JP2009270015A - ポリオレフィン樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】外観に優れ、剛性と耐熱性が優れた成形体を提供することが可能なポリオレフィン樹脂組成物の製造方法、及びこの方法により得られるポリオレフィン樹脂組成物並びに成形体を提供する。
【解決手段】第1のポリオレフィン樹脂(A−1)30質量%〜70質量%と、繊維状無機充填材(B)70質量%〜30質量%と、を混練して樹脂組成物1を得る第1混練工程と(但し、第1のポリオレフィン樹脂(A−1)と、繊維状無機充填材(B)の合計を100質量%とする)、前記樹脂組成物1を3質量%〜20質量%と、第2のポリオレフィン樹脂(A−2)を80質量%〜97質量%と、を配合して樹脂組成物を得る配合工程と(但し、樹脂組成物1と、第2のポリオレフィン樹脂(A−2)の合計を100質量%とする)、を有するポリオレフィン樹脂組成物の製造方法であって、前記配合工程の配合温度を50℃以下の温度とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン樹脂組成物の製造方法及びポリオレフィン樹脂組成物並びに成形体に関するものである。
ポリオレフィン樹脂を含有するポリオレフィン樹脂組成物は、剛性が優れた材料であることから、自動車用材料に用いられている。例えば、特許文献1には、ポリプロピレン樹脂と、繊維状フィラーと、タルクからなるポリオレフィン樹脂組成物、及び、前記樹脂組成物に、さらにエラストマーを添加してなるポリオレフィン樹脂組成物が開示されている。そしてこのポリオレフィン樹脂組成物の製造方法としては、二軸押出機を使用し、ポリプロピレン樹脂とタルクをホッパーへ定量供給し、ポリプロピレン樹脂とタルクを混練した後、二軸押出機の下流部に繊維状フィラーを定量供給し、再度混練する方法が開示されている。
また特許文献2には、ポリプロピレン系樹脂と、エチレン−α−オレフィン共重合体と、タルクと、繊維状無機充填剤からなるポリプロピレン系樹脂組成物が開示されている。この樹脂組成物の製造方法としては、ポリプロピレン系樹脂とエチレン−α−オレフィン共重合体とタルクをホッパーへ定量供給し、ポリプロピレン系樹脂とエチレン−α−オレフィン共重合体とタルクを混練した後、二軸押出機の下流部に繊維状無機充填剤を定量供給し、再度混練する方法が開示されている。
特許文献3には、プロピレン重合体と繊維状無機充填材とを混練して樹脂組成物マスターバッチを得る工程と、得られたマスターバッチに、さらにプロピレン重合体と非繊維状無機充填材とエラストマーとを加えて混練して樹脂組成物を得る工程からなるプロピレン系樹脂組成物の製造方法が開示されている。
特開平5−279526号公報 特開平10−36586号公報 特開2006−83369号公報
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載されている製造方法では、繊維状無機充填材の分散が不十分な場合がある。また、特許文献3に記載されている方法は、少なくとも2回混練を行っていることから繊維状無機充填材が破損してしまう場合がある。そのため、得られる成形体の剛性並びに耐熱性の改良及び、外観の改良が求められている。
以上の課題に鑑み、本発明では外観に優れ、剛性と耐熱性が優れた成形体を提供することが可能なポリオレフィン樹脂組成物の製造方法、及びこの方法により得られるポリオレフィン樹脂組成物並びに成形体を提供することを目的とする。
本発明は、第1のポリオレフィン樹脂(A−1)30質量%〜70質量%と、繊維状無機充填材(B)70質量%〜30質量%と、を混練して樹脂組成物1を得る第1混練工程と(但し、第1のポリオレフィン樹脂(A−1)と、繊維状無機充填材(B)の合計を100質量%とする)、前記樹脂組成物1を3質量%〜20質量%と、第2のポリオレフィン樹脂(A−2)を80質量%〜97質量%と、を配合して樹脂組成物を得る配合工程と(但し、樹脂組成物1と、第2のポリオレフィン樹脂(A−2)の合計を100質量%とする)、を有するポリオレフィン樹脂組成物の製造方法であって、前記配合工程の配合温度は、50℃以下の温度であることを特徴とするポリオレフィン樹脂組成物の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、外観に優れ、剛性と耐熱性が優れた成形体を提供することが可能となる。
以下本発明について詳細に説明する。
〔ポリオレフィン樹脂組成物の製造方法〕
本発明に係るポリオレフィン樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物ともいう)の製造方法は、第1混練工程と、配合工程と、を有する。
第1混練工程では、第1のポリオレフィン樹脂(A−1)30〜70質量%と、繊維状無機充填材(B)70〜30質量%と、を混練して樹脂組成物1を得る。そして配合工程では、樹脂組成物1を3〜20質量%と、第2のポリオレフィン樹脂(A−2)を80〜97質量%と、を所定温度で配合して樹脂組成物2を得る。
このように、第1混練工程を行うことにより、繊維状無機充填材を第1のポリオレフィン樹脂中に良好に分散させることが可能となる。また、配合工程の温度を第1のポリオレフィン樹脂(A−1)の融点以下の温度であり、かつ、第2のポリオレフィン樹脂(A−2)の融点以下の温度とすることにより、ポリオレフィン樹脂を溶融させない状態で混ぜあわせることが可能となる。その結果、繊維状無機充填材の破損を防止することが可能となる。
ここで、本発明における「混練」とは、実質的に溶融状態の第1のポリオレフィン樹脂(A−1)に、混練機を用いてせん断力をかけて混ぜ合わせることをいう。「配合」とは、樹脂を溶融させない状態で混ぜ合わせることをいう。
第1混練工程は、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、熱ロール、より好ましくは一軸押出機、二軸押出機等を用いて行なわれる。第1混練工程の混練温度は、170℃〜250℃であることが好ましく、180℃〜230℃であることがより好ましい。混練時間は10秒〜10分であることが好ましく、30秒〜3分であることがより好ましい。
第1のポリオレフィン樹脂(A−1)と繊維状無機充填材(B)の混合割合は、第1のポリオレフィン樹脂(A−1)が30質量%〜70質量%、繊維状無機充填材(B)が70質量%〜30質量%であり、より好ましくは第1のポリオレフィン樹脂(A−1)が40質量%〜60質量%、繊維状無機充填材(B)が60質量%〜40質量%である(但し、第1のポリオレフィン樹脂(A−1)と、繊維状無機充填材(B)の合計を100質量%とする)。
第1のポリオレフィン樹脂(A−1)の含有量が30質量%未満であると繊維状無機充填材(B)の含有量が多すぎて混練することが困難になることがある。また、含有量が70質量%を超えると、成形体の剛性の改良効果が小さくなることがある。
配合工程は、タンブラー、ヘンシェルミキサー等を用いて行なわれる。配合工程の配合温度は50℃以下であり、更に好ましくは5℃〜50℃である。配合時間は10秒〜10分であることが好ましく、30秒〜5分であることがより好ましい。
このときの樹脂組成物1と第2のポリオレフィン樹脂(A−2)の混合割合は、樹脂組成物1が3質量%〜20質量%であり、第2のポリオレフィン樹脂(A−2)が97質量%〜80質量%である。より好ましくは樹脂組成物1が5質量%〜15質量%であり、第2のポリオレフィン樹脂(A−2)が95質量%〜85質量%である(但し、樹脂組成物1と、第2のポリオレフィン樹脂(A−2)の合計を100質量%とする)。
第2のポリオレフィン樹脂(A−2)の含有量が80質量%未満の場合、樹脂組成物1が多すぎて成形体を製造することが困難となる場合がある。また、含有量が97質量%を超えると、成形体の剛性の改良効果が小さくなることがある。
本発明に係るポリオレフィン樹脂組成物の製造方法は、成形体の剛性と衝撃性を改良する観点から、上記配合工程の前に配合工程で使用する第2のポリオレフィン樹脂(A−2)を混練行ってもよい(第2混練工程)。
第2混練工程も第1混練工程と同様に一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、熱ロール、好ましくは一軸押出機、二軸押出機等を用いて行う。
第2混練工程の混練温度は、170℃〜250℃であることが好ましく、180℃〜230℃であることがより好ましい。混練時間は10秒〜20分であることが好ましく、30秒〜5分であることがより好ましい。また、各成分の混合は同時に行ってもよく、分割して行ってもよい。また、得られる成形体の性能に影響の無い程度で少量の繊維状無機充填材(B)を第2混練工程で加えてもよい。
また、第2混練工程では上記第2のポリオレフィン樹脂(A−2)以外にも非繊維状無機充填材(C)やエラストマー(D)等を添加してもよい。これらの添加量は、非繊維状無機充填材(C)及びエラストマー(D)共に0質量%を超えて50質量%以下であり、好ましくはそれぞれ5質量%〜30質量%である(但し、上記(A−2)、(C)及び(D)の合計を100質量%とする)。なお、上記(C)及び(D)成分を添加する際のポリオレフィン樹脂(A−2)の添加量は、90質量%〜60質量%であることが好ましい(但し、上記(A−2)、(C)及び(D)の合計を100質量%とする)。
[ポリオレフィン樹脂(A)]
ここで、第1のポリオレフィン樹脂(A−1)及び第2のポリオレフィン樹脂(A−2)(以下、2つを合わせてポリオレフィン樹脂(A)ともいう)としては、オレフィンの単独重合体、少なくとも2種のオレフィンの共重合体等が挙げられる。具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン樹脂等が挙げられる。このうち、ポリプロピレン樹脂を用いることが好ましい。これらのポリオレフィン樹脂は、単独又は2種以上を併用して用いてもよい。なお、後述する繊維状無機充填材(B)を折らずに混練するという観点から、ポリオレフィン樹脂(A)の形状としては、好ましくはペレット状又は粉状であり、より好ましくは粉状である。
ポリエチレン樹脂としては、エチレン単独重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられる。
エチレン−α−オレフィン共重合体に用いられるα−オレフィンとしては、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられる。中でも、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンを用いることが好ましい。
ポリプロピレン樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン単独重合体成分又は主にプロピレンからなる共重合体成分(以下、重合体成分(I)ともいう)と、プロピレンとエチレン及び/又はα−オレフィンの共重合体成分(以下、共重合体成分(II)ともいう)からなるポリプロピレン系共重合体等が挙げられる。これらのポリプロピレン樹脂は、単独又は2種以上を併用して用いてもよい。
ポリプロピレン樹脂に用いられるα−オレフィンとしては、上記と同様のα−オレフィンが挙げられる。このうち炭素数4〜12のα−オレフィンを用いることが好ましく、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンを用いることがより好ましい。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−1−オクテンランダム共重合体等が挙げられる。
また、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体等が挙げられる。
上記重合体成分(I)と、上記共重合体成分(II)と、からなるポリプロピレン系共重合体の重合体成分(I)における主にプロピレンからなる共重合体成分としては、例えば、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体成分等が挙げられる。
また、プロピレンとエチレン及び/又はα−オレフィンの共重合体成分(前記共重合体成分(II))としては、例えば、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−1−オクテン共重合体成分等が挙げられる。
なお、上記共重合体成分(II)におけるエチレン及び/又はα−オレフィンの含有量は、10質量%〜70質量%であることが好ましい。
そして、前記重合体成分(I)と前記共重合体成分(II)からなるポリプロピレン系共重合体としては、例えば、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合体等が挙げられる。
上記重合体成分(II)のエチレン含量((C2')EP)は、成形体の耐衝撃性の観点から、25質量%〜60質量%であることが好ましく、30質量%〜55質量%であることがより好ましい(但し、第2セグメントの全質量を100質量%とする)。また、重合体成分(II)の固有粘度([η]EP)は、剛性と衝撃性のバランス、ブツ部の発生や面品質の観点から、1dl/g〜9dl/gであることが好ましく、2dl/g〜9dl/gであることがより好ましく、2dl/g〜6dl/gであることが更に好ましい。
ここで、本発明において第1のポリオレフィン樹脂(A−1)及び第2のポリオレフィン樹脂(A−2)は、同じ種類のポリオレフィン樹脂を用いても、異なる種類のポリオレフィン樹脂を用いてもよい。第1のポリオレフィン樹脂(A−1)として、プロピレン単独重合体を用いることが好ましく、第2のポリオレフィン樹脂(A−2)として、上記重合体成分(I)と、上記共重合体成分(II)と、からなるポリプロピレン系共重合体を用いることが好ましい。重合体成分(I)と重合体成分(II)との重合割合は、重合体成分(I)が60質量%〜95質量%であり、重合体成分(II)が10質量%〜35質量%であることが好ましい(但し、第2のポリオレフィン樹脂(A−2)の全質量を100質量%とする)。
ポリオレフィン樹脂(A)のメルトフローレート(以下、MFRともいう)は、0.01g/10分〜400g/10分であることが好ましく、0.3g/10分〜200g/10分であることがより好ましく、0.5g/10分〜150g/10分であることが更に好ましい。本発明におけるMFRは、A.S.T.M.D1238に従って、ポリプロピレンの場合には230℃、21.2N荷重で、ポリエチレンの場合には190℃、21.2N荷重で測定した値である。
上記ポリオレフィン樹脂(A)の固有粘度([η]、単位:dl/g)は、成形体の機械的物性を向上させるという観点、特に衝撃強度を向上させるという観点から、0.8dl/g以上であり、より好ましくは1.0dl/g以上である。特に、ポリオレフィン樹脂(A)として、上記のポリプロピレン樹脂を用いる場合、その固有粘度([η]、単位:dl/g)は、好ましくは0.8dl/g以上であり、より好ましくは1.0dl/g以上である。
また、ポリオレフィン樹脂(A)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定される分子量分布(重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn))として、好ましくは3〜7であり、より好ましくは3〜5である。特に、ポリオレフィン樹脂(A)として、上記のポリプロピレン樹脂を用いる場合、分子量分布は好ましくは3〜7であり、より好ましくは3〜5である。
また、上記重合体成分(I)の分子量分布としては、樹脂組成物の流動性や、成形体の剛性と耐衝撃性のバランスの観点から、3〜5であることが好ましく、3.5〜4.5であることがより好ましい。
また、ポリオレフィン樹脂(A)として、ポリプロピレン樹脂を用いる場合、成形体の剛性、耐熱性又は硬度を高めるという観点から、前記プロピレン単独重合体等の13C−NMRによって測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率として、好ましくは0.94以上である。特に、重合体成分(I)のアイソタクチック・ペンタッド分率は、成形体の剛性や耐熱性の観点から0.96以上であることが好ましく、0.97以上であることがより好ましい。
ポリオレフィン樹脂(A)の製造は、重合触媒を用いる製造方法により行われる。重合触媒としては、例えば、チーグラー型触媒、チーグラー・ナッタ型触媒が挙げられる。また、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンからなる触媒系、又はシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物及び有機アルミニウム化合物からなる触媒系、又は、これらの触媒を無機粒子等に担持させた担持型触媒系等が挙げられる。
製造方法としては、例えば、不活性炭化水素溶媒によるスラリー重合法、溶媒重合法、無溶媒による液相重合法、気相重合法、又はそれらを連続的に行う気相−気相重合法、液相−気相重合法等が挙げられる。これらの製造方法は、回分式(バッチ式)であってもよく、連続式であってもよい。また、(A)ポリオレフィン樹脂を一段階で製造する方法であってもよく、二段階以上の多段階で製造する方法であってもよい。
重合時の温度は、−30℃〜300℃であることが好ましく、20℃〜180℃であることがより好ましい。重合圧力は、常圧〜10MPaであることが好ましく、0.2MPa〜5MPaであることがより好ましい。なお、分子量調整剤として、例えば水素を用いることができる。
さらに、上記重合体成分(I)と上記共重合体成分(II)からなるポリプロピレン系共重合体の製造方法としては、重合体成分(I)を製造する段階と、共重合体成分(II)を製造する段階と、の少なくとも二段階の工程を有する多段階の製造方法が挙げられる。
[繊維状無機充填材(B)]
本発明で用いられる繊維状無機充填材(B)は、平均繊維径が0.2μm〜20μmであり、平均繊維長が5μm〜200μmであり、アスペクト比が10〜30のものを用いることが好ましい。成形体の剛性の改良効果を高めるという観点や成形体の外観を改良するという観点から、平均繊維径は0.3μm〜10μmであり、平均繊維長は7μm〜150μmであり、アスペクト比は12〜25であることが更に好ましい。
なお、繊維状無機充填材(B)の平均繊維径、平均繊維長及びアスペクト比は、電子顕微鏡観察を行って得られた画像から、無作為に50本以上を選択し、その繊維径、繊維長を測定して平均した値を用いている。
繊維状無機充填材(B)としては、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、チタン酸カリウム繊維、水酸化マグネシウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ケイ酸カルシウム繊維、炭酸カルシウム繊維、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維等が挙げられる。このうち、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、ケイ酸カルシウム繊維を用いることが好ましい。
繊維状無機充填材(B)はそのまま使用してもよいが、ポリオレフィン樹脂(A)との界面接着性を向上させ、ポリオレフィン樹脂(A)中での分散性を向上させるために、シランカップリング剤や高級脂肪酸金属塩を用いて表面処理されたものを使用してもよい。高級脂肪酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
繊維状無機充填材(B)の形態としては、粉状、フレーク状、顆粒状等が挙げられ、いずれの形態のものを用いてもよい。ハンドリングしやすいという観点から、顆粒状のものを用いることが好ましい。
[非繊維状無機充填材(C)]
非繊維状無機充填材(C)としては、例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、クレー、アルミナ、シリカ、硫酸カルシウム、けい砂、カーボンブラック、酸化チタン、水酸化マグネシウム、ゼオライト、モリブデン、けいそう土、セリサイト、シラス、水酸化カルシウム、亜硫酸カルシウム、硫酸ソーダ、ベントナイト、黒鉛等が挙げられる。成形体の衝撃強度や外観等の観点から、タルクを用いることが好ましい。
非繊維状無機充填材(C)の平均粒子径は、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。ここで非繊維状無機充填材(C)の平均粒子径とは、水、アルコール等の分散媒中に非繊維状無機充填材(C)を懸濁させ、遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて測定した篩下法の積分分布曲線から求めた50%相当粒子径D50のことを意味する。
非繊維状無機充填材(C)は上記繊維状無機充填材(B)と同様に、そのまま使用してもよいが、ポリオレフィン樹脂(A)との界面接着性を向上させ、ポリオレフィン樹脂(A)に対する分散性を向上させるために、上記シランカップリング剤、チタンカップリング剤や界面活性剤で表面を処理して使用しても良い。界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩類等が挙げられる。
[エラストマー(D)]
本発明に係るポリオレフィン樹脂組成物は、エラストマー(D)を含有していてもよい。エラストマー(D)としては、オレフィン系エラストマー(D−1)、ビニル芳香族化合物含有エラストマー(D−2)が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることが可能である。
オレフィン系エラストマー(D−1)としては、エチレンと炭素数4〜20のα−オレフィンであり、使用される炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。このうち1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンを用いることが好ましい。
オレフィン系エラストマー(D−1)の密度は、ポリオレフィン樹脂(A)に対する分散性を高めるという観点や、成形体の室温又は低温での衝撃強度を高めるという観点から、0.85g/cm3〜0.885g/cm3であることが好ましく、0.85g/cm3〜0.88g/cm3であることがより好ましく、0.855g/cm3〜0.875g/cm3であることが更に好ましい。
オレフィン系エラストマー(D−1)の190℃のMFRは、成形体の衝撃強度の観点から、0.1g/10分〜30g/10分であることが好ましく、0.2g/10分〜20g/10分であることがより好ましい。
オレフィン系エラストマー(D−1)は、重合触媒を用いて製造される。重合触媒としては、例えば、バナジウム化合物、有機アルミニウム化合物及びハロゲン化エステル化合物からなるチーグラー・ナッタ触媒系や、チタン原子、ジルコニウム原子又はハフニウム原子に少なくとも1種以上のシクロペンタジエニルアニオン骨格を有する基が配位したメタロセン化合物と、アルモキサンあるいはホウ素化合物と、を組み合わせた触媒系、いわゆるメタロセン触媒系が挙げられる。
製造方法としては、例えば、炭化水素化合物のような不活性有機溶媒中でエチレンとα−オレフィンを共重合させる方法や、溶媒を用いずにエチレン及びα−オレフィン中で共重合させる方法が挙げられる。
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(D−2)としては、ビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックからなるブロック共重合体、このブロック共重合体の共役ジエン部分の二重結合が水素添加されているブロック重合体等が挙げられる。このうち、ブロック共重合体の共役ジエン部分の二重結合が80%以上水素添加されているブロック重合体を用いることが好ましく、85%以上水素添加されているブロック重合体を用いることがより好ましい。具体的には、スチレン−エチレン−ブテン−スチレン系ゴム(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン系ゴム(SEPS)、スチレン−ブタジエン系ゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレン系ゴム(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン系ゴム(SIS)等のブロック共重合体又はこれらのゴム成分を水添したブロック共重合体等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を併用してもよい。
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(D−2)に含有されるビニル芳香族化合物の平均含有量は、10質量%〜20質量%であることが好ましく、12質量%〜19質量%であることがより好ましい。
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(D−2)の分子量分布としては、GPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)法によって測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)から求められる分子量分布(Q値)として、好ましくは2.5以下であり、より好ましくは2.3以下である。
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(D−2)のメルトフローレート(MFR、JIS−K−6758、230℃)として、好ましくは1g/10分〜15g/10分であり、より好ましくは2g/10分〜13g/10分である。
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(D−2)の製造方法としては、例えば、オレフィン系共重合体ゴムもしくは共役ジエンゴムに対し、ビニル芳香族化合物を重合、反応等により結合させる方法等が挙げられる。
なお、上記のエラストマーの他に、エチレン−プロピレン−非共役ジエン系ゴム(EPDM)等のオレフィン系共重合体ゴムとスチレン等のビニル芳香族化合物を反応させて得られるゴムを添加してもよい。
[その他]
第1混練工程において、繊維状無機充填材(B)を折れ難くするために滑剤を添加してもよい。滑剤としては、例えば、シラン化合物、ポリオレフィン系ワックス、脂肪酸アミド等が挙げられる。このうち、脂肪酸アミドを用いることが好ましく、炭素数6〜22の脂肪酸アミドを用いることがより好ましい。脂肪酸アミドとしては、例えば、ラウリル酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エルカ酸アミド等が挙げられ、好ましくは、エルカ酸アミドである。
また、各工程では必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤、銅害防止剤、難燃剤、滑剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、造核剤、気泡防止剤、架橋剤等の添加剤を配合してもよい。
〔成形体の製造方法〕
本発明に係る成形体は、上述のポリプロピレン樹脂組成物を直接射出成形機の供給口に供給して成形されたポリプロピレン樹脂成形体である。本発明の射出成形体は、押出機等で混練して得られたペレットを射出成形機の供給口に供給して成形された成形体よりも平均繊維長が長いので、剛性が優れる成形体が得られる。
成形の好ましい温度は、170℃〜250℃であり、より好ましくは、200℃〜240℃である。
本発明に係る成形体の用途としては、自動車用部品、電気製品・電子製品用部品、建材部品等が挙げられる。このうち、自動車用部品に用いることが好ましい。
以下、実施例及び比較例により本発明を説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例における物性値の測定法を以下に示す。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS−K−6758に規定された方法に従い、測定した。特に断りのない限り、測定温度は230℃であり、荷重は2.16kgであった。
(2)曲げ試験(単位:MPa)
JIS−K−7203に規定された方法に従い、測定した。射出成形により成形された試験片を用いた。試験片の厚みは6.4mmであり、スパン長さ100mm、荷重速度30mm/minの条件で曲げ弾性率と曲げ強度を評価した。測定温度は23℃で行った。
(3)加熱変形温度(HDT、単位:℃)
JIS−K−7207に規定された方法に従って、測定した。ファイバーストレスは1.82kg/cm2で測定した。
(4)ロックウェル硬度(HR、Rスケール)
JIS−K−7202に規定された方法に従って、測定した。射出成形により成形された厚みが3.0mmである試験片を用いて測定した。測定値はRスケールで表示した。
(5)エチレン含量(単位:質量%)
エチレン含量は、プレスシートを作製し、赤外吸収スペクトルを測定して得られるメチル基(−CH3)及びメチレン基(−CH2−)の特性吸収の吸光度を用いて検量線法により求めた。
(6)極限粘度([η]、単位:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用いて測定した。極限粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法、すなわち、還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求めた。ポリプロピレンについては、溶媒としてテトラリンを用い、温度135℃で評価した。
(7)分子量分布(Q値)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下に示した条件で測定した。
GPC:Waters社製 150C型
カラム:昭和電工社製 商品名Shodex80MA 2本
サンプル量:300μl(ポリマー濃度0.2wt%)
流量:1ml/min
温度:135℃
溶媒:o−ジクロルベンゼン
東洋曹達社製の標準ポリスチレンを用いて溶出体積と分子量の検量線を作成した。検量線を用いて検体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を求め分子量分布の尺度として、Q値、すなわち、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)を求めた。
(8)アイソタクチック・ペンタッド分率(単位:%)
アイソタクチック・ペンタッド分率は、A.Zambelliらによって、Macromolecules,6,925(1973)に発表、記載されている方法に従って測定した。すなわち、13C−NMRを使用して測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖、換言すれば、プロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率を求めた。ただし、NMRの吸収ピークの帰属に関しては、Macromolecules,8,687(1975)に基づいて行った。
具体的には、13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの面積分率としてアイソタクチック・ペンタッド分率を測定した。この方法により英国NATIONAL PHYSICAL LABORATORYのNPL標準物質 CRM No.M19−14 PolypropylenePP/MWD/2のアイソタクチック・ペンタッド分率を測定したところ、0.944であった。
(9)プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の全ブロック共重合体に対する質量比率(X、質量%)
プロピレン−エチレンブロック共重合体において、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の全ブロック共重合体に対する質量比率X(質量%)は、プロピレン単独重合体部分と全ブロック共重合体の各々の結晶融解熱量を測定することによって、次式から算出した。
X=1−(ΔHf)T/(ΔHf)P
(ΔHf)T:ブロック共重合体全体の融解熱量(cal/g)
(ΔHf)P:プロピレンホモポリマー部分の融解熱量(cal/g)
(10)プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量(単位:質量%)
プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合
体部分のエチレン含量は、赤外線吸収スペクトル法により全ブロック共重合体におけるエチレン含量(質量%)で測定し、次式から算出した。
(C2’)EP=(C2’)T/X
(C2’)T:全ブロック共重合体におけるエチレン含量(質量%)
(C2’)EP:プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量(質量%)
(11)プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度([η]EP、単位:dl/g)
プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度[η]EPは、プロピレン単独重合体部分と全ブロック共重合体の各々の極限粘度を測定することにより、次式から算出した。
[η]EP=[η]T/X−(1/X−1)[η]P
[η]P:プロピレン単独重合体部分の極限粘度(dl/g)
[η]T:ブロック共重合体全体の極限粘度(dl/g)
なお、プロピレン−エチレンブロック共重合体の第1セグメントであるプロピレン単独重合体部分の極限粘度[η]Pは、その製造時に、第一工程であるプロピレン単独重合体部分の製造後に重合槽内より取り出し、取り出されたプロピレン単独重合体から[η]Pを求めた。
(12)成形外観の評価
後述の射出成形方法によって得られた80mm×240mm×3mmの平板である物性評価用試験片の外観(ブツの有無)を目視で観察した。
物性評価用試験片にブツが観察されなかった場合を○とし、観察された場合を×とした。
実施例1〜3及び比較例1〜2に用いた試料を、以下に示す。
(1)ポリプロピレン樹脂
(A−1)プロピレン単独重合体
分子量分布(Q値)が4.1であり、極限粘度([η]P)が0.80dl/gであり、アイソタクチック・ペンタッド分率が0.99であり、MFR(230℃)が300g/10分である粉末状のプロピレン単独重合体を用いた。
(A−2)プロピレン−エチレンブロック共重合体
(i)プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−1)
プロピレン単独重合体部分(重合体成分(I))の分子量分布(Q値)は4.0であり、極限粘度([η]P)は1.05dl/gであり、アイソタクチック・ペンタッド分率は0.97である。プロピレン−エチレンランダム共重合体部分(重合体成分(II))の極限粘度([η]EP)は4.0dl/gであり、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−1)に対する重合体成分(II)の質量割合は16質量%である。また、重合体成分(II)のエチレン含量((C2')EP)は45質量%であり、MFR(230℃)が30g/10分である粉末状のプロピレン−エチレンブロック共重合体を用いた。
(ii)プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)
住友化学株式会社製 AD571を用いた。AD571のMFR(230℃)は、0.6g/10分であった。
プロピレン単独重合体部分(重合体成分(I))の分子量分布(Q値)は4.0であり、極限粘度([η]P)は2.7dl/gであり、アイソタクチック・ペンタッド分率は0.97である。プロピレン−エチレンランダム共重合体部分(重合体成分(II))の極限粘度([η]EP)は2.8dl/gである。プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)に対する重合体成分(II)の質量割合は16質量%である。重合体成分(II)のエチレン含量((C2')EP)は37.5質量%であった。
(2)繊維状無機充填材
繊維状無機充填材として、次の(B−1)と(B−2)を用いた。
(i)繊維状マグネシウムオキシサルフェート(B−1)
宇部マテリアルズ社製のモスハイジA(繊維状マグネシウムオキシサルフェート)を用いた。平均繊維径0.5μm、平均繊維長10μm、平均アスペクト比20であった。
(ii)ケイ酸カルシウム繊維(B−2)
ナイコミネラルズ社製のナイグロス8(ケイ酸カルシウム繊維、ワラストナイト)を用いた。平均繊維径8μm、平均繊維長136μm、平均アスペクト比17であった。
(3)非繊維状無機充填材(C)
非繊維状無機充填材としては、タルク(林化成社製 MWHST)を用いた。平均粒子径は、2.7μmであった。
(4)エラストマー(D)
オレフィン系エラストマー、ビニル芳香族化合物含有エラストマーとして、次の(D−1)と(D−2)を用いた。
(i)(D−1)
デュポンダウエラストマー社製 エチレン−1−ブテン共重合体ゴム:ENR7380(密度:0.870g/cm3、MFR(190℃):0.3g/10分)
(ii)(D−1−2)
デュポンダウエラストマー社製 エチレン−1−オクテン共重合体ゴム:ENGAGE8842(密度:0.855g/cm3、MFR(190℃):1g/10分)
[実施例1〜3]
(樹脂組成物1の製造:第1混練工程)
第1のプロピレン単独重合体(A−1)及び繊維状無機充填材(B−1、B−2)及び滑剤を表1に示した組成になるように計重機からフィードし、2軸混練押出し機(神戸製鋼社製4FCM)を用いて混練した。スクリューはフルフライト形状であり、L/D=18.5であった。2軸混練機にて混練後、続いて、大阪精機社製120mm単軸押出し機により、ペレット化し、樹脂組成物1のマスターバッジを得た(MB−1〜MB−3)。
(樹脂組成物2の製造:第2混練工程)
樹脂組成物2を次の方法で製造した。プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−1)、(A−2−2)、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(D−1、D−2)、非繊維状無機充填材(C)を表2に示した組成にして、これらをヘンシェルミキサー及びタンブラーで均一に予備混合した後、二軸混練押出機(日本製鋼所社製TEX44SS−31.5BW−2V型)を用いて、押出量80kg/hr、スクリュー回転数200rpm、ベント吸引下で、ポリプロピレン樹脂組成物を製造した。
(ポリプロピレン樹脂組成物の製造:配合工程)
本発明に係るポリプロピレン樹脂組成物を次の方法で製造した。各樹脂組成物1(MB−1〜MB−3)及び樹脂組成物2を表3に示した組成にして、これらを23℃で5分間タンブラーで均一に予備混合してポリプロピレン樹脂組成物を製造した。
[比較例1]
ポリプロピレン樹脂組成物を次の方法で製造した。プロピレン単独重合体(A−1)、繊維状マグネシウムオキシサルフェート(B−1)、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−1)及び(A−2−2)、非繊維状無機充填材(C)、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(D−1)及び(D−1−2)を、表4に示した組成にして、これらを23℃で5分間、タンブラーで均一に予備混合した後、二軸混練押出機(日本製鋼所社製TEX44SS−31.5BW−2V型)を用いて、押出量80kg/hr、スクリュー回転数200rpm、ベント吸引下で、ポリプロピレン樹脂組成物を製造した。
[比較例2]
繊維状マグネシウムオキシサルフェート(B−1)を、ケイ酸カルシウム繊維(B−2)に変えた以外は比較例1と同様の方法でポリプロピレン樹脂組成物を製造した。
[射出成形体の作製]
物性評価用試験片は、次の射出成形条件下で作製した。上記で得られたポリプロピレン樹脂組成物を東芝機械製IS150E−V型射出成形機を用いて、成形温度180℃、金型冷却温度50℃、射出時間15sec、冷却時間30secで射出成形を行った。得られた射出成形体の曲げ弾性率、曲げ強度、HDT、ロックウェルを測定した。その結果を表5に示す。
Figure 2009270015

Figure 2009270015

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Figure 2009270015

Figure 2009270015

Claims (6)

  1. 第1のポリオレフィン樹脂(A−1)30質量%〜70質量%と、繊維状無機充填材(B)70質量%〜30質量%と、を混練して樹脂組成物1を得る第1混練工程と(但し、第1のポリオレフィン樹脂(A−1)と、繊維状無機充填材(B)の合計を100質量%とする)、
    前記樹脂組成物1を3質量%〜20質量%と、第2のポリオレフィン樹脂(A−2)を80質量%〜97質量%と、を配合して樹脂組成物を得る配合工程と(但し、樹脂組成物1と、第2のポリオレフィン樹脂(A−2)の合計を100質量%とする)、を有するポリオレフィン樹脂組成物の製造方法であって、
    前記配合工程の配合温度は、50℃以下の温度であることを特徴とするポリオレフィン樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記繊維状無機充填材(B)は、平均繊維径が0.2μm〜20μmであり、平均繊維長が5μm〜200μmであり、アスペクト比が10〜30である請求項1に記載のポリオレフィン樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記配合工程の前に、前記第2のポリオレフィン樹脂(A−2)を混練する第2混練工程を更に有する請求項1又は2に記載のポリオレフィン樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記第1のポリオレフィン樹脂及び前記第2のポリオレフィン樹脂は、それぞれプロピレン系樹脂を含有する請求項1から3いずれかに記載のポリオレフィン樹脂組成物の製造方法。
  5. 請求項1から4いずれかに記載の方法により得られるポリオレフィン樹脂組成物。
  6. 請求項5に記載のポリオレフィン樹脂組成物により得られるポリオレフィン樹脂成形体。
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