JP5052826B2 - プロピレン系樹脂組成物及びその組成物からなる成形体 - Google Patents
プロピレン系樹脂組成物及びその組成物からなる成形体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5052826B2 JP5052826B2 JP2006160384A JP2006160384A JP5052826B2 JP 5052826 B2 JP5052826 B2 JP 5052826B2 JP 2006160384 A JP2006160384 A JP 2006160384A JP 2006160384 A JP2006160384 A JP 2006160384A JP 5052826 B2 JP5052826 B2 JP 5052826B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mass
- propylene
- random copolymer
- examples
- ethylene
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Description
例えば、特許文献1には、良好な塗料付着性を有し、更に、離形性及び成形外観にも優れている自動車バンパとして、結晶性ポリプロピレン部とプロピレン・エチレンランダム共重合体部を含有するブロック共重合体と、エチレン・プロピレン系共重合体ゴムと、エチレン・ブテン二元共重合体ゴムと、タルクと高級脂肪酸アミドからなり、メルトフローレートが30〜40g/10分かつ曲げ弾性率が12000〜18000kg/cm2であるプロピレン系樹脂組成物の射出成形体である自動車用バンパが記載されている。
また、特許文献2には、塗装性に優れ自動車用バンパなどに使用可能な樹脂組成物として、プロピレン系重合体と、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムと、無機フィラーと、平均分子量が1000〜20000の変性ポリオレフィンからなるものが記載されている。
かかる状況の下、本発明の目的は、耐衝撃性と剛性のバランスに優れ、さらに、耐傷付き性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物およびその組成物からなる成形体を提供することにある。
すなわち、本発明は、以下の構成からなるプロピレン系樹脂組成物及び成形体を提供するものである。
[2]プロピレン系重合体(A)50〜92質量%、無機充填材(B)5〜25質量%及びメルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が10g/10分以上のランダム共重合体ゴム(F1)3〜25質量%(成分(A)と(B)と(F1)との合計を100質量%とする)からなる全量100質量部と、多層ペレット(C)0.1〜3質量部を溶融混練してなるプロピレン系樹脂組成物であって、前記多層ペレット(C)が、ポリオレフィンと少なくとも1種の不飽和基を有する不飽和化合物(D)と有機過酸化物(E)とを溶融混練してなり、メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が200g/10分以上の変性ポリオレフィンからなる芯層とポリオレフィンからなる鞘層とからなる多層ペレットであるプロピレン系樹脂組成物。
[3]プロピレン系重合体(A)50〜91.9質量%、無機充填材(B)5〜25質量%、メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が10g/10分以上のランダム共重合体ゴム(F1)3〜25質量%及びメルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が5g/10分以下のランダム共重合体ゴム(F2)0.1〜22質量%(成分(A)と(B)と(F1)と(F2)との合計を100質量%とする)からなる全量100質量部と、多層ペレット(C)0.1〜3質量部を溶融混練してなるプロピレン系樹脂組成物であって、前記多層ペレット(C)が、ポリオレフィンと少なくとも1種の不飽和基を有する不飽和化合物(D)と有機過酸化物(E)とを溶融混練してなり、メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が200g/10分以上の変性ポリオレフィンからなる芯層とポリオレフィンからなる鞘層とからなる多層ペレットであるプロピレン系樹脂組成物。
[4]ランダム共重合体ゴム(F1)が、密度が0.85〜0.885g/cm3であり、エチレンと少なくとも1種の炭素数4〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体ゴムである前記2または3に記載のプロピレン系樹脂組成物。
[5]ランダム共重合体ゴム(F2)が、密度が0.85〜0.885g/cm3であり、エチレンと少なくとも1種の炭素数4〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体ゴムである前記3記載のプロピレン系樹脂組成物。
[6]前記1〜5のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物からなる成形体。
また、繊維状無機充填材としては、例えば、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、チタン酸カリウム繊維、水酸化マグネシウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ケイ酸カルシウム繊維、炭酸カルシウム繊維、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維等が挙げられる。
好ましくは、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、シリカ、繊維状マグネシウムオキシサルフェートであり、さらに好ましくは、タルク、繊維状マグネシウムオキシサルフェートである。
これらの無機充填剤は、単独で用いてもよく、少なくとも2種類を併用してもよい。
変性ポリオレフィン(C1)のメルトフローレートは300g/10分以上が好ましく、500g/10分以上がさらに好ましい。一方、ポリオレフィン(C2)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重:JIS−K−6758)は、好ましくは200g/10分未満である。
α,β−不飽和ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、ハイミック酸、シトラコン酸、イタコン酸等が挙げられる。
不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、ブタン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、メタクリル酸、ペンテン酸、ドデセン酸、リノール酸、アンダリカ酸、けい皮酸等が挙げられる。
前記α,β−不飽和ジカルボン酸または前記不飽和モノカルボン酸の酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水ハイミック酸、アクリル酸無水物等が挙げられる。
3級アミノ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ビニルモルホリンとしては、例えば、4−ビニルモルホリン、2−メチル−4−ビニルモルホリン、4−アリルモルホリン等が挙げられる。
3級アミノ基含有不飽和イミド化合物としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物とアミン化合物との反応生成物が挙げられる。
3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
4級アンモニウム塩基含有不飽和化合物としては、例えば、N,N,N−トリメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)アンモニウムクロライド等の3級アミノ基含有不飽和化合物をカチオン化剤でカチオン化した化合物等が挙げられる。
ハロゲン化アルキル誘導体類としては、例えば、塩化メチル、塩化エチル、塩化ブチル、塩化オクチル、塩化ラウリル、塩化ステアリル、塩化シクロへキシル、塩化ベンジル、塩化フェネチル、塩化アリル、臭化メチル、臭化エチル、臭化ブチル、臭化オクチル、臭化ラウリル、臭化ステアリル、臭化ベンジル、臭化アリル、沃化メチル、沃化エチル、沃化ブチル、沃化オクチル、沃化ラウリル、沃化ステアリル、沃化ベンジル等が挙げられる。
ハロ酢酸アルキル類としては、例えば、モノクロル酢酸メチル、モノクロル酢酸エチル、ブロモ酢酸エチル等が挙げられる。
ジアルキル硫酸類としては、例えば、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等が挙げられる。
無機酸類としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、燐酸等が挙げられる。
有機酸類としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。
3級アミン鉱酸塩エピハロヒドリン付加物としては、例えば、N−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
そして、不飽和化合物(D)を、単独で用いてもよく、少なくとも2種を併用しても良い。
また、不飽和化合物(D)を少なくとも2種類併用する場合の他の好ましい組み合わせとしては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、無水イタコン酸、イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレートおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレートから選ばれる少なくとも2種類の組み合わせである。
使用するクロスヘッドダイの好適な構造の例としては、欧州特許公開公報EP1063070−A2に詳細に開示されているクロスヘッドダイである。
ランダム共重合体ゴム(F2)は、好ましくはエチレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体ゴムである。ランダム共重合体ゴム(F2)の密度としては、好ましくは0.85〜0.885g/cm3であり、さらに好ましくは0.855〜0.870g/cm3である。0.885g/cm3を超えた場合は、耐衝撃性が低下することがある。ランダム共重合体ゴム(F1)のメルトフローレートは5g/10分以下であり、好ましくは0.2〜3g/10分である。
公知の重合方法としては、例えば、炭化水素化合物のような不活性有機溶媒中でエチレンとα−オレフィンを共重合させる方法が挙げられる。
RCONH2 (3)
(式中、Rは炭素数5〜25のアルキル基またはアルケニル基を表す。)
脂肪酸アミドとしては、例えば、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ベヘン酸アミド、エルカ酸アミド等が挙げられ、好ましくは、エルカ酸アミドである。脂肪酸アミドの配合量は、プロピレン系重合体(A)、無機充填材(B)及び任意成分としてのランダム共重合体ゴム(F)の合計100質量部に対して、0.05〜1質量部であり、好ましくは、0.1〜0.5質量部である。
脂肪酸アミドの含有量が、1質量部を超えた場合、成形加工時に発煙したり、成形品の表面にブリードアウトしたりすることがあり、0.05質量部未満の場合、耐傷付き性の改良効果が不十分なことがある。
プロピレン系重合体(A)の配合量が75質量%未満の場合、衝撃強度が不充分なことがあり、95質量%を超えた場合、剛性が低下することがある。無機充填材(B)の配合量が5質量%未満の場合、剛性が不充分なことがあり、25質量%を超えた場合、衝撃強度が不充分なことがある。
プロピレン系重合体(A)の配合量が50質量%未満の場合、剛性や耐衝撃性、耐傷付き性が不充分なことがあり、92質量%を超えた場合、剛性が低下することがある。無機充填材(B)の配合量が5質量%未満の場合、剛性が不充分なことがあり、25質量%を超えた場合、衝撃強度が不充分なことがある。ランダム共重合体ゴム(F1)の配合量が3質量%未満の場合、耐衝撃性が低下することがあり、25質量%を超えた場合、剛性が低下することがある。
プロピレン系重合体(A)の配合量が50質量%未満の場合、剛性や耐衝撃性、耐傷付き性が不充分なことがあり、91.9質量%を超えた場合、剛性が低下することがある。無機充填材(B)の配合量が5質量%未満の場合、剛性が不充分なことがあり、25質量%を超えた場合、衝撃強度が不充分なことがある。ランダム共重合体ゴム(F1)の配合量が3質量%未満の場合、耐衝撃性が低下することがあり、25質量%を超えた場合、剛性が低下することがある。ランダム共重合体ゴム(F2)の配合量が22質量%を超えた場合、剛性が低下することがある。また、ランダム共重合体ゴム(F1)とランダム共重合体ゴム(F2)の合計量は5〜25質量%が好ましく、さらに好ましくは、5〜20質量%である。25質量%を超えた場合、剛性が低下することがある。
プロピレン系重合体(A)の一部、無機充填材(B)および多層ペレット(C)を溶融混練した後に、プロピレン系重合体(A)の残りを追加して、溶融混練する方法。
プロピレン系重合体(A)および多層ペレット(C)を溶融混練した後に、無機充填材(B)を追加して、溶融混練する方法。
プロピレン系重合体(A)、無機充填材(B)および多層ペレット(C)を溶融混練した後に、ランダム共重合体(F)を追加して、溶融混練する方法。
プロピレン系重合体(A)の一部、無機充填材(B)および多層ペレット(C)を溶融混練した後に、プロピレン系重合体(A)の残りとランダム共重合体(F)を追加して、溶融混練する方法。
プロピレン系重合体(A)とランダム共重合体(F)を溶融混練した後に、無機充填材(B)および多層ペレット(C)を追加して、溶融混練する方法
無機充填材(B)、多層ペレット(C)およびランダム共重合体(F)を溶融混練した後に、プロピレン系重合体(A)を追加して、溶融混練する方法
本発明の成形体の用途は特に制限されるものではないが、例えば、自動車用部品、電気製品・電子製品用部品、建材部品等が挙げられ、好ましくは自動車用部品である。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS−K−6758に規定された方法に従い、測定した。測定温度はランダム共重合体ゴムの場合は190℃、プロピレン系樹脂組成物の場合は230℃とし、荷重は2.16kgとした。
JIS−K−7203に規定された方法に従い、測定した。射出成形によって成形された試験片を用いた。試験片の厚みは6.4mmであり、スパン長さ100mm、荷重速度30mm/minの条件で曲げ弾性率を評価した。測定温度は23℃で行った。
JIS−K−7110に規定された方法に従い、測定した。射出成形によって成形された試験片を用いた。試験片の厚みは3.2mmであり、ノッチ付きの金型を用いて作成したノッチ付き試験片を用いて、IZOD衝撃強度を評価した。測定温度は23℃で行った。
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1、0.2および0.5g/dlの3点について還元粘度を測定した。極限粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法、すなわち、還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求めた。ポリプロピレンについては、溶媒としてテトラリンを用い、温度135℃で評価した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下に示した条件で測定した。
GPC:Waters社製 150C型
カラム:昭和電工社製 Shodex 80 MA 2本
サンプル量:300μl(ポリマー濃度0.2wt%)
流量:1ml/min
温度:135℃
溶媒:o−ジクロルベンゼン
東洋曹達社製の標準ポリスチレンを用いて溶出体積と分子量の検量線を作成した。検量線を用いて検体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を求め分子量分布の尺度として、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)、すなわち、Q値を求めた。
アイソタクチック・ペンタッド分率は、A.Zambelliらによって、Macromolecules,6,925(1973)に発表、記載されている方法に従って測定した。すなわち、13C−NMRを使用して測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖、換言すれば、プロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率を求めた。ただし、NMRの吸収ピークの帰属に関しては、その後発刊されたMacromolecules,8,687(1975)に基づいて行った。
具体的には、13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの面積分率としてアイソタクチック・ペンタッド分率を測定した。この方法により英国NATIONAL PHYSICAL LABORATORYのNPL標準物質 CRM No.M19−14 PolypropylenePP/MWD/2のアイソタクチックペンタッド分率を測定したところ、0.944であった。
プロピレン−エチレンブロック共重合体において、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の全ブロック共重合体に対する質量比率Xは、プロピレン単独重合体部分と全ブロック共重合体の各々の結晶融解熱量を測定することによって、次式から算出した。
X=1−(ΔHf)T/(ΔHf)P
(ΔHf)T:ブロック共重合体全体の融解熱量(cal/g)
(ΔHf)P:プロピレンホモポリマー部分の融解熱量(cal/g)
プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量は、赤外線吸収スペクトル法により全ブロック共重合体におけるエチレン含量(質量%)で測定し、次式から算出した。
(C2')EP=(C2')T/X
(C2')T:全ブロック共重合体におけるエチレン含量(質量%)
(C2')EP:プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量(質量%)
プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度[η]EPは、プロピレン単独重合体部分と全ブロック共重合体の各々の極限粘度を測定することにより、次式から算出した。
[η]EP=[η]T/X−(1/X−1)[η]P
[η]P:プロピレン単独重合体部分の極限粘度(dl/g)
[η]T:ブロック共重合体全体の極限粘度(dl/g)
なお、プロピレン−エチレンブロック共重合体の第1セグメントであるプロピレン単独重合体部分の極限粘度[η]Pは、その製造時に、第一工程であるプロピレン単独重合体部分の製造後に重合槽内より取り出し、取り出されたプロピレン単独重合体から[η]Pを求めた。
上島製作所社製 特殊大型U−F引っかき試験機を用いて、以下の条件で傷付き試験を行った。80mm×240mm×3mmの鏡面平板に、先端が直径1mmの半球(材質SUS403)である傷付き試験用の針に1000gの荷重をのせ、600mm/minの速度で傷を付けた。
東京精密社製表面粗さ形状測定機(サーフコム550A)を用いて、平板表面の傷を測定した。傷の目立ち感を評価するため、傷の周りの盛り上がった部分から傷の底部までの深さを1μmの単位で測定した。
(試料)
(A)プロピレン−エチレンブロック共重合体
住友化学社製 AZ864を用いた。AZ864のMFR(230℃)は、30g/10分であった。プロピレン単独重合体部分の分子量分布(Q値)は4.2であり、極限粘度([η]P)は1.05dl/gであり、アイソタクチックペンタッド分率は0.97であり、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度([η]EP)は2.5dl/gであり、プロピレン−エチレンブロック共重合体に対する質量割合は20質量%であり、エチレン含量は40質量%であった。
(B−1)
タルク(林化成社製 MWHST)を用いた。(B−1)の平均粒子径は、2.7μmであった。
(B−2)
表面処理タルク(林化成社製 CHC−13S−05)を用いた。(B−2)はタルク表面を0.5重量%のアミノシラン化合物で処理したものであり、平均粒子径は、2.7μmであった。
(C−1)2層ペレット
JIS K7210に従い、230℃、荷重21.2Nで測定したMFRが300g/10分のポリプロピレン単独重合体100質量部に、無水マレイン酸(D−1)5質量部、ジセチル パーオキシジカルボネート(E−1)(活性酸素量が2.8%、半減期が1分である分解温度が99℃)0.50質量部、1,3−ビス(t−ブチル パーオキシイソプロピル)ベンゼン(E−2)(活性酸素量が9.3%、半減期が1分である分解温度が183℃)0.15質量部、ステアリン酸カルシウム0.05質量部、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(酸化防止剤)0.3質量部を添加して十分に混合し、配合物を得た。
該配合物を芯用二軸押出機(池貝社製PCM46:46φmm、L/D=38.5)に供給し(芯層、C2−1)、一方でポリプロピレン単独重合体(鞘層、C1−1)(商品名:住友ノーブレンU501E1、住友化学社製、MFR=120)を鞘用単軸押出機(池貝社製VS40:40φmm、L/D=25)に供給した。それぞれの押出機から温度250℃で芯鞘型ダイ(口金6個)に芯鞘比が、芯/鞘=90/10質量%で供給した。押し出された6本のストランドを水槽に通し冷却しペレタイザーにてカッティングし、2層ペレット(C−1)を得た。MFRを測定すると1500g/10分、グラフト率は0.2質量%であった。
JIS K7210に従い、230℃、荷重21.2Nで測定したMFRが300g/10分のポリプロピレン単独重合体100質量部に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(D−2)12質量部、t−ブチルパーオキシベンゾエート(E−3)(活性酸素量が8.1%、半減期が1分である分解温度が169℃)3質量部、(D−3)スチレンモノマーを1.2質量部、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガノックス1010を0.2質量部、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガフォス168を0.2質量部、有機多孔質パウダーとしてMEMABRANA社製 MP−1000を5質量部添加して十分に混合し、配合物を得た。
該配合物を芯用二軸押出機(池貝社製PCM46:46φmm、L/D=38.5)に供給し(芯層、C2−2)、一方でポリプロピレン単独重合体(鞘層、C1−2)(商品名:住友ノーブレンU501E1、住友化学社製、MFR=120)を鞘用単軸押出機(池貝社製VS40:40φmm、L/D=25)に供給した。それぞれの押出機から温度220℃で芯鞘型ダイ(口金6個)に芯鞘比が、芯/鞘=97/3質量%で供給した。押し出された6本のストランドを水槽に通し冷却しペレタイザーにてカッティングし、2層ペレット(C−2)を得た。MFRを測定すると1000g/10分、グラフト率は3.5質量%であった。
エチレン−プロピレンブロック共重合体(MFR(230℃)は、0.6g/10分であり、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度([η]EP)は2.8dl/gであり、プロピレン−エチレンブロック共重合体に対する質量割合は21質量%)100質量部に、無水マレイン酸(D−1)1.0質量部、ジセチル パーオキシジカルボネート(E−1)0.50質量部、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン(E−2)0.15質量部、ステアリン酸カルシウム0.05質量部、酸化防止剤テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.3質量部を添加して十分に予備混合後、予備混合された混合物を単軸押出機の供給口より供給して混練を行い、変性ポリオレフィン樹脂(C−3)を得た。なお、ジセチル パーオキシジカルボネートの半減期が1分となる温度は99℃であり、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼンの半減期が1分となる温度は183℃である。得られた変性ポリオレフィン樹脂(C−3)のマレイン酸グラフト量は0.64質量%であり、MFR(230℃、21.2N)は70g/10分であった。
用いた単軸押出機は、いすず加工機製単軸押出機 EXT−90(L/D=36、シリンダー径90mm)であった。シリンダー温度は前半を180℃に、後半を250℃に設定し、スクリュー回転数は133rpmで行った。
デュポンダウエラストマー社製 ENGAGE8407(密度:0.870g/cm3、MFR(190℃):30g/10分)。
日本精化社製 ニュートロンS。
表1に示した組成になるように各成分を配合して、これらをヘンシェルミキサーおよびタンブラーで均一に予備混合した後、二軸混練押出機(日本製鋼所社製TEX44SS−31.5BW−2V型)を用いて、押出量50kg/hr、スクリュー回転数350rpm、ベント吸引下で、ポリプロピレン系樹脂組成物を製造した。得られたポリプロピレン系樹脂組成物のMFRを測定し、その結果を表2に示した。
物性評価用試験片は、次のとおり、射出成形によって作製した。
上記で得られたポリプロピレン系樹脂組成物を熱風乾燥器で120℃、2時間乾燥した後、東芝機械製IS150E−V型射出成形機を用いて、成形温度180℃、金型冷却温度50℃、射出時間15sec、冷却時間30secで射出成形を行った。
これにより、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度用の試験片と、傷付き試験用の80×240×3mmの平板を同時に作成した。
得られた射出成形体の曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度を測定し、その結果を表2に示した。また、得られた傷付き試験用平板で、傷付き試験を実施し、結果を表2に示した。
Claims (3)
- プロピレン系重合体(A)50〜92質量%、無機充填材(B)5〜25質量%及びメルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が10g/10分以上のランダム共重合体ゴム(F1)3〜25質量%(成分(A)と(B)と(F1)との合計を100質量%とする)からなる全量100質量部と、多層ペレット(C)0.1〜3質量部を溶融混練してなるプロピレン系樹脂組成物であって、前記多層ペレット(C)が、ポリオレフィンと少なくとも1種の不飽和基を有する不飽和化合物(D)と有機過酸化物(E)とを溶融混練してなり、メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が200g/10分以上の変性ポリオレフィンからなる芯層とポリオレフィンからなる鞘層とからなる多層ペレットであるプロピレン系樹脂組成物。
- ランダム共重合体ゴム(F1)が、密度が0.85〜0.885g/cm3であり、エチレンと少なくとも1種の炭素数4〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体ゴムである請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載のプロピレン系樹脂組成物からなる成形体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006160384A JP5052826B2 (ja) | 2006-06-09 | 2006-06-09 | プロピレン系樹脂組成物及びその組成物からなる成形体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006160384A JP5052826B2 (ja) | 2006-06-09 | 2006-06-09 | プロピレン系樹脂組成物及びその組成物からなる成形体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007326978A JP2007326978A (ja) | 2007-12-20 |
JP5052826B2 true JP5052826B2 (ja) | 2012-10-17 |
Family
ID=38927668
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006160384A Expired - Fee Related JP5052826B2 (ja) | 2006-06-09 | 2006-06-09 | プロピレン系樹脂組成物及びその組成物からなる成形体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5052826B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009079117A (ja) * | 2007-09-26 | 2009-04-16 | Prime Polymer:Kk | ポリプロピレン系樹脂組成物 |
JP5651918B2 (ja) * | 2007-12-21 | 2015-01-14 | 住友化学株式会社 | ポリプロピレン系樹脂組成物及び成形体 |
JP6079346B2 (ja) * | 2013-03-21 | 2017-02-15 | 住友化学株式会社 | プロピレン樹脂組成物の製造方法及び該プロピレン樹脂組成物からなる成形体 |
JP6089839B2 (ja) * | 2013-03-21 | 2017-03-08 | 住友化学株式会社 | プロピレン樹脂組成物の製造方法及び該プロピレン樹脂組成物からなる成形体 |
JP6575701B1 (ja) * | 2019-02-25 | 2019-09-18 | 住友電気工業株式会社 | 樹脂組成物、無機充填剤、直流電力ケーブル、および直流電力ケーブルの製造方法 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01129052A (ja) * | 1987-11-13 | 1989-05-22 | Mitsubishi Petrochem Co Ltd | 補強変性プロピレン系樹脂組成物 |
JP2002003692A (ja) * | 2000-04-18 | 2002-01-09 | Japan Polychem Corp | 耐傷付き性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物 |
JP4915067B2 (ja) * | 2004-09-15 | 2012-04-11 | 住友化学株式会社 | ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる射出成形体 |
-
2006
- 2006-06-09 JP JP2006160384A patent/JP5052826B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2007326978A (ja) | 2007-12-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6136149B2 (ja) | 繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体 | |
JP4915067B2 (ja) | ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる射出成形体 | |
JP5092216B2 (ja) | プロピレン系樹脂組成物の製造方法、プロピレン系樹脂組成物およびそれからなる射出成形体 | |
JP6124497B2 (ja) | ポリプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる成形体 | |
WO2007035506A1 (en) | Modified filler-containing polypropylene resins | |
US6869993B2 (en) | Polypropylene-based resin composition and injection molded article comprising the same | |
JP5052826B2 (ja) | プロピレン系樹脂組成物及びその組成物からなる成形体 | |
US6417271B1 (en) | Elastomer composition | |
JP2792205B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JP2002003691A (ja) | 高強度・高剛性ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物 | |
WO2001059009A1 (fr) | Article forme de resine thermoplastique presentant une rigidite et une resistance elevees | |
JP2006056971A (ja) | プロピレン系樹脂組成物の製造方法、プロピレン系樹脂組成物、およびそれからなる射出成形体 | |
US20030176555A1 (en) | Polypropylene-based resin composition and its injection molded article | |
CN113039050B (zh) | 高光泽黑色tpo替代漆 | |
JP2007092050A (ja) | プロピレン系樹脂組成物、その製造方法および射出成形体 | |
JP5098574B2 (ja) | ポリプロピレン系樹脂組成物及びその製造方法、並びに成形体 | |
JP6019895B2 (ja) | プロピレン系樹脂組成物及びその成形体 | |
JPH08302099A (ja) | ポリプロピレン組成物 | |
JP4760189B2 (ja) | オレフィン重合体組成物およびその成形体 | |
JP5106917B2 (ja) | ポリプロピレン系樹脂組成物 | |
JP2006083251A (ja) | ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる射出成形体 | |
JP2008208304A (ja) | ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体 | |
JP2007326979A (ja) | 無機充填材含有変性ポリオレフィンの製造方法、変性ポリオレフィンを含有するポリプロピレン系樹脂組成物およびその組成物からなる成形体 | |
JP2006225418A (ja) | ポリプロピレン系樹脂組成物、それからなる成形体 | |
JP2007063397A (ja) | ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090408 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20110627 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110701 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110826 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20111118 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120720 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120725 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150803 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |