成物及びその成形体の剛性、及びその他の物性(低収縮性、衝撃強度)などの観点から、ガラス繊維を収束したストランドを引き揃えて、2mm〜20mmに切断して得られるチョップドストランド状ガラス繊維を用いることが好ましい。
ガラス繊維の具体例としては、日本電気硝子社製(T480H)などを挙げることができる。
また、これらのガラス繊維は、予め任意の量の例えばプロピレン系樹脂成分(ア)と、溶融押出加工して連続した多数本のガラス繊維を集合一体化し「ガラス繊維含有ペレット」として用いることができ、特にこの方法は樹脂組成物及びその成形体の剛性のみならず、その他の物性における各向上効果などをより高める観点から好ましい。
このようなガラス繊維含有ペレットの場合、前述したように繊維長は、ガラス繊維含有ペレットの長さ(押出方向)とし、2〜20mmが好ましい。
このようなガラス繊維含有ペレットの製造方法は、特に制限されず、溶融引抜法に代表される公知の方法を用いることができる。
また、ガラス繊維含有ペレットにおいて、ガラス繊維の含有量は、該ペレット全体100重量%を基準として、20重量%〜70重量%であることが好ましい。
ガラス繊維の含有量が20重量%未満であるガラス繊維含有ペレットを本発明において用いた場合、本発明の樹脂組成物及びその成形体の剛性などの物性が低下するおそれがあり、一方、70重量%を超えるものを用いた場合には、成形性(流動性)のみならず、シボ転写性や触感といった、その他の物性まで低下させるおそれがある。
(2)炭素繊維
本発明において、炭素繊維としては、特に限定されず用いることができる。ここで、炭素繊維とは、微細炭素繊維とも称される例えば繊維径が500nm以下の極細のものも含まれる。なお、炭素繊維は2種以上併用することもできる。
炭素繊維の繊維長は、好ましくは、1〜20mmであり、より好ましくは、3〜10mmである。該炭素繊維の繊維の長さが1mm未満の場合、本発明の樹脂組成物及びその成形体における最終繊維長がより短くなり、本発明の樹脂組成物及びその成形体の剛性のみならず、低収縮性や衝撃強度などのその他の物性を低下させたり、発泡させた時にセルの壁としての効果が十分に得られなくなるおそれがあり、一方、20mmを超えると成形性(流動性)を低下させるおそれがある。
なお、炭素繊維の長さは、前述のガラス繊維と同様の方法で測定される。
炭素繊維の繊維径は、好ましくは2〜20μmであり、より好ましくは、3〜15μmである。繊維径が2μm未満であると、本発明の樹脂組成物及びその成形体の製造、成形時などにおいて炭素繊維が折損し易くなるおそれがあり、本発明の樹脂組成物及びその成形体の剛性のみならず、他の物性の各向上効果などが低下するおそれがある。また、繊維径が20μmを超えると繊維のアスペクト比が低下することに伴い、本発明の樹脂組成物及びその成形体の、剛性などの各向上効果などが低下するおそれがある。
繊維径は、公知の方法で測定され、例えば、JIS R7607(旧JIS R7601)や顕微鏡観察法により測定される。
炭素繊維の種類としては、前記した様に特に限定されず、例えばアクリロニトリルを主原料とするPAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維、タールピッチを主原料とするピッチ系炭素繊維、さらにはレーヨン系炭素繊維などが挙げられ、いずれも好適に用いられる。これらの本発明に対する適性はいずれも高いが、強いて挙げるとすれば、その組成純度や均一性などの観点からPAN系炭素繊維が好ましい。なお、これらは各々を単独使用してもよく、併用してもよい。なお、これらの炭素繊維の製造方法は特に限定されない。
炭素繊維の具体例としては、PAN系炭素繊維では、三菱レイヨン社製商品名「パイロフィル」、東レ社製商品名「トレカ」、東邦テナックス社製商品名「ベスファイト」などを挙げることができ、ピッチ系炭素繊維では、三菱樹脂社製商品名「ダイアリード」、大阪ガスケミカル社製商品名「ドナカーボ」、呉羽化学社製商品名「クレカ」などを挙げることができる。
また、これらの炭素繊維は、前述のガラス繊維と同様に、予め任意の量の例えばプロピレン系樹脂成分(ア)などと、溶融押出加工して連続した多数本の炭素繊維を集合一体化した「炭素繊維含有ペレット」として用いることもでき、このような方法は、本発明の樹脂組成物及びその成形体の剛性などの各向上効果などをより高める観点から好ましい。
このような炭素繊維含有ペレットの場合、前述したように炭素繊維の長さは、該炭素繊維含有ペレットの長さ(押出方向)とし、2〜20mmとすることが好ましい
炭素繊維は、通常200〜1000GPa程度の引張弾性率を有するが、本発明の樹脂組成物及びその成形体の強度や経済性などから本発明においては、200〜900GPaのものを用いるのが好ましく、200〜300GPaのものを用いるのがより好ましい。
また、炭素繊維は、通常1.7〜5g/cm程度の密度を有するが、軽量性や経済性などから1.7〜2.5g/cmの密度を有するものを用いるのが好ましい。
ここで、引張弾性率及び密度の測定方法は夫々公知の方法であり、例えば引張弾性率は、JIS R7606(旧JIS R7601)が挙げられ、同様に密度は、例えばJIS R7603(旧JIS R7601)が挙げられる。
これらの炭素繊維は、繊維原糸を所望の長さに裁断した、所謂チョップド(ストランド状)カーボンファイバー(以下、単にCCFともいう。)として用いる事もでき、また必要に応じて、各種集束剤を用いて集束処理されたものであってもよい。本発明においては、樹脂組成物及びその成形体における、剛性などの物性の各向上効果などをより高めるため、このCCFを用いることが好ましい。
この様なCCFの具体例としては、PAN系炭素繊維では、三菱レイヨン社製商品名「パイロフィルチョップ」、東レ社製商品名「トレカチョップ」、東邦テナックス社製商品名「ベスファイトチョップ」などを挙げることができ、ピッチ系炭素繊維では、三菱樹脂社製商品名「ダイアリードチョップドファイバー」、大阪ガスケミカル社製商品名「ドナカーボチョップ」、呉羽化学社製商品名「クレカチョップ」などを挙げることができる。
また、炭素繊維含有ペレットにおいて、炭素繊維の含有量は、ペレット全体100重量%を基準として、20〜70重量%であることが好ましい。
炭素繊維の含有量が20重量%未満である炭素繊維含有ペレットを本発明において用いた場合、繊維強化組成物及びその成形体の剛性のみならず、低収縮性、耐傷付性、衝撃強度などのその他の物性までもが低下するおそれがあり、一方、70重量%を超えるものを用いた場合には成形性(流動性)のみならず、シボ転写性、触感などの他の物性をも低下させるおそれがある。
(3)含有量
本発明に用いられる繊維(イ)の含有量は、プロピレン系樹脂成分(ア)100重量部に対して、8〜150重量部、好ましくは10〜145重量部、より好ましくは15〜100重量部、さらに好ましくは17〜70重量部である。繊維(イ)の含有量が本発明の規定の範囲内であることにより、本発明の樹脂組成物及びそれからなる成形体は、成形性が良好で、発泡倍率が高くかつ発泡成形体の剛性が高いという本発明の特徴を全て満足することが可能となる。すなわち、繊維(イ)の含有量が8重量部未満であると、剛性、発泡倍率の低下のおそれがあり、150重量部を超えると、樹脂組成物及びその成形体の成形性(流動性)が低下するおそれがある。
ここで、繊維(イ)の含有量は実量であり、例えば、前記ガラス繊維含有ペレットを用いる場合は、該ペレットに含有する繊維(イ)の実含有量に基づき算出される値が、本発明における繊維(イ)の含有量となる。
3.変性ポリオレフィン系樹脂(ウ)
1)要件
本発明で用いられる変性ポリオレフィン系樹脂(ウ)は、酸変性ポリオレフィン系樹脂及びヒドロキシ変性ポリオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種であり、変性ポリオレフィン系樹脂(ウ)を使用することにより、プロピレン系樹脂成分(ア)と繊維(イ)との界面強度が向上するため、樹脂組成物及びその成形体において、剛性・衝撃強度などの物性など、特に本発明においては剛性の向上などに有効である。
本発明において、変性ポリオレフィン系樹脂(ウ)として用いられる酸変性ポリオレフィン系樹脂としては、特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。酸変性ポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン化合物共重合体(EPDMなど)、エチレン−芳香族モノビニル化合物−共役ジエン化合物共重合ゴムなどのポリオレフィン系樹脂を、例えば、以下に示すような不飽和カルボン酸や不飽和カルボン酸誘導体を用いて、グラフト共重合し、変性したものが挙げられる。
変性のため使用される不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基及び必要に応じてヒドロキシル基やアミノ基などの官能基が導入された重合性二重結合を有する化合物が挙げられる。
また、不飽和カルボン酸の誘導体としては、これらの酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩などがあり、その具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸モノアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、メタクリル酸ナトリウムなどを挙げることができる。好ましくは無水マレイン酸である。
このグラフト共重合は、例えば上記ポリオレフィン系樹脂を適当な溶媒中において、ベンゾイルパーオキシドなどのラジカル発生剤を用いて、不飽和カルボン酸と反応させることにより行われる。また、不飽和カルボン酸またはその誘導体の成分は、ポリオレフィン系樹脂の原料であるモノマーとのランダムもしくはブロック共重合によりポリマー鎖中に導入することもできる。
上記のグラフト反応条件のより詳細な例としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキシド類、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3などのパーオキシエステル類、ベンゾイルパーオキシドなどのジアシルパーオキシド類、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサンなどのヒドロパーオキシド類などの有機過酸化物を、前記ポリオレフィン100重量部に対して、0.001〜10重量部程度用いて、80〜300℃程度の温度で、溶融状態または溶液状態で反応させる方法が挙げられる。
該酸変性ポリオレフィンの酸変性量(グラフト率という場合がある。)は、特に限定されないが、好ましくは酸変性量が無水マレイン酸換算で、0.05〜10重量%、より好ましくは0.07〜5重量%である。
好ましい酸変性ポリオレフィンとしては、本発明効果の大きさなどの点から、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
また、本発明において、変性ポリオレフィン系樹脂(ウ)として用いられるヒドロキシ変性ポリオレフィン系樹脂は、ヒドロキシル基を含有する変性ポリオレフィンであり、特に制限はなく従来公知のものを用いることができる。該変性ポリオレフィン系樹脂は、ヒドロキシル基を適当な部位、例えば、主鎖の末端や側鎖に有していてもよい。ヒドロキシ変性ポリオレフィン系樹脂を構成するオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、4−メチルペンテン−1、ヘキセン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセンなどのα−オレフィンの単独または共重合体、前記α−オレフィンと共重合性単量体との共重合体などが例示できる。ヒドロキシ変性ポリオレフィン系樹脂の例として、ヒドロキシ変性ポリエチレン(例えば、低密度、中密度または高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、ヒドロキシ変性ポリプロピレン(例えば、アイソタクチックポリプロピレンなどのポリプロピレンホモポリマー、プロピレンとα−オレフィン(例えば、エチレン、ブテン、ヘキサンなど)とのランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体など)、ヒドロキシ変性ポリ(4−メチルペンテン−1)などを挙げることができる。
ヒドロキシル基を有する単量体による変性量は、オレフィン系樹脂に対して、0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%である。ヒドロキシ変性ポリオレフィンの平均分子量は特に限定されない。該ヒドロキシ変性ポリオレフィンは、例えば低分子量系の場合、共役ジエンモノマーをアニオン重合などの公知の方法により重合させ、それを加水分解して得たポリマーを水素添加する方法で得ることができる。
2)含有量
本発明に用いられる変性ポリオレフィン系樹脂(ウ)の含有量は、プロピレン系樹脂成分(ア)100重量部に対して、0.5〜15重量部が好ましく、より好ましくは0.7〜10重量部、更に好ましくは1〜8重量部、特に好ましくは2〜7重量部である。変性ポリオレフィン(ウ)の含有量をこの様な範囲とすることによって、本願発明の効果を、より効果的に発現することが可能となる。すなわち、変性ポリオレフィン(ウ)の含有量が0.5重量部以下では界面強度の補強の効果が十分に得られない場合があり、15重量部を超えると、樹脂組成物及びその成形体の剛性および成形性(流動性)が低下するおそれがある。
変性ポリオレフィン系樹脂(ウ)として本発明において用いることができる変性ポリオレフィン系樹脂としては、例えばアルケマ社製OREVACシリーズや、三菱化学社製モディックシリーズ等の市販品を挙げることができる。その他にも、多くの会社から種々の製品が市販されているので、それらの中から所望の製品を選択して購入し、使用することができる。
4.エラストマー(エ)
本発明に用いられるエラストマー(エ)は、下記特性(エ−i)及び(エ−ii)を満たす。
(エ−i):密度が0.86〜0.91g/cmである。
(エ−ii):メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.5〜80g/10分である。
本発明に用いられるエラストマー(エ)は、本発明の樹脂組成物及び発泡成形体において、発泡倍率を更に向上させる機能を付与するという特徴を有する。
また、本発明に用いられるエラストマー(エ)とは、オレフィン系エラストマー及びスチレン系エラストマーなどから選ばれる熱可塑性のエラストマーであり、前記プロピレン系樹脂成分(ア)や変性ポリオレフィン系樹脂(ウ)には該当しないものである。
本発明において、エラストマー(エ)として用いられるオレフィン系エラストマーとしては、例えば、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(EPR)、エチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)、エチレン・ヘキセン共重合体エラストマー(EHR)、エチレン・オクテン共重合体エラストマー(EOR)などのエチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー;エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・ブタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・イソプレン共重合体などのエチレン・α−オレフィン・ジエン三元共重合体エラストマーなどを挙げることができる。
また、本発明において、エラストマー(エ)として用いられるスチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体エラストマー(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体エラストマー(SIS)、スチレン−エチレン・ブチレン共重合体エラストマー(SEB)、スチレン−エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(SEP)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体エラストマー(SEBS)、スチレン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体エラストマー(SEBC)、水添スチレン・ブタジエンエラストマー(HSBR)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体エラストマー(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体エラストマー(SEEPS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体エラストマー(SBBS)などを挙げることができる。
さらに、エチレン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体エラストマー(CEBC)などの水添ポリマー系エラストマーなども挙げることができる。
中でも、エチレン・オクテン共重合体エラストマー(EOR)、エチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも一種を使用すると、樹脂組成物及びその成形体において、発泡性能や成形性のみならず、低収縮性、触感及び衝撃強度などのその他の性能がより優れ、経済性にも優れる傾向にあることなどの点から好ましい。
なお、本発明において、エラストマー(エ)は、2種以上を併用することもできる。
(1)各要件
(エ−i)密度
本発明に用いられるエラストマー(エ)の密度は、好ましくは0.86〜0.91g/cmであり、より好ましくは、0.865〜0.905g/cm、さらに好ましくは0.87〜0.90g/cmである。本発明に用いられるエラストマー(エ)の密度がこのような範囲であることにより、本発明の効果がより効果的に発現されることになる。すなわち、密度が0.86g/cm未満であると、本発明の樹脂組成物及びその成形体において、剛性が低下すると共に耐熱性(熱変形温度、ブリードアウト性)が低下し、0.91g/cmを超えると、発泡倍率が低下すると共に、触感が低下するおそれがある。
(エ−ii)メルトフローレート(MFR)
本発明に用いられるエラストマー(エ)のMFR(230℃、2.16kg荷重)は、好ましくは0.5〜80g/10分の範囲であり、より好ましくは1.5〜50g/10分、さらに好ましくは2〜15g/10分の範囲内である。本発明に用いられるエラストマー(エ)のMFRがこのような範囲であることにより、本発明の効果がより効果的に発現されることになる。すなわち、MFRが0.5g/10分未満であると、本発明の樹脂組成物及びその成形体の成形性(流動性)に加えて、シボ転写性などのその他の物性が低下するおそれがあり、80g/10分を超えると、発泡倍率が低下すると共に、耐熱性(熱変形温度、ブリードアウト性)が低下するおそれがある。
(2)製造方法
本発明に用いられるエラストマー(エ)は、例えばオレフィン系エラストマーにおいては、エチレン・α−オレフィン共重合体エラストマーや、エチレン・α−オレフィン・ジエン三元共重合体エラストマーなどは、各モノマーを触媒の存在下、重合することにより製造される。
触媒としては、例えばハロゲン化チタンの様なチタン化合物、アルキルアルミニウム−マグネシウム錯体の様な有機アルミニウム−マグネシウム錯体、アルキルアルミニウム、またはアルキルアルミニウムクロリドなどのいわゆるチーグラー型触媒、WO91/04257号パンフレットなどに記載のメタロセン化合物触媒などを使用することができる。
重合法としては、気相流動床法、溶液法、スラリー法などの製造プロセスを適用して重合することができる。また、成分(エ)のうち、スチレン系エラストマーは、通常のアニオン重合法及びそのポリマー水添技術などにより製造することができる。
また、これらの熱可塑性エラストマーとしては、例えばダウ社製のエチレン・オクテンゴム(EGシリーズ)やエクソン社製ビスタマックスシリーズなどを挙げることができる。この他にも種々の製品が多くの会社から市販されているので、所望の物性を有する製品を入手し、使用することもできる。
(3)含有量
本発明に用いられるエラストマー(エ)の含有量は、プロピレン系樹脂成分(ア)100重量部に対して、好ましくは0.5〜100重量部、さらに好ましくは10〜90重量部、より好ましくは20〜80重量部である。エラストマー(エ)の含有量が100重量部を超えると、本発明の樹脂組成物及びその成形体の剛性が低下するばかりでなく、耐熱性(熱変形温度、ブリードアウト性)等のその他の物性が低下したりするおそれがある。
5.任意添加成分
本発明の樹脂組成物は、任意添加成分として、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、分子量降下剤、潤剤、酸化防止剤などの各種任意添加成分を含有することができる。
任意添加成分は、2種以上を併用してもよく、樹脂組成物に直接添加してもよいし、プロピレン系樹脂成分(ア)などの前記(ア)〜(エ)の各成分に予め添加されていてもよく、それぞれの成分においても2種以上併用することもできる。本発明において、任意添加成分の含有量は特に限定されないが、通常、本発明の樹脂組成物100重量部に対して、0.01〜0.5重量部程度であり、その目的に応じて適宜選択される。
(1)分子量降下剤
分子量降下剤は、成形性(流動性)などの更なる付与、更なる向上に有効である。
分子量降下剤は、例えば、各種の有機過酸化物や、分解(酸化)促進剤と称されるものなどが使用でき、有機過酸化物が好適である。
有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、t−ブチルパーアセテート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3、t−ブチル−ジ−パーアジペート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、メチル−エチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジキュミルパーオキサイド、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルキュミルパーオキサイド、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス−t−ブチルパーオキシブタン、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−サイメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラ−メチルブチルハイドロパーオキサイド及び2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ハイドロパーオキシ)ヘキサンのグループから選ばれる1種または2種以上からなるものを挙げることができる。
(2)潤剤
潤剤は、本発明の樹脂組成物及びその成形体の成形時の離型性などの付与、向上に有効である。
潤剤としては、例えば、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸ブチル、シリコーンオイルなどを挙げることができる。
(3)酸化防止剤
酸化防止剤は、本発明の樹脂組成物及びその成形体の品質劣化の防止に有効である。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、リン系やイオウ系の酸化防止剤などを挙げることができる。
(4)その他
また、本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、プロピレン系樹脂成分(ア)以外のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂やポリステル樹脂などの熱可塑性樹脂、エラストマー(エ)以外の熱可塑性エラストマー(ゴム成分)などを含有することができる。
これらの任意成分は、種々の製品が多くの会社から市販されており、その目的に応じて、所望の製品を入手し、使用することができる。
6.発泡成形用繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法
本発明の樹脂組成物は、プロピレン系樹脂成分(ア)(以下、成分(ア)とも記す。)及び繊維(イ)を、または、成分(ア)及び繊維(イ)に加え、さらに、好ましく用いられる成分として、変性ポリオレフィン系樹脂(ウ)、エラストマー(エ)を、必要に応じ任意添加成分を加え、前記含有量の範囲で、従来公知の方法で配合し、溶融混練する混練工程を経ることにより製造することができる。
混合は、通常、タンブラー、Vブレンダー、リボンブレンダーなどの混合機器を用いて行い、溶融混練は、通常、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー、撹拌造粒器などの混練機器を用いて(半)溶融混練し、造粒する。(半)溶融混練・造粒して製造する際には、前記各成分の配合物を同時に混練してもよく、また性能向上をはかるべく各成分を分割して混練する、すなわち、例えば、先ず成分(ア)の一部または全部と、繊維(イ)の一部とを混練し、その後に残りの成分を混練・造粒するといった方法を採用することもできる。
本発明の樹脂組成物は、溶融混練する混練工程を経て得られた樹脂組成物ペレット中、あるいは成形体中に存在する繊維(イ)の平均長さが0.3mm以上好ましくは0.4mm以上2.5mm以下となる様な複合化方法にて製造するのが好ましい。
なお、本明細書において、樹脂組成物ペレット中、あるいは成形体中に存在する繊維(イ)の平均長さとは、デジタル顕微鏡によって測定された値を用いて平均を算出した値を意味する。その具体的な測定は、例えば繊維(イ)がガラス繊維の場合、本発明の樹脂組成物ペレットあるいは成形体を燃焼し、灰化したガラス繊維を界面活性剤含有水に混合し、該混合水液を薄ガラス板上に滴下拡散した後、デジタル顕微鏡(例えば、キーエンス社製VHX−900型)を用いて100本以上のガラス繊維長さを測定しその平均値を算出する方法による。
また、本発明の樹脂組成物の好ましい製造方法としては、例えば2軸押出機による溶融混練において、例えば成分(ア)、変性ポリオレフィン系樹脂(ウ)及びエラストマー(エ)を十分に溶融混練した後、繊維(イ)をサイドフィード法などによりフィードし、繊維の折損を最小限に留めながら、集束繊維を分散させるなどの方法が挙げられる。
また、例えば成分(ア)〜(エ)を、ヘンシェルミキサー内で高速撹拌してこれらを半溶融状態とさせながら混合物中の繊維(イ)を混練するいわゆる撹拌造粒方法も繊維の折損を最小限に留めながら繊維を分散させ易いので好ましい製造方法の一つである。
さらに、予め繊維(イ)を除く成分(ア)、変性ポリオレフィン系樹脂(ウ)及びエラストマー(エ)を押出機などで溶融混練してペレットと成し、該ペレットと前記のガラス繊維含有ペレットや炭素繊維含有ペレットなどの所謂「繊維(イ)含有ペレット」とを混合することにより本発明の樹脂組成物とする製造方法や、所謂「繊維(イ)含有マスターバッチ」を用いる方法も、前記同様の理由などで好ましい製造方法の一つである。
以上の通り、本発明の樹脂組成物の好ましい製造方法としては、混練工程において、繊維(イ)以外の成分を混練した後に、繊維(イ)を加える方法を挙げることができ、容易な製造方法により本発明の樹脂組成物を製造することができる。
7.成形体の製造方法および特性
本発明の成形体は、前記方法で製造された樹脂組成物を、種々の発泡成形方法に供することによって得ることができる。なかでも射出発泡成形法は、本発明の樹脂組成物の特徴である成形性の効果が、よりよく発揮される成形方法であるといえる。
本発明の成形体は発泡成形体であり、発泡倍率に優れ、かつ発泡成形体の剛性が高いことが特徴である。そのため、インストルメントパネル、グローブボックス、コンソールボックス、ドアトリム、肘掛け、グリップノブ、各種トリム類、天井部品、ハウジング類、ピラー類、マッドガード、バンパー、フェンダー、バックドアー、ファンシュラウドなどの自動車用内外装及びエンジンルーム内部品をはじめ、テレビ・掃除機などの電気電子機器部品、各種工業部品、便座などの住宅設備機器部品、建材部品などの用途に、好適に用いることができる。特に、ソフトな触感と高い物性バランスの特性を兼ね備えることにより、自動車部品、特に内装用部品に好適である。
以下、本発明の成形体の特性について、各項目毎に説明する。
(1)発泡倍率
発泡倍率が高いほど、部材としての軽量化につながる。それ故に、後記する実施例項に記述の方法で決定された「最大発泡倍率」が大きいほど、より発泡性能に優れているといえる。その為、本願において発泡倍率を評価する際には、具体的には後記する実施例項に記述の方法で決定された「最大発泡倍率」を用いて評価を行う。ただし、実際に成形体として使用する場合には、最大発泡倍率で成形した成形体を使用することは無いので、本発明の発泡成形体において、実用上好ましい発泡倍率は2〜3倍である。
(2)中間荷重
通常、発泡倍率が高くなるにつれ発泡成形体の剛性は低下する。これは、成形体表面の所謂「スキン層」と呼ばれる部分に比べ、成形体内部の所謂「コア層」と呼ばれる部分の剛性を保つことが難しいためである。本発明の評価に於いては、発泡成形体の剛性を測定するために成形体の中間における中間荷重を示す。前述のように、高発泡においても中間部分の剛性を保持する事は困難であり、かつ重要である。好ましくは、2倍発泡時には50N以上、3倍発泡時には45N以上の剛性を保つことが望ましい。
本願において、中間荷重は、具体的には後記する実施例項に記述の方法で決定され、評価される。
本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例で用いた評価法、分析の各法および材料は、以下の通りである。
1.評価方法
(1)試験片の調製および最大発泡倍率
スクリュー径50mmの加熱シリンダー及び型締め制御機構を有し最大型締め力が300トンの射出成形機(FANUC社製、α300型)を用い、加熱シリンダーの各加熱ゾーンの温度を、先端部から後方部へ順に230℃、230℃、230℃、210℃、及び180℃と設定し、背圧を9.8MPaとし、金型冷却水温度40℃で、移動型と固定型の間隔が1.5mmで容積が160cmであるキャビティ内に、加熱溶融した発泡成形体用材料を射出充填した。射出完了後1秒間一次冷却をし、次いで移動型を後退させて、キャビティ容積を拡大して発泡させた。その後20秒間二次冷却をしてポリプロピレン射出発泡成形体を得た。
発泡剤としては化学発泡剤マスターバッチ(永和化成社製ポリスレンEE25C、発泡剤濃度20%、発生ガス量75〜90ml/2.5g(220℃恒温下×20min))を使用した。
型開を行わない試験片の厚みと発泡成形品厚みとの比を発泡倍率とした。また、所定の成形方法においてキャビティの形状が再現できる最大の発泡倍率を求めた。型開量1.4倍から0.2倍刻みで3.6倍まで変化(移動型と固定型の間隔としては2.1mmから5.4mm)させ、成形品の形状がキャビティ形状を再現できる最大の型開量の際に得られる成形品の発泡倍率を、最大発泡倍率とした。
(2)中間点加重
上記(1)のそれぞれ2倍および3倍発泡成形品の中間部分MD方向に150mm×50mmの試験片を打ち抜き最大中間点加重の測定を行った。
曲げ試験は下記の装置および条件にて実施した。
島津製作所社製 AUTOGRAPH AGS−5KNG
試験片:50×150mm
試験速度:50mm/min
スパン間:100mm
治具先端:10R
(3)成分(ア)における、成分(ア−A)及び成分(ア−B)の特定など:
成分(ア)における、成分(ア−A)及び成分(ア−B)の特定、並びに成分(ア−A)及び成分(ア−B)中のエチレン含量の特定などは、前述した温度昇温溶離分別(TREF)を用いた分別、及び13C−NMRによるエチレン含量の測定法を用いて行った。
(4)成分(ア)の融解ピーク温度(Tm):
セイコー・インスツルメンツ社製DSC6200型を用い、サンプル5.0mgを採り、200℃で5分間保持後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させ、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させて測定した。
(5)成分(ア)のtanδ曲線のピーク:
固体粘弾性測定により測定した。試料は下記条件により射出成形した厚さ2mmのシートから、10mm幅×18mm長×2mm厚の短冊状に切り出したものを用いた。
装置はレオメトリック・サイエンティフィック社製のARESを用いた。
規格番号:JIS−7152(ISO294−1)
周波数:1Hz
測定温度:−60℃から段階状に昇温し、試料が融解するまで。
歪:0.1〜0.5%の範囲
成形機:東洋機械金属社製TU−15射出成形機
成形機設定温度:ホッパ下から80,80,160,200,200,200℃
金型温度:40℃
射出速度:200mm/秒(金型キャビティー内の速度)
射出圧力:800kgf/cm
保持圧力:800kgf/cm
保圧時間:40秒
金型形状:平板(厚さ2mm 幅30mm 長さ90mm)
(6)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210:1999のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した。単位は、g/10分である。
(7)Q値
前述したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)により、決定した。
2.原材料
(1)プロピレン系樹脂組成分(ア): 以下の市販の樹脂を使用した。
PP−A:ウェルネクスRMG02VC(日本ポリプロ社製)
メタロセン系触媒、MFR(230℃、2.16kg荷重)20g/10分、全エチレン含有量5.9重量%、Q値=2.7、融解ピーク温度(Tm)=130℃。
本PP−Aは、第1工程のプロピレン−エチレンランダム共重合体(ア−A(A))のエチレン含量1.8重量%、組成比56重量%、第2工程のプロピレン−エチレンランダム共重合体(ア−B(A))のエチレン含量11重量%((ア−A(A)のエチレン含量に対して、9.2重量%多い)、組成比44重量%、tanδ曲線が−11℃に単一のピークを有する。
PP−B:ノバテックMA04A(日本ポリプロ社製)
プロピレンホモポリマー樹脂、チーグラー系触媒、MFR(230℃、2.16kg荷重)40g/10分、全エチレン含量0wt%、Q値=5.7、融解ピーク温度(Tm)=166℃、tanδ曲線が7℃に単一のピークを有する。
PP−C:ノバテックMG3F(日本ポリプロ社製)
プロピレン−エチレンランダム共重合体、チーグラー系触媒、MFR(230℃、2.16kg荷重)8g/10分、全エチレン含有量2.5重量%、Q値=5.4、融解ピーク温度(Tm)=144℃、tanδ曲線が2℃に単一のピークを有する。。
PP−D:ニューコンBC03HR(日本ポリプロ社製)
プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂、チーグラー系触媒、MFR(230℃、2.16kg荷重)28g/10分、プロピレン単独重合体部分(アーA(D))73重量%、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分(アーB(D))27重量%、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分(アーB(D))のエチレン含量37重量%、全エチレン含有量9.9重量%、Q値=9.7、融解ピーク温度(Tm)=161℃、tanδ曲線が−40℃とー1℃に二つのピークを有する。
Figure 2014172915
(2)繊維(イ)
F−A:(炭素繊維:三菱レーヨン社製パイロフィルTR066A):繊維径7μm、長さ8mm
F−B:(ガラス繊維:日本電気硝子製:T480H)繊維径10μm、長さ8mm
F−C:(タルク:微粉タルク(富士タルク社製):平均粒径:5.9μm)
(3)変性ポリオレフィン系樹脂(ウ)
G−1:無水マレイン酸変性ポリプロピレン(アルケマ社製「OREVAC CA100」:無水マレイン酸グラフト率=0.8重量%。)
(4)エラストマー(エ)
E−A:(エチレン・オクテンゴム:ダウ社製EG8200):密度(0.870g/cm)MFR=10g/10分。
E−B:(エチレン・オクテンゴム:ダウ社製EG8450):密度(0.902g/cm)MFR=6g/10分。
E−C:(エチレン・プロピレンゴム:エクソン社製VISTAMAXX3000):密度(0.871g/cm)MFR=8g/10分。
3.実施例及び比較例
[実施例1〜8及び比較例1〜9]
(1)樹脂組成物の製造
前記成分(ア)〜(エ)を、下記の添加剤とともに表4に示す割合で配合し、下記の条件で混練、造粒し、樹脂ペレットを製造した。
この際、前記成分(ア)〜(エ)からなる組成物全体100重量部当たり、BASF社製IRGANOX1010を0.1重量部、BASF社製IRGAFOS168を0.05重量部、前記の化学発泡剤マスターバッチを5重量部それぞれ配合した。
混練装置:テクノベル社製「KZW−15−MG」型2軸押出機。
混練条件:温度=200℃、スクリュー回転数=400rpm、吐出量=3kg/Hr。
なお、ガラス繊維(イ−1)は押出機中途からサイドフィードした。ここで、これらの樹脂ペレット中のガラス繊維(イ−1)の平均長さは0.45mm〜0.7mmの範囲内であった。
(2)樹脂組成物の成形
得られた樹脂ペレットを用いて、前記条件で射出成形し、樹脂組成物の各種試験片とした。
(3)評価
前記の成形したものについて、性能評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 2014172915
評価
表3および4に示す結果から、本発明の樹脂組成物およびその発泡成形体の発明要件を満たしている実施例1〜8は、高発泡倍率および高剛性であることが示されている。
一方、上記発明の特定事項を満たさない比較例において、比較例1〜9に示す組成をもった樹脂組成物およびその発泡成形体は、これらの性能バランスが不良で、実施例1〜8のものに対して見劣りしている。
実施例1〜3では発泡倍率が3倍以上で剛性の高い発泡成形体が示される。また、実施例4〜8ではエラストマーを添加する事により3倍発泡時の剛性が実施例1〜3に比べて若干低いものの比較例に比べると十分な剛性を保っており、かつ、発泡倍率はエラストマーの添加により高くなっている。
比較例1〜3では発泡倍率が3倍未満となっている。これはプロピレン樹脂組成物の融点が高く発泡の際に樹脂の冷却が早いために発泡する前に破泡したためと考えられる。比較例4ではフィラーが板状のタルクであることから発泡倍率が低かった。比較例5では繊維の配合量が少ないために発泡倍率が低く、比較例6では繊維の配合量が多すぎるために発泡しなかった。比較例7、8では繊維の配合がなく、発泡倍率、剛性共に不十分である。比較例9はチーグラー触媒により重合されたプロピレン系樹脂成物であり、融点が低いことから比較例の中では発泡倍率が高いものの最大発泡倍率は3倍未満と不十分である。
本発明の発泡成形用強化ポリプロピレンおよびその成形体は、高発泡でかつ剛性の高い発泡成形体が得られる。このため、比重の非常に軽いが剛性の高い発泡成形体を得ることが可能となる。
そのため、インストルメントパネル、グローブボックス、コンソールボックス、ドアトリム、肘掛け、グリップノブ、各種トリム類、天井部品、ハウジング類、ピラー類、マッドガード、バンパー、フェンダー、バックドアー、ファンシュラウドなどの自動車用内外装及びエンジンルーム内部品などの自動車部品をはじめ、テレビ・掃除機などの電気電子機器部品、各種工業部品、便座などの住宅設備機器部品、建材部品などの用途に、好適に用いることができ、産業上大いに有用である。

Claims (4)

  1. メタロセン触媒により重合されたプロピレン系樹脂成分(ア)100重量部に対して、繊維(イ)8〜150重量部を含有することを特徴とする発泡成形用繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物。
    プロピレン系樹脂成分(ア):次の(ア−i)〜(ア−iv)に規定する要件を有する。
    (ア−i):第1工程で、プロピレン単独またはエチレン含量7重量%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(ア−A)を30〜95重量%、第2工程で、成分(ア−A)よりも3〜20重量%多くのエチレンを含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(ア−B)を70重量%〜5重量%逐次重合して得られる(ただし、(ア−A)と(ア−B)の合計量は100重量%である)。
    (ア−ii):DSC法により測定された融解ピーク温度(Tm)が110℃〜150℃である。
    (ア−iii):固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有する。
    (ア−iv):プロピレン系樹脂成分(ア)全体のメルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg荷重)が0.5g/10分〜200g/10分である。
    繊維(イ):次の(イ−i)に規定する要件を有する。
    (イ−i):ガラス繊維及び炭素繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
  2. プロピレン系樹脂成分(ア)100重量部に対して、更に、酸変性ポリオレフィン系樹脂及びヒドロキシ変性ポリオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の変性ポリオレフィン系樹脂(ウ)0.5〜15重量部を含有する請求項1に記載の発泡成形用繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. プロピレン系樹脂成分(ア)100重量部に対して、密度が0.86〜0.91g/cmでありメルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg荷重)が0.5g/10分〜80g/10分であるエラストマー(エ)を0.5〜100重量部含有する請求項1又は2に記載の発泡成形用繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項に記載の発泡成形用繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物を発泡成形してなる成形体。
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