JP2006083251A - ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる射出成形体 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる射出成形体 Download PDF

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毅 渡辺
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義明 大林
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Abstract

【課題】 剛性および衝撃強度に優れ、さらに、塗装性および耐傷付き性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる射出成形体を提供する。
【解決手段】 プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)と、タルク(B)と、オレフィン系エラストマーおよびビニル芳香族化合物含有エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のエラストマー(C)と、アルキルジアルカノールアミドおよびアルケニルジアルカノールアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種のアミド化合物(D)とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物であって、
(A)と(B)と(C)との合計を100重量%として、(A)が55〜92重量%であり、(B)が5〜25重量%であり、(C)が3〜20重量%であり、
(A)と(B)と(C)の合計100重量部に対して、(D)0.1〜0.5重量部を含有するポリプロピレン系樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる射出成形体に関するものである。更に詳しくは、剛性および衝撃強度に優れ、さらに、塗装性および耐傷付き性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる射出成形体に関するものである。
従来から、ポリプロピレン系樹脂組成物は自動車用材料に用いられており、最近は、特に内装材には、剛性および衝撃強度に加えて、さらに塗装性および耐傷付き性に優れた材料が求められている。
例えば、特開平7−309978号公報には、耐候性が改善されると同時に、色相及び耐衝撃性能も向上したポリオレフィン樹脂組成物として、ポリオレフィン樹脂、無機充填剤、該無機充填剤に対して、特定の含有量の特定の式で表される脂肪酸ジエタノールアミド、及び、特定の含有量の耐候剤からなる無機充填剤含有ポリオレフィン樹脂組成物が記載されている。
また、特表平8−506373号公報には、耐掻傷性を有し、衝撃強さと剛性ないし靭性の好ましいポリマーブレンドとして、プロピレンを主体とし、少量の低密度ポリエチレンを含有し、主としてタルクのような板状結晶体を含有する充填剤を添加したポリマーブレンドが記載されている。
特開2003−286383号公報には、剛性と耐衝撃性のバランス、および、耐傷付き性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物として、プロピレン−エチレンブロック共重合体と、エチレンとα−オレフィンとの共重合体ゴムと、無機充填剤および脂肪酸アミドを含有するポリプロピレン系樹脂組成物が記載されている。
特開平7−309978号公報 特表平8−506373号公報 特開2003−286383号公報
しかし、上記公報等に記載されているポリプロピレン系樹脂組成物においても、剛性および衝撃強度に加えて、さらに、塗装性および耐傷付き性を改良することが要求されていた。
かかる状況において、本発明の目的は、剛性および衝撃強度に優れ、さらに、塗装性および耐傷付き性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる射出成形体を提供することにある。
本発明者等は、かかる実情に鑑み、鋭意研究の結果、本発明が上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一は、
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)と、タルク(B)と、オレフィン系エラストマーおよびビニル芳香族化合物含有エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のエラストマー(C)と、アルキルジアルカノールアミドおよびアルケニルジアルカノールアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種のアミド化合物(D)とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物であって、
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)とタルク(B)とエラストマー(C)との合計を100重量%として、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)が55〜92重量%であり、タルク(B)が5〜25重量%であり、エラストマー(C)が3〜20重量%であり、
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)とタルク(B)とエラストマー(C)の合計100重量部に対して、アミド化合物(D)0.1〜0.5重量部を含有するポリプロピレン系樹脂組成物に係るものである。
また、本発明の一は、
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)と、タルク(B)と、オレフィン系エラストマーおよびビニル芳香族化合物含有エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のエラストマー(C)と、アルキルジアルカノールアミドおよびアルケニルジアルカノールアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種のアミド化合物(D)と、繊維状無機フィラー(E)とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物であって、
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)とタルク(B)とエラストマー(C)と繊維状無機フィラー(E)との合計を100重量%として、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)が40〜91重量%であり、タルク(B)が5〜25重量%であり、エラストマー(C)が3〜20重量%であり、繊維状無機フィラー(E)が1〜15重量%であり、
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)とタルク(B)とエラストマー(C)と繊維状無機フィラー(E)の合計100重量部に対して、アミド化合物(D)0.1〜0.5重量部を含有するポリプロピレン系樹脂組成物に係るものである。
そして、本発明の一は、上記のポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形体に係るものである。
さらに、本発明の一つは、上記の射出成形体であって、射出成形体の表面積の10〜80%が塗装されている射出成形体に係るものである。
本発明によれば、剛性および衝撃強度に優れ、さらに、塗装性および耐傷付き性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる射出成形体を得ることができる。
本発明で用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)とは、第1セグメントであるプロピレン単独重合体部分と、第2セグメントであるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分を有する共重合体である。
本発明で用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体における第1セグメントであるプロピレン単独重合体部分と第2セグメントであるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の、それぞれの重量割合は、第1セグメントが95〜60重量%であり、第2セグメントが5〜40重量%である。好ましくは、第1セグメントが90〜65重量%であり、第2セグメントが10〜35重量%である。(但し、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の全重量を100重量%とする。)
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)における第1セグメント(プロピレン単独重合体部分)の分子量分布を表わす重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)比であるQ値(Mw/Mn)としては、流動性や、剛性と耐衝撃性のバランスの観点から、通常、3〜6であり、好ましくは3.5〜5.5である。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)における第1セグメントのアイソタクチックペンタッド分率は、剛性や耐熱性の観点から、通常、0.97以上であり、より好ましくは0.98以上である。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)における第2セグメントのエチレン含量((C2')EP)は、耐衝撃性の観点から、通常、25〜60重量%であり、より好ましくは30〜55重量%である。(但し、第2セグメントの全重量を100重量%とする。)
また、第2セグメントの固有粘度([η]EP)は、剛性と衝撃性のバランス、ブツ部の発生を抑制するという観点や面品質を改良するという観点から、通常、1〜9dl/gであり、好ましくは2〜9dl/g、より好ましくは、2〜7である。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の230℃でのメルトフローレート(MFR)は、通常、0.3g/10分〜1000g/10分であり、好ましくは0.5g/10分〜500g/10分であり、より好ましくは10g/10分〜150g/10分である。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の製造方法としては、第1セグメントであるプロピレン単独重合体部分を第1工程で製造し、第2セグメントであるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分を第2工程で製造する方法が挙げられる。
そして、公知の重合触媒を用いて、公知の重合方法によって製造する方法が挙げられる。公知の重合触媒としては、例えば、チーグラー触媒やメタロセン触媒が挙げられ、公知の重合方法としては、例えば、スラリー重合法やバルク重合法、気相重合法が挙げられる。
本発明で用いられるのタルク(B)の平均粒子径は、通常、0.3μm〜10μmであり、好ましくは0.3μm〜7μmであり、より好ましくは0.5μm〜5μmである。ここでタルク(B)の平均粒子径とは、遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて水またはアルコールの分散媒中に懸濁させて測定した篩下法の積分分布曲線から求めた50%相当粒子径D50のことを意味する。
また、タルク(B)は無処理のまま使用しても良く、ポリプロピレン系樹脂との界面接着性を向上させ、ポリプロピレン系樹脂に対する分散性を向上させるために、通常、用いられるシランカップリング剤、チタンカップリング剤や界面活性剤で表面を処理して使用しても良い。界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩類等が挙げられる。
本発明で用いられるエラストマー(C)は、オレフィン系エラストマー(C−1)およびビニル芳香族化合物含有エラストマー(C−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種のエラストマーである。
オレフィン系エラストマー(C−1)は、エチレンと炭素数4〜20のα−オレフィンであり、(C−1)で使用される炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
オレフィン系エラストマー(C−1)としては、例えば、エチレン−ブテン−1共重合、エチレン−ヘキセン−1共重合エラストマー、エチレン−オクテン−1共重合エラストマー等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。好ましくは、エチレン−ブテン−1共重合、エチレン−オクテン−1共重合エラストマーである。
オレフィン系エラストマー(C−1)の密度は、プロピレン共重合体(A)に対する分散性を高めるという観点や、得られる樹脂組成物の室温または低温での衝撃強度を高めるという観点から、通常、0.85〜0.885g/cm3であり、好ましくは0.85〜0.88g/cm3であり、より好ましくは0.855〜0.875g/cm3である。
オレフィン系エラストマー(C−1)の190℃のメルトフローレート(MFR)は、衝撃強度の観点から、通常、0.1〜30g/10分であり、好ましくは0.5〜20g/10分である。
オレフィン系エラストマー(C−1)の製造方法としては、公知の重合触媒を用いて、公知の重合方法による製造方法が挙げられる。公知の重合触媒としては、例えば、バナジウム化合物、有機アルミニウム化合物およびハロゲン化エステル化合物からなるチーグラー・ナッタ触媒系や、チタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子に少なくとも1種以上のシクロペンタジエニルアニオン骨格を有する基が配位したメタロセン化合物とアルモキサンあるいはホウ素化合物とを組み合わせた触媒系、いわゆるメタロセン触媒系が挙げられる。
公知の重合方法としては、例えば、炭化水素化合物のような不活性有機溶媒中でエチレンとα−オレフィンを共重合させる方法や、溶媒を用いずにエチレン及びα−オレフィン中で共重合させる方法が挙げられる。
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(C−2)としては、例えば、ビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックからなるブロック共重合体、前記ブロック共重合体の共役ジエン部分の二重結合が水素添加されているブロック重合体等が挙げられ、好ましくはブロック共重合体の共役ジエン部分の二重結合が80%以上水素添加されているブロック重合体であり、より好ましくは85%以上水素添加されているブロック重合体である。
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(C−2)の分子量分布としては、GPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)法によって測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)から求められる分子量分布(Q値)として、好ましくは2.5以下であり、より好ましくは2.3以下である。
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(C−2)に含有されるビニル芳香族化合物の平均含有量として、好ましくは10〜20重量%であり、より好ましくは12〜19重量%である。
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(C−2)のメルトフローレート(MFR、JIS−K−6758、230℃)として、好ましくは1〜15g/10分であり、より好ましくは2〜13g/10分である。
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(C−2)としては、例えば、スチレン−エチレン−ブテン−スチレン系ゴム(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン系ゴム(SEPS)、スチレン−ブタジエン系ゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレン系ゴム(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン系ゴム(SIS)等のブロック共重合体又はこれらのゴム成分を水添したブロック共重合体等が挙げられる。
また、エチレン−プロピレン−非共役ジエン系ゴム(EPDM)等のオレフィン系共重合体ゴムとスチレン等のビニル芳香族化合物を反応させて得られるゴムも好適に使用することができる。また、少なくとも2種類のビニル芳香族化合物含有エラストマーを併用しても良い。
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(C−2)の製造方法としては、例えば、オレフィン系共重合体ゴムもしくは共役ジエンゴムに対し、ビニル芳香族化合物を重合、反応等により結合させる方法等が挙げられる。
本発明で用いられるアミド化合物(D)は、アルキルジアルカノールアミドおよびアルケニルジアルカノールアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種のアミド化合物であり、好ましくは、炭素数が10以上のアルキルジアルカノールアミドおよび炭素数が10以上のアルケニルジアルカノールアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種のアミド化合物であり、より好ましくは、炭素数が15以上のアルキルジアルカノールアミドおよび炭素数が15以上のアルケニルジアルカノールアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種のアミド化合物である。さらに好ましくは、下記の式(1)または式(2)のいずれかで表わされるアミド化合物である。
n2n+1CON(Cm2mOH)2 式(1)
(式(1)において、nは15以上の整数、mは1〜8の整数を表す。)
n2n-1CON(Cm2mOH)2 式(2)
(式(2)において、nは15以上の整数、mは1〜8の整数を表す。)
本発明で用いられるアミド化合物(D)としては、例えば、
ステアリルジエタノールアミド、ミリスチルジエタノールアミド、ラウリルジエタノールアミド、エルシルジエタノールアミド、ベヘニルジエタノールアミド、オレイルジエタノールアミド、
ステアリルジメタノールアミド、ミリスチルジメタノールアミド、ラウリルジメタノールアミド、エルシルジメタノールアミド、ベヘニルジメタノールアミド、オレイルジメタノールアミド
ステアリルジプロパノールアミド、ミリスチルジプロパノールアミド、ラウリルジプロパノールアミド、エルシルジプロパノールアミド、ベヘニルジプロパノールアミド、オレイルジプロパノールアミド、
等が挙げられ、好ましくは、ステアリルジエタノールアミド、ミリスチルジエタノールアミド、ラウリルジエタノールである。
本発明で用いられる繊維状無機充填材(E)は、通常、平均繊維長が5μm以上であり、アスペクト比が10以上である繊維状無機充填材である。
繊維状無機充填材(E)としては、例えば、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、チタン酸カリウム繊維、水酸化マグネシウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ケイ酸カルシウム繊維、炭酸カルシウム繊維、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維等が挙げられ、好ましくは、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、ケイ酸カルシウム繊維であり、より好ましくは繊維状マグネシウムオキシサルフェートである。
繊維状無機充填材(E)として、好ましくは、平均繊維径が0.2〜1.5μmであり、平均繊維長が5〜20μmであり、アスペクト比が10〜30である。
剛性の改良効果を高めるという観点や成形体の外観を改良するという観点から、さらに好ましくは、平均繊維径は0.3〜1.0μmであり、平均繊維長は7〜15μmであり、アスペクト比は12〜25である。
繊維状無機充填材(E)は無処理のまま使用しても良く、ポリプロピレン系樹脂との界面接着性を向上させ、ポリプロピレン系樹脂に対する分散性を向上させるために、通常、用いられるシランカップリング剤や高級脂肪酸金属塩で表面を処理して使用しても良い。高級脂肪酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
繊維状無機充填材(E)の形態としては、通常、粉状、フレーク状、顆粒状であり、いずれの形態のものを用いても良い。好ましくは、ハンドリングしやすいという観点から、顆粒状のものである。
繊維状無機充填材(E)は、(A)、(B)、(C)、および(D)の各成分と一括して混練して用いても良く、好ましくは、(E)と(A)を、(E)/(A)の比率で、3/7〜7/3の比率で、あらかじめ溶融混練してから、他の成分と混練して用いても良い。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物が、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)と、タルク(B)と、オレフィン系エラストマーおよびビニル芳香族化合物含有エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のエラストマー(C)と、アルキルジアルカノールアミドおよびアルケニルジアルカノールアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種のアミド化合物(D)とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物である場合、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)とタルク(B)とエラストマー(C)との合計を100重量%として、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の含有量は、55〜92重量%であり、好ましくは、65〜88重量%である。55重量%未満の場合、衝撃性が低下することがあり、92重量%を超えた場合は、剛性や衝撃性が低下することがある。
タルク(B)の含有量は、5〜25重量%であり、好ましくは、5〜20重量%である。5重量%未満の場合、剛性が不足することがあり、25重量%を超えた場合は、衝撃性が低下することがある。
エラストマー(C)の含有量は、3〜20重量%であり、好ましくは、5〜15重量%であり、さらに好ましくは、7〜15重量%である。3重量%未満の場合、衝撃性が不足したり、塗装性が低下することがある。20重量%を超えた場合は、剛性が低下することがある。
アルキルジアルカノールアミドおよびアルケニルジアルカノールアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種のアミド化合物(D)の含有量は、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)とタルク(B)とエラストマー(C)の合計100重量部に対して0.1〜0.5重量部であり、好ましくは、0.1重量部〜0.3重量部である。0.1重量部未満の場合、耐傷付き性の改良効果が小さいことがあり、0.5重量部を超えた場合は、アミド化合物(D)が表面へブリードすることがあり、塗装性が低下することがある。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物が、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)と、タルク(B)と、オレフィン系エラストマーおよびビニル芳香族化合物含有エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のエラストマー(C)と、アルキルジアルカノールアミドおよびアルケニルジアルカノールアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種のアミド化合物(D)と、繊維状無機フィラー(E)とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物である場合、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)とタルク(B)とエラストマー(C)と繊維状無機フィラー(E)との合計を100重量%として、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の含有量は、40〜91重量%であり、好ましくは、55〜85重量%である。40重量%未満の場合、衝撃性が低下することがあり、92重量%を超えた場合は、剛性や衝撃性が低下することがある。
タルク(B)の含有量は、5〜25重量%であり、好ましくは、5〜20重量%である。5重量%未満の場合、剛性が不足することがあり、25重量%を超えた場合は、衝撃性が低下することがある。
エラストマー(C)の含有量は、3〜20重量%であり、好ましくは、5〜15重量%であり、さらに好ましくは、7〜15重量%である。3重量%未満の場合、衝撃性が不足したり、塗装性が低下することがある。20重量%を超えた場合は、剛性が低下することがある。
繊維状無機充填材(E)の含有量は、1〜15重量%であり、好ましくは、3〜10重量%である。
アルキルジアルカノールアミドおよびアルケニルジアルカノールアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種のアミド化合物(D)の含有量は、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)とタルク(B)とエラストマー(C)と繊維状無機フィラー(E)の合計100重量部に対して0.1〜0.5重量部であり、好ましくは、0.1重量部〜0.3重量部である。耐傷付き性の改良効果が小さいことがあり、0.5重量部を超えた場合は、アミド化合物(D)が表面へブリードすることがあり、塗装性が低下することがある。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法としては、各成分を混練する方法が挙げられ、混練に用いられる装置としては、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、熱ロール等が挙げられる。混練の温度は、通常、170〜250℃であり、時間は、通常、1〜20分である。また、各成分の混練は同時に行なってもよく、分割して行なってもよい。
各成分を分割して混練する方法としては、例えば、次の(1)〜(8)の方法等が挙げられる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物が、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)と、タルク(B)と、エラストマー(C)と、アミド化合物(D)とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物である場合、
(1)プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)とタルク(B)を混練した後、エラストマー(C)、アミド化合物(D)を添加し混練する方法。
(2)予め、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)にタルク(B)を高濃度に混練してマスターバッチとし、それを別途プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)やエラストマー(C)、アミド化合物(D)で希釈しながら混練する方法。
(3)プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)とエラストマー(C)を混練した後、タルク(B)、アミド化合物(D)を添加し混練する方法。
(4)予め、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)とタルク(B)、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)とエラストマー(C)、アミド化合物(D)をそれぞれ混練しておき、最後にそれらを合わせて混練する方法。
等が挙げられる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物が、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)と、タルク(B)と、エラストマー(C)と、アミド化合物(D)と、繊維状無機フィラー(E)とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物である場合、
(5)プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)と繊維状無機充填剤(E)を混練した後、タルク(B)、エラストマー(C)、アミド化合物(D)を添加し混練する方法。
(6)予め、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)に繊維状無機充填剤(E)を高濃度に混練してマスターバッチとし、それを別途プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)やタルク(B)、エラストマー(C)、アミド化合物(D)で希釈しながら混練する方法。
(7)プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)とエラストマー(C)を混練した後、タルク(B)、繊維状無機充填材(E)、アミド化合物(D)を添加し混練する方法。
(8)予め、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)と繊維状無機充填剤(E)、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)とタルク(B)、エラストマー(C)、アミド化合物(D)をそれぞれ混練しておき、最後にそれらを合わせて混練する方法。
等が挙げられる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤、銅害防止剤、難燃剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、造核剤、気泡防止剤、架橋剤等の添加剤を配合しても良い。
造核剤としては、芳香族リン酸エステル金属塩類、安息香酸金属塩類、ロジン系造核剤等が挙げられ、好ましくは芳香族リン酸エステル金属塩類である。芳香族リン酸エステル金属塩類としては、例えば、アデカスタブNA−11、アデカスタブNA−21、アデカスタブNA−901、アデカスタブNA−18が挙げられる。
本発明の射出成形体は、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形体であり、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を、公知の射出成形法によって、成形して得られるものである。
本発明の射出成形体の用途としては、例えば、自動車用部品、電気製品・電子製品用部品、建材部品等が挙げられ、好ましくは自動車用部品である。
本発明の射出成形体として、好ましくは、射出成形体の表面積の10〜80%が塗装されている射出成形体であり、射出成形体の表面積の10〜80%を公知の塗装方法によって塗装して得られるものである。
公知の塗装方法としては、塗料として、ポリエステル系二液ウレタン塗料、アクリルウレタン系二液プラスチック用塗料、一液アクリル塗料、一液型オレフィン系塗料、一液アクリルラッカ−塗料その他一般的なプラスチック用水系塗料を用いる方法が挙げられる。
以下、実施例および比較例により本発明を説明する。
実施例および比較例における物性値の測定法を以下に示した。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS−K−6758に規定された方法に従い、測定した。特に断りのない限り、測定温度は230℃であり、荷重は2.16kgであった。
(2)曲げ弾性率(単位:MPa)
JIS−K−7203に規定された方法に従い、測定した。射出成形により成形された試験片を用いた。試験片の厚みは6.4mmであり、スパン長さ100mm、荷重速度30mm/minの条件で曲げ弾性率を評価した。測定温度は23℃で行った。
(3)アイゾット衝撃強度(単位:KJ/m2
JIS−K−7110に規定された方法に従い、測定した。射出成形により成形された試験片を用いた。試験片の厚みは3.2mmであり、ノッチ付きの衝撃強度を評価した。測定温度は23℃で行った。
(4)エチレン含量(単位:重量%)
エチレン含量は、プレスシートを作製し、赤外吸収スペクトルを測定して得られるメチル基(−CH3)およびメチレン基(−CH2−)の特性吸収の吸光度を用いて検量線法により求めた。
(5)極限粘度([η]、単位:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1、0.2および0.5g/dlの3点について還元粘度を測定した。極限粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法、すなわち、還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求めた。ポリプロピレンについては、溶媒としてテトラリンを用い、温度135℃で評価した。
(6)分子量分布(Q値)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下に示した条件で測定した。
GPC:Waters社製 150C型
カラム:昭和電工社製 Shodex 80 MA 2本
サンプル量:300μl(ポリマー濃度0.2wt%)
流量:1ml/min
温度:135℃
溶媒:o−ジクロルベンゼン
東洋曹達社製の標準ポリスチレンを用いて溶出体積と分子量の検量線を作成した。検量線を用いて検体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を求め分子量分布の尺度として、Q値、すなわち、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)を求めた。
(7)アイソタクチックペンタッド分率(単位:%)
アイソタクチック・ペンタッド分率は、A.Zambelliらによって、Macromolecules,6,925(1973)に発表、記載されている方法に従って測定した。すなわち、13C−NMRを使用して測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖、換言すれば、プロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率を求めた。ただし、NMRの吸収ピークの帰属に関しては、その後発刊されたMacromolecules,8,687(1975)に基づいて行った。
具体的には、13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの面積分率としてアイソタクチック・ペンタッド分率を測定した。この方法により英国NATIONAL PHYSICAL LABORATORYのNPL標準物質 CRM No.M19−14 PolypropylenePP/MWD/2のアイソタクチックペンタッド分率を測定したところ、0.944であった。
(8)プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の全ブロック共重合体に対する重量比率(X、重量%)
プロピレン−エチレンブロック共重合体において、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の全ブロック共重合体に対する重量比率X(重量%)は、プロピレン単独重合体部分と全ブロック共重合体の各々の結晶融解熱量を測定することによって、次式から算出した。
X=1−(ΔHf)T/(ΔHf)P
(ΔHf)T:ブロック共重合体全体の融解熱量(cal/g)
(ΔHf)P:プロピレンホモポリマー部分の融解熱量(cal/g)
(9)プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量(単位:重量%)
プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量は、赤外線吸収スペクトル法により全ブロック共重合体におけるエチレン含量(重量%)で測定し、次式から算出した。
(C2')EP=(C2')T/X
(C2')T:全ブロック共重合体におけるエチレン含量(重量%)
(C2')EP:プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量
(重量%)
(10)プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度([η]EP、単位:dl/g)
プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度[η]EPは、プロピレン単独重合体部分と全ブロック共重合体の各々の極限粘度を測定することにより、次式から算出した。
[η]EP=[η]T/X−(1/X−1)[η]P
[η]P:プロピレン単独重合体部分の極限粘度(dl/g)
[η]T:ブロック共重合体全体の極限粘度(dl/g)
なお、プロピレン−エチレンブロック共重合体の第1セグメントであるプロピレン単独重合体部分の極限粘度[η]Pは、その製造時に、第一工程であるプロピレン単独重合体部分の製造後に重合槽内より取り出し、取り出されたプロピレン単独重合体から[η]Pを求めた。
(11)耐傷付き性試験
上島製作所社製 特殊大型U−F引っかき試験機を用いて、以下の条件で傷付き試験を行った。
(a)100mm×400mm×3mmの鏡面平板に、先端が直径1mmの半球(材質SUS403)である傷付き試験用の針に1000gの過重をのせ、600mm/minの速度で傷を付けた。
(b)傷付き評価方法
東京精密社製表面粗さ形状測定機(サーフコム550A)を用いて、平板表面の傷を測定した。傷の目立ち感を評価するため、傷の周りの盛り上がった部分から傷の底部までの深さを0.1μmの単位で測定した。
(12)塗装性試験
一液プラスチック用水系塗料(オリジン電気社製)プラミ−ス♯100を、同専用希釈剤で粘度を6秒〜8秒に調整(フォ-ドカップNo.4)して希釈塗料を準備した。
100mm×400mm×3mmの鏡面平板を脱脂等の事前処理せずに、直接に上記希釈塗料をスプレー塗装し、70℃のオーブン中で20分間焼き付け仕上げをおこなった。
乾燥して外観を観察することで、塗料はじきを目視で確認し、次の基準で塗装性を評価した。
◎:塗料はじきがなく、良好な塗装状態であった。
○:塗料はじきがほとんどない状態であった。
△:塗料はじきが少し発生し、少し塗装不良の状態であった。
×:塗料はじきが激しく発生し、塗装不良の状態であった。
実施例1〜5および比較例1〜3
(試料)
(A)プロピレン−エチレンブロック共重合体(BC−1)
内容積45及び32m3の攪拌機及びジャケット付きのSUS製反応器5槽をプロピレンで十分置換し、第一槽圧力をプロピレンで0.5kg/cm2Gに調整し、n−ヘプタン20m3を張った。攪拌機起動後、トリエチルアルミニウム50モル、該反応器の内温を60〜75℃に昇温したのち、プロピレンで反応圧力を4〜8kg/cm2Gに昇圧した。水素濃度を15〜17%に保つよう水素を投入後、特開平10−212319号公報の実施例に記載の固体触媒成分を供給し重合を開始した。反応開始後、槽内の安定を確認して反応圧力を目標の4.5〜9.0kg/cm2Gまで昇圧し、気相部の水素濃度を19〜21容積%に保つように供給しながら重合を継続した。生成した重合スラリーは次の反応槽に抜き出され、設定した条件にて引き続き重合継続した。合計5槽の連続した反応槽にてプロピレン単独重合体部分(第1セグメント)の重合を継続した。プロピレン単独重合体部分(第1セグメント)のポリマーをサンプリングし分析した結果、分子量分布(Q値)は5.3であり、極限粘度[η]Pは0.80dl/g、アイソタクチックペンタッド分率は0.99であった。
引き続いて、プロピレン及びエチレンにより6〜8番目の反応槽の反応圧力を2〜4kg/cm2Gに昇圧し、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分(第2セグメント)の重合を開始し、反応温度52℃で反応圧力を2〜4kg/cm2Gに保ちながらプロピレン/エチレンの混合ガスを連続的に供給し、気相部の水素濃度が0.05〜0.2容積%に保たれるように調整しながらプロピレン−エチレンランダム共重合体部分(第2セグメント)の重合を継続した。生成した重合スラリーは次の反応槽に抜き出され、設定した条件にて引き続き重合継続した。合計3槽の連続した反応槽にてプロピレン−エチレンランダム共重合体部分(第2セグメント)の重合を継続した。
反応器内のポリマースラリーの全量を失活槽へ導き、未反応モノマーを分離、水で失活処理を行った後、該ポリマースラリーを遠心分離することにより固体ポリマーを回収し、ドライヤーにて乾燥して粉末状白色パウダーを得た。極限粘度[η]Tは1.42dl/gであり、エチレン含量は3.5重量%であった。又、第1セグメントと第2セグメントの重合比は、結晶融解熱量の測定結果より計算し重量比で88/12であった。したがってプロピレン−エチレンランダム共重合体部分(第2セグメント)の極限粘度([η]EP)は6.0dl/gであり、エチレン含量は29重量%であった。
(2)プロピレン−エチレンブロック共重合体(BC−2)
住友化学工業株式会社製 AS171Gを用いた。AS171GのMFR(230℃)は、0.9g/10分であった。
プロピレン単独重合体部分(第1セグメント)の分子量分布(Q値)は4.0であり、極限粘度([η]P)は2.3dl/gであり、アイソタクチックペンタッド分率は0.97であり、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分(第2セグメント)の極限粘度([η]EP)は4.5dl/gであり、プロピレン−エチレンブロック共重合体(BC−2)に対する重量割合は15.6重量%であり、エチレン含量は37.5重量%であった。
(B)タルク
タルクとしては、林化成社製のタルク(MWHST)を用いた。(Talcと称する。)Talcの平均粒子径は、2.7μmであった。
(C)エラストマー
エラストマーとしては、次のエチレン−1−オクテン共重合体ゴム(EORと称する)を用いた。
デュポンダウエラストマー社製 ENGAGE8842(密度:0.858g/cm3、MFR(190℃):1g/10分)
(D)アミド化合物
アミド化合物としては、下記のアルキルジアルカノールアミド((D−1)または(D−2))を用いた。比較例には、下記の脂肪酸アミド(D’)を用いた。
(D−1) 花王(株)社製 ステアリルジエタノールアミド
(D−2) 花王(株)社製 ミリスチルジエタノールアミド
(D’) 日本精化社製 エルカ酸アミド ニュートロンS
(E)繊維状無機充填材
繊維状無機充填材としては、宇部マテリアルズ社製のモスハイジA(繊維状マグネシウムオキシサルフェート、MOSと称する)を用いた。平均繊維径は0.5μmであり、平均繊維長は10μmであり、アスペクト比は20であった。
(ポリプロピレン系樹脂組成物)
ポリプロピレン系樹脂組成物を次の方法で製造した。プロピレン−エチレンブロック共重合体(BC−1またはBC−2)、タルク(Talc)、エチレン−1−オクテン共重合体ゴム(EOR)、繊維状無機充填材(MOS)および、アミド化合物(D−1またはD−2)、または、脂肪酸アミド(D’)を表1に示した組成にし、上記のプロピレン−エチレンブロック共重合体、タルク、エチレン−1−オクテン共重合体ゴム、繊維状無機充填材、および、アミド化合物または脂肪酸アミドの合計100重量部に対して、次の添加剤、
日本油脂(株)社製 ステアリン酸カルシウム 0.05重量部
住友化学工業(株)社製 スミライザー GA−80 0.05重量部
旭電化工業(株)社製 アデカスタブ PEP−24G 0.05重量部
を加えて、これらをヘンシェルミキサーおよびタンブラーで均一に予備混合した後、二軸混練押出機(日本製鋼所社製TEX44SS−31.5BW−2V型)を用いて、押出量30kg/hr、スクリュー回転数350rpm、ベント吸引下で、ポリプロピレン系樹脂組成物を製造した。得られたポリプロピレン系樹脂組成物のMFRを測定した。その結果を表2に示した。
(射出成形体)
物性評価用試験片は、次の射出成形条件の下で作製した。上記で得られたポリプロピレン系樹脂組成物を熱風乾燥器で120℃で2時間乾燥後、東芝機械製IS150E−V型射出成形機を用いて、成形温度180℃、金型冷却温度50℃、射出時間15sec、冷却時間30secで射出成形を行った。得られた射出成形体の曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度を測定した。その結果を表2に示した。
傷付き試験用平板は、次の射出成形条件の下で作製した。上記で得られたポリプロピレン系樹脂組成物を熱風乾燥器で120℃で2時間乾燥後、住友重機製ネオマット515/150型射出成形機を用いて、成形温度220℃、金型冷却温度50℃、射出時間および保圧時間の合計が15secで、冷却時間が30secで射出成形を行った。得られた射出成形体の傷付き試験を行なった。その結果を表2に示した。
Figure 2006083251
Figure 2006083251
本発明の要件を満足する実施例1〜3は、剛性および衝撃強度に優れ、さらに、塗装性および耐傷付き性に優れたものであることが分かる。
これに対して、本発明の要件であるアルキルジアルカノールアミドおよびアルケニルジアルカノールアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種のアミド化合物(D)の代りに脂肪酸アミド(D’)を用いた比較例1は、塗装性が不十分なものであり、アミド化合物(D)を用いない比較例2は、耐傷付き性が不十分なものであることが分かる。

Claims (7)

  1. プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)と、タルク(B)と、オレフィン系エラストマーおよびビニル芳香族化合物含有エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のエラストマー(C)と、アルキルジアルカノールアミドおよびアルケニルジアルカノールアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種のアミド化合物(D)とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物であって、
    プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)とタルク(B)とエラストマー(C)との合計を100重量%として、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)が55〜92重量%であり、タルク(B)が5〜25重量%であり、エラストマー(C)が3〜20重量%であり、
    プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)とタルク(B)とエラストマー(C)の合計100重量部に対して、アミド化合物(D)0.1〜0.5重量部を含有するポリプロピレン系樹脂組成物。
  2. プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)と、タルク(B)と、オレフィン系エラストマーおよびビニル芳香族化合物含有エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のエラストマー(C)と、アルキルジアルカノールアミドおよびアルケニルジアルカノールアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種のアミド化合物(D)と、繊維状無機フィラー(E)とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物であって、
    プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)とタルク(B)とエラストマー(C)と繊維状無機フィラー(E)との合計を100重量%として、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)が40〜91重量%であり、タルク(B)が5〜25重量%であり、エラストマー(C)が3〜20重量%であり、繊維状無機フィラー(E)が1〜15重量%であり、
    プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)とタルク(B)とエラストマー(C)と繊維状無機フィラー(E)の合計100重量部に対して、アミド化合物(D)0.1〜0.5重量部を含有するポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. アミド化合物(D)が、下記の式(1)または式(2)のいずれかで表わされるアミド化合物である請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
    n2n+1CON(Cm2mOH)2 式(1)
    (式(1)において、nは15以上の整数、mは1〜8の整数を表す。)
    n2n-1CON(Cm2mOH)2 式(2)
    (式(2)において、nは15以上の整数、mは1〜8の整数を表す。)
  4. 繊維状無機フィラー(E)が繊維状マグネシウムオキシサルフェートであって、平均繊維径が0.2〜1.5μmであり、平均繊維長が5〜20μmであり、アスペクト比が10〜30である繊維状マグネシウムオキシサルフェートである請求項2または3に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  5. エラストマー(C)がエチレン−オクテン−1共重合エラストマーまたはエチレン−ブテン−1共重合エラストマーであって、密度が0.855〜0.875であり、190℃におけるメルトフローレートが0.5〜20g/10分であるエチレン−オクテン−1共重合エラストマーまたはエチレン−ブテン−1共重合エラストマーである請求項1〜4のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形体。
  7. 請求項6記載の射出成形体であって、射出成形体の表面積の10〜80%が塗装されている射出成形体。
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